説明

使い捨ておむつ

【課題】肌対向面のさらっと感の高い使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】使い捨ておむつの肌対向面の中央域に40gの人工尿を一括して注入し、注入開始から20秒経過後に、BT−Box(Bottom Temperature Box)を、該おむつの肌対向面における人工尿注入部上に載置し、1.0kPa荷重下にBT−Boxから該おむつへ移動する熱の量を経時的に測定し、測定された熱の移動量の最大値が3W以下である。該中央域に80gの人工尿を一括して注入し、注入開始から10分経過後に、3.5kPa荷重下に測定された熱の移動量の最大値が2W以下であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
布の熱吸収測定を行うことで、布の冷温感を評価する方法が、繊維・被服の技術分野で確立されている(非特許文献1参照)。この方法においては、一定の熱量をもつ銅板の片面を布地に接触させ、その直後の短時間内に生じる銅板から布地への熱移動を測定し、そのときの熱流量のピーク値q−maxを求める。測定されたq−maxの値が大きいほど、測定対象物を冷たく感じると評価する。
【0003】
上述の評価方法の応用として、さらっと感の良好な吸収性物品のトップシートを選択、評価する方法が知られている(特許文献1参照)。この方法では、カトーテック社製の精密迅速熱物性測定装置であるTHERMO LABO II(KES−F7)に備えられているT−Box(Temperature Detecting Box)を用いている。T−Boxは、q−maxの測定専用のセンサである。特許文献1ではこのT−Boxを用い、最大熱伝達量(q−max値)を測定したウエット時の接触冷温感が、トップシートの着用者の肌に接する側で1.1kw/m2以下であり、かつ、吸収体に接触する側のq−max値が着用者の肌に接する側のq−max値より大きく、差が0.5kw/m2以上であることを基準として、さらっと感の良好な吸収性物品のトップシートを選択、評価している。
【0004】
また、非特許文献2においては、使い捨ておむつのq−maxを、乾燥状態と生理食塩水を吸収させた状態で測定し、吸水によってq−maxが増加することが報告されている。そして、q−maxの増加は、おむつが肌に触れたときの冷たい感触を増加させると結論されている。
【0005】
【非特許文献1】川端季雄、繊維機械学会誌、Vol.37、No.8(1984)、T130−T141
【非特許文献2】與倉弘子及び丹羽雅子、繊維機械学会誌、Vol.57、No.9(2004)、T89−T94
【特許文献1】特開2004−57254号公報
【0006】
しかし、本発明者らが詳細に検討したところ、q−maxの測定から得られる冷温感の情報は、測定対象物の表面からごく浅い領域の状態しか反映していないことが判明した。したがって、例えば吸液からある程度の時間が経過して、表面シートは乾燥しているが、吸収体は湿潤している吸収性物品においては、体感としては湿潤感があるにもかかわらず、上述のq−maxの測定による評価ではさらっと感があると判断され、評価結果が体感と乖離することがある。それ故、さらっと感の指標としてq−maxを用いて開発された従来の吸収性物品は、十分に満足できるものとは言えなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来のおむつよりも表面のさらっと感が更に向上した使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、使い捨ておむつの肌対向面の中央域に40gの人工尿を一括して注入し、注入開始から20秒経過後に、BT−Box(Bottom Temperature Box)を、該おむつの肌対向面における人工尿注入部上に載置し、1.0kPa荷重下にBT−Boxから該おむつへ移動する熱の量を経時的に測定し、測定された熱の移動量の最大値が3W以下である使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の使い捨ておむつは、液を吸収しても肌対向面のさらっと感が高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の使い捨ておむつは、いわゆる展開型のおむつ及びパンツ型のおむつと呼ばれているものを広く包含する。展開型のおむつは、おむつの長手方向の一方の端部域における左右両側縁にファスニングテープを備えたものである。ファスニングテープは、おむつの長手方向の他方の端部域における外面に対して着脱可能になっている。パンツ型のおむつは、股下部と、該股下部から前後にそれぞれ延びる前身頃及び後身頃とを有し、前身頃の左右の側部域と後身頃の左右の側部域とがそれぞれ接合されて、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されたパンツ型の構造を有するものである。
【0011】
本発明のおむつは、その基本構成部材として、液保持性の吸収体と、該吸収体の肌対向面側に配された表面シートと、該吸収体の肌対向面側と反対側に配された裏面シートとを備えている。本発明のおむつは、これらの部材以外の部材を備えていてもよい。例えばおむつの肌対向面における両側部に、長手方向へ延びる防漏カフを配することができる。また、ウエスト周り及び/又は脚周りに弾性部材を伸長状態で配して、おむつを着用者の身体にフィットさせるための伸縮性のギャザーを形成することができる。さらに、表面シートと吸収体との間に、排泄された液を表面シートから吸収体へ円滑に導き、また吸収体に吸収された液が表面シートへ逆戻りすることを防止するための中間層を配することができる。
【0012】
本発明のおむつは、液を吸収しても肌対向面のさらっと感が高いことによって特徴づけられる。肌対向面のさらっと感は、BT−Boxを用いた熱の移動量の測定によって評価できることが本発明者らの検討の結果判明した。この測定による評価は、上述したq−maxの測定による評価に比べ、体感により近い結果が得られるという点で優れている。
【0013】
BT−Boxは当該技術分野において熱物性の測定に用いられるセンサとして良く知られたものである。BT−Boxは、測定対象物へ接触する部位である熱板を備えている。またBT−Boxは、熱板を設定温度に常に保つことができるように、該熱板へ熱を供給するための手段、例えばヒータを備えているとともに、熱板の温度を検知するセンサを備えている。本発明においては、BT−Boxとして、カトーテック社製の精密迅速熱物性測定装置であるTHERMO LABO II(KES−F7)に備えられているものを用いている。BT−Boxは、q−maxの測定のためのセンサではなく、定常熱伝導度測定のためのセンサである。このBT−Boxにおける熱板の面積は25cm2である。
【0014】
図1には、前記のKES−F7におけるBT−Boxの構造が模式的に示されている。BT−Box10は、アルミニウム等の金属からなる熱板11を備えている。熱板11の表面は外部へ露出している。熱板11は、その裏面側が、断熱材12によって保持固定されている。熱板11の裏面と断熱材12との間には、温度センサ13が配置されている。温度センサ13は熱板11の温度の測定手段である。更に断熱材12内には、主ヒータ14が埋め込まれている。主ヒータ14は、熱板11を設定温度に保つための加熱手段である。熱板11を含む断熱材12は、熱ガード板15に包囲されている。熱ガード板15は、断熱材12を通しての熱の漏れを防止するための部材である。熱板11及び断熱材12を含む熱
