説明

体動検出装置及び体動検出方法

【課題】使用者個人の活動パターンを考慮した、使用者個人に適した体動の検出の条件の設定を自動的に行うことができ、これにより検出された体動に応じたより正確な消費エネルギーを算出する。
【解決手段】使用者の体動を検出して体動に関する体動情報を取得する体動情報取得手段と、体動情報に基づく消費エネルギーを算出する演算手段と、を有する体動検出装置であって、体動情報を取得したときの時間情報を取得する時間情報取得手段と、体動情報を前記時間情報に対応させて蓄積可能なデータ蓄積手段と、体動を検出する検出条件を、データ蓄積手段において蓄積された体動情報及び時間情報に基づいて変更可能な検出条件変更手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の体動を検出し、その体動による消費エネルギーを算出する体動検出装置及び体動検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、体動検出装置の一つとして歩数計があり、特に消費エネルギーの算出機能が付加されているものが広く普及している。このような歩数計は、使用者の歩行(走行を含む。以下同じ。)による歩数(ステップ)をカウントし、この歩数に応じた消費エネルギーを算出するようになっている。また、その他の体動検出装置としては、例えば、特許文献1に示すようなものが提案されている。このような従来の歩数計を含む体動検出装置では、誰が使用するかにかかわらず、予め設定されている条件を満たす体動を検出し又は検出しない処理が行われるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−191580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、体動検出装置の使用者は、例えば学生、社会人、主婦などのように、それぞれ異なる生活を営んでいる。そのため、従来の体動検出装置のように、総ての使用者に対して常に一定条件で体動の検出の処理を行うものでは、使用者個人の体動の特性に鑑みた検出処理を行うことができないものであった。一方、使用者個人の普段の生活の仕方(活動パターン)を考慮して、使用者個人に適した検出条件により体動の検出の処理を行う方が、使用者個人の消費エネルギーをより正確に算出することができる。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、使用者個人の活動パターン(生活パターン、行動パターン)を考慮した、使用者個人の活動パターンに適した検出条件に基づいて体動の検出の処理を行うことにより、検出された体動に応じた消費エネルギーをより正確に算出することを目的とする。別言すれば、本発明は、使用者個人の行動に関するデータを継続的に蓄積し、蓄積されたデータに基づいて体動検出の条件を変更し、これにより検出された体動に応じた消費エネルギーを算出することができる体動検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の体動検出装置は、使用者の体動を検出して前記体動に関する体動情報を取得する体動情報取得手段と、前記体動情報に基づく消費エネルギーを算出する演算手段と、を有する体動検出装置であって、前記体動情報を取得したときの時間情報を取得する時間情報取得手段と、前記体動情報を前記時間情報に対応させて蓄積可能なデータ蓄積手段と、前記体動を検出する検出条件を、前記データ蓄積手段において蓄積された前記体動情報及び前記時間情報に基づいて変更可能な検出条件変更手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の体動検出装置において、前記時間情報は、体動情報を取得したときの曜日及び時刻を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の体動検出装置は、前記データ蓄積手段において蓄積された前記体動情報及び前記時間情報に基づいて、前記使用者の活動パターン情報を取得する活動パターン情報取得手段を有し、前記検出条件変更手段は、前記検出条件を前記活動パターン情報に基づいて変更可能であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の体動検出装置において、前記検出条件は、体動強度に関する閾値であり、前記検出条件変更手段が前記検出条件を変更することにより、前記閾値に満たない体動強度の体動を検出しないことが可能であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の体動検出装置において、前記検出条件は、使用者が歩行及び/又は走行をしているか否かの判別に関する閾値であり、前記検出条件変更手段が前記検出条件を変更することにより、変更前よりも前記使用者が歩行及び/又は走行をしていると判別されやすくなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の体動検出装置において、前記検出条件変更手段が前記検出条件を変更することにより、省電力モードへの変更が可能であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の体動検出装置において、前記体動情報取得手段は、前記体動情報の取得を所定単位時間ごとに行い、前記検出条件変更手段は、前記所定単位時間ごとに前記検出条件を変更可能であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の体動検出方法は、使用者の体動を検出して前記体動に関する体動情報を取得する体動情報取得ステップと、前記体動情報に基づく消費エネルギーを算出するエネルギー演算ステップと、を有する体動検出方法であって、前記体動情報を取得したときの時間情報を取得する時間情報取得ステップと、前記体動情報を前記時間情報に対応させて蓄積可能なデータ蓄積ステップと、前記体動を検出する検出条件を、前記データ蓄積ステップにおいて蓄積された前記体動情報及び前記時間情報に基づいて変更可能な検出条件変更ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使用者個人の活動パターンを考慮した、使用者個人に適した体動の検出の条件の設定を自動的に行うことができ、これにより検出された体動に応じたより正確な消費エネルギーを算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る体動検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る体動検出装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る体動検出装置のデータ蓄積処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の体動検出装置の使用者の平日の活動パターンの例を示す図である。
