説明

作物運搬車

【課題】
作物の収容台車への積み込みが容易であり、収容台車が車体上から脱落しにくく、且つ走行するための条の作物を手作業で収穫する必要の無い作物運搬車を提供する。
【解決手段】
圃場から収穫した作物を収容する機枠22F,22Rに包囲体29を設けて構成する台車31を走行車体1上に設けた作物運搬車において、該台車31の包囲体29の一辺に車体の外側又は内側に回動自在な第1主壁部材25Fを設け、該第1主壁部材25Fに車体の外側又は内側に回動自在な第2主壁部材27Fを設け、前記第1主壁部材25Fに第1固定部材26L,26Rを設けると共に、前記第2主壁部材27Fに第2固定部材28L,28Rを設けて構成する開閉壁29Fを設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈り取った煙草の幹葉等の作物を収容して運搬する作物運搬車である。
【背景技術】
【0002】
従来、作物運搬車としては、特許文献1に示されるように、車体上に左右側面が開放された台車を積載して作物の収穫作業機に追従走行し、収穫作業機で収穫した作物を左右側面の開放部からこの台車に収容できるものが存在する。
【特許文献1】特開2004−291912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載される作物運搬車は、機体左右方向から作物を収容するためには、作物運搬車を収穫作業機が作業を行う条の隣接条を走行させねばならず、作物運搬車を走行させる条の作物は事前に収穫しておかねばならないという欠点があった。
【0004】
また、台車の左右両側は常に開放されているため、圃場の起伏等によって作物運搬車が左右方向に傾斜すると、台車に収容した作物が左右の開放部から脱落してしまう欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、圃場から収穫した作物を収容する機枠(22F,22R)に包囲体(29)を設けて構成する台車(31)を走行車体(1)上に設けた作物運搬車において、該台車(31)の包囲体(29)の一辺に車体の外側又は内側に回動自在な第1主壁部材(25F)を設け、該第1主壁部材(25F)に車体の外側又は内側に回動自在な第2主壁部材(27F)を設け、前記第1主壁部材(25F)に第1固定部材(26L,26R)を設けると共に、前記第2主壁部材(27F)に第2固定部材(28L,28R)を設けて構成する開閉壁(29F)を設けたことを特徴とする作物運搬車とした。
【0006】
従って、台車(31)の包囲体(29)の一辺に車体の機体の外側又は内側に回動自在な第1主壁部材(25F)と第2主壁部材(27F)とからなる開閉壁(29F)を設けたことによって、包囲体(29)の前後もしくは左右のいずれか一辺の開閉を容易に切り替えることができるので、作物運搬車が圃場の起伏等によって傾斜しても収容した作物が台車(31)から脱落することを防止できると共に、台車(31)に収容した作物を容易に取り出すことができる。
【0007】
また、包囲体(29)の一辺を開放状態にできることによって、作物運搬車は収穫作業機と同じ条を収穫作業機の後方から追従走行しながら作物を台車(31)に収穫することができると共に、従来通り収穫作業機の隣接条を追従走行しながら作物を台車(31)に収穫することができる。
【0008】
そして、各々車体の内側又は外側に回動自在な第1主壁部材(25F)と第2主壁部材(27F)とにそれぞれ第1固定部材(26L,26R)と第2固定部材(28L,28R)とを設けたことによって、作物の収容量に応じて開閉壁(29F)の高さを変更することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記開閉壁(29F)を設けた包囲体(29)の他辺に、車体の外側又は内側に回動自在な第1副壁部材(25R)を設け、該第1副壁部材(25R)に車体の外側又は内側に回動自在な第2副壁部材(27R)を設け、前記第1副壁部材(25R)に第1固定部材(26L,26R)を設けると共に、前記第2副壁部材(27R)に第2固定部材(28L,28R)を設けて構成する副開閉壁(29R)設けたことを特徴とする請求項1記載の作物運搬車とした。
