説明

作図処理プログラム、作図処理プログラムを記録した記録媒体、作図処理方法及び作図処理システム

【課題】本発明によれば、出力形式に応じて、効率的に図面を作成することができる。
【解決手段】作図制御部22は、モデル空間内のビューポート作業領域を特定する。作図制御部22は、設定されたビューポートに含まれるオブジェクトの属性を取得する。作図制御部22は、境界線座標を含む直管に端管記号を付与する端部処理を実行する。次に、通り芯のバルーン表示処理を実行する。次に、スケールに関する条件に応じて、複線を単線にする線分表示変換処理や、特定の属性種別のオブジェクトに対して寸法線付加処理を実行する。更に、ビューポートのスケールとは独立に所定の文字サイズを維持するための文字変換処理を実行する。各処理は、変換パターンデータ記憶部24に記録された属性種別、条件に対応させて記録した変換パターンを用いて行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図面の作成に用いる作図処理プログラム、作図処理プログラムを記録した記録媒体、作図処理方法及び作図処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、CAD(Computer Aided Design)装置が普及し、各種の図面を簡単に作成し、利用することができるようになった。図面を作成する場合、図8に示すように、1つの空間(以下、モデル空間100という)に、各種オブジェクトを生成して作図を行なう。そして、別の空間(以下、ペーパ空間110という)に、モデル空間100の一部を、ビューポートを介して貼り付ける。従って、ビューポート作業領域101に生成されたオブジェクト又はその一部が、ペーパ空間110上のビューポート貼付領域111に表示される。
【0003】
また、図形領域(モデル空間)上のビューポート領域を移動させることにより画面に表示されるビューポート領域内の図形をスクロールすることができる画面表示システムについて提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この技術では、マウス又はキーボードの操作に応じたスクロール制御手段の制御によって、図形領域上のビューポート領域を移動させる。これにより画面に表示されるビューポート領域内の図形をスクロールする。画面に表示される水平及び垂直スクロールバー内のスライダの両端につまみ部を設け、ビューポート領域の移動限界であるバーの端に位置したスライダのつまみ部がマウスでドラッグされた場合にスライダを端よりも更に端方向へ移動させる制御を行なう。
【0004】
このように、モデル空間とペーパ空間とを用いることにより、例えば、建築の図面の場合、1階分の図面データを1つのモデル空間において作図し、詳細な施工図面を印刷する場合には、ビューポートを用いてモデル空間を切り出してペーパ空間に貼り付けて印刷を行なう。これにより、設計図面から、図形を分割することなく複数の図面を作成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−330205号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ペーパ空間上に貼り付けられたビューポートでは、モデル空間に貼り付けられた図形としての表現をそのまま用いるために、設備等の属性を活用した表現ができない。すなわち、ビューポートとして貼り付けられたモデル空間の作図は、ビューポートの尺度に従って大きさは変えられることができるが、表示内容はモデル空間の相似形である。このため、図面の内容を把握し難かったり、文字等の大きさが不適切で読みにくかったりする場合がある。この場合、元のモデル空間の図面を修正し、印刷に適した内容に変更することも可能である。しかし、このような作業は煩雑であり、作業効率の低下を招くことになる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、出力形式に応じて、効率的に図面を作成することができる作図処理プログラム、記録媒体、方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モデル空間内に作成されたオブジェクトの属性情報を記録するオブジェクト記憶手段と、モデル空間内の座標指定を受け付ける座標入力手段と、モデル空間の座標入力手段で指定されたビューポート領域をペーパ空間に出力するビューポート出力手段と、これらを制御する制御手段とを用いて図面を出力する作図処理プログラムであって、前記制御手段を、前記ビューポート領域をペーパ空間に表示するために座標変換を行なう手段と、前記ビューポート領域に含まれるオブジェクトを特定し、このオブジェクトの属性を抽出する手段と、前記属性に応じて、ペーパ空間上の表示を変更する手段