説明

体の一部分を動かないようにする医療用添え木のための固定用ストラップ、該ストラップの使用、および該ストラップを含む添え木アセンブリ

本発明は、平坦な、具体的には薄板状の要素として、優先方向34に沿って延在し、そして主要な構成要素として、波形状になされたシートの金属コア18を含む固定用要素33に関し、前記コアは、固定用要素33に、全体的に剛体でありかつ手作業で恒久的に変形可能である特性を与え、前記コアは、被覆36、37によって被覆される。かかる固定用要素に関して、波形状になされたコアシート18の波形が、優先方向34に対して実質的に平行に方向付けられ、かつ、固定用要素33を解放可能に取り付けるための手段38、39が、固定用要素33上に配置されることで、広範な使用用途が、もたされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、固定する分野に関し、より詳細には、医療用添え木に関する。対象は、請求項1のプリアンブルに記載の固定用要素であり、さらにそのようなストラップの使用である。
【背景技術】
【0002】
国際公開第97/2231 A1号に、医療用添え木が、開示されており、その主な特性は、コアシートを含み、そのコアシートが、工具なしで手作業によって塑性的に変形させることができることである。コアシートは、波形を備える金属プレートであり、そこには、リブおよびチャネルが、特定の方向、すなわち添え木の長手方向軸に対して、実質的に横断するように配置される。
【0003】
波形状になされたコアシートは、アルミニウムから製作されることが好ましく、厚さが、たとえば、0.2〜0.4mmであり、両面上が層によって被覆されており、それは、具体的な用途に対して適合される。横木を着ける上での快適さを向上させるために、クッションとして内側被覆層を形成することができる。外側被覆層は、添え木が外部からの影響をそれほど受けないようにするために、水洗い可能とすることができる。
【0004】
このタイプの添え木の基本的な思想は、コアシートの波形が、不規則な体の形状に対する添え木の調節を容易にする「予備領域」になるということである。手作業による形作りの間、波形は、平坦にする、または直立させるために局所的に押すことができ、それによって、添え木を、局所的に拡張させる、または収縮させることが可能になる。
【0005】
このようにして、平坦なプレートを変形させる間に予想されるようなプレートにしわを作る、または曲げることを避けることができる。さらに、長手方向に対して横断するように波形を配置した結果として、添え木を当てられる体の一部分に対応して添え木を形成中に、添え木全体を固めることが達成され、したがって、添え木は、安楽で快適な着け心地を得るように、かつ所望の高い剛性を求めて添え木を当てられる体の一部分に適応させるために、迅速で容易な取り扱いをする上で、ほとんど理想的な特性を有することになる。
【0006】
今まで、弾力的で柔軟な、ほとんど織物のようなストラップが、医療用添え木を固定するために使用されてきた。しかし、これらのストラップは、添え木を当てられる体の一部分の動きを十分に制限しない。しかし、いくつかの場合には、それを用いると添え木効果を高めることができ、かつ、その上に異なる目的のために使用することができる固定用ストラップを使用することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第97/2231 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、特に医療用添え木のためであるが、たとえば、梱包目的など、他の分野にも使用するための向上させた固定用要素を提供することであり、その要素は、いかなる工具も用いることなく容易に変形させ、かつ正確で弾力的な固定機能を果たすことができる。本発明の対象は、かかる要素の使用である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、請求項1、6および11によって解決される。
【0010】
請求項7〜13は、本発明によるストラップの使用に関する。
【0011】
本発明のさらなる目的は、改良された添え木アセンブリに関することに対し、これは、体の一部分に当てることができ、かつ添え木を当てられる体の一部分の動きを確実に制限する。この目的は、請求項14〜20に記載された添え木アセンブリによって、解決される。
【0012】
