説明

低粘度の多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを含むUV硬化性ハイソリッド塗料組成物

低粘度の多官能ウレタンアクリレートオリゴマー、UV硬化性モノマー、10重量%以下の有機溶剤、及び光開始剤を含んで成る本発明のUV硬化性ハイソリッド塗料組成物は、優れた作業性、および環境特性を有し、耐熱衝撃性を含む優れた物性を有する戸膜を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環境問題や加工性の問題を引き起こさず、優れた塗膜を提供することができる低粘度の多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを含むUV硬化性塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで粉体塗料(powder coating)、水性塗料(water−borne coating)、UV硬化性塗料(UV curable coating ) 及びハイソリッド塗料(high solid coating)などの多様な塗料組成物が開発されており、特にUV硬化性塗料組成物が広く用いられている。しかし、従来のUV硬化性塗料組成物は揮発性有機溶剤を、例えば45〜60重量%と多量含有するので、スプレーコート法、ディップコート法、フローコート法またはスピンコート法を用いる場合、大気汚染、作業者の健康への悪影響、塗工基材の変形及びエネルギー無駄使いをもたらす。
【0003】
従って、揮発性有機溶剤の使用によって生じる問題を最小化できる親環境的なUV硬化性組成物を開発する必要がある。
【0004】
「発明の概要」
従って、本発明の主要な目的は、優れた物性を有する塗膜を得ることができ、その上、優れた作業性及び環境受容性を示す、低粘度の多官能ウレタンアクリレートオリゴマー及び10重量%以下の少量の有機溶剤を含むUV硬化性ハイソリッド(high solid)塗料組成物を提供することである。
【0005】
本発明の要旨の1つに従えば、組成物の全重量基準で(A)ウレタンアクリレートオリゴマー20〜60重量%、(B)UV硬化性モノマー20〜60重量%、(C)有機溶剤1〜10重量%、及び(D)光開始剤1〜10重量%を含むUV硬化性塗料組成物であって、該ウレタンアクリレートオリゴマーは、6〜9個のアクリレート官能基を有し、室温での粘度が500〜30、000cps(センチポアズ)の範囲にある、UV硬化性塗料組成物が提供される。
【0006】
「発明の詳細な説明」
本発明によるUV硬化性ハイソリッド塗料組成物は、室温での粘度が低い多官能ウレタンアクリレートオリゴマー(A)及び10重量%以下の有機溶剤を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明で、多官能ウレタンアクリレートオリゴマー(A)は、好ましくは6〜9個のアクリレート官能基を有し、室温での粘度が500〜30、000cpsである。
【0008】
本発明で用いられる多官能ウレタンアクリレートオリゴマー(A)は、3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートを、1個以上のヒドロキシ基及び3個以上のアクリル基を含むアクリレートと、金属触媒及びラジカル重合抑制剤の存在下で反応させることで得られる。反応は50〜80℃で、イソシアネート(NCO)基が観測されなくなるまで行う。前記アクリレートは、ポリイソシアネート1当量基準で1〜1.2当量の量で用いてよい。
【0009】
本発明で用いられるポリイソシアネートの代表的な例としては、1、6−ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、1、6−ヘキサメチレンジイソシアネートビウレット、1、6−ヘキサメチレンジイソシアネートアロファネートなどが挙げられる。
【0010】
また、本発明で用いられるアクリレートの代表的な例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物などが挙げられ、好ましくはペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物を用いる。
【0011】
合成過程で生成された微量のオリゴマー不純物は、多官能ウレタンアクリレートオリゴマーの粘度に影響を及ぼすので、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物は純度が高く、ペンタエリスリトールトリアクリレートが50〜60重量%であることが望ましい。
【0012】
