説明

体外循環装置用ホルダ及びこれを備えた架台

【課題】開心術において使用される人工心肺回路を構成する複数の体外循環装置用部材相互の相対的位置関係及び向き等を容易に変更可能とする体外循環装置用ホルダ及び架台を提供すること。
【解決手段】人体に接続自在とされる体外循環回路を構成する体外循環装置用部材70を固定するための体外循環装置用ホルダ10であって、クランプ部材12と、前記クランプ部材12に設けられ、前記体外循環装置用部材70を保持自在とする複数の保持部材30とを備え、複数の前記保持部材30は、3次元空間における前記体外循環装置用部材70の相対的位置を調整可能とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人工心肺や補助循環に用いるための体外循環装置用部材を配置及び固定するための固定ホルダ及びこれを備えた架台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、開心術等の手術中や手術後において、患者の人体に対して血液の供給が必要な場合、人工心肺や補助循環のための血液循環ポンプ、人工肺、静脈血貯血槽をはじめとする数多くの体外循環装置用部材によって人工心肺回路が構成され、これら人工心肺回路を構成する体外循環装置用部材を監視及び作業し易く配置するために、例えば、貯血槽における血液量の視認性を向上させるために貯血槽を自由度の高いレイアウトで保持するための技術が開示されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−144542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、開心術をする際には、上述の例のように種々の体外循環装置用部材が用いられており、形状、容量をはじめとする仕様や、手術現場における医療従事者の人員配置、手術に用いられる手術用器具の配置、さらには各開心術中に重点監視する項目が異なるために、あらゆる開心術においてバランスよく効率的に監視可能な体外循環装置用部材の配置を行なうことは手術室のスペース上の制限などから非常に困難であるという問題があった。
一方で、これら体外循環装置用部材を人工心肺回路に適切に配置して、人工心肺回路の配管長を最短のものとすることで血液充填量(プライミングボリューム)を低減したいという強い要請がある。
また、手術中に患者の容体が急変して特定の体外循環装置用部材を優先的に監視、操作可能にすることが必要となった場合に、人工心肺回路の接続を維持したままの状態で体外循環装置用部材相互の配置や計器の向きを変更して重点監視する対象を自在に変更したいという医療従事者からの要請がある。
【0004】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、開心術において使用される人工心肺回路を構成する複数の体外循環装置用部材相互の相対的位置関係及び向き等を容易に変更可能な体外循環装置用ホルダ及び架台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような課題を解決するために、請求項1に記載の体外循環装置用ホルダは、人体に接続とされる体外循環回路を構成する体外循環装置用部材を固定するための体外循環装置用ホルダであって、クランプ部材と、前記クランプ部材に設けられ、前記体外循環装置用部材を保持自在とする複数の保持部材とを備え、複数の前記保持部材は、3次元空間における前記体外循環装置用部材の相対的位置を調整可能とすることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る体外循環装置用ホルダによれば、体外循環回路を構成する体外循環装置用部材相互の相対的な位置関係を3次元空間において調整することができるので、開心術を行なう際に、体外循環装置用部材の3次元空間における相対的位置、向きを、状況に応じて自在に配置し、調整することができる。
また、クランプ部材を用いて架台等に取付け自在とされているので、体外循環装置用部材を、例えば、体外循環回路のローラポンプを収納する架台や手術現場近傍の支持部材に容易に取付けることができる。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の体外循環装置用ホルダであって、基端側が前記クランプ部材に保持された第1のアーム部材と、前記第1のアーム部材の長手方向と交差する方向に延在するとともに該長手方向に移動自在に保持された第2のアーム部材と、前記第2のアーム部材の軸線回りに回転自在に支持された保持部材とを有することを特徴とする。