波形状になされたコアシートの波が、歪みの優先方向に、実質的に平行に配置され、固定手段が、固定用要素を取り外し可能に固定するために設けられることが、本発明による固定用要素に関する特性である。優先方向に平行である、リブおよびチャネルの方向付けによって、固定用要素は、優先方向での引っ張り力および圧縮力を、その長さを変えることなく、吸収することができる。同時に、コアシートの波形のために、要素は、体の一部分の不規則な形状に従うように手作業で形成することができる。
【0013】
コアシートは、アルミニウムから製作されることが好ましく、厚さが0.2mmと1.2mmの間にある。コアシートには、このために、環境からの影響に対する抵抗力がもたらされ、使用目的に対応するのに十分な柔軟性が得られる。
【0014】
有利な実施形態によれば、固定用要素は、ベルクロ(Velcro(登録商標))社製のファスナを備える。それは、多重使用要素であり、追加の工具なしに、容易に、かつ高い接着強度で固定することができる。
【0015】
波形状になされたコアシートは、コアシートおよび動かないようにされる体の一部分を保護するために、さらにその上、機械的特性をさらに向上させるために、片面上、または両面上を、好ましくは発泡体または織物から製作された、柔軟な被覆層を用いて被覆することができる。
【0016】
本発明による固定用要素の好ましい用途は、剛体の台座要素上で、またはその中で体の一部分を動かないようにすることにあり、そこでは、体の一部分は、台座上に、またはその中にセットされ、体の一部分を取り巻いて閉じられ、台座に接続される1つ以上の固定用要素によって、固定される。
【0017】
固定用要素は、台座上に解放可能に固定されることが好ましい。
【0018】
コアシートの波形は、動かないようにされる体の一部分の外側輪郭上の窪み部および隆起部に、固定用要素を適合させるために、手作業で局所的に平坦化することができる。
【0019】
動かないようにされる体の一部分は、通常、手足であり、台座は、医療用添え木であり、手足は、添え木中で固定されるべきである。特別な場合では、医療用添え木は、一定の、好ましくは角度のついた形態で添え木を安定化させるために、本発明による追加の固定用要素を備えることができる。
【0020】
本発明による固定用要素の別の実施形態は、体の一部分のための細長い包帯であり、固定用要素は、固定される体の一部分のまわりでらせん形のコイルを形成するように巻かれる。
【0021】
この場合、所定の形態での巻き付けは、コイルの外側に施された追加の固定用要素によって、安定化させることができる。
【0022】
本発明は、添付図面を参照して、より詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明によって、台座要素上に対象物を固定していることを示す透視図である。
【図2】図2aは本発明の可能な実施形態を示す平面図である。図2bは、図2aに示すストラップの横断面図である。
【図3】柔軟な固定用要素を備える、当技術で知られた屈曲添え木を示す図である。
【図4】異なる固定手段を備える、図2と同様の固定用要素の長手方向断面図である。
【図5】剛体であり手作業によって変形可能なストリップ形状の固定用要素、および曲げ領域中で所望の形状に添え木を保つように使用される、追加の横方向固定用要素を備える、本発明の一実施形態による屈曲添え木アセンブリを示す図である。
【図6】曲げ領域に配置される別の下側の固定用要素を備える、図5による屈曲添え木を示す図である。
【図7】ベルクロ社製ファスナの形態での解放可能な固定手段を用いて、全表面の上が被覆される、本発明による固定用要素の別の実施形態を示す平面図である。
【図8】ベルクロ社製ファスナを別々に拡大して示す、図7による固定用要素の横断面図である。
【図9】本発明による固定用要素によって、取り巻かれて閉じられた体の一部分の横断面図である。
【図10】巻き軸に沿って包まれた体の一部分(図示せず)を固定するための、本発明によるストリップ形状の固定用要素から作られたらせん形コイルを示す図である。
【図11】コイルの巻きが、追加の外側の強化要素によって、互いに対して固定された、図10のコイルを示す図である。
【図12】指を固定するために、本発明による固定用要素を使用していることを示す図である。
【図13】添え木を当てられた体の一部分の可動性を定量化するための測定装置を示す概略見取り図である。
【図14】図13による装置を用いて測定された、従来の柔軟な織物の固定用要素を用いて固定された、前腕の長掌側(long palmar forearm)の添え木中の手首関節の曲がりおよび伸び(カーブB1)と、本発明による固定用要素を用いた場合の曲がりおよび伸び(カーブA1)とを示すグラフである。
