説明

作物の収穫量を増やす方法

本明細書において、好例となる、作物の収穫量を増やす方法が提供されている。1つの好例となる、作物の収穫量を増やす方法は、農業用遮光剤及び第2の農薬を含む組成物で植物組織を少なくとも部分的に被覆することよって、植物組織のストレスを制御するステップを含む。農業用遮光剤及び第2の農薬は、別々の容器から植物組織に適用することができ、各容器は、農業用遮光剤又は第2の農薬を含有する。さらに、農業用遮光剤及び第2の農薬を、同時又はほぼ同時に作物に適用することができる。あるいは、農業用遮光剤及び第2の農薬を、共有された容器から作物に適用することができ、共有された容器は、農業用遮光剤も第2の農薬も含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレスから植物組織を保護することに関し、特に、作物の収穫量を増やす方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トウモロコシ、ダイズ豆、カノーラ、ヒマワリ、コムギ、テンサイ、及び、ワタ等の作物は、大量に生長し、伝統的に、栽培者にとって薄利のマージンを有する。農業生産の費用の大部分は、耕作した土地1エーカーあたりで固定されており、農場経営者に対する利益は、収穫高(すなわち、1エーカーあたりの収穫された生産物の量)次第である。典型的な例が、(以下の)表1に与えられている。
【0003】
【表1】

表1に示されている例では、収穫量における小さな(例えば、1エーカーあたり140ブッシェルから147ブッシェルまでの、又は、5%の)増加は、収益において有意な(例えば15%の)増加に換算される。逆に、収穫量における(例えば、1エーカーあたり140ブッシェルから100ブッシェルまでの)減少は、収益を台無しにしてしまう。従って、農場経営者にとって作物の収穫量を増やすことが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書において、好例となる、作物の収穫量を増やす方法が提供されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの好例となる、作物の収穫量を増やす方法は、農業用遮光剤(agricultural sunscreen formulation)及び第2の農薬を含む組成物で植物組織を少なくとも部分的に被覆することによって植物組織のストレスを制御するステップを含む。農業用遮光剤及び第2の農薬は、異なる容器から作物に適用することができ、各容器は、農業用遮光剤又は第2の農薬を含む。さらに、農業用遮光剤及び第2の農薬は、同時又はほぼ同時に作物に適用することができる。あるいは、農業用遮光剤及び第2の農薬は、共有された容器から作物に適用することができ、共有された容器は、農業用遮光剤も第2の農薬も含む。
【0006】
特に、植物組織のストレスは、少なくともある程度、太陽から生じるストレス、菌類、昆虫、雑草、及び/又は、細菌性若しくはウィルス性病原体によって引き起こされる場合がある。いくつかの好例となる実施形態によると、第2の農薬は駆除剤でありえ、駆除剤は除草剤、殺菌剤、又は殺虫剤をさらに含み得る。植物組織は、効果的な量の農業用遮光剤を用いて、及び/又は、効果的な量の駆除剤を用いて少なくとも部分的に被覆することができる。あるいは、植物組織は、効果的な量の、農業用遮光剤及び第2の農薬の組成物を用いて少なくとも部分的に被覆することができ、効果的であるために必要とされる第2の農薬の量は、別のやり方で(農業用遮光剤の付随的適用のない)第2の農薬の独立した適用に対して必要とされる量より少ない。農業用遮光剤は、重量対重量ベースで、約40%から80%の炭酸カルシウム、約1%から5%の重炭酸塩、ナトリウム又はカリウム塩、及び、約15%から59%の水を含み得る。さらに、農業用遮光剤は、約1000から約45,000センチポアズの粘度を有し得る。
【0007】
別の好例となる実施形態は、農作物、果物、野菜、木、花、草、根、修景用及び装飾用の植物から成る群から選択される植物組織の基体を含むことができ、植物組織の基体は、農業用遮光剤及び第2の農薬を含む組成物を用いて少なくとも部分的に被覆される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】好例となる、ピリドキシン、ヘキサン中のジルダン(diludan)、及び、ヘキサン中のベータカロチンの吸収スペクトルを示している。
【図2】好例となる作物の収穫量を増やす方法の流れ図である。
【図3】好例となる増加した作物の収穫量が実施例1と関連して生じることを示した写真である。
【図4】好例となる増加した作物の収穫量が実施例1と関連して生じることを示した写真である。
