説明

住宅の販売支援システム

【課題】好みに応じた新たな間取り図を簡単に作成することのできる住宅の販売支援システムを提供する。
【解決手段】端末3の表示画面上で住宅の間取り図を仮想構築する住宅の販売支援システム1であって、住宅の異なる複数の基本間取り図を記憶したサーバ4と、このサーバ4に記憶された基本間取り図のうち所望のものを選択して前記表示画面上に表示させる選択手段と、この表示画面上に表示された基本間取り図内に、新たな間取りの書き込みや前記基本間取り図の一部の変更を行って間取り図の仮想構築を行う書込変更手段とを備え、前記基本間取り図の一部の所定の間取りの変更を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示画面上で住宅の間取り図の仮想構築を行う住宅の販売支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画面上で住宅の間取り図の仮想構築を行う仮想構築システムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる仮想構築システムは、居間やキッチンや各居室などを構成する空間を含む複数のメインモジュールを記憶したメインメインモジュールデータベースと、廊下やトイレや風呂などであるサブモジュールを記憶したサブモジュールデータベースと、バルコニーやサンルームなどであるトッピングモジュールを記憶したトッピングモジュールデータベース等とを備えている。そして、各データベースから所望の居間やキッチンや居室、廊下やトイレや風呂、バルコニーやサンルーム等を選択して画面上に住宅を仮想構築していくものである。
【特許文献1】特開2001−282880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような仮想構築システムにあっては、操作者がデータベースに記憶されているものの中から選択していくだけであり、好みに応じた間取りなどを新たに作成することができないという問題があった。
【0005】
この発明の目的は、好みに応じた新たな間取り図を簡単に作成することのできる住宅の販売支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、表示画面上で住宅の間取り図を仮想構築する住宅の販売支援システムであって、
住宅の異なる複数の基本間取り図を記憶した間取図記憶手段と、
この間取図記憶手段に記憶された基本間取り図のうち所望のものを選択して前記表示画面上に表示させる選択手段と、
この表示画面上に表示された基本間取り図内に、新たな間取りの書き込みや前記基本間取り図の一部の変更を行って間取り図の仮想構築を行う書込手段とを備え、
前記基本間取り図の一部の所定の間取りの変更を禁止することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、前記所定の間取りは、玄関と階段と水回り設備のうち少なくともいずれか1つであることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、表示画面上で住宅の間取り図を仮想構築する住宅の販売支援システムであって、
住宅の異なる複数の基本間取り図を記憶した間取図記憶手段と、
この間取図記憶手段に記憶された基本間取り図のうち所望のものを選択して前記表示画面上に表示させる選択手段と、
この表示画面上に表示された基本間取り図内に、新たな間取りの書き込みや前記基本間取り図の一部の変更を行って間取り図の仮想構築を行う書込手段と、
住宅用のパーツを記憶したパーツ記憶手段とを備え、
このパーツ記憶手段に記憶されたパーツの一覧を示す表が前記表示画面上に表示され、
前記選択手段によりその表からパーツを選択すると、そのパーツを示す立面図が前記表示画面上に表示され、
そのパーツを配置する位置を前記基本間取り図上に指定すると、その立面図のパーツが平面図に変換されて前記指定位置に表示されることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、前記パーツが窓であり、この窓を配置する壁の部位を指定すると、この指定された壁の部位の部分が窓を示す平面図となることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、前記画面上に構築された住宅の間取り図を3次元画像として表示するとともに、その3次元画像の住宅内外でウォークスルーが行えることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、前記表示画面上での住宅の間取り図の仮想構築をインターネットを介して行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、好みに応じた新たな間取りなどを簡単に作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明に係る住宅の販売支援システムの実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、住宅の販売支援システム1の構成を示したブロック図である。この住宅の販売支援システム1は、インターネット2に接続された複数の端末3と、インターネット2に接続されたサーバ4等から構成されている。