として機能させることを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の作図処理プログラムにおいて、ビューポート領域により切り出されたオブジェクトが、前記ビューポート領域の境界に接する場合には、端部処理を実行する手段として更に機能させることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の作図処理プログラムにおいて、ビューポート領域により切り出されたオブジェクトの属性に応じて、寸法線を表示する手段として更に機能させることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の作図処理プログラムにおいて、前記ペーパ空間において、前記ビューポート領域の周囲に属性表示領域を設け、前記ビューポート領域により切り出されたオブジェクトの属性を特定し、前記属性に応じて、前記属性表示領域に属性表示を生成する手段として更に機能させることを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、モデル空間内に作成されたオブジェクトの属性情報を記録するオブジェクト記憶手段と、モデル空間内の座標指定を受け付ける座標入力手段と、モデル空間の座標入力手段で指定されたビューポート領域をペーパ空間に出力するビューポート出力手段と、これらを制御する制御手段とを用いて図面を出力する作図処理プログラムを記録した記録媒体であって、前記制御手段を、前記ビューポート領域をペーパ空間に表示するために座標変換を行なう手段と、前記ビューポート領域に含まれるオブジェクトを特定し、このオブジェクトの属性を抽出する手段と、前記属性に応じて、ペーパ空間上の表示を変更する手段として機能させることを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、モデル空間内に作成されたオブジェクトの属性情報を記録するオブジェクト記憶手段と、モデル空間内の座標指定を受け付ける座標入力手段と、モデル空間の座標入力手段で指定されたビューポート領域をペーパ空間に出力するビューポート出力手段と、これらを制御する制御手段とを用いて図面を出力する作図処理方法であって、前記制御手段が、前記ビューポート領域をペーパ空間に表示するために座標変換を行なう段階と、前記ビューポート領域に含まれるオブジェクトを特定し、このオブジェクトの属性を抽出する段階と、前記属性に応じて、ペーパ空間上の表示を変更する段階とを実行することを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、モデル空間内に作成されたオブジェクトの属性情報を記録するオブジェクト記憶手段と、モデル空間内の座標指定を受け付ける座標入力手段と、モデル空間の座標入力手段で指定されたビューポート領域をペーパ空間に出力するビューポート出力手段と、これらを制御する制御手段とを用いて図面を出力する作図処理システムであって、前記制御手段が、前記ビューポート領域をペーパ空間に表示するために座標変換を行なう手段と、前記ビューポート領域に含まれるオブジェクトを特定し、このオブジェクトの属性を抽出する手段と、前記属性に応じて、ペーパ空間上の表示を変更する手段として機能することを要旨とする。
【0015】
(作用)
請求項1、5、6、7に記載の発明によれば、前記制御手段が、前記ビューポート領域をペーパ空間に表示するために座標変換を行なう。そして、前記制御手段が、前記ビューポート領域に含まれるオブジェクトを特定し、このオブジェクトの属性を抽出する。そして、前記属性に応じて、ペーパ空間上の表示を変更する。これにより、ビューポート内に存在するオブジェクトの属性に応じて、出力形式に応じて適切な表示に効率的に変更した図面を作成することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、前記制御手段が、ビューポート領域により切り出されたオブジェクトが、前記ビューポート領域の境界に接する場合には、端部処理を実行する。これにより、モデル空間のオブジェクトそのものを変更することなく、操作負担をかけることなく、適切な端部における形態を表現することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、前記制御手段が、ビューポート領域により切り出されたオブジェクトの属性に応じて、寸法線を表示する。これにより、ビューポート作業領域内を変更することなく、ペーパ空間において、効率的に寸法表示を行なうことができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、前記制御手段が、前記ペーパ空間において、前記ビューポート領域の周囲に属性表示領域を設け、前記ビューポート領域により切り出されたオブジェクトの属性を特定し、前記属性に応じて、前記属性表示領域に属性表示を生成する。これにより、効率的に、ビューポート内のオブジェクトの説明を付加することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、出力形式に応じて、効率的に図面を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態のシステム概略図。
