説明

使用済みインクリボン切断装置

【課題】使用済みインクリボンの文字跡間隔より狭いカッターナイフ配列による切断方式で、機構の簡素化と低コスト化を図れる使用済みインクリボン切断装置を提供する。
【解決手段】並列に複数枚の鋭角な刃先を持つカッターナイフを装備したカッターユニットと、カッターナイフの切断部に使用済みインクリボンに張力が働くリボンガイドを設け、使用済みインクリボンの装着時、または装置の駆動時にカッターナイフの鋭角な刃先で使用済みインクリボンを突き破り、カッターナイフの刃部で使用済みインクリボンを短冊状に切断する構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字や画像情報の印刷で使用済となったインクリボンに印刷後に残った文字や画像情報を判読できなくする使用済みインクリボン切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行、駅、病院、ホテル、デパート、店舗、役所等々で、クレジットカード、定期券、航空劵、会員券、ポイントカード等の発行にサーマルプリンターが使用されているが、サーマルプリンターに使用した使用済みインクリボンには、カーボンコピーと同じ原理で、サーマルプリンターで印字した後、残画像が残り使用済みインクリボンから個人情報等の漏洩の恐れがある。
【0003】
使用済みインクリボンから個人情報等の漏洩を防止するため、従来、使用済みインクリボンの幅方向にカッター刃すなわちカッターナイフを並べ、短冊状に切断する方式がある。以下カッターナイフと称す。
しかし、カッターナイフを使用して使用済みインクリボンの残画像の文字間隔より狭い間隔で短冊状に切断するのは困難であるとして、カッターナイフで使用済みインクリボンを短冊状に切断した後、紐状に束ね、紐状の使用済みインクリボンを切断する方式等が提案されている。(特許文献1,2参照)
【0004】
また、インクリボンカートリッジの印字ヘッドの下流にカッターナイフを設け、印字後のインクリボンを短冊状に切断する方式が提案されている。(特許文献3参照)
【0005】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開2010−274478
【特許文献2】 特開2005−59272
【特許文献3】 特開平2−70475
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、カッターナイフを使用して使用済みインクリボンを短冊状に切断する方式では、上記特許文献2の発明が解決しようとする課題にも記載されているように、使用済みインクリボンの印字跡を読み取りが不可能な程度に切断するのは困難である。このような切断方法で認識が不可能な程度に切断するには、印字跡の文字跡間隔より狭いストロークで切断するか、または印字配列跡の間隔より狭い間隔で切断する必要があるが、実際は困難である。と、されているように文字跡間隔より狭いカッターナイフの配列は困難とされていた。
【0008】
カッターナイフの切断方式で、使用済みインクリボンを印字跡の文字跡間隔より狭い間隔で切断できない要因は、複数枚のカッターナイフを狭い間隔に配置すると、カッターナイフは、ブロック化現象を起こし、カッターナイフの切断機能がなくなってしまうためである。
【0009】
本発明は、カッターナイフを並列に配置した方式で使用済みインクリボンの文字跡間隔より狭い間隔でもカッターナイフの切断の機能を生かす形態とすることで、機構の簡素化と装置の低コスト化を図れる使用済みインクリボン切断装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、並列に複数枚の鋭角な刃先を持つカッターナイフを装備したカッターユニットと、カッターナイフの切断部で、使用済みインクリボンに張力が働くリボンガイドを設け、使用済みインクボン切断装置へ使用済みインクリボンの装着時、または装置の駆動時にカッターナイフの鋭角な刃先で使用済みインクリボンを突き破り、カッターナイフの刃部で使用済みインクリボンを短冊状に切断する構成にしたことを特徴としている。
このような構成によれば、使用済みインクリボンの切断途中で装置の駆動を停止した時、使用済みインクリボンに弛みが生じてカッターナイフから外れても、装置の再駆動時、張力が働き、使用済みインクリボンをカッターナイフの刃先で突き破り、カッターナイフの刃部で短冊状の切断ができる。
【0011】
