説明

体内での(VIVO)線量計測を実施する方法、及びシステム

【課題】患者に対する放射線治療の間の線量確認を患者の位置確認から分離することと、線量確認を実行する方法、及びシステムを提供すること。
【解決手段】本発明は、患者と放射線源との間で放射線のビームに位置させた情報手段による、事前画定した時間間隔における測定値を利用し、読み取り値を幻影(phantom)における対応する測定値に変換することによって、患者特定の治療の間に放射線治療での投与線量を定量化できる方法、及びシステムに関する。本発明は更に、検出器のための較正係数を取得する方法も網羅する。前記較正係数は、前記情報手段と検出器を含む前記幻影とを同時に放射することによって患者なしに前記の患者特定の治療を利用して吸収された線量を測定して、前記情報手段と、作用領域と、前記の画定可能な時間間隔との各々に対して取得される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に対する投与線量の精度を確認するために、患者の放射線治療の間に放射線治療装置に使用する検出器を較正する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放射線治療は1900年初頭から人体における癌治療のために使用されてきた。癌腫瘍を放射線治療することは効率的であることは知られているものの、多くの癌による死亡率は長い間事実上変らないままである。このことの主要な理由は初期の癌腫瘍あるいは癌転移の発生を制御できないことであった。局部的な制御を改善するだけでも治療をより効果的にしうる。最近、放射線治療法における治療計画システム、すなわちTPS(Treatment Planning Systems)が広く開発され、今では特定の患者の解剖学的形状(anatomy)を考慮し、時間的に効率的な方法で個々の患者の各々に対してより最適化された治療、目標に対する均質な放射線投与、そして危険な器官に対しては最小の投与を計画することができる。
【0003】
このような最適化された治療を提供する治療技術は、各々の作用領域(field)は強度が横方向に調整される必要があり、そのため患者の異質性(heterogeneity)と外形とを補正する必要があるとの理由から、従来の治療法よりも複雑である。この技術はIMRT−強度調整した放射線治療法(Intensity Modulated Radiation Therapy)と称されている。投与は、補正装置(compensators)や、一次フォトンビームの減衰により作用領域の各部分における所定のレベルまで強度を下げるフィルタを使用して実行することができる。しかしながら、各々の作用領域が個々の補正装置を必要とする、数個(4−8個)の作用領域を使用する場合には、この技術は時間がかかり、かつ多大な労力を必要とする。更に、ビームの減衰によってもまた、ビームにおけるスペクトル分布の望ましくない変化をもたらし、そのことによって全体のプロセスを複雑にする。従って、IMRTの作用領域に投与するための最も一般的な方法は、作用領域の小さい部分を遮断することによって、ビームを横方向に諸々の不規則な形状に形成するように個別に位置させることができる薄いブロック(すなわちリーフ=Leafs)から構成されている装置であるMLC(マルチ・リーフ・コリメータ=Multi Leaf Collimator)を使用することである。治療の間、前記リーフを動かすことによって、治療される容積の各部分が諸々の時間の間に照射され、それによって治療される領域に対する強度が調整される。
【0004】
しかしながら、この新規な治療技術は、達成するのは必ずしも容易ではないが、患者が予測される位置に正確に位置していることを前提とする。さらに、正確な線量投与に対する要件が増し、そのため治療機械の品質管理(QC)に対する、そして計画プロセスおよび最終的に治療の間の計画プロセスに対する要件が増す。新規な確認方法とQCとが使用される必要がある。しかしながら、治療の間の体内線量計測法(In Vivo dosimetry)による測定について発表されたものは極めて少ない。
【0005】
