説明

体外血液処理のための装置の液体システム中の血液もしくは血液成分を検出するための装置及び方法

本発明は、半透膜(2)によって、体外血液回路システム(I)の一部である第1のチャンバ(3)と、体外血液処理装置の流体システム(II)の一部である第2のチャンバ(4)とに分けられている透析装置(1)即ちフィルタを具備する、体外血液処理のための装置の流体システム中の血液もしくは血液成分を検出するための装置及び方法に関わる。体外血液処理のための装置の流体システム中の血液もしくは血液成分を検出するための本発明に係る装置は、前記透析装置即ちフィルタの異常、例えば前記透析装置即ちフィルタの半透膜の裂けによる流体システムへの血液の流入と、溶血によるヘモグロビンの前記流体システムへの流入とを区別するためのユニットとして構成されており、前記透析装置即ちフィルタの異常と、溶血とが、流体から出る光の少なくとも青色成分の強度の変化に基づいて、区別される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半透膜によって、体外血液回路の一部である第1のチャンバと、体外血液処理装置の流体システムの一部である第2のチャンバとに分けられている透析装置、即ちフィルタを有する、体外血液処理装置の流体システム中の血液もしくは血液成分の検出のための装置及び方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
体外血液処理のための種々の方法が知られている。血液透析(HD)では、患者の血液が、透析装置を有する体外血液回路中で浄化される。この透析装置は、半透膜によって分けられている血液チャンバと透析流体チャンバとを有している。血液透析(HD)では、透析流体は、前記透析流体チャンバを通って流れ、物質が、透析流体と血液との間での拡散(diffusion)によって前記膜を通って移送されるのに対して、血液濾過(HF)の場合には、透析流体は、透析装置の前記透析流体チャンバを通って流れない。そして、血液濾過(HF)の場合には、特定の物質が、対流によって、フィルタの膜を通って有効に除去される。血液透析濾過(HDF)は、これら両方法の組み合わせである。
【0003】
体外血液処理をしている時には、基本的に、透析装置、即ちフィルタの半透膜が裂ける危険性がある。また、透析装置、即ちフィルタの形成合成物(casting compound)が、分離され得る。透析装置、即ちフィルタのこのような異常の場合、血液は、体外血液回路を通り抜けて血液処理装置の流体システム中へ入る。従って、周知の血液処理装置では、透析装置、即ちフィルタの異常による前記流体システムへの血液の流入が、監視される。前記流体システム中の血液の検出は、従来技術に従えば、光学的な測定方法によって行われ、透析流体を透過する光の強度の減衰が、評価される。血液が透析流体中に入ると、この透析流体から出た光の強度が変化する。このような強度の変化は、光の波長により左右される。従って、流体システムへの血液の流入は、周知の方法によって確実に検出され得る。
【0004】
また、透析装置、即ちフィルタの異常による、例えば、膜の裂けもしくは形成合成物の分離による前記流体システムへの血液の流入とは別にして、遊離したヘモグロビン(free haemoglobin)もしくはこれの成分が、体外血液処理において、溶血(haemolysis)によって透析流体中に入り得る。溶血は、血液の赤血球(赤い血球)の溶解(破壊)を意味する。赤血球は、赤血球に、かくして血液に赤い色を与える酸素結合蛋白質ヘモグロビン(oxygen-binding protein haemoglobin)によってほぼ構成されている。溶血が生じると、ヘモグロビンが放出される。
【0005】
体外血液処理では、溶血が、例えばずれ流(shear flow)による例えば血液への機械的なひずみによって、生じ得る。このようなずれ流は、特に、血液処理装置のホースラインシステムの、血液を搬送するホースラインがねじれた時に生じる。また、しかしながら、溶血は、患者によって体系的に(systemically)発生され得る。
【0006】
また、体外血液処理では、ヘモグロビンが、透析装置の血液側から、半透膜を通って血液透析液側に拡散し得る。この結果、ヘモグロビンは、従来技術によって周知の光学的な測定方法で、血液中で検出され得る。
【0007】
欠点は、周知の光学的測定方法では、透析装置、即ちフィルタの異常による血液の流入と、溶血による血液成分としてのヘモグロビンの流入とを区別することができないことである。しかしながら、透析装置、即ちフィルタの異常の場合と、溶血の場合とには、異なる方法が取られなければならない。かくして、例えば透析装置は、膜が裂けた場合に取り替えられなければならず、溶血の場合には、使用者は、前記ホースシステムを取り替えるか、少なくともこのホースシステムのねじれた点をなくすように、適切な対策を取るように促されなければならない。
【0008】
血液の流入もしくは溶血を検出するように体外血液処理で一般に使用される監視装置は、分光器による光の赤色成分及び緑色成分の評価に基づいている。しかしながら、このような波長領域では、血液とヘモグロビンとを区別することができない。
【0009】
特許文献1は、血液中のヘモグロビンを検出するための方法を開示しており、390乃至460nmの波長の光が、試料を透過する。光の強度の変化が、2つ以上の波長に対して決定される。
【0010】
また、光の青色成分の強度の減衰が考慮される、溶血を検出するための方法が、特許文献2によって知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】US 2007/0259436 A1
【特許文献2】JP 62000838A
【発明の概要】
【0012】
本発明の基礎となる問題は、血液もしくは血液成分が体外血液処理装置の流体システム中に入った時に、目的とされる対策の開始を決定する装置を、利用可能にすることである。更に、本発明の問題は、血液もしくは血液成分が血液処理装置の流体システム中に入った時に、目的とされる対策の開始を決定し得る方法を提供することである。
【0013】
本発明に従えば、このような問題に対する解決は、請求項1及び23の特徴によって、行われる。本発明の有効な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0014】
体外血液処理装置の流体システム中の血液もしくは血液成分を検出するための本発明に係る装置は、透析装置、即ちフィルタ中の異常による、例えば透析装置、即ちフィルタの半透膜の裂けによる血液の前記流体システムへの流入と、溶血によるヘモグロビンの前記流体システムへの流入とを区別するための装置として構成されており、透析装置、即ちフィルタ中の異常、もしくは溶血は、前記流体システム中にある流体を透過する光の強度の変化に基づいて、確認される。
