説明

低起泡性シリコーン組成物

【課題】高い界面活性力を有し、かつ低起泡性であるシリコーン組成物を提供する。
【解決手段】(A)特定の構造を有するポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン:51〜99.9質量部、(B)特定の構造を有するポリオキシアルキレン/パーフルオロアルキル共変性オルガノポリシロキサン:0.1〜49質量部、及び(C)特定の構造を有するグリセリン変性オルガノポリシロキサン:0〜49質量部(但し、上記(A)成分と上記(B)成分と上記(C)成分の合計量は100質量部である)、を含有する低起泡性シリコーン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を有するオルガノポリシロキサンを含む低起泡性シリコーン組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
除草、害虫駆除、病害予防等の目的で農作物へ農薬を散布する際に、農作物への農薬の付着状態が不均一であると薬効が低下してしまう。そして、散布してからできるだけ短時間のうちに、かつ均一に農薬を農作物に付着させ、雨が降る前に薬効成分を葉等の内部へ浸透させることを目的として、農薬の水溶液、水性分散液等に界面活性剤を展着剤として添加して、農薬の水溶液、水性分散液等の表面張力を低下させる方法が一般に採用されている。
【0003】
前記界面活性剤としては、通常、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤が使用され、また、低毒性であり界面活性力が高いという特性からシリコーン系界面活性剤が使用されている。これらの中でも、トリシロキサン骨格の主鎖を有する特定構造のポリエーテル変性シリコーンが最も界面活性力が高く、既に農薬用展着剤として実用化されている(特許文献1)。更に、該ポリエーテル変性シリコーンはpHが酸性あるいは塩基性である条件では界面活性力が低下するという欠点があったが、この欠点はシロキサン鎖の構造を変更することで改良されている(特許文献2)。
【0004】
しかし、これらの展着剤を添加した農薬の水溶液、水性分散液等は表面張力が低下するため泡立ちやすくなる。そのため、農薬の水溶液、水性分散液等を調製する際には、更に、泡立ち防止の目的で消泡剤が添加されているが、これらの農薬用展着剤、特にポリエーテル変性シリコーンは界面活性力が高いため、消泡剤を添加しても泡立ちを完全に抑えることは困難であった。
【0005】
更に、十分な効果を発揮するまで消泡剤を多量に添加すると、展着剤や農薬自体の効果を阻害するおそれがあるため好ましくない。このため、界面活性力が高く泡立ちの少ない農薬用展着剤が求められていた。
【0006】
これらの問題の解決のため、グリセリン変性オルガノポリシロキサンを含有する低起泡性展着剤組成物が提案されている(特許文献3)。この組成物は、優れた抑泡性を発揮するが、既に発生している泡を消す能力である、破泡性が十分ではない欠点があった。
【0007】
また、シリコーン系界面活性剤はその高い界面活性力のため、各種洗浄剤としても使用されている。エマルジョン製造時に用いられる製造装置や製品タンクの洗浄がその一例である。このときにも上記と同様に泡立ちが多いことが問題になっている。
【0008】
【特許文献1】特公平6−55642号公報
【特許文献2】特開2000−327787号公報
【特許文献3】特開2005−336266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、高い界面活性力を有し、かつ低起泡性であるシリコーン組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を達成するため鋭意検討を行った結果、本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明は、
(A)下記一般式(1):
【0012】
【化1】


[式中、R1は独立に水酸基又は非置換若しくは置換の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、
2は下記一般式(2):
【0013】
【化2】


(式中、R4は独立に非置換又は置換の炭素原子数2〜8の2価炭化水素基であり、R5は独立に水素原子、非置換若しくは置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基又はアセチル基(-COCH3)であり、xは4〜15の整数、yは0〜10の整数であり、yが0ではないとき、式中の式:(C24O)で表される繰り返し単位と式:(C36O)で表される繰り返し単位との配列はランダム状又はブロック状である)
で表される有機基であり、
3は独立に水酸基、非置換若しくは置換の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基又は前記一般式(2)で表される有機基であり、
mは0〜10の整数、nは0〜10の整数であり、且つm+nの和は1〜20の整数であり、
但し、n=0であるとき、式中の2個のR3のうち少なくとも1個は前記一般式(2)で表される有機基である。]
で表されるポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン: 51〜99.9質量部、
(B)下記一般式(3):
【0014】
【化3】


