説明

作業車両のためのエアコン装置及びこのエアコン装置を備えた作業車両

【課題】エンジンルームのスペースを大きくすることなく、コンデンサを効率よく冷却するエアコン装置、及びそのようなエアコン装置を備えた作業車両を提供する。
【解決手段】ボンネット13によって上方をカバーされたエンジンルーム内にエンジンとエンジン冷却装置とを配置するとともに、キャビン4を備えた作業車両のためのエアコン装置5であって、ボンネット13にコンデンサユニットハウジング7が設けられ、コンデンサユニットハウジング内にエアコン用コンデンサユニット6が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンネットによって上方をカバーされたエンジンルーム内にエンジンとエンジン冷却装置とを配置するとともに、キャビンを備えた作業車両のためのエアコン装置、及びそのようなエアコン装置を備えた作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
メインフレームの前後に配置された左右前輪と左右後輪と、メインフレームの後部にリンク連結されるとともに前方に延びるブームアッセンブリと、メインフレームの後部に配置されたエンジンルームと、エンジンルームの前方に配置されたキャビンとを備えた作業車両としてのスキッドステアローダが米国特許7,426,909号公報から知られている(特許文献1)。このスキッドステアローダにおいては、エンジンルームに縦置き配置されたエンジンの上方にエンジン冷却装置を構成するファン付きラジエータが配置され、このラジエータの後方でエンジンの上方にキャビン内部を冷却するエアコン装置のためのコンデンサとこのコンデンサを冷却するファンが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許7,426,909号公報(第3欄−第5欄、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1における空調装置を構成するコンデンサはエンジンルーム内のエンジン近くに配置されているため、十分な冷却効果を得るにはファンの容量を大きくする必要がある。また、コンデンサを冷却するためファンをその回転軸が水平となるように配置していることから、エンジンルームのスペースが大きくなり、コンパクト化に関して不利である。
本発明は、上記実情に鑑み、エンジンルームのスペースを大きくすることなく、コンデンサを効率よく冷却するエアコン装置、及びそのようなエアコン装置を備えた作業車両を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による、キャビンを備えた作業車両のためのエアコン装置は、ボンネットによって上方をカバーされたエンジンルーム内にエンジンとエンジン冷却装置とが配置され、前記ボンネットにコンデンサユニットハウジングが設けられ、前記コンデンサユニットハウジング内にエアコン用コンデンサユニットが配置されている。この構成によれば、コンデンサユニットがボンネットに配置されているので、コンデンサユニットがエンジンルーム内に要求するスペースは大きくなく、コンデンサユニットが占める配置スペースはボンネット周辺の余り利用されていない領域である。このことから、このコンデンサユニットの配置はエンジンルームのコンパクト化に貢献する。さらには、ボンネットはその裏面側はエンジンの熱にさらされることになるが、その表面側は外気と接触しており、エンジンルーム内においてボンネットの周辺領域は温度的には有利である。従って、ボンネットに設けられたコンデンサユニットハウジングにコンデンサユニットを配置する構造の採用により、コンデンサそのものは効率よく冷却されることとなる。
【0006】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記コンデンサユニットハウジングに前記ボンネット外に開口する空気流入口と空気流出口とを有する空気流通路が形成されており、前記空気流通路にエアコン用コンデンサユニットが配置されている。この特徴構成によれば、ボンネット外から冷却風としての外気を空気流入口から導入し、コンデンサユニットとの熱交換によって暖められた外気は再び空気流出口からボンネット外に排気される。これにより、コンデンサユニットには常に新鮮な、つまりエンジンルーム内よりはるかに低温の外気が冷却風として流れ込むので、高い冷却効果が得られる。
【0007】
上述したようなコンデンサユニットハウジングをボンネットに設けるための具体的な構造の1つとして、本発明では、前記コンデンサユニットハウジングは前記ボンネットの外部側に配設された外部ハウジングと、前記ボンネットの内部側に配設された内部ハウジングとを備え、前記外部ハウジングと前記内部ハウジングとの間のボンネット領域が切り欠かれる構造が提案される。この特徴構成では、コンデンサユニットハウジングが、ボンネットから外部側に突き出す外部ハウジング部分と、ボンネットからエンジンルーム側に突き出す内部ハウジング部分とに分けられるので、ボンネットの一方側にコンデンサユニットハウジングが飛び出すことによるスペース利用バランスの悪さが回避される。そのような構成において、前記外部ハウジング側にファンが配置され、前記内部ハウジング側にコンデンサユニットが配置されるならば、コンデンサユニットがエンジンルーム側に配置されることになり、コンデンサユニットの配管が容易となる。