前記反応に用いられる金属触媒の代表的な例としては、スズ系金属化合物であるジブチル錫ジラウリレート(dibutyltin dilaurylate)及びアミン系化合物であるDBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセ−7−エン)などが挙げられ、金属触媒は触媒的有効量、好ましくは100〜500ppmの量で用いられる。
【0013】
本発明で用いられるラジカル重合抑制剤の代表的な例としては、ヒドロキノン(hydroquinone)、p−メトキシフェノール(p−methoxy phenol)、ニトロベンゼン(nitrobenzene)、BHT(2,6−ジ−ターシャリー−ブチル−4−メチルフェノール)などが挙げられ、重合抑制剤は有効量、好ましくは100〜500ppmの量で用いられる。
【0014】
前記反応で生成されたウレタンアクリレートオリゴマーの粘度調節のために、希釈剤を反応に更に用いてもよい。希釈剤の代表的な例としては、メチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone)、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone)、ジメチルケトン(dimethyl ketone)、酢酸エチル(ethyl acetate)及びn−ブチルアセテート(n−butyl acetate)などの有機溶剤、及びヘキサメチレンジアクリレート(hexamethylene diacrylate;HDDA)、イソボニルアクリレート(isobonyl acrylate;IBOA)などのようにヒドロキシ基を含まない非反応性UV硬化性モノマーが挙げられる。環境的及び工程上の問題を引き起こさないために、有機溶剤は10重量%以下、UV硬化性モノマーは30重量%以下の量で用いることが好ましい。
【0015】
その結果得られる低粘度の多官能ウレタンアクリレートオリゴマーに、UV硬化性モノマー(B)、有機溶剤(C)、及び光開始剤(B)を添加して本発明のUV硬化性ハイソリッド塗料組成物を収得することができる。
【0016】
本発明では前記低粘度のウレタンアクリレートオリゴマー(A)を全組成物基準で20〜60重量%、好ましくは30〜40重量%の量で用いる。前記低粘度の多官能ウレタンアクリレートオリゴマーの量が60重量%より高いと、架橋密度が高すぎて硬化した塗膜が脆くなり、熱や衝撃によりクラックが発生し、20重量%未満であると、硬度と耐摩耗などの機械的物性が低下する。
【0017】
本発明でオリゴマーの粘度調節のための反応性希釈剤として用いられるUV硬化性モノマー(B)の代表的な例としては、ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート(pentaerythritol tri/tetraacrylate; PETA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(trimethylolpropane triacrylate; TMPTA)、ヘキサメチレンジアクリレート(hexamethylene diacrylate; HDDA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−hydroxyethyl acrylate; 2−HEA)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(2−hydroxypropyl acrylate; 2−HPA)、2−ヒドロキシブチルアクリレート(2−hydroxybutyl acrylate; 2−HBA)、イソボニルアクリレート(isobonyl acrylate; IBOA)などが挙げられる。前記単量体は、全組成物基準で20〜60重量%、好ましくは25〜55重量%の量で用いられる。前記単量体の量が60重量%より高いと、硬化速度が遅くなり、塗膜の機械的・化学的物性が低下し、20重量%未満であると、作業性及びレベリング(leveling)性が低下する。
【0018】
本発明による有機溶剤(C)の代表的な例としては、メチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone)、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone)、ジメチルケトン(dimethyl ketone)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、イソブチルアルコール(isobutyl alcohol)、ノルマルブチルアルコール(normal butyl alcohol)、酢酸エチル(ethyl acetate)、ノルマルブチルアセテート(normal butyl acetate)、エチルセロソルブ(ethyl cellosolve)、ブチルセロソルブ(butyl cellosolve)などが挙げられる。前記有機溶剤は、全組成物基準で1〜10重量%、好ましくは5〜10重量%の量で用いられる。前記有機溶剤の量が10重量%より高いと、揮発性溶媒の量を減らすことによる所期の効果を達成し難く、1重量%未満であると効果的な混合物を形成しない。