ガード15は、その全体が第2の断熱材16によって保持されている。第2の断熱材16には、副ヒータ17及び第2の温度センサ18が埋め込まれている。副ヒータ17は、先に述べた主ヒータ14による加熱を補助するために用いられる。第2の温度センサ18は、副ヒータ17の温度を測定するためのものである。主ヒータ14及び副ヒータ17並びに温度センサ13及び第2の温度センサ18はそれぞれ、制御装置(図示せず)に電気的に接続されている。
【0015】
図示しない制御装置においては、BT−Box10の熱板11の温度設定がなされる。そして、温度センサ13によって測定された熱板11の温度が設定温度を下回った場合には、主ヒータ14及び副ヒータ17を加熱する指令を出して、熱板11の温度を設定温度に常に保つようにしている。制御装置においては、熱板11を設定温度に保つために要した熱量が時間で微分される。この微分操作によって、熱板11を設定温度に保つために要した熱量(W)が時間の関数として得られる。この熱量の経時変化における最大値が、本発明において着目する熱量である。なお、測定結果を規格化する目的で、前記の熱量を熱板11の面積(25cm2)で除した値(W/m2)をもって、熱量と表現してもよい。
【0016】
上述の構成を有するBT−Boxを用い、おむつの熱量を測定するための具体的な手順について説明すると、まず測定対象物である使い捨ておむつを、その肌対向面が上方を向くように測定台の上に載置する。測定台としては、例えば発泡スチロールのような断熱材を用いることができる。あるいは気体や液体を熱媒として用いた恒温装置を用いることができる。恒温装置を用いる場合には、その温度を、測定環境の温度と同一に保つ。どちらの測定台を用いても、測定結果に相違はない。測定環境は、温度23℃、相対湿度50%とする。
【0017】
上述の測定環境下において、測定対象物である使い捨ておむつを馴化させるとともに、BT−Box10の熱板11を設定温度に加熱し、その温度で安定化させる。設定温度は、測定環境の温度プラス10度、すなわち33℃とする。測定環境の温度プラス10度とした理由は、再現性のよい結果を得られるからである。
【0018】
使い捨ておむつは、それに要求される機能を実現する目的で、弾性部材を含んだ伸縮性のギャザーを有する場合が多い。ギャザーの形成に起因しておむつには皺が生じやすい。皺の存在は、BT−Box10を用いた熱量の測定において、精度を下げる原因となることがある。そのような場合には、BT−Box10の熱板11の全面が、おむつと接触するようにするために、BT−Box10の熱板11よりもやや大きな寸法を有する平坦な台座の上におむつを載置し、該おむつに生じている皺を該台座上で伸ばした状態で測定を行うことが好ましい。このような方法を採用することで、測定の精度が向上する。測定に支障のない程度の皺しか発生していない場合には、上述の台座を使用する必要はない。
【0019】
次に、吸収性物品の肌対向面上に、熱板11が該肌対向面と当接するようにBT−Box10を載置する。この際、BT−Box10にあらかじめ所定のおもりを加えておくことにより、測定時に吸収性物品にかかる荷重を調節することができる。熱板11は、おむつよりも10度高い温度に設定・維持されているので、両者の当接によってBT−Box10からおむつへ熱が移動し、熱板11の温度は低下する。BT−Box10に接続されている制御装置は、低下した熱板11の温度を設定温度に戻すために、BT−Box10中のヒータを加熱する指令を出す。ヒータの加熱によって熱板11に与えられた熱量は、熱板11からおむつへ移動した熱量に等しい。したがって、ヒータの加熱によって熱板11に与えられた熱量をモニタし、該熱量を時間で微分することで、熱板11からおむつへ移動した熱量の経時変化、すなわち熱流量の経時変化知ることができる。このようにして得られた熱流量と時間との関係の一例を図2に示す。
【0020】
図2に示すように、BT−Box10を用いて得られた熱流量と時間との関係は、測定の初期にピークを有するものとなる。ピークに達した後は、熱流量は次第に減少していく。このピーク時の熱流量を、本発明ではBT−最大熱流量と定義する。測定対象として使い捨ておむつを採用する本発明においては、測定開始からBT−最大熱流量に達するまでの時間は概ね10秒以内である。
【0021】
背景技術の項で述べたq−maxの値が、測定対象物の冷温感の尺度となるのと同様に、上述の方法で測定されたBT−最大熱流量の値も、測定対象物の冷温感の尺度となることが本発明者によって確認された。図3(a)及び(b)は、このことを例証する測定結果である。
【0022】
モデル測定対象物として、使い捨ておむつの表面シートとしてしばしば用いられるエアスルー不織布を採用し、該エアスルー不織布に様々な量の水を吸収させたときのq−maxの値及びBT−最大熱流量の値を測定した。測定台としては発泡スチロールを用いた。モデル測定対象物であるエアスルー不織布は、坪量が25g/m2であり、PET/PE(2.0dtex)及びPP/PE(5.6dtex)の2種類の芯鞘型複合繊維からなるものである。PET/PEとPP/PEの重量比は、2:3である。これらの繊維は親水油剤処理が施されたものである。q−maxに関しては、図3(a)に示すとおりであり、不織布に吸収させた水の量が増えるほどq−maxが増加した。この結果は、先に述べた非特許文献1や特許文献1の記載に符合している。BT−最大熱流量に関しては、図3(b)に示すとおりであり、q−maxと同様に、不織布に吸収させた水の量が増えるほどBT−最大熱流量が増加した。これらの結果から、BT−最大熱流量の値は、q−maxの値と同様に、使い捨ておむつの冷温感の尺度となるものであることが判る。
【0023】
次に、本発明者らは、q−max及びBT−最大熱流量が、使い捨ておむつの深さ方向の状態をどの程度反映するかを調べた。その結果を図4(a)及び(b)に示す。これらの結果は、厚さ2mmのステンレス板上に上述のエアスルー不織布を重ね、q−max及びBT−最大熱流量を測定した結果である。エアスルー不織布を重ねる枚数を変化させて厚みを変えたときに、q−max及びBT−最大熱流量の値がどのように変化するかを調べることで、q−max及びBT−最大熱流量が、使い捨ておむつの深さ方向の状態をどの程度反映するかを知ることができる。なお不織布の厚みはレーザ厚み計で測定した。
【0024】
q−maxに関しては、図4(a)に示すとおりであり、不織布の厚みにかかわらず、q−maxの値はほぼ一定している。このことは、q−maxは測定対象物の表面からごく浅い領域までの状態しか反映しないことを意味している。一方、BT−最大熱流量に関しては、図4(b)に示すとおりであり、不織布の厚みを大きくしないとBT−最大熱流量の値が一定にならない。このことは、不織布の厚みが小さい場合には、不織布のみならず、その下に位置するステンレス板の状態までもがBT−最大熱流量に反映されていることを意味している。換言すれば、BT−最大熱流量は測定対象物の表面から深い領域までの状態を反映することができる。この点において、BT−最大熱流量はq−maxに比べて極めて有用である。
【0025】
