説明

供給トレイ及び画像形成装置

【課題】比較的簡素な構造を用いて、カールしたシートを供給可能な供給トレイ及びこの供給トレイを備える画像形成装置を提供することが課題である。
【解決手段】所定の装置にシートを供給する供給部に送られる前記シートを支持する供給トレイであって、開口部を含む第1トレイと、該第1トレイに対し、該第1トレイから引き出された第1姿勢と、前記第1トレイに収容された第2姿勢との間で姿勢変更可能に取り付けられた第2トレイと、を備え、前記第2姿勢にある前記第2トレイは、前記開口部を閉塞し、前記第1姿勢にある前記第2トレイは、前記開口部を開き、前記開口部は、前記シートの一部が通過することを許容するように形成されることを特徴とする供給トレイ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの供給に用いられる供給トレイ及びこの供給トレイを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート材料は様々な技術分野で使用される。例えば、このような技術分野として、画像形成装置を挙げることができる。画像形成装置は、一般的にシートに画像を形成するとき、シートの一方の面(トナー画像が形成された面)に熱エネルギを与え、トナー画像をシートに定着させる。この間、熱エネルギを与えられた面は、他方の面と比べて熱膨張(伸長)するため、シートがカールすることとなる。
【0003】
例えば、葉書に印刷をするときには、葉書の裏面に所望のデザイン若しくは文面の画像を定着させた後、葉書の表面に宛名を印刷することがある。上述の如く、葉書の裏面への印刷が完了したとき、葉書はカールした状態となる。その後、カールした葉書を、再度、給紙トレイに載せ、印刷処理を行おうとするとき、葉書のカールに起因して給紙不良が生ずる。
【0004】
特許文献1は、画像形成装置に対する取り付け角度を変更することが可能な手差しトレイを開示する。特許文献1の手差しトレイは、取り付け角度を可変とすることによって、シートのカールの影響を抑制し、給紙不良の低減を図る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−120498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の手差しトレイは、その一方で、トレイ自身の取り付け角度の変更に伴い、給紙に用いられる給紙ローラや捌きローラ/捌きパッドの取り付け位置及び/又は取り付け設定等の変更を余儀なくされる。したがって、特許文献1の手差しトレイは、複雑な機構を要求するものということができる。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、比較的簡素な構造を用いて、カールしたシートを供給可能な供給トレイ及びこの供給トレイを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る供給トレイは、所定の装置にシートを供給する供給部に送られる前記シートを支持する供給トレイであって、開口部を含む第1トレイと、該第1トレイに対し、該第1トレイから引き出された第1姿勢と、前記第1トレイに収容された第2姿勢との間で姿勢変更可能に取り付けられた第2トレイと、を備え、前記第2姿勢にある前記第2トレイは、前記開口部を閉塞し、前記第1姿勢にある前記第2トレイは、前記開口部を開き、前記開口部は、前記シートの一部が通過することを許容するように形成されることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
上記構成によれば、第1トレイに収容された第2姿勢にある第2トレイは、第1トレイの開口部を閉塞し、シートを支持する役割を担う。第2トレイが第1トレイから引き出された第1姿勢になると、第1トレイの開口部が開かれ、シートの一部が開口部を通過する。したがって、カールしていないシートを支持するときは、第2トレイを用いて、開口部を閉塞し、供給部へ送られるシートを好適に支持することができる。一方、カールしたシートを支持するときは、第2トレイを第1トレイから引き出し、開口部を開くことによって、シートの一部が開口部を通過し、供給トレイからのシートの浮き上がり量を低減させることができ、供給部へ送られるシートを好適に支持することができる。したがって、第1トレイ及び第2トレイの角度を変えなくとも、カールしていないシート及びカールしたシートを好適に支持することができる。
【0010】
