価値媒体処理装置における通路シャッタ
【課題】
本発明の第1の目的はコイン等のコイン状価値媒体を処理できる価値媒体処理装置の返却口から器具を差し込んで行う不正を防止すること、第2の目的は手で操作せずとも返却されたコイン状価値媒体を取り出すことができる価値媒体処理装置を提供すること、第3の目的は小型であって、返却口から器具を差し込んで行う不正を防止できると共に、手で操作せずとも返却されたコイン状価値媒体を取り出すことができる価値媒体処理装置を提供することである。
【解決手段】
この目的を達成するため、本発明にかかる価値媒体処理装置は以下のように構成される。
投入口に投入された価値媒体を処理通路において所定の処理をした後、返却通路を経由して返却口に戻すようにした価値媒体処理装置において、前記返却通路に縦軸を支点に回動可能な板状の板状体を設け、前記板状体は自己モーメントにより閉位置に位置することを特徴とする価値媒体処理装置における通路シャッタである。
本発明の第1の目的はコイン等のコイン状価値媒体を処理できる価値媒体処理装置の返却口から器具を差し込んで行う不正を防止すること、第2の目的は手で操作せずとも返却されたコイン状価値媒体を取り出すことができる価値媒体処理装置を提供すること、第3の目的は小型であって、返却口から器具を差し込んで行う不正を防止できると共に、手で操作せずとも返却されたコイン状価値媒体を取り出すことができる価値媒体処理装置を提供することである。
【解決手段】
この目的を達成するため、本発明にかかる価値媒体処理装置は以下のように構成される。
投入口に投入された価値媒体を処理通路において所定の処理をした後、返却通路を経由して返却口に戻すようにした価値媒体処理装置において、前記返却通路に縦軸を支点に回動可能な板状の板状体を設け、前記板状体は自己モーメントにより閉位置に位置することを特徴とする価値媒体処理装置における通路シャッタである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コインとコイン型価値情報記憶媒体を共通する投入口に投入し、処理したとコイン型価値情報記憶媒体を返却口に戻す価値媒体処理装置に関する。
詳しくは、コインとコイン型価値情報記憶媒体を共通する投入口に投入し、処理したとコイン型価値情報記憶媒体を返却口に戻す価値媒体処理装置の返却通路に配置した通路シャッタに関する。
なお、本発明に係る価値媒体処理装置は、コイン式ゲーム機や自動販売機等に使用可能である。
本明細書において、「コイン」とは、通貨としての硬貨、ゲーム機のメダルおよびトークン等の総称であり、「ICコイン」とはコイン型価値情報記憶媒体の総称である。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、自動販売機の外扉に開口した釣銭返却口であり、該釣銭返却口に臨ませて外扉の裏面側にフラッパ式の釣銭取出扉を備えたコインシュータを装備し、該コインシュータを通じてコイン機構から払出した釣銭を返却口に導くようにしたものにおいて、
釣銭返却口の開口部上縁に、前記釣銭取出扉の前面側に向けアーチ状に張り出して機外から挿入しようとするカード等の異物進入を阻止する庇部を形成したものが知られている。
この構成によれば、釣銭返却口の開口部上縁に形成したアーチ状の庇部が釣銭取出扉との間の隙間の前面を塞いでカード等の異物挿入を阻止する。これにより、機外からカード等の異物を差し込んで釣銭返却口に通じるコインシュータの釣銭通路を塞いで釣銭を通路に詰まらせるいたずらを防ぐことができる。(例えば、特許文献1参照。)。
第2の従来技術として、機体内の硬貨処理機構から払い出されてくる硬貨を機体外面に形成した硬貨返却口に向かって排出案内する硬貨排出通路を形成してある自動販売機の硬貨返却口構造であって、前記硬貨返却口に連通する硬貨返却筒を機体外方に突設し、この硬貨返却筒を、機体外面に近接した状態で下方に向く第1状態と当該第1状態よりも機体外面から離間させた第2状態とに水平軸芯又はほぼ水平軸芯周りで揺動切替自在に構成するとともに、前記硬貨返却筒が第2状態にあるとき前記硬貨排出通路側から硬貨返却筒への硬貨の移動を許容し、かつ、前記硬貨返却筒が第1状態にあるとき前記硬貨排出通路側から硬貨返却筒への硬貨の移動を阻止する硬貨阻止手段を、前記硬貨排出通路から硬貨返却筒内に至る内部空間に設けてある自動販売機の硬貨返却口構造が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
この構成によれば、硬貨返却筒を第1状態から第2状態に揺動操作するだけで、硬貨貯留状態から硬貨排出状態に切り替えることができ、返却筒の出口から器具を挿入して行う不正な硬貨入手を防止できる効果があるとも思われる。
【0003】
【特許文献1】特開2004-21808(図2、段落番号0005〜0012)
【特許文献2】特許第2604915号(図1〜3、段落番号0004〜0008)
【0004】
第1の従来技術は、開口部上縁に形成したアーチ状の庇部が釣銭取出扉との間の隙間の前面を塞いでカード等の異物挿入を阻止できるが、釣銭返却口から細いワイヤ状の器具を装入してセンサ等に誤検知させる不正を防止することは困難であった。
コインの通路には釣銭返却口から挿入されたワイヤ等を阻止する手段が何ら配置されていないからである。
【0005】
第2の従来技術において、返却筒を回動させれば返却筒の出口から器具を挿入して不正に真正コインが通過したのと同様の信号を発生させることができ、不正を防止することが出来ない。
また、第2の従来技術においては硬貨返却筒を手で回さねば釣銭を受け取ることができないので利便性に欠ける問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の目的は、コイン等のコイン状価値媒体を処理できる価値媒体処理装置の返却口から器具を差し込んで行う不正を防止することである。
本発明の第2の目的は、手で操作せずとも返却されたコイン状価値媒体を取り出すことができる価値媒体処理装置を提供することである。
本発明の第3の目的は、小型であって、返却口から器具を差し込んで行う不正を防止できると共に、手で操作せずとも返却されたコイン状価値媒体を取り出すことができる価値媒体処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、本発明にかかる価値媒体処理装置は以下のように構成される。
投入口に投入された価値媒体を処理通路において所定の処理をした後、返却通路を経由して返却口戻すようにした価値媒体処理装置(100)において、前記返却通路に縦軸を支点に回動可能な板状体を設け、前記板状体は自己モーメントにより閉位置に向かうことを特徴とする価値媒体処理装置における通路シャッタである。
【0008】
また本発明は、前記板状体はその一端縁に上下に突出する縦軸を有し、前記縦軸は価値媒体処理装置に前記板状体に対し上下に形成した縦向きの軸孔に回動及びスラスト方向に移動自在に支持され、前記軸孔及び縦軸には自己モーメント発生装置が設けられていることを特徴とする価値媒体処理装置における通路シャッタであることが好ましい。
【0009】
さらに本発明は、前記自己モーメント発生装置は、上側の縦軸(414A)の周囲に形成した螺旋状カム面が形成され、前記軸孔には前記螺旋状カム面に対しスライド可能な固定体が設けられ、前記螺旋状カム面と前記固定体とにより前記板状体に所定方向の自己モーメントを発生させることを特徴とする価値媒体処理装置の通路シャッタであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明において、返却通路には縦軸を支点に回動可能な平板状の板状体が配置され、当該板状体は自己モーメントにより閉位置に位置する。
換言すれば、返却口から見た場合、返却通路は通常、板状体によって閉止されている。
しかし、コインが板状体を押した場合、当該板状体はコインによって押されて開き、コインは返却口へ向かって移動できる。
コインが移動した後、当該板状体は自己モーメントにより閉止位置に復帰する。
したがって、返却口から板状体の億の返却通路へ器具を挿入しようとしても挿入できない。
よって、不正をすることはできない。
【0011】
板状体は板状体の一端縁に上下に突出する縦軸を有し、前記縦軸は価値媒体処理装置に前記板状体に対し上下に形成した縦向きの軸孔に回動及びスラスト自在に支持され、回動により返却通路を開閉することができる。
板状体は前記軸孔及び縦軸によって構成した自己モーメント発生装置によって返却通路を常時閉止する方向に自己モーメントが発生する。
換言すれば、この自己モーメントにより板状体は返却通路を閉止する位置に保持される。
自己モーメントは、力の大きさが安定しているので、軽量のコインによっても解放位置へ移動されることができる。
【0012】
さらに自己モーメント発生装置は、上側の縦軸の周囲に螺旋面が形成され、前記軸孔には前記螺旋面に対しスライド可能な固定体が設けられ、前記螺旋面と前記固定体とにより板状体に自己モーメントを発生させる構造である。
これにより、縦軸の周囲に形成した螺旋面と軸孔に形成した固定体とによって自己モーメント発生装置が構成されるので、構造簡単であり、安価に構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
