作業車
【課題】荷台のダンプ時であっても運転部の後側を仕切部材で覆うことができ、仕切部材により荷台をダンプさせる高さが制限されることを防止できる作業車を実現する。
【解決手段】作業車において、荷台40を、荷台40の前部が前方に移動した第1状態と、荷台40の前部が後方に移動した第2状態とに状態切換可能に構成するとともに、仕切部材90を、第1状態での荷台40の前側に移動した前方移動位置と、第2状態での荷台40の前側に移動した後方移動位置とに位置変更可能に構成し、前方及び後方移動位置での仕切部材90を車体側の固定部材に固定可能に構成する。
【解決手段】作業車において、荷台40を、荷台40の前部が前方に移動した第1状態と、荷台40の前部が後方に移動した第2状態とに状態切換可能に構成するとともに、仕切部材90を、第1状態での荷台40の前側に移動した前方移動位置と、第2状態での荷台40の前側に移動した後方移動位置とに位置変更可能に構成し、前方及び後方移動位置での仕切部材90を車体側の固定部材に固定可能に構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の後部にダンプ可能な荷台を備えた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、例えば特許文献1に開示されているように、車体の後部にダンプ可能な荷台(特許文献1のFIG.2の2)を備え、この荷台と運転部との間を仕切る仕切部材(特許文献1のFIG.1の5)を備えた作業車が知られている。特許文献1の作業車では、FIG.6及びFIG.7に開示されているように、仕切部材を荷台に固定できるように構成して、荷台への仕切部材の固定位置を変更することで、仕切部材の位置を変更できるように構成されている。
【特許文献1】USP6905159B1号(FIG.2,FIG.5〜FIG.7参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の作業車のように、仕切部材を荷台側に固定するように構成すると、荷台をダンプさせた場合に、荷台と共に仕切部材が上昇し、運転部の後側に仕切部材が存在しない状態になって(FIG.2B参照)、荷台のダンプ時に運転部の後側を仕切部材で覆うことができなくなる。その結果、荷台をダンプさせると、運転部の後側が開放されることになる。
【0004】
また、荷台と共に仕切部材が上昇するように構成すると、荷台のダンプ時における作業車の全高が仕切部材により高くなって、荷台をダンプさせる高さが仕切部材により制限されていた。その結果、仕切部材を気にしながら荷台をダンプさせる必要があり、荷台のダンプ作業を慎重にせざるを得ず、荷台のダンプ作業の作業性が悪くなるといった問題があった。
【0005】
本発明は、荷台のダンプ時であっても運転部の後側を仕切部材で覆うことができ、仕切部材により荷台をダンプさせる高さが制限されることを防止できる作業車を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、作業車を次のように構成することにある。
【0007】
車体の後部にダンプ可能な荷台を備え、前記荷台を、前記荷台の前部が前方に移動した第1状態と、前記荷台の前部が後方に移動した第2状態とに状態切換可能に構成するとともに、前記荷台と運転部との間を仕切る仕切部材を備えて、前記仕切部材を、前記第1状態での荷台の前側に移動した前方移動位置と、前記第2状態での荷台の前側に移動した後方移動位置とに位置変更可能に構成し、前記前方及び後方移動位置での仕切部材を車体側の固定部材に固定可能に構成してある。
(作用)
本発明の第1特徴によると、前方及び後方移動位置での仕切部材は車体側の固定部材に固定されるので、第1及び第2状態での荷台をダンプさせた場合において、仕切部材は車体側の固定部材に固定されたままで移動せず、第1及び第2状態での荷台のみがダンプする。これにより、荷台のダンプ時であっても運転部の後側を仕切部材で覆うことができる。また、荷台をダンプさせた場合であっても、仕切部材が荷台と共に上昇しないので、荷台をダンプさせる高さが仕切部材により制限されることを防止できる。
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、荷台をダンプさせても、運転部の後側が開放されることがなくなるので、荷台のダンプ時に運転部の後側を仕切部材により覆うことができる。また、仕切部材を気にせずに荷台をダンプさせることができ、荷台のダンプ作業の作業性を向上できる。
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の作業車において、次のように構成することにある。
【0008】
前記車体側の固定部材を車体に固定されたロプスで構成し、前記ロプスに前記仕切部材を前後にスライド移動可能に支持して、前記仕切部材を前記前方及び後方移動位置に位置変更可能に構成すると共に、前記仕切部材を前記前方及び後方移動位置で前記ロプスに固定可能に構成してある。
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
【0009】
本発明の第2特徴によると、仕切部材をロプスに対して前後にスライド移動させることで、ロプスに沿って仕切部材を前方又は後方移動位置から後方又は前方移動位置に無理なく移動させることができ、仕切部材の位置変更を容易に行うことができる。また、スライド移動させた前方又は後方移動位置での仕切部材をロプスに固定することで、前方及び後方移動位置での仕切部材をロプスに安定して固定できる。
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
【0010】
本発明の第2特徴によると、仕切部材の位置変更を簡易迅速に行うことができ、仕切部材の位置変更作業の作業性を向上できる。また、前方及び後方移動位置での仕切部材をロプスに強固に固定でき、作業車の走行等による仕切部材のガタツキ等を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[作業車の全体構成]
図1〜図3に基づいて本発明に係る作業車の全体構成について説明する。図1は、二列座席仕様での作業車の全体側面図であり、図2は、一列座席仕様での作業車の全体側面図である。図3は、二列座席仕様での作業車の全体平面図である。図1〜図3に示すように、車体1は、車体フレーム2の前部に支持された操向可能な左右の前輪3と、車体フレーム2の後部に支持された操向不能な左右の後輪4とを備えて、4輪走行式の四輪駆動車に構成されている。
【0012】
車体1の前後中間部に、図1に示す前部運転座席13及び後部座席14に乗員が着座可能な二列座席仕様(四人又は五人乗り仕様)と、図2に示す前部運転座席13に乗員が着座可能な一列座席仕様(二人乗り仕様)とに仕様変更可能な運転部5が備えられている。運転部5の後方には、後述する延長状態と短縮状態とに状態変更可能でダンプ可能な荷台40を備えた後部積載部6が配備されており、運転部5と後部積載部6との間には、運転部5と後部積載部6との間を仕切る(運転部5の後壁を構成する)仕切部材90が配設されている。
【0013】
車体フレーム2の後部下部に、作業車の駆動力源となるエンジンEが装備されており、このエンジンEの後部にミッションケース8が連結されている。ミッションケース8には静油圧式無段変速装置(図示せず)が装備されており、ミッションケース8の左右両側部には、左右の後輪4が連動連結されている。これにより、エンジンEからの動力がミッションケース8を介して静油圧式無段変速装置に伝達され、静油圧式無段変速装置により無段に変速された動力により左右の後輪4が回転駆動するように構成されている。
【0014】
ミッションケース8から前方に前輪駆動軸9が延出されており、この前輪駆動軸9に、前輪デフ装置(図示せず)を介して左右の前輪3が連動連結されている。これにより、エンジンEからの動力が静油圧式無段変速装置及びミッションケース8を介して前輪デフ装置に伝達されて左右の前輪3が回転駆動するように構成されている。
【0015】
車体1の前部にはフロントカバー10が装着されており、このフロントカバー10は、車体1の前部を上方から覆う上部カバー10aと、車体1の前部を前方及び側方から覆う下部カバー10bとを備えて構成されている。フロントカバー10の後部には、運転部5の前面側を覆う操作パネル11が装着されており、この操作パネル11の左側部から左右の前輪3を操向操作する操縦ハンドル12が延出されている。
【0016】
車体フレーム2は、前後に長い角パイプ状の左右のメインフレーム20と、この左右のメインフレーム20の前部上部及び左右両側部に亘って設けられた前部フレーム21とを備えて構成されている。
【0017】
前部フレーム21の後部における左右両側部から、乗降用の手摺として兼用される左右のパイプフレーム22が上方に延出されている。前部フレーム21の後部における左右両側部から、上下に長い角パイプ状に形成された左右の支持フレーム23が上方に延出されている。
【0018】
左右のパイプフレーム22の一部及び左右の支持フレーム23は、ボックス状の前部座席支持パネル24で覆われており、この前部座席支持パネル24に前部運転座席13が固定されている。前部運転座席13は、前部座席支持パネル24の前部に固定された前部着座シート13aと、後述するロプス30の中間支柱32に固定されたシートバック13bとを備えて構成されている。
【0019】
左右のメインフレーム20の後端部から上方に角パイプ状の左右の後部座席支持フレーム25が延出されており、後部座席支持フレーム25の上部から後方に、前後に長い角パイプ状の左右の後部フレーム26が延出されている。左右のメインフレーム20及び左右の後部フレーム26に亘って丸パイプにより枠状に形成された左右の側部フレーム27が固定されている。
【0020】
パイプフレーム22の前側におけるメインフレーム20の上面側には、前部デッキ板28が固定されており、これにより、運転部5の前部の床面が形成されている。後部座席支持フレーム25の前側におけるメインフレーム20の上面側には、後部デッキ板29が固定されており、これにより、運転部5の後部の床面が形成されている。
【0021】
後部座席支持フレーム25の上部には、後部座席14が固定されている。後部座席14は、後部座席支持フレーム25の上端部に前後揺動可能に支持された後部着座シート14aと、後述する仕切部材90の前面側に固定されたシートバック14bとを備えて構成されている。
【0022】
ロプス30は、前部支柱31と、中間支柱32と、左右の後部支柱34とを備えて、6柱式に構成されている。前部フレーム21の上部における左右両側部に左右のブラケット21aが固定されており、この左右のブラケット21aに亘って、丸パイプ材により形成された前部支柱31が固定されている。左右の支持フレーム23の上部に亘って、丸パイプ材により形成された中間支柱32が固定されている。
【0023】
前部支柱31の上部における左右両側部には、左右の第1ブラケット31aが固着されており、中間支柱32の上部における左右両側部には、前向きの左右の第2ブラケット32aが固着されている。左右の第1ブラケット31aと左右の第2ブラケット32aとに亘って、丸パイプ材により形成された左右の上部前部フレーム33が締め付け固定されている。左右の中間支柱32の縦フレーム部分32bの下部に亘って、補強フレーム32cが固定されており、この補強フレーム32cは、後部座席14に着座した乗員用の手摺として機能する。
【0024】
補強フレーム32cには、取付ブラケット32dが固定されており、この取付ブラケット32dの前側に、前部運転座席13のシートバック13bが締め付け固定されている(図14参照)。
【0025】
上部後部フレーム33は、丸パイプ材により形成されており、この上部後部フレーム33の前部に、下向きの左右の第3ブラケット33aが固着されている。左右の第3ブラケット33aは、中間支柱32の上部における左右両側部に着脱可能に締め付け固定されている。
【0026】
左の後部フレーム26の左側面から左側方及び上方に、丸パイプ材により形成された左の後部支柱34が着脱可能に延出されており、右の後部フレーム26の右側面から右側方及び上方に、丸パイプ材により形成された右の後部支柱34が着脱可能に延出されている。上部後部フレーム35の後部における左右両側部には、下向きの第4ブラケット35aが締め付け固定されており、この左右の第4ブラケット35aに左右の後部支柱34の上端部が着脱可能に締め付け固定されている。
【0027】
左右に後部支柱34の下部には、丸パイプ材により形成された左右の手摺34aが固着されており、この左右の手摺34aを握って後部座席14への乗降等ができるように構成されている。
【0028】
後部支柱34及び上部後部フレーム35は、着脱可能に取り付けられているので左右の後部支柱34を左右の後部フレーム26から取り外し、上部後部フレーム35を中間支柱32から取り外すことで、6柱式のロプス30を、4柱式のロプスに変更して使用することができる。
[荷台の詳細構造]
図4〜図12に基づいて荷台40の詳細構造について説明する。図4は、後述する延長状態での荷台40付近の側面図であり、図5は、後述する短縮状態での荷台40付近の側面図である。図6は、後述する延長状態での荷台40の底面図(荷台40を下側から見た図)であり、図7は、荷台40の背面図であり、図8は、後述する延長状態での荷台40前部の側面図である。
【0029】
図9は、前部底部42及び前部側壁部45の連結構造を説明する詳細図であり、図9(a)が前部底部42及び前部側壁部45の連結部の平面図であり、図9(b)が前部底部42及び前部側壁部45の連結部の横断平面図である。図10は、前壁部46の連結構造を説明する詳細図であり、図10(a)が前壁部46の連結部の正面図であり、図10(b)が前壁部46の連結部の平面図である。
【0030】
図11は、第1ロック装置70付近の構造を示す縦断側面図(内側から見た図)であり、図11(a)が第1ロック装置70のロック状態での縦断側面図であり、図11(b)が第1ロック装置70のロック解除状態での縦断側面図である。図12は、第2ロック装置80付近の構造を示す詳細図であり、図12(a)が延長状態での荷台40の第2ロック装置80付近の縦断側面図であり、図12(b)が短縮状態での荷台40の第2ロック装置80付近の平面図である。
【0031】
図4及び図5に示すように、荷台40は、積載物を積載する後部底部41と、積載物を積載する前部底部42と、荷台40の後面を形成する後壁部43と、荷台40後部の側面を形成する左右の後部側壁部44と、荷台40前部の側面を形成する左右の前部側壁部45と、荷台40の前面を形成する前壁部46とを備えて構成されている。これにより、荷台40が、図4に示す荷台40の前部(前壁部46,前部側壁部45,前部底部42)が前方に移動し荷台40の全長が長くなった延長状態(第1状態に相当)と、図5に示す荷台40の前部(前壁部46,前部側壁部45,前部底部42)が後方に移動し荷台40の全長が短くなった短縮状態(第2状態に相当)とに状態切換可能に構成されている。
【0032】
図4,図6及び図7に示すように、後部底部41は、後部デッキ板41aの下面側に複数のフレームを固着して構成されており、後部デッキ板41aの上面側には、積載物を積載する凹凸のないフラットなデッキ面が形成されている。後部デッキ板41aの下面側における左右両側部には、前後に長い左右の後部メインフレーム41bが固着されており、この左右の後部メインフレーム41bの後部に、縦平板状のヒンジ50が固着されている。
【0033】
後部フレーム26の後部における上部には、ブラケット51が固着されており、このブラケット51に、後部メインフレーム41bのヒンジ50がヒンジピン52を介して左右向きの軸心P1周りに揺動自在に支持されている。
【0034】
後部底部41の前端部における左右中央部には、左右一対のロッド側ブラケット53が固着されている。左右の後部フレーム26に亘って丸パイプ材により形成された支持フレーム26aが固着されており、この支持フレーム26aの左右中央部に、左右一対のチューブ側ブラケット26bが固着されている(図3参照)。