【図15】図13による装置を用いて測定された、従来の柔軟な織物の固定用要素を用いて固定された、前腕の手掌側(palmar forearm)の添え木中の手首関節の横方向曲がり(カーブB2)と、本発明による固定用要素を用いた場合の横方向曲がり(カーブA2)とを示すグラフである。
【図16】図13による装置を用いて測定された、従来の柔軟な織物の固定用要素を用いて固定された、前腕の手掌側の添え木中の手首関節の横方向曲がりおよび伸び(カーブB3)と、本発明による異なる固定用要素を用いた場合の横方向曲がりおよび伸び(カーブA3)とを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図2、4、7および8に、本発明による固定用要素の実施形態を示す。図2および4の固定用要素13および13’は、さらに以下で、図1の装置10としての、および図3の屈曲添え木(22)としての固定用要素の使用に関して説明する。言うまでもないが、本発明の範囲内の他の用途が、可能であり、その上有利である可能性がある。
【0025】
図3に、当技術で知られた屈曲添え木を示す。屈曲添え木22は、ほぼ直角に配置された、下側アーム部分23および上側アーム部分24を含む。両方の部分23、24は、前腕および上腕をほとんどすっかりと収容できる、U字形状の横断面を有する。屈曲添え木22を腕のまわりで固定するために、先行技術による柔軟なストラップ25が、添え木の両側上に取り外し可能に固定されて、腕を動かないようにする。
【0026】
屈曲添え木22は、患者の着け心地の快適さをもたらすために、内側を被覆することができ、添え木中の腕に空気が流れ込むのを可能にするために、穴を開けることができる。
【0027】
知られた屈曲添え木22のクリティカル領域は、手が置かれる先端部分である。手は、添え木中で実質的に垂直に位置付けられ、親指と人差し指の間を通る、長いストラップ26によって、その中に固定される。この長いストラップ26が、また柔軟であるので、固定化効果は、多くの場合、十分でない、すなわち、手は、長いストラップ26にもかかわらず、たとえば、その長手方向軸のまわりで回転させることができ、そのことは、腕に、ある損傷を被った状況では、危険である恐れがあり、とにかく、多かれ少なかれ添え木の固定効果が減少する。
【0028】
この問題を克服するために、本発明の目的は、柔軟なストラップ26、およびいくつかの場合では、ストラップ25の代わりに、剛体の効果的な固定用要素を提供することである。このような固定用要素を、たとえば、図2および4に示す。
【0029】
図2に示す固定用要素13は、特別な変形および安定性の特性を示し、それらは、添え木材料として使用するために既に提案されているように(国際公開第97/2231 2 A1号参照)、好ましくはアルミニウムから製作される波形状になされたシート18に基づく。上記の公報の内容は、波形状になされたコアシート18の好ましい寸法および他の特性に関して参照される。しかし、国際公開第2−97/2231 A1号による添え木材料の場合とは違い、波形は、長手方向に対して横方向には延在せず、そうでなくて、それに対して平行に延在する(図7のけん引方向34に対応する)。この配置によって、固定用要素13の追加の特性がもたらされる。適切な厚さを用いると、コアシート18は、いずれもの特別な工具を使用せずに手作業で形作ることができ、リブが、局所的な圧縮によって上に持ち上げられる、または局所的な引き延ばしによって平坦化させることができる。このように、波形状になされたコアシートは、その剛性を失うことなく、いずれもの起伏のある形状に適合させることができる。対照的に、リブまたは波の変形のために、材料の剛性が増加し、したがって、より良好な支持機能を引き出すことができる。同時に、長手方向または引っ張り方向34に対して平行である、個々のリブおよび溝の方向付けによって、この方向で材料の引き延ばしまたは圧縮が存在し、したがって固定用要素の長さの変化が起こる恐れがないことが保証される。
【0030】
ストリップ形状である、または広い表面または不規則な形状さえ有する、そのような固定用要素13が、図3による屈曲添え木22上に(図5または6参照)、または、たとえば、柔軟な固定用要素26の代わりに、上記で参照したような他のいずれもの添え木上に使用された場合、それは、示す位置で手に適合させることができ、そして、その剛性によって、手をしっかりとその位置に保持する。思いがけずに、または有害になるように、手をどのようにひねることも、もはや可能ではない。
【0031】
図3に示すような、かかる固定用要素13が、医療用添え木とともに使用された場合、それは、片面または両面上を、被覆シート19を用いて被覆すると好都合であり、それによって、コアシート18が、直接肌に接触しないように防止される。被覆シートの材料は、たとえば、発泡体または薄織物とすることができる。さらに、固定用要素は、被覆された体の一部分に空気が流れるのが可能なように、穴を開けることができる。
