説明

体内の所望の位置に案内される電場による癌の治療

【課題】一定の特性を有する電場が、癌細胞(およびその他の急速に分裂する細胞)の増殖の抑制に効果的であることが示されている。ただし、癌が人体表面の下の目標領域に位置すると、上記の有益な電場を目標領域に送り届けることが困難な場合がある。
【解決手段】この困難は、人体表面と目標領域の間に生体適合電場ガイドを配置し、この電場ガイドの両側に電極を配置し、その電極の間に適切な周波数および振幅を有するAC電圧を印加することによって克服することができる。この配置により、電場ガイドによって有益な電場が一定のルートで目標領域に送られる。代替実施形態では、電極の一方が電場ガイドの上端に直接配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国仮出願第60/688,998号(2005年6月8日出願)の優先権の利益を主張する。
【0002】
米国特許第6,868,289号明細書は、特定の特性を有する電場を使用して腫瘍を治療する方法および装置を開示しており、この特許を参照によりここに援用する。上記特許はまた、電場強度を所望の位置で変更する様々な方法も開示している(例えば図21〜26を参照)。
【0003】
本願は、電場を、患者の体の所望の位置で、著しく大きくまたは小さくするように変更するための追加の方法を開示する。これらの変更は、病変および腫瘍の治療の質および選択性を改善し、選択的な組織の切除または破壊を改善することができる。
【背景技術】
【0004】
図1Aは、2つの電極11、11'が、大気環境16内で、皮下組織10(例えば筋肉)の上にある患者の皮膚15に置かれる配置を示す。図1Bは、絶縁された電極11、11'が図1Aに示されているように皮膚15上に位置し、100kHzのAC信号がその電極に印加されたときに、大気と筋肉組織内に生成される電場の有限要素シミュレーションの結果を示す。この絶縁された電極は、米国特許第6,868,289号に記載されているように導電性のコアと誘電率が高い絶縁層を有し、導電性のコアと人体表面の間に絶縁層が配設されて、人体表面に接触するように構成されるのが好ましい。
【0005】
図1Bは、(電極の端子間に十分大きな電圧を印加することによって、)第1の電極のすぐ下にある組織の近位側と第2の電極のすぐ下にある組織の近位側との間にAC1ボルト(ゼロからピークまでの測定値)が誘導されたときの電場強度をmV/cm単位で示す(本明細書に含まれるその他すべての電場強度マップも同様)。図1Bの主断面図(および本明細書に含まれるその他の電場強度マップ)にあるx軸およびy軸に沿った数字は、計測された距離をcm単位で表す。各等値線は、1Vピークからの一定降下量を表し、その単位はmV/cmで与えられる。ただし、値がより高いところでは電圧が非常に急激に変化しているため、等値線が合流して一様な黒色の領域のようにみえるものを形成していることに留意されたい。
【0006】
図1Bでは、電場強度が皮膚15の上にある大気でも、皮膚15の下にある組織でも、電極11、11'の縁部近傍の領域で最大になること、ならびに電場強度が距離とともに急速に減衰することがわかる。その結果、腫瘍が皮膚15の下の比較的深部にあると、その腫瘍の目標領域へ、効果的な治療を行うために必要な所望の電場強度を送り届けることが困難な場合がある。
【0007】
人の頭部にも、それと同様の状況がある。図2は、すべての組織の構成要素に、それに対応する電気的特性を与えた、人の頭部5の概略図である。この頭部は、皮膚1、骨2、灰白質3および白質4を含む。図3Aは、頭部の同じ側の皮膚表面上にある電極11、11'の配置の概略図であり、図3Bは、100kHzのAC場が電極間に印加されたときの条件下に生成される電場を示す(この電場の計算は、図2に示されている頭部の概略図に基づいて、有限要素シミュレーションによって行われた)。この電場強度は、皮膚および脳の表層部位の電極の近傍で最高になり、急速に低下する。特に、頭部の中央近傍の電場強度は非常に弱い(すなわち、20mV/cmより小さい)。
【0008】
図4Aは、人の頭部の両側にある電極11、11'の配置の概略図であり、図4Bは、100kHzのAC電場が電極間に印加された条件下で生成される電場を示す。前と同様に、電場の計算は有限要素シミュレーションによって行われ、前と同様に、頭部の中央近傍の電場強度は非常に弱い(すなわち、24mV/cmより小さい)。電場強度は、皮膚および脳の表層領域の電極の近傍で最高になり、急速に低下し、その結果、電場強度は頭部の中心で比較的小さくなる。したがって、表面すなわち電極から一定の距離のところにある腫瘍または病変に対する電場の治療効果は、それに対応して小さくなるはずである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国仮出願第60/688,998号明細書