【0015】
端末3は、例えば各家庭や住宅販売の支店などに置かれたパーソナルコンピュータ(パソコン)であり、入力手段(選択手段:書込手段)としてのキーボードやマウス(図示せず)と、間取り図などを表示する例えば液晶などからなる表示装置(図示せず)等とを備えている。
【0016】
サーバ4は、図示しない制御手段と通信手段と記憶手段等とを備えており、制御手段はデータの転送や各種の演算処理やデータの一時的な格納などを行う。
【0017】
通信手段は、インターネット2を介して各端末3とサーバ4との間のデータの送受信を行う。
【0018】
記憶手段は、各住宅の種類に応じた間取り図や、キッチン,玄関,階段,トイレ,洗面所や居室空間などの基本空間から構成された複数の基本間取り図を記憶した第1データベース(間取図記憶手段)と、ドア,引戸,窓等の建具の平面図のデータやその建具の外観データを記憶した第2データベース(パーツ記憶手段)と、テーブル,椅子,応接セット等の家具の平面図のデータやその家具の外観データを記憶した第3データベース(パーツ記憶手段:家具類記憶手段)等とを有している。
【0019】
また、第1データベースには、各間取り図の建物の内部を示す3次元空間データやその間取り図の建物の外観を示す外観データなどが記憶されている。
[動 作]
次に、上記のように構成される住宅の販売支援システム1の動作について説明する。
【0020】
先ず、パソコン3を立ち上げ、インターネットに接続して所定の住宅販売用のホームページを選択すると、パソコン3の表示装置5には図2に示す表示画面G1が表示される。
【0021】
この表示画面G1には、初めてプランを作成する場合に選択する選択画像G1aと、前回にプランを作成してそのプランを登録した場合に選択する選択画像G1bとが表示される。
【0022】
選択画像G1aをマウス(図示せず)などでクリックして選択すると、図3に示す表示画面G2が表示装置5に表示される。
【0023】
表示画面G2には、建築面積を選択する選択画像G2aと、間取り(部屋数)を選択する選択画像G2bと、道路方向を選択する選択画像G2cと、プランテーマを選択する選択画像G2d等とが表示される。そして、各選択画像G2a〜G2dから所望のものを選択して画像G2eをクリックすると、各選択の内容に応じた例えば間取り図M1が図4に示すように表示装置5に表示される。
【0024】
表示装置5には、この間取り図M1の他に、各階を平面図で見る場合にクリックする選択画像G3aと、間取り図M1の建物内の内部を3次元で見る場合にクリックする選択画像G3bと、図3に示す前画面に戻る場合にクリックする選択画像G3cと、作成した間取り図を保存する場合にクリックする選択画像G3dと、その間取り図M1をカスタマイズする場合にクリックする選択画像G3e等とが表示される。
【0025】
例えば、選択画像G3eをマウスでクリックすると、図5に示すように、玄関D2と階段D3とキッチンD1,トイレD4,洗面所D5,浴室D6等の水回り設備と居室空間D7などの基本空間のみからなる基本間取り図M2が表示装置5に表示される。
【0026】
この基本間取り図M2では、玄関D2と階段D3とキッチンD1,トイレD4,洗面所D5,浴室D6等の水回り設備と居室空間D7などは配置の変更や広さなどの変更はできないようになっている。すなわち、その変更は禁止されている。
【0027】
また、表示装置5には、基本間取り図M2の他に、壁や建具や収納などを選択する選択画像G4aと、可動間仕切壁や可動ドアや可動収納等である可動パーツを選択する選択画像G4bと、畳やタイルカーペットやタイル等である床材を選択する選択画像G4cとが表示される。
【0028】
次に、この基本間取り図M2からカスタマイズした間取り図の作成方法の一例を説明する。
【0029】
先ず最初に、例えば、基本間取り図M2の壁P1,P2に窓や引戸を設ける場合について説明する。
【0030】
マウスによって選択画像G4aのマド選択画像G4a1の位置にカーソルKを移動してクリックし、そしてクリックしたままカーソルKをマド選択画像G4a1から外れた位置へ移動させると、カーソルKとともに窓の立面図(外観図)R1が表示される。この立面図R1により窓の形状が分かることになり、確認がし易くなる。
【0031】
そして、カーソルKを移動させていくと、このカーソルKの移動とともに立面図R1も鎖線で示すように移動していく。窓を設ける壁P1の所定の部位までカーソルKが移動したらクリックを解除する。このクリックの解除により、図6に示すように壁P1に平面図で示す窓W1が書き込まれる。壁P2や他の壁にも同様にして窓の平面図を書き込むことができる。
【0032】
