説明

使い捨てのパンツ型の着用物品

【課題】股下部材の両側縁から排泄物が漏れることを防止しながら、股下部材に胴回り部材を確実に取り付けることができる使い捨てのパンツ型の着用物品の提供。
【解決手段】おむつは、肌対向面及び非肌対向面を有する環状の胴回り部材10と、胴回り部材10に取り付けた股下部材30とを含み、股下部材30は、肌対向面に位置する股下内面シートと、非肌対向面に位置する股下外面シートと、内外面シートの両側縁及び両端縁に沿って延びる一対のサイドフラップ38及び一対の前後エンドフラップ31と、両端縁の一端縁の側から別のもう一端縁の側に亘って両側縁に沿ってほぼ縦方向Lに延びる一対の弾性部材50を含み、サイドフラップ38の縦方向両端部と前後エンドフラップ31の横方向両側部との交差域47が肌対向面の側へ折り返され、交差域47には弾性部材50の非存在域47aが形成され、非存在域47aが胴周り部材10の前パネルに取り付けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、使い捨てのパンツ型の着用物品に関し、より詳しくは、おむつ、排泄トレーニングパンツ、失禁ブリーフ等の使い捨てパンツ型の着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着用者の前後胴回り部を被覆する胴回り部材と、この胴回り部材に取り付け、吸収性の芯材を有し、着用者の股下部を被覆する股下部材とを有する使い捨てのパンツ型の着用物品は公知である。
【0003】
例えば、特許文献1には、胴回り部材を前パネルと後パネルとで形成した使い捨てのパンツ型のおむつが開示されている。このおむつは、肌対向面側に配置した内面シートと非肌対向面側に配置した外面シートとで前後パネルを形成し、これら内面シートと外面シートとの間に、縦方向に延びる股下部材の一端縁及び別のもう一端縁をそれぞれ挿入してある。
股下部材には、吸収性の芯材を設ける中央領域と、中央領域の両側縁において縦方向に延びる折曲線に沿って肌対向面側に折り返して形成されたサイドフラップとを備え、複数枚のシートを積層して形成したシート積層体が設けてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4240463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている股下部材は、縦方向に延びる脚回り弾性部材を中央領域の両側縁に設けてある。この脚回り弾性部材は、中央領域の両側縁に収縮力が作用するように伸長した状態で股下部材に設けてある。
しかしながら、特許文献1に開示されたおむつにおいて、脚回り弾性部材の縦方向の両端縁は、股下部材と胴回り部材とが重なる部位まで延びていないため、当該部位で股下部材の両側縁を着用者に十分に押し当てることができず、これによって、股下部材の両側縁から排泄物が漏れる虞がある。換言すれば、特許文献1に開示されている発明には、股下部材と胴回り部材とが重なる部位において、股下部材の両側縁から排泄物が漏れることの考慮がない。
そこで、仮に、脚回り弾性部材の両端縁を、股下部材と胴回り部材とが重なる部位にまで伸ばした場合、股下部材が縦方向に収縮するように、伸長した状態の股下部材を胴回り部材に取り付けることになるため、その収縮力によって股下部材にギャザーが形成され、そのギャザーによって胴回り部材に股下部材を確実に取り付けることができない。加えて、弾性部材の存在によって、股下部材を平坦にすることができないため、一層、胴回り部材に股下部材を確実に取り付けることが困難である。
特に、吸収保持することができる排泄物の量を多くするため、環状の胴周り部材の外側に股下部材を取り付けてある使い捨てのおむつでは、着用状態において、胴回り部材から股下部材が外れる方向に力が加えられるため、胴回り部材に股下部材を確実に取り付ける必要がある。
【0006】