【特許文献2】米国特許第6868289号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】E. D. Kirson他、Disruption of Cancer Cell Replication by Alternating Electric Fields、Cancer Research64、3288 - 3295、2004年5月1日
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
生体適合電場ガイドが、人体表面とその表面の下の目標領域の間に配置される。電場ガイドによって電場が一定のルートで目標領域まで送られるように、電極が電場ガイドの両側に配置され、その電極の間に適切な周波数および振幅を有するAC電圧が印加される。代替実施形態では、電極の一方が電場ガイドの上端に直接配置される。
【0012】
本発明者は、適切な電場ガイドを使用すると、電場を患者の体の所望の位置に案内できることを認めた。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】目標領域の上の患者の皮膚上に配置された2つの電極の概略図である。
【図1B】図1Aの配置の結果生じる電場を示す図である。
【図2】人の頭部の概略図である。
【図3A】頭部の同一の側部に配置された2つの電極の概略図である。
【図3B】図3Aの配置の結果生じる電場を示す図である。
【図4A】頭部の両側に配置された2つの電極の概略図である。
【図4B】図4Aの配置の結果生じる電場を示す図である。
【図5A】中空でない絶縁されたロッドを使用する本発明の第1の実施形態の断面図である。
【図5B】中空でない絶縁されたロッドを使用する本発明の第1の実施形態の平面図である。
【図6A】図5の配置の結果生じる電場を示す図である。
【図6B】図6Aの中心の拡大図である。
【図7A】中空の絶縁されたロッドを使用する第2の実施形態の電場を示す図である。
【図7B】図7Aの中心の拡大図である。
【図8A】導電性のゲルが追加されたときの第3の実施形態の電場を示す図である。
【図8B】図8Aの中心の拡大図である。
【図9A】中空の導電性ロッドを使用する第3の実施形態の電場を示す図である。
【図9B】図9Aの中心の拡大図である。
【図9C】6本の中空金属製チューブ電場ガイドの電場強度プロットの一群を示す図である。
【図10A】中空でない導電性ロッドの使用の結果生じる電場を示す図である。
【図10B】図10Aの中心の拡大図である。
【図11A】中空でない絶縁されたビードを使用する本発明の第4の実施形態の断面図である。
【図11B】中空でない絶縁されたビードを使用する本発明の第4の実施形態の平面図である。
【図12A】図11の配置の結果生じる電場を示す図である。
【図12B】図12Aの中心の拡大図である。
【図13A】中空の導電性ビードを使用する第5の実施形態の電場を示す図である。
【図13B】図13Aの中心の拡大図である。
【図14】導電性のゲルが電極の間の皮膚の表面上に配置された、第6の実施形態の電場を示す図である。
【図15】ロッド状の電場ガイドが電極の一方の真下に配置された、代替配置の電場を示す図である。
【図16】電場を重要な器官を通過せずに目標領域に案内する湾曲した電場ガイドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、絶縁部材が、所与の媒体すなわち組織内の、電場ガイド(FG)として作用可能となる位置に差し込まれる。それにはロッド、チューブ、バー、糸などの細長い形状が好ましいが、その他の形状(例えば、シートやプレート)も使用することができる。これらの実施形態では、FGの電気インピーダンスZFGは、媒体の電気インピーダンスZMよりかなり高い(ZFG>>ZM)。例えば、FGは、プラスチック(例えばポリスチレン、PVC(ポリ塩化ビニル)、テフロン(登録商標))、シリコーン、ゴムなどの誘電性の絶縁材料で形成することができ、媒体は組織(例えば、筋肉)である。非常に誘電率が高い絶縁体('289号特許の電極絶縁材を参照)が、誘電特性が低いものよりも好ましいことがある。医療用途で使用する場合は、FGは、好ましくは生体適合材料で形成されるべきである。任意選択で、FGは、本明細書に記載されている電気特性がこのままである限り、生物分解性の材料で形成されてもよい。
【0015】
図5Aおよび5Bは、絶縁されたロッド12が絶縁された電極11、11'の対の間の組織10内に挿入されている第1の実施形態の断面図および平面図である。FGロッド12の上側端部は、皮膚15のすぐ下に位置する。このロッドの好ましい直径は、約0.5mm〜約10mmであるが、この範囲外の直径を使用してもよい。
【0016】