【0019】
本発明の組成物は、紫外線によってラジカルを発生させて不飽和炭化水素を架橋させる役割をする光開始剤(D)を含む。前記光開始剤の代表的な例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(1−hydroxy cyclohexyl phenyl ketone、 IRGACURE 184)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(bis(2,4,6−trimethyl benzoyl)phenyl phosphine oxide、 IRGACURE 819)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィン(2,4,6−trimethyl benzoyl diphenyl phosphine、 TPO)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン(2−hydroxy−2−methyl−1−phenyl−1−propane、 DAROCUR 1173)、ベンゾフェノン(benzophenone、 BP)などが挙げられ、これは全組成物基準で1〜10重量%、好ましくは4〜7重量%の量で用いられる。
【0020】
前記塗膜の滑り(slip)性及び光沢を向上させるために、本発明の塗料組成物はレベリング剤を全組成物基準で0.1〜2重量%の量でさらに含むことができる。前記レベリング剤は塗料組成物に用いられる通常のものを使うことができるが、好ましくはポリシロキサン、例えばBYK−300、BYK−333(BYK chemie社より商業的に入手可能)、TEGO RAD 2200N(Tego chemie社より商業的に入手可能)が好ましい。
【0021】
また、前記塗膜の物性を向上させるために、本発明の塗料組成物は、例えばXP−1045、XP−0596及びXP−0746(Hanse Chemie社より商業的に入手可能)などの添加剤を全組成物基準で0.1〜2重量%の量でさらに含むことができる。
【0022】
本発明の組成物は、低粘度の多官能UV硬化性オリゴマー、UV硬化性モノマー及び有機溶剤を適量混合した後、前記混合物に光開始剤、任意のレベリング剤及びその他の添加剤を攪拌しながら添加することで製造され得る。
【0023】
本発明によれば、前記塗膜は本発明の組成物を基材の表面にスプレーコート、ディップコート、フローコートまたはスピンコートしてUV硬化性膜を形成し、このUV硬化性膜を室温で乾燥した後、乾燥したフィルムを紫外線照射によって硬化させて製造し得る。スプレーコート法が用いられる場合は、塗膜を室温で1〜2分間乾燥させることが好ましい。
【0024】
本発明の塗膜は、5〜50μm範囲の厚さを有し、密着性、鉛筆硬度、光沢、及び耐熱衝撃性だけではなく、優れた耐湿性、耐薬品性、耐摩耗性及び耐酸性などを有する。
【0025】
前述したように、極めて少量の有機溶剤を含む本発明のUV硬化性塗料組成物は作業性に優れ、環境受容性であり、優れた物性を有する塗膜を提供する。従って、携帯電話、自動車及び家電製品などの製品塗膜に有用である。
【0026】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明はこれらに限定されない。
【実施例】
【0027】
「製造例1」「低粘度の多官能ウレタンアクリレートオリゴマーの製造」
四口丸底フラスコにペンタエリスリトールトリアクリレートを50〜55重量%を含むペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートとの混合物500gを添加し、これに重合抑制剤であるp−メトキシフェノール200ppmを添加した。前記混合物を室温で30分間攪拌した後、これにジブチル錫ジラウリレート100ppmを添加して、混合物を70℃に加熱した。その後1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート三量体(TKA−100P、旭日化成株式会社製)1当量を滴加し、得られた混合物を5時間反応させた。赤外分光法(IR)を用いてイソシアネート基が消滅したことを確認した後、生成混合物を50℃に冷却し、希釈剤であるメチルイソブチルケトンを全組成物基準で10重量%添加することで、25℃で13、000cpsの粘度(Brookfield DV−II)を有する低粘度の多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
【0028】
「製造例2」