【0010】
従って、包囲体(29)の一辺に車体の外側又は内側に回動自在な第1主壁部材(25F)と第2主壁部材(27F)とからなる開閉壁(29F)を設けると共に、包囲体(29)の他辺に車体の外側又は内側に回動自在な第1副壁部材(25R)と第2副壁部材(27R)とからなる副開閉壁(29R)を設けたことによって、包囲体(29)の前後もしくは左右両側の開閉を容易に切り替えることができるので、作物運搬車が圃場の起伏等によって傾斜しても収容した作物が台車(31)から脱落することを防止できると共に、台車(31)に収容した作物を容易に取り出すことができる。
【0011】
また、包囲体(29)の前後もしくは左右両側が開放状態になることによって、作物運搬車は収穫作業機と同じ条を収穫作業機の後方から追従走行しながら作物を台車(31)に収穫することができると共に、従来通り収穫作業機の隣接条を追従走行しながら作物を台車(31)に収穫することができる。
【0012】
そして、各々車体の外側又は内側に回動自在な第1主壁部材(25F)と第2主壁部材(27F)と第1副壁部材(25R)と第2副壁部材(27R)とにそれぞれ第1固定部材(26L,26R)と第2固定部材(28L,28R)とを設けたことによって、作物の収容量に応じて開閉壁(29F)と副開閉壁(29R)との高さを変更することができる。
【0013】
請求項3の発明は、前記走行車体(1)上に台車(31)を固定するロック部材(32)を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の作物運搬車とした。
従って、ロック部材(32)を走行車体(1)上に設けたことによって、圃場に残った作物の残幹がロック部材(32)に接触してロック状態を解除してしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、包囲体(29)の一辺に設ける開閉壁(29F)の開閉を切り替えられると共に、開閉壁(29F)を構成する車体の外側又は内側に回動自在な第1主壁部材(25F)と第2主壁部材(27F)とにそれぞれ第1固定部材(26L,26R)と左右第2固定部材(28L,28R)とを設けたことによって、収穫作業開始時には第1固定部材(26L,26R)と第2固定部材(28L,28R)とを解除し、開閉壁(29F)を開放しておくと収穫した作物を台車(31)に収容しやすく、作業能率が向上する。
【0015】
そして、台車(31)にある程度作物が収容されると、第1主壁部材(25F)を閉じて第1固定部材(26L,26R)で固定することによって、作物運搬車が圃場の起伏等によって傾斜しても収容した作物が台車(31)から脱落することを防止できるので、機外に脱落した作物を回収する作業が省略されて作業者の労力が軽減されると共に、台車(31)から作物が脱落して傷付くことが防止されるので、作物の商品価値が向上する。
【0016】
さらに、収容した作物がさらに増えると、第2主壁部材(27F)を閉じて第2固定部材(28L,28R)で固定することによって、圃場の起伏等により作物運搬車が傾斜しても台車(31)に収容された作物が機体から圃場に落下することが防止されるので、作物が傷付くことがなく商品価値が向上する。
【0017】
また、包囲体(29)の開閉壁(29F)を開けると、台車(31)に収容した作物を取り出すことができるので、作物を積み降ろす際の作業能率が向上する。
そして、台車(31)の一辺から作物を収容することによって、作物運搬車は収穫作業機と同じ条を後方から追従走行しながら収穫した作物を台車(31)に収容することができるので、作物運搬車を走行させるための条の作物を事前に収穫しておく作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0018】