【図5】好例となる増加した作物の収穫量が実施例2と関連して生じることを示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
販売用作物に対する増えた世界的需要は、市場価格の劇的な増加を引き起こした。トウモロコシからのエタノールの産出は、これらの勢いを与えるものの1つである。その結果、農場経営者は、成功した農場経営に最適な領域よりも小さい領域で作物を栽培している。例えば、農場経営者は、特定の作物にとって好ましい気候よりもはるかに熱い気候で作物を栽培するよう試みている。確立された農業地域でさえも、世界的な気候変動は、増加した太陽放射でより熱い天候をもたらした。植物において、太陽放射から結果として生じる熱ストレスは、蒸散及び光合成を減らし、結果として、熱ストレスに晒された植物は、枯れるか又はより少ない種を実らせる(すなわち、収穫量は減る)。
【0010】
作物の生産サイクルにおいて重大な時期は、植物の実生出現時から作物が林冠を形成することによってその独自の保護を提供するのに十分生長した時である。一般的に、これは、出現後約6〜10週間である。この時間の間、収穫量を「プログラム」する因子が固定化される。例えば、ヤングコーンの植物はトウモロコシの穂軸をつけ、ストレスを生じ得る種々の因子の影響を受けやすい。
【0011】
様々な種類の有害生物及び植物がストレスを引き起こす。有害生物及び植物には、雑草、菌類(糸状菌)、昆虫、細菌、及び、ウィルスが含まれる。農場経営者は、通常、生長サイクルにおいて特定の重大な時期に駆除剤の噴霧を適用し、有害生物及び植物由来のストレス並びに植物の質の低下を制御する。駆除剤は、それだけに限らないが、(雑草を減らすか又は枯らすために)除草剤、(菌類を減らすか又は殺すために)殺菌剤、及び、(昆虫を減らすか又は殺すために)殺虫剤を含む。本願明細書の目的のために、駆除剤は、直接作用だけでなく(例えば、昆虫にとって植物をより魅力的に見せない等の)間接作用も含めた、有害生物及び植物を減らすか又は殺す(若しくは枯らす)いかなる物質としても定義される。
【0012】
最も重要な有害因子の1つは雑草である。雑草は、制御されていない場合、太陽光及び栄養分において作物の実生と競合する。雑草制御の欠如は、若い植物を枯らすか又はそれらの植物由来の収穫量を減らす場合がある。この問題に対処するために、精巧な方法が開発されてきた。1つの方法は、グリフォセート含有製剤等の除草剤の、これらの除草剤に耐性の植物の種と組み合わせた適用の制度を含む。費用によりさらなる噴霧処置は所望されないため、1回の除草剤噴霧処置が所望の効果を得るのに十分であり得る。
【0013】
重要な有害因子の別の例は、植物の病原体である。制御されていない場合、前記植物の病原体は、市場向きの収穫量を有意に減らす恐れがある。制御の欠如は、全収穫量を有意に減らし、市場用の農産物の質を落とす。この問題に対処するために、精巧な方法が開発されてきた。1つの方法は、作物に対する植物の病原体の負の影響力を制御又は減らすことに寄与する、例えばピラクロストロビン含有製剤等の殺菌剤適用の制度を含む。
【0014】
さらに、太陽から生じるストレスはますます問題になってきている。太陽から生じるストレスは、強い紫外線(「UV」)及び赤外線(「IR」)放射の有害作用を含む場合があり、生細胞を殺すか又はDNAにダメージを与える恐れがあるため、細胞はその機能を変える。太陽から生じるストレスは、熱放射(長波放射)の吸収のため上がった植物温度によっても生じ、周囲温度よりも高い温度まで植物の一部を熱し、収穫時の収穫量を減らす。太陽から生じるストレスは、日除けすることによって和らげることができるが、日除けは、大きな作付面積に対して経済的に実現可能ではない。従って、太陽から生じるストレスから作物を保護し、同時に、雑草、有害生物、並びに/又は、病原体から作物を保護する手段を有することが所望される。
【0015】
植物発育の重大な時期の間に太陽保護を提供する粒子膜を適用することが、増加した作物の収穫量に対して驚くべき利点を有すると判った。
【0016】
ストレス時間の間ではあるが、一般的に生長時期の間でも、植物は、葉に適用された微量栄養素から利益を得る。
【0017】
農場経営者にとって、駆除処置及び栄養素処置を同時に適用するよう測定を行い、費用を抑えることが非常に所望される。例えば、空中噴霧の典型的な費用は、殺菌剤に対して1エーカーあたり12ドル、及び、空中散布に対して1エーカーあたり12ドルである。葉の微量栄養素であろうと粒子膜であろうと他の物質を同時に適用することは道理にかなっている。
【0018】