【図5】本発明の体動検出装置の使用者の休日の活動パターンの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態としての体動検出装置について、図面を参照しつつ説明する。図1は、体動検出装置10の構成を示すブロック図である。図1に示すように、体動検出装置10は、操作部21、表示部22、電源部23、加速度センサ31、演算部32、記憶部33、計時部34、A/D変換器35、及び、制御部40を備える。以下に、各部の詳細な構成について説明する。
【0017】
まず、本発明において、体動情報とは、使用者の体動に関する情報であり、より具体的には、使用者の体動(例えば、歩行、走行、これら以外の活動(日常生活動作))を反映する情報であり、体動の強弱に関する体動情報(体動強度)や、体動の反復性・連続性、同じ体動が繰り返されているときの体動のピッチ(体動ピッチ)や回数(例えば歩数(ステップの回数))などが挙げられ、後述の蓄積済み体動情報、活動パターン情報を含む。体動強度としては、使用者の体動の加速度値に関するデータを用いるのが特に好適である。また、加速度値に関するデータとしては、体動ごとの上限ピーク値から下限ピーク値を差し引いた値、体動ごとの加速度値自体、一定時間当たりの加速度値の積算値(「加速度値の大きさ」)など、適宜採択可能である。
また、体動とは、使用者の体の動作全般を指し、歩行、走行のほか、これら以外の活動(例えば、反復性・連続性のない又は極端に少ないステップ動作、上半身のみの動作などを含む。主として日常生活動作。)が含まれる。
【0018】
操作部21(生体情報取得手段)は、主として、使用者の生体情報の入力や、体動検出装置10の設定事項を入力するためのデータ入力手段として機能する。操作部21の個数・形状・操作方法は特に限定されるものではなく、ボタン式、タッチセンサ式、ダイヤル式など適宜採択可能である。ここで、操作部21によって入力される生体情報としては、一例として、体重、身長、年齢、性別、除脂肪量などをあげることができるが、後述のように使用者の体動による消費エネルギーを求めるために必要な生体情報であれば特に限定されるものではない。また、設定事項とは、使用者が体動検出装置10を使用する上での設定事項であり、例えば、体動検出装置10の初期設定、現在の曜日・時刻、表示部22における表示内容の切り替えなどが挙げられる。このように入力された生体情報や設定事項は、制御部40の制御により、記憶部33(例えばRAM(Random Access Memory))に記憶され、表示部22に表示されるようになっている。
【0019】
表示部22は、制御部40から送られてくるデータを表示するためのデータ表示手段であって、主として使用者の生体情報や設定事項の表示、操作の案内表示、現在時刻・日付・曜日の表示、その使用日における通算の消費エネルギーや歩数・歩行距離・歩行以外の活動時間・安静時間、これらの過去数日分のデータの表示などを行う。表示内容は記憶部33に記憶されており、制御部40は、記憶部33にあらかじめ記憶されたプログラムにしたがい、体動検出装置10の使用状況に応じて、記憶部33からデータを読み出して、表示部22に表示させるようになっている。表示部22は、一例として、LCD(Liquid Crystal Display)などの液晶を用いたものを採用すればよいが、表示部22と操作部21とを、例えばタッチパネル機能を備えた液晶表示パネルとして一体的に構成してもよい。
【0020】
電源部23は、電池(バッテリー)などの電力供給源によって構成される電力供給手段であり、体動検出装置10の各構成部材には、制御部40を介して電力が供給されるようになっている。
【0021】
体動検出装置10は、内部機構として、加速度センサ31、演算部32、記憶部33、計時部34、A/D変換器35、及び制御部40を備える。演算部32及び制御部40は、それぞれ集積回路により、一体的に構成することが好ましい。
【0022】
記憶部33は、揮発性メモリ(図示せず)、不揮発性メモリ(図示せず)などによって構成される記憶手段である。揮発性メモリは、制御部40による処理等のための各種データを一時的に記憶できるようになっている。また、演算部32の演算処理時の記憶領域としても機能する。不揮発性メモリは、長期保存すべきデータの記憶に使用される。例えば、後述のような過去の体動情報(判定値を含む)の曜日及び時刻ごとの記憶、使用者により入力された生体情報の記憶、消費エネルギー算出式の記憶、各種プログラムの記憶などに用いることができるようになっている。
【0023】
計時部34は、所定時間の経過の計測や、所定時間が経過しているか否かの判断を行い、例えば、使用者が体動検出装置10の使用を開始した時点からの経過時間の計測や、使用者の体動ピッチ(例えば、一歩当たりに要した時間)を判断することが可能である。なお、本実施形態では、計時部34は独立の構成要素としているが、計時回路として制御部40に一体化された構成とし、制御部40自身により所定時間を経過しているか否かの判断を行うようにしてもよい。また、計時部34は、時間情報取得手段として、制御部40による制御のもと、使用者の体動情報を取得したときの時間情報を取得する。取得された時間情報は、対応する体動情報とともに、記憶部33の所定領域に記憶される。ここで、時間情報としては、例えば、曜日、日付、時刻、時間帯が含まれる。時間情報は、使用者の活動パターンの時間軸(基準時間)として用いることができる。
【0024】