投入口に投入された価値媒体を処理通路において所定の処理をした後、返却通路を経由して返却口に戻すようにした価値媒体処理装置において、
前記返却通路に縦軸を支点に回動可能な平板状の板状体を設け、前記板状体は自己モーメントにより閉位置に位置することを特徴とする価値媒体処理装置における通路シャッタであって、前記板状体は板状体の一端縁に上下に突出する縦軸を有し、前記縦軸は価値媒体処理装置に前記板状体に対し上下に形成した縦向きの軸孔に回動及びスラスト方向に自在に支持され、前記軸孔及び縦軸には自己モーメント発生装置が設けられ、前記自己モーメント発生装置は、上側の縦軸の周囲に螺旋面が形成され、前記軸孔には前記螺旋面に対しスライド可能な固定体が設けられ、前記螺旋面と前記固定体とにより板状体に自己モーメントを発生させることを特徴とする価値媒体処理装置である。
【実施例】
【0014】
図1に示すように、実施例においてコインCは円盤状かつ金属製であって下向き傾斜通路を自重で転動できる。
ICコインECは円盤状であって下向き傾斜通路を自重で転動でき、かつ、非接触で読込若しくは書込可能なアンテナを備えたICチップTPを内蔵するコアECCとその外周に位置し、磁性体、好ましくは強磁性体からなるリムECRにより構成され、例えば500円コインよりも僅かに小さい厚み、及び、直径に形成される。
コイン形価値情報記憶媒体とは、 ICコインECをいう。
ICコインECは適宜のサイズに構成できるが、最高額コインよりも価値が高いことを顧客にイメージさせるため、500円コインと同程度のサイズに構成することが好ましい。
磁性体の材質は適宜選択できるが、鉄の場合、錆びるため外見上好ましくなく、さらに、偽造されやすいため、本出願人の出願にかかる特許第3039838号に記載のステンレス鋼等を採用することが好ましい。
【0015】
価値媒体処理装置100は、投入口102、ICコイン通路104、コイン通路106、ICコインの保留装置108、読込書込装置110、ICコイン振分装置112、判別装置114、コイン振分装置116、返却通路118、返却口122、キャンセル装置124、ICコインの検知装置126、投入阻止装置128、及びシャッタ装置132を含んでいる。
このシャッタ装置132に係る構造が本願の発明に関する。
【0016】
まず、投入口102が図1、5及び6を参照して説明される。
投入口102は、コインC及び価値情報記憶媒体としてのICコインECを投入される機能を有する。
投入口102は、コインC及びICコインECの共通投入口である。
本実施例において、投入口102は縦長矩形であって、その幅は最大厚みである500円コインの厚みよりも僅かに大きく、かつその高さは500円コインの直径よりも僅かに大きく形成されている。
以上より、投入口102にはICコインEC、5円〜500円コイン及びゲームトークンを投入することができる。
コインC及びICコインECの投入口を共通にすることにより、投入口設置範囲を小さくできるので、装置を小型化できる利点を有する。
本実施例において、投入口102は垂立する縦長矩形のフロントカバ134に形成されている。
フロントカバ134は、金属製の板状のフロントパネル136の前面を覆うように固定されている。
【0017】
次にICコイン通路104が図5を参照して説明される。
ICコイン通路104は、投入口102に投入されたICコインECが自重により転動する機能を有する。
ICコイン通路104は、後述するようにCコイン通路部材354によって下面、一側面及び上面を画定される。
ICコイン通路104は、投入口102に続いて形成され、投入口102から離れるにしたがって下方に位置する下向きの傾斜通路であり、ICコインガイドレール162、ベース144及びキャンセルカバ146によって下及び左右を囲われた縦長スリット状の通路である(図6)参照。
換言すれば、ICコイン通路104は、ベース144の側面152、キャンセルカバ146の側面160及びICコインガイドレール162によって画定された図5において左下がりに直線的に伸びる通路である。
ICコインガイドレール162は、投入口102の下縁に続いて所定の角度で前下がり(図5において左下がり)に形成された直線状の細長い突起であり、ベース144に一体的に直線状に形成された固定ICコインガイドレール162F及びキャンセルカバ146に回動可能に支持された固定ICコインガイドレール162Fと投入口102の間に位置できる可動ICコインガイドレール162Mとよりなり、固定ICコインガイドレール162F及び可動ICコインガイドレール162Mとは前下がりの一直線状のICコインガイドレール162を構成する。
【0018】
ベース144は、フロントパネル136に対し直角に固定された垂立する非磁性体よりなるほぼ矩形の板状体である。
ベース144の側面152は、投入されたコインC及びICコインECのガイドのため、投入口102の側面140と同一平面内に位置される。
ベース144は、樹脂によって一体成形することが好ましい。
【0019】
図3において、キャンセルカバ146は、非磁性体よりなるほぼ矩形の板状体であり、上端部がベース144の軸受154A、154Bに取り付けられた軸156に揺動自在に支持され、付勢用のスプリング158によってベース144に近づくよう回動力を受け、下端の突起159(図13)をベース144に突き当てることにより側面152及び160が平行に所定の間隔で位置するよう設定してある。
キャンセルカバ146は、樹脂により一体成形することが好ましい。
キャンセルカバ146の投入口102側の中間に上端部に可動ICコインガイドレール162Mが形成された揺動体163から前後に突出する支軸165A、165B(図15)が軸受167A、167Bに回動自在に軸支されている。
揺動体163は、上下方向に伸びるレバであって、中間から横向きに突出する支軸165A、165Bを軸受167A、167Bに回動自在に支持されている。
揺動体163の下端部からフロントパネル136に向かって被動片169(図2)が突設されている。
支軸165A、165Bの軸線は、コインガイドレール150と平行に配置されている。
可動ICコインガイドレール162Mは、コインガイドレール150と平行に配置され、ガイド位置GPに位置する場合、ICコインECが転動する面は側面152に向かって傾斜している。
また、揺動体163は通常、共通通路170から退出方向にモーメントが作用し、ICコインECが乗った場合、ガイド位置GPに保持されるようモーメントが設定されている。
【0020】
次にコイン通路106を図5を参照して説明する。
コイン通路106は、投入口102に投入されたコインCが転動する機能を有する。
コイン通路106は、投入口102近傍のICコイン通路104に連続し、その下方において、ICコイン通路104と平行に直線的に伸びている。
コイン通路106の幅はICコイン通路104厚みと同一である。
詳細には、5円〜500円コインの中で最も厚い500円硬貨の厚みよりも僅かに広い幅を有している。
換言すれば、コインC及びICコインECはコイン通路106、及びICコイン通路104において転動可能である。
コイン通路106は、前下がりに傾斜するコインガイドレール150、ベース144及びキャンセルカバ146によって囲われた断面矩形の縦長直線状通路である。
換言すれば、コイン通路106は、投入口102から遠ざかるにしたがって下向きに傾斜し、その上端はICコイン通路104に連通している。
【0021】
コインCは投入口102から投入された直後、ICコイン通路104をほぼ直径分移動した後、何ら支えられないのでコイン通路106に落下する。
よって、投入口102に連なるICコイン通路104は、ICコイン通路104との共通通路170である。
キャンセルカバ146の側面160の下端からコインガイドレール166が突出し、コインガイドレール166上面はベース144側に向かって下降するよう傾斜している。
この傾斜により、コインCはベース144にもたれつつ転動するので転動位置が安定する効果がある。
ベース144の側面152とキャンセルガイド側面164との間隔は、選別するコインCの最大厚みよりも僅かに大きく設定されている。
コイン通路106は、ベース144とキャンセルカバ146及びコインガイドレール166によって構成される。
【0022】
コインガイドレール166は、転動開始ガイドレール148及びコインガイドレール150によって構成される。
固定コインガイドレール150は、固定ICコインガイドレール162Fと平行に形成されている。
転動開始ガイドレール148は、フロントパネル136に隣接したキャンセルカバ146に固定された台形の金属板であり、コインガイドレール150に連なる落下転動面168が湾曲して形成されている。
コインCの落下によって落下転動面168が摩耗しないため、及び、コインCの転動速度向上のためである。
コインCは側面152及びキャンセルカバ146の側面160によって側面を案内されつつ立った状態でコインガイドレール166上を転動可能である。
【0023】
次にキャンセル装置124を主に図3を参照して説明する。
キャンセル装置124は、ICコイン通路104若しくはコイン通路106においてジャムしたコインC、又は、投入したコインCをキャンセルし、返却口122に戻す機能を有する。
