説明

体温調節パック及び該体温調節パックを取り付けるパックホルダー

【課題】着用者の体温上昇あるいは体温低下を防止するために、固液相変化材料を用いる体温調節パックについて、衣服の下に着るパックホルダーの内側に体温調節パックを配置した場合、固体状態でも体の形に沿って曲がることができ、固液相変化材料が液相であっても体温調節パックの天地に関わらず外形が変形せず、全体として略板形状となり、熱吸収力又は放熱力の高い体温調節パックを提供する。
【解決手段】内部に固液相変化材料が充填される体温調節パック1において、体温調節パック1は、平行に配列される複数の袋体Tを備え、複数の袋体Tの内部には前記固液相変化材料が隙間なく充填されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温環境下でのヒートストレス防止のために、又は寒冷環境下での身体の保温のために装着する体温調節パックに関し、特に固液相変化材料を用いる体温調節パックと、この体温調節パックを取り付けることのできるパックホルダーとに関する。
【背景技術】
【0002】
高温環境下(夏季等の暑さを感じる環境下等)での作業や防護服を着用するときは、体温の上昇によってヒートストレス(代謝熱が人体に蓄熱することによる熱中症)の問題が発生しやすい。特にヒートアイランド現象が著しい昨今では、この危険性は更に増している。
【0003】
上記のようなヒートストレスの問題に鑑みて、従来から、衣服の内側に装着して体温の上昇を防ぐための冷却材の入った冷却パックが提案されている(特許文献1及び2参照)。例えば、図36〜38に示すような四角い板状の冷却パック101であって服の内側ポケット103、104、105に取り出し可能に収納することができるものがある。冷却パック101を装着することにより、着用者の体から放出される熱が冷却パック101内の冷却材に吸収されて、体温の上昇を防止する。冷却材としては、熱を吸収して固体から液体に物理相が変化する固液相変化材料(Phase Change Materials)が用いられる。この固液相変化材料は、常温で固化するものである。
【0004】
また、図40のように、長方形状の略平板状の保冷体201であって、冷やしても固化せずに常に柔軟性のあるゲル状の保冷材207が充填されたものも提案されている。この保冷体201は、図39に示すように衣服202の内側に取り付けて使用するもので、使用前に冷凍庫で冷却してから使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−328213号公報
【特許文献2】特開2010−255152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような平坦な板状の冷却パック101を用いる場合、常温で固体状に固まっているため、体に沿って柔軟に曲げることができず、結果的に体と冷却パック101の間に隙間ができてしまう。そのため、冷却パック101と体との密着性が低くなり、体から放出される熱を効率よく吸収できずに、冷却効率が下がる。
【0007】
また、例えば、冷却材が液化した状態で冷却パック101がポケット103、104、105に収納された衣服102をハンガーに掛けたままにすると、図41の点線で示すように液体状の冷却材が自重によりパック101の下部に過剰に溜まって膨らんだ形状に変形する。このように変形した状態のまま冷却材が冷やされて固化した場合、冷却パック101内で冷却材が厚い箇所と薄い箇所ができるため、再度使用する際に冷却効率にムラが出てしまう。それを防止するために、冷却材を冷やして固体状に戻すときは、いちいち冷却パック101を衣服102のポケット103、104、105から出して横置きにしなければならず、手間がかかった。また、衣服102に入れたまま保管しようとすれば、変形防止のために衣服102ごと横置きにする必要があり、保管場所に広いスペースをとらなければならないという問題もあった。
【0008】
さらに、冷却パック101を装着するときは、熱の放出量の多い胸、背中等には冷却材を多めに配置する必要があり、腹部など熱があまり放出されない部位には冷却材は不要か少量でよい。しかし、板状の冷却パック101の場合、量を多くしようと図38に示すように、断熱パット106の内側に複数枚重ねて使用すると熱伝導効率が悪くなり、増えた量に比例する効果が期待できない。一方、冷却パック101の1枚の厚みを厚くすると冷却材が液相のときの変形がより大きくなってしまう。
【0009】
一方、特許文献2のような保冷体201は、長方形状の略平板状のパック208内にゲル状の保冷剤207が充填されているため、柔軟で体に密着しやすいが、特許文献1の冷却パックと同様に保冷剤207が自重によってパック208下部に溜まり易く、やはり図41の点線で示すような変形をする。そのため、保冷剤207の量を増やそうとしても、保冷体201を厚くすることができない。また、保冷材207は、相変化を起こす蓄熱材(比熱35cal/g)が40%で、残り60%が水(比熱1cal/g)という構成でできているため、100%が蓄熱材で構成されている固液相変化材料に比べて、熱吸収力が低く、長時間の低温持続効果は期待できない。
【0010】
また、上記とは逆に固液相変化材料を寒冷環境下(冬季等の寒さを感じる環境下等)における身体の保温材として使用する場合、固液相変化材料が液相の状態で保温パックを身体に密着させ、放熱して保温効果を発揮するとともに固相に変化する。従って、液相の状態で図41にように保温パックが変形すると保温効果にムラが出てしまう。また、図37又は図40に示すような板状の保温パックの場合、固液相変化材料が液相の時に脚部等の周囲にぐるっと一周巻きつけた状態で固液相変化材料が固相になると、取り外しが困難になる。
【0011】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、着用者の体温上昇或いは体温低下を防止するために固液相変化材料を用いる体温調節パックについて、衣服の下に着るパックホルダーの内側に体温調節パックを配置した場合、固体状態でも体の形に沿って曲がることができ、冷却材または保温材として使われる固液相変化材料が液相であっても体温調節パックの天地に関わらず外形が変形せず、全体として略板形状となり、熱吸収力または放熱力の高い体温調節パックを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の体温調節パックは、内部に固液相変化材料が充填される体温調節パックにおいて、該体温調節パックは、複数の袋体から構成され、該複数の袋体の内部には前記固液相変化材料が隙間なく充填されていることを特徴とする。
【0013】
前記袋体の各々は、細長い円筒形状であることが好ましい。また、本発明の体温調節パックは、2枚のインナーシートの周囲の縁部を貼り合わせて形成されており、前記細長袋状部の各々は2枚の前記インナーシートを平行に複数ケ所溶着することにより分割されていてもよい。またさらに、本発明の体温調節パックの片面は断熱材で覆われてもよい。
【0014】
本発明の体温調整パックに利用される固液相変化材料は、酢酸ナトリウムを含有するものであってもよく、また、硫酸ナトリウムを含有するものであってもよく、またはノルマルパラフィンを含むものであってもよい。
【0015】
本発明の別の局面によれば、体温調節パックを身体側に取り付ける胴体パックホルダーであって、該体温調節パックを任意の場所に着脱自在に取り付けることができることを特徴とする胴体パックホルダーを提供するものである。
【0016】
胴体パックホルダーは、着用者の胸部を覆う前面部と、着用者の背中を覆う後面部とを有し、該前面部と該後面部とは、それぞれ着脱可能に接続されてもよい。また、該前面部と該後面部とは、それぞれ伸縮自在な紐状体によって接続されていてもよい。
【0017】
本発明のさらに別の局面によれば、体温調節パックを首周りや脚部に着脱自在に取り付けることを特徴とする襟部パックホルダーや脚部パックホルダーを提供するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の体温調節パックは、身体の冷却を目的として使用する場合、熱吸収力の高い固液相変化材料を使用して、固相となっても体の形に沿って曲がるため、体への密着性が高く、冷却効率が良い。さらに、単位面積当たりの固液相変化材料の量を増やしても変形しないため、固液相変化材料の量を体の部位に応じて適宜調整することができる。そのため、高温環境下におけるヒートストレスを効率よく軽減することができる。
【0019】
また、冷却材として固液相変化材料を使用するため、固液相変化材料が液相になって冷却機能を失った場合でも、冷やすことで再び固相に戻し、繰り返して何度でも使用することができる。従って、使い捨ての冷却材と比べて経済的である。
【0020】
さらに、体温調節パックをパックホルダーに任意の場所に着脱自在に取り付けることにより、必要な場所の熱を吸収するとともに熱の逃げ場もつくることができる。
【0021】
また同時に、本発明の体温調整パックを身体の保温目的で利用する場合、液相の状態でも体温調節パック自体が変形しないため、ムラなく身体の必要な箇所を保温することができる。さらに、固液相変化材料が固相となっても、自在に曲げたり延ばしたりすることが可能であるため、体の形に沿って曲がっていたものを容易に取り外すことができる。従って、冬場の屋外作業、或いは暖房器具のない作業所において、着用者の上半身の保温だけでなく、衣服の外側からふくらはぎ等に巻き付けて足元を保温することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の体温調節パックの斜視図である。
【図2】図1に示す体温調節パックの第1の実施形態の断面の斜視図である。