患者の体内での線量を予測するために患者の皮膚に検出器を当てて測定する従来の体内線量計測法は、例えば蓄積領域(ビームが患者の5−35ミリメートルの深さまで進入した部分)である、外部で発生した二次電子が投与線量に顕著に作用する患者の領域における線量の分布を予測するTPS(治療計画システム)の限度により固定された作用領域(従来の治療法)に対して極めて依存している。そのために、患者の体表すなわち皮膚での線量、あるいは患者の上流空中での線量(the dose in air up−streams)のいずれも固定された作用領域においてはTPSによって正確に予測することはできず、動的に投与される治療では困難さが増す。固定された作用領域においては、これは特殊設計の検出器を使用すること、あるいは一般的な較正により、あるいはこれら二つの方法を組み合わせることによって解決される。IMRT治療においては、作用領域における強度の変動は患者特有のものであるという事実のため、一般的な較正あるいは特殊設計のいずれかによってこの問題に対処するのはそんなに容易ではない。従来の体内線量計測法は通常各画分(fraction)において使用されず、そのため特殊設計の検出器の不安も無視しうる程度となる。IMRT治療における余裕が小さいため、不確実さを最小とするために各画分における拡張した線量計測法および品質管理を必要とし、従って従来の治療で使用される検出器での不安が著しくなる。更に、IMRTを使用する場合、作用領域における形状を確認するために多くの点において測定する必要があり、検出器の横位置が極めて重要である。この問題を単純化するために、空気中での流束量(fluence)を単に測定することが提案された。しかしながら、そうすれば、了解しうる定量性が欠如するために予測された値からの食い違いの判定が困難となる。
【0006】
従来の体内線量測定法の代案として、患者の下流側に位置した結像装置、すなわちフィルムあるいは線量を測定するために当該装置が較正されるEPID(電子ポータル結像装置:Electronic Portal imaging Device)を使用することが提案された。そのような方法は、1998年発行の医療物理学(Medical Physics)25(6)の830−840ページにある、ケイ・アイ・パズマ他(K.I.Pasma et al)による「放射線治療法Iにおける線量測定法による治療の確認のためのポータル線量結像予測およびオープンビームのためのアルゴリズム」(Portal dose image prediction for dosimetric treatment verification in radiotherapy I:and algorithm for open beam)という論文に記載されている。次に、測定装置の位置における、例えばTPS(治療計画システム)を使用して計算された線量分布と比較することができる。このことの一例が1998年発行の「放射線治療法および腫瘍学」(Radiotherapy and Oncology)の49(2)、125−132ページにある、エム・クローンウィック他(M.Kroonwijk et al.)による「電子ポータル結像装置を使用した、前立腺がん患者のための生体内線量計測法、内部器官運動の論証」(In Vivo dosimetry for prostate cancer patients using an electronic portal imaging device;demonstration of internal organ motion)という論文に記載されている。別の代案はEPIDにおける測定された線量の分布から患者における線量分布を計算することである。これは、MDSノーディオン社(MDS Nordion)によって組織されている、2001年3月13日に刊行された「ワークショップ イン アップサラ(Workshop in Uppsala)」におけるシー・ヴァルハーゲン・ダールグレン他(C.Vallhagen Dahlgren et al)による「折り畳みコーンカーナル重ねによるEPIDに対する線量分布のモデル化」(Modelling the dose distribution to an EPID with collapsed cone kernel superposition)という論文に記載されている。
【0007】
後者は、より理解が容易であるデータを提供するという利点を有している。しかしながら、患者の下流側でのみ測定することは患者の上流での測定と組み合わされたものよりも精度は劣り、そのため偏差は治療機械による投与線量が不正確なためか、患者の解剖学的形状の位置決めエラーか、あるいは変動(患者が元の診断結果から体重等が減ったことなど)によるものか区別ができない。後者は偏差の根(root)を分析し、それによって次の治療画分において偏差が発生しないようにするために少なからず重要である(通常、患者は治療が完了するまでに30治療画分の治療を受ける)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は患者に対する放射線治療の間の線量確認を患者の位置確認から分離することと、線量確認を実行する方法を提供することである。従って、本発明は治療の間に高度の品質と、信頼できる線量測定を達成するために、(治療の間に)生体で使用される検出器を時間的に効率的で、正確な方法で較正する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は特許請求の範囲の請求項1に記載の方法によって達成される。本発明の好適な実施例は特許請求の範囲の従属項に記載されている。
