説明

体液吸収性の芯材およびその製造方法

【課題】体液吸収性着用物品における体液吸収性の芯材が体液を吸収した後に肌に与える湿潤感を抑制する。
【解決手段】体液吸収性着用物品11が透液性の第1シート17と透液性または不透液性の第2シート16との間に体液吸収性材料の集合体によって形成された芯材18を有する。芯材は、体液吸収性材料として親水性繊維を含む。芯材の密度は、第1シートから第2シートへ向かう芯材の厚さ方向において高くなるように変化する。芯材の厚さ方向においてはまた、親水性繊維についての平面配向指数が大きくなるように変化している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、使い捨てのおむつや生理用ナプキン等の体液吸収性着用物品に使用するのに好適な体液吸収性の芯材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体液吸収性着用物品に使用される吸収体は従来周知である。その吸収体に含まれる体液吸収性の芯材もまた周知である。吸収体および芯材については、それらの厚さ方向に密度の勾配を与えることによって、体液の厚さ方向への移動を促進できること、厚さ方向における体液の滞留を制御できること等が知られている。
【0003】
たとえば、特開平3−173562号公報(H03−173562 A1,特許文献1)に記載の吸収体の一例では、粉砕パルプによって形成された低密度繊維層が、高密度に固められたパルプ層の上に重ねられていて、低密度繊維層が着用物品着用者の肌に向けられる。低密度繊維層は、吸収体の吸水性や保水性を良好に保つために必要とされ、高密度繊維層は体液拡散層を形成している。
【0004】
また、特開平10−309298号公報(H10−309298 A1,特許文献2)に記載の吸収性物品の一例は使いすておむつであって、そのおむつにおける吸収体は、液透過性のトップシート側に配置されて0.03〜0.20g/cmの密度を有する第一吸収領域と、液不透過性のバックシート側に配置されて0.03〜0.20g/cmの密度を有する第三吸収領域と、第一吸収領域と第三吸収領域との間に配置されて0.1〜0.40g/cmの密度を有する第二吸収領域とで構成されている。このおむつでは、トップシートの上に排泄された尿が、第一吸収領域でスポット吸収され、第一吸収領域と第二吸収領域の界面で拡散し、第二吸収領域と第三吸収領域とにおいて貯えられる。
【0005】
さらにはまた、特開平5−59602号公報(H05−59602 A1,特許文献3)に記載の使い捨てトレニングパンツは、透液性内面シートと、不透液性外面シートとの間に吸液性コアが介在しているもので、内面シートの中央域には湿潤感知手段が設けられている。湿潤感知手段は、内面シートの部分と、内面シートの上面に積層した湿潤保持シートから成っている。湿潤保持シートは、密度の高い上層と、密度の低い下層とからなる不織布であって、内面シートの密度は下層の密度よりも高くなっている。このトレニングパンツによれば、湿潤保持シートの上層に排泄液が滞留し、幼児の肌に接触して、幼児に不快感を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−173562号公報(H03−173562 A1)
【特許文献2】特開平10−309298号公報(H10−309298 A1)
【特許文献3】特開平5−59602号公報(H05−59602 A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
体液吸収性着用物品における吸収体に使用された体液吸収性の芯材は、それに含まれる親水性繊維の集合体が芯材の厚さ方向において密度勾配を有することによって、排泄された体液を密度の低い部分から密度の高い部分へと移動させることができる。したがって、密度の低い部分が肌の近くにあり、密度の高い部分が肌から遠く離れている芯材では、吸収した体液を密度の高い部分に移動させて肌から離間させることによって、体液が原因となって生じる湿潤感を低く抑えることが可能になる。
【0008】
この発明が課題とするところは、芯材の吸収した体液が肌に与える湿潤感を抑制することができるように、芯材に改良を施すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するためのこの発明には、体液吸収性の芯材に係る第1発明と、その芯材の製造方法に係る第2発明とがある。
【0010】
第1発明が対象とするのは、体液吸収性着用物品における肌当接面の側に位置する透液性の第1シートと前記肌当接面の反対面である着衣当接面の側に位置する透液性または不透液性の第2シートとの間に介在する体液吸収性材料の集合体によって形成されている芯材である。
【0011】
第1発明が特徴とするところは、前記芯材が、前記体液吸収性材料として親水性繊維を含み、前記芯材の密度が、前記第1シートから前記第2シートへ向かう前記芯材の厚さ方向において高くなるように変化し、前記厚さ方向においてはまた、前記芯材における前記親水性繊維についての平面配向指数が大きくなるように変化している、ことにある。
【0012】
第1発明の実施形態の一つにおいて、前記芯材が前記厚さ方向において互いに重なり合う上層部分と下層部分とを有するものであって、前記上層部分が前記第1シートと向かい合い、前記下層部分が前記第2シートと向かい合っており、前記上層部分における前記密度は、前記下層部分における前記密度よりも低く、前記上層部分における前記平面配向指数が1.30よりも小さくて、前記下層部分における前記平面配向指数が前記上層部分における前記平面配向指数よりも少なくとも0.3大きい。
【0013】
第1発明の実施形態の一つにおいて、前記親水性繊維は、その平均繊維長が15mmを越えることのないものである。
【0014】
第1発明の実施形態の一つにおいて、前記芯材が前記親水性繊維として少なくともフラッフパルプを含む。
【0015】
第1発明の実施形態の一つにおいて、前記芯材が高吸水性ポリマー粒子と前記親水性繊維としてのフラッフパルプとを含む。
【0016】
この発明のうちの第2発明が対象とするのは、体液吸収性着用物品における肌当接面の側に位置する透液性の第1シートと前記肌当接面の反対面である着衣当接面の側に位置する透液性または不透液性の第2シートとの間に介在する体液吸収性材料の集合体によって形成されている芯材の製造方法である。
【0017】
第2発明が特徴とするところは、前記製造方法が少なくとも下記工程を含むことにある。
(1)前記芯材がその厚さを二分して重なり合う上層部分と下層部分とを有するものであって、前記集合体が前記体液吸収性材料として親水性繊維を含み、前記下層部分となることが予定されている前記体液吸収性材料の一部分によって形成されている体液吸収性材料の第1集合体の複数を機械方向へ間欠的に並べて前記機械方向へ走行させる工程。
(2)互いに対向する高圧水蒸気噴射用第1ノズルと水蒸気吸引用第1吸引口との間において機械方向へ走行する一対の通気性第1支持体によって前記第1集合体のそれぞれをサンドウィッチして、前記第1吸引口による吸引作用下に前記第1集合体に向かって前記第1ノズルから高圧水蒸気を噴射し、前記第1集合体がその厚さ方向へ圧縮されたものである第2集合体を得る工程。
(3)前記上層部分となることが予定されている前記体液吸収性材料の一部分によって形成されている体液吸収性材料の第3集合体の複数のそれぞれを前記第2集合体のそれぞれに重ねた積層体である第4集合体を得る工程。
(4)互いに対向する高圧水蒸気噴射用第2ノズルと水蒸気吸引用第2吸引口との間において機械方向へ走行する一対の通気性第2支持体によって前記第4集合体をサンドウイッチし、前記第2吸引口による吸引作用下に、前記第4集合体における前記第3集合体に向かって前記第2ノズルから前記高圧水蒸気を噴射して前記第4集合体を圧縮することにより前記第4集合体から第5集合体を得る工程。
【0018】
第2発明の実施形態の一つにおいて、前記第4集合体における前記第2集合体が通気透液性の第1シートに載せられ、前記第4集合体における前記第3集合体が通気透液性の第2シートで被覆された状態にある前記第4集合体を前記第2支持体によってサンドウィッチする。
【0019】
第2発明の実施形態の一つにおいて、前記第1集合体が通気透液性の第1シートに載せられた状態で、前記第1集合体を前記第1シートとともに前記第1支持体によってサンドウイッチする。
【0020】
