説明

体動検出装置

【課題】使用態様の自由度を向上するとともに測定精度を向上する。
【解決手段】加速度を検出する加速度検知部12と、加速度データに基づいて生体の体動を算出する体動算出処理(ステップS21〜S26,S31〜S36,S41〜S43)を実行する演算部14とを備えた運動量計本体3に、ベルト型装着体2およびクリップ型装着体4が着脱されることを許容する着脱ガイド31を備え、前記演算部14を、前記着脱ガイド31に前記ベルト型装着体2またはクリップ型装着体4を着脱する際に前記加速度データに現れる加速度の変化から着脱を検出する着脱検出処理(ステップS2,S3,S9,S10)を実行し、検出した着脱に基づいて前記体動算出処理を着脱後の状態に合うモードに切り替えて実行する構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば生体の歩数を計数する歩数計や生体の活動量を測定する活動量計など、生体の体動を検出するような体動検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体の体動を検出する装置として、歩数計や活動量計など、種々の体動検出装置が提案されている。これらの体動検出装置は、様々な場所に装着あるいは収納して使用することが提案されている。
【0003】
例えば、腰のベルトや洋服の胸ポケット等にクリップで挟んで装着する歩数計が提案されている(特許文献1参照)。このようにクリップで挟んで装着する方法は、装着方向が定まっているために安定した歩数計測が可能という利点がある。
【0004】
しかし、この方法は、クリップで挟むことのできる場所がある服装に限定されるという問題点、および、歩数計が目立つために使用者のファッション性を損なうという問題がある。
【0005】
また、腕時計型をしており、ベルトによって腕に装着する振子式の運動量計が提案されている(特許文献2参照)。このベルトにより腕に装着する方法は、服装が限定されないという利点と、使用者が表示内容を見やすい利点がある。
【0006】
しかし、この方法は、腕をしっかり振る活動でなければ計測できず、日常使用において用途が限定されるという問題点がある。
【0007】
また、複数軸のセンサを用いることによって本体が傾いた状態でも歩数計測を可能とし、洋服や鞄のポケットに入れて携帯することのできる体動検出装置が提案されている(特許文献3参照)。この複数軸のセンサを用いる方法は、携帯性に優れるという利点がある。
【0008】
しかし、この方法は、傾いた状態での計測を行なうため、様々な体動の影響を受けやすく、高い精度で幅広い範囲の活動に対応させることが困難であるという問題点がある。
【0009】
このように、いずれの装着態様で体動検出装置を使用しても利点と問題点が存在し、一つの装着態様では全てを解決することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公平04−080431号公報
【特許文献2】特開2002−56372号公報
【特許文献3】特開2002−191580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明は、上述した問題点に鑑み、どの装着態様で用いられるか検出し、さらに検出した装着態様に適したモードで体動を検出することにより、使用態様の自由度を向上するとともに測定精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、加速度を検出する加速度検出手段と、前記加速度検出手段により検出した加速度データに基づいて生体の体動を算出する体動算出処理を実行する演算手段とを備えた体動検出装置であって、生体または生体連動物品に装着される装着体が装置本体に着脱されることを許容する着脱部を備え、前記演算手段は、前記着脱部に前記装着体を着脱する際に前記加速度データに現れる加速度の変化から着脱を検出する着脱検出処理を実行し、検出した着脱に基づいて前記体動算出処理を着脱後の状態に合うモードに切り替えて実行する構成である体動検出装置であることを特徴とする。
【0013】
前記加速度検出手段は、加速度検出センサなど、加速度の変化を検出することができる手段で構成することができる。加速度検出センサとする場合、一次元、二次元、あるいは三次元の加速度センサとすることができるが、三次元の加速度センサとすることが好ましい。
【0014】
前記体動算出処理は、歩数を計数する歩数計数処理、生活活動量を算出する生活活動量算出処理、腕振りレベルを算出する腕振りレベル算出処理、あるいはこれらの複数の処理とすることができる。
【0015】
前記生体連動物品は、ズボンやスカートなどの下衣または腰ベルトとすることができる。
前記装着体は、ズボンやスカートなどの下衣または腰ベルトに取り付けるためのクリップなどの挟持具、あるいは腕や足などに取り付けるためのベルトなど、生体または生体連動物品に装着される器具で構成することができる。
【0016】
前記装置本体は、加速度検出手段と演算手段とを備えた筐体とすることができる。
前記着脱部は、装着体に設けられた所定の着脱係合部が着脱される適宜のガイド、突起、ネジ山、ネジ溝、孔、または溝などによる係合部で構成することができる。
【0017】
前記着脱検出処理は、本体装置に装着体を着脱する際に生じる衝突による加速度変化を検出する処理、着脱部のガイドに沿った装置本体の移動や回転による加速度の変化を検出する処理、あるいはこれらの組合せなど、着脱の際に生じる加速度変化を検出する処理で構成することができる。
【0018】
前記モードは、腰装着モード、腕装着モード、ポケットインモード、またはこれらの複数とすることができる。これらのモードの切替の際、算出する体動を歩数、生活活動量、または腕振りレベルなどから切り替える、体動の算出に用いる閾値を切り替える、あるいはこの両方を実施することができる。
【0019】
前記体動検出装置は、歩数をカウントする歩数計、生活活動量を算出する活動量計、あるいは歩数と生活活動量を算出する運動量計など、適宜の装置とすることができる。この体動検出装置には、表示手段や通信手段などの出力手段を設けてもよい。この出力手段により、加速度信号または検出した体動データを出力してもよい。
【0020】
この発明により、装着体の着脱を検出し、着脱後の状態に合うモードで体動を検出することができる。従って、どのような装着態様で使用するかという使用態様の自由度を向上することができ、各使用態様に応じてモード切り替えすることにより測定精度を向上することができる。
【0021】
この発明の態様として、前記着脱部は、前記装着体の着脱時に該装着体の一部が衝突する衝突体が設けられ、前記着脱検出処理は、前記衝突体に前記装着体の一部が衝突して現れる加速度の変化を前記加速度データから検出する構成とすることができる。
【0022】
前記衝突体は、前記装着体の一部が衝突する突起、孔、溝、または壁など、衝突可能な適宜の部位で構成することができ、装置本体の筐体と一体形成する、あるいは別部材を固着して構成することができる。
【0023】
