説明

作業機械の燃料遮断構造及び作業機械の燃料遮断方法

【課題】 作業機械の燃料遮断構造及び作業機械の燃料遮断方法に関し、簡素な構成で、コスト削減が可能でかつ利便性を向上させることができるようにする。
【解決手段】 作業機械の燃料タンク5に貯留された燃料をエンジンへ供給するための燃料供給路1と、燃料タンク5内の燃料液面aよりも高い位置で燃料供給路1から分岐する分岐路2と、分岐路2を大気開放又は閉鎖する開閉手段3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械においてエンジンへの燃料供給を遮断するのに用いて好適な燃料遮断構造及び燃料遮断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、油圧ショベル等の作業機械において、燃料タンクに貯留された燃料をエンジンへ供給する燃料供給路には、その通路を開閉制御するシャットオフバルブが設けられている。このシャットオフバルブは、例えばエンジン内部の点検時や燃料タンクの取り外しの際などの整備点検時に、燃料通路を閉鎖するように操作されて、燃料流通を遮断することができるようになっている。
【0003】
このような燃料の流通を遮断するための装置としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1には、燃料タンク下部からエンジンへ接続される燃料配管の途中にシャットオフバルブが介装され、このシャットオフバルブが作業機械に備えられた施錠可能なドア内に配設される構成が開示されている。このような燃料供給を遮断する構成により、ドアを閉鎖して施錠することで関係者以外の第三者にシャットオフバルブが操作されないように適切に管理することができ、かつ、燃料供給を遮断する際には、ドアの施錠を解除してドアを開放することでシャットオフバルブの操作を可能とすることができるようになっている。
【特許文献1】特開2000−144804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、作業機械において、オペレータが搭乗するキャブの外部からの操作によって作業機械の作動を停止させることができるようにした作動停止装置の開発が要望されている。これは例えば、外部操作によってエンジンを停止させて作業装置の作動を停止させるための装置である。
そこで、このような作動停止装置として、上述のシャットオフバルブ等の燃料供給遮断装置を利用してエンジンを停止させる方法が検討されている。例えば、上述の特許文献1に記載されたような従来の燃料供給遮断装置の場合、シャットオフバルブが介装される燃料供給路の配設位置を、機体の外部から容易にアクセス可能な位置を通るラインに設定することによって、キャブ外部から作業機械の作動を停止させるための作動停止装置として機能させることが考えられる。
【0005】
しかし、作業機械における燃料供給路は一般に、機体における比較的構造強度の高い箇所、すなわち、機体の内部側に配設されるようになっており、従来の燃料供給遮断装置も燃料供給路の配管ライン上の燃料タンク下部や比較的機体の内部側に配設されるようになっている。そのため、外部からのアクセス性の向上のために燃料供給遮断装置を機体の外部側に設けるためには、燃料供給路を機体の外部側を通るルートにしなければならず、機体の内部側と外部側との往路,復路の分だけ配管経路を長くする必要が生じてしまう。つまり、作動停止装置としての機能的な要求によって、燃料供給路の組み立てが複雑となるだけでなく配管量が実際に必要な量よりも大幅に増加し、製品コストが増加してしまう。
【0006】
また、例えば上述の特許文献1に記載の技術の場合、第三者によってシャットオフバルブが操作されないようにドアが施錠されるようになっているため、燃料供給を遮断したい時には一旦ドアの施錠を解除する必要があり、作動停止装置を使用しようとするユーザにとっての操作が煩雑となり、使い勝手が低下してしまう。
このように、従来の燃料供給遮断装置をエンジンの作動停止装置として機能させる場合、低コスト化が困難であるとともに、燃料供給を容易に遮断できる使いやすさを向上させることが困難であるという課題が生じる。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み案出されたもので、簡素な構成で、コストを削減でき利便性を向上させることができるにした、作業機械の燃料遮断構造及び作業機械の燃料遮断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目標を達成するため、本発明の作業機械の燃料遮断構造(請求項1)は、作業機械の燃料タンクに貯留された燃料をエンジンへ供給するための燃料供給路と、該燃料タンク内の燃料液面よりも高い位置で該燃料供給路から分岐する分岐路と、該分岐路を大気開放又は閉鎖する開閉手段とを備えたことを特徴としている。