また、上記構成において、カッターユニットに装備されたカッターナイフは、刃厚は厚くても0.5mmで、2mm以下の間隔で構成されていることを特徴としている。
使用済みインクリボンの残画像の印字跡の大きさと印字配列跡の間隔は2mm以上であり、本発明の装置で短冊状に切断された処理後の使用済みインクリボンから文字跡の読み取りを防止することができる
【0012】
また、使用済みインクリボンの搬送ガイド部材に、使用済みインクリボンを挟み、回転軸にエンコーダープレートを装備した回転自在の検知コロで与圧を加える構成とし、使用済みインクリボンの搬送状態を検知できる構成としたことを特徴としている。
この構成の機構により、使用済みインクリボン切断装置が作動中に発生するリボン切れなどのトラブル、リボンの切断終了などを検知し、装置の作動を停止させることができる。
【0013】
従来カッターナイフを使用して使用済みインクリボンを短冊状に切断する方法では、文字跡間隔より狭いカッターナイフの配列は困難とされてきた。
上述したように本発明の使用済みインクリボン切断装置は、張力が働いた使用済みインクリボンに対して、まずカッターナイフの鋭角な刃先で使用済みインクリボンを突き破り、短冊状の切断はカッターナイフの刃部で行う構成であるため、機構の簡素化と低コストの使用済みインクリボン切断装置を提供することができる。
【0014】
また、使用済みインクリボンを挟んで、搬送ガイド部に加圧した検知コロによって、使用済みインクリボン切断装置の作動中のトラブルや切断終了の検知を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 本装置の使用済みインクリボン装着時を示す断面図
【図2】 本装置のセット状態を示す断面図
【図3】 本装置のカッターユニットの分解斜視図
【図4】 本装置の使用済みインクリボン切断を示す斜視図
【図5】 本装置の使用済みインクリボン切断時の断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による使用済みインクリボン切断装置の実施形態を図によって説明する。
【0017】
図1において、本装置のフレーム1に設けられた回転軸2を支点として上フレーム3は開閉でき、上フレーム3が開いた状態で、リボンスプール4より文字跡や画像跡が残る使用済みインクリボン5を引き出し、巻取りスプール6に使用済みインクリボン5の端面を固定し、リボンスプール4の回転軸4Aをフレーム1のリボン保持部1Aにセットする。
【0018】
上フレーム3にはカッターユニット7、リボンガイド軸8、リボン搬送用の従動ローラ9が装備されており、フレーム1にはリボン搬送用の主動ローラ10、リボンガイド軸11A、11B、11Cが装備されている。また、リボンスプール4は、図示されていないばねによって加圧されており、リボンスプール4の自由な回転を防止している。
【0019】
図2において、上フレーム3を本装置のセット位置にセットすると、上フレーム3のリボンガイド軸8、従動ローラ9およびカッターユニット7に装備されているリボンガイド軸7Aと、フレーム1に装備されているリボンガイド軸11A、11B、11C、主動ローラ10によって、使用済みインクリボン5の弛みが無くなり、使用済みインクリボン5に張力が働く。
【0020】
本装置を駆動すると、使用済みインクリボン5は、主動ローラ10と従動ローラ9によってリボンスプール4より引き出される。
主動ローラ10、従動ローラ9とリボンガイド軸11Cの上流にカッターユニット7が配置されており、使用済みインクリボン5は、カッターユニット7のカッターナイフ12により短冊状に切断され、短冊状に切断された使用済みインクリボン5は、巻取りスプール6によって巻取られる。
【0021】
主動ローラ10、従動ローラ9と巻取りスプール6との間には、短冊状に切断された使用済みインクリボン5を横方向にカットできるように使用済みインクリボン5の搬送路の外に丸カッターユニット13が配備されている。
【0022】
図3において、カッターユニット7の複数枚のカッターナイフ12は、カッター保持軸14で保持され、各カッターナイフ間にはスペーサー13が組込まれている。使用済みインクリボンの切断間隔は各カッターナイフ12のスペーサー13の厚さによって決められる。また、カッターナイフ12の左右両端は止めカラー15によって固定されている。
リボンガイド軸7Aを装備したカッターケース16の位置決めガイド16Aにカッターナイフ保持軸14をセットした後、ケースカバー18でカッターナイフ保持軸14の横移動を固定し、ユニット支持軸17とネジ19でケースカバー18を固定することで、カッターナイフ12はカッターケース16とケースカバー18により回転不可に固定される。