前記装着体の一部は、前記衝突体が衝突する突起、孔、溝、または壁など、衝突可能な適宜の部位で構成することができ、装着体の筐体と一体形成する、あるいは別部材を固着して構成することができる。
【0024】
この態様により、歩行や走行、腕振り、生活活動といった生体の運動では現れない加速度の変化を装置本体と装着体の着脱時に発生させることができ、加速度検出手段が着脱を精度よく検出することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記着脱部は、複数種類の装着体に個別対応して複数設けることができる。
複数種類の装着体に個別対応して複数設ける着脱部は、例えば着脱方向を異ならせたレールや溝などのガイドを用いて構成する、あるいは同一の着脱方向で平行して設け前記衝突体の個数や配置が異なるように構成するなど、各種の装着体によって着脱する部位が異なるように構成することができる。
この態様により、どの種類の装着体が着脱されたのかを容易に検出することができる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記着脱検出処理は、前記衝突体に前記装着体の一部が衝突して現れる加速度の変化の方向によって着脱された該装着体の種類を検出する構成とすることができる。
【0027】
これにより、どの種類の装着体が着脱されたのかを加速度の変化の方向によって精度よく検出することができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記着脱部は、対応する前記装着体の種類別に前記衝突体の個数を異ならせて構成され、前記着脱検出処理は、前記衝突体に前記装着体の一部が衝突して現れる加速度の変化の数によって着脱された該装着体の種類を検出する構成とすることができる。
【0029】
これにより、どの種類の装着体が着脱されたのかを衝突回数によって精度よく検出することができる。特に、前記衝突体に前記装着体の一部が衝突して現れる加速度の変化の方向によって着脱された該装着体の種類を検出する構成と組み合わせれば、加速度の変化の方向と衝突回数によってより精度よく着脱された装着体の種類を検出することができる。
【0030】
またこの発明は、加速度を検出する加速度検出手段と、データを記憶する記憶手段と、前記加速度検出手段により検出した加速度データに基づいて生体の体動を算出する体動算出処理を実行する演算手段と、演算結果を表示する表示手段とを備えた体動検出装置であって、生体または生体連動物品に装着される装着体が装置本体に着脱されることを許容する着脱部を前記装着体の種類別に複数備え、前記演算手段は、前記着脱部に対して前記装着体が着脱されたときに前記加速度データに現れる加速度の変化によって前記着脱部に対する前記装着体の着脱と該装着体の種類とを検出する着脱検出処理を実行し、検出した着脱と種類とに基づいて前記体動算出処理を着状態の装着体の種類に対応するモードに切り替えて実行する構成であり、前記表示手段は、該モードに対応する画面を表示する構成である体動検出装置とすることができる。
【0031】
前記モードに対応する画面は、腰装着モードであることを示す画面、腕装着モードであることを示す画面、あるいはポケットインモードであることを示す画面など、モードに対応する画面で構成することができる。
【0032】
この発明により、現在どのモードとなっているかを利用者が容易に確認することができる。
【0033】
またこの発明の態様として、生体の体動を検出する体動検出装置であって、生体または生体連動物品に装着される装着体が装置本体に着脱されることを許容する着脱部を備え、該着脱部は、前記装着体が装置本体に着脱される際に該装着体をスライドまたは回転させるガイドと、該ガイドに沿って前記装着体が着脱される際に該装着体の一部に衝突する衝突部とを備えた体動検出装置とすることができる。
【0034】
前記ガイドは、レール、溝、ネジ山、あるいはネジ溝など、装着体を着脱する際のスライドまたは回転を規制する部材で構成することができる。
【0035】
この発明により、着脱時の装置本体と装着体との相対移動を定めることができ、着脱の検出を容易にすることができる。
【0036】
またこの発明は、加速度を検出する加速度検出手段と、該加速度検出手段により検出した加速度データに基づく演算を実行する演算手段と、該加速度検出手段および前記演算手段を収納する筐体とを備えた入力装置であって、前記筐体は、衝突による衝撃が付与される衝突体が設けられ、前記演算手段は、前記加速度データから前記衝突体に付与された衝撃によって加速度変化が生じた衝撃加速度データを検出し、該衝撃加速度データから衝撃の付与された衝撃内容を検出し、該衝撃内容によって入力された情報を決定する入力情報決定処理を実行する構成である入力装置とすることができる。
【0037】
前記衝撃内容は、衝撃の方向、回数、間隔、強度の少なくとも1つとすることができる。
入力された情報は、モードを切り替えるモード切替情報、あるいは所定の入力指示を示す入力指示情報など、適宜の情報とすることができる。なお、入力装置には、決定した入力情報を出力する出力手段(表示手段や通信手段など)を設けてもよい。
【0038】
衝撃加速度データは、前記衝突体に衝撃が加えられたことによって生じる加速度変化による加速度データとすることができる。従って、加速度検出手段で検出する加速度データには、この衝撃加速度データと、入力装置全体を揺する、移動させる、あるいは回転させるといった動作によって生じた加速度変化を示す通常加速度データとが混在する。
この発明により、衝突体に対する衝撃から入力情報を決定することができる。特に体動検出装置にこの入力装置を採用した場合、加速度検出手段により、体動検出に加えて体動検出以外の入力も検出することができる。
【0039】
またこの発明は、生体の体動により生じた加速度の変化を示す加速度データから前記生体の体動を検出する体動検出方法であって、装置本体に対して装着体が着脱される際に生じる加速度の変化を前記加速度データから検出し、該着脱後の状態に対応するモードの体動検出処理により該着脱後の加速度データから体動を検出する体動検出方法とすることができる。
【0040】
これにより、加速度データから装着体の着脱を検出することができ、またその着脱後の加速度データから装着体の着脱状態に応じたモードで体動を検出することができる。
【0041】
従って、例えば加速度検出手段とデータ送信手段とを備えた体動検出用保持装置から別途の情報処理装置(コンピュータ、携帯情報端末、またはサーバなど)が加速度データを受信し、この情報処理装置で体動を検出することができる。
【0042】
この場合、サーバ等が加速度データを受け取って該加速度データから体動を精度よく検出する、あるいは、運動のアドバイスを行うインストラクターが情報処理装置によって精度よく検出された体動を確認し運動している利用者にアドバイスするなど、様々な態様で利用することができる。
【発明の効果】
【0043】