本実施例において、キャンセル装置124は、キャンセルカバ146、キャンセルレバ174、及び、第1リンク機構176を含んでいる。
【0024】
まず、キャンセルレバ174を説明する。
キャンセルレバ174は、顧客がコインCをキャンセルするために操作するレバであり、ベース144から横方向に突出する固定軸178にその中間を回転自在に取り付けられている。
その操作レバ180はフロントカバ134の投入口102に対し右側下方に形成された開口182からフロントカバ134の前方に突出され、顧客によって押し下げ可能に配置されている。
操作レバ180の中間側面に斜面よりなる押下カム184が形成され第1揺動レバ190を押し下げることができる。
操作レバ180は弾性的に図3において時計方向に付勢され、通常、図3に示す待機位置においてストッパ(図示せず)により停止され、保持される。
【0025】
次に第1リンク機構176が図6を参照して説明される。
第1リンク機構176は、押下カム184が図3において反時計方向に回動された場合、キャンセルカバ146の下端をベース144から遠ざける方向に移動させる機能を有する。
第1リンク機構176は、フロントパネル136から横向き後方向に延びる固定軸185に回動自在に取り付けられた第1揺動レバ190の横向き先端190T(図8)がキャンセルカバ146の傾斜下端148Uを押動することにより、キャンセルカバ146は軸156を支点に回動し、ベース144に対し傾斜される。
これにより、コインガイドレール166の側端面と側面152との隙間はコインCの厚み以上に離され、かつ、コインガイドレール150の上面は横方向に対して下向き傾斜になるので、その上に載っているコインCは、自重により落下する。
落下したコインCは、コイン通路106の下方においてベース144に形成され、フロントパネル136側へ下向きに傾斜し、返却通路118を構成するコイン返却ガイドレール192(図13)上に落下した後、自重によりその上を図5において右方向へ転動し、返却口122へ転げ落ちる。
返却口122は、コインCの両サイド及び前方を囲う溝状に形成されているので、コインCは返却口122において立った状態で保持される。
【0026】
次にICコインEC及びコインCの検知装置126が図5を参照して説明される。
検知装置126は、共通通路170に配置され、投入口102に投入された価値媒体がコインCであるかICコインECであるかを判別する機能を有する。
よって、検知装置126は同様の機能を有する他の装置に変更することができる。
本実施例において、検知装置126はベース144の側面152に配置された第1センサ196と第2センサ198を含んでいる。
本実施例において、第1センサ196及び第2センサ198は、共通通路170を横断する透過型の光電センサであるが、反射型光電センサや接触式センサ等に変更することができる。
第1センサ196は、逸らせ装置122及びICコインガイドレール162の近傍に配置され、コインC及びICコインECによって投射光を遮断され、遮断された時に検知信号を出力する。
第2センサ198は、共通通路170を通過するコインCによっては遮断されないが、大径のICコインECによって遮断される位置に配置されている。
よって、第1センサ196及び第2センサ198の投射光が同時に遮断された場合、ICコインECが投入されたと判別し、逸らせ装置122をICコイン通路104から退出させる。
【0027】
次に判別装置114が図2を参照して説明される。
判別装置114は、コイン通路106を転動するコインCの正偽及び金種を判別する機能を有する。
判別装置114は、コイン通路106に沿ってベース144及びキャンセルカバ146に相対して固定されたコアにコイルを巻きつけたコイル体232、234、236を含んでいる。
コイル体232は、コインCの直径を検知するために用いられる。
コイル体234は、コインCの厚みを検知するために用いられる。
コイル体236は、コインCの材質を検知するために用いられる。
これらコイル体232、234、236からの出力を判別回路(図示せず)に入力し、所定の基準値と比較してコインCの正貨及び偽貨並びに金種を判別する。
判別装置114は偽貨の場合、コイン振分装置116にキャンセル信号CSを出力する。
【0028】
次にコイン振分装置116が図5及び図8を参照して説明される。
コイン振分装置116は、コイン通路106を転動するコインCをコイン返却通路191若しくは保留金庫194へのコイン収納通路244Cに振り分ける機能を有する。
コイン振分装置116は、コイン振分体246と電磁アクチュエータ248と第2リンク機構252を有する。
コイン振分体246は、コイン通路106の延長上のキャンセル位置CP若しくは収納通路244Cへ案内する収納位置SPに位置可能である。
コイン振分体246は、ベース144から横方向へ突出する固定軸258に回転自在に取り付けられた第2揺動レバ254の先端から横方向に向かってコイン通路106に延びる棒体である。
第2揺動レバ254の他端は、第1電磁アクチュエータ248の鉄心260にリンク機構252によってリンク結合されている。
鉄心260は、スプリング(図示せず)により、図8において左方向へ付勢され、通常、キャンセル位置CPに保持される。
【0029】
判別装置114が真正コインと判別した場合、第1電磁アクチュエータ248が励磁され、鉄心260が図8において右方へ移動されるので、第2揺動レバ254は反時計方向へ回動され、コイン振分体246は収納位置SPに移動され、保持される。
コイン振分体246が収納位置SPに保持される場合、コイン通路106を転動するコインCは、コインガイドレール150からコイン振分体246上に落下してコイン収納通路244Cに案内される。
コイン振分体246がキャンセル位置CPに位置する場合、コイン通路106から落下したコインCはコイン振分体246に当接して図5において右方へ案内されるので、コイン返却通路191のコインキャンセルガイドレール192上を転動して返却口122へ戻される。
【0030】
図7及び図13に示すように、コイン返却通路191は垂立する隔壁335と当該隔壁335に対し所定の間隔で平行に垂立するガイド板250及びそれらの間に位置するコイン返却ガイドレール192により構成される。
【0031】
次に逸らせ装置122が図5、6、7を参照して説明される。
逸らせ装置122は、投入口102に投入されたコインCをコイン通路106に案内する機能を有する。
逸らせ装置122は、逸らせ体262、第3リンク機構264、及び第2電磁アクチュエータ266を含んでいる。
逸らせ体262は、板状であり、図12に示すようにL形に形成され、ベース144に対し平行に固定された固定軸268に回動自在に取り付けた第3揺動レバ270の一端に対し直角に位置している。
逸らせ体262は垂立部272及び下向き傾斜部274を有し、投入されたコインCは垂立部272に衝突して転がり慣性力を消去され、自重で下方へ落下した後、転動ガイドレール148の転動面168上に落下する。
第3揺動レバ270の固定軸268よりもベース144に遠い位置から上方に突出する軸276にリンク278の端部が回動自在に取り付けられている。
リンク278の他端は、第2電磁アクチュエータ266の鉄心280に回動自在に取り付けられている。
鉄心280は、スプリング(図示せず)によって突出方向に付勢されている。
【0032】
よって、第2電磁アクチュエータ266が励磁され、鉄心280が吸引され、図6において上方へ移動された場合、第3揺動レバ270は反時計方向へ回動され、逸らせ体262はICコイン通路104の共通通路170に進行し、共通通路170をほぼ横断するよう位置する。
第2電磁アクチュエータ266が消磁された場合、鉄心280は図示しないスプリングにより図6、12における下方へ移動される。
第3揺動レバ270は時計方向へ回動され、逸らせ体262が共通通路170(ICコイン通路104)から退出する(図6、12の位置)。
このとき、後述のように、投入阻止部材306が投入口102に隣接したICコイン通路104に進出しているので、コインCを投入することはできない。
【0033】
次にICコイン保留装置108が図5を参照して説明される。
ICコイン保留装置108は、ICコインECが投入された場合、ICコインECをICコイン通路104に保留する機能を有する。
ICコイン保留装置108は、停止片282及び第2電磁アクチュエータ266との第4リンク機構283を含んでいる。
【0034】
停止片282は、ICコイン通路104の上方において、ベース144から側方に突出する固定軸284に回動自在に取り付けられ、ベース144に隣接し、ベース144に対し平行な平面内において回動できる。
第4リンク機構283は、鉄心280に固定され、ベース144にガイドされつつ横方向に往復動可能に設けたスライド片287、スライド片287から横方向へ突出するピン288及び、停止片282に形成した長孔290を含み、ピン288が長孔290にスライド可能に挿入されている。
固定ICコインガイドレール162Fを挟んだ側壁152の反対側に固定の棒状の落下防止体291が配置されている。
ICコインECが保留位置SPに保持されている状態において、キャンセルレバ174が操作され、キャンセルカバ146が移動されることによりICコインECが保留位置HPから落下することを防止するためである。