【0010】
本発明の一局面によると、本発明は、ファントム(phantom)を照射する段階と、前記ファントムにおいて測定する段階と、患者と照射源との間にある検出器(ExtDet)によって測定する段階とを含み、前記測定値が時間の間隔に分割され、ファントムにおける測定値間の関係および各時間間隔における患者と放射治療源との間の関係に関する情報を取得するために前記測定値を分析する段階を含み、その情報が患者の治療に使用可能であることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、前記測定値間の関係は色々な方法で利用することができる。
【0012】
検出器による測定値および前記ファントムにおける測定値は特定の時間間隔において記憶されるので、測定値の間の比例性が取得され、基準流束量を画定することができる。このことによって検出器のための較正係数を計算することが可能とされ、それが患者のその後の生体測定による治療に使用される。
【0013】
そのような生体測定からの読み取り値は較正係数を適用した後ファントム内の線量をあたかもそれが適所にあったが如く予測する。それによって線量分布における偏差の定量化を使用して、その偏差が許容可能か否か判定することができる。殆どの場合、このような投与線量の確認は十分であり、オフラインの確認(off−line verification)と類似の結果を提供する。
【0014】
次に、EPIDを使用して従来の方法で、患者の位置の確認を実行することが可能で、あるいは(像誘導放射線治療(image guided radio therapy)と称される)治療ビームからの投影において、例えば診断X線源および透過検出器を使用するその他の方法を使用することができる。診断X線源を使用することは、当該技術分野において周知のように、像コントラストを、従って位置精度を大きく改善するという利点を有する。
【0015】
代替的な方法は、全ての時間間隔に対する総和値をファントムにおける測定総和値と比較することによってExtDetに対する各時間間隔の基準値が得られる流束量を確認することである。EPID像からの、あるいは治療計画システムへの入力としての後方投影との組み合わせによって患者の定量的な線量データを提供することができる。
【0016】
投与線量および(または)患者の位置についての主要な偏差を認識した後、第二の段階はこれら二つを組み合わせ、従って腫瘍、危険器官などに対する線量を更に正確に検査するために患者における線量の分布を予測できることである。1個の画分からのこのデータ、あるいは数個の画分に対する累積データを使用して残りの治療画分に対する治療計画を修正し、従って先行した偏差を補正することができる。そのような適応性の治療技術は必要に応じ、各画分の後で更新することができる。
【0017】
患者の上流側での検出器、すなわちExtDetによって流束量を測定するための別の代替的な方法は入力として、MLC位置についてのいずれかの情報を使用して流束量を計算し、次いで前述した方法を使用して前記流束量を較正する、例えば事前治療認識の間ファントムにおいて測定された線量に対して各時間間隔の流束量を較正することである。ファントムにおける線量のそのような検出は、ExtDetの使用と比較して精度および確認において限度があるが、あたかも適所にあったかの如くファントムにおける線量として治療の間に偏差の定量化を可能とするので、依然として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1(a)は、検出器を備えた、ファントムが配置されている治療機械を概略的に示す。図1(b)は、ファントムの代わりに人体が配置されている、図1(a)に示す配置を概略的に示す。
【図2】図2(a)は、2D検出器が治療機械とファントムとの間に配置されている、図1(a)に示す機械を概略的に示す。図2(b)は、ファントムの代わりに人体が配置されている、図2(a)に示す配置を概略的に示す。
【図3】照射ビームの概略図である。
【図4】治療計画のオフライン確認を示す。
【0019】
本発明のこれらおよびその他の局面並びに利点については、以下の詳細説明および添付図面から明らかとなる。
【0020】
以下の詳細説明においては、添付図面を参照する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
放射線によって腫瘍を治療するために利用される放射線治療装置が図1−図2に概略的に示され、全体的に参照数字10で示されている。本装置は、放射線治療ヘッドから電子あるいはフォトンのビーム12を放射することができる放射線治療システムからなる。放射線治療システムは、身体の病気に冒されていない領域は遮断し、ビームを腫瘍に集中させるためにビームの横方向の形状を変更しうるようにする、例えばMLCのような従来の作用領域成形装置(field shaping device)(図示せず)を備えている。放射線治療システムに対しては制御装置(図示せず)が設けられている。