なお、従来通り作物運搬車を収穫作業機の隣接条を追従走行させて刈り取った作物を収容することもできるので、圃場や作物状態等の作業条件の変化にも対応しやすい。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、包囲体(29)の一辺に設ける開閉壁(29F)と他辺に設ける副開閉壁(29R)の開閉を夫々切り替えられると共に、開閉壁(29F)を構成する機体の外側又は内側に回動自在な第1主壁部材(25F)と第2主壁部材(27F)との上端左右にそれぞれ第1固定部材(26L,26R)と第2固定部材(28L,28R)とを設け、副開閉壁(29R)を構成する車体の上下方向に回動自在な第1副壁部材(25R)と第2副壁部材(27R)とにそれぞれ第1固定部材(26L,26R)と第2固定部材(28L,28R)とを設けたことによって、収穫作業開始時には第1固定部材(26L,26R)と第2固定部材(28L,28R)とを解除し、開閉壁(29F)もしくは副開閉壁(29R)のいずれか一方、あるいは両方を開けておくと収穫した作物が収容しやすく、作業能率が向上する。
【0019】
そして、台車(31)にある程度作物が収容されると、第1主壁部材(25F)もしくは第1副壁部材(25R)のいずれか一方、あるいは両方を閉じて第1固定部材(26L,26R)で固定することによって、作物運搬車が圃場の起伏等によって傾斜しても収容した作物が収容部から脱落することを防止できるので、機外に脱落した作物を回収する作業が省略されて作業者の労力が軽減されると共に、台車(31)から作物が脱落して傷付くことが防止されるので、作物の商品価値が向上する。
【0020】
さらに、収容した作物がさらに増えると、第2主壁部材(27F)もしくは第2副壁部材(27R)のいずれか一方、あるいは両方を閉じて第2固定部材(28L,28R)で固定することによって、圃場の起伏等により作物運搬車が傾斜しても台車(31)に収容された作物が機体から圃場に落下することが防止されるので、作物が傷付くことがなく商品価値が向上する。
【0021】
また、開閉壁(29F)もしくは副開閉壁(29R)のいずれか一方を開けて台車(31)に収容した作物を機体の前後もしくは左右のどちらからでも取り出すことができると共に、開閉壁(29F)と副開閉壁(29R)との両方を開けて収容した作物を機体の前後もしくは左右の両側から取り出すことができるので、作業能率が向上する。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、ロック部材(32)を走行車体(1)上に設けたことによって、圃場に残った作物の残幹がロック部材(32)に接触してロック状態を解除してしまうことを防止できるので、台車(31)が走行車体(1)から落下することが防止されて作業の安全性が向上すると共に、収容した作物が脱落して傷付くことが防止されるので、作物の商品価値が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施の形態について、一実施例として圃場から刈り取られた煙草の幹葉を収容して運搬する、煙草運搬車を説明する。
図1〜図4に示すように、煙草運搬車は、運搬車を動作させる動力部Aと、作業者が運搬車を操作する主操縦部Bと、補助作業者が運搬車を操作する副操縦部Cと、圃場を走行する走行部Dと、刈り取った煙草を収容する収容部Eとから構成される。
【0024】
まず、動力部Aの構成について説明する。
走行車体1上面の後部右側にエンジン2と燃料タンク3とを取り付け、該エンジン2と燃料タンク3との上部にエンジンカバー4を取り付け、エンジン2の下部で且つ走行車体1の下部にミッション5を取り付けて構成する。
【0025】
上記構成のように、エンジン2やミッション5が車体の後部右側に設けられていることによって、エンジン2やミッション5が煙草の幹を刈り取った後圃場に残っている残幹に当たることが防止できる。
【0026】
また、走行車体1の後部中央及び左側に物を載置したり作業者が作業を行うことのできるスペースが形成されるので、積載量を増やすことや作業能率を向上させることができる。
【0027】
次に、主操縦部Bの構成について説明する。
走行車体1上で且つ動力部Aの後部に操縦パネル6を取り付け、該操縦パネル6に煙草運搬車の作業速度を切り替える変速レバー7と煙草運搬車を左右に旋回させる左右旋回レバー8L,8Rと煙草運搬車の走行と停止を切り替える走行クラッチレバー9を切り換え自在に取り付ける。また、エンジン2の回転数を変更するアクセルレバー10を切り換え自在に取り付け、前記操縦パネル6の後端部に取っ手11を取り付けると共に、該取っ手11の下部に取っ手11より後方に突出するように押し込まれるとメインクラッチを強制的に切るデッドマンクラッチレバー12を取り付けて構成する。