【0008】
本発明によるエアコン用コンデンサユニットは、車体フレームと、車体フレーム内に形成されたエンジンルーム内に配置されたエンジン及びエンジン冷却装置と、前記エンジンルームの上方をカバーするボンネットと、前記車体フレームに支持されたキャビンとからなる作業車両におけるエアコン装置のために採用されると、エンジンルームに占めるコンデンサユニットの割合が少なくなり利点がある。
【0009】
また、そのような作業車両において、前記ボンネットは開閉揺動可能な開閉カバー部が備えられ、前記開閉カバー部に前記コンデンサユニットハウジングが設けられていると、開閉カバー部を開放することでコンデンサユニットへのアクセスが容易となり、コンデンサユニットのメンテナンス性が向上する。
【0010】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記コンデンサユニットハウジングのエンジンルーム側に前記コンデンサユニットへの熱伝達を抑制する熱遮断カバーが設けられ、前記熱遮断カバーは前記開閉カバー部の開放時に前記コンデンサユニットを開放するべく開放揺動可能である。この特徴構成によれば、通常運転時は、エンジンからの放射熱がコンデンサユニットに達するのを熱遮断カバーによって防ぐことができ、メンテナンス時にボンネットの開閉カバー部を開放するとともに熱遮断カバーを開放揺動することで、コンデンサユニットへのアクセスが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の1つの実施形態を示すスキッドステアローダの側面図である。
【図2】図1によるスキッドステアローダの斜め後方からみた斜視図である。
【図3】コンデンサユニットを取り付けたボンネットとエンジンルームを示す側面図である。
【図4】ボンネットに取り付けられたコンデンサユニットハウジングとコンデンサユニットを示す側面図である。
【図5】ボンネットの開閉カバー部の一連の揺動姿勢を説明する説明図である。
【図6】エアコン装置の配管を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明によるエアコン装置を搭載した作業車両の好適な実施形態の一例としてのスキッドステアローダを添付の図面に基づいて説明する。図1はスキッドステアローダの側面図であり、図2はそのスキッドステアローダの斜め後方からみた斜視図である。これらの図に示すように、スキッドステアローダは、メインフレームアッセンブリ1と、メインフレームアッセンブリ1に装着したブームアッセンブリ2と、メインフレームアッセンブリ1を支持する左右一対の走行アッセンブリ3とを備え、メインフレームアッセンブリ1の前部側にキャビン4が搭載されている。この実施形態におけるブームアッセンブリ2には、インプル(作業装置)としてバケットローダ作業装置が装着されているので、この作業車両はローダとして機能するが、これに代えて除雪作業装置などを装着することで、この社業車両を除雪機として機能させたりすることが可能である。
【0013】
メインフレームアッセンブリ1は、図示は省略されているが、底部と、左右一対の側壁と、前後壁とを有する上方が開口した箱形フレーム10を車体フレームとして備えている。箱形フレーム10の後部には、ブームアッセンブリ2を装着するためのブーム支持部11が左右一対で形成されている。このブーム支持部11には、連結ピン等の連結部材を介してブームアッセンブリ2を装着するためのボス部が設けられている。さらに、箱形フレーム10の後壁は、後部ボンネットとしての機能をもつべく、貫通孔が設けられており、箱形フレーム10の内部空間と車両外部との間の空気流通を可能にしている。図2に示されているように、箱形フレーム10の後壁からキャビン4に達する箱形フレーム10の上方開放領域を覆うボンネット13が設けられている。このボンネット13の後方の大部分は開口されており、その開口を開放可能に揺動閉鎖する開閉カバー部13aがボンネット13の構成部材として設けられている。
【0014】