図6Aは、中空でないプラスチックで形成され、インピーダンスが組織のインピーダンスより4〜6桁高く、誘電率が約2〜3である、長さ5cm、直径3mmの絶縁されたFGロッド12aが、絶縁された電極11、11'の対の間の組織10に挿入されたときに組織に生成される電場の有限要素シミュレーションを示す。両電極の上側(近位)端部は、皮膚表面上に配置され、100kHzのAC電圧が電極間に印加される。図6Bは、電場をより詳細に示すための、拡大された図6Aの中心部分である。図6Aおよび6Bからわかるように、電場強度はロッド12aのすぐ下ではるかに高くなっている。したがって、所望の目標位置の真上に位置するようにFGを挿入することによって、電場は、その電場の対応する有益な('289号特許に記載されているような)効果を伴って、所望の位置の方を向く。
【0017】
第2の実施形態は、第1の実施形態の中空でない絶縁されたロッド12aの代わりに中空の絶縁されたロッド12bが使用されていることを除いて、第1の実施形態と類似している。この例におけるロッドは、3mmの外径と2.5mmの内径を有し、長さはやはり5cmである。図7Aは、この第2の実施形態の電場の有限要素シミュレーションを示し、図7Bは、図7Aの中心の拡大図を示す。ここでやはり、電場強度は、ロッドのすぐ下ではるかに高くなっている。したがって、電場を所望の位置に向けるために、中空の絶縁FGも使用することができることがわかる。
【0018】
任意選択で、導電性のゲルを、皮膚の表面上の絶縁された電極同士の間の領域に配置することができる。図8Aは、導電性のゲル42が皮膚上の電極11と11'の間に塗り広げられたときの第2の実施形態(絶縁された中空ロッド12bを使用する)の電場の有限要素シミュレーションを示し、図8Bは、図8Aの中心の拡大図を示す。ここでやはり、電場強度は、ロッドのすぐ下ではるかに高くなっている。さらに、電場は、ゲル42の下にある皮膚15の表面のすぐ下の電極同士の間の領域でも、強くなっている。この実施形態に関して説明した導電性のゲルは、本明細書に記載のその他の実施形態に使用してもよく、同様の結果が生じることに留意されたい。
【0019】
第3の実施形態では、第2の実施形態の中空の絶縁ロッドの代わりに、中空の導電性のロッドが使用される。この第3の実施形態では、FGの電気インピーダンスZFGが、媒体のインピーダンスZMよりかなり低い(ZFG<<ZM)。例えば、FGは、金、ステンレススチール、チタンなどの金属で形成することができ、媒体は組織(例えば、筋肉)である。図9Aは、中空の導電性ロッド12cを使用するこの第3の実施形態の電場の有限要素シミュレーションを示し、図9Bは、図9Aの中心の拡大図である。ここでやはり、電場強度は、ロッド12cのすぐ下ではるかに高くなっている。したがって、電場を所望の位置に向けるために、中空の導電性のFGも使用することができることがわかる。
【0020】
図9Cは、6つの異なる直径を有する6本の中空金属製チューブFG(それぞれ長さ5cmを有する)の電場強度プロット群と、7番目の平坦な、FGが使用されていない場合の電場強度プロットを示す。各プロットは、チューブの深さでの電場強度が、チューブの先端の中心からの水平方向の距離の関数としてどのように変動するかを示す。図9Cからわかるように、最も幅広いプロットは、内径5mmのチューブに対応し、引き続いてそれより幅の狭いプロットは、それぞれ内径4、3、2、1、および0.5mmのチューブに対応する。示されているプロット同士の間については、FG先端中心での最大電場強度は、直径2mmのチューブの場合に生じる。
【0021】
代替実施形態(図示せず)では、FGは、絶縁材や生体適合材層でコーティングされた中空の金属製ロッドなどの複合構造のものでもよい。その他の代替実施形態では、ロッドの上端が患者の皮膚の表面のすぐ下になる深さまでロッドを組織内に打ち込む代わりに、皮膚を貫いて突出するロッドを、同様の効果レベルで使用することができる。そういった実施形態では、感染の危険を低減するために適当な予防措置を講じることが望ましい。
【0022】
上記の実施形態では、電場を組織の深い部分に送り届けるのにFGが効果的であるとわかる。それに反して、中空でない導電性ロッド12dを使用したとすると、図10Aおよび10Bの有限要素シミュレーションに示されているように、電場はロッドの下端より下へ向けられないはずである。
【0023】
図11Aおよび11Bは、本発明の第4の実施形態の断面図および平面図である。この実施形態では、短い絶縁された中空でないFGビード22が、2つの絶縁された電極11、11'の間の皮膚15のすぐ下に挿入される。第1の実施形態に関して上記に説明した絶縁されたFGロッド12aに適した同じ材料がまた、絶縁されたビード22にも適している。この実施形態の例示された例のビードは、長さが1cm、外径が1cmの円筒形である。その他のビードの形状(例えば立方体)を使用してもよい。
【0024】