【0015】
流体から出た光の赤色もしくは緑色成分の強度と前記出た光の青色成分の強度との比率(quotient)が、溶血されていない血液が透析流体中に入った時に増加することが、示されている。また、この流体から出た光の赤色成分と緑色成分との強度の比率が、溶血されていない血液が透析流体中に入った時に増加する。溶血された血液が透析流体中に入った時には、赤色成分と青色成分との強度の比率、もしくは、赤色成分と緑色成分との比率が増加する。緑色成分と青色成分との比率は、これに対して、溶血された血液の流入によって変化しないか、著しくは変化しない。
【0016】
かくして、溶血された血液の流入と溶血されていない血液の流入とは、流体から出た光の赤色成分と青色成分との比率が評価されることよって、区別され得る。前記赤色成分と青色成分との比率が、溶血された血液の流入によってより、溶血されていない血液の流入によって、より著しく増加することが、示されている。また、溶血された血液の流入と溶血されていない血液の流入とは、流体から出た光の緑色成分と青色成分の比率が評価されることによって区別され得る。これは、この比率の著しい増加が、溶血されていない血液の流入の場合にのみ見られるからである。
【0017】
本発明の好ましい実施形態は、透析装置、即ちフィルタの異常による流体システムへの血液の流入と、溶血による流体システムへのヘモグロビンの流入とを、流体から出た光の少なくとも青色成分の強度の変化を基にして、区別する。しかしながら、青色成分以外に、光の他の成分、例えば赤色成分及び/もしくは緑色成分が、同様に評価され得る。青色成分の評価が、透析流体中の血液と血液成分のヘモグロビンとの確実な区別を可能にすることが、判っている。
【0018】
特に好ましい更なる実施形態が、青色成分と赤色成分との両方を評価する。一方では流体から出た光の青色成分の強度と、他方では流体から出た光の赤色成分の強度とが、決定される。赤色成分の強度は、青色成分の強度と比較される。青色成分と赤色成分との両方の強度における変化が評価され、互いに関連付けられるので、血液とヘモグロビンとを確実に区別することが可能である。流体中に入る光の強度は、2つの異なる色成分が所定の比率となるので、本発明に係る装置に対していかなる影響も与えない。従って、本発明に係る装置と、本発明に係る方法とは、光の強度の変動に無関係である。
【0019】
好ましい実施形態では、赤色光の強度と青色光の強度との比率が、所定の閾値と比較され、及び/もしくは、緑色光の強度と青色光の強度との比率が、所定の閾値と比較される。前記比率が前記所定の閾値より小さいかこれと同じである時に、溶血によるヘモグロビンの流入があると判断される。これに対して、前記比率が前記所定の閾値より大きい場合に、例えば膜の裂けによる血液の流入があると判断される。ただ1つの値が、閾値として予め選択され得る。しかしながら、個々の調査に対して複数の個々の値を、閾値として予め選択することも可能である。
【0020】
特に好ましい実施形態は、まず、透析流体中への溶血された血液もしくは溶血されていない血液の流入を検出するために、流体から出た光の赤色成分と緑色成分との比率の算出が、為される。しかしながら、溶血された血液の流入と溶血されていない血液の流入とを区別することは、できない。溶血された血液もしくは溶血されていない血液が検出される場合のみ、赤色及び青色成分の比率、及び/もしくは、緑色及び青色成分の比率が、透析装置、即ちフィルタの異常と溶血とを区別するために、決定される。
【0021】
好ましい実施形態では、流体から出た光の強度のみではなく、流体に入る光の強度も監視される。流体に入る光の強度の監視は、異常事態の検出を可能にする。例えば、流体に入る光の測定された強度と、所定の閾値とを比較することによって、光、例えばLEDを送るための手段に不具合があるかどうかを検出することが可能である。これは、流体から出た光がこれ以上受けられない場合に、特に重要である。これは、この理由が、透析流体ではなく血液が流体システム中にあってこれが大規模な破壊を示すからであるか、単に光源に異常があるからであり得る。
【0022】
しかしながら、周囲の状況、特に気温に関係なく、光源の強度を一定に保つように、流体に入る光の測定された強度によって、制御もしくは調整を与えることも可能である。
【0023】
本発明に係る装置は、流体システム中の流体中に入る光を発するための手段と、流体システム中の流体から出た光を受けるための手段とを有する。更に、この装置は、流体中に入りこの流体から出た光の強度を評価するための、評価ユニットを有している。また、好ましい実施形態では、流体システム中の流体中に入る光を受けるための手段が、設けられている。
【0024】
好ましい実施形態では、光を発するための手段は、白色光を発する光源、例えば白色光を発するLEDもしくは白色光を発するRGB−LEDであり、一方で、光を受けるための手段は、光の異なる色成分を受ける光センサである。好ましい実施形態は、複数の光源、例えば青、赤、緑色光の光源が中に設けられている測定装置より簡単な構造を有するという効果を有しており、例えば青、赤、緑色光を受ける複数の光センサが、設けられている。更に、測定結果が、個々の光源によって狭い波長域で発せられる光のスペクトラムのシフトによってあまり影響され得ないので、不特定の光(白色光)を発する1つの光源の使用が、有効であると判っている。
【0025】
特に好ましい更なる実施形態は、1つの所定の閾値もしくは複数の所定の閾値を、患者に適応させる。このことは、体系的な溶血を受ける患者に対しても、流体システムへの血液の流入とヘモグロビンの流入とを区別することを可能にする。病気により誘発される血液中の比較的高いヘモグロビン成分(体系的な溶血)の場合、体系的な溶血による血液中のヘモグロビン成分の上昇のみによって、例えばねじれた血液搬送ホースラインによる血液へのダメージに起因し得る透析流体へのヘモグロビンの流入があることが、判断され得るように、所定の閾値が、適切に適応され得る。例えば、一連の適応された閾値が、患者のデータに基づいて、確認されて予め選択され得る。
【0026】
1つもしくは複数の所定の閾値の適応は、入力ユニットに好ましくは入力される患者固有のデータに基づいて、好ましくは行われる。しかしながら、所定の閾値が、基準測定に基づいて得られた患者固有のデータの関数として決定されることも、可能である。例えば、血液処理の開始前、血液処理の開始時、もしくは血液処理の間に、例えばホースラインのねじれによる溶血が想定されない時に、基準測定を行うことが、可能である。そして、閾値から逸れることによって、血液へのダメージによるヘモグロビンの流入がある、と推論され得る。