【0008】
この発明に係る体外循環装置用ホルダによれば、基端側がクランプ部材に保持された第1のアーム部材と、この第1のアーム部材の長手方向と交差する方向に延在するとともに該長手方向に移動自在に保持された第2のアーム部材とを有し、第2のアーム部材が第1のアーム部材の長手方向に移動自在とされているので、クランプ部材により把持された支持部材からの距離が調整自在とされるとともに保持部材が第2のアーム部材の軸線回りに回転自在とされているので保持部材に保持された体外循環装置用部材の向きを第2のアーム部材の軸線廻りに自在に調整することができる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2記載の体外循環装置用ホルダであって、前記保持部材は、前記第2のアーム部材の径方向に移動自在とされていることを特徴とする。
【0010】
この発明に係る体外循環装置用ホルダによれば、保持部材が、前記第2のアーム部材の軸線に対して径方向に移動自在とされているので、第2のアーム部材からの距離を自在に調整することができる。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2又は請求項3に記載の体外循環装置用ホルダであって、前記第2のアーム部材は、互いに着脱自在とされるアーム構成部材を備え、前記アーム構成部材には、前記保持部材が進退自在に挿入される複数の孔が前記軸線方向に間隔をあけて形成され、前記軸線回りに相対的に回転自在とされる回転機構とを有していることを特徴とする。
【0012】
この発明に係る体外循環装置用ホルダによれば、第2のアーム部材が、互いに着脱自在とされる複数のアーム構成部材を備え、このアーム構成部材には軸線方向に間隔をあけて保持部材が進退自在に挿入される複数の孔が形成されているので、それぞれの体外循環装置用部材の第2のアーム部材の軸線からの距離、周方向位置及び高さが調整自在とされて体外循環装置用部材相互の相対的な距離及び向きを小さなスペースにて容易に調整することができる。その結果、それぞれの体外循環装置用部材を監視しやすくすることができる。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項2から請求項4のいずれかに記載の体外循環装置用ホルダであって、前記第1のアーム部材には、人工心肺を保持するための人工心肺固定部材が第1のアーム部材の長手方向に調整自在に配置されていることを特徴とする。
【0014】
この発明に係る体外循環装置用ホルダによれば、第1のアーム部材に人工心肺を保持するための人工心肺固定部材が第1のアーム部材の長手方向の任意位置に調整自在とされているので、人工心肺の位置及び向きを安定して保持することができる。
【0015】
請求項6に係る発明は、人体に接続とされる体外循環回路を収納する架台であって、請求項1から請求項5のいずれかに記載の体外循環装置用ホルダを備えたことを特徴とする。
【0016】
この発明に係る架台によれば、体外循環装置用部材が、体外循環回路のローラポンプを収納する架台に取付けられているので、計器の監視を手術現場の近傍において行い、手術を効率的に行なうことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る体外循環装置用ホルダによれば、体外循環回路を構成する体外循環装置用部材の相互の位置関係を3次元空間において自在に配置することができるので、3次元空間における体外循環装置用部材の相対的位置を開心術中の状況に応じて自在に配置することができる。その結果、手術室の限られたスペース内に心肺装置を構成する体外循環装置用部材を効率的にバランスよく配置することが可能とされる。また、体外循環装置用部材を人工心肺回路に適切に配置して、人工心肺回路の配管長を最短のものとすることにより血液充填量(プライミングボリューム)を低減することができる。
また、本発明に係る体外循環装置用ホルダは、クランプ部材により架台等の支持部材に取付自在とされるため、体外循環装置用部材を、例えば、体外循環回路を収納する架台に取付けて手術現場の近傍に立体的に配置して、手術を効率的かつ安全に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すのは、本発明に係る体外循環装置用ホルダを備えたローラポンプ用架台を示す図であって、符号1はローラポンプ用架台(架台)を、符号10は体外循環装置用ホルダを、符号70体外循環装置用部材を示している。
