説明

作業機の作業具装置

【課題】 バケットによる掘る動作及び運ぶ動作ができると共に、掴み動作もでき、しかも作業具用シリンダが一種類で済み、シリンダの制御やその油圧回路の構造が簡単になり、全体の構造も簡単で製造費が安上がりになるようにする。
【解決手段】 第1作業部材と第2作業部材とで掴み動作をするように、第1リンクと第2リンクとが開閉軸廻りに揺動自在に連結され、第1作業部材と第2作業部材とが閉じた状態で互いに固定されてバケットを構成するように、第1リンクと第2リンクとが開閉軸から離間した位置で挿脱自在の連結ピンにより連結固定可能に構成され、
第1作業部材のブーム支軸廻りの揺動動作に連動して第2作業部材が第1作業部材に対して開閉軸廻りに揺動することにより第1作業部材と第2作業部材とが掴み動作するように、第2リンクの先端側とブームとが第3リンクにより連結解除自在に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームの先端側に作業具を取り付けるようにしたローダ作業機やバックホー等の作業機の作業具装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のローダ作業機やバックホー等の作業機の作業具装置には、ブームの先端側にバケット(作業具)が装着され、ブームと作業具との間に作業具用シリンダが連結され、作業具用シリンダの伸縮により作業具を動作させるようにしたものがあり、バケットに対向させてサムをブームの先端に装着し、サム用シリンダをサムとブームとの間に設け、サム用シリンダの伸縮動作によってバケットに対してサムを開閉動作させて、バケットとサムとの間で掴み動作させて、物を掴むことができるように構成したものがある(例えば特許文献1)。
【0003】
また、他の作業機の作業具装置には、ブームの先端側に掴み動作をする作業具を構成する一対の作業部材を設け、一種類の開閉用シリンダの伸縮動作により、一対の作業部材に掴み動作させるようにしたものがある(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−92763号公報
【特許文献2】特開2000−34743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前者の従来の場合、サムを取り外すことによって、バケットによる掘る動作及び運ぶ動作ができると共に、サムを取り付けることによって、掴み動作ができるようになっているが、バケット用シリンダとサム用シリンダとの二種類のシリンダが必要であり、シリンダの制御やその油圧回路の構造が複雑になり、全体の構造が複雑で製造費も高く付いた。
また、後者の従来の場合、作業具用シリンダが一種類で済み、シリンダの制御及びその油圧回路の構成が簡単になるが、バケットによる掘る動作及び運ぶ動作ができないため、不便であった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて、バケットによる掘る動作及び運ぶ動作ができると共に、掴み動作もでき、しかも作業具用シリンダが一種類で済み、シリンダの制御やその油圧回路の構造が簡単になり、全体の構造も簡単で製造費が安上がりになるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、ブームの先端側に作業具が装着され、ブームと作業具との間に作業具用シリンダが連結され、作業具用シリンダの伸縮により作業具を動作させるようにした作業機の作業具装置であって、
前記作業具は第1作業部材と第2作業部材とを備え、第1作業部材の基部側に第1リンクが突設され、第2作業部材の基部側に第2リンクが突設され、第1作業部材と第2作業部材とで掴み動作をするように、第1リンクと第2リンクとが開閉軸廻りに揺動自在に連結され、第1作業部材と第2作業部材とが閉じた状態で互いに固定されてバケットを構成するように、第1リンクと第2リンクとが開閉軸から離間した位置で挿脱自在の連結ピンにより連結固定可能に構成され、
第1作業部材に支持ブラケットが設けられ、支持ブラケットがブームの先端部にブーム支軸廻りに揺動自在に連結され、作業具用シリンダの伸縮動作により第1作業部材がブーム支軸廻りに揺動するように、支持ブラケットに作業具用シリンダが連結され、第1作業部材のブーム支軸廻りの揺動動作に連動して第2作業部材が第1作業部材に対して開閉軸廻りに揺動することにより第1作業部材と第2作業部材とが掴み動作するように、第2リンクの先端側とブームとが第3リンクにより連結解除自在に連結されている点にある。
【0008】