【0035】
第2電磁アクチュエータ266が消磁されている場合、スライド片287は図8において最左方に位置しているので、停止片282は図5において時計方向に回動された保持位置SPに保持される。
停止片282が保持位置SPに位置する場合、ICコインガイドレール162上を転動してきたICコインECは、停止片282の先端に当接して転動を阻止され、保留位置HPに保持される。
【0036】
第2電磁アクチュエータ266が励磁された場合、鉄心280が図8において右方へ移動されるため、停止片282は図5において反時計方向へ回動される。
これにより、停止片282の先端はICコインECに当接しない位置に移動され、ICコインECはICコイン通路104を図5においてさらに左方へ転動可能になる。
ICコイン通路104を転動するICコインECは、ICコイン振分装置112によって収納通路244IC又はICコイン返却通路313へ案内される。
【0037】
次に投入阻止装置128が図12を参照して説明される。
投入阻止装置128は、ICコインECが保留位置HPに保留されている場合、コインC及びICコインECを投入口102に投入できないようにする機能を有する。
投入I阻止手段132は、第3揺動レバ270と一体に形成したL形レバ302である。
L形レバ302の先端が投入阻止部材306である。
【0038】
投入阻止部材306は、投入口102の後方のフロントパネル136に近接した位置において、共通通路170に進退可能である。
よって、逸らせ体262と投入阻止部材306とは第3揺動レバ270の揺動によって反対位相で共通通路170に進退する。
詳述すれば、逸らせ体262が共通通路170に位置している場合、投入阻止部材306は共通通路170から退出する。
逸らせ体262が共通通路170から退出している場合、投入阻止部材306は投入口102に相対する共通通路170に位置する。
よって、投入阻止部材306が共通通路170に位置する場合、コインC及びICコインECを投入口102に投入することが出来ない。
これにより、重複してコインC及びICコインECを処理することを防止する。
【0039】
次に読込書込装置110が図8を参照して説明される。
読込書込装置110は、保留位置HPに保留されたICコインECのICチップTPと価値情報を無線通信によって読込書込する機能を有する。
本実施例においては、読込書込装置110は、ベース144に固定され、通信機能を有するIC及びアンテナを搭載した通信基板311である。
【0040】
次にICコイン振分装置112が図8を参照して説明される。
ICコイン振分装置112は、停止片282による保持を解除されたICコインECをICコイン収納通路244IC若しくはICコイン返却通路313に振分ける機能を有する。
ICコイン振分装置112は、ICコイン振分体314及び第3第3電磁アクチュエータ316を含んでいる。
ICコイン振分体314は縦軸318がベース144に形成された軸受318A、318Bに回転自在に支持されている。
縦軸318の上端部に側方に突出する被動レバ325が固定され、被動レバ325の自由端は第3電磁アクチュエータ316の鉄心326の先端に固定された駆動体328の孔332に挿入されている。
【0041】
第3電磁アクチュエータ316が消磁されている場合、鉄心326はスプリング(図示せず)によって突出され図7に示す返却位置CPに保持される。
返却位置CPにおいて、ICコイン振分体314は図9の位置に保持され、一側面である返却案内面334はICコイン通路104を形成する側面152に連なって後、下方に向かうにしたがって横方向へ突出するよう緩やかに湾曲している。
この湾曲によって、ICコインECは、ICコイン返却通路313に案内される。
【0042】
ICコイン返却通路313は、コインガイドレール150の下方に形成され、隔壁335によって区切られてコイン返却通路191に対し並列配置されている。
隔壁335はキャンセルカバ146の延長上に位置している。
【0043】
第3電磁アクチュエータ316が励磁された場合、ICコイン振分体314は図9において時計方向に回動され、返却案内面334の裏面側の収納案内面336がキャンセルカバ146の側壁160の延長上の収納位置RPに位置する。
収納案内面336は、ICコインECを収納通路244ICに案内するよう湾曲形成されている。
これにより、ICコインECはICコイン収納通路244ICへ案内される。
【0044】
ICコイン収納通路244ICは、ベース144によってコイン収納通路244Cに対し区画され、並列配置されている。
【0045】
なお、図5に示すようにコイン収納通路244Cに糸吊り防止手段320を配置することが好ましい。
本実施例の糸吊り防止手段320は、軸322に対し揺動可能に取り付けた扇形の阻止体324である。
通常、重力により阻止体324の一部が収納通路244に突出した状態に垂下される。
正貨コインCが通過する場合、阻止体324は当該コインCにより移動され、当該コインCは通過することが出来る。
コインCが通過した後、阻止体324は自己モーメントにより元に戻る(図5の位置)。
これにより、糸吊りしたコインCを引き上げた場合、当該コインCによって阻止体324は収納通路244C内に引き入れられるように力を受けるので、阻止体324に移動を阻止され、引き上げることはできない。
【0046】
フロントカバ134にICコインECのICチップTPに記憶された価値情報を表示するための表示器330を装着することが好ましい。
表示器330は、上向きに形成し、顧客から見えやすいように配置することが好ましい。
また、フロントカバ134を透光性樹脂にて製造し、フロントカバ134裏面側のフロントパネル136に多数のLEDを配置して発光させることにより、装飾性を高めることができる。
さらに、フロントカバ134の背面にスピーカーを組み込むことにより、音楽やアナウンスを流すことができる。
【0047】
次に可動ICコインガイドレール162Mの移動装置308が図9、11及び16を参照して説明される。
移動装置308は、ICコインECが投入口102に投入された場合、可動ICコインガイドレール162Mをガイド位置GPに移動させる機能を有する。
移動装置308は、永久磁石334と連動装置310を含んでいる。
まず、永久磁石334を説明する。
永久磁石334は。コイン投入口102のすく下流の共通通路170に接離可能に隣接して配置され、ICコインECのリムECRの側方に配置される。
換言すれば、永久磁石334はベース144に形成された開口335においてリムECRの磁性に引かれてICコインECに近づくように移動可能である。
【0048】
次に連動装置310を説明する。
連動装置310は、永久磁石334が自己の着磁力によってICコインECのリムECRに吸着されて移動した場合、永久磁石334の移動を可動ICコインガイドレール162Mの移動に連動させる機能を有する。
連動装置310は、第4揺動レバ338を含んでいる。
第4揺動レバ338は、フロントカバ134の裏面から横向き後方に突出する固定軸344に中間を回動自在に支持された上下方向に直線状に延びる棒状体である。
第4揺動レバ338の上端に形成された円筒ホルダ340に円柱形の永久磁石334が挿入固定され、固定軸344に対し下側には係止凹部346及び下端部に押動部342が形成されている。
押動部342は、揺動体163の被動片169を押動する。
第4揺動レバ338は自己モーメントにより図11において反時計方向に回動するが、ICコインECのリムCERが所定値以上の磁性体である場合、永久磁石334の吸着力により図11において時計方向に回動される。
これにより押動部342が被動片169を押動して揺動体163を回動させ、可動ICコインガイドレール162Mをガイド位置GPに移動させる(図15)。
リムECRが鉄等の強磁性体である場合、ICコインECは永久磁石334に吸着され、可動ICコインガイドレール162M上を転動できない。
この場合、キャンセルレバ174のキャンセル操作を利用して吸着解除装置350により解除する。
したがって、リムCERの磁性は、永久磁石334の磁力との関係で所定値以上所定値以下でなければならない。
換言すれば、鉄を強磁性体とすれば、磁性ステンレスのような弱磁性体でなければならない。
【0049】
次に吸着解除装置350が図10を参照して説明される。
吸着解除装置350は、永久磁石334に吸着された偽ICコインを解除する機能を有する。
第1揺動レバ190から側方に突出する弧状の解除片352が係止凹部346に挿入されている。
前述のように、リムECRが強磁性体で製造された偽ICコインが投入された場合、キャンセルレバ174を押し下げると押下カム184によって第1揺動レバ190が押されて図11において反時計方向に回動される。
これにより、先端190Tはキャンセルカバ146の下端を押すのでキャンセルレバ146は軸156を支点に回動され、ベース144との間隔が拡大される。
また、第1揺動レバ190の回動によって解除片352が係止凹部346の上部346Uを押すので、第4揺動レバ338は図17において反時計方向に回動される。
これにより、永久磁石334は強制的に偽ICコインから引き離され、偽ICコインは真下に落下して返却通路118に達した後、返却口122に返却される。
【0050】