上記構成において、前記第1トレイは、互いに対向する前記開口部の一対の側縁に回動可能に接続される第1板と、前記一対の側縁に回動可能に接続される第2板と、を更に含み、前記第1板及び第2板は、前記第2姿勢にある前記第2トレイによって支持されるとともに前記開口部を閉塞し、前記第2トレイが前記第1姿勢にある間、前記開口部を開くように回動することが好ましい(請求項2)。
【0011】
上記構成によれば、第1板及び第2板は、開口部の側縁に回動可能に支持されるとともに、第2板の案内部を介して互いに連結される。第2姿勢にある第2トレイは、第1板及び第2板を支持する。この間、第1板及び第2板は、開口部を閉塞する。したがって、このとき、第1板及び第2板は、供給部へ送られるカールしていないシートを好適に支持することができる。一方、第2トレイが第1姿勢となっている間、第1板及び第2板は第2トレイから支持されないため、開口部を開くように回動する。したがって、シートの一部が、開口部を通過し、供給トレイからのシートの浮き上がり量を低減させることができる。したがって、上記構成の供給トレイは、供給部へ送られるカールしたシートも好適に支持することができる。かくして、第1トレイ及び第2トレイの角度を変えなくとも、カールしていないシート及びカールしたシートを好適に支持することができる。
【0012】
上記構成において、前記第2板は、前記第1板の側縁それぞれと前記開口部の前記一対の側縁それぞれとの間に配設される一対の案内部を含み、該案内部は、前記開口部の側縁に沿って延びるスリットを含み、前記第1板は、前記スリット内に挿入されるとともに、前記第1板及び前記第2板の回動の間、前記スリットに案内される案内軸を含むことが好ましい(請求項3)。
【0013】
上記構成によれば、第1板及び第2板は、案内部のスリットを介して連結され、互いに連動して回動することが可能となる。したがって、第2板を第1板に収容するとき、第1板及び第2板が連動して回動し、好適に開口部を閉塞することが可能となる。
【0014】
上記構成において、前記供給部と前記第1トレイとの間に配設される一対の滑子と、前記滑子を摺動可能に支持する基台と、を更に備え、前記供給トレイは、前記シートを複数枚積層してなるシート束を載置可能に形成され、前記滑子は、前記シート束の両側面に沿う第1規制部と、該第1規制部から突出するとともに前記供給トレイ上に載置可能な前記シート束の厚さの上限を定める第2規制部とを含み、前記滑子を摺動可能に支持する基台を更に備え、該基台は、前記シートの先頭縁から後端縁に向けて上方に傾斜するように前記シートを支持し、前記第2規制部の最下部は、前記供給部に近い側の前記開口部の縁部と等しい高さ又は前記供給部に近い側の前記開口部の縁部よりも高い位置に存することが好ましい(請求項4)。
【0015】
上記構成によれば、供給トレイは複数枚のシートを積層してなるシート束を載置可能である。滑子の第1規制部は、シート束の幅を整えるとともに、供給部により供給トレイから供給されるシートの幅方向(シートの供給方向に対して直交する方向)のブレを規制する。したがって、シートを好適に供給することが可能となる。また、第2規制部は、供給トレイ上に載置されるシート束の厚さの上限を定めるので、シートの供給不良を引き起こすような過度に厚いシートが供給トレイに載置されることを防止できる。第2規制部の最下部は、供給部に近い側の開口部の縁部と等しい高さ又は供給部に近い側の開口部の縁部よりも高い位置に存するので、供給されるシートが第2規制部によって過度に押さえつけられることを抑制することができる。したがって、シートの供給不良を低減することが可能となる。
【0016】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、シートを支持する供給トレイと、該供給トレイから前記シートを供給する供給部と、該供給部により供給されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備え、前記供給トレイは、開口部を含む第1トレイと、該第1トレイに対し、該第1トレイから引き出された第1姿勢と、前記第1トレイに収容された第2姿勢との間で姿勢変更可能に取り付けられた第2トレイと、を備え、前記第2姿勢にある前記第2トレイは、前記開口部を閉塞し、前記第1姿勢にある前記第2トレイは、前記開口部を開き、前記開口部は、前記シートの一部が通過することを許容するように形成されることを特徴とする(請求項5)。
【0017】
