説明

作業指示装置、装着ボードおよびこれらを備えた作業指示システム並びに作業指示装置の制御方法およびプログラム

【課題】注文受付端末の構成を変更無しに、作業効率のよい注文情報の提示する作業指示装置、装着ボード、作業指示システム、作業指示装置の制御方法およびプログラムを提供すること。
【解決手段】注文受付端末および印刷装置に接続されて用いられる作業指示装置(装着ボード6)であって、注文票を印刷するためのデータであって、注文品目を示す注文情報を含む注文票データの取得を許可する取得許可期間を設定する取得許可期間設定部22と、注文受付端末から、注文票データを取得する注文票データ取得部(コントローラI/F部11)と、取得許可期間内に取得した注文票データから、1以上の注文情報を抽出し、注文情報を注文品目ごとにグループ化して、作業指示票を印刷するための作業指示票データを生成する作業指示票データ生成部23と、生成した作業指示票データを、印刷装置に出力する作業指示票データ出力部(プリンターI/F部7)と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注文情報に基づいて作業指示を行う作業指示装置、装着ボードおよびこれらを備えた作業指示システム並びに作業指示装置の制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コントローラ(注文受付端末)が、発券機から取得した注文情報に所定の処理を施し、ディスプレイを有したキッチンプリンターに送信する発券機オーダーエントリーシステムが知られている(特許文献1参照)。キッチンプリンターは、取得した注文情報をディスプレイに表示し、調理済みの品物に貼付するためのシールを印刷する。なお、ディスプレイには、同一品目はまとめて表示される。
当該システムによれば、顧客の発券機操作に基づく注文情報がダイレクトにキッチンに伝わるため、混雑時における品物の提供時間を短縮すると共に、顧客の回転率の向上が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−103285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなシステムでは、混雑時に延々と注文情報を取得するため、ディスプレイには膨大な注文情報が同一品目にまとめて表示され、例えば、先に注文された注文情報がまとめて表示された注文情報の後ろに回されて表示されてしまう。かかる場合、先に注文された注文情報に対する品物提供時間が極端に長くなる虞がある。また、この点を解消するためには、コントローラ(注文受付端末)に新たなプログラムを搭載するか、または、コントローラを含めたシステム全体を交換する必要があり、コストがかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、注文受付端末の構成を変更することなく、作業効率のよい注文情報の提示を行うことができる作業指示装置、装着ボードおよびこれらを備えた作業指示システム並びに作業指示装置の制御方法およびプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作業指示装置は、注文受付端末および印刷装置に接続されて用いられる作業指示装置であって、注文票を印刷するためのデータであって、注文品目を示す注文情報を含む注文票データの取得を許可する取得許可期間を設定する取得許可期間設定部と、注文受付端末から、注文票データを取得する注文票データ取得部と、取得許可期間内に取得した注文票データから、1以上の注文情報を抽出し、注文情報を注文品目ごとにグループ化して、作業指示票を印刷するための作業指示票データを生成する作業指示票データ生成部と、生成した作業指示票データを、印刷装置に出力する作業指示票データ出力部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の作業指示装置の制御方法は、注文受付端末および印刷装置に接続されて用いられる作業指示装置の制御方法であって、作業指示装置が、注文票を印刷するためのデータであって、注文品目を示す注文情報を含む注文票データの取得を許可する取得許可期間を設定する取得許可期間設定ステップと、注文受付端末から、注文票データを取得する注文票データ取得ステップと、取得許可期間内に取得した注文票データから、1以上の注文情報を抽出し、注文情報を注文品目ごとにグループ化して、作業指示票を印刷するための作業指示票データを生成する作業指示票データ生成ステップと、生成した作業指示票データを、印刷装置に出力する作業指示票データ出力ステップと、を実行することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、注文票データの取得時間を区切って、取得許可期間内に取得した注文票データに含まれる注文情報を品目ごとに並べ替えるため、適切な注文情報の数が含まれた作業指示票を印刷することができる。すなわち、作業効率のよい注文情報の提示を行うことができる。また、注文受付端末の構成を変更する必要なく、上記の構成を実現できるため、導入コストを抑えることができる。