加速度センサ31は、使用者の体動に関する体動情報を取得する体動情報取得手段であり、使用者の体動によって生じる加速度値に応じ、出力値が変化するセンサである。より具体的には、加速度センサ31は、互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向の体動をそれぞれ検出することができるように、X軸センサ31a、Y軸センサ31b、Z軸センサ31cを有し(図1参照)、X軸センサ31a、Y軸センサ31b、Z軸センサ31cの各出力値を合成した値を加速度値として取得することができるようになっている。本実施形態においては、体動情報取得手段として加速度センサ31を用いるため、使用者の体動強度は加速度値に関するデータとなっており、加速度値が高ければ体動強度が強く、加速度値が低ければ体動強度が弱いものとして、体動情報を取得することができる。
【0025】
加速度センサ31により取得される出力は、制御部40や演算部32等による処理のために、A/D変換器35によりアナログ−デジタル変換される。より具体的には、X軸センサ31a、Y軸センサ31b、Z軸センサ31cによって取得されたアナログデータとしての各出力値は、それぞれA/D変換器35a、A/D変換器35b、A/D変換器35cによってデジタルデータに変換されるとともに、計時部34と連動して、取得日の曜日や現在時刻(時間帯)、取得開始からの経過時間等の時間情報に対応させて記憶部33に記憶されるようになっている。また、演算部32により、X軸センサ31a、Y軸センサ31b、Z軸センサ31cの各出力値のA/D変換値を合成することにより、デジタルデータとしての加速度値(加速度値のA/D変換値)を計算により求め、計時部34と連動して、時間情報に対応させて記憶部33に記憶されるようになっている。このように、時間情報に対応させて加速度値を取得すれば、取得された順に時系列的に加速度値を観察することで、体動強度のみならず、体動の反復性・連続性の有無、同じ体動が繰り返されているときのピッチ(体動ピッチ)や回数(例えば歩数(ステップの回数))を、体動情報として同時に取得することが可能となる。なお、この加速度センサ31によって使用者のあらゆる体動による加速度値をより正確に取得するために、体動検出装置10の使用者への装着は、使用者の身体に可能な限り密着していることが好ましく、特に上半身の体動をも検知することができるよう、例えば、使用者が腰部に巻いているベルトなどに装着した状態や、使用者の着衣の胸ポケットなどに収める状態を推奨するとよい。このように取得された体動情報は、制御部40の制御により、記憶部33に記憶させ、その一部(例えば歩数)が表示部22に表示される。
【0026】
図1に示すように、制御部40は、操作部21、表示部22、電源部23、加速度センサ31、演算部32、記憶部33、計時部34、及び、A/D変換器35と電気的に接続されており、制御部40によって各動作が制御されるようになっている。
【0027】
また、制御部40は、時間情報とともに既に蓄積されている体動情報に基づいて、体動の検出条件(閾値)を変更する検出条件変更手段として機能する。変更される検出条件としては、例えば、使用者が活動しているか否かの判別に関する閾値(加速度値(体動強度)の所定閾値)、使用者が歩行しているか否かの判別に関する閾値(変動係数の所定閾値)を挙げることができる。
【0028】
また、制御部40は、記憶部33とともに、体動情報を時間情報(曜日及び時刻(時間帯))に対応させて継続的に蓄積可能なデータ蓄積手段として機能する。これにより、体動検出装置10の使用開始以降、これを使用する使用者個人の活動パターン情報を取得することができ、制御部40は、活動パターン情報取得手段としても機能する。
【0029】
より具体的には、所定単位時間ごとに加速度センサ31によって取得された体動情報(直前に取得された体動情報)が、歩行しているものか、安静時のものか、これら以外のもの(日常生活動作)か、を判断した上で、曜日ごと、さらに時間ごと(時刻、時間帯)に蓄積していく。このような体動情報を時間情報とともに継続的に蓄積することにより、使用者個人の活動パターンに関する情報、即ち、活動パターン情報を取得することが可能となる。活動パターン情報は、体動情報及び時間情報に基づく情報である。特に、使用者個人が取ることの多い活動を時間情報に対応させてパターン化した情報であり、例えば、月曜日の午前8時は歩行をしている頻度が高い、また日曜日の午前8時は安静にしている頻度が高い、月曜日から金曜日と土曜日及び日曜日とで生活リズムが顕著に異なる、といった活動パターン情報を挙げることができる。詳細については、後述する。
【0030】
さらに、加速度センサ31によって直前に取得された体動情報が、既に蓄積されている使用者の過去の体動情報(蓄積済み体動情報)に該当しているかを比較する比較手段として機能する。より具体的には、所定単位時間ごとに個々に取得されていく体動情報の判定値を、蓄積済み体動情報の判定値と比較する。ここで、判定値は、体動情報の特徴を反映可能な値であれば特に限定されるものではなく、その詳細な具体例については後述する。
【0031】
さらに、制御部40は、歩数カウント手段としても機能する。なお、制御部40による歩数カウント方法についての一例を以下に簡単に説明する。制御部40は、加速度センサ31によって取得された加速度値を、A/D変換器35によってA/D変換させ、取得された順に時系列的に記憶部33に記憶させるとともに、例えば、横軸に経過時間(単位:秒)、縦軸に加速度値のA/D変換値(単位:カウント)をとり、順次取得される総ての加速度値のA/D変換値をプロットして波形を取得し、加速度値の推移をみて次のように処理する。加速度値の波形の振幅が歩行としての一歩と判断でき(第1閾値Xを超え、かつ、一定時間t1以内に取得された場合)、このような波が所定時間内に所定個数以上みられるか(一定時間t2内における加速度値の波形の波の数が、第2閾値Yを超えているか否か)を判断し、所定の波の数以上である場合は、連続的な歩行であると判別し、そのピーク値ごとに1歩としてカウントしていく。
【0032】
演算部32は、制御部40の制御のもと種々の演算処理を行うことが可能な演算手段であり、例えば、記憶部33に記憶された使用者の生体情報や体動情報に基づいて、使用者の体動による消費エネルギーを算出する。この消費エネルギーの算出は、所定単位時間(例えば20秒)ごとの体動情報(直前の体動情報)の消費エネルギーを累積的に合算することによって行われる。