【0035】
支持フレーム26aの左右両側部には、左右の後部支持フレーム26cが連結されており、この左右の後部支持フレーム26cの前部は、下方及び前方に延出されて左右のメインフレーム20等に連結されている。
【0036】
左右の後部フレーム26の前端部における上面側には、ゴム又は樹脂製の前部支持部材16が固定されている。延長状態での荷台40を下降させると、後述する前部メインフレーム42bが前部支持部材16に支持されて、延長状態での荷台40の前部が後部フレーム26に支持される。左右の後部フレーム26の前後中央部における上面側には、ゴム又は樹脂製の後部支持部材17が固定されており、延長状態及び短縮状態での荷台40を下降させると、後部メインフレーム42bが後部支持部材18に支持されて、延長状態での荷台40の前後中央部及び短縮状態での荷台40の前部が後部フレーム26に支持される。
【0037】
左右の後部フレーム26の前部における上面側には、座席支持部材18が固定されており、この座席支持部材18により、後述する倒伏姿勢での後部着座シート14aの後部が支持される。前部及び後部支持部材16,17の上端の高さは同じ高さに設定されており、座席支持部材18の上端の高さは、前部及び後部支持部材16,17の上端の高さより低く設定されている。これにより、座席支持部材18の上面側と前部メインフレーム42bとの間には所定の隙間が形成されている。
【0038】
ロッド側ブラケット53とチューブ側ブラケット26bとに亘って荷台40を昇降する油圧式の昇降シリンダ15が装着されている。昇降シリンダ15は、複動式のシリンダで構成されており、ピストンロッド側及びピストンヘッド側が油圧配管を介して図示しない操作バルブに接続されている。これにより、運転部5に設けた荷台昇降レバー又は荷台昇降スイッチ(図示せず)を操作することでピストンヘッド側に操作バルブからの圧油を供給すると、昇降シリンダ15が伸長し荷台40が上昇する。逆に、運転部5に設けた荷台昇降レバー又は荷台昇降スイッチを操作することでピストンロッド側に操作バルブからの圧油を供給すると、昇降シリンダ15が短縮し荷台40が下降する。
【0039】
左右の後部側壁部44は、角パイプ状の前部支柱44aと角パイプ状の後部支柱44cとに亘って、曲げ成形された後部側部パネル44bを固着して構成されている。左右の後部側壁部44は、後部デッキ板41aの左右両側端部における上面側に固定されている。
【0040】
後部底部41の後端部には、左右のブラケット54が締め付け固定されており、ブラケット54の後端部には、後壁部43が左右向きの軸心P2周りに揺動開閉可能に支持されている。
【0041】
後壁部43の左右両側部における上部には、開閉レバー55が前後向きの軸心周りに揺動自在に支持されており、後部側壁部44の後部支柱44cの上部には、開閉レバー55のロック部55aに係合する金具56が固定されている。開閉レバー55と後壁部43とに亘って弾性バネ57が装備されており、この弾性バネ57により開閉レバー55のロック部55aが金具56に係合する側に付勢されている。弾性バネ57の付勢力に抗して開閉レバー55の操作部55bを揺動操作することで、後壁部43を上開き式に後方に揺動開閉できる。
【0042】
後部側壁部44の後部支柱44cには、フック58が固着されており、後壁部43の側面には、ワイヤ59の一端部が左右向きの軸心周りで回動可能に支持されている。これにより、ワイヤ59の他端部をフック58に引っ掛けた状態で後壁部43を後方に揺動させると、ワイヤ59により後壁部43の下方への揺動範囲が規制されて、後壁部43の面と後部デッキ板41aのデッキ面が面一になった状態が維持されるように構成されている。逆に、ワイヤ59の他端部をフック58から取り外した状態で後壁部43を後方に揺動させると、後壁部43が下方に垂下した状態になる。
【0043】
前部底部42は、前部デッキ板42aの下面側に複数のフレームを固着して構成されており、前部デッキ板42aの上面側には、後部デッキ板41aと面一の積載物を積載する凹凸のないフラットなデッキ面が形成されている。前部デッキ板42aの下面側における左右両側部には、前後に長い左右の前部メインフレーム42bが固着されている。左右の前部メインフレーム42bは、左右の後部メインフレーム41bと左右方向で同じ位置に配設されており、左右の前部メインフレーム42bの下面の高さは、左右の後部メインフレーム41bの下面の高さと同じ高さに設定されている。
【0044】
図6,図8及び図9に示すように、後部底部41の前部における左右両側端部には、縦平板状の左右のブラケット61が締め付け固定されており、前部底部42の後部における左右両側端部には、縦平板状のブラケット62が固定されている。前部底部42の左右のブラケット62は、ピン63により皿バネ64を介して後部底部41側のブラケット61に左右向きの軸心a周りに回動自在に支持されている。これにより、前部底部42が後部底部41の前端部に左右向きの軸心a周りに上下揺動自在に支持されている。
【0045】
前部デッキ板42aの後端部における下面側には、左右に長い帯板状の板状部材65が固定されており、左右の前部側壁部45の下面側には、前後に長い帯板状の板状部材45dが固定されている。これにより、前部底部42を起立させた状態から、前部底部42を左右向きの軸心a周りに前方へ揺動させる場合において、板状部材65が後部デッキ板41aの前部下面側に接当し、後部デッキ板42aの左右両側部が左右の板状部材45dの上面側に接当する。そして、前部デッキ板42aの上面が後部デッキ板41aの上面と面一になった状態で位置決めされる。
【0046】
この場合、前部デッキ板42aの後端と後部デッキ板41aの前端との間の隙間が板状部材65により塞がれて、後部デッキ板42aと後部側壁部45との間の隙間が板状部材45dにより塞がれることになる。これにより、これらの隙間から積載物がこぼれることを防止できる。
【0047】
前部側壁部45は、角パイプ状の前部支柱45aと縦平板状の後部フレーム45cとに亘って、曲げ成形された前部側部パネル45bを固着して構成されており、前部側壁部45の後部フレーム45cの後面側には、上下のブラケット66が固定されている。後部側壁部44における前部支柱44aの前面側には、上端部及び下端部が内側に折り曲げ成形されたフレーム67が固定されている。フレーム67には、後部フレーム45cに固定された上下のブラケット66がピン68により上下向きの軸心b周りに回動自在に支持されている。これにより、前部側壁部45が後部側壁部44の前端部に上下向きの軸心b周りに左右揺動自在に支持されている。
【0048】
図8及び図10に示すように、前壁部46は、左右の縦平板状の側部フレーム46aに亘って、曲げ成形された前部パネル46bを固着して構成されており、側部フレーム46aの下端部は、前部パネル46bより長く下方に延出されている。
【0049】
前部デッキ板42aの前端部には、縦断面形状がL字状のフレーム42cが固着されており、このフレーム42cの左右両側端部に、横断面形状がL字状のブラケット69が固定されている。ブラケット69には左右向きのピン69aが固着されており、このピン69aに側部フレーム46aの下端部が左右向きの軸心c周りに回動自在に支持されている。これにより、前壁部46が前部底部42の前端部に左右向きの軸心c周りに前後揺動自在に支持されている。
【0050】
図10及び図11に示すように、前壁部46の左右両側部における上部には、前壁部46を左右の前部側壁部45に固定する第1ロック装置70が装備されている。第1ロック装置70は、ブラケット71と、操作具72と、弾性バネ73とを備えて構成されている。ブラケット71は、正面視で下向きに開口したコ字状に形成されており、前壁部46の前部パネル46bに固着されている。ブラケット71には、左右向きの貫通穴が形成されており、この貫通穴に、操作具72が内嵌される。
【0051】
前部側壁部45の前部支柱45aの上部には、左右向きのロック穴45Aが形成されており、操作具72の先端部がロック穴45Aに入り込むように構成されている。これにより、操作具72の先端部とロック穴45Aとの係合により前壁部46の左右両側部における上部が左右の前部側壁部45に支持される。
【0052】
操作具72には棒状の位置決め部材72aが固定されており、この位置決め部材72aとブラケット71とに亘って操作具72を横外側に付勢する弾性バネ73が装着されている。ブラケット71の上面側には、前側に開口した穴部71aが形成されており、弾性バネ73の付勢力に抗して操作具72の操作部72bを内側に引き操作して、操作具72の操作部72bを上方に揺動させてブラケット71の穴部71bに位置決め部材72aを係合させることで、操作具72が内側に引き操作された状態(第1ロック装置70のロック解除状態)を保持できる。
【0053】
操作具72の先端部を前部支柱45aのロック穴45Aに位置決めし、位置決め部材72aがブラケット71の穴部71bに係合した状態から、操作具72の操作部72bを下方に揺動させると、弾性バネ73の付勢力により操作具72の先端部が前部支柱45aのロック穴45Aに入り込んで、前壁部46の左右両側部における上部が左右の前部側壁部45に支持される(第1ロック装置70のロック状態)。
【0054】
第1ロック装置70の下側には、位置決め機構74が装備されている。位置決め機構74は、前部支柱45aの前面側に固定された板状部材75と、前壁部46の側部フレーム46aに固定された係合片76とを備えて構成されている。板状部材75には樹脂製の係入部材75aが嵌め込み装着されており、この係入部材75aには、係合片76に係合する穴部が形成されている。
【0055】
前壁部46が左右向きの軸心c周りに前方に倒伏した状態から、前壁部46を上方に揺動させて起立させると、前壁部46側に固定された係合片76が前部側壁部45側に固定された係入部材75aの穴部に入り込んで、前壁部46と前部側壁部45が左右方向で位置決めされる。この場合、係入片76の先端部には、傾斜部76aが形成されているので、この傾斜部76aに案内された係合片76の先端部が無理なく係入部材75aの穴部に入り込む。
【0056】
また、前壁部46の側部フレーム46aの前端が係入部材75aの後面側に接当して、前壁部46と前部側壁部45が前後方向で位置決めされる。これにより、操作具72の前端部の位置と前部支柱45aのロック穴45Aの位置を正確に位置決めできる。
【0057】
例えば荷台40に積載物を積載して、前部側壁部45の前部を上下向きの軸心b周りに横外側に揺動させる力が作用した場合であっても、この横外側に揺動させる力を板状部材75と係合片76との係合により支えることができる。また、例えば荷台40に積載物を積載して、前壁部46の上部を左右向きの軸心c周りに前方に揺動させる力が作用した場合であっても、この前方に揺動させる力を側部フレーム46aの前端と係入部材75aの後面側との接当により支えることができる。これにより、位置決め部材74を前壁部46と前部側壁部45との連結補強部材として兼用することができ、荷台40の強度を向上できる。
【0058】
図8及び図9に示すように、後部側壁部44の後部側部パネル44bの後部上部には左右向きの貫通穴が形成されており、この貫通穴に樹脂製のボス部材77が嵌め込み装着されている。ボス部材77には左右向きのロック穴77Aが形成されており、このロック穴77Aの内径は、第1ロック装置70の操作具72の先端を無理なく内嵌できる寸法に設定されている。ボス部材77(ロック穴77A)の位置は、前壁部46と共に前部底部42を起立させた状態で、第1ロック装置70をロック状態に操作すると、操作具72の先端部がロック穴77Aに入り込んで、前壁部46と共に前部底部42が略直立に起立する位置に設定されている。
【0059】
これにより、荷台40の延長状態で、前壁部46を左右の前部側壁部45に固定する第1ロック装置70を、荷台40の短縮状態(前壁部46と共に前部底部42を起立させた状態)で、前壁部46及び前部底部42を後部側壁部44側に固定するロック装置として兼用することができる。
【0060】
図6及び図8に示すように、前部デッキ板42aの左右両側部における下面側には、前部底部42を後方に起立させて前部側壁部45を機体内側に折り畳んだ状態で、前部側壁部45の内側端部を前部底部42側に固定する第2ロック装置80が装備されている。
【0061】
図12(a)に示すように、第2ロック装置80は、ブラケット81と、支軸82と、揺動アーム84と、弾性バネ85を備えて構成されている。前部デッキ板42aの下面側には、ブラケット81が固着されている。ブラケット81には、左右向きの左右の貫通穴が形成されており、この貫通穴に支軸82が内嵌されている。ブラケット81には、上下向きの取付穴が形成されており、この取付穴に、ゴム又は樹脂製のクッション部材83が嵌め込み装着されている。
【0062】
支軸82の右側端部には、平板状の揺動アーム84が支軸82の左右向きの軸心周りで揺動自在に支持されている。前部デッキ板42aと揺動アーム84とに亘って支軸82に内嵌された弾性バネ85が取り付けており、この弾性バネ85により、揺動アーム84が支軸82の軸心周りで図12(a)の紙面反時計回りに付勢されている。
【0063】
前部側壁部45における前部支柱45aの上部には、前後向きのロックピン78が固着されている(図11参照)。揺動アーム84の下部には、前部支柱45aのロックピン78に係合する係合部84aと、前部支柱45aのロックピン78を案内する後方上方に傾斜した案内部84bと、揺動アーム84から内側に折り曲げ成形された操作部84cとが形成されている。揺動アーム84の上部には、前部デッキ板45aに接当して揺動アーム84の揺動範囲を規制する接当部84dが形成されている。
【0064】
接当部84dは、弾性バネ85の付勢力により前部デッキ板45aの下面側に接当するので、揺動アーム84は、図12(a)に示す状態から、支軸82の軸心周りで図12(a)の紙面時計回りの方向に揺動可能となる。
【0065】
図12(b)に示すように、前部デッキ45を後方に起立させた状態で前部側壁46を機体内側に折り畳むと、前部側壁46のロックピン78が揺動アーム84の案内部84bに接当して、揺動アーム84が支軸82の左右向きの軸心周りで上方に揺動する。そして、前部側壁46のロックピン78が更に後方に移動すると、弾性バネ85の付勢力により揺動アーム84が支軸82の左右向きの軸心周りで下方に揺動し、揺動アーム84の係合部84aが前部側壁部45のロックピン78に係合する(第2ロック装置80のロック状態)。
【0066】
この場合、前部側壁部45の前部支柱45aは、クッション部材83に接当するので、前部支柱45aは、クッション部材83と揺動アーム84の係合部84aとの間に前後方向から隙間無く挟まれた状態になる。これにより、前部底部42を後方に起立させて前部側壁部45を機体内側に折り畳んだ状態で、前部側壁部45の内側端部がガタつくことを防止できる。
【0067】
従って、前部底部42を後方に起立させた状態で、前部側壁部45を機体内側に折り畳むことで、第2ロック装置80により自動的に前部側壁部45の内側端部を前部デッキ45aに固定できる。これにより、荷台40の状態切換を簡易迅速に行うことができ、荷台40の状態切換作業の作業性を向上できる。
【0068】
一方、前部底部42を後方に起立させて前部側壁部45を機体内側に折り畳んだ状態で、揺動アーム84の操作部84cを弾性バネ85の付勢力に抗して上方に持ち上げると、係合部84aのロックピン78への係合が解除され、前部側壁部45の後方への揺動が可能になる(第2ロック装置80のロック解除状態)。前部側壁部45を後方へ揺動させて、揺動アーム84の操作部84cから手を離すと、揺動アーム84の接当部84dが前部デッキ板42aに接当して、揺動アーム84の位置が元の状態(図12(a)の状態)に位置決めされる。
[荷台の延長状態と短縮状態との切換状況]
図13に基づいて荷台40の延長状態と短縮状態との切換状況について説明する。図13は、荷台40の切換状態を示す概略斜視図であり、図13(a)が延長状態での荷台40の概略斜視図であり、図13(b)が延長状態と短縮状態との間の中間状態での荷台40の概略斜視図であり、図13(c)が短縮状態での荷台40の概略斜視図である。