この発明により、どの装着態様で用いられるか検出し、さらに検出した装着態様に適したモードで体動を検出することにより、使用態様の自由度を向上するとともに測定精度を向上することができる。特に、着脱部のハードウェア構成とソフトウェア処理を組み合わせて装着態様を検出するため、簡潔な構成で確実に装着態様を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】正面側から見た運動量計の分解斜視図。
【図2】背面側から見た運動量計の分解斜視図。
【図3】運動量計の各状態を斜視図により説明する説明図。
【図4】運動量計の構成を示すブロック図。
【図5】全体プログラムによる動作のフローチャート。
【図6】装着体の着脱を拡大断面図により説明する説明図。
【図7】加速度データの波形を示すグラフ。
【図8】腰装着体動検出プログラムによる動作のフローチャート。
【図9】腕装着体動検出プログラムによる動作のフローチャート。
【図10】ポケットイン体動検出プログラムによる動作のフローチャート。
【図11】他の構成を斜視図により説明する説明図。
【図12】実施例2の運動量計を正面側から見た分解斜視図。
【図13】実施例2の運動量計を背面側から見た分解斜視図。
【図14】実施例2の運動量計本体を背面側から見た斜視図。
【図15】実施例2のクリップ型装着体の着脱動作を説明する説明図。
【図16】実施例2のクリップ型装着体の着脱動作を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0046】
実施例1では、腕に装着して使用する腕装着モード、腰に装着して使用する腰装着モード、およびポケットに収納して使用するポケットインモードの3モードに対応する運動量計について説明する。
【0047】
図1は、正面側から見た運動量計1の分解斜視図を示し、図2は、背面側から見た運動量計1の分解斜視図を示し、図3は運動量計1の各状態を斜視図により説明する説明図を示す。
【0048】
運動量計1は、運動量計本体3と、該運動量計本体3に着脱可能なベルト型装着体2およびクリップ型装着体4とで構成されている。
【0049】
運動量計本体3は、図示の例では厚手の略円盤形状に形成されており、図1に示すように正面に表示部13が設けられ、図2に示すように背面に4つの着脱ガイド31と2つの衝突突起33と1つの裏蓋36とが設けられている。
【0050】
着脱ガイド31は、運動量計本体3の裏面中心から等距離の位置に4箇所均等に配置されており、いずれも同形状に形成されている。各着脱ガイド31は、運動量計本体3の裏面に固着された基部31aの外周サイズより先端部31bの外周サイズが大きい2段の略三角柱形状に形成されている。これにより、基部31aの側面で先端部31bと運動量計本体3の裏面との間がクリップ用ガイド凹部31cとバンド用ガイド凹部31dとして機能する。
【0051】
また、クリップ用ガイド凹部31c,31cの間位置の一方と、バンド用ガイド凹部31d,31dの間位置の一方には、クリップ用およびバンド用の各衝突突起33,33が設けられている。
【0052】
裏蓋36は、電池を収納する開閉可能な蓋であり、運動量計本体3の背面中央に設けられている。この裏蓋36は、運動量計本体3にベルト型装着体2やクリップ型装着体4が装着されて覆われている状態では開くことができず、運動量計本体3からベルト型装着体2やクリップ型装着体4を取り外した状態でのみ開くことができる。これにより、電池が交換されるとき、運動量計本体3は、装着体(2,4)の取り付けられていない単体状態に必ずなる構成になっている。
【0053】
ベルト型装着体2は、利用者の腕に装着するためのリング状のベルト部25と、該ベルト部25の一部に設けられて外側に運動量計本体3を着脱するマウント部21とで構成されている。
【0054】
マウント部21は、図1に示すように、外側の面に2本の平行のレールで構成されるガイドレール22,22が設けられ、このガイドレール22,22の間に橋渡しされた複数の突起状のリブ23が取付方向(矢印X方向)に多段に設けられている。
【0055】
リブ23は、ガイドレール22による運動量計本体3の着脱方向に対して直角で運動量計本体3とマウント部21の対向面に対して平行となる棒状または板状に形成されている。また、このリブ23は、着脱時にガイドレール22が運動量計本体3のバンド用ガイド凹部31dに係合してスライド移動する移動距離内に複数設けられている。これにより、リブ23が装着体側衝突体として機能し、運動量計本体3に設けられた本体側衝突体としての衝突突起33がスライド移動中に複数のリブ23に衝突する構成となっている。なお、この2本のガイドレール22と複数のリブ23により、梯子のごとき形状が形成されている。
【0056】
クリップ型装着体4は、運動量計本体3を着脱するマウント部41と、該マウント部41の裏面側で利用者のベルトやズボンやスカート等を挟み込むクリップ部45とで構成されている。
【0057】
マウント部41は、図1に示すように、外側の面に2本の平行のレールで構成されるガイドレール42,42が設けられ、このガイドレール42,42の間に橋渡しされた複数の突起状のリブ43が取付方向(矢印Y方向)に多段に設けられている。
【0058】
リブ43は、ガイドレール42による運動量計本体3の着脱方向に対して直角で運動量計本体3とマウント部41の対向面に対して平行となる棒状または板状に形成されている。また、このリブ43は、着脱時にガイドレール42が運動量計本体3のクリップ用ガイド凹部31cに係合してスライド移動する移動距離内に複数設けられている。これにより、リブ43が装着体側衝突体として機能し、運動量計本体3の衝突突起33がスライド移動中に複数のリブ43に衝突する構成となっている。なお、この2本のガイドレール42と複数のリブ43により、梯子のごとき形状が形成されている。
【0059】
この構成により、運動量計本体3は、図3(A1)(A2)に示すようにベルト型装着体2を取り付けて腕装着型として利用する、図3(B1)(B2)に示すようにクリップ型装着体4を取り付けて腰装着型として利用する、あるいは図3(C1)(C2)に示すようにベルト型装着体2とクリップ型装着体4のどちらも取り付けずにポケットイン型として利用することの3態様が可能になる。
【0060】
図4は、運動量計1の構成を示すブロック図である。
運動量計1は、加速度検知部12、表示部13、演算部14、電源接続部15、記憶部16、操作部17、および電源部18を有しており、携帯型とするべく普通人の手のひらに納まる程度の大きさに形成されている。
【0061】
加速度検知部12は、運動量計1を装着した利用者の歩行や体動等によって生じる振動の加速度を検知するセンサであり、検知信号を演算部14に伝達する。この加速度検知部12は、直交する三方向の加速度を検知する三次元加速度センサで構成されている。この加速度検知部12は、検知する3方向を、運動量計本体3の前後方向、左右方向、および上下方向に正しく合わせて運動量計本体3に配置されている。これにより、前後方向、左右方向、および上下方向の各加速度成分を容易かつ精度良く抽出することができる。また、この左右方向に平行にスライドするようにバンド用ガイド凹部31d(図2参照)が形成され、上下方向に平行にスライドするようにクリップ用ガイド凹部31c(図2参照)が形成されているため、ベルト型装着体2やクリップ型装着体4の取り付け、取り外しも精度良く検出することができる。
