説明

佐賀錦織布の強度加工方法

【課題】 従来の伝統工芸品である佐賀錦織布は、水分、摩擦、重量等に対しての耐性が極めて低く、繊維としての使用範囲がかなり狭いものであった。これを加工することによって、これまでになかった製品製作を可能にし、同時に伝統工芸の継承にも寄与する強度方法を提供する。
【解決手段】 佐賀錦織布の表面に、フッ素樹脂を塗布する工程を3回繰り返し、その上にツヤなし水性アクリルニスを塗布して乾燥させる工程を2回繰り返し、更にその上から高強度透明シリコーン樹脂を塗布することによって硬化させ、更にその上に低粘度エポキシ樹脂を塗布して硬化させることを特徴とする佐賀錦織布の強度加工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、江戸時代より続く伝統工芸の佐賀錦織を絶やすことなく、また、織布の本来の風合いを損なうことなく、水分、摩擦、重量等に対する耐性を作り出し、これまでになかった製品製作を可能にするものである。
【背景技術】
【0002】
これまで佐賀錦織布そのものを使用するだけで強度加工する手段はなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
佐賀錦織布の特性は、紙に、漆や箔を塗布又は貼り付け、細く切ったものを縦糸とし、それに主に絹糸の緯糸を織り込んだものである。このため、繊維としての扱いが難しく、製品として加工するときも糊付け以外方法が無く、日常使いの製品にはならなかった。従来、和装の贅沢な装飾品として認められてきたが、和装離れも進む中、日常使いの製品作りを迫られている。
本発明は、佐賀錦織布の耐久性を高め、またその風合いや美しさを損なうことなく、現代生活に沿った身の回り品作りを可能にし、伝統工芸の継承を存続させる為発明されたものである。
【課題を解決する為の手段】
【0004】
上記目的を達成する為本発明は、一請求の範囲の、佐賀錦織布の表面にフッ素樹脂を塗布する工程を3回繰り返し、その上にツヤなし水性アクリルニスを塗布して乾燥させる工程を2回繰り返し、更にその上から高強度透明シリコーン樹脂を塗布することによって硬化させ、更にその上にエポキシ樹脂を塗布して硬化させたものである。
【発明の効果】
【0005】
紙と絹糸によって織り上げられた佐賀錦織布の表裏両面を、樹脂を使って保護することにより、水分や摩擦に強く、また織布自体の縦横の伸縮性も抑えられることから、本革の持つ特性以上の加工材料となる。これに加え、伝統工芸品の持つ独自性と品格が加味され、特別加工 佐賀錦織の需要は増えるものと思われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
緯糸である絹糸への防水の為、佐賀錦織布の表面にフッ素樹脂を塗布し、これを3回繰り返し、次にその上からツヤなし水性アクリルニスを塗布し、乾燥させ、これを2回繰り返すことによって、経糸に当る紙の表面の漆や箔が保護される。
次に織布の強度を高める為、その上から高強度透明シリコーン樹脂を薄く塗布し硬化させ、更にその上から表面の粘度を抑え、保護する為に、低粘度エポキシ樹脂を塗布し、硬化させる
更に佐賀錦織布の裏面にも上記の加工を施すことによって、強度の撥水硬化が得られる。
また、佐賀錦の織りあがりのままの風合いを残したい場合、佐賀錦織布の表面にフッ素樹脂を塗布し、乾燥させ、これを3回繰り返す。尚、裏面に前記実施の形態と同様の工程を施すことによって、全体の強度が保たれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
佐賀錦織布の表面に、フッ素樹脂を塗布する工程を3回繰り返し、その上にツヤなし水性アクリルニスを塗布して乾燥させる工程を2回繰り返し、更にその上から高強度透明シリコーン樹脂を塗布することによって硬化させ、更にその上に低粘度エポキシ樹脂を塗布して硬化させることを特徴とする佐賀錦織布の強度加工方法。

【公開番号】特開2010−24605(P2010−24605A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211165(P2008−211165)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(508251036)
【Fターム(参考)】