【0022】
患者20が横臥するためにテーブル22が配置されている。患者の治療すべき領域をビームの領域に位置させるために、前記テーブルは垂直軸線の周りを回転可能であり、かつ水平方向および垂直方向に移動可能である。更に、本発明による方法では放射線治療装置から放射された放射線を測定する種々の検出器を利用している。前記検出器は、例えば半導体検出器、ガス検知器、シンチレータ検出器などのような、体表/皮膚14での測定のためのリアルタイムの検出器を含んでもよい。検出装置は、散乱放射線によっての影響され易さを低減するために薄型とするか、あるいは盛り上がり部(build−up)を含んでもよい。前記検出器はまた、全体面積に亘ってg/cmの単位で測定して均一な厚さとされることによってカプセル化(encapsulation)における種々の密度および典型的なビーム形態(beam modality)における検出器自体を斟酌して構成してもよい。
【0023】
検出器はまた、例えばフィルムあるいはEPIDのような結像装置のような、放射線源とファントム/患者との間の測定のための検出器でもよい。前記検出器は適当な信号処理手段(図示せず)に接続される。前述した詳細は当該技術分野の専門家には周知のことであるので、以下詳細には説明しない。
【0024】
本発明による方法は、患者と放射線源との間で放射線ビームに位置された検出器(以下ExtDetと称する)による所定の時間間隔における測定を利用し、その読み取り値を、検出器による測定値とファントムにおける測定値との間の比例性を使用してファントムにおける対応する測定値に変換することによって、特に患者の患者特定の治療(以下生体(In Vivo)治療法と称する)の間での放射線治療での投与線量を定量化できるように前述の装置を利用することを目的とする。
【0025】
本発明による方法は更に、好ましくはExtDetのための較正係数を取得することを指向する。前記の較正係数は、図3に示すファントム36における画定されたセグメントでの点毎に各ExtDetに対して、かつ各作用領域に対する画定可能な前記時間間隔に対して、ExtDetと、検出器を含む前記ファントムとを同時に照射し、患者なしで前記の患者特定の治療計画を使用して(以下オフラインと称する)、吸収された線量を測定することによって取得される。
【0026】
本発明による方法を利用した例は、以下の段階により説明することができる。
・ 治療計画システム(TPS)を使用して、患者に対する個別の治療計画が作成される。ついで、例えばCT,すなわちコンピュータ化した断層写真術のような診断装置を使用して、患者の解剖学的形状が画定され、治療装置の放射線特性が全体的にTPSに双方とも移入された測定値によって画定される。目標とする容積および危険器官とが画定され、ついで、危険器官に対する最大線量および目標などに対する最小線量のような基準が使用される治療のための最適計画が作成される。前記計画の結果は、投影、ビーム形態、作用領域の形状およびMLC‐リーフ(leaves)の移動等を画定するために放射線治療機械によって使用される情報である。
・ TPSにおいて患者特定の治療計画が線量測定に適したファントムに適用され、ファントム内部での線量分布が計算される。
・ 治療に先立って、計算に使用されるものと同一のオフラインの物理的ファントムが患者特定の治療を使用して照射される。ファントム内部の線量分布が測定され、線量の総和を確認し、測定値と、完全な作用領域、作用領域の細部分すなわち画分のために計画と比較する(オフラインの品質管理、すなわち事前治療認識)。更に、適当な時間あるいは強度調整した作用領域(Intensity Modulation field)での治療機械に対する同期性とによって画定された、各時間間隔に対するファントムの全ての測定点において、各作用領域に対して測定され、かつ記憶される。前述の手順は図4に示されている。
・ オフラインでのファントム内での測定と同時に、ファントム測定と同じ時間間隔を使用するか、または同調して、ファントムの表面上、あるいはファントムと治療線源との間のビームにおけるいずれかの位置における外部検出器、ExtDetを使用して、線量がまた測定される。この段階もまた、先ず検出器をファントムの内部に位置させて行い、各時間間隔に対して放射線を測定し、次いで検出器をファントムの上流側に位置させ、先行した放射状態を再現させ、それを各時間間隔に対して測定することができる。この方法により、双方の測定に対して同じ検出器を使用しうる。各ExtDet,各作用領域および時間間隔に対して得られた読み取り値が次いでファントムにおける線量値と共に較正係数を計算するために使用される。得られた読み取り値が先ず記憶され、その後較正係数が計算されるか、あるいはそれらが直ちに計算される。較正係数は