本実施例において、ICコイン通路104はベース144に固定されたICコイン通路部材354によって下面、一側面及び上面を画定されている。
換言すれば、ICコイン通路部材354はネジ孔356を貫通するビス(図示せず)などによりベース144に一体化されている。
【0051】
ICコイン通路部材354は、側壁362、入口下端画定体364、固定ICコインガイドレール162F、上側ガイドレール部材366、強制受入装置368、及び案内体372が一体に形成されている。
ICコイン通路部材354をベース144と別体に構成することにより、ベース144よりも耐摩耗性に勝る材料を選択でき、また、摩耗した場合ICコイン通路部材354のみを交換することにより修復できる利点がある。
【0052】
まず側壁362を説明する。
側壁362は、側面152を構成する機能を有し、垂立する板状を呈し、そのICコイン通路104側の側面が側面152である。
側面152には、ICコインECが面接触せず円滑に転動可能とするため、ICコイン通路104の伸長方向に平行に延在するリブ374を形成することが好ましい。
【0053】
次に投入口下端画定体364が説明される。
投入口下端画定体364は、縦長スリット状の投入口102の下面を画定する機能を有する。
投入口下端画定体364は、側壁362の投入口102側下端部に横向きに台形状にICコインECの厚みよりも僅かに大きい量で突出形成されている。
投入口下端画定体364の画定体上面376によって、投入口102の下面が画定され、その上面376は、投入口側から上向案内斜面378、頂部382及び下向案内斜面384を有する。
【0054】
次に固定ICコインガイドレール162Fを説明する。
固定ICコインガイドレール162Fは、ICコインECが転動する機能を有する。
固定ICコインガイドレール162Fは、入口下端画定体364から反投入口102側に可動ガイドレール162Mの全長よりも僅かに離れた位置からICコイン通路104の下流に向かって所定の長さで側壁362の下端部から横向きに入口下端画定体364と同じ量、突出形成されている。
固定ICコインガイドレール162Fは、可動ガイドレール162Mを通過したICコインECが転動する。
固定ICコインガイドレール162Fは可動ガイドレール162M側の前下がりの傾斜角度が小さい緩斜面386とそれよりも傾斜角が大きい急斜面388とにより構成されている。
換言すれば、固定ICコインガイドレール162FはICコイン通路104の下面を画定形成し、全体としてICコイン通路104の奥(投入口102から遠ざかる方向)に向かって前下がりに構成される。
【0055】
可動ガイドレール162MがICコイン通路104を画定する位置に移動した場合、図18において鎖線で示すように下向き斜面384の端部と緩斜面386の端部とを直線的に結ぶ位置に進行する。
緩斜面386を構成することにより、可及的に大径のICコインECを使用することができる利点がある。
換言すれば、上側ガイドレール368と固定ICコインガイドレール162Fとの間隔を可及的に大きくすることができる。
【0056】
次に上側ガイドレール部材366を説明する。
上側ガイドレール366はICコイン通路104の上側を画定する機能を有する。
上側ガイドレール366は、固定ガイドレール162Fの急斜面388に対し平行にICコインECの直径よりも大きな間隔で配置された上側ガイドレール368が下面に形成され、側壁362から横向きに突出する台形状を呈している。
【0057】
次に強制受入装置368が説明される。
強制受入装置368は、投入口102に挿入されたICコインECをICコイン通路104の奥側に向かって強制的に送り込む機能を有する。
したがって、同様の機能を有する装置に変更することができる。
本実施例の強制受入装置368は、上側ガイドレール部材368の投入口102側の端面から投入口102側に向かって片持ち状に板状で所定の長さで突出する弾性を有するバネ体392である。
バネ体392は上側ガイドレール部材366と一体に樹脂により成形され、かつ薄板状、及び弧状に突出していることから、所定の弾発力を有している。
バネ体392の自由端394は、入口102の上側端の近傍に位置し、横向き円柱状に形成されている。
バネ体392が何ら外力を受けない場合、その自由端394の下縁と入口下端画定体364の上面376との間隔は、ICコインECの直径よりも小さい距離離れている。
【0058】
ICコインECが投入口102に挿入された場合、ICコインECの下周面は入口下端画定体364の頂部382から下向き斜面384の順に滑って或いは転がって案内されるので、その上端周縁は自由端394の下縁を押し上げてバネ体392を変形させつつICコイン通路104の奥部へ向かって移動する。
これにより、バネ体392の弾発力は徐々に高められる。
換言すれば、顧客はICコインECを投入口102に挿入する際、バネ体392によって小さな抵抗を受けつつ押し込むことになる。
これにより、ICコインECを勢いよくICコイン通路104に投入できないので、投入速度差によって生じる問題をも解消できる。
【0059】
ICコインECの中心が下向き斜面384と自由端394とを結ぶ直線を通過した直後、自由端394はバネ体392の弾発力によってICコインECの後端側下向き弧状周面に作用させ、ICコイン通路104の奥部へ押し出す力を付与する。
これにより、ICコインECは自由端394によってICコイン通路104の奥部へ向かって弾き入れられる。
バネ体392の弾発力は大凡同一であるので、ICコイン通路104におけるICコインECの移動速度は所定速度以上であり、かつ毎回ほぼ同一速度になる。
さらに、投入口102の側方には永久磁石334が配置され、リムECRの磁性によりこICコインECは永久磁石334に吸着され、保持されそうになる。
しかし、ICコインECはバネ体392によって弾かれることによって強制的に移動されるので、ICコインECが永久磁石334に吸着されて保持され続けることはない。
【0060】
なお、ICコインEC以外のコインCが投入口102に投入される場合、自由端394は当該コインCに接しないことが好ましい。
バネ体392がコインCを弾かない場合であっても、コインCは非磁性体若しくは磁性があっても極めて小さいので、コインCが永久磁石334の磁力によって投入口102に保持されることはない。
換言すれば、ICコインECの直径が、使用可能コインにおいて、最大であることが好ましい。高額価値感覚を醸しだすからである。
【0061】
次に案内体372が説明される。
案内体372は、バネ体392によってICコイン通路104の奥側に向かって弾き入れられたICコインECを可動ガイドレール162M側に案内する機能を有する。
案内体372は、バネ体392の根本部の上側ガイドレール部材366のバネ体392よりもICコイン通路104側の端面から投入口102に向かってバネ体392の約三分の一の長さで突出している。
案内体372の先端398は、可動ガイドレール162Mに対し、投入口102側の間隔が大きく、ICコイン通路104の下流側に向かって間隔が狭くなるよう前下り斜面400に形成されている。
この構成により、ICコインECがバネ体392によって弾かれた反動で可動ガイドレール162Mから浮いた場合、直ぐさまICコインECが案内体372の前下がり斜面400に衝突して可動ガイドレール162M側に跳ね返され、可動ガイドレール162Mとの接触を回復するので可動ガイドレール162Mがガイド位置GPから外れてしまうことを防止できる。
【0062】
側壁362には、投入阻止装置128がICコイン通路104に突出可能にするための第1貫通孔402、逸らせ装置122がICコイン通路104に突出可能にするための第2貫通孔404及び第1センサ196、第2センサ198の透光のための第3貫通孔406及び第4貫通孔408が形成されている。
【0063】
側壁362は図19に示すように、その先端が投入口102の一側面、具体的には右側面を画定するようフロントカバ134の縦長開口410に挿入される。
これにより、投入口102の右側面は側壁362、左側面はフロントカバ134の開口410の側壁、下面は入口下端画定体364及び上面はフロントカバ134の開口410の上面によって画定される。
ICコイン通路104は、右側面が側面152、左側面がキャンセルカバ146の側面160、下面が可動ガイドレール162M及び固定ガイドレール162F並びに上面が上側ガイドレール368によって画定される。
コイン通路106は実施例と同一である。
【0064】
次にシャッタ装置132が図19〜図24を参照して説明される。
シャッタ装置132は、ICコインの処理部である読込書込装置110が配置されている位置まで返却口122から器具を装入し、通信基板311を介して行う不正を防止する機能を有する。
詳細には、ICコイン返却通路313の途中を機械的に閉鎖することにより、返却口122から挿入した器具を読込書込装置110まで挿入出来ないようにしたものである。
さらに詳細には、自己モーメントによりICコイン返却通路313の途中を機械的に閉鎖し、かつICコインECが返却口122へ通過できるようにしたものである。
シャッタ装置132は、板状体412、上縦軸414A、下縦軸414B、上軸孔416A、下軸孔416B及び自己モーメント発生装置418によって構成される。