【0019】
この実施の形態において、体外循環装置用部材70は、例えば、図2に示すように、体外循環回路において血液中に酸素を供給する人工心肺71と、人工心肺装置に循環する動脈血から異物や気泡を除去するための動脈フィルター72と、血液中の気泡を除去するためのバブルトラップ73とを備えており、人工心肺71は静脈血と酸素を接触させる中空糸フィルター部と血液を冷却させる熱交換器とを有している。
【0020】
ローラポンプ用架台1は、図1に示すように、架台本体2と、支持部材4と、ローラポンプ5と、体外循環装置用ホルダ10とを備えており、架台本体2は基台部材2aと車輪2bとを有し、基台部材2aにはローラポンプ5が収納可能とされ、体外循環装置用ホルダ10に保持された体外循環装置用部材70がローラポンプ5と所定の管路によって接続されることにより患者に接続可能な体外循環回路(図示せず)が形成されるようになっている。この場合、人工心肺71、動脈フィルター72、バブルトラップ73以外の体外循環装置用部材70が組合せ可能なことはいうまでもない。
【0021】
支持部材4は、基台部材2aに対して垂直に立設された2本のポール部材4aと、この2本のポール部材4aを連結する水平に配置された水平バー4bとを備えており、この実施の形態において、体外循環装置用ホルダ10はポール部材4aに取付けられて架台本体2に固定されている。
【0022】
ローラポンプ用架台1は、例えば、支持部材4だけでは体外循環装置用ホルダ10等の手術に必要とされる部材の取付けスペースが不足する場合には、体外循環装置用ホルダ10を取付ける支持部材としてポール部材4aに連結された延長ポール6を取付けることができるようになっている。この場合、延長ポール6は、例えば、ポール部材4aを把持するクランプ部6aと、ポール部材4aからの距離を確保する水平アーム6bと、体外循環装置用ホルダ10が固定される垂直アーム6cとを有する構成とされている。
【0023】
体外循環装置用ホルダ10は、図2から図5に示すように、第1のアーム部材11と、第2のアーム部材20と、複数の保持部材30とを備えており、外循環装置用部材70相互の相対的位置及び外循環装置用部材70の向きが調整自在に支持部材に取り付け可能とされている。
【0024】
第1のアーム部材11は、クランプ部材12と、第1のアーム部材本体14と、人工心肺固定部材17とを備えており、クランプ部材12が、支持部材4を把持することによって架台本体2に固定されるようになっている。
クランプ部材12は、支持部材4を把持し易いように支持部材4側がV字形の谷形状に形成されたV字壁部と、V字壁部に連接されV字壁部の谷形状側がL字形の屈曲凹側とされたL字壁部とを備え、谷形状に対向する位置のL字壁部にはネジ孔が形成されるとともに該ネジ孔に調整ネジ13が螺合され、調整ネジ13が回転されることにより調整ネジ13が進退することによって軸部先端に設けられた押圧部材が支持部材4を押圧又は離間して支持部材4を着脱するようになっている。
【0025】
第1のアーム部材本体14は、クランプ部材12の取付凹部に固定される第1の取付部と、第2のアーム部材20の基端連結部21に挿入されてL字壁部が摺動自在とされる軸部と、人工心肺固定部材17の取付凹部に固定される第2の取付部とを備えており、軸部は、長手方向に直交する断面が長手方向に同一形状とされることによって基端連結部21が軸部の長手方向に移動自在とされている。また、第1のアーム部材本体14が、クランプ部材12の取付凹部に固定されることにより支持部材4に直交(交差)するように構成されている。
【0026】
上記実施の形態においては、クランプ部材12がポール部材4aを把持した場合に第1のアーム部材本体14が水平となるようにクランプ部材12の取付凹部が形成されている場合について説明したが、クランプ部材12が水平バー4bを把持した場合に第1のアーム部材本体14が水平となるようにクランプ部材12の取付凹部を形成することも可能である。
【0027】
人工心肺固定部材17は、第1のアーム部材本体14のクランプ部材12と反対側の端部に固定されて、人工心肺固定部材17の下側面には第1のアーム部材本体14の長手方向に延在するT溝が形成されており、人工心肺71の上方に形成されたT型係合部(図示せず)がT溝に沿って挿入、係合された状態で固定ネジ17aを締めつけることにより人工心肺71を人工心肺固定部材17に取付けることができるようになっている。