第2発明の実施形態の一つにおいて、前記第4集合体における前記第3集合体が通気透液性の第2シートで被覆された状態で前記第4集合体と前記第2シートとを前記第2支持体によってサンドウイッチする。
【0021】
第2発明の実施形態の一つにおいて、前記第1支持体および前記第2支持体がメッシュコンベアベルトである。
【0022】
第2発明の実施形態の一つにおいて、前記親水性繊維は、繊維長が15mmを越えることのないものである。
【0023】
第2発明の実施形態の一つにおいて、前記第1ノズルと前記第1吸引口とに代えて、一対のプレスロールを使用して前記第1集合体を圧縮する。
【0024】
第2発明の実施形態の一つにおいて、前記芯材が前記親水性繊維として少なくともフラッフパルプを含む。
【0025】
第2発明の実施形態の一つにおいて、前記芯材が高吸水性ポリマー粒子と前記親水性繊維としてのフラッフパルプとを含む。
【0026】
この発明において、「厚さ」というときには、ダイヤルシックネスゲージを使用して測定される厚さを意味している。ダイヤルシックネスゲージには、直径50mmの固定側測定子と直径50mmの可動側測定子とを有するものを使用し、可動側測定子には0.025N/100mmの測定圧を作用させる。ダイヤルシックネスゲージの一例には、(株)尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ J−Bタイプがある。
【0027】
この発明において、「繊維長」というときに、その繊維がフラッフパルプ等のパルプである場合には、Metso Automation社製のKajaani FiberLab FS300を使用して測定した長さ加重平均繊維長(length‐weighted average fiber length )を意味している。また、パルプ以外の繊維の場合には、JIS L 1015の8−4−1項のc)に規定のC法による平均繊維長を意味している。
【0028】
また、この発明において「平面配向指数」というときには、芯材を平面上に置いて撮影した芯材の断面のX線CT写真に基づいて得られる値を意味している。芯材については、互いに直交するX軸(縦軸)とY軸(高さ軸)とZ軸(横軸)とを定め、XZ断面(平面方向断面)、XY断面(縦方向断面)、YZ断面(横方向断面)それぞれにあらわれる親水性繊維の一本当たりの平均繊維断面積をX線CT写真の画像から求める。XY断面における親水性繊維一本当たり平均繊維断面積とYZ断面における親水性繊維一本当たりの平均繊維断面積との平均値に対するXZ断面における親水性繊維一本当たりの平均繊維断面積の割合が芯材における親水性繊維の「平面配向指数」と定義される。「平面配向指数」の測定の詳細は、後記のとおりである。
【発明の効果】
【0029】
この発明のうちの第1発明に係る芯材は、その密度が第1シートから第2シートへ向かう方向において高くなるように変化する密度勾配を有するから、第1シートの側から芯材に吸収された体液は、第1シートから第2シートへ向かう方向へ移動して体液吸収性着用物品の着用者の肌から遠ざかり、体液が着用者に与える湿潤感を低く抑えておくことができる。芯材はまた、親水性繊維の平面配向指数が第1シートから第2シートへ向かう方向において大きくなるように変化して、第1シートに近い上層部分では、親水性繊維が厚さ方向へ配向する傾向が強く、第2シートに近い下層部分では厚さ方向に直交している平面方向へ配向する傾向が強い。それゆえ、第1シートの側から芯材に吸収された体液は、上層部分では厚さ方向に向かって移動する傾向が強くて平面方向へ拡散することが抑えられ、下層部分では、平面方向に拡散する傾向が強くて厚さ方向への移動が抑えられる。上層部分では、第1シートの近くにおいて体液の平面方向への拡散が抑えられることによって、この芯材を使用する体液吸収性着用物品では、排泄された体液が着用物品の表面の広い範囲において着用者に湿潤感を与えるという問題の発生を防ぐことが可能になる。
【0030】
この発明のうちの第2発明に係る製造方法によれば、芯材の下層部分を形成するための体液吸収性材料の第1集合体に高圧水蒸気を噴射し、しかる後に第1集合体に体液吸収性材料の第3集合体を重ね、その第3集合体に向かって高圧水蒸気を噴射することによって、平面配向指数の大きい下層部分と、平面配向指数の小さい上層部分とを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】体液吸収性着用物品(生理用ナプキン)の部分破断斜視図。
【図2】図1のP−P線切断面を示す図。
【図3】芯材製造工程の一例を示す図。
【図4】図3の部分拡大図。
【図5】(1)〜(3)によって、繊維配向観測用試片の各種断面を示す図。
【図6】芯材の製造工程の一例を示す図。
【図7】比較例の芯材の製造工程の一例を示す図。
【図8】比較例の芯材の製造工程の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付の図面を参照して、この発明に係る体液吸収性の芯材とその製造方法との詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0033】
図1は、体液吸収性の芯材18(図2参照)が使用されている生理用ナプキン11の部分破断斜視図である。生理用ナプキン11は、透液性のトップシート12と、不透液性のバックシート13と、これら両シート12,13の間に介在する吸収体14とを有している。両シート12,13はまた、吸収体14の周縁から延出する部分において重なり合い、吸収体14を囲むように延びるシールライン15において互いに溶着している。図1には、ナプキン11の互いに直交する横方向と厚さ方向と縦方向とが双頭矢印X,Y,Zで示されている。
【0034】
図2は、図1のP−P線切断面を示す図である。図1においてトップシート12とバックシート13とにサンドウィッチされた状態にある吸収体14は、透液性の上部ラッピングシート17と、透液性または不透液性の下部ラッピングシート16と、これらラッピングシート16,17の間に介在する体液吸収性の芯材18とを有し、ラッピングシート16,17は、芯材18の周縁から延出する部分において重なり合っている。芯材18は、その厚さを二分して互いに重なり合う体液吸収性の下層部分21と上層部分22とを有している。上層部分22は、トップシート12と上部ラッピングシート17とを透過した経血等の体液を吸収し、その吸収した体液を厚さ方向Yの下方へ、すなわち下層部分21に向かって移動させることが可能な部分であり、下層部分21は上層部分22からの体液を吸収し、その吸収した体液を芯材18の横方向Xと縦方向Zとに拡散させることが可能な部分である。このような芯材18の構造と製造方法との詳細は後記図3等に基づいて説明される。
【0035】
このような生理用ナプキン11において、トップシート12には、当該技術分野においての慣用の材料、例えばスパンボンド不織布やメルトボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布とスパンボンド不織布とを積層したSMS不織布等の熱可塑性合成繊維で形成された不織布や開孔プラスチックフィルム等を使用することができる。不織布の単位面積当たりの質量は10〜25g/mであることが好ましい。開孔プラスチックフィルムは、厚さ0.005〜0.03mmのプラスチックフィルムに公知の開孔処理を施して得ることができる。不織布やプラスチックフィルムは、親水化処理されたものであることが好ましい。
【0036】
バックシート13にもまた当該技術分野においての慣用の材料、例えば厚さ0.01〜0.03mmを有する不透液性または通気不透液性のプラスチックフィルムを使用することができる。バックシート13ではまた、プラスチックフィルムの外面に熱可塑性合成繊維で形成された不織布を積層して、バックシートを布様の肌触りのものにしたり、厚さの薄いプラスチックフィルムに不織布を積層して柔軟で肌触りのよいものにしたりすることができる。
【0037】
上部ラッピングシート17には、ティッシュペーパの他に、熱可塑性合成繊維で形成されていて親水化処理を施された不織布等を使用することができる。その不織布の単位面積当たりの質量は、5〜20g/mであることが好ましい。
【0038】
下部ラッピングシート16には、上部ラッピングシートに使用するティッシュペーパや不織布を使用することができる。ただし、不透液性の下部ラッピングシート16が必要な場合には、不透液性のプラスチックフィルムや実質的な意味において不透液性である不織布を使用することができる。
