使用量計器付き水道蛇口
【課題】 水道水の使用量を、その使用時の目で確認できる使用量計器付き水道蛇口を提供する。
【解決手段】 羽根車6を内蔵しこの羽根車6が水道管内を流れる水により回転させられる羽根車収容器4と、羽根車6の回転で封入液9の液位が変わる指標器5とを備える。指標器5は、内筒12および外筒13を有する立形の二重筒状に形成された液体容器7と、その内筒12内に昇降自在に嵌合したピストン8と、封入液9と、回転・直進変換機構10と、復帰用付勢手段11とを備える。内筒12,外筒13間の空間と内筒12内の空間とは下端で連通し、かつ外筒13の全体または一部が透明とされる。封入液9は、内筒12,外筒13間の空間から内筒12内のピストン8よりも下側の空間に渡って溜められる。回転・直進変換機構10は、羽根車6の回転をピストン8の上昇動作に変換する。復帰用付勢手段11は、ピストン8を下降端側へ付勢する。
【解決手段】 羽根車6を内蔵しこの羽根車6が水道管内を流れる水により回転させられる羽根車収容器4と、羽根車6の回転で封入液9の液位が変わる指標器5とを備える。指標器5は、内筒12および外筒13を有する立形の二重筒状に形成された液体容器7と、その内筒12内に昇降自在に嵌合したピストン8と、封入液9と、回転・直進変換機構10と、復帰用付勢手段11とを備える。内筒12,外筒13間の空間と内筒12内の空間とは下端で連通し、かつ外筒13の全体または一部が透明とされる。封入液9は、内筒12,外筒13間の空間から内筒12内のピストン8よりも下側の空間に渡って溜められる。回転・直進変換機構10は、羽根車6の回転をピストン8の上昇動作に変換する。復帰用付勢手段11は、ピストン8を下降端側へ付勢する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水道水の使用量を目で確認できる使用量計器付き水道蛇口に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な水道蛇口は、水道管の管路出口端近傍に例えばハンドルで管路を開閉するバルブを設けただけの構成とされており、水道水の使用量を使用者に知らせるような機能は備えていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
環境保全が声高に謳われる今日では、水道水の使用量についても使用者自身がリアルタイムで実感できることが望まれる。そうすることにより、水の使用量を減らすことにつながると考えられるからである。しかし、上記した構成の一般的な水道蛇口では、どれくらいの水道水を使用しているのかを使用者がリアルタイムに実感することが困難である。
【0004】
この発明の目的は、水道水の使用量を、その使用時に目で確認できる使用量計器付き水道蛇口を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の使用量計器付き水道蛇口は、水道管のバルブの近傍に設けられて羽根車を内蔵しこの羽根車が水道管内を流れる水により回転させられる羽根車収容器と、前記羽根車の回転で封入液の液位が変わる指標器とを備え、前記指標器は、内筒および外筒を有する立形の二重筒状に形成されて内筒,外筒間の空間と内筒内の空間とが下端で連通しかつ外筒の全体または一部が透明とされた液体容器と、前記内筒内に昇降自在に嵌合したピストンと、前記液体容器における内筒,外筒間の空間から内筒内のピストンよりも下側の空間に渡って溜められた封入液と、前記羽根車の回転を前記ピストンを上昇動作に変換する回転・直進変換機構と、前記ピストンを下降端側へ付勢する復帰用付勢手段とを備える。
この構成によると、バルブが開き水道管に水が流れると、羽根車が回転し、回転・直進変換機構を介してピストンが移動させられる。このピストンの移動により、指標器を構成する液体容器における内筒,外筒間の空間の封入液の液位が変化する。この液位の変化から、水道水の使用量を目でリアルタイムに確認できる。このため、水の無駄な使用が抑制されて、環境保全に貢献できる。また、封入液は、水道管に流す水と無関係の液体であるため、衛生面の上で問題となることがない。また、作動に関して電力が全く不要であり、環境面からも稼働コストの面からも有効である。さらに、構成が簡単であるため、製作も容易である。