【図3】図2に示す体温調節パックの製造工程を示す図で、1対のインナーシートを重ねて、インナーパックを成形した様子を示す概略図である。
【図4】図2に示す体温調節パックの製造工程を示す図で、インナーパックの細長袋状部に固液相変化材料を注入した様子を示す概略図である。
【図5】図2に示す体温調節パックの製造工程を示す図で、注入した固液相変化材料が固相になった後に真空パックを施した様子を示す概略図である。
【図6】図2に示す体温調節パックの製造工程を示す図で、固液相変化材料を再び液相にした後、上部の縁部を折り曲げた様子を示す概略図である。
【図7】図2に示す体温調節パックの製造工程を示す図で、周囲の縁部を全て折り曲げて、インナーパックに固液相変化材料が隙間無く充填されている状態にした様子を示す概略図である。
【図8】図2に示す体温調節パックの製造工程を示す図で、インナーパックに断熱材を取り付けた様子を示す概略図である。
【図9】図2に示す体温調節パックの製造工程を示す図で、断熱材を取り付けたインナーパックをアウターパックで被覆した様子を示す概略図である。
【図10】図2に示す体温調節パックの製造工程を示す図で、インナーパックをアウターパックで被覆した後に、真空パックを施して体温調節パックを完成させた様子を示す概略図である。
【図11】図2に示す完成後の体温調節パックの柔軟性を示す概略図である。
【図12】図2に示す体温調節パックを複数重ねて保管する様子を示す概略図である。
【図13】本発明の実施形態2に係る細長袋体の製造工程を示す図で、一方の端部を溶着した様子を示す概略図である。
【図14】本発明の実施形態2に係る細長袋体の製造工程を示す図で、内部に固液相変化材料を充填した後に、注入口となっていた端部を溶着した様子を示す概略図である。
【図15】本発明の実施形態2に係る細長袋体の製造工程を示す図で、両端の溶着部を内側に折り曲げた様子を示す概略図である。
【図16】図1に示す体温調節パックの実施形態2による製造工程を示す図で、図15示す細長袋体を細長袋体整列部材の上に平行方向に並列に配置した様子を示す概略図である。
【図17】図1に示す体温調節パックの実施形態2による製造工程を示す図で、図16に示す細長袋体整列部材の斜視図である。
【図18】図1に示す体温調節パックの実施形態2による製造工程を示す図で、図16に示す複数の細長袋体に断熱材を取り付けた様子を示す概略図である。
【図19】図1に示す体温調節パックの実施形態2による製造工程を示す図で、断熱材を取り付けた一群の細長袋体をアウターパックで被覆した様子を示す概略図である。
【図20】図1に示す体温調節パックの実施形態2による製造工程を示す図で、一群の細長袋体をアウターパックで被覆した後に、真空パックを施して体温調節パックを完成させた様子を示す概略図である。
【図21】図1に示す体温調節パックの実施形態2による製造工程を示す図で、図16に示す複数の細長袋体に細長袋体整列部材と別実施形態の断熱材を取り付ける様子を示す概略図である。
【図22】本発明の体温調節パックに充填する固液相変化材料の量を適宜変化させた様子を示す図である。幅を20cmとして、上から細長袋状部の直径を2cm、2.5cm、3cm、4cm、4.5cm及び5cmと設定したものである。
【図23】図1に示す体温調節パックを冷却材として使用する場合であって、この体温調節パックを冷蔵庫内で冷却するときに使用する冷却台を示す概略図である。
【図24】図1に示す体温調節パックを図23に示す冷却台を使って冷却する様子を示す概略図である。
【図25】首周りに取り付ける体温調節パックの概略図である。
【図26】図25に示す体温調節パックを挿入するメッシュ製のメッシュ袋を示す斜視図である。
【図27】図26に示すメッシュ製のメッシュ袋の表面と裏面を示す平面図である。
【図28】本願の実施例の体温調節パックを取り付けるための、専用のメッシュ製のパックホルダーを示す正面図である。
【図29】図28に示すパックホルダーの背面図である。
【図30】図28に示すパックホルダーの側面図である。
【図31】図28に示すパックホルダーの前面部の表面と裏面を示す図である。
【図32】図28に示すパックホルダーの後面部の表面と裏面を示す図である。
【図33】図31に示す前面部と図32に示す後面部とを紐状体で接続した様子を示す図である。
【図34】図28に示すパックホルダーの襟部の表面と裏面及び変形例を示す図である。
【図35】脚部パックホルダーを示す図である。
【図36】従来の冷却パック取り付け用ベストを示す斜視図である。
【図37】図36に示す従来の冷却パックを示す斜視図である。
【図38】図36に示す従来の冷却パックを重ねて使用する状態を示す断面図である。
【図39】従来の冷却パック取り付け用ベストを示す斜視図である。
【図40】図39に示す従来の冷却パックを示す斜視図である。
【図41】従来の冷却パックとその変形を示す立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
[体温調節パック]
(実施形態1)
まず、後述するパックホルダー2(図28参照)に取り付けて使用する体温調節パック1について説明する。
図1に示すように、体温調節パック1全体は略板状の矩形に形成されており、平行に配列された複数の袋体Tを備えている。図2に示すように、実施形態1では、体温調節パック1の内部は複数の細長袋状部22に分かれており、体温調節パック1は各々の細長袋状部22の間の後述する溶着部23を節として柔軟に曲げることができる。なお、体温調節パック1の形状は、本願実施の形態に係る矩形に限定されず、他の形でもよい。
【0025】
体温調節パック1は、固液相変化材料10が充填された細長袋状部22と、複数の細長袋状部22からなるインナーパック20と、インナーパック20の一方の面を覆う断熱材30と、断熱材30が取り付けられたインナーパック20の全体を被覆するアウターパック40とを有している。そして、体温調節パック1の表面はアウターパック40内部の細長袋状部22の形に沿った凹凸形状を有している。
【0026】
インナーパック20は、1対のインナーシート21a,21bを有している。本実施形態では、同形状及び同素材である2枚のインナーシート21a,21bを用いているが、1枚のシートを2つ折りにして1対にしてもよい。この2枚のインナーシート21a,21bを互いに重ね合わせ、周りの縁部25を溶着などによって貼り合わせることでインナーパック20が形成される。また、貼り合わされた一対の2辺の縁部25の間に平行に複数の縦長の溶着部23を設けることで、溶着部23どうしの間に細長袋状部22が形成される。本発明では、インナーシート21a、21bを平行に等間隔で溶着してあるが、これに限らず溶着の間隔を適宜変えることで、ひとつひとつの細長袋状部22の大きさを変えることができる。
【0027】
インナーシート21a、21bは、シート状のポリエチレンとアルミニウム箔とシート状のナイロン(登録商標)とを貼り合わせた3層構造を有している。これらの3層は、インナーシート21a、21bをインナーパック20に用いたときに、インナーパック20の内側からインナーパック20の外側へ順に、ポリエチレンとアルミニウム箔とナイロン(登録商標)とが積層されるように配置される。この構造によって、インナーシート21a,21bは柔軟性があり、かつ高い強度を有し、破損しにくくなる。また、インナーシート21a,21bにアルミニウム箔を用いることにより、水蒸気バリア性が向上し、インナーパック20の内部からの水分の蒸散が防止され、固液相変化材料10の機能の損失を防止する。また、アルミニウム箔を用いることによって、熱伝導性が向上して冷却効率が高くなる。さらに、インナーシート21a、21bの外側表面にナイロン(登録商標)を使用することにより、耐摩耗性が向上する。なお、インナーシート21a、21bは柔軟かつ十分な強度を有し、内部に封入された固液相変化材料10が漏出しないものであれば、本実施例の材料に特に限定されない。
【0028】
細長袋状部22の内部には、固液相変化材料10が細長袋状部の内容量いっぱいに隙間無く充填されており、細長い円柱形状となっている。このため、固液相変化材料10が液相の状態で体温調節パック1を縦方向に配置した場合でも、細長袋状部22に撓みが生じる余裕がないため、細長袋状部22は変形することがない。また、平行方向に複数の細長袋状部22が、柔軟性のある溶着部23を介して並列しているため、冷却剤10が固相になった場合でも、図11に示すように、溶着部23を節として体温調節パック1を体の形に沿って曲げることが可能となり、体温調節パック1の人体への密着性がより高くなる。さらに、円柱形状の細長袋状部22を横方向に並列したことにより、全体として表面に凹凸形状をもつ略板形状となっている。そのため、複数の体温調節パック1を保管するときは、図12に示すように安定して重ねて保管することができ、余計なスペースをとらない。なお、ここでもし、図37及び図40のような従来の平坦な板状の体温調節パックを液相でも変形させないために、冷却材を隙間無く充填した場合は、パック全体が横から見るとラグビーボール状に中央部分が膨らんだ形状となってしまい、安定して重ねて保管することができず、固相の時は体への密着性が非常に悪くなる。
【0029】
体温調節パック1は、固液相変化材料10の量を増やしても変形する心配が無いため、図22に示すように、細長袋状部22は適宜直径を変えることにより、体の部位や必要な冷却機能保持時間または保温機能保持時間に応じて、固液相変化材料10の量を調整することができる。具体的には、固液相変化材料10を冷却材として使用する場合は、熱の放出量の多い胸、背中等には固液相変化材料10を多めに配置し(円筒状の細長袋状部22´の直径を大きくする/図22の下側)、熱があまり放出されない部位には固液相変化材料を少量にする(円筒状の細長袋状部22´´の直径を小さくする/図22の上側)というような調整をする。また、細長袋状部22の円形断面それぞれの一部が身体に接触していれば、体表面から放出される熱を効率よく吸収し、体温の異常上昇を防止することができる。また逆に、固液相変化材料10を保温材として使用する場合には、熱を放出して身体に伝熱し、効率よく暖めることができる。