そこで、この発明では、股下部材の両側縁からから排泄物が漏れることを防止しながら、股下部材に胴回り部材を確実に取り付けることができる使い捨てのパンツ型の着用物品の提供を課題にしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、この発明は、肌対向面及び非肌対向面を有する環状の胴回り部材と前記胴回り部材に取り付けられた股下部材とを含み、前記股下部材は、前記肌対向面に位置する内面シートと、前記非肌対向面に位置する外面シートと、前記内外面シートの両側縁及び両端縁に沿って延びる一対のサイドフラップ及び一対のエンドフラップと、前記両端縁の一端縁の側から別のもう一端縁の側に亘って前記両側縁に沿ってほぼ縦方向に延びる一対の弾性部材を含み、該サイドフラップの縦方向両端部と該エンドフラップの横方向両側部との交差域が前記肌対向面の側へ折り返され、前記交差域には前記弾性部材の非存在域が形成され、該非存在域が前記胴周り部材に取り付けられている使い捨てのパンツ型の着用物品にある。
【0008】
この発明の好ましい実施態様の一つにおいて、前記股下部材には、前記サイドフラップの横方向における中央領域と、前記サイドフラップとを画成する折曲線とが、前記両側縁において縦方向に延びるように設けられ、該折曲線を介して前記サイドフラップが前記肌対向面の側へ折り返され、前記弾性部材は、前記中央領域の前記両端縁の前記折曲線を横切る部位を有し、前記一端縁の側から別のもう一端縁の側に亘って一連に延びている。
【0009】
この発明の好ましい実施態様の他の一つにおいて、前記弾性部材は、前記サイドフラップにおいて、前記股下部材を前記縦方向に二等分する縦方向仮想線上において互いに最も接近し、かつ前記縦方向に沿って前記縦方向仮想線から離間するに従って互いに離間するように設けられている。
【0010】
この発明の好ましい実施態様の他の一つにおいて、前記弾性部材の前記縦方向の前記両端部には、非伸長状態で前記内外面シートに取り付ける非伸長部が設けられている。
【0011】
この発明の好ましい実施態様の他の一つにおいて、前記横方向において、前記折曲線に対して前記弾性部材よりも離間する第2弾性部材が設けられている。
【0012】
この発明の好ましい実施態様の他の一つにおいて、前記サイドフラップの間から露出する前記中央領域の前記肌対向面が前記胴回り部材に取り付けられている。
【0013】
この発明の好ましい実施態様の他の一つにおいて、前記環状の胴回り部材の前記非肌対向面側に前記股下部材が取り付けられている。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る着用物品によれば、サイドフラップの縦方向両端部に弾性部材が存在しない非存在域が形成されているため、非存在域にはギャザーが形成されず、かつ非存在域は平坦である。よって、股下部材を胴回り部材に確実に取り付けることができる。しかも、股下部材は、内外面シートの両端縁の一端縁の側から別のもう一端縁の側に亘って両側縁に沿ってほぼ縦方向に延びる弾性部材を備えるため、股下部材と胴回り部材とが重なる部位においても、股下部材の両側縁を収縮させることができる。よって、当該部位における股下部材の両側縁から排泄物が漏れることも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明における使い捨てのパンツ型の着用物品の一例としてのおむつの斜視図。
【図2】おむつを展開した状態において、肌対向面から見た一部破断展開平面図。
【図3】シート積層体の平面図。
【図4】前パネルに対する股下部材の取り付けを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付の図面を参照して、この発明に係る使い捨てのパンツ型の着用物品の一例であるおむつの実施形態を説明すると、以下のとおりである。
【0017】
図1は、ウエスト開口10aと、一対のレッグ開口10bとを有するおむつ1をその前方から見たときの部分破断斜視図である。
図1中、Xは幅方向を示し、Yは幅方向Xと直交する上下方向を示し、Zは幅方向X及び上下方向Yにそれぞれ直交する前後方向を示している。
おむつ1は、着用者の胴回り方向に延びる環状の胴回り部材10と、この胴回り方向に交差する方向に延びる股下部材30とを備えている。胴回り部材10は、前後方向Zの前方に位置する前パネル11と、後方に位置する後パネル12とを有し、それら前後パネル11,12の側縁部11a,12aが幅方向Xの両側それぞれにおいて合掌状に重なり合い、接合部13において互いに接合してある。