【0006】
この発明において、前記回転・直進変換機構が、前記ピストンの中心部に形成された雌ねじ部と、この雌ねじ部にねじ込まれた雄ねじ部を有し前記羽根車に結合されたねじ軸とでなるものとしても良い。この構成の場合、水栓装置におけるバルブの1回の開閉操作で使用される水の使用量を、液体容器におけるピストンの上昇量に容易に置き換えることができ、装置のコンパクト化が可能となる。
【0007】
この発明において、前記復帰用付勢手段が、前記羽根車を、水の流れによる回転方向とは逆の方向に回転付勢するゼンマイばねであっても良い。この構成の場合も、装置のコンパクト化に寄与できる。
【発明の効果】
【0008】
この発明の使用量計器付き水道蛇口は、水道管のバルブの近傍に設けられて羽根車を内蔵しこの羽根車が水道管内を流れる水により回転させられる羽根車収容器と、前記羽根車の回転で封入液の液位が変わる指標器とを備え、前記指標器は、内筒および外筒を有する立形の二重筒状に形成されて内筒,外筒間の空間と内筒内の空間とが下端で連通しかつ外筒の全体または一部が透明とされた液体容器と、前記内筒内に昇降自在に嵌合したピストンと、前記液体容器における内筒,外筒間の空間から内筒内のピストンよりも下側の空間に渡って溜められた封入液と、前記羽根車の回転を前記ピストンを上昇動作に変換する回転・直進変換機構と、前記ピストンを下降端側へ付勢する復帰用付勢手段とを備えるものとしたため、水道水の使用量を、その使用時に目で確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の一実施形態を図1ないし図7と共に説明する。図1は、この実施形態の使用量計器付き水道蛇口の斜視図を示す。この使用量計器付き水道蛇口は、管路構成部材1と、この管路構成部材1の管路出口端1aの近傍に配置されて管路を開閉するバルブ2と、前記管路構成部材1の前記バルブ2の配置部の近傍に配置された使用量計器3とを有する。管路構成部材1は水道管からなる。バルブ2はハンドル21を有し、ハンドル21を回すことにより管路構成部材1の管路が開閉される。この使用量計器付き水道蛇口は、シンクや洗面ボール等に設置されて、住宅等の建物の屋内水道管に接続される。
【0010】
使用量計器3は、水道管からなる管路構成部材1におけるバルブ2の配置部よりも管路出口端1aから離れた位置に設けられる羽根車収容器4と、指標器5とを備える。図2は使用量計器3の縦断面図を示す。羽根車収容器4は羽根車6を内蔵する。図2のC部の水平断面を示す図4のように、羽根車収容器4は円筒状の容器であり、その軸心が垂直方向に向く姿勢で、かつその軸心が管路構成部材1の管路軸心から偏位する位置に配置されて管路構成部材1の管路と連通する。羽根車6は、羽根車収容器4内において羽根車収容器4と同心に配置される。これにより、管路構成部材1の管路を流れる水により羽根車6が矢印で示すように左回りに回転させられる。
【0011】
指標器5は、液体容器7と、ピストン8と、封入液9と、回転・直進変換機構10と、復帰用付勢手段11とを備える。液体容器7は、図2のIII − III矢視断面図を示す図3のように、円筒状の内筒12と、この内筒12と同心の円筒状の外筒13とを有し、立形の二重筒状に形成されて、内筒12と外筒13の間の空間と内筒12内の空間とが下端で連通している。外筒13は、円筒状の中胴部13cの上下端を、上蓋部13aおよび下蓋部13b(図5)で密閉して構成される。外筒13は、その全体、または前記中胴部13cなどの一部が透明とされ、内筒12はその外周の一部が外筒13に連結されて支持されている。内筒12の外周面には、内筒12と外筒13の間の空間における封入液9の液位を指標する目盛14(図1)が縦方向に設けられている。この液体容器7は、羽根車収容器4の上位置に配置される。
【0012】