【数1】


によって計算されることが好ましい。但し、
D: ある時間間隔の間に、既知の形状、位置および方向によってファントムにおいて測定された吸収線量
S: ExtDetからの総和信号
n: 図3におけるExtDet32における検出器要素
f: 特定の作用領域(同一の作用領域によって画定されるビームの一投影)
seg: ExtDetにおける1個の特定検出器要素nの陰影容積として、かつ図3に示す作用領域f、36によって画定される1個の特定の投影とにおいて表現されるファントムにおけるセグメント
p: セグメントにおいて良好に画成された点
Cal: 較正係数
t(i): 間隔iの開始時の時間。t(0)はシーケンスの開始時間である。
t(i+1): 間隔i+1の開始時の時間。t(T)はシーケンスの終了時間である。
seg-n,f,p,t(i),t(i+1): DetExtの検出器要素nおよび時間t(i)からt(i+1)までの時間の作用領域(投影)のfの総和によって画定されるファントムセグメントにおける点Pでの線量
n,f,t(i),t(i+1): 時間t(i)から時間t(i+1)までの作用領域fにおけるExtDet検出器の要素nからの信号
Caln,f,seg-n,f,p,t(i),t(i+1): 作用領域fにおけるExtDetの検出器要素fによって使用されるべき較正係数。DetExtの検出器要素nおよび時間t(i)からt(i+1)までの作用領域(投影)fの総和によって画定されるファントムのセグメントの点pにおける線量を達成するために時間t(i)から時間t(i+1)までの信号の総和を変換する。
・ 患者の治療の間、各ExtDetによる読み取り値は、
【数2】


により、各時間間隔に対して前記較正係数を使用することによって、あたかも適所にあったように、ファントムにおけるそれぞれのセグメントにおける点での線量に今や変換することができる。
ファントムにおける点の各々の特定線量に対して全ての時間間隔からの読み取り値は合計されて、
【数3】


によりそれぞれの各作用領域に対するその点における合計線量を提供することができる。
【0027】
次いで、全ての作用領域から各々の特定の点までの線量は、完全な治療画分(完全な治療は数日あるいは数週に亘って提供される数個の画分から構成されている)に対する全ての点における合計線量を提供するように合計することができる。各点における合計線量は、オフラインでの確認(事前治療確認)と類似のファントムに適用されると、治療計画システムから得られる結果と直接比較することができる。
【0028】
測定された線量の値と計算された線量の値との間の偏差は、各時間間隔に対するデータを使用し、それによって分析段階を簡素化することによって分析することができる。
【0029】
もしも前記偏差がリーフの不正確な動きに起因したのであれば、ファントムにおける計算された線量の値は僅かに不正確であるかもしれないが、そのような場合、誤投与した治療の間の動きを擬したファントムの測定を使用することによって、正確な値を確認することができる。
【0030】
ExtDetの位置は、ファントム、例えばEPIDあるいはレントゲン写真用フィルムの下流側の結像装置からの像を使用することによりExtDetに対して十分画定された検出器の投影あるいはマーカを使用して、ファントムの、特に患者の上の横方向平面において検出することができる。
【0031】
検出器と対比して作用領域における患者の不正確な位置はEPID像に照射する検出装置にマーカ、例えば鉛シードを使用することによって可視とされる。数個の投影を使用して、患者の位置を画定することができる。
【0032】
治療計画と、(Sn,f,t(i),t(i+1))が(Dseg-n,f,p,t(i),t(i+1))と比例する場合の各時間間隔においてExtDetによって同時に測定された基準信号とによるファントムにおける線量の総和の流束量確認の代替的方法が、ファントムにおける線量に直接変換可能ではないものの、治療の間の各時間間隔に対する流束量の偏差を予測することができるようにする。
【0033】
患者の上流側の検出器、ExtDetによって流束量を測定する代替的な方法は、入力としてのMLC位置についての何らかの情報を使用して流束量を計算し、次いで、前述した方法を使用して前記流束量を較正し、例えば各時間間隔での流束量を事前処理確認の間ファントムにおいて測定された線量に対して較正することである。ファントムにおける線量のそのような検出はExtDetの使用と比較して精度および確認に限度があるが、治療の間の線量偏差をあたかも適所にあったかのようにファントムにおける線量として定量化することができるため、依然として極めて有用である。MLCリーフの位置を制御する手段が既に放射線治療装置に設けられているので、MLC位置に関する情報は容易に得ることができる。次いで、この情報はファントム内部の測定値と比較するために使用することができる。