【0062】
表示部13は、液晶などの表示機器で構成されており、演算部14からの表示制御信号に従って情報を表示する。この表示する情報は、歩数、生活活動量、腕振りレベル、現在のモードなど、運動量に関する情報とすることができる。
【0063】
演算部14は、電源部18から電源接続部15を介して受け取る電力によって駆動し、加速度検知部12および操作部17から伝達される検知信号の受け取り(検出)、表示部13、および記憶部16に対する電力供給(電源)と動作制御(表示制御)を実行する。また、加速度検知部12から伝達された検知信号に基づいて、記憶部16に記憶している歩行判定基準データや一歩判定基準データ等を参照して演算する処理も実行する。
【0064】
記憶部16は、加速度検知部12で検知した検知信号である加速度データ、該加速度データからベルト型装着体2およびクリップ型装着体4の着脱を検出して測定モードを切り替える全体プログラム、ベルト型装着体2が装着されている際に実行する腕装着体動検出プログラム、クリップ型装着体4が装着されている際に実行する腰装着体動検出プログラム、ベルト型装着体2もクリップ型装着体4も装着されていない場合に実行するポケットイン体動検出プログラム、腕装着体動検出プログラムが用いる腕装着モードパラメータ、腰装着体動検出プログラムが用いる腰装着モードパラメータ、およびポケットイン体動検出プログラムが用いるポケットインモードパラメータ、および算出した歩数や歩行外活動量など、必要なプログラムとデータを記憶する。
【0065】
操作部17は、体重や歩幅などの利用者情報の入力操作、時計を合わせる日時入力操作、および、表示内容を歩数・消費カロリー・歩行距離といった各種内容に切り替える表示内容切替操作など、適宜の操作入力を受け付け、この操作入力信号を演算部14に伝達する。
電源部18は、充電可能なバッテリーや充電不可の電池など、携帯可能な適宜の電源により構成されている。
【0066】
図5は、記憶部16に記憶されている全体プログラムに従って運動量計1の演算部14が実行する動作を示すフローチャートである。
演算部14は、電源の投入(電池の装着)を受けて、初期化処理を実行する(ステップS1)。この初期化処理では、演算用パラメータをポケットインモードパラメータに設定する処理も実行する。この初期化処理が完了した後、演算部14は、加速度検知部12で検知した加速度データに対して種々の処理(ステップS2〜S12)を実行していく。
【0067】
演算部14は、加速度検知部12で検知した加速度データに基づいて、クリップ型装着体4の着脱の有無を検知する(ステップS2)。
このクリップ型装着体4の着脱の有無は、運動量計本体3にクリップ型装着体4が着脱される際に、運動量計本体3の衝突突起33にクリップ型装着体4のリブ43が衝突して現れる加速度の変化から検知する。
【0068】
詳述すると、例えばクリップ型装着体4を装着するとき、図6(A)に示すようにクリップ型装着体4と運動量計本体3をスライド移動させると、運動量計本体3の衝突突起33は、図6(B)に示すように、クリップ型装着体4のリブ43に衝突しつつ該リブ43を乗り越える。この衝突して乗り越える際に、図7のグラフに示すように、Y方向(運動量計本体3の上下方向)の一方(図示の例では正方向)にのみ突出する鋭い波形P(所定の時間内に所定の範囲の強さが現れる波形)が、リブ43に衝突突起33が衝突した回数に応じて現れる。このように正または負の一方にだけに突出する鋭い波形は、通常の歩行や生活活動や腕振りでは現れない波形であるから、運動によるものではなく着脱によるものであることが明確である。この波形を検知することで、演算部14は、クリップ型装着体4の着脱を検出することができる。
【0069】
クリップ型装着体4の着脱を検知すると(ステップS2:Yes)、演算部14は、その着脱が装着方向(正方向)か否かを判定する(ステップS3)。この装着方向の判定をする演算部14は、加速度検知部12で検出した波形PがY方向(上下方向)に正(上向き)であれば取り付け、負(下向き)であれば取り外しと判定する。
【0070】
装着方向(取り付け)であれば(ステップS3:Yes)、演算部14は、現在のモードが腰装着モードであるか否かを判定する(ステップS4)。
腰装着モードでなければ(ステップS4:No)、演算部14は、演算用パラメータを腰装着モードパラメータに設定する(ステップS5)。このとき、演算部14は、体動を演算するプログラムも腰装着体動検出プログラムに切り替え、腰装着モードへ完全に移行する。このステップS4〜S5により、運動量計本体3にクリップ型装着体4が取り付けられればすぐに腰装着モードに移行するようにしている。
【0071】
演算部14は、設定されているパラメータを用い、切り替えられた体動検出プログラムで体動演算処理を実行し(ステップS6)、ステップS2に処理を戻して繰り返す。この体動演算処理の詳細は、モード別に後述する。
【0072】
前記ステップS4で腰装着モードであれば(ステップS4:Yes)、演算部14は、そのまま体動演算処理(ステップS6)を実行する。
【0073】
ステップS3で着脱が装着方向(正方向)でなければ(ステップS3:No)、取り外しであるから、演算部14は、現在のモードがポケットインモードか否かを判定する(ステップS7)。
【0074】
演算部14は、ポケットインモードでなければ(ステップS7:No)、演算用パラメータをポケットインモードパラメータにすると共に体動検出プログラムをポケットイン体動検出プログラムに切り替え(ステップS8)、ステップS6へ処理を進める。
【0075】
ポケットインモードであれば(ステップS7:Yes)、演算部14はそのままステップS6へ処理を進める。このステップS7〜S8により、運動量計本体3からクリップ型装着体4が外されればすぐにポケットインモードに戻るようにしている。
【0076】
ステップS2でクリップ型装着体4の着脱を検出しなかった場合(ステップS2:No)、演算部14は、ベルト型装着体2の着脱の検出を実行する(ステップS9)。この着脱は、上述した鋭い波形P(図7参照)がX方向(左右方向)に現れるか否かにより検出する。
【0077】
着脱を検出しなかった場合(ステップS9:No)、モード変更が必要ないため、演算部14は、そのまま体動演算処理(ステップS6)に処理を進める。
【0078】
ベルト型装着体2の着脱を検出した場合(ステップS9:Yes)、演算部14は、その着脱が装着方向(正方向)か否かを判定する(ステップS10)。この装着方向の判定をする演算部14は、加速度検知部12で検出した波形PがX方向(左右方向)に正(背面視左向き)であれば取り付け、負(背面視右向き)であれば取り外しと判定する。
【0079】
着脱が装着方向(正方向)でなければ(ステップS10:No)、取り外しであるから、演算部14は、上述したステップS7〜S8を実行してポケットインモードにモード変更した後に体動演算処理(ステップS6)へ処理を進める。