【0009】
この場合、取得許可期間設定部は、ユーザーにより所定の操作が行われたタイミングで、取得許可期間の開始時刻および終了時刻の少なくとも一方を設定することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ユーザーの作業ペースに合わせた最適な注文指示票を印刷することができる。なお、1回の所定の操作で、既に開始されている取得許可期間の終了時刻と、次に開始される取得許可期間の開始時刻とを設定可能としても良い。また、開始時刻と終了時刻について別途操作を必要とし、取得許可期間の後に空白期間を発生させても良い。
【0011】
また、取得許可期間設定部は、ユーザーにより所定の操作が行われたタイミングで、取得許可期間の開始時刻を設定し、当該開始時刻から所定時間経過後に取得許可期間の終了時刻を設定することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ユーザーが取得許可期間の終了時刻を設定するための所定の操作を行わなくてよいため、作業に集中することができる。
【0013】
一方、ユーザーの操作に基づいて取得許可期間を設定する第1のモードと、取得許可期間を予め定められた所定期間とする第2のモードと、のいずれかを切り替えるモード切替部を、さらに備え、取得許可期間設定部は、モード切替部の切替結果に応じて、取得許可期間を設定することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、繁忙時間帯において第2のモードに切り替え、ユーザーが操作する時間的余裕がある場合に第1のモードを切り替えれば、作業ペースにあったより効率のよい作業を促す作業指示票を印刷することができる。なお、第2のモードの場合、取得許可期間を等間隔として定めても良いし(例えば5分ごと等)、非等間隔として定めても良い。これにより、繁忙時間帯の繁忙程度によって、期間を定めることができる。
【0015】
また、作業指示票データを表示する表示装置と、表示装置に表示された作業指示票データに含まれる1以上の注文情報の中から任意の注文情報を選択操作するための入力装置と、にさらに接続して用いられ、作業指示票データ生成部は、入力装置から任意の注文情報の選択操作信号を取得した場合、当該任意の注文情報と同じの注文品目を示す注文情報をグループ化することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、ユーザーの操作によって、同一の注文品目をグループ化させることができる。これにより、ユーザーが作業しやすいように注文情報がソーティングされた作業指示票を印刷することができる。なお、グループ化された注文品目をその他の注文品目よりも上に配置して印刷させるようにしてもよい。
【0017】
この構成によれば、表示装置および入力装置は、タッチパネル装置により実現されることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、表示装置と入力装置を一体とすることができるため、省スペース化を実現することができる。また、ユーザーが注文情報を直感的に選択操作することができる。
【0019】
また、この場合、スキャナー装置にさらに接続して用いられ、注文品目を示すバーコード情報を記憶した記憶部と、印刷装置の印刷制御を行う印刷制御部と、表示装置の表示制御を行う表示制御部と、をさらに備え、印刷制御部は、作業指示票データに基づいて印刷される各注文情報に、対応するバーコード情報を関連付けて印刷させ、表示制御部は、スキャナー装置から、作業指示票に印刷されたすべてのバーコード情報に対してスキャン完了信号を取得した場合、当該作業指示票データの表示を消去することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、ユーザーが各注文情報に対して作業が終了したら、作業指示票に印刷された当該注文情報に対するバーコードをスキャンするようにすれば、作業指示票に印刷されたすべての注文情報に対応する品物に対応する作業が終了したことを表示装置で確認することができる。また、作業がすべて終了した作業指示票データの表示を消去することで、重複作業を防止することができる。