【0033】
消費エネルギーの算出に関する具体的な方法は、特に限定されるものではないが、本実施形態においては、次のように行うようにする。体動判別手段としての制御部40により、所定単位時間ごとの体動情報が、歩行と判別された場合には、演算部32は、体動ピッチや歩数などをパラメータとする「歩行時用の消費エネルギー算出式」に基づいて消費エネルギーを算出する。一方、制御部40により、所定単位時間ごとの体動情報が、歩行以外の活動と判別された場合には、演算部32は、体動強度をパラメータとする「歩行以外の活動時用の消費エネルギー算出式」に基づいて消費エネルギーを算出する。このように算出した所定単位時間における消費エネルギーを累積して合算していくことにより、例えば、その使用日の通算の消費エネルギーを算出することができるようにする。
【0034】
なお、歩行時用の消費エネルギー算出式は、例えば、「使用者の体重×歩数×係数」とする。係数は、体動ピッチに応じて定まる定数と体動強度に応じて定まる係数を乗じたものとして任意に設定することができる。体動ピッチに応じて定まる定数としては、例えば、一歩当たりに要した時間(体動ピッチ)が、250ms以上300ms未満の範囲にあれば係数c1、300ms以上350ms未満の範囲にあれば係数c2、以下同様にして、時間50msごとに順次大きくなるような係数(例えば、c1<c2<・・・・)を設定すればよい。一方、体動強度に応じて定まる係数は、例えば測定された加速度値に関するデータに応じて定まる係数とし、「加速度値の大きさ」を任意の段階に分類し、「加速度値の大きさ」が小さい段階から大きい段階に向かって、順次大きくなるような係数(例えば、a1<a2<・・・)を設定すればよい。
【0035】
一方、歩行以外の活動時の消費エネルギーを算出する算出式は、例えば、「使用者の体重×加速度値の大きさ×第1係数+第2係数」とする。ここで、第1係数及び第2係数は任意に設定することができるが、それぞれ性別(生体情報)に応じて異なる値を設定しておくことが好ましい。使用者の生体情報として、性別の他に更に身長及び除脂肪量を用いることができる場合は、これらを含む項を導入することで、より正確な消費エネルギーを算出することができる。この場合の算出式は、性別によって算出式を別個に用意することが好ましい。
【0036】
次に、図2乃至図5を参照しつつ、体動検出装置10を用いた体動検出方法について説明する。図2は、本発明に係る体動検出装置の動作の流れの一例を示すフローチャート、図3は、本発明に係る体動検出装置のデータ蓄積処理を示すフローチャート、図4は、本発明の体動検出装置の使用者の平日の活動パターン例を示す図、図5は、本発明の体動検出装置の使用者の休日の活動パターン例を示す図である。
【0037】
体動検出装置10を起動させた後、使用者により操作部21を操作させて、主として消費エネルギーの算出に必要な生体情報(例えば体重、性別、身長、除脂肪量など)を入力させ、現在の曜日・時刻を合わせるなどの初期設定を行い、入力された生体情報・設定事項を、記憶部33の所定領域に記憶させる(ステップS10)。この初期設定が終了した後、体動検出装置10は使用者の着衣等所定の場所に装着される。
【0038】
その後、体動検出装置10により、使用者の体動情報及び時間情報を取得し、記憶部33へ記憶していく(ステップS11。体動情報取得ステップ、時間情報取得ステップ。)。より具体的には、加速度センサ31によって使用者の体動による加速度値を取得し、A/D変換器35は、加速度センサ31のX軸センサ31a、Y軸センサ31b、Z軸センサ31cによって取得されたアナログデータとしての各出力値を、それぞれA/D変換する。制御部40は、計時部34によって、取得が開始された時点からの経過時間、現在の曜日及び現在時刻等の時間情報を同時に取得し、各出力値のA/D変換値を、時間情報に対応させて記憶部33に記憶していく(体動情報取得ステップ、時間情報取得ステップ)。
【0039】
次に、制御部40は、現在の曜日と同一の曜日であって、現在時刻に対応する時刻における蓄積済み体動情報の数が一定数以上か否かを判定する(ステップS12)。例えば、ステップS11において体動情報の取得を開始した日時が、月曜日の午前7時00分である場合、過去の月曜日の午前7時00分から所定単位時間(ステップS14参照)取得して蓄積された蓄積済み体動情報が、一定数以上存在するか否かを判断する(ステップS12)。したがって、使用開始から少なくとも1週間が経過する前は、蓄積済み体動情報の数は0であるため、ステップS12はNoとなる。なお、ステップS12においてYesに進むための、蓄積済み体動情報の数は任意であり、使用者の活動パターンを把握するのに適した数とすればよい。
【0040】
体動検出装置10を使い始めて初期の間は、蓄積済み体動情報の数が一定数に満たないため(ステップS12でNo)、使用者の活動パターンは未だ把握できない。従って、体動の検出条件(閾値)についてはデフォルトの設定のまま(ステップS13は通らない)、体動情報の取得・記憶を継続する。体動情報の取得開始から所定単位時間(例えば、20秒間)が経過したか否かを計時部34により計測し(ステップS14)、未経過の場合は(ステップS14でNo)、そのまま体動情報の取得・記憶を継続して、所定単位時間の経過の監視を継続する。
【0041】
一方、体動検出装置10を使い始めて数週間以上が経ち、蓄積済み体動情報の数が一定数以上となっている場合には(ステップS12でYes)、使用者の活動パターンを把握できるようになる。従って、現に使用している使用者個人に適した検出条件により体動の検出の処理を行うために、制御部40は、蓄積済み体動情報に基づいて体動の検出条件(所定閾値)を変更する検出条件変更処理を行う(ステップS13。検出条件変更ステップ。)。この検出条件の変更は、所定単位時間(本実施形態においては20秒)ごとに行うことができるようになっており、これにより、使用者の体動の検出条件を、こまめに変更することができる。検出条件変更処理について更に以下詳細に説明する。
【0042】