本明細書において提供される種々の好例となる方法は、作物の収穫量を増やす。1つの好例となる、作物の収穫量を増やす方法は、農業用遮光剤等の粒子膜及び第2の農薬を含む組成物を用いて植物組織を少なくとも部分的に被覆することによって植物組織のストレスを制御するステップを含む。農業用遮光剤及び第2の農薬は、異なる容器から作物に適用することができ、各容器は、農業用遮光剤又は第2の農薬を含む。さらに、農業用遮光剤及び第2の農薬は、同時又はほぼ同時に作物に適用することができる。あるいは、農業用遮光剤及び第2の農薬は、共有された容器から作物に適用することができ、共有された容器は、農業用遮光剤も第2の農薬も含む。グリフォセート含有除草製剤と組み合わせて、太陽から生じるストレスを減らすために農業用遮光剤を適用することによって、グリフォセート耐性の作物の収穫量も増やすことができる。前記適用は、農業用遮光剤とグリフォセート含有除草剤との同時のタンクでの混合であり得るか、又は、別々の容器からの連続した適用であり得る。前者は、より低い費用のため好ましい。
【0019】
好例となるさらなる実施形態によると、除草剤は、太陽から生じるストレスから条植え作物を保護する及び収穫量を増やすために、遮光剤と組み合わせて使用される。粒子膜の遮光剤は、ダメージを与える紫外線を含めた太陽放射を遮断又は散乱することによって、葉、種、及び、果実等の植物組織を太陽放射から保護することにおいて特に効果的であると証明した。
【0020】
田畑の噴霧適用に対して、2つの方法が可能である。好ましい実施形態では、遮光剤及び除草剤は、1つの製剤で提供されるか、又は、田畑の植物に噴霧するすぐ前に別々の構成要素から共に混ぜ合わされる。別の実施形態では、駆除剤が第一に適用され、次に遮光剤の適用が続くか、又はその逆もある。前記製剤は、一般的に、薬剤タンクを満たすと同時に水で希釈される凝縮物として提供される。
【0021】
前記製剤は、重量を最小限にする、運送費を減らす、及び、容易な取り扱いを提供するために原液又は水和性顆粒剤として提供されることが好ましい。しかし、成分は、多くの異なる方法で共に混ぜ合わせることができるか又は適用することができる。適用方法とは関係なく、種々の好例となる実施形態によると、噴霧される粒子の総量は、効果的であるために、1エーカーあたり約1ポンドから1エーカーあたり約50ポンドに及ぶ。
【0022】
好ましい実施形態では、前記製剤は、重量対重量ベースで少なくとも10%w/w、好ましくは50%w/wを超える凝縮物を含む微粒子を含有する。中程度の粒子の直径は、10μm未満、好ましくは4μm未満である。サイズが4μm未満の粒子は、紫外線を散乱及び反射するのに特に効果的であるため好ましい。サイズが4μm未満の粒子は、容易な混合及び適用のために水性懸濁液において維持することも容易であり、大きな粒子はすぐに沈降する。好ましい実施形態では、粒子物質は炭酸カルシウムであるが、カオリン、ベントナイト、カルナウバロウ、又は、その種々の組合せ等の他の物質を使用することができる。また、シリカ及びシリケートを、主要な、トレース成分又は不活性成分として使用することができる。
【0023】
図1は、好例となる、ピリドキシン、ヘキサン中のジルダン(diludan)及び、ヘキサン中のベータカロチンの吸収スペクトルを示している。これら3つの物質は、好例となる選択光吸収物質を表している。粒子の保護作用は、特定の波長帯において最大吸収度を有する波長選択光吸収物質の添加によって増強することができる。吸収物質は、その最大吸収度が、駆除剤の分解を防ぐ、及び/又は、植物のダメージを防ぐのに特に効果的な波長にてあるように選ばれる。吸収剤は、農業生産において一般的及び安全に使用される物質であることが望ましい。別々の遮光剤及び駆除剤が組み合わせて使用される場合、吸光剤は、遮光剤の成分の一部であることが好ましいが、駆除剤の一部でもあり得る。
【0024】
多くの物質及び植物細胞は紫外線による影響を受けるため、種々の好例となる実施形態によると、吸光剤はUV領域において効果的であるべきである。例えば、吸収スペクトルが図1に示されているジルダン又はピリドキシン等、多くの酸化防止剤がこの要求を満たすことができる。これら2つのうち、ピリドキシンが、水溶性であり、さらに、より費用効果が高いため好ましい。これとは対照的に、別の一般的に使用される酸化防止剤、β−カロチンは、UV保護に対して適用するのにさほど望ましくはなく、UV領域においてある吸収度を有するけれども、その吸収度の大部分が可視域内にある。しかし、β−カロチンは、保護されることになる駆除剤が、約400〜500nmという光合成的に有効な波長帯における太陽放射に感受性がある場合に好ましい。
【0025】
本明細書に記述される製剤又は組成物は、ストレスを和らげる化合物又は栄養素の添加によってさらに補うことができる。
【0026】