【0018】
図2は、接合部13における接合を解き、且つおむつ1を幅方向X及び前後方向Zに伸展して得られる伸展おむつ1aの部分破断平面図であって、伸展おむつ1aにおける着用者の肌に対向する面(以下、単に、肌対向面といい、この肌対向面と反対の面を非肌対向面という)を示してある。
図2において、Lは股下部材30の長さ方向である縦方向を示し、Wは縦方向Lに直交する横方向を示している。
また、図2において、Pは、伸展おむつ1aを横方向Wに二等分する横方向仮想中心線であり、Qは、股下部材30を縦方向Lに二等分する縦方向仮想中心線である。
おむつ1は、縦方向Lに連なる前胴回り域2と、後胴回り域3と、前後胴回り域2,3の間に位置する股下域4とを有している。前胴回り域2は着用者の前胴回り部を被覆し、後胴回り域3は着用者の後胴回り部を被覆し、股下域4は着用者の股下部を被覆するものである。
【0019】
前後胴回り域2,3は、前後パネル11,12によって形成され、股下域4は、股下部材30によって形成されている。
図示するように、前パネル11、後パネル12、および股下部材30は、横方向仮想中心線Pに関してそれぞれ対称である。
【0020】
前後パネル11,12は、肌対向面側の胴回り内面シート20と、非肌対向面側の胴回り外面シート21と、これら胴回り内外面シート20,21にサンドウィッチされている胴回り弾性部材22とを含んでいる。胴回り内外面シート20,21は、通気性をそれぞれ有し、不図示のホットメルト接着剤を介して互いに接合してある。胴回り弾性部材22は、胴回り内外面シート20,21の少なくとも一方にホットメルト接着剤(図示せず)を介して伸長状態で接合してある。胴回り弾性部材22は、図1に示す状態では、幅方向Xに収縮した状態にあり、胴回り弾性部材22の収縮力によって胴回り内外面シート20,21にギャザー15が形成されている。
【0021】
股下部材30は、図2に示すように、肌対向面側に位置する股下内面シート(内面シート)34と、非肌対向面側に位置する股下外面シート(外面シート)35とを備えている。股下内面シート34には、不透液性かつ透湿性のプラスチックフィルムを用いることができ、股下外面シート35には、不透液性の繊維不織布を用いることができる。股下内面シート34と股下外面シート35とは、同一の形状であって、幅方向X及び前後方向Zの長さ寸法が同一である。股下内外面シート34,35は、横方向Wに延びる股下両端縁(両端縁)31,32と、縦方向Lに延びる股下両側縁(両側縁)33とを有している。また、股下部材30は、股下両側縁33に沿って延びる一対のサイドフラップ38と、股下両端縁31,32に沿って延びる一対の前後エンドフラップ36とを有している。
【0022】
股下内外面シート34,35は、股下両側縁33に沿って縦方向Lに延びる折曲線39を有し、この折曲線39によって横方向Wにおいて矩形状の中央領域37と、縦方向Lに延びる一対のサイドフラップ38とに画成してあり、サイドフラップ38を肌対向面側に折り返してある。
【0023】
股下内面シート34の肌対向面の側には、図示しないホットメルト接着剤等の接合手段によって吸液構造体40を接合してある。吸液構造体40は、吸液性の芯材と、芯材を覆う透液性の被覆シートとを有している。芯材としては、フラッフパルプや高吸収性ポリマー粒子等を用いることができる。吸液構造体40は、横方向Wに延びる吸液両端縁41,42と、縦方向Lに延びる吸液両側縁43とを有している。吸液構造体40は、その吸液両端縁41,42が股下両端縁31,32よりも縦方向Lの内側に位置し、吸液両側縁43が折曲線39よりも横方向Wの内側に位置するように配置してある。
【0024】
図2においては、右方のサイドフラップ38の股下外面シート35のみを除いて脚回り弾性部材(弾性部材)50,60を露出している一方、左方のサイドフラップ38の股下外面シート35を除いておらず、左方の脚回り弾性部材50,60を露出していないが、股下内外面シート34,35の間には、横方向仮想中心線Pを対象軸とする一対の第1脚回り弾性部材(弾性部材)50及び第2脚回り弾性部材(第2弾性部材)60を設けてある。