また、該分岐路は、該分岐路を大気へ開放しうる開口を有し、該開閉手段は、該分岐路上において該燃料供給路との分岐点と該開口との間に介装されて該分岐路を開閉制御する弁として設けられることが好ましい(請求項2)。
【0009】
あるいは、該分岐路は、該分岐路を大気へ開放しうる開口を有し、該開閉手段は、該開口を閉塞する脱着可能な栓を備えて構成されることが好ましく(請求項3)、さらに、該遮断部材は、該栓と連結されたワイヤーを備えて構成されることが好ましい(請求項4)。
また、本発明の作業機械の燃料遮断方法(請求項5)は、作業機械の燃料タンクに貯留された燃料をエンジンへ供給するための燃料供給路と、該燃料タンク内の燃料液面よりも高い位置で該燃料供給路から分岐する分岐路とを用意し、該エンジンの運転時には、該分岐路を大気に対して閉鎖することにより該燃料供給路において該燃料を流通させ、該エンジンを該作業機械のキャブ外部から停止させる時には、該分岐路を大気開放することにより該燃料供給路における該燃料の流通を停止させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の作業機械の燃料遮断構造及び燃料遮断方法(請求項1,5)によれば、構成が簡素であり、分岐路を介して燃料供給路を大気開放することができ、エンジンへの燃料供給を停止させてエンジンを停止させることができる。また、分岐路は燃料タンク内の燃料液面よりも高い位置で燃料供給路から分岐しているため、燃料供給路へ大気圧を導入して燃料供給を停止させることができる。さらに分岐路は、燃料供給路とは独立して設けられて燃料を流通させることがないため、分岐路を構成する配管材の低コスト化が図れる。
【0011】
また、開閉手段の位置は分岐路上の操作しやすい任意の位置に設定することができ、使いやすさを向上させることができる。また、開閉手段は燃料が流通していない分岐路に設けられるため、施錠等の必要がなく、この点からも使いやすさを向上させることができる。
また、本発明の作業機械の燃料遮断構造(請求項2)によれば、簡素な構成で分岐路内を大気に対して閉鎖することができ、また、大気開放させたい場合には弁を開放する操作を行うだけでよく、容易にエンジンを停止させることができる。また、分岐路が開口を備えているため、弁を開放した際に分岐路を大気開放させることができる。
【0012】
また、本発明の作業機械の燃料遮断構造(請求項3)によれば、簡素な構成で分岐路を大気に対して閉鎖することができ、また、大気開放させたい場合には栓を取り外す操作を行うだけでよく、容易にエンジンを停止させることができる。また、分岐路が開口を備えているため、栓を取り外した際に分岐路を大気開放させることができる。
また、本発明の作業機械の燃料遮断構造(請求項4)によれば、ワイヤー操作によって極めて容易にリモート開栓することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図4は本発明の実施形態にかかる作業機械の燃料遮断構造を示すものであり、図1は第1実施形態としての作業機械の燃料遮断構造の全体構成を示す模式的斜視図、図2はその要部構成を示す模式的断面図〔図1におけるA−A断面図〕、図3は本発明の燃料遮断構造が適用された作業機械の全体構成を示す模式的斜視図、図4は第2実施形態としての作業機械の燃料遮断構造の要部構成を示す模式的断面図、図5及び図6は本発明の変形例としての作業機械の燃料遮断構造の要部構成を示す模式的断面図である。
【0014】
[第1実施形態]
図3に、本発明の第1実施形態としての燃料遮断構造が適用された作業機械を示す。この作業機械20は、無限軌道の走行装置(クローラ)を設けられた下部走行体21と、下部走行体21の上部に旋回可能に載架された上部旋回体22とを備えて構成されている。
上部旋回体22には、その骨組みをなすスイングフレーム11上に、作業機械20の駆動源となるエンジン25とその燃料タンク5,掘削や揚重等の各種作業を行うための作業装置26,オペレータが搭乗するキャブ24及び機体の重量バランスをとるおもりとしてのカウンタウェイト23等が備えられている。
【0015】
エンジン25は、上部旋回体22の後方(図1中における左方)に搭載されたカウンタウェイト23の直前方において、上部旋回体22の外装材に囲まれたエンジンルーム内に備えられている。また、エンジン25の燃料を貯留する燃料タンク5は上部旋回体22の右側方に備えられており、燃料タンク5内の燃料がエンジン25へ燃料供給路としての配管材を介して供給されるようになっている。
【0016】
図1に、上部旋回体22を透視した模式的斜視図を示す。なお図1は、本発明にかかる燃料遮断構造が適用された、燃料タンク5からエンジン25への燃料の供給経路を明示すべく上部旋回体22を透視した図であり、上部旋回体22の外装板,カウンタウェイト23,エンジン25及びその他の機器については図示を省略してある。