【0027】
血液及び/もしくはヘモグロビンの流入が確認されると、視覚信号、及び/もしくは音響信号、及び/もしくは触知可能信号が、適切な対策を開始するように、発信され得る。例えば、血液処理は、血液の流入の場合に、すぐに妨害され得る。また、対策を自動的に開始するように、制御信号が、マシン制御への介入のために発信されることも、可能である。
【0028】
監視の結果が、いわゆるタッチスクリーンであり得るディスプレイスクリーンに好ましくは表示される。発生している問題の種類、即ち膜の裂けもしくは溶血以外に、推奨される対策が、例えば適切な文字、及び/もしくは適切な記号によって、モニタに表示され得る。例えば、プロンプトが、ホースラインシステムもしくは透析装置の交換に対して、与えられ得る。
【0029】
本発明の実施形態の例が、図面を参照して、以下により詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、体外血液処理装置と、血液処理装置の流体システム中の血液もしくは血液成分の検出のための装置との、非常に簡略化された概略図である。
【図2】図2は、血液もしくは血液成分の検出のための装置の光センサの測定領域の概略図である。
【図3】図3は、光の波長を関数とした光センサの相対感度の概略図である。
【図4】図4は、血液のもしくはヘモグロビンの透析流体への流入の場合での波長を関数とした光のエネルギーの減衰(extinction)の概略図である。
【図5】図5は、ヘモグロビンの透析流体への流入の前後の、光の個々の色成分に対する光センサの信号強度の変化を示す図である。
【図6】図6は、血液の透析流体への流入の前後の、個々の色成分に対する光センサの信号強度の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、非常に簡略化された概略図で、本発明に係る体外血液処理装置の構成要素の実施形態の一例を示しており、この処理装置は、血液透析装置及び/もしくは血液濾過装置として操作され得る。従って、体外血液処理装置は、以下では血液透析濾過装置とも称される。
【0032】
血液透析濾過装置は、半透膜2によって血液チャンバ3と透析流体チャンバ4とに分けられている透析装置1即ちフィルタを有している。前記血液チャンバ3の入口3aが、血液ポンプ6が中に組み込まれている動脈の血液供給ライン5の一方の端部に接続されており、前記血液チャンバ3の出口3bが、ドリップチャンバ8が中に組み込まれている静脈の血液戻りライン7の一方の端部に接続されている。患者への接続のための動脈及び静脈のカニューレ(図示されていない)が、動脈の血液供給ライン5及び静脈の血液戻りライン7の他方の端部に配置されている。前記流体システムのこの部分は、血液透析濾過装置の体外血液回路Iを示している。血液供給ライン5と血液戻りライン7とは、前記血液処理装置中に挿入される1回限りの使用のためのホースラインシステムのホースラインである。
【0033】
血液透析濾過装置の流体システムIIは、新しい透析流体を使用可能にするための装置9を有しており、この装置9は、透析装置1即ちフィルタの透析流体チャンバ4の入口4aに、透析流体供給ライン10を介して接続されている。透析装置1即ちフィルタの透析流体チャンバ4の出口4bから離れる方向に、透析流体戻りライン11が延びており、この透析流体戻りライン11は、排水溝12へと延びている。透析流体戻りライン中に組み込まれている透析流体ポンプ13が、透析流体を搬送するために使用される。
【0034】
更に、血液透析濾過装置は、代用源14を有しており、この代用源14から、代用ポンプ16が中に組み込まれている代用ライン15が、静脈のドリップチャンバ8まで延びている。流体が透析装置1によって体外血液回路Iから除去された時に、所定量の代用流体が、前記代用源から体外血液回路Iに、前記代用ポンプによって供給され得る。
【0035】
血液透析濾過装置は、制御ライン6’、13’、16’を介して血液ポンプ6と透析流体ポンプ13と代用ポンプ16とに接続されている中央の制御コンピュータユニット17を更に有している。中央の制御コンピュータユニット17は、個々の構成要素に制御コマンドを送り、構成要素からこれらの動作状態に関わるデータを受ける。
【0036】
体外血液処理装置の流体システム中の血液もしくは血液成分の検出のための本発明に係る装置が、以下に説明される。血液もしくは血液成分の検出のための本発明に係る装置は、独立したユニットであるか、血液処理装置の一構成要素であり得る。この実施形態の例では、本発明に係る装置は、血液処理装置の一構成要素である。
【0037】
測定装置を除いて、本発明に係る装置は、周知の体外血液処理装置に既に備わっている部分を利用し得る。例えば、本発明に係る装置は、得られた測定データを評価するために、血液処理装置の前記中央の制御コンピュータユニットを利用し得る。また、本発明に係る装置は、血液処理装置のディスプレイユニットと入力ユニットとを使用し得る。しかしながら、分離した評価ユニットが、本発明に係る装置のために設けられることも可能である。また、分離したディスプレイユニットが設けられることも可能である。
【0038】
血液もしくはヘモグロビンの検出のための装置は、互いに対向して設けられている光源21A、例えばLEDと、光センサ21Bとを有している。光源21Aと光センサ21Bとは、流体システムII中の流体、例えば透析流体から出た光の強度の変化を測定するための測定装置21を成している。透析流体供給ライン10と透析流体戻りライン11とが透明のホースラインであるため、光が、前記ホースラインによって、透析流体へと結合され得、また透析流体から分離され得る。測定装置21は、透析流体戻りライン11に、特に、透析装置1即ちフィルタの透析流体チャンバ4の下流及び透析流体ポンプ13の上流の透析流体戻りライン11の部分に、配置されている。測定は、1回限りの使用のための測定チャンバと、ホースラインの永久的に据え付けられている測定チャンバとの両方で、行われ得る。また、出力側の光センサ21B以外に、測定装置は、光源21Aによって発せられる光を測定する入力側の光センサ21Cを有し得る。
【0039】
透析装置1即ちフィルタの半透膜2が裂けると、血液は、体外血液回路Iから、血液透析装置及び血液濾過装置としての血液透析濾過装置の両動作によって、透析装置1即ちフィルタの透析流体チャンバ4中に流入する。そして、溶血されていない血液が、透析流体システムII中を流れる透析流体中で、測定装置21によって検出され得る。この血液透析濾過装置が血液濾過装置としてのみ動作される場合、血液は、透析流体チャンバ4から取り出される濾液中で検出され得る。前記血液供給ライン5もしくは前記血液戻りライン7のねじれによる溶血、もしくは、体系的に発生した溶血の場合に、ヘモグロビンもしくは溶血された血液は、透析装置1即ちフィルタの無傷の半透膜を通り抜けて、透析流体チャンバ4中に入り、測定装置21によって検出され得る。