ピストン8は、液体容器7の内筒12内に昇降自在に嵌合している。封入液9は、液体容器7における内筒12と外筒13の間の空間から内筒12内のピストン8よりも下側の空間に渡って溜められている。回転・直進変換機構10は、羽根車6の回転をピストン8の昇降動作に変換する機構である。この回転・直進変換機構10は、ピストン8の中心部8aに形成された雌ねじ部15と、先端に前記雌ねじ部15にねじ込まれる雄ねじ部16aを有するねじ軸16とでなる。ねじ軸16は、液体容器7の底面部および羽根車収容器4の天面部を貫通して図6のように羽根車6の軸部に結合され、羽根車6と一体にねじ軸16が回転する。液体容器7における外筒13の底面部(下蓋部13bの中央部)のねじ軸貫通部、および羽根車収容器4の天面部のねじ軸貫通部は、それぞれシール部材17,18で水密が図られている。液体容器7を貫通して羽根車収容器4に至るねじ軸16の途中部分は、筒状の防汚カバー19で覆われている。復帰用付勢手段11はピストン8を下降端側へ付勢する手段である。この実施形態では、復帰用付勢手段11として、羽根車収容器4の底面部と羽根車6の軸部下端とに連結されるゼンマイばねが用いられる。これにより、管路構成部材1内を水が流れないとき、ゼンマイばねからなる復帰用付勢手段11が、水の流れによる回転方向(正方向)とは逆の方向に羽根車6を回転付勢する。
【0013】
この構成の使用量計器付き水道蛇口の動作を、図7を参照して以下に説明する。バルブ2(図1)が閉栓されて、その管路構成部材1の管路に水が流れない状態では、ゼンマイばねからなる復帰用付勢手段11により、羽根車6は水の流れによる回転方向とは逆の方向に回転付勢されている。この回転付勢によるねじ軸16の回転で、その雄ねじ部16aと雌ねじ部15が螺合するピストン8は、図7(A)のように、液体容器7における内筒12内の下位置に下降している。このため、液体容器7における内筒12と外筒13の間の空間の封入液9の液位は最上位置にある。
【0014】
次に使用量計器付き水道蛇口のバルブ2が開栓されて、管路構成部材1の管路に水が流れ出すと、その水の流れで羽根車収容器4内の羽根車6が、復帰用付勢手段11の回転付勢に逆らって図4に矢印で示すように回転する。これに伴い、羽根車6に結合されたねじ軸16が回転し、図7(B)のように、ピストン8が上昇し始める。これにより、液体容器7における内筒12と外筒13の間の空間の封入液9の液位は上昇し始める。バルブ2を開栓したまま水道水を使用し続けると、図7(C)のように、液体容器7における内筒12と外筒13の間の空間の封入液9の液位は上昇し続ける。この液位の上昇を、外筒13の透明な中胴部13cから目視し、その上昇量を内筒12の外周面に設けられた目盛14で計測することにより、使用者は水道水の使用量をリアルタイムで知ることができる。なお、上記目盛14をリットル表示にすれば、適切な量の水を使用することができるため、例えば大掃除の時などにおいて、洗剤を希釈するといった処理に便利である。
【0015】
使用量計器付き水道蛇口のバルブ2を閉栓して水を止めると、上記したように、復帰用付勢手段11の回転付勢でねじ軸16が逆に回転し、内筒12内をピストン8が元の最下位置まで下降する。これにより、液体容器7における内筒12と外筒13の間の空間の封入液9の液位は、図7(D)のように、上昇して元の最上位置に達する。
【0016】
このように、この使用量計器付き水道蛇口によると、指標器5を構成する液体容器7における内筒12と外筒13の間の空間の封入液9の液位の変化から、水道水の使用量を目でリアルタイムに確認できる。これにより、水の無駄な使用が抑制されて、環境保全に貢献できる。また、封入液9は、管路構成部材1の管路に流す水と無関係の液体であるため、衛生面の上で問題となることがない。また、作動に関して電力が全く不要であり、環境面からも稼働コストの面からも有効である。さらに、構成が簡単であるため、製作も容易である。
【0017】
この実施形態では、羽根車6の回転をピストン8の上昇動作に変換する回転・直進変換機構10を、ピストン8の中心部8aに形成された雌ねじ部15と、この雌ねじ部15にねじ込まれた雄ねじ部16aを有し羽根車6に結合されたねじ軸16とで構成しているので、使用量計器付き水道蛇口におけるバルブ2の1回の開閉栓で使用される水の使用量を、液体容器7におけるピストン8の上昇量に容易に置き換えることができ、装置のコンパクト化が可能となる。