上記構成によれば、供給部は、供給トレイからシートを画像形成部に送り、画像形成部はシートに画像形成処理を施与する。第1トレイに収容された第2姿勢にある第2トレイは、第1トレイの開口部を閉塞し、シートを支持する役割を担う。第2トレイが第1トレイから引き出された第1姿勢になると、第1トレイの開口部が開かれ、シートの一部が開口部を通過する。したがって、カールしていないシートを支持するときは、第2トレイを用いて、開口部を閉塞し、供給部へ送られるシートを好適に支持することができる。一方、カールしたシートを支持するときは、第2トレイを第1トレイから引き出し、開口部を開くことによって、シートの一部が開口部を通過し、供給トレイからのシートの浮き上がり量を低減させることができ、供給部へ送られるシートを好適に支持することができる。したがって、第1トレイ及び第2トレイの角度を変えなくとも、カールしていないシート及びカールしたシートを好適に支持することができる。したがって、第1トレイ及び第2トレイの角度を変えなくとも、カールしていないシート及びカールしたシートを好適に支持するとともに画像形成部に送ることができる。
【発明の効果】
【0018】
上述の如く、本発明に係る供給トレイ及び画像形成装置は、比較的簡素な構造を用いて、カールしたシートを供給することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
【図2】図1に示される画像形成装置の斜視図であり、画像形成装置の開閉カバーが開かれている。
【図3】図2に示される画像形成装置からトナー容器を取り出す態様を示す。
【図4】図1乃至図3に示される画像形成装置の内部構造を概略的に示す。
【図5】図1に示される画像形成装置の手差しトレイの斜視図である。
【図6】図5に示される手差しトレイの拡大斜視図である。
【図7】第2トレイが第1トレイ内に収容された手差しトレイの斜視図である。
【図8】手差しトレイの断面図であり、手差しトレイ上にカールしたシートが載置されている。
【図9】手差しトレイの他の構造を示す平面図である。
【図10】図9に示される手差しトレイの断面図である。
【図11】手差しトレイの断面図であり、手差しトレイ上にカールしたシートが載置されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。更に、以下の説明で用いられる「シート」との用語は、主に、葉書を意味するが、本発明はこれに限定されるものではなく、コピー用紙、トレーシングペーパ、厚紙、OHPシートや画像を形成することが可能な他のシートを意味してもよい。「シートの側縁」又はこれに類する用語は、シートの搬送方向に対して平行な方向のシートの縁を意味する。「シートの後端縁」又はこれに類する用語は、シートの搬送方向において後ろ側に位置するシートの縁を意味する。「シートの先頭縁」又はこれに類する用語は、シートの搬送方向において前側に位置するシートの縁を意味する。「幅方向」又はこれに類する用語は、特段の記載がない限り、シートの搬送方向に対して直交する方向を意味する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。図1に示される画像形成装置は、プリンタであるが、本発明はこれに限られるものではなく、コピー機、ファクシミリ装置、これらの機能を併せ持つ複合機やシートに画像を形成することが可能な他の装置であってもよい。
【0022】
プリンタ1は、外部装置(例えば、パーソナルコンピュータ)から画像に関する情報を含む信号を受信し、この信号に基づき、シートに画像を形成する。プリンタ1は、略直方体形状の筐体10を備え、筐体10内には、シートに画像を形成するための機器が収容される。
【0023】
プリンタ1は、給紙カセット11を含む。給紙カセット11は、筐体10に着脱自在に取り付けられ、筐体10の正面下部から筐体10内に挿入される。給紙カセット11内には、複数のシートを積層してなるシート束が収容される。
【0024】
プリンタ1は、給紙カセット11の上方に配設される手差しトレイ12を含む。手差しトレイ12は、筐体10内にシートを供給する供給トレイとして用いられる。手差しトレイ12は、略矩形状の薄板である。手差しトレイ12の下端部は、筐体10に回動可能に取り付けられ、手差しトレイ12は前方に向けて、上下に回動することができる。図1に示される手差しトレイ12の内側面は、手差しトレイ12が前方に向けて倒されたとき、上側を向き、シート束を載置するための支持面となる。プリンタ1の使用者は、給紙カセット11に収容されたシート束に画像形成を行うことも可能であるし、手差しトレイ12上に載置されたシート束に画像形成を行うことも可能である。シートの供給元の選択は、例えば、外部装置によってなされてもよい。手差しトレイ12を上方に回動させると、手差しトレイ12は筐体10の外側に現れ、手差しトレイ12の外側面は、プリンタ1の正面側の化粧面として用いられる。
【0025】
