説明

作物栽培装置および作物栽培装置用端末

【課題】作物栽培における人の影響が無視できないことに着目し、人の存在を加味した作物栽培装置を提供する。あわせて、作物栽培という特殊な用途において、迅速かつ正確な制御が可能な作物栽培装置を提供する。
【解決手段】複数の作物栽培装置用端末と、環境調整装置と、サーバー装置とからなる作物栽培装置であって、作物栽培装置用端末は、人存在情報と、環境情報および生体情報の少なくとも一つを検出する検出手段と、環境調整装置、サーバー装置、または他の作物栽培装置用端末との通信を行う通信手段とからなり、環境調整装置は、作物栽培装置用端末に接続されるとともに、検出手段の検出結果に基づく命令、サーバー装置の命令、または他の作物栽培装置用端末の命令のいずれかにより駆動されることを特徴とする作物栽培装置であり、人の影響を評価した迅速かつ正確な制御が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に食用の作物栽培において、センサーネットワークにより検出した情報に基づき、栽培環境を制御する装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、環境情報(その栽培施設内外の温度、湿度、栽培土壌の温度、湿度、栽培土壌の電気伝導度(EC値)、日照量)や、生体情報(栽培作物の茎径、茎長、葉数)を計測し、その情報を蓄積、分析して、栽培環境の制御、たとえば肥料の量や栽培施設内の温度、湿度を制御し、作物に最適な栽培環境を実現していた。
たとえば、環境情報に基づく制御を行う例として、特許文献1がある。ここに開示されている技術は、栽培施設内の明るさを明るさセンサーで検出し、この検出結果に基づき自動的に灌水したり、土壌中の肥料濃度をECセンサーで検出し、この検出結果に基づき施肥を行うといったものである。
また、同じく環境情報をセンサーで検出し、過去の気象データなどのデータベースに基づき、最適な植物育成条件を求める例として、特許文献2がある。
さらに、環境情報だけでなく、栽培作物の茎径、茎長などの生体情報も含めて、栽培対象作物に適した栽培方法や収穫時期を作業者に指示する例として、特許文献3が挙げられる。
【特許文献1】特開2005−117999号
【特許文献2】特開2004−146号
【特許文献3】特開2003−189742号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、以上に開示された技術のような、センサーで検出した環境情報および生体情報に基づく作物栽培環境の制御、あるいは、センサーで検出した検出結果に基づき、過去の環境情報および生体情報からなるデータベースと照らし合わせて最適環境を実現するような制御について、本件発明者は以下の問題を有していることを見出した。
まず第1に、センサーで検出される環境情報の変化が、自然環境の変化によるものであるのか、それとも農作業者や見学者などの人が栽培施設内に存在することに起因するものであるのか、あるいは人為的な操作が行われた結果であるのかの判断が困難であることが挙げられる。すなわち、人は栽培される作物から見れば大きな熱源となり、栽培施設内の温度、湿度に大きな影響を及ぼすものである。このような影響が上乗せされた環境情報がセンサーで検出されると、自然環境の変化に起因しない環境情報の変化を自然環境の変化と捉えてしまい、環境情報のデータベースを構築する際に無視できない誤差を生じさせるとともに、栽培施設内の環境調整についても無視できない誤差を含んだ制御を行い、理想とする環境に比して過剰、ないし過少な制御を行うことになり、栽培作物にダメージを与えることになる。
第2に、環境情報および生体情報を元にデータベースを構築し、栽培環境を評価する際に、人が影響することによる結果発生の原因分析が困難であることが挙げられる。すなわち、環境情報は自然環境の変化の他、害虫の発生や病気の発生の事実なども含むものであるが、これらの拡散を即時に防止する際、病害虫がもたらされた原因分析が不可欠である。病害虫は空気伝染によるものの他、施設内に立ち入る農作業者や見学者の靴や衣料に付着した泥等によってもたらされる場合も多い。このような場合、病害虫の拡散を防ぐには、当該栽培施設の窓を閉めて病害虫の拡散を図ることのほか、他の栽培施設への人の立ち入りを制限するなどの措置を行わなければ、有効な病害虫の拡散を防止することができない。
第3に、作物栽培装置を導入した場合に、施設に故障が生じたり、急激な気象の変化により人の手による即時的な対応が必要な場合、適切かつ確実にその情報を人に知らせることが困難であることが挙げられる。たとえば、施設に故障が発生した場合、人がその場にいれば警報を鳴らすとともに、光による警報信号を点灯させるなどして、障害発生事実を伝えることができる。しかし人がその場にいない場合は、これらの警報は無駄であり、携帯電話を鳴らすなどして別の伝達手段に切り替えなければならない。
第4に、作物栽培施設は時に人体に有害である場合があるが、従来の作物栽培装置はこの危険を回避するすべを持たなかった。すなわち、作物栽培装置では、農薬散布や土壌消毒など、人体に有害な作業を自動で行うことが考えられる。従来は、人為的に栽培施設への入退出を制限することで対処してきているが、昨今農業の法人化等、複数の人が共同で作業を実施する機会が増大し、これら作業の情報の共有化が不十分なことに起因して、農薬散布直後の危険な状況の中、農作業に従事するといったことも起こっている。
以上のように、本発明者は、農作業者や見学者などの人が、いつ、どこにいたか、より詳細には、栽培施設の中ないし近辺のどこにいる、あるいはいたかという情報が、作物栽培において重要な影響を与えたり、作物栽培を行う際に不可欠ないし重要な情報であることを見出したのである。
【0004】
さらに、特に人の作物に対する影響は局所的に発生し、時にその影響が短時間のうちに広範囲に広がるという性質を有していることが多い。たとえば、病害虫を持ち込むのは時にして栽培者や見学者などの人によることが多いことは述べたが、これは、台風の到来や急激な天候の変更などの自然環境変化と同じく、状況を適切に捉え、迅速な対応を必要とするものである。
また、人が作物栽培施設にいたことによる栽培環境の制御は、適切かつ迅速な対応が必要である。たとえば、人が栽培施設にいることにより栽培施設内の温度は上昇するが、いったん栽培施設から退出すると急激に温度は低下する。栽培施設の急激な温度低下は、作物に深刻なダメージを与えるため、暖房装置をいち早く駆動するなど、迅速な対処を必要とする。
従来の技術、例えば特許文献1〜3に挙げたような作物栽培システムにおいては、各センサーの情報が中央のサーバーに集められるとともに、そこで分析され、暖房や換気扇などの環境調整装置の制御命令を出力するシステム、すなわちクライアント・サーバー型のシステムが用いられてきた。
しかし、クライアント・サーバー型のシステムにおいては、通常サーバーは作物栽培施設から離れた場所に設置されているので、クライアントとサーバー間の通信回線が長く、時に通信に時間がかかることの他、切実な問題として、通信回線の障害や故障、切断などが起こりやすいという問題がある。特に農場の場合、時に巨大な農機具が行き来し、有線の場合これら農機具による通信線の切断の危険が非常に高い。また無線を用いたとしても、集中豪雨や降雪などによる無線接続環境の劣化のほか、農場は山間部にも存在するため、地形的に見て良好な通信環境を維持することが難しいといった問題もある。