【0069】
図13(a)及び(b)に示すように、左右の第1ロック装置70をロック解除状態に操作し、前壁部46を左右向きの軸心c周りに後方へ揺動させて、前壁部46を前部底部42側に折り畳む。そして、前壁部46と共に前部底部42を左右向きの軸心a周りに後方へ揺動させて起立させ、後部側壁部44のボス部材77に形成されたロック穴77Aに第1ロック装置70の位置を合わせて、第1ロック装置70をロック状態に操作する。これにより、前壁部46と共に前部底部42を左右の後部側壁部44に固定できる。
【0070】
次に、図13(b)及び(c)に示すように、左右の前部側壁部45を上下向きの軸心b周りに後方(内側)へ揺動させて、左右の前部側壁部45を、起立した前部底部42側に折り畳む。そうすると、左右の前部側壁部45のロックピン78が前部底部42の左右の第2ロック装置80に係合する。これにより、起立した前部底部42に左右の前部側壁部45を固定できる。
【0071】
図13(c)に示すように、上述した手順で、前壁部46、前部底部42、及び左右の前部側壁部45を折り畳むことで、荷台40の前後長さ(荷台40の全長)が延長された延長状態から、荷台40の長さ(荷台40の全長)が短縮した短縮状態に、荷台40の状態を切り換えることができる。この場合、第1及び第2ロック装置70,80により、特定の工具等を用いなくても、簡易迅速に荷台40の状態を切り換えることができ、荷台40の状態切換作業の作業性を向上できる。
【0072】
また、荷台40の延長状態において、荷台40の内面側に位置する前部底部42のデッキ面、前壁部46の内面(後面)、及び前部側壁部45の内面が、荷台40の短縮状態では、荷台40の外側に露出しない状態になる。これにより、荷台40に積載物を積載することにより傷ついた前部底部42のデッキ面、前壁部46の内面(後面)、及び前部側壁部45の内面が、荷台40の短縮状態で荷台40の外側に露出して荷台40の見栄えが悪くなることを防止できる。
【0073】
また、荷台40の短縮状態では、後部底部41のデッキ面、左右の後部側壁部44の内面、後壁部43の内面(前面)、及び前部底部42のデッキ面(後面)によって囲まれた部分に積載物が積載される。これにより、積載物を積載することによる荷台40の外面側の破損を防止できる。
【0074】
図13(b)及び(c)に示すように、左右の前部側壁部45を起立した前部底部42に固定した状態から、左右の第2ロック装置80をロック解除状態に操作し、左右の前部側壁部45を上下向きの軸心b周りに前方(外側)へ揺動させる。この場合、前部側壁部45側のブラケット66が、後部側壁部44側のフレーム67に接当して、前部側壁部45が前後向きになった状態で位置決めされる。
【0075】
次に、図13(a)及び(b)に示すように、左右の第1ロック装置70をロック解除状態に操作し、前壁部46と共に前部底部42を左右向きの軸心a周りに後方(下方)へ揺動させる。この場合、前部底部42の板状部材65が後部デッキ板41aの前部下面側に接当し、後部デッキ板42aの左右両側部が左右の板状部材45dの上面側に接当して、前部デッキ板42aの上面が後部デッキ板41aの上面と略面一になった状態で位置決めされる。
【0076】
そして、前壁部46を左右向きの軸心c周りに前方(上方)へ揺動させて、左右の第1ロック装置70をロック状態に操作する。この場合、位置決め機構74により、前壁部46と前部側壁部45が前後方向及び左右方向で位置決めされると共に、操作具72の先端部の位置と前部側壁部45のロック穴45Aの位置が位置決めされる。これにより、前部底部42、前壁部46、及び左右の前部側板45を固定できる。
【0077】
図13(a)に示すように、上述した手順で、左右の前部側壁部45、前壁部46、及び前部底部42を展開することで、荷台40の長さ(荷台40の全長)が短縮した短縮状態から、荷台40の前後長さ(荷台40の全長)が延長された延長状態に、荷台40の状態を切り換えることができる。この場合、第1及び第2ロック装置70,80により、特定の工具等を用いなくても、簡易迅速に荷台40の状態を切り換えることができ、荷台40の状態切換作業の作業性を向上できる。
[仕切部材の詳細構造]
図14〜図19に基づいて運転部5と後部積載部6との間に配設された仕切部材90の詳細構造について説明する。図14は、仕切部材90付近の側面図であり、図15は、仕切部材90付近の横断平面図であり、図16は、仕切部材90付近の背面図である。図17は、仕切部材90上部の支持構造を説明する縦断背面図であり、図17(a)は、仕切部材90がロプス30側に固定された状態での縦断背面図であり、図17(b)は、仕切部材90がロプス30側に固定されていない状態での縦断背面図である。図18は、後部着座シート14aの後部ロック機構110の構造を説明する側面図であり、図19は、後部着座シート14aの後部ロック機構110の構造を説明する背面図である。
【0078】
図14〜図16に示すように、運転部5の後部には、運転部5と後部積載部6との間を仕切る(運転部5の後壁を構成する)仕切部材90が設けられており、この仕切部材90は、荷台40の短縮状態で後方に移動した後方移動位置(図14の実践の位置)と、荷台40の延長状態で前方に移動した前方移動位置(図14の2点鎖線の位置)とに位置変更可能に構成されている。
【0079】
図14及び図15に示すように、中間支柱32の縦フレーム部分32bの下部には、左右の前部ブラケット86が固定されており、この左右の前部ブラケット86は、中間支柱32の縦フレーム部分32bの下部から横外方後方に向って延出されている。左右の前部ブラケット86は、縦断面形状が下向きに開口したコ字状の形成されており、その先端部に上下向きの穴部が形成されている。
【0080】
後部支柱34の下部には、後部支柱34の下部から前方に向って延出された左右の後部ブラケット87が固定されている。左右の後部ブラケット87は、縦断面形状が下向きに開口したコ字状に形成されており、その先端部に上下向きの穴部が形成されている。
【0081】
前部ブラケット86の上下向きの穴部には、前部支持部材88が嵌め込み装着されている。前部支持部材88には、下部支軸94を内嵌する上下向きの前部穴部88aが形成されており、その下部に、下部支軸94の浮き上がりを防止する浮上防止部材88bが装備されている。
【0082】
後部ブラケット87の上下向きの穴部には、後部支持部材89が嵌め込み装着されている。後部支持部材89には、下部支軸94を内嵌する上下向きの後部穴部89aが形成されており、その下部に、下部支軸94の浮き上がりを防止する浮上防止部材89bが装備されている。
【0083】
下部支軸94を前部又は後部穴部88a,89aに差し込んで、上方から少し強めに押すと、浮上防止部材88b,89bに下部支軸94が入りこんで、浮上防止部材88b,89bの摩擦保持力により下部支軸94の上昇が阻止されて、仕切部材90が作業車の走行時の振動等により上下に移動して下部支軸94が前部又は後部穴部88a,89aから抜け出すことを防止できる。なお、浮上防止部材88b,89bの摩擦保持力に抗して仕切部材90を少し強めに上方に引き上げることで、下部支柱94を前部又は後部穴部88a,89aから引き出すことができる。
【0084】
前部支持部材89の左右の後部穴部89aの幅は、左右の前部支持部材88の左右の前部穴部88aの幅と同じ幅に設定され、後部穴部89aの左右方向での位置は、前部穴部88aの左右方向での位置と略一致する位置に設定されている。
【0085】
図14及び図16に示すように、仕切部材90は、フレーム部材91と、網状部材92と、左右の上部支軸93と、左右の下部支軸94とを備えて構成されている。フレーム部材91は、左右の縦フレーム91aと左右の縦フレーム91aの上部とに亘って固定された上部フレーム91bと、左右の縦フレーム91aの下部に亘って固定された下部フレーム91cとを備えて構成されている。これにより、左右の縦フレーム91aと上部フレーム91bと下部フレーム91cとに囲まれた左右に長い背面視で長方形状の開口部が形成される。
【0086】
仕切部材90の左右方向の幅W1は、左右の後部支柱34の内側の幅W2より狭く設定されており、仕切部材90の左右方向の幅W1は、後述する左右のレール部材96の内面の幅と所定の隙間を開けた寸法に設定されている。これにより、仕切部材90により運転部5と後部積載部6との間を広範囲で覆いながら、仕切部材90の支持構造を簡素化できる。
【0087】
ネット部材92は、帯板材により枠状に形成された枠状フレーム92bに、例えば金網、樹脂網又はパンチングメタル等の複数の通気穴を設けたネット92aを装着して構成されている。ネット部材92は、枠状フレーム92bをフレーム部材91の後方から着脱可能に締め付け固定することで、フレーム部材91に固定されている。
【0088】
左右の縦フレーム91aの上端部には、左右向きの左右の上部支軸93が同心状に固定されており、左右の縦フレーム91aの下部には、上下向きの左右の下部支軸94が左右の支持ブラケット95を介して固定されている。左右の下部支軸94の幅は、前部及び後部支持部材88,89の前部及び後部穴部88a,89aの幅と同じ幅に設定されている。
【0089】
下部フレーム91cの前面側には、後部座席14のシートバック14bが締め付け固定されており、後部座席14のシートバック14bが仕切部材90と共に移動するように構成されている。
【0090】
図14及び図17に示すように、上部後部フレーム35の左右の前後フレーム部分35bの内側には、前後に長い左右のレール部材96が固定されている。左右のレール部材96は、背面視での縦断面形状が横外側に開口したコ字状に形成されており、左右の前後フレーム部分35bに固定されている。
【0091】
左右のレール部材96の内側の面には、前後に長いガイド穴部96Aが形成されており、このガイド穴部96Aの穴幅は、上部支軸93の外径より少し大きい寸法に設定されている。ガイド穴部96Aの前端部及び後端部には、ガイド穴部96Aから下側に穴加工が施された前部及び後部位置決め穴部96B,96Cが形成されており、この前部及び後部位置決め穴部96B,96Cの穴幅は、上部支軸93を無理なく内嵌できかつ上部支軸93との隙間が小さくなるように設定されている。
【0092】
仕切部材90の左右の上部支軸93は、左右のレール部材96の左右のガイド穴部96Aに内嵌されており、ガイド穴部96に内嵌された状態での上部支軸93の先端部に脱落防止用のワッシャ97が装着されている。これにより、仕切部材90の上部が、左右のレール部材96の左右のガイド穴部96Aに沿って前後にスライド移動可能に支持されている。
【0093】
図14及び図15に示すように、後部座席14の後部着座シート14aは、その前部下部の左右向きの軸心P3周りで前後及び上下揺動可能に支持されて、後部着座シート14aが前方に揺動し起立した起立姿勢と、後部着座シート14aが後方に揺動し倒伏した倒伏姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。
【0094】
後部座席支持フレーム25の上部前側には、ブラケット36が固定されている。ブラケット36には、後部着座シート14aの前部下部に固定された支持ブラケット37が左右向きの軸心P3周りで揺動自在に支持されている。支持ブラケット37には、左右向きの穴部37aが形成されている。
【0095】
これにより、シートバック14bを仕切部材90と共に前方に移動させて、後部着座シート14aを起立姿勢に姿勢変更することで、延長状態での荷台40の前側に作業者が着座できない非使用状態で位置した第1姿勢に、後部座席14の姿勢を姿勢変更できる。また、後部着座シート14aを倒伏姿勢に姿勢変更し、シートバック14bを仕切部材90と共に後方に移動させることで、短縮状態での荷台40の前側に作業者が着座できる使用状態で位置した第2姿勢に、後部座席14の姿勢を姿勢変更できる。
【0096】
ブラケット36の下部には、後部着座シート14aの前方への揺動範囲を規制する位置決め接当部36aが形成されている。ブラケット36の先端部には、前部ロック機構100が装着されている。
【0097】
前部ロック機構100は、操作部101と、ピン102とを備えて構成されている。前部ロック機構100の操作部101を横外側に引き操作すると支持ブラケット37の穴部37aに係入するピン102が横外側に移動するように構成されている。
【0098】
操作部101を横外側に引き操作した状態で、操作部101を正回転させることで、操作部101が横外側に操作されてピン102が横外側に移動した状態を保持でき、操作部101を横外側に引き操作した状態で、操作部101を逆回転させることで、前部ロック機構100に内蔵された弾性バネ(図示せず)の付勢力によりピン102が内側に出るように構成されている。
【0099】
これにより、前部ロック機構100の操作部101が横外側に引き操作された状態で、後部着座シート14aを前方に揺動させると、支持ブラケット37の下端部がブラケット36の位置決め接当部36aに接当して、後部着座シート14aが最も前方に揺動した位置で位置決めされる。この状態で、前部ロック機構100の操作部101を逆回転させて前部ロック機構100のピン102を支持ブラケット37の穴部37aに入り込ませることで、最も前方に揺動した位置での後部着座シート14aの起立姿勢を保持できる。
【0100】
後部着座シート14aが起立姿勢で保持された状態で、前部ロック機構100の操作部101を横外側に引き操作すると、ピン102の穴部37aへの係合が解除されて、後部着座シート14aの起立姿勢での保持が解除される。そして、後部着座シート14aを後方に倒すことで、後部着座シート14aを倒伏姿勢に姿勢変更できる。この場合、前部ロック機構100の操作部101を引き操作した状態で正回転させることで、次回の後部着座シート14aの姿勢変更作業に備えて予め前部ロック機構100のピン102が横外側に引っ張られた状態を現出しておくことができる。
【0101】
図4及び図14に示すように、後部着座シート14aを起立姿勢で保持できるように構成することで、起立姿勢での後部着座シート14aの後部と、ダンプする延長状態での荷台40の先端部との間に所定の隙間を確保することができると共に、起立姿勢での後部着座シート14aの上部前部と、前方移動位置での仕切部材90との間に所定の隙間を確保することができる。これにより、起立姿勢での後部着座シート14aと延長状態での荷台40との干渉を防止できると共に、起立姿勢での後部着座シート14aと前方移動位置での仕切部材90との干渉を防止できる。
【0102】
図18及び図19に示すように、後部着座シート14a後部における左右両側部には、側面視での縦断面形状がL字状の左右の支持ブラケット38が、後部着座シート14aの下面側から締め付け固定されている。左右の支持ブラケット38には、帯板状の補強リブ38aが固定されており、これにより、左右の支持ブラケット38を介して後部着座シート14aに作用する荷重を無理なく支持できる。
【0103】
左右の支持ブラケット38の前面側に亘って、縦平板状の下部フレーム39が固定されている。下部フレーム39の左右両側部における下部には、背面視での縦断面形状が上向きに開口したコ字状の左右の支持フレーム39aが固着されている。
【0104】
図14に示すように、左右の支持フレーム39aは、後部着座シート14aの倒伏姿勢で、左右の後部フレーム26の上面側に固定された樹脂製又は木製の座席支持部材18を介して、後部フレーム26に支持されるように構成されている。これにより、後部着座シート14aを起立姿勢から倒伏姿勢に姿勢変更すると、後部着座シート14aの後部が左右の支持ブラケット38、下部フレーム39、及び左右の支持フレーム39aを介して左右の後部フレーム26に安定して支持される。
【0105】
図18及び図19に示すように、後部着座シート14aの後部には、後部着座シート14aを倒伏姿勢でロックする後部ロック機構110が装備されている。後部ロック機構110は、左右のアーム部材111,112と、連係ロッド113と、板状部材117とを備えて構成されている。
【0106】