筐体10の上面は、プリンタ1の背面に向けて下方に湾曲する曲面板131と、曲面板131に対して正面側に配設される開閉カバー132とを含む。開閉カバー132は、薄板状の部材から形成され、プリンタ1の正面から背面に向けて下方に傾斜して筐体10に取り付けられる。曲面板131の背面側の縁部から上方に向けて排紙壁139が立設される。排紙壁139は、左右に延びる排紙口133を含む。排紙口133から画像形成処理が施与されたシートが排出される。曲面板131及び開閉カバー132は、排出されたシートを受け止める排紙面130を形成する。上述の如く、曲面板131及び開閉カバー132は、プリンタ1の背面方向に向けて、下方に傾斜するので、排紙面130上で積み重ねられるシートの後端縁は排紙壁139によって整えられることとなる。筐体10は、排紙壁139の左右縁及び曲面板131の左右縁を共通する縁部とする略三角形状の排紙側壁138を含む。曲面板131、開閉カバー132、排紙壁132及び排紙側壁138は、略四面体形状に窪んだ排紙部13を形成する。
【0026】
図2及び図3は、プリンタ1の斜視図である。図2及び図3に示されるプリンタ1の開閉カバー132は上方に回動されている。図3に示されるプリンタ1からは、トナー容器が取り出されている。図2及び図3と併せて、図1を参照し、開閉カバー132について説明する。
【0027】
上述の如く、開閉カバー132は曲面板131に隣接して配設される。曲面板131に隣接する開閉カバー132の縁部周りに開閉カバー132は上方に回動可能である。開閉カバー132を上方に回動すると、トナー容器30が現れる。図3に示されるように、使用者は、開閉カバー132を開き、トナー容器30を交換することができる。開閉カバー132の中央には略三角形状の確認部15が形成される。使用者は、確認部15を通じてトナー容器30の一部を視認することでき、開閉カバー132を開けることなく、例えば、トナー容器30の型番を確認することができる。
【0028】
排紙面130の中央部には、プリンタ1の正面に向けて形成される略台形状の凹面134が形成される。凹面134は曲面板131及び開閉カバー132にわたって形成される。凹面134は、排紙面130に対するシートの接触抵抗を低減させる。
【0029】
筐体10の上面は、排紙部13の左右に配設される上面壁136を含む。右側の上面壁136には、操作パネル14が配設される。使用者は、操作パネル14を通じて、プリンタ1を操作することができ、また、プリンタ1の動作状態を視認することができる。図1に示されるプリンタ1の操作パネル14は、例えば、給紙カセット11内のシートの量やトナー容器30内のトナーの量或いはプリンタ1内でのジャムの発生を知らせる表示部141、印刷を中断させる操作に用いられるキャンセルキー142、印刷を実行させるスタートキー143を含む。
【0030】
図1に示されるプリンタ1は更に、筐体10の左側板に設けられる通気口18及び電源スイッチ19を含む。通気口18は、筐体10の内部に配設される画像形成用の機器の冷却に用いられる。電源スイッチ19は、筐体10の内部に配設される画像形成用の機器に対する電力供給又は電力遮断に用いられる。
【0031】
図4は、プリンタ1の内部構造を示す。図4と併せて、図1を参照しつつ、プリンタ1の内部構造について説明する。
【0032】
プリンタ1の筐体10の内部には、上述された給紙カセット11に加えて、画像形成部20及び定着部27が配設される。上述の如く、給紙カセット11は、印刷処理(画像形成処理)を施与されるシート束P1を収容する。給紙カセット11は、シート束P1を支持するリフト板111を含む。リフト板111は、プリンタ1の正面に向けて上方に傾斜する。給紙カセット11の正面側端部の上方にピックアップローラ112が配設される。リフト板111により傾斜して持ち上げられたシート束P1の先頭縁は、ピックアップローラ112に当接する。ピックアップローラ112が回転すると、シート束P1の最上位置に存するシートPが一枚ずつ給紙搬送路113に送り出される。給紙搬送路113の下流端にはレジストローラ対114が配設される。レジストローラ対114は、画像形成部20にシートPを送り出す。
【0033】
上述の如く、手差しトレイ12をプリンタ1の正面側に回動させると、手差しトレイ12から筐体10内へ給紙することが可能となる。手差しトレイ12上に載置されたシート束P1のシートPは、シートPを供給する供給部として用いられる給紙ローラ(図4に示されず)により、レジストローラ対114へ1枚ずつ送られる。
【0034】
画像形成部20は、上述の如く、外部装置から送信された画像データに関する信号に基づき、シートPにトナー像を形成する。画像形成部20は、略円柱形状の感光体ドラム21を含む。感光体ドラム21の上面には、帯電器22が配設され、帯電器22は、感光体ドラム21の周面を一様に帯電させる。図4に示される帯電器22は、コロナ放電によって、感光体ドラム21の周面に電荷を付与するが、本発明はこれに限られるのものではなく、感光体ドラム21の周面に接触しながら従動回転している間に電荷を付与する帯電ローラが用いられてもよい。