【0080】
着脱が装着方向(取り付け)であれば(ステップS10:Yes)、演算部14は、現在のモードが腕装着モードであるか否かを判定する(ステップS11)。
腕装着モードでなければ(ステップS11:No)、演算部14は、演算用パラメータを腕装着モードパラメータに設定し(ステップS12)、体動演算処理(ステップS6)へ処理を進める。
【0081】
この腕装着モードパラメータに設定するとき、演算部14は、体動を演算するプログラムも腕装着体動検出プログラムに切り替え、腕装着モードへ完全に移行する。このステップS11〜S12により、運動量計本体3にベルト型装着体2が取り付けられればすぐに腕装着モードに移行するようにしている。
【0082】
図8は、腰装着モードで腰装着体動検出プログラムに従って体動演算処理を実行する演算部14の動作を示すフローチャートである。
【0083】
演算部14は、3次元の加速度検知部12で検出したXYZ加速度の加速度データを取得する(ステップS21)。このあと、演算部14は、歩数計数処理(ステップS22〜S23)と生活活動量算出処理(ステップS24〜S26)とを並列に処理する。
【0084】
歩数計数処理を実行する演算部14は、加速度データから歩数を算出する(ステップS22)。このとき、演算部14は、腰装着モードパラメータを用いて歩数を算出する。これにより、腰に装着されている状態に適したパラメータで歩数を計数できるため、精度の良い歩数検出ができる。
【0085】
演算部14は、算出した歩数を表示部13に腰装着モード表示画面13bとして表示し(ステップS23)、体動演算処理を終了する。このときの腰装着モード表示画面13bは、図3(B1)に示したように、腰装着モードであることを示す「Activity Monitor Mode」、本日の合計歩数を示す「9758 steps」、本日の合計生活活動量を示す「Life Activity 4.5Ex」等を表示すると良い。なお、この時点では歩数をカウントしているため、生活活動量は、既に求めた本日の合計生活活動量をそのまま表示しておけばよい。
【0086】
生活活動量算出処理を実行する演算部14は、加速度の積分値を演算し(ステップS24)、生活活動量を算出する(ステップS25)。このとき、演算部14は、腰装着モードパラメータを用いて生活活動量を算出する。これにより、腰に装着されている状態に適したパラメータで生活活動量を算出できるため、精度の良い生活活動量算出ができる。
【0087】
演算部14は、算出した生活活動量を表示部13に表示し(ステップS26)、体動演算処理を終了する。このときの表示は、ステップS23で説明した表示と同一にすればよい。
【0088】
なお、ステップS21の後に、歩行データであるか否かを判定する処理を実行する構成にしてもよい。この歩行データであるか否かの判定は、加速度データの極大値と極小値が、所定の閾値範囲内にあるか、所定範囲の周期で現れているか、所定個数以上連続しているかといった基準により実行するとよい。この判定後は、歩行であれば歩数計数処理を行い、歩数でなければ生活活動量算出処理を行うとよい。このように構成した場合、演算部14は、歩数計数処理と生活活動量算出処理のいずれか一方を選択的に実行することができる。
【0089】
図9は、腕装着モードで腕装着体動検出プログラムに従って体動演算処理を実行する演算部14の動作を示すフローチャートである。
【0090】
演算部14は、3次元の加速度検知部12で検出したXYZ加速度の加速度データを取得する(ステップS31)。この後は、歩数計数処理(ステップS32〜S33)と腕振りレベル算出処理(ステップS34〜S36)の両方を並列に処理し、1つの加速度データから歩数と腕振りレベルの両方を求める。なお、歩数計数処理(ステップS32〜S33)と腕振りレベル算出処理(ステップS34〜S36)は、並列処理に限らず、順次実行してもよい。順次実行する場合でも、1つの加速度データから歩数と腕振りレベルの両方を算出することで目的を達成できる。
【0091】
歩数計数処理を行う演算部14は、加速度データから歩数を算出する(ステップS32)。このとき、演算部14は、腕装着モードパラメータを用いて歩数を算出する。これにより、腕に装着されている状態に適したパラメータで歩数を計数できるため、精度の良い歩数検出ができる。
【0092】
演算部14は、算出した歩数を表示部13に腕装着モード表示画面13aとして表示し(ステップS33)、体動演算処理を終了する。このときの腕装着モード表示画面13aは、図3(A1)に示したように、腕装着モードであることを示す「Arm Mode」、本日の合計歩数を示す「9758 steps」、現在の腕振りレベルを示す「Swing Lv.5」等を表示すると良い。
【0093】
腕振りレベル算出処理を行う演算部14は、前後方向(Z方向)の加速度の振幅を演算し(ステップS34)、腕振りレベルを算出する(ステップS35)。このとき、演算部14は、腕装着モードパラメータを用いて腕振りレベルを算出する。これにより、腕に装着されている状態に適したパラメータで腕振りレベルを算出できるため、精度の良い腕振りレベルの算出ができる。
【0094】
演算部14は、算出した腕振りレベルを表示部13に表示し(ステップS36)、腕振りレベル算出処理を終了する。このときの表示は、ステップS33で説明した表示と同一にすればよい。
【0095】
図10は、ポケットインモードでポケットイン体動検出プログラムに従って体動演算処理を実行する演算部14の動作を示すフローチャートである。
【0096】
演算部14は、3次元の加速度検知部12で検出したXYZ加速度の加速度データを取得する(ステップS41)。この後は、歩数計数処理(ステップS42〜S43)を実行し、1つの加速度データから歩数を求める。
【0097】
歩数計数処理を行う演算部14は、加速度データから歩数を算出する(ステップS42)。このとき、演算部14は、ポケットインモードパラメータを用いて歩数を算出する。これにより、ポケットに収納されている状態に適したパラメータで歩数を計数できるため、精度の良い歩数検出ができる。
【0098】
演算部14は、算出した歩数を表示部13にポケットインモード表示画面13cとして表示し(ステップS43)、体動演算処理を終了する。このときのポケットインモード表示画面13cは、図3(C1)に示したように、ポケットインモードであることを示す「Pocket-In Mode」、本日の合計歩数を示す「9758 steps」等を表示すると良い。
【0099】
以上の構成および動作により、運動量計1は、どの装着態様で用いられるか検出し、さらに検出した装着態様に適したモードで体動を検出することができる。これにより、使用態様の自由度向上と測定精度の向上という相反する課題を両立させることができる。
【0100】
また、装着体(ベルト型装着体2,クリップ型装着体4)が着脱されるとモードが切り替わるため、利用者がモード切替などの手入力操作をしなくても装着態様の変化に連動してモードを自動で切り替えることができる。従って、手入力操作を忘れてモード切替が正しくなされないといったことを防止でき、装着態様に対応するモードに確実に切り替えることができる。これにより、歩数や活動量や腕振りレベルを確実に精度よく検出することができる。