【0021】
本発明の装着ボードは、上記の作業指示装置として機能し、印刷装置に装着して用いられることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、印刷装置周りの省スペース化を実現することができる。
【0023】
本発明の作業指示システムは、上記の装着ボードが装着された印刷装置と、注文受付端末と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、注文受付端末の構成を変更することなく、効率的な作業を促す作業指示システムを実現することができる。
【0025】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記の作業指示装置の制御方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、効率的な作業を促す作業指示システム実現するプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】一実施形態に係る調理指示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】注文情報の取得許可期間の手動モードを示した図(a)と、自動モードを示した図を示した図(b)である。
【図3】手動モードにおける取得許可期間設定処理を示したフローチャートである。
【図4】調理指示票の印刷処理を示したフローチャートである。
【図5】調理指示票の一例を示した図である。
【図6】調理終了処理を示したフローチャートである。
【図7】手動モードにおけるキッチンディスプレイに表示する画面の一例を示した図である。
【図8】手動モードにおけるキッチンディスプレイに表示する画面の一例を示した図である。
【図9】自動モードにおけるキッチンディスプレイに表示する画面の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態にかかる作業指示装置およびこれを備えた作業指示システムについて説明する。なお、本実施形態の作業指示装置およびこれを備えた作業指示システムとして、飲食店で用いられる調理指示装置および調理指示システムを例示する。この調理指示装置および調理指示システムは、配膳者が受けた注文を示す注文情報に基づいて、調理者に対して調理作業効率のよい調理指示票を印刷するものである。また、本実施形態では、調理指示装置として、印刷装置であるキッチンプリンターに装着された装着ボードを例示する。
【0029】
図1は、本実施形態に係る調理指示システムSYの構成を示したブロック図である。図示のように、調理指示システムSYは、オーダー入力端末1と、オーダーコントローラ2と、キッチンプリンター3と、キッチンディスプレイ4(タッチパネル装置)と、ハンディスキャナー5(スキャナー装置)と、キッチンプリンター3に装着された装着ボード6と、を備えている。
【0030】
オーダー入力端末1およびオーダーコントローラ2、オーダーコントローラ2およびキッチンプリンター3に装着されている装着ボード6は、店内LAN等のネットワークNT1,NT2により接続されている。一方、装着ボード6と、キッチンディスプレイ4およびハンディスキャナー5とは、それぞれ独立したインターフェース(例えば、USB(Universal Serial Bus)インターフェース)を介して接続されている。
【0031】
オーダー入力端末1は、配膳者が個々に携帯し、注文品目、数量、およびテーブル番号を入力するためのものである。オーダー入力端末1は、入力された注文品目、数量、およびテーブル番号を注文情報として、オーダーコントローラ2に送信する。なお、オーダー入力端末1は、レジカウンターに設置されたPOS端末と一体型の入力装置、顧客が直接操作する券売機、携帯端末および各テーブルに設置されている設置型オーダー端末等により構成してもよい。
【0032】
オーダーコントローラ2は、例えば、店舗のバックヤードに設置され、オーダー入力端末1から取得した注文情報から、注文票を印刷するための注文票データを生成し、生成した注文票データをキッチンプリンター3に出力する。注文票データには、店舗情報、日時情報、注文情報、金額情報等が含まれている。なお、店舗情報を示す画像データ、金額情報および注文票の印刷レイアウトは、オーダーコントローラ2が予め記憶しているものとする。なお、オーダーコントローラ2を、POS端末で構成しても良い。また、オーダーコントローラ2を店舗外(例えば本社等)に設置されたWEBサーバーで構成し、PCや携帯端末で構成された各オーダー入力端末1から注文情報を取得し、注文票データをインターネットを介してキッチンプリンター3に出力する構成としてもよい。