希釈剤としてメチルイソブチルケトンの代わりにイソボニルアクリレートを全組成物基準で15重量%用いたことを除いては製造例1と同様な方法により反応し、25℃で28、000cpsの粘度を有する低粘度の多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
【0029】
「製造例3」
1、6−ヘキサメチレンジイソシアネート三量体の代わりに1、6−ヘキサメチレンジイソシアネートアロファネートとしてHA100(Basf社製)を用い、希釈剤としてメチルイソブチルケトンを全組成物基準で5重量%用いたことを除いては製造例1と同様な方法により反応し、25℃で23、000cpsの粘度を有する低粘度の多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
【0030】
「製造例4」
希釈剤としてメチルイソブチルケトンの代わりにイソボニルアクリレートを全組成物基準で15重量%用いたことを除いては製造例3と同様な方法により反応し、25℃で15、000cpsの粘度を有する低粘度の多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
【0031】
「製造例5」
1、6−ヘキサメチレンジイソシアネートアロファネートとしてHA100の代りにHA200(Basf社製)を用いたことを除いては製造例3と同様な方法により反応し、25℃で18、000cpsの粘度を有する低粘度の多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
【0032】
「製造例6」
希釈剤としてメチルイソブチルケトンの代わりにイソボニルアクリレートを全組成物基準で15重量%用いたことを除いては製造例5と同様な方法により反応し、25℃で10、000cpsの粘度を有する低粘度の多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを製造した。
【0033】
「製造例7」
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートアロファネートとしてHA100(Basf社製)の代りにHA300(Basf社製)を用いたことを除いては製造例3と同様な方法により反応し、25℃で13、000cpsの粘度を有する低粘度の多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
【0034】
「製造例8」
希釈剤を用いないことを除いては製造例7と同様な方法により反応し、25℃で45、000cpsの粘度を有する低粘度の多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
【0035】
「実施例1」「UV硬化用塗料組成物の製造」
前記製造例1で得られた低粘度の多官能ウレタンアクリレート30重量%、トリメチロールプロパントリアクリレート18重量%、ヘキサメチレンジオールジアクリレート10重量%、2−ヒドロキシプロピルアクリレート17.5重量%、及びイソボニルアクリレート11重量%を、イソブチルアルコール5重量%とジメチルケトン2重量%との混合物に攪拌しながら添加した後、これに光開始剤であるDAROCUR 1173(CIBA−GEIGY社製)6重量%及びレベリング剤であるBYK−333(BYK chemie社製)0.5重量%を添加して得られた混合物を20分間攪拌してUV硬化性ハイソリッド塗料組成物を得た(不揮発成分90重量%)。前記成分の重量%は最終組成物を基準とした値である。
【0036】
「実施例2」
前記製造例3で得られた低粘度の多官能ウレタンアクリレート30重量%、イソブチルアルコール6重量%、及びジメチルケトン2.5重量%を用いたことを除いては実施例1と同様な方法により反応し、UV硬化性ハイソリッド塗料組成物を得た(不揮発成分91.5重量%)。
【0037】
「実施例3」
前記製造例5で得られた低粘度の多官能ウレタンアクリレート30重量%を用いたことを除いては実施例2と同様な方法によりUV硬化性ハイソリッド塗料組成物を得た(不揮発成分91.5重量%)。
【0038】
「実施例4」
前記製造例7で得られた低粘度の多官能ウレタンアクリレート30重量%を用いたことを除いては実施例2と同様な方法によりUV硬化性ハイソリッド塗料組成物を得た(不揮発成分91.5重量%)。
【0039】
「比較例1」
従来のUV硬化性塗料組成物の組成の従って、60℃での粘度が2、000cpsであるウレタンアクリレートオリゴマー(EBECRYL1290、UCB社製、ベルギー)15重量%、60℃での粘度が2、000〜4、000cpsであるウレタンアクリレートオリゴマー(EBECRYL9260)11重量%、トリメチロールプロパントリアクリレート6重量%、メチレンジオールジアクリレート7重量%を、トルエン30重量%、メチルイソブチルケトン15重量%、酢酸エチル5重量%、及びエチルセロソルブ5重量%からなる混合物に攪拌しながら添加した。得られた混合物に光開始剤としてDAROCUR1173 5重量%及びレベリング剤としてBYK−333(BYK−Chemie社製)1重量%を添加して得られた混合物を30分間攪拌してUV硬化性塗料組成物を得た(不揮発成分、45重量%)。前記成分の重量%は最終組成物を基準とした値である。