まず、検出条件変更処理の前提として、データ蓄積処理から説明する。上記の通り、体動検出装置10による体動情報の取得は、所定単位時間(図2ステップS14参照)ごとに行われる。従って、この所定単位時間ごとに取得される体動情報(本実施形態では加速度値)を、1日(24時間)分つなげることにより、使用者の1日の活動パターンを観察することが可能となる(図4及び図5参照)。ここで、ある使用者の1日の活動パターンと、それによる加速度値の変動について、図4及び図5に簡略化して表した。図4は、使用者がデスクワーク中心の会社員である場合の平日の活動パターンの例である。
・時間帯(1)[0時00分から0時30分]:就寝準備。洗面等の行動により、不規則な加速度値が取得される。
・時間帯(2)[0時30分から7時00分]:睡眠。体動検出装置10は、傍に置かれているため、加速度値は検出されない。
・時間帯(3)[7時00分から8時00分]:起床、洗面、食事等の各行動により、不規則な加速度値が検出される。
・時間帯(4)[8時00分から9時30分]:通勤。自宅から駅までの歩行により規則的で大きい加速度値が検出された後、電車乗車中の細かい振動による不規則で小さい加速度値が検出され、さらに駅から会社までの歩行により規則的で大きい加速度値が検出される。
・時間帯(5)[9時30分から12時00分]:デスクワーク。座ったり、立ったり、自席近くを歩く等の行動により、不規則な加速度値が検出される。
・時間帯(6)[12時00分から13時00分]:昼休み。食事等の行動により、不規則な加速度値が検出される。
・時間帯(7)[13時00分から18時00分]:デスクワーク。座ったり、立ったり、自席近くを歩く等の行動により、不規則な加速度値が検出される。
・時間帯(8)[18時00分から19時30分]:退社から帰宅まで。時間帯(4)と概ね同様。
・時間帯(9)[19時30分から21時00分]:食事、風呂等の各行動により、不規則な加速度値が検出される。
・時間帯(10)[21時00分から24時00分]:テレビ観賞等、居間などで過ごす行動により、不規則な加速度値が検出される。
【0043】
図4に示した平日の活動パターンは一例に過ぎないが、使用者がデスクワーク中心の会社員である場合には、平日(例えば月曜日から金曜日)については、前記のような内容の生活スタイルで1日を過ごしていることが比較的多いといえる。特に、所定の時間に起床して、所定の時間に家を出て、所定の時間発の電車に乗る等、出社までの時間帯(3)及び時間帯(4)については、毎日同じように行動していることが多い。会社員に限らず、使用者が学生や主婦などの場合も、平日(例えば月曜日から金曜日)は同じような生活スタイルで1日を過ごしていることが比較的多いといえる。
【0044】
一方、図5は、使用者が図4の使用者の休日の活動パターンの例である。
・時間帯(1)[0時00分から1時30分]:テレビ観賞等、居間などで過ごす行動により、不規則な加速度値が検出される。
・時間帯(2)[1時30分から2時00分]:就寝準備。洗面等の行動により、不規則な加速度値が取得される。
・時間帯(3)[2時00分から11時00分]:睡眠。体動検出装置10は、傍に置かれているため、加速度値は検出されない。
・時間帯(4)[11時00分から12時00分]:起床、洗面、食事等の各行動により、不規則な加速度値が検出される。
・時間帯(5)[12時00分から13時00分]:例えば掃除や洗車のような家事により、不規則な加速度値が検出される。
・時間帯(6)[13時00分から15時00分]:テレビ観賞等、居間などで過ごす行動により、不規則な加速度値が検出される。
・時間帯(7)[15時00分から16時00分]:スポーツ。例えばジョギングの場合には、規則的で大きい加速度値が検出される。
・時間帯(8)[16時00分から18時00分]:例えば洗濯のような家事により、不規則な加速度値が検出される。
・時間帯(9)[18時00分から19時00分]:食事、風呂等の各行動により、不規則な加速度値が検出される。
・時間帯(10)[19時00分から24時00分]:テレビ観賞等、居間などで過ごす行動により、不規則な加速度値が検出される。
【0045】
図5に示した休日の活動パターンも、図4同様に一例に過ぎないが、平日(例えば月曜日から金曜日)について取得された1日の加速度値の推移(図4参照)とは全く異なる加速度値の推移が得られていることが判断できる。土曜日、日曜日などの休日の活動パターンは、1日を自宅で過ごして終える日もあれば、朝から外出してレジャーを楽しむ日などもあるため、前記平日の場合よりも、活動に関するデータのばらつきが大きいといえる。
【0046】
このように使用者の体動情報を、体動検出装置10によって数週間以上継続的に取得し、現在の曜日及び時刻に対応させて蓄積をしていく。制御部40は、このようにして蓄積されていく蓄積済み体動情報を考慮して、各曜日、各時刻において、使用者が取る活動の種類とその頻度などの活動パターン情報を取得することができる。例えば、月曜日の9時に体動情報を取得したとき、この使用者は、月曜日の9時に関する蓄積済み体動情報のうちの最も頻度の多いものと同じ行動(「電車に乗車」)をしているであろうという推定が可能となる。また、例えば、毎週土曜日及び日曜日における1日の加速度値の推移は、毎週月曜日から金曜日までの1日の加速度の推移(図4参照)とは全く異なるため、この使用者は土曜日及び日曜日が休日であろうという推定が可能となる。このように、使用者の活動パターン情報を取得することができる。このため、体動検出装置10は、使用者による操作を受けることなく自動的に、使用者個人に合わせた体動の検出条件を変更したり、平日モードと休日モードとを変更したりすることができるようになる。
【0047】
次に、図2のステップS13における検出条件変更処理の内容について説明する。まず、使用者の体動を検出するための検出条件としては、一例として、(1)加速度値がいかなる値以上であるときに使用者が活動していると判断するのか(後述する図3のステップS100参照)、という加速度値(体動強度)に関する閾値、(2)変動係数がいかなる値以下であるときに使用者が歩行をしていると判断するのか(後述する図3のステップS101)、という変動係数に関する閾値、を挙げることができる。
【0048】
直前に取得された体動情報(加速度値)が、前記(1)の閾値以上である場合は、使用者は何かの活動をしているものとして、消費エネルギーが算出されることになる。しかしながら、この閾値は、所定の場合には引き上げる変更を行うことにより、使用者が活動していないものとして処理するのが好適な場合もある。