【0040】
静脈の血液戻りライン7のドリップチャンバ8の下流には、静脈の血液戻りライン7を遮断するための遮断部材18が、配置されている。この遮断部材18、特に電磁気的に駆動されるホースクランプは、制御ライン18’を介して、制御コンピュータユニット17に接続されている。
【0041】
血液もしくは血液成分を検出するための装置は、データライン20’を介して、血液透析濾過装置の中央の制御コンピュータユニット17に接続されている。しかしながら、評価ユニット20も、制御コンピュータユニット17の構成要素であり得る。この評価ユニットは、データライン21’を介して出力側の光センサ21Bの信号を受信し、データライン21’’を介して、測定装置21の入力側の光センサ21Cの信号を受信する。評価ユニット20は、出力側の光センサ21Bによって測定され、光源21Aによって発せられる光の強度に応じて、強度が周囲の状況に関係なく一定に保たれるように光源を制御する、制御ユニットを有する。
【0042】
監視の結果が、データライン22’を介して評価ユニット20に接続されている信号ユニット22によって知らされる。この信号ユニット22は、記号もしくは文字を表示するためのディスプレイスクリーン22Aと、音響アラームもしくは触知可能アラームを発生させるためのアラーム発信器22Bとを有している。患者固有のデータが、データライン23’を介して評価ユニット20に接続されている入力ユニット23に入力され得る。また、入力ユニット23は、言わば前記信号ユニットのディスプレイスクリーンとして機能するいわゆるタッチスクリーンであり得る。
【0043】
測定装置21の光源21Aは、特定の強度Iを有する赤、緑、青色成分を有する白色光を発する。光源21Aは、強度Iが中央の制御コンピュータユニット17によって予め選択され得るように、制御ライン21A’を介して中央の制御コンピュータユニット17に接続され得る。光センサ21Bは、透析流体(濾液)を透過する光源21Aの光を受ける。この光センサは、赤、緑、青の3つの色成分(RGB)の強度Iを評価し得るセンサである。この光センサの光感知面は、横列及び縦列を成して配置されている多数の同じ光ダイオードによって形成されている。カラーフィルタが、各々の光ダイオードに、それぞれ与えられる。赤のカラーフィルタは、光の赤色成分の評価のために与えられ、緑のカラーフィルタは、光の緑色成分の評価のために与えられ、青のカラーフィルタは、光の青色成分の評価のために与えられる。
【0044】
図2は、カラーフィルタを有する複数の光ダイオードの、チェスボードのような配置を示している。カラーフィルタは、R(赤)、G(緑)、B(青)によってそれぞれ示されている。光センサ21Bは、光の赤色成分、緑色成分、青色成分の強度に関する情報を有する電気的な出力信号を送る。図3は、青、緑、赤の個々の色成分に対するセンサの相対感度を概略図で示している。光センサは、個々の測定点のイメージだけでなく、測定領域のイメージも形成するので、センサ1は、光感知面全体に渡って統合される出力信号を送る。
【0045】
光センサは、例えば、TAOS社(テキサス・アドバンスド・オプトエレクトロニック・ソルーションズ、ピアノ、テキサス、アメリカ合衆国)が提供している「プログラム化可能なカラー光・周波数変換器TCS230(Programmable Colour Light-to-Frequency Converter TCS230)」というブランドのセンサ、もしくは、浜松社(浜松ホトニクスK.K.、日本)が提供している「デジタルカラーセンサS9706(Digital Colour Sensor S9706)」というブランドのセンサなどであり得る。これら2つのセンサの構造及び機能は、製造会社のデータシートに詳細に記載されている。
【0046】
透析流体(濾液)中の血液とヘモグロビンとを区別するための本発明に係る装置の機能の形態が、以下に説明される。
【0047】
評価ユニット20は、赤、緑、青の3つの色成分を有する、測定装置21の出力側の光センサ21Bの出力信号Sを受信する。この評価ユニット20では、センサの出力信号は、赤、緑、青(RGB)の色成分のための3つの個々の信号に分解される。個々の信号量(信号強度)が、透析流体(濾液)から出た光の強度I1に比例する。透析流体(濾液)に入る光の強度I0は、光源21Aによって決定され、入力側の光センサ21Cによって測定される。評価ユニット20は、流体から出た光の赤色成分Rの強度I1、即ち、赤色成分に対する個別の信号量と、流体から出た光の青色成分Bの強度I1、即ち、青色成分Bに対する個別の信号量とから、比率R/Bを決定する。更に、この評価ユニットは、赤色成分と緑色成分との強度I1、即ち赤色成分と緑色成分との個々の信号の比率から、比率R/Gを算出し得る。更に、この評価ユニットは、緑色成分と青色成分との強度I1の比率G/Bを算出する。全ての比率は、前記評価ユニットの内部メモリに保存される。測定は、所定の時間の間隔で、もしくは連続的に、行われ得る。また、現在の値と基準値とを比較し得るように、特定の時間に、例えば、処理の前に、基準測定を実行することが可能である。また、基準測定は、周期的に、例えば透析装置、即ちフィルタを迂回するバイパスを使用して、行われ得る。
【0048】
基準測定のための透析装置を迂回するバイパスは、透析流体チャンバ4の上流で透析流体供給ライン10から逸れており前記透析流体チャンバの下流で透析流体戻りライン11につながっているバイパスライン24を有している。このバイパスラインを開閉するための遮断部材25が、バイパスライン24に設けられており、透析流体チャンバを遮断するための遮断部材26が、バイパスライン24と透析流体チャンバ4との間の透析流体供給ライン10の部分に、配置されている。これら2つの遮断部材25、26は、制御ライン25’、26’を介して、中央の制御コンピュータユニット17に接続されている。透析装置1を迂回するために、この制御コンピュータユニットが、遮断部材25を開き、遮断部材26を閉じる。そうでなければ、遮断部材25は閉じられ、遮断部材26は開かれている。
【0049】
図4は、一方では血液透析液中の無傷の血液に対する、他方では血液透析液中の溶血された血液に対する光のエネルギーの減衰の特有の経過と、波長を関数としたセンサの相対感度とを概略的に示している。無傷の血液と溶血された血液との大きな違いが、青色光から緑色光の領域にあることが判る。これは、溶血された血液が遊離したヘモグロビンを血液透析液中に与えるためである。これに対して、緑色光から赤色光の領域では、ほとんど違いが見られ得ない。血液透析液中の無傷の血液に対する光のエネルギーの減衰のグラフは、特に、青のスペクトラムの領域で、血液透析液中の溶血された血液に対する光のエネルギーの減衰のグラフと異なっている。