【0030】
固液相変化材料(phase change materials)10は、まず冷却材として使用することができる。固液相変化材料は固相状態から液体状態に変わる際、潜熱と呼ばれる物質の結合状態を変化させるために、温度を変化させることなく吸収される熱エネルギーを必要とする。すなわち、固液相変化材料10は、着用者の体から放出される熱エネルギーを吸収して、固体状態から液体状態へと変化する間、固液相変化材料10の温度は融点と呼ばれる一定温度に固定されるため、着用者の体温が上がりすぎるのを防止する。固液相変化材料10の融点は、一般的に言われている安静時における人体の体表面温度(32℃)よりも低い温度であることが好ましい。本実施例では固液相変化材料10の基材として硫酸ナトリウム10水和物を用いており、この硫酸ナトリウム10水和物には、水和物として安定的な可逆性を保持するために過冷却防止剤等の添加剤を入れたものを使用している。硫酸ナトリウム10水和物そのものの融点は32℃強であるが、過冷却のために、固液相変化材料10は32℃よりも低い25℃〜28℃の範囲で、一部ずつ固液転換を起こしつつ相変化する。そのため、従来の固液相変化材料を用いた冷却材の融点が0℃付近の温度であるのに比べ、体を冷やしすぎることによる凍傷のおそれや、身体機能が低下するおそれがない。また、相変化温度が25℃〜28℃の範囲であれば、安静時(熱吸着を必要としない時)は肌着・作業着の上から体温調節パック1を当てても着用者はほとんど冷たいとは感じず、固液相変化材料10は相変化を起こさないが、身体に負荷がかかり体表面温度が上昇すると、急に冷たさを感じるようになり、固液相変化材料10の相変化が開始する。一方、0℃付近で相変化する従来の固液相変化材料を用いた冷却材では、平常体温時で固液相変化を起こすため、体温の異常上昇防止が必要となる時点では、既に液化して冷却機能を失ってしまう。この点が0℃付近で相変化をおこす従来の冷却材との大きな違いである。
【0031】
さらに、高温環境下で体温調節パック1を使用して熱を吸収した固液相変化材料10が液相となった場合であっても、比較的短時間で固体状態に戻すことができる。例えば、体温調節パック1を氷水に数分間浸して冷却することで容易に放熱し、冷蔵庫や保冷庫等の設備を使わずに固体状態に戻すことができる。一般的には、細長袋状部22が40mm超の直径の場合、10℃前後の温度で、一晩で固体状態に戻る。また、固液相変化材料10が完全に液相になって冷却機能を失った場合でも、冷やして放熱させることで再び固相に戻し、繰り返して何度でも使用することができる。従って、使い捨ての冷却材と比べて経済的である。なお、固液相変化材料10の基材は本実施例の硫酸ナトリウム10水和物に限定されず、100%の固液相変化をするものであり、相変化温度が室温の範囲(15℃程度から35℃程度)である材料であればよく、他の無機塩水和物系の物質(燐酸ナトリウム12水和物等)やノルマルパラフィン(n−ヘプタデカン、n−オクダデカン、n−ノナデカン等)を使用してもよい。
【0032】
本願発明の冷却材10は、固液相変化材料で100%構成されている。一方、図40に示す保冷体201の冷却材207は、相変化材料が40%で、残りは比熱1以下の水を主体とした内容物であるため、冷やしても固相になることなく常に柔軟性をもつ。しかしながら、単純計算により1パック100gで熱吸収力を計算すると、25〜30℃で相変化を起こす蓄熱剤の相変化時の熱吸収35cal/gとして、25℃から30℃に温度上昇させた場合、固液相変化材料40%、比熱1の水が60%で構成されている図40の保冷体201の熱吸収量は、
40g×35cal+60g×1cal×5℃=1700cal
対して、固液相変化材料100%で構成されている本発明の体温調節パック1の熱吸収量は、
100g×35cal=3500cal
となる。従って、本発明の体温調節パック1と図40に示す従来の保冷体とでは、熱吸収力に2倍程度の差があり、後述するベスト状のパックホルダー2に取り付けて使用するものとしては低温持続効果に決定的な違いである。ここで、本発明に使用される体温調節パック1は、前述のように体の形に沿って自由に曲げることができるため、冷却材10の固液相変化材料を100%とすることによる高い熱吸収能力と、人体への追随性を両立している。
【0033】
固液相変化材料10は固相で結晶化しており、この結晶が完全に融け切ると液相に戻すのが困難になる。具体的には、例えば100℃の熱湯で体温調節パック1を加熱すると数分の間に結晶は完全になくなる。この状態で、常温下(22℃程度)に放置し固液相変化を待つと長い時間がかかるだけでなく、固相に戻らなくなる可能性がある。その場合は、いったん10℃程度に冷やして内部に少しでも結晶ができれば、あとは常温下で固相に戻すことができる。すなわち換言すると、体温調節パック1内に少量でも結晶を残すことによって液相から固相への相変化に費やすエネルギーを小さくすることができる。従って、体温調節パック1を身体に調節するときは、必要とする大きさよりも少し口径を大きくして、完全な結晶溶解を防ぐ工夫をする必要がある。
【0034】
ここで、図22に示すような直径の大きな細長袋状部22´を有する体温調節パック1は、直径の小さい細長袋状部22´´を有する体温調節パック1よりも、液相から固相に変化するために要する時間が長くなる。そのため、作業効率をあげるために、直径の大きな細長袋状部22´を有する体温調節パック1の機能を効率よく回復させなければならない場合は、常温で放熱させるよりも冷蔵庫に入れて冷却する方法が推奨される。この時、複数の体温調節パック1を冷蔵庫内で冷却する場合は、図23及び図24で示す冷却台11を使用する。
【0035】
冷却台11は、図23に示すように、上から見ると略長方形状をしており向かい合う2つの短辺に立上り部12を有する。また、図24に示すように、立上がり部12の上端に沿って、冷却台11の内側向きに立上り部12とは直角になるように係止部13が設けられている。立上り部12の高さHは体温調節パック1の厚さhよりも高くなるように設定されている。なお、冷却台11はアルミ板で作られている。但し、冷気が通って循環し易い形状であれば、冷却台11の形状は本実施例に限定されず、向かい合う2つの長辺に立上り部12を有してもよい。さらに冷却台11の素材もアルミ板に限られず、高い熱伝導性を有する素材であればよい。
【0036】
冷却台11の使用方法について説明する。図24に示すように体温調節パック1を1枚ごとに1つの冷却台11に載置する。その際、断熱材30のある側を上にする。断熱材30が配置されていない側を下にして冷えたアルミ板に密着させることで、効率よく体温調節パック1を冷却することができる。次に体温調節パック1を載置した冷却台11をラックのように積み上げる。積み上げる冷却台11の底面14は、下の冷却台11の係止部13に係合し、安定して積み上げることができる。なお、冷却台11に載置する体温調節パックは1枚に限られず、体温調節パック1が互いに重なり合わず、全てアルミ板に密着することができれば、1つの冷却台11に複数個載置してもよい。
【0037】
上述のように、冷却台11を使用して体温調節パック1を積み上げ、冷蔵庫内で冷却すれば、余分なスペースをとることがない。また、立上り部12の高さHが体温調節パック1の厚さhよりも高いことにより、体温調節パック1と上方に積み重ねた冷却台11との間に間隔があき、冷たい空気が通り効率的に体温調節パック1を冷却することができる。またさらに、冷却台11が熱伝導性の高いアルミ板によって作られていることにより、より効率よく体温調節パック1を冷却することができる。
【0038】
また、固液相変化材料10を保温材として使用することもできる。凝固点温度の高い物質からなる固液相変化材料10(例えば、酢酸ナトリウム3水和物)を用いれば、液相から固相に相変化する際の放熱によって身体を保温することができるからである。
なお、固液相変化材料10の基材は本実施例の酢酸ナトリウム3水和物に限定されず、100%に近い固液相変化をするものであり、相変化温度範囲が周囲の寒冷環境から人体を保護して快適さを感じる範囲(15℃程度から50℃程度)である材料であれば良く、他の無機塩水和物系の物質(硫酸ナトリウム10水和物、燐酸ナトリウム12水和物等)やノルマルパルフィン(n−ヘプタデカン、n−オクダデカン、n−ノナデカン等)を使用してもよい。
【0039】
固液相変化材料10を保温材として利用することにより、寒冷期における屋外作業或いは暖房器具のない作業所において、作業者の冷えを解消することができる。一般的に、作業者にとって上半身の保温は比較的容易であるが、足元から冷えに対する保温は疎かになりやすい。しかし、本発明の体温調節パック1は、液相の状態でも変形しないため、ムラなく身体の必要な箇所(脚部等)を保温することができる。さらに、固液相変化材料が固相となっても、自在に曲げたり延ばしたりすることが可能であるため、体の形に沿って曲がっていたものを容易に取り外すことができる。従って、ズボン等の衣服の上からふくらはぎ等の周囲にぐるっと巻きつけることによって、容易に足元の冷えを解消することができる。
【0040】