【0101】
また、歩数や活動量や腕振りレベルといった運動量を測定する加速度検知部12を用いて装着態様の切り替えを検出できるため、運動量計1を安価で小型に製造することができる。
【0102】
また、仮にモード切替の検出を加速度検知部12とは別の検出装置で実施する構成にすると、この別の検出装置だけが故障した場合にモードが正しく切り替わらないまま運動量が測定されて故障に気づかない不具合が生じ得るが、運動量計1は、加速度検知部12でモード切替の検出まで実行するため、こういった不具合を防止することができる。
【0103】
また、運動量計本体3には、ベルト型装着体2用のバンド用ガイド凹部31dと、クリップ型装着体4用のクリップ用ガイド凹部31cが別々に設けられているため、着脱されたものがベルト型装着体2かクリップ型装着体4かを容易かつ確実に検出することができる。
【0104】
また、運動量計1は、衝突突起33とリブ23,43とが衝突して現れる加速度の変化の方向を検知することができるため、これによって着脱された該装着体の種類を検出することができる。従って、ベルト型装着体2やクリップ型装着体4が取り付けられたのか取り外されたのかを確実に検出することができる。
【0105】
また、運動量計本体3に対してベルト型装着体2やクリップ型装着体4を着脱する際に衝突させる態様で衝突突起33とリブ23,43を設けたため、簡潔な構成で確実な着脱の検出を実現できる。
【0106】
また、手入力でモード切替を行うための手入力操作用の押下ボタンが必要ないため、防水性の低下を防止することができる。
【0107】
また、衝突突起33とリブ23,43の衝突によって特徴的な波形が得られるため、着脱検出に要するソフトウェア処理の計算負荷を小さくすることができ、かつ、検出精度を高めることができる。
【0108】
また、着脱検出に衝突を利用するためのハードウェア構成を小さな突起等で実現できるため、運動量計1の全体形状を小型にすることが可能になる。
【0109】
このように、運動量計1は、衝突突起33とリブ23,43を利用するというハードウェア構成と、この衝突によって現れる加速度の変化を検出するというソフトウェア処理とを組み合わせたことにより、様々な効果を得ることができる。
【0110】
なお、上述した実施例では、リブ23,43の個数を同一にしたが、リブ23とリブ43とで個数を異ならせてもよい。この場合、衝突突起33にリブ32,43が衝突して現れる加速度の変化の数を加速度検知部12で検出し、その数によってベルト型装着体2の着脱によってリブ23が衝突したのか、あるいはクリップ型装着体4の着脱によってリブ43が衝突したのかを検出する構成にすればよい。この場合も、着脱されたのがベルト型装着体2かクリップ型装着体4かを確実に検出することができる。
【0111】
また、図1,図2で説明したクリップ用ガイド凹部31cとバンド用ガイド凹部31dを、図11に示すように一方のバンド用ガイド凹部31dだけとし、ベルト型装着体2とクリップ型装着体4とを同じ場所に着脱する構成にしてもよい。
【0112】
この場合、図11(A)の正面側から見た斜視図および図11(B)の背面側から見た斜視図に示すように、着脱ガイド31Eの基部31eと先端部31fを、上述した着脱ガイド31(図2参照)の基部31と先端部31よりも横長に大きく形成するともよい。
【0113】
また、運動量計本体3に衝突突起33を設けておき、ベルト型装着体2に設けたリブ23の数(図示の例では4個)と、クリップ型装着体4に設けたリブ43の数(図示の例では3個)を異ならせればよい。この場合も、衝突突起33とリブ23,43との衝突回数によってベルト型装着体2とクリップ型装着体4のどちらが着脱されたか検出でき、また衝突による衝撃の方向によって取り付けか取り外しかを検出することができる。
【実施例2】
【0114】
次に、着脱検出のための構造が異なる実施例2の運動量計1Aについて説明する。
図12は、正面側から見た運動量計1Aの分解斜視図を示し、図13は、背面側から見た運動量計1Aの分解斜視図を示し、図14は、運動量計本体3Aを背面側から見た拡大斜視図である。
【0115】
運動量計1Aは、運動量計本体3Aと、該運動量計本体3Aに着脱可能なベルト型装着体2Aおよびクリップ型装着体4Aとで構成されている。
【0116】
運動量計本体3Aは、図14に示すように、背面に左右方向に長いバンド用溝37dと上下方向に長いクリップ用溝37cとが直交配置されて設けられている。
【0117】
クリップ用溝37cは、運動量計本体3の下端部から中心を通って上方へ一直線に伸びている。このクリップ用溝37cの上端には、背面視左側へ90°屈曲してクリップ用溝37cと連通する固定溝38cが設けられている。このクリップ用溝37cと固定溝38cによりL字の溝が形成されている。
【0118】
バンド用溝37dは、運動量計本体3の背面視右端部から中心を通って背面視左方へ一直線に伸びている。このバンド用溝37dの背面視左端には、上側へ90°屈曲してバンド用溝37dと連通する固定溝38dが設けられている。このバンド用溝37dと固定溝38dによりL字の溝が形成されている。
【0119】
運動量計本体3Aの他の構成は、実施例1と同一であるので、同一の構成要素に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0120】
ベルト型装着体2Aは、図12に示すように、マウント部21の外側の面に着脱係合部26が設けられている。着脱係合部26は、一方にマウント部21の中心が固着されている四角柱形状の支持柱29と、該支持柱29に他方に固着されたフランジ部27と、該フランジ部27の外側の面に設けられた装着体側突起28とで構成されている。
【0121】
フランジ部27は、一定の厚みのある板状であり、着脱方向(図12の矢印X方向)に長いガイドレール27d,27dが着脱方向の幅方向である上下両端に設けられている。このガイドレール27d,27dは互いに平行であり、図13に示すバンド用ガイド凹部31d,31dにガイドされてスムーズにスライド移動するように構成されている。各ガイドレール27dの長さは、クリップ用ガイド凹部31c,31cの離間距離より僅かに短く構成されており、ガイドレール27dの両端がクリップ用ガイド凹部31c,31cにガイドされて固定方向(図示上方)へスライド移動できるように構成されている。
【0122】
装着体側突起28は、フランジ部27の一端に設けられている。この装着体側突起28は、バンド用溝37dおよび固定溝38dの溝幅より僅かに小さく構成されており、バンド用溝37dおよび固定溝38dの溝内を移動する。
【0123】
支持柱29は、運動量計本体3Aの着脱ガイド31の先端部31b,31bの離間距離よりも小さく構成されている。これにより、先端部31b,31bの間を移動できるように構成されている。