また、固定ネジ17aを締め付けることにより人工心肺固定部材17は第1のアーム部材本体14に固定されるようになっていて、固定ネジ17aを緩めて人工心肺固定部材17を仮固定の状態にすることにより人工心肺固定部材17を第1のアーム部材本体14の軸線廻りに回転させることができ、人工心肺71を倒立させることにより人工心肺71内の気泡を容易に排出させることができるようになっている。
【0028】
第2のアーム部材20は、基端連結部21と、複数のアーム構成部材22とを備え、それぞれのアーム構成部材22は、その軸線回りに回転自在とされている。
基端連結部21は、第1のアーム部材本体14が挿入される孔21aと、第1のアーム部材本体14の長手方向に直交して形成された連結部21bとを備えており、連結部21bは、先端側には雄ネジ21cが形成されるとともにアーム構成部材22が接続されるようになっている。
【0029】
アーム構成部材22は、図6に示すように、多段円筒形状に形成された支持軸23と、回転機構28とを有していて、それぞれの支持軸23は、円筒形状に形成された大径部23aと、支持軸23の一方端(図6の上方)に形成された第1の小径部23bと、支持軸23の他端側(図6の下方)に形成された第2の小径部23cとを有しており、大径部23aには、支持軸23の軸線に直交する方向に軸方向に間隔をあけて、例えば、4つの孔24が形成されており、孔24には保持部材30の軸部31が進退自在に挿入されるようになっている。また、大径部23aには、孔24と同じ支持軸23の軸線方向位置にこの軸線及び孔24に直交するネジ孔23dが形成され、ネジ孔23dに固定ネジ26が螺合されており、この固定ネジ26を回転させることにより軸部31を側面から押圧、固定することができるようになっている。
【0030】
回転機構28は、円筒状に形成された周壁部28aと、周壁部28aの一方側の端部において外周から内方に延在し貫通孔が形成され円環状とされた端壁部28bと、周壁部28aの内周面に形成された雌ネジ28cと、押え板28dと、固定ネジ28eと、周壁部固定ネジ28f、摺動部材29とを備えており、支持軸23を基端連結部21に回転自在に連結するようになっている。
【0031】
第1の小径部23bは、軸方向長さが端壁部28bの軸方向厚さよりもわずかに大きく形成されるとともに外径が端壁部28bの中央に形成された貫通孔の内径よりもわずかに小さく形成されており、第1の小径部23bが端壁部28bの貫通孔に挿入された状態にて第1の小径部23bの端面に押え板28dがノックピン及び固定ネジ28eによって固定されることによって、周壁部28a及び端壁部28bが支持軸23に対して回転自在に構成されるようになっている。
【0032】
また、支持軸23は、押え板28dの基端連結部21側に回転摺動をスムースにするための摺動部材29を介して、周壁部28aの雌ネジ28cを基端連結部21の雄ネジ21cに螺合、連結させて、基端連結部21に連結可能とされており、この状態で周壁部28aに設けられたネジ孔に周壁部固定ネジ28fを締め込んで周壁部28aを雄ネジ21cに固定することにより、基端連結部21に対する支持軸23の周方向位置を調整、固定することができるようになっている。
【0033】
また、支持軸23の他方端には第2の小径部23cが形成されるとともに雄ネジ21cと同一とされる雄ネジ23eが形成されて、別のアーム構成部材22が連結可能とされており、その場合、別のアーム構成部材22の雌ネジ28cは、基端連結部21の雄ネジ21cに代えて、基端連結部21側(図6では上方)に位置するアーム構成部材22の第2の小径部23cに形成された雄ネジ23eに螺合、連結されるようになっている。
また、下方に位置する側のアーム構成部材22の回転機構28の周壁部28aと、基端連結部21側に位置するアーム構成部材22を構成する支持軸23の第2の小径部23cとの相対的な周方向位置は、基端連結部21に対する支持軸23の周方向位置を調整、固定の場合と同様に、周壁部固定ネジ28fにより固定されるようになっている。
【0034】
保持部材30は、この実施の形態において、丸棒の側面を軸方向に平面状に削り取った軸部31と、軸部31の先端側に配置された保持部33、35とを備えており、それぞれの保持部材30は、軸部31を支持軸23の孔24に挿入して進退自在とされるとともに、軸部31の平面部を固定ネジ26によって押圧、固定することによって、軸部31の軸方向位置を調整して固定されるようになっている。また、保持部材30は、図5に示すように第2のアーム部材20の軸線廻りに回動させて、第2のアーム部材20の周方向位置が調整自在とされている。