【0035】
感光体ドラム21は時計回りに回転し、感光体ドラム21の周面は、露光装置23からのレーザ光に曝されることとなる。露光装置23は、外部装置から送信された画像データに関する信号に基づき、強弱が付与されたレーザ光を感光体ドラム21の周面に照射する。レーザ光は、感光体ドラム21の周面の電荷を消去する。この結果、感光体ドラム21の周面に画像データに対応する静電潜像が形成される。
【0036】
画像形成部20は、感光体ドラム21、帯電器22及び露光装置23に加えて、現像装置24を含む。現像装置24は、筐体242に内蔵される現像ローラ241を用いて、静電潜像が形成された感光体ドラム21の周面にトナーを供給する。この結果、静電潜像が形成された感光体ドラム21の周面にトナーが付着し、トナー像が形成される。現像装置24には、図2及び図3に関連して示されたトナー容器30が取り付けられる。現像装置24の筐体242内のトナーが消費されると、トナー容器30からトナーが補給される。
【0037】
画像形成部20は、感光体ドラム21の下方に配設される転写ローラ25を更に含む。転写ローラ25は、感光体ドラム21に圧接され、ニップ部を形成する。レジストローラ対114は、転写ローラ25と感光体ドラム21との間のニップ部にシートPを送る。感光体ドラム21の周面のトナーが、例えば、プラスに帯電しているとき、転写ローラ25をマイナスに帯電させることによって、トナー像と逆極性の電荷がシートPに与えられる。シートPがニップ部を通過する間、感光体ドラム21上のトナー像がシートPに向けて、静電気的に引き剥がされ、シートP上へのトナー像の転写がなされることとなる。このようにして、画像形成部20は、ピックアップローラ112、給紙ローラ及びレジストローラ対114などの供給部により供給されたシートPに画像を形成する。
【0038】
画像形成部20は更にクリーニング装置26を含む。クリーニング装置26は、上述の転写処理を終えた感光体ドラム21の周面に残るトナーを除去する。クリーニング装置26によって清浄化された感光体ドラム21の周面は、再度、帯電器22に向かい、次の画像形成処理に供されることとなる。
【0039】
定着部27は、トナー像の転写を受けたシートPに定着処理を施与する。定着部27は、通電発熱体を内蔵するヒートローラ271と、ヒートローラ271に圧接される加圧ローラ272とを含む。ヒートローラ271は、モータ等の駆動源(図示せず)と接続され、駆動回転される。加圧ローラ272の周面は、ヒートローラ271の周面に圧接され、加圧ローラ272は、ヒートローラ271の回転に追従して回転する。加圧ローラ272の周面とヒートローラ271の周面との間のニップ部にトナー像を担持したシートPが送られる。ニップ部を通過する間、ヒートローラ271からの熱を受け、トナーが溶融し、加圧ローラ272の圧力を受け、トナーがシートPに定着される。定着処理を施与されたシートPは、その後、排紙搬送路28を通じて、排紙部13に排出される。上述の如く、シートPは、ヒートローラ271からの熱を受ける。この熱に起因して、排紙部13に排出されるシートPは、カールすることとなる。
【0040】
図5は、手差しトレイ部12の斜視図である。図5に示される手差しトレイ部12は、プリンタ1の正面側に倒されている。図5(a)は、手差しトレイ部12をプリンタ1の右方から俯瞰した斜視図であり、図5(b)は、手差しトレイ部12をプリンタ1の左方から俯瞰した斜視図である。図5と併せて、図1を参照しつつ、手差しトレイ部12について説明する。
【0041】
手差しトレイ部12は、プリンタ1の筐体10に向けて回動したときに、プリンタ1の正面に現れる化粧板121並びに筐体10から引き倒された化粧板121に支持される滑子組立体122、第1トレイ123及び第2トレイ123を含む。滑子組立体122は、化粧板121の回動軸付近(基端部)に配設され、滑子組立体122に隣接して第1トレイ123が配設され、第1トレイ123に隣接して第2トレイ124が配設される。滑子組立体122、第1トレイ123及び第2トレイ124の上面は、シートP及び/又はシート束P1を支持する支持面となる。滑子組立体122、第1トレイ123及び第2トレイ124は、例えば、入れ子式構造をなしてもよい。第1トレイ123は、化粧板121と滑子組立体122との間に形成される空間から引き出し可能に形成され、第2トレイ124は、第1トレイ123の支持面に沿って、第1トレイ123と化粧板121との間の空間から引き出し可能に形成される。これにより、滑子組立体122、第1トレイ123及び第2トレイ124からなる入れ子式構造は、伸縮自在となる。入れ子式構造が最も縮められたとき、入れ子式構造の全長は、化粧板121の基端部(下端部)から先端部(上端部)までの距離以下とされる。これにより、化粧板121が上方に回動されたとき、入れ子式構造は、プリンタ1の筐体10内に収容されることとなる。一方、入れ子式構造が伸長したとき、第2トレイ124は、化粧板121の先端縁を越えて、プリンタ1の正面側に延びる。これにより、所望の大きさのシートを手差しトレイ12上に載置可能となる。