さらに、条植え作物におけるストレスは、出現のすぐ前又は出現の直後に、種をまかれた田畑に反射型遮光剤を噴霧することによって減らすことができる。土壌の外見は、その通常の色に加えて白又は乳白色の領域になる。空中から観察すると、この方法で処理された田畑は、周囲の田畑よりも明るく及び白く見える場合がある。土壌及び土壌のすぐ上の空中の温度は、太陽放射の反射のため下がる。
【0027】
好ましい実施形態では、駆除剤と組み合わせての適用は、実生出現時から林冠の出現時まで又は出現後の最初の6〜10週間で起こる。
【0028】
図2は、好例となる作物の収穫量を増やす方法の流れ図である。
【0029】
ステップ210にて、農業用遮光剤及び第2の農薬が組み合わされ、組成物を形成している。別の好例となる方法は、農業用遮光剤及び第2の農薬を別々の容器から適用するステップを含み、各容器は、農業用遮光剤又は第2の農薬を含有する。
【0030】
以下は、天然(すなわち、有機的使用に対して許可された)及び従来の農業用遮光剤の例である。製法6、14、及び、15は、好例となる農業用遮光剤及び第2の農薬(すなわち、クロロタロニル又はジコホール)の組成物を表している。
【0031】
水和剤(「WP」):
製法1:
80〜90% 炭酸カルシウム
1.0〜20% 重炭酸塩、ナトリウム又はカリウム塩
0〜5% 分散剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)。
【0032】
製法2:
80〜90% 炭酸カルシウム
2〜20% リグノスルホン酸塩、ナトリウム又はカルシウム
0〜5% 分散剤。
【0033】
製法3:
80〜90% 炭酸カルシウム
2〜20% キチン
0〜5% 分散剤。
【0034】
製法4:
80〜90% 炭酸カルシウム
2〜20% 硫黄
0〜5% 分散剤。
【0035】
製法5:
80〜90% 炭酸カルシウム
2〜30% 硫酸銅
0〜5% 分散剤。
【0036】
製法6:
50〜90% 炭酸カルシウム(遮光剤)
50〜80% クロロタロニル(殺菌剤)
0〜5% 分散剤(ジオクチルスルホコハク酸)。
【0037】
製法7:
50〜90% 炭酸カルシウム
2〜30% 銅石けん(オクタン酸銅)
0〜5% 分散剤。
【0038】
水和性顆粒剤(「WDG」):
製法8:
50〜90% 炭酸カルシウム
0.5〜5% 分散剤、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
0.5〜10% 水
0〜20% 結合剤(粘土、ベントナイト)
10〜20% 重炭酸塩のカリウム又はナトリウム塩。
【0039】
製法9:
50〜90% 炭酸カルシウム
0.5〜5% 分散剤、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
0.5〜10% 水
0〜20% 結合剤(粘土、ベントナイト)
10〜20% ナトリウム又はカルシウムのリグノスルホン酸塩。
【0040】
製法10:
50〜90% 炭酸カルシウム
0.5〜5% 分散剤、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
0.5〜10% 水
0〜20% 結合剤(粘土、ベントナイト)
2〜20% キチン。
【0041】
製法11:
50〜90% 炭酸カルシウム
0.5〜5% 分散剤、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
0.5〜10% 水
0〜20% 結合剤(粘土、ベントナイト)
2〜30% 硫黄。
【0042】
製法12:
50〜90% 炭酸カルシウム
0.5〜5% 分散剤、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
0.5〜10% 水
0〜20% 結合剤(粘土、ベントナイト)
2〜30% 硫酸銅。
【0043】
製法13:
50〜90% 炭酸カルシウム
0.5〜5% 分散剤、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
0.5〜10% 水
0〜20% 結合剤(粘土、ベントナイト)
2〜30% 銅石けん(オクタン酸銅)。
【0044】
製法14:
50〜90% 炭酸カルシウム(遮光剤)
50〜80% クロロタロニル(殺菌剤)
0.5〜5% 分散剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)
0.5〜10% 水
0〜20% 結合剤(粘土、ベントナイト)。
【0045】
製法15:
50〜90% 炭酸カルシウム(遮光剤)
50〜80% ジコホール(殺虫剤)
0.5〜5% 分散剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)