【図2】本発明の一実施形態の処理手順の説明図。
【図3】本発明の一実施形態の作図の説明図。
【図4】本発明の一実施形態の作図の説明図。
【図5】本発明の一実施形態の作図の説明図。
【図6】本発明の一実施形態の作図の説明図。
【図7】本発明の一実施形態の作図の説明図。
【図8】ビューポートの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を、図1〜図7に従って説明する。本実施形態では、モデル空間におけるオブジェクトを、ビューポートを介してペーパ空間に貼り付けて設備図面を作成する場合に用いる作図処理プログラム、記録媒体、方法及びシステムとして説明する。この作図処理には、図1に示す作図処理システムを用いる。この作図処理システムは、座標入力手段としての入力部10、ビューポート出力手段としての表示部15、制御ユニット20から構成されている。
【0022】
入力部10は座標入力を受け入れる入力手段として機能し、マウスやペン入力タブレット等のポインティングデバイスやキーボード等の入力手段からなる。入力部10で生成された各種信号は、制御ユニット20に供給される。
【0023】
表示部15は、作図データ記憶手段に記録された各オブジェクト及び作図を行なうためのカーソルを表示する表示手段として機能し、液晶ディスプレイ等を用いて構成する。
制御ユニット20は、CPU等の演算処理手段、RAM、ROM、ハードディスク装置等のデータ記憶手段や外部とのインターフェイス手段から構成され、入力制御部21、制御手段としての作図制御部22、表示制御部23、変換パターンデータ記憶部24、オブジェクト記憶手段としての作図データ記憶部25を含んで構成される。
【0024】
入力制御部21は、入力部10から座標信号と、座標の選択信号とが供給される。例えば、座標信号は、ポインティングデバイスにより指示された位置等に基づく信号であり、作図を行なうモデル空間(作図空間)内の座標を特定したり、ビューポート領域を決定したりするために用いる。また選択信号は、選択入力(例えばクリック入力)が行なわれた場合に供給される。
【0025】
作図制御部22は、作図処理における各種データの管理を実行する。この作図制御部22は、作図処理プログラムを実行することにより、後述する処理(空間座標変換段階、オブジェクト属性抽出段階、表示変更段階等を含む処理)を行なう。その結果、作図制御部22は、空間座標変換手段、オブジェクト属性抽出手段、表示変更手段等の各手段として機能する。
【0026】
空間座標変換手段は、ビューポート領域をペーパ空間に表示するために座標変換を行なう手段として機能する。オブジェクト属性抽出手段は、ビューポート領域に含まれるオブジェクトを特定し、このオブジェクトの属性を抽出する手段として機能する。表示変更手段は、各オブジェクトの属性に応じて、ペーパ空間上の表示を変更する手段として機能する。
【0027】
変換パターンデータ記憶部24には、各オブジェクトの属性に基づいて、オブジェクトの形態を変更するための変換パターンデータが記録されている。この変換パターンデータには、オブジェクトの属性種別毎に、変換を行なう場合の条件と、オブジェクトを変換するためのパターンに関するデータが記録される。
【0028】
例えば、属性種別が「直管」のオブジェクトに対しては、条件として「ビューポート境界」を満足する場合、変換パターンとして「端部処理(管端記号表示)」を実行するためのデータが記録される。
【0029】
また、属性種別が「通り芯」のオブジェクトに対しては、条件として「ビューポート内全領域」において、変換パターンとして「バルーン表示」を実行するためのデータが記録される。
【0030】
また、属性種別が「配管」のオブジェクトに対しては、条件として「基準スケール」において、変換パターンとして「線分表示変換処理」を実行するためのデータが記録される。例えば、基準スケール以下において、配管オブジェクトが複線表示されている場合には単線表示に変更する。
【0031】
また、属性種別が特定の種類のオブジェクトに対しては、条件として「ビューポート内全領域」において、変換パターンとして「寸法線付加処理」を実行するためのデータが記録される。
【0032】
また、属性種別が「テキスト」のオブジェクトに対しては、条件として「ビューポート内全領域」において、変換パターンとして「一定のサイズの維持」を実行するためのデータが記録される。