このような状況の中、本発明者は、作物栽培装置という特殊な用途においては、地形、環境、対処すべき課題(例えば、病害虫の発生、突然の天候変化、人の出入りによる栽培施設環境の急激な変化等にいち早く、かつ確実に対応する必要があること)が特殊であり、従来のクライアント・サーバー型のシステムでは、その用に耐えられないことを見出した。
【0005】
すなわち、本発明は、作物栽培装置において、最適な作物栽培環境を実現するとともに、迅速性、信頼性、安定性の高い装置を供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の作物栽培装置は、複数の作物栽培装置用端末と、環境調整装置と、サーバー装置とからなる作物栽培装置であって、上記作物栽培装置用端末は、少なくとも人の存在の有無に関する人存在情報と、作物の栽培環境に関する環境情報および作物の生体に関する生体情報の少なくとも一つの情報を検出する検出手段と、上記環境調整装置、上記サーバー装置、および他の作物栽培装置用端末との通信を行う通信手段とからなり、上記環境調整装置は、上記作物栽培装置用端末に接続されるとともに、上記検出手段の検出結果に基づく命令、上記サーバー装置の命令、または他の作物栽培装置用端末の命令のいずれかにより駆動され、上記サーバー装置は、上記端末装置より受信した上記人存在情報、および少なくとも環境情報又は生体情報が記録されるデータベース格納手段と、上記検出手段により検出した情報を分析するとともに、分析結果に基づき作物の栽培環境を制御するための命令を出力する分析制御手段からなることを特徴とする。
請求項2記載の本発明の作物栽培装置は、複数の作物栽培装置用端末と、環境調整装置とからなる作物栽培システムであって、上記作物栽培装置用端末は、少なくとも人の存在の有無に関する人存在情報と、作物の栽培環境に関する環境情報および作物の生体に関する生体情報の少なくとも一つを検出する検出手段と、上記検出手段より受信した上記人存在情報、および少なくとも環境情報又は生体情報が記録されるデータベース格納手段と、上記検出手段により検出した情報を分析するとともに、分析結果に基づき作物の栽培環境を制御するための命令を出力する分析制御手段と、上記環境調整装置、および他の作物栽培装置用端末との通信を行う通信手段とからなり、上記環境調整装置は、上記作物栽培装置用端末に接続されるとともに、上記分析制御手段の命令、または他の作物栽培装置用端末の命令のいずれかにより駆動されることを特徴とする。
請求項3記載の本発明の作物栽培装置は、請求項2の特徴に加え、データベース格納手段には、栽培施設内の栽培環境に対する人の影響を記録した人影響評価値が格納されており、分析制御手段は、検出手段により検出した人存在情報および環境情報、および上記人影響評価値を元に、環境調整装置を駆動する命令を出力することを特徴とするものである。
請求項4記載の本発明の作物栽培装置は、請求項1または2の特徴に加え、環境調整装置は、暖房装置、窓開閉装置、除湿装置、散水装置、消毒液散布器、ドア開閉装置、警報装置、携帯電話発信装置の少なくとも一つであることを特徴とする。
請求項5記載の本発明の作物栽培装置は、請求項1の特徴に加え、作物栽培装置用端末は、検出手段により第1の情報が検出されたときは、当該作物栽培用端末に接続された環境調整装置に対する命令を送信し、第2の情報が検出されたときは、他の作物栽培装置用端末に対する命令を送信し、第3の情報が検出されたときは、通信手段を通じてサーバー装置に検出結果を送信することを特徴とする。
請求項6記載の本発明の作物栽培装置は、請求項2の特徴に加え、分析制御手段は、検出手段により第1の情報が検出されたときは、当該作物栽培用端末に接続された環境調整装置に対する命令を送信し、第2の情報が検出されたときは、他の作物栽培装置用端末に対する命令を送信することを特徴とする。
請求項7記載の本発明の作物栽培装置用端末は、作物栽培装置を構成する作物栽培装置用端末であって、少なくとも人の存在の有無に関する人存在情報と、作物の栽培環境に関する環境情報および作物の生体に関する生体情報の少なくとも一つを検出する検出手段と、上記検出手段より受信した上記人存在情報、および少なくとも環境情報又は生体情報が記録されるデータベース格納手段と、上記検出手段により検出した情報を分析するとともに、分析結果に基づき作物の栽培環境を制御するための命令を出力する分析制御手段と、当該作物栽培装置用端末に接続された環境調整装置、サーバー装置又は他の作物栽培装置用端末との通信を行う通信手段とを有し、上記分析手段は、検出手段により第1の情報が検出されたときは、上記環境調整装置に対する命令を送信し、第2の情報が検出されたときは、上記他の作物栽培装置用端末に対する命令を送信し、第3の情報が検出されたときは、通信手段を通じて上記サーバー装置に検出結果を送信することを特徴とする。
請求項8記載の作物栽培装置用端末は、作物栽培装置を構成する作物栽培装置用端末であって、少なくとも人の存在の有無に関する人存在情報と、作物の栽培環境に関する環境情報および作物の生体に関する生体情報の少なくとも一つを検出する検出手段と、上記検出手段より受信した上記人存在情報、および少なくとも環境情報又は生体情報が記録されるデータベース格納手段と、上記検出手段により検出した情報を分析するとともに、分析結果に基づき作物の栽培環境を制御するための命令を出力する分析制御手段と、当該作物栽培装置用端末に接続された環境調整装置、または他の作物栽培装置用端末との通信を行う通信手段とを有し、上記分析手段は、検出手段により第1の情報が検出されたときは、上記環境調整装置に対する命令を送信し、第2の情報が検出されたときは、上記他の作物栽培装置用端末に対する命令を送信することを特徴とする。
請求項9記載の作物栽培装置用端末は、作物栽培装置を構成する作物栽培装置用端末であって、人の存在の有無に関する人存在情報、作物の栽培環境に関する環境情報、および作物の生体に関する生体情報の少なくとも一つを検出する検出手段と、上記検出手段より受信した上記人存在情報、上記環境情報、上記生体情報の少なくとも一つが記録されるデータベース格納手段と、上記検出手段により検出した情報を分析するとともに、分析結果に基づき作物の栽培環境を制御するための命令を出力する分析制御手段と、当該作物栽培装置用端末に接続された環境調整装置、または他の作物栽培装置用端末との通信を行う通信手段とを有し、上記分析制御手段は、検出手段により第1の情報が検出されたときは、上記環境調整装置に対する命令を送信し、第2の情報が検出されたときは、上記他の作物栽培装置用端末に対する命令を送信することを特徴とする作物栽培装置用端末。
【発明の効果】
【0007】
請求項1、2記載の本発明によれば、人存在情報を用いた制御を行う作物栽培装置を実現でき、これにより、人が栽培施設にいることによる栽培環境の変化の評価および栽培環境の制御、作物栽培において栽培施設に関係する人との連携、栽培施設に関係する人の保護を実現するという効果を発揮するものである。また、作物栽培装置用端末間で命令がやり取りできる構成となり、栽培環境の急激な変化に対し迅速な制御が実現できるとともに、通信回線の障害の発生が少ない、信頼性、安定性の高い作物栽培装置を実現するという効果を発揮するものである。
