説明

作業機械の表示装置および表示装置を搭載した作業機械

【課題】ストリートモードと作業モードとに対応した目標燃費を自動的に変更できるとともに、各動作モードでの燃費を1つの燃費表示部にて適切に表示できる表示装置を提供すること。
【解決手段】共にエンジンを駆動源とする下部走行体と作業機とを備えた自走式の建設機械に搭載され、エンジンへ供給される燃料量を制御するコントローラから瞬時燃費のデータを受信するマルチモニタ(表示装置)53であって、下部走行体を動作させるときのストリートモード時の燃費、および作業機を動作させるときの作業モード時の燃費を表示させる1つのエコゲージ(燃費表示部)を有した表示部112と、各モードでの各目標燃費に基づいて、エコゲージのフルスケールでの燃費値を算出するゲージ100%時の燃費値算出手段122と、ゲージ100%時の燃費値算出手段122で算出された100%時燃費に対する瞬時燃費の割合を算出するゲージ表示値算出手段123とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の表示装置および表示装置を搭載した作業機械に係り、例えば公道を走行可能な自走式の建設機械や産業車両などの作業機械、およびそのような建設機械や産業車両に搭載される表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機械の一種である建設機械として、公道を自走で走行可能なホイール式の油圧ショベル(以下、油圧ショベル)が知られている。そのような油圧ショベルは、エンジン(例えばディーゼルエンジン)を動力源として、走行機構を駆動させ移動走行するとともに、作業機を動作させ掘削作業等を行うことが可能である。このような油圧ショベルの燃費について考える場合には、油圧ショベルの車体に装着された作業機にて作業を行っている状態(以下、作業モード)での燃費と、油圧ショベルを移動させるために自走で走行を行っている状態(以下、ストリートモード)での燃費とに分けて取り扱うことが要求され、その燃費の差が大きいことから、燃費の良否評価にあたっては各動作モードの燃費を別々に評価する必要がある。すなわち、エンジンにかかる負荷、つまりエンジン出力の使用領域が、作業モードと走行モードとでは異なるため、各動作モードでエンジンが消費する燃料量(平均燃費)が異なるのである。
【0003】
近年、作業機械の省燃費に対する要求の高まりから、作業機械の運転室内(オペキャブ)に搭載された表示装置に、燃費の変化を示す情報あるいは燃費の過去の結果を示す情報をグラフィック表示させる機能を備えた建設機械がみられる。一方、そのような表示装置の燃費表示部に燃費をグラフィック表示させることを考えた場合において、実際の燃費が目標燃費内であるか、または目標燃費を超えているかを作業機械のオペレータに認識させるために、目標燃費に相当する境界を示す目標燃費ラインを燃費表示部に表示することがある。そのような表示形態で燃費の状態を燃費表示部に表示させることでオペレータは、実際の燃費と目標燃費ラインとを視認し、目標燃費ライン内での燃費を維持するような運転操作(作業のための操作あるいは走行のための操作)を行うように意識するようになる。表示装置に目標燃費ラインが表示されることで、経済的な作業や走行をするための運転操作をオペレータが心掛けるようになるのである。
【0004】
ところで、ストリートモードと作業モードとでは、上記のように平均燃費が大きく異なることから、各動作モードでの目標燃費も異なる値となる。従って、燃費が表示される表示装置の燃費表示部としては、各動作モードに対応した別々の目標燃費ラインを設けておく必要がある。
【0005】
しかし、表示装置の燃費表示部を各動作モードに対応して別々に設けようとしても、表示装置に占める燃費表示部の許容領域には限りがある。作業機械に搭載される表示装置は、燃費の表示だけでなく、作業機械のエンジンの冷却水温、作業機械の走行機構や作業機等を油圧駆動させるための作動油の作動油温度、燃料残量、サービスメータと呼ばれる作業機械の累積稼働時間、各種異常情報等の様々な情報をオペレータやサービスマンに報知する機能を有する。さらに、作業機械のオペレータは運転室外の作業現場を見ながら作業を行うため、運転室内に搭載された表示装置がオペレータの視界を遮るような大きさであることは望ましくない。そこで、表示装置の燃費表示部を各モードに対して別々に設けると、上記の様々な情報の表示領域が小さくなって視認性が悪化する。
【0006】
また、各動作モードでの燃費の表示を1つの燃費表示部で表示させようとすると、上記のように各動作モードでの目標燃費が異なっているために不都合が生じる。一般的には、作業モードでの平均燃費は、ストリートモードでの平均燃費よりも小さい(作業モードのほうが、単位時間当たりの燃料の消費量が少ない)ことから、作業モードでの目標燃費もストリートモードの目標燃費よりも小さくなるからである。
【0007】
表示装置に表示される、目標燃費や目標燃費ラインが作業モードを主として考慮され設定されているとすると、ストリートモードでの走行中においては、作業モード時よりも常に大きめの燃費が表示されることとなり、走行状態によっては目標燃費を上回る燃費の表示をオペレータは長く見続けることになる。従って、表示装置を見ているオペレータは、ストリートモードでの適正な目標燃費に対する実際の燃費の表示を受けて経済的な走行を行うための運転操作ができない。
【0008】
一方、目標燃費や目標燃費ラインがストリートモードを主として考慮され設定されているとすると、作業モードでの作業中においては、ストリートモード時よりも常に小さめの燃費が表示されることとなり、作業状態によっては目標燃費を下回る燃費の表示をオペレータは長く見続けることになる。従って、表示装置を見ているオペレータは、もう少し燃費を大きくしても目標燃費内での作業ができると思い込み、作業モードでの本来の目標燃費を超えるような操作を行って作業することになり、経済的な作業を行うための運転操作ができない。
【0009】
そこで、1つの燃費表示部(エコゲージ)で目標燃費の設定変更を任意にできる表示装置が提案されている(特許文献1)。この表示装置によれば、所定の表示操作を行って表示画面を切り換えることにより、目標設定画面を表示させ、この画面から目標燃費を変更することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−62791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術は、作業車両による作業時において、作業環境や作業負荷の異なる種々の作業内容に応じて目標燃費を変更する技術であり、自走式油圧ショベルのような作業機械における、ストリートモードと作業モードとで目標燃費を変更することは考慮されていない。特許文献1では、クローラ式の油圧ショベルを想定しているが、そのような油圧ショベルでは、作業現場での走行頻度が極僅かであり、走行時の燃費と作業時の燃費とを個別に取り上げられることはないのである。また、クローラ式の油圧ショベルの場合、作業現場の移動は、トレーラーに積載されて行われ、自走するような場合は短距離の移動に限られる。
また、特許文献1に記載されている技術には、目標燃費の変更は、オペレータによる操作によって行われるため、変更に手間がかかるという問題もある。
【0012】
本発明の目的は、ストリートモードと作業モードとに対応した目標燃費を自動的に変更できるとともに、各動作モードでの燃費を1つの燃費表示部にて適切に表示できる作業機械の表示装置および表示装置を搭載した作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1発明に係る表示装置は、それぞれがエンジンを駆動源とする下部走行体と作業機とを備えた自走式作業機械に搭載され、前記エンジンへ供給される燃料量を制御するエンジンコントローラから瞬時燃費のデータを受信する作業機械の表示装置であって、前記下部走行体を動作させるときのストリートモード時の燃費、および前記作業機を動作させるときの作業モード時の燃費を表示させる1つの燃費表示部と、前記ストリートモードおよび作業モードでの各目標燃費に基づいて、前記燃費表示部のフルスケールでの燃費値を算出するフルスケール時の燃費値算出手段と、前記フルスケール時の燃費値算出手段で算出されたフルスケール時の燃費に対する瞬時燃費の割合を算出するゲージ表示値算出手段とを備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、各動作モードに対応した目標燃費を用いてそれぞれの動作モードでのゲージ100%時の燃費値を算出し、このゲージ100%(フルスケール)時の燃費値に対する瞬時燃費値の割合を算出し、その割合に基づいて燃費を自動的に表示させる。従って、実際の燃費が目標燃費内に入っているときの燃費表示部での表示のさせ方や、目標燃費を超えたときの表示のさせ方を各動作モードで共通にでき、1つの燃費表示部を用いて各モードでの燃費を適切に表示できる。
【0015】
第2発明に係る表示装置では、前記ストリートモードおよび前記作業モードのうち、いずれか一方の動作モードの目標燃費を他方の動作モードの目標燃費に変換するスケール変換係数が設定されたスケール変換係数設定テーブルを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、ゲージ100%(フルスケール)時の燃費値を算出する際には、各動作モードの目標燃費を用いた演算を行う必要がなく、燃費を算出する際のメモリ容量を節約できる。
【0016】
第3発明に係る表示装置では、前記自走式作業機械に前記自走式作業機械の動作モードが、ストリートモードか作業モードかを判定するモード判定部を備え、前記モード判定部は、(1)前記自走式作業機械に備えられた前記自走式作業機械の上部旋回体の旋回方向における位置を検出する旋回位置検出手段が、前記上部旋回体が所定の位置であることを検出していること、(2)前記自走式作業機械に備えられた前記自走式作業機械の前記作業機の動作をロックするための作業機ロック手段が、前記作業機をロックするための操作信号を出力していること、(3)前記自走式作業機械に備えられた前記自走式作業機械の前記下部走行体のサスペンションシリンダの動作をフリーにするためのサスペンションシリンダロック手段が、前記サスペンションシリンダをフリーにするための操作信号を出力していること、という条件を満たすと、前記自走式作業機械がストリートモードあると判断し、前記表示装置に前記ストリートモーであることを示す情報を送信し、前記フルスケール時の燃費値算出手段は、前記ストリートモードであることを示す情報を受信した場合は、前記スケール変換係数設定テーブルから前記ストリートモードに対応するスケール変換係数を読み出してフルスケールでの燃費値を算出することを特徴とする。