また、本発明の他の技術的手段は、前記開閉軸は第1リンクと第2リンクとを連結解除自在に連結しており、開閉軸による第1リンクと第2リンクとの連結を解除して第2作業部材と第2リンクと第3リンクとをブーム側から取り外すことにより、第1作業部材が、作業具用シリンダの伸縮動作によりブーム支軸廻りに揺動可能であって押し動作可能に構成されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、第1作業部材及び第1リンクがブーム及び作業具用シリンダから着脱可能になるように、前記支持ブラケットは第1リンクに着脱自在に取り付けられている点にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1リンクと第2リンクとを開閉軸から離間した位置で連結ピンにより連結することにより、第1作業部材と第2作業部材とが閉じた状態で互いに固定されて、バケットによる掘る動作及び運ぶ動作ができるようになると共に、前記連結ピンを取り外すことにより、第1作業部材のブーム支軸廻りの揺動動作に連動して第2作業部材が第1作業部材に対して開閉軸廻りに揺動して、第1作業部材と第2作業部材とが掴み動作するようになる。しかも、作業具用シリンダが一種類で済み、シリンダの制御や油圧回路が簡単になり、全体の構造も単純で製造費が安上がりになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示す作業機の全体側面図である。
【図2】同ブーム及び作業具部分の平面図である。
【図3】同ブーム及び作業具部分の拡大平面図である。
【図4】同掴み動作をする状態の作業具部分の側面図である。
【図5】同掘る運ぶ動作をする状態の作業具部分の側面図である。
【図6】同押す動作をする状態の作業具部分の側面図である。
【図7】同ブームから取り外した状態の第2作業部材部分の側面図である。
【図8】同ブームから作業具を取り外した状態のブーム先端部分の側面図である。
【図9】同ブームから取り外した状態の作業具部分の側面図である。
【図10】同作業部材同士が開いた状態の作業具部分の側面図である。
【図11】他の実施形態を示す掴み動作をする状態の作業具部分の側面図である。
【図12】同作業部材同士が開いた状態の作業具部分の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1において、1は、トラクタ(走行車両)2の前部にフロントローダ3を装着してなるローダ作業機である。
トラクタ2の車体4は、エンジンの後方にクラッチハウジングを連結すると共に、該クラッチハウジングの後方にミッションケースを連結して主構成されてなり、操向輪となる左右一対の前輪7と、駆動輪となる左右一対の後輪8とで走行可能に支持されている。
エンジンは前部のボンネット5内に収納され、エンジンの下部左右側面には、該エンジンから前方に突出する前車軸フレーム6がボルト等によって取付固定されており、この前車軸フレーム6に前車軸、前車軸ケース等を介して前輪7が支持されている。
【0012】
車体4の後部上方には運転席10が設けられ、運転席10の前方には、操縦ハンドル11が設けられている。
フロントローダ3は、フレーム12と、ブーム13と、バケットを構成する作業具(アタッチメント)14とを備えている。
フレーム12は、車体4の前部側方に、該車体4から左右方向外方に突出状に配置された支持台15と、この支持台15に、該支持台15から上方突出状に設けられたメインフレーム17と、このメインフレーム17に着脱自在に取り付けられたサイドフレーム18と、車体4の側方に前後方向に配置されたサブフレーム19とを左右一対ずつ備えている。
【0013】
ブーム13は左右一対設けられ、左右各ブーム13は、その基端側(後端側)がピンによってサイドフレーム18の上部に回動自在に枢支連結されて左右方向の支軸16廻りに
上下揺動自在とされており、左右のブーム13はその前部側において、連結部材21によって相互に連結されている。
また、左右の各ブーム13の中途部と、左右の各サイドフレーム18の中途部とにわたって油圧シリンダからなるブーム用シリンダ20が介装され、この左右一対のブーム用シリンダ20の伸縮によって左右のブーム13が上下に揺動可能とされている。
【0014】
図2〜図5において、左右一対のブーム13の先端側に作業具14が装着され、左右一対のブーム13と作業具14との間に左右一対の作業具用シリンダ25が連結され、作業具用シリンダ25の伸縮により作業具14を動作させるように構成されている。