【0032】
固定用要素13を添え木上に解放可能に取り付けるために、それには、ベルクロ社の固定システムの一部分としてフック(図8参照)を好ましくは備える固定手段20および21を、端部に備えることができる。添え木の表面上には、対応相手として、対応するループを配置することができる。具体的には、添え木の外側表面のすべてが、ベルクロ社製材料によって被覆される場合、固定用要素を、添え木の外側上に、どこにでも取り付けることができる柔軟なシステムを構築することができる。
【0033】
フックおよびループが組み込まれたファスナシステムの代わりに、固定用要素13’が、図4による27、28を有することができる。ここで、固定手段は、柔軟な、好ましくは非伸縮性のストラップとして、固定用要素の端部に配置され、フック、スナップまたは他の解放可能な手段が、固定用要素を固定するために設けられる。また、可溶性(または非可溶性)の接着剤を用いて固定用要素を添え木上に貼り付けることが、可能である。固定用要素および添え木は、一体設計とすることができるが、しかし、それには、添え木が所望の形状に切断されるとき、比較的多くの材料が失われるという欠点がある。
【0034】
図2および4による固定用要素13、13’は、図3に示すような屈曲添え木とともにだけでなく、他のいずれもの医療用添え木とともにも使用することができ、台座要素中の、またはその上の添え木を当てられる体の一部分を安定して正確に固定することが、容易に確実に達成されることになることは、明らかである。上腕を特に参照すると、本発明による添え木状の台座と固定用要素の組み合わせのために、上腕の具体的な形状に適合させることによって、滑らず、同時に腕を動かすための空間的な余裕を十分残した、高い着け心地の快適さで、上腕の添え木を使用できるのが、可能になる。
【0035】
医療用添え木中で使用される、本発明による固定用要素は、非常に多数の異なる形態およびシート厚さによって、申し分なく継ぎ目なしで添え木を被覆するという利点をもたらす。また、添え木は、異なる構造のものとすることができる、すなわち、U字形状の台座添え木、半円の添え木、または領域中で完全な円である添え木とすることができ、ストラップが使用される。いずれの場合でも、解決策が、高い適応性および大きい着け心地の快適さをもたらす。
【0036】
さらに、図5および6の屈曲添え木30に関して示したように、追加の固定用要素31、32は、ある一定の(角度のついた)形態で屈曲添え木(または他の添え木)を固定するために使用することができる。固定用要素31、32は、固定用要素13、13’および14に似たように構築され、したがって、それらは、長手方向で同様の剛性および引っ張り強度を有する。図5の屈曲添え木30が、曲げ領域29中でほぼ直角に、または別の角度で曲げられる場合、曲げ領域29の角度が変化しないように防止するために、剛体の固定用要素31を角度のついた範囲にわたって横方向で斜めに、単に固定することによって、この角度姿勢を安定化させることができる。固定用要素31は、添え木の片側上にだけ、または両側上に、その両方で取り付けることができる。
【0037】
屈曲添え木30または他の添え木は、図6に示すように、添え木材料の固有の剛性が、ある状況の場合、十分でないとき、外側での使用のために固定用要素32を使用することによって、安定化させることができる。そのような外側での安定化は、図6に示すように、曲げ領域29中で実施されることが好ましい。しかし、それは、さらにまた、より重く負荷がかかる添え木の他の場所上に使用することができる。そのような場合、0.6mm〜1.2mmの範囲内の、より厚い固定用要素を使用すべきである。
【0038】
しかし、本発明は、一般に、医療用添え木の分野以外で、任意の形状の何らかの対象物を安定した台座上に、迅速に安全に固定すべきであるいかなる場所でも、使用することができる。図1に、そのような万能の実施形態を示す。この場合、円筒形状の体12が、台座11aおよび2つの側壁11bおよび11cを有する支持部11上に、配置される。前記体は、支持部に対して、その動き(回転または滑り)を阻む方法で、支持部上に固定すべきである。したがって、体12の端部は、図2または図4に示すように、2つのストリップ状の固定用要素13および14を用いて固定される。固定用要素は、体12の円形の輪郭および支持部11の側壁11bおよび11cに適合される。固定用要素13および14を保持するために、側壁11bおよび11cの外側表面には、特別領域15、16が設けられ、それらは、小さなループを有することができ、それらに対して、ベルクロ社製ファスナのように、要素13および14の固定手段20、21上のフックを接続することができる。取り外し可能な、または取り外しできない他のいずれもの固定する方法を、さらにまた、使用することができる。