【0042】
入れ子式構造は、化粧板121の内面に支持されるとともに化粧板121と一体的に回動可能に形成される。プリンタ1の正面側に引き倒された化粧板121並びに化粧板121に支持される入れ子式構造は、基端部から先端部に向けて上方に傾斜する。化粧板121の基端部より若干奥方(背面方向)には給紙ローラ125が配設される。これにより、滑子組立体122、第1トレイ123及び第2トレイ124は、シートP及び/又はシート束P1を、給紙トレイに送り込むように支持することができる。
【0043】
図6は、図5に示される手差しトレイ部12の拡大図である。図6(a)は、手差しトレイ部12を右方から俯瞰した斜視図であり、図6(b)は、手差しトレイ部12を左方から俯瞰した斜視図である。図6と併せて、図5を参照しつつ、手差しトレイ部12について更に説明する。
【0044】
滑子組立体122は、シートPの幅方向に延びる略矩形板状の基台221と、一対の滑子222とを含む。基台221は、基台221の中央部から側縁に向けて延びる一対のスリット223を含む。一対の滑子222それぞれは、一対のスリット223それぞれに取り付けられる。これにより、基台221は、一対の滑子222を摺動可能に支持することとなる。
【0045】
滑子222は、基台221の上面に沿って左右に摺動する摺動板224と、摺動板224の外縁から上方に立設される略台形薄板状の第1規制部225と、第1規制部225から内方に突出する略薄板矩形片状の第2規制部226とを含む。第1規制部225は、手差しトレイ12に載置されたシート束P1の両側縁に沿って拡がり、シート束P1の側縁を整えるとともに、給紙ローラ125によって搬送されるシートPの幅方向のブレを規制する。滑子222は、第1トレイ123と給紙ローラ125との間に配設されるので、シート束P1及び/又はシートPの位置決めを好適に行うことができる。第2規制部226は、手差しトレイ12上に載置可能なシート束P1の最大厚さを定める役割を担う。
【0046】
第1トレイ123は、下方に開口した断面略C形状の主板231と、主板231の下面に接続される支持副板232とを含む。支持副板232は、上方に開口した略C型の断面を有し、主板231と支持副板232との間には、第2トレイ124を収容する空間が形成される。
【0047】
第1トレイ123は、矩形状の開口部233を含む。開口部233は、第1トレイ123の幅方向略中心位置に形成される。滑子組立体122の基台221の先端縁227は、開口部233の基端側縁部を定める。
【0048】
図7は、手差しトレイ部12の斜視図である。図7と併せて、図6を参照しつつ、手差しトレイ部12について更に説明する。
【0049】
図7に示される如く、第1トレイ123の主板231と支持副板232との間の空間に第2トレイ124を押し込むと(第2姿勢)、第1トレイ123の開口部233が第2トレイ124により塞がれる。図6に示される如く、第2トレイ124を第1トレイ123から引き出すと(第1姿勢)、開口部233が開かれることとなる。
【0050】
図8は、手差しトレイ部12の断面図である。図8(a)は、図5乃至図7に関連して説明された手差しトレイ部12の断面図であり、図8(b)は、開口部233を備えない手差しトレイ部12Aの断面図である。
【0051】
手差しトレイ部12,12A上にはカールしたシートPが載置されている。図8に示されるシートPは、給紙ローラ125の下方に位置する先頭縁から第1トレイ123に至る後端縁の間で上方に湾曲した輪郭を描いている。滑子222の第2規制部226は、カールしたシートPの途中部に当接し、下方に向けてシートPを湾曲させる。
【0052】
図8(b)に示されるように、第1トレイ123が開口部233を備えない場合、シートPの後端縁は第1トレイ123の上面に支持されることとなり、第2規制部266からシートPの後端縁に至る区間で、シートPは、再度、大きく上方に隆起した輪郭を描くこととなる。一方、図8(a)に示されるように、第2トレイ124(図6及び図7参照)が第1トレイ123から引き出されると、開口部233が開き、シートPの後端部は、開口部233を横切り、第1トレイ123の下方に位置することとなる。したがって、第2規制部266からシートPの後端縁に至る区間で、図8(a)のシートPに見られるような大きな隆起は生じない。したがって、シートPは第2規制部266に引っ掛かることなく、給紙ローラ125によって好適に画像形成部20(図4参照)に送られることとなる。