0.5〜10% 水
0〜20% 結合剤(粘土、ベントナイト)。
【0046】
一部の好例となる実施形態によると、第2の農薬は駆除剤でありえ、除草剤、殺菌剤、又は、殺虫剤をさらに含み得る。
【0047】
ステップ220において、植物組織は、ステップ210にて形成された組成物を用いて少なくとも部分的に被覆される。
【0048】
種々の好例となる実施形態では、農業用遮光剤及び第2の農薬を、別々の容器から植物組織に適用することができ、各容器は、農業用遮光剤又は第2の農薬を含有する。さらに、農業用遮光剤及び第2の農薬を、同時か又はほぼ同時に作物に適用することができる。あるいは、農業用遮光剤及び第2の農薬を、共有された容器から作物に適用することができ、その共有された容器は、農業用遮光剤も第2の農薬も含有する。植物組織は、効果的な量の農業用遮光剤を用いて、及び/又は、効果的な量の駆除剤を用いて少なくとも部分的に被覆することができる。あるいは、植物組織は、効果的な量の、農業用遮光剤と第2の農薬との組成物を用いて少なくとも部分的に被覆することができ、効果的であるために必要とされる第2の農薬の量は、別のやり方で(農業用遮光剤の付随的適用のない)第2の農薬の独立した適用に対して必要とされる量より少ない。
【0049】
ステップ230にて、植物組織はモニターされる。種々の好例となる実施形態によると、植物組織のモニタリングは、データの収集を含み得る。データは、1又は複数の植物組織センサを介して得ることができる。データは、土壌水分データ、蒸散データ、灌漑データ、及び/又は、太陽フラックスデータを含み得る。例えば、熱収支の原理に基づく樹液流動測定は、蒸散の直接測定を提供することができ、離れてモニターすることができる。他の方法は、気孔伝導度、茎の水ポテンシャル等の測定を含めた類似のデータを提供することができる。他のタイプのデータ(特に、植物組織を介した蒸発散量に関係するデータ)を得ることができ、それは、本明細書に記述される種々の実施形態の範囲内である。
【0050】
さらに、さらなる実施形態では、最新の植物組織ストレスデータを、気候センサによって得ることができる。そのようなデータは、気温データ、地熱データ、湿度データ、太陽放射データ、並びに/又は、風速及び風向データを含み得る。他のタイプのデータを得ることができ、それは、本明細書に記述される種々の実施形態の範囲内である。
【0051】
図3〜4は、好例となる増加した作物の収穫量が実施例1と関連して生じることを示した写真である。
【0052】
真菌感染は、枯れた及び老化した花の部分において生じ、雄ずいを通って花床内に広がる。菌類は、植物組織の壊死領域に侵入することもできる。ボトリチス属等の菌類の激増は、複雑な因子のセットによって影響され得る。晩期の間の高湿度、露、及び、断続性の雨等の気候条件が激増に影響を与える場合がある。植物組織に対する(例えば、風、鳥、及び/又は、昆虫による)ダメージは、菌類が植物組織に入るための経路を提供する可能性があるストレス因子として作用する。傷つけるという事象において、新たな傷及び自由水の組合せは、真菌感染を促進する。
【0053】
太陽保護を提供する粒子膜を適用することによって、植物病原体の活性を抑えることもできるということが判った。これは、粒子膜の適用によって、栽培者がより少ない駆除剤(殺菌剤)を適用し、依然として、許容できる植物病原体の制御を達成することができるということを示唆している。
【実施例1】
【0054】
ここで図3を参照すると、実施例1において、殺菌剤(Headline(登録商標))305を用いてトウモロコシを処理したか、又は、農業用遮光剤(Purshade(商標))と殺菌剤(Headline(登録商標))との組合せ310を用いてトウモロコシを処理した。Headlineは、BASF社の登録商標である。特に、2008年8月14日に、Bowling Green、Kentuckyにおいてトウモロコシを処理した。
【0055】
ここで図4を参照すると、トウモロコシの穂軸405及び410が示されている。農業用遮光剤(Purshade(商標))と殺菌剤(Headline(登録商標))との組合せを用いてトウモロコシの穂軸405を処理した。殺菌剤(Headline(登録商標))を用いてトウモロコシの穂軸410を処理した。農業用遮光剤と第2の農薬(殺菌剤)との組合せは優れた結果を生じた。
【0056】
図5は、好例となる増加した作物の収穫量が実施例2と関連して生じることを示したグラフである。
【実施例2】
【0057】