【0028】
上記構成のように、メインクラッチを強制的に切るデッドマンクラッチレバー12を操縦パネル6の後端部に取り付けていることによって、作業中に煙草運搬車に異常が生じてもすぐにメインクラッチを切って止めることができるので、作業の安全性が向上する。
【0029】
また、デッドマンクラッチレバー12を取っ手11よりも後方に突出させていることによって、煙草運搬車の後進中等に、作業者が煙草運搬車と壁等とに挟まれるようなことがあっても、デッドマンクラッチレバー12が作業者の体に当たって押し込まれるとメインクラッチが切れて機体の動作が停止するため、作業の安全性が向上する。
【0030】
次に、副操縦部Cについて説明する。
前記走行車体1下面の前部右側に補助操作パネル13を取り付け、該補助操作パネル13に煙草運搬車を左右に旋回させる左右旋回レバー14L,14Rと煙草運搬車の走行と停止を切り替える走行クラッチレバー15とエンジン2の回転数を変更するアクセルレバー16とを切り換え自在に取り付ける。また、走行車体1の前部左側に押すとメインクラッチを強制的に切って機体を停止させる緊急停止スイッチ17を取り付ける。
【0031】
上記構成のように、機体前側にも左右旋回レバー14L,14Rと走行クラッチレバー15とアクセルレバー16とを切り換え自在に取り付けたことによって、作業者は機体の前後どちら側で作業をしていても機体の走行を操作することができるので、作業能率が向上する。
【0032】
また、機体前部左側に緊急停止スイッチ17を取り付けたことによって、作業者は煙草運搬車に異常が生じたとき、機体の前後どちらにいてもメインクラッチを切って機体の動作を停止させることができ、また作業者が緊急事態に陥ったときには補助作業者等がすぐに機体を停止させることができるので、作業の安全性が向上する。
【0033】
次に、走行部Dについて説明する。
前記ミッション5の左右駆動軸に圃場を走行するための左右クローラ18L,18Rを取り付ける。
【0034】
次に、収容部Eについて説明する。
まず、前記走行車体1上面で且つ動力部Aよりも機体前側に機体の進行方向に直交する前後ガイドレール19F,19Rを取り付け、該前後ガイドレール19F,19Rの左右両端で且つ走行車体1の左右側面に着脱自在な延長レール20aを夫々装着する延長レールフック20を夫々取り付ける。また、前記走行車体1の左右中央部で且つ前後幅内に、走行車体1に後述する収容台車31を固定するロックピン式のロック装置32を取り付ける。
【0035】
次に、左右転輪21,21を夫々取り付けると共に機体左右方向中央部に孔部(図示せず)を設けた前後メインフレーム22F,22Rの左右端に左右側壁23L,23Rを機体左右方向に回動自在に取り付けると共に、該前後メインフレーム22F,22Rの前後間でかつ左右側壁23L,23Rの左右間に前後補助フレーム24F,24Rを取り付ける。また、前記左右側面フレーム23L,23Rの前後端でかつ左右間に前後第1側壁25F,25Rを機体前後方向に回動自在に取り付け、該前後第1側壁25F,25Rの左右上端に前後第1側壁25F,25Rと左右側壁23L,23Rとを連結させる左右第1ロックアーム26,26を取り付ける。そして、前記前後第1側壁25F,25Rの上端部を回動支点として機体前後方向に回動自在な前後第2側壁27F,27Rを取り付けると共に、該前後第2側壁27F,27Rの左右上端に前後第2側壁27F,27Rと左右側壁23L,23Rとを連結する左右第2ロックアーム28,28を取り付けて、前後開閉側壁29F,29Rを構成する。さらに、該前後開閉側壁29F,29Rの前後間で且つ左右側壁23L,23Rの左右間に左右縦補助フレーム30L,30Rを取り付けることによって、刈り取った煙草の幹葉を収容する収容台車31が構成される。
【0036】
なお、左右側壁23L,23R及び前後第1側壁25F,25Rと前後第2側壁27F,27Rとからなる前後開閉側壁29F,29Rは、鉄板などの板体だけでなく、鉄パイプ等の棒体で構成してもよい。