[式中、R6は独立に水酸基又は非置換若しくは置換の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、
7は下記一般式(4):
【0015】
【化4】


(式中、R10は独立に非置換又は置換の炭素原子数2〜8の2価炭化水素基であり、R11は独立に水素原子、非置換若しくは置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基又はアセチル基(-COCH3)であり、zは0〜10の整数、wは4〜60の整数であり、zが0ではないとき、式中の式:(C24O)で表される繰り返し単位と式:(C36O)で表される繰り返し単位との配列はランダム状又はブロック状である)
で表される有機基であり、
8は下記一般式(5):
【0016】
【化5】


(式中、R12は独立に非置換又は置換の炭素原子数2〜8の2価炭化水素基であり、uは0〜13の整数である)
で表されるパーフルオロアルキル基含有有機基であり、
9は独立に水酸基、非置換若しくは置換の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基又は前記一般式(4)若しくは(5)で表される有機基であり、
oは0〜100の整数、pは0〜30の整数、qは1〜100の整数であり、且つo+p+qの和は5〜200の整数であり、
但し、p=0であるとき、式中の2個のR9のうち少なくとも1個は前記一般式(4)で表される有機基である。]
で表されるポリオキシアルキレン/パーフルオロアルキル共変性オルガノポリシロキサン: 0.1〜49質量部、及び
(C)下記一般式(6):
【0017】
【化6】


[式中、R13は独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、
14は下記一般式(7):
【0018】
【化7】


(式中、R16は独立に非置換又は置換の炭素原子数2〜8の2価炭化水素基である)
で表される有機基であり、
15は独立に非置換若しくは置換の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基又は前記一般式(7)で表される有機基であり、
rは0〜6の整数、sは0〜2の整数であり、
但し、s=0であるとき、式中の2個のR15のうち少なくとも1個は前記一般式(7)で表される有機基である。]
で表されるグリセリン変性オルガノポリシロキサン: 0〜49質量部
(但し、上記(A)成分と上記(B)成分と上記(C)成分の合計量は100質量部である)
を含有する低起泡性シリコーン組成物を提供する。
本発明は第二に、前記組成物からなる展着剤を提供する。
本発明は第三に、前記組成物からなる洗浄剤を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明のシリコーン組成物は、高い界面活性力を有し、かつ低起泡性であるので、展着剤、例えば、農薬用展着剤や、洗浄剤、例えば、エマルジョン製造時に用いられる製造装置や製品タンクのための洗浄剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明につき詳しく説明する。
【0021】
[(A)成分]
本発明における(A)成分のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンは、下記一般式(1):
【0022】
【化8】


(式中、R1、R2、R3、m及びnは上記と同じである)
で表される。
【0023】
上記R1としては、例えば、水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をシアノ基、アミノ基等で置換した基、例えば、シアノエチル基、3-アミノプロピル基、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピル基等が挙げられる。これらの中でも(A)成分の界面活性力及び入手が容易であること等からメチル基が好ましく、全R1の80モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0024】
上記R2は、下記一般式(2):
【0025】
【化9】