例えば、使用者が電車、バス、車などに乗っている状態においては、電車等の走行時の機械的振動を、体動検出装置10の加速度センサ31が検出する。その結果、体動検出装置10は、その振動が使用者自身の活動として、これに応じた消費エネルギーを算出してしまう。しかしながら、実際には使用者自身は立っているだけ、又は座っているだけ、という状態なのであるから、前記振動を考慮した消費エネルギーは、ノイズとなってしまうものである。
そこで、このような場合には、加速度値に関する閾値を引き上げる変更をして、電車等の走行時の機械的振動による加速度値は、使用者自身の活動としては判断しないようにするのがよい。ただし、使用者の普段の行動からみて、ノイズであろうと推定できる場合に限って、加速度値に関する閾値を変更するようにする。
【0049】
一方、使用者が歩行をしているとき、その加速度値の推移をみると、1ステップごとにピッチを刻んで振幅を確認することができる。そのため、デフォルトの設定においては、直前に取得された体動情報が、例えば、所定のピッチで所定の振幅を有するステップが所定時間以内に確認できる場合、即ち、変動係数が所定閾値以下となるような、ばらつきがなく安定的・規則的な場合に、歩行をしていると判断し、歩数のカウント等を行うようになっている。なお、変動係数とは、標準偏差を平均で割った値である。
しかしながら、例えば、デスクワーク時に自席付近を少しだけ歩いて戻ってくるような、継続的ではなくばらつきのある歩行をする場合があるが、前記のようなデフォルトの設定のままでは、このような場合は変動係数が閾値以上となって、歩行とは判断されず、歩数のカウント等もなされないことになってしまう。
そこで、歩いた分の歩数や、それに基づく歩行距離などを可能な限り正確な数字として得るために、変動係数に関する閾値を引き上げる変更をして、デフォルトの設定よりも歩行と判断されやすくするのがよい。ただし、歩行と判断してよい場合に限って、変動係数に関する閾値を変更するのがよい。
【0050】
いかなる場合に、前記のような体動検出条件(閾値)を変更するか(図2のステップS13)については、時間情報とともに蓄積されている体動情報に基づいて、使用者ごとに個別具体的に実施する。より具体的には、時間情報とともに蓄積されている体動情報に基づいて、現に使用している使用者個人の活動パターン情報を予め取得しておき、これを考慮すればよい。
【0051】
活動パターン情報の取得について説明すると、例えば、蓄積済み体動情報の分析の結果、月曜日から金曜日が平日、土曜日・日曜日が休日と判断でき、また、平日の9時(及び/又はこの時間帯)は、所定の小さい不規則な加速度値を検出する頻度が最も多い場合には、それは使用者が通勤時に利用する交通機関(電車等)による振動であろうという予測が可能となる(図4の時間帯(4)参照)。従って、使用者は、平日の9時は交通機関(電車等)を利用する活動パターンである頻度が高い、という活動パターン情報を取得することができる。同様に、月曜日から金曜日までの13時から17時までという時間帯は、所定の加速度値を検出する場合には、それは使用者が勤務先におけるデスクワークによるものであろうという予測が可能となる(図4の時間帯(7)参照)。従って、使用者は、平日の14時は勤務先におけるデスクワークという活動パターンである頻度が高い、という活動パターン情報を取得することができる。
【0052】
このように、各曜日・各時刻における蓄積済み体動情報が一定数以上蓄積されて以降、制御部40は、演算部32とともに、上記同様の分析を継続的に行って、現に使用している使用者についての各曜日・各時刻における活動パターン情報を取得又は更新して、記憶部33に記憶させておく。なお、同一曜日・同一時刻における活動パターン情報は、1つに限定されるものではなく、活動パターンの頻度に応じて複数取得しておいてもよい。
【0053】
このようにして取得された活動パターン情報を考慮して、体動の検出条件(閾値)を変更する。すなわち、体動検出装置10は、例えば月曜日の9時に体動情報を取得開始したとき(ステップS11)、使用者が月曜日の9時に関する最も頻度の高い活動パターン情報に係る活動(前記例では交通機関の利用)をしているであろう、と判断し、今回の体動情報の取得に際しては、加速度値に関する閾値を引き上げる変更を行う(ステップS13)。なお、月曜日は、この使用者にとって月曜日は平日である頻度が高いという活動パターン情報を考慮して、平日モードとして、前記のような変更を行うようにしてもよい。反対に、現在の曜日が土曜日や日曜日の場合に、この使用者にとって土曜日や日曜日は休日である頻度が高いという活動パターン情報を考慮し、休日モードとして、前記のような変更を行わないようにしてもよい。
【0054】
また、体動検出装置10は、例えば月曜日の14時に体動情報を取得開始したとき(ステップS11)、使用者が月曜日の14時に関する最も頻度の高い活動パターン情報に係る活動(前記例ではデスクワーク)をしているであろう、と判断し、今回の体動情報の取得に際しては、変動係数に関する閾値を引き上げる変更を行う(ステップS13)。
【0055】
体動検出条件を変更する別の例としては、次のようなものが挙げられる。図4の時間帯(2)や、図5の時間帯(3)のように、使用者の体動を検出できないことの多い一定の時間帯については、それは使用者が睡眠中であろうという予測が可能となる。従って、使用者は、図4の時間帯(2)や、図5の時間帯(3)は睡眠という活動パターンである頻度が高い、という活動パターン情報を取得することができる。そして、体動検出装置10の制御部40は、図4の時間帯(2)や、図5の時間帯(3)に応じて、省電力モードに切り替える、というようにしてもよい。その時間帯についても、平日モードの場合と休日モードの場合とで自動的に変更できるようにするのが好適である。なお、前記省電力モードは、表示部22の通電状態の解除や、加速度センサ31の検出条件の変更など、体動検出装置10が全体として消費する電力を低減させる内容であれば特に限定されるものではない。これによって、特に電源部23として電池を用いている場合は、消費電力が抑えられる結果、電池の使用可能期間を長くすることができる。
【0056】