【0039】
芯材18は、上層部分22と下層部分21とが体液吸収性材料の集合体によって形成されている。その集合体は、100〜25(後記75重量%に合わせた)重量%の親水性繊維と、0〜75重量%の高吸水性ポリマー粒子とを含むもので、親水性繊維には、例えばフラッフパルプ、レーヨン繊維、アセテート繊維、親水化処理された熱可塑性合成繊維等を使用することができる。親水性繊維の繊維長は、15mmを越えないことが好ましく、10mmを越えないことがより好ましく、5mmを越えないことがさらに好ましい。また、レーヨン繊維やアセテート繊維、親水化処理された熱可塑性合成繊維の繊度は、8dtexを越えないことが好ましく、4dtexを越えないことがより好ましい。
【0040】
高吸水性ポリマー粒子には、当該技術分野において周知のものを使用することができる。例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、デンプンアクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、天然多糖類等によって形成された粒子を使用することができる。
【0041】
芯材18における上層部分22は、単位面積当たりの質量が50〜250g/mの範囲にあり、比容積が5〜25cm/gの範囲にあることが好ましい部分である。下層部分21は、単位面積当たりの質量が100〜450g/mの範囲にあり、比容積が2.5〜13cm/gの範囲にあり、かつ、単位面積当たりの質量が上層部分22のそれと同じであるかそれよりも大きく、比容積が上層部分22のそれよりも小さいことが好ましい部分である。このような下層部分21と上層部分22とを有する芯材18では、上層部分22から下層部分21に向かって密度が高くなるように変化している。換言すると、上層部分22から下層部分21に向かって比容積が小さくなるように変化している。
【0042】
図3は、芯材18を製造するための一連の工程を例示する図である。図3における第1工程Iでは、機械方向MDへ走行するメッシュコンベアベルト101の上に下部ラッピングシート16の連続体である第1キャリヤシート116が載せられて、第1成形ドラム102の下方を通過する。第1工程Iには、図において時計方向へ回転している第1成形ドラム102と、第1材料供給部104とがある。第1成形ドラム102は、その周面に図2の芯材18における下層部分21に対応する部分を形成するための複数の第1凹部103が周方向へ並ぶように形成されていて、それらの第1凹部103が鎖線で示されている。第1凹部103は、第1成形ドラム102が回転して12時の位置に近づくと、第1材料供給部104へ進入する。第1材料供給部104はフード104aを有し、そのフード104aの内側では、芯材18の下層部分21における親水性繊維を形成する第1親水性繊維105が上方から供給される。フード104aの内側に仮想線で示されている第1ポリマー供給部106は、芯材18の下層部分21が高吸水性ポリマー粒子を含む場合に使用されるもので、その第1ポリマー供給部106からは第1高吸水性ポリマー粒子107が第1凹部103に供給される。第1親水性繊維105や第1高吸水性ポリマー粒子107が供給されるときの第1凹部103は、第1成形ドラム102の内側に位置する第1サクション部117につながっているので、第1親水性繊維105や第1高吸水性ポリマー粒子107は第1凹部103に向かって吸引され、集積した状態となる。集積した第1親水性繊維や第1高吸水性ポリマー粒子117は、第1材料供給部104の外へ出た後に、第1成形ドラム102の内側から離型用エアー109の作用を受けて第1凹部103から離脱し、体液吸収性材料の第1集合体501となって機械方向MDへ走行する。
【0043】
なお、第1凹部103が第1材料供給部104へ進入した直後では、第1凹部103に供給される第1親水性繊維105が第1サクション部107のサクション作用Sを受けて第1凹部103の平滑な底面に沿って延びるように、換言すると第1凹部103の底面に横たわるような状態で集積する傾向にある。その後に供給される第1親水性繊維105は、既に堆積している第1親水性繊維105の影響でサクション作用Sが及びにくくなり、第1凹部103の底面に横たわる傾向が弱まる一方、第1凹部103の深さ方向、すなわち第1成形ドラム201の径方向へ延びる傾向が生じてくる。
【0044】
第1集合体501は、第2工程IIへ進む。第2工程IIは、メッシュベルトで作られていて通気性である第1無端ベルト201と第2無端ベルト202とが、互いに並行して機械方向MDへ走行する部分210を有する。その部分210では、第1,第2無端ベルト201,202を挟むように高圧水蒸気噴射用の第1ブロック203と水蒸気サクション用の第1ボックス204とが対向配置されている。第1ブロック203には高圧水蒸気供給用の配管205が接続され、その配管205には圧力調整バルブ206と圧力計207とが取り付けられている。第1ブロック203と第1ボックス204とは、図の上下方向における離間距離CL1(図4参照)の調整が可能に作られている。その離間距離CL1を調整された第1ブロック203と第1ボックス204との間を第1,第2無端ベルト201,202に挟まれて走行する第1集合体501に対して、第1ブロック203からは高圧水蒸気(図4参照)が噴射され、その水蒸気が第1ボックス204によって吸引される。第1集合体501は、高圧水蒸気を噴射されることによって、圧縮されて厚さが薄くなるとともに第1親水性繊維105の分布状態が変化した第2集合体502となり、第1,第2無端ベルト201,202から離れて、第3工程IIIへ進む。
【0045】
図3の第3工程IIIには、第2成形ドラム302と、その上方に位置する第2材料供給部304とがあって、第2成形ドラム302が時計方向へ回転している。第2成形ドラム302は、その周面に図2の芯材18における上層部分22に対応する部分を形成するための複数の第2凹部303が形成されている。図3には、それらの第2凹部303が周方向へ並ぶように鎖線で示されている。第2凹部303は、第2成形ドラムが回転して12時の位置に近づくと、第2材料供給部304へ進入する。第2材料供給部304は、フード304aを有し、そのフード304aの内側では、上方から第2親水性繊維305が供給される。フード304aの内側にはまた、仮想線で示された第2ポリマー供給部306があって、その第2ポリマー供給部306からは第2高吸水性ポリマー粒子307が第2凹部303に供給される。ただし、第2ポリマー供給部306は、芯材18の上層部分22が高吸水性ポリマー粒子を含む場合にのみ使用される。第2親水性繊維305や第2高吸水性ポリマー粒子307が供給されるときの第2凹部303は、第2サクション部317につながっている。第2凹部303に供給され、堆積した第2親水性繊維305や第2高吸水性ポリマー粒子307は、離型用エアー309の作用下に第2凹部303から離脱して体液吸収性材料の第3集合体503となると同時に、第3工程IIIへ進入している第2集合体502に重ねられて、これら集合体502,503の積層体である第4集合体504を形成する。なお、第3工程IIIでは、第2凹部303から離脱する第3集合体503を第2集合体502に重ねることができるように、キャリヤシート116の走行速度と、第2成形ドラム302の周速とが調整されている。
【0046】
図3の第4工程IVでは、図2の上部ラッピングシート17の連続体であるカバーシート117が図の上方から第4集合体504に向かって供給される。その結果として、機械方向MDへ走行している第4集合体504は、キャリヤシート116とカバーシート117とによってサンドウィッチされた状態になる。第4工程IVではまた、通気性の第3無端ベルト401と通気性の第4無端ベルト402とが機械方向MDへ互いに並行して走行する部分410を有する。その部分410には、第3,第4無端ベルト401,402を挟むようにして高圧水蒸気噴射用第2ブロック403と水蒸気サクション用の第2ボックス404とが対向配置されている。第2ブロック403には高圧水蒸気供給用の配管405が接続され、その配管405には圧力調整バルブ406と圧力計407とが取り付けられている。第2ボックス404には、サクション源につながる排気、排水用の配管408が接続されている。第2ブロック403と第2ボックス404とは、図の上下方向における離間距離CL2の調整が可能であって、第4工程IVでは、その離間距離CL2が調整された第2ブロック403と第2ボックス404との間を走行する第3、第4無端ベルト401,402に挟まれるとともにキャリヤシート116とカバーシート117とにも挟まれている第4集合体504のうちの第3集合体503の部分に向かって、第2ブロック403から高圧水蒸気(図示せず)が噴射され、その水蒸気が第2ボックス404によって吸引される。第4集合体504は、それに高圧水蒸気が噴射されることによって、厚さが薄くなるとともに第1親水性繊維105と第2親水性繊維305との分布状態が変化した第5集合体505となる。キャリヤシート116とカバーシート117とは、高圧水蒸気が噴射されることによって第5集合体505の周縁に沿って重なり合い、互いに密着した状態になる。