ここで図5を参照すると、異なる濃度の農業用遮光剤(Purshade(商標))を用いてオランダイチゴを処理した。特に、処理濃度は、3% Purshade(商標)、5% Purshade(商標)、及び、10% Purshade(商標)であった。オランダイチゴの一部は、農業用遮光剤で処理しなかった(「未処理」)。種々の処理群に基づき、ボトリチス真菌感染の発生率(割合)を算出した。農業用遮光剤で処理した全ての群が、未処理群と比較して、優れた結果(すなわち、より低いボトリチス感染の発生)を生じた。
【0058】
従って、収集したデータによって、農業用遮光剤のみでボトリチスの発生を減らすことが示されている。現存の殺菌剤と組み合わされた農業用遮光剤の相乗作用は、広域抗菌スペクトルの菌類処理を生じ、作物の収穫量を含めた植物生長を改善し得る。
【0059】
種々の実施形態が本明細書において記述されてきたけれども、それらの実施形態は、例として表されてきただけであり、制限するものではないということを理解するべきである。従って、好ましい実施形態の広さ及び範囲は、上記の好例となる実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【0060】
本願は、2008年6月23日に出願した、“Method to Increase Yield for Row Crops”と題する米国仮出願番号第61/132,908号に基づく優先権を主張するものであり、その全内容を本出願に援用する。
【0061】
本願は、2008年11月17日に出願した、“Systems and Methods for Applying Particle Films to Control Stress on Plant Tissues”と題する米国本出願(非仮出願)第12/313,192号に関連し、さらに、本願は、2008年11月14日に出願した、“Sunscreen Formulations for Use in the Production of Organic Crops”と題する米国本出願(非仮出願)第12/291,875号に関連し、どちらもその全内容を本出願に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物、果物、野菜、木、花、草、根、修景用及び装飾用の植物から成る群から選択される植物組織のストレスを制御する方法であって、前記植物組織は、農業用遮光剤及び第2の農薬を含む組成物で少なくとも部分的に被覆される、方法。
【請求項2】
前記植物組織のストレスは、少なくともある程度、太陽から生じるストレスによって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記植物組織のストレスは、少なくともある程度、菌類によって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記菌類はボトリチス属である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記植物組織のストレスは、少なくともある程度、昆虫によって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記植物組織のストレスは、少なくともある程度、雑草によって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の農薬は駆除剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の農薬は除草剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の農薬は殺菌剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記植物組織は、効果的な量の農業用遮光剤で少なくとも部分的に被覆される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記植物組織は、効果的な量の駆除剤で少なくとも部分的に被覆される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記植物組織は、効果的な量の除草剤で少なくとも部分的に被覆される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記植物組織は、効果的な量の殺菌剤で少なくとも部分的に被覆される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記植物組織は、効果的な量の、前記農業用遮光剤と前記第2の農薬との組成物で少なくとも部分的に被覆される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記農業用遮光剤は、重量対重量ベースで、
約40%から80%の炭酸カルシウム、
約1%から5%の重炭酸塩、ナトリウム又はカリウム塩、及び、