【0050】
図5は、溶血された血液の血液透析液への流入の前(t<t)の時間とこの流入の後(t>t)の時間とを関数とした光の個々の色成分、赤/青(R/B)、赤/緑(R/G)、緑/青(G/B)に対するカラーセンサの個々の信号Sの比率の総計(amount of the quotient)を示している。赤色及び青色成分の比率(R/B)の総計と赤色及び緑色成分の比率(R/G)の総計とは、ヘモグロビンの追加に伴って著しく増加しており、一方で、緑色及び青色成分の比率(G/B)の総計は、ほとんど変化していないか、わずかにのみ変化している。
【0051】
図6は、血液透析液中への溶血されていない血液の流入の場合を示している。全ての比率(R/B、R/G、G/B)の総計が、溶血されていない血液の流入に伴って著しく増加していることが、判る。しかしながら、図5と図6とを比較すると、溶血されていない血液の流入(図6)は、溶血された血液の流入(図5)より、赤色成分と青色成分との比率(R/B)の総計のより著しい増加をもたらしていることが、判る。緑色成分と青色成分との比率(G/B)の総計は、溶血された血液の流入(図5)によっては目に見えて変化していないが、緑色成分と青色成分との比率(G/B)の総計は、溶血された血液の流入によって増加している。これに対して、図5及び図6では、赤色成分と緑色成分の比率(R/G)の総計に大きな違いが見られ得ない。
【0052】
赤色成分と青色成分との比率(R/B)の総計の、溶血された血液と溶血されていない血液とによる増加の違いと、溶血された血液と溶血されていない血液とを伴う緑色成分と青色成分との比率(G/B)の総計間の違いとが、図6にΔによって示されている。
【0053】
第1の実施形態では、評価ユニット20は、赤色成分と青色成分との比率(R/B)と、方法に応じて変わり得る所定の閾値とを比較する。この実施形態では、赤色成分と青色成分との比率R/Bのみが、算出される必要があり、この比率が、所定の閾値と比較される。赤色成分と青色成分(R/B)の比率が所定の閾値より大きい場合に、評価ユニット20は、例えば膜の裂けによる、溶血されていない血液の流入がある(図6)と判断する。これに対して、この評価ユニットは、赤色成分と青色成分との比率(R/B)が所定の閾値より小さいかこれと同じである場合に、例えばねじれたホースラインもしくは体系的に連関した溶血による、溶血された血液の流入がある(図5)と、判断する。
【0054】
他の実施形態では、評価ユニット20は、赤色成分と青色成分との比率ではなく、緑色成分と青色成分との比率を算出する。この評価ユニットは、緑色成分と青色成分(G/B)の比率が所定の閾値より大きい場合に、溶血されていない血液の流入がある(図6)と判断し、これに対して、緑色成分と青色成分との比率が所定の閾値と同じかこれより小さい場合に、溶血された血液の流入がある(図5)と、判断する。
【0055】
両方の比率(R/B)と(G/B)とが決定され、統計的に評価されることも、可能である。例えば、赤色成分と青色成分との比率と、緑色成分と青色成分との比率との両方が、所定の閾値より大きい場合に、評価ユニットは、溶血されていない血液の流入のみがあると判断することが可能である。
【0056】
しかしながら、原則として、赤色成分と緑色成分とのどちらにも関係しない光の青色成分のみを評価することも、可能である。
【0057】
好ましい実施形態では、評価ユニット20は、溶血された血液の流入と溶血されていない血液の流入とを区別することができるように、赤色成分と青色成分との比率、及び/もしくは、緑色成分と青色成分との比率だけではなく、メモリに保存される赤色成分と緑色成分との比率も決定する。前記赤色成分と緑色成分との比率(R/G)は、評価ユニット20によって、所定の第1の閾値と比較される。赤色成分と緑色成分との比率(R/G)が、前記所定の第1の閾値より大きい場合に、この評価ユニットは、溶血された血液もしくは溶血されていない血液の透析流体への流入があると判断する。そうでない場合は、異常が発生しているとは判断されない。評価ユニットが異常事態を確認した場合のみ、即ち、赤色成分と緑色成分との比率(R/G)が前記所定の第1の閾値より大きい場合に、前記評価ユニットは、溶血された血液と溶血されていない血液とを区別することができるように、上記の工程を開始する。そして、前記評価ユニットは、所定の第2の閾値と比較される赤色成分と青色成分との比率(R/B)、及び/もしくは、所定の第3の閾値と比較される緑色成分と青色成分との比率(G/B)を、算出する。
【0058】
前記閾値は、評価ユニット20のメモリに保存され得る。従って、所定の閾値は、不変に予め選択される。他の実施形態では、所定の閾値は、患者に適応される。この目的のために、評価ユニット20は、患者固有のデータに閾値を適応させるための手段を有している。このデータは、入力ユニット23に入力される。例えば、体系的な溶血を受けている患者に対しては、血液中のヘモグロビンが高くない患者に対してより、高い閾値を予め選択することが可能である。従って、体系的な溶血を受ける患者に対する患者固有のデータを入力した後、前記評価ユニットは、別のやり方で予め選択された閾値に、固有の修正率による修正を行う。
【0059】
他の実施形態は、基準測定による閾値を決定する。この基準測定は、血液処理の前、もしくは、この血液処理の開始時、もしくはこの血液処理の間の、問題が無いと見なされている時間に行われる。この基準測定は、体系的な溶血によって場合によっては高められたヘモグロビン値を確認するために、使用される。このヘモグロビン値から、対応する修正率が、算出される。
【0060】
前記評価ユニットが例えばホースラインのねじれによる溶血された血液の流入、もしくは、例えば膜の裂けによる溶血されていない血液の流入を検出した場合、検出の結果が、信号ユニット22によって知らされる。例えば、音響、及び/もしくは、視覚、及び/もしくは、触知可能アラームが、アラーム発信器22Bによって発信される。視覚アラーム信号は、信号ユニット22のディスプレイスクリーン22Aに表示され得る。また、目的とされる対策に対するプロンプトが、ディスプレイスクリーンに示され得る。例えば、ホースシステムもしくは透析装置が取り替えられる必要があるということが、ディスプレイスクリーンに示され得る。また、ヘモグロビンが血液透析液中で検出されているが、これは体外回路中の血液へのダメージの結果としての溶血によるものではなく、体系的に連関した患者の溶血によるものであるということが、ディスプレイスクリーンに示されることが、可能である。