断熱材30は、本実施例ではシート状の発泡ポリエチレンである。断熱材30は、図2に示すように、インナーパック20の片面及び側部を覆うように取り付けられる。(図8〜10参照)ここでいう「片面」とは、体温調節パック1が着用者の体に接する面と反対側の面である。また、「側部」とは、インナーパック20の片面から反対側の面に回りこむ側面部分である。熱負荷試験を施すと、インナーパック20の両端に位置する細長袋状部22の外側から先に液化するため、この側部まで断熱材30を巻き込むことが好ましい。断熱材30は、インナーパック20内の固液相変化材料10が充填された細長袋状部22全体を覆う程度の面積を持つ略平面板形状をしている。これによって、固液相変化材料10を冷却材として用いる場合は、体から放出される熱が固液相変化材料10によって吸収されながら、断熱材30によって外部の熱が固液相変化材料10に伝わりにくくなり、固液相変化材料10の冷却機能が外部の影響を受けにくい。このため、高温環境下でも体温調節パック1の冷却効果が十分発揮されるとともに、冷却効果が長時間維持される。また、固液相変化材料10を保温材として用いる場合は、断熱材30に覆われていることにより、固液相変化材料10から放出される熱が外部に逃げずに、効率よく着用者の身体に伝わって保温することができる。ここで、体温調節パック1内に断熱材30が配置されているため、後述するパックホルダー2には断熱材を設ける必要がなく、パックホルダー2を軽量化することができる。なお、断熱材30の材料は、インナーパック20をアウターパック40に封入して真空パックを施した際に潰れない程度の硬さを有するものであれば、本実施例の発泡ポリエチレンに限定されず、充分な断熱機能を持つ他の物質を使用してもよい。また、直射日光を含む熱線をできるだけ反射する熱反射性を有するものが好ましい。さらに、断熱材30が衝撃吸収性を備えていれば、パックホルダー2は衝撃を吸収する必要がない点で好ましいが、パックホルダー2自体が衝撃吸収性を備えていても構わない。
【0041】
アウターパック40は、一対のアウターシート43a、43bを貼り合せて袋状に形成されており、内部が中空の袋形状である外側袋状部41と、外側袋状部41の周囲に形成された耳状部42とを有する。外側袋状部41の内部には、固液相変化材料10の充填されたインナーパック20及びインナーパック20の片面及び側部を覆う断熱材30が真空封入される。アウターパック40がインナーパック20及び断熱材30を被覆することによって、インナーパック20を破損等から保護し、細長袋状部22の接続部である溶着部23に埃等が溜まるのを防止する。また、アウターパック40がインナーパック20及び断熱材30を被覆する際に真空パックを施すため、通常はアウターパック40とインナーパック20とは密着状態にあるが、万一、外部からピンホールが開いた場合はアウターパック40とインナーパック20との間に空気が入り込み、アウターパック40の真空パックとしての緊張が解けてたるみが生ずる。そのため、このようなアウターパック40の状態から、ピンホールが開いた事実を容易に確認することができ、また、インナーパック20に同様のピンホールが開いている可能性も推測することができるセンサーの役割も果たしている。
【0042】
アウターシート43a、43bは、シート状のポリエチレンとアルミニウム箔とシート状のナイロン(登録商標)とを貼り合わせた3層構造を有している。これらの3層は、アウターシート43a、43bをアウターパック40に用いたときに、アウターパック40の内側からアウターパック40の外側へ順に、ポリエチレンとアルミニウム箔とナイロン(登録商標)とが積層されるように配置される。この構造によって、アウターシート43a,43bは柔軟性があり、かつ高い強度を有し、破損しにくくなる。また、アウターシート43a,43bにアルミニウム箔を用いることにより、インナーパック20だけでなく、アウターパック40も水蒸気バリア性を有し、万が一インナーパック20の水蒸気バリアが破れたとしても、このアウターパック40の存在により、全体として固液相変化材料10の機能を保持することができる。また、ポリエチレン及びナイロン(登録商標)は一般的に透明なため、ポリエチレンとナイロン(登録商標)とを貼り合わせただけでは、外からインナーパック及び断熱材が見えてしまい外観が良くないため、アルミニウム箔を用いることでアウターパック40内部を見えないようにする目隠しの役割も果たす。さらに、アルミニウム箔によって熱伝導性が向上して冷却効率又は保温効率が高くなる。また、アウターシート43a、43bの外側表面にナイロン(登録商標)を使用することにより、耐摩耗性が向上する。なお、アウターシート43a、43bは柔軟かつ十分な強度を有し、内部の真空状態を維持できるものであれば、本実施例の材料に特に限定されない。
【0043】
次に、本実施の形態の体温調節パックの製造方法について、図面3〜10を参照して説明する。
図3に示すように、2枚のシート21a,21bを重ねて、固液相変化材料10を注入するための開口部26となる1辺(上縁部25b)を残して、他の3辺(両側縁部25a及び下縁部25c)を溶着し、インナーパック20を形成する。本願の実施例では、2枚のシート21a,21bを貼り合わせているが、1枚のシートを中央で二つ折りにして周囲の縁部を貼り合わせてもよい。
【0044】
次に、向かいあった1対の両側縁部25aの間を等間隔に平行に分割するように、2つのシート21a、21bの必要箇所を溶着し、複数の細長袋状部22を形成する。なお、溶着部23の間隔は本願の実施例では等間隔としているが、適宜間隔を異ならせることで細長袋状部22の各々の大きさを調整してもよい。
【0045】
次に、図4に示すように、溶着していない上縁部25bを開口部26として、液相の固液相変化材料10を細長袋状部22の各々に、溶着部23の上端を越えない高さまで注入する。この時、上から見た細長袋状部の22の断面形状は、真円よりもやや紡錘状の円形となる。細長袋状部22の全体としては、略円柱形状となり、溶着した縁部25a、25b、25c及び溶着部23に沿って、細長袋状部22の表面に皺ができる。
【0046】
次に、細長袋状部22に充填した固液相変化材料10を冷却して固相になった後、図5に示すように、インナーパック20の内部を真空封入した上で、開口部26となっていた上縁部25bを溶着し、密閉する。この時、上縁部25bに沿った溶着部24は、溶着部23よりもやや上方に離れて設けられる。この後、図6のように上縁部25bを折り返して、各細長袋状部22内に固液相変化材料10を隙間無く充填させるためである。
【0047】
次に、インナーパック20に封入された固液相変化材料10に熱を与えて、再び液相に戻す。そして、図6及び図7に示すように、周囲の縁部25を全て一側(後述する断熱材30を配置する側)に折り込んで、細長袋状部22の内部に液相の固液相変化材料10が隙間無く充填されている状態にする。縁部を折り込む側は、体温調節パック1が体と接触する側とは反対側である。折り返しが身体側にくると冷却作用効果が弱まるからである。なお、ここでいう「隙間無く充填する」とは、細長袋状部22の容積の100%近く固液相変化材料10が充填されている状態をいい、固液相変化材料10が液相の状態で体温調節パック1を縦方向に配置した場合でも、細長袋状部22は変形しなくなる。
【0048】
次に、図8に示すように、インナーパック20の片面(体温調節パック1が体と接触する面と反対の面)において固液相変化材料10が充填されている部分全体を覆うように、断熱材30を取り付ける。
【0049】
次に、図9に示すように2枚のアウターシート43a及び43bから形成されるアウターパック40の外側袋状部41の内部に、断熱材30を取り付けたインナーパック20を入れて、図10に示すように真空封入して、完成する。なお、アウターシート43a及び43bの間にインナーパック20を挟みこんだ後に、アウターシート43a、43bの周囲を貼り合わせてアウターパック40を形成してから、真空封入してもよい。また、本実施形態では、同形状及び同素材である2枚のシート43a、43bを用いているが、1枚のシートを2つ折りにして1対にして、インナーパック20を挟み込んでもよい。
【0050】
このようにして形成された体温調節パック1は、平行方向に複数の細長袋状部22が、柔軟性のある溶着部23を介して並列しているため、固液相変化材料10が固相になった場合でも、図11に示すように、溶着部23を節として体温調節パック1を体の形に沿って曲げることが可能となり、体温調節パック1の人体への密着性がより高くなる。従って、冷却材または保温材の固液相変化材料10を100%とすることによる高い熱吸収能力または放熱能力と、人体への追随性とを両立することができる。さらに、円柱形状の細長袋状部を横方向に並列したことにより、全体として表面に凹凸形状をもつ略板形状となっている。そのため、複数の体温調節パック1を保管するときは、図12に示すように安定して重ねて保管することができ、余計なスペースをとらない。
【0051】
(実施形態2)
次に、後述するパックホルダー2に取り付けて使用する、別の実施形態に係る体温調節パック100について、図13〜21を参照して説明する。体温調節パック100は、外形としては、図1に示す体温調節パック1と同じ形態であり、全体は略板状の矩形に形成されており、平行に配列された複数の袋体Tを備えている。
図20に示すように、体温調整パック100は、固液相変化材料10が充填された複数の細長袋体322から構成され、細長袋体322同士を並列に配置させる細長袋体整列部材27と、平行方向に並列する複数の細長袋体322の片側の面を覆う断熱材30と、細長袋体322、細長袋体整列部材27及び断熱材30を全体的に被覆するアウターパック40とを有している。また、体温調節パック100の表面は、アウターパック40内部の細長袋体の形状に沿った凹凸形状を有している。なお、本実施例では、体温調整パック100の形状は、全体として略板状の矩形に形成されているが、これに限定されず、他の形でもよい。
【0052】