【0037】
また、該収容台車31を前後ガイドレール19F,19R上に載置することによって、収容部Eが構成される。
なお、前後開閉側壁29F,29Rは、図5で示すように機体前側を機体前後方向に回動自在な開閉側壁29a、機体後側を機体前後方向に回動自在な固定側壁29bとしてもよい。
【0038】
上記構成のように、機体前後方向に回動自在な前後第1側壁25F,25Rの上端部に前後前後方向に回動自在な前後第2積載側壁27F,27Rを取り付けると共に、前後第1側壁25F,25Rと前後第2側壁27F,27Rとの左右上端部に夫々左右第1ロックアーム26,26と左右第2ロックアーム28,28とを取り付けて前後開閉側壁29F,29Rを構成したことによって、収穫作業開始時には前開閉側壁29Fを前傾させておくと、前開閉側壁29Fが刈り取った煙草の幹葉を収容台車31に収容することを妨げないので、作業能率が向上する。なお、前第2側壁27Fを機体前側に回動させてから前第1積載側壁25Fを機体前側に回動させると、図4のIのように前開閉側壁29Fを機体前後幅内に収めることができるので、前開閉側壁29Fが圃場に残っている煙草の残幹葉に引っ掛かり走行を妨げられることを防止できるので、作業能率が向上する。
【0039】
また、刈り取った煙草の幹葉の量が増えてくると、図4のIIのように前第1側壁25Fと左右側壁23L,23Rとを左右第1ロックアーム26,26で連結して固定し、前第2側壁27Fを機体前側に回動させることによって、圃場の起伏等により機体が傾斜しても収容された煙草の幹葉が機体から圃場に落下することが防止されるので、煙草の幹葉に付いた葉部が傷付くことがなく商品価値を向上させることができると共に、機外に脱落した作物を回収する作業が省略されて作業者の労力が軽減される。
【0040】
さらに刈り取った煙草の幹葉の量が増えてくると、図4のIIIのように前第1側壁25Fと左右側壁23L,23Rとを左右第1ロックアーム26,26で連結して固定すると共に、前第2側壁27Fと左右側壁23L,23Rとを左右第2ロックアーム28,28で連結して固定することによって、圃場の起伏等により機体が傾斜しても収容された煙草の幹葉が機体から圃場に落下することが防止されるので、煙草の幹葉が傷付くことがなく、商品価値が向上する。
【0041】
そして、煙草の幹葉を下ろす時は、前開閉側壁29Fを機体前側に回動させると、収容台車31に収容した煙草の幹葉を容易に取り出すことができるので、作業能率が向上する。
【0042】
なお、左右第2ロックアーム28,28を外して前第2側壁27Fを機体前側に回動させることによって、積み上げられた煙草の幹葉を上部から取り出すことができるので作業能率が向上すると共に、積み上げられた煙草の幹葉の下部は前第1側壁25Fに押さえられているので、煙草の幹葉が一斉に収容台車31から崩れ落ちてしまうことを防止できるので、煙草の幹葉が傷付くことが防止され、商品価値が向上する。
【0043】
また、左右側壁23L,23Rが機体左右方向に回動自在であると共に、前後開閉側壁29F,29Rが機体前後方向に回動自在であることによって、左右側壁23L,23Rと前後開閉側壁29F,29Rとを機体内側方向に回動させることができるので、収容台車31をコンパクトに折りたたむことができる。
【0044】
さらに、収容台車31の前後に前後開閉側壁29F,29Rを取り付けたことによって、収容台車31を走行車体1上に積載する際収容台車31の開閉側が機体前側を向くように動かす必要が無くなるので、収容台車31を容易に走行車体1上に積載することができ、作業者の労力が軽減される。
【0045】
また、前後開閉側壁29F,29Rのどちらを開けても収容台車31に収容した煙草の幹葉を降ろすことができるので、様々な作業条件に合わせることができ、作業能率が向上する。
【0046】
そして、刈り取られた煙草の幹葉を機体前側から収容台車31に収容することによって、煙草運搬車は煙草の収穫作業機と同じ条を後方から追従走行することができるので、煙草運搬車を走行させるための条の煙草の幹葉を事前に刈り取る作業が省略され、作業者の労力が軽減される。なお、従来通り作物運搬車を収穫作業機の隣接条を追従走行させて刈り取った作物を収容することもできるので、圃場や作物状態等の作業条件の変化にも対応しやすい。