【0061】
体外血液処理における問題の通知以外に、評価ユニットは、マシン制御への介入のための制御信号を発生させることが可能であり、この制御信号は、体外血液処理装置の中央の制御コンピュータユニット17によって受けられる。前記評価ユニットが膜の裂けを検出した場合に、この評価ユニットは、血液処理をすぐに妨害するための制御信号を発信する。そして、中央の制御コンピュータユニット17は、ホースクランプを閉じて、血液ポンプ6を停止することによって、血液の移送をすぐに妨害する。プロンプトが、透析装置1即ちフィルタを取り替えるようにディスプレイスクリーンに表示され、一方で、聴覚アラームが、アラーム発信器22Bによって発信される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外血液処理のための装置の流体システム中の血液もしくは血液成分の検出のための装置であって、
この装置は、半透膜(2)によって、体外血液回路(I)の一部である第1のチャンバ(3)と、前記流体システム(II)の一部である第2のチャンバ(4)とに分けられている透析装置(1)即ちフィルタと、
前記流体システム中にある流体中に入る光を発するための手段(21A)、並びに、前記流体システム中にある流体から出た光を受けるための手段(21B)と、
前記流体から出た光の強度I1を評価するための手段を備えた評価ユニット(20)とを具備する装置において、
前記流体システム中の血液もしくは血液成分の検出のためのこの装置は、前記透析装置、即ちフィルタでの異常による前記流体システムへの血液の流入と、溶血による前記流体システムへのヘモグロビンの流入とを、流体から出た光の強度I1における変化に基づいて、区別するための装置として構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記流体システム中の血液もしくは血液成分の検出のための装置は、前記透析装置、即ちフィルタでの異常による流体への血液の流入と、溶血による前記流体システムへのヘモグロビンの流入とが、前記流体から出た光の青色成分の強度I1における変化に基づいて、区別されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光を発するための手段(21A)と前記光を受けるため手段(21B)とは、少なくとも青色成分と赤色成分とを有している光を発し、且つ受けるための手段として構成されていることと、
前記評価ユニット(20)は、前記流体から出た光の青色成分の強度I1/Bと前記流体から出た光の赤色成分の強度I1/Rとが決定されるように構成されていることと、
前記評価ユニット(20)は、前記赤色成分の強度I1/Rが前記青色成分の強度I1/Bと比較されるように構成されており、前記流体システムへの血液の流入と溶血とが、前記赤色成分の強度と前記青色成分の強度との比較に基づいて、区別されることと、
を特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記評価ユニット(20)は、赤色成分Rの強度と青色成分Bの強度との比率(R/B)が算出されて、所定の閾値と比較されるように構成されており、前記比率が前記所定の閾値より大きい場合に、血液の流入があると判断されることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記評価ユニット(20)は、赤色成分Rの強度と青色成分Bの強度との比率(R/B)が算出されて、所定の閾値と比較されるように構成されており、前記比率が前記所定の閾値より小さいかこれと同じである場合に、溶血があると判断されることを特徴とする請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記光を発するための手段(21A)と、前記光を受けるための手段(21B)とは、青色成分と緑色成分とを有する光を発し且つ受けるための手段として構成されていることと、
前記評価ユニット(20)は、前記流体から出た光の青色成分の強度I1/Bと前記流体から出た光の緑色成分の強度I1/Gとが決定されるように構成されていることと、
前記評価ユニット(20)は、前記緑色成分Gの強度I1/Gが前記青色成分Bの強度I1/Bと比較されるように構成されており、前記流体システムへの血液の流入と、溶血とが、前記緑色成分の強度と前記青色成分の強度との比較に基づいて、区別されることと、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の装置。
【請求項7】
前記評価ユニット(20)は、緑色成分の強度と青色成分の強度との比率(G/B)が算出されて、所定の閾値と比較されるように構成されており、前記比率が前記所定の閾値より大きい場合に、血液の流入があると判断されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記評価ユニット(20)は、前記緑色成分Gの強度と前記青色成分Bの強度との比率(G/B)が算出されて、所定の閾値と比較されるように構成されており、前記比率が前記閾値より小さいかこれと同じである場合に、溶血があると判断されることを特徴とする請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記光を発するための手段(21A)と、前記光を受けるための手段(21B)とは、赤色成分と緑色成分と青色成分とを有する光を発し且つ受けるための手段として構成されていることと、
前記評価ユニット(20)は、流体から出た光の赤色成分の強度I1/Rと、流体から出た光の緑色成分の強度I1/Gとが決定されるように構成されていることと、
前記評価ユニット(17)は、赤色成分の強度I1/Rが、第1の工程で緑色成分Gの強度I1/Gと比較されるように構成されており、緑色成分の強度と青色成分の強度との比較に基づいて、流体システムへの血液の流入もしくは溶血があると判断されることと、
前記評価ユニット(20)は、この評価ユニットが前記第1の工程で血液の流入もしくは溶血があると判断した場合に、赤色成分の強度I1/Rは、第2の工程で青色成分の強度I1/Bと比較されるように構成されており、流体システムへの血液の流入と溶血とが、赤色成分の強度と青色成分の強度との比較に基づいて、区別されることと、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の装置。
【請求項10】
前記評価ユニット(20)は、赤色成分の強度I1/Rと緑色成分の強度I1/Gとの比率が、前記第1の工程で算出されるように構成されており、この比率が所定の第1の閾値より大きい場合に、血液の流入もしくは溶血があると判断されることと、