【0035】
保持部33、35には、それぞれ対応する体外循環装置用部材70が保持可能とされており、この実施の形態において、保持部33は、中心角が約120°とされ軸部31の反対側が開口された円弧形状とされ、保持部33を構成する円弧状アーム33a及び33bは、動脈フィルター72の取付溝(図示せず)に対応した厚さに形成され、動脈フィルター72を円弧状アーム33a及び33bにより左右、上下方向に保持するようになっている。
また、保持部35は、円環形状に形成されるとともにこの円環形状の中央を挟んで対向する位置の上面に2つの凹部が配置されており、この凹部にバブルトラップ73が係合、配置されるようになっている。
【0036】
このように構成された体外循環装置用ホルダ10の作用について説明する。
まず、クランプ部材12の調整ネジ13を緩めてクランプ部材12のV字壁部の谷部を支持部材4に押し当てて、調整ネジ13を締め込むことによりクランプ部材12を支持部材4に固定して体外循環装置用ホルダ10を支持部材4に取付ける。
次に、第2のアーム部材20を第1のアーム部材本体14の長手方向に調整して、調整ネジ(図示せず)によって第2のアーム部材20を第1のアーム部材11に固定する。
第2のアーム部材20を構成するアーム構成部材22は、事前に必要数を取付けておくことが好ましい。
【0037】
次いで、体外循環回路を構成するために必要な体外循環装置用部材70の数に対応する保持部材30を準備するとともに、それぞれの保持部材30をアーム構成部材22の適切な高さの孔24に挿入する。この場合、固定ネジ26を仮締めして保持部材30の軸部31がその軸廻りに回転しないようにしておく。この状態で、それぞれの保持部材30に対応する体外循環装置用部材70を保持部材30に固定する。
次に、軸部31の進退状態およびアーム構成部材22を回転させて、それぞれの体外循環装置用部材70相互の位置関係、向きを調整し、調整が完了したら保持部材30を固定ネジ26及び固定ネジ28fを締め込むことによって支持軸23及び体外循環装置用部材70相互の位置関係を保持して固定する。
【0038】
上記実施形態に係る体外循環装置用ホルダ10によれば、体外循環装置用部材を人工心肺回路に適切に配置して、人工心肺回路の配管長を最短のものとすることにより血液充填量(プライミングボリューム)を低減することができる。
また、クランプ部材12により架台のポール等に体外循環装置用部材70を取付けることが可能とされるので、例えば、ローラポンプ5を収納する架台本体2に取付けて体外循環装置用部材70を手術現場の近傍に立体的に配置して手術を効率的かつ安全に行なうことができる。
【0039】
上記実施形態に係る体外循環装置用ホルダ10によれば、第2のアーム部材20が軸線方向に着脱自在とされる複数のアーム構成部材22を備え、アーム構成部材22には軸線方向に間隔をあけた複数の孔24が形成されていているので、保持部材30を挿入する孔24を変更することにより保持部材30の高さを自在に変更することができ、第2のアーム20を構成する複数のアーム構成部材22が相互に回転自在とされているので、小さなスペースに多くの体外循環装置用部材70を効率的に配置することができる。
【0040】
その結果、体外循環装置用部材70相互の位置関係を3次元空間において自在に配置することができるので、手術の状況に応じて体外循環装置用部材70の相対的位置を自在に調整し、体外循環装置用部材70を効率的にバランスよく監視することができる。
【0041】
上記実施形態に係る体外循環装置用ホルダ10によれば、第1のアーム部材11に人工心肺71を保持するための人工心肺固定部材17が配置されているので、人工心肺71の位置及び向きを安定して保持することができる。
【0042】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上記実施の形態においては、動脈フィルター72及びバブルトラップ73が、それぞれ第1のアーム部材11、第2のアーム部材20を介して保持部材30を配置される場合について説明したが、これら第1のアーム部材11、第2のアーム部材20に代えて3次元極座標アーム等からなる支持・調整手段を用いてクランプ部材12と保持部材30とを連結させてもよい。
【0043】
また、体外循環装置用ホルダ10を構成する第1のアーム部材11、第2のアーム部材20、保持部材30が直接連結される他の部材に対して直交するように孔等の係合部が形成される場合について説明したが、連結されるそれぞれの部材同士の長手方向同士が交差して形成されることにより相互の位置関係が調整可能であれば、必ずしも直交して配置されなくてもよい。
