説明

作業列車を監視するコントロール装置および方法

軌道(5)上を走行可能であり起動工事処理を実行するための作業列車(1)を監視するコントロール装置(17)は基本的に、すべての作業車両(2)を相互に接続するコントロールライン(18)とメインコンピュータ(16)によって構成されている。各作業車両(2)には、コントロールライン(18)と接続されている車両識別装置(19)が配属されており、これは個々の作業車両(2)を規定する車両特性データを記憶している。コントロールライン(18)と接続されているメインコンピュータ(16)はディスプレイを有しており、障害メッセージが発生したときにこれによって個々の車両特性データが作業列車(1)における車両位置と組み合わせて表示させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の構成を備えた軌道上で走行可能な軌道工事処理用作業列車を監視するコントロール装置ならびに軌道工事処理用作業列車を監視する方法に関する。
【0002】
AT 5703 Uによれば複数の保管車から成る作業列車が知られており、これが目的とするのは、作業列車の一方の端部からその列車を通り抜けて他方の端部までばら物ないしはばら荷を搬送し、最終的には搬出のためにそれを保管することである。このようにして継続的な作業プロセスで、たとえば軌道のバラスト道床のクリーニングなどのために、保管車が連続的に充填され、最終的にはいっしょに空にするために搬出される。充填状態を持続的に監視するため保管車各々に、非接触で動作する間隔測定器としてコントロールシステムが配属されている。これによって山積みされたばら荷の高さが測定され、保管プロセスが自動的に調整される。
【0003】
本発明の課題は冒頭で述べた形式のコントロール装置において、作業列車の現在の動作状態に関して最適な概観が得られるようにすることである。
【0004】
本発明によればこの課題は、冒頭で述べた形式のコントロール装置において、請求項1の特徴部分に記載の構成により解決される。
【0005】
本発明によるコントロール装置によれば、簡単かつ確実に作業列車全体の目下の動作状態に関して著しく明快な概観を得ることができ、その際、作業列車が新たに編成しなおされて場合によっては個々の車両形式の構成が変更されても、それにまったく左右されることなくこのような概要を保証することができる。コントロール装置によって、ただ1つの作業車両に該当する障害メッセージが発生した場合でも、その障害にかかわらず作業列車に対して作業の実施を依然として継続可能か否かについて、状況を迅速に推定することができる。作業列車における車両の実際の順序に従いディスプレイに車両特性データないしは車両識別データを順番に配置することによって、操作員は障害メッセージを発した車両の対応個所を簡単かつ目標どおりに特定することができる。
【0006】
本発明による方法を用いることにより、作業列車編成後に自動的に操作員もしくはコントロール装置は、列車に組み入れられている車両形式に関する概要を確実に得ることができる。手動のデータ入力を回避することにより、入力エラーもしくは誤った通知により引き起こされるデータの不備が確実に排除される。すべての作業車両に関してただ1つの個所に集約された全体的な監視を行うことよって、単独の重要な作業装置の誤った動作が発生した場合に、著しく不都合な結果が引き起こされてしまうのを回避するため、作業列車の作業プロセスをただちに停止することができる。他方、ほとんど深刻でない障害メッセージが発生した場合であっても、引き続き制約のない作業の実施が可能であるか、あるいは場合によっては制約された作業の実施が可能であるかも、迅速に解明することができる。したがって最大の作業成果を達成するために、作業列車を著しく最適に使用することができる。
【0007】
その他の請求項ならびに図面には、本発明のさらに別の利点ならびに実施形態が示されている。
【0008】
次に、図面に描かれた実施例に基づき本発明について詳しく説明する。
【0009】
図1は、多数の作業車両を備え軌道上を走行可能な作業列車の側面略示図である。
【0010】
図2は、1つの作業車両の側面拡大図である。
【0011】
図3および図4は、コントロール装置のディスプレイの詳細図である。
【0012】
図1に示されている作業列車1は、互いに列を成す任意の個数の作業車両2によって構成されており、これらの作業車両は連結装置3によって互いに連結されている。各作業車両2はレール走行機構4によって軌道5上を走行可能であり、それぞれエネルギー供給ユニット6を装備している。作業列車1は走行駆動装置7により作業方向8へ走行可能である。
【0013】
バラスト9の洗浄およびその際に生じる廃物10を保管するために設けられている図示の作業列車1における作業車両2は、後端部に配置されている洗浄機11と保管車12によって構成されている。各作業車両2には、一般に作業装置14と呼ばれるコンベヤベルト13がそれぞれ配属されており、これらは共通の作業成果の達成、廃物10の搬出ならびに保管のために設けられている。