図12Aは、絶縁されたビード22が絶縁された電極11、11'の対の間の皮膚の下の組織10の中に挿入されたときに、組織で生成される電場の有限要素シミュレーションを示す。電極は皮膚表面に配置され、100kHzのAC電圧がその電極の間に印加される。図12Bは、電場を詳細に示すための、拡大された図12Aの中心部分である。図12Aおよび12Bからわかるように、電場強度は、図1Aおよび1Bに示されているFGが無い場合と比較すると、皮膚表面の下で高くなっている。したがって、この実施形態は、悪性黒色腫の皮膚の病変や乳癌からの皮膚転移などの浅い腫瘍に電場を向けるのに役立つ。
【0025】
図13Aおよび13Bは、前述の実施形態の絶縁されたビード22が中空の導電性のビード32に置き換えられた第5の実施形態の組織で生成される電場の有限要素シミュレーションの標準図と拡大図である。この実施形態の電場強度もまた、図1Aおよび1Bに示されているFGが無い場合と比較すると、皮膚表面の下で高くなっている。したがって、この第5の実施形態もまた、電場を浅い腫瘍に向けるのに役立つ。
【0026】
図14は、導電性のFGが、絶縁された電極11、11'の間の皮膚上に、皮膚表面に平行に配置された第6の実施形態を示す。この例示の実施形態では、導電性のFGは、皮膚上で、電極の下とその間の領域における連続的な層に塗り広げられた導電性のゲル42である。このゲルは、高い導電率を有し、長期間にわたって生体適合性を有しているのが好ましい。1つの適当なゲルは、AG603ヒドロゲルである。このゲルは、AmGel Technologies社(1667 S. Mission Road, Fallbrook, CA92028 - 4115, USA)から入手することができる。導電性のゲルが無い場合と比較すると(図1Bからわかるように)、2つの電極11、11'の間の領域内の皮膚15および皮下組織10に、電場の著しい増大が存在する。
【0027】
上記の実施形態の変形形態では、FGを図5〜9のように電極同士の間に配置する代わりに、FGロッドまたはビード52(上記のように中空でない絶縁ビードでも、中空の絶縁ビードでも、中空の導電性のビードでもよい)が、絶縁された電極11の一方の真下に配置される。図15は、この構造の電場の有限要素シミュレーションを示す。前と同様に、FGのすぐ下の電場強度は、図1Bに示されているFGが使用されていない場合に対応する深さのものよりはるかに高くなっている。
【0028】
図1〜10で直線状のFGを示したが、腫瘍の近くの組織構造に適切なその他の形状を代替実装形態で使用してもよい。図16では、例えば、湾曲したFG52が、目標部位14までの途中で重要な器官13を迂回するため(直線状のFGで器官13を突き刺すのを避けるため)に使用される。単繊維の釣り糸に似た細い可撓性のあるFGを使用してもよく、こういったFGを使用した場合、この解剖学的部位に対して適切な案内器具を使用すると、FGを所望の位置に通すことができる。
【0029】
表層FGは、皮膚の表面上、表面の下、皮膚を貫通して、あるいはそれらを組み合わせたものに配置することができる。表層の導電性FGは、ゲルの層、金属シート、ロッドチューブなどでもよい。このFGは、皮下注射針や、ガイド付きカテーテルのような器具、切開などによって定位置に挿入し操作することができる。任意選択で、活動状態の電極と、表層FGと、内部FGを組み合わせたものを、必要に応じて、所望の電場を得るために使用してもよい。
【0030】
上記の実施形態を、電場強度を組織内の特定の位置で増大させる文脈で説明したが、FGの副次的作用は、電場強度がその他の部位で低減するということである。この状況は、影響、刺激、または加熱に敏感な人体すなわち組織内の部位を避けるために、電場強度がより低い領域を作り出すのにFGを使用することによって利用することができる。これによって、素子を取り囲む閉じた導体または部分的に閉じた導体('289号特許に記載されている、影響を受けやすい器官を取り囲む導電性の網など)の遮蔽効果に依存することなく、敏感な部位を保護する能力がもたらされる。図6、7、および9の断面を3次元に拡張することによって、リング(30)またはドーナツ状の形をした電場低減領域の生成例を想像することができる。この場合、低電場領域(図1Bに示されているFGがない場合のより高い電場と比較すると)がFGを取り囲むことが明らかとなる。
【0031】
上記のFGの利用によって、例えば、脳、肺、腸、肝臓、膵臓、胸部、前立腺、卵巣などを含む多くの深部の体内位置にある腫瘍または病変の治療効果を増すことができる。最適な周波数および電場強度は、治療している個別の問題に応じて変化する。多くのタイプの癌では、1V/cmから10V/cmの電場強度で100kHzから300kHzの周波数が有用であることが示されている。例には、B16F1黒色腫(120kHzの電場の作用を受けやすい)や、F-98神経膠腫(150kHzから250kHzの電場の作用を受けやすい)が含まれるE. D. Kirson他のDisruption of Cancer Cell Replication by Alternating Electric Fields、Cancer Research64、3288 - 3295、2004年5月1日を参照されたい。この文献を参照によりここに援用する。