【0040】
「実施例5〜8」「塗膜の製造」
前記実施例1〜4で得られたUV硬化性ハイソリッド塗料組成物をUVPプライマー(UV硬化性上塗り用)が塗装されたポリカーボネート(polycarbonate)基材上にスプレーコート法を用いて塗装した後、室温(25℃)で1〜2分間乾燥させることで微量の残存する有機溶剤を除去した。乾燥された塗装基材を溶融ランプ(Fusion Lamp)(フュージョンシステムズジャパン株式会社製)を用いてライン速度(line speed)10/min、光量300mJ/cmの硬化条件下で2回硬化して15〜17μm、20〜22μm、20〜25μm、25〜27μm、30〜33μm、35〜38μm及び40〜45μmの塗膜をそれぞれ製造した。
【0041】
「比較例2」
前記比較例1で得られたUV硬化性塗料組成物を用い、残存する有機溶剤を除去するために60℃で1〜2分間乾燥したことを除いては実施例5〜8と同様な方法によりコート及び硬化して塗膜を製造した。
【0042】
「試験例」「物性評価」
前記実施例5〜8及び比較例2で得られた20〜25μm塗膜の物理・化学的特性を、下記方法によって測定した。:
【0043】
(1)密着性:ASTM D3359−87による評価
塗膜を1mm間隔の格子状に切って100個の1m×1mの升目を形成した。形成された格子に接着性テストテープを強く貼り付けてから急激に180゜の角度ではがす動作を3回繰り返した後、格子の状態を確認し、その結果を次の基準に従って評価した。:
5B:端部及び格子内共に剥離なし。
4B:端部で弱く剥離(剥離面積が格子の5%未満)。
3B:端部に剥離及び破れが若干見える(剥離面積が格子の15%未満)。
2B:端部及び格子内に剥離及び破れがかなり見える(剥離面積が格子の35%未満)。
1B:リボン状の大きな剥離(剥離された面積が格子の35〜65%範囲)。
0B:弱い粘着力(剥離面積が格子の65%超過)。
【0044】
(2)鉛筆硬度:ASTM D3363−74による評価
塗膜試片を45゜の角度で一定の圧力下で多様な硬度の鉛筆で引っかき、これを5回繰り返した。塗膜層に1つでも傷又は破れが生じる場合、鉛筆の硬度数値を鉛筆硬度として示した。
【0045】
(3)光沢
塗膜試片の光沢度をBYK−GARDNER製の光沢計を用いて入射角と受光角がそれぞれ60゜にして測定し、得られた結果を基準面の光沢度(100)の百分率で表示した。
【0046】
(4)耐摩耗性
塗膜表面を500gの荷重をかけた消しゴムで40回/minの速度で摩擦させた後、素材の状態を肉眼で確認した。
【0047】
(5)耐薬品性
塗膜表面を99.3%のメタノールで浸した後、500gの荷重をかけた消しゴムで40回/minの速度で摩擦させた後、素材の状態を肉眼で確認した。
【0048】
(6)耐湿性
温度50℃、相対湿度95%の条件下に試験片を72時間露出させた後、外観変形及び密着性を試験した。
【0049】
(7)耐酸性
pH4.6である標準溶液に試験片を72時間処理した後、外観変形及び密着性を試験した。
【0050】
(8)UV試験(QUV)
試験片をUVテスター(QUV、Q−Pannel社製)に72時間放置した後、外観変形及び密着性を試験した。
【0051】
前記のように測定された塗膜の物性を表1に示した。
【0052】
【表1】


◎:非常に優秀、〇:優秀
【0053】
前記表1に示したように、本発明の組成物を用いて得た塗膜は従来の組成物に比べて密着性、鉛筆硬度、光沢、耐摩耗性、耐薬品性、耐湿性及び耐酸性に於いて優れた物性を示す。
【0054】
「試験例2」
前記実施例5〜8及び比較例2で得られた塗膜の密着性及び耐熱衝撃試験を測定してその結果を下記表2に示した。
【0055】
耐熱衝撃性測定方法は次のようである。

塗膜試片を85℃で2時間放置した後、発生する割れやクラックを肉眼で確認し、その結果を次の基準により評価した。
A:外観上、塗膜の割れやクラックなし。
B:外観上、約1〜2つのクラック発生。
C:外観上、3つ以上のクラック発生。
【0056】
【表2】

【0057】
前記表2に示したように、本発明によるUV硬化性ハイソリッド塗料組成物は多様な厚さで、特に約40〜45μm厚さの塗膜でも密着性及び耐熱衝撃性に優れていた。
【0058】