【0044】
上記実施の形態においては、第2のアーム部材20が2つのアーム構成部材22により構成される場合について説明したが、1つ又は3つ以上のアーム構成部材22により第2のアーム部材20を構成することも可能である。
【0045】
また、上記実施の形態においては、人工心肺71が第1のアーム部材本体14の端部に設けられた人工心肺固定部材17に保持された場合について説明したが、人工心肺71を保持部材30に取付けて保持させる構成とすることも可能であり、人工心肺71の取付構造については周知の種々の取付構造とすることが可能である。
また、保持部33、35の取付構造についても周知の種々の取付構造とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係るローラポンプ架台の概要を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る体外循環装置用ホルダ及び体外循環装置用部材を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る体外循環装置用ホルダの正面図を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る体外循環装置用ホルダの側面図を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る体外循環装置用ホルダの平面図を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る体外循環装置用ホルダの第2のアーム部材の詳細を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 ローラポンプ用架台
10 体外循環装置用ホルダ
11 第1のアーム部材
12 クランプ部材
17 人工心肺固定部材
20 第2のアーム部材
28 回転機構
24 孔
30 保持部材
70 体外循環装置用部材
71 人工心肺




【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に接続とされる体外循環回路を構成する体外循環装置用部材を固定するための体外循環装置用ホルダであって、
クランプ部材と、
前記クランプ部材に設けられ、前記体外循環装置用部材を保持自在とする複数の保持部材とを備え、
複数の前記保持部材は、3次元空間における前記体外循環装置用部材の相対的位置を調整可能とすることを特徴とする体外循環装置用ホルダ。
【請求項2】
請求項1記載の体外循環装置用ホルダであって、
基端側が前記クランプ部材に保持された第1のアーム部材と、
前記第1のアーム部材の長手方向と交差する方向に延在するとともに該長手方向に移動自在に保持された第2のアーム部材と、
前記第2のアーム部材の軸線回りに回転自在に支持された保持部材とを有することを特徴とする体外循環装置用ホルダ。
【請求項3】
請求項2記載の体外循環装置用ホルダであって、
前記保持部材は、前記第2のアーム部材の径方向に移動自在とされていることを特徴とする体外循環装置用ホルダ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の体外循環装置用ホルダであって、
前記第2のアーム部材は、互いに着脱自在とされるアーム構成部材を備え、
前記アーム構成部材には、前記保持部材が進退自在に挿入される複数の孔が前記軸線方向に間隔をあけて形成され、前記軸線回りに相対的に回転自在とされる回転機構とを有していることを特徴とする体外循環装置用ホルダ。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれかに記載の体外循環装置用ホルダであって、
前記第1のアーム部材には、人工心肺を保持するための人工心肺固定部材が第1のアーム部材の長手方向に調整自在に配置されていることを特徴とする体外循環装置用ホルダ。
【請求項6】
人体に接続とされる体外循環回路を収納する架台であって、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の体外循環装置用ホルダを備えたことを特徴とする架台。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate