説明

住宅及び家具用材

【課題】基材材料にゴムノキやポプラ等の早生樹を使用し、基材の持つ質感を生かすとともに、木目模様も鮮明で高級感に富む住宅及び家具用材を提供すること。
【解決手段】基材10にゴムノキ、ポプラ等の早生樹を用い、インク材料として少なくともイエロー、シアン、マゼンダ、ブラックの4色の紫外線硬化型インクジェットプリント用インク組成物12をインクジェットプリンター20で基材表面に噴射し天然木目模様10aを印刷形成する。紫外線硬化型のインク組成物は、基材がインク非吸収性であっても印刷可能であり、インク組成物は印刷対象面に散布されるため、基材表面が凹凸10b若しくは湾曲表面10cであっても、インク組成物は凹凸内部まで浸透し、湾曲表面に均一に付着するので、鮮明な天然木目模様が形成される。さらには、基材表面のうちインク組成物によって木目模様が形成される部位以外には基材の地模様が表れるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドア部材、ドア枠部材、造作部材等の住宅用材及び家具用材に関し、より詳しくはゴムノキやポプラ等の早生樹を材料に用いた用材に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、森林資源を節約するうえで、ゴムノキやポプラ等の早生樹が着目されているが、早生樹は木目模様が不鮮明なため、高級感に乏しく、住宅用材や家具用材に用いるには適していない。
不鮮明な木目模様の欠点を解消する手段として、例えば木質基材の表面に木目模様を印刷したプラスチックフィルムや紙を接着剤で貼着する方法が知られている。
【特許文献1】引用なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
基材表面に木目模様を印刷したプラスチックフィルムを貼着する場合、基材表面に多数存在する凹部に空気が閉じこめられてしまうため、その部分で光が反射して輝点が生じ、質感が不自然になる。
また、木目模様を印刷した紙は、紙の全面にベタ印刷を施し、その上から木目模様を印刷するため、用材表面がベタ印刷のインクで覆い隠されてしまう。そのため、用材自体の質感が全く表れず、用材の持つ質感を生かすことができない。
【0004】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであって、基材材料にゴムノキやポプラ等の早生樹を使用し、基材の持つ質感を生かすとともに、木目模様も鮮明で高級感に富む住宅及び家具用材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本発明は、基材にゴムノキ、ポプラ等の早生樹を用いた住宅及び家具用材であって、インク材料として少なくともイエロー、シアン、マゼンダ、ブラックの4色の紫外線硬化型インクジェットプリント用インク組成物をインクジェットプリンターを使って前記基材の表面に噴射して天然木目模様を印刷形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る住宅及び家具用材は紫外線硬化型のインク組成物を用いるので、インク非吸収性を有する基材であってもその表面に天然木目模様を印刷できる。そして、インク組成物を基材表面に噴射するので、表面に多数の凹凸が存在してもまた、表面が湾曲していてもインクが凹凸内部まで浸透し、あるいは湾曲表面に均一に付着するので、鮮明な天然木目模様が形成される。さらには、基材表面のうちインクによって木目模様が形成される部位以外の部分には基材の表面が露出して基材の地模様が表れる。
このように、本発明によれば、基材表面の凹凸や湾曲面の存在にも拘わらず鮮明な天然木目模様が形成できるとともに、天然木目模様部分以外のところには基材そのものが有する地模様が露出して基材の質感を生かすことができる。そのため、世界で広く植林され、低コストで調達可能なゴムノキやポプラ等の早生樹を使用して高級感をもった住宅及び家具用材を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
ゴムノキ製木片を接着して住宅及び家具用集成板材を製造する。予め天然木の木目模様を撮影して作成した印刷原版を使い、インクジェットプリンターのインクジェット記録ヘッドからイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色の紫外線硬化型インクジェットプリント用インク組成物を集成材の表面に噴出して、印刷原版の天然木目模様を印刷形成し、集成材の表面に紫外線照射ランプから紫外線を照射し、表面のインク組成物を硬化させて固着させ、天然木目模様を集成材表面に固定する。
【実施例】
【0008】
本発明の実施例に係る住宅及び家具用集成材を図1及び図2に示す。当該住宅及び家具用集成材は多数のゴムノキ製木片11を接着して板材に形成されており、その表面にはインクジェットプリンターを利用して紫外線硬化型インク組成物12によって天然木目模様10aが印刷形成されている。
【0009】
図3に、住宅及び家具用集成材10の表面に天然木目模様10aを印刷するインクジェットプリンターの20概略構造を模式的に示す。当該インクジェットプリンター20はインクジェット記録ヘッド21、印字用トレー22、送りモータ23、紫外線照射ランプ24、ベルトコンベア25と送りローラ26を備えている。インクジェット記録ヘッド21は少なくともイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色に対応して4個が配設されている。
【0010】
印刷前の集成材10をトレー22に載置し、送りモータ23で搬送してインクジェット記録ヘッド21の下を通過させる。予め天然木の木目模様を撮影して作成した印刷原版を使い、インクジェット記録ヘッド21からインク組成物12を集成材の表面に噴出して、印刷原版の天然木目模様10aを印刷形成し、続いて、集成材の表面に紫外線照射ランプ24から紫外線を照射し、表面のインク組成物12を硬化させて固着させ、天然木目模様10aを集成材10の表面に固定する。
【0011】
こうして天然木目模様10aを印刷形成した集成材10は図3に示すように、インク組成物12が集成材表面の平滑面だけでなく、表面に多数存在する凹部10bの内部にも浸透し、さらには集成材周縁の面取りした湾曲部分10cの表面にも付着して天然木目模様10aが印刷形成されている。一方、集成材10の表面のうち、インク組成物12が固着していない部分はゴムノキが有する地模様がそのまま表れる。
【0012】
本実施例では集成材10の材質にゴムノキを用いたが、近時中国大陸ではポプラの植林が盛んであるので、ポプラを利用して集成材を製造すれば、より森林資源の有効活用に資することができる。
また、インク組成物として、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色を使用したが、これにライトシアンとライトマゼンダを加えて6色を使用すれば、より一層忠実に天然木目模様を再現できる。さらに、集成材10表面に印刷形成した天然木目模様10aの上から透明のコーティングを施して、天然木目模様10aを保護すれば、長期間にわたって高級感を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る住宅及び家具用集成材を示す斜視図である。
【図2】同集成材の部分拡大断面図である。
【図3】同集成材の模様形成に用いるインクジェットプリンターの概略構造を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0014】
10…住宅及び家具用集成材
10a…天然木目模様
11…木片
12…インク組成物
20…インクジェットプリンター
21…インクジェット記録用ヘッド
24…紫外線照射ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材にゴムノキ、ポプラ等の早生樹を用いた住宅及び家具用材であって、インク材料として少なくともイエロー、シアン、マゼンダ、ブラックの4色の紫外線硬化型インクジェットプリント用インク組成物をインクジェットプリンターを使って前記基材の表面に噴射して天然木目模様を印刷形成したことを特徴とする住宅及び家具用材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−347149(P2006−347149A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215239(P2005−215239)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願変更の表示】意願2005−4475(D2005−4475)の変更
【原出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(501107695)安藤産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】