図4(b)に示す結果が、体感と相関することを確認するために、本発明者らは次の実験を行った。フラッフパルプ50重量%及び高吸収性ポリマー50重量%を含む混合物からなる坪量500g/m2の吸収コアを、坪量16g/m2の薄葉紙で包み吸収体を得た。裏面シートとして、坪量20g/m2のPE製シートを用いた。この上に、上述のエアスルー不織布を重ね、モデルおむつを作製した。このモデルおむつについて、液を吸収させる前の状態でのq−max及びBT−最大熱流量を測定した。その結果を図5(a)及び(b)に示す。次に、モデルおむつからエアスルー不織布を分離し、吸収体に直接人工尿を40g注入した。人工尿を注入してから1分経過後にエアスルー不織布を吸収体上に重ね、モデルおむつの状態に戻した。このモデルおむつについてq−max及びBT−最大熱流量を測定した。その結果を図5(a)及び(b)に示す。人工尿は、測定環境と同一の温度である23℃のものを用いた。人工尿は、5g/秒の速度にて一括で注入した。人工尿の組成は、尿素1.94重量%、塩化ナトリウム0.795重量%、硫酸マグネシウム0.11重量%、塩化カルシウム0.062重量%、硫酸カリウム0.197重量%、赤色2号(染料)0.010重量%、水96.88重量%及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(約0.07、%)であり、表面張力を53±1dyne/cm(23℃)に調整したものである。
【0026】
図5(a)及び(b)に示す結果から明らかなように、q−maxの測定では、モデルおむつの湿潤の有無にかかわらず、q−maxの値はほぼ同じであることが判る。一方、BT−最大熱流量の測定では、乾燥状態よりも湿潤状態の方がBT−最大熱流量の値が大きくなることが判る。
【0027】
図5(a)及び(b)に示す測定とは別に、乾燥状態及び吸収体に直接40gの人工尿を吸収させた湿潤状態でのモデルおむつについて、5人のパネラーに、該モデルおむつにおけるエアスルー不織布を触らせて、その湿潤状態の程度を官能評価させた。評価基準は、濡れている、やや濡れている、湿っている、やや湿っている、さらっとしている、の5段階とした。その結果を図5(c)に示す。この結果から明らかなように、人は、表面がドライであっても、吸収体が湿潤していれば、おむつ全体として僅かな湿り感を覚えることが判る。
【0028】
図5(c)に示す結果と、図5(a)及び(b)に示す結果とを対比すると、q−maxの測定結果は官能評価と相関していないことが判る。これに対して、BT−最大熱流量の測定結果と官能評価とは相関関係が高いことが判る。以上の結果から、q−maxを用いた評価では、おむつの表面シートがドライであれば、たとえ吸収体が湿潤していたとしても、おむつ全体としてドライであると判断されてしまうことが判る。これに対して、BT−最大熱流量を用いた評価では、表面シートがドライであっても、吸収体が湿潤していれば、おむつ全体として湿潤していると判断される。したがって、おむつの湿潤状態を、BT−最大熱流量を用いて判断することで、人が感じる微妙な湿り具合を正確に評価することができる。この点において、BT−最大熱流量を尺度として開発された本発明のおむつは、q−maxを尺度として開発された従来のおむつに比べて、表面のさらっと感が極めて優れたものとなることが判る。
【0029】
次に、BT−最大熱流量を用いた本発明の評価方法と、官能評価との相関関係の程度を調べた。測定対象である吸収性物品は、上述した図5(a)ないし(c)に示す測定を行ったときに用いたものと同様とした。この吸収性物品に人工尿を40〜120g注入し、1分〜10分放置することにより、湿潤状態の異なる数種類の評価サンプルを得た。注入する液量や、注入してからの経過時間による湿潤状態の変化については、後に実験例を示す。このように得られた吸収性物品の表面シート側から1.0kPaの荷重がかかるように調整したBT−Boxを用いて、BT−最大熱流量を測定した。この測定とは別に、4人のパネラーにおむつの表面シートを触らせて、その湿潤状態の程度を官能評価させた。評価基準は、上述した図5(c)に示す測定を行ったときと同様とした。この結果を図6に示す。
【0030】
図6に示す結果から明らかなように、本発明に従い測定されたBT−最大熱流量の値と官能評価とは極めてよく相関していることが判る。したがってBT−最大熱流量の値により、おむつの湿潤状態を評価することで、肌対向面のさらっと感の高い新規な使い捨ておむつを開発することができる。
【0031】
液を吸収してもさらっと感の高いおむつとするためには、本発明に従い測定されるBT−最大熱流量の値を小さくすればよい。本発明者らの検討の結果、おむつの肌対向面の中央域に40gの人工尿を一括して注入し、注入開始から20秒経過後に、BT−Boxを、該おむつの肌対向面における人工尿注入部上に載置し、1.0kPa荷重下(以下、この条件を測定条件1という)に上述の方法で測定されたBT−最大熱流量の値が3W以下、好ましくは2.5W以下、更に好ましくは2W以下であることによって、十分にさらっと感の高いおむつを得ることができることが判明した。本発明者らが確認した範囲では、従来のおむつを対象として、上述の条件で測定されたBT−最大熱流量の値は概ね4〜10Wという高い値になる。
【0032】
測定条件1は、液の排泄直後のおむつの肌対抗面の状態に相当する。液が注入されてから完全に吸収されるまでに、肌対抗面に残存している水分量は、BT−最大熱流量にて評価することができる。一方で、肌に液が触れている状態が続くと、肌は膨潤し、かぶれ等を引き起こす原因となる。肌に液が触れている時間が短いほど、肌は膨潤しづらく、特に1分以内、より好ましくは、30秒以内に、肌対抗面に残存する水分量が減ることが望ましい。また、図6に示した官能評価の結果から、BT−最大熱流量が3W以下であれば、濡れていると感じることはなく、更に、2W以下であれば、十分にさらっとしていると感じることがわかっている。よって、上述の液注入後から20秒経過後に1.0kPaの荷重下に測定したBT−最大熱流量が小さいおむつはかぶれ等の肌トラブルを発生しづらいものとなる。測定条件1における荷重である1.0kPaは、着用者として乳幼児を想定した場合に、着用によっておむつに加わる圧力、例えば、乳幼児が立っている状態や歩いている状態でおむつに加わる圧力に相当する。
【0033】
測定条件1においては、人工尿はチューブポンプを用いて5g/秒の速度で注入した。注入は、おむつの肌対向面上10mmの位置からおむつの肌対向面の中央域に行った。
【0034】
本発明のおむつは、上述の測定条件1に従い測定されたBT−最大熱流量の値が上述のとおりであることに加え、おむつの肌対向面の中央域に80gの人工尿を一括して注入し、注入開始から10分経過後に、BT−Boxを、該おむつの肌対向面における人工尿注入部上に載置し、3.5kPa荷重下(以下、この条件を測定条件2という)に上述の方法で測定されたBT−最大熱流量の値が2W以下、特に1.8W以下、とりわけ1.6W以下であることが好ましい。測定条件2は、液の排泄後、一定時間経過後のおむつの肌対向面の状態に相当する。特に、測定条件2における荷重である3.5kPaは、着用者として乳幼児を想定した場合に、乳幼児の体重がおむつに加わる圧力、例えば、乳幼児が座っている状態でおむつに加わる圧力に相当する。測定条件2に従い測定されるBT−最大熱流量の値が小さいほど、液の排泄後に着用者の肌がおむつの肌対向面に触れたときに、肌に付着する液の量が少なくなる。
【0035】