請求項3記載の本発明によれば、人影響評価値を制御に用いることにより、人の出入りを含めた人の栽培環境に及ぼす影響を含めた栽培環境管理を行うことができるとともに、省エネルギー性の高い作物栽培装置を実現するという効果を発揮するものである。
請求項4記載の本発明によれば、栽培施設に必要な環境制御のため、必要に応じた様々な環境調整装置を導入することができるという効果を発揮するものである。
請求項5記載の本発明によれば、優先順位が高い制御、迅速性の高い制御と、集中管理が必要な制御を分けて管理することができ、作物栽培環境をきめ細やかに制御し、より最適な栽培環境を実現するという効果を発揮するものである。また、直接他の作物栽培装置用端末に接続した環境調整装置を制御でき、作物栽培環境を最適かつ迅速に実現するという効果を発揮するものである。
請求項6記載の本発明によれば、直接他の作物栽培装置用端末に接続した環境調整装置を制御でき、作物栽培環境を最適かつ迅速に実現するという効果を発揮するものである。
請求項7、8記載の本発明によれば、人存在情報を用いた制御を行う作物栽培装置用端末を実現でき、これにより、人が栽培施設にいることによる栽培環境の変化の評価および栽培環境の制御、作物栽培において栽培施設に関係する人との連携、栽培施設に関係する人の保護を実現するという効果を発揮するものである。また、作物栽培装置用端末間で命令がやり取りできる構成となり、栽培環境の急激な変化に対し迅速な制御が実現できるとともに、通信回線の障害の発生が少ない、信頼性、安定性の高い作物栽培装置用端末を実現するという効果を発揮するものである。
請求項9記載の本発明によれば、作物栽培装置用端末間で命令がやり取りできる構成となり、栽培環境の急激な変化に対し迅速な制御が実現できるとともに、通信回線の障害の発生が少ない、信頼性、安定性の高い作物栽培装置用端末を実現するという効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の作物栽培装置の主要な構成を表すブロック図である。
図1において、1は、作物栽培装置用端末、11は環境調整装置、21はサーバー装置である。作物栽培装置用端末1は、各種情報の検出、処理、環境調整装置11の制御を担当し、環境調整装置11は作物栽培装置用端末1やサーバー装置21の命令により、主に作物の栽培環境の調整を担当する。サーバー装置21は、検出された各種情報の処理、環境調整装置11の制御の他、作物栽培装置用端末1の制御を担当する。作物栽培装置は、サーバー装置21を備えた構成では、クライアント・サーバー型の作物栽培装置としても機能するが、サーバー装置21の有無に関わらず、作物栽培装置用端末1単独で、あるいは複数の作物栽培装置用端末1が連携して、自律分散型の作物栽培装置としても機能する。
【0009】
作物栽培装置用端末1は、検出手段2、分析制御手段3、データベース格納手段4、通信手段5からなる。
検出手段2は、人存在情報を検出する他、環境情報および生体情報の少なくとも1つを検出する。検出手段2は、1つないし複数の各種センサー2aの他、センサーをコントロールするコントローラー2bからなる。そして、コントローラー2bは、個々の各種センサーの位置情報を保持している。なお、位置情報は、初期値としてあらかじめ与えておいてもよいし、GPSを搭載して位置情報を生成可能にしておいてもよい。
人存在情報の例としては、人の存在の有無のほか、人の動きや動く方向を示す情報が挙げられる。人存在情報を検出する検出手段2の具体的な手段は、各種センサー機器を用いることができ、例えば、栽培施設のドアや窓の開閉、画像処理装置、超音波検出器、熱線検出器など、既存の人体センサーが挙げられる。そして、ドアの開閉を検出することにより人の入退出情報を得ることができ、栽培施設内に設けられた撮像装置により得られた画像を解析することにより人の有無や動きおよび動きの方向の情報を得ることができ、超音波検出器や熱線検出器で人の有無や動きおよび動きの方向の情報を得ることができる。
環境情報の例としては、その栽培施設内外の温度、湿度、栽培土壌の温度、湿度、栽培土壌の電気伝導度(EC値)、日照量など、作物の栽培環境を挙げることができる。そして、環境情報を検出する検出手段2の具体例としては、温度計、湿度計、電気伝導度測定装置、太陽光測定装置や太陽電池、光センサーなどが挙げられる。
生体情報の例としては、栽培作物の茎径、茎長、葉数など、作物の生体に関する情報がこれにあたる。そして、生体情報を検出する検出手段2の具体例としては、クリップ状に貼り合わせた2枚の板片の距離や角度をひずみ計等を用いて測定するよう構成した装置や、撮像装置による画像解析が挙げられる。
【0010】
検出手段2によって検出された人存在情報等は、分析制御手段3に送られ、ここで情報の分析が行われる。また、必要に応じて、データベース格納手段4のデータベースに記録される。情報の分析は、必要に応じてあらかじめ作物の望ましい生育環境情報が記録されているマスター情報や、過去にデータベース格納手段4に格納された情報と、検出手段1によって検出された情報と比較して、望ましい生育環境、ないし過去の生育環境に沿うような環境を作り出すために必要な栽培環境の制御を特定し、これを命令の形で通信手段5に出力する。命令は、当該作物栽培装置用端末1に直接接続された環境調整装置11や、他の作物栽培装置用端末に接続された環境調整装置を駆動するためのものである。このような処理はそれぞれ自律処理、自律分散処理と呼ばれ、クライアント・サーバー型にはない処理方法である。
あるいは、検出手段2によって検出された人存在情報等は、分析制御手段3に送られ、バックアップ目的としてデータベース格納手段4のデータベースに記録されるとともに、そのまま通信手段5に出力され、サーバー装置21に送信される。
【0011】
このような、分析制御手段3が環境調整装置11を駆動するための命令まで生成するか、検出手段2により検出された人存在情報等をそのまま送るかは、情報の種類に依存する。すなわち、検出手段により検出された情報が、即時性の高い制御に用いられるような場合は、第1の情報ないし第2の情報というカテゴリーに分類される。第1の情報は、かかる情報が検出された検出手段2を有する作物栽培装置用端末1に直接接続された環境調整装置11を駆動すべき情報であり、第2の情報は、かかる情報が検出された検出手段2を有する作物栽培装置用端末1とは別の作物栽培装置用端末1に接続された環境調整装置11を駆動するべき情報である。特に第2の情報を付された情報は、サーバー装置で分析されることなく直接に他の作物栽培装置用端末に接続された環境調整装置11を駆動することから、自律分散型の処理に供される。逆にサーバー装置に集約されるべき情報、例えばマスター情報を形成するための情報や、バックアップのための情報であれば、第3の情報というカテゴリーに分類され、かかる情報はそのまま通信手段5に送られる。検出手段2から送られてきた情報が第1,2,3のどの情報に該当するかどうかは、データベース格納手段4に格納されており、分析制御手段3でこれを参照し、判断する。なお、ある情報は一つのカテゴリーだけに属するものではなく、複数のカテゴリーに属していてもよい。例えば、即時性が高い処理に必要な情報で、かつサーバー装置にバックアップが必要な情報は、第1および第3の情報、あるいは第2および第3の情報ということになる。