これらの脚回り弾性部材50,60としては、ストランド状またはストリング状の弾性糸を用いることができる。脚回り弾性部材50,60は、図示しないホットメルト接着剤等によって股下内外面シート34,35の少なくともいずれか一方に接合してある。このおむつ1では、股下部材30の一方の股下側縁33に第1脚回り弾性部材50を4本設けてあり、第2脚回り弾性部材60を3本設けてある。
脚回り弾性部材50,60を複数本設ければ、股下部材30を着用者の肌に押し当てる部位を増加することができるため、フィット性を向上することができる。
【0025】
第1脚回り弾性部材50は、伸展おむつ1aのサイドフラップ38において、縦方向仮想中心線Q上で互いに最も近接し、かつ縦方向Lにおいて、縦方向仮想中心線Qから離間するに従って互いに徐々に離間するように湾曲した弧状に設けてある。
縦方向仮想中心線Qは、着用状態において、股下部材30の最下部に位置することが好ましい。このように配置すれば、第1脚回り弾性部材50は、上下方向Y(図1参照)の最下部で互いに最も近接し、かつ上方に行くに従って互いに徐々に離間する。よって、鼠蹊部において脚のつけねに近接する側に第1脚回り弾性部材50が位置する一方、脚回り方向に沿って鼠蹊部から脚の外側に行くに従って脚のつけねに離間する側に第1脚回り弾性部材50が位置するため、脚の内側でフィット性に優れて尿等の排泄物が漏れるのを防止するとともに、脚の外側で圧迫することを防止することができる。
第1脚回り弾性部材50は、それが長さ方向に延びる接線Mと股下側縁33との交差角度αが約10〜90度の範囲で傾斜することが好ましく、より好ましくは約15〜45度の範囲で傾斜することが好ましい。
【0026】
第1脚回り弾性部材50は、図2において破線で示すように、サイドフラップ38の折曲線39から中央領域37の股下両端縁の近傍31,32までさらに延びている。
中央領域37における一対の第1脚回り弾性部材50は、縦方向Lにおいて、縦方向仮想中心線Qに近接する側が互いに最も離間する一方、縦方向仮想中心線Qから離間するに従って徐々に近接するように配置してある。
【0027】
第1脚回り弾性部材50は、例えば股下両端縁31,32の一端縁31の近傍を始点とし、中央領域37において図2中、下方から上方に向けて延び、折曲線39を横切って中央領域37からサイドフラップ38まで延び、さらにサイドフラップ38において図2中、下方から上方に向けて延び、再び折曲線39を横切ってサイドフラップ38から中央領域37に延び、中央領域37において図2中、下方から上方に向けて延び、股下両端縁31,32の別の一端縁32の近傍を終点とする一連のものであって、股下両側縁33に沿ってほぼ縦方向Lに延びているものである。換言すれば、第1脚回り弾性部材50は、一端縁31の近傍である一端縁31の側から、別のもう一端縁32の近傍である一端縁32の側まで延びる一連のものである。
【0028】
各第2脚回り弾性部材60は、伸展おむつ1aにおいて、縦方向Lに延びるように直状に形成してある。また、一対の第2脚回り弾性部材60は、互いに平行である。これらの第2脚回り弾性部材60は、サイドフラップ38において、横方向仮想中心線Pと第1脚回り弾性部材50との間に配置してある。換言すれば、折曲線39と第2脚回り弾性部材60との離間寸法は、折曲線39と第1脚回り弾性部材50との離間寸法よりも大きい。
【0029】
図3は、股下内外面シート34,35に折曲線39を設ける前において、股下内外面シート34,35の間に弾性部材50,60を取り付けたシート積層体69を示すものであるが、説明の便宜のため、シート積層体69から股下内面シート34を取り除いてある。この状態では、横方向Wにおいて、横方向仮想中心線Pに対して第2脚回り弾性部材60が第1脚回り弾性部材50の外側に設けてある。
【0030】
一対の第1脚回り弾性部材50は、縦方向Lにおいて、縦方向仮想中心線Q上で互いに最も離間し、この縦方向仮想中心線Q上から縦方向Lに行くにしたがって徐々に互いに近接し、股下両端縁31,32の近傍では、横方向仮想中心線Pにほぼ平行となるように配置してある。この第1脚回り弾性部材50は、折曲線39を横切る湾曲形状を呈し、折曲線39の外側に位置する中央部分51と、折曲線39の内側に位置する先端部分52とを有している。