【0039】
コアシート18を備える固定用要素13、13’の固有の剛性のために、重い対象物を、滑りまたは回転に対して、支持部11上で動かないようにすることができ、固定用要素の形状を、単に手作業で、いずれの工具を使用することなく、その対象物に合わせることができる。
【0040】
図7および8に示す固定用要素33を特に幅広く使用することができる。ここで、両面には、表面上の全体に、ベルクロ社製ファスナに対する対応相手になる被覆層36および37が設けられる。被覆層36は、ループ38を含み、その一方で、他の被覆層37の表面には、対応するフック39が設けられる。被覆層36および37は、端部で、たとえば、波形状になされたコアシート18を含む閉じた袋を一緒に形成する端部の継ぎ目35によって、接続され、波形が、図7に点線で示すように、優先方向34に対して平行に配置される。
【0041】
本発明による固定用要素を、図9に示すように、使用することができ、2つの部分40aおよび40bからなる体が、固定用要素33によって、そのまわりに輪を付けられる。その特別の性質のために、固定用要素33は、輪郭、すなわち体の窪み部および突起部にぴったりと合う。特に、体の一部分40aおよび40bの外側表面に小さなループまたはフックがある場合、強く固定することを達成することができ、その一方で、固定用要素33の内側表面が、ベルクロ社製ファスナの他の一部分になり、このようにして、体の一部分40aおよび40bを解放可能に、ただし安全に動かないようにする。
【0042】
固定用要素33が、比較的長いストリップとして形成される場合、それは、図10、11および12に示すように、特に簡単で効果的な方法で、包帯を固定するために使用することができる。図10によれば、固定用要素33は、体の一部分(図示せず)、たとえば、前腕または下肢または指(図12)のまわりに巻かれ、このようにして、体の一部分の形状に適合させる。その結果、このときらせん形の巻き線41になり、それは、内側のコアシート18のために、形状が比較的安定しているが、わずかに一緒に曲げて圧縮する、または長手方向で引き離すことができる。また、寸法安定性は、使用される厚さにかなり依存し、使用される厚さが約1mmであるとき、特に高い。それに反して、高い柔軟性を狙う場合、範囲が0.2mm〜0.4mmのシート厚さが、有利である。コイルの巻きの間にギャップが残されていないことが好ましい。
【0043】
良好な可塑性が、高い寸法安定性と組み合わされるべき場合、より薄い厚さを選び、そして、巻きが互いを安定化させる、重ね合わせたコイル41を用意すること、または、図11に示すように、追加の強化要素42、43をコイル41の外側上に貼り付けること、そのどちらか一方が、賢明である。強化要素は、巻軸の方向に配置され、巻き線の間隔を一定に保持してコイルの形状を固定する。
【0044】
図12に、手45の人差し指46の軽い添え木の当てに対する、そのようなコイル44の使用を最終的に示す。指46の動きは、このようにして、所望のように制限することができる。ベルクロ社製ストラップなどの追加の固定用要素の使用によって(図12には図示せず)、コイル44は、図11に既に示したように、強化することができる。また、手または前腕に対して包まれた指を動かないようにするために、追加の固定用部材によって、コイル44を手首または前腕の添え木に接続することが、可能である。
【0045】
また、医療用添え木とともに使用される、本発明による固定用要素の強い固定作用が、たとえば、図5および6に示すように、実験で試験された。
【0046】
この目的で、前腕が、U字形状の添え木中に半円状で置かれ、そして織物の包帯によって、または、その代わりに、本発明による固定用要素によって固定された。評価ユニット50に受信機49を介して超音波のインパルスを送信して、手の3次元の運動を解析するために、図13のように、第1の超音波マーカー47が、手首の領域中で手の裏側上に配置され、第2の超音波マーカー47が、前腕側に配置された。スポーツおよび医学の分野で3次元運動をリアルタイムで解析するための、そのような測定システムは、たとえば、Zebris CMS−Medical Gmbhという名で入手できる。
【0047】
固定化作用の測定値として、半径方向で尺骨の変位(図13のd)が、異なるタイプの添え木当てについて、手の往復運動中に記録された。図14〜16は、そのグラフであり、時間経過につれた、異なる添え木中の変位を示す。