図13〜15に示すように、細長袋体322の各々は、フィルムで形成され、細長い円筒形状をしており、両端は溶着されている。フィルムは、実施例1のインナーシート21と同様、柔軟性と強度を確保するために、シート状のポリエチレンとアルミニウム箔とシート状のナイロン(登録商標)とを張り合わせた3層構造であることが好ましい。但し、細長袋体322のフィルムは、柔軟かつ十分な強度を有し、内部に封入された固液相変化材料10が漏出しないものであれば、本実施例の材料に特に限定されない。また、細長袋体322の長さ及び太さは、用途や取り付ける部位に応じて適宜変更することができる。
【0053】
本実施例のように、複数の独立した細長袋体322を用いることにより、実施例1のように1対のインナーシート21a及び21bから複数の細長袋状部22を形成したときよりも、各々の細長袋体322のフィルムへのストレスが小さくなり、耐久性能が増す。すなわち、図11のように体温調節パック100が湾曲したときに、実施例1ではインナーシート21が湾曲とともに引っ張り力を受けるが、本実施例のように細長袋体322が各々独立していれば、身体部位に合わせて湾曲させた場合でも余分な負荷は加わらない。従って、フィルムが破損し体温調節パック100の機能が喪失する危険性は最小限となる。即ち、フィルムの水蒸気バリア性を担保すべきアルミ層破損の危険性が最小限となる。また、万一、外部から針状のものが刺さった場合であっても、ピンホールがあいて破損した細長袋体322の1つが機能を喪失するだけで、他の細長袋体322には影響を及ぼさず、体温調節パック100全体としての機能は失われない。すなわち、体温調節パック100が複数の独立した細長袋体322を有することにより、機能喪失のリスクが最小化される。また、壊れた細長袋体322を交換するだけで、体温調節パック100の機能を再生することができるため、修理が容易かつ低廉である。またさらに、長さや太さの違う複数種類の細長袋体322を事前に製造しておけば、体温調節パック100の製造時に適宜組み合わせることによって、より適正な体温調整が可能となる。
【0054】
細長袋体322の内部には、固液相変化材料10が細長袋体322の内容量いっぱいに隙間無く充填されており、細長袋体322は細長い円柱形状となっている。このため、固液相変化材料10が液相の状態で体温調節パック100を縦方向に配置した場合でも、細長袋体322に撓みが生じる余裕がないため、細長袋体322は変形することがない。また、平行方向に各々独立した複数の細長袋体322が配列されているため、固液相変化材料10が固相になった場合でも、体温調節パック100を体の形に沿って曲げることが可能となり、体温調節パック100の人体への密着性がより高くなる。さらに、円柱形状の細長袋体322を横方向に並列したことにより、全体として表面に凹凸形状をもつ略板形状となっている。そのため、複数の体温調節パック100を保管するときは、安定して重ねて保管することができ、余計なスペースをとらない。なお、ここで「隙間なく充填する」とは、実施形態1と同様で、細長袋体322の容積の100%近く固液相変化材料10が充填されている状態をいい、固液相変化材料10が液相の状態で体温調節パック100を縦方向に配置した場合でも、細長袋体322は変形しなくなる。
【0055】
また、実施例1と同様に、体温調節パック100は、固液相変化材料10の量を増やしても変形する心配が無いため、図22に示すように、細長袋体322は適宜直径を変えることにより、体の部位や必要な冷却機能保持時間又は保温機能保持時間に応じて、固液相変化材料10の量を調整することができる。
【0056】
細長袋体322を載置し整列させるための細長袋体整列部材27は、図16及び図17に示すように、上から見ると細長袋体322のほぼ全長にわたる長方形状をしている。また、横から見ると、細長袋体322の各々が載置される窪み部28と、隣り合う細長袋体322どうしの間に食いこみ、各々の細長袋体322の位置を等間隔に配置する突出部29とを有する。さらに、細長袋体整列部材27は、ボール紙等の柔軟な素材からできており、身体部位に沿って自在に湾曲することができるようになっている。また、細長袋体整列部材27の形状は、本実施例に限定されず、細片状のものを横置きにして1つ又は複数個使用するものであってもよい。
【0057】
図16に示すように、細長袋体整列部材27に細長袋体322を載置することによって、細長袋体322どうしの位置が等間隔を保つようになり、その結果、互いの細長袋体322がぶつかって傷がつくリスクがなくなる。また、細長袋体整列部材27は、柔軟性をもつ素材によってつくられているため、体温調整パック100が身体部位への密着性を保つように湾曲することができる。
【0058】
固液相変化材料10、断熱材30及びアウターパック40の特性については、実施形態1と同様なので、省略する。
【0059】
次に本実施の形態の体温調節パック100の製造方法について、図13〜21を参照して説明する。
まずは、図13に示すようにフィルムで円筒形の細長袋体322を作る。一方の端部は固液相変化材料の注入口326として開口し、反対の端部は溶着する。細長袋体322の直径・長さは用途によって適宜変更することができる。
【0060】
次に、図14に示すように、真空下で注入口326から細長袋体322内部に液相の固液相変化材料10を充填した後、注入口326を溶着して密封し、細長袋体322内部に固液相変化材料10が隙間なく充填されている状態にする。このようにして真空封入すれば、液相の固液相変化材料10を充填した後で、冷却して固相にした状態で真空封入してから、再び液相に戻す必要がない分、製造工程が短縮化され、大量生産が可能となる。なお、この真空封入作業には、既知の自動真空包装機を用いることができるが、ここでは当該包装機の説明は省略する。
【0061】
次に、図15に示すように、両端の溶着部325a、325bを細長袋体の一側(後述する細長袋体整列部材27及び断熱材30を配置する側)に折り曲げる。溶着部325a、325bを折り込む側は、体温調節パック100が体と接触する側とは反対側である。折り返し部分が身体側にくると冷却作用効果が弱まるからである。
【0062】
さらに、上記の製造方法によって作られた複数の細長袋体322の各々を細長袋体整列部材27の上に平行方向に等間隔に並列させ(図16参照)、載置する。細長袋体整列部材を取り付ける側は、溶着部325a、325bを折り込んでいる側、すなわち体温調節パック100が体と接触する側と反対の側である。外部の熱が体温調節パック100に伝わるのを防ぐためである。
【0063】
次に、図18に示すように、体温調節パック100が体と接触する面と反対側の面に、細長袋体整列部材27ごと複数の細長袋体322全体を覆うようにして、断熱材30を取り付ける。この時、細長袋体整列部材27の取り付け側が断熱材30で覆われるようにする。断熱材30のない側、すなわち身体に接触する側に細長袋体整列部材27があると冷却効率あるいは保温効率が悪くなるからである。
【0064】
また、断熱材には、図21に示すような上面が開放された箱型の断熱材30´を使用してもよい。この断熱材30´を使用する場合、断熱材30´の内側に細長袋体整列部材27を入れ、その上に細長袋体322を載置して整列させる。これによって、より簡単に細長袋体322に細長袋体整列部材27と断熱材30´とを取り付けることができる。また、このように断熱材30´を取り付けた結果、複数の細長袋体322は全体として、身体に接しない一側と側部の4面を断熱材30´で覆われることができ、断熱効果が高まる。なお、断熱材30´は、両端に立上り部を有する長方形状の2枚の断熱板30´a、30´bを箱型に組んで形成する。その結果、底面の断熱材が二重になりより高い断熱性能を得ることができる。但し、箱型の断熱材30´の形成方法はこれに限られず、1枚の断熱板を加工して形成してもよい。また、この断熱板30´a、30´bは既存の気泡緩衝材の両面にアルミ箔のシートを貼り付けた板状の断熱材でできているが、素材はこれに限られない。
【0065】
次に、図19に示すように2枚のアウターシート43a及び43bから形成されるアウターパック40の外側袋状部41の内部に、細長袋体整列部材27及び断熱材30(30´)を取り付けた細長袋体322を入れて、図20に示すように真空封入して、完成する。なお、アウターシート43a及び43bの間に細長袋体322を挟みこんだ後に、アウターシート43a、43bの周囲を貼り合わせてアウターパック40を形成してから、真空封入してもよい。また、本実施形態では、同形状及び同素材である2枚のシート43a、43bを用いているが、1枚のシートを2つ折りにして1対にして、細長袋体322を挟み込んでもよい。
【0066】
このようにして形成された体温調節パック100は、内部に各々独立した複数の細長袋体322が平行方向に並列しているため、固液相変化材料10が固相になった場合でも、体温調節パック100を体の形に沿って曲げることが可能となり、体温調節パック100の人体への密着性がより高くなる。従って、冷却材または保温材の固液相変化材料を100%とすることによる高い熱吸収能力または放熱能力と、人体への追随性を両立することができる。さらに、円柱形状の細長袋体322を横方向に並列したことにより、全体として表面に凹凸形状をもつ略板形状となっている。そのため、複数の体温調節パック100を保管するときは、図12に示すように安定して重ねて保管することができ、余計なスペースをとらない。
なお、本実施例では、体温調節パック100を構成する細長袋体322の本数は7本となっているが、体温調節が必要とされる身体部位を被覆することができるのであれば、本数はこれに限定されない。また、細長袋体322の太さ及び長さは、用途に応じて自由に設定することができる。
【0067】
[メッシュ袋]