【0033】
なお、「注文受付端末」とは、オーダー入力端末1およびオーダーコントローラ2を指す。
【0034】
キッチンプリンター3は、店舗のキッチン内に設置され、注文票および後述の調理指示票(作業指示票)を印刷する(図5参照)。キッチンプリンター3は、着脱可能に取り付けられた装着ボード6と、印刷機能を成すプリンター本体7と、を有している。
【0035】
装着ボード6は、オーダーコントローラ2から注文票データを入力するためのコントローラI/F部11(注文票データ取得部)と、キッチンプリンター3に注文票データおよび調理指示票データ(作業指示票データ)を出力するためのプリンターI/F部12(作業指示票データ出力部)と、ハンディスキャナー5からスキャン完了信号を取得すると共に、キッチンディスプレイ4に表示データを出力するための周辺機器I/F部13と、計時部14と、記憶部15と、制御部16と、を備えている。
【0036】
計時部14は、いわゆるRTC(リアルタイムクロック:real time clock)であり、現在時刻を計時する。本実施形態では、注文情報の取得時刻、注文情報の取得許可期間の開始時刻および終了時刻が、制御部16によって読み出される。
【0037】
記憶部15は、注文情報を構成する各要素(注文品目、数量、テーブル番号)に対応するバーコード情報を記憶している。また、記憶部15は、調理指示票に印刷するための印刷レイアウト等も記憶している。
【0038】
制御部16は、装着ボード6を統括制御すると共に、プリンター本体7、キッチンディスプレイ4およびハンディスキャナー5の入出力制御を行うものである。制御部16は、注文票データの取得モードを切り替えるモード切替部21、取得許可期間を設定する取得許可期間設定部22、調理指示票データを生成する調理指示票データ生成部23(作業指示票データ生成部)、プリンター本体7の印刷制御を行う印刷制御部24、およびキッチンディスプレイ4の表示制御を行う表示制御部25を有している。
【0039】
モード切替部21は、キッチンディスプレイ4が有するモード切替ボタン47の押下信号を取得すると、注文票データの取得モードを「手動モード」および「自動モード」の間で切り替える。なお、「第1のモード」とは「手動モード」を指し、「第2のモード」とは「自動モード」を指す。
【0040】
取得許可期間設定部22は、「手動モード」が選択されている場合、ユーザー(例えば、配膳者または調理者)の操作に基づいて取得許可期間の開始および終了を設定する。本実施形態では、取得許可期間設定部22は、キッチンディスプレイ4が有するスタートボタン49、ストップボタン46および再スタートボタン45のいずれかの押下信号を取得すると、取得許可期間を開始または終了させる。
【0041】
調理指示票データ生成部23は、調理指示票に印刷するための調理指示票データを生成する。具体的には、取得許可期間内にオーダーコントローラ2から取得した注文票データから、1以上の注文情報を抽出し、当該注文情報を注文品目ごとに分類(グループ化)して調理指示票データを生成する。
【0042】
印刷制御部24は、オーダーコントローラ2から注文情報を取得すると、テーブル番号ごとの注文票をプリンター本体7に印刷させる制御を行う。また調理指示票データ生成部23が生成した調理指示票データに含まれる注文情報に対して、記憶部15に記憶してある当該注文情報を示すバーコード情報を関連付けて、調理指示表を印刷させる。
【0043】
表示制御部25は、調理指示票データ生成部23が生成した調理指示票データに含まれる注文情報に対して、当該注文情報の取得時刻および調理終了マーク43を関連付けて、キッチンディスプレイ4に表示させる。
【0044】
プリンター本体7は、印刷制御部24からの制御信号にしたがって、オーダーコントローラ2から取得した注文票データを印刷し、注文票を発行する。また、調理指示票データ生成部23が生成した調理指示票データを印刷し、調理指示票を発行する。注文票は、注文品の配膳がすべて完了したテーブルに配布され、会計処理に使用される。一方、調理指示票は、キッチン内で使用され、調理者は調理指示表をもとに調理を行う。
【0045】
キッチンディスプレイ4は、例えば、キッチン内または配膳カウンターに設置され、表示制御部25からの制御信号にしたがって、調理指示票データ生成部23が生成した調理指示票データに基づいた画面を表示する(図7ないし図9参照)。また、キッチンディスプレイ4は、タッチパネル画面40を有し、注文情報を確認すると共に、注文票データの取得モードの切替や、取得許可期間の開始および終了の操作を行うための入力装置として機能する。