【0017】
第4発明に係る表示装置では、前記1つの燃費表示部は、表示部の端部に目標燃費ラインとともに現在の瞬時燃費をバー表示することを特徴とする。
【0018】
第5発明に係る作業機械は、それぞれがエンジンを駆動源とする下部走行体と作業機とを備えるとともに、表示装置を搭載した自走式作業機械であって、前記エンジンへ供給される燃料量を制御するエンジンコントローラを備え、前記表示装置は、前記エンジンコントローラから瞬時燃費のデータを受信可能に設けられ、前記下部走行体を動作させるときのストリートモード時の燃費、および前記作業機を動作させるときの作業モード時の燃費を表示させる1つの燃費表示部と、前記ストリートモードおよび作業モードでの各目標燃費に基づいて、前記燃費表示部のフルスケールでの燃費値を算出するフルスケール時の燃費値算出手段と、前記フルスケール時の燃費値算出手段で算出されたフルスケール時の燃費に対する瞬時燃費の割合を算出するゲージ表示値算出手段とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、前述した第1発明と同様な効果を得ることができ、本発明の目的を達成できる。
【0019】
第6発明に係る作業機械では、前記表示装置は、前記ストリートモードおよび前記作業モードのうち、いずれか一方のモードの目標燃費を他方の動作モードの目標燃費に変換するスケール変換係数が設定されたスケール変換係数設定テーブルを備えていることを特徴とする。
【0020】
第7発明に係る作業機械では、前記表示装置は、前記自走式作業機械に前記自走式作業機械の動作モードが、ストリートモードか作業モードかを判定するモード判定部を備え、前記モード判定部は、(1)前記自走式作業機械に備えられた前記自走式作業機械の上部旋回体の旋回方向における位置を検出する旋回位置検出手段が、前記上部旋回体が所定の位置であることを検出していること、(2)前記自走式作業機械に備えられた前記自走式作業機械の前記作業機の動作をロックするための作業機ロック手段が、前記作業機をロックするための操作信号を出力していること、(3)前記自走式作業機械に備えられた前記自走式作業機械の前記下部走行体のサスペンションシリンダの動作をフリーにするためのサスペンションシリンダロック手段が、前記サスペンションシリンダをフリーにするための操作信号を出力していること、という条件を満たすと、前記自走式作業機械がストリートモードあると判断し、前記表示装置に前記ストリートモーであることを示す情報を送信し、前記フルスケール時の燃費値算出手段は、前記ストリートモードであることを示す情報を受信した場合は、前記スケール変換係数設定テーブルから前記ストリートモードに対応するスケール変換係数を読み出してフルスケールでの燃費値を算出することを特徴とする。
【0021】
第8発明に係る作業機械では、前記表示装置の前記1つの燃費表示部は、表示部の端部に目標燃費ラインとともに現在の瞬時燃費をバー表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の作業機械の表示装置および表示装置を搭載した作業機械によれば、ストリートモードと作業モードとに対応した目標燃費を動作モードの切り替えに応じて自動的に変更され、各動作モードでの燃費を1つの燃費表示部を用いて表示し、さらに燃費表示部に表示される目標燃費ラインの位置が、動作モードが切り替わっても変わらずに表示され、燃費の状態が表示装置に適切に表示されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る作業機械の全体を示す側面図。
【図2】前記作業機械の概略構成を示すブロック図。
【図3】前記作業機械に搭載された表示装置の表示画面を示す図。
【図4】ストリートモードへの変更が指示された場合の、前記作業機械に搭載された表示装置の表示画面を示す図。
【図5】前記表示装置の操作に供する操作部を示す図。
【図6】前記表示画面中に表示される燃費表示部を示す図。
【図7】前記燃費表示部において、燃費が目標燃費内である表示状態を示す図。
【図8】前記燃費表示部において、燃費が目標燃費を超えた表示状態を示す図。
【図9】前記作業機械の制御装置を示すブロック図。
【図10】前記表示装置の内部構成を示すブロック図。
【図11】前記表示装置で行われる制御の制御フローを示す第1のフローチャート。
【図12】前記制御装置で行われる制御の制御フローを示すフローチャート。
【図13】前記表示装置で行われる制御の制御フローを示す第2のフローチャート。
【図14】本発明の第1変形例を示す図。
【図15】本発明の第2変形例を示す図。
【図16】本発明の実施形態に係る作業機械について他の形態の作業機械の全体を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1あるいは図2には、本実施形態に係る作業機械の一種としての建設機械である、ホイール式油圧ショベル1(以下、油圧ショベル1)が示されている。油圧ショベル1は、車両の前後左右にタイヤ21を有した下部走行体2と、下部走行体2上にスイングサークルを介して旋回自在に設置された上部旋回体3と、上部旋回体3に装着された作業機4とを備えている。すなわち、油圧ショベル1は自走で移動可能な建設機械である。
【0025】
下部走行体2には、油圧モータ22が取り付けられており、エンジン33の駆動により油圧ポンプ34が回転駆動するとともに、油圧ポンプ23から吐出された作動油が走行モータ22へ供給され、走行モータ22が回転駆動する。走行モータ22の駆動力が動力伝達機構を介して伝達されることにより各タイヤ21が回転駆動する(図2を参照)。なお、下部走行体2には、油圧ショベル1による掘削等の作業時に車体を安定させるためのアウトリガーや、土砂を押し出したり均したりするためのブレード等が設けられることもある。
【0026】
上部旋回体3の車両前方寄りには、オペキャブ(運転席)31が配置されている。オペキャブ31内には、オペレータの運転席や後述するマルチモニタ(表示装置)53、作業機4の動作や上部旋回体3の旋回動作あるいは下部走行体2の走行動作を行うための操作レバーなどが設けられている。オペキャブ31の後方には、エンジン33や油圧ポンプ34などが収容された機械室が搭載されている。オペキャブ31の側方には、エンジン33を駆動するための燃料が入れられた燃料タンクや作業機4の油圧シリンダ44や油圧ポンプ34あるいは走行モータ22を油圧駆動するための作動油が入れられた作動油タンク等が配置されている。また、機械室の後方には、作業機4による掘削作業時などの際、車体の挙動をバランスするための重りとなるカウンタウェイト32が取り付けられている。
【0027】
作業機4は、ブーム41、アーム42、およびバケット43と、これらを動作するための複数の油圧シリンダ44とで構成される。
【0028】
図2は、油圧ショベル1のブロック図を示すが、このブロック図に基づき、油圧ショベル1をより詳細に説明する。
エンジン33の出力軸は、油圧ポンプ34の入力軸に機械的に連結されており、エンジン33の駆動によって油圧ポンプ34が回転駆動する。油圧ポンプ34からの吐出された作動油は、メインバルブ35で切り換えられて、以下に説明する走行系、旋回系、および作業機系の各油圧機器へと供給される。
【0029】
まず、走行系について説明する。メインバルブ35を経由した作動油は、油圧モータからなる走行モータ22に供給される。走行モータ22の駆動力は、トランスミッション23からPTO(Power Take Off)24へと伝達され、さらにアクスル25を介してタイヤ21に伝達される。PTO24は、各種複数のギヤやクラッチで構成される。なお、図2は、リヤ側2ホイールドライブ形式を図示しているが、トランスミッション23から出力される駆動力を前後に分配し、プロペラシャフトを介して前後のアクスルに駆動力を伝達し、前後のアクスルを介して4つのタイヤ21を駆動させるような4ホイールドライブ形式であってもよい。
【0030】
また、走行系においては、前側の各タイヤ21のサスペンション部分にサスペンションシリンダ(以下、サスペンションを単にサスと略す場合がある)26が設けられており、これらのサスペンションシリンダ26へ供給される作動油も、メインバルブ35からサスロックバルブ27を介して供給される。サスペンションシリンダ26は、作業機4を使った作業の際においてサスペンションシリンダ26の上下の伸縮動作を制限(サスロック)することで、油圧ショベル1の車体が揺動するのを抑制する。そうすることで、掘削作業時の作業性が確保される。一方、油圧ショベル1を走行させる際は、走行中の乗り心地を確保するために、後述する所定の電気信号を受けてサスロックは解除(サスフリー)され、路面の凹凸に応じてサスペンションシリンダ26の上下の伸縮動作が可能となる。なお、図2は、サスペンションシリンダ26を前輪のみに備えた省略された図となっている。下部走行体2には、前後輪の各タイヤ21にサスペンションシリンダ26(合計4本)が設けられ、前輪も後輪もサスペンションシリンダ26を同時にサスロックあるいはサスフリーとすることができるようになっている。
【0031】
次に旋回系について説明する。旋回系では、メインバルブ35を経由した作動油が上部旋回体3に設けられた旋回モータ36に供給され、旋回モータ36は回転駆動する。この旋回モータ36の出力軸は、図示しないスイングマシナリ(旋回減速機と称される場合もある)に結合されており、さらにスイングマシナリの出力軸に設けられたピニオンギヤが、図示しない輪状形状のスイングサークル(旋回ベアリングと称される場合もある)のインナーレース部材に設けられた内歯と噛み合っている。スイングサークルは、アウターレース部材とインナーレース部材で構成される。アウターレース部材は、上部旋回体3に機械的に固定されており、内歯が切られたインナーレース部材は下部走行体2のフレーム上に機械的に固定されている。よって、スイングマシナリが回転駆動することで上部旋回体3が旋回する。