(式中、R4、R5、x、y、及び式:(C24O)で表される繰り返し単位と式:(C36O)で表される繰り返し単位との配列は上記と同じである)
で表される有機基である。
【0026】
上記R4としては、例えば、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基)等が挙げられる。
【0027】
上記R5としては、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;アセチル基が挙げられる。
【0028】
上記xが4未満であると(A)成分の水溶性が低下することがあり、15を超えると(A)成分の界面活性力が低下することがある。更に、x/(x+y)のモル比が0.4以上であることが好ましい。前記モル比が0.4未満であると(A)成分の水溶性が乏しくなることがある。
【0029】
よって、上記R2としては、例えば、
−CO(CO)H、
−CO(CO)10H、
−CO(CO)CH
−CO(CO)CH
−CO(CO)10(CO)CH
−CO(CO)10(CO)
−CO(CO)−CO−CH
−CO(CO)10(CO)−CO−CH
等が挙げられる。
【0030】
また、上記R3としては、上記R1について例示した基及び上記R2について例示した基が挙げられ、n=0であるとき、上記一般式(1)中の2個のR3のうち少なくとも1個は上記R2について例示した基である。
【0031】
上記mが10を超えると、(A)成分は親水性が低くなりすぎるため界面活性力が低下することがある。上記nが10を超えると、(A)成分は分子量が大きくなりすぎるため界面活性力が低下することがある。
【0032】
(A)成分の具体例としては、次のものが挙げられる。
【0033】
【化10】

【0034】
【化11】

【0035】
【化12】

【0036】
【化13】

【0037】
【化14】

【0038】
【化15】

【0039】
(A)成分のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0040】
[(B)成分]
本発明における(B)成分のポリオキシアルキレン/パーフルオロアルキル共変性オルガノポリシロキサンは、下記一般式(3):
【0041】
【化16】


(式中、R6、R7、R8、R9、o、p及びqは上記と同じである)
で表される。
【0042】
上記R6としては、上記一般式(1)の上記R1について例示したものと同じ基が挙げられる。また、上記R1と同じく、全R6の80モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0043】
上記R7は下記一般式(4):
【0044】
【化17】


(式中、R10、R11、z、w、及び式:(C24O)で表される繰り返し単位と式:(C36O)で表される繰り返し単位との配列は上記と同じである)
で表される有機基であり、R10としては、上記一般式(2)の上記R4について例示したものと同じ基が挙げられ、R11としては、上記一般式(2)の上記R5について例示したものと同じ基が挙げられる。
【0045】
上記wが4未満であると(B)成分は(A)成分との相溶性が低下することがあり、60を超えると(B)成分の界面活性力が低下することがある。更に、z/(z+w)のモル比が0.4以下であることが望ましい。前記モル比が0.4を超えると(B)成分の水分散性が上がり、消泡性が悪くなることがある。
【0046】
よって、上記R7としては、例えば、
−CO(CO)25H、
−CO(CO)(CO)15H、
−CO(CO)(CO)24CH
−CO(CO)(CO)15
−CO(CO)
−CO(CO)(CO)15−CO−CH
−CO(CO)25−CO−CH
等が挙げられる。
【0047】
上記R8は下記一般式(5):
【0048】
【化18】


(式中、R12及びuは上記と同じである)
で表されるパーフルオロアルキル基含有有機基であり、R12としては、上記一般式(2)の上記R4について例示したものと同じ基が挙げられる。
【0049】
上記uが13を超えると、(B)成分は(A)成分との相溶性が悪くなることがある。
【0050】
よって、上記R8としては、例えば、
−CCF
−C
−C13
−C17
−C1327
等が挙げられる。
【0051】
また、上記R9としては、上記R6について例示した基、上記R7について例示した基及び上記R8について例示した基が挙げられ、p=0であるとき、上記一般式(3)中の2個のR9のうち少なくとも1個は上記R7について例示した基である。
【0052】
上記oが100を超えると、(B)成分は、親水性が低くなりすぎるため界面活性力が低下することがあり、および/または、(A)成分との相溶性が悪くなることがある。上記pが30を超えると、(B)成分は、粘度が高くなるためハンドリング性が悪くなることがあり、および/又は、親水性が高くなりすぎるため消泡性が悪くなることがある。上記qが100を超えると、(B)成分は、親水性が低くなりすぎるため界面活性力が低下することがあり、および/または、(A)成分との相溶性が悪くなることがある。
【0053】
(B)成分の具体例としては、次のものが挙げられる。
【0054】
【化19】