【0046】
ハンディスキャナー5は、キッチンプリンター3の近傍、または調理指示票が使用される場所に設置されることが望ましく、調理指示票に印刷されたバーコード情報をスキャンするために使用される。調理者は、注文品を調理し終えると、調理指示票の該当するバーコード情報を、ハンディスキャナー5によってスキャンする。
【0047】
ここで、図2を参照して、注文票データの取得モードについて説明する。注文票データの取得モードは、ユーザーの操作に基づいて取得許可期間が設定される「手動モード」と、予め所定の時間を取得許可期間とする「自動モード」を有している。
【0048】
図2(a)に示すように、「手動モード」は、キッチンディスプレイ4のスタートボタン49の押下によって、取得許可期間を開始する。取得許可期間中に再スタートボタン45が押下されると、取得許可期間が終了し、同時に新たな取得期間が開始される。一方、取得期間中にストップボタン46が押下されると、取得許可期間が終了し、次にスタートボタン49が押下されるまで、オーダーコントローラ2から注文票印刷データを取得しない取得禁止期間となる。この取得禁止期間においては、オーダーコントローラ2が注文票データを出力することができない。なお、オーダー入力端末1が取得禁止期間に出力した注文票データは、オーダーコントローラ2が蓄積し、取得許可期間が開始されたら再度出力する。
また、使用例として、通常は、再スタートボタン45の押下によって取得許可期間を繰り返し、異常な繁忙や機器の故障等の異常発生時にストップボタン46の押下によって注文票データの取得を禁止させることが望ましい。
【0049】
なお、「所定の操作」とは、本実施形態において、キッチンディスプレイ4のスタートボタン49、再スタートボタン45およびストップボタン46のいずれかの押下を指す。また、再スタートボタン45およびストップボタン46を備えず、スタートボタン49の押下による開始時刻から所定時間経過後に取得許可期間の終了時刻を自動設定するようにしてもよい。
【0050】
一方、図2(b)に示すように、「自動モード」は、予め制御部16の制御プログラムに定められた所定の時間(例えば、5分)の取得許可期間が、ユーザーの操作なしに繰り返される。ユーザーが取得許可期間の開始および終了を操作する余裕のない繁忙時にこの「自動モード」を選択すると利便性がよい。なお、「自動モード」における取得許可期間の時間は、等間隔としてもよいし、非等間隔にしてもよい。例えば、昼食時間帯および夕食時間帯に間隔を短くし、その他の時間帯に間隔を長く設定しておけば、効率のよい作業指示票の印刷を行うことができる。
【0051】
次に、図3を参照し、「手動モード」における取得許可期間の設定処理について説明する。まず、装着ボード6(制御部16)は、注文票データの取得モードを「手動モード」に切り替え(S01)、スタートボタン49の押下信号を取得すると(S02)、注文票データの取得許可期間を開始する(S03)。続いて、再スタートボタン45の押下信号を取得すると(S04:再スタート)、現在継続している取得許可期間を終了させて、新たな取得許可期間を開始する(S05)。そして、再スタートボタン45の押下が繰り返されるかぎり、S04(再スタート)およびS05の動作を繰り返す。
【0052】
一方、ストップボタン46が押下されると(S04:ストップ)、現在継続している取得許可期間を終了させる(S06)。そして、再びスタートボタン49が押下信号を取得するまで(S02)、取得禁止期間を継続させる。
【0053】
続いて、図4を参照し、調理指示票の印刷処理について説明する。まず、装着ボード6(制御部16)は、注文票データの取得許可期間を終了すると(S11)、当該取得許可期間中に取得した注文票データから1以上の注文情報を抽出し(S12)、抽出した注文情報を注文品目ごとに分類する(S13:調理指示票データの生成)。そして、調理指示票データに含まれる各注文情報に対して、当該注文情報を示すバーコード情報を関連付ける(S14)。その後、調理指示票データをプリンター本体7に出力する(S15)。
【0054】