【0018】
また、この実施形態では、ピストン8を下降端側へ付勢する復帰用付勢手段11として、羽根車6を、水の流れによる回転方向とは逆の方向に回転付勢するゼンマイばねを用いているので、この点でも装置のコンパクト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態にかかる使用量計器付き水道蛇口の斜視図である。
【図2】同使用量計器付き水道蛇口の縦断面図である。
【図3】図2におけるIII −III 矢視断面図である。
【図4】図2におけるC部の水平断面図である。
【図5】同使用量計器付き水道蛇口における指標器の一部部材を省略して示す分解斜視図である。
【図6】同使用量計器付き水道蛇口におけるねじ軸と羽根車の結合構造を示す斜視図である。
【図7】同使用量計器付き水道蛇口の動作説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1…管路構成部材(水道管)
2…バルブ
3…使用量計器付き水道蛇口
4…羽根車収容器
5…指標器
6…羽根車
7…液体容器
8…ピストン
8a…中心部
9…封入液
10…回転・直進変換機構
11…復帰用付勢手段
12…内筒
13…外筒
15…雌ねじ部
16…ねじ軸
16a…雄ねじ部
【技術分野】
【0001】
この発明は、水道水の使用量を目で確認できる使用量計器付き水道蛇口に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な水道蛇口は、水道管の管路出口端近傍に例えばハンドルで管路を開閉するバルブを設けただけの構成とされており、水道水の使用量を使用者に知らせるような機能は備えていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
環境保全が声高に謳われる今日では、水道水の使用量についても使用者自身がリアルタイムで実感できることが望まれる。そうすることにより、水の使用量を減らすことにつながると考えられるからである。しかし、上記した構成の一般的な水道蛇口では、どれくらいの水道水を使用しているのかを使用者がリアルタイムに実感することが困難である。
【0004】
この発明の目的は、水道水の使用量を、その使用時に目で確認できる使用量計器付き水道蛇口を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の使用量計器付き水道蛇口は、水道管のバルブの近傍に設けられて羽根車を内蔵しこの羽根車が水道管内を流れる水により回転させられる羽根車収容器と、前記羽根車の回転で封入液の液位が変わる指標器とを備え、前記指標器は、内筒および外筒を有する立形の二重筒状に形成されて内筒,外筒間の空間と内筒内の空間とが下端で連通しかつ外筒の全体または一部が透明とされた液体容器と、前記内筒内に昇降自在に嵌合したピストンと、前記液体容器における内筒,外筒間の空間から内筒内のピストンよりも下側の空間に渡って溜められた封入液と、前記羽根車の回転を前記ピストンを上昇動作に変換する回転・直進変換機構と、前記ピストンを下降端側へ付勢する復帰用付勢手段とを備える。
この構成によると、バルブが開き水道管に水が流れると、羽根車が回転し、回転・直進変換機構を介してピストンが移動させられる。このピストンの移動により、指標器を構成する液体容器における内筒,外筒間の空間の封入液の液位が変化する。この液位の変化から、水道水の使用量を目でリアルタイムに確認できる。このため、水の無駄な使用が抑制されて、環境保全に貢献できる。また、封入液は、水道管に流す水と無関係の液体であるため、衛生面の上で問題となることがない。また、作動に関して電力が全く不要であり、環境面からも稼働コストの面からも有効である。さらに、構成が簡単であるため、製作も容易である。
【0006】
この発明において、前記回転・直進変換機構が、前記ピストンの中心部に形成された雌ねじ部と、この雌ねじ部にねじ込まれた雄ねじ部を有し前記羽根車に結合されたねじ軸とでなるものとしても良い。この構成の場合、水栓装置におけるバルブの1回の開閉操作で使用される水の使用量を、液体容器におけるピストンの上昇量に容易に置き換えることができ、装置のコンパクト化が可能となる。