【0047】
図3の第5工程Vでは、機械方向MDにおいて隣り合う第5集合体505どうしの間においてキャリヤシート116とカバーシート117とがカッタCTによって切断されることにより、第5集合体505とキャリヤシート116とカバーシート117とからなる個別の吸収体14が得られる。第5集合体505は、吸収体14における芯材18となり、キャリヤシート116は吸収体14における下部ラッピングシート16となり、カバーシート117は吸収体14における上部ラッピングシート17となる。
【0048】
図4は、図3における仮想線で囲まれた部分Aを拡大して、第1ブロック203と第1ボックス204との内部構造を示す図であって、この内部構造は第4工程IVにおける第2ブロック403と第2ボックス404とにも採用されている。第1ブロック203は、機械方向MDに直交する交差方向へ延びているもので、蒸気マニホールド部302aとノズルプレート部203bとを有し、蒸気マニホールド部203aには高圧水蒸気Stを供給するための配管205が接続されている。また、ノズルプレート部203bには多数の第1ノズル203cが交差方向へ並ぶように形成されている。ノズルプレート部203bはまた、第1無端ベルト201が摺動することもある部位であって、ノズルプレート部203bの下面は平滑である。第1ボックス204は、摺動プレート部204aとボックス部204bとを有する。摺動プレート部204aは第2無端ベルト202が摺動する部位であって平滑に作られている。ボックス部204bはサクション源(図示せず)につながっている。摺動プレート部204aとボックス部204bとには、第1ノズル203cと対向する部位に第1吸引口206が形成されている。なお、摺動プレート部204aは、機械方向MDにおいて互いに離間並列しかつ機械方向MDに向かって回転する一対のロールに代えることができる部位でもある。
【0049】
ノズルプレート部203bと摺動プレート部204bとの間では、第1,第2無端ベルト201,202が機械方向MDへ走行し、その第1、第2無端ベルト201,202の間には、キャリヤシート116と、キャリヤシート116に載せられた第1集合体501とが介在している。第1ブロック203と第1ボックス204との離間距離CL1は、ノズルプレート部203aと摺動プレート部204aとの間のクリアランスであって、高圧水蒸気Stの噴射下に第1集合体501から所要の厚さの第2集合体502を得ることができるように、その寸法が調整される。第1ブロック203の一例において、交差方向に並ぶ第1ノズル203cは、孔径が0.1〜2mmの範囲にあって、ピッチが0.5〜5mmの範囲にあり、交差方向の両側において第1集合体501を越えるように並んでいる。第1ブロック203から噴射される高圧水蒸気Stは、蒸気圧が0.1〜2MPaの範囲にあり、第1集合体501の表面に対して0.03〜1.23kg/mの割合で噴射される。
【0050】
第4工程IVにおける第2ブロック403と第2ボックス404とには、図4の第1ブロック203と第1ボックス204と同じ構造のものを、同じような運転条件または第2工程IIの運転条件とは異なる運転条件で使用することができる。ただし、第2ブロック403は、第1ノズル203cに代わる第2ノズル(図示せず)を有し、第2ボックス404は第1吸引口206に代わる第2吸引口(図示せず)を有する。また、第2ブロック403と第2ボックス404との間の離間距離CL2は、離間距離CL1よりも大きな値である。
【0051】
図3の工程を経て作られた図2における芯材18では、下層部分21と上層部分22との間において第1親水性繊維105と第2親水性繊維305とが絡み合うことがある。しかし、その絡み合いは比較的弱いものであって、下層部分21と上層部分22とは、それぞれを指先で摘むことによって互いに分離した状態にすることができる。したがって、下層部分21と上層部分22とは、それぞれの特性を個別に観察することが容易である。
【0052】
そのように観察することのできる芯材18ではまた、比容積が上層部分22から下層部分21に向かって小さくなるように変化している。その比容積は、上層部分22および下層部分21それぞれついての容積とその容積の持つ質量との比から求められる値である。容積は、見かけの体積と呼ぶことができるものであって、それを求めるときに必要となる上層部分22および下層部分21の厚さは、2.5g/mmの質量を有する測定子を使用して測定する。また、上層部分22においては、第2親水性繊維305が厚さ方向Yへ延びる傾向を有し、この発明に係る芯材18では、その傾向を第2親水性繊維305が厚さ方向Yに配向する傾向を有するともいう。下層部分21においては、第1親水性繊維105が厚さ方向Yに直交する平面と並行するように広がる傾向を有し、芯材18においては、その傾向を第1親水性繊維105が平面方向へ配向する傾向を有するともいう。配向についてのこれらの傾向は、後記測定方法に基づいて得られる平面配向指数によって定量的に示すことができる。
【0053】
このような芯材18が使用されている図1の生理用ナプキン11では、排泄されてトップシート12の上にある経血が吸収されて上層部分22に届くと、その経血は上層部分22から下層部分21へと厚さ方向Yへ容易に移動し、下層部分21では横方向Xや縦方向Zへ拡散して着用者の肌に接触し難くなるので、経血が排泄されてもそれによる湿潤感が軽度であるというものになる。
【0054】
(実施例)
(実施例1)
図3の工程で得られる芯材18の実施例には、以下のものがある。すなわち、図3の第1,第2材料供給部104,304における第1,第2親水性繊維105,305としてウエハウザー社製 NB−416フラッフパルプを使用し、第1材料供給部104と第2材料供給部304とにおけるフラッフパルプの供給量を調整することにより、約100g/mの質量を有する第1集合体501と、約200g/mの質量を有する第3集合体503とを得た。NB−416フラッフパルプはソーミル方式の開繊装置で開繊して、第1,第2親水性繊維105,305として使用した。開繊したNB−416の平均繊維長は2.47mmであった。キャリヤシート116とカバーシート117とには、繊度2.2dtex、繊維長51mmを有し、ポリエステルを芯としポリエチレンを鞘とする複合繊維で形成され、25g/mの質量を有するエアースルー不織布を使用した。第2,第4工程II,IVにおいて、蒸気ノズルには孔径0.5mmのものを使用して、ピッチを2mm、蒸気圧を0.7MPa、蒸気噴射量を1.27kg/mに設定した。第1,第2無端ベルト201,202と第3,第4無端ベルト401,402とには、日本フィルコ社製造のポリフェニレンサルファイド製平織りメッシュコンベアベルトであって、線径0.37mmの縦線が34本/inch、線径0.37mmの横線が32本/inchの割合であるものを使用した。第2工程IIにおける離間距離CL1を調整することにより、高圧水蒸気の噴射下に第1集合体501を所要の厚さを有する第2集合体502に変化させ、第3工程IIIにおける離間距離CL2を調整することにより、高圧水蒸気の噴射下に第4集合体504を所要の厚さを有する第5集合体505に変化させることにより、吸収体14を得るとともに、その吸収体14に含まれる実施例1の芯材18を得た。
【0055】
その芯材18については、下層部分21と上層部分22とを以下の評価項目について評価し、芯材18の持つ作用、効果を確認した。評価結果は、表1のとおりであった。なお、芯材18の下層部分21は、図3における第5集合体505の下層部分に対応し、その下層部分は第1集合体501に対応している。また、上層部分22は、第5集合体505の上層部分に対応し、その上層部分は第3集合体503に対応している。