【0065】
まず板状体412が説明される。
板状体412は図21に示すように、大凡縦長矩形平板状であり、縦縁の一端の上下に円柱状の上縦軸414A及び下縦軸414Bが突出形成されている。
板状体412は、ICコイン返却通路313の軸線362に対し斜めになった状態でICコイン返却通路313を塞ぐことができる大きさに設定されている。
ICコイン返却通路313の上下端も同様に実質的にICコイン返却通路313を塞ぐ大きさに形成されている。
換言すれば、板状体412の上下方向は、ICコイン返却通路313の上下方向の寸法よりも僅かに小さく形成されている。
板状体412の自由端は、図22に示すように先尖り状に形成することが好ましい。
先端をICコイン返却通路313の側壁396に密着させ、側壁396から可及的に離されないようにするためのである。
【0066】
次に、上縦軸414A、下縦軸414Bが説明される。
縦軸414A、下縦軸414Bは、板状体412のICコイン返却通路313における位置を固定的に規制し、かつ板状体412の回動支点となる機能を有する。
上縦軸414A、下縦軸414Bは、板状体412の長辺の一端の同一軸線438上に位置し、短辺の上端又は下端よりも所定長それぞれ上下に突出している。
上縦軸414Aの周囲の一部には、カム突起420が突出形成されている。
カム突起420の下面は所定の角度で螺旋形に形成された、螺旋状カム面420Cである。
【0067】
次に、上軸孔416Aが図23を参照して説明される。
上軸孔416Aは、上縦軸414Aを回転自在及びスラスト方向に移動自在に保持する機能を有する。
上軸孔416Aは、ICコイン通路部材354に形成された上縦溝422Aによって構成される。
上縦溝422Aは下面424と一側面426が開口した下向き溝状をし下端部の一側面426に相対して規制面428が形成されている。
詳細には、一側面426側に係止壁442が形成され、係止壁442の背後に係止壁442の下端よりも上方に伸びる軸受凹部440が形成される。
すなわち、上縦軸414Aの上端部を軸受凹部440に挿入した場合、係止壁442及びその左右を上軸孔416Aの側壁によって囲われ、さらに一側面426の反対側を規制面428によって規制される。
換言すれば、上縦溝422Aは軸受凹部440において、その軸線回りに回動可能、かつ、そのスラスト方向に移動可能である。
これにより、板状体412の位置はICコイン返却通路313に対し位置すれしない。
上軸溝422Aの、側面426に隣接した位置に固定体430が形成されている。
固定体430は、上縦軸414Aに隣接する一部に形成した第1カム434である。
第1カム434は、規制面428側から側面426に向かって前下がりに所定の角度で傾斜する第1斜面434である。
【0068】
次に下軸孔416Bが説明される。
下軸孔416Bは、下縦軸、414Bが回転自在及びスラスト方向に移動自在に保持される機能を有する。
下軸孔416BはICコイン通路部材354に形成された下縦溝422Bの底面に形成された凹形の縦穴である。
下縦溝422Bは、その上面434と一側面436が開口した上向き溝状である。
下縦軸414Bの下端部は下軸孔416Bに回転自在、かつ、スラスト方向に移動自在に挿入される。
以上の構成において、板状体412は可撓性樹脂により構成され、上縦軸414A及び下縦軸414Bをそれぞれ上軸孔416A下軸孔416Bに挿入する際、中間を撓ませた後、各穴に挿入する。
装着後、板状体412は自己の弾発力により元に戻る。
【0069】
次に、自己モーメント発生装置418が説明される。
自己モーメント発生装置418は、板状体412を所定の方向に回動させるモーメントを上縦軸414A及び下縦軸414Bの回りに作用させる機能を有する。
自己モーメント発生装置418は、本実施例では板状体412、固定体430たる第1カム434及び螺旋状カム面420Cによって構成される。
カム面420Cには板状体412、上縦軸414A及び下縦軸414Bの重量が作用する。
カム面420Cと第1カム434とは同方向に傾斜する斜面であるので、カム面420Cには前記重量による分力によって上縦軸414A回りのトルクが発生する。
このトルクは図22において、反時計回りのトルクである。
換言すれば、板状体412には図22において反時計回りのモーメントが作用するので板状体412の長辺の先端398はICコイン返却通路313の側壁396に密接する。
板状体412の先端398は先尖り状であるので、器具により側壁396から離すことは困難である。
本実施例の自己モーメント発生装置418は板状体412、第1カム434及び螺旋状カム面420Cによって構成されるので、小型かつ安価に構成することができる。
【0070】
次に実施例の作用を説明する。
まず正貨コインCを投入したケースを説明する。
本価値媒体処理装置100がスタンバイ状態にない場合、逸らせ装置122の第2電磁アクチュエータ266は、消磁され、鉄心280がスプリング(図示せず)によって図6における下方に移動され、リンク278を介して第3揺動レバ270は時計方向へ回動され、最時計回り位置に位置する(図6の状態)。
これにより、逸らせ体262は共通通路170から退出した位置に保持される。
一方、逆位相に移動される投入阻止部材306は、共通通路170に進出している。
よって、コインC及びICコインECは投入阻止部材306によって阻止され、投入口102に投入することができない。
【0071】
本価値媒体処理装置100がスタンバイ状態にされた場合、第2電磁アクチュエータ266は励磁され、鉄心280が図6において引き上げられ、リンク278を介して第3揺動レバ270は反時計方向へ回動される。
これにより、逸らせ体262は共通通路170に進出し、投入阻止部材306は共通通路170から退出する。
よって、コインC及びICコインECは投入口102にをそれぞれ投入可能になる。
【0072】
コイン振分装置116の第1電磁アクチュエータ248は消磁され、鉄心260はスプリング(図示せず)によって図5において右方へ移動されるので、第2リンク252を介して第2揺動レバ254が最時計方向に回動される(図5の状態)。
これにより、コイン振分体246はキャンセル位置CPに保持される。
ICコイン振分装置112の第3第3電磁アクチュエータ316も消磁され、キャンセル位置CPに保持される。
換言すれば、ICコイン振分体314の返却案内面334がベース144の側壁152に連続的に連なっている位置に保持される(図7の状態)。
【0073】
コインCが投入口102に投入された場合、永久磁石334はコインCによって吸着されないので押動部342が被動片169を押動しない。
これにより、可動ICコインガイドレール162Mは共通通路170に突出しないので、投入コインCはコイン通路106の転動開始ガイドレール148上に落下した後、転動を開始し、コインガイドレール150上を転動する。
コインCが勢いよく投入された場合、コインCは直径が小さいため、第1センサ196及び第2センサ198の光軸を同時に遮断することはないので、第2電磁アクチュエータ266は励磁されたままであり、逸らせ体262はICコイン通路104に突出している。
これにより、投入コインCは共通通路170を進行して逸らせ体262の垂立部272又は傾斜部274に衝突する。
【0074】
垂立部272又は傾斜部274に衝突したコインCは投入口102側へ跳ね返って横方向への移動慣性力を消滅させられ、重力により落下して転動開始ガイドレール148上に落下する。
転動開始ガイドレール148の転動面168に落下したコインCは、その円弧面により加速されつつ転動し、次いでコインガイドレール150上を転動する。
コインCはコインガイドレール150上を転動する過程でセンサ236、234、232に順次相対し、コインCの材質、厚み及び直径に関する識別情報を取得される。
判別装置114は、これらの識別情報からコインCの真偽及び金種を判別する。
【0075】
本ケースは正貨であるため、正貨として判別され、第1電磁アクチュエータ248が所定時間励磁される。
この励磁によって、鉄心260は図8において右方へ引かれるので、第2揺動レバ254は反時計方向へ回動される。
これにより、振分体246は図5に示す保留位置SPへ移動される。
コインガイドレール150から落下したコインCはコイン振分体246上に落下して図5における左方へ跳ね返り、コイン収納通路244Cへ案内される。
収納通路244Cを落下するコインCは、阻止体324を図5において時計方向へ回動させて通過し、保留金庫(図示せず)に保留される。
保留されたコインCを糸吊りにより引き上げようとしても前述のように阻止片324に阻止されて引き上げることができない。
【0076】
次に偽コインが投入されたケースを説明する。
投入口102に投入された偽コインは、前述同様にコイン通路106のコインガイドレール150上を転動する。
判別装置114はセンサ体236、234、232からの識別情報に基づき偽信号を出力するので、第1電磁アクチュエータ248は励磁されない。
これにより、コイン振分体246は図5におけるキャンセル位置CPを維持するので、偽コインは振分体242に衝突してコイン返却通路191へ案内され、返却口122に保持されてキャンセルされる。
【0077】
次に CコインECを投入口102に投入したケースを説明する。