本発明のおむつは、上述の測定条件2に従い測定されたBT−最大熱流量の値が上述のとおりであることに加え、又はそれに代えて、おむつの肌対向面の中央域に40gの人工尿を一括して注入し、注入開始から3分経過後に、3.5kPa荷重下に2分間加圧し、更に5分経過後に同位置に40gの人工尿を一括して再び注入し、再注入開始から3分経過後に、3.5kPa荷重下に2分間加圧し、BT−Boxを、該おむつの肌対向面における人工尿注入部上に載置し、3.5kPa荷重下(以下、この条件を測定条件3という)に上述の方法で測定されたBT−最大熱流量の値が3W以下、特に2.5W以下、とりわけ2W以下であることが好ましい。測定条件3は、液の排泄後、一定時間経過後のおむつの肌対向面の状態に相当する。この点において、測定条件3は、先に説明した測定条件2と軌を一にする。ただし、両者が相違する点は、測定条件2が、多量の液が一括して排泄された後の一定時間経過後のおむつの肌対向面の状態に相当するものであるのに対し、測定条件3は、測定条件2よりも少量の液が繰り返し排泄され、更に、乳幼児の荷重が繰り返しおむつに加わった後のおむつの肌対向面の状態に相当するものである点である。測定条件3は測定条件2よりも、より湿潤しやすい条件である。測定条件2と同様に、測定条件3に従い測定されるBT−最大熱流量の値が小さいほど、液の排泄後に着用者の肌がおむつの肌対向面に触れたときに、肌に付着する液の量が少なくなる。
【0036】
なお、測定条件2及び3において、人工尿の注入のおむつへの注入の手順は、測定条件1の場合と同様である。
【0037】
上述の測定条件1ないし3を満足する新規なおむつの設計手法としては、例えば以下の(I)ないし(IV)等が挙げられる。
(I)排泄された液を、おむつの肌対向面から素早く遠ざける構成を採用する。
(II)着用者の肌とおむつ肌対向面との接触面積を低減する構成を採用する。
(III)おむつの肌対向面における液残りを低減する構成を採用する。
(IV)おむつの吸収体に吸収された液が、肌対向面へ向けて逆戻りする量を低減する構成を採用する。
【0038】
前記の(I)又は(II)の設計手法を採用することで、主として測定条件1及び2において測定されるBT−最大熱流量の値を満足する新規なおむつを得ることができる。また、前記の(III)の設計手法を採用することで、主として測定条件2において測定されるBT−最大熱流量の値を満足する新規なおむつを得ることができる。さらに、前記の(IV)の設計手法を採用することで、主として測定条件3において測定されるBT−最大熱流量の値を満足する新規なおむつを得ることができる。
【0039】
前記の(I)の設計手法に基づく具体的なおむつ構成としては、以下の(イ)〜(ハ)の構成が挙げられる。前記の(II)の設計手法に基づく具体的なおむつ構成としては、以下の(ニ)及び(ホ)の構成が挙げられる。前記の(III)の設計手法に基づく具体的なおむつ構成としては、以下の(へ)及び(ト)の構成が挙げられる。前記の(IV)の設計手法に基づく具体的なおむつ構成としては、以下の(チ)の構成が挙げられる。
(イ)表面シートと中間層との間に、毛管力の勾配を設ける。
(ロ)表面シートの下又は中間層の下に吸水性の高い素材を配置する。
(ハ)表面シートと中間層との間に、疎水性−親水性の勾配を設ける。
(ニ)表面シートの表面を凹凸にする。
(ホ)吸収体中に含有させる高吸収性ポリマーを不均一に分布させる。
(ヘ)表面シートを低坪量にするか、エンボス加工を施すか、又は開孔を形成する。
(ト)表面シートの全面又は一部を撥水性にする。
(チ)中間層を嵩高にするか、又は構成繊維として太いものを用いて該中間層を粗にする。
【0040】
前記の設計手法に基づく本発明のおむつの特に好ましい構成として、以下の(a)ないし)c)の実施形態が挙げられる。
(a)表面シートが、肌対向面側に多数の凹凸が分散配置されたシートからなり、中間層が、エアスルー不織布からなる構成。
(b)表面シートが肌対向面側に多数の凹凸が分散配置されたシートからなり、中間層が、表面シート側に位置するエアスルー不織布の層と、吸収体側に位置するスパンレース不織布の層とからなり、該スパンレース不織布が構成繊維としてレーヨンを含む構成。
(c)表面シートが肌対向面側に多数の凹凸が分散配置されたシートからなり、中間層が、表面シート側に位置する不織布の層と、吸収体側に位置する架橋繊維の層とからなる構成。
【0041】
以上の好ましい構成は、おむつを構成する各種部材のうち、着用者の肌に近い側に位置する部材に特徴を有するものである。これらの構成以外の構成を採用することによっても(例えば吸収体の構成に工夫を施すことによっても)、さらっと感の高いおむつを得ることは可能ではある。しかし、本発明で採用しているさらっと感の指標であるBT−最大熱流量は、先に説明した図4に記載されているとおり、おむつの肌対向面から数ミリメートルまでの深さの情報を反映したものなので、着用者の肌に近い側に位置する部材に工夫を施すことは、BT−最大熱流量から得られる情報がおむつのさらっと感に確実に反映されるという点から有利である。
【0042】
以下、上述の(a)ないし(c)の構成を有する実施形態のおむつについてそれぞれ説明する。(a)の構成は、肌との接触面積を低減し、さらに、吸収体からの液戻り量を低減させるという設計思想に基づくものである。(a)の構成における表面シートとして使用される肌対向面側に多数の凹凸が分散配置されたシートは、上層繊維シートと下層繊維シートとの接合体からなり、上層繊維シートの立体賦形によって、実質的に平坦な下層繊維シート上に、上層繊維シートからなる多数の凸部を有するとともに、凸部間に凹部を有する複合シートである。この複合シートにおける凹部及び凸部は、該複合シートの一方向に交互に配置されているとともに、該方向と直交する方向にも交互に配置されている。
【0043】
図7に示す凹凸賦形複合シート1は2枚のシート状物から構成されている。複合シート1は、着用者の肌側に向けられる第1のシート状物としての上層繊維シート2と吸収体側に配される第2のシート状物としての下層繊維シート3とを有している。上層繊維シート2及び下層繊維シート3は典型的には各種不織布やフィルムから構成されている。不織布としては、例えばカード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布等が挙げられる。フィルムを使用する場合には、これを穿孔して多数の開孔を設け液透過可能とすることが好ましい。
【0044】
図7に示す複合シート1は、上層繊維シート2と下層繊維シート3との接合体から構成されている。複合シート1は、上層繊維シート2の立体賦形によって、実質的に平坦な下層繊維シート3上に、上層繊維シート2で形成された多数の凸部5を有するともに、凸部5間に凹部6を有している。上層繊維シート2と下層繊維シート3とは多数の接合部4において部分的に接合されている。上層繊維シート2は、着用者の肌側に向けて突出しており、それよって前記の凸部5を形成している。凸部5の内部は、中空状、即ち空洞になっている。隣り合う凸部5の間は凹部6になっている。
【0045】
凹部5及び凸部6は、図7に示すX方向に交互に配置されている。これと共に凹部5及び凸部6は、X方向と直交する方向であるY方向にも交互に配置されている。複合シート1を上層繊維シート2の側から平面視すると、凸部5及び凹部6は、千鳥格子状に配置されている(後述する図8参照)。凸部5及び凹部6がこのように配置されていることで、複合シート1を具備する使い捨ておむつにおいては液漏れが極めて効果的に防止される。詳細には、複合シート1を例えば高粘度の排泄物である軟便を排泄する低月齢児用のおむつの表面シートとして用いた場合には次の効果が奏される。軟便は高粘度であることから、一般に表面シートを速やかに透過しづらく表面シート上に滞留して横流れを起こしやすい。これに対して、本実施形態の複合シート1を用いれば、軟便は、凸部5によって取り囲まれて形成された閉じた凹部6内に捕捉されるので横流れが起こりづらくなる。また捕捉されることに起因して下方向(つまり吸収体方向)への移動が促進される。その結果、軟便の漏れが防止される。また、凸部5はその内部が空洞であることから、吸収体に吸収された軟便の色が、表面シート側から見て減殺されるという隠蔽効果もある。