作業具14は第1作業部材26と第2作業部材27とを備える。第1作業部材26は左右一対の側壁体28と、一対の側壁体28間に設けられた後壁体29とを備え、後壁体29は前後幅の短い底壁部30とくの字状に屈曲した背壁部31とを一体に有し、底壁部30に前方に突出した爪体32が設けられている。第2作業部材27は左右一対の側壁体34と一対の側壁体34間に設けられた底壁体35とを備え、底壁体35に後方に突出した後爪体36と前方に突出した前爪体37とが設けられている。
【0015】
第1作業部材26の基部側に第1リンク39が突設され、第2作業部材27の基部側に第2リンク40が突設されている。作業具14(第1作業部材26及び第2作業部材27)の左右幅は、左右一対のブーム13の離間幅よりも大に形成され、第1リンク39は第1作業部材26の左右両側に左右一対ずつ配置され、第2リンク40は第2作業部材27の左右両側に左右一対ずつ配置されている。作業具14の左右両側において、左右一対の第2リンク40は左右一対の第1リンク39の外側に各第1リンク39と平行に配置されている。
【0016】
第2作業部材27の左右両側における各左右一対の第2リンク40のうちの左右方向内方側の第2リンク40同士は左右方向の内連結体41により互いに連結されている。第2作業部材27の左右両側における各左右一対の第2リンク40のうちの左右方向外方側の各第2リンク40は第2作業部材27の側壁体34に外連結体42によりそれぞれ連結されている。
作業具14の左右両側における、左右一対の第1リンク39と左右一対の第2リンク40とが開閉軸43廻りにそれぞれ揺動自在に連結されている。開閉軸43は左右一対の第1リンク39の中途部に設けた連結ボス部44と左右一対の第2リンク40の中途部に設けた連結ボス部45とに挿脱自在に挿入されて、第1リンク39と第2リンク40とを連結解除自在に連結しており、開閉軸43を連結ボス部44,45から抜き取ることによって左右一対の第1リンク39と左右一対の第2リンク40との連結を解除することができる。
【0017】
作業具14の左右両側の各左右一対の第1リンク39の先端部に連結ボス46が設けられ、各左右一対の第2リンク40の中途部に連結ボス47が設けられ、第2作業部材27を第1作業部材26に対して開閉軸43廻りに揺動して第1作業部材26と第2作業部材27とが閉じた状態になったときに、第1リンク39の連結ボス46と第2リンク40の連結ボス47とが一致するようになっており、第1リンク39の連結ボス46と第2リンク40の連結ボス47とが一致した状態で連結ピン49を連結ボス46,47に挿入することによって、左右一対の第1リンク39と左右一対の第2リンク40とが開閉軸43から離間した位置で挿脱自在の連結ピン49により連結固定され、これにより、第1作業部材26と第2作業部材27とが閉じた状態で互いに固定されて、第1作業部材26と第2作業部材27とで掘る動作及び運ぶ動作をするバケットを構成するようになっている。
【0018】
即ち、第1作業部材26と第2作業部材27とが閉じた状態で互いに固定されると、第1作業部材26の側壁体28と第2作業部材27の側壁体34とでバケットの側壁を構成し、第1作業部材26の後壁体29の底壁部30及び爪体32と、第2作業部材27の底壁体35及び後爪体36とで、バケットの前後に長い底壁を構成し、第1作業部材26の後壁体29の背壁部31でバケットの背壁を構成するようになっている。
作業具14の左右両側において、第1作業部材26に支持ブラケット51がそれぞれ着脱自在に設けられ、左右一対の支持ブラケット51は左右方向の連結杆52により互いに
連結されている。各支持ブラケット51は、左右一対のブラケット板53を有し、左右一対のブラケット板53を後述する溝形成部材60及び取付ボス部62により互いに連結してなる。
【0019】
支持ブラケット51の支持ボス部55とブーム13の先端の支持ボス部56にブーム支軸57を挿入することにより、左右一対の支持ブラケット51が左右一対のブーム13の先端部にそれぞれブーム支軸57廻りに揺動自在に連結されている。左右一対(作業具14の左右両側)の支持ブラケット51に連結ボス部58を介して左右一対の作業具用シリンダ25がそれぞれ支軸54廻りに揺動自在に連結され、作業具用シリンダ25の伸縮動作により第1作業部材26がブーム支軸57廻りに揺動するように構成されている。