図19に示すように、ICコインECを投入口102に挿入した場合、その周面下端は入口下端画定体364の頂部382に支えられた状態において、ICコインECの前側の上向き周縁がバネ体392の自由端394の下面と接触する。
顧客はバネ体392の弾発力による抵抗に抗してさらに挿入した場合、自由端394はICコインECの上向き外周面によって押し上げられ、バネ体392が変形する。
バネ体392は、変形量の増加と共に弾発力が大きくなる。
【0078】
このとき、リムECRは永久磁石334の磁力の影響下にあるので、永久磁石334がリムECR側に吸着移動し、第4揺動レバ338は図11において時計方向に回動される。
これにより、押動部342は被動片169を押すので、揺動体163は支軸165A、165Bを支点に回動され、可動ICコインガイドレール162Mがガイド位置GPに移動する(図15、16)。
ICコインECの直径部が下向き斜面384と自由端394の下面との間を超えて挿入された所定位置において、ICコインECはバネ体392の弾発力によりICコイン通路104の奥側へ向かって弾き入れられる。
この弾き入れにより、ICコインECは強制的に永久磁石334の側方を移動されるので、永久磁石334に吸着保持されない。
換言すれば、バネ体392の弾発力はICコインECが永久磁石334に吸着保持されない速度で移動されるよう設定される。
【0079】
ICコインECは弾かれた後、可動ICコインガイドレール162M上を転動してICコイン通路104を奥側へ(図5、19において右方から左方)転動する。
この転動時において、ICコインECは永久磁石334の側方を通り過ぎているので可動ICコインガイドレール162Mは永久磁石334による案内位置GPへの保持力を受けないが、その上を転動するICコインECの重量によってガイド位置GPに保持されるモーメントを生じさせるので、可動ICコインガイドレール162Mはガイド位置GPを保持する。
万が一、ICコインECがバネ体392によって弾かれて可動ICコインガイドレール162M上から離れた場合であっても、直ぐにその上端周面が案内体372の前下がり斜面400に衝突し、直ぐさま可動ICコインガイドレール162M側に跳ね返される。
これにより、可動ICコインガイドレール162Mは実質的にガイド位置GPを保持し続け、前述のようにICコインECは可動ICコインガイドレール162M上を転動してICコイン通路104を図5、19において右方から左方へ転動する。
【0080】
ICコインECは、転動途上で第1センサ196及び第2センサ198の投射光を遮断するので、検知装置126はICコインECとして検知する。
これにより、第2電磁アクチュエータ266が消磁され、鉄心280が図6において下方へ移動されるので、第3揺動レバ270は時計方向へ回動され、逸らせ体262は共通通路170から退出すると共にICコイン投入阻止部材306は共通通路170に進出し、コインCは投入不可能になる(図6に示す状態)。
また、スライド片287、ピン288を介して係止片282が図5の位置に回動され、ICコインECは保持位置HPに保持される。
爾後前述の実施例と同様に処理される。
【0081】
コインCが投入口102に挿入され、バネ体392によってICコインECと同様に弾き入れられたた場合、永久磁石334はコインCによって吸着されないので可動ICコインガイドレール162Mはガイド位置GPに移動されない。
また、逸らせ体262が共通通路170に位置しているので、逸らせ体262に衝突して下方に落下してコイン通路106を転動して実施例と同様に真偽判別される。
【0082】
次にICコインECがICコイン返却通路313を経由して返却口122に戻されるケースを説明する。
ICコインECが投入口102に挿入されると永久磁石334がリムECRに吸着され、第4揺動レバ338は図11において時計方向に回動される。
これにより、押動部342は被動片169を押すので、揺動体163は支軸165A、165Bを支点に回動され、可動ICコインガイドレール162Mがガイド位置GPに移動する(図16、17)。
ICコインECは、可動ICコインガイドレール162M上を転動してICコイン通路104を図5において右方から左方へ転動する。
この転動によってICコインECは永久磁石334の側方を通過するので可動ICコインガイドレール162Mは永久磁石334による案内位置GPへの保持力を受けないが、その上を転動するICコインECはその重量によってガイド位置GPに保持されるモーメントを生じさせるので、可動ICコインガイドレール162Mはガイド位置GPを保持する。
【0083】
ICコインECは、転動途上で第1センサ196及び第2センサ198の投射光を遮断するので、検知装置126はICコインECとして検知する。
これにより、第2電磁アクチュエータ266が消磁され、鉄心280が図6において下方へ移動されるので、第3揺動レバ270は時計方向へ回動され、逸らせ体262は共通通路170から退出すると共にICコイン投入阻止部材306は共通通路170に進出し、コインCは投入不可能になる(図9に示す状態)。
また、スライド片287、ピン288を介して係止片282が図5の位置に回動され、ICコインECは保持位置HPに保持される。
【0084】
逸らせ体262の共通通路170からの退出により、ICコインECは可動ICコインガイドレール162M上から固定ICコインガイドレール162F上を転動して上端部が係止片282によって停止され、保留位置HPにおいて保留される(図5)。
ICコインECは保留位置HPに保留された後、読込書込装置110によってICコインECに内蔵されたICチップTPと通信し、価値情報を読込若しくは書き込む。
ICコインECがICコインEC保留位置HPに保留された場合、キャンセルレバ174を回動させ、キャンセルカバ146を開いたとしても、ICコインECはベース144と落下防止体291との間に保持されて位置が安定するので読込書込エラを生じることはない。
【0085】
ICコインECの価値情報がゼロになった場合、ICコイン振分装置132の第3電磁アクチュエータ316が励磁され、駆動体328が移動されるので、被動レバ325の先端が移動され(図15の状態)、縦軸318は反時計方向へ回動される。
この回動によって、ICコイン振分体314が図8において時計方向に回動され、収納案内面336がキャンセルカバ146の壁面と面一になる収納位置RPに保持される。
【0086】
次いで第2電磁アクチュエータ266が励磁され、図7において上方へ移動される。
これにより、スライド片287が同方向へ移動され、ピン288を介して係止片282が図6において反時計方向に回動され、非保持位置に移動される。
係止片282の係止を解除されたICコインECは、固定ICコインガイドレール162Fの傾斜によって転動を開始し、ICコイン振分体314に達する。
【0087】
ICコイン振分体314が収納位置RPにあるため、ICコインECは収納案内面336に案内されてICコイン収納通路244ICへ案内される。
ICコインECに価値情報が残存している場合、第3電磁アクチュエータ316は励磁されず、キャンセル位置CPに保持される。
換言すれば、ICコイン振分体314の返却案内面334がベース144の側面152と面一の位置に保持される。
この場合、ICコインECは、ICコイン振分体314によってICコイン返却通路313に案内され、返却口122へ戻される。
【0088】
ICコイン返却通路313を転動するICコインECは板状体412を押す。
板状体412のモーメントは、ICコインECの押力よりも小さいので、板状体412は上縦軸414A及び下縦軸414B回りに図22において時計方向に回動される。
これによって、ICコインECは板状体装置を通過して返却口122に達することができる。
ICコインECが通過した後、板状体412は自己モーメントによって先端が側壁396に係止されるまで回動し、ICコイン返却通路313を閉止する。
【0089】
上記実施例においては、ICコイン返却通路313にシャッタ装置132を配置した例であるが、本発明はこれに限らず、コイン返却通路191に配置することもできる。
したがって、ICコイン返却通路313及びコイン返却通路191を総称して返却通路という。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は実施例の価値媒体処理装置の斜視図である。
【図2】図2は実施例の価値媒体処理装置の左側面図である。
【図3】図3は実施例の価値媒体処理装置の右側面図である。
【図4】図4は実施例の価値媒体処理装置の平面図である。
【図5】図5は図4におけるA―A線断面図である。
【図6】図6は図3におけるB―B線断面図である。
【図7】図7は図3におけるC―C線断面図である。
【図8】図8は図4におけるD―D線断面図である。
【図9】図9は実施例の価値媒体処理装置の連動装置の分解斜視図である。
【図10】図10は図3におけるE―E線断面図である。
【図11】図11は図3におけるF―F線断面図である(通常状態)。
【図12】図12は実施例の価値媒体処理装置の投入阻止装置部の拡大断面図である。
【図13】図2におけるG―G線断面図である。
【図14】図14は図3におけるH―H線断面図である。