【0046】
凸部5は全体として稜線が丸みを帯びた扁平な直方体、半球体又は截頭四角錐体となっている。凸部5は、図7に示すX方向に沿って位置しかつ相対向する一対の第1壁部51を有している。また凸部5は、X方向と直交する方向であるY方向に沿って位置しかつ相対向する一対の第2壁部52を有している。更に凸部5は、各第1壁部51の上辺及び各第2壁部52の上辺と連なる天面部53を有している。更に凸部5は、天面部53と対向する面である底面部54を有している。第1壁部51、第2壁部52及び天面部53は上層2から構成されている。一方、底面部54は下層3から構成されている。
【0047】
図8には、図7に示す複合シート1の平面図が示されている。図8中、X方向及びY方向に関して、接合部4は千鳥格子状の配列パターンで形成されている。接合部4の位置が、複合シート1における凹部6となる。したがって、凹部6は千鳥格子状の配列パターンで形成されている。換言すれば、凹部6は、X方向及びY方向に関して列をなしている。X方向に沿う凹部6の列に着目した場合、隣り合う当該列においては、凹部6の配置が半ピッチずれている。Y方向においても同様であり、Y方向に沿う凹部6の列に着目した場合、隣り合う当該列においては、凹部6の配置が半ピッチずれている。
【0048】
図8に示すように、接合部4のうちの、菱形の四隅となる4つの接合部4a,4b,4c,4dによって囲まれた領域は凸部5となっている。凸部5も、千鳥格子状の配列パターンで形成されている。凸部5は、X方向及びY方向に関して列をなしている。X方向に沿う凸部5の列に着目した場合、隣り合う当該列においては、凸部5の配置が半ピッチずれている。Y方向においても同様であり、Y方向に沿う凸部5の列に着目した場合、隣り合う当該列においては、凸部5の配置が半ピッチずれている。
【0049】
図8から明らかなように、各凸部5は、それぞれが別個に独立して存在しているのではなく、任意の1つの凸部5に着目したとき、X方向(及びY方向)に関して斜め前方に位置する2つの凸部5、及び斜め後方に位置する2つの凸部5と連結している。凸部5どうしの連結部の高さは、凸部5の頂部の高さと同レベル又は低くなっている。一方、凹部6に関しては、各凹部は、それぞれが別個に独立して存在している。
【0050】
凸部5はその高さH(図7参照)が、0.3〜10mm、特に0.7〜5mmであることが好ましい。また、X方向(MD)に沿う凸部5の底部寸法Aは1.5〜30mm、特に2〜5mmであることが好ましい。Y方向(CD)に沿う底部寸法Bは1.5〜30mm、特に2〜10mmであることが好ましい。また、凸部5の底面積は2.25〜900mm2、特に4〜50mm2であることが好ましい。
【0051】
以上の構造を有する凹凸賦形複合シート1の好適な製造方法は、例えば本出願人の先の出願に係る特開2004−174234号公報や特開2005−111908号公報に記載されている。
【0052】
また、(a)の構成における表面シートとして好適に用いられる、肌対向面側に多数の凹凸が分散配置されたシートとして、肌対向側となる第1繊維層と、これに隣接する第2繊維層とを有し、とが積層され、両層が所定パターンの多数の接合部で部分的に接合され厚さ方向に一体化されており、前記接合部間において第2繊維層の熱収縮によって第1繊維層が凸状に突出して、第1繊維層側の表面に多数の凹凸が形成されている立体シートを用いてもよい。
【0053】
図9(a)及び(b)には、かかる立体シートの一例が示されている。立体シート10は、一方の面を含む第1繊維層21と、他方の面を含む第2繊維層22とを有する2層構造のものである。第1繊維層21及び第2繊維層22は、それぞれ繊維集合体からなり、互いに積層されて部分的に接合されている。第1繊維層21と第2繊維層22との接合部23は、図示のように、熱及び/又は圧力の作用によって圧密化されて立体シート10の他の部位よりも厚みが小さく、かつ密度が高くなっている。これによって第1繊維層21側には、所定のパターンで分散配置された多数の凸部24と、接合部23上に形成された多数の凹部25とが存在しており、これらの凸部24及び凹部25により立体シート10の第1繊維層21の表面に凹凸形状が形成されている。ここで凹凸のパターンとしては、良好な着用感を奏する範囲であれば、図9(a)に示す略同一の点形状以外に、大きさの異なる楕円、長手うね等複数の形状の組合せでもよく、またランダムなパターンも構成可能である。凸部24内は繊維で満たされている。この第1繊維層21側の面を、表面シートにおける肌当接面として用いている。なお第2繊維層22の表面は、第1繊維層21の表面と異なり、概ね平坦な状態になっている。
【0054】
立体シート10における凸部24の厚みT1(図9(b)参照)は、1〜30mm、特に1〜10mmに設定することが好ましい。また凹部25の厚みT2(図3(b)参照)を0.01〜5mm、特に0.1〜1mmに設定することが好ましい。またT1/T2の比率を2〜50、特に2〜20に設定することも好ましい。更に同様の観点から、立体シート10の面積に対する接合部23の面積率(立体シート10の単位面積当たりの接合部23の面積の割合)は、3〜50%が好ましく、5〜35%であることが更に好ましい。接合部23それ自体の面積は、0.1〜5mm2、特に0.1〜1mm2であることが好ましい。隣り合う凸部24どうしの最短距離(凸部の中心とその隣の凸部の中心までの距離)は0.5〜15mm、特に1〜10mmであることが好ましい。
【0055】
立体シート10を構成する各繊維層の構成繊維について説明すると、第2繊維層22は立体捲縮繊維を含んでいる。立体捲縮繊維には一般にコイル状(スパイラル状)の捲縮が発現している。立体捲縮繊維は、捲縮が発現した潜在捲縮繊維であることが好ましい。第2繊維層22は立体捲縮繊維のみから構成されていてもよく、或いは他の繊維を含んでいてもよい。他の繊維としては、例えば通常の熱可塑性繊維や、レーヨン等の再生繊維、コットン等の天然繊維が挙げられる。立体捲縮繊維に加えて他の繊維が含まれている場合、他の繊維の配合量は、第2繊維層22全体に対して1〜50重量%、特に5〜30重量%であることが好ましい。一方、第1繊維層21の構成繊維としては、例えば通常の熱可塑性繊維や、レーヨン等の再生繊維、コットン等の天然繊維が挙げられる。また、第1繊維層21は、立体捲縮繊維を含んでいてもよい。特に、第1繊維層21は、熱可塑性ポリマー材料からなり且つ実質的に熱収縮性を有しないか又は前記潜在捲縮性繊維の熱収縮温度以下で熱収縮しない繊維からなるか、又は該繊維を含むことが好ましい。
【0056】
立体シート10の好ましい製造方法は次のとおりである。先ず、第1繊維層21及び第2繊維層22を構成する繊維集合体をそれぞれ製造する。かかる繊維集合体としては、例えばウエブや不織布を用いることができる。不織布は、例えばエアスルー法、ヒートロール法(熱エンボス法)、エアレイド法、メルトブローン法などによって製造される。ウエブは例えばカード機によって製造される。特に、第1繊維層21を構成する繊維集合体として不織布又はウエブを用い、第2繊維層22を構成する繊維集合体としてウエブを用いることが好ましい。