支持ブラケット51の基端側の上端部にU字状の係止溝59を有する溝形成部材60が固設され、第1リンク39の基部側の上部に係合軸61が設けられ、係止溝59に係合軸61を係合することにより、支持ブラケット51に第1リンク39の基部側の上部が係合軸61廻りに揺動可能に係止されている。支持ブラケット51の基端側の下部に取付ボス部62が設けられ、第1リンク39の基部側の下部に取付ボス部63が設けられ、これら取付ボス部62,63に取付ピン64を挿脱自在に挿入することにより、支持ブラケット51の基端側の下部と第1リンク39の基部側の下部とが挿脱自在の取付ピン64により連結解除自在に連結されている。係止溝59に係合軸61を係合すると共に、支持ブラケット51の基端側の下部と第1リンク39の基部側の下部とを取付ピン64により連結することによって、支持ブラケット51が第1リンク39乃至第1作業部材26に着脱自在に固定されている。従って、取付ピン64を支持ブラケット51及び第1リンク39から取り外し、係止溝59から係合軸61を外すことによって、図8及び図9に示すように、支持ブラケット51乃至ブーム13から第1作業部材26、第2作業部材27、第1リンク39、第2リンク40及び後述の第3リンク66を取り外すことができるようになっている。
【0020】
作業具14の左右両側において、左右一対の第2リンク40の先端側とブーム13とが左右一対の第3リンク66によりそれぞれ連結解除自在に連結され、第1作業部材26のブーム支軸57廻りの揺動動作に連動して第2作業部材27が第1作業部材26に対して開閉軸43廻りに揺動することにより第1作業部材26と第2作業部材27とが掴み動作するように構成されている。
即ち、第1作業部材26及び第2作業部材27の左右両側に、左右一対の第2リンク40とブーム13とを連結する左右一対の第3リンク66がそれぞれ設けられ、左右一対の第3リンク66は、左右一対の第2リンク40の外側に各第2リンク40に対して近接して平行に配置されている。第3リンク66の一端部側に連結ボス部67が設けられ、第2リンク40の先端側に連結ボス部68が設けられ、第3リンク66の連結ボス部67と第2リンク40の連結ボス部68とに支持軸69を挿入することにより、第3リンク66の一端部側が第2リンク40の先端側に支持軸69廻りに揺動自在に連結されている。第3リンク66の他端側に連結ボス部71が設けられ、ブーム13の先端側に支持片70を介して連結ボス部72が設けられ、第3リンク66の連結ボス部71とブーム13の連結ボス部72とに連結ピン73を挿通することにより、第3リンク66の他端側がブーム13の先端側に挿脱自在の連結ピン73によりピン軸廻りに揺動自在でかつ連結解除自在に連結されている。そして、第3リンク66の他端側がブーム13の先端側に連結ピン73により連結されたときに、第1作業部材26のブーム支軸57廻りの揺動動作に連動して、第2作業部材27が第1作業部材26に対して開閉軸43廻りに揺動して第1作業部材26と第2作業部材27とが掴み動作するように構成されている。
【0021】
左右一対の第3リンク66の中途部に連結ボスに対応する取付孔75が設けられ、連結ピンを左右一対の第3リンク66及びブーム13から抜き取って第3リンク66とブーム13との連結を解除し、左右一対の第3リンク66を第2リンク40に対して支持軸69廻りに揺動することにより、第3リンク66の取付孔75を第1リンク39の連結ボス46及び第2リンク40の連結ボス47に一致させることができ、この状態で連結ピン49を取付孔75及び連結ボス46,47に挿入することによって、左右一対の第1リンク3
9と左右一対の第2リンク40と左右一対の第3リンク66とを一体になるように固定できると共に、第1作業部材26と第2作業部材27とが閉じた状態で互いに固定されるようになっている。
【0022】
開閉軸43を連結ボス部44,45から抜き取って第1リンク39と第2リンク40との連結を解除し、連結ピン73を左右一対の第3リンク66及びブーム13から抜き取って第3リンク66とブーム13との連結を解除することにより、図6及び図7に示すように、第2作業部材27と第2リンク40と第3リンク66とをブーム13側から簡単に取り外すことでき、これにより、第1作業部材26が左右一対の作業具用シリンダ25の伸縮動作によりブーム支軸57廻りに揺動可能であって、第1作業部材26で路面等に積もった雪を排除等をするための押し動作が可能になるように構成されている。
【0023】
なお、第1作業部材26による押し動作の作業は、例えば図6に鎖線で示すように、第1作業部材26の底部が下方に位置するように作業具用シリンダ25の伸縮動作により第1作業部材26をブーム支軸57廻りに揺動させると共にブーム13を下降させて、第1作業部材26の底部(爪体32、底壁部30)を接地乃至地面等に近接させた状態で、ローダ作業機1を前進させることによりなされる。
上記実施の形態によれば、作業具14により木材や金属材料等を掴んで移動等する場合、図4及び図10に示すように、開閉軸43を左右一対の第1リンク39の連結ボス部44と左右一対の第2リンク40の連結ボス部45とに挿入して、左右一対の第1リンク39と左右一対の第2リンク40とを開閉軸43廻りに揺動自在に連結し、第3リンク66の連結ボス部71とブーム13の連結ボス部72とに連結ピン73を挿通することにより、第3リンク66の他端側をブーム13の先端側にピン軸廻りに揺動自在に連結し、この状態で、作業具用シリンダ25を伸縮動作させればよい。