【0048】
カーブA1〜A4は、本発明の固定用要素を使用したときの偏位を示し、一方カーブB1〜B3は、従来の織物の包帯を使用したときの偏位を示す。
【0049】
図14中のカーブは、長い手首関節の添え木の曲がりおよび伸びを示す。
【0050】
図15中のカーブは、前腕の手掌側の添え木の横方向の曲がりを示す。
【0051】
また、図16中のカーブは、前腕の手掌の添え木に関連し、固定用要素には、アルミニウムから製作され、厚さが異なる強化ストリップが設けられた。カーブA3は、厚さが1.2mmのアルミニウムシートに関する結果を示し、一方カーブA4は、厚さが0.6mmのアルミニウムシートに関する結果を示す。
【0052】
上記の実施形態によって、本発明による固定用要素を使用すると、添え木を当てられる体の一部分を確実に固定する上で、著しい向上をもたらすことになり、また、固定の度合いが、固定用要素の特徴に依存することが、明らかに証明される。
【符号の説明】
【0053】
10 装置、11 支持部、11a 台座プレート、11b,11c 側壁、 13,13’,14 固定用要素、18 波形状になされたプレート、17,19 被覆層、20,21 固定手段(たとえば、ベルクロ社製ストラップ)、22,30 屈曲添え木、23 前腕部分、23 上腕部分、25,26 固定用要素、27,28 強化要素、29 曲げ領域、30 屈曲添え木、31,32,33 固定用要素、34 歪み方向、35 端部の継ぎ目、36,37 被覆、38 ループ、39 フック、40 体の一部分、41,44 コイル、42,43 強化要素、45 手、46 人差し指、47,48 超音波マーカー、49 超音波パルス受信機、50 評価ユニット、A1〜A4 カーブ(固定用要素あり)、B1〜B3 カーブ(織物のストラップあり、固定用要素なし)、B3 カーブ(固定されていない織物包帯あり)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定歪みの方向(34)に対応する長手方向軸を有する、剛体であり手作業で変形可能な波形状になされたプレート(18)から製作される、平坦な長手方向ストラップである、固定用要素(13、13’14、31、32、33、42、43)であって、前記ストラップ(13、13’14、31、32、33、42、43)には、外側被覆層(19、36、37)が設けられる、固定用要素(13、13’14、31、32、33、42、43)において、
前記プレート(18)の波形が、前記長手方向軸(34)に対して実質的に平行に配置され、
前記ストラップ(13、13’14、31、32、33、42、43)は、前記ストラップ(13、13’14、31、32、33、42、43)を解放可能に固定するための手段(20、21、27、28、38、39)が設けられることを特徴とする固定用要素。
【請求項2】
請求項1に記載の固定用要素であって、前記波形状になされたプレート(18)は、アルミニウムから製作されることを特徴とする固定用要素。
【請求項3】
請求項2に記載の固定用要素であって、前記波形状になされたプレート(18)は、厚さが0.2〜1.2mmであることを特徴とする固定用要素。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の固定用要素であって、前記ストラップを添え木に解放可能に結合するための前記手段(20、21、27、28、38、39)は、ベルクロ社製ファスナであることを特徴とする固定用要素。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の固定用要素であって、前記外側被覆(19、36、37)は、前記波形状になされたプレート(18)の片面または両面上に在り、柔軟な材料、好ましくは織物または発泡体から製作されることを特徴とする固定用要素。
【請求項6】
請求項1に記載のストラップであって、強化要素(42、43)、好ましくはアルミニウムから製作されるストリップが、設けられることを特徴とするストラップ。
【請求項7】
支持部(11)上に、またはその中に体(12)を固定するための、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の固定用要素の使用であって、
前記体は、前記体の上に保持され、前記支持部に接続される前記固定用要素(13、13’14)によって、前記支持部(11)に対して動かなくされることを特徴とする固定用要素の使用。
【請求項8】
請求項7に記載の固定用要素の使用であって、前記固定用要素(13、13’14)は、前記支持部(11)に取り外し可能に接続されることを特徴とする固定用要素の使用。