ある情報が第1,2,3のいずれの情報に該当するかは、処理の目的によって異なる。例えば、栽培施設内に人が存在するか否かの情報は、サーバー装置内でマスターデータベースを構築する際は第3の情報になるが、農薬散布時に利用されるときは、人体を農薬から守るために即時性が高いので第1ないし第2の情報となる。また、環境情報としての温度情報の場合、温度情報が検出された作物栽培装置用端末のある栽培設備の温度調整に用いる際は第1の情報になるが、標準指標として当該他の作物栽培装置用端末で利用される場合は、第2の情報となる。さらに、降雨情報を元に栽培施設の窓を閉める際、当該栽培設備の窓を閉めるためには第1の情報となり、他の栽培設備の窓を閉めるためには第2の情報となる。
【0012】
通信手段5は、作物栽培装置用端末1の外部との入出力を制御するものである。そして、通信手段5は、環境調整装置11、他の作物栽培装置用端末、サーバー装置21と、それぞれ有線ないし無線の通信回線31,32,33で接続されている。通信手段5は、分析制御手段3から受け取った情報ないし命令を、カテゴリー毎に出力先を決定し、送信を行う。すなわち、第1の情報の場合は生成された命令を直接接続されている環境調整装置11に、第2の情報の場合は生成された命令を他の作物栽培装置用端末に、第3の情報の場合はかかる情報をそのままサーバー装置21にそれぞれ送信を行う。複数のカテゴリーに属する情報は、複数の送信先に送信される。なお、第2の情報の場合は、送信先の作物栽培用端末の通信手段が受け取り、通信手段はこれを、接続されている環境調整装置に直接送ってもよいし、あるいはいったん分析制御手段を経由して通信手段が環境調整装置にもよい。
作物栽培装置用端末1は、通常作物の外部環境の共通する範囲毎に設置される。例えば、栽培施設がビニールハウスの場合、ビニールハウスごとに設置される。しかし、隣接するいくつかのビニールハウスは作物の外部環境がほぼ等しい場合が多いので、1台の作物栽培装置用端末1に、いくつかのビニールハウスを担当させてもよい。もちろん、1つのビニールハウスに複数の作物栽培装置用端末1を設置してもよい。設置台数が多いほど、1台あたりがより狭い栽培範囲を担当し、きめ細やかな制御が可能である。
【0013】
環境調整装置11は作物栽培装置用端末1と通信回線31で接続され、作物栽培装置用端末1が送信する命令で駆動される。あるいは、他の作物栽培装置用端末やサーバー装置21が通信回線32,33を通じて送信する命令を、作物栽培装置用端末1の通信手段5および通信回線31を介して受信し、駆動される。
環境調整装置11は、栽培施設内の作物の外部環境を変動、調整する装置であり、例えば栽培施設の温度や湿度を調整する暖房装置、エアーコンディショナー、除湿装置、換気扇、窓開閉装置や、湿度ないし土壌の水分量を調整するための散水装置、土壌の含有肥料量を調整するための施肥装置、日照量を調整するための窓開閉装置やブラインドないし暗幕の開閉装置、その他、消毒液散布装置、警報装置、携帯電話発信装置などが挙げられる。
そして、環境調整装置11は、ひとつの作物栽培装置用端末1に一つないし複数接続されており、特定の作物栽培装置用端末1の管理下におかれている。そして、環境調整装置11は、それぞれに位置情報を有している。位置情報の格納場所は、環境調整装置11内でもよいが、望ましくはかかる環境調整装置11が管理下におかれている作物栽培装置用端末1のデータベース格納手段4がよい。なお、位置情報は、初期値としてあらかじめ与えておいてもよいし、各環境調製装置11にGPSを搭載して位置情報を生成可能にしておいてもよい。
【0014】
サーバー装置21は、内部に設けられた通信手段22を介し、通信回線33で各作物栽培装置用端末1と接続されている。サーバー装置21には、分析制御手段23とこれに接続されたデータベース分析格納手段24が設けられている。作物栽培装置用端末1から送られてきた第3の情報は、通信手段22を介して分析制御手段23に送られ、ここで情報の分析が行われる。また、必要に応じて、データベース格納手段24のデータベースに記録される。情報の分析は、必要に応じてあらかじめ作物の望ましい生育環境情報が記録されているマスター情報や、過去にデータベース格納手段4に格納された情報と、送信されてきた情報とを比較して、望ましい生育環境、ないし過去の生育環境に沿うような環境を作り出すために必要な栽培環境の制御を特定し、これを命令の形で通信手段22に出力する。あるいは図示しない表示装置に表示してもよい。命令は、制御対象である環境調整装置11の接続された作物栽培装置用端末1を介して、環境調整装置11に送信され、駆動される。この処理は、クライアント・サーバー型の処理であり、迅速な処理を要求しないような処理や、データベース格納手段に設けられたデータベースにデータを蓄積する際に用いられる。
【0015】
このような作物栽培装置について、制御目的や使用目的に応じた個々の使用態様が考えられる。それぞれの使用態様について、以下の実施例でその動作を説明する。
なお、本明細書は、作物栽培装置と記載しているが、食用の植物に限らず、観賞用やその他の植物の栽培にも当然用いることができ、本発明の作物栽培装置は広く植物栽培装置を含むものである。
【実施例】
【0016】
本発明の作物栽培装置の具体的な構成、および動作について、以下の実施例で説明する。
【0017】
(実施例1):マスターデータベースの構築
本実施例は、温度、湿度等の変化についてデータベースを構築する際、人が与えた影響についても記録することにより、人がこれらに与える影響を分析するとともに、その後の環境制御の基準となるマスターデータベースを作成する装置に関するものである。その動作を図2を用いて説明する。
【0018】
検出手段2は、環境情報として温度、湿度を検出する温度計、湿度計の機能を有するとともに、人存在情報を検出する人検出センサーたる熱線検出器の機能も有する。そして、検出手段2は、具体的には、温度、湿度、人の存在の有無を検出する(S11)。検出されたこれらの情報は、分析制御手段3に送られる。本実施例の場合、これらの情報は、マスターデータベースを作成する情報として、即時性がなく、集中管理が必要な情報として、第3の情報のカテゴリーとして、データベース格納手段4に登録されている。かかる登録情報を読み込んだ分析制御手段3は、温度、湿度、人存在情報を通信手段5に送る(S11)。この際、データのバックアップとして、データベース格納手段4にこれらの情報を記録しておいてもよい。通信手段5は通信回線3を通じて、サーバー装置21の通信手段22にこれら情報を送信する。そして、通信手段22が受け取ったこれら情報は、分析制御手段23によりデータベース格納手段24に送られ、測定結果データベースとしてデータベース格納手段24に記録される(S12)。
【0019】