前記評価ユニット(20)は、赤色成分Rの強度I1/Rと青色成分Bの強度I1/Bとの比率が、前記第2の工程で算出されるように構成されており、この比率が所定の第2の閾値より大きい場合に、血液の流入があると判断され、前記比率が前記所定の第2の閾値より小さいかこれと同じである場合に、溶血があると判断されることと、
を特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記光を発するための手段(21A)と前記光を受けるための手段(21B)とは、赤色成分と緑色成分と青色成分とを有する光を発し且つ受けるための手段として構成されていることと、
前記評価ユニット(20)は、流体から出た光の赤色成分の強度I1/Rと、緑色成分の強度I1/Gと、青色成分の強度I1/Bとが決定されるように構成されていることと、
前記評価ユニット(20)は、赤色成分の強度I1/Rが第1の工程で緑色成分の強度I1/Rと比較されるように構成されており、緑色成分の強度と青色成分の強度との比較に基づいて、流体システムへの血液の流入もしくは溶血があると判断されることと、
前記評価ユニット(20)は、この評価ユニットが第1の工程で血液の流入もしくは溶血があると判断した場合に、緑色成分の強度I1/Gが、第2の工程で青色成分の強度I1/Bと比較されるように構成されており、前記流体システムへの血液の流入と溶血とが、緑色成分の強度と青色成分の強度との比較に基づいて、区別されることと、
を特徴とする請求項1乃至10のいずれか1に記載の装置。
【請求項12】
前記評価ユニット(20)は、赤色成分Rの強度IRと緑色成分Gの強度IGとの比率が前記第1の工程で算出されるように構成されており、この比率が所定の第1の閾値より大きい場合に、血液の流入もしくは溶血があると判断されることと、
前記評価ユニット(20)は、緑色成分Gの強度I1/Gと青色成分Bの強度I1/Bとが前記第2の工程で算出されるように構成されており、この比率が所定の第2の閾値より大きい場合に、血液の流入があると判断され、もしくは前記比率が前記所定の第2の閾値より小さいかこれと同じである場合に、溶血があると判断されることと、
を特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項13】
前記流体システム中にある流体に入る光を受けるための手段(21C)が、設けられており、前記評価ユニット(20)は、流体に入る光の強度I0が所定の閾値と比較されるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1に記載の装置。
【請求項14】
前記評価ユニット(20)は、1つもしくは複数の所定の閾値を適合させるための手段を有しており、この手段は、前記1つもしくは複数の所定の閾値が患者固有のデータに基づいて、確認されるように構成されていることを特徴とする請求項4乃至13のいずれか1に記載の装置。
【請求項15】
血液もしくは血液成分の検出のための前記装置は、患者固有のデータを入力するための入力ユニット(23)を有していることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
血液もしくは血液成分の検出のための前記装置は、基準測定に基づいて得られた患者固有のデータが読み込まれるように構成されていることを特徴とする請求項14又は15に記載の装置。
【請求項17】
血液もしくは血液成分の検出のための前記装置は、前記評価ユニット(20)が溶血及び/もしくは血液の流入があると判断すると視覚及び/もしくは音響及び/もしくは触知可能信号を発信する信号ユニット(22)を有していることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1に記載の装置。
【請求項18】
前記信号ユニット(22)は、ディスプレイスクリーン(22A)を有していることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
血液もしくは血液成分の検出のための前記装置は、前記評価ユニット(20)が溶血及び/もしくは血液の流入があると判断すると、体外血液処理装置のマシン制御に介入するように制御信号を発生させるための手段を有していることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1に記載の装置。
【請求項20】
前記光を発するための手段(21A)は、白色光を発するための光源であることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1に記載の装置。
【請求項21】
前記光を受けるための手段(21B)は、光の異なる色成分を受ける光センサであることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1に記載の装置。
【請求項22】
半透膜(2)によって、体外血液回路(I)の一部である第1のチャンバ(3)と、流体システム(II)の一部である第2のチャンバ(4)とに分けられている透析装置(1)即ちフィルタを有しており、請求項1乃至21のいずれか1に記載の、流体システム中の血液もしくは血液成分の検出のための装置である、体外血液処理のための装置。
【請求項23】
半透膜によって、体外血液回路の一部である第1のチャンバと、流体システムの一部である第2のチャンバとに分けられている透析装置、即ちフィルタを有する、体外血液処理のための装置の流体システム中の血液もしくは血液成分の検出のための方法であって、
前記流体システム中にある流体に入る光を発し、且つ流体システム中にある流体から出た光を受けることと、
流体から出た光の強度I1の評価と、を有する方法において、
前記流体から出た光の強度I1の変化に基づいて、前記透析装置、即ちフィルタの異常による前記流体システムへの血液の流入と、溶血による前記流体システムへのヘモグロビンの流入とが区別されることを特徴とする方法。
【請求項24】
前記透析装置、即ちフィルタの異常による前記流体システムへの血液の流入と、溶血による前記流体システムへのヘモグロビンの流入とが、流体から出た光の青色成分の強度I1の変化に少なくとも基づいて、区別されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも青色成分と赤色成分とを有する光が発せられ且つ受けられることと、
流体から出た光の青色成分の強度I1/Bと流体から出た光の赤色成分の強度I1/Rとが、決定されることと、