約15%から59%の水、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記農業用遮光剤は、約1000から約45,000センチポアズの粘度を有する、請求項15に記載の農業用遮光剤。
【請求項17】
前記農業用遮光剤は、重量対重量ベースで、
約40%から80%の炭酸カルシウム、
約0%から8%のグリセリン、
約0.1%から0.5%の重炭酸塩、ナトリウム又はカリウム塩、及び、
約11.5%から59.9%の水、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
約10,000から約35,000センチポアズの粘度を有する、請求項17に記載の農業用遮光剤。
【請求項19】
前記植物組織に対するストレスを減らすステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記植物組織のストレスは、少なくともある程度、病原体によって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記病原体は、細菌又はウィルス起源のものである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記病原体は、うどんこ病菌又はリンゴ腐敗病菌である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物の一部としての前記第2の農薬の効果的な量は、前記農業用遮光剤無しで前記第2の農薬が適用される場合の前記第2の農薬の効果的な量よりも少ない、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
農作物、果物、野菜、木、花、草、根、修景用及び装飾用の植物から成る群から選択される植物組織の基体であって、農業用遮光剤及び第2の農薬を含む組成物で少なくとも部分的に被覆される植物組織の基体。
【請求項25】
前記農業用遮光剤が、約40%から80%のカオリン粘土を含む、請求項24に記載の植物組織の基体。
【請求項26】
農作物、果物、果樹、野菜、及び、穀物から成る群から選択される作物の収穫量を増やす方法であって、前記作物の植物組織が、農業用遮光剤及び第2の農薬を含む組成物で少なくとも部分的に被覆される、方法。
【請求項27】
前記農業用遮光剤及び前記第2の農薬が、別々の容器から前記作物に適用され、前記別々の容器を形成する各容器が、前記農業用遮光剤又は前記第2の農薬を含有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記農業用遮光剤及び前記第2の農薬が、同時又はほぼ同時に前記作物に適用される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記農業用遮光剤及び前記第2の農薬が、共有された容器から前記作物に適用され、前記共有された容器は、前記農業用遮光剤も前記第2の農薬も含有する、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記共有された容器は、栄養混合物も含有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記農業用遮光剤及び前記第2の農薬が、実生出現の後で前記作物に適用される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記作物がトランスジェニック作物である、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記作物が、トウモロコシ、穀類、綿、又は、ダイズ豆である、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−525374(P2011−525374A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516298(P2011−516298)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/003762
【国際公開番号】WO2010/008476
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(509285757)パーフレッシュ インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Purfresh, Inc.
【住所又は居所原語表記】47211 Bayside Parkway, Fremont, California 94538, U.S.A.
【Fターム(参考)】