次に、測定結果データベースに記録された記録結果を用いて、マスターデータベースを作成する動作を説明する。測定結果データベースに記録された温度、湿度の変化は、人の影響を受けたものとなっている。従って、この測定結果データベースを実際の温度、湿度管理の標準として使用すると、人の影響分だけの誤差を包含したものとなり、理想的な温度、湿度管理の標準として用いることはできない。そこで、分析制御手段23は、データベース格納手段24から測定結果データベースを読み出し(S13)、人存在情報を元に、過去の同様の環境変化を有する部分で人の影響を受けていない部分や、同時に送られてきた他の作物栽培装置用端末の検出結果との比較を行い(S14)、人が存在することによってどの程度の温度、湿度の変化があったかを計算し、その評価値(人影響評価値)を求める(S15)。なお、検出手段2が栽培施設内の人の人数も測定できることから、人影響評価値は単位時間当たり人一人がどの程度の影響を栽培施設内の環境に影響を与えるかを示す指標である。そして、測定結果データベースにおける人の影響した部分について、人影響評価値に相当する温度、湿度に与える影響を控除したものを、マスターデータベースとして、データベース格納手段24に格納する(S16)。このような動作を繰り返すことにより、そのたびに人影響評価値が求められ、この平均を求めることにより,人影響評価値は精度が高められる。なお、一定程度に人影響評価値の精度が高められた後は、人の影響を受けている部分と受けていない部分の比較を行うことなく(S14,S15を経ることなく)、送信されてきた温度、湿度、人存在情報を測定結果データベースとして記録するとともに、人影響評価値を元に、人の影響を受けないマスターデータベースを生成(S16)することも可能である。
【0020】
なお、本実施例では、サーバー装置21で情報の分析、マスターデータベースの生成を行ったが、作物栽培装置用端末1の内部の分析制御手段3、データベース格納手段4を用いて行ってもよい。特に、検出手段2で得られた情報を元に、即時に環境調整装置11の制御を行う場合は、この方が優れている。そして、この際のS14での比較は、データベース格納手段4に記録されている過去のある時点の情報を用いることの他、他の作物栽培装置用端末1から同時刻の情報を直接送信してもらうことにより行うこともでき、その方が場合によっては迅速かつ正確に、環境調整装置11を制御することもできる。栽培環境制御の動作態様については、実施例3で説明する。
以上、第1の実施例によれば、栽培環境に対する人の影響を人影響評価値として数値化できるとともに人の影響を控除したマスターデータベースの生成が可能であり、これを用いて作物栽培装置の制御を行うことが可能であるという効果を有する。
【0021】
(実施例2):病害虫発生の要因特定
本実施例は、病害虫の発生原因を特定する場合に、人の出入り等の情報も記録されたデータベースを用いることにより、病害虫の発生原因を特定することができる装置に関するものである。すなわち、病害虫は、外気を取り入れることの他、人が栽培施設内に入る際に持ち込むことにより発生することが多い。よって、栽培施設内の人の存在情報や、窓の開閉の情報をデータベースに登録することにより、病害虫データと照らし合わせ、いつの時点で汚染された可能性が高いかを特定することができ、これをもとに即時に対策を講じることにより、汚染の拡大をいち早く防ぐことができるものである。この動作を図3を用いて説明する。
【0022】
検出手段2は、生体情報として病害虫の検出を行い病害虫情報を生成する(S21)。具体的には撮像装置および解析装置を用いて、害虫の映像を検出したり、病気の兆候(例えば葉が白くなったり、黒くなったり、枯れだしたりといった兆候)を検出する。また、検出手段2は、人存在情報として、ドアの開閉や人が存在した情報を検出する。具体的には、栽培施設のドア開閉のスイッチの操作情報や、熱線等による人検出器の出力情報がそれにあたる。また、環境情報として、栽培施設の窓の開閉の情報を検出する。本実施例の場合、病害虫に対する対策を早期にとる必要あがることから、自律分散型の処理が適しており、したがってこれらの生体情報や人存在情報、環境情報は、第1ないし第2のカテゴリーとして登録されているほか、集中管理を要し、病害虫に対するマスターデータベースを生成することも必要であるため、第3のカテゴリーとしてもデータベース格納手段4に登録されている。検出されたこれらの情報は、分析制御手段3に送られ、リアルタイムにデータベース格納手段4に測定結果データベースとして記録されている(S22)。
そして、病害虫検出情報を受け取った分析制御手段3は、データベース格納手段4に格納されている測定結果データベースおよび病害虫の特性を記録した病害虫データを読み出し、病害虫に感染したと考えられる時点を分析、特定する(S23)。具体的には、害虫の場合、成虫の大きさから生まれた時期を特定したり、病気の場合は症状の広がり具体や潜伏期を加味して感染時期を特定したりすることにより行う。そして、推測される感染時期に人が出入りしたり、窓の開閉を行っていないかを測定結果データベースから検索する(S23)。
【0023】
推測感染時期に窓の開閉を行っていたなら、窓の開閉を行ったすべての栽培施設について感染している可能性があるので、これらの栽培施設について消毒を行う必要がある。そこで、分析制御手段3は、対象となる栽培施設の環境調整装置11、具体的には消毒液散布器に対する消毒命令を生成し、通信手段5に送信し、通信手段5は直接接続されている環境調整装置11に対しては通信回線31を通じ、他の作物栽培装置用端末に接続されている環境調整装置11に対しては通信回線32を通じて、消毒命令を送信する(S24)。消毒命令を受信した環境調整装置11たる消毒液散布器は、消毒を開始する(S25)。なお、この際、消毒の効果を上げるとともに外部に消毒薬が漏れないように、窓を閉じる命令も同時に生成、送信し、環境調整装置11たる窓開閉装置に窓を閉めるよう命令してもよい。また、特定の方向の窓を開閉したことが原因と考えられる場合は、特定の方向の窓をその時期に開閉した施設に限定して消毒を行ってもよい。その際、窓の開閉情報は、どの方向の窓を開閉したかの情報も含むことになる。なお、栽培施設内に人がいる場合については、実施例6で説明する。
【0024】
あるいは、推測感染時期に人の出入りを検出していたなら、その病害虫は人の衣服や靴付着した泥等により持ち込まれた可能性が高い。ゆえに、人を媒介に他の栽培施設に広がらないよう、栽培施設の鍵をかけ、人の出入りを制限する必要がある。そこで、分析制御手段3は、対象となる栽培施設の環境調整装置11、具体的には栽培施設のドアに対し施錠命令を生成し、通信手段5に送信し、通信手段5は直接接続されている環境調整装置11に対しては通信回線31を通じ、他の作物栽培装置用端末に接続されている環境調整装置11に対しては通信回線32を通じて、施錠命令を送信する(S24)。施錠命令を受信した環境調整装置11たる栽培施設のドアは、自動的に施錠される(S26)。これと同時に、分析制御手段3は、消毒命令を同時に生成し、各栽培施設の消毒を自動でおこなってもよい。消毒を手作業で行う場合においても、すでに病害虫検出情報を受け取り、病害虫が発生していることを作業者は知っているため、あらかじめ消毒した靴や衣服、消毒器具を持ち込み消毒を行うので、二次感染を確実に防止することができる。
【0025】