引き続き、図2及び図3を参照して、体動検出装置10による体動検出方法について説明する。体動情報の取得開始から所定単位時間が経過した場合には(ステップS14でYes)、この所定単位時間の間に取得した体動情報(直前に取得した体動情報)を、蓄積済み体動情報として蓄積するデータ蓄積処理を行う(ステップS15)。このデータ蓄積処理では、所定単位時間ごとに順次取得されていく最新の体動情報を、その内容(歩行か、歩行以外の活動かなど)ごと、現在の曜日及び時刻ごとに蓄積する処理を行うものであり、図3を参照して説明する。図2のAからBまでのステップは、図3のAからBまでのステップを実行する。
【0057】
制御部40は、直前に取得した体動情報の加速度値が、所定閾値以上であるか否かを判断する(ステップS100)。前述のように、この所定閾値は、加速度値がいかなる値以上であるときに使用者が活動していると判断するのか、という加速度値に関する閾値であり、デフォルトでは任意の値を設定しておく。なお、前述のステップS13において、閾値が変更された場合は、変更後の閾値をもって判断するようにする。直前に取得した体動情報の加速度値が、所定閾値に満たない場合は(ステップS100でNo)、制御部40は、使用者は動いていないものと判断し、現在の曜日・時刻と共に、体動が検出されなかったことを蓄積済み体動情報として、記憶部33に記憶する(ステップS109)。従って、図4の時間帯(2)や図5の時間帯(3)の睡眠時のように、体動検出装置10が、傍に置かれているような場合がこれに該当する。
【0058】
一方、直前に取得した体動情報の加速度値が、所定閾値以上である場合は(ステップS100でYes)、制御部40は、直前に取得した体動情報の変動係数が、所定閾値以上であるか否かを判断する(ステップS101)。前述のように、この所定閾値は、変動係数がいかなる値以下であるときに使用者が歩行(走行を含む)をしていると判断するのか、という変動係数に関する閾値であり、デフォルトでは任意の値を設定しておく。なお、前述のステップS13において、閾値が変更された場合は、変更後の閾値をもって判断するようにする。直前に取得した体動情報の変動係数が、所定閾値に満たない場合は(ステップS101でNo)、制御部40は、使用者は歩行をしているものと判断し、現在の曜日・時刻と共に、加速度値の大きさや歩数を蓄積済み体動情報として、記憶部33に記憶する(ステップS108)。従って、主として、図4の時間帯(4)、時間帯(8)、図5の時間帯(7)の歩行時・ジョギング時のような場合がこれに該当する。
【0059】
一方、直前に取得した体動情報の変動係数が、所定閾値以上である場合は(ステップS101でYes)、制御部40は、直前に取得した体動情報の判定値を算出し、記憶部33に記憶する(ステップS102)。判定値としては、一例として次のように算出する。制御部40は、使用者の体動に対応して加速度センサ31により取得した加速度値を、A/D変換器35によりA/D変換させ、取得した順に時系列的に記憶部33に記憶させるとともに、横軸に経過時間(単位:秒)、縦軸に加速度値のA/D変換値(単位:カウント)をとり、順次取得される総ての加速度値のA/D変換値をプロットして波形を取得する。この取得した波形について、周波数解析を行い、特徴的又は代表的な(例えば2つの)周波数帯を選択し、これらの周波数帯におけるピークトゥピーク値(P−P値)、平均値、最大値、最小値のそれぞれを算出して、これらの1以上を判定値とする。
【0060】
次に、制御部40は、現在の曜日及び時刻に対応する、過去の同一の曜日及び時刻の蓄積済み体動情報が存在するか否かを判断する(ステップS103)。従って、使用開始から少なくとも1週間が経過する前は、1週間分の各曜日の蓄積済み体動情報が存在しないため、ステップS103はNoとなる。体動検出装置10を使い始めて初期の間は、現在の曜日及び時刻に対応する蓄積済み体動情報が存在しない場合(ステップS12でNo)が多く、直前に取得した体動情報の判定値を蓄積済み体動情報として、現在の曜日・時刻(時間情報)と共に、記憶部33に記憶する(ステップS107)。
【0061】
一方、体動検出装置10を使い始めて数週間以上が経ち、現在の曜日及び時刻に対応する、過去の同一の曜日及び時刻の蓄積済み体動情報が存在する場合には(ステップS103でYes)、制御部40は、直前に取得した体動情報の判定値と、蓄積済み体動情報の判定値とを比較する(ステップS104)。この比較処理は、過去の同一の曜日及び時刻に蓄積されている総ての蓄積済み体動情報について順次行う。その結果、制御部40は、直前に取得した体動情報の判定値と蓄積済み体動情報の判定値とが一致するもの、又は、直前に取得した体動情報の判定値と蓄積済み体動情報の判定値との誤差が所定範囲内のものが存在するか否かを判定する(ステップS105)。制御部40は、存在しないと判定した場合には(ステップS105でNo)、過去の同一の曜日及び時刻の蓄積済み体動情報とは異なる行動が行われたものとして、現在の曜日及び時間と共に、直前に取得した体動情報の判定値を新たな蓄積済み体動情報として記憶部33に記憶する(ステップS107)。一方、制御部40は、存在すると判定した場合には(ステップS105でYes)、一致する蓄積済み体動情報との一致回数を1回加えて、その一致回数を記憶部33に記憶する(ステップS106)。このような一致回数を記憶させていくことにより、使用者の各活動の頻度を蓄積済み体動情報の一つとして取得することができる。
【0062】
以上のようなデータ蓄積処理(ステップS15)が行われた後、図2に示すように、制御部40は、直前に取得した体動情報が、安静時のものか否かを判断する(ステップS16)。直前に取得した体動情報が、図3のステップS100でNoと判断されたものである場合は、そのまま安静時のものと判断すればよい(ステップS16でYes)。この場合、制御部40は、演算部32に、直前に取得した体動情報により、安静時代謝のエネルギーが消費されているものとして、安静時用の計算式による消費エネルギーを計算させ、記憶部33に記憶させる(ステップS20)(エネルギー演算ステップ)。なお、安静時の計算式としては、例えば、「使用者の体重×所定単位時間×係数」とすればよい。
【0063】
制御部40は、直前に取得した体動情報が、安静時のものではないと判断した場合(ステップS16でNo)、直前に取得した体動情報が、歩行か否かを判断する(ステップS17)。直前に取得した体動情報が、図3のステップS101でNoと判断されたものである場合は、そのまま歩行と判断すればよい(ステップS17でYes)。この場合、制御部40は、演算部32に、直前に取得した体動情報に基づいて、歩行時用の計算式による消費エネルギーを計算させ、記憶部33に記憶させる(ステップS19)(エネルギー演算ステップ)。