ここで、図5を参照し、調理指示票について説明する。同図は、キッチンプリンター3が印刷する調理指示票の一例である。調理指示票は、データ取得情報印刷領域31と、調理指示票データ印刷領域32と、バーコード情報表示領域33と、を有している。データ取得情報印刷領域31には、調理指示票データのもととなった注文票データの取得許可期間を示す日付、開始時刻および終了時刻が印刷される。調理指示票データ印刷領域32には、生成された調理指示票データが印刷されている。すなわち、取得許可期間中に取得した注文票データに含まれた注文情報が、注文品目ごとに並び替えられて印刷される。なお、デーブル番号が異なる場合であっても、同一注文品目をまとめて印刷するようにしてもよい。バーコード情報表示領域33には、注文情報を示すバーコード情報が印刷される。このように、注文品目ごとに注文情報が印刷された調理指示票を印刷することで、効率的な調理指示を行うことができる。なお、この印刷されたバーコード情報がハンディスキャナー5によってスキャンされる。
【0055】
続いて、図6を参照し、調理終了処理について説明する。装着ボード6(制御部16)は、ハンディスキャナー5からバーコード情報のスキャン完了信号を取得すると(S21)、スキャン完了信号を取得した注文情報に対して調理終了マーク43を関連付けて、キッチンディスプレイ4に表示させる(S22)。そして、調理指示票に含まれるすべての注文情報に対してスキャン完了信号を取得すると(S23:YES)、当該調理指示票データの表示を消去する(S24)。一方、調理指示票に含まれるすべての注文情報に対してスキャン完了信号を取得していない場合は(S23:NO)、S21〜S23の動作を繰り返す。
【0056】
最後に、図7ないし図9を参照し、キッチンディスプレイ4に表示する画面について説明する。図7および図8は、注文票データの取得モードが「手動モード」に切り替えられている場合の画面の一例である。
【0057】
図7は、すでに注文データの取得許可期間が開始されている場合の画面を示している。当該画面(タッチパネル画面40)は、調理指示票データ表示領域41と、操作ボタン表示領域42と、を有している。調理指示票データ表示領域41には、生成した調理指示票データ、注文情報の取得時刻および調理終了マーク43(以下、調理指示情報という)が表示される。なお、上記のように調理終了マーク43は、調理指示票に印刷されたバーコード情報のスキャン完了通知を取得した注文情報に対してのみ表示される。そして、調理指示票データ表示領域41の左端部には、調理指示票データ表示領域41に表示されている画面をスクロールするためのスクロールバー44が表示されている。調理指示票データ表示領域41には、順次、取得許可期間ごとに生成される調理指示票データに基づいた調理指示情報が時系列に下に連ねて表示される。ユーザーは、スクロールバー44を上下に操作することによって、表示させたい調理指示情報を画面内に表示させることができる。また、取得許可期間内での調理指示情報においてすべての注文情報に対して、調理終了マーク43が表示されると、当該調理指示情報の表示は消去され、次の取得許可期間の調理指示情報が先頭に表示される。
【0058】
操作ボタン表示領域42には、再スタートボタン45、ストップボタン46、モード切替ボタン47および取得許可期間情報48を表示している。再スタートボタン45は、現在継続している取得許可期間を終了させて新たな取得許可期間を開始させるときに使用する。ストップボタン46は、現在継続している取得許可期間を終了させときに使用する。モード切替ボタン47は、注文票データの取得モードを切り替えるときに使用する。なお、「手動モード」に切り替えられている画面においては、モード切替ボタン47は「自動モードへ」と表示される。取得許可期間情報48は、調理指示票データ表示領域41に表示されている調理指示情報の各取得許可期間の開始時刻および終了時刻を表示する。また、取得許可期間情報48は、調理指示票データ表示領域41の枠内先頭に表示されている調理指示情報に対応する取得許可期間の開始時刻および終了時刻を太枠で表示する。
【0059】
図8は、取得許可期間が開始されていない場合の画面を示している。すなわち、図7の画面においてストップボタン46が押下された場合の画面である。当該画面(タッチパネル画面40)は、同様に、調理指示票データ表示領域41と、操作ボタン表示領域42と、を有している。調理指示票データ表示領域41には、ストップボタン46の押下によって終了された取得許可期間の調理指示情報が、前回の取得許可期間の調理指示情報の下に連なって表示されている。操作ボタン表示領域42には、再スタートボタン45およびストップボタン46の表示がなくなり、スタートボタン49、モード切替ボタン47および取得許可期間情報48が表示されている。スタートボタン49は、取得許可期間を開始させるときに使用する。モード切替ボタン47は、上記のものと同様である。取得許可期間情報48には、取得許可期間の終了時刻の表示が加えられている。
【0060】