【0047】
さらに、前後ガイドレール19F,19Rの左右側面に延長レール20aを夫々取り付ける延長レールフック20,20,20,20を取り付けたことによって、煙草運搬車と煙草運搬車の後方、右側方又は左側方に停車させた軽トラックとの間に延長レール20aを架け渡して前後ガイドレール19F,19Rから軽トラックの荷台に収容台車31を直接移動させることができるので、収容台車31をフォークリフト等を用いて移し変える作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0048】
なお、煙草運搬車の右側方又は左側方から収容台車31を軽トラックに積載すると、収容台車31を軽トラックの荷台に載置したまま前後開閉側壁29F,29Rを両方開けて煙草の幹葉を取り出すことができるので、作業能率が向上する。
【0049】
また、走行車体1の左右中央部で且つ前後幅内にロックピン式のロック装置32を取り付けたことによって、収容台車31の前後メインフレーム22F,22Rに設けた孔部にロックピンを差し込むと、収容台車31の左右中央部がロックされて一つのロック装置32でも収容台車31をバランスよくロックすることができるので、収容台車31が走行車体1から落下することが防止されて作業の安全性が向上すると共に、ロック装置32の左右両側に作業者が立てる作業スペースを広く確保できるので、作業能率が向上する。
【0050】
そして、圃場に残った作物の残幹がロック装置32に接触してロック状態を解除してしまうことが防止されるので、収容台車31が走行車体1から落下することが防止されて作業の安全性が向上すると共に、収容した煙草の幹葉が脱落して傷付くことが防止されるので、煙草の幹葉の商品価値が向上する。
【0051】
以下、本件煙草運搬車の別実施例を説明する。
図6で示すように、左右クローラ18L,18Rのどちらか一方を機体左右方向にスライド自在に取り付けると共に、走行車体1の左右一側に複数の伸縮自在なパイプ34の基部を設け、該複数のパイプ34の端部に走行車体1の機体前後幅と略同じ長さの延長フレーム35を取り付けて機体左右方向にスライド自在に構成する。また、該延長フレーム35の機体外側方で且つ前後ガイドレール19F,19Rの左右一端に延長レールフック20を取り付ける。そして、前記延長フレーム35と前後ガイドレール19F,19Rの左右一端に夫々着脱自在な補助レール36を取り付ける溝部を設ける。
【0052】
上記構成のように、延長フレーム35と左右クローラ18L,18Rのどちらか一方とが機体左右方向にスライド自在であると共に、延長フレーム35と前後ガイドレール19F,19Rとの間に着脱自在な補助レール36を取り付ける溝部を設けたことによって、畝の幅等に合わせて延長フレーム35と左右クローラ18L,18Rのどちらか一方とをスライドさせて煙草運搬車のトレッドを調節しても、延長フレーム35と前後ガイドレール19F,19Rとの間に補助レール36を取り付けることによって延長フレーム35と前後ガイドレール19F,19Rとの間隔部を塞ぐことができるので、煙草運搬車のトレッドを調節しても収容台車31を走行車体1から軽トラックの荷台等に移動させることができ、作業能率が向上する。
【0053】
なお、図7で示すように、前後延長レール36F,36Rの基部側を延長フレーム35に取り付け、前後延長レール36F,36Rの端部を前後ガイドレール19F,19Rの下部に移動自在に取り付けることによって、前後延長レール36F,36Rを取り外すことなく煙草運搬車のトレッドを調節することができるので、作業能率が向上する。
【0054】
図8で示すように、走行車体1の左右側面の延長レールフック20には、収容台車31の左右転輪21,21よりも上下方向に長いストッパ37を取り付けてもよい。
上記のように、延長レールフック20にストッパ37を取り付けることによって、ロック装置32が外れて収容台車31が前後ガイドレール19F,19Rを移動できるようになってもストッパ37が前後ガイドレール19F,19Rの端部で収容台車31の動きを規制するため、収容台車31が走行車体1から落下することを防止できるので、安全性が向上する。