同様にして、選択画像G4aの引戸選択画像G4a2をクリックし、カーソルKを壁P2の所定の部位へ移動させて平面図の引戸W2をその壁P2に書き込む。この場合も、上記と同様にして引戸の立面図(図示せず)が表示される。
【0033】
また、カーソルKを図6に示すように壁P1の窓W1の位置に移動させて、マウスをクリックしたままカーソルKを上下(図6において)に移動させると、窓W1が壁P1に沿ってカーソルKとともに移動し、クリックを解除すればその位置に窓W1が書き込まれることになる。他の窓についても同様に行うことができ、引戸W2も同様に行うことができる。また、カーソルKを図6に示すように壁P1の窓W1の位置に移動させて、このカーソルKを壁P1から外れた位置へ移動させると、窓W1の立面図R1が表示され、窓W1の形状が分かるようになっている。この立面図R1の表示も他の窓でも同様に行うことができ、引戸W2についても同様に行うことができるようになっている。
【0034】
基本間取り図M2の居室空間D7に所望の間仕切壁を設ける場合には、選択画像G4aの間仕切壁選択画像G4a3をクリックして選択する。そして、間仕切壁を設ける位置にカーソルKを移動させてその位置をクリックして指定する。例えば、壁P2の中央部を指定する。
【0035】
クリックしたままカーソルKを上(図7において)に移動させていくと、そのカーソルKの移動方向に、図7に示すように平面図で示す間仕切壁E1が所定の長さのピッチで延びて書き込まれていく。所望の長さまで書き込まれたらクリックを解除する。
【0036】
居室空間D7に所望の可動間仕切壁を設ける場合、選択画像G4bの間仕切壁選択画像G4b1をクリックし、上記と同様にして行えば図8に示すように平面図で示す可動間仕切壁E2が書き込まれていく。この場合も、カーソルKの移動方向に沿って可動間仕切壁E2が所定の長さのピッチで延びて書き込まれていく。
【0037】
居室空間D7の間仕切壁E1と可動間仕切壁E2とで囲まれる居室D7aに畳みを敷く場合には、選択画像G4cの畳選択画像G4c1をクリックして選択し、居室D7aをカーソルKで指定すれば、図9に示すように居室D7aに平面図で示す畳T1が配置される。
【0038】
居室空間D7の間仕切壁E1で区画された左側(図9において)の居室空間であるリビングL1に応接セットなどの家具を配置する場合には、家具配置の項目に表示されたマークS1やS2をクリックする。このクリックにより、家具の品名を表示した表(図示せず)が表示され、この表の中から所望の家具をクリックして選択し、その家具の配置位置であるリビングL1をカーソルK(図8参照)で指定すれば、選択した家具が図10に示すように平面図として表示されて配置される。なお、家具の向きや配置位置は任意に変更できるようになっている。
【0039】
表の中から所望の家具をクリックして選択した場合、上記と同様に、クリックしたままその表から外れた位置へカーソルKを移動させると、選択した家具の立面図(外観図)が表示されたり、その家具の平面図をクリックしてその位置からカーソルKをずらせると、その家具の立面図が表示されるようにしてもよい。このようにすることにより、その家具の形状などがわかり、確認がし易いものとなる。
【0040】
また、居室空間D7の可動間仕切壁E2とキッチンD1との間の居室空間であるダイニングL2にテーブルや椅子などを配置する場合、上記と同様にして行えば、図10に示すようにテーブルや椅子などが平面図として表示されて配置される。これにより、基本間取り図M2から所望の間取り図M3が完成することになる。
【0041】
その間取り図M3の住宅内外でウォークスルーする場合には、表示装置5の画面の右上部に表示されている「3Dでチェック」をクリックすると、図11に示すように間取り図M3の住宅内が3次元カラー画像G5として表示される。この表示は、例えば人間の目の高さを視点にして住宅内を見た場合の3次元空間像である。
【0042】
マウスを操作することにより、住宅内を自由に移動してその移動した位置から見た住宅内を3次元カラー画像として見ることができるようになっている。また、建物の外観も様々な方向から3次元カラー画像として見ることもできるようになっている。このウォークスルーにより、イメージ通りのものか否かを表示装置5の画面上で容易に確認することができることになる。
【0043】
この間取り図M3を保存する場合には、表示装置5の画面の右上部に表示されている「保存する」をクリックする。このクリックにより、間取り図M3がインターネット2を介してサーバ4の図示しないメモリに記憶される。
【0044】
次回、図2に示すように表示装置5に表示画面G2を表示したとき、選択画像G1bをクリックすれば、表示装置5に間取り図M3(図10参照)が表示され、その間取り図M3の一部を修正する場合に、最初から作成する必要がないので使用勝手のよいものとなる。
【0045】