【0057】
第2繊維層22を構成するウエブには、潜在捲縮繊維が含まれていることが好ましい。潜在捲縮繊維は、加熱される前は、通常の不織布用の繊維と同様に取り扱うことができ、且つ所定温度での加熱によってコイル状(スパイラル状)の立体捲縮が発現して収縮する性質を有する繊維である。潜在捲縮繊維は、例えば収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料を成分とする偏心芯鞘型複合繊維又はサイド・バイ・サイド型複合繊維からなる。加熱によって立体捲縮が発現する潜在捲縮繊維としては、例えば大和紡績(株)製の潜在捲縮性繊維CPP(商品名)を用いることができる。
【0058】
次いで、第2繊維層22を構成する繊維集合体上に、第1繊維層21を構成する繊維集合体を重ね、これらを所定のパターンで部分的に接合する。両者を接合する方法は、少なくとも第1繊維層21の厚みが他の部位よりも減少した接合部23を形成できる限り各種の方法を用いることができる。例えば、熱エンボス又は超音波エンボスが好ましい。接合部23は、互いに独立した散点状のものであっても良いし、直線状や曲線状(連続波形等を含む)、格子状、ジグザグ形状等であっても良い。接合部23を散点状に配置する場合の各接合部23の形状は、円形状、三角形状、四角形状等、任意の形状とすることができる。その場合の各接合部23の配列パターンは、例えば図9(a)に示すように菱形格子状とすることができる。
【0059】
接合された第1繊維層21と第2繊維層22に対して、熱を付与し、第2繊維層22に含まれる潜在捲縮繊維をコイル状(スパイラル状)に立体捲縮させる。付与する熱の温度は、第2繊維層22に含まれる潜在捲縮繊維が熱収縮を開始する温度以上とする。熱の付与には例えば、熱風をエアスルー方式で吹き付ける方法を用いることができる。この捲縮によって、接合部23間に位置する第2繊維層22の構成繊維が収縮する。それによって第2繊維層22はその面内方向に収縮する。一方、第1繊維層21の構成繊維は収縮しない。したがって第2繊維層22の面内方向への収縮によって、接合部23間に位置する第1繊維層21の構成繊維は、平面方向への行き場を失い厚み方向へ移動する。これによって、接合部23間が隆起して、第1繊維層21の側に凸部24が多数形成される。また凸部24間、即ち接合部23の位置に凹部25が形成される。このようにして、第1繊維層21側の表面が凹凸形状となっている立体シート10が得られる。
【0060】
(a)の構成における中間シートとして使用されるエアスルー不織布は、繊維ウエブに熱風を貫通方式で吹き付け、該ウエブにおける繊維どうしの交点を融着させてなるものである。このエアスルー不織布の構成繊維としては、各種熱可塑性樹脂からなるものが用いられる。具体的には、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂などからなる単一材料の繊維や、これらの樹脂の2種以上の組み合わせからなる複合繊維(例えば芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維)などが挙げられる。これらの繊維は、その繊度が2〜20、特に5〜15dtexであり、その坪量が、10〜100g/m2、特に20〜50g/m2であることが、速やかに液が通過しやすく、シート上あるいは内部に液が残りにくいという点から好ましい。また、エアスルー不織布の代わりに、例えばエアレイド不織布を用いることもできる。
【0061】
(b)の構成は、(a)の構成と同様に肌との接触面積を低減し、吸収体からの液戻り量を低減させることに加え、肌表面から液をすばやく遠ざけるという設計思想に基づくものである。(b)の構成における表面シートとしては、先に説明した(a)の構成における表面シートと同様のものが用いられる。
【0062】
(b)の構成における中間シートは、表面シート側に位置する層と、吸収体側に位置する層とを含む2層構造のものである。表面シート側に位置する層は、エアスルー不織布の層からなる。このエアスルー不織布としては、先に説明した(a)の構成における中間シートと同様のものを用いることができる。(a)の構成と同様、エアスルー不織布の代わりに、エアレイド不織布を用いてもよい。
【0063】
中間シートにおける吸収体側に位置する層は、スパンレース不織布の層からなる。スパンレース不織布は、繊維ウエブに水を始めとする各種流体を吹き付けて、該繊維ウエブの構成繊維を交絡させてシート化してなるものである。このスパンレース不織布には、構成繊維としてレーヨンが含まれている。構成繊維としてレーヨンを用いることで、吸水性が向上するという有利な効果が奏される。
【0064】
スパンレース不織布は、レーヨンのみから構成されていてもよく、あるいはレーヨンに加えて他の繊維を含んで構成されていてもよい。スパンレース不織布が他の繊維を含んでいる場合、他の繊維としては、各種熱可塑性樹脂からなる繊維や、レーヨン以外のセルロース繊維などが挙げられる。熱可塑性樹脂からなる繊維としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂などからなる単一材料の繊維や、これらの樹脂の2種以上の組み合わせからなる複合繊維(例えば芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維)などが挙げられる。レーヨンに加えて他の繊維がスパンレース不織布中に含まれている場合、他の繊維はスパンレース不織布中に10〜60重量%、特に20〜50重量%含まれていることが好ましい。
【0065】
スパンレース不織布はその坪量が、10〜80g/m2、特に30〜50g/m2であることが、液を速やかに吸水し、さらに吸収した液を保持しすぎないという点から好ましい。
【0066】
中間シートを構成するエアスルー不織布とスパンレースとは、接着剤等を始めとする公知の接合手段によって接合された1プライの構造になっていてもよく、あるいは接合されていなくてもよい。
【0067】
上述の(b)の構成においては、表面シートを構成する凹凸賦形複合シートと、中間における表面シート側に位置するエアスルー不織布の層とは、接着剤等を始めとする公知の接合手段によって接合されていてもよく、あるいは接合されていなくてもよい。
【0068】
(c)の構成は、(b)の構成と同様に肌との接触面積を低減し、吸収体からの液戻り量を低減させ、肌表面から液をすばやく遠ざけることに加え、着用者の体圧が加わった場合であっても表面シートを潰れにくくするという設計思想に基づくものである。
【0069】
(c)の構成における中間層としては、先に説明した(b)の構成における中間シートと同様に、表面シート側に位置する層と、吸収体側に位置する層とを含む2層構造のものである。表面シート側に位置する層は不織布からなる。不織布としては、当該技術分野において従来用いられているものと同様のものを用いることができる。そのような不織布としては、例えばエアスルー不織布やエアレイド不織布が挙げられる。特に不織布として、レジンボンド不織布を用いることが好ましい。レジンボンド不織布は、繊維ウエブにバインダを施して、該ウエブにおける繊維どうしの交点を該バインダで接着させてなるものである。このレジンボンド不織布の構成繊維としては、各種熱可塑性樹脂からなるものが用いられる。具体的には、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂などからなる単一材料の繊維や、これらの樹脂の2種以上の組み合わせからなる複合繊維(例えば芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維)などが挙げられる。これらの繊維は、その繊度が2〜20、特に5〜15dtexであり、その坪量が、10〜100g/m2、特に20〜70g/m2であることが、速やかに液が通過しやすく、シート上あるいは内部に液が残りにくく、かつ表面シートが潰れにくいという点から好ましい。