【符号の説明】
【0032】
1 皮膚
2 骨
3 灰白質
4 白質
10 組織
11 電極
11' 電極
12 ロッド
13 重要な器官
14 目標部位
15 皮膚
16 大気環境
22 ビード
42 ゲル
52 ビード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体表面の下の目標領域に位置する、急速に分裂する細胞の増殖を抑制するための装置であって、
(a)近位端と、(b)遠位端と、(c)人体のインピーダンスよりはるかに高い、またははるかに低いインピーダンスとを有する生体適合電場ガイドを備え、前記遠位端が、人体表面下でかつ前記目標領域に隣接して配置され、前記近位端が、前記人体表面の近傍またはその上に配置され、前記遠位端は前記近位端よりも人体表面下にさらに深くに配置され、
さらに
前記電場ガイドの第1の側の前記人体表面上に配置された第1の電極と、
前記電場ガイドの第2の側の前記人体表面上で、かつ、人体の前記第1の電極と同じ側に配置される第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極の間にAC電圧を生成するように構成されたAC電圧源とを備え、前記AC電圧の周波数および振幅と、前記電場ガイドの前記インピーダンスとが、前記急速に分裂する細胞の増殖を抑制する電場を前記目標領域に形成させる値を有する装置。
【請求項2】
前記電場ガイドがロッド形である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電場ガイドが湾曲している、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1および第2の電極がそれぞれ、導電性のコアと、誘電率が高い絶縁層を有し、前記第1および第2の電極が、前記導電性のコアと前記人体表面の間に前記絶縁層が配設されて前記人体表面に接触するように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記AC電圧が、100kHzから300kHzの周波数を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記目標領域の電場が、1V/cmより大きい電場強度を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記電場ガイドのインピーダンスが、前記人体のインピーダンスよりもはるかに高い、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1および第2の電極がそれぞれ、導電性のコアと、誘電率が高い絶縁層を有し、前記第1および第2の電極が、前記導電性のコアと前記人体表面の間に前記絶縁層が配設されて前記人体表面に接触するように適合される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記AC電圧が、100kHzから300kHzの周波数を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記目標領域の電場が、1V/cmより大きい電場強度を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
人体表面の下の目標領域に位置する、急速に分裂する細胞の増殖を抑制する方法であって、
(a)近位端と、(b)遠位端と、(c)人体のインピーダンスよりはるかに高い、またははるかに低いインピーダンスとを有する生体適合電場ガイドを、前記遠位端が前記目標領域に隣接し、前記近位端が前記人体表面の近傍またはその上になるように配置すると共に、前記遠位端を前記近位端よりも人体表面下にさらに深くに配置するステップと、
前記電場ガイドの第1の側の前記人体表面上に第1の電極を配置するステップと、
前記電場ガイドの第2の側の前記人体表面上で、かつ、人体の前記第1の電極と同じ側に配置される第2の電極を配置するステップと、
前記第1の電極と前記第2の電極の間にAC電圧を印加するステップとを備え、前記AC電圧の周波数および振幅と、前記電場ガイドの前記インピーダンスとが、前記急速に分裂する細胞の増殖を抑制する電場を前記目標領域に形成させる値を有する方法。
【請求項12】