【0023】
カッターナイフ12の刃先12Aは鋭角になっており、刃厚は厚くても0.5mmで、スペーサー13の厚さは、カッターナイフ12の間隔が2mm以下となる厚さで構成する。
カッターナイフ12の間隔を2mm以下にすることで切断された処理後の使用済みインクリボン5から文字跡の読み取りを防止することができる。
【0024】
巻取りスプール6に使用済みインクリボン5の端面を固定し、リボンスプール4の回転軸4Aをフレーム1のリボン保持部1Aにセットし、上フレーム3を本装置のセット状態にする時、図4,図5において、使用済みインクリボン5に張力が働くため、カッターユニット7に装備されているカッターナイフ12の刃先12Aが使用済みインクリボン5を突き破る。
【0025】
カッターナイフ12の先端12Aが使用済みインクリボン5を突き破った状態で主動ローラ10および従動ローラ9によって使用済みインクリボン5がリボンスプール4より引き出されると、使用済みインクリボン5は、カッターユニット7のリボンガイド軸7Aとケースカバー18のエッヂ部18Aによってガイドされ、カッターナイフ12の刃部12Bで連続して切断される。
【0026】
本装置のセット時や駆動中に使用済みインクリボン5に弛みが生じ、或いは本装置の駆動停止時に弛みが発生し、使用済みインクリボン5が図5に示す5Aの状態になった時、主動ローラ10,従動ローラ9によって使用済みインクリボン5が搬送されると、カッターユニット7のリボンガイド軸7Aとケースカバー18のエッヂ部18Aにより使用済みインクリボン5に張力が働き、カッターナイフ12の先端12Aが使用済みインクリボン5を再度突き破り、カッターナイフ12の刃部12Bで連続して短冊状に切断される。
【0027】
図2において、検知コロ20は、使用済みインクリボン5を挟み上フレーム3に装備されているリボンガイド軸8に接するように配置されており、アーム23によって加圧されている。
検知コロ20の同軸上にはエンコーダープレート21を有し、エンコーダープレート21にはフォトセンサー22で回転の有無を検知する切欠21Aが設けてある。
【0028】
本装置の切断作動中は、使用済みインクリボン5を介して検知コロ20は連れ回りするが、使用済みインクリボン5が破れたり切れるなどのトラブル時や使用済みインクリボン5の切断作動が終了すると、検知コロ20の回転が停止し、エンコーダープレート21の停止をフォトセンサー22が検知して本装置の作動を停止する。
【符号の説明】
【0029】
1 フレーム
3 上フレーム
4 リボンスプール
5 使用済みインクリボン
6 巻取りスプール
7 カッターユニット
7A リボンガイド軸
8 リボンガイド軸
9 従動ローラ
10 主動ローラ
11A リボンガイド軸
11B リボンガイド軸
11C リボンガイド軸
12 カッターナイフ
16 カッターケース
18 ケースカバー
18A エッヂ部
20 検知コロ
21 エンコーダープレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に複数枚の鋭角な刃先を持つカッターナイフを装備したカッターユニットと、使用済みインクリボンに張力が働くリボンガイドを具え、使用済みインクボンの装着時或いは装置の駆動時に、カッターナイフの鋭角な刃先が使用済みインクリボンを突き破り、カッターナイフの刃部で切断する構成にしたことを特徴とする使用済みインクリボン切断装置。
【請求項2】
請求項目1記載のカッターナイフの刃厚は厚くても0.5mmで、間隔は2mm以下に構成されていることを特徴とする使用済みインクリボン切断装置。
【請求項3】
使用済みインクリボンの搬送ガイド部材に使用済みインクリボンを挟み、エンコーダープレートを具えた回転自在のコロで加圧し、使用済みインクリボンの搬送状態を検知できる構成にしたことを特徴とする使用済みインクボン切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−103496(P2013−103496A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−264079(P2011−264079)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(596030793)株式会社エムティーシー (5)
【Fターム(参考)】