そして、本実施例の生体情報や人存在情報、環境情報は、第3のカテゴリーの情報としても登録されているので、分析制御手段3はこれらの情報を通信手段5、通信回線33を介して、サーバー装置21に送信する(S21)。サーバー装置21の分析制御手段23は、これらの情報をデータベース格納手段24に測定結果データベースとして記録する(S27)。なお、消毒情報や施錠情報もあわせて送信、記録することにより、測定結果データベースは栽培記録としても利用できる。例えば、市場に収穫した作物を出荷する際、栽培履歴、つまり過去に行った消毒の情報や病害虫の情報を提供することができ、作物に対する信頼の向上を図ることができる。また、問屋やスーパーマーケットなどの事業者は、このシステムに接続する手段を有することで、契約農家でなくともこれら栽培履歴を得ることができ、作物に対する消費者への信頼を担保することができるというメリットも有する。
以上、第2の実施例によれば、人存在情報等により、病害虫発生原因の特定が可能となり、病害虫の拡散をいち早く防止することが可能となる。
【0026】
(実施例3):室温調整
本実施例は、温度、湿度等の変化について、人が与えた影響を加味した環境制御を行う装置に関するものである。その動作を図4を用いて説明する。
【0027】
人間は作物の栽培環境に大きな影響を及ぼす、特に人間は作物にとっては大きな熱源となり、栽培施設の温度、湿度に大きな影響を及ぼす。特に、気温の低い冬場の作物栽培時にこの影響は顕著に現れる。
検出手段2は、環境情報として温度、湿度を検出する温度計、湿度計の機能を有するとともに、人存在情報を検出する栽培施設のドア開閉検出手段、および人検出センサーたる熱線検出器の機能も有する。そして、検出手段2は、具体的には、温度、湿度、人の存在の有無を検出する。本実施例の場合、検出手段2によって検出される情報は、栽培施設の環境を保全するための情報であり即時性が高く、また、栽培記録として集中管理が必要な情報として、第1および3の情報のカテゴリーとして、データベース格納手段4に登録されている。なお、人の影響は局所的でもあるので、他の作物栽培装置用端末に接続された環境調整装置を駆動する必要はなく、本実施例においては、第2の情報カテゴリーとしては登録されていない。
例えば、今まで人が栽培施設内で作業を行っており、この状況下で栽培作物に最適な温度制御を行っていたとする。そして、農作業を行っていた者が、栽培施設から退出したとする。すると、検出手段2は、人が栽培施設内から退出したという情報を検出する(S31)。かかる情報は、ドアが開閉されたことにより人の移動を検出するとともに、熱線検出器が、人が存在しないことを検出することによって生成される。そして、検出されたこれらの情報は、分析制御手段3に送られる。分析制御手段3は、上記登録情報を読み込み自ら分析制御すべき即時性の高い情報であることを認識し、さらに、実施例1で説明した人影響評価値をデータベース格納手段4から読み出す(S32)。そして、人一人が退出したことによる不足熱量を計算し、これを補うため、暖房装置駆動命令を生成する(S33)。そして、この命令を通信手段5に送信する。なお、人影響評価値を用いる代わりに、人の存在しない他の栽培施設の温度との差を元に、必要な熱量の計算してもよい。
そして、暖房装置駆動命令を受け取った通信手段5は、通信回線31を介して、環境調整装置11たる暖房装置に暖房装置駆動命令を送信する(S35)。これを受け取った暖房装置は、暖房装置駆動命令に従い、命令に含まれる熱量分に相当する熱を生成すべく、暖房運転を行う。この際、なるべく温度変化が生じないように、最初は緩く運転し、だんだん能力を上げていくように制御するのが望ましい。
【0028】
なお、これと同様の温度制御は、栽培設備内の温度を検出し、これを元に制御するだけで実現することは困難である。温度変化を測定して暖房装置を運転すると、人の退出のような急な熱源の喪失に対しては反応が遅くなり、運転を開始したときにはすでに相当温度が下がっていたという状況が生じる。作物は特に温度低下により重大なダメージを被るので、このような反応の遅い制御は致命的である。本実施例のように、人の出入りを直接検出することにより、いち早く温度制御を始めることができ、作物の栽培施設内を常に一定の最適な温度に制御することが可能である。そして、このような制御は、サーバーを介しない自律制御が望ましい。
なお、この際、データのバックアップとして、また栽培情報として、サーバー装置21のデータベース格納手段24にこれらの情報が記録される(S36)。
また、同様の制御として、人が栽培施設内に入ったときに、これを検出手段2で検出して、分析制御装置3で人の熱源としての効果を評価した上で、環境調整装置11たる暖房装置の運転を緩めることもできる。この場合、人を熱源として積極的に利用することで、暖房装置の燃料の節約を図ることができる。
さらに、これらを組み合わせ、栽培施設内で人の移動を検出手段2が検出したときに、移動方向先にある暖房装置の運転を緩め、移動方向元にある暖房装置の運転を強めるといった制御も可能である。この場合、移動先の暖房装置が別の作物栽培装置用端末に接続されている暖房装置であれば、第2の情報のカテゴリーとして分析制御手段3から暖房装置駆動命令を送信し、通信手段5は通信回線32を介して他の作物栽培装置用端末11に接続されている暖房装置を駆動する(S37)。
なお、暖房装置の制御のほか、栽培設備の窓の開閉や、換気扇の制御、空気循環器の制御を単独で、あるいは併用してもよい。これらの単独使用ないし併用により、温度、湿度のきめ細やかな制御を行うことができる。
以上、第3の実施例によれば、より正確で、迅速、かつきめ細やかな温度制御が実現できるとともに、人を熱源として利用することができ、暖房費にかかるコスト削減が実現可能である。
【0029】
(実施例4):障害発生の通報
本実施例は、栽培施設内の設備や作物栽培装置用端末1、環境調整装置11に障害が発生したときに、栽培施設の管理人や近くにいる作業者に障害を通知する装置に関するものである。その動作を図5を用いて説明する。
【0030】
検出手段2は、環境情報として栽培設備や作物栽培装置用端末1、環境調整装置11の異常を検出する手段を有する。さらに、人存在情報を検出する人検出センサーたる熱線検出器も有する。本実施例の場合、検出手段2によって検出される情報は、栽培施設の環境を保全するための情報であり即時性が高いので、第1の情報のカテゴリーとして、データベース格納手段4に登録されている。
検出手段2が、栽培設備等の異常を検出すると、その情報は人存在情報とともに、分析制御手段3に送られる(S41)。分析制御手段3は、上記登録情報を読み込み自ら分析制御すべき即時性の高い情報であることを認識する。
そして、人が当該栽培施設内に存在しているという情報が送られているときは、分析制御手段3は警報発信命令を生成し(S42)、通信手段5へ送信する。そして、警報発信命令を受け取った通信手段5は、通信回線31を介して、環境調整装置11たる警報装置に警報発令命令を送信する(S43)。これを受け取った警報装置は、警報発信命令に従い、警報を発信する。警報装置は、光で異常を知らせる信号装置や、音で異常を知らせるスピーカー装置、異常内容を表示する表示装置など、複数の手段を組み合わせるのが望ましい。これにより、例えば耳が不自由な人が作業を行っていても信号装置が発する光で異常を知ることができる。