ブームアッセンブリ2は図1と図2に示すように、メインフレームアッセンブリ1の左右両側に配置された左右一対のブーム21とブーム21の先端に装着されたバケット(作業具の一種)22とを備えている。左右一対のブーム21は、メインフレームアッセンブリ1の後上部に基部側が第1リフトリンク23と第2リフトリンク24とを介して上下揺動自在に支持されている。左右一対のブーム21の基部側とブーム支持部11の下部との間に設けられた複動式油圧シリンダからなる左右一対のブームシリンダ25によって、ブーム21の先端側がメインフレームアッセンブリ1の前方側で昇降する。第1リフトリンク23は、その基部がブーム支持部11の後上部に設けられたボス部に横断方向の揺動軸26a回りで揺動自在に枢着されており、先端部がブーム21の基部に左右方向の揺動軸26b回りで揺動自在に連結されている。第2リフトリンク24は、その基部がメインフレームアッセンブリ1のブーム支持部11の前側上部に設けられたボス部に横断方向の揺動軸26c回りで揺動自在に枢着されており、その先端部がブーム21の基部から先端側へ離れた位置に横断方向の揺動軸26d回りで揺動自在に連結されている。そして、ブームシリンダ25は、その基部がメインフレームアッセンブリ1のブーム支持部11の後側下部に設けられたボス部に横断方向の揺動軸26e回りで揺動自在に枢着されており、そのピストンロッドの先端部がブーム21の基部から先端側へ離れた位置に左右方向の揺動軸26f回りで揺動自在に連結されている。揺動軸26fは、揺動軸26eよりもブーム21の先端側の位置とされている。これによって、左右一対のブーム21は、キャビン4に干渉することなくキャビン4の左右両側で上下揺動自在に支持される。バケット22はブラケット22aを介してブーム21の先端部に左右方向の揺動軸26g回りで揺動自在に支持されており、複動式油圧シリンダからなるバケットシリンダ27により揺動動作(スクイ・ダンプ動作)される。
【0015】
走行アッセンブリ3は、それ自体公知であるので、詳しく述べないが、図1と図2から明らかなように、トラックフレーム31に支持された前後一対の従動輪32と、これら前後一対の従動輪32間の上方に配置された駆動輪33と、下方に配置された複数の転輪34とを有し、これら従動輪32、駆動輪33及び転輪34にクローラ35を巻き掛けてなるクローラ走行アッセンブリにより構成されている。左右一対の走行アッセンブリ3は、トラックフレーム31がメインフレームアッセンブリ1の箱形フレーム10の左右両側の側壁に固定されることによってメインフレームアッセンブリ1を走行可能に支持している。駆動輪33が図示されていない左右一対の独立制御される油圧式モータにより回転駆動されることで、このスキッドステアローダを前後進動作及び左右旋回動作させる。
【0016】
キャビン4は、図1と図2から理解できるように箱状に形成されており、内部に運転席などの配置された運転室40が形成されている。図示は省略されているが、キャビン4の後部に設けられたブラケットが箱形フレーム10に設けられた支持ブラケットに揺動軸を介して連結されていることによりキャビン4は揺動自在となっている。このキャビン4の揺動により、キャビン4によって覆われていた箱形フレーム10の前方領域が露出し、この前方領域に配置されているオイルタンクや燃料タンクの保守点検が容易となsる。運転者の運転室40への乗車と降車は、ここでは図示されていない、キャビン5の前側に設けられたドアを通じて行われる。
【0017】
運転室40内に配置されている運転席は箱形フレーム10側に支持されており、その左右に走行系操作レバーとローダ作業系操作レバーとが設けられている。キャビン4の前後面には視界性のよい大型のウインドガラスが装着されており、また、キャビン4の左右両側面には、運転者の視界を確保するために多数の小孔が設けられている。キャビン4の上面や底面は、実質的に閉鎖されており、キャビン4の閉鎖により運転室40は閉鎖空間となる。このため、この運転室40の移住環境を良好にするための空調システムを構成するエアコン装置5が、このスキッドステアローダには搭載されている。図2から理解できるように、このエアコン装置5のコンデンサユニット6がボンネット13の開閉カバー部13aに形成されたコンデンサユニットハウジング7に収容されている。
【0018】
図3は、メインフレームアッセンブリ1を構成する箱形フレーム10の後方領域に形成されたエンジンルーム100に配置された動力部8と、ボンネット13の開閉カバー部13aに形成されたコンデンサユニットハウジング7を側面視で示している。このコンデンサユニットハウジング7にはエアコン装置5のコンデンサユニット6が収納されている。
【0019】
動力部8は、エンジン81と、エンジン81と後部ボンネット12の間に配置されたエンジン冷却装置としての縦置きのラジエータ82と、エンジン81の前方に配置された油圧式変速装置(HST)83とを備えている。ラジエータ82のエンジン81側の領域にはファンを収納したファンシュラウドが形成されており、このファンは、詳しく図示されていないベルト伝動機構を介してエンジン動力によって回転駆動される。また、同様にベルト伝動機構を介してエンジン動力によって回転駆動されるエアコン装置5用コンプレッサ51が、コンデンサユニットハウジング7とエンジン81との間に配置され、エンジン81の上端部に取り付けられている。さらに、図示されていないが、油圧式変速装置83の前方に3連のギヤポンプであるオイルポンプや、作動油タンク、油圧制御装置が配置されている。油圧式変速装置83は、走行アッセンブリ3のここでは図示されていない油圧式モータへの作動油の供給量を調整することにより変速するものである。走行アッセンブリ3の油圧式モータの回転方向の切替は、キャビン4内に設けられた、ここでは図示されていない走行系操作レバーの左右又は前後の選択操作により行われ、また、油圧式モータの回転速度の調整は、走行系操作レバーの操作角度の大きさに比例して行われる。