【0024】
この場合、作業具用シリンダ25を縮小動作させると、図4に示すように、支持ブラケット51、第1リンク39及び第1作業部材26がブーム支軸57廻りに矢印a1方向に揺動し、第1作業部材26のブーム支軸57廻りの揺動動作に連動して、第2リンク40及び第2作業部材27が第1作業部材26に対して開閉軸43廻りに矢印a2方向に揺動して、第1作業部材26と第2作業部材27とが開閉軸43廻り閉じる動作をする。また、作業具用シリンダ25を伸長動作させると、図10に示すように、支持ブラケット51、第1リンク39及び第1作業部材26がブーム支軸57廻りに矢印b1方向に揺動し、第1作業部材26のブーム支軸57廻りの揺動動作に連動して、第2リンク40及び第2作業部材27が第1作業部材26に対して開閉軸43廻りに矢印b2方向に揺動して、第1作業部材26と第2作業部材27とが開閉軸43廻り開く動作をする。
【0025】
従って、作業具用シリンダ25を伸縮動作させると、第1作業部材26と第2作業部材27とが開閉軸43廻り開閉して、掴み動作を繰り返す。従って、作業具14を使用して木材や金属材料等を掴んで移動することができる。なお、作業具14により木材等を掴んで移動する等の掴み作業をする際には、ブーム13をフローティング状態にして作業をする。
また、作業具14により土等を掘ったり運んだりする場合、図5に示すように、連結ピン73を左右一対の第3リンク66及びブーム13から抜き取って第3リンク66とブーム13との連結を解除し、左右一対の第3リンク66を第2リンク40に対して支持軸69廻りに揺動することにより、第3リンク66の取付孔75を第1リンク39の連結ボス46及び第2リンク40の連結ボス47に一致させて、連結ピン49を取付孔73及び連結ボス46,47に挿入することによって、左右一対の第1リンク39と左右一対の第2リンク40と左右一対の第3リンク66とを一体になるように固定し、この状態で、作業具用シリンダ25を伸縮動作させればよい。
【0026】
この場合、作業具用シリンダ25を縮小動作させると、第1作業部材26と第2作業部材27とが閉じた状態で、支持ブラケット51、第1リンク39、第2リンク40及び第3リンク66と共にブーム支軸57廻りに矢印a1方向に揺動する。また、作業具用シリンダ25を伸長動作させると、第1作業部材26と第2作業部材27とが閉じた状態で、支持ブラケット51、第1リンク39、第2リンク40及び第3リンク66と共にブーム
支軸57廻りに矢印b1方向に揺動する。そして、第1作業部材26と第2作業部材27とが閉じた状態で固定されることにより、第1作業部材26の側壁体28と第2作業部材27の側壁体28とでバケットの側壁を構成し、第1作業部材26の後壁体29の底壁部30及び爪体32と、第2作業部材27の底壁体35及び後爪体36とで、バケットの前後に長い底壁を構成し、第1作業部材26の後壁体29の背壁部31でバケットの背壁を構成し、作業具14をバケットとして機能させることができる。
【0027】
また、作業具14で路面等に積もった雪を排除する等の押し動作をする場合、図6及び図7に示すように、開閉軸43を連結ボス部44,45から抜き取って第1リンク39と第2リンク40との連結を解除し、連結ピン73を左右一対の第3リンク66及びブーム13から抜き取って第3リンク66とブーム13との連結を解除し、図6及び図7に示すように、第2作業部材27と第2リンク40と第3リンク66とをブーム13側から取り外せばよい。そして、作業具用シリンダ25を伸縮動作させて、第1作業部材26による押し動作の作業は、例えば図6に鎖線で示すように、第1作業部材26の底部が下方に位置するように作業具用シリンダ25の伸縮動作により第1作業部材26をブーム支軸57廻りに揺動させると共に、ブーム13を下降させて第1作業部材26の底部を接地乃至地面等に近接させた状態で、作業機を前進させることによりなされる。従って、前後幅の短い底壁部30とくの字状に屈曲した背壁部31とを一体に有し、底壁部30に前方に突出した爪体32が設けられている第1作業部材26で良好に雪を排除する作業等を良好になし得る。
【0028】
