説明

体液吸収用当て材

【課題】袋体を開封して取出すという重複した手間を軽減し得る体液吸収用当て材を提供しようとするもの。
【解決手段】この発明の体液吸収用当て材は、当て材本体1と剥離部材2とが貼着されて成り、前記剥離部材2は、当て材本体1に貼着すべき側とされる熱可塑性樹脂層21と不織布層20とが積層され且つ当て材本体1よりも幅広に形成されると共に、前記熱可塑性樹脂層21には剥離層22が形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、体液吸収用当て材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、下着に貼付して使用することにより、汗や経血やおりもの等或いは失禁尿などの体液(この明細書では、体液吸収用当て材に吸収させるべきものを、体液と総称する)を吸収させる体液吸収用当て材が知られている。
【0003】
図5に示すように、この体液吸収用当て材は体液を吸収すべき領域を有する当て材本体1と剥離紙5とが貼着されて成り、図6に示すように、袋体7内に1個づつ個別に収容されていた。
【0004】
しかし、上記従来の体液吸収用当て材は、袋体7を開封してこの袋体7から体液吸収用当て材を取出すという重複した手間が必要であり、面倒であるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は、袋体を開封して取出すという重複した手間を軽減し得る体液吸収用当て材を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
【0007】
この発明の体液吸収用当て材は、当て材本体1と剥離部材2とが貼着されて成り、前記剥離部材2は、当て材本体1に貼着すべき側とされる熱可塑性樹脂層21と不織布層20とが積層され且つ当て材本体1よりも幅広に形成されると共に、前記熱可塑性樹脂層21には剥離層22が形成されたことを特徴とする。
【0008】
また、前記熱可塑性樹脂21として、ポリエチレンフィルムを用いたこととして実施することができる。また、剥離層22を形成するために剥離剤が塗布されると共に、前記剥離剤としてシリコン樹脂を用いたこととして実施することができる。また、前記不織布層20側の面にも、熱可塑性樹脂層が積層されたこととして実施することができる。また、前記剥離部材2に凹凸が形成されたこととして実施することができる。
【0009】
上記の手段を採用した結果、この発明は以下のような作用を有する。
【0010】
この発明の体液吸収用当て材によると、剥離部材2は熱可塑性樹脂層21と不織布層20とが積層され且つ当て材本体1よりも幅広に形成されたので、当て材本体1に剥離部材2を貼着した状態で当て材本体1を折り畳み、幅広に形成された剥離部材2のはみ出し領域相互を熱圧着などで接着することにより、剥離部材2を包装材として機能させることができる。
【0011】
なお、剥離部材2は当て材本体1に貼着すべき側とされる熱可塑性樹脂層21に剥離層22が形成されたので、当て材本体1との剥離性を有する。
【0012】
熱可塑性樹脂21としてポリエチレンフィルムを用いると、コスト面に優れるとともにその軟化温度が比較的に低いので加工性に優れる。
【0013】
剥離層22を形成するために塗布する剥離剤としてシリコン樹脂を用いると、コスト面及び剥離性に優れる。
【0014】
不織布層20側の面に熱可塑性樹脂21を積層しても、当て材本体1を折り畳んで剥離部材2のはみ出し領域相互を接着することにより、剥離部材2を剥離紙としてのみならず包装材としても機能させることができる。
【0015】
剥離部材2に凹凸を形成すると、使用時、当て材本体1から剥離部材2を剥がす際により風合いが良いものとなる。
【発明の効果】
【0016】
この発明は上述のような構成を有するものであり、次の効果を奏する。
【0017】
当て材本体1を折り畳んで剥離部材2のはみ出し領域相互を熱圧着などで接着することにより、剥離部材2を剥離紙としてのみならず包装材としても機能させることができるので、使用時には剥離部材2の接着されたはみ出し領域相互を単に引き剥がすだけで足り、従来のような袋体の必要がない。
【0018】
つまり、袋体を開封して取出すという重複した手間を軽減し得る体液吸収用当て材を提供することができる。
【実施例】
【0019】