あるいは、人が当該栽培施設内に存在していないという情報が送られているときは、分析制御手段3は携帯電話駆動命令を生成し(S42)、通信手段5へ送信する。そして、携帯電話駆動命令を受け取った通信手段5は、通信回線31を介して、環境調整装置11たる携帯電話発信装置に携帯電話駆動命令を送信する(S43)。これを受け取った携帯電話駆動装置は、命令に従い、あらかじめ登録されている栽培施設管理者や比較的近くにいる作業者の携帯電話に異常信号を送る(S45)。なお、別の作物栽培装置用端末が人の存在を検出したときは、その端末に接続されている警報装置を駆動してもよい(S46)。この場合、人存在情報は、第2の情報のカテゴリーとして登録されていることが必要である。この際、警報装置は、別の作物栽培装置用端末の設置されている栽培施設の異常であることが区別できるような装置、例えばその旨を表示できる表示装置であることが望ましい。
以上、第4の実施例によれば、栽培装置等の異常発生時に、的確に管理者や作業者に栽培設備や装置の異常の発生を伝えることができるものである。
【0031】
(実施例5):農薬散布
本実施例は、農薬を散布する際に、人存在情報を加味することにより、人体に危険な農薬散布を安全に行うことができる装置に関する。この装置は、実施例2のように病害虫を検出した際、自動的に農薬散布を行うときに用いることができる他、定期的な農薬散布の際にも利用することができる。この動作を図6を用いて説明する。
【0032】
検出手段2は、人存在情報として、ドアの開閉や人が存在した情報を検出する。具体的には、栽培施設のドア開閉のスイッチの操作情報や、熱線等による人検出器の出力情報がそれにあたる。本実施例の場合、農薬散布は人体に影響のある作業であり、安全確保の対策を早期にとる必要あがることから、自律分散型の処理が適しており、したがって本実施例における人存在情報は、第1ないし第2のカテゴリーとして登録されている。
そして、農薬散布前に人存在情報を受け取った分析制御手段3は、人存在情報を分析する(S52)。もし人存在情報が、人が存在しないという情報であれば、分析制御手段3は、農薬散布の対象となる栽培施設の施錠命令と農薬散布命令を生成し、通信手段5に送信する(S52)。通信手段5は直接接続されている環境調整装置11に対しては通信回線31を通じ、他の作物栽培装置用端末に接続されている環境調整装置11に対しては通信回線32を通じて、施錠命令と農薬散布命令を送信する(S53)。施錠命令を受信した環境調整装置11たる施錠装置は、栽培設備の出入り口を施錠する(S54)。また農薬散布命令を受信した環境調整装置11たる農薬散布器は、農薬散布を開始する(S55)。なお、この際、消毒の効果を上げるとともに残留農薬濃度が高いうちに作業者が栽培施設に入り作業を行うことを防止するため、施錠命令が解除されるのは、農薬散布装置が駆動を終了してから一定時間経過した後である。
もし人存在情報が、人が存在するという情報であれば、分析制御手段3は、警報発令命令を生成し、通信手段5に送信する(S52)。通信手段5は直接接続されている環境調整装置11に対しては通信回線31を通じ、他の作物栽培装置用端末に接続されている環境調整装置11に対しては通信回線32を通じて、警報発令命令を送信する(S53)。警報発令命令を受信した環境調整装置11たる警報装置は、栽培設備の内部にいる作業者に対し、警報を発令し、退出を促す(S56)。なお、警報装置は、光で異常を知らせる信号装置や、音で異常を知らせるスピーカー装置、異常内容を表示する表示装置など、複数の手段を組み合わせるのが望ましい。これにより、例えば耳が不自由な人が作業を行っていても信号装置の発する光で異常を知ることができる。
なお、複数の栽培施設のうち、ある特定の栽培施設内にのみ人が存在する場合は、他の栽培設備に関しては農薬散布を行い、当該特定の栽培施設に関しては警報装置を駆動してもよい。そして、人の退出を検出手段2で確認し、人が存在しないという情報に転じたときには、分析制御手段3は施錠命令と農薬散布命令を生成し、これに基づき施錠、農薬散布を行ってもよい。
以上、第6の実施例によれば、農薬散布に際して、栽培設備内で働く作業者の安全を確保することができるものである。
【0033】
(実施例6):栽培環境の急変に対する対応
栽培環境が急変する場合として、実施例2で述べた病害虫の発生の他、台風による天候の急変、局所的な突風、集中豪雨などがある。局所的な突風や突然の豪雨により、作物が傷つき、商品価値を損なうことから、これらの環境から作物を守る必要がある。また、これらの被害はある点を中心に放射状に伸びることが多い。本実施例は、このような栽培環境の急変に対し、迅速かつ正確に栽培環境の保全を行う装置に関するものである。この動作を図7を用いて説明する。
【0034】
検出手段2は、環境情報として、風速、降雨を検出し、風速情報、降雨情報を生成する(S61)。検出手段の具体例は、風速計、降雨検出装置である。本実施例の場合、天候の急変に対する対策を早期にとる必要あがることから、自律分散型の処理が適している。したがってこれらの環境情報は、第1、第2の情報のカテゴリーとして登録されているほか、作物の栽培環境の記録を集中管理する必要があるので、第3の情報のカテゴリーとしてもデータベース格納手段4に登録されている。
そして、風速情報、降雨情報を受け取った分析制御手段3は、データベース格納手段4に格納されている標準風速、降雨情報を読み出し(S62)、これと比較を行う(S63)。そして、限界値以上の風速や降雨を検出したときは、窓閉命令を生成する(S63)。さらに、窓閉命令の対象は、突風や降雨を検出した作物栽培装置用端末に接続されている環境調整装置11たる窓開閉装置、だけでなく、当該作物栽培用端末に近い順に他の作物栽培装置用端末に接続されている環境調整装置11についても、制御の対象とする。最初に突風や降雨を検出した場所から放射状に、突風、降雨の被害が予想されるからである。
そこで、分析制御手段3は、対象となる栽培施設の環境調整装置11、具体的には窓開閉装置に対する窓閉命令を生成し、上記順に通信手段5に送信し、通信手段5は直接接続されている環境調整装置11に対しては通信回線31を通じ、他の作物栽培装置用端末に接続されている環境調整装置11に対しては通信回線32を通じて、窓閉命令を送信する(S64)。窓閉命令を受信した環境調整装置11たる窓開閉装置は、窓を直ちに閉じる(S65)。なお、この際、窓を閉じた栽培施設の温度、湿度を調整するために、分析制御手段3は、温度調整命令を同時に生成し、各作物栽培装置用端末に接続された環境調整装置たるエアコン等を駆動してもよい。
そして、本実施例の環境情報は、第3のカテゴリーの情報としても登録されているので、分析制御手段3はこれらの情報を通信手段5、通信回線33を介して、サーバー装置21に送信する。サーバー装置21の分析制御手段23は、これらの情報をデータベース格納手段24に測定結果データベースとして記録する(S66)。
以上第6の実施例によれば、栽培環境の急変による作物の損害を減らすことができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の栽培システム、および作物栽培装置用端末は、農業の他、林業、水産業などに応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の主要な構成を表す説明図