【請求項9】
請求項7または8に記載の固定用要素の使用であって、前記固定用要素(13、13’14)のリブが、前記体(12)の窪み部または突起部に合わせるために、手作業によって局所的に平坦化されることを特徴とする固定用要素の使用。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか1項に記載の固定用要素の使用であって、
前記体は、人間または動物の体の一部分であり、
前記支持部は、医療用添え木(22)の一部分であり、
前記体の一部分は、前記添え木中で動かなくされることを特徴とする固定用要素の使用。
【請求項11】
請求項10に記載の固定用要素の使用であって、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の付属の固定用要素が、所望の、好ましくは角度のついた姿勢で医療用添え木の一部分(22、30)を固定するために、使用されることを特徴とする固定用要素の使用。
【請求項12】
体の一部分(46)のための固定用包帯としての、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の固定用要素の使用であって、前記固定用要素(33)は、前記体の一部分(46)のまわりにらせん形に巻かれる(41、44)ことを特徴とする固定用要素の使用。
【請求項13】
請求項12に記載の固定用要素の使用であって、外側の強化要素(42、43)、好ましくはアルミニウムから製作されるストリップが、前記コイル(41)上に設けられることを特徴とする固定用要素の使用。
【請求項14】
体(12)を固定するための装置であって、
安定な支持部(11)と、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の少なくとも1つの固定用要素(13、13’、14、31、32、33、42、43)とを含むことを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、
前記体は、人間または動物の体の一部分であり、
前記支持部は、医療用添え木(22)の一部分であることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項14に記載の装置であって、
前記体は、人間または動物の体の一部分であり、
前記支持部は、U字形状の医療用添え木(22)であることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項15または16に記載の装置であって、前記少なくとも1つの添え木の横断面が、半円形状と円形状の間であることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項15乃至17のいずれか1項に記載の装置であって、前記添え木は、手首関節の添え木であることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項15乃至17のいずれか1項に記載の装置であって、前記添え木は、前腕の手掌側の添え木であることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項15乃至17のいずれか1項に記載の装置であって、前記添え木は、上腕の添え木であることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項15乃至17のいずれか1項に記載の装置であって、前記添え木は、屈曲添え木(30)であることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2a)】
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【図2b)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2013−509894(P2013−509894A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530207(P2012−530207)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063144
【国際公開番号】WO2011/036054
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(512073699)クリソフィックス アーゲー (1)
【Fターム(参考)】