左の支持ブラケット38には、左のアーム部材111が支軸114の前後向きの軸心周りで揺動自在に支持されている。左のアーム部材111の下部には、左横外側に突出した係合部111aと、この係合部111aの下部に形成された斜め内側下方に傾斜した傾斜部111bが形成されている。右の支持ブラケケット38には、右のアーム部材112が支軸114の前後向きの軸心周りで揺動自在に支持されている。右のアーム部材112の下部には、右横外側に突出した係合部112aと、この係合部112aの下部に形成された斜め内側下方に傾斜した傾斜部111bが形成されている。
【0107】
左のアーム部材111の上部と右のアーム部材112の上下中央部とに亘って連係ロッド113が回動自在に支持されており、これにより、左右のアーム部材111,112が連動連結されている。連係ロッド113の左側部又は左のアーム部材111には、操作具(図示せず)が装備されており、この操作具により後部座席14の左横外側から後部ロック機構110の解除ができるように構成されている。
【0108】
左右のアーム部材111,112の支軸114には、弾性バネ115が外嵌されている。弾性バネ115は、左右のアーム部材111,112と補強リブ38aとに亘って設けられており、この弾性バネ115により、左右のアーム部材111,112の下部を横外側に付勢できる。右のアーム部材112の上部には、前後向きのストッパーピン116が固定されており、このストッパーピン116が右の支持ブラケット38上部の右端辺と接当することで、左右のアーム部材111,112の揺動範囲が規制される。
【0109】
左右の後部支柱34の下部には、横平板状の板状部材117が、左右の後部支柱34の下部から前方内側に延出されている。左右の板状部材117の高さは、後部着座シート14aを倒伏姿勢に姿勢変更した状態で、左右のアーム部材111,112の係合部111a,112aが板状部材117の下面側に隙間無く接当するように設定されている。
【0110】
上記のように後部ロック機構110を構成することで、後部着座シート14aが倒伏姿勢に姿勢変更された状態で、操作具を操作して連係ロッド113を左側に引き操作すると、左右のアーム部材111,112の係合部111a,112aの板状部材117への係合が解除されて、後部着座シート14aの前方上方への揺動操作が可能になる(後部ロック機構110のロック解除状態)。この場合、操作具の操作を止めると、弾性バネ115の付勢力により、左右のアーム部材111,112の下部が横外側に揺動し、ストッパーピン116により左右のアーム部材111,112の揺動が規制される。
【0111】
一方、後部着座シート14aが起立姿勢に姿勢変更された状態で、前部ロック機構100をロック解除状態に操作して後部着座シート14aを後方下方に倒すと、左右のアーム部材111,112の案内部111b,112bが板状部材117に接当して左右のアーム部材111,112の下部が内側に揺動する。そして、弾性バネ115の付勢力によりアーム部材111,112の係合部111a,112aが板状部材117の下側に入り込んで板状部材117と係合し、後部着座シート14aの上方への揺動操作が不能になる(後部ロック機構110のロック状態)。
【0112】
上記のように前部及び後部ロック機構100,110を構成することで、後部着座シート14aの姿勢変更を簡易迅速に行うことができるとともに、前部及び後部ロック機構100,110により倒伏姿勢及び起立姿勢で後部着座シート14aを確実に固定できる。
[仕切部材の位置変更状況]
図1,図2,図14,図17に基づいて仕切部材90の位置変更状況について説明する。図1に示すように、荷台40が短縮状態に切り換えられ、後部着座シート14aが倒伏姿勢に姿勢変更され、仕切部材90が後方移動位置に位置変更された状態から、図14に示すように、仕切部材90を少し上方に押し上げる。そうすると、下部支軸94が後部ブラケット87に装着された後部支持部材89の後部穴部89aから上方に抜け出て、仕切部材90の下部が前後方向に移動可能な状態になる(図17(b)参照)。
【0113】
この場合、上部支軸93は、レール部材96の後部位置決め部96Cから上方のガイド穴部96Aに移動し、仕切部材90の上部がレール部材96のガイド穴部96Aに沿って前後方向にスライド移動可能な状態になる。すなわち、仕切部材90を上方に押し上げるだけで、仕切部材90を前後方向にスライド移動可能な状態にすることができる。
【0114】
次に、仕切部材90をレール部材のガイド穴部96Aに沿って前方にスライド移動させて、下部支軸94の位置を前部ブラケット86に装着された前部支持部材88の前部穴部88aの位置と位置決めして、下部支軸94を前部支持部材88の前部穴部88aに落とし込んで、仕切り部材90を下方に少し押すことで、仕切部材90を前方移動位置に位置変更できる(図17(a)参照)。
【0115】
この場合、上部支軸93は、仕切部材90の下方への移動に伴ってレール部材96のガイド穴部96Aから下方の前部位置決め部96Bに移動し、仕切部材90の上部が前部位置決め部96Bにより前後方向での移動が規制された状態になる。すなわち、仕切部材90を下方に押し下げるだけで、仕切部材90の上部の前後方向への移動が規制された状態を現出できると共に、仕切部材90の下部を前部ブラケット86側に固定できる。
【0116】
仕切部材90を前方移動位置に位置変更した状態で、後部着座シート14aを倒立姿勢に姿勢変更し、荷台40を延長状態に切り換えることで、図1に示す二列座席仕様(四人又は五人乗り仕様)から図2に示す一列座席仕様(二人乗り仕様)に、運転部5の仕様を変更できる。
【0117】
図2に示すように、荷台40が延長状態に切り換えられ、後部着座シート14aが起立姿勢に姿勢変更され、仕切部材90が前方移動位置に位置変更された状態から、荷台40を短縮状態に切り換えて、後部着座シート14aを倒伏姿勢に姿勢変更し、仕切部材90を後方に移動可能な状態にする。
【0118】
次に、図14に示すように、仕切部材90を少し上方に押し上げと、下部支軸94が前部ブラケット86に装着された前部支持部材88の前部穴部88aから上方に抜け出て、仕切部材90の下部が前後方向に移動可能な状態になる(図17(b)参照)。
【0119】
この場合、上部支軸93は、レール部材96の前部位置決め部96Bから上方のガイド穴部96Aに移動し、仕切部材90の上部がレール部材96のガイド穴部96Aに沿って前後方向にスライド移動可能な状態になる。すなわち、仕切部材90を上方に押し上げるだけで、仕切部材90を前後方向にスライド移動可能な状態にすることができる。
【0120】
次に、仕切部材90をレール部材96のガイド穴部96Aに沿って後方に移動させて、下部支軸94の位置を後部ブラケット87に装着された後部支持部材89の後部穴部89aの位置と位置決めして、下部支軸94を後部支持部材89の後部穴部89aに落とし込んで、仕切部材90を下方に少し押すことで、仕切部材90を後方移動位置に位置変更できる(図17(a)参照)。
【0121】
この場合、上部支軸93は、仕切部材90の下方への移動に伴ってレール部材96のガイド穴部96Aから下方の後部位置決め部96Cに移動し、仕切部材90の上部が後部位置決め部96Cにより前後方向での移動が規制された状態になる。すなわち、仕切部材90を下方に押し下げるだけで、仕切部材90の上部の前後方向への移動が規制された状態を現出できると共に、仕切部材90の下部を後部ブラケット87側に固定できる。これにより、図2に示す一列座席仕様(二人乗り仕様)から図1に示す二列座席仕様(四人又は五人乗り仕様)に、運転部5の仕様を変更できる。
【0122】
上記のような荷台40、仕切部材90等の構造を採用することにより、使い勝手のよい作業車を実現でき、作業車を用いての作業の作業性を向上できる。
【0123】
また、荷台40を短縮状態に切り換えた状態で、後部着座シート14aを起立姿勢に姿勢変更すると、後部着座シート14aの下側に位置するエンジンE等の上方が開放されるように構成されているので、この状態を現出することで、エンジンE等のメンテナンスを容易に行うことができ、作業車のメンテナンス作業の作業性を向上できる。この場合、荷台40をダンプさせると、エンジンE、ミッションケース8等の上方が更に広い範囲で開放されることになるので、荷台40をダンプさせることで、エンジンE、ミッションケース8等のメンテナンスを更に容易に行うことができる。
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、前壁部46と共に前部底部42を後側に起立させて折り畳んだ後に、左右の前部側壁部45を後側に折り畳むように構成した例を示したが、前壁部46、前部底部42、及び左右の前部側壁部45を折り畳む順番として異なる順番を採用してもよく、例えば左右の前部側壁部45を後側に折り畳んだ後に、前壁部46と共に前部底部42を後側に起立させて折り畳むように構成してもよい。
【0124】
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、前壁部46、前部底部42、及び左右の前部側壁部45を後側に折り畳むことにより、荷台40の延長状態と短縮状態を現出可能に構成した例を示したが、図20に示すような荷台40の構造を採用してもよい。図20は、この別実施形態における荷台40の概略斜視図である。
【0125】
図20(a)に示すように、荷台40は、前部荷台40Fと後部荷台40Rとを備えて構成されており、前部底部42、左右の前部側壁部45、及び前壁部46はそれぞれ固定されている。後部荷台40Rの前端部に、前部荷台40Fの後端下部が左右向きの軸心d周りで揺動自在に支持されている。
【0126】
これにより、前部荷台40Fが後部荷台40Rに左右向きの軸心d周りで一体で揺動自在に支持されて、図20(a)の実線で示す前部荷台40Fが一体で前方に揺動し荷台40の全長が長くなった延長状態と、図20(a)の2点鎖線で示す荷台40が一体で後方上方に揺動し荷台40の全長が短くなった短縮状態とに状態切換可能に構成されている。なお、前部荷台40Fと後部荷台40Rとに亘って、延長状態及び短縮状態での前部荷台40Fを後部荷台40R側に固定するロック装置(図示せず)が設けられている。
【0127】
図20(b)に示すように、荷台40は、前部荷台40Fと後部荷台40Rとを備えて構成されており、前部底部42、左右の前部側壁部45、及び前壁部46はそれぞれ固定されている。前部荷台40Fは、後部荷台40Rに、図示しないスライド機構(例えばスライドレール、スライドガイド等)を介して後部荷台40Rの壁面に沿って前後にスライド移動可能に支持されている。
【0128】
これにより、前部荷台40Fが後部荷台40Rに一体でスライド移動可能に支持されて、図20(b)の実線で示す前部荷台40Fが一体で前方にスライド移動し荷台40の全長が長くなった延長状態と、図20(b)の2点鎖線で示す後部荷台40Rが一体で後方にスライド移動し荷台40の全長が短くなった短縮状態とに状態切換可能に構成されている。なお、前部荷台40Fと後部荷台40Rとに亘って、延長状態及び短縮状態での前部荷台40Fを後部荷台40R側に固定するロック装置(図示せず)が設けられている。
【0129】
また、図示しないが、折り畳み構造やスライド構造を採用せずに、荷台40を一体的に構成して(荷台40の全長を伸縮できないように構成して)、この一体的に構成した荷台40を後部フレーム26に一体でスライド移動可能に支持し、荷台40を後部フレーム26に対して一体で前後にスライド移動させることで、荷台40の前壁部46及び前部底部42が前後に移動するように構成してもよい。
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、及び[発明の実施の第1別形態]においては、仕切部材90をレール部材96に沿ってスライド移動させることで、仕切部材90を前方移動位置と後方移動位置とに位置変更可能に構成した例を示したが、仕切部材90を前方移動位置と後方移動位置とに位置変更可能な構成として異なる構成を採用してもよい。具体的には、例えば前方及び後方移動位置での仕切部材90を、ロプス30に着脱可能に取り付けて、前方又は後方移動位置の一方でロプス30に固定した仕切部材90を取り外して、この取り外した仕切部材90を前方又は後方移動位置の他方でロプス30に固定する着脱式の仕切部材90を採用してもよい。
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、及び[発明の実施の第2別形態]においては、前方及び後方移動位置での仕切部材90をロプス30に固定するように構成した例を示したが、前方及び後方移動位置での仕切部材90を車体側に固定する構成として異なる構成を採用してもよく、例えば車体フレーム2、前部座席支持パネル24、後部デッキ板29等に、前方及び後方移動位置での仕切部材90を固定するように構成してよく、車体フレーム2、前部座席支持パネル24、後部デッキ板29等からロプス30とは別のフレーム部材(図示せず)を延出し、このフレーム部材に、前方及び後方移動位置での仕切部材90を固定するように構成してもよい。
【0130】
また、前方及び後方移動位置のうちの一方の位置での仕切部材90をロプス30に固定し、前方及び後方移動位置のうちの他方の位置での仕切部材90を車体フレーム2、前部座席支持パネル24、後部デッキ板29等に固定するように構成してもよい。
[発明の実施の第4別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]、及び[発明の実施の第3別形態]においては、車体1の後部にダンプ可能な荷台40を備えた作業車を例に示したが、車体1の後部に荷台40を固定したダンプ不能な作業車(図示せず)においても同様に適用できる。
【0131】
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]、及び[発明の実施の第3別形態]においては、煽り部材(後壁部43、後部側壁部44、前部側壁部45、前壁部46)を備えた荷台40を例に示したが、煽り部材の高さが異なる荷台(図示せず)や、煽り部材を備えていないフラットデッキの荷台(図示せず)においても同様に適用できる。また、天井部材を備えたバン仕様の荷台(図示せず)においても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】二列座席仕様での作業車の全体側面図
【図2】一列座席仕様での作業車の全体側面図
【図3】二列座席仕様での作業車の全体平面図
【図4】延長状態での荷台付近の側面図
【図5】短縮状態での荷台付近の側面図
【図6】延長状態での荷台の底面図
【図7】荷台の背面図
【図8】延長状態での荷台前部の側面図
【図9】前部底部及び前部側壁部の連結構造を説明する詳細図
【図10】前壁部の連結構造を説明する詳細図
【図11】第1ロック装置付近の構造を示す縦断側面図
【図12】第2ロック装置付近の構造を示す詳細図
【図13】荷台の切換状態を示す概略斜視図
【図14】仕切部材付近の側面図
【図15】仕切部材付近の横断平面図
【図16】仕切部材付近の背面図
【図17】仕切部材上部の支持構造を説明する縦断背面図
【図18】後部着座シートの後部ロック機構の構造を説明する側面図
【図19】後部着座シートの後部ロック機構の構造を説明する背面図
【図20】発明の実施の第1別形態における荷台の概略斜視図
【符号の説明】
【0133】
1 車体
5 運転部
30 ロプス(固定部材)
40 荷台
90 仕切部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の後部にダンプ可能な荷台を備えた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、例えば特許文献1に開示されているように、車体の後部にダンプ可能な荷台(特許文献1のFIG.2の2)を備え、この荷台と運転部との間を仕切る仕切部材(特許文献1のFIG.1の5)を備えた作業車が知られている。特許文献1の作業車では、FIG.6及びFIG.7に開示されているように、仕切部材を荷台に固定できるように構成して、荷台への仕切部材の固定位置を変更することで、仕切部材の位置を変更できるように構成されている。