図11及び図13は他の実施形態を示し、第2リンク40を細長く形成すると共に、第3リンク66をくの字状に屈曲した細長い形状にし、第3リンク66の中途部に取付孔75を有する取付ボス部77を設けたものである。その他の点は前記実施形態の場合と同様の構成であり、前記実施の形態の場合と同様に、開閉軸43を左右一対の第1リンク39の連結ボス部44と左右一対の第2リンク40の連結ボス部45とに挿入して、左右一対の第1リンク39と左右一対の第2リンク40とを開閉軸43廻りに揺動自在に連結し、第3リンク66の連結ボス部71とブーム13の連結ボス部72とに連結ピン73を挿通することにより、作業具用シリンダ25を伸縮動作させると、第1作業部材26と第2作業部材27とが開閉軸43廻り開閉して、作業具14を使用して木材や金属材料等を掴んで移動することができる。
【0029】
また、連結ピン73を左右一対の第3リンク66及びブーム13から抜き取って第3リンク66とブーム13との連結を解除し、連結ピン73を取付孔75及び連結ボス46,47に挿入することによって、左右一対の第1リンク39と左右一対の第2リンク40と左右一対の第3リンク66とを一体になるように固定することにより、作業具14をバケットとして機能させることができる。
また、第2作業部材27と第2リンク40と第3リンク66とをブーム13側から取り外すことにより、第1作業部材26で押し動作をして雪を排除する作業等を良好になし得る。
【符号の説明】
【0030】
1 ローダ作業機
3 フロントローダ
13 ブーム
14 作業具
25 作業具用シリンダ
26 第1作業部材
27 第2作業部材
39 第1リンク
40 第2リンク
43 開閉軸
51 支持ブラケット
57 ブーム軸
66 第3リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブーム(13)の先端側に作業具(14)が装着され、ブーム(13)と作業具(14)との間に作業具用シリンダ(25)が連結され、作業具用シリンダ(25)の伸縮により作業具(14)を動作させるようにした作業機の作業具装置であって、
前記作業具(14)は第1作業部材(26)と第2作業部材(27)とを備え、第1作業部材(26)の基部側に第1リンク(39)が突設され、第2作業部材(27)の基部側に第2リンク(40)が突設され、第1作業部材(26)と第2作業部材(27)とで掴み動作をするように、第1リンク(39)と第2リンク(40)とが開閉軸(43)廻りに揺動自在に連結され、第1作業部材(26)と第2作業部材(27)とが閉じた状態で互いに固定されてバケットを構成するように、第1リンク(39)と第2リンク(40)とが開閉軸(43)から離間した位置で挿脱自在の連結ピン(49)により連結固定可能に構成され、
第1作業部材(26)に支持ブラケット(51)が設けられ、支持ブラケット(51)がブーム(13)の先端部にブーム支軸(57)廻りに揺動自在に連結され、作業具用シリンダ(25)の伸縮動作により第1作業部材(26)がブーム支軸(57)廻りに揺動するように、支持ブラケット(51)に作業具用シリンダ(25)が連結され、第1作業部材(26)のブーム支軸(57)廻りの揺動動作に連動して第2作業部材(27)が第1作業部材(26)に対して開閉軸(43)廻りに揺動することにより第1作業部材(26)と第2作業部材(27)とが掴み動作するように、第2リンク(40)の先端側とブーム(13)とが第3リンク(66)により連結解除自在に連結されていることを特徴とする作業機の作業具装置。
【請求項2】
前記開閉軸(43)は第1リンク(39)と第2リンク(40)とを連結解除自在に連結しており、開閉軸(43)による第1リンク(39)と第2リンク(40)との連結を解除して第2作業部材(27)と第2リンク(40)と第3リンク(66)とをブーム(13)側から取り外すことにより、第1作業部材(26)が、作業具用シリンダ(25)の伸縮動作によりブーム支軸(57)廻りに揺動可能であって押し動作可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の作業機の作業具装置。
【請求項3】
第1作業部材(26)及び第1リンク(39)がブーム(13)及び作業具用シリンダ(25)から着脱可能になるように、前記支持ブラケット(51)は第1リンク(39)に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機の作業具装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−185246(P2010−185246A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31214(P2009−31214)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】