【0007】
この発明において、前記復帰用付勢手段が、前記羽根車を、水の流れによる回転方向とは逆の方向に回転付勢するゼンマイばねであっても良い。この構成の場合も、装置のコンパクト化に寄与できる。
【発明の効果】
【0008】
この発明の使用量計器付き水道蛇口は、水道管のバルブの近傍に設けられて羽根車を内蔵しこの羽根車が水道管内を流れる水により回転させられる羽根車収容器と、前記羽根車の回転で封入液の液位が変わる指標器とを備え、前記指標器は、内筒および外筒を有する立形の二重筒状に形成されて内筒,外筒間の空間と内筒内の空間とが下端で連通しかつ外筒の全体または一部が透明とされた液体容器と、前記内筒内に昇降自在に嵌合したピストンと、前記液体容器における内筒,外筒間の空間から内筒内のピストンよりも下側の空間に渡って溜められた封入液と、前記羽根車の回転を前記ピストンを上昇動作に変換する回転・直進変換機構と、前記ピストンを下降端側へ付勢する復帰用付勢手段とを備えるものとしたため、水道水の使用量を、その使用時に目で確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の一実施形態を図1ないし図7と共に説明する。図1は、この実施形態の使用量計器付き水道蛇口の斜視図を示す。この使用量計器付き水道蛇口は、管路構成部材1と、この管路構成部材1の管路出口端1aの近傍に配置されて管路を開閉するバルブ2と、前記管路構成部材1の前記バルブ2の配置部の近傍に配置された使用量計器3とを有する。管路構成部材1は水道管からなる。バルブ2はハンドル21を有し、ハンドル21を回すことにより管路構成部材1の管路が開閉される。この使用量計器付き水道蛇口は、シンクや洗面ボール等に設置されて、住宅等の建物の屋内水道管に接続される。
【0010】
使用量計器3は、水道管からなる管路構成部材1におけるバルブ2の配置部よりも管路出口端1aから離れた位置に設けられる羽根車収容器4と、指標器5とを備える。図2は使用量計器3の縦断面図を示す。羽根車収容器4は羽根車6を内蔵する。図2のC部の水平断面を示す図4のように、羽根車収容器4は円筒状の容器であり、その軸心が垂直方向に向く姿勢で、かつその軸心が管路構成部材1の管路軸心から偏位する位置に配置されて管路構成部材1の管路と連通する。羽根車6は、羽根車収容器4内において羽根車収容器4と同心に配置される。これにより、管路構成部材1の管路を流れる水により羽根車6が矢印で示すように左回りに回転させられる。
【0011】
指標器5は、液体容器7と、ピストン8と、封入液9と、回転・直進変換機構10と、復帰用付勢手段11とを備える。液体容器7は、図2のIII − III矢視断面図を示す図3のように、円筒状の内筒12と、この内筒12と同心の円筒状の外筒13とを有し、立形の二重筒状に形成されて、内筒12と外筒13の間の空間と内筒12内の空間とが下端で連通している。外筒13は、円筒状の中胴部13cの上下端を、上蓋部13aおよび下蓋部13b(図5)で密閉して構成される。外筒13は、その全体、または前記中胴部13cなどの一部が透明とされ、内筒12はその外周の一部が外筒13に連結されて支持されている。内筒12の外周面には、内筒12と外筒13の間の空間における封入液9の液位を指標する目盛14(図1)が縦方向に設けられている。この液体容器7は、羽根車収容器4の上位置に配置される。
【0012】