まず、スイングフレーム11の右側方の上部に備えられた燃料タンク5の上面には、燃料を補給するための給油口10が形成されており、給油口10から燃料タンク5の内部に燃料を供給して貯留させておくことができるようになっている。
【0017】
スイングフレーム11の左側方の上部には、燃料タンク5内の燃料を吸い上げてエンジン25へ供給するための燃料ポンプ6が備えられている。燃料タンク5及び燃料ポンプ6は、燃料ライン(燃料供給路としての配管材)1によって連通接続されており、また、燃料ポンプ6及び図示しないエンジン25も、燃料ポンプライン7によって連通接続されている。なお、図示しないエンジン25と燃料タンク5との間には、エンジン25で使われなかった燃料を燃料タンク5へ戻すための戻り燃料ライン9が設けられている。
【0018】
このような燃料供給路の構成により、燃料タンク5内の燃料は、燃料ライン1を通って燃料ポンプ6へ吸引されるとともに燃料ポンプライン7を介してエンジン25へ供給されるようになっている。また、エンジン25へ供給された燃料のうちエンジン25で使われなかった一部の燃料は、戻り燃料ライン9を通って燃料タンク5へ戻されるようになっている。なお、燃料ライン1は、図2に示すように、燃料タンク5の上面から燃料タンク5の内部の底部付近まで延設されている。
【0019】
また、燃料ライン1には、燃料タンク5の上部において燃料ライン1から分岐する分岐ライン(分岐路としての配管材)2が接続されている。この分岐ライン2は、図2に示すように、燃料タンク5内の最高燃料液面(図2中における液面a)よりも高い位置(図2中においては高さbの位置)で燃料ライン1から分岐するようになっている。なお、図2には、燃料が燃料タンク5内に最大量まで貯留された状態が示されている。
【0020】
また、燃料ライン1から分岐した分岐ライン2の端部には、分岐ライン2を大気へ開放しうる開口8が形成されるとともに、分岐ライン2上における燃料ライン1からの分岐点2aと開口8との間には、分岐ライン2を開閉制御するシャットバルブ(弁,開閉手段)3が介装されている。
開口8は、燃料ライン1から分岐した管状の分岐ライン2の端面の開口として形成されており、本実施形態では、上部旋回体22の外装板の内部において分岐ライン2を開放するようになっている。
【0021】
シャットバルブ3は、分岐ライン2を遮断,又は開放する操作を行うことができるような開閉弁として備えられており、エンジン25の運転時には分岐ライン2を閉鎖するように操作されて、分岐ライン2内の空気の流通を遮断することができるようになっている。また、エンジン25の作動を外部操作(キャブ24の外部からの操作)によって停止させたい時には分岐ライン2を開放する操作を行うことによって、分岐ライン2を大気開放して、大気圧を分岐ライン2及び燃料ライン1内へ導入することができるようになっている。
【0022】
本発明の第1実施形態にかかる作業機械の燃料遮断構造は上述のように構成されているので、以下のように作用する。
まず、エンジン25の運転時には、分岐ライン2に介装されたシャットバルブ3が分岐ライン2を閉鎖するように操作される。つまり、シャットバルブ3は分岐ライン2内の空気の流通を遮断することになる。したがって、燃料ポンプ6によって燃料タンク5内の燃料が吸引されたときに、燃料を燃料ポンプ5へ吸引させることができ、燃料ポンプライン7を介してエンジン25へ燃料を供給することができる。
【0023】
一方、エンジン25を外部操作によって停止させたい場合、シャットバルブ3が分岐ライン2を開放するように操作されると、分岐ライン2が大気開放されてその開口8から空気が流入する。ここで、燃料ライン1内において分岐点2aよりも燃料ポンプ6側の燃料は、燃料ポンプ6によって吸引されることになるが、一方、燃料ライン1内において分岐点2aよりも燃料タンク5側の燃料は、分岐点2aが燃料タンク5内の最高燃料液面よりも高い位置となっているため、分岐ライン2から流入した空気の大気圧によって燃料タンク5へ押し戻されることになる。
【0024】
つまり、本発明の燃料遮断構造によれば、従来の燃料遮断装置のように直接燃料の流通を遮断するのではなく、燃料ラインへ空気(大気圧)を導入することによって間接的に燃料の流通を遮断することになる。また、燃料タンク内の燃料液面よりも高い位置から大気を導入することによって、その大気圧により燃料が燃料タンク5へ押し戻されることになる。
【0025】
したがって、簡素な構成で、燃料ライン1内の燃料の流通を、空気で分断して停止させることができる。
また、分岐ライン2は単に大気圧を燃料ライン1へ導入するよう機能すればよく、例えば、分岐ライン2を構成する配管材として燃料配管専用品を用いる必要がない。したがって、安価な材料で分岐ライン2を形成することができ、コストを低減させることができる。
【0026】