【0055】
また、収容台車31を走行車体1から降ろす際、ロック装置32を解除した途端収容台車31が動き出してもストッパ37が前後ガイドレール19F,19Rの端部で収容台車31の動きを規制するため、収容台車31が走行車体1から落下することを防止できるので、安全性が向上する。
【0056】
図9及び図10で示すように、走行車体1の下部で且つ左右クローラ18L,18Rの左右間に、圃場に残る煙草の残幹が走行車体1に接触するのを防止する防護フレーム38を取り付ける。また、該防護フレーム38の前後両端に斜め上方に傾斜させた前後延長プレート39F,39Rを取り付ける。
【0057】
上記構成のように、走行車体1の下部で且つ左右クローラ18L,18Rの左右間に防護フレーム38を取り付けたことによって、防護フレーム38が圃場に残る煙草の残幹が走行車体1の底部に接触して煙草運搬車の走行を妨げることが防止されるので作業能率が向上すると共に、残幹が走行車体1の底部を傷つけてしまうことが防止されるので機体の耐久性が向上する。
【0058】
また、防護フレーム38の前後両端に前後延長プレート39F,39Rを斜め上方傾斜姿勢に取り付けたことによって、前延長プレート39Fもしくは後延長プレート39Rが煙草の残幹を前方に押し倒していくので、残幹が走行車体1の底部に接触して煙草運搬車の走行を妨げることが防止されるので作業能率がより向上すると共に、残幹が走行車体1の底部を傷つけてしまうことが防止されるので機体の耐久性がより向上する。
【0059】
図11で示すように、前記走行車体1下面の前部左右両側に左右補助操作パネル40L,40Rを取り付け、該左右補助操作パネル40L,40Rに夫々煙草運搬車を左右に旋回させる左右旋回レバー41L,41Rと煙草運搬車の走行と停止を切り替える走行クラッチレバー42とエンジン2の回転数を変更するアクセルレバー43とを切り換え自在に取り付けて、左右補助操縦部C’,C’を構成する。
【0060】
上記構成のように、機体前部左右両側に夫々左右旋回レバー41L,41Rと走行クラッチレバー42とアクセルレバー43とを切り換え自在に取り付けたことによって、作業者は機体の前部の左右どちら側で作業をしていても機体の走行を操作することができるので、作業能率が向上する。
【0061】
なお、左右補助操作パネル40L,40Rの下部に夫々押し込まれるとメインクラッチを強制的に切るデッドマンクラッチレバーを取り付けたり、左右補助操作パネル40L,40Rの近傍に強制的に機体動作を停止させる緊急停止スイッチを設けることによって、作業中に煙草運搬車に異常が生じてもすぐにメインクラッチを切って止めることができるように構成すると、作業の安全性をより向上させることができる。
【0062】
図12の(a)(b)で示すように、走行車体1前側の左右両側にロックピン式の左右補助ロック装置44,44を取り付けると共に、メインフレーム22F,22Rの下端部両側に切り欠き部を設けた左右ロックプレート45,45を取り付ける。
【0063】
上記構成のように、走行車体1前側の左右両側に左右補助ロック装置44,44を取り付け、収容台車31の前後第1積載フレーム25F,25Rの下端部両側に切り欠き部を設けた左右ロックプレート45,45を取り付けたことによって、走行車体1と収容台車31とをロック装置32と左右補助ロック装置44,44とで連結することができるので、収容台車31が走行車体1から落下するのを防止でき、作業の安全性が向上する。
【0064】
図13、図14で示すように、走行車体1の左右両側部で且つ前後ガイドレール19F,19Rよりも下方に延長レール20aの取り付け位置の目安を示す機体左右方向にスライド自在な左右位置揃えマーカ46,46を取り付ける。
【0065】
上記のように、走行車体1の左右両側部で且つ前後ガイドレール19F,19Rよりも下方に機体左右方向にスライド自在な左右位置揃えマーカ46,46を取り付けたことによって、煙草運搬車と軽トラック等の荷台Zとの間隔部に取り付ける延長フレーム20aの取り付け位置を適宜調節することができるので、収容台車31を軽トラック等の荷台Zに簡単に移すことができる。