【0032】
旋回モータ36には旋回ブレーキ37が設けられている。詳細な油圧回路は図示しないが、旋回ブレーキ37へ供給される作動油もメインバルブ35を経由して供給される。旋回ブレーキ37は、詳細は後述するが、旋回ブレーキ37が作動することで、旋回モータ36の回転駆動が制限され上部旋回体3にブレーキがかけられる。
【0033】
次に作業機系について説明する。詳細な油圧回路は図示しないが、メインバルブ35で流量制御された作動油がPPC(Pressure Proportional Control)ロックバルブ38を経由し、図示しない操作レバーに設けられたPPCバルブへパイロット油圧として供給される。作業モードでの作業時には、オペレータによる操作レバーの操作に応じて発生するパイロット油圧が、図示しないコントロールバルブに供給され、作業機4の各油圧シリンダ44が動作する。
【0034】
以下に、油圧ショベル1の電子機器に関連した構成について説明する。
図2において、油圧ショベル1は、数値演算プロセッサや記憶装置(CPUやROM、RAMなどのメモリ)等の電子部品から構成されるメインコントローラ51およびエンジンコントローラ52を備えている。また、各コントローラ51,52で実行される種々のソフトウェアは、各コントローラ51,52の記憶装置に記憶されている。さらに、油圧ショベル1には表示装置としてのマルチモニタ53が備えられており、これら各電子機器が車内ネットワークNW(CAN:Controller Area Network)を介して相互に通信可能に接続されている。
【0035】
メインコントローラ51は、PPCロックソレノイド54およびサスロックソレノイド55に電気信号を送信し各ソレノイドを消磁あるいは励磁させる。マルチモニタ53の操作部114(図5)のストリートモード切替スイッチ131をオペレータが操作すると、その操作信号(作業モードからストリートモードへの変更を示す信号)が車内ネットワークNWを介してメインコントローラ51へ送信される。つまり、油圧ショベル1が走行を開始する場合、メインコントローラ51は、通信制御部101(図9)を介して、マルチモニタ53から操作信号(作業モードからストリートモードへの変更を示す信号)を受信すると、PPCロックソレノイド54へ消磁信号あるいは励磁信号を送信し、その信号を受けてPPCロックソレノイド54が消磁あるいは励磁することに連動してPPCロックバルブ38が動作し、その結果、PPCロックバルブ38から図示しないPPC弁へ連通している油路が遮断される。PPCロックバルブ38から図示しないPPC弁へ連通している油路が遮断されることにより、作業機4を動作させるための操作レバーが操作されても、パイロット油圧が図示しないPPC弁へ流れないため作業機4が動かない、動作制限(作業機ロック)がなされる。なお、PPCロックソレノイド54へ送信される信号が消磁信号である場合に、作業機ロックか作業機フリーのいずれが機能するかは予め設定された構造となっている。
【0036】
マルチモニタ53の操作部114(図5)のサスロックモード切替スイッチ132をオペレータが操作すると、その操作信号(サスペンションシリンダ26の伸縮動作を制限(サスロック)している状態から解除(サスフリー)の状態への変更を示す信号)が車内ネットワークNWを介してメインコントローラ51へ送信される。つまり、油圧ショベル1が走行を開始する場合、メインコントローラ51はサスロックソレノイド55へ消磁信号あるいは励磁信号を送信し、その信号を受けてサスロックソレノイド55が消磁あるいは励磁することに連動してサスロックバルブ27が動作する。サスロックバルブ27は、各サスペンションシリンダ26と油圧回路で連通する図示しないアキュムレータとの間に設けられている。油圧ショベル1の走行時には、サスロックバルブ27が開いており、各サスペンションシリンダ26とアキュムレータとをつなぐ油圧回路は連通することになる。よって、サスペンションシリンダ26の伸縮動作に応じて、サスペンションシリンダ26の内部にある油室の圧力変動がアキュムレータに伝わり、アキュムレータ内のガス室が圧縮あるいは膨張することで、油圧ショベル1の走行時の上下動が吸収される。
【0037】
一方、サスロックモード切替スイッチ132をオペレータが操作して、その操作信号(サスペンションシリンダ26の伸縮動作を解除(サスフリー)している状態から制限(サスロック)の状態への変更を示す信号)が、車内ネットワークNWを介してメインコントローラ51へ送信されると、メインコントローラ51はサスロックソレノイド55へ消磁信号あるいは励磁信号を送信し、その信号を受けてサスロックソレノイド55が消磁あるいは励磁することに連動してサスロックバルブ27は閉じて、各サスペンションシリンダ26とアキュムレータとをつなぐ油圧回路は遮断することになる。よって、サスペンションシリンダ26の伸縮動作が制限(サスロック)され、油圧ショベル1の作業機4を使った掘削作業時に車体の揺動が抑制される。なお、サスロックソレノイド55へ送信される信号が消磁信号である場合に、サスフリーかサスロックのいずれが機能するかは、予め設定された構造となっている。
【0038】
さらに、メインコントローラ51は、所定の信号を受けて旋回ブレーキソレノイド56に消磁信号あるいは励磁信号を送信し、旋回ブレーキ37により旋回モータ36にブレーキを効かせ、上部旋回体3が旋回しない状態にする(旋回ロック)。一方、メインコントローラ51は、所定の信号を受けて旋回ブレーキソレノイド56に消磁信号あるいは励磁信号を送信し、旋回モータ36のブレーキを解除(旋回フリー)し、旋回用の操作レバーの操作による上部旋回体3を旋回可能にする。ここで、所定の信号とは、図示しない各操作レバーが中立で何も操作されていない状態が所定時間経過した場合に生成される信号(第1の手法の旋回ロック)や、オペキャブ31内の所定の位置に設けられた旋回ブレーキスイッチを、オペレータが旋回ブレーキ(旋回ロック)を指示するように押し操作することで生成される信号である(第2の手法の旋回ロック)。旋回ブレーキスイッチは、例えば押しボタン式のスイッチとして操作部114に設けられていてもよいし、単独で運転席近傍に設置されてもよい。それらいずれかの信号(以下、旋回ブレーキ指令信号)が生成されると、メインコントローラ51は旋回ブレーキ指令信号を受信して、旋回ブレーキソレノイド56に消磁信号あるいは励磁信号を送信する。操作レバーが中立で何も操作されていない状態が所定時間経過した場合にも、旋回ブレーキ指令信号が生成される。この旋回ブレーキ指令信号は、操作レバーの操作位置を検出する位置センサやパイロット圧を検出する圧力センサの信号をメインコントローラ51が受信した場合であって、カウンタの計時によって、上記のように旋回ブレーキ指令信号を生成する条件が満たされた場合に生成される。なお、旋回ロックの状態で、つまり第1の手法の旋回ロックがされた状態でオペレータが操作レバーのいずれか一つを操作した場合、あるいは第2の手法の旋回ロックがされた状態で旋回ブレーキスイッチをブレーキ解除(旋回フリー)を指示するように操作した場合、旋回ブレーキ解除指令信号が生成され、メインコントローラ51は旋回ブレーキ解除指令信号を受信して、旋回ブレーキソレノイド56に消磁信号あるいは励磁信号を送信する。
【0039】
旋回ブレーキ37の構成と動作について説明する。旋回ブレーキ37はメカニカルブレーキであって、旋回ブレーキソレノイド56が消磁(あるいは励磁)されると旋回ブレーキ37に備えられた、図示しないブレーキピストンへの作動油の油路を遮断あるいは連通する旋回ブレーキバルブが動作する。旋回ブレーキソレノイド56が消磁信号を受けて、旋回ブレーキバルブを連動させることで油路を遮断してブレーキピストンを駆動し、ブレーキピストンに連接したディスク等が旋回モータ36の回転部を押さえつけ、旋回モータ36の動作を制限(旋回ロック)させる。なお、旋回ブレーキソレノイド56に送信される消磁信号あるいは励磁信号と、旋回モータ36の旋回ロックあるいは制限解除(旋回フリー)との関係は、上記の場合と異なり、旋回ブレーキソレノイド56が励磁信号を受けて旋回ロックがなされる構造でもよい。
【0040】
さらに、メインコントローラ51には、スイングサークルの近傍に取り付けられた旋回位置検出センサ57から検出信号が入力される。旋回位置検出センサ57は、例えば接点式のリミットスイッチで構成され、スイングサークルの円周方向に沿って、少なくとも2箇所に取り付けられており、上部旋回体3の前後方向の向きが、下部走行体2の前後方向と一致するか否かを検知するものである。すなわち、旋回位置検出センサ57により、下部走行体2と上部旋回体3の旋回方向における相対位置関係を検知する。なお、旋回位置検出センサ57は、接触式のリミットスイッチに換えて、光学式の位置検出センサなどの他の手段により、下部走行体2と上部旋回体3の旋回方向における相対位置関係を検知するものであってもよい。さらに、旋回位置検出センサ57は、下部走行体2と上部旋回体3の旋回方向における相対位置関係を検知することができるのであれば、その取り付け位置はスイングサークルの近傍に限定されない。
【0041】
また、メインコントローラ51には、トランスミッション23の出力側に設けられた車速センサ58が検出する油圧ショベル1の現在の走行速度を示すデータが入力される。車速センサ58は、油圧ショベル1の現在の走行速度を検出するためのものであるため、トランスミッション23の出力側ではない場所に設置してもよい。例えば、トランスミッション23とアクスル25を連結する図示しないドライブシャフトの近傍に設けてドライブシャフトの回転速度を検出して走行速度を得るようにしてもよい。
【0042】
エンジンコントローラ52は、コモンレールおよびインジェクタ等で構成される燃料噴射装置59に燃料噴射指令信号を出力し、燃料噴射装置59を電子制御することで、エンジン52に供給される燃料噴射量を調整し、作業時や走行時に負荷に応じた適切なエンジン出力が出るようにする。図示を省略するが、エンジンコントローラ52のメモリなどの記憶装置には、燃料噴射量の制御マップとして、作業時の作業モード用のマップと、走行時のストリートモード用のマップとが別々に格納されており、各動作モードのマップに基づき、燃料噴射装置59に対する燃料噴射指令信号が生成される。また、エンジンコントローラ52は、燃料噴射装置59への燃料噴射指令信号に基づいて、エンジン33の瞬時燃費を演算する。