ピストン8は、液体容器7の内筒12内に昇降自在に嵌合している。封入液9は、液体容器7における内筒12と外筒13の間の空間から内筒12内のピストン8よりも下側の空間に渡って溜められている。回転・直進変換機構10は、羽根車6の回転をピストン8の昇降動作に変換する機構である。この回転・直進変換機構10は、ピストン8の中心部8aに形成された雌ねじ部15と、先端に前記雌ねじ部15にねじ込まれる雄ねじ部16aを有するねじ軸16とでなる。ねじ軸16は、液体容器7の底面部および羽根車収容器4の天面部を貫通して図6のように羽根車6の軸部に結合され、羽根車6と一体にねじ軸16が回転する。液体容器7における外筒13の底面部(下蓋部13bの中央部)のねじ軸貫通部、および羽根車収容器4の天面部のねじ軸貫通部は、それぞれシール部材17,18で水密が図られている。液体容器7を貫通して羽根車収容器4に至るねじ軸16の途中部分は、筒状の防汚カバー19で覆われている。復帰用付勢手段11はピストン8を下降端側へ付勢する手段である。この実施形態では、復帰用付勢手段11として、羽根車収容器4の底面部と羽根車6の軸部下端とに連結されるゼンマイばねが用いられる。これにより、管路構成部材1内を水が流れないとき、ゼンマイばねからなる復帰用付勢手段11が、水の流れによる回転方向(正方向)とは逆の方向に羽根車6を回転付勢する。
【0013】
この構成の使用量計器付き水道蛇口の動作を、図7を参照して以下に説明する。バルブ2(図1)が閉栓されて、その管路構成部材1の管路に水が流れない状態では、ゼンマイばねからなる復帰用付勢手段11により、羽根車6は水の流れによる回転方向とは逆の方向に回転付勢されている。この回転付勢によるねじ軸16の回転で、その雄ねじ部16aと雌ねじ部15が螺合するピストン8は、図7(A)のように、液体容器7における内筒12内の下位置に下降している。このため、液体容器7における内筒12と外筒13の間の空間の封入液9の液位は最上位置にある。
【0014】
次に使用量計器付き水道蛇口のバルブ2が開栓されて、管路構成部材1の管路に水が流れ出すと、その水の流れで羽根車収容器4内の羽根車6が、復帰用付勢手段11の回転付勢に逆らって図4に矢印で示すように回転する。これに伴い、羽根車6に結合されたねじ軸16が回転し、図7(B)のように、ピストン8が上昇し始める。これにより、液体容器7における内筒12と外筒13の間の空間の封入液9の液位は上昇し始める。バルブ2を開栓したまま水道水を使用し続けると、図7(C)のように、液体容器7における内筒12と外筒13の間の空間の封入液9の液位は上昇し続ける。この液位の上昇を、外筒13の透明な中胴部13cから目視し、その上昇量を内筒12の外周面に設けられた目盛14で計測することにより、使用者は水道水の使用量をリアルタイムで知ることができる。なお、上記目盛14をリットル表示にすれば、適切な量の水を使用することができるため、例えば大掃除の時などにおいて、洗剤を希釈するといった処理に便利である。
【0015】
使用量計器付き水道蛇口のバルブ2を閉栓して水を止めると、上記したように、復帰用付勢手段11の回転付勢でねじ軸16が逆に回転し、内筒12内をピストン8が元の最下位置まで下降する。これにより、液体容器7における内筒12と外筒13の間の空間の封入液9の液位は、図7(D)のように、上昇して元の最上位置に達する。
【0016】
このように、この使用量計器付き水道蛇口によると、指標器5を構成する液体容器7における内筒12と外筒13の間の空間の封入液9の液位の変化から、水道水の使用量を目でリアルタイムに確認できる。これにより、水の無駄な使用が抑制されて、環境保全に貢献できる。また、封入液9は、管路構成部材1の管路に流す水と無関係の液体であるため、衛生面の上で問題となることがない。また、作動に関して電力が全く不要であり、環境面からも稼働コストの面からも有効である。さらに、構成が簡単であるため、製作も容易である。
【0017】
この実施形態では、羽根車6の回転をピストン8の上昇動作に変換する回転・直進変換機構10を、ピストン8の中心部8aに形成された雌ねじ部15と、この雌ねじ部15にねじ込まれた雄ねじ部16aを有し羽根車6に結合されたねじ軸16とで構成しているので、使用量計器付き水道蛇口におけるバルブ2の1回の開閉栓で使用される水の使用量を、液体容器7におけるピストン8の上昇量に容易に置き換えることができ、装置のコンパクト化が可能となる。
【0018】
また、この実施形態では、ピストン8を下降端側へ付勢する復帰用付勢手段11として、羽根車6を、水の流れによる回転方向とは逆の方向に回転付勢するゼンマイばねを用いているので、この点でも装置のコンパクト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態にかかる使用量計器付き水道蛇口の斜視図である。