【0056】
(実施例2)
図3の工程において、第1集合体501と第3集合体503との質量を200g/mとし、離間距離CL1,CL2を実施例1における値よりも大きくしたという以外は、実施例1と同じ条件を採用して実施例2の芯材18を得た。実施例2の芯材18についても、実施例1の芯材と同じ評価項目について評価した。評価結果は、表1のとおりであった。
【0057】
評価項目1:厚さ(単位:mm)
(1)「課題を解決するための手段」の項に記載された方法によって測定し、単位にmmを使用する。厚さ測定用の試片には、図3の工程で得られた吸収体14から上部ラッピングシート17、下部ラッピングシート16を剥がすことによって得られる芯材18を使用した。試片の大きさは、100×100mmであることが好ましいが、これよりも小さい試片を使用する場合には、ダイアルゲージの測定子の径を必要に応じて小さくすることができる。
(2)芯材18のうちの下層部分21、上層部分22それぞれの厚さを測定するときには、まず芯材18の厚さを測定し、その後に指先でこれら両部分21,22を分離させて得られる下層部分21の厚さを測定した。芯材18の厚さと下層部分21の厚さとの差を上層部分22の厚さとした。
【0058】
評価項目2:単位面積当たりの質量(坪量)(単位:g/m
(1)吸収体14から切り取った100×100mmの大きさの吸収体断片から上部ラッピングシート17、下部ラッピングシート16を剥がして芯材18についての試片とし、その試片についての質量を電子天秤を使用して求めた。
(2)次式によって、試片の質量から芯材18についての単位面積当たりの質量(坪量ともいう)を求めた。
単位面積当たりの質量(坪量)(g/m)=試片の質量/0.01
(3)下層部分21についての単位面積当たりの質量は、芯材18についての試片から上層部分22を剥がして得られる下層部分21を電子天秤で秤量することによって求めた。
(4)芯材18についての単位面積当たりの質量と下層部分21についての単位面積当たりの質量との差を、上層部分22についての単位面積当たりの質量とした。
【0059】
評価項目3:平面配向指数
(1)平面配向指数は、芯材18の下層部分21、上層部分22それぞれを観測用試片とし、これら試片の断面にあらわれる第1親水性繊維105または第2親水性繊維305をX線CT写真でとらえ、その写真に基づくこれら繊維の断面積の測定結果から試片の断面における繊維の配向状態の比較を可能にする指数である。
(2)図5は、観測用試片である下層部分21または上層部分22においてX線CT写真を撮影するときの対象となるこれら各部分21,22の断面を示す図である。図5の(1)は観測用試片における後記XY断面(機械方向MDに並行する断面)を示し、図5の(2)は後記YZ断面(交差方向CDに並行する断面)を示し、図5の(3)は後記XZ断面(平面方向断面)と示している。
(3)X線CT写真では、各観測用試片について、図5に示されているXY断面、YZ断面、XZ断面における親水性繊維一本当たりの平均断面積を求める。このときに得られるXY断面における親水性繊維一本当たりの平均繊維断面積とYZ断面における親水性繊維一本当たりの平均繊維断面積との平均値に対するXZ断面それぞれにおける親水性繊維一本当たりの平均断面積の割合が下層部分21または上層部分22についての平面配向指数である。
(4)芯材18が第1,第2高吸水性ポリマー粒子107,307を含まない場合に平面配向指数を求める手順は、次のとおりである。
(4−1)下記X線CT装置を使用し、平面形状が20×20mmの大きさである観測用試片について断層撮影することにより、観測用試片を機械的に細分化することなくその試片についての内部断面写真(断層写真)を得た。
測定、撮影機器 三次元計測X線CT装置:TDM−1000−IS/SP(ヤマト化学(株)製)
画像処理ソフト 三次元ボリュームレンダリングソフト:VG−Studio MAX(日本ビジュアルサイエンス(株)製)
測定、撮影条件:管電圧 30kv、管電流 30μA、画素数 1024ピクセル×1024ピクセル、視野サイズは観測用試片の厚さがおさまる範囲での最大倍率とした。
(4−2)XY断面、YZ断面、XZ断面を.bmp形式で得て、それぞれの断面画像をスカラ(株)製画像解析ソフト USBデジタルスケールに転送した。
(4−3)測定部位の.bmp画像を切り出した。XY断面とYZ断面とでは観測用試片(下層部分21または上層部分22)の厚さ方向Yにおける中央部約1/3の範囲を切り出し、XZ断面では約500ピクセル×500ピクセルを切り出した。
(4−4)得られた画像を二値化処理し、各断面での親水性繊維の断面部位を抽出可能な状態にした。
(4−5)要素抽出下限値を親水性繊維の断面積換算で200μm相当に設定し、その面積よりも小さい繊維断面を要素抽出の対象外とした。
(4−6)各断面における親水性繊維の面積占有率を求め、XY断面、YZ断面、XZ断面での面積率がほぼ同等であることを確認した。
(4−7)各断面での要素抽出された全繊維断面の平均ピクセル数を求めた。
(4−8)平面配向指数を次式によって算出した。
平面配向指数=(XZ断面平均ピクセル)/{(XY断面平均ピクセル+YZ断面平均ピクセル)/2}
(5)芯材18が第1高吸水性ポリマー粒子107および/または第2高吸水性ポリマー粒子307を含む場合に平面配向指数を求める手順は、次のとおりである。なお、この手順では、親水性繊維と高吸水性ポリマー粒子とが混在する観測用試片から繊維の要素範囲を抽出するために、繊維の要素範囲上限値を設定した。次に、親水性繊維と高吸水性ポリマー粒子とが混在した観測用試片において、設定した要素範囲上限値よりも断面積の大きい高吸水性ポリマー粒子の要素値を除外して各断面の平均ピクセルを求め、さらに平面配向指数を求めた。
(5−1)X線CT装置とその測定条件とには、(4−1)と同じものを採用した。
(5−2)(4−2)と同じ操作を採用した。
(5−3)(4−3)と同じ操作を採用した。
(5−4)得られた画像を二値化処理し、各断面での親水性繊維と高吸水性ポリマー粒子の断面部位を抽出可能な状態とした。
(5−5)親水性繊維の要素抽出範囲上限値を得られた画像から7000μm相当にピクセル数を設定した。
(5−6)親水性繊維の要素抽出範囲上限値から高吸水性ポリマー粒子の要素値を除外した。
(5−7)要素抽出範囲下限値を繊維断面積換算にて200μm相当に設定し、それ以下の繊維断面を要素抽出から外した。
(5−8)親水性繊維および高吸水性ポリマー粒子が存在した断面での親水性繊維の面積占有率を求め、XY断面、YZ断面、XZ断面で面積率がほぼ同等であることを確認した。
(5−9)各断面での要素抽出された全繊維断面の平均ピクセル数を求めた。
(5−10)次式によって、平面配向指数を求めた。
平面配向指数=(XZ断面平均ピクセル)/{(XY断面平均ピクセル+YZ断面平均ピクセル)/2}
【0060】
評価項目4:体液の移動
(1)生理用ナプキン11では、排泄された経血等の体液がトップシート12から芯材18の上層部分22へ移動した後、上層部分22に滞留することなく下層部分21へ移動することが好ましい。すなわち、体液排泄後の芯材18を観察したときに、体液が上層部分22よりも下層部分21に多く含まれているならば、芯材18は体液が肌に与える湿潤感を軽度なものにする効果を有していると考えることができる。
(2)芯材18のそのような作用、効果を確認するために、一方においては70×160mmの大きさの芯材18の断片を用意して、上層部分22と下層部分21とに分離し、それぞれの部分22,21の質量(A1,B1g)を求めた。
(3)もう一方では、70×160mmの芯材18の断片を使用し、その上層部分22に対して、人工経血を0.3cc滴下した。さらに、滴下した位置から30mm以上離間した位置に人工経血を0.3cc滴下する作業を、10秒毎に繰り返し、人工経血を合計5箇所に滴下した。人工経血には、下記組成の水溶液を使用した。
人工経血の組成
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1000g
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40g
カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)・・・8g
塩化ナトリウム(NaCl)・・・・・・・・・・・・・・10g
炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)・・・・・・・・・・・4g
色素(赤色102号)・・・・・・・・・・・・・・・・・・8g
色素(赤色 2号)・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g
色素(黄色 5号)・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g
(4)上記(3)における人工経血の最初の滴下から3分経過後に上層部分22を下層部分21から剥離した。
(5)上層部分22、下層部分21の質量を電子天秤を使用して求めた(A2,B2g)。
(6)その上層部分22と下層部分21とを110℃のオーブンで2時間乾燥し、乾燥後の質量を求めた(A3,B3g)。
(7)次式によって、下層部分21の人工経血保持質量比率(W3%)を求めた。

実滴下経血質量(W2)={乾燥前上層部分質量(A2)+乾燥前下層部分質量(B2)}−滴下前芯材質量(A1+B1)

芯材初期水分量(W1)={乾燥前上層部分質量(A2)+乾燥前下層部分質量(B2)}−{乾燥後上層部分質量(A3)+乾燥後下層部分質量(B3)}− 実滴下経血質量(W2)×人工経血水分率(%)

上層部分初期水分量(W1)=芯材初期水分量(W1)×{上層部分坪量(BS,g/m)/芯材坪量(BS,g/m)}

上層部分保持経血質量(W2)=乾燥前上層部分質量(A2)−乾燥後上層部分質量(A3)−上層部分初期水分量(W1

下層部分保持経血質量(W2)=実滴下経血質量(W2)−上層保持経血質量(W2

下層部分経血質量比率(W3%)={下層部分保持経血質量(W2)/実滴下経血質量(W2)}×100
【0061】
評価項目5:上層部分表面の沈み込みおよび上層部分と下層部分とにおける経血の拡散
(1)芯材の上層部分が低密度のものであると、トップシートから芯材へ移動してきた経血の持つ凝集力や質量によって芯材の表面のうちでも経血で濡れている部分が経血で濡れていない周囲の部分よりも沈み込み、その沈み込んでいる部分に経血がたまって、着用者に不快感を与えたり、着用者の肌を汚したりするということがある。芯材の表面におけるこのような沈み込みの程度を観察するために、芯材表面の高さの変化を測定することのできるキーエンス社製 二次元レーザー変位測定装置を使用した。この測定装置は、不織布等の表面形状の二次元(一直線上の高さ方向の座標)データをレーザー反射光を利用して測定、蓄積することのできるものである。
(2)芯材18では、経血が上層部分22から下層部分21へ速やかに移動して生理用ナプキン1の着用者の肌から遠く離れた状態にあると、経血によって肌を汚すことが少なくなり、また経血が肌に与える湿潤感が軽度になる。また、経血を吸収した後の生理用ナプキン1であっても、経血の存在が目立ち難くなる。芯材18がそのように作用するものであるためには、経血の拡散面積が上層部分22では小さく、下層部分21では大きくなることが好ましい。その拡散面積もまた、以下の如くにして観察した。
(3)測定装置の主要機器
a.センサーヘッド LJ−G030((株)キーエンス社製):レーザー発信、および測定ヘッドに使用
b.コントローラ LJ−G5000((株)キーエンス社製):データ集積、蓄積に使用
c.液晶モニター CA−MP81((株)キーエンス社製):モニタに使用
d.その他に、電源装置、液晶モニター等がある。
(4)上記(3)aのセンサーヘッドは、約22mmの一直線上の長さにわたって高さデータを±10mmの範囲で測定可能である。高さ方向の座標における測定ピッチを0.033mmにセットし、センサーヘッドの位置をずらすことなく、経血滴下前後の座標を測定した。測定した高さ方向の座標データに測定ピッチの寸法を掛け、積算することにより、芯材における経血吸収部分での断面変化をデータ化した。
(5)高さ方向の座標データの抽出には、上記コントローラに付属するアプリケーションソフトウエア LJ Navigator(バージョン1.5.1.0)を使用し、集計と変化断面積の算出は、マイクロソフト社製 表計算ソフト エクセル2003へデータを転送することにより処理した。
(6)測定の手順の詳細は、次のとおりであった。
a.上部ラッピングシート17と下部ラッピングシート16とを剥がした芯材18を100×100mmにカットした。
b.キーエンス社製 二次元レーザー変位測定装置に芯材18をセットし、表面の凹凸を測定した。
c.芯材18に対して、レーザー測定範囲のうちの中央部分を狙って、人工経血0.3ccを1秒間かけて滴下した。
d.人工経血の滴下後20秒経過してから、上記bにおける測定位置と同じ位置である表面の凹凸を測定した。
e.上記dの測定直後に、人工経血が通過して表面が濡れている部分について互いに直交する二方向の寸法を測定した。
f.上記eで測定した二方向の寸法を楕円換算して、芯材18における表面拡散面積を求めた。その結果は、表1に「上面拡散面積」として示されている。
g.上記fで測定した座標より、上記bで測定した座標を引き算し、測定幅方向の測定ピッチを掛け、積算することにより、経血吸収前後での断面積変化を記録した。その結果は、表1に「沈み込み量」として示されている。
h.上記cより3分後に、芯材18の下面側から見て人工経血の存在を視認できる範囲について、互いに直交する二方向の寸法を測定し、その寸法を楕円換算して下面側から見た経血の拡散面積を求めた。その結果は、表1に「下面拡散面積」として示されている。
【0062】
評価項目6:経血吸収後のQ−max値
(1)芯材18における経血の移動状態が生理用ナプキン11の着用者に与える感覚を評価するために、芯材18に人工経血を滴下した後のQ−max値を測定した。
(2)測定にはカトーテック(株)製「KES−F7 精密迅速熱物性測定装置 サーモラボII」を使用し、芯材18の厚さに応じた量の人工経血を滴下してから10秒後に、芯材18における上層部分22の表面にサーモラボIIのセンサーである純銅板を接触させ、その際に生じる上層部分22とその銅板との間の熱量の移動を測定し、得られた測定値を肌がその上層部分22に接触したときに着用者が感じる温冷感の指標とした。
(2)Q−max値は、面積9cm、質量9.79gの純銅板(熱容量0.41855J/℃)に熱を蓄え、その銅板が上層部分22に接触した直後、蓄えられていた熱量が上層部分22に移動するときの熱量のピーク値(フィルターにより、接触後約0.2秒でピーク値に達する)を測定した値である。サーモラボIIについては、肌が上層部分22に接触したときに感じる冷感、温感に関係していると考えられる熱移動をこのフィルターによってシミュレートすることができると説明されている。また、Q−max値が大きいほど冷感が強く、小さいほど温感が強くなるとも説明されている。Q−max値は、銅板初期温度T0と上層部分22の温度Tとの差△Tに比例し、また接触圧にも関係すると考えられる。
(3)Q−max値の測定は、温度20℃、相対湿度60%に設定された試験室で実施した。測定に使用する芯材18、測定用機器、人工経血等は、その試験室に12時間以上静置することによってコンディショニングした。そのコンディショニングにより、芯材18は上層部分22の温度Tを20℃にセットした。
(4)芯材18に対する人工経血の滴下量は、芯材18の厚さ3mm当たりについて0.5ccとなるように調整した。したがって、厚さが3.8mmの芯材18に対しては、0.6ccの人工経血を滴下し、厚さ4.7mmの芯材18に対しては0.78ccの人工経血を滴下した。
(5)芯材18に対するセンサーの接触圧は、着用者が座位の姿勢にあるときに生理用ナプキン11に作用する着用時圧力を参考にして、30g/cmに設定した。
(6)測定手順は、次のとおりであった。
a.サーモラボIIにおける銅板の初期温度Tが30℃となるように銅板を加熱した。
b.吸収体14を100×100mmに切断し、下部ラッピングシート16と上部ラッピングシート17とを剥がして芯材18を取り出し、この芯材18をコンディショニングした後に測定用試片として使用した。
c.試片の中央部分にその試片の厚さに対応する所定量の人工経血を滴下した。
d.滴下開始から10秒後に、滴下位置の中央部分とサーモラボIIのセンサー中央部分とを一致させ、所定の接触圧下におけるQ−max値を測定した。