次に、前述の体温調節パック1または100を挿入して後述する胴体パックホルダー80(図28参照)に取り付けるための専用のメッシュ製のメッシュ袋51について、図26及び図27を参照して、説明するが、体温調節パック1及び100は外側の形態が同一であるため、便宜上、体温調節パック1について説明をする。なお、体温調節パック1のアウターパック40は前述したようにフィルム製のため、表面のナイロン(登録商標)に直接面ファスナーを取り付けることができない。また、ナイロン(登録商標)に直接、面ファスナー97bを取り付けようとする場合は、接着剤を用いるしかなく、最も効率が高いのは溶剤による溶着であるが、その分アウターパック40のフィルム強度が低下する。従って、以上の点に鑑みて、メッシュ袋51に、図26のように体温調節パック1を挿入して、体温調節パック1を胴体パックホルダー80に対して着脱自在に取り付けられるようにしてある。
【0068】
図26及び図27に示すように、着用者の胸部に配置されるメッシュ袋51は、矩形の形状をしており、後述する胴体パックホルダー80の面ファスナー97a(図31参照)に着脱自在に取り付けるために、胴体パックホルダー80に取り付ける側の面に面ファスナー97bが設けられている。本実施例では、メッシュ袋51の形状は矩形であるが、装着する体の部位や挿入する体温調節パック1の形状に応じて、矩形以外の形状、例えば楕円形などにしてもよい。
【0069】
体温調節パック1を胴体パックホルダー80に着脱自在に取り付けられるように、図26に示すように、体温調節パック1をメッシュ袋51に挿入し、面ファスナーなどの既知の手段で挿入口を開閉自在に塞ぐ。体温調節パック1はメッシュ袋51から取り出し自在なので、用途等に応じて体温調節パック1の種類(固液相変化材料の封入量が違うもの等)を交換することができる。また、メッシュ袋51が汚れても、体温調節パック1だけ取り出して洗濯することができる。なお、本実施例では、図27(a)に示すようにメッシュ袋51内には、体温調節パック1が一個だけ封入されているが、メッシュ袋51の容量や体温調節パック1の大きさに応じて二個以上封入してもよい。さらに、本実施例では、挿入口は開閉自在としたが、縫い付ける等の手段で閉じこんでしまってもよい。
【0070】
面ファスナー97bは図27(b)に示すように、細長片に形成されており、メッシュ袋51の一対の端部に平行に設けられる。なお、面ファスナーの本数は本実施例に限られず、体温調節パック1を胴体パックホルダー80に保持することができる限り、1本であっても、3本以上並べてもよく、さらに、メッシュ袋の一側の面を全体的に面ファスナーとすることや、メッシュ袋の素材自体を面ファスナーとすることもできる。また、後述する胴体パックホルダー80側の面ファスナー97aは、他の衣服に付着しないように、ループ状の面ファスナーにしてあるので、メッシュ袋51の面ファスナーはフック状とする。但し、これに限定されることなく、メッシュ袋51の面ファスナー97bをループ状、胴体パックホルダー80側の面ファスナー97aをフック状としてもよい。
【0071】
メッシュ袋51の素材はメッシュ状布帛である。これによって、身体から放出された熱をより効率よく吸収することができる。また、冷却用の体温調節パック1を氷水につけて固相に戻す際には、メッシュ袋51がメッシュ素材であれば、いちいち体温調節パック1を取り出さずにメッシュ袋51ごと氷水に浸して冷却することができる。
【0072】
以上、胸部に配置されるメッシュ袋51について説明してきたが、背中に配置されるメッシュ袋61及び脇下に配置されるメッシュ袋66も同様に構成されている(図30参照)。
【0073】
[パックホルダー]
前述の体温調節パック1を身体に装着するためのパックホルダー2について、図28〜35を参照して説明する。パックホルダー2は、体温調節パック1を胴体に装着するための胴体パックホルダー80、体温調節パック1を首周りに装着するための襟部パックホルダー70から構成される。また、体温調節パック1を脚部に装着するための脚部パックホルダー90も有する。
【0074】
〈胴体パックホルダー〉
まず、体温調節パック1を主に胴体に装着するための専用の胴体パックホルダー80について、図28〜33を参照して説明する。
図28〜30は、それぞれ、本発明の胴体パックホルダー80の着用状態を示す正面図、背面図及び側面図である。なお、図28〜30には胴体に取り付ける胴体パックホルダー80の他に、首周りに取り付ける後述の襟部パックホルダー70(図34参照)の着用状態も示されている。図31及び図32は、本発明の胴体パックホルダー80を各部分に分解したもので、それぞれ前面部及び後面部の表側及び裏側を示す図である。なお、ここで、表面とは、胴体パックホルダー80を着用したときに身体に接触する側と反対側の面をいい、裏面とは身体に接触する側の面をいう。以下の説明においても同様とする。
【0075】
最初に、胴体パックホルダー80の全体構成について説明する。図28〜30に示すように、胴体パックホルダー80は、胸部を被覆する前面部50と、肩から背中までを被覆する後面部60とで構成されている。後面部60の表面下部には、脇下を被覆する帯部65が縫合され一体になっている。後面部60は両肩部分に肩掛け部64を有しており、前面部50は、肩掛け部64を介して、後面部60と着脱自在に接続される。前面部50と後面部60とが着脱自在に取り付けられるように各部に分離していることにより、着用者の体格や体温調節パック1の配置数によって、胴体パックホルダー80を調整することができる。なお、本実施例では、胴体パックホルダー80は胸部と背中の上半分のみを被覆しているが、これに限られず腹部や背中の下半分も被覆できるように長さを変えてもよい。
【0076】
胴体パックホルダー80の主な素材は、前面部50及び後面部60ともにメッシュ状布帛である。素材をメッシュ状布帛にすることにより、胴体パックホルダー80全体を軽量化し、着用者の身体から放出された熱が胴体パックホルダー80内にこもらないようにすることができる。また、冷却用の固液相変化材料10を用いる場合、胴体パックホルダー80が水に濡らしても乾きやすいメッシュ状素材でできていることにより、胴体パックホルダー80ごと氷水に浸けて冷却することができ、短時間で容易に液相になった固液相変化材料10を固相に戻すことができる。さらに、メッシュ状布帛を透して、胴体パックホルダー80全体に水や空気が対流しやすい状態となるので、胴体パックホルダー80ごと水に浸けて冷やしたり、冷蔵庫で冷却する際には、固液相変化材料10の機能回復がより早くなる。
【0077】
前面部50は、図31に示すように、着用者の胸部を覆う体温調節パック保持部52からなり、体温調節パック保持部52の裏面にはメッシュ袋51が装着される。体温調節パック保持部52の表面は、図31(a)に示すように両肩部分に、後述する後面部60の面ファスナー95bに係合する面ファスナー95aが設けられており、これによって前面部50は後面部60と着脱可能に取り付けられて、胴体パックホルダー80を形成する。また、面ファスナー95bとの係合位置を適宜ずらして貼り合わせることができ、これによって身体に対する前面部50の位置や身体への密着性を調整することができる。また、後述の帯部65によって、前面部50が胸下部又は腹部で固定される(図28〜30参照)。なお、前面部50と後面部60との係合手段は、面ファスナーに限定されず、長さ調節可能なベルトを両肩部分に取り付け、該ベルトの端に取り付けられたタングとバックルの組み合わせにより係合する等、着脱自在で胴体パックホルダー80の身体への密着性を適宜調整できる手段ならばよい。
【0078】
体温調節パック保持部52の裏面には、図31(b)に示すように、縦方向に等間隔で平行に複数の細長い面ファスナー97aが、左端から右端まで一様に、本実施例では6本設けられている。また、体温調節パック保持部52の裏面の上下には、一対の細長片である補強テープ59が横方向に設けられている。前面部50はメッシュ状布帛が主な素材であってコシが弱いため、補強テープ59によって前面部50が補強される。また、補強テープ59は、縦方向に縫着された面ファスナー97aの末端処理の役割も兼ねる。メッシュ袋51は、裏面の面ファスナー97b(図27(b)参照)が体温調節パック保持部52の面ファスナー97aに対して交差する向きになるように取り付けられるので、体温調節パック保持部52の面ファスナー97aに沿って、メッシュ袋51の面ファスナー97bの貼着位置を上下左右(主に上下方向)に適宜変更することができ、メッシュ袋51を必要な位置に着脱可能に取り付けることができる。また、面ファスナー97aが左端から右端まで一様に設けられているため、本実施例のごとく、メッシュ袋51を1個のみならず左右に2個、あるいはまた左右上下に複数個配設することができ、体温調節パック1の配置の自在性を拡大することができる。ここで、例えば、消火活動の現場等では酸素濃度の確保が保証できないため、空気呼吸器をリュックサックのように背負う必要がある。この場合は胸ベルトの装着も必要であるため、胸中央部に体温調節パック1は1個しか装着できない。一方、酸素濃度が確保されている原子力発電所の管理区域における作業などの場合は、空気呼吸器の装着は必要なく、防毒・防塵マスクのみの装着が一般的である。その際は、胸ベルトで背負う空気呼吸器の必要がない代わりに3時間にも及ぶ長時間の継続作業が要求される。従って、そのような場合は体温調節パック1の配置スペースに制限はなく、熱吸収性の高い体温調節パック1を左右に2個以上装着することで、より安全な作業が可能となる。また、面ファスナーはフック状の面ファスナーとループ状の面ファスナーが一対となって係合作用を発揮するが、体温調節パック保持部52の面ファスナー97aはループ状であることが好ましい。身体に接触する面がフック状であると、胴体パックホルダー80の下に着込んだ衣服等に無闇に接着する可能性もあり、肌触りも悪いからである。但し、これに限られず、体温調節パック保持部52の面ファスナー97aがフック状で、メッシュ袋51の面ファスナー97bがループ状でもよい。なお、面ファスナー97aは、横方向に並べて配置してもよく、この場合には、メッシュ袋51の面ファスナー97bを縦方向に配置すればよい。また、面ファスナー97aは、本実施例では6本用いたが、メッシュ袋51を適切に保持取付けすることができれば何本でもよく、さらにまた、複数の細長い形状のものに限られず、体温調節パック保持部52の裏面全体を、面ファスナーとしてもよい。