【0020】
図4と図5とに示されているように、ボンネット13の中央領域は開閉カバー部13aとして形成されており、この開閉カバー部13aは支持ブラケット13bによって箱形フレーム10または固定のボンネット部分に揺動可能に支持されている。開閉カバー部13aにはその中央部にかなり大きな開口部が設けられており、その開口部にコンデンサユニットハウジング7が装着されている。コンデンサユニットハウジング7は、外部ハウジング71と内部ハウジング72とから構成され、ボンネット13に装着された状態において、外部ハウジング71は開閉カバー部13aの外部側に位置することになり、内部ハウジング72は開閉カバー部13aの内部側に位置することになる。つまり、外部ハウジング71は外気にさらされ、内部ハウジング72はエンジンルーム100の熱気にさらされることになる。
【0021】
外部ハウジング71の側壁や天壁には開口部71aが設けられており、その開口部71aに網75が取り付けられている。内部ハウジング72の前側領域にはダクト空間部73が形成されている。内部ハウジング72の底壁は、エンジンルーム100からの熱気を遮断する熱遮断カバー74として機能し、その図5からよく理解できるように、揺動式で前方側に位置している作用う軸心周りで開閉可能に構成されている。外部ハウジング71と内部ハウジング72との境界面はその大部分が開口されており、これにより図4において矢印で示すように、外部ハウジング71からダクト空間部73を通り、内部ハウジング72の内部空間に入って、再び外部ハウジング71の内部空間を経て外部に達する空気通路が形成されることになる。外部ハウジング71の所定位置に形成された開口部71aは前記空気通路の空気流入口として機能し、外部ハウジング71の別な所定位置に形成された開口部71bは前記空気通路の空気流出口として機能するように構成されている。なお、この実施の形態では、開口部71a、71bは多くの孔が作り出されているパンチングメタルや網体などによって構成される。このコンデンサユニットハウジング7では、空気流入口と空気流出口の両方が外部ハウジング71に形成されている。
【0022】
このコンデンサユニットハウジング7に収納されるエアコン用コンデンサユニット6は、横置き式のコンデンサ60とこのコンデンサ60に対向配置された軸流式のファン61とからなる。コンデンサ60の下面には、エアコン冷媒の流入用管接続部62と流出用管接続部63が設けられている。コンデンサユニットハウジング7はコンデンサユニットハウジング7に形成されている上述した空気通路に、ファン61が外側に位置するように配置される。これにより、ボンネット13の外部から取り込まれた外気がダクト空間部73を通りコンデンサ60を冷却しながら通り抜け、ファン61の吸い込み作用によりファン61を通過して再びボンネット13の外部に戻される。コンデンサ60は、外部からの、通常はエンジンルーム100の空気よりは温度の低い新鮮な空気により効率よく冷却される。また、コンデンサユニットハウジング7の下面を形成する熱遮断カバー74が薄い金属板製なので、この熱遮断カバー74が熱交換板として機能することで、エンジンルームの100の熱気をこの熱遮断カバー74の表面を通る外気流により冷却させる効果を副次的に生み出すように構成することも可能である。
【0023】
この熱遮断カバー74の本来の役割は、エンジンルームの100の熱気が直接コンデンサ60に達することを阻止することとコンデンサユニットハウジング7に空気流通路を造り出すことであるが、この実施形態では、熱遮断カバー74は、図5で示すように、コンデンサ60の保守点検を容易にするため、揺動可能に内部ハウジング72に取り付けられている。
【0024】
図5の(a)に示すように、ボンネット13の開閉カバー部13aに装着されているコンデンサユニットハウジング7は、開閉カバー部13aが閉鎖された状態でコンデンサユニット6のコンデンサ60がほぼ水平な姿勢または後方が低くなるようにわずかに傾斜した姿勢となるようにコンデンサユニット6に収納固定されている。なお、コンデンサユニットハウジング7の底面として機能する熱遮断カバー74の後端領域に水抜き口が形成されており、コンデンサから落ちた水が水抜き口に集められ、そこからエンジンルームのラジエータユニット領域に落下することで、直接エンジン領域に落下することが回避されている。開閉カバー部13aが閉鎖された状態では、熱遮断カバー74は閉鎖姿勢となっている。従って、保守点検にあたっては、図5の(b)に示すように、ガススプリング76の補助力を受けて、軽い操作で開閉カバー部13aが開放される。これにより、エンジンルーム100の内部を後上方から見ることができる。開閉カバー部13aが開放された状態、つまりコンデンサユニットハウジング7がその下面を立ち上げた状態において、図示されていないクランプ器具を操作することで、熱遮断カバー74を開放方向に揺動させる。図5の(c)に示されているこの状態では、コンデンサ60が露出することになるので、保守点検者は、容易にコンデンサ60の状態をチェックすることができる。