【0053】
図9は、他の構造を備える第1トレイ123を示す開口部233周囲の拡大平面図である。図9と併せて、図5を参照しつつ第1トレイ123について説明する。
【0054】
上述の如く、第1トレイ123の主板231には、矩形状の開口部233が形成される。開口部233の両側縁234の滑子組立体122側に位置する端部は、内方に向けて突出する支持部235が形成される。開口部233内には、略矩形状の第1板236及び第1板236よりも第2トレイ124側に位置づけられる略C型の第2板237が配設される。第1板236の両側縁363の両端部それぞれには、側方に突出する軸部が形成される。滑子組立体122側に形成される軸部は、回動軸361であり、第2トレイ124側に形成される軸部は、案内軸362である。支持部235には、回動軸361に対して相補的な穴部が形成され、この穴部に回動軸361が挿入され、第1板236は主板231に回動可能に支持される。
【0055】
略C型の第2板237は、第1板236と相補的な形状をなし、第2トレイ233側に向けて延びる第1板236は、第2板237の凹部に嵌り込む。第2板237は、開口部233の幅方向に延びる支持部371と、支持部371から滑子組立体122側に延びる一対の案内部372とを含む。案内部372それぞれは、第1板236の両側縁363それぞれと主板231の両側縁234それぞれとの間で、滑子組立体122に向けて延びる。第2板237の両側縁373の端部のうち、第2トレイ124側の端部には、側方に突出する回動軸374が形成される。開口部233の両側縁234それぞれには、回動軸374に対して相補的な穴部が形成され、この穴部に回動軸374が挿入され、第2板237は主板231に回動可能に支持される。
【0056】
図10は、第1トレイ123の断面図である。図10と併せて、図9を参照しつつ、第1トレイ123について更に説明する。
【0057】
第2板237の案内部372は、開口部233の側縁234に沿って(案内部372の長手方向に)延びるスリット375を含む。第1板236の案内軸362は、スリット375に挿入される。第2トレイ124が、第1トレイ123内に収容されている間、第1板236及び第2板237は、第2トレイ124に支持され、第1板236の上面及び第2板237の上面は、主板231の上面に対して面一となる。第2トレイ124が第1トレイ123から引き出されると、第1板236及び第2板237それぞれは、回動軸361,374それぞれを軸にして、下方に回動する。この間、案内軸362はスリット375に案内されつつ、スリット375内を移動する。したがって、第1板236及び第2板237は、第2トレイ124が第1トレイ123に収容されている間、開口部233を閉塞する第1姿勢となり、第2トレイ124が第1トレイ123から引き出されている間、開口部を開く第2姿勢となる。また、案内部372は、支持部371よりも厚く形成される。支持部371から案内部372に至る遷移領域における第2板237の下縁輪郭379は緩やかに下方に向けて傾斜する。したがって、第2トレイ124は、第1トレイ123内に収容されるとき、案内部372の下縁輪郭379に接触し、第2板237を押し上げる。第1板236は、案内部372のスリットを介して、第2板237に連結されるので、第2板237とともに押し上げられることとなる。したがって、第1板236及び第2板237が互いに連動して上方に回動し、再度、開口部233を閉塞することとなる。
【0058】
図11は、カールしたシートPが載置された手差しトレイ12を示す。図11(a)に示される手差しトレイ12には、図9及び図10に関連して説明された第1トレイ123が組み込まれている。図11(b)に示される手差しトレイ12Aは、図8(b)に示された手差しトレイ12と同様に開口部233は形成されていない。
【0059】
上述の如く、第2トレイ124が第1トレイ123から引き出されると、第1板236及び第2板237はともに下方に回動し、開口部233を開く。この結果、シートPの後端部は、開口部233を横切り、第1トレイ123の下方に至る。この結果、第2規制部226からシートPの後端縁までの区間において、シートPは大きく湾曲しない。一方、開口部233を備えない手差しトレイ12A上のシートPの後端縁は、第1トレイ123に支持されるため、第2規制部226からシートPの後端縁までの区間において、シートPは大きく湾曲する。