e.芯材の評価に際しては、3個の試片について測定し、その平均値を求めてQ−max値とした。
(7)測定結果は、表1に「Q−max」として示されている。
【0063】
(実施例3)
実施例1の芯材におけるウエハウザー社製NB−416フラッフパルプをインターナショナルペーパー社製スーパーソフトに代えた以外は、図3の工程で実施例1と同じ条件を採用して実施例3の芯材を製造した。実施例3についての評価結果は、表1に示されている。スーパーソフトの平均繊維長は、2.37mmであった。
【0064】
(実施例4,5)
実施例4では、図3の工程を使用して、実施例1の芯材における下層部分と上層部分とに住友精化製高吸水性ポリマー粒子UG860Dを133.3g/mと66.7g/mとの割合で混合した以外は、実施例1と同様にして芯材を製造した。
【0065】
実施例5では、実施例4の高吸水性ポリマー粒子UG860Dをサンダイヤポリマー社製高吸水性ポリマー粒子UP270に代えた以外は実施例4と同様にして芯材を製造した。
【0066】
実施例4,5の芯材の評価結果は、表1に示されている。
【0067】
(実施例6)
実施例1の芯材における下層部分に高吸収性ポリマーUG860Dを200g/mの割合で混合した以外は、実施例1と同様にして実施例6の芯材を製造した。実施例6の芯材の評価結果は、表1に示されている。
【0068】
(実施例7)
図3の工程において実施例1の芯材を製造するときの第4工程IVにおける離間距離CL2よりも大きな寸法の離間距離CL2を採用した以外は実施例1と同じ条件を採用して実施例7の芯材を製造した。実施例7の芯材の評価結果は、表1に示されている。また、離間距離CL2は、「上下層部分の成形時圧縮寸法(mm)」として表1に示されている。離間距離CL2の寸法を大きくすることによって、上層部分の比容積が大きくなり、平面配向指数が小さくなる。
【0069】
(実施例8)
図6の工程を使用して実施例8の芯材を製造した。図6の工程は、第2工程IIにおいて一対のプレスロール220a,220bを使用している以外は、図3の工程に同じである。第1集合体501は、図3の工程におけるものと同じである。その第1集合体501は、プレスロール220a,220bによって圧縮されて実施例1における第2集合体とほぼ同じ厚さの第2集合体502となる。
【0070】
実施例8の芯材の評価結果は、表1に示されている。この芯材を実施例1の芯材と比べると、下層部分における平面配向指数が実施例1おける平面配向指数よりも大きく、その結果として上層部分と下層部分との平面配向指数の差が大きくなったと考えられる。
【0071】
(比較例)
(比較例1,2)
図7は、実施例1,2の芯材と対比される比較例1,2の芯材を製造するための工程を示す図である。図7の工程には第1〜第5工程601〜605が含まれている。ただし、これらの工程のうちで図3の工程と異なるのは、第2,第4工程602,604のみであり、その他の第1,第3,第5工程601,603,605は、図3の第1,第3,第5工程I,III,Vに同じである。図7の第2工程602では、図3の第2工程における第1ブロック203と第1ボックス204とに代わる一対のプレスロール602a,602bが温度制御することなく使用されていて、第1工程601で形成された第1集合体651が圧縮されて、第2集合体652が得られる。第1集合体651は、図3における第1集合体501と同じものであり、第1集合体651は、図3における第2集合体502の厚さにほぼ等しい厚さの第2集合体652が得られるようにプレスロール602a,602bによって圧縮される。
【0072】
図7の第4工程604では、第3工程603の下流側で形成される第4集合体654が一対のプレスロール604a,604bによって圧縮されて、第5集合体655が形成される。第4集合体654は、図3における第5集合体505とほぼ同じ厚さの第5集合体655が得られるようにプレスロール604a,604bによって圧縮される。第5集合体655は、比較例の芯材618となるものである。
【0073】
図7の第5工程605では、機械方向MDにおいて隣り合う第5集合体655どうしの間においてキャリヤシート116とカバーシート117とが切断されて、比較例としての個別の芯材618を含む吸収体614が得られる。芯材618は、第1集合体651から形成された下層部分621と、第3集合体653から形成された上層部分622とを含んでいる。
【0074】
図7の工程では、下記の条件を適用することによって、比較例1,2の芯材を製造した。
(1)第1,第3工程601,603における親水性繊維:ウエハウザー社製 NB−416
(2)キャリヤシート116およびカバーシート117:図3におけるキャリヤシート116およびカバーシート117と同じもの
(3)親水性繊維の使用量:
(比較例1)第1集合体651(芯材618の下層部分621):200g/m
第3集合体653(芯材618の上層部分622):100g/m
(比較例2)第1集合体651:200g/m
第2集合体652:200g/m
【0075】
比較例1,2の芯材については、実施例1,2の芯材と同じ評価項目についての評価結果が表1に示されている。
【0076】
(比較例3)
比較例1の芯材におけるウエハウザー社製NB−416フラッフパルプをインターナショナルペーパー社製スーパーソフトに代えた以外は、比較例1と同じ条件を使用して比較例3の芯材を製造して、実施例3の芯材と対比した。比較例3の芯材の評価結果は、表1に示されている。
【0077】
(比較例4,5)
実施例4,5の芯材と比較するための比較例4,5の芯材を、次のようにして製造した。
【0078】
比較例4では、比較例1の芯材における下層部分と上層部分とに住友精化社製 高吸水性ポリマー粒子UG860Dを133.3g/mと66.7g/mとの割合で混合した以外は,比較例1と同様にして比較例の芯材を製造した。
【0079】
比較例5では、比較例4の高吸水性ポリマー粒子UG860Dを高吸水性ポリマー粒子UP270に代えた以外は、比較例4と同様にして比較例5の芯材を製造した。比較例4,5の芯材の評価結果は、表1に示されている。
【0080】
(比較例6)
実施例6の芯材と比較するための比較例6の芯材を、次のようにして製造した。すなわち、比較例1の芯材における下層部分に高吸水性ポリマー粒子UG860Dを200g/mの割合で混合した以外は、比較例1と同様にして比較例6の芯材を製造した。比較例6の芯材の評価結果は、表1に示されている。
【0081】
(比較例7)
実施例7の芯材と比較するための比較例7の芯材を、次のようにして製造した。すなわち、比較例1の芯材を製造するときの第4工程604における一対のプレスロール604a,604bの離間距離D2の寸法よりも大きな寸法の離間距離D2を採用した以外は、比較例1と同じ条件を採用して比較例7の芯材を製造した。比較例7の芯材の評価結果は、表1に示されている。また、離間距離D2は、「上下層部分の成形時圧縮寸法(mm)」として表1に示されている。
【0082】
(比較例8)
実施例8の芯材と比較するための比較例8の芯材を、次のようにして製造した。すなわち、図8の工程を使用して比較例8の芯材を製造した。図8の工程は、第1〜第5工程601〜605を有し、第2工程602において図3の第2工程IIと同じ工程が採用されていることを除くと、図7の工程に同じである。図8の第2工程602においては、第1集合体651が高圧水蒸気噴射用のブロック703と水蒸気吸引用ボックス704との間を通過する間に、実施例1における第2集合体501と同じ条件で高圧水蒸気を噴射されて第2集合体652となる。図8の工程ではまた、第4集合体654が一対のプレスロール604a,604bによって圧縮されて、第5集合体655すなわち比較例8の芯材となる。比較例8の芯材は、実施例8の芯材とほぼ同じ厚さとなるように圧縮されている。比較例8の芯材の評価結果は、表1に示されている。
【0083】
【表1】

【0084】
表1において、平面配向指数に関して実施例の芯材と比較例の芯材とを比較すると、下層部分においては平面配向指数に大差はないが、上層部分においては、実施例での平面配向指数が比較例での平面配向指数よりも小さくなっている。したがって、上層部分と下層部分との平面配向指数の差は、実施例のものが比較例のものよりも大きい。このことによって、上層部分の親水性繊維を芯材の厚さ方向Yへ配向させるには、上層部分を形成させるための親水性繊維の集合体に対して高圧水蒸気を噴射することが効果的であるといえる。