【0034】
MLC位置の情報を使用する場合、較正係数は
【数4】


によって計算することができる。但し、
f,p,t(i),t(i+1): 時間t(i)から時間t(i+1)までの作用領域(投影)の総和fにおけるファントムの点pでの線量
n,f,t(i),t(i+1): 時間t(i)から時間t(i+1)までのファントムの総和において点pと交錯する光線に沿って患者と放射線源との間の作用領域fにおける放射線の流束量
Caln,f,p,t(i),t(i+1): 患者と放射線源との間の流束量とファントムにおける線量との間の関係を表わす較正係数
【0035】
ファントムにおける各特定の線量点についての全ての時間間隔からの読み取り値は、
【数5】


によりそれぞれの各作用領域における点での合計線量を提供するために合計することができる。
【0036】
本発明による方法は放射線治療装置の制御および測定システムにおいて、従ってそれによって、そこで利用可能なプロセッサおよび記憶手段を使用して実行することが可能である。本発明による方法は、本発明による方法の段階を実行する中央処理装置、CPUのような必要な装置を備える専用の装置(stand−alone unit)において実行しうることは勿論である。このことは、プログラムメモリに記憶されている専用のコンピュータプログラムの支援を得て実行される。コンピュータプログラムはまた、特別に適応されたコンピュータの代わりに汎用性の産業コンピュータにおいても作業しうることを理解すべきである。
【0037】
ソフトウエアはコンピュータプログラムのコード要素あるいは等式、アルゴリズム、データおよび前述した計算を使用して、本発明の方法をコンピュータが実行するようにさせるソフトウエアのコード部分を含む。前記プログラムの一部は前述のように、プロセッサに記憶させることができるが、ROM,RAM,PROM,あるいはEPROMのチップあるいはその類似のものにも記憶させることができる。前記プログラムは、部分的あるいは全体的に、ファームウエアとして例えば磁気ディスク、CD−ROM,あるいはDVDディスク、ハードディスク、磁気−光学的メモリ記憶手段、揮発性メモリ、フラッシュメモリに記憶させる、あるいはデータサーバに記憶させることも可能である。
【0038】
本発明の前述の説明および添付図面は本発明の非限定的な例と見なすべきで、本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって規定されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療において投与線量を定量化しうる方法において、
− 患者の治療計画に従ってファントムに放射線を放射する段階と、
− 前記ファントムにおいて測定する段階と、
− 前記ファントムと放射線源との間に配置された情報手段によって放射に関する情報を収集する段階であって、前記測定が時間間隔に分割される段階と、
− ファントムでの測定値間の関係に関する情報と、各時間間隔におけるファントムと治療放射線源との間の情報であって、患者の治療の確認のために使用される情報を得るために前記測定値を分析する段階
とを含むことを特徴とする投与線量を定量化しうる方法。
【請求項2】
前記情報手段が前記放射線源の放射ビームを成形するように配置されたマルチリーフコリメータ(MLC)のリーフの位置を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ファントムにおける測定と、マルチリーフコリメータのリーフの位置検出とが同時に実行されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記情報手段が検出器(ExtDet)からなることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ファントムにおける測定と検出器(ExtDet)による測定とが同時に実行されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
情報手段からの情報の読み取り値と、ファントムにおける放射光線に沿った測定値との比として前記の得られた関係情報から較正係数を計算することを特徴とする請求項2から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ファントムにおける測定値と患者と治療放射線源との間の情報との双方について各々の特定の時間間隔に対するデータを記憶する別の段階を含むことを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記較正係数が、