【0025】
上述したコンデンサ60を含む、エアコン装置5の模式的な配管図が図6に示されている。このエアコン装置5は、自動車用エアコンとしてよく知られているように、コンプレッサ51と、コンデンサ60と、クーリングユニット52と、空調ダクト54と、これらの構成要素を連結する連結パイプ53a、53b、53c、及び図示されていないタンクから構成されている。コンプレッサ51で高圧化され、温度が高くなった冷媒はコンデンサ60で冷やされ、クーリングユニット52で低圧化に伴って熱を奪う吸熱(蒸発)プロセスが行われる。クーリングユニット52は蒸発器として機能するので、そこで冷却された空気は、空調ダクト54を通って、キャビン4内の運転室40に開口したエアコン吹き出し口から冷却空気を放出する。暖房時にはクーリングユニット52は、空気を冷却除湿した後に過熱を行うリヒート機能を実行するが、その説明は省略する。
【0026】
上述した実施形態において、一つの実施形態の特徴は他の実施形態の特徴と組み合わせることができ、そのような組み合わせは、矛盾が生じない限り、本発明の範囲に含まれることをここに明記しておく。
【符号の説明】
【0027】
4 :キャビン
10 :箱形フレーム
13 :ボンネット
13a:開閉カバー部
40 :運転室
5 :エアコン装置
6 :コンデンサユニット
60 :コンデンサ
61 :ファン
7 :コンデンサユニットハウジング
71 :外部ハウジング
72 :内部ハウジング
73 :ダクト空間部
74 :熱遮断カバー
71a:開口部
100:エンジンルーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンネットによって上方をカバーされたエンジンルーム内にエンジンとエンジン冷却装置とを配置するとともに、キャビンを備えた作業車両のためのエアコン装置であって、
前記ボンネットにコンデンサユニットハウジングが設けられ、前記コンデンサユニットハウジング内にエアコン用コンデンサユニットが配置されているエアコン装置。
【請求項2】
前記コンデンサユニットハウジングに前記ボンネット外に開口する空気流入口と空気流出口とを有する空気流通路が形成されており、前記空気流通路にエアコン用コンデンサユニットが配置されている請求項1に記載のエアコン装置。
【請求項3】
前記コンデンサユニットハウジングは前記ボンネットの外部側に配設された外部ハウジングと、前記ボンネットの内部側に配設された内部ハウジングとを備え、前記外部ハウジングと前記内部ハウジングとの間のボンネット領域が切り欠かれている請求項1または2に記載のエアコン装置。
【請求項4】
前記外部ハウジング側にファンが配置され、前記内部ハウジング側にコンデンサが配置されている請求項3に記載のエアコン装置。
【請求項5】
車体フレームと、車体フレーム内に形成されたエンジンルーム内に配置されたエンジン及びエンジン冷却装置と、前記エンジンルームの上方をカバーするボンネットと、前記車体フレームに支持されたキャビンと、前記キャビンのためのエアコン装置とを備えた作業車両であって、
前記ボンネットにコンデンサユニットハウジングが設けられ、前記コンデンサユニットハウジング内にエアコン用コンデンサユニットが配置されている作業車両。
【請求項6】
前記コンデンサユニットハウジングに前記ボンネット外に開口する空気流入口と空気流出口とを有する空気流通路が形成されており、前記空気流通路にエアコン用コンデンサユニットが配置されている請求項5に記載の作業車両。
【請求項7】
前記ボンネットは開閉揺動可能な開閉カバー部を備えており、前記開閉カバー部に前記コンデンサユニットハウジングが設けられている請求項5または6に記載の作業車両。
【請求項8】
前記コンデンサユニットハウジングのエンジンルーム側に前記コンデンサユニットへの熱伝達を抑制する熱遮断カバーが設けられ、前記熱遮断カバーは前記開閉カバー部の開放時に前記コンデンサユニットを開放するべく開放揺動可能である請求項5から7のいずれか一項に記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−16436(P2011−16436A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162056(P2009−162056)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】