【図2】本発明の第1の実施例の動作を表す説明図
【図3】本発明の第2の実施例の動作を表す説明図
【図4】本発明の第3の実施例の動作を表す説明図
【図5】本発明の第4の実施例の動作を表す説明図
【図6】本発明の第5の実施例の動作を表す説明図
【図7】本発明の第6の実施例の動作を表す説明図
【符号の説明】
【0037】
1 作物栽培装置用端末
2 検出手段
3 分析制御手段
4 データベース格納手段
5 通信手段
11 環境調整装置
21 サーバー装置
22 通信手段
23 分析制御装置
24 データベース格納手段
31 通信回線
32 通信回線
33 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作物栽培装置用端末と、環境調整装置と、サーバー装置とからなる作物栽培装置であって、
上記作物栽培装置用端末は、少なくとも人の存在の有無に関する人存在情報と、作物の栽培環境に関する環境情報および作物の生体に関する生体情報の少なくとも一つの情報を検出する検出手段と、上記環境調整装置、上記サーバー装置、および他の作物栽培装置用端末との通信を行う通信手段とからなり、
上記環境調整装置は、上記作物栽培装置用端末に接続されるとともに、上記検出手段の検出結果に基づく命令、上記サーバー装置の命令、または他の作物栽培装置用端末の命令のいずれかにより駆動され、
上記サーバー装置は、上記端末装置より受信した上記人存在情報、および少なくとも環境情報又は生体情報が記録されるデータベース格納手段と、上記検出手段により検出した情報を分析するとともに、分析結果に基づき作物の栽培環境を制御するための命令を出力する分析制御手段からなる、
ことを特徴とする作物栽培装置。
【請求項2】
複数の作物栽培装置用端末と、環境調整装置とからなる作物栽培装置であって、
上記作物栽培装置用端末は、少なくとも人の存在の有無に関する人存在情報と、作物の栽培環境に関する環境情報および作物の生体に関する生体情報の少なくとも一つを検出する検出手段と、上記検出手段より受信した上記人存在情報、および少なくとも環境情報又は生体情報が記録されるデータベース格納手段と、上記検出手段により検出した情報を分析するとともに、分析結果に基づき作物の栽培環境を制御するための命令を出力する分析制御手段と、上記環境調整装置、および他の作物栽培装置用端末との通信を行う通信手段とからなり、
上記環境調整装置は、上記作物栽培装置用端末に接続されるとともに、上記分析制御手段の命令、または他の作物栽培装置用端末の命令のいずれかにより駆動される、
ことを特徴とする作物栽培装置。
【請求項3】
データベース格納手段には、栽培施設内の栽培環境に対する人の影響を記録した人影響評価値が格納されており、
分析制御手段は、検出手段により検出した人存在情報および環境情報、および上記人影響評価値を元に、環境調整装置を駆動する命令を出力する請求項2記載の作物栽培装置。
【請求項4】
環境調整装置は、暖房装置、窓開閉装置、除湿装置、散水装置、消毒液散布器、ドア開閉装置、警報装置、携帯電話発信装置の少なくとも一つである請求項1または2記載の作物栽培装置。
【請求項5】
作物栽培用端末は、検出手段により第1の情報が検出されたときは、当該作物栽培用端末に接続された環境調整装置に対する命令を送信し、第2の情報が検出されたときは、他の作物栽培装置用端末に対する命令を送信し、第3の情報が検出されたときは、通信手段を通じてサーバー装置に検出結果を送信する請求項1記載の作物栽培装置。
【請求項6】
分析制御手段は、検出手段により第1の情報が検出されたときは、当該作物栽培用端末に接続された環境調整装置に対する命令を送信し、第2の情報が検出されたときは、他の作物栽培装置用端末に対する命令を送信する請求項2記載の作物栽培装置。
【請求項7】
作物栽培装置を構成する作物栽培装置用端末であって、
少なくとも人の存在の有無に関する人存在情報と、作物の栽培環境に関する環境情報および作物の生体に関する生体情報の少なくとも一つを検出する検出手段と、上記検出手段より受信した上記人存在情報、および少なくとも環境情報又は生体情報が記録されるデータベース格納手段と、上記検出手段により検出した情報を分析するとともに、分析結果に基づき作物の栽培環境を制御するための命令を出力する分析制御手段と、当該作物栽培装置用端末に接続された環境調整装置、サーバー装置又は他の作物栽培装置用端末との通信を行う通信手段とを有し、
上記分析手段は、検出手段により第1の情報が検出されたときは、上記環境調整装置に対する命令を送信し、第2の情報が検出されたときは、上記他の作物栽培装置用端末に対する命令を送信し、第3の情報が検出されたときは、通信手段を通じて上記サーバー装置に検出結果を送信することを特徴とする作物栽培装置用端末。
【請求項8】
作物栽培装置を構成する作物栽培装置用端末であって、
少なくとも人の存在の有無に関する人存在情報と、作物の栽培環境に関する環境情報および作物の生体に関する生体情報の少なくとも一つを検出する検出手段と、上記検出手段より受信した上記人存在情報、および少なくとも環境情報又は生体情報が記録されるデータベース格納手段と、上記検出手段により検出した情報を分析するとともに、分析結果に基づき作物の栽培環境を制御するための命令を出力する分析制御手段と、当該作物栽培装置用端末に接続された環境調整装置、または他の作物栽培装置用端末との通信を行う通信手段とを有し、
上記分析手段は、検出手段により第1の情報が検出されたときは、上記環境調整装置に対する命令を送信し、第2の情報が検出されたときは、上記他の作物栽培装置用端末に対する命令を送信することを特徴とする作物栽培装置用端末。
【請求項9】
作物栽培装置を構成する作物栽培装置用端末であって、
人の存在の有無に関する人存在情報、作物の栽培環境に関する環境情報、および作物の生体に関する生体情報の少なくとも一つを検出する検出手段と、上記検出手段より受信した上記人存在情報、上記環境情報、上記生体情報の少なくとも一つが記録されるデータベース格納手段と、上記検出手段により検出した情報を分析するとともに、分析結果に基づき作物の栽培環境を制御するための命令を出力する分析制御手段と、当該作物栽培装置用端末に接続された環境調整装置、または他の作物栽培装置用端末との通信を行う通信手段とを有し、
上記分析制御手段は、検出手段により第1の情報が検出されたときは、上記環境調整装置に対する命令を送信し、第2の情報が検出されたときは、上記他の作物栽培装置用端末に対する命令を送信することを特徴とする作物栽培装置用端末。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−35452(P2010−35452A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199718(P2008−199718)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【出願人】(507117522)株式会社糸魚川農業興舎 (1)
【Fターム(参考)】