【数1】


によって計算され、但し、
seg-n,f,p,t(i),t(i+1): DetExt検出器要素nと、時間t(i)から時間t(i+1)までの作用領域(投影)の総和fとによって画定されるファントムセグメントにおける点pでの線量
n,f,t(i),t(i+1): 時間t(i)から時間t(i+1)までの作用領域の総和fにおけるExtDet検出器の要素nからの信号
Caln,f,seg-n,f,p,t(i),t(i+1): 作用領域fにおいてExtDet検出器の要素に使用される較正係数で、DetExt検出器要素nと、時間t(i)から時間t(i+1)までの作用領域(投影)の総和fとによって画定されたファントムセグメントにおける点pでの線量を達成するために時間t(i)から時間t(i+1)までの信号の総和を変換すること、
であることを特徴とする請求項4または5に従属する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
検出器(ExtDet)が前記ファントムの表面に位置されることを特徴とする請求項4から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記検出器(ExtDet)が前記放射線源と前記ファントムの表面との間に位置されていることを特徴とする請求項4から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記検出器(ExtDet)が前記ファントムの内部に位置されていることを特徴とする請求項5から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記較正係数が
【数2】


によって計算され、但し
f,p,t(i),t(i+1): 時間t(i)から時間t(i+1)までの作用領域(投影)の総和fにおけるファントムの点pでの線量
n,f,t(i),t(i+1): 時間t(i)から時間t(i+1)までのファントムの総和において点pと交錯する光線に沿った、ファントムと放射線源との間の作用領域fにおける放射線の流束量
Caln,f,p,t(i),t(i+1): 患者と放射線源との間の流束量とファントムにおける線量との間の関係を表わす較正係数
であることを特徴とする請求項2または3に従属する、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記ファントムの放射の間に患者特定の治療計画を使用し、前記ファントムでの測定された線量を治療計画と比較してファントムの放射精度を確認することを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
例えばEPIDあるいはX線写真用フィルムの前記ファントムの下流側の結像装置からの像を利用して、ExtDetに対して十分画定された検出器あるいはマーカの投影を使用し、横方向平面におけるExtDetの位置を検出する別の段階を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項15】
一つの治療画分の、あるいは数個の治療画分に対して累積した患者における線量分布を使用する方法であって、所期の線量分布に適合させるために先行する治療によるものを次の治療で修正するように患者の解剖学的形状と投与された線量との測定値を使用して計算により線量の分布が得られることを特徴とする請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
放射線治療において投与線量を定量化しうるシステムにおいて、
患者の治療計画に従って、ファントム内の放射線の測定値を取得し、
前記ファントムと放射線源との間に配置された情報手段によって放射に関する情報を収集し、前記測定値が時間間隔に分割され、
ファントムでの測定値間の関係に関する情報と、各時間間隔におけるファントムと治療放射線源との間の情報であって、患者の治療の確認のために使用される情報を得るために前記測定値を分析する、
ように構成されたことを特徴とする投与線量を定量化しうるシステム。
【請求項17】
前記情報手段が前記放射線源の放射ビームを成形するように配置されたマルチリーフコリメータ(MLC)のリーフの位置を含むことを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
ファントム内の放射線の測定と、マルチリーフコリメータのリーフの位置検出とが同時に実行されるようにされた請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記情報手段が検出器(ExtDet)からなることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