【0070】
中間シートにおける吸収体側に位置する層は、架橋繊維を含む繊維集合体を主体として構成されている。架橋繊維としては、個別化された架橋繊維、即ち、繊維内に化学架橋結合を有するもの(以下、個別化された架橋繊維ともいう)が好ましい。架橋させる繊維の種類としては、パルプ・レーヨン等が挙げられるが、特にパルプ等のセルロース繊維が好ましい。個別化された架橋繊維から作られる層は、一般的に、架橋されていない繊維から作られた層の構造と比較して、湿潤時及び乾燥時において高い弾性回復性を示すという利点を有する。
【0071】
個別化された架橋繊維の製造方法は、特に制限されるものではないが、例えば特許3247386号明細書に記載の乾燥架橋法、水溶液架橋法、非水溶液架橋法として記載された方法が挙げられる。乾燥架橋法は、例えば米国特許第3224926号明細書に記載された方法であり、架橋剤でセルロース乾燥ラップをスプレーし、機械的作用により繊維を離解し、繊維が実質的に個別の状態にある間に高温で繊維を乾燥して架橋を行わせることにより架橋繊維を得る方法である。乾燥架橋法による繊維は、一般的に架橋結合により大変堅くなっており、それから作られる層の構造は、相対的に高い弾性回復性を示す。水溶液架橋法は、例えば米国特許第3241553号明細書に記載された方法であり、架橋剤と触媒を含む水溶液中で繊維を架橋させることにより架橋繊維を得る方法である。非水溶液架橋法は、例えば米国特許第4035147号明細書に記載された方法であり、繊維を膨潤させるのには不充分な量の水を含む実質的に非水溶液において、架橋剤と触媒を脱水された非膨潤繊維に接触させることにより架橋繊維を得る方法である。
【0072】
セルロース繊維に繊維内架橋結合を形成させるための架橋剤としては、例えばホルムアルデヒド及び/又はホルムアルデヒド付加生成物、ジアルデヒド架橋剤、ポリカルボン酸等が挙げられる。架橋剤の例は、例えば上述した特許3247386号明細書に記載されている。
【0073】
中間シートにおける吸収体側に位置する層は、個別化された架橋繊維のみからなるものでも良いし、個別化された架橋繊維以外の繊維を含むものでも良い。個別化された架橋繊維の割合は、該層中の繊維総量に対して、10重量%以上、特に15〜25重量%であることが好ましい。
【0074】
中間シートにおける吸収体側に位置する層は、上述した繊維の堆積構造体から構成されていてもよく、あるいは該堆積構造体が薄葉紙等の液透過性シートで被覆されて構成されていてもよい。また、中間シートにおける吸収体側に位置する層と、表面シート側に位置する層とは、接着剤等を始めとする公知の接合手段によって接合されていてもよく、あるいは接合されていなくてもよい。
【0075】
上述の(c)の構成においては、表面シートを構成するシートと、中間における表面シート側に位置する不織布の層とは、接着剤等を始めとする公知の接合手段によって接合されていてもよく、あるいは接合されていなくてもよい。
【実施例】
【0076】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」及び「部」はそれぞれ「重量%」及び「重量部」を意味する。
【0077】
〔実施例1〕
以下の(1−1)〜(4−1)の部材を用いて常法に従い使い捨ておむつを製造した。
(1−1)表面シート
上層繊維シートとして、坪量18g/m2のエアスルー不織布を用いた。下層繊維シートとして、坪量18g/m2のエアスルー不織布を用いた。これらの不織布を用い、本出願人の先の出願に係る特開2005−111908号公報に記載の装置によって、図7に示す構造の凹凸賦形複合シートを製造した。この凹凸賦形シートにおける凸部はその高さHが13mm、X方向(MD)に沿う凸部の底部寸法Aが3mm、Y方向(CD)に沿う底部寸法Bが3mmであり、凸部の底面積が9mm2であった。
(2−1)中間層
中間層として、坪量40g/m2のエアスルー不織布を用いた。構成繊維は、PP/PE及びPET/PEの2種類の芯鞘型複合繊維からなるものであった。
(3−1)吸収体
フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子の混合物から、坪量500g/m2の吸収コアを製造した。吸収コアにおけるフラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子の重量比は5:7であった。この吸収コアを、坪量16g/m2の薄葉紙で被覆して吸収体を得た。
(4−1)裏面シート
PE樹脂製のフィルム(坪量20g/m2)を裏面シートとして用いた。
【0078】
〔実施例2〕
表面シートとして以下の(1−2)の部材を用いる以外は実施例1と同様にして、使い捨ておむつを得た。
(1−2)表面シート
第1繊維層として、坪量22g/m2のカードウェブを用いた。構成繊維は、PET/PEの芯鞘型複合繊維からなるものであった。第2繊維層として、坪量22g/m2のカードウェブを用いた。構成繊維は、潜在螺旋捲縮繊維(大和紡績製のCPP繊維(商品名))からなるものであった。第1繊維層と第2繊維層とを重ね合わせ、超音波エンボス法によって部分的に接合した。接合部は円形であり、全体として図9(a)に示す菱形格子状のパターンを形成していた。両者を接合後、130℃±10℃の熱風を5〜10秒間通過させて、第2繊維層の潜在螺旋捲縮繊維を捲縮させ第2繊維層を収縮させると共に接合部間の第1繊維層を凸状に突出させ、図9(a)及び(b)に示す多数の凸部を有する立体シートを製造した。第1繊維層が凸状に突出した部分の内部は繊維で満たされていた。得られた立体シートにおける接合部の面積率は7.3%であった。凸部における厚みT1は2.0mm、凹部25における厚みT2は0.8mmであった。
【0079】
〔実施例3〕
表面シートとして前記の(1−1)の部材を用い、中間層として以下の(2−3)の部材を用いる以外は実施例1と同様にして、使い捨ておむつを得た。
(2−3)中間層
中間層は、表面シート側に位置するエアスルー不織布の層と、吸収体側に位置するスパンレース不織布の層との2層構造のものとした。エアスルー不織布として、前記の(2−1)の部材を用い、スパンレース不織布として、坪量40g/m2のものを用いた。構成繊維はレーヨンとPETとを7:3の重量比からなるものであった。エアスルー不織布とスパンレース不織布とは、不連続に塗布されたホットメルト接着剤(坪量3g/m2)で接合されていた。
【0080】
〔実施例4〕
表面シートとして前記の(1−1)の部材を用い、中間層として以下の(2−4)の部材を用いる以外は実施例1と同様にして、使い捨ておむつを得た。
(2−4)中間層
中間層は、表面シート側に位置するレジンボンド不織布の層と、吸収体側に位置する架橋繊維の層との2層構造のものとした。レジンボンド不織布は、坪量60g/m2であり、構成繊維は、PET樹脂からなるものであった。レジンボンド不織布と架橋繊維の層とは、不連続に塗布されたホットメルト接着剤(坪量3g/m2)で接合されていた。