【0033】
作図データ記憶部25には、モデル空間内で作成されたオブジェクト毎に、オブジェクト識別子、このオブジェクトの属性及びオブジェクトが占める座標範囲に関するデータが記録される。
【0034】
上記のように構成された作図処理システムを用いて、作図を行なう場合の処理手順を、図2に示すフロー図を用いて説明する。
まず、作図制御部22は、モデル空間100内のビューポート作業領域101を特定する(ステップS1−1)。ここでは、表示部15にモデル空間100を出力し、入力部10を用いてモデル空間100におけるビューポート作業領域101を設定させる。この場合、作図制御部22は、モデル空間100において設定されたビューポート作業領域101の座標に関するデータを取得する。更に、表示部15にペーパ空間110を出力し、入力部10を用いて、ペーパ空間110におけるビューポート貼付領域111を設定させる。
【0035】
次に、作図制御部22は、設定されたビューポートに含まれるオブジェクトの属性を取得する(ステップS1−2)。具体的には、作図制御部22は、作図データ記憶部25に記録された各オブジェクトの座標データを用いて、設定されたビューポート作業領域101の座標範囲内に存在するオブジェクトを特定する。そして、作図制御部22は、特定したオブジェクトに関するデータを作図データ記憶部25から抽出する。
【0036】
次に、作図制御部22は、端部処理(ステップS1−3)、バルーン表示処理(ステップS1−4)、線分表示変換処理(ステップS1−5)、寸法線付加処理(ステップS1−6)、文字変換処理(ステップS1−7)の各処理を実行する。ここでは、作図制御部22は、ビューポート作業領域101の座標範囲内に、変換パターンデータ記憶部24に記録された変換対象の属性種別や条件を満足するオブジェクトが存在するかどうかを確認する。そして、変換対象の属性種別のオブジェクトを検出した場合、作図制御部22は、変換パターンデータ記憶部24に記録された変換パターンを用いて表示変更を行なう。
【0037】
本実施形態では、まず作図制御部22は、端部処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、作図制御部22は、変換パターンデータ記憶部24を用いて、端部処理対象の属性種別を特定し、この属性種別を有するオブジェクトの存在の有無を確認する。端部処理対象のオブジェクトを検出した場合には、作図制御部22は、作図データ記憶部25から、このオブジェクトの座標領域を取得し、ビューポート作業領域101の境界線座標を包含するかどうかを確認する。そして、作図制御部22は、このようなオブジェクトに対して端部処理を行なう。
【0038】
以下、「直管」に関するオブジェクトの端部処理を一例として、図3、4を用いて説明する。
本実施形態では、図3に示すように、作図制御部22は、ペーパ空間110上のビューポート貼付領域111の内側に、ビューポート端部領域112を生成する。更に、作図制御部22は、ペーパ空間110上のビューポート貼付領域111の周囲に、属性表示領域としてのバルーン表示領域113を生成する。なお、このバルーン表示領域113は、次のバルーン表示処理(ステップS1−4)において利用する。
【0039】
そして、作図制御部22は、境界線座標を包含する「直管」オブジェクトのビューポート端部領域112をマスクし、ビューポート端部領域112に端管記号を出力する。この場合、作図制御部22は、作図データ記憶部25に記録された属性情報を利用してオブジェクトのサイズ(ここでは、直管の太さ)を特定し、端管記号の大きさを調整する。そして、ビューポート端部領域112に直管オブジェクトの端部に接合するように配置する。これにより、図4に示すように、直管は、ビューポート貼付領域111の境界において端部記号が表示される。
【0040】
次に、作図制御部22は、バルーン表示処理を実行する(ステップS1−4)。ここで、ステップS1−4において抽出したオブジェクトの属性に「通り芯」が存在する場合には、バルーン表示領域113に、図5に示すように、この「通り芯」オブジェクトに対応させてバルーン表示114を行なう。
【0041】
次に、作図制御部22は、線分表示変換処理を実行する(ステップS1−5)。ここでは、作図制御部22は、変換パターンデータ記憶部24を用いて、線分表示変換処理対象の属性種別を特定し、この属性種別を有するオブジェクトの存在の有無を確認する。そして、ビューポート作業領域101内に、線分表示変換処理対象のオブジェクトを検出した場合には、変換パターンデータ記憶部24に記録された条件を満足するかどうかを確認する。例えば、属性が「配管」であって、スケールに関する条件を満足する場合には、図6に示すように単線又は複線表示に変更する。ここでは、ビューポート作業領域101内の配管を削除し、変更した線分をビューポート貼付領域111内に設定する。