【0043】
マルチモニタ53は、オペキャブ31内の運転席の前方に搭載されている。マルチモニタ53は、液晶モニタ等で構成された表示部112を有し、この表示部112に油圧ショベル1に関する各種の情報を表示する。また、マルチモニタ53の表示部112の下方には、各種の操作スイッチが配置された、図5に示すような操作部114が表示部112と筐体内に一体となって設けられている。なお、マルチモニタ53は、表示部112と操作部114を分離して、表示部112をオペレータが着座する運転席の前方位置に配置し視認性を確保し、操作部114を運転席の左右いずれかの手の届き易い位置に配置して操作性を確保するようにしてもよい。また、表示部112及び操作部114をタッチパネルとする形態としてもよい。
【0044】
図3には、マルチモニタ53の表示部112に表示される表示画面の一態様が示されている。
表示画面には、エンジン33を冷却するための冷却水の温度を示す冷却水温度メータ61、油圧ポンプ34や油圧モータ22,36(走行モータ22、旋回モータ36)あるいは油圧シリンダ44等の油圧機器を動作させるための作動油の温度を示す作動油温度メータ62、燃料の残量を示す燃料量メータ63が画面中央に大きく並列して表示されている。
【0045】
上記の各メータ61,62,63の周囲、すなわち表示画面の上部には、ストリートモードインジケータ64、サスロックモードインジケータ65、パーキングブレーキインジケータ66、サービスメータ67、速度段インジケータ68、オートデセルインジケータ69、作業モードインジケータ71、走行モードインジケータ72がアイコンにて表示されている。さらに、上記の各メータ61,62,63の周囲、すなわち表示画面の左側端部には、旋回位置直線インジケータ73、旋回ロックインジケータ79がアイコンにて表示され、表示画面の右側端部には、実際の燃費の状態と目標燃費との関係を視覚的に表示するエコゲージ(燃費表示部)74、および単位時間当たりの燃費の消費量(平均燃費)を数値で表示する数値表示部75が表示されている。エコゲージ74については詳細を後述する。
【0046】
数値表示部75で表示される数値について説明する。エンジンコントローラ52から燃料噴射指令信号が示す燃料量のデータを受信し、さらに、エンジン33が稼働している間、マルチモニタ53内のカウンタがエンジン稼働時間を計測し、演算部116の中の図示しない燃費数値演算手段により、累積の燃料量をエンジン稼働時間で除した値(l/h)が求められ、求められた数値(平均燃費)は表示制御部113を介して送信され、表示部112に所定の時間間隔で平均燃費が表示更新される。すなわち、数値表示部75は、油圧ショベル1の動作モードがどのモードであるかにかかわらず、求められた平均燃費を表示する部分である。したがって、一日の作業(走行を含む作業)を終える際に数値表示部75に表示される数値は、その一日の平均燃費が示されていることになり、エンジン33を停止後、所定時間が経過し日が変わったと判定されたならば、その数値はリセットされる。
【0047】
図4は、ストリートモードへの変更が指示された場合の、油圧ショベル1に搭載されたマルチモニタ53の表示部112を示す。油圧ショベル1の動作モードが作業モードである際に、図3に示した表示画面が表示されている状態で、オペレータにて図5に示すストリートモード切替スイッチ131が操作された場合、操作部114から操作信号が操作制御部115へ送信される。そして、油圧ショベル1の動作モードが作業モードからストリートモードへと切り替えられたことを示す、ストリートモードアイコン64Lが表示部112の中央部に大きく表示される。なお、ストリートモード切替スイッチ131が操作されたとしても、上記あるいは後述するように、走行するに際し適切な油圧ショベルの1の状態条件(旋回ロックか旋回フリーかの旋回ロック条件、サスロックかサスフリーかのサスロック条件、作業機ロックか作業機フリーかの作業機ロック条件、あるいは走行停止の条件)が満たされていなければ、表示部112にストリートモードアイコン64Lを表示せずに他のアイコンやメッセージを表示させて、オペレータに対してストリートモードへ切り替えても、すぐには走行することは不可能であることを知らせるようにしてもよい。すなわち、オペレータにそのようなストリートモードの切り替え可否に関する通知を行う理由は、上部旋回体3が走行方向に対して真直であって、サスペンションシリンダ26の上下の伸縮動作が可能(サスフリー)であって、さらに作業機4の動作および上部旋回体3の旋回動作が制限(作業機ロック、旋回ロック)でなければ、走行時に支障があるからである。なお、ストリートモードアイコン64Lは、例えば2秒間点灯した後に消滅し、ストリートモードインジケータ64の表示色が変わる。これらの表示は、操作制御部115やメインコントローラ51から所定の信号を受けて表示制御部113が表示部112の表示形態を変更処理している。オペレータは、ストリートモードインジケータ64の表示色をみることで、動作モードがストリートモードに変更されたか否かを認識できる。
【0048】
また同様に、操作部114の各スイッチの操作に応じて、表示部112に表示されている、サスロックモードインジケータ65、旋回位置直線インジケータ73、旋回ロックインジケータ79の各アイコンの表示色の表示色は切り替わる。したがって、オペレータは、サスロックモードインジケータ65を視認することで、サスペンションシリンダ26がサスロックできたかあるいはサスフリーできたかを確認できる。また、オペレータは、旋回ロックインジケータ79を視認することで、上部旋回体3の旋回位置が走行方向に対して真直であるかを確認できる。このように各インジケータの表示形態を視認することで、詳細は後述するがストリートモードへの変更のための条件が整っているのか否かをオペレータが確認できる。さらに、より確実を期すために、ストリートモードインジケータ64がストリートモードを示す形態で表示されていても旋回ロックができない状態(上部旋回体3の旋回位置が走行方向に対して真直ではない)ならば、コーション(文字やマークの表示)を表示し、オペレータに旋回動作をさせることを促すようにする。
【0049】
一方、図5に示す操作部114には、各インジケータ等の表示に連動する複数のスイッチが設けられている。つまり、ストリートモード切替スイッチ131、サスロックモード切替スイッチ132、オートデセル切替指示スイッチ133、作業モード切替指示スイッチ134、走行モード切替スイッチ135、ブザーキャンセルスイッチ136、その他、詳細は説明しないがエアコン操作のための各種スイッチ等が設けられている。各種スイッチの操作に応じて、表示画面に表示されるアイコンなどの表示色や表示内容が変更される。
【0050】
上記の各メータ61,62,63の周囲、すなわち表示画面の下部には、以下に述べるような各種ガイダンスアイコンが表示されており、各種ガイダンスアイコンの表示位置の下方に位置する場所に、各々のガイダンスアイコンに対応する機能を働かせるための図示しないファンクションスイッチが配置されている。なお、上記のように、表示部112と操作部114を分離して、表示部112をオペレータが着座する運転席の前方の見やすい位置に配置し、操作部114を運転席の左右いずれかの手の届きやすい位置に配置するようにした場合は、表示部112に表示された各種ガイダンスアイコンと各種ガイダンスアイコンの機能を働かせるためのファンクションスイッチは、表示部112側に設けられてもよいし、操作部114側に設けられてもよく、操作部114側に設けられる場合では、各種ガイダンスアイコンとファンクションスイッチとが当然ながら空間的に離れた位置関係で相互に対応することとなる。
【0051】
次に表示部112に表示される各種ガイダンスアイコンに関する機能について説明する。油圧ショベル1の後方視界を確認するために、例えばカウンタウェイトの上部の位置などに一台あるいは複数台のCCDカメラなどで構成された車載カメラが設置されている場合、その車載カメラが撮影する、油圧ショベル1の後方画像を表示部112に表示させることができる。その後方画像と図3に示す表示画面とを切り替ることを指示するために、画像切替アイコン76がガイダンスアイコンとして表示されている。また、サービスメータ67と時計表示とを切り換えることを指示するための表示切替アイコン77、図3に示す表示画面から各種設定などを行うための図示しない表示画面に遷移させるためのユーザーモードアイコン78等がガイダンスアイコンとして表示されている。
【0052】
以下、エコゲージ74について、図6ないし図8に基づいて詳説する。
図6に燃費の状態が表示されていないエコゲージ74を示す。エコゲージ74は、燃費をリアルタイムにバー表示するものであり、バーの長さで燃費の大きさを示している。バー表示は、表示部112の右端端部に上下方向に並んだ第1ブロック81から第10ブロック90までの10個のブロック81〜90によって構成されている。すなわち、燃費の状態を示すために、燃費の大きさの表示範囲を10段階に分けて表示するようにしている。本実施の形態では、10段階のブロック81〜90を示しているが、より細かな燃費の状態を表示するためにブロックの数を増やしたものでもよい。所定の色で表示されるブロック81〜90の数が多いほど、バーの長さが長くなり、燃費が大きい(燃料消費量が多い)ことを示す。燃費の大きさを示すバー表示のブロック81〜90の表示形態は、常時点灯するものでもよいし、所定の時間間隔で点滅するものでもよい。オペレータあるいはサービスマンが操作部114の所定のスイッチを操作することによって、点灯か点滅かを任意に設定することができる。実際の燃費が目標燃費内であるか否かが容易にオペレータが視認できるよう、エコゲージ74には、目標燃費に相当する位置を示すための目標燃費ライン91が表示されている。バー表示の具体的な制御内容や目標燃費ライン91の決定方法などについては、詳細を後述する。
【0053】