【特許文献1】USP6905159B1号(FIG.2,FIG.5〜FIG.7参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の作業車のように、仕切部材を荷台側に固定するように構成すると、荷台をダンプさせた場合に、荷台と共に仕切部材が上昇し、運転部の後側に仕切部材が存在しない状態になって(FIG.2B参照)、荷台のダンプ時に運転部の後側を仕切部材で覆うことができなくなる。その結果、荷台をダンプさせると、運転部の後側が開放されることになる。
【0004】
また、荷台と共に仕切部材が上昇するように構成すると、荷台のダンプ時における作業車の全高が仕切部材により高くなって、荷台をダンプさせる高さが仕切部材により制限されていた。その結果、仕切部材を気にしながら荷台をダンプさせる必要があり、荷台のダンプ作業を慎重にせざるを得ず、荷台のダンプ作業の作業性が悪くなるといった問題があった。
【0005】
本発明は、荷台のダンプ時であっても運転部の後側を仕切部材で覆うことができ、仕切部材により荷台をダンプさせる高さが制限されることを防止できる作業車を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、作業車を次のように構成することにある。
【0007】
車体の後部にダンプ可能な荷台を備え、前記荷台を、前記荷台の前部が前方に移動した第1状態と、前記荷台の前部が後方に移動した第2状態とに状態切換可能に構成するとともに、前記荷台と運転部との間を仕切る仕切部材を備えて、前記仕切部材を、前記第1状態での荷台の前側に移動した前方移動位置と、前記第2状態での荷台の前側に移動した後方移動位置とに位置変更可能に構成し、前記前方及び後方移動位置での仕切部材を車体側の固定部材に固定可能に構成してある。
(作用)
本発明の第1特徴によると、前方及び後方移動位置での仕切部材は車体側の固定部材に固定されるので、第1及び第2状態での荷台をダンプさせた場合において、仕切部材は車体側の固定部材に固定されたままで移動せず、第1及び第2状態での荷台のみがダンプする。これにより、荷台のダンプ時であっても運転部の後側を仕切部材で覆うことができる。また、荷台をダンプさせた場合であっても、仕切部材が荷台と共に上昇しないので、荷台をダンプさせる高さが仕切部材により制限されることを防止できる。
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、荷台をダンプさせても、運転部の後側が開放されることがなくなるので、荷台のダンプ時に運転部の後側を仕切部材により覆うことができる。また、仕切部材を気にせずに荷台をダンプさせることができ、荷台のダンプ作業の作業性を向上できる。
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の作業車において、次のように構成することにある。
【0008】
前記車体側の固定部材を車体に固定されたロプスで構成し、前記ロプスに前記仕切部材を前後にスライド移動可能に支持して、前記仕切部材を前記前方及び後方移動位置に位置変更可能に構成すると共に、前記仕切部材を前記前方及び後方移動位置で前記ロプスに固定可能に構成してある。
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
【0009】
本発明の第2特徴によると、仕切部材をロプスに対して前後にスライド移動させることで、ロプスに沿って仕切部材を前方又は後方移動位置から後方又は前方移動位置に無理なく移動させることができ、仕切部材の位置変更を容易に行うことができる。また、スライド移動させた前方又は後方移動位置での仕切部材をロプスに固定することで、前方及び後方移動位置での仕切部材をロプスに安定して固定できる。
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
【0010】
本発明の第2特徴によると、仕切部材の位置変更を簡易迅速に行うことができ、仕切部材の位置変更作業の作業性を向上できる。また、前方及び後方移動位置での仕切部材をロプスに強固に固定でき、作業車の走行等による仕切部材のガタツキ等を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[作業車の全体構成]
図1〜図3に基づいて本発明に係る作業車の全体構成について説明する。図1は、二列座席仕様での作業車の全体側面図であり、図2は、一列座席仕様での作業車の全体側面図である。図3は、二列座席仕様での作業車の全体平面図である。図1〜図3に示すように、車体1は、車体フレーム2の前部に支持された操向可能な左右の前輪3と、車体フレーム2の後部に支持された操向不能な左右の後輪4とを備えて、4輪走行式の四輪駆動車に構成されている。
【0012】
車体1の前後中間部に、図1に示す前部運転座席13及び後部座席14に乗員が着座可能な二列座席仕様(四人又は五人乗り仕様)と、図2に示す前部運転座席13に乗員が着座可能な一列座席仕様(二人乗り仕様)とに仕様変更可能な運転部5が備えられている。運転部5の後方には、後述する延長状態と短縮状態とに状態変更可能でダンプ可能な荷台40を備えた後部積載部6が配備されており、運転部5と後部積載部6との間には、運転部5と後部積載部6との間を仕切る(運転部5の後壁を構成する)仕切部材90が配設されている。
【0013】
車体フレーム2の後部下部に、作業車の駆動力源となるエンジンEが装備されており、このエンジンEの後部にミッションケース8が連結されている。ミッションケース8には静油圧式無段変速装置(図示せず)が装備されており、ミッションケース8の左右両側部には、左右の後輪4が連動連結されている。これにより、エンジンEからの動力がミッションケース8を介して静油圧式無段変速装置に伝達され、静油圧式無段変速装置により無段に変速された動力により左右の後輪4が回転駆動するように構成されている。
【0014】
ミッションケース8から前方に前輪駆動軸9が延出されており、この前輪駆動軸9に、前輪デフ装置(図示せず)を介して左右の前輪3が連動連結されている。これにより、エンジンEからの動力が静油圧式無段変速装置及びミッションケース8を介して前輪デフ装置に伝達されて左右の前輪3が回転駆動するように構成されている。
【0015】
車体1の前部にはフロントカバー10が装着されており、このフロントカバー10は、車体1の前部を上方から覆う上部カバー10aと、車体1の前部を前方及び側方から覆う下部カバー10bとを備えて構成されている。フロントカバー10の後部には、運転部5の前面側を覆う操作パネル11が装着されており、この操作パネル11の左側部から左右の前輪3を操向操作する操縦ハンドル12が延出されている。
【0016】
車体フレーム2は、前後に長い角パイプ状の左右のメインフレーム20と、この左右のメインフレーム20の前部上部及び左右両側部に亘って設けられた前部フレーム21とを備えて構成されている。
【0017】
前部フレーム21の後部における左右両側部から、乗降用の手摺として兼用される左右のパイプフレーム22が上方に延出されている。前部フレーム21の後部における左右両側部から、上下に長い角パイプ状に形成された左右の支持フレーム23が上方に延出されている。
【0018】
左右のパイプフレーム22の一部及び左右の支持フレーム23は、ボックス状の前部座席支持パネル24で覆われており、この前部座席支持パネル24に前部運転座席13が固定されている。前部運転座席13は、前部座席支持パネル24の前部に固定された前部着座シート13aと、後述するロプス30の中間支柱32に固定されたシートバック13bとを備えて構成されている。
【0019】
左右のメインフレーム20の後端部から上方に角パイプ状の左右の後部座席支持フレーム25が延出されており、後部座席支持フレーム25の上部から後方に、前後に長い角パイプ状の左右の後部フレーム26が延出されている。左右のメインフレーム20及び左右の後部フレーム26に亘って丸パイプにより枠状に形成された左右の側部フレーム27が固定されている。
【0020】
パイプフレーム22の前側におけるメインフレーム20の上面側には、前部デッキ板28が固定されており、これにより、運転部5の前部の床面が形成されている。後部座席支持フレーム25の前側におけるメインフレーム20の上面側には、後部デッキ板29が固定されており、これにより、運転部5の後部の床面が形成されている。
【0021】
後部座席支持フレーム25の上部には、後部座席14が固定されている。後部座席14は、後部座席支持フレーム25の上端部に前後揺動可能に支持された後部着座シート14aと、後述する仕切部材90の前面側に固定されたシートバック14bとを備えて構成されている。
【0022】
ロプス30は、前部支柱31と、中間支柱32と、左右の後部支柱34とを備えて、6柱式に構成されている。前部フレーム21の上部における左右両側部に左右のブラケット21aが固定されており、この左右のブラケット21aに亘って、丸パイプ材により形成された前部支柱31が固定されている。左右の支持フレーム23の上部に亘って、丸パイプ材により形成された中間支柱32が固定されている。
【0023】
前部支柱31の上部における左右両側部には、左右の第1ブラケット31aが固着されており、中間支柱32の上部における左右両側部には、前向きの左右の第2ブラケット32aが固着されている。左右の第1ブラケット31aと左右の第2ブラケット32aとに亘って、丸パイプ材により形成された左右の上部前部フレーム33が締め付け固定されている。左右の中間支柱32の縦フレーム部分32bの下部に亘って、補強フレーム32cが固定されており、この補強フレーム32cは、後部座席14に着座した乗員用の手摺として機能する。
【0024】
補強フレーム32cには、取付ブラケット32dが固定されており、この取付ブラケット32dの前側に、前部運転座席13のシートバック13bが締め付け固定されている(図14参照)。
【0025】
上部後部フレーム33は、丸パイプ材により形成されており、この上部後部フレーム33の前部に、下向きの左右の第3ブラケット33aが固着されている。左右の第3ブラケット33aは、中間支柱32の上部における左右両側部に着脱可能に締め付け固定されている。
【0026】
左の後部フレーム26の左側面から左側方及び上方に、丸パイプ材により形成された左の後部支柱34が着脱可能に延出されており、右の後部フレーム26の右側面から右側方及び上方に、丸パイプ材により形成された右の後部支柱34が着脱可能に延出されている。上部後部フレーム35の後部における左右両側部には、下向きの第4ブラケット35aが締め付け固定されており、この左右の第4ブラケット35aに左右の後部支柱34の上端部が着脱可能に締め付け固定されている。
【0027】
左右に後部支柱34の下部には、丸パイプ材により形成された左右の手摺34aが固着されており、この左右の手摺34aを握って後部座席14への乗降等ができるように構成されている。
【0028】
後部支柱34及び上部後部フレーム35は、着脱可能に取り付けられているので左右の後部支柱34を左右の後部フレーム26から取り外し、上部後部フレーム35を中間支柱32から取り外すことで、6柱式のロプス30を、4柱式のロプスに変更して使用することができる。
[荷台の詳細構造]
図4〜図12に基づいて荷台40の詳細構造について説明する。図4は、後述する延長状態での荷台40付近の側面図であり、図5は、後述する短縮状態での荷台40付近の側面図である。図6は、後述する延長状態での荷台40の底面図(荷台40を下側から見た図)であり、図7は、荷台40の背面図であり、図8は、後述する延長状態での荷台40前部の側面図である。
【0029】
図9は、前部底部42及び前部側壁部45の連結構造を説明する詳細図であり、図9(a)が前部底部42及び前部側壁部45の連結部の平面図であり、図9(b)が前部底部42及び前部側壁部45の連結部の横断平面図である。図10は、前壁部46の連結構造を説明する詳細図であり、図10(a)が前壁部46の連結部の正面図であり、図10(b)が前壁部46の連結部の平面図である。
【0030】
図11は、第1ロック装置70付近の構造を示す縦断側面図(内側から見た図)であり、図11(a)が第1ロック装置70のロック状態での縦断側面図であり、図11(b)が第1ロック装置70のロック解除状態での縦断側面図である。図12は、第2ロック装置80付近の構造を示す詳細図であり、図12(a)が延長状態での荷台40の第2ロック装置80付近の縦断側面図であり、図12(b)が短縮状態での荷台40の第2ロック装置80付近の平面図である。
【0031】
図4及び図5に示すように、荷台40は、積載物を積載する後部底部41と、積載物を積載する前部底部42と、荷台40の後面を形成する後壁部43と、荷台40後部の側面を形成する左右の後部側壁部44と、荷台40前部の側面を形成する左右の前部側壁部45と、荷台40の前面を形成する前壁部46とを備えて構成されている。これにより、荷台40が、図4に示す荷台40の前部(前壁部46,前部側壁部45,前部底部42)が前方に移動し荷台40の全長が長くなった延長状態(第1状態に相当)と、図5に示す荷台40の前部(前壁部46,前部側壁部45,前部底部42)が後方に移動し荷台40の全長が短くなった短縮状態(第2状態に相当)とに状態切換可能に構成されている。
【0032】
図4,図6及び図7に示すように、後部底部41は、後部デッキ板41aの下面側に複数のフレームを固着して構成されており、後部デッキ板41aの上面側には、積載物を積載する凹凸のないフラットなデッキ面が形成されている。後部デッキ板41aの下面側における左右両側部には、前後に長い左右の後部メインフレーム41bが固着されており、この左右の後部メインフレーム41bの後部に、縦平板状のヒンジ50が固着されている。
【0033】
後部フレーム26の後部における上部には、ブラケット51が固着されており、このブラケット51に、後部メインフレーム41bのヒンジ50がヒンジピン52を介して左右向きの軸心P1周りに揺動自在に支持されている。
【0034】
後部底部41の前端部における左右中央部には、左右一対のロッド側ブラケット53が固着されている。左右の後部フレーム26に亘って丸パイプ材により形成された支持フレーム26aが固着されており、この支持フレーム26aの左右中央部に、左右一対のチューブ側ブラケット26bが固着されている(図3参照)。
【0035】
支持フレーム26aの左右両側部には、左右の後部支持フレーム26cが連結されており、この左右の後部支持フレーム26cの前部は、下方及び前方に延出されて左右のメインフレーム20等に連結されている。
【0036】
左右の後部フレーム26の前端部における上面側には、ゴム又は樹脂製の前部支持部材16が固定されている。延長状態での荷台40を下降させると、後述する前部メインフレーム42bが前部支持部材16に支持されて、延長状態での荷台40の前部が後部フレーム26に支持される。左右の後部フレーム26の前後中央部における上面側には、ゴム又は樹脂製の後部支持部材17が固定されており、延長状態及び短縮状態での荷台40を下降させると、後部メインフレーム42bが後部支持部材18に支持されて、延長状態での荷台40の前後中央部及び短縮状態での荷台40の前部が後部フレーム26に支持される。
【0037】
左右の後部フレーム26の前部における上面側には、座席支持部材18が固定されており、この座席支持部材18により、後述する倒伏姿勢での後部着座シート14aの後部が支持される。前部及び後部支持部材16,17の上端の高さは同じ高さに設定されており、座席支持部材18の上端の高さは、前部及び後部支持部材16,17の上端の高さより低く設定されている。これにより、座席支持部材18の上面側と前部メインフレーム42bとの間には所定の隙間が形成されている。
【0038】