ところで、この実施例では、基本間取り図M2にキッチンD1,玄関D2,階段D3,トイレD4,洗面所D5,浴室D6や居室空間D7などが既に記載されているので、専門的な知識を必要とせずに好みの間取り図の作成が容易に行えることになる。また、玄関D2と階段D3とキッチンD1,トイレD4,洗面所D5,浴室D6等の水回り設備と居室空間D7などの配置の変更や広さなどは変更できないようになっているので、既存のユニットでカスタマイズされた間取り図M3の住宅を提供することができることになる。
【0046】
また、家庭に置いてあるパソコンの表示装置5の画面上で間取り図を作成することができるので、住宅の販売支援システムとして非常に有効なものとなる。
【0047】
上記実施例では、基本間取り図M2の玄関D2と階段D3とキッチンD1,トイレD4,洗面所D5,浴室D6等の水回り設備や居室空間D7などの配置の変更や広さなどは変更できないようになっているが、少なくとも、水回り設備と玄関D2と階段D3等のうち少なくとも1つの配置の変更ができないようになっていれば、既存のユニットでカスタマイズされた住宅を提供することが可能である。
【0048】
また、上記実施例では、インターネット2を介して間取り図の作成を行うようにしているが、必ずしもインターネット2を介する必要はなく、例えば各営業所の支店や展示所に住宅の販売支援システムを設けて、各支店や展示所のみで行えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明に係る住宅の販売支援システムの構成を示したブロック図である。
【図2】パソコンの画面に表示される表示画面の一例を示した説明図である。
【図3】画面に表示される選択画面の一例を示した説明図である。
【図4】画面に表示された間取り図などを示した説明図である。
【図5】画面に表示された基本間取り図などを示した説明図である。
【図6】基本間取り図の壁に窓を設けた一例を示した説明図である。
【図7】図6に示す基本間取り図に間仕切壁を設けた一例を示した説明図である。
【図8】図7に示す基本間取り図に可動間仕切壁を設けた一例を示した説明図である。
【図9】図8に示す基本間取り図の居室に畳みを敷いた一例を示した説明図である。
【図10】完成した間取り図の一例を示した説明図である。
【図11】図10に示す間取り図の住宅内を示した3次元空間像である。
【符号の説明】
【0050】
1 住宅の販売支援システム
2 インターネット
3 端末(パーソナルコンピュータ)
5 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面上で住宅の間取り図を仮想構築する住宅の販売支援システムであって、
住宅の異なる複数の基本間取り図を記憶した間取図記憶手段と、
この間取図記憶手段に記憶された基本間取り図のうち所望のものを選択して前記表示画面上に表示させる選択手段と、
この表示画面上に表示された基本間取り図内に、新たな間取りの書き込みや前記基本間取り図の一部の変更を行って間取り図の仮想構築を行う書込手段とを備え、
前記基本間取り図の一部の所定の間取りの変更を禁止することを特徴とする住宅の販売支援システム。
【請求項2】
前記所定の間取りは、玄関と階段と水回り設備のうち少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の住宅の販売支援システム。
【請求項3】
表示画面上で住宅の間取り図を仮想構築する住宅の販売支援システムであって、
住宅の異なる複数の基本間取り図を記憶した間取図記憶手段と、
この間取図記憶手段に記憶された基本間取り図のうち所望のものを選択して前記表示画面上に表示させる選択手段と、
この表示画面上に表示された基本間取り図内に、新たな間取りの書き込みや前記基本間取り図の一部の変更を行って間取り図の仮想構築を行う書込手段と、
住宅用のパーツを記憶したパーツ記憶手段とを備え、
このパーツ記憶手段に記憶されたパーツの一覧を示す表が前記表示画面上に表示され、
前記選択手段によりその表からパーツを選択すると、そのパーツを示す立面図が前記表示画面上に表示され、
そのパーツを配置する位置を前記基本間取り図上に指定すると、その立面図のパーツが平面図に変換されて前記指定位置に表示されることを特徴とする住宅の販売支援システム。
【請求項4】
前記パーツが窓であり、この窓を配置する壁の部位を指定すると、この指定された壁の部位の部分が窓を示す平面図となることを特徴とする請求項3に記載の住宅の販売支援システム。
【請求項5】
前記画面上に構築された住宅の間取り図を3次元画像として表示するとともに、その3次元画像の住宅内外でウォークスルーが行えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の住宅の販売支援システム。
【請求項6】
前記表示画面上での住宅の間取り図の仮想構築をインターネットを介して行うことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の住宅の販売支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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