【0085】
また、実施例の如く上層部分と下層部分との間における平面配向指数の差が大きい芯材では、経血等の体液が上層部分で拡散したり、滞溜したりということを抑えられる一方、下層部分では広い範囲にわたって拡散するということが考えられる。そうしたことの結果として、例えば、上層部分における平面配向指数が1.30よりも小さく、下層部分における平面配向指数が上層部分における平面配向指数よりも少なくとも0.3大きい芯材(実施例4等を参照)では、Q−max値が比較例の芯材のQ−max値よりも小さくなる傾向にある。芯材のQ−max値が小さい生理用ナプキン等の体液吸収性着用物品は、それを着用しているときに感じられる冷感が弱く、着用物品として好ましいものである。
【0086】
芯材18を製造する図3の工程では、キャリヤシート116に第1集合体501を載せ、その第1集合体501に対して高圧水蒸気を噴射した。このようにキャリヤシート116を使用することは、第1親水性繊維105や第1高吸水性ポリマー粒子107が第1集合体501から脱落することを防ぐうえにおいて好ましい。しかし、第1親水性繊維105や第1高吸水性ポリマー粒子107が脱落しないという場合には、第1集合体501をキャリヤシート116に載せるのではなく、通気性のコンベアベルトに載せただけの状態で第2工程IIを通過させることができる。この場合に、キャリヤシート116は、第2工程IIと第3工程IIIとの間、第3工程IIIと第4工程IVとの間、または第4工程IVと第5工程Vとの間で供給することができる。カバーシート117は、第4工程IVと第5工程Vとの間いずれかにおいて供給することもできる。
【0087】
芯材18を製造する図6に例示の工程では、キャリヤシート116に第1集合体501を載せ、第2工程IIにおいて、その第1集合体501を一対のロール220a,220bで圧縮した。この場合にもまた、キャリヤシート116は、第1親水性繊維105や第1高吸水性ポリマー粒子107が第1集合体501から脱落することを防止する。ただし、第1集合体501は、キャリヤシート116に代わるコンベアベルトに載せた状態で第2工程IIや第4工程IVを通過させることができる。その場合のキャリヤシート116は、第2工程IIと第3工程IIIとの間、第3工程IIIと第4工程IVとの間、または第4工程IVと第5工程Vとの間のいずれかにおいて供給することができる。
【符号の説明】
【0088】
11 体液吸収性着用物品(生理用ナプキン)
16 第2シート(下部ラッピングシート)
17 第1シート(上部ラッピングシート)
18 芯材
21 下層部分
22 上層部分
107 高吸水性ポリマー粒子
201 第1支持体
202 第1支持体
203c 第1、第2ノズル
206 第1吸引口
307 高吸水性ポリマー粒子
401 第2支持体
402 第2支持体
501 第1集合体
502 第2集合体
503 第3集合体
504 第4集合体
MD 機械方向
Y 厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液吸収性着用物品における肌当接面の側に位置する透液性の第1シートと前記肌当接面の反対面である着衣当接面の側に位置する透液性または不透液性の第2シートとの間に介在する体液吸収性材料の集合体によって形成されている体液吸収性の芯材であって、
前記芯材は、前記体液吸収性材料として親水性繊維を含み、
前記芯材の密度は、前記第1シートから前記第2シートへ向かう前記芯材の厚さ方向において高くなるように変化し、
前記厚さ方向においてはまた、前記親水性繊維についての平面配向指数が大きくなるように変化している
ことを特徴とする前記芯材。
【請求項2】
前記芯材が前記厚さ方向において互いに重なり合う上層部分と下層部分とを有するものであって、前記上層部分が前記第1シートと向かい合い、前記下層部分が前記第2シートと向かい合っており、
前記上層部分における前記密度は、前記下層部分における前記密度よりも低く、
前記上層部分における前記平面配向指数が1.30よりも小さくて、前記下層部分における前記平面配向指数が前記上層部分における前記平面配向指数よりも少なくとも0.3大きい
請求項1記載の芯材。
【請求項3】
前記親水性繊維は、その平均繊維長が15mmを越えることのないものである請求項1または2記載の芯材。
【請求項4】
前記芯材が前記親水性繊維として少なくともフラッフパルプを含む請求項1または2記載の芯材。
【請求項5】
前記芯材が高吸水性ポリマー粒子と前記親水性繊維としてのフラッフパルプとを含む請求項1または2記載の芯材。
【請求項6】
体液吸収性着用物品における肌当接面の側に位置する透液性の第1シートと前記肌当接面の反対面である着衣当接面の側に位置する透液性または不透液性の第2シートとの間に介在する体液吸収性材料の集合体によって形成されている体液吸収性の芯材の製造工程に少なくとも下記工程が含まれることを特徴とする前記芯材の製造方法。
(1)前記芯材がその厚さを二分して重なり合う上層部分と下層部分とを有するものであって、前記集合体が前記体液吸収性材料として親水性繊維を含み、前記下層部分となることが予定されている前記体液吸収性材料の一部分によって形成されている体液吸収性材料の第1集合体の複数を機械方向へ間欠的に並べて前記機械方向へ走行させる工程。
(2)互いに対向する高圧水蒸気噴射用第1ノズルと水蒸気吸引用第1吸引口との間において機械方向へ走行する一対の通気性第1支持体によって前記第1集合体のそれぞれをサンドウィッチし、前記第1吸引口による吸引作用下に前記第1集合体に向かって前記第1ノズルから高圧水蒸気を噴射して前記第1集合体がその厚さ方向へ圧縮されたものである第2集合体を得る工程。
(3)前記上層部分となることが予定されている前記体液吸収性材料の一部分によって形成されている体液吸収性材料の第3集合体の複数のそれぞれを前記第2集合体のそれぞれに重ねた積層体である第4集合体を得る工程。
(4)互いに対向する高圧水蒸気噴射用第2ノズルと水蒸気吸引用第2吸引口との間において機械方向へ走行する一対の通気性第2支持体によって前記第4集合体をサンドウイッチし、前記第2吸引口による吸引作用下に、前記第4集合体における前記第3集合体に向かって前記第2ノズルから前記高圧水蒸気を噴射して前記第4集合体を圧縮することにより前記第4集合体から第5集合体を得る工程。
【請求項7】
前記第4集合体における前記第2集合体が通気透液性の第1シートに載せられ、前記第4集合体における前記第3集合体が通気透液性の第2シートで被覆された状態にある前記第4集合体を前記第2支持体によってサンドウィッチする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記第1集合体が通気透液性の第1シートに載せられた状態で、前記第1集合体を前記第1シートとともに前記第1支持体によってサンドウイッチする請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記第4集合体における前記第3集合体が通気透液性の第2シートで被覆された状態で前記第4集合体と前記第2シートとを前記第2支持体によってサンドウイッチする請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記第1支持体および前記第2支持体がメッシュコンベアベルトである請求項6記載の方法。
【請求項11】
前記親水性繊維は、繊維長が15mmを越えることのないものである請求項6記載の方法。
【請求項12】
前記第1ノズルと前記第1吸引口とに代えて、一対のプレスロールを使用して前記第1集合体を圧縮する請求項6または7記載の方法。
【請求項13】
前記芯材が前記親水性繊維として少なくともフラッフパルプを含む請求項6または7記載の方法。
【請求項14】
前記芯材が高吸水性ポリマー粒子と前記親水性繊維としてのフラッフパルプとを含む請求項6または7記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−27664(P2013−27664A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167543(P2011−167543)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】