そして、単位時間当たりの燃料消費量が多くて燃費の大きさを示すバー表示のバーの長さが、目標燃費に相当する位置を越えた長さとして表示させる場合には、目標燃費以上の部分を目標燃費未満の部分とは異なる色で点滅表示あるいは点灯表示する。エコゲージ74の最も下方に位置する第1ブロック81から上方に至る第8ブロック88までが、例えば緑色で点灯表示あるいは点滅表示され、第9ブロック89と第10ブロック90は、他の8個のブロック81〜88とは異なる色、例えばオレンジ色で点灯表示あるいは点滅表示される。すなわち、目標燃費ライン91を境としてブロックの表示形態を変えるようにしている。なお、目標燃費ライン91を超えたブロック(図6の場合、ブロック89およびブロック90)を表示するにあたっては、点灯表示でも点滅表示でもよいが、オペレータに対して燃費が悪いことを的確に通知する効果という点から、点滅表示をさせるほうが望ましい。
【0054】
図7に第1ブロック81から第6ブロック86の途中までが緑色で点灯表示あるいは点滅表示されたエコゲージ74の状態を示す。つまり、このエコゲージ74の表示状態は、実際の燃費が目標燃費内であることを意味する。この表示状態から単位時間当たりの燃料消費量が増え燃費が大きくなると、点灯表示あるいは点滅表示されるブロックの数が増える。図8に示すように、エコゲージ74の下から9番目の第9ブロック89にかかる部分がオレンジ色で点滅表示されると、実際の燃費が目標燃費を超えたことを示していることになる。上記でも述べたように、実際の燃費が目標燃費内であるか否かが容易にオペレータが視認できるよう、エコゲージ74には、目標燃費に相当する位置を示すための目標燃費ライン91が表示されている。
【0055】
ここで、ブロック81〜90の各々は、表示部112が液晶モニタであることから、多数のドットがマトリックス状に配列された構成で成り立っている。複数のドット行の積み重ねによってゲージ表示内での縦表示幅が決められる。すなわち、後述する燃費の状態に応じて積み重なるドット行数が変化し、バー表示の縦表示幅が上下に伸縮する。各ブロック81〜90で表示可能な縦表示幅は、図6に示すように縦表示幅H1である。また、複数のドット列によってブロックの横表示幅Wが構成されてブロック81〜90が表示される。すなわち、本実施形態のエコゲージ74では、1行のドットを最小単位として燃費の状態をバー表示という表示形態で表示し、燃費の状態に応じてバー表示を上下に伸縮させるものである。図7に示す縦表示幅H2での表示のように、第6ブロック86の途中までを表示可能な理由は、このような構成による。
【0056】
また、目標燃費の値は、作業機4にて作業を行う作業モードと、下部走行体2により走行を行うストリートモードとでは、異なる値が予め設定されている。具体的な値としては、特に限定されるものではないが、例えば作業モードの目標燃費は18リットル/時間(18l/h)であり、ストリートモードの目標燃費は23リットル/時間(23l/h)であると予め設定しておく。このような目標燃費は、実験等により得られた各動作モードでの実際の最大燃費に対する80%の値である。あるいは、目標燃費の値は、各動作モードにおいて最も燃費効率が良く作業あるいは走行できる最大の燃費として定義され設定しておくこともできる。
【0057】
次に、図9、図10、さらに図11に基づき、エコゲージ74の表示に関係するメインコントローラ51およびマルチモニタ53の具体的な構成や、それらメインコントローラ51やマルチモニタ53で行われる制御について説明する。
【0058】
図9において、メインコントローラ51は、通信制御部101、状態取得部102、モード判定部103、ソレノイド制御部104を備えている。
【0059】
通信制御部101は、メインコントローラ51に記憶されている情報やデータを車内ネットワークNWに送信したり、エンジンコントローラ52やマルチモニタ53が送信した情報やデータを、車内ネットワークNWを介して受信したりするために機能する。
【0060】
状態取得部102は、スイングサークルの近傍に設けられた旋回位置検出センサ57からの検出信号に基づき、現在の上部旋回体3の下部走行体2に対する相対的な位置(旋回位置)を検知するとともに、車速センサ58が検出する走行速度を示すデータを取得する。また、状態取得部102は、マルチモニタ53の操作部114に設けられたストリートモード切替スイッチ131の操作に応じて発生する操作信号に基づき、ストリートモードへの変更要求を示す信号を取得するとともに、操作部114に設けられたサスロックモード切替スイッチ132の操作に応じて発生する操作信号に応じて、作業機4のロック状態やサスペンションのロック状態に関わる、後述するような情報を取得する。
【0061】
モード判定部103は、状態取得部102が取得した各種情報やデータに基づいて、油圧ショベル1の動作モードがストリートモードであるか作業モードであるかを判断する。
【0062】
ソレノイド制御部104は、上記のようにマルチモニタ53から操作信号(作業モードからストリートモードへの変更を示す信号)を受信すると、PPCロックソレノイド54に電気信号(消磁信号あるいは励磁信号)を送信し、PPCロックバルブ38を動作させる。油圧ショベル1の動作モードが作業モードの場合は、オペキャブ31内に設けられた作業機4を操作するための図示しない操作レバーを操作することで、操作レバーの操作量に応じたパイロット油圧が発生し、パイロット油圧を受けた図示しないコントロールバルブで作動油の流量制御が行われ油圧シリンダ44が動作する。メインコントローラ51が、マルチモニタ53から操作信号(作業モードからストリートモードへの変更を示す信号)を受信すると、メインコントローラ51は操作レバーを操作しても作業機4が動かないようにするための作業機ロックを指示する信号(作業機ロック指示信号)を生成する。ソレノイド制御部104は、作業機ロック指示信号を受けて、PPCロックソレノイド54に電気信号(消磁信号あるいは励磁信号)を送信する。PPCロックソレノイド54は、PPCロックバルブ38を動作させ、油圧ポンプ34から図示しないPPCバルブへの作動油(パイロット油圧)の流れが遮断される。よって、作業機4が作業機ロックされると操作レバーを操作しても作業機4が動かない状態となる。
【0063】
また、ソレノイド制御部104は、上部旋回体3を旋回させるための図示しない操作レバーが、操作されず、中立の状態を所定の時間検知したら、旋回ブレーキソレノイド56に電気信号(消磁信号あるいは励磁信号)を送信し、旋回ブレーキ37をブレーキ動作させて上部旋回体3が旋回しないように旋回ブレーキ(旋回ロック)する。さらに、ソレノイド制御部104は、上部旋回体3を旋回ロックする旨の信号(旋回ブレーキ指令信号)を通信制御部101に送信する。
【0064】
さらに、ソレノイド制御部104は、サスロックモード切替スイッチ132の操作信号に応じて、サスロックソレノイド55に電気信号(消磁信号あるいは励磁信号)を送信する。オペレータによって、サスロックモード切替スイッチ132が操作されると、操作信号がメインコントローラ51に送信される。その操作信号が、サスペンションシリンダ26の上下動を制限するサスロック状態とするものを指示する信号である場合、その操作信号は、通信制御部101を介してソレノイド制御部104へ送信される。そして、ソレノイド制御部104は、サスロックソレノイド55へ電気信号(消磁信号あるいは励磁信号)を送信する。サスロックソレノイド55は、サスロックバルブ27を動作させて、サスペンションシリンダ26への作動油の流出入を制限してサスペンションシリンダ26の上下の伸縮動作を制限(サスロック)する。
【0065】
図10に、表示装置であるマルチモニタ53の内部構成を示す。マルチモニタ53は、通信制御部111、表示部112、表示制御部113、操作部114、操作制御部115、演算部116、およびメモリ117を備えている。演算部116は、スケール選択手段121、ゲージ100%時の燃費値算出手段(フルスケール時の燃費値算出手段)122、ゲージ表示値算出手段123、およびゲージ表示幅算出手段124を備えている。
【0066】
通信制御部111は、マルチモニタ53で記憶されている情報やデータあるいは、マルチモニタ53で設定された情報やデータを車内ネットワークNWに送信したり、メインコントローラ51やエンジンコントローラ52から出力された情報やデータを車内ネットワークNWを介して受信したりするために機能する。
【0067】
表示部112は、前述したように、表示画面を表示するための液晶モニタ等で構成される。
表示制御部113は、液晶モニタの表示制御を行う液晶ドライバ等で構成される。具体的には、演算部116で算出されたゲージ表示幅であるドット行数に基づき、エコゲージ74の表示形態を表示制御する。また、表示制御部113は、操作部114に設けられた各種スイッチの操作に応じて発生する操作信号を操作制御部115を介して受信し、図3に示した各インジケータ(ストリートモードインジケータ64、サスロックモードインジケータ65、パーキングブレーキインジケータ66、サービスメータ67、速度段インジケータ68、オートデセルインジケータ69、作業モードインジケータ71、走行モードインジケータ72)の表示制御を行うとともに、エンジン33の冷却水の温度を検出する水温センサ、作動油の温度を検出する作動油温センサ、燃料タンクにある燃料の残量を検出する燃料計からの検出信号に基づき、各メータ(冷却水温度メータ61、作動油温度メータ62、燃料量メータ63)の表示制御を行う。
【0068】
操作部114には、前述したように、ストリートモード切替スイッチ131、サスロックモード切替スイッチ132、オートデセル切替指示スイッチ133、作業モード切替指示スイッチ134、走行モード切替指示スイッチ135、ブザーキャンセルスイッチ136、作業機ロックスイッチ等が備えられている。
操作制御部115は、上記のように操作部114に設けられた各種スイッチの操作に応じて発生する操作信号を表示制御部113あるいは通信制御部111に送信するとともに、後述するようにストリードモード変更要求フラグのON、OFFを示す信号をメインコントローラ51に出力する。
【0069】