【0081】
〔比較例1ないし3〕
現在市販されているおむつを比較例として用いた。比較例1は、花王株式会社製のメリーズ(登録商標)さらさらエアスルー、Mサイズ(U512127)であり、比較例2は、プロクターアンドギャンブル社製のパンパース(登録商標)コットンケア、Mサイズ(7234 202235 13:23 2007 0822)であり、比較例3は、ユニ・チャーム社製のムーニー(登録商標)さららマジック、Mサイズ(710018083)である。
【0082】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られたおむつについて、先に述べた測定条件1ないし3のもとでBT−最大熱流量を測定した。また、それらのおむつについて、人のパネラーに、測定条件1ないし3のもとで表面シートを手で触らせ湿潤状態を官能評価させた。評価基準は、濡れている、やや濡れている、湿っている、やや湿っている、さらっとしている、の5段階とした。これらの結果を以下の表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
表1に示す結果から明らかなように、各測定条件のもとでのBT−最大熱流量が特定の値以下である実施例のおむつ(本発明品)は、官能評価でさらっとしていると判断されている。これに対して、BT−最大熱流量の値が大きい比較例のおむつは湿潤感の高いものであることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、BT−Boxの構造を示す模式図である。
【図2】図2は、熱流量の経時変化を示すグラフである。
【図3】図3(a)は、q−maxと水分量との関係を示すグラフであり、図3(b)は、BT−最大熱流量と水分量との関係を示すグラフである。
【図4】図4(a)は、q−maxと測定対象物の厚みとの関係を示すグラフであり、図4(b)は、BT−最大熱流量と測定対象物の厚みとの関係を示すグラフである。
【図5】図5(a)は、乾燥及び湿潤状態のおむつにおけるq−maxの値を示すグラフであり、図5(a)は、乾燥及び湿潤状態のおむつにおけるBT−最大熱流量の値を示すグラフであり、図5(c)は、乾燥及び湿潤状態のおむつにおける湿潤に対する官能評価の結果を示すグラフである。
【図6】図6は、湿潤させた種々のおむつにおけるBT−最大熱流量と官能評価との相関関係を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明に好適に用いられる表面シートを示す要部拡大図である。
【図8】図8は、図7に示す表面シートの平面図である。
【図9】図9(a)は、本発明に好適に用いられる別の表面シートを示す要部拡大図であり、図9(b)は、図9(a)に示す表面シートの縦断面図である。
【符号の説明】
【0086】
1 凹凸賦形複合シート
2 上層繊維シート
3 下層繊維シート
4 接合部
5 凸部
6 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨ておむつの肌対向面の中央域に40gの人工尿を一括して注入し、注入開始から20秒経過後に、BT−Box(Bottom Temperature Box)を、該おむつの肌対向面における人工尿注入部上に載置し、1.0kPa荷重下にBT−Boxから該おむつへ移動する熱の量を経時的に測定し、測定された熱の移動量の最大値が3W以下である使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記おむつの肌対向面の中央域に80gの人工尿を一括して注入し、注入開始から10分経過後に、BT−Boxを、該おむつの肌対向面における人工尿注入部上に載置し、3.5kPa荷重下にBT−Boxから該おむつへ移動する熱の量を経時的に測定し、測定された熱の移動量の最大値が2W以下である請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記おむつの肌対向面の中央域に40gの人工尿を一括して注入し、注入開始から3分経過後に、3.5kPa荷重下に2分間加圧し、更に5分経過後に同位置に40gの人工尿を一括して再び注入し、再注入開始から3分経過後に、3.5kPa荷重下に2分間加圧し、BT−Boxを、該おむつの肌対向面における人工尿注入部上に載置し、3.5kPa荷重下にBT−Boxから該おむつへ移動する熱の量を経時的に測定し、測定された熱の移動量の最大値が3W以下である請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
液保持性の吸収体と、該吸収体における肌対向面側に配された表面シートと、該吸収体と該表面シートとの間に配された中間層とを有し、
前記表面シートが、上層繊維シートと下層繊維シートとの接合体からなり、上層繊維シートの立体賦形によって、実質的に平坦な下層繊維シート上に、上層繊維シートからなる多数の凸部を有するとともに、凸部間に凹部を有する凹凸賦形複合シートであり、該複合シートにおける該凹部及び該凸部は、該複合シートの一方向に交互に配置されているとともに、該方向と直交する方向にも交互に配置されている請求項1ないし3のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記中間層が、前記表面シート側に位置するエアスルー不織布の層と、前記吸収体側に位置するスパンレース不織布の層とからなり、該スパンレース不織布が構成繊維としてレーヨンを含む請求項4に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記中間層が、前記表面シート側に位置する不織布の層と、前記吸収体側に位置する架橋繊維の層とからなる請求項4に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
液保持性の吸収体と、該吸収体における肌対向面側に配された表面シートと、該吸収体と該表面シートとの間に配された中間層とを有し、
前記表面シートが、肌対向側となる第1繊維層と、これに隣接する第2繊維層とを有し、両層が所定パターンの多数の接合部で部分的に接合され厚さ方向に一体化されており、前記接合部間において第2繊維層の熱収縮によって第1繊維層が凸状に突出して、第1繊維層側の表面に多数の凹凸が形成されている立体シートからなる請求項1ないし3のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記中間層が、前記表面シート側に位置するエアスルー不織布の層と、前記吸収体側に位置するスパンレース不織布の層とからなり、該スパンレース不織布が構成繊維としてレーヨンを含む請求項7に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記中間層が、前記表面シート側に位置する不織布の層と、前記吸収体側に位置する架橋繊維の層とからなる請求項7に記載の使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−178411(P2009−178411A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21233(P2008−21233)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】