前記電場ガイドのインピーダンスが、前記人体のインピーダンスよりもはるかに高い、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1および第2の電極がそれぞれ、導電性のコアと、誘電率が高い絶縁層を有し、前記第1および第2の電極が、前記導電性のコアと前記人体表面の間に前記絶縁層が配設されて前記人体表面に接触するように適合される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記AC電圧が、100kHzから300kHzの周波数を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記目標領域の電場が、1V/cmより大きい電場強度を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
人体表面の下の目標領域に位置する、急速に分裂する細胞の増殖を抑制するための装置であって、
(a)近位端と、(b)遠位端と、(c)人体のインピーダンスよりはるかに高い、またははるかに低いインピーダンスとを有する生体適合電場ガイドを備え、前記遠位端が、人体表面下でかつ前記目標領域に隣接して配置され、前記近位端が、前記人体表面の近傍またはその上に配置され、さらに
前記電場ガイドの真上の前記人体表面上に配置された第1の電極と、
前記電場ガイドの側方にずれた前記人体表面上に配置された第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極の間にAC電圧を生成するように構成されたAC電圧源とを備え、前記AC電圧の周波数および振幅と、前記電場ガイドの前記インピーダンスとが、前記急速に分裂する細胞の増殖を抑制する電場を前記目標領域に形成させる値を有する装置。
【請求項17】
前記電場ガイドのインピーダンスが、前記人体のインピーダンスよりもはるかに高い、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第1および第2の電極がそれぞれ、導電性のコアと、誘電率が高い絶縁層を有し、前記第1および第2の電極が、前記導電性のコアと前記人体表面の間に前記絶縁層が配設されて前記人体表面に接触するように適合される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記AC電圧が、100kHzから300kHzの周波数を有する、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記目標領域の電場が、1V/cmより大きい電場強度を有する、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
人体表面の下の目標領域に位置する、急速に分裂する細胞の増殖を抑制する方法であって、
(a)近位端と、(b)遠位端と、(c)人体のインピーダンスよりはるかに高い、またははるかに低いインピーダンスとを有する生体適合電場ガイドを前記遠位端が前記目標領域に隣接し、前記近位端が前記人体表面の近傍またはその上になるように配置するステップと、
前記電場ガイドの真上の前記人体表面上に第1の電極を配置するステップと、
前記電場ガイドの側方へずれた前記人体表面上に第2の電極を配置するステップと、
前記第1の電極と前記第2の電極の間にAC電圧を印加するステップとを備え、前記AC電圧の周波数および振幅と、前記電場ガイドの前記インピーダンスとが、前記急速に分裂する細胞の増殖を抑制する電場を前記目標領域に形成させる値を有する方法。
【請求項22】
前記電場ガイドのインピーダンスが、前記人体のインピーダンスよりもはるかに高い、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1および第2の電極がそれぞれ、導電性のコアと、誘電率が高い絶縁層を有し、前記第1および第2の電極が、前記導電性のコアと前記人体表面の間に前記絶縁層が配設されて前記人体表面に接触するように適合される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記AC電圧が、100kHzから300kHzの周波数を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記目標領域の電場が、1V/cmより大きい電場強度を有する、請求項24に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−46820(P2013−46820A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−243678(P2012−243678)
【出願日】平成24年11月5日(2012.11.5)
【分割の表示】特願2008−515307(P2008−515307)の分割
【原出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(505121626)スタンデン・リミテッド (6)
【Fターム(参考)】