第1脚回り弾性部材50は、股下両端縁31,32の近傍に、収縮力が作用しないように非伸長状態で股下内外面シート34,35に取り付ける非伸長部53を設けてある一方、股下両端縁31,32の近傍を除いた部位は、収縮力が作用するように伸長状態で股下外面シート35に取り付けてある。
第1脚回り弾性部材50の収縮力が作用する部位は、例えば、非伸長状態から2倍に伸ばした状態で股下内外面シート34,35に取り付けてある。
非伸長部53は、その縦方向Yの長さ寸法が20mm以上であることが好ましく、50mm以上であればより好ましい。また、非伸長部53は、中央領域37にのみ設けることが好ましい。
【0031】
第2脚回り弾性部材60は、その先端に、収縮力が作用しないように非伸長状態で股下内外面シート34,35に取り付ける非伸長部62を設けてある一方、その先端を除いた部位は、収縮力が作用するように伸長状態で股下外面シート35に取り付けてある。
【0032】
股下内外面シート34,35の間には、ホットメルト接着剤を塗布しない非塗布域65と、ホットメルト接着剤の塗布量を低減した低密度塗布域66と、塗布量を増加した高密度塗布域67とを設けてある。
非塗布域65は、第2脚回り弾性部材60の先端を配置した部位を含み、第1脚回り弾性部材50を配置した部位を含まず、且つ前後方向Zに延びるように直状に、股下両側縁33に設けてある。
低密度塗布域66は、非塗布域65及び以下に説明する高密度塗布域67を除いた股下内外面シート34,35の全面に設けてある。
高密度塗布域67は、股下両側縁33において、折曲線39と非塗布域65との間に設けてあり、一端縁31に設けた一対の前端塗布域67aと、別の一端縁32に設けた一対の後端塗布域67bと、縦方向Lにおける股下前端域67a及び股下後端域67bの間に設けた一対の中央塗布域67cとを含んでいる。
これらの塗布域66,67に塗布したホットメルト接着剤によって、弾性部材50,60を所定の形状で股下内面シート34と股下外面シート35との間に介在させたシート積層体69を形成した後、股下内面シート34の肌対向面の側に吸液構造体40を取り付け、そのシート積層体69を折曲線39に沿って折り曲げて股下部材30を形成してある。
【0033】
図4は、股下部材30と胴回り部材10との取り付けを示す斜視図である。
股下部材30と前パネル11とは、股下部材30または前パネル11の少なくとも一方に塗布したホットメルト接着剤によって取り付けてある。この例では、股下部材30にのみホットメルト接着剤を塗布するもので説明するが、前パネル11にのみ接着剤を塗布してもよいし、前パネル11及びシート積層体69の双方にそれぞれ接着剤を塗布してもよい。
【0034】
股下部材30にホットメルト接着剤を塗布して形成する塗布域70は、中央領域37において横方向Wに延びる第1領域71と、サイドフラップ38において横方向Wにおける第1領域71の両側縁71aから横方向仮想中心線Pに対して離隔するように直状に延びる一対の第2領域72と、サイドフラップ38において縦方向Lにおける第2領域72の端部72aから縦方向仮想中心線Qに対して接近するように延びる一対の第3領域73とを備えている。
第3領域73は、一端縁31に近接する幅広部73aと、一端縁31に離隔する幅狭部73bとを有している。幅広部73a及び幅狭部73bは、横方向仮想中心線Pに接近する内側縁73cは直状である一方、横方向仮想中心線Pに離隔する外側においては、幅広部73aの外側縁73dに対して幅狭部73bの外側縁73eが内側に位置し、これによって、第3領域73は、縦方向仮想中心線Qに近接する側に向けて細くなるよう形成してある。
【0035】
幅方向Xに延びる第1領域71及び第2領域72と、第2領域72の端部から縦方向仮想中心線Qに対して接近するように延びる第3領域73とによって塗布域70を形成してあるため、股下部材30と胴回り部材10との間に縦方向Lに延びるポケット75を形成することができる。よって、着用者が横臥した状態では、このポケット75に排泄物を収容することができるため、収容する排泄物の量を増加させることができる。このおむつ1は、胴回り部材10の非肌対向面側に股下部材30の肌対向面側を取り付けてあるため、一層、収容する排泄物の量を増加させることができる。