前記赤色成分の強度I1/Rは、前記青色成分の強度I1/Bと比較され、前記流体システムへの血液の流入と溶血とが、赤色成分Rの強度と青色成分Bの強度との比較に基づいて、区別されることと、
を特徴とする請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
赤色成分の強度と青色成分の強度との比率(R/B)が算出されて、所定の閾値と比較されて、この閾値が前記所定の閾値より大きい場合に、血液の流入があると判断されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
赤色成分の強度と青色成分の強度との比率(R/B)が算出されて、所定の閾値と比較されて、この閾値が前記所定の閾値より小さいかこれと同じである場合に、溶血があると判断されることを特徴とする請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
青色成分と緑色成分とを少なくとも有する光が発せられ且つ受けられることと、
流体から出た光の青色成分の強度I1/Bと流体から出た光の緑色成分の強度I1/Gとが、決定されることと、
前記緑色成分Gの強度は、前記青色成分Bの強度と比較され、前記流体システムへの血液の流入と溶血とは、前記緑色成分Gの強度と前記青色成分Bの強度との比較に基づいて、区別されることと、
を特徴とする請求項23乃至27のいずれか1に記載の方法。
【請求項29】
緑色成分Gの強度と青色成分Bの強度との比率(G/B)が算出されて、所定の閾値と比較されて、前記比率が前記所定の閾値より大きい場合に、血液の流入があると判断されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
緑色成分Gの強度と青色成分Bの強度との比率(G/B)が算出されて、所定の閾値と比較されて、前記比率が前記所定の閾値より小さいかこれと同じである場合に、溶血があると判断されることを特徴とする請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
赤色成分と、緑色成分と、青色成分とを有する光が発せられ且つ受けられることと、
流体から出たこの光の赤色成分の強度I1/Rと、緑色成分の強度I1/Gと、青色成分の強度I1/Bとが、決定されることと、
前記赤色成分の強度I1/Rは、第1の工程で緑色成分Gの強度I1/Gと比較され、前記赤色成分の強度と前記緑色成分の強度との比較に基づいて、流体システムへの血液の流入もしくは溶血があると判断されるとことと、
前記第1の工程で血液の流入もしくは溶血があると判断された場合に、前記赤色成分の強度I1/Rは、第2の工程で前記青色成分の強度I1/Bと比較され、前記流体システムへの血液の流入と溶血とが、前記赤色成分の強度と前記青色成分の強度との比較に基づいて、区別されることと、
を特徴とする請求項23乃至30のいずれか1に記載の装置。
【請求項32】
前記赤色成分の強度I1/Rと前記緑色成分Gの強度I1/Gとの比率が、前記第1の工程で算出されて、前記比率が所定の第1の閾値より大きい場合に、血液の流入もしくは溶血があると判断されることと、
前記赤色成分の強度I1/Rと前記青色成分Bの強度I1/Bとの比率が前記第2の工程で算出されて、前記比率が所定の第2の閾値より大きい場合に、血液の流入があると判断され、前記比率が前記所定の第2の閾値より小さいかこれと同じである場合に、溶血があると判断されることと、
を特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
赤色成分と緑色成分と青色成分とを有する光が発せられ、且つ受けられることと、
流体から出た光の赤色成分の強度I1/Rと、緑色成分の強度I1/Gと、青色成分の強度I1/Bとが、決定されることと、
前記赤色成分の強度I1/Rは、第1の工程で前記緑色成分Gの強度I1/Gと比較され、前記赤色成分の強度と前記緑色成分の強度との比較に基づいて、前記流体システムへの血液の流入もしくは溶血があると判断されることと、
前記第1の工程で血液の流入もしくは溶血があると判断された場合に、前記緑色成分の強度I1/Gは、第2の工程で前記青色成分の強度I1/Bと比較され、前記流体システムへの血液の流入と溶血とが、前記緑色成分の強度と前記青色成分の強度との比較に基づいて、区別されることと、
を特徴とする請求項23乃至32のいずれか1に記載の方法。
【請求項34】
前記赤色成分の強度I1/Rと前記緑色成分Gの強度I1/Gとの比率が、前記第1の工程で算出されて、前記比率が所定の第1の閾値より大きい場合に、血液の流入もしくは溶血があると判断されることと、
緑色成分の強度I1/Gと青色成分Bの強度I1/Bとの比率が前記第2の工程で算出されて、前記比率が所定の閾値より大きい場合に、血液の流入があると判断され、前記比率が前記所定の閾値より小さいかこれと同じである場合に、溶血があると判断されることと、
を特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項35】
流体システム中にある流体に入る光が受けられ、前記流体に入る光の強度I0が、所定の閾値と比較されることを特徴とする請求項23乃至34のいずれか1に記載の装置。
【請求項36】
前記所定の閾値は、入力される、もしくは基準測定に基づいて得られた患者固有のデータの関数として、確認されることを特徴とする請求項26又は35のいずれか1に記載の方法。
【請求項37】
溶血及び/もしくは血液の流入があると判断されると、視覚、及び/もしくは音響、及び/もしくは触知可能信号が発信されることを特徴とする、請求項23乃至36のいずれか1に記載の方法。
【請求項38】
溶血及び/もしくは血液の流入があると判断されると、前記体外血液処理装置のマシン制御への介入のための制御信号が、発生されることを特徴とする、請求項23乃至37のいずれか1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−500800(P2013−500800A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523234(P2012−523234)
【出願日】平成22年7月31日(2010.7.31)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004697
【国際公開番号】WO2011/015321
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(501276371)フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー (31)
【Fターム(参考)】