以下、マルチモニタ53の演算部116について詳細に説明する。演算部116のスケール選択手段121は、後述するスケール変換係数として予め記憶されている「1.0」または「0.8」のいずれかを選択するものである。ストリートモードでは、スケール変換係数として「1.0」が選択され、作業モードでは、「0.8」が選択される。作業モードでのスケール変換係数の「0.8」は、次のように導出される。作業モードのスケール変換係数は、作業モードでの目標燃費18(l/h)をストリートモードでの目標燃費23(l/h)で除した値(18/23≒0.8)である。それら各動作モードでのスケール変換係数は、エコゲージ74が燃費の大きさを最大(フルスケールでありゲージ100%)に示す時の燃費(l/h)を算出する際に用いられる。なお、各動作モードの目標燃費あるいはスケール変換係数の数値は、予めメモリ117等の記憶装置に記憶されているが、操作部114の所定のスイッチをオペレータあるいはサービスマンが操作することで、その数値の設定変更を行うことができる。油圧ショベル1が、作業現場の存在位置によっては、頻繁に発進停止を繰り返すような市街地道路ばかりを走行する場合と発進停止が少ない郊外道路ばかりを走行する場合とが考えられ、エコゲージ74のゲージ表示に影響を与える目標燃費やスケール変換係数の数値の設定変更を行う必要がある場合に対応するためである。
【0070】
演算部116のゲージ100%時の燃費値算出手段122は、ストリートモードでの目標燃費23(l/h)をベースとして、各動作モードでのエコゲージ74のフルスケール時の燃費値に相当する燃費を以下の(1)式で算出するものである。フルスケール時の燃費値は、ゲージ100%時の燃費値であって、エコゲージ74のブロック81〜90のドットが全て点灯表示あるいは点滅表示する状態である。本実施例では、パーセント(%)という百分率を使って説明するが、フルスケールを100として、下記に示す(2)式から(3)式の中で用いられる各パーセントで示す数値は、その100に対する割合と考えればよい。
ゲージ100%時の燃費値算出=(スケール変換係数×ストリートモード80%燃費)×(100/80) ・・・(1)
【0071】
ここで、ストリートモード80%燃費とは、上記に述べたように、油圧ショベル1をストリートモードで実験的に走行させて得られた燃費を基に求めた、実際の最大燃費に対する80%の値である。あるいは、ストリートモード80%燃費とは、ストリートモードにおいて最も燃費効率が良く作業あるいは走行できる最大の燃費として定義され設定しておくこともできる。具体的には、ストリートモード80%燃費は、23(l/h)であり、メモリ117等に記憶されているが、このストリートモード80%燃費の値も、操作部114の所定のスイッチをオペレータあるいはサービスマンが操作することで、その数値の設定変更を行うことができる。
【0072】
このように、ゲージ100%時の燃費値を算出するに際しては、ストリートモードでの目標燃費(23(l/h))をベースとし、さらにスケール変換係数を用いることで、各動作モードでのゲージ100%時の燃費値を上記に示した1つの式((1)式)で算出できるため、各動作モードに対応した別々の式を用意する必要がなく、演算処理に必要な記憶装置のメモリ容量等を有効に使うことができる。
【0073】
演算部116のゲージ表示値算出手段123は、以下の(2)式により、エンジンコントローラ52から取得した瞬時燃費に基づいて、現在の燃費がゲージ100%時の燃費値に対して何%に相当するかを算出する。また、(2)式で用いる現在の瞬時燃費は、エンジンコントローラ52から、所定の周期(例えば10msec)で瞬時燃費を示すデータを取得し、所定の時間(例えば3秒間)の間、刻々と変化する瞬時燃費を示すデータ群をメモリ117の記憶部に蓄積しておく。そして、演算部116のゲージ表示値算出手段123は、所定の時間(上記のように例えば過去の3秒間)に蓄積された瞬時燃費を示すデータ群を使って、所定の時間(上記のように例えば過去の3秒間)の平均燃費を求め、求められた値(演算部116が計算した瞬時燃費)を現在の瞬時燃費(演算部116が計算した瞬時燃費)として、(2)式に代入し、ゲージ表示値を算出するのである。
ゲージ表示値算出(百分率計算)=(現在の瞬時燃費(演算部116が計算した瞬時燃費)/ゲージ100%時の燃費値)×100 ・・・(2)
【0074】
なお、ゲージ表示値算出は、所定の周期(例えば50msec)で実行される。したがって、エコゲージ74に表示される瞬時燃費を示すゲージ表示は、所定の周期(例えば50msec)で更新されることになる。当然ながら、所定の周期が短い設定とされるほど、エコゲージ74の表示のリアルタイム性は高くなる。したがって、液晶ドライバや各数値演算プロセッサ(CPU)などの処理速度やデータ通信の通信速度の制約を受けた範囲で、操作部114を操作して、所定の周期を変更することができるようにすることで、エコゲージの74の表示のリアルタイム性を調整することができる。
【0075】
演算部116のゲージ表示幅算出手段124は、以下の(3)式により、上記の(2)式により求められたゲージ表示値が、エコゲージ74を用いて表示されるドット行数として幾つのドット行数に相当するかを算出する。なお、単位パーセント(%)に対するドット幅の数値は、予めメモリ117に記憶されている。
ゲージ表示幅(ドット)算出=ゲージ表示値(%)×単位パーセント(%)に対するドット幅 ・・・(3)
【0076】
メモリ117は、各動作モードに対応するスケール変換係数設定テーブル125を有しており、このスケール変換係数設定テーブル125内にスケール変換係数である「1.0」および「0.8」の値が格納されている。また、メモリ117には、演算部116に備えられた各手段121〜124を機能させるための一つ以上のソフトウェア(コンピュータプログラム)が格納され、このソフトウェアが必要に応じて演算部116に呼び出されて実行される。
なお、上記に述べた各動作モードでの目標燃費である「23l/h」や「18l/h」の値などは、計算の都度、メモリ117から読み出すのではなく、ゲージ100%時の燃費値算出手段122を機能させるプログラムに予めパラメータとして組み込まれていてもよい。
【0077】
以下に、エコゲージ74に表示される燃費の表示処理の手順を、図11ないし図13に示すフローチャートを用いて説明する。
【0078】
図11において、先ず、マルチモニタ53の操作制御部115は、ストリートモード変更要求フラグがOFFを示す情報であることを確認する(ステップ1:以下、ステップを「S」と略す)。ストリートモード要求変更フラグとは、操作部114のストリートモード切替スイッチ131の操作状態に応じて生成されるフラグ(状態変数で0や1を示すもの)を示し、ストリートモード切替スイッチ131の操作状態を確認する(S2)。次にストリートモード切替スイッチ131が操作されたか否かを判断する(S3)。なお、フラグとは、状態変数で0や1を示すもので、ON(作業モードからストリートモードへの変更要求)を1とし、OFF(ストリートモードから作業モードへの変更要求)を0とするものである。また、逆にONに対して0、OFFに対して1とする設定がされていてもよい。
【0079】
操作部114のストリートモード切替スイッチ131が操作され、操作信号が操作制御部115に送信された場合(S3の判断:YES)に、操作制御部115は、ストリートモード変更要求フラグをONに切り換える(S4)。その後、ストリートモード要求変更フラグの状態を示す情報を、通信制御部111を介して車内ネットワークNW経由でメインコントローラ51へ送信する(S5)。S3において、操作部114から操作制御部115に操作信号が送信されておらず、ストリートモード切替スイッチ131が操作されていないと判断した場合(S3の判断:NO)に操作制御部115は、S5に進んでストリートモード変更要求フラグの状態を示す情報を通信制御部111を介して車内ネットワークNW経由でメインコントローラ51へ送信する(S5)。
【0080】
一方、図12に示すように、メインコントローラ51の状態取得部102が、旋回位置検出センサ57からの検出信号に基づいて上部旋回体3の旋回方向における位置を示す情報を取得する(S6)。さらに、ソレノイド制御部104が外部から受信する、作業機4のロック状態(作業機4の動作が、作業機ロックの状態か作業機フリーの状態)を示す情報、およびサスペンションシリンダ26のサスロック状態(サスペンションシリンダ26が、サスロックされた状態かサスフリーの状態)を示す情報を取得する(S7、S8)。また、車速センサ58から、油圧ショベル1の現在の走行速度を示すデータを取得する(S9)。そして、マルチモニタ53から車内ネットワークNWおよび通信制御部101を介して受信したストリートモード変更要求フラグの状態を示す情報(ONかOFF)を取得する(S10)。なお、S6からS10までは、図12に示す順序に限定されず、異なる順序で各情報を取得するものであってもよい。
【0081】
さらに、モード判定部103は、S6で得られた、上部旋回体3の旋回方向における位置を示す情報から、上部旋回体3の旋回位置が走行方向に対して真直であるか否かを判断する(S11)。S11では、上部旋回体3の前後方向の向きが、下部走行体2の前後方向と一致するか否かが判断される。上部旋回体3の前方向(作業機4が支承されてあるほうが前方向)と下部走行体2が前進走行する方向とが一致する場合を、上部旋回体3が走行方向に対して真直である(S11:YES)と判断する。言い換えれば、上部旋回体3が走行方向に対して真直である(S11:YES)とは、油圧ショベル1の前進走行方向に対して、オペレータが前進方向を向いており、油圧ショベル1を走行移動させるために走行操作上あるいは安全上の支障がない位置に、上部旋回体3が位置することを意味する。
【0082】
次に、S7で得られた、作業機4の動作がロックされているか否かを示す情報から、作業機4が作業機ロックの状態なのか作業機フリーの状態なのかを判断する(S12)。その情報が、作業機ロックを示す場合(S12:YES)であれば、S13へと進む。作業機ロックを示す場合(S12:YES)とは、油圧ショベル1を走行移動させるために走行操作上あるいは安全上の支障がないように、オペレータが作業機4を操作するための図示しない操作レバーを操作しても作業機4が動作しない状態であることを意味する。
【0083】
S8で得られた、サスペンションシリンダ26の動作がロックされているか否かを示す情報から、サスペンションシリンダ26がサスロックの状態なのかサスフリーの状態なのかを判断する(S13)。その情報が、サスフリーを示す場合(S13:YES)であれば、S14へと進む。サスフリーを示す場合(S13:YES)とは、油圧ショベル1が走行中にオペレータの乗り心地に支障がないように、サスペンションシリンダ26の伸縮動作が制限(ロック)されていない状態であることを意味する。