以上、本発明を実施例により説明したが、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で当業者には種々の変更実施が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の全重量基準で、(A)ウレタンアクリレートオリゴマー20〜60重量%、(B)UV硬化性モノマー20〜60重量%、(C)有機溶剤1〜10重量%、及び(D)光開始剤1〜10重量%を含むUV硬化性塗料組成物であって、該ウレタンアクリレートオリゴマーが、6〜9個のアクリレート官能基を有し、室温での粘度が500〜30、000cpsの範囲であるUV硬化性塗料組成物。
【請求項2】
前記ウレタンアクリレートオリゴマーが、3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を、1個以上のヒドロキシ基と3個以上のアクリル基を有するアクリレート化合物と、金属触媒及びラジカル重合抑制剤の存在下で反応させることによって製造されるものである請求項1に記載のUV硬化性塗料組成物。
【請求項3】
前記ポリイソシアネート化合物が、1、6−ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、1、6−ヘキサメチレンジイソシアネートビウレット及び1、6−ヘキサメチレンジイソシアネートアロファネートからなる群から選ばれるものである請求項2に記載のUV硬化性塗料組成物。
【請求項4】
前記アクリレート化合物が、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物、またはジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物である請求項2に記載のUV硬化性塗料組成物。
【請求項5】
前記アクリレート化合物が、ペンタエリスリトールトリアクリレート50〜60重量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40〜50重量%との混合物である請求項4に記載のUV硬化性塗料組成物。
【請求項6】
前記ウレタンアクリレートオリゴマー(A)が、30重量%以下の希釈剤を含んで成る請求項1に記載のUV硬化性塗料組成物。
【請求項7】
前記希釈剤が、有機溶剤、またはヒドロキシ基を有しない非反応性UV硬化性モノマーである請求項6に記載のUV硬化性塗料組成物。
【請求項8】
前記UV硬化性モノマー(B)が、ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート(PETA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ヘキサメチレンジアクリレート(HDDA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(2−HPA)、2−ヒドロキシブチルアクリレート(2−HBA)、イソボニルアクリレート(IBOA)、及びこれらの混合物からなる群から選ばれるものである請求項1に記載のUV硬化性塗料組成物。
【請求項9】
前記有機溶剤(C)が、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジメチルケトン、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ノルマルブチルアルコール、酢酸エチル、ノルマルブチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、及びこれらの混合物からなる群から選ばれるものである請求項1に記載のUV硬化性塗料組成物。
【請求項10】
基材の表面に請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物をスプレーコーティング、ディップコーティング、フローコーティングまたはスピンコーティングしてUV硬化性膜を形成し、前記UV硬化性膜を室温で乾燥し、及び前記乾燥された膜を紫外線照射によって硬化させることを含んで成る塗膜の製造方法。
【請求項11】
前記基材が、プラスチックである請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項10の方法によって製造された塗膜。
【請求項13】
請求項12の塗膜を含む製品。
【請求項14】
前記製品が、携帯電話、自動車または家電製品である請求項13に記載の製品。

【公表番号】特表2009−511703(P2009−511703A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535432(P2008−535432)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【国際出願番号】PCT/KR2006/000438
【国際公開番号】WO2007/043728
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(504432301)エスエスシーピー・カンパニー・リミテッド (8)
【Fターム(参考)】