【0036】
第1脚回り弾性部材50の中央部分51は、横方向仮想中心線Pに対して離隔する湾曲状に形成してあり、且つ第3領域73の外側に位置する。換言すれば、サイドフラップ38の縦方向両端部とエンドフラップ36の横方向両端部との交際域47には、第1脚回り弾性部材50が存在しない非存在域47aが形成されているため、非存在域47にはギャザーが形成されず、且つ非存在域47は平坦である。もちろん非存在域47には、第2脚回り弾性部材60も存在していない。よって、サイドフラップ38を前パネル11に取り付ける際に脚回り弾性部材50,60の存在が邪魔になることがなく、股下部材30を前パネル11に確実に取り付けることができる。
しかも、股下部材30は、股下内外面シート34,35の両端縁31,32の一端縁31の側から別のもう一端縁32の側に亘って股下両側縁33に沿ってほぼ縦方向Lに延びる第1脚回り弾性部材50を備えるため、股下部材30と胴回り部材10とが重なる部位においても、股下両側縁33を収縮することができる。よって、当該部位における股下両側縁33から排泄物が漏れることも防止することができる。
【0037】
加えて、股下内外面シート34,35の厚さ方向において、サイドフラップ38の非存在域47aに重なる中央領域37に、第1脚回り弾性部材50の先端部分52が延びているため、第1脚回り弾性部材50の収縮力を間接的に前パネル11に伝達することができ、股下両側縁33から排泄物が漏れることを確実に防止することができる。
加えて、サイドフラップ38の間から露出する中央領域37の第1領域71を前パネル11に取り付けてあるため、一層確実に前パネル11を股下部材30に取り付けることができる。
【0038】
また、股下内外面シート34,35は、同一の形状であって、縦方向L及び横方向Wの長さ寸法が同一であるため、いずれか一方のシート34,35を折り返すことによって発生するシート厚さ方向の凹凸をなくして平坦にすることができる。よって、一層、股下部材30に前パネル11を確実に取り付けることができる。
【0039】
さらに、第2脚回り弾性部材60の先端は、第3領域73の幅狭部73bに位置するため、第2脚回り弾性部材60の収縮力を胴回り部材10に直接、伝達することができる。よって、着用状態では、第2脚回り弾性部材60は、その収縮力によってサイドフラップ38を中央領域37に対して上方に向けて起立させ、このサイドフラップ38の側縁を着用者の鼠蹊部に押し当て、排泄物が漏れることを防止することができる。
【0040】
さらに、弾性部材50,60は、図2に示すように、横方向仮想中心線Pに対して吸液構造体40よりも幅方向Xの外側に位置するため、弾性部材50,60によって弾性化された股下両側縁33は、着用者の脚回りに密着して排泄物が漏れるのを防止することができる。
しかも、第1脚回り弾性部材50及び第2脚回り弾性部材60によって股下両側縁33に弾性化された部位を二重に設けるため、排泄物が漏れるのを確実に防止することができる。
加えて、吸液構造体40は、横方向仮想中心線Pに対して、折曲線39の幅方向Xにおける内側に配置してあるため、これがクロッチ域4で嵩張ることがない。
【0041】
なお、ホットメルト接着剤の塗布域70aは、前パネル11の塗布域70に対し、幅広部73aのみを設けて幅狭部73bを設けていない点のみが異なる。また、塗布域70aを、塗布域70と同一の形状にしてもよい。
【0042】
また、上述した実施の形態において、第1脚回り弾性部材50は、一端縁31の側から別のもう一端縁32の側に亘る一連のもので説明した。しかし、この発明において、第1弾性部材50は、胴回り部材10と股下部材30とが重なる部位において、股下部材30の股下側縁33から排泄物が漏れることを防止するものであればよいため、胴回り部材10と股下部材30とが重なる部位まで延びていればよい。換言すれば、第1脚回り弾性部材50は、胴回り部材10と股下部材30とが重なる部位まで延びていれば、上述したように、端縁31,32の縁まで完全に延びていなくてもよく、図示省略するが、両端縁31,32の縁まで完全に延びていてもよい。