【0064】
制御部40は、直前に取得した体動情報が、歩行ではないと判断した場合(ステップS17でNo)、直前に取得した体動情報は、歩行以外の活動として判断し、演算部32に、直前に取得した体動情報に基づいて、歩行以外の活動時用の計算式による消費エネルギーを計算させ、記憶部33に記憶させる(ステップS18)(エネルギー演算ステップ)。
【0065】
ステップS18、ステップS19、又はステップS20のようにして計算された所定単位時間における消費エネルギーを、所定単位時間ごとに累積し、その合算した値を結果表示として、表示部22に更新していく(ステップS21)。すなわち、上記のように計算された1番目の所定単位時間における消費エネルギーは、表示部22にそのまま結果表示として表示し、その後、ステップS11へ戻り、2番目の所定単位時間における消費エネルギーが計算されると、1番目の所定単位時間における消費エネルギーと2番目の所定単位時間における消費エネルギーとを合算し、その合算した値を結果表示として、表示部22の表示を更新する。なお、3番目の所定単位時間における消費エネルギーも同様に計算し、結果表示を更新する。結果表示は、消費エネルギーを表示するのみならず、制御部40にてカウントをしていた歩数の合計数、歩行距離、歩行以外の活動時間、安静時間、これらの過去数日分のデータの表示などを表示してもよい。
【0066】
上述の実施形態に係る体動検出装置及び体動検出方法によれば、使用者個人の活動パターンを考慮した、使用者個人に適した体動の検出の条件の設定を自動的に行うことができ、これにより検出された体動に応じたより正確な消費エネルギーを算出することができる。
【0067】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明に係る体動検出装置及び体動検出方法は、使用者個人の活動パターンに応じた正確な消費エネルギーを把握することが必要な場合に有用である。
【符号の説明】
【0069】
10 体動検出装置
21 操作部(生体情報取得手段)
22 表示部(表示手段)
31 加速度センサ(体動情報取得手段)
31a X軸センサ
31b Y軸センサ
31c Z軸センサ
32 演算部(演算手段)
33 記憶部(データ蓄積手段)
34 計時部(時間情報取得手段)
35 A/D変換器
35a A/D変換器
35b A/D変換器
35c A/D変換器
40 制御部(検出条件変更手段、データ蓄積手段、活動パターン情報取得手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の体動を検出して前記体動に関する体動情報を取得する体動情報取得手段と、前記体動情報に基づく消費エネルギーを算出する演算手段と、を有する体動検出装置であって、
前記体動情報を取得したときの時間情報を取得する時間情報取得手段と、
前記体動情報を前記時間情報に対応させて蓄積可能なデータ蓄積手段と、
前記体動を検出する検出条件を、前記データ蓄積手段において蓄積された前記体動情報及び前記時間情報に基づいて変更可能な検出条件変更手段と、を有すること
を特徴とする体動検出装置。
【請求項2】
前記時間情報は、体動情報を取得したときの曜日及び時刻を含むことを特徴とする請求項1に記載の体動検出装置。
【請求項3】
前記データ蓄積手段において蓄積された前記体動情報及び前記時間情報に基づいて、前記使用者の活動パターン情報を取得する活動パターン情報取得手段を有し、前記検出条件変更手段は、前記検出条件を前記活動パターン情報に基づいて変更可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の体動検出装置。
【請求項4】
前記検出条件は、体動強度に関する閾値であり、前記検出条件変更手段が前記検出条件を変更することにより、前記閾値に満たない体動強度の体動を検出しないことが可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1に記載の体動検出装置。
【請求項5】
前記検出条件は、使用者が歩行及び/又は走行をしているか否かの判別に関する閾値であり、前記検出条件変更手段が前記検出条件を変更することにより、変更前よりも前記使用者が歩行及び/又は走行をしていると判別されやすくなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち、いずれか1に記載の体動検出装置。
【請求項6】
前記検出条件変更手段が前記検出条件を変更することにより、省電力モードへの変更が可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうち、いずれか1に記載の体動検出装置。
【請求項7】
前記体動情報取得手段は、前記体動情報の取得を所定単位時間ごとに行い、前記検出条件変更手段は、前記所定単位時間ごとに前記検出条件を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうち、いずれか1に記載の体動検出装置。
【請求項8】
使用者の体動を検出して前記体動に関する体動情報を取得する体動情報取得ステップと、前記体動情報に基づく消費エネルギーを算出するエネルギー演算ステップと、を有する体動検出方法であって、
前記体動情報を取得したときの時間情報を取得する時間情報取得ステップと、
前記体動情報を前記時間情報に対応させて蓄積可能なデータ蓄積ステップと、
前記体動を検出する検出条件を、前記データ蓄積ステップにおいて蓄積された前記体動情報及び前記時間情報に基づいて変更可能な検出条件変更ステップと、を有すること
を特徴とする体動検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−240061(P2010−240061A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90111(P2009−90111)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】