【0079】
後面部60は、図32に示すように、メッシュ袋61が装着される体温調節パック保持部62と、胴体パックホルダー80を両肩で支えるための一対の肩掛け部64とを有する。体温調節パック保持部62の裏面には、図32に示すように、縦方向に等間隔で平行に複数の細長い面ファスナー94aが左端から右端まで一様に、本実施例では6本設けられている。また、体温調節パック保持部62の裏面の上下には、一対の細長片である補強テープ69が横方向に設けられている。後面部60はメッシュ状布帛が主な素材であってコシが弱いため、補強テープ69によって後面部60が補強される。また、補強テープ69は、縦方向に縫着された面ファスナー94aの末端処理の役割も兼ねる。メッシュ袋61は、裏面の面ファスナー94b(図27(b)参照)が体温調節パック保持部62の面ファスナー94aに対して交差する向きになるように取り付けられる。このため、体温調節パック保持部62の面ファスナー94aに沿って、メッシュ袋61の面ファスナー94bの貼着位置を上下左右(主に上下方向)に適宜変更することができ、メッシュ袋61を必要な位置に着脱可能に取り付けることができる。また、面ファスナー94aが左端から右端まで一様に設けられているため、メッシュ袋61を1個のみならず左右に2個、あるいはまた左右上下に複数個配設することができ、体温調節パック1の配置の自在性を拡大することができる。また、面ファスナーは前面部50と同様、体温調節パック保持部62の面ファスナー94aはループ状であることが好ましい。但し、これに限られず、体温調節パック保持部62の面ファスナー94aがフック状で、メッシュ袋61の面ファスナー94bがループ状でもよい。なお、面ファスナー94aは、横方向に並べて配置してもよく、この場合には、メッシュ袋61の面ファスナー94bを縦方向に配置すればよい。また、面ファスナー94aは、本実施例では6本用いたが、メッシュ袋61を適切に保持取付けすることができれば何本でもよく、さらにまた、複数の細長い形状のものに限られず、体温調節パック保持部62の裏面全体を、面ファスナーとしてもよい。
【0080】
一対の肩掛け部64は、図32に示すように、体温調節パック保持部62の両肩に対応する部位の上方に延伸して設けられている。肩掛け部64の裏面には、前面部50の面ファスナー95aと係合する方形の面ファスナー95bが設けられている。これによって、前面部50と後面部60が位置調整可能に連結される。また、面ファスナー95bは肩掛け部の長さ方向の裏面全体に設けられているため、面ファスナー95aと95bとの貼り付け位置を適宜ずらすことで、着用者の体型や設置する体温調節パック1の数量、厚み等に応じて、胴体パックホルダー80の身体への密着性を調整したり、胴体パックホルダー80が被覆する位置を調整したりすることができる。
【0081】
また、着用を容易にするために、図33に示すように、独立した前面部50と後面部60とを、前面部50の両肩に相当する部分と後面部60の両肩に相当する部分とに伸縮自在の2本の平たい紐状体55(ゴム紐等)で接続してもよい。紐状体55の両端はそれぞれ前面部50の両肩に相当する部分及び後面部60の両肩に相当する部分に縫着されている。また、前面部50及び後面部60の両肩部分に穴を設けて、この穴に紐状体55を通して接続してもよい。この場合、着用者は2本の紐状体55の間に首を通し着用し、その上で、肩掛け部64により、体格等に合わせて前面部50と後面部60との距離を調整することができる。
【0082】
長尺状の帯部65は、図32に示すように、後面部60の体温調節パック保持部62の表側下部に、帯部65の中央部分を重ね合わせるように縫合されている。帯部65の表面は、後述する襟部パックホルダー70の襟ベルト73を取り付けるためのフック状の面ファスナー91を係合することができるように、表面全体がループ状のファスナー布面となっている。また、帯部65の裏面も表面と同様に、全面がループ状のファスナー布面となっており、脇下に配置するメッシュ袋66を任意の位置に着脱自在に取り付けることができる。なお、帯部65の表面及び裏面の面ファスナー布面がループ状であるのは、帯部65には人の腕や上着等が頻繁に触れるため、触り心地が良く、他の衣服等が触れても無闇に接着しないようにすることが必要だからである。但し、これに限定されず、帯部65の面ファスナー布面はフック状であってもよく、また、裏面全体は面ファスナー布面とせずに、細長片の面ファスナーを縦方向に平行に複数本並べたものでもよい。またさらに、帯部65の形状は一本の長尺状のものに限られず、体温調節パック保持部62の両側下部に、2本に分離した一対の帯部65をそれぞれ縫着してもよい。
【0083】
帯部65の裏面の両端部には、一対のフック状の面ファスナー92が設けられる。これによって、帯部65が着用者の胸下回り又は腹回りを覆った際に体の前部において、一方の端部のフック状の面ファスナー92を、帯部65の他端側の表面のループ状のファスナー布面に係合させ、前面部50を胸下の位置で固定することができる(図28参照)。帯部65の両端部に面ファスナー92が縫着されていることにより、どちらの端部を手前にしても、他端側に取り付けられるようになっている。また、面ファスナー92を貼り付ける位置を適宜変更することができるため、着用者の体格に応じて帯部65の密着性を調整することができる。さらに、帯部65は、その長手方向に弾性のある伸縮可能な布地より形成されているため、体格等に合わせてさらなる調整が可能である。
【0084】
以上のように、胸部、背中、脇下に配置するメッシュ袋51、61、66は、体温調節パック保持部52、62及び帯部65の裏面においてある程度自由に配置場所を選定することができるので、着用者は配置場所のみならず、体温調節パック1の配置数量やパックサイズも自分で必要に応じて決めることが可能である。例えば、防護服や作業服の下に胴体パックホルダー80を着用する場合、作業用の装備を装着する場所を避けてメッシュ袋51、61又は66を配置することにより、体温調節パック1がこれらの装備に干渉して安全性を阻害することを防止することができる。また、胴体パックホルダー80は登山用のハーネスのように装着者が身体に合わせて調整するので、体格を問わず、密着性を調節することができる。
【0085】
〈襟部パックホルダー〉
次に、体温調節パック1を首周りに装着するための専用の襟部パックホルダー70について、図25、図28〜30及び図34を参照して説明する。襟部パックホルダー70は矩形であり、図34に示すように、首周り専用のメッシュ袋71と、メッシュ袋71の両端に一体的に接続される襟ベルト73を有する。
【0086】
首周り専用のメッシュ袋71の内部には、図25に示すように、縦方向に長い体温調節パック1´aが首真後ろに該当する位置(メッシュ袋71の中央部分)に配置され、体温調節パック1´aよりも長さが短い一対の体温調節パック1´bが、体温調節パック1´aの両側の首側部に該当する位置に配置される。本実施例では、体温調節パック1´aには、細長袋状部22が横に5個分連結した高さ70mmの体温調節パックを用い、体温調節パック1´bには、細長袋状部22が横に3個分連結した高さ50mmの体温調節パックを用いている。複数の体温調節パック1´を挿入することによって、体温調節パック1´aと体温調節パック1´bとの境界でメッシュ袋71が曲がるので、体温調節パック1´を首周りの形に合わせて取り付けやすくなる。また、首両側の体温調節パック1´bの高さを低くすることにより、着用者の首の動きの邪魔になることがない。なお、体温調節パック1´の形状や数量はこれに限られることなく、例えば1個の矩形の体温調節パック1´をメッシュ袋71に封入してもよい。また、図34(c)に示すように、同じ長さ、同じ太さの第2実施形態の細長袋体322を複数本並べてメッシュ袋71に封入してもよい。また、この細長袋体322は、各々、大きさ、長さを変えて並べることもできる。
【0087】
メッシュ袋71の素材はメッシュ状布帛である。従って、体温調節パック1´を冷却目的に使う場合は、身体から放出された熱をより効率よく吸収することができる。また、体温調節パック1´を氷水につけて固相に戻す際には、メッシュ袋71がメッシュ素材であれば、いちいち体温調節パック1´を取り出さずに襟部パックホルダー70ごと氷水に浸して冷却することができる。一方、体温調節パック1´を保温目的で使用する場合、体温調節パック1´から放出された熱をより効率よく身体に伝えることができる。
【0088】
一対の襟ベルト73は、図34に示すようにメッシュ袋71の両端部に一体的に取り付けられる。また、メッシュ袋71と接続する端部とは反対側の端部72には、帯部65のループ状の面ファスナー布面と係合するためのフック状の面ファスナー91が設けられている。一対の襟ベルト73は着用者の胸部付近で斜交いに交差してそれぞれの端部72が帯部65の表面に達して、面ファスナー91を介して接続されるように適当な長さにされている。また、襟ベルト73は、その長手方向に弾性のある伸縮可能な布地より帯状に形成される。従って、襟ベルト73の端部72を帯部65の表面の何れの位置にでも着脱自在に接着できること及び襟ベルト73が伸縮可能であることにより、着用者の体格や必要とされる密着度に応じて、首周りの襟部パックホルダー70の密着性を調節することができる。なお、襟ベルト73を肩掛け部64に留めてもよい。また、首の動きの自由度が確保できるのであれば、首周りにぐるっと回して固定してもよい。
【0089】
〈脚部パックホルダー〉