【0066】
また、左右位置揃えマーカ46,46が延長レール20aの端部を支えることによって、延長レール20aをしっかりと固定することができるので、収容台車31を軽トラック等の荷台Zに積み込む際、延長レール20aが外れるなどして収容台車31が転落することを防止できるので、作業の安全性が向上する。
【0067】
なお図15で示すように、左右位置揃えマーカ46,46の外側端に左右作業高さマーカ47,47を取り付けてもよい。
上記構成により、作業者は収容台車31と軽トラックの荷台Zとの高低差を視覚的に判断することができるので、収容台車31と軽トラックとの間に高低差があるときなどに、収容台車31が軽トラックの荷台Zに滑り落ちてしまい軽トラックを傷つけることが防止されると共に、収容台車31が高低差によって転落してしまうことが防止され、作業の安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】作物運搬車の左側面図
【図2】作物運搬車の平面図
【図3】作物運搬車の正面図
【図4】作物運搬車の部分拡大左側面図
【図5】作物運搬車の別実施例の左側面図
【図6】収用台車を取り外した作物運搬車の別実施例の左側面図
【図7】収用台車を取り外した作物運搬車の別実施例の平面図
【図8】作物運搬車の別実施例の右側面図
【図9】収用台車を取り外した作物運搬車の別実施例の左側面図
【図10】収用台車を取り外した作物運搬車の別実施例の平面図
【図11】作物運搬車の別実施例の正面図
【図12】(a)作物運搬車の別実施例の部分拡大正面図 (b)作物運搬車の別実施例の部分拡大平面図
【図13】作物運搬車の別実施例の平面図
【図14】作物運搬車の別実施例の左側面図
【図15】作物運搬車の別実施例の正面図
【符号の説明】
【0069】
1 走行車体
22F,22R 機枠
25F 第1主壁部材(前第1側壁)
25R 第1副壁部材(後第1側壁)
26L,26R 第1固定部材(左右第1ロックアーム)
27F 第2主壁部材(前第2側壁)
27R 第2副壁部材(後第2側壁)
28L,28R 第2固定部材(左右第2ロックアーム)
29 包囲体
29F 開閉壁(前開閉側壁)
29R 副開閉壁(後開閉側壁)
31 台車(収容台車)
32 ロック部材(ロック装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場から収穫した作物を収容する機枠(22F,22R)に包囲体(29)を設けて構成する台車(31)を走行車体(1)上に設けた作物運搬車において、該台車(31)の包囲体(29)の一辺に車体の外側又は内側に回動自在な第1主壁部材(25F)を設け、該第1主壁部材(25F)に車体の外側又は内側に回動自在な第2主壁部材(27F)を設け、前記第1主壁部材(25F)に第1固定部材(26L,26R)を設けると共に、前記第2主壁部材(27F)に第2固定部材(28L,28R)を設けて構成する開閉壁(29F)を設けたことを特徴とする作物運搬車。
【請求項2】
前記開閉壁(29F)を設けた包囲体(29)の他辺に、車体の外側又は内側に回動自在な第1副壁部材(25R)を設け、該第1副壁部材(25R)に車体の外側又は内側に回動自在な第2副壁部材(27R)を設け、前記第1副壁部材(25R)に第1固定部材(26L,26R)を設けると共に、前記第2副壁部材(27R)に第2固定部材(28L,28R)を設けて構成する副開閉壁(29R)設けたことを特徴とする請求項1記載の作物運搬車。
【請求項3】
前記走行車体(1)上に台車(31)を固定するロック部材(32)を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の作物運搬車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−273229(P2008−273229A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115523(P2007−115523)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】