ベルト型装着体2Aのその他の構成は実施例1と同一であるので、同一構成要素に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0124】
クリップ型装着体4Aは、図12に示すように、マウント部41の外側の面に着脱係合部46が設けられている。着脱係合部46は、一方にマウント部41の中心が固着されている四角柱形状の支持柱49と、該支持柱49に他方に固着されたフランジ部47と、該フランジ部47の外側の面に設けられた装着体側突起48とで構成されている。
【0125】
この着脱係合部46の構成は、上述したベルト型装着体2Aの着脱係合部26と同一形状であって90度回転させた向きにしてクリップ型装着体4Aに設けられているため、その詳細な説明を省略する。
【0126】
また、クリップ型装着体4Aのその他の構成は実施例1と同一であるので、同一構成要素に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0127】
図15は、このように構成された運動量計1Aにおけるクリップ型装着体4Aの着脱動作を説明する説明図である。
運動量計本体3Aにクリップ型装着体4Aを取り付ける際、図15(A)の一点鎖線の矢印に示すように、装着体側突起48がクリップ用溝37c内をスライドするようにして着脱係合部46を嵌め込んでいく。
【0128】
図15(B)に示すように、フランジ部47は、途中でクリップ用ガイド凹部31c,31c間に嵌り込み、それ以降安定してスライド移動する。このとき、フランジ部47は、先端部31bと運動量計本体3の背面との間で挟み込まれており、これによっても安定してスライド移動するように構成されている。
【0129】
さらにスライド移動されると、フランジ部47の装着体側突起48は、クリップ用溝37cの上端に衝突する。
そして、図15(C)に示すようにフランジ部47が背面視左側へ移動されると、装着体側突起48が固定溝38c内をスライド移動し、固定溝38cの背面視左端に衝突する。このとき、フランジ部47における背面視左側のガイドレール47cは、ベルト型装着体2Aのフランジ部27のガイドレール27dが係合するためのバンド用ガイド凹部31d,31dに係合してスライド移動する。
【0130】
一方、取り付けていたクリップ型装着体4Aを運動量計本体3Aから取り外すときは、取り付け時と逆の移動をさせて取り外す。この場合、フランジ部47を背面視右へ移動させたときに装着体側突起48がクリップ用溝37cの側壁に衝突し、その後にフランジ部47を下方へスライド移動させて取り外す。
【0131】
また、ベルト型装着体2Aを運動量計本体3Aに取り付け、取り外しする際の移動は、移動の向きが異なるだけであり、それ以外は同様の動作である。
【0132】
このように移動させることで、次のようにしてベルト型装着体2Aやクリップ型装着体4Aの着脱を検出できる。
ここでは、図16の背面を示す説明図を用いて説明する。
【0133】
図16(A)に示すように、ベルト型装着体2Aを取り付ける場合、装着体側突起28がクリップ用溝37d内を移動して図示左端の衝突場所71で衝突し、さらに固定溝38d内を移動して図示上端の衝突場所72で衝突する。
【0134】
従って、加速度検知部12は、図示左方(運動量計1Aの正面から見ると右方)への衝突と図示上方の衝突の計2回の衝突を検出でき、これによってベルト型装着体2Aが取り付けられたと認識できる。
なお、加速度検知部12は、左方への衝突のみを検出してベルト型装着体2Aが取り付けられたと認識する構成であってもよい。この場合、図16(C)に示すクリップ型装着体4Aを取り付ける際の図示左端の衝突場所76での衝突と区別するように、検出する衝突強度の閾値を設定するとよい。
また、図16(C)に示す固定溝38cを少し狭く形成して該固定溝38cに突起28が嵌まり込むようにし、衝突場所76での衝突が生じないように構成してもよい。この場合、図示左方への衝突であればベルト型装着体2Aが取り付けられたと認識する構成とすることができる。
【0135】
図16(B)に示すように、ベルト型装着体2Aを取り外す場合、装着体側突起28が固定溝38d内を移動して図示下端の衝突場所73で衝突する。
【0136】
従って、加速度検知部12は、図示下方の衝突を検出でき、これによってベルト型装着体2Aが取り外されたと認識できる。
【0137】
図16(C)に示すように、クリップ型装着体4Aを取り付ける場合、装着体側突起48がバンド用溝37c内を移動して図示上端の衝突場所75で衝突し、さらに固定溝38c内を移動して図示左端の衝突場所76で衝突する。
【0138】
従って、加速度検知部12は、上方への衝突と図示左方(運動量計1Aの正面から見ると右方)の衝突の計2回の衝突を検出でき、これによってクリップ型装着体4Aが取り付けられたと認識できる。
なお、加速度検知部12は、上方への衝突のみを検出してクリップ型装着体4Aが取り付けられたと認識する構成であってもよい。この場合、図16(A)に示したベルト型装着体2Aを取り付ける際の図示上端の衝突場所72での衝突と区別するように、検出する衝突強度の閾値を設定するとよい。
また、図16(A)に示した固定溝38dを少し狭く形成して該固定溝38dに突起28が嵌まり込むようにし、衝突場所72での衝突が生じないように構成してもよい。この場合、図示上方への衝突であればクリップ型装着体4Aが取り付けられたと認識する構成とすることができる。
【0139】
図16(D)に示すように、クリップ型装着体4Aを取り外す場合、装着体側突起48が固定溝38c内を移動して図示左端の衝突場所77で衝突する。
【0140】
従って、加速度検知部12は、図示右方(運動量計1Aの正面から見ると左方)の衝突を検出でき、これによってクリップ型装着体4Aが取り外されたと認識できる。
【0141】
この着脱の検出以外の動作については、実施例1と同一であるため、その詳細な説明を省略する。すなわち、実施例1において説明したステップS2,S3,S9,S10の着脱検知と装着方向か否かの検知が上述した検出方法に変わり、それ以外は実施例1と同一となる。
【0142】
以上の構成及び動作によっても、実施例1と同一の効果を得ることができる。なお、この実施例2では、ベルト型装着体2Aやクリップ型装着体4Aの取り付け時に固定溝38cや固定溝38d内を装着体側突起28,48が移動した後、隙間が詰まってしっかりと嵌合し固定される構成、あるいは適宜の凹凸に嵌め込まれて位置固定される構成など、適宜の構成にすることができる。これにより、ベルト型装着体2Aやクリップ型装着体4Aが運動量計本体3Aから意図せず外れてしまうことを防止できる。
【0143】
なお、この実施例2では、着脱係合部26,46を90°直角に移動させる構成としたが、フランジ部27,47を直線的に移動させ、その直角方向へ装着体側突起28,48のみを単独で移動させる構成にしてもよい。この場合でも取り付け時に方向の異なる2回の衝突を検出でき、取り外し時に1回の衝突を検出できるため、着脱されたのがベルト型装着体2Aとクリップ型装着体4Aのどちらか、および取り付けか取り外しかを検出できる。
【0144】