さらに、分岐ライン2の配設形状は任意であり、その延長長さも任意であるから、ストップバルブ3の位置を任意の位置に設定することができ、例えば分岐ライン2のみを機体の側方へ延長させて、外部からのアクセスが容易な箇所にシャットバルブ3を設けることができる。
また、本発明の燃料遮断構造によれば、従来の燃料遮断装置のように燃料ライン上に設けられた手段を用いて燃料遮断の操作を行うのではなく、燃料が流通しない分岐ライン上に設けられた遮断部材(すなわち、ここではシャットバルブ3)を用いて燃料遮断の操作を行うことになる。これにより、例えば前述の特許文献1に記載されたようなものよりも使い勝手を向上させることができる。
【0027】
また、実際に燃料が流通する燃料ライン1は、機体における比較的構造強度の高い箇所、すなわち、機体の内部側に配設して、燃料が流通しない分岐ライン2の配管経路のみを機体の外部側へ配設することができ、従来の燃料配管の設計経路を変更する必要がなく、製品の組み立てにおいても何ら作業が複雑化することもない。したがって、製品コストの上昇を抑制することができる。
【0028】
なお、エンジン25の通常運転開始時において、例えば分岐路2が開放されている場合には、シャットバルブ3を閉鎖した後に燃料ポンプ6を作動させることによって、燃料タンク5内の燃料を吸引させて、燃料をエンジン25へ供給することができるようになる。
【0029】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態としての作業機械の燃料遮断構造を説明する。なお、本第2実施形態としての燃料遮断構造は、上記の第1実施形態と同様に、図3に示す作業機械20に適用されており、上記の第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】
図4に示すように、本実施形態における燃料ライン1には、燃料タンク5の上部において燃料ライン1から分岐する分岐ライン(分岐路としての配管材)2が接続されている。この分岐ライン2は、燃料タンク5内の最高燃料液面(図4中における液面a′)よりも高い位置(図4中における高さb′の位置)で燃料ライン1から分岐するようになっている。なお、図4には、燃料が燃料タンク5内に最大量まで貯留された状態が示されている。
【0031】
燃料ライン1から分岐した分岐ライン2の端部には、分岐ライン2内へ空気を流入させる開口8が形成されるとともに、開口8を閉塞する栓13が挿入されている。これにより、開口8が密閉されている状態では、分岐ライン2内へ空気が流入しないようになっている。
一方、栓13が開口8から取り外されると、分岐ライン2が大気開放されて大気圧が分岐ライン2及び燃料ライン1内へ導入されるようになっている。なお、図4には、栓13が開口8を閉塞した状態が示されている。
【0032】
また、この栓13にはワイヤー14の一端が連結されるとともに、ワイヤー14の他端には取手15が連結されており、取手15を図3中右方向へ引っ張ることにより、栓13を分岐ライン2の端部から取り外すことができるようになっている。なお、取手15は、機体の側方へ延長されており、外部から容易にアクセスして栓13を分岐ライン2の端部から簡単に取り外すことができるようになっている。
【0033】
本発明の第2実施形態にかかる作業機械の燃料遮断構造は上述のように構成されているので、以下のように作用する。
まず、エンジン25の運転時には、栓13によって分岐ライン2の端部の開口8が閉塞されている。つまり、栓13は分岐ライン2内の空気の流通を遮断するように働く。したがって、燃料ポンプ6によって燃料タンク5内の燃料が吸引されたときに、燃料を燃料ポンプ5へ吸引させることができ、燃料ポンプライン7を介してエンジン25へ燃料を供給することができる。
【0034】
一方、エンジン25を外部操作によって停止させたい場合、取手15が図4中右方向へ引っ張られて、栓13が開口8から取り外されると、分岐ライン2が大気開放されて開口8から空気が流入する。そのため、分岐ライン2から流入した空気の大気圧によって、燃料ライン1内における分岐点2aよりも燃料タンク5側の燃料が、燃料タンク5へ押し戻される。
【0035】
したがって、前述の第1実施形態と同様に、簡素な構成で、燃料ライン1内の燃料の流通を、空気で分断して停止させることができる。
また、分岐ライン2を構成する配管材として、安価な材料を用いることができ、コストを低減させることができる。
また、分岐ライン2の配設形状は任意であり、その延長長さも任意であるから、開口8及び栓13の位置を任意の位置に設定することができる。また、外部から容易にアクセスできる使いやすさを向上させることができる。
【0036】
さらに、本第2実施形態の燃料遮断構造によれば、栓13と連結されたワイヤー14を操作することによって開口8を開放することができるようになっているため、リモート開栓が可能となり、例えば、分岐ライン2を短く設定する一方でワイヤー14を延長して、機体の側方等の使い勝手のよい場所から開栓できるように構成することができる。