ロッド側ブラケット53とチューブ側ブラケット26bとに亘って荷台40を昇降する油圧式の昇降シリンダ15が装着されている。昇降シリンダ15は、複動式のシリンダで構成されており、ピストンロッド側及びピストンヘッド側が油圧配管を介して図示しない操作バルブに接続されている。これにより、運転部5に設けた荷台昇降レバー又は荷台昇降スイッチ(図示せず)を操作することでピストンヘッド側に操作バルブからの圧油を供給すると、昇降シリンダ15が伸長し荷台40が上昇する。逆に、運転部5に設けた荷台昇降レバー又は荷台昇降スイッチを操作することでピストンロッド側に操作バルブからの圧油を供給すると、昇降シリンダ15が短縮し荷台40が下降する。
【0039】
左右の後部側壁部44は、角パイプ状の前部支柱44aと角パイプ状の後部支柱44cとに亘って、曲げ成形された後部側部パネル44bを固着して構成されている。左右の後部側壁部44は、後部デッキ板41aの左右両側端部における上面側に固定されている。
【0040】
後部底部41の後端部には、左右のブラケット54が締め付け固定されており、ブラケット54の後端部には、後壁部43が左右向きの軸心P2周りに揺動開閉可能に支持されている。
【0041】
後壁部43の左右両側部における上部には、開閉レバー55が前後向きの軸心周りに揺動自在に支持されており、後部側壁部44の後部支柱44cの上部には、開閉レバー55のロック部55aに係合する金具56が固定されている。開閉レバー55と後壁部43とに亘って弾性バネ57が装備されており、この弾性バネ57により開閉レバー55のロック部55aが金具56に係合する側に付勢されている。弾性バネ57の付勢力に抗して開閉レバー55の操作部55bを揺動操作することで、後壁部43を上開き式に後方に揺動開閉できる。
【0042】
後部側壁部44の後部支柱44cには、フック58が固着されており、後壁部43の側面には、ワイヤ59の一端部が左右向きの軸心周りで回動可能に支持されている。これにより、ワイヤ59の他端部をフック58に引っ掛けた状態で後壁部43を後方に揺動させると、ワイヤ59により後壁部43の下方への揺動範囲が規制されて、後壁部43の面と後部デッキ板41aのデッキ面が面一になった状態が維持されるように構成されている。逆に、ワイヤ59の他端部をフック58から取り外した状態で後壁部43を後方に揺動させると、後壁部43が下方に垂下した状態になる。
【0043】
前部底部42は、前部デッキ板42aの下面側に複数のフレームを固着して構成されており、前部デッキ板42aの上面側には、後部デッキ板41aと面一の積載物を積載する凹凸のないフラットなデッキ面が形成されている。前部デッキ板42aの下面側における左右両側部には、前後に長い左右の前部メインフレーム42bが固着されている。左右の前部メインフレーム42bは、左右の後部メインフレーム41bと左右方向で同じ位置に配設されており、左右の前部メインフレーム42bの下面の高さは、左右の後部メインフレーム41bの下面の高さと同じ高さに設定されている。
【0044】
図6,図8及び図9に示すように、後部底部41の前部における左右両側端部には、縦平板状の左右のブラケット61が締め付け固定されており、前部底部42の後部における左右両側端部には、縦平板状のブラケット62が固定されている。前部底部42の左右のブラケット62は、ピン63により皿バネ64を介して後部底部41側のブラケット61に左右向きの軸心a周りに回動自在に支持されている。これにより、前部底部42が後部底部41の前端部に左右向きの軸心a周りに上下揺動自在に支持されている。
【0045】
前部デッキ板42aの後端部における下面側には、左右に長い帯板状の板状部材65が固定されており、左右の前部側壁部45の下面側には、前後に長い帯板状の板状部材45dが固定されている。これにより、前部底部42を起立させた状態から、前部底部42を左右向きの軸心a周りに前方へ揺動させる場合において、板状部材65が後部デッキ板41aの前部下面側に接当し、後部デッキ板42aの左右両側部が左右の板状部材45dの上面側に接当する。そして、前部デッキ板42aの上面が後部デッキ板41aの上面と面一になった状態で位置決めされる。
【0046】
この場合、前部デッキ板42aの後端と後部デッキ板41aの前端との間の隙間が板状部材65により塞がれて、後部デッキ板42aと後部側壁部45との間の隙間が板状部材45dにより塞がれることになる。これにより、これらの隙間から積載物がこぼれることを防止できる。
【0047】
前部側壁部45は、角パイプ状の前部支柱45aと縦平板状の後部フレーム45cとに亘って、曲げ成形された前部側部パネル45bを固着して構成されており、前部側壁部45の後部フレーム45cの後面側には、上下のブラケット66が固定されている。後部側壁部44における前部支柱44aの前面側には、上端部及び下端部が内側に折り曲げ成形されたフレーム67が固定されている。フレーム67には、後部フレーム45cに固定された上下のブラケット66がピン68により上下向きの軸心b周りに回動自在に支持されている。これにより、前部側壁部45が後部側壁部44の前端部に上下向きの軸心b周りに左右揺動自在に支持されている。
【0048】
図8及び図10に示すように、前壁部46は、左右の縦平板状の側部フレーム46aに亘って、曲げ成形された前部パネル46bを固着して構成されており、側部フレーム46aの下端部は、前部パネル46bより長く下方に延出されている。
【0049】
前部デッキ板42aの前端部には、縦断面形状がL字状のフレーム42cが固着されており、このフレーム42cの左右両側端部に、横断面形状がL字状のブラケット69が固定されている。ブラケット69には左右向きのピン69aが固着されており、このピン69aに側部フレーム46aの下端部が左右向きの軸心c周りに回動自在に支持されている。これにより、前壁部46が前部底部42の前端部に左右向きの軸心c周りに前後揺動自在に支持されている。
【0050】
図10及び図11に示すように、前壁部46の左右両側部における上部には、前壁部46を左右の前部側壁部45に固定する第1ロック装置70が装備されている。第1ロック装置70は、ブラケット71と、操作具72と、弾性バネ73とを備えて構成されている。ブラケット71は、正面視で下向きに開口したコ字状に形成されており、前壁部46の前部パネル46bに固着されている。ブラケット71には、左右向きの貫通穴が形成されており、この貫通穴に、操作具72が内嵌される。
【0051】
前部側壁部45の前部支柱45aの上部には、左右向きのロック穴45Aが形成されており、操作具72の先端部がロック穴45Aに入り込むように構成されている。これにより、操作具72の先端部とロック穴45Aとの係合により前壁部46の左右両側部における上部が左右の前部側壁部45に支持される。
【0052】
操作具72には棒状の位置決め部材72aが固定されており、この位置決め部材72aとブラケット71とに亘って操作具72を横外側に付勢する弾性バネ73が装着されている。ブラケット71の上面側には、前側に開口した穴部71aが形成されており、弾性バネ73の付勢力に抗して操作具72の操作部72bを内側に引き操作して、操作具72の操作部72bを上方に揺動させてブラケット71の穴部71bに位置決め部材72aを係合させることで、操作具72が内側に引き操作された状態(第1ロック装置70のロック解除状態)を保持できる。
【0053】
操作具72の先端部を前部支柱45aのロック穴45Aに位置決めし、位置決め部材72aがブラケット71の穴部71bに係合した状態から、操作具72の操作部72bを下方に揺動させると、弾性バネ73の付勢力により操作具72の先端部が前部支柱45aのロック穴45Aに入り込んで、前壁部46の左右両側部における上部が左右の前部側壁部45に支持される(第1ロック装置70のロック状態)。
【0054】
第1ロック装置70の下側には、位置決め機構74が装備されている。位置決め機構74は、前部支柱45aの前面側に固定された板状部材75と、前壁部46の側部フレーム46aに固定された係合片76とを備えて構成されている。板状部材75には樹脂製の係入部材75aが嵌め込み装着されており、この係入部材75aには、係合片76に係合する穴部が形成されている。
【0055】
前壁部46が左右向きの軸心c周りに前方に倒伏した状態から、前壁部46を上方に揺動させて起立させると、前壁部46側に固定された係合片76が前部側壁部45側に固定された係入部材75aの穴部に入り込んで、前壁部46と前部側壁部45が左右方向で位置決めされる。この場合、係入片76の先端部には、傾斜部76aが形成されているので、この傾斜部76aに案内された係合片76の先端部が無理なく係入部材75aの穴部に入り込む。
【0056】
また、前壁部46の側部フレーム46aの前端が係入部材75aの後面側に接当して、前壁部46と前部側壁部45が前後方向で位置決めされる。これにより、操作具72の前端部の位置と前部支柱45aのロック穴45Aの位置を正確に位置決めできる。
【0057】
例えば荷台40に積載物を積載して、前部側壁部45の前部を上下向きの軸心b周りに横外側に揺動させる力が作用した場合であっても、この横外側に揺動させる力を板状部材75と係合片76との係合により支えることができる。また、例えば荷台40に積載物を積載して、前壁部46の上部を左右向きの軸心c周りに前方に揺動させる力が作用した場合であっても、この前方に揺動させる力を側部フレーム46aの前端と係入部材75aの後面側との接当により支えることができる。これにより、位置決め部材74を前壁部46と前部側壁部45との連結補強部材として兼用することができ、荷台40の強度を向上できる。
【0058】
図8及び図9に示すように、後部側壁部44の後部側部パネル44bの後部上部には左右向きの貫通穴が形成されており、この貫通穴に樹脂製のボス部材77が嵌め込み装着されている。ボス部材77には左右向きのロック穴77Aが形成されており、このロック穴77Aの内径は、第1ロック装置70の操作具72の先端を無理なく内嵌できる寸法に設定されている。ボス部材77(ロック穴77A)の位置は、前壁部46と共に前部底部42を起立させた状態で、第1ロック装置70をロック状態に操作すると、操作具72の先端部がロック穴77Aに入り込んで、前壁部46と共に前部底部42が略直立に起立する位置に設定されている。
【0059】
これにより、荷台40の延長状態で、前壁部46を左右の前部側壁部45に固定する第1ロック装置70を、荷台40の短縮状態(前壁部46と共に前部底部42を起立させた状態)で、前壁部46及び前部底部42を後部側壁部44側に固定するロック装置として兼用することができる。
【0060】
図6及び図8に示すように、前部デッキ板42aの左右両側部における下面側には、前部底部42を後方に起立させて前部側壁部45を機体内側に折り畳んだ状態で、前部側壁部45の内側端部を前部底部42側に固定する第2ロック装置80が装備されている。
【0061】
図12(a)に示すように、第2ロック装置80は、ブラケット81と、支軸82と、揺動アーム84と、弾性バネ85を備えて構成されている。前部デッキ板42aの下面側には、ブラケット81が固着されている。ブラケット81には、左右向きの左右の貫通穴が形成されており、この貫通穴に支軸82が内嵌されている。ブラケット81には、上下向きの取付穴が形成されており、この取付穴に、ゴム又は樹脂製のクッション部材83が嵌め込み装着されている。
【0062】
支軸82の右側端部には、平板状の揺動アーム84が支軸82の左右向きの軸心周りで揺動自在に支持されている。前部デッキ板42aと揺動アーム84とに亘って支軸82に内嵌された弾性バネ85が取り付けており、この弾性バネ85により、揺動アーム84が支軸82の軸心周りで図12(a)の紙面反時計回りに付勢されている。
【0063】
前部側壁部45における前部支柱45aの上部には、前後向きのロックピン78が固着されている(図11参照)。揺動アーム84の下部には、前部支柱45aのロックピン78に係合する係合部84aと、前部支柱45aのロックピン78を案内する後方上方に傾斜した案内部84bと、揺動アーム84から内側に折り曲げ成形された操作部84cとが形成されている。揺動アーム84の上部には、前部デッキ板45aに接当して揺動アーム84の揺動範囲を規制する接当部84dが形成されている。
【0064】
接当部84dは、弾性バネ85の付勢力により前部デッキ板45aの下面側に接当するので、揺動アーム84は、図12(a)に示す状態から、支軸82の軸心周りで図12(a)の紙面時計回りの方向に揺動可能となる。
【0065】
図12(b)に示すように、前部デッキ45を後方に起立させた状態で前部側壁46を機体内側に折り畳むと、前部側壁46のロックピン78が揺動アーム84の案内部84bに接当して、揺動アーム84が支軸82の左右向きの軸心周りで上方に揺動する。そして、前部側壁46のロックピン78が更に後方に移動すると、弾性バネ85の付勢力により揺動アーム84が支軸82の左右向きの軸心周りで下方に揺動し、揺動アーム84の係合部84aが前部側壁部45のロックピン78に係合する(第2ロック装置80のロック状態)。
【0066】
この場合、前部側壁部45の前部支柱45aは、クッション部材83に接当するので、前部支柱45aは、クッション部材83と揺動アーム84の係合部84aとの間に前後方向から隙間無く挟まれた状態になる。これにより、前部底部42を後方に起立させて前部側壁部45を機体内側に折り畳んだ状態で、前部側壁部45の内側端部がガタつくことを防止できる。
【0067】
従って、前部底部42を後方に起立させた状態で、前部側壁部45を機体内側に折り畳むことで、第2ロック装置80により自動的に前部側壁部45の内側端部を前部デッキ45aに固定できる。これにより、荷台40の状態切換を簡易迅速に行うことができ、荷台40の状態切換作業の作業性を向上できる。
【0068】
一方、前部底部42を後方に起立させて前部側壁部45を機体内側に折り畳んだ状態で、揺動アーム84の操作部84cを弾性バネ85の付勢力に抗して上方に持ち上げると、係合部84aのロックピン78への係合が解除され、前部側壁部45の後方への揺動が可能になる(第2ロック装置80のロック解除状態)。前部側壁部45を後方へ揺動させて、揺動アーム84の操作部84cから手を離すと、揺動アーム84の接当部84dが前部デッキ板42aに接当して、揺動アーム84の位置が元の状態(図12(a)の状態)に位置決めされる。
[荷台の延長状態と短縮状態との切換状況]
図13に基づいて荷台40の延長状態と短縮状態との切換状況について説明する。図13は、荷台40の切換状態を示す概略斜視図であり、図13(a)が延長状態での荷台40の概略斜視図であり、図13(b)が延長状態と短縮状態との間の中間状態での荷台40の概略斜視図であり、図13(c)が短縮状態での荷台40の概略斜視図である。
【0069】
図13(a)及び(b)に示すように、左右の第1ロック装置70をロック解除状態に操作し、前壁部46を左右向きの軸心c周りに後方へ揺動させて、前壁部46を前部底部42側に折り畳む。そして、前壁部46と共に前部底部42を左右向きの軸心a周りに後方へ揺動させて起立させ、後部側壁部44のボス部材77に形成されたロック穴77Aに第1ロック装置70の位置を合わせて、第1ロック装置70をロック状態に操作する。これにより、前壁部46と共に前部底部42を左右の後部側壁部44に固定できる。
【0070】
次に、図13(b)及び(c)に示すように、左右の前部側壁部45を上下向きの軸心b周りに後方(内側)へ揺動させて、左右の前部側壁部45を、起立した前部底部42側に折り畳む。そうすると、左右の前部側壁部45のロックピン78が前部底部42の左右の第2ロック装置80に係合する。これにより、起立した前部底部42に左右の前部側壁部45を固定できる。
【0071】
図13(c)に示すように、上述した手順で、前壁部46、前部底部42、及び左右の前部側壁部45を折り畳むことで、荷台40の前後長さ(荷台40の全長)が延長された延長状態から、荷台40の長さ(荷台40の全長)が短縮した短縮状態に、荷台40の状態を切り換えることができる。この場合、第1及び第2ロック装置70,80により、特定の工具等を用いなくても、簡易迅速に荷台40の状態を切り換えることができ、荷台40の状態切換作業の作業性を向上できる。
【0072】