【0042】
次に、作図制御部22は、寸法線付加処理を実行する(ステップS1−6)。ここでは、作図制御部22は、変換パターンデータ記憶部24を用いて、寸法線付加処理対象の属性種別を特定し、この属性種別を有するオブジェクトの存在の有無を確認する。そして、ビューポート作業領域101内に、寸法線付加処理対象の属性種別を有するオブジェクトを検出した場合には、公知の寸法表示機能を用いて寸法表示を行なう。この場合には、ビューポート貼付領域111の上面に、他の透明レイヤ層を設けて、寸法線付加処理対象のオブジェクトに対して、この透明レイヤ層に寸法表示を行なう。
【0043】
次に、作図制御部22は、文字変換処理を実行する(ステップS1−7)。ここでは、作図制御部22は、変換パターンデータ記憶部24を用いて、文字変換処理対象の属性種別を特定し、この属性種別を有するオブジェクトの存在の有無を確認する。そして、ビューポート作業領域101内に、文字変換処理対象の属性種別を有するオブジェクトを検出した場合には、文字変換処理を行なう。具体的には、作図制御部22は、ビューポート作業領域101内に「文字」に関するテキストオブジェクトを検出した場合には、図形オブジェクトとは異なるスケール変換を行なう。例えば、図7に示すように、テキストオブジェクトの場合には、他の図形オブジェクトとの相対位置を維持しながら、サイズを一定に維持するように調整する。この結果、ビューポート作業領域101とビューポート貼付領域111との間でスケールが異なる場合、文字はこのスケールに追従させず、変換パターンデータ記憶部24に記録された変換パターンを用いて表示させる。
【0044】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
・上記実施形態では、作図制御部22は、設定されたビューポートに含まれるオブジェクトの属性を取得する(ステップS1−2)。そして、作図制御部22は、端部処理を実行する(ステップS1−3)。通常、ビューポート作業領域101の境界では直管が途中でカットされて表示されるため、図面品質が低下することがある。端部処理を実行することにより、モデル空間100のオブジェクトそのものを変更することなく、また操作負担をかけることなく、管端記号を付加して直管が連続していることを表現することができる。
【0045】
・上記実施形態では、作図制御部22は、設定されたビューポートに含まれるオブジェクトの属性を取得する(ステップS1−2)。そして、作図制御部22は、バルーン表示処理を実行する(ステップS1−4)。ビューポート貼付領域111の外のバルーンを表示させる場合、モデル空間100において、通り芯の説明部分に新たなビューポートを設ける必要がある。このための作図を行なうことは煩雑であるが、バルーン表示処理により効率的に通り芯等の説明を付加することができる。
【0046】
・上記実施形態では、作図制御部22は、設定されたビューポートに含まれるオブジェクトの属性を取得する(ステップS1−2)。そして、作図制御部22は、線分表示変換処理を実行する(ステップS1−5)。例えば、配管の設備図ように、スケールによって複線表示を単線表示に切り替える必要がある場合、新たに作図する必要があり、煩雑である。線分表示変換処理により効率的に表示を変更することができる。
【0047】
・上記実施形態では、作図制御部22は、設定されたビューポートに含まれるオブジェクトの属性を取得する(ステップS1−2)。そして、作図制御部22は、寸法線付加処理を実行する(ステップS1−6)。これにより、ビューポート作業領域101内を変更することなく、ペーパ空間110において、効率的に寸法表示を行なうことがきる。
【0048】
・上記実施形態では、作図制御部22は、設定されたビューポートに含まれるオブジェクトの属性を取得する(ステップS1−2)。そして、作図制御部22は、文字変換処理を実行する(ステップS1−7)。図面の中には、文字、ラベル、バルーン、サイズ記号、立管記号、系統記号等、各種文字が利用されることがある。ビューポート作業領域101におけるスケールと、ビューポート貼付領域111におけるスケールとが異なる場合、文字の大きさもスケールに応じて変化する。この場合、不必要に文字が大きくなったり、小さくなったりすることがある。文字変換処理により、文字の配置を変更せずに、文字の大きさを調整することができる。従って、効率的に読みやすい文字を表示させることができる。
【0049】
なお、上記実施形態は、以下の態様に変更してもよい。