以下、この発明の構成を実施例として示した図面を参照して説明する。
【0020】
図1乃至図4に示すように、この実施例の体液吸収用当て材は、汗や経血やおりもの等或いは失禁尿などの体液を吸収すべき領域を有する当て材本体1と剥離部材2とを具備する。そして、下着に貼付するための粘着部を形成すべく、粘着剤が当て材本体1の裏面に塗布されている。前記粘着剤として、この実施例では公知のホット・メルト型のものを使用した。粘着部としては、粘着剤の他に両面テープなども利用できる。
【0021】
当て材本体1は、合成樹脂製の不織布で形成している。その他、化学繊維製や天然繊維製のもの、若しくはこれらを混合したもので形成してもよい。また、当て材本体1は、略陸上競技のトラック形状に形成している。他に、バイオリン形状や長円形状などの適宜の形状を採用できる。
【0022】
図2に示すように、前記剥離部材2は、不織布層20と熱可塑性樹脂層21たるポリエチレンフィルムとを重層固着(所謂ラミネート処理)により積層して形成するとともに、前記ポリエチレンフィルム21には剥離剤たるシリコン樹脂を塗布することにより剥離層22を形成している。シリコン樹脂は加熱してポリエチレンフィルム21に塗布し、その後乾燥している。ポリエチレンフィルム21には不織布層20がラミネートされているので、乾燥時の熱の作用によりフィルムがクシャクシャになることはない。また、剥離部材2の幅は、当て材本体1の左右方向の幅より広く形成している。
【0023】
不織布層20として、レーヨン繊維の湿式不織布を用いている。不織布層20としては、湿式により形成されるもの、乾式により形成されるもののいずれも選択することができる。また、不織布層20の態様として、紙の如き抄紙により形成されたものを選択することができる。すなわち、この明細書において不織布とは紙をも含むものである。
【0024】
熱可塑性樹脂層21としては前記ポリエチレンフィルムの他に、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ナイロン、ポリプロピレン、塩化ビニール、ポリブチレン・テレフタレート(PBT)などの材質を用いることができる。ポリエチレンフィルムには、コスト面に優れるとともに比較的に軟化温度が低いので加工性に優れるという利点がある。
【0025】
また、剥離剤としては、前記シリコン樹脂の他にアクリル系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素樹脂などを用いることができる。シリコン樹脂には、コスト面及び剥離性に優れるという利点がある。
【0026】
前記剥離部材2には公知のエンボス処理により、凹凸を形成した。エンボス処理の他にコロナ放電処理、薬品処理などによっても凹凸を形成できる。凹凸が形成された剥離部材2は風合いがよいという利点がある。凹凸は形成してもしなくてもよい。
【0027】
上記当て材本体1と剥離部材2とにより、次のようにして体液吸収用当て材を形成した。剥離部材2のポリエチレンフィルム21側の面(表面3)と当て材本体1との間にホット・メルト型の粘着剤層を形成し、双方を貼着した状態とする。こうして、当て材本体1に粘着部を形成する。この貼着された状態で、当て材本体1を内方側として折り畳む。図3乃至図5に示すように、この実施例では両端のそれぞれからその全長の略3分の1程度の領域を交互に折り畳んでいる。そして、図4に示すように、当て材本体1の左右方向にはみ出した前記剥離部材2の周辺領域23の相互間を熱圧着する(説明のため片側のみを熱圧着した状態を図示する)。この実施例では市販の熱シール機を用い、約180℃で熱圧着した。
【0028】
熱圧着する態様として剥離部材2の表面3同士及び剥離部材2の表面3と裏面4との相互間とがある。剥離部材2の表面3には不織布層20と重層固着されたポリエチレンフィルム21にシリコン樹脂が塗布されているが、ポリエチレンフィルム21が介在するのでこの面同士の熱圧着が可能である。前記表面3と剥離部材2の裏面4の不織布層20とも、表面3のポリエチレンフィルム21が介在するので熱圧着が可能である。
【0029】
なお、剥離部材2を形成するポリエチレンフィルム21にはシリコン樹脂が塗布されているので、この剥離部材2は従来の剥離紙5と同様に当て材本体1に形成された粘着部との剥離性を有している。
【0030】