【0037】
[その他]
以上、本発明の実施形態について2例を説明したが、本発明はこれらのような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0038】
上述の各実施形態では、分岐ライン2上に遮断部材を一つ備えた構成となっているが、遮断部材を複数備えた構成としてもよい。例えば、第1実施形態において複数の遮断部材を備えた構成とする場合、図5に示すように、分岐ライン2を複数の吸気ラインに分岐し、各々の吸気ラインに対して一つずつシャットバルブ3を設けるように構成することができる。このような構成により、複数のシャットバルブ3のうちのいずれか一つでも開放方向へ操作されると、エンジン25への燃料供給を遮断することができるようになる。つまり、これらのシャットバルブ3を、外部からアクセスしやすい複数の場所に設けておくことができ、使い勝手をより向上させることができる。
【0039】
また、上述の実施形態では、分岐ライン2を大気開放しうる開口8が予め形成されているが、図6に示すように、開口8のない構成とすることもできる。例えばこの場合、分岐ライン2としてプラスティック製の管材2′を用いるとともに、分岐ライン2の開閉手段として管材2′に穴をあけるための針3′を用意して、エンジンを作業機械のキャブ外部から停止させたい時には針3′によって管材2′に穴をあけて大気開放するように構成すれば、分岐ライン2を介して燃料ライン1内へ導入される大気圧によって、燃料ライン1における燃料の流通を停止させることができ、上述の実施形態と同様の作用,効果を奏するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態としての作業機械の燃料遮断構造の全体構成を示す模式的斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態としての作業機械の燃料遮断構造の要部構成を示す模式的断面図〔図1におけるA−A断面図〕である。
【図3】本発明の実施形態としての燃料遮断構造が適用された作業機械の全体構成を示す模式的斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態としての作業機械の燃料遮断構造の要部構成を示す模式的断面図である。
【図5】本発明の変形例としての作業機械の燃料遮断構造の要部構成を示す模式的断面図である。
【図6】本発明の変形例としての作業機械の燃料遮断構造の要部構成を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 燃料ライン(燃料供給路)
2 分岐ライン(分岐路)
2a 分岐点
3,3′ シャットバルブ(弁,開閉手段)
4 燃料遮断構造
5 燃料タンク
8 開口
13 栓(開閉手段)
14 ワイヤ
24 キャブ
25 エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の燃料タンクに貯留された燃料をエンジンへ供給するための燃料供給路と、
該燃料タンク内の燃料液面よりも高い位置で該燃料供給路から分岐する分岐路と、
該分岐路を大気開放又は閉鎖する開閉手段と
を備えたことを特徴とする、作業機械の燃料遮断構造。
【請求項2】
該分岐路は、該分岐路を大気へ開放しうる開口を有し、
該開閉手段は、該分岐路上において該燃料供給路との分岐点と該開口との間に介装されて該分岐路を開閉制御する弁として設けられる
ことを特徴とする、請求項1記載の作業機械の燃料遮断構造。
【請求項3】
該分岐路は、該分岐路を大気へ開放しうる開口を有し、
該開閉手段は、該開口を閉塞する脱着可能な栓を備えて構成される
ことを特徴とする、請求項1記載の作業機械の燃料遮断構造。
【請求項4】
該開閉手段は、該栓と連結されたワイヤーを備えて構成される
ことを特徴とする、請求項3記載の作業機械の燃料遮断構造。
【請求項5】
作業機械の燃料タンクに貯留された燃料をエンジンへ供給するための燃料供給路と、該燃料タンク内の燃料液面よりも高い位置で該燃料供給路から分岐する分岐路とを用意し、
該エンジンの運転時には、該分岐路を大気に対して閉鎖することにより該燃料供給路において該燃料を流通させ、
該エンジンを該作業機械のキャブ外部から停止させる時には、該分岐路を大気開放することにより該燃料供給路における該燃料の流通を停止させる
ことを特徴とする、作業機械の燃料遮断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−220033(P2006−220033A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32873(P2005−32873)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】