○上記実施形態では、作図制御部22は、端部処理(ステップS1−3)、バルーン表示処理(ステップS1−4)、線分表示変換処理(ステップS1−5)、寸法線付加処理(ステップS1−6)、文字変換処理(ステップS1−7)の各処理を実行する。すべてを実行する必要はなく、この一部や複数の処理の組み合わせであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…入力部、15…出力部、20…制御ユニット、21…入力制御部、22…作図制御部、23…表示制御部、24…変換パターンデータ記憶部、25…作図データ記憶部、100…モデル空間、110…ペーパ空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モデル空間内に作成されたオブジェクトの属性情報を記録するオブジェクト記憶手段と、
モデル空間内の座標指定を受け付ける座標入力手段と、
モデル空間の座標入力手段で指定されたビューポート領域をペーパ空間に出力するビューポート出力手段と、
これらを制御する制御手段とを用いて図面を出力する作図処理プログラムであって、
前記制御手段を、
前記ビューポート領域をペーパ空間に表示するために座標変換を行なう手段と、
前記ビューポート領域に含まれるオブジェクトを特定し、このオブジェクトの属性を抽出する手段と、
前記属性に応じて、ペーパ空間上の表示を変更する手段
として機能させることを特徴とする作図処理プログラム。
【請求項2】
ビューポート領域により切り出されたオブジェクトが、前記ビューポート領域の境界に接する場合には、端部処理を実行する手段として更に機能させることを特徴とする請求項1に記載の作図処理プログラム。
【請求項3】
ビューポート領域により切り出されたオブジェクトの属性に応じて、寸法線を表示する手段として更に機能させることを特徴とする請求項1又は2に記載の作図処理プログラム。
【請求項4】
前記ペーパ空間において、前記ビューポート領域の周囲に属性表示領域を設け、
前記ビューポート領域により切り出されたオブジェクトの属性を特定し、前記属性に応じて、前記属性表示領域に属性表示を生成する手段として更に機能させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の作図処理プログラム。
【請求項5】
モデル空間内に作成されたオブジェクトの属性情報を記録するオブジェクト記憶手段と、
モデル空間内の座標指定を受け付ける座標入力手段と、
モデル空間の座標入力手段で指定されたビューポート領域をペーパ空間に出力するビューポート出力手段と、
これらを制御する制御手段とを用いて図面を出力する作図処理プログラムを記録した記録媒体であって、
前記制御手段を、
前記ビューポート領域をペーパ空間に表示するために座標変換を行なう手段と、
前記ビューポート領域に含まれるオブジェクトを特定し、このオブジェクトの属性を抽出する手段と、
前記属性に応じて、ペーパ空間上の表示を変更する手段
として機能させることを特徴とする作図処理プログラムを記録した記録媒体。
【請求項6】
モデル空間内に作成されたオブジェクトの属性情報を記録するオブジェクト記憶手段と、
モデル空間内の座標指定を受け付ける座標入力手段と、
モデル空間の座標入力手段で指定されたビューポート領域をペーパ空間に出力するビューポート出力手段と、
これらを制御する制御手段とを用いて図面を出力する作図処理方法であって、
前記制御手段が、
前記ビューポート領域をペーパ空間に表示するために座標変換を行なう段階と、
前記ビューポート領域に含まれるオブジェクトを特定し、このオブジェクトの属性を抽出する段階と、
前記属性に応じて、ペーパ空間上の表示を変更する段階と
を実行することを特徴とする作図処理方法。
【請求項7】
モデル空間内に作成されたオブジェクトの属性情報を記録するオブジェクト記憶手段と、
モデル空間内の座標指定を受け付ける座標入力手段と、
モデル空間の座標入力手段で指定されたビューポート領域をペーパ空間に出力するビューポート出力手段と、
これらを制御する制御手段とを用いて図面を出力する作図処理システムであって、
前記制御手段が、
前記ビューポート領域をペーパ空間に表示するために座標変換を行なう手段と、
前記ビューポート領域に含まれるオブジェクトを特定し、このオブジェクトの属性を抽出する手段と、
前記属性に応じて、ペーパ空間上の表示を変更する手段
として機能することを特徴とする作図処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−170897(P2011−170897A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126762(P2011−126762)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【分割の表示】特願2005−309046(P2005−309046)の分割
【原出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】