図9は、注文票データの取得モードが「自動モード」に切り替えられている場合の画面の一例である。当該画面(タッチパネル画面40)は、調理指示票データ表示領域41と、操作ボタン表示領域42と、を有している。調理指示票データ表示領域41には、「自動モード」における画面と同様の内容が表示される。操作ボタン表示領域42には、モード切替ボタン47および取得許可期間情報48が表示される。モード切替ボタン47は、「自動モード」に切り替えられている画面においては「手動モードへ」と表示される。取得許可期間情報48は、自動設定された等間隔の取得許可期間の開始時刻および終了時刻が表示される。また、調理指示票データ表示領域41の枠内先頭に表示されている調理指示情報に対応する取得許可期間の開始時刻および終了時刻を太枠で表示する。
【0061】
なお、タッチパネル画面40上の注文品目をタッチすると当該注文品目を含む注文情報が先頭に表示されるようにしてもよい。これによれば、ユーザーが確認しやすいように表示順を変更させることができる。
【0062】
これまで説明してきた本発明の調理指示装置および調理指示システムSYによれば、オーダーコントローラ2の構成を変更することなく、調理指示票によって作業効率のよい注文情報の提示を行うことができる。また、調理指示表に印刷される注文情報が、品目ごとに分類されているため、まとめ調理を促すことができ、作業効率のよい調理指示を行うことができる。
【0063】
なお、上記の実施形態では、注文票データから抽出した注文情報を自動的に注文品目ごとに分類するとしたが、注文情報を取得順にいったんキッチンディスプレイ4に表示させ、ユーザーがタッチパネル画面40上の所望の注文品目をタッチすることで、当該注文品目の注文情報をまとめると共に、その他の注文品目よりも上に配置して表示させるようにしてもよい。この場合、手動によるソーティングが終了した時点で、調理指示票を印刷することが好ましい。この構成によれば、ユーザーの選択によって、例えば、調理に時間がかかる品目等、まとめ調理が必要な品目のみをまとめて表示・印刷させて、より現場の事情にあった作業効率のよい作業指示を行うことができる。
【0064】
また、上記の各実施形態では、キッチンディスプレイ4がタッチパネル画面40を有していたが、別に入力装置(例えば、キーボードや音声入力装置等)を設けて、注文票データの取得モードの切り替え操作および取得許可期間の設定操作を行うようにしてもよい。また、上記の実施形態では、これらの操作を行う各操作ボタンを、キッチンディスプレイ4のタッチパネル画面40に備えているが、装着ボード6、その他の入力装置等に備えてもよい。
【0065】
また、キッチンプリンター3を複数設置し、注文票印刷専用のものと、調理指示票印刷専用のものと、に分けてもよい。さらに、調理指示票印刷専用のキッチンプリンター3を複数設け、複数の調理場所に配置してもよい。この場合、各調理場所で印刷される調理指示票は、当該調理場所にて調理される注文品目を含んだ注文情報を印刷することが好ましい。
【0066】
また、装着ボード6は、キッチンプリンター3以外の機器に装着させるように構成してもよい。また、装着ボード6は、独立した注文管理装置として構成しても良い。また、上記の実施形態においては、飲食店の調理指示に使用する調理指示装置および調理指示システムSYを例示したが、本発明は、飲食店以外の注文を受けた商品に対して何らかの作業を行う場合(ピッキング作業の指示システムなど)も使用することができる。
【0067】
なお、上記の各実施形態で実行可能な調理指示システムSYの処理工程をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリー等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを、調理指示システムSYの各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
1:オーダー入力端末 2:オーダーコントローラ 3:キッチンプリンター 4:キッチンディスプレイ 5:ハンディスキャナー 6:装着ボード 14:計時部 15:記憶部 16:制御部 21:モード切替部 22:取得許可期間設定部 23:調理指示票データ生成部 24:印刷制御部 25:表示制御部 33:バーコード情報表示領域 40:タッチパネル画面 41:調理指示票データ表示領域 SY:調理指示システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注文受付端末および印刷装置に接続されて用いられる作業指示装置であって、