【0055】
【化20】

【0056】
【化21】

【0057】
【化22】

【0058】
【化23】

【0059】
【化24】

【0060】
(B)成分のポリオキシアルキレン/パーフルオロアルキル共変性オルガノポリシロキサンは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0061】
[(C)成分]
本発明における(C)成分のグリセリン変性オルガノポリシロキサンは、下記一般式(6):
【0062】
【化25】


(式中、R13、R14、R15、r及びsは上記と同じである)
で表される。
【0063】
上記R13としては、上記一般式(1)の上記R1について例示したものと同じ基(ただし、水酸基を除く。)が挙げられる。また、上記R1と同じく、全R13の80モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0064】
上記R14は下記一般式(7):
【0065】
【化26】


(式中、R16は上記と同じである)
で表される有機基であり、R16としては、上記一般式(2)の上記R4について例示したものと同じ基が挙げられる。
【0066】
よって、上記R14としては、例えば、
−COCHCH(OH)CHOH、
−COCHCH(OH)CHOH、
−COCHCH(OH)CHOH
等が挙げられる。
【0067】
また、上記R15としては、上記R13について例示した基及び上記R14について例示した基が挙げられ、s=0であるとき、上記一般式(6)中の2個のR15のうち少なくとも1個は上記R14について例示した基である。
【0068】
上記rが6を超えると(C)成分の親水性が低下することがある。上記sが2を超えると(C)成分の界面活性力が低下することがある。
【0069】
(C)成分の具体例としては、次のものが挙げられる。
【0070】
【化27】

【0071】
【化28】

【0072】
【化29】

【0073】
【化30】

【0074】
【化31】

【0075】
【化32】

【0076】
【化33】

【0077】
【化34】

【0078】
(C)成分のグリセリン変性オルガノポリシロキサンは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0079】
[(A)、(B)、(C)成分の調製]
上記(A)成分のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、ポリオキシアルキレン構造からなる主鎖を有し、分子鎖末端にアリル基等の付加反応性であるアルケニル基を有する化合物とを、白金又はロジウム等の白金族金属系ヒドロシリル化反応触媒の存在下、付加反応させることによって得ることができる。
【0080】
上記(B)成分のポリオキシアルキレン/パーフルオロアルキル共変性オルガノポリシロキサンは次のようにして得ることができる。まず、パーフルオロアルキル基を含有しない環状ジオルガノシロキサンと、パーフルオロアルキル基を含有する環状ジオルガノシロキサンと、環状オルガノハイドロジェンシロキサンと、末端停止剤として、式:X−Si(R6−O1/2(式中、R6は上記と同じであり、Xは独立に水酸基、非置換若しくは置換の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基、水素原子、又は前記一般式(5)で表される有機基を表す。)で表される単位で分子鎖両末端が封鎖されたシロキサンオリゴマーとを、所望の割合で混合し、酸触媒の存在下で平衡化反応に供して、パーフルオロアルキル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサンを得る。次に、上記(A)と同様の方法で、該パーフルオロアルキル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、ポリオキシアルキレンモノアリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル類とを付加反応させることによって、上記(B)成分のポリオキシアルキレン/パーフルオロアルキル共変性オルガノポリシロキサンを得ることができる。
【0081】
上記(C)成分のグリセリン変性オルガノポリシロキサンについても(A)成分と同様にして、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとグリセリンモノアリルエーテル等のグリセリンアルケニルエーテル類とを付加反応させることによって得ることができる。
【0082】
上記ヒドロシリル化反応触媒としては、白金触媒が好ましく、例えば、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸−ビニルシロキサン錯体等が挙げられる。また、助触媒として酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等を併用してもよい。
【0083】
なお、ヒドロシリル化反応触媒の使用量は有効量であればよく特に制限されないが、白金、ロジウム等の白金族金属量として、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとアルケニル基含有化合物の合計量に対し、質量基準で、通常、50ppm以下であることが好ましく、特に20ppm以下であることが好ましい。
【0084】
上記付加反応は、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよい。有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;n-ペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。付加反応条件は特に限定されるものではないが、還流下で1〜10時間程度反応させることが好ましい。
【0085】
上記酸触媒としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。
【0086】
[本発明組成物の調製]
本発明組成物は、上記(A)成分51〜99.9質量部、好ましくは70〜99質量部と、上記(B)成分0.1〜49質量部、好ましくは1〜30質量部と、上記(C)成分0〜49質量部、好ましくは0〜30質量部(但し、上記(A)成分、上記(B)成分と上記(C)成分の合計量は100質量部である)とを含有するものである。
【0087】
上記(A)成分の量が51質量部未満であると、得られる組成物は界面活性力が低下することがあり、99.9質量部を超えると、得られる組成物は泡立ちが多くなることがある。上記(B)成分の量が0.1質量部未満であると、得られる組成物は泡立ちが多くなることがあり、49質量部を超えると、得られる組成物は界面活性力が低下することがある。上記(C)成分の量が49質量部を超えると、得られる組成物は界面活性力が低下することがある。
【実施例】
【0088】
次に本発明を、実施例及び比較例を示して更に具体的に説明するが、下記実施例は本発明を何ら制限するものではない。なお、下記において「粘度」は何れも、動粘度であり、JIS K 2283に準拠した25℃での測定値である。
【0089】
・(A)成分として、下記のものを使用した。
【0090】
【化35】