【0014】
洗浄機11の作業キャビン15内にコントロール装置17のメインコンピュータ16が設けられており、このコンピュータは略示されているコントロールライン18を介して作業車両2の各々と接続されている。各作業車両2には、コントロールライン18を介して接続された車両識別装置19(図2)がそれぞれ配属されており、これには車両識別子と型名が格納されている。同様に車両識別装置19には時間測定器30をもつメンテナンスカウンタ29がソフトウェア的に組み込まれており、これは作業車両2に配置されている様々な作業装置たとえばエネルギー供給ユニット6、ベルト駆動装置20等の動作時間を記録して格納する。各保管車12において、継続的に種々の車両装置の状態に関する実際値たとえば2つのベルトコンベヤ13の回転数、モータ回転数、充填レベル等が測定され、コントロールライン18を介してメインコンピュータ16へ送出される。メインコンピュータにおいて、それらの実際値が格納されている個々の車両に関連する目標値と比較される。それらの差が検出されるとただちに、メインコンピュータ16のディスプレイ21に表示されて記憶される。その際、まえもって規定されている許容範囲からの偏差に応じた分類と組み合わせられて、障害メッセージの表示が行われる。
【0015】
図2に拡大されて詳細に描かれている保管車12は作業方向8において、床面として用いられるコンベヤベルト13と車両前端部上に突出した別のコンベヤベルト13とを有しており、これにより廃物10が隣接する保管車12へと送られていく。各コンベヤベルト13には固有のベルト駆動装置20が配属されている。連続的な作業前進中にクリアリングチェーン23(図1)により収集されたバラスト9は、洗浄のためスクリーニング装置24へ供給される。その際に発生する廃物10は共通のコンベヤトラックを成すコンベヤベルト13を介して、作業列車1の他方の端部に配置されている保管車12へ搬送され、そこにおいて搬出のため保管される。この目的で、床面として用いられるコンベヤベルト13は低速で走行する。
【0016】
図3に略示されているディスプレイ21は作業車両2の個数に対応する光学的表示ユニット22を有しており、その際、参照符号「1」の付された第1の表示ユニット22は洗浄機11の車両識別データないしは車両特性データを表示する一方、隣り合う表示ユニット22は第2、第3ならびにそれ以降の保管車12の車両識別データないしは車両特性データを表示する。個々の表示ユニット22と個々の車両識別装置19とのこのような対応づけは、コントロールライン18を介した相応の問い合わせにより作業車両2の順序に従い自動的に行われる。このようにして作業列車1の正確なコンフィギュレーションを、その編成に応じてディスプレイから厳密に識別することができる。このようにすることで、障害メッセージが発生したときに点灯によってたとえば参照符号「5」の付された表示ユニット22がアクティブにされることになれば、それが作業列車1における第5の作業車両2に係わるものであることを、操作員がただちに識別できるようになる。
【0017】
障害メッセージに関連して、割り出された障害の分類に応じて個々の表示ユニット22をそれぞれ異なる色で点灯させると有利である。これに続いて、タッチスクリーンであれば点灯中の表示ユニット22に触れることで、障害メッセージもしくは対応する作業車両2に係わる詳細データのリストを呼び出すこともできる。障害メッセージは障害リスト28に表示され記憶される。
【0018】
図4には、作業列車1における第1の作業車両2に係わる表示ユニット22が拡大されて描かれており、この場合、第1のデータウィンドウ25には車両識別装置19から供給された車両識別番号が、第2のデータウィンドウ26には型名が車両特性データとして示されている。車両形式をイラストで説明するため、その車両形式を対応する画像27として表示させることもできる。種々の駆動装置20ならびにエネルギー供給ユニット6を、メインコンピュータ16から遠隔制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】多数の作業車両を備え軌道上を走行可能な作業列車の側面略示図
【図2】1つの作業車両の側面拡大図
【図3】コントロール装置のディスプレイの詳細図
【図4】コントロール装置のディスプレイの詳細図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道(5)上を走行可能であり軌道工事処理を実行する作業列車(1)を監視するためのコントロール装置(17)において、