次に、体温調節パック1を脚部に装着するための専用の脚部パックホルダー90について、図35を参照して説明する。脚部パックホルダー90は矩形であり、図35に示すように、脚周り専用のメッシュ袋84と、メッシュ袋84の片側のみに一体的に接続される一対の脚ベルト83を有する。
【0090】
脚周り専用のメッシュ袋84の内部には、図35に示すように、細長袋状部22が横に5個分連結した体温調節パック1が封入されている。但し、体温調節パック1の形状や数量はこれに限られることはない。また、第2実施形態の細長袋体322を各々、大きさ、長さを変えて並べてもよい。
【0091】
メッシュ袋84の素材はメッシュ状布帛である。従って、体温調節パック1を身体の保温目的で使用する場合、体温調節パック1から放出された熱をより効率よく身体に伝えることができる。一方、体温調節パック1を身体の冷却目的に使う場合は、身体から放出された熱をより効率よく吸収することができる。また、体温調節パック1を氷水につけて固相に戻す際には、メッシュ袋84がメッシュ素材であれば、いちいち体温調節パック1を取り出さずに脚部パックホルダー90ごと氷水に浸して冷却することができる。
【0092】
脚ベルト83は、図35に示すようにメッシュ袋84の片側に一体的に取り付けられる。また、脚ベルト83の、メッシュ袋84と接続する端部とは反対側の端部82には、フック状の面ファスナー81が設けられている。また脚部パックホルダー90の身体と接しない側の面は、ループ状の面ファスナーとなっている。着用者は、図36のように脚部パックホルダー80を脚部に巻きつけて、脚ベルト83の面ファスナー81を脚部パックホルダー90の面ファスナーに係合して、自由な位置に着脱自在に留めることができる。また、脚ベルト83は、その長手方向に弾性のある伸縮可能な布地より帯状に形成される。従って、帯ベルト83の端部82を脚部パックホルダー90の表面の何れの位置にでも着脱自在に接着できること及び帯ベルト83が伸縮可能であることにより、着用者の体格や必要とされる密着度に応じて、脚周りの脚部パックホルダー90の密着性を調節することができる。
但し、脚ベルト83の形状は本実施例に限定されず、メッシュ袋84の一端に1本の脚ベルト83が接続され、メッシュ袋84自体が面ファスナーとなっており、脚ベルト83の面ファスナー81とメッシュ袋84自体が係合するようになっていてもよい。また、脚ベルト83の面ファスナー81がループ状で、脚部パックホルダー90の面ファスナーがフック状であってもよい。
【0093】
なお、寒冷期における屋外作業、或いは暖房器具のない作業所においては、従来から、作業者にとって上半身の保温は比較的容易であるが、脚部の効率的な保温がままならず、足元からの冷えを辛く感じるという問題があったため、脚部パックホルダー90は主に保温目的に使われるものである。体温調節パック1は、液相の状態でも変形しないため、ムラなく脚部を保温することができ、さらに、固液相変化材料が固相となっても、自在に曲げたり延ばしたりすることが可能であるため、体の形に沿って曲がっていたものを容易に取り外すことができる。
但し、脚部パックホルダー90は、上記のように身体の冷却目的として使用してもよい。
【0094】
以下、上述したパックホルダー2全体の利点を説明する。
まず、冷却目的で使用する体温調節パック1について説明するが、本発明の体温調節パック1には、固液相変化材料10とともに断熱材30も封入されているため、パックホルダー2に断熱機能を持たせる必要がない。ここで、体温調節パック1内の固液相変化材料10を液相から固相に戻す際の方法は、時間的に短いほうから記すと
(1)大目の氷水に浸ける。
(2)川などの流水に浸ける。
(3)冷蔵庫に入れる。
(4)22℃以下の室温で放置する。
となる。従来の断熱機能をもったパックホルダーの場合は、体温調節パックをパックホルダーに入れたまま冷却しようとしても、嵩張るため、(1)及び(2)の方法では水に浸け辛く、パックホルダー自体が水分を含み重くなる。また、(3)の方法では、パックホルダーが嵩張る分、冷蔵庫のスペースを無駄にとってしまう。さらに(4)の方法では、冷却に時間がかかるため、(1)等の方法を採用するほうが望ましい。
【0095】
また、防護服等の下にパックホルダーを装着する場合は、呼吸保護具その他の身体保護具を追加するため、衣服全体が重くなる傾向にある。従って、パックホルダー自体には余分な重みが加わらず、できる限り嵩張らず軽量なものとすることが望ましい。また、呼吸器具等の装備には必ずハーネスが必要となるが、ハーネスにはもともとパットが入っているため、パックホルダー自体に断熱材を取り付けるのは無用な重複である。
【0096】
これらの問題点に鑑みて、本発明のパックホルダー2自体には断熱機能をもたせず、体温調節パック1に断熱材を封入することで、パックホルダー2を軽量化し、嵩張らないものとすることができる。また、パックホルダー2が水に濡らしても乾きやすいメッシュ状素材でできていることにより、パックホルダー2ごと氷水に浸けて冷却することができる。さらに、メッシュ状布帛を透して、パックホルダー2全体に水や空気が対流しやすいスケルトン状態となるので、固液相変化材料10の機能回復効率をより向上させることが可能となる。またさらに、パックホルダー2自体の軽量化、スリム化を達成できるだけでなく、体温調節パック1の配置場所、配置数、パックサイズの選定が自在であるため、呼吸保護具等の必要設備に干渉して安全性を阻害する危険が少ない。また、通常一定時間の作業をしている着用者が特別に長い作業を行いたい場合は、メッシュ袋を、サイズが大きい体温調節パック1が封入されたものに交換することで容易にその目的を達成することができる。
【0097】
固液相変化材料からなる冷却材を装着し、下腹部を除く上半身に密着させて、その上に熱の逃げ場のない衣服(主に防護服等に相当するもの)を着用する耐久テストを行った結果、体感として、「一箇所でよいから冷たい箇所がほしい。一箇所よりは胸や背中に二箇所あれば、なお望ましい。さらに、二箇所よりは首や脇下にも冷たい箇所がほしい。また、各部位をなるべく広く冷やしたいが、すぐ融けるよりは熱吸収面積が狭くても長時間、熱吸収効果が持続するのが望ましい」という結論に至った。従って、本発明のパックホルダー2は、これらの目的を達成するために、任意の部位に任意のサイズの体温調節パック1を配備することができるような構成となっている。
【0098】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲において様々な変更が可能なものである。
【符号の説明】
【0099】
1 体温調節パック
2 パックホルダー
10 固液相変化材料
20 インナーパック
22 細長袋状部
30 断熱材
40 アウターパック
50 前面部
60 後面部
65 帯部
70 襟部パックホルダー
80 胴体パックホルダー
90 脚部パックホルダー
100体温調節パック
322細長袋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に固液相変化材料が充填される体温調節パックにおいて、
該体温調節パックは、平行に配列される複数の袋体を備え、
該複数の袋体の内部には前記固液相変化材料が隙間なく充填されていることを特徴とする体温調節パック。
【請求項2】
前記袋体の各々は、細長い円筒形状であることを特徴とする請求項1記載の体温調節パック。
【請求項3】
前記複数の袋体は、各々独立した細長袋体からなる請求項1又は2記載の体温調節パック。
【請求項4】
前記複数の袋体は、一対のインナーシートの周囲の縁部を貼り合わせると共に、平行に複数ケ所溶着することにより形成された細長袋状部からなる請求項1又は2記載の体温調節パック。
【請求項5】
前記体温調節パックの片面は断熱材で覆われることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の体温調節パック。
【請求項6】
前記固液相変化材料は、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウムあるいはノルマルパラフィンのいずれかひとつを含有する請求項1〜5のいずれか記載の体温調節パック。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の体温調節パックを身体側に取り付ける胴体パックホルダーであって、
該体温調節パックを任意の場所に着脱自在に取り付けることができることを特徴とする胴体パックホルダー。
【請求項8】
前記胴体パックホルダーは、着用者の胸部を覆う前面部と、着用者の背中を覆う後面部とを有し、
該前面部と該後面部とは、それぞれ着脱可能に接続されることを特徴とする請求項7記載の胴体パックホルダー。
【請求項9】
前記前面部と前記後面部とは、それぞれ伸縮自在な紐状体によって接続されることを特徴とする請求項8記載の胴体パックホルダー。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載の体温調節パックを首周りに着脱自在に取り付けることを特徴とする襟部パックホルダー。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれかに記載の体温調節パックを脚部に着脱自在に取り付けることを特徴とする脚部パックホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2012−143533(P2012−143533A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132056(P2011−132056)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(508128381)栄冠商事株式会社 (2)
【Fターム(参考)】