また、荷台40の延長状態において、荷台40の内面側に位置する前部底部42のデッキ面、前壁部46の内面(後面)、及び前部側壁部45の内面が、荷台40の短縮状態では、荷台40の外側に露出しない状態になる。これにより、荷台40に積載物を積載することにより傷ついた前部底部42のデッキ面、前壁部46の内面(後面)、及び前部側壁部45の内面が、荷台40の短縮状態で荷台40の外側に露出して荷台40の見栄えが悪くなることを防止できる。
【0073】
また、荷台40の短縮状態では、後部底部41のデッキ面、左右の後部側壁部44の内面、後壁部43の内面(前面)、及び前部底部42のデッキ面(後面)によって囲まれた部分に積載物が積載される。これにより、積載物を積載することによる荷台40の外面側の破損を防止できる。
【0074】
図13(b)及び(c)に示すように、左右の前部側壁部45を起立した前部底部42に固定した状態から、左右の第2ロック装置80をロック解除状態に操作し、左右の前部側壁部45を上下向きの軸心b周りに前方(外側)へ揺動させる。この場合、前部側壁部45側のブラケット66が、後部側壁部44側のフレーム67に接当して、前部側壁部45が前後向きになった状態で位置決めされる。
【0075】
次に、図13(a)及び(b)に示すように、左右の第1ロック装置70をロック解除状態に操作し、前壁部46と共に前部底部42を左右向きの軸心a周りに後方(下方)へ揺動させる。この場合、前部底部42の板状部材65が後部デッキ板41aの前部下面側に接当し、後部デッキ板42aの左右両側部が左右の板状部材45dの上面側に接当して、前部デッキ板42aの上面が後部デッキ板41aの上面と略面一になった状態で位置決めされる。
【0076】
そして、前壁部46を左右向きの軸心c周りに前方(上方)へ揺動させて、左右の第1ロック装置70をロック状態に操作する。この場合、位置決め機構74により、前壁部46と前部側壁部45が前後方向及び左右方向で位置決めされると共に、操作具72の先端部の位置と前部側壁部45のロック穴45Aの位置が位置決めされる。これにより、前部底部42、前壁部46、及び左右の前部側板45を固定できる。
【0077】
図13(a)に示すように、上述した手順で、左右の前部側壁部45、前壁部46、及び前部底部42を展開することで、荷台40の長さ(荷台40の全長)が短縮した短縮状態から、荷台40の前後長さ(荷台40の全長)が延長された延長状態に、荷台40の状態を切り換えることができる。この場合、第1及び第2ロック装置70,80により、特定の工具等を用いなくても、簡易迅速に荷台40の状態を切り換えることができ、荷台40の状態切換作業の作業性を向上できる。
[仕切部材の詳細構造]
図14〜図19に基づいて運転部5と後部積載部6との間に配設された仕切部材90の詳細構造について説明する。図14は、仕切部材90付近の側面図であり、図15は、仕切部材90付近の横断平面図であり、図16は、仕切部材90付近の背面図である。図17は、仕切部材90上部の支持構造を説明する縦断背面図であり、図17(a)は、仕切部材90がロプス30側に固定された状態での縦断背面図であり、図17(b)は、仕切部材90がロプス30側に固定されていない状態での縦断背面図である。図18は、後部着座シート14aの後部ロック機構110の構造を説明する側面図であり、図19は、後部着座シート14aの後部ロック機構110の構造を説明する背面図である。
【0078】
図14〜図16に示すように、運転部5の後部には、運転部5と後部積載部6との間を仕切る(運転部5の後壁を構成する)仕切部材90が設けられており、この仕切部材90は、荷台40の短縮状態で後方に移動した後方移動位置(図14の実践の位置)と、荷台40の延長状態で前方に移動した前方移動位置(図14の2点鎖線の位置)とに位置変更可能に構成されている。
【0079】
図14及び図15に示すように、中間支柱32の縦フレーム部分32bの下部には、左右の前部ブラケット86が固定されており、この左右の前部ブラケット86は、中間支柱32の縦フレーム部分32bの下部から横外方後方に向って延出されている。左右の前部ブラケット86は、縦断面形状が下向きに開口したコ字状の形成されており、その先端部に上下向きの穴部が形成されている。
【0080】
後部支柱34の下部には、後部支柱34の下部から前方に向って延出された左右の後部ブラケット87が固定されている。左右の後部ブラケット87は、縦断面形状が下向きに開口したコ字状に形成されており、その先端部に上下向きの穴部が形成されている。
【0081】
前部ブラケット86の上下向きの穴部には、前部支持部材88が嵌め込み装着されている。前部支持部材88には、下部支軸94を内嵌する上下向きの前部穴部88aが形成されており、その下部に、下部支軸94の浮き上がりを防止する浮上防止部材88bが装備されている。
【0082】
後部ブラケット87の上下向きの穴部には、後部支持部材89が嵌め込み装着されている。後部支持部材89には、下部支軸94を内嵌する上下向きの後部穴部89aが形成されており、その下部に、下部支軸94の浮き上がりを防止する浮上防止部材89bが装備されている。
【0083】
下部支軸94を前部又は後部穴部88a,89aに差し込んで、上方から少し強めに押すと、浮上防止部材88b,89bに下部支軸94が入りこんで、浮上防止部材88b,89bの摩擦保持力により下部支軸94の上昇が阻止されて、仕切部材90が作業車の走行時の振動等により上下に移動して下部支軸94が前部又は後部穴部88a,89aから抜け出すことを防止できる。なお、浮上防止部材88b,89bの摩擦保持力に抗して仕切部材90を少し強めに上方に引き上げることで、下部支柱94を前部又は後部穴部88a,89aから引き出すことができる。
【0084】
前部支持部材89の左右の後部穴部89aの幅は、左右の前部支持部材88の左右の前部穴部88aの幅と同じ幅に設定され、後部穴部89aの左右方向での位置は、前部穴部88aの左右方向での位置と略一致する位置に設定されている。
【0085】
図14及び図16に示すように、仕切部材90は、フレーム部材91と、網状部材92と、左右の上部支軸93と、左右の下部支軸94とを備えて構成されている。フレーム部材91は、左右の縦フレーム91aと左右の縦フレーム91aの上部とに亘って固定された上部フレーム91bと、左右の縦フレーム91aの下部に亘って固定された下部フレーム91cとを備えて構成されている。これにより、左右の縦フレーム91aと上部フレーム91bと下部フレーム91cとに囲まれた左右に長い背面視で長方形状の開口部が形成される。
【0086】
仕切部材90の左右方向の幅W1は、左右の後部支柱34の内側の幅W2より狭く設定されており、仕切部材90の左右方向の幅W1は、後述する左右のレール部材96の内面の幅と所定の隙間を開けた寸法に設定されている。これにより、仕切部材90により運転部5と後部積載部6との間を広範囲で覆いながら、仕切部材90の支持構造を簡素化できる。
【0087】
ネット部材92は、帯板材により枠状に形成された枠状フレーム92bに、例えば金網、樹脂網又はパンチングメタル等の複数の通気穴を設けたネット92aを装着して構成されている。ネット部材92は、枠状フレーム92bをフレーム部材91の後方から着脱可能に締め付け固定することで、フレーム部材91に固定されている。
【0088】
左右の縦フレーム91aの上端部には、左右向きの左右の上部支軸93が同心状に固定されており、左右の縦フレーム91aの下部には、上下向きの左右の下部支軸94が左右の支持ブラケット95を介して固定されている。左右の下部支軸94の幅は、前部及び後部支持部材88,89の前部及び後部穴部88a,89aの幅と同じ幅に設定されている。
【0089】
下部フレーム91cの前面側には、後部座席14のシートバック14bが締め付け固定されており、後部座席14のシートバック14bが仕切部材90と共に移動するように構成されている。
【0090】
図14及び図17に示すように、上部後部フレーム35の左右の前後フレーム部分35bの内側には、前後に長い左右のレール部材96が固定されている。左右のレール部材96は、背面視での縦断面形状が横外側に開口したコ字状に形成されており、左右の前後フレーム部分35bに固定されている。
【0091】
左右のレール部材96の内側の面には、前後に長いガイド穴部96Aが形成されており、このガイド穴部96Aの穴幅は、上部支軸93の外径より少し大きい寸法に設定されている。ガイド穴部96Aの前端部及び後端部には、ガイド穴部96Aから下側に穴加工が施された前部及び後部位置決め穴部96B,96Cが形成されており、この前部及び後部位置決め穴部96B,96Cの穴幅は、上部支軸93を無理なく内嵌できかつ上部支軸93との隙間が小さくなるように設定されている。
【0092】
仕切部材90の左右の上部支軸93は、左右のレール部材96の左右のガイド穴部96Aに内嵌されており、ガイド穴部96に内嵌された状態での上部支軸93の先端部に脱落防止用のワッシャ97が装着されている。これにより、仕切部材90の上部が、左右のレール部材96の左右のガイド穴部96Aに沿って前後にスライド移動可能に支持されている。
【0093】
図14及び図15に示すように、後部座席14の後部着座シート14aは、その前部下部の左右向きの軸心P3周りで前後及び上下揺動可能に支持されて、後部着座シート14aが前方に揺動し起立した起立姿勢と、後部着座シート14aが後方に揺動し倒伏した倒伏姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。
【0094】
後部座席支持フレーム25の上部前側には、ブラケット36が固定されている。ブラケット36には、後部着座シート14aの前部下部に固定された支持ブラケット37が左右向きの軸心P3周りで揺動自在に支持されている。支持ブラケット37には、左右向きの穴部37aが形成されている。
【0095】
これにより、シートバック14bを仕切部材90と共に前方に移動させて、後部着座シート14aを起立姿勢に姿勢変更することで、延長状態での荷台40の前側に作業者が着座できない非使用状態で位置した第1姿勢に、後部座席14の姿勢を姿勢変更できる。また、後部着座シート14aを倒伏姿勢に姿勢変更し、シートバック14bを仕切部材90と共に後方に移動させることで、短縮状態での荷台40の前側に作業者が着座できる使用状態で位置した第2姿勢に、後部座席14の姿勢を姿勢変更できる。
【0096】
ブラケット36の下部には、後部着座シート14aの前方への揺動範囲を規制する位置決め接当部36aが形成されている。ブラケット36の先端部には、前部ロック機構100が装着されている。
【0097】
前部ロック機構100は、操作部101と、ピン102とを備えて構成されている。前部ロック機構100の操作部101を横外側に引き操作すると支持ブラケット37の穴部37aに係入するピン102が横外側に移動するように構成されている。
【0098】
操作部101を横外側に引き操作した状態で、操作部101を正回転させることで、操作部101が横外側に操作されてピン102が横外側に移動した状態を保持でき、操作部101を横外側に引き操作した状態で、操作部101を逆回転させることで、前部ロック機構100に内蔵された弾性バネ(図示せず)の付勢力によりピン102が内側に出るように構成されている。
【0099】
これにより、前部ロック機構100の操作部101が横外側に引き操作された状態で、後部着座シート14aを前方に揺動させると、支持ブラケット37の下端部がブラケット36の位置決め接当部36aに接当して、後部着座シート14aが最も前方に揺動した位置で位置決めされる。この状態で、前部ロック機構100の操作部101を逆回転させて前部ロック機構100のピン102を支持ブラケット37の穴部37aに入り込ませることで、最も前方に揺動した位置での後部着座シート14aの起立姿勢を保持できる。
【0100】
後部着座シート14aが起立姿勢で保持された状態で、前部ロック機構100の操作部101を横外側に引き操作すると、ピン102の穴部37aへの係合が解除されて、後部着座シート14aの起立姿勢での保持が解除される。そして、後部着座シート14aを後方に倒すことで、後部着座シート14aを倒伏姿勢に姿勢変更できる。この場合、前部ロック機構100の操作部101を引き操作した状態で正回転させることで、次回の後部着座シート14aの姿勢変更作業に備えて予め前部ロック機構100のピン102が横外側に引っ張られた状態を現出しておくことができる。
【0101】
図4及び図14に示すように、後部着座シート14aを起立姿勢で保持できるように構成することで、起立姿勢での後部着座シート14aの後部と、ダンプする延長状態での荷台40の先端部との間に所定の隙間を確保することができると共に、起立姿勢での後部着座シート14aの上部前部と、前方移動位置での仕切部材90との間に所定の隙間を確保することができる。これにより、起立姿勢での後部着座シート14aと延長状態での荷台40との干渉を防止できると共に、起立姿勢での後部着座シート14aと前方移動位置での仕切部材90との干渉を防止できる。
【0102】
図18及び図19に示すように、後部着座シート14a後部における左右両側部には、側面視での縦断面形状がL字状の左右の支持ブラケット38が、後部着座シート14aの下面側から締め付け固定されている。左右の支持ブラケット38には、帯板状の補強リブ38aが固定されており、これにより、左右の支持ブラケット38を介して後部着座シート14aに作用する荷重を無理なく支持できる。
【0103】
左右の支持ブラケット38の前面側に亘って、縦平板状の下部フレーム39が固定されている。下部フレーム39の左右両側部における下部には、背面視での縦断面形状が上向きに開口したコ字状の左右の支持フレーム39aが固着されている。
【0104】
図14に示すように、左右の支持フレーム39aは、後部着座シート14aの倒伏姿勢で、左右の後部フレーム26の上面側に固定された樹脂製又は木製の座席支持部材18を介して、後部フレーム26に支持されるように構成されている。これにより、後部着座シート14aを起立姿勢から倒伏姿勢に姿勢変更すると、後部着座シート14aの後部が左右の支持ブラケット38、下部フレーム39、及び左右の支持フレーム39aを介して左右の後部フレーム26に安定して支持される。
【0105】
図18及び図19に示すように、後部着座シート14aの後部には、後部着座シート14aを倒伏姿勢でロックする後部ロック機構110が装備されている。後部ロック機構110は、左右のアーム部材111,112と、連係ロッド113と、板状部材117とを備えて構成されている。
【0106】
左の支持ブラケット38には、左のアーム部材111が支軸114の前後向きの軸心周りで揺動自在に支持されている。左のアーム部材111の下部には、左横外側に突出した係合部111aと、この係合部111aの下部に形成された斜め内側下方に傾斜した傾斜部111bが形成されている。右の支持ブラケケット38には、右のアーム部材112が支軸114の前後向きの軸心周りで揺動自在に支持されている。右のアーム部材112の下部には、右横外側に突出した係合部112aと、この係合部112aの下部に形成された斜め内側下方に傾斜した傾斜部111bが形成されている。
【0107】
左のアーム部材111の上部と右のアーム部材112の上下中央部とに亘って連係ロッド113が回動自在に支持されており、これにより、左右のアーム部材111,112が連動連結されている。連係ロッド113の左側部又は左のアーム部材111には、操作具(図示せず)が装備されており、この操作具により後部座席14の左横外側から後部ロック機構110の解除ができるように構成されている。
【0108】
左右のアーム部材111,112の支軸114には、弾性バネ115が外嵌されている。弾性バネ115は、左右のアーム部材111,112と補強リブ38aとに亘って設けられており、この弾性バネ115により、左右のアーム部材111,112の下部を横外側に付勢できる。右のアーム部材112の上部には、前後向きのストッパーピン116が固定されており、このストッパーピン116が右の支持ブラケット38上部の右端辺と接当することで、左右のアーム部材111,112の揺動範囲が規制される。
【0109】