【0084】
S9で得られた、油圧ショベル1の現在の走行速度を示すデータから、現在の油圧ショベル1の走行速度は、停止していることを示す走行速度であるか否か(所定の走行速度以下であるか否か)を判断する(S14)。その情報が、油圧ショベル1が停止していることを示す走行速度であることを示す場合(S14:YES)であれば、S15へと進む。油圧ショベル1が停止していることを示す走行速度であるか否かを判断する処理が実行される理由は、ストリートモードと作業モードの切り替えを油圧ショベル1が停止している時のみ可能とすることで、オペレータが安全確認を確実に行って動作モードの切り替えを行えるようにするためである。
【0085】
さらに、上記のようにメインコントローラ51が、所定の信号を受けて旋回ブレーキソレノイド56に対し消磁信号あるいは励磁信号のいずれを生成しているか示す情報を状態取得部102は取得し、旋回ロックの状態なのか旋回フリーの状態なのかを判断する(S15)。その情報が、旋回ロックを示す場合(S15:YES)であれば、S16へと進む。旋回ロックを示す場合(S15:YES)とは、油圧ショベル1を走行移動させるために走行操作上あるいは安全上の支障がないように、上部旋回体3が旋回しない状態であることを示し、ストリートモードで油圧ショベル1が走行を開始し走行中は旋回ロックが維持され、走行停止後、ストリートモード切替スイッチ131が操作され作業モードへの変更要求がされない限り旋回ロックは維持される。
【0086】
S10で得られた、ストリートモード変更要求フラグを示す情報(ONかOFF)から、ストリートモード切替スイッチ131がオペレータにより操作されて、作業モードからストリートモードへの変更要求が指示されているのか否かを判断する(S16)。その情報が、ストリートモード変更要求フラグがONであることを示し、ストリートモード切替スイッチ131の操作により作業モードからストリートモードへの変更要求が指示されていることを示す場合(S16:YES)であれば、S17へ進む。
【0087】
以上、S11〜S16で行われる判断が、全てYESであれば、油圧ショベル1が走行するための条件が整い、油圧ショベル1の動作モードをストリートモードとすることは適切であるとして、動作モードはストリートモードであるという設定がなされる(S17)。他方、S11〜S16で行われる判断のいずれか1つの判断でもNOがあれば、油圧ショベル1の動作モードをストリートモードとすることは不適切であるとして、動作モードはストリートモードではないという設定がなされる(S18)。ここで、図12に示したように、S11からS16までに行われる処理の順序は、図12に示す順序に限らず、他の順序によって行われてもよい。S17あるいはS18で設定された動作モードを示す情報は、メインコントローラ51の図示しないメモリなどの記憶装置に格納される。
【0088】
その後、モード判定部103は、記憶装置から動作モードを示す情報を読み出し、通信制御部101および車内ネットワークNWを介して、動作モードを示す情報をマルチモニタ53へ送信する(S19)。
【0089】
次に、表示装置であるマルチモニタ53で行われる制御を図13の制御フローを用いて説明する。まず、マルチモニタ53の演算部116は、メインコントローラ51から、車内ネットワークNWおよび通信制御部111を介して、油圧ショベル1の動作モードを示す情報を取得する(S20)。さらに、エンジンコントローラ52から現在の瞬時燃費のデータを取得する(S21)。そして、S20で得られた動作モードを示す情報から、現在の油圧ショベル1に設定されている動作モードは、ストリートモードであるか否かを判断する(S22)。
【0090】
S22において、油圧ショベル1の動作モードはストリートモードであると判断(S22:YES)されれば、S24へと進み、演算部116のスケール選択手段121は、メモリ117内のスケール変換係数設定テーブル125からスケール変換係数として「1.0」を読み出す(S24)。一方、S22において、油圧ショベル1の動作モードはストリートモードではないと判断(S22:NO)されれば、S23へと進み、演算部116のスケール選択手段121は、メモリ117内のスケール変換係数設定テーブル125からスケール変換係数として「0.8」を読み出す(S23)。
【0091】
次に、演算部116のゲージ100%時の燃費値算出手段122は、上記の(1)式に基づいて、ストリートモード80%燃費と各モードでのスケール変換係数からゲージ100%時の燃費値を求める。ここで、ストリート変換係数は、S22で判断された各動作モードに対応する、S23またはS24で読み出された各動作モードのスケール変換係数が用いられる(S25)。
【0092】
次に、ゲージ表示値算出手段123は、S25で求められたゲージ100%時の燃費値を用い、前記の(2)式に基づいてゲージ表示値、つまりS21で取得した、所定の時間の間に蓄積した瞬時燃費を示すデータ群から求めた平均燃費を現在の瞬時燃費として求め、現在の瞬時燃費(演算部116が計算した瞬時燃費)がゲージ100%時の燃費値の何%に相当するかを算出する(S26)。
【0093】
次いで、ゲージ表示幅算出手段124は、前記の(3)式に基づき、S26で得られたゲージ表示値(%)が、エコゲージ74で燃費の状態として表示するにあたり幾つのドット行数(ゲージ表示幅)に相当するかを算出する(S27)。ここで用いられる、パーセント(%)に対するドット幅は、予め設定されている、単位パーセントあたりのドット幅の数値であってメモリ117に記憶されており、S27の処理が行われる際に読み出される数値である。なお、サービスマンが、マルチモニタ53の操作部114を所定の操作をすることにより、この単位パーセントあたりのドット幅の数値を変えることができるようにしてもよい。単位パーセントあたりのドット幅の数値を変えることで、エコゲージ74に表示されるゲージが燃費の変化に応じて大きく上下に変化するように表示することも、その逆に燃費が変化しても敏感にゲージが上下に変化しないように表示することもでき、燃費に対するゲージの表示感度を調整することができる。最後に表示制御部113は、求められたゲージ表示幅を示すデータをゲージ表示幅算出手段124から受信し、相当するドット行数に基づいて、マルチモニタ53の表示部112のエコゲージ74に燃費の状態を色彩表示させる(S28)。
【0094】
以上に説明したように、本実施形態によれば、各動作モードにおいて、エコゲージ74に表示される目標燃費ライン91の位置は、モードが変わっても同じ位置に表示される。ストリートモードの時に「1.0」のスケール変換係数を用いることにより、エコゲージ74では、そこに記された目標燃費ライン91をストリートモードでの目標燃費である23(l/h)として対応させることができ、また、作業モード時に「0.8」のスケール変換係数を用いることで、ストリートモードでの目標燃費を作業モードでの目標燃費に変換し、目標燃費ライン91を作業モードでの目標燃費である18(l/h)として対応させることができる。
【0095】
各動作モードに対応した目標燃費を用いてそれぞれのモードでのゲージ100%時の燃費値を算出し、このゲージ100%時の燃費値に対する現在の瞬時燃費の割合を求め、その割合に基づいて燃費を表示させるため、現在の燃費が目標燃費ライン91の位置や、目標燃費未満にあるときは第1ブロック81〜第8ブロック88を用いて点灯あるいは点滅させたり、現在の燃費が目標燃費を超えたときには第9ブロック89,第10ブロック90を用いて点滅させたりするといった表示形態を各動作モードで共通にでき、オペレータに対して、1つのエコゲージ74を用いて各動作モードでの燃費の状態をわかりやすく適切に表示できるという効果がある。すなわち、オペレータにとっては、ストリートモードにて走行中であっても作業モードによって作業中であっても、自身の操作による燃費の状態の良否を一種の表示形態で示されるエコゲージ74を見て判別することができ、現在の燃費が目標燃費ライン91を超えていれば、省燃費運転を図るために、図示しないアクセルの必要以上の踏込や作業内容に見合わない作業機4の操作を回避するようになる。
【0096】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、ストリートモードのときの80%燃費をベースにして、各動作モードのゲージ100%時の燃料値を算出していたが、作業モードのときの80%燃費をベースにして、各動作モードのゲージ100%時の燃料値を算出してもよい。このような場合には、作業モード時のスケール変換係数として「1.0」を設定し、ストリートモード時のスケール変換係数として「1.25=1.0/0.8」を設定することになる。
【0097】
また、スケール変換係数を用いることなく、各動作モードでの100%時の燃料値をそれぞれの80%燃費に基づいて別々に算出してもよい。ただし、このような場合には、算出式が増えるなど、演算処理が繁雑になるうえ、メモリ容量が多く必要となるので、前記実施形態あるいは前記の変形例のように、いずれか一方のモードの80%燃費と、各動作モードに設定されるスケール変換係数を用いることが望ましい。
【0098】
前記実施形態では、メインコントローラ51は、車速センサ58から油圧ショベル1の走行速度を示すデータを取得し、このデータを用いて、現在の油圧ショベル1の動作モードがストリートモードであるか否かの判断に使用していたが、車速センサ58からのデータはモード判定に必須のデータではなく、省略可能である。つまり、極低速での走行を伴う作業も存在することから、そのような走行の延長として走行動作に移行することも考えられ、動作モードを判断するうえでは、必ずしも走行速度が停止を示す走行速度である必要はない。ただし、ストリートモードへの変更が指示され、その際、油圧ショベル1が所定の速度以下であるが停止ではない場合、あるいは所定の速度を超えている場合、表示部112に所定のコーション(文字やマークの表示)を表示する。オペレータに対して油圧ショベル1を安全に停止させて各種操作を行わせ、より安全を期すことを促すメッセージや感嘆符のマークを表示部112に表示する。
【0099】