【図2】同使用量計器付き水道蛇口の縦断面図である。
【図3】図2におけるIII −III 矢視断面図である。
【図4】図2におけるC部の水平断面図である。
【図5】同使用量計器付き水道蛇口における指標器の一部部材を省略して示す分解斜視図である。
【図6】同使用量計器付き水道蛇口におけるねじ軸と羽根車の結合構造を示す斜視図である。
【図7】同使用量計器付き水道蛇口の動作説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1…管路構成部材(水道管)
2…バルブ
3…使用量計器付き水道蛇口
4…羽根車収容器
5…指標器
6…羽根車
7…液体容器
8…ピストン
8a…中心部
9…封入液
10…回転・直進変換機構
11…復帰用付勢手段
12…内筒
13…外筒
15…雌ねじ部
16…ねじ軸
16a…雄ねじ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道管のバルブの近傍に設けられて羽根車を内蔵しこの羽根車が水道管内を流れる水により回転させられる羽根車収容器と、前記羽根車の回転で封入液の液位が変わる指標器とを備え、
前記指標器は、内筒および外筒を有する立形の二重筒状に形成されて内筒,外筒間の空間と内筒内の空間とが下端で連通しかつ外筒の全体または一部が透明とされた液体容器と、前記内筒内に昇降自在に嵌合したピストンと、前記液体容器における内筒,外筒間の空間から内筒内のピストンよりも下側の空間に渡って溜められた封入液と、前記羽根車の回転を前記ピストンを上昇動作に変換する回転・直進変換機構と、前記ピストンを下降端側へ付勢する復帰用付勢手段とを備えた使用量計器付き水道蛇口。
【請求項2】
請求項1において、前記回転・直進変換機構が、前記ピストンの中心部に形成された雌ねじ部と、この雌ねじ部にねじ込まれた雄ねじ部を有し前記羽根車に結合されたねじ軸とでなる使用量計器付き水道蛇口。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記復帰用付勢手段が、前記羽根車を、水の流れによる回転方向とは逆の方向に回転付勢するゼンマイばねである使用量計器付き水道蛇口。
【請求項1】
水道管のバルブの近傍に設けられて羽根車を内蔵しこの羽根車が水道管内を流れる水により回転させられる羽根車収容器と、前記羽根車の回転で封入液の液位が変わる指標器とを備え、
前記指標器は、内筒および外筒を有する立形の二重筒状に形成されて内筒,外筒間の空間と内筒内の空間とが下端で連通しかつ外筒の全体または一部が透明とされた液体容器と、前記内筒内に昇降自在に嵌合したピストンと、前記液体容器における内筒,外筒間の空間から内筒内のピストンよりも下側の空間に渡って溜められた封入液と、前記羽根車の回転を前記ピストンを上昇動作に変換する回転・直進変換機構と、前記ピストンを下降端側へ付勢する復帰用付勢手段とを備えた使用量計器付き水道蛇口。
【請求項2】
請求項1において、前記回転・直進変換機構が、前記ピストンの中心部に形成された雌ねじ部と、この雌ねじ部にねじ込まれた雄ねじ部を有し前記羽根車に結合されたねじ軸とでなる使用量計器付き水道蛇口。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記復帰用付勢手段が、前記羽根車を、水の流れによる回転方向とは逆の方向に回転付勢するゼンマイばねである使用量計器付き水道蛇口。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2009−102962(P2009−102962A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278277(P2007−278277)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】
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