左右の後部支柱34の下部には、横平板状の板状部材117が、左右の後部支柱34の下部から前方内側に延出されている。左右の板状部材117の高さは、後部着座シート14aを倒伏姿勢に姿勢変更した状態で、左右のアーム部材111,112の係合部111a,112aが板状部材117の下面側に隙間無く接当するように設定されている。
【0110】
上記のように後部ロック機構110を構成することで、後部着座シート14aが倒伏姿勢に姿勢変更された状態で、操作具を操作して連係ロッド113を左側に引き操作すると、左右のアーム部材111,112の係合部111a,112aの板状部材117への係合が解除されて、後部着座シート14aの前方上方への揺動操作が可能になる(後部ロック機構110のロック解除状態)。この場合、操作具の操作を止めると、弾性バネ115の付勢力により、左右のアーム部材111,112の下部が横外側に揺動し、ストッパーピン116により左右のアーム部材111,112の揺動が規制される。
【0111】
一方、後部着座シート14aが起立姿勢に姿勢変更された状態で、前部ロック機構100をロック解除状態に操作して後部着座シート14aを後方下方に倒すと、左右のアーム部材111,112の案内部111b,112bが板状部材117に接当して左右のアーム部材111,112の下部が内側に揺動する。そして、弾性バネ115の付勢力によりアーム部材111,112の係合部111a,112aが板状部材117の下側に入り込んで板状部材117と係合し、後部着座シート14aの上方への揺動操作が不能になる(後部ロック機構110のロック状態)。
【0112】
上記のように前部及び後部ロック機構100,110を構成することで、後部着座シート14aの姿勢変更を簡易迅速に行うことができるとともに、前部及び後部ロック機構100,110により倒伏姿勢及び起立姿勢で後部着座シート14aを確実に固定できる。
[仕切部材の位置変更状況]
図1,図2,図14,図17に基づいて仕切部材90の位置変更状況について説明する。図1に示すように、荷台40が短縮状態に切り換えられ、後部着座シート14aが倒伏姿勢に姿勢変更され、仕切部材90が後方移動位置に位置変更された状態から、図14に示すように、仕切部材90を少し上方に押し上げる。そうすると、下部支軸94が後部ブラケット87に装着された後部支持部材89の後部穴部89aから上方に抜け出て、仕切部材90の下部が前後方向に移動可能な状態になる(図17(b)参照)。
【0113】
この場合、上部支軸93は、レール部材96の後部位置決め部96Cから上方のガイド穴部96Aに移動し、仕切部材90の上部がレール部材96のガイド穴部96Aに沿って前後方向にスライド移動可能な状態になる。すなわち、仕切部材90を上方に押し上げるだけで、仕切部材90を前後方向にスライド移動可能な状態にすることができる。
【0114】
次に、仕切部材90をレール部材のガイド穴部96Aに沿って前方にスライド移動させて、下部支軸94の位置を前部ブラケット86に装着された前部支持部材88の前部穴部88aの位置と位置決めして、下部支軸94を前部支持部材88の前部穴部88aに落とし込んで、仕切り部材90を下方に少し押すことで、仕切部材90を前方移動位置に位置変更できる(図17(a)参照)。
【0115】
この場合、上部支軸93は、仕切部材90の下方への移動に伴ってレール部材96のガイド穴部96Aから下方の前部位置決め部96Bに移動し、仕切部材90の上部が前部位置決め部96Bにより前後方向での移動が規制された状態になる。すなわち、仕切部材90を下方に押し下げるだけで、仕切部材90の上部の前後方向への移動が規制された状態を現出できると共に、仕切部材90の下部を前部ブラケット86側に固定できる。
【0116】
仕切部材90を前方移動位置に位置変更した状態で、後部着座シート14aを倒立姿勢に姿勢変更し、荷台40を延長状態に切り換えることで、図1に示す二列座席仕様(四人又は五人乗り仕様)から図2に示す一列座席仕様(二人乗り仕様)に、運転部5の仕様を変更できる。
【0117】
図2に示すように、荷台40が延長状態に切り換えられ、後部着座シート14aが起立姿勢に姿勢変更され、仕切部材90が前方移動位置に位置変更された状態から、荷台40を短縮状態に切り換えて、後部着座シート14aを倒伏姿勢に姿勢変更し、仕切部材90を後方に移動可能な状態にする。
【0118】
次に、図14に示すように、仕切部材90を少し上方に押し上げと、下部支軸94が前部ブラケット86に装着された前部支持部材88の前部穴部88aから上方に抜け出て、仕切部材90の下部が前後方向に移動可能な状態になる(図17(b)参照)。
【0119】
この場合、上部支軸93は、レール部材96の前部位置決め部96Bから上方のガイド穴部96Aに移動し、仕切部材90の上部がレール部材96のガイド穴部96Aに沿って前後方向にスライド移動可能な状態になる。すなわち、仕切部材90を上方に押し上げるだけで、仕切部材90を前後方向にスライド移動可能な状態にすることができる。
【0120】
次に、仕切部材90をレール部材96のガイド穴部96Aに沿って後方に移動させて、下部支軸94の位置を後部ブラケット87に装着された後部支持部材89の後部穴部89aの位置と位置決めして、下部支軸94を後部支持部材89の後部穴部89aに落とし込んで、仕切部材90を下方に少し押すことで、仕切部材90を後方移動位置に位置変更できる(図17(a)参照)。
【0121】
この場合、上部支軸93は、仕切部材90の下方への移動に伴ってレール部材96のガイド穴部96Aから下方の後部位置決め部96Cに移動し、仕切部材90の上部が後部位置決め部96Cにより前後方向での移動が規制された状態になる。すなわち、仕切部材90を下方に押し下げるだけで、仕切部材90の上部の前後方向への移動が規制された状態を現出できると共に、仕切部材90の下部を後部ブラケット87側に固定できる。これにより、図2に示す一列座席仕様(二人乗り仕様)から図1に示す二列座席仕様(四人又は五人乗り仕様)に、運転部5の仕様を変更できる。
【0122】
上記のような荷台40、仕切部材90等の構造を採用することにより、使い勝手のよい作業車を実現でき、作業車を用いての作業の作業性を向上できる。
【0123】
また、荷台40を短縮状態に切り換えた状態で、後部着座シート14aを起立姿勢に姿勢変更すると、後部着座シート14aの下側に位置するエンジンE等の上方が開放されるように構成されているので、この状態を現出することで、エンジンE等のメンテナンスを容易に行うことができ、作業車のメンテナンス作業の作業性を向上できる。この場合、荷台40をダンプさせると、エンジンE、ミッションケース8等の上方が更に広い範囲で開放されることになるので、荷台40をダンプさせることで、エンジンE、ミッションケース8等のメンテナンスを更に容易に行うことができる。
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、前壁部46と共に前部底部42を後側に起立させて折り畳んだ後に、左右の前部側壁部45を後側に折り畳むように構成した例を示したが、前壁部46、前部底部42、及び左右の前部側壁部45を折り畳む順番として異なる順番を採用してもよく、例えば左右の前部側壁部45を後側に折り畳んだ後に、前壁部46と共に前部底部42を後側に起立させて折り畳むように構成してもよい。
【0124】
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、前壁部46、前部底部42、及び左右の前部側壁部45を後側に折り畳むことにより、荷台40の延長状態と短縮状態を現出可能に構成した例を示したが、図20に示すような荷台40の構造を採用してもよい。図20は、この別実施形態における荷台40の概略斜視図である。
【0125】
図20(a)に示すように、荷台40は、前部荷台40Fと後部荷台40Rとを備えて構成されており、前部底部42、左右の前部側壁部45、及び前壁部46はそれぞれ固定されている。後部荷台40Rの前端部に、前部荷台40Fの後端下部が左右向きの軸心d周りで揺動自在に支持されている。
【0126】
これにより、前部荷台40Fが後部荷台40Rに左右向きの軸心d周りで一体で揺動自在に支持されて、図20(a)の実線で示す前部荷台40Fが一体で前方に揺動し荷台40の全長が長くなった延長状態と、図20(a)の2点鎖線で示す荷台40が一体で後方上方に揺動し荷台40の全長が短くなった短縮状態とに状態切換可能に構成されている。なお、前部荷台40Fと後部荷台40Rとに亘って、延長状態及び短縮状態での前部荷台40Fを後部荷台40R側に固定するロック装置(図示せず)が設けられている。
【0127】
図20(b)に示すように、荷台40は、前部荷台40Fと後部荷台40Rとを備えて構成されており、前部底部42、左右の前部側壁部45、及び前壁部46はそれぞれ固定されている。前部荷台40Fは、後部荷台40Rに、図示しないスライド機構(例えばスライドレール、スライドガイド等)を介して後部荷台40Rの壁面に沿って前後にスライド移動可能に支持されている。
【0128】
これにより、前部荷台40Fが後部荷台40Rに一体でスライド移動可能に支持されて、図20(b)の実線で示す前部荷台40Fが一体で前方にスライド移動し荷台40の全長が長くなった延長状態と、図20(b)の2点鎖線で示す後部荷台40Rが一体で後方にスライド移動し荷台40の全長が短くなった短縮状態とに状態切換可能に構成されている。なお、前部荷台40Fと後部荷台40Rとに亘って、延長状態及び短縮状態での前部荷台40Fを後部荷台40R側に固定するロック装置(図示せず)が設けられている。
【0129】
また、図示しないが、折り畳み構造やスライド構造を採用せずに、荷台40を一体的に構成して(荷台40の全長を伸縮できないように構成して)、この一体的に構成した荷台40を後部フレーム26に一体でスライド移動可能に支持し、荷台40を後部フレーム26に対して一体で前後にスライド移動させることで、荷台40の前壁部46及び前部底部42が前後に移動するように構成してもよい。
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、及び[発明の実施の第1別形態]においては、仕切部材90をレール部材96に沿ってスライド移動させることで、仕切部材90を前方移動位置と後方移動位置とに位置変更可能に構成した例を示したが、仕切部材90を前方移動位置と後方移動位置とに位置変更可能な構成として異なる構成を採用してもよい。具体的には、例えば前方及び後方移動位置での仕切部材90を、ロプス30に着脱可能に取り付けて、前方又は後方移動位置の一方でロプス30に固定した仕切部材90を取り外して、この取り外した仕切部材90を前方又は後方移動位置の他方でロプス30に固定する着脱式の仕切部材90を採用してもよい。
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、及び[発明の実施の第2別形態]においては、前方及び後方移動位置での仕切部材90をロプス30に固定するように構成した例を示したが、前方及び後方移動位置での仕切部材90を車体側に固定する構成として異なる構成を採用してもよく、例えば車体フレーム2、前部座席支持パネル24、後部デッキ板29等に、前方及び後方移動位置での仕切部材90を固定するように構成してよく、車体フレーム2、前部座席支持パネル24、後部デッキ板29等からロプス30とは別のフレーム部材(図示せず)を延出し、このフレーム部材に、前方及び後方移動位置での仕切部材90を固定するように構成してもよい。
【0130】
また、前方及び後方移動位置のうちの一方の位置での仕切部材90をロプス30に固定し、前方及び後方移動位置のうちの他方の位置での仕切部材90を車体フレーム2、前部座席支持パネル24、後部デッキ板29等に固定するように構成してもよい。
[発明の実施の第4別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]、及び[発明の実施の第3別形態]においては、車体1の後部にダンプ可能な荷台40を備えた作業車を例に示したが、車体1の後部に荷台40を固定したダンプ不能な作業車(図示せず)においても同様に適用できる。
【0131】
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]、及び[発明の実施の第3別形態]においては、煽り部材(後壁部43、後部側壁部44、前部側壁部45、前壁部46)を備えた荷台40を例に示したが、煽り部材の高さが異なる荷台(図示せず)や、煽り部材を備えていないフラットデッキの荷台(図示せず)においても同様に適用できる。また、天井部材を備えたバン仕様の荷台(図示せず)においても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】二列座席仕様での作業車の全体側面図
【図2】一列座席仕様での作業車の全体側面図
【図3】二列座席仕様での作業車の全体平面図
【図4】延長状態での荷台付近の側面図
【図5】短縮状態での荷台付近の側面図
【図6】延長状態での荷台の底面図
【図7】荷台の背面図
【図8】延長状態での荷台前部の側面図
【図9】前部底部及び前部側壁部の連結構造を説明する詳細図
【図10】前壁部の連結構造を説明する詳細図
【図11】第1ロック装置付近の構造を示す縦断側面図
【図12】第2ロック装置付近の構造を示す詳細図
【図13】荷台の切換状態を示す概略斜視図
【図14】仕切部材付近の側面図
【図15】仕切部材付近の横断平面図
【図16】仕切部材付近の背面図
【図17】仕切部材上部の支持構造を説明する縦断背面図
【図18】後部着座シートの後部ロック機構の構造を説明する側面図
【図19】後部着座シートの後部ロック機構の構造を説明する背面図
【図20】発明の実施の第1別形態における荷台の概略斜視図
【符号の説明】
【0133】
1 車体
5 運転部
30 ロプス(固定部材)
40 荷台
90 仕切部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の後部にダンプ可能な荷台を備え、前記荷台を、前記荷台の前部が前方に移動した第1状態と、前記荷台の前部が後方に移動した第2状態とに状態切換可能に構成するとともに、
前記荷台と運転部との間を仕切る仕切部材を備えて、前記仕切部材を、前記第1状態での荷台の前側に移動した前方移動位置と、前記第2状態での荷台の前側に移動した後方移動位置とに位置変更可能に構成し、
前記前方及び後方移動位置での仕切部材を車体側の固定部材に固定可能に構成してある作業車。
【請求項2】
前記車体側の固定部材を車体に固定されたロプスで構成し、
前記ロプスに前記仕切部材を前後にスライド移動可能に支持して、前記仕切部材を前記前方及び後方移動位置に位置変更可能に構成すると共に、
前記仕切部材を前記前方及び後方移動位置で前記ロプスに固定可能に構成してある請求項1記載の作業車。
【請求項1】
車体の後部にダンプ可能な荷台を備え、前記荷台を、前記荷台の前部が前方に移動した第1状態と、前記荷台の前部が後方に移動した第2状態とに状態切換可能に構成するとともに、
前記荷台と運転部との間を仕切る仕切部材を備えて、前記仕切部材を、前記第1状態での荷台の前側に移動した前方移動位置と、前記第2状態での荷台の前側に移動した後方移動位置とに位置変更可能に構成し、
前記前方及び後方移動位置での仕切部材を車体側の固定部材に固定可能に構成してある作業車。
【請求項2】
前記車体側の固定部材を車体に固定されたロプスで構成し、
前記ロプスに前記仕切部材を前後にスライド移動可能に支持して、前記仕切部材を前記前方及び後方移動位置に位置変更可能に構成すると共に、
前記仕切部材を前記前方及び後方移動位置で前記ロプスに固定可能に構成してある請求項1記載の作業車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−179253(P2009−179253A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21695(P2008−21695)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
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