前記作業列車(1)は、着脱可能な連結装置(3)を介して互いに連結され順次連続して配置されている複数の個々の作業車両(2)から成り、各作業車両(2)に、前記作業列車(1)の共通の作業成果を達成させるために共働する作業装置(14)が割り当てられていて、
a)すべての作業車両(2)を互いに接続しているコントロールライン(18)が設けられており、
b)各作業車両(2)に、前記コントロールライン(18)を介して接続された車両識別装置(19)が配属されており、該車両識別装置(19)は個々の作業車両(2)を規定する車両特性データを格納しており、
c)前記コントロールライン(18)を介して接続されておりディスプレイ(21)を有するメインコンピュータ(16)が設けられており、該メインコンピュータ(16)は、個々の作業装置(14)を障害なく使用するために重要なパラメータに対する目標値と実際値との差の結果として、障害メッセージを光学的に表示し、該障害メッセージが個々の車両特性データと組み合わせられていることを特徴とする、
作業列車(1)を監視するためのコントロール装置。
【請求項2】
請求項1記載のコントロール装置(17)において、
前記ディスプレイ(21)に、作業列車(1)における作業車両(2)の個数に対応する光学的表示ユニット(22)が設けられており、該光学的表示ユニット(22)は、それぞれ1つの作業車両(2)に割り当てられており、障害メッセージ発生時にアクティブ状態にすることができることを特徴とするコントロール装置。
【請求項3】
請求項2記載のコントロール装置(17)において、
前記光学的表示ユニット(22)は、作業列車(1)に存在する作業車両(2)の順序に従い相前後して配置されていることを特徴とするコントロール装置。
【請求項4】
請求項1、2または3のいずれか1項記載のコントロール装置(17)において、
各車両識別装置(19)に、種々の作業装置(14)のメンテナンスに対して設定されているメンテナンスインターバルをもつメンテナンスカウンタと、個々の作業装置(14)の起動後に自動的にアクティブ状態にすることのできる時間測定器が配属されていることを特徴とするコントロール装置。
【請求項5】
軌道(5)上で走行可能であり軌道上に相前後して配置された複数の作業車両(2)から成り軌道工事処理を実行するための作業列車(1)の監視方法において、
a)前記作業列車(2)を相互に接続しているコントロールライン(18)を介して、個々の作業車両(2)を識別する車両特性データをメインコンピュータ(16)へ伝送し、
b)該メインコンピュータ(16)において、作業列車(1)における作業車両(2)の順序に応じた順序で前記車両特性データを相前後して表示させ、
c)個々の作業装置(14)を障害なく使用するために重要なパラメータに対する目標値と実際値との差の結果として作業車両(2)から伝送される障害メッセージを、個々の車両特性データおよび作業列車(1)における作業車両(2)の位置と組み合わせて、前記メインコンピュータ(16)において表示させることを特徴とする、
作業列車の監視方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において
前記障害メッセージを記憶されている基準値と比較して、引き続き妨害のない作業列車(1)の作業実施についての影響に関して評価し、該評価に依存して光学的に種々の形式でディスプレイ(21)に表示することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項5または6記載の方法において、
前記障害メッセージが深刻なものであると評価されたならば、作業列車(1)の種々の作業車両(2)に配置されている作業装置(14)におけるすべての駆動装置(20)を停止状態にすることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−525906(P2006−525906A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505423(P2006−505423)
【出願日】平成16年1月16日(2004.1.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050021
【国際公開番号】WO2004/099503
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(390014421)フランツ プラツセル バーンバウマシーネン−インズストリーゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (29)
【氏名又は名称原語表記】Franz Plasser Bahnbaumaschinen−Industriegesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3,Wien 1,Austria
【Fターム(参考)】