さらに、第1脚回り弾性部材50は、一連のものである必要はなく、交差域47において存在しなければよい。換言すれば、複数の弾性部材を脚回りに沿って配置することによって脚回り弾性部材50を構成してもよい。
【0043】
なお、おむつ1は、この発明の範囲で適宜変更することができ、上述した実施の形態に限定されることはない。例えば、おむつに限られず、排泄トレーニングパンツ等に適用することができる。
なお、おむつ10を構成する部材には、特に明記されていない限りにおいて、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている公知の材料を制限なく用いることができる。また、本明細書において使用されている「第1」、「第2」、及び「第3」の用語は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いてある。
【符号の説明】
【0044】
1 おむつ(使い捨てのパンツ型の着用物品)
10 胴回り部材
30 股下部材
31 一端縁
32 別のもう一端縁
34 股下内面シート(内面シート)
35 股下外面シート(外面シート)
36 エンドフラップ
37 中央領域
38 サイドフラップ
39 折曲線
47 交差域
47a 非存在域
50 第1脚回り弾性部材(弾性部材)
51 中央部分
52 先端部分
53 非伸長部
60 第2脚回り弾性部材(第2弾性部材)
L 縦方向
P 横方向仮想中心線
Q 縦方向仮想中心線
W 横方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌対向面及び非肌対向面を有する環状の胴回り部材と前記胴回り部材に取り付けられた股下部材とを含み、
前記股下部材は、前記肌対向面に位置する内面シートと、前記非肌対向面に位置する外面シートと、前記内外面シートの両側縁及び両端縁に沿って延びる一対のサイドフラップ及び一対のエンドフラップと、前記両端縁の一端縁の側から別のもう一端縁の側に亘って前記両側縁に沿ってほぼ縦方向に延びる一対の弾性部材を含み、該サイドフラップの縦方向両端部と該エンドフラップの横方向両側部との交差域が前記肌対向面の側へ折り返され、
前記交差域には前記弾性部材の非存在域が形成され、該非存在域が前記胴周り部材に取り付けられている使い捨てのパンツ型の着用物品。
【請求項2】
前記股下部材には、前記サイドフラップの横方向における中央領域と、前記サイドフラップとを画成する折曲線とが、前記両側縁において縦方向に延びるように設けられ、該折曲線を介して前記サイドフラップが前記肌対向面の側へ折り返され、
前記弾性部材は、前記中央領域の前記両端縁から前記折曲線を横切る部位を有し、前記一端縁の側から別のもう一端縁の側に亘って一連に延びている請求項1に記載の着用物品。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記サイドフラップにおいて、前記股下部材を前記縦方向に二等分する縦方向仮想中心線上において互いに最も接近し、かつ前記縦方向に沿って前記縦方向仮想中心線から離間するに従って互いに離間するように設けられている請求項1または2に記載の着用物品。
【請求項4】
前記弾性部材の前記縦方向の前記両端部には、非伸長状態で前記内外面シートに取り付ける非伸長部が設けられている請求項1〜3のいずれかに記載の着用物品。
【請求項5】
前記横方向において、前記折曲線に対して前記弾性部材よりも離間する第2弾性部材が前記サイドフラップに設けられている請求項2〜4のいずれかに記載の着用物品。
【請求項6】
前記サイドフラップの間から露出する前記中央領域の前記肌対向面が前記胴回り部材に取り付けられている請求項2〜5のいずれかに記載の着用物品。
【請求項7】
前記環状の胴回り部材の前記非肌対向面側に前記股下部材が取り付けられている請求項1〜6のいずれかに記載の着用物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−157521(P2012−157521A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19076(P2011−19076)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】