注文票を印刷するためのデータであって、注文品目を示す注文情報を含む注文票データの取得を許可する取得許可期間を設定する取得許可期間設定部と、
前記注文受付端末から、前記注文票データを取得する注文票データ取得部と、
前記取得許可期間内に取得した前記注文票データから、1以上の前記注文情報を抽出し、前記注文情報を前記注文品目ごとにグループ化して、作業指示票を印刷するための作業指示票データを生成する作業指示票データ生成部と、
生成した前記作業指示票データを、前記印刷装置に出力する作業指示票データ出力部と、を備えたことを特徴とする作業指示装置。
【請求項2】
前記取得許可期間設定部は、ユーザーにより所定の操作が行われたタイミングで、前記取得許可期間の開始時刻および終了時刻の少なくとも一方を設定することを特徴とする請求項1に記載の作業指示装置。
【請求項3】
前記取得許可期間設定部は、ユーザーにより所定の操作が行われたタイミングで、前記取得許可期間の開始時刻を設定し、当該開始時刻から所定時間経過後に前記取得許可期間の終了時刻を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の作業指示装置。
【請求項4】
前記ユーザーの操作に基づいて前記取得許可期間を設定する第1のモードと、前記取得許可期間を予め定められた所定期間とする第2のモードと、のいずれかを切り替えるモード切替部を、さらに備え、
前記取得許可期間設定部は、前記モード切替部の切替結果に応じて、前記取得許可期間を設定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の作業指示装置。
【請求項5】
前記作業指示票データを表示する表示装置と、
前記表示装置に表示された前記作業指示票データに含まれる1以上の前記注文情報の中から任意の注文情報を選択操作するための入力装置と、にさらに接続して用いられ、
前記作業指示票データ生成部は、前記入力装置から前記任意の注文情報の選択操作信号を取得した場合、当該任意の注文情報と同じの注文品目を示す注文情報をグループ化することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の作業指示装置。
【請求項6】
前記表示装置および前記入力装置は、タッチパネル装置により実現されることを特徴とする請求項5に記載の作業指示装置。
【請求項7】
スキャナー装置にさらに接続して用いられ、
前記注文品目を示すバーコード情報を記憶した記憶部と、
前記印刷装置の印刷制御を行う印刷制御部と、
前記表示装置の表示制御を行う表示制御部と、をさらに備え、
前記印刷制御部は、前記作業指示票データに基づいて印刷される各注文情報に、対応する前記バーコード情報を関連付けて印刷させ、
前記表示制御部は、前記スキャナー装置から、前記作業指示票に印刷されたすべてのバーコード情報に対してスキャン完了信号を取得した場合、当該作業指示票データの表示を消去することを特徴とする請求項5または6に記載の作業指示装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の作業指示装置として機能し、
前記印刷装置に装着して用いられることを特徴とする装着ボード。
【請求項9】
請求項8に記載の装着ボードが装着された印刷装置と、
前記注文受付端末と、を備えたことを特徴とする作業指示システム。
【請求項10】
注文受付端末および印刷装置に接続されて用いられる作業指示装置の制御方法であって、
前記作業指示装置が、
注文票を印刷するためのデータであって、注文品目を示す注文情報を含む注文票データの取得を許可する取得許可期間を設定する取得許可期間設定ステップと、
前記注文受付端末から、前記注文票データを取得する注文票データ取得ステップと、
前記取得許可期間内に取得した前記注文票データから、1以上の前記注文情報を抽出し、前記注文情報を前記注文品目ごとにグループ化して、作業指示票を印刷するための作業指示票データを生成する作業指示票データ生成ステップと、
生成した前記作業指示票データを、前記印刷装置に出力する作業指示票データ出力ステップと、を実行することを特徴とする作業指示装置の制御方法。
【請求項11】
コンピューターに、請求項10に記載の作業指示装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−8832(P2012−8832A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144688(P2010−144688)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】