ファントムにおける測定と検出器(ExtDet)による測定とが同時に実行されるように構成されたことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
情報手段からの情報の読み取り値と、ファントムにおける放射光線に沿った測定値との比として前記の得られた関係情報から較正係数を計算するように構成されたことを特徴とする請求項17から20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
ファントムにおける測定値と患者と治療放射線源との間の情報との双方について各々の特定の時間間隔に対するデータを記憶するように構成されたことを特徴とする請求項16から21までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記較正係数が、
【数3】


によって計算されるように構成され、但し、
seg-n,f,p,t(i),t(i+1): DetExt検出器要素nと、時間t(i)から時間t(i+1)までの作用領域(投影)の総和fとによって画定されるファントムセグメントにおける点pでの線量
n,f,t(i),t(i+1): 時間t(i)から時間t(i+1)までの作用領域の総和fにおけるExtDet検出器の要素nからの信号
Caln,f,seg-n,f,p,t(i),t(i+1): 作用領域fにおいてExtDet検出器の要素に使用される較正係数で、DetExt検出器要素nと、時間t(i)から時間t(i+1)までの作用領域(投影)の総和fとによって画定されたファントムセグメントにおける点pでの線量を達成するために時間t(i)から時間t(i+1)までの信号の総和を変換すること、
であることを特徴とする請求項19または20に従属する、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
検出器(ExtDet)が前記ファントムの表面に位置されることを特徴とする請求項19から23までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記検出器(ExtDet)が前記放射線源と前記ファントムの表面との間に位置されていることを特徴とする請求項19から23までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記検出器(ExtDet)が前記ファントムの内部に位置されていることを特徴とする請求項20から22までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記較正係数が
【数4】


によって計算されるように構成され、但し
f,p,t(i),t(i+1): 時間t(i)から時間t(i+1)までの作用領域(投影)の総和fにおけるファントムの点pでの線量
n,f,t(i),t(i+1): 時間t(i)から時間t(i+1)までのファントムの総和において点pと交錯する光線に沿った、ファントムと放射線源との間の作用領域fにおける放射線の流束量
Caln,f,p,t(i),t(i+1): 患者と放射線源との間の流束量とファントムにおける線量との間の関係を表わす較正係数
であることを特徴とする請求項17または18に従属する、請求項21に記載のシステム。
【請求項28】
前記ファントムの放射の間に患者特定の治療計画を使用し、前記ファントムでの測定された線量を治療計画と比較してファントムの放射精度を確認するように構成されたことを特徴とする請求項16から27までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
例えばEPIDあるいはX線写真用フィルムの前記ファントムの下流側の結像装置からの像を利用して、ExtDetに対して十分画定された検出器あるいはマーカの投影を使用し、横方向平面におけるExtDetの位置を検出するように構成されたことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項30】
放射線治療装置によって放射線を放射するように構成されたことを特徴とする請求項16から29までのいずれか1項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−157706(P2012−157706A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−84649(P2012−84649)
【出願日】平成24年4月3日(2012.4.3)
【分割の表示】特願2004−500991(P2004−500991)の分割
【原出願日】平成15年5月6日(2003.5.6)
【出願人】(504409864)
【Fターム(参考)】