【0060】
シートPの後端部の湾曲を抑制するために、第2規制部226の最下部Kは、給紙ローラ125に近い側の開口部233の縁部Lよりも高い位置に存することが好ましい。これにより、第2規制部226のシートP上面との間の摩擦力を一層低減することができ、好適にシートPを搬送することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、これらの機能を併せ持つ複合機などの各種の画像形成装置並びにシートに所定の処理を施与する他の装置に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1・・・・・プリンタ
12・・・・手差しトレイ
123・・・第1トレイ
124・・・第2トレイ
125・・・給紙ローラ
20・・・・画像形成部
221・・・基台
222・・・滑子
225・・・第1規制部
226・・・第2規制部
233・・・開口部
236・・・第1板
237・・・第2板
362・・・案内軸
372・・・案内部
375・・・スリット
P・・・・・シート
P1・・・・シート束


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の装置にシートを供給する供給部に送られる前記シートを支持する供給トレイであって、
開口部を含む第1トレイと、
該第1トレイに対し、該第1トレイから引き出された第1姿勢と、前記第1トレイに収容された第2姿勢との間で姿勢変更可能に取り付けられた第2トレイと、を備え、
前記第2姿勢にある前記第2トレイは、前記開口部を閉塞し、
前記第1姿勢にある前記第2トレイは、前記開口部を開き、
前記開口部は、前記シートの一部が通過することを許容するように形成されることを特徴とする供給トレイ。
【請求項2】
前記第1トレイは、互いに対向する前記開口部の一対の側縁に回動可能に接続される第1板と、
前記一対の側縁に回動可能に接続される第2板と、を更に含み、
前記第1板及び第2板は、前記第2姿勢にある前記第2トレイによって支持されるとともに前記開口部を閉塞し、前記第2トレイが前記第1姿勢にある間、前記開口部を開くように回動することを特徴とする請求項1記載の供給トレイ。
【請求項3】
前記第2板は、前記第1板の側縁それぞれと前記開口部の前記一対の側縁それぞれとの間に配設される一対の案内部を含み、
該案内部は、前記開口部の側縁に沿って延びるスリットを含み、
前記第1板は、前記スリット内に挿入されるとともに、前記第1板及び前記第2板の回動の間、前記スリットに案内される案内軸を含むことを特徴とする請求項2記載の供給トレイ。
【請求項4】
前記供給部と前記第1トレイとの間に配設される一対の滑子と、
前記滑子を摺動可能に支持する基台と、を更に備え、
前記供給トレイは、前記シートを複数枚積層してなるシート束を載置可能に形成され、
前記滑子は、前記シート束の両側面に沿う第1規制部と、該第1規制部から突出するとともに前記供給トレイ上に載置可能な前記シート束の厚さの上限を定める第2規制部とを含み、
前記滑子を摺動可能に支持する基台を更に備え、
該基台は、前記シートの先頭縁から後端縁に向けて上方に傾斜するように前記シートを支持し、
前記第2規制部の最下部は、前記供給部に近い側の前記開口部の縁部と等しい高さ又は前記供給部に近い側の前記開口部の縁部よりも高い位置に存することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の供給トレイ。
【請求項5】
シートを支持する供給トレイと、
該供給トレイから前記シートを供給する供給部と、
該供給部により供給されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備え、
前記供給トレイは、開口部を含む第1トレイと、
該第1トレイに対し、該第1トレイから引き出された第1姿勢と、前記第1トレイに収容された第2姿勢との間で姿勢変更可能に取り付けられた第2トレイと、を備え、
前記第2姿勢にある前記第2トレイは、前記開口部を閉塞し、
前記第1姿勢にある前記第2トレイは、前記開口部を開き、
前記開口部は、前記シートの一部が通過することを許容するように形成されることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−93650(P2011−93650A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248464(P2009−248464)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】