また、実施例1,2で説明した運動量計1,1Aには、通信部を設けても良い。この通信部は、有線接続するUSB(Universal Serial Bus)や無線通信するBluetooth(登録商標)など、適宜の通信インターフェースで構成することができる。
【0145】
これにより、パーソナルコンピュータや携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)などの情報処理装置との通信を実現することができる。
この場合、操作部17は、通信部に接続された別途の情報処理端末へデータ送信するデータ送信操作を行う構成にしてもよい。
【0146】
また、実施例1,2では、腰装着モード、腕装着モード、ポケットインモードの3モードとしたが、これに限らず他のモードとしてもよい。この場合でも、それぞれのモードと着脱検出を対応づけておくことで、現在の着脱状態を確実に測定することができる。
【0147】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の装着体は、実施形態ベルト型装着体2およびクリップ型装着体4に対応し、
以下同様に、
体動検出装置および装置本体は、運動量計本体3に対応し、
加速度検出手段は、加速度検知部12に対応し、
表示手段は、表示部13に対応し、
モードに対応する画面は、腕装着モード表示画面13a、腰装着モード表示画面13b、およびポケットインモード表示画面13cに対応し、
演算手段は、演算部14に対応し、
記憶手段は、記憶部16に対応し、
装着体の一部は、リブ23,43、および装着体側突起28,48に対応し、
着脱部およびガイドは、着脱ガイド31に対応し、
衝突体は、衝突突起33、クリップ用溝37cと固定溝38c、およびバンド用溝37dと固定溝38dに対応し、
着脱検出処理は、ステップS2,S3,S9,S10に対応し、
体動算出処理は、ステップS21〜S26,S31〜S36,S41〜S43に対応し、
生体は、利用者に対応し、
生体連動物品は、利用者のベルトやズボンやスカートに対応し、
モードは、腕装着モード、腰装着モード、およびポケットインモードに対応し、
体動は、歩数、生活活動量、および腕振りレベルに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
この発明は、歩数計や活動量計など、利用者の運動量を検出するための運動量計に利用することができる。
【符号の説明】
【0149】
2,2A…ベルト型装着体、3,3A…運動量計本体、4,4A…クリップ型装着体、12…加速度検知部、13…表示部、13a…腕装着モード表示画面、13b…腰装着モード表示画面、13c…ポケットインモード表示画面、14…演算部、16…記憶部、23,43…リブ、28,48…装着体側突起、31,31E…着脱ガイド、33…衝突突起、37c,38c…クリップ用溝、37d,38d…固定溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度を検出する加速度検出手段と、
前記加速度検出手段により検出した加速度データに基づいて生体の体動を算出する体動算出処理を実行する演算手段とを備えた体動検出装置であって、
生体または生体連動物品に装着される装着体が装置本体に着脱されることを許容する着脱部を備え、
前記演算手段は、
前記着脱部に前記装着体を着脱する際に前記加速度データに現れる加速度の変化から着脱を検出する着脱検出処理を実行し、検出した着脱に基づいて前記体動算出処理を着脱後の状態に合うモードに切り替えて実行する構成である
体動検出装置。
【請求項2】
前記着脱部は、前記装着体の着脱時に該装着体の一部が衝突する衝突体が設けられ、
前記着脱検出処理は、前記衝突体に前記装着体の一部が衝突して現れる加速度の変化を前記加速度データから検出する構成である
請求項1記載の体動検出装置。
【請求項3】
前記着脱部は、複数種類の装着体に個別対応して複数設けられている
請求項2記載の体動検出装置。
【請求項4】
前記着脱検出処理は、前記衝突体に前記装着体の一部が衝突して現れる加速度の変化の方向によって着脱された該装着体の種類を検出する構成である
請求項3記載の体動検出装置。
【請求項5】
前記着脱部は、対応する前記装着体の種類別に前記衝突体の個数を異ならせて構成され、
前記着脱検出処理は、前記衝突体に前記装着体の一部が衝突して現れる加速度の変化の数によって着脱された該装着体の種類を検出する構成である
請求項3記載の体動検出装置。
【請求項6】
加速度を検出する加速度検出手段と、
データを記憶する記憶手段と、
前記加速度検出手段により検出した加速度データに基づいて生体の体動を算出する体動算出処理を実行する演算手段と、
演算結果を表示する表示手段とを備えた体動検出装置であって、
生体または生体連動物品に装着される装着体が装置本体に着脱されることを許容する着脱部を前記装着体の種類別に複数備え、
前記演算手段は、
前記着脱部に対して前記装着体が着脱されたときに前記加速度データに現れる加速度の変化によって前記着脱部に対する前記装着体の着脱と該装着体の種類とを検出する着脱検出処理を実行し、
検出した着脱と種類とに基づいて前記体動算出処理を着状態の装着体の種類に対応するモードに切り替えて実行する構成であり、
前記表示手段は、該モードに対応する画面を表示する構成である
体動検出装置。
【請求項7】
生体の体動を検出する体動検出装置であって、
生体または生体連動物品に装着される装着体が装置本体に着脱されることを許容する着脱部を備え、
該着脱部は、
前記装着体が装置本体に着脱される際に該装着体をスライドまたは回転させるガイドと、
該ガイドに沿って前記装着体が着脱される際に該装着体の一部に衝突する衝突部とを備えた
体動検出装置。
【請求項8】
加速度を検出する加速度検出手段と、
該加速度検出手段により検出した加速度データに基づく演算を実行する演算手段と、
該加速度検出手段および前記演算手段を収納する筐体とを備えた入力装置であって、
前記筐体は、衝突による衝撃が付与される衝突体が設けられ、
前記演算手段は、前記加速度データから前記衝突体に付与された衝撃によって加速度変化が生じた衝撃加速度データを検出し、
該衝撃加速度データから衝撃の付与された衝撃内容を検出し、
該衝撃内容によって入力された情報を決定する入力情報決定処理を実行する構成である
入力装置。
【請求項9】
生体の体動により生じた加速度の変化を示す加速度データから前記生体の体動を検出する体動検出方法であって、
装置本体に対して装着体が着脱される際に生じる加速度の変化を前記加速度データから検出し、
該着脱後の状態に対応するモードの体動検出処理により該着脱後の加速度データから体動を検出する
体動検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−178982(P2010−178982A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26326(P2009−26326)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】