(粘度:50.9mm/s、微黄色透明液体)
これを、「A1」とする。
【0091】
【化36】


(粘度:19.6mm/s、微黄色透明液体)
これを、「A2」とする。
【0092】
【化37】


(粘度:38.6mm/s、微黄色透明液体)
これを、「A3」とする。
【0093】
・(B)成分として、下記のものを使用した。
【0094】
【化38】


(粘度:17,500mm/s、微黄色透明液体)
これを、「B1」とする。
【0095】
【化39】


(粘度:66,000mPa・s、微黄色透明液体)
これを、「B2」とする。
【0096】
【化40】


(粘度:3,360mm/s、微黄色透明液体)
これを、「B3」とする。
【0097】
・(C)成分として、下記のものを使用した。
【0098】
【化41】


(粘度:102mm/s、微黄色透明液体)
これを、「C1」とする。
【0099】
【化42】


(粘度:58.6mm/s、微黄色透明液体)
これを、「C2」とする。
【0100】
【化43】


(粘度:71.4mm/s、微黄色透明液体)
これを、「C3」とする。
【0101】
[実施例1〜5]
表1に記載の量比で各成分を混合して組成物を調製した。
【0102】
【表1】

【0103】
[比較例1〜5]
表2に記載の量比で各成分を混合して組成物を調製した。
なお、比較例1は、(B)成分及び(C)成分を使用せず、(A)成分のみを使用した例である。
比較例2は、(B)成分及び(C)成分を使用せず、(A)成分および消泡剤(1)としてポリアルキレングリコール系消泡剤:ディスホームNKL−5450(商品名、日本油脂社製)を用いた例である。
比較例3は、(B)成分及び(C)成分を使用せず、(A)成分および消泡剤(2)としてシリコーン系消泡剤:FSアンチフォーム001(商品名、ダウコーニング社製)を用いた例である。
【0104】
【表2】