次に、この実施例の体液吸収用当て材の使用状態を説明する。この実施例の体液吸収用当て材によると、剥離部材2は熱可塑性樹脂層21と不織布層20とが積層され且つ当て材本体1よりも幅広に形成されたので、当て材本体1に剥離部材2を貼着した状態で当て材本体1を折り畳み、幅広に形成された剥離部材2のはみ出し領域相互を熱圧着などで接着することにより、剥離部材2を包装材として機能させることができる。
【0031】
したがって、使用時には剥離部材2の接着されたはみ出し領域相互を単に引き剥がすだけで足り、従来のような袋体の必要がない。つまり、袋体を開封して取出すという重複した手間を軽減し得る。
【0032】
要約すると、剥離部材2に従来の袋体の機能を併有させ、使用時には折り畳まれた当て材を拡げて剥離部材2を剥がすだけの手間で済み重複した手間を軽減できるという利点がある。
【0033】
また、剥離部材2のポリエチレンフィルム21側の面(表面3)が当て材本体1に形成された前記粘着部に貼着された状態で、当て材本体1を内方側として折り畳んでいるので、従来、袋体7に1個づつ個別に収容していた場合と同様に当て材本体1へのゴミの侵入を防止でき衛生的である。さらに、従来のものは下着への貼付時に廃棄すべきゴミとして袋体7と剥離紙5(図5及び図6参照)との双方が出てしまっていたが、この実施例のものによると剥離部材2しかでず、ゴミの数及び捨てる際の煩わしさを軽減できるという利点がある。
【0034】
上記実施例では不織布層20とポリエチレンフィルム21とを1層づつ合計2層を重層固着して積層しているが、前記不織布層20とポリエチレンフィルム21が重層固着された剥離部材2の不織布層20側の面にもポリエチレンフィルム21を重層固着して3層構造としてもよい(図示せず)。
【0035】
この場合も、上記実施例の場合と同様にポリエチレンフィルム21の介在により、剥離部材2の表面3同士及び剥離部材2の表面3と裏面4との相互間の熱圧着が可能である。また、このように形成すると、剥離部材2の表裏両面をポリエチレンフィルム21で被覆した状態となり、光沢があるので外観がより優れるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の体液吸収用当て材の実施例を説明する斜視図。
【図2】図1の体液吸収用当て材の断面図。
【図3】図1の体液吸収用当て材を一端側から折り畳んだ状態を説明する斜視図。
【図4】図3の体液吸収用当て材の剥離部材のはみ出し領域が熱圧着された状態を説明する斜視図。
【図5】従来の体液吸収用当て材を説明する斜視図。
【図6】図5の体液吸収用当て材の袋体からの取出し方を説明する斜視図。
【符号の説明】
【0037】
1 当て材本体
2 剥離部材
20 不織布層
21 熱可塑性樹脂層
22 剥離層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当て材本体と剥離部材とが貼着されて成り、
前記剥離部材は、前記当て材本体に貼着すべき側とされる熱可塑性樹脂層と不織布層とが積層され且つ前記当て材本体よりも幅広に形成されると共に、
前記熱可塑性樹脂層には剥離層が形成されたことを特徴とする体液吸収用当て材。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂として、ポリエチレンフィルムを用いた請求項1記載の体液吸収用当て材。
【請求項3】
前記剥離層を形成するために剥離剤が塗布されると共に、前記剥離剤としてシリコン樹脂を用いた請求項1又は2記載の体液吸収用当て材。
【請求項4】
前記不織布層側の面にも、熱可塑性樹脂層が積層された請求項1乃至3のいずれかに記載の体液吸収用当て材。
【請求項5】
前記剥離部材に凹凸が形成された請求項1乃至4のいずれかに記載の体液吸収用当て材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−81927(P2006−81927A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−339496(P2005−339496)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【分割の表示】特願平6−187561の分割
【原出願日】平成6年8月9日(1994.8.9)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】