前記実施形態では、エコゲージ74の表示形態としては、液晶モニタである表示部112に複数のブロック81〜90を用いてバー表示させていたが、図14に第1変形例として示すように、エコゲージ74を複数のLEDを用いた表示形態とするものであってもよい。目標燃費ライン91もLED点灯させ、現在の燃費の大きさに応じて点灯あるいは点滅させるLEDの数を増減させ、目標燃費ライン91を超えるような燃費の場合は、その超えた燃費を示すLEDを他のLEDとは発色する色を異ならせておく。さらに、その超えた燃費を示すLEDのみを点滅させて、オペレータに対して燃費が悪いことをわかりやすく表示してもよい。また、図15に第2変形例として示すように、エコゲージ74を扇状の複数のブロックで構成された表示形態としてもよい。この場合は、液晶モニタである表示部112に扇を円周方向に複数のブロックに分割して、燃費の大きさに応じて点灯あるいは点滅されるブロックの数が変化するものである。すなわち、図15に示すように、目標燃費ライン91を表示するとともに中心O(中心Oそのものは表示しない)を中心として反時計回りにブロックが点灯あるいは点滅されるほど燃費が大きなことを示す。ここでも目標燃費ライン91を超えるような燃費の場合は、その超えた燃費を示すブロックを他のブロックとは異なる色彩で点灯あるいは点滅させる。
【0100】
前記実施形態では、油圧ショベル1は、1つのブーム41からなるモノブーム構造の作業機4を備えていたが、図16に示すように、ツーピースブーム構造のブーム41を備えた作業機4であってもよい。このようなブーム41は、上部旋回体3に支承された第1ブーム45と、第1ブーム45の先端に連結された第2ブーム46とで構成されており、作業機4をコンパクトに収縮した姿勢にできるようになっている。
【0101】
なお、前記実施形態では、ホイール式油圧ショベルの場合について説明したが、他の自走式車両にも適用可能である。例えば、バケット等で構成される作業機とタイヤやトランスミッション等で構成される走行機構との両者を備えた建設機械の一種であるホイールローダにも適用できる。また、フォーク等で構成される作業機とタイヤやトランスミッション等で構成される走行機構との両者を備えた産業車両としてのフォークリフトや、ブームなどの荷役機構で構成される作業機とタイヤやトランスミッション等で構成される走行機構との両者を備えた作業機械の一種であるラフテレンクレーン等にも利用できる。当然ながらホイール式油圧ショベルとホイールローダ、フォークリフト、ラフテレンクレーンでは、自走式車両であって作業機と走行機構の両者を備えるという点で共通し、作業機による作業時の燃費と走行機構による走行時の燃費とは個別に評価する必要があるからである。なお、図12に示すS11からS13もしくはS15で行われる、動作モードの状態を判断するための条件は、上記の各自走式車両の構成が異なるため各自走式に応じて条件が異なる。例えば、ホイールローダやフォークリフトには上部旋回体なる構成はないが、ラフテレンクレーンには上部旋回体という構成があるからである。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、ホイール式油圧ショベルに利用できる他、バケット等で構成される作業機とタイヤやトランスミッション等で構成される走行機構との両者を備えた建設機械の一種であるホイールローダにも適用できる。また、フォーク等で構成される作業機とタイヤやトランスミッション等で構成される走行機構との両者を備えた産業車両としてのフォークリフトや、荷役機構などの作業機とタイヤやトランスミッション等で構成される走行機構との両者を備えた作業機械の一種であるラフテレンクレーン等にも利用できる。
【符号の説明】
【0103】
1…作業機械である油圧ショベル、2…下部走行体、4…作業機、33…エンジン、52…エンジンコントローラ、53…表示装置であるマルチモニタ、74…燃費表示部であるエコゲージ、122…ゲージ100%時の燃費値算出手段、123…ゲージ表示値算出手段、125…スケール変換係数設定テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがエンジンを駆動源とする下部走行体と作業機とを備えた自走式作業機械に搭載され、前記エンジンへ供給される燃料量を制御するエンジンコントローラから瞬時燃費のデータを受信する作業機械の表示装置であって、
前記下部走行体を動作させるときのストリートモード時の燃費、および前記作業機を動作させるときの作業モード時の燃費を表示させる1つの燃費表示部と、
前記ストリートモードおよび作業モードでの各目標燃費に基づいて、前記燃費表示部のフルスケールでの燃費値を算出するフルスケール時の燃費値算出手段と、
前記フルスケール時の燃費値算出手段で算出されたフルスケール時の燃費に対する瞬時燃費の割合を算出するゲージ表示値算出手段とを備えている
ことを特徴とする作業機械の表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械の表示装置において、
前記ストリートモードおよび前記作業モードのうち、いずれか一方の動作モードの目標燃費を他方の動作モードの目標燃費に変換するスケール変換係数が設定されたスケール変換係数設定テーブルを備えている
ことを特徴とする作業機械の表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械の表示装置において、
前記自走式作業機械に前記自走式作業機械の動作モードが、ストリートモードか作業モードかを判定するモード判定部を備え、
前記モード判定部は、
(1)前記自走式作業機械に備えられた前記自走式作業機械の上部旋回体の旋回方向における位置を検出する旋回位置検出手段が、前記上部旋回体が所定の位置であることを検出していること、
(2)前記自走式作業機械に備えられた前記自走式作業機械の前記作業機の動作をロックするための作業機ロック手段が、前記作業機をロックするための操作信号を出力していること、
(3)前記自走式作業機械に備えられた前記自走式作業機械の前記下部走行体のサスペンションシリンダの動作をフリーにするためのサスペンションシリンダロック手段が、前記サスペンションシリンダをフリーにするための操作信号を出力していること、
という条件を満たすと、前記自走式作業機械がストリートモードあると判断し、前記表示装置に前記ストリートモーであることを示す情報を送信し、
前記フルスケール時の燃費値算出手段は、前記ストリートモードであることを示す情報を受信した場合は、前記スケール変換係数設定テーブルから前記ストリートモードに対応するスケール変換係数を読み出してフルスケールでの燃費値を算出する
ことを特徴とする作業機械の表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の作業機械の表示装置において、
前記1つの燃費表示部は、表示部の端部に目標燃費ラインとともに現在の瞬時燃費をバー表示する
ことを特徴とする作業機械の表示装置。
【請求項5】
それぞれがエンジンを駆動源とする下部走行体と作業機とを備えるとともに、表示装置を搭載した自走式作業機械であって、
前記エンジンへ供給される燃料量を制御するエンジンコントローラを備え、
前記表示装置は、
前記エンジンコントローラから瞬時燃費のデータを受信可能に設けられ、
前記下部走行体を動作させるときのストリートモード時の燃費、および前記作業機を動作させるときの作業モード時の燃費を表示させる1つの燃費表示部と、
前記ストリートモードおよび作業モードでの各目標燃費に基づいて、前記燃費表示部のフルスケールでの燃費値を算出するフルスケール時の燃費値算出手段と、
前記フルスケール時の燃費値算出手段で算出されたフルスケール時の燃費に対する瞬時燃費の割合を算出するゲージ表示値算出手段とを備えている
ことを特徴とする表示装置を搭載した作業機械。
【請求項6】
請求項5に記載の表示装置を搭載した作業機械において、
前記表示装置は、前記ストリートモードおよび前記作業モードのうち、いずれか一方のモードの目標燃費を他方の動作モードの目標燃費に変換するスケール変換係数が設定されたスケール変換係数設定テーブルを備えている
ことを特徴とする表示装置を搭載した作業機械。
【請求項7】
請求項6に記載の表示装置を搭載した作業機械において、
前記表示装置は、前記自走式作業機械に前記自走式作業機械の動作モードが、ストリートモードか作業モードかを判定するモード判定部を備え、
前記モード判定部は、
(1)前記自走式作業機械に備えられた前記自走式作業機械の上部旋回体の旋回方向における位置を検出する旋回位置検出手段が、前記上部旋回体が所定の位置であることを検出していること、
(2)前記自走式作業機械に備えられた前記自走式作業機械の前記作業機の動作をロックするための作業機ロック手段が、前記作業機をロックするための操作信号を出力していること、
(3)前記自走式作業機械に備えられた前記自走式作業機械の前記下部走行体のサスペンションシリンダの動作をフリーにするためのサスペンションシリンダロック手段が、前記サスペンションシリンダをフリーにするための操作信号を出力していること、
という条件を満たすと、前記自走式作業機械がストリートモードあると判断し、前記表示装置に前記ストリートモーであることを示す情報を送信し、
前記フルスケール時の燃費値算出手段は、前記ストリートモードであることを示す情報を受信した場合は、前記スケール変換係数設定テーブルから前記ストリートモードに対応するスケール変換係数を読み出してフルスケールでの燃費値を算出する
ことを特徴とする表示装置を搭載した作業機械。
【請求項8】
請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の表示装置を搭載した作業機械において、
前記表示装置の前記1つの燃費表示部は、表示部の端部に目標燃費ラインとともに現在の瞬時燃費をバー表示する
ことを特徴とする表示装置を搭載した作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−75551(P2013−75551A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215160(P2011−215160)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】