【0105】
<性能評価>
上記各実施例及び比較例の組成物の外観及び性能を評価した。結果を表3に示す。
【0106】
−抑泡性−
各組成物の1質量%水性分散液をガラスびん(内径:4.5cm、高さ:8.0cm)に入れ、該ガラスびんを1分間に250回振とうした。振とう停止から30秒後の泡の高さ(mm)を測定した。
【0107】
−破泡性−
(A)成分のみの1質量%水性分散液をガラスびん(内径:4.5cm、高さ:8.0cm)に入れ、該ガラスびんを1分間に250回振とうして十分泡立てた。次に、該水性分散液に(B)成分及び/又は(C)成分を添加して、表1または表2に記載の量比で各成分を含む水性分散液を調製し、該ガラスびんを1分間に250回振とうした。振とう停止から60秒後の泡の高さ(mm)を測定した。
【0108】
−表面張力−
各組成物の0.1質量%水性分散液について、ウィルヘルミー法に準じて25℃における表面張力(mN/m)を測定した。
【0109】
【表3】

【0110】
[評価]
表3の結果から明らかなように、本発明の組成物は泡立ちが少なく、かつ表面張力の値が低い(界面活性力が高い)ものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1):
【化1】


[式中、R1は独立に水酸基又は非置換若しくは置換の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、
2は下記一般式(2):
【化2】


(式中、R4は独立に非置換又は置換の炭素原子数2〜8の2価炭化水素基であり、R5は独立に水素原子、非置換若しくは置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基又はアセチル基(-COCH3)であり、xは4〜15の整数、yは0〜10の整数であり、yが0ではないとき、式中の式:(C24O)で表される繰り返し単位と式:(C36O)で表される繰り返し単位との配列はランダム状又はブロック状である)
で表される有機基であり、
3は独立に水酸基、非置換若しくは置換の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基又は前記一般式(2)で表される有機基であり、
mは0〜10の整数、nは0〜10の整数であり、且つm+nの和は1〜20の整数であり、
但し、n=0であるとき、式中の2個のR3のうち少なくとも1個は前記一般式(2)で表される有機基である。]
で表されるポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン: 51〜99.9質量部、
(B)下記一般式(3):
【化3】


[式中、R6は独立に水酸基又は非置換若しくは置換の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、
7は下記一般式(4):
【化4】


(式中、R10は独立に非置換又は置換の炭素原子数2〜8の2価炭化水素基であり、R11は独立に水素原子、非置換若しくは置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基又はアセチル基(-COCH3)であり、zは0〜10の整数、wは4〜60の整数であり、zが0ではないとき、式中の式:(C24O)で表される繰り返し単位と式:(C36O)で表される繰り返し単位との配列はランダム状又はブロック状である)
で表される有機基であり、
8は下記一般式(5):
【化5】


(式中、R12は独立に非置換又は置換の炭素原子数2〜8の2価炭化水素基であり、uは0〜13の整数である)
で表されるパーフルオロアルキル基含有有機基であり、
9は独立に水酸基、非置換若しくは置換の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基又は前記一般式(4)若しくは(5)で表される有機基であり、
oは0〜100の整数、pは0〜30の整数、qは1〜100の整数であり、且つo+p+qの和は5〜200の整数であり、
但し、p=0であるとき、式中の2個のR9のうち少なくとも1個は前記一般式(4)で表される有機基である。]
で表されるポリオキシアルキレン/パーフルオロアルキル共変性オルガノポリシロキサン: 0.1〜49質量部、及び
(C)下記一般式(6):
【化6】


[式中、R13は独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、
14は下記一般式(7):
【化7】


(式中、R16は独立に非置換又は置換の炭素原子数2〜8の2価炭化水素基である)
で表される有機基であり、
15は独立に非置換若しくは置換の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基又は前記一般式(7)で表される有機基であり、
rは0〜6の整数、sは0〜2の整数であり、
但し、s=0であるとき、式中の2個のR15のうち少なくとも1個は前記一般式(7)で表される有機基である。]
で表されるグリセリン変性オルガノポリシロキサン: 0〜49質量部
(但し、上記(A)成分と上記(B)成分と上記(C)成分の合計量は100質量部である)
を含有する低起泡性シリコーン組成物。
【請求項2】
請求項1の組成物からなる展着剤。
【請求項3】
請求項1の組成物からなる洗浄剤。

【公開番号】特開2008−169176(P2008−169176A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5567(P2007−5567)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】