【図15】図15は図2におけるI―II線断面図である。
【図16】図16は図3におけるF―F線断面図である(ICコイン投入状態)。
【図17】図17は本発明の実施例におけるICコイン通路部材の斜視図である。
【図18】図18は本発明の実施例におけるICコイン通路部材の正面図である。
【図19】図19は本発明の実施例におけるICコイン通路部材を組み込んだ図4におけるA―A線断面に相当する断面図である。
【図20】図20は本発明の実施例におけるICコイン通路部材及び板状対の分解斜視図である。
【図21】図21は本発明の実施例におけシャッタ装置を構成する板状体の下方からの斜視図である。
【図22】図22は図5におけるJ−J線断面図である。
【図23】図23は本発明の実施例におけシャッタ装置を構成する板状体の軸受け部の拡大図であり、(A)は正面図、(B)はK―K線断面図である。
【符号の説明】
【0091】
C コイン
EC ICコイン
100 価値媒体処理装置
102 投入口
118,,313 返却通路
414A,414B 縦軸
412 板状体
414A、414B 縦軸
418A、418B 軸孔
418 自己モーメント発生装置
420C 螺旋状カム面
430 固定体
【技術分野】
【0001】
本発明は、コインとコイン型価値情報記憶媒体を共通する投入口に投入し、処理したとコイン型価値情報記憶媒体を返却口に戻す価値媒体処理装置に関する。
詳しくは、コインとコイン型価値情報記憶媒体を共通する投入口に投入し、処理したとコイン型価値情報記憶媒体を返却口に戻す価値媒体処理装置の返却通路に配置した通路シャッタに関する。
なお、本発明に係る価値媒体処理装置は、コイン式ゲーム機や自動販売機等に使用可能である。
本明細書において、「コイン」とは、通貨としての硬貨、ゲーム機のメダルおよびトークン等の総称であり、「ICコイン」とはコイン型価値情報記憶媒体の総称である。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、自動販売機の外扉に開口した釣銭返却口であり、該釣銭返却口に臨ませて外扉の裏面側にフラッパ式の釣銭取出扉を備えたコインシュータを装備し、該コインシュータを通じてコイン機構から払出した釣銭を返却口に導くようにしたものにおいて、
釣銭返却口の開口部上縁に、前記釣銭取出扉の前面側に向けアーチ状に張り出して機外から挿入しようとするカード等の異物進入を阻止する庇部を形成したものが知られている。
この構成によれば、釣銭返却口の開口部上縁に形成したアーチ状の庇部が釣銭取出扉との間の隙間の前面を塞いでカード等の異物挿入を阻止する。これにより、機外からカード等の異物を差し込んで釣銭返却口に通じるコインシュータの釣銭通路を塞いで釣銭を通路に詰まらせるいたずらを防ぐことができる。(例えば、特許文献1参照。)。
第2の従来技術として、機体内の硬貨処理機構から払い出されてくる硬貨を機体外面に形成した硬貨返却口に向かって排出案内する硬貨排出通路を形成してある自動販売機の硬貨返却口構造であって、前記硬貨返却口に連通する硬貨返却筒を機体外方に突設し、この硬貨返却筒を、機体外面に近接した状態で下方に向く第1状態と当該第1状態よりも機体外面から離間させた第2状態とに水平軸芯又はほぼ水平軸芯周りで揺動切替自在に構成するとともに、前記硬貨返却筒が第2状態にあるとき前記硬貨排出通路側から硬貨返却筒への硬貨の移動を許容し、かつ、前記硬貨返却筒が第1状態にあるとき前記硬貨排出通路側から硬貨返却筒への硬貨の移動を阻止する硬貨阻止手段を、前記硬貨排出通路から硬貨返却筒内に至る内部空間に設けてある自動販売機の硬貨返却口構造が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
この構成によれば、硬貨返却筒を第1状態から第2状態に揺動操作するだけで、硬貨貯留状態から硬貨排出状態に切り替えることができ、返却筒の出口から器具を挿入して行う不正な硬貨入手を防止できる効果があるとも思われる。
【0003】
【特許文献1】特開2004-21808(図2、段落番号0005〜0012)
【特許文献2】特許第2604915号(図1〜3、段落番号0004〜0008)
【0004】
第1の従来技術は、開口部上縁に形成したアーチ状の庇部が釣銭取出扉との間の隙間の前面を塞いでカード等の異物挿入を阻止できるが、釣銭返却口から細いワイヤ状の器具を装入してセンサ等に誤検知させる不正を防止することは困難であった。
コインの通路には釣銭返却口から挿入されたワイヤ等を阻止する手段が何ら配置されていないからである。
【0005】
第2の従来技術において、返却筒を回動させれば返却筒の出口から器具を挿入して不正に真正コインが通過したのと同様の信号を発生させることができ、不正を防止することが出来ない。
また、第2の従来技術においては硬貨返却筒を手で回さねば釣銭を受け取ることができないので利便性に欠ける問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の目的は、コイン等のコイン状価値媒体を処理できる価値媒体処理装置の返却口から器具を差し込んで行う不正を防止することである。
本発明の第2の目的は、手で操作せずとも返却されたコイン状価値媒体を取り出すことができる価値媒体処理装置を提供することである。
本発明の第3の目的は、小型であって、返却口から器具を差し込んで行う不正を防止できると共に、手で操作せずとも返却されたコイン状価値媒体を取り出すことができる価値媒体処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、本発明にかかる価値媒体処理装置は以下のように構成される。
投入口に投入された価値媒体を処理通路において所定の処理をした後、返却通路を経由して返却口戻すようにした価値媒体処理装置(100)において、前記返却通路に縦軸を支点に回動可能な板状体を設け、前記板状体は自己モーメントにより閉位置に向かうことを特徴とする価値媒体処理装置における通路シャッタである。
【0008】
また本発明は、前記板状体はその一端縁に上下に突出する縦軸を有し、前記縦軸は価値媒体処理装置に前記板状体に対し上下に形成した縦向きの軸孔に回動及びスラスト方向に移動自在に支持され、前記軸孔及び縦軸には自己モーメント発生装置が設けられていることを特徴とする価値媒体処理装置における通路シャッタであることが好ましい。
【0009】
さらに本発明は、前記自己モーメント発生装置は、上側の縦軸(414A)の周囲に形成した螺旋状カム面が形成され、前記軸孔には前記螺旋状カム面に対しスライド可能な固定体が設けられ、前記螺旋状カム面と前記固定体とにより前記板状体に所定方向の自己モーメントを発生させることを特徴とする価値媒体処理装置の通路シャッタであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明において、返却通路には縦軸を支点に回動可能な平板状の板状体が配置され、当該板状体は自己モーメントにより閉位置に位置する。
換言すれば、返却口から見た場合、返却通路は通常、板状体によって閉止されている。
しかし、コインが板状体を押した場合、当該板状体はコインによって押されて開き、コインは返却口へ向かって移動できる。
コインが移動した後、当該板状体は自己モーメントにより閉止位置に復帰する。
したがって、返却口から板状体の億の返却通路へ器具を挿入しようとしても挿入できない。
よって、不正をすることはできない。
【0011】
板状体は板状体の一端縁に上下に突出する縦軸を有し、前記縦軸は価値媒体処理装置に前記板状体に対し上下に形成した縦向きの軸孔に回動及びスラスト自在に支持され、回動により返却通路を開閉することができる。
板状体は前記軸孔及び縦軸によって構成した自己モーメント発生装置によって返却通路を常時閉止する方向に自己モーメントが発生する。
換言すれば、この自己モーメントにより板状体は返却通路を閉止する位置に保持される。
自己モーメントは、力の大きさが安定しているので、軽量のコインによっても解放位置へ移動されることができる。
【0012】
さらに自己モーメント発生装置は、上側の縦軸の周囲に螺旋面が形成され、前記軸孔には前記螺旋面に対しスライド可能な固定体が設けられ、前記螺旋面と前記固定体とにより板状体に自己モーメントを発生させる構造である。
これにより、縦軸の周囲に形成した螺旋面と軸孔に形成した固定体とによって自己モーメント発生装置が構成されるので、構造簡単であり、安価に構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
投入口に投入された価値媒体を処理通路において所定の処理をした後、返却通路を経由して返却口に戻すようにした価値媒体処理装置において、
前記返却通路に縦軸を支点に回動可能な平板状の板状体を設け、前記板状体は自己モーメントにより閉位置に位置することを特徴とする価値媒体処理装置における通路シャッタであって、前記板状体は板状体の一端縁に上下に突出する縦軸を有し、前記縦軸は価値媒体処理装置に前記板状体に対し上下に形成した縦向きの軸孔に回動及びスラスト方向に自在に支持され、前記軸孔及び縦軸には自己モーメント発生装置が設けられ、前記自己モーメント発生装置は、上側の縦軸の周囲に螺旋面が形成され、前記軸孔には前記螺旋面に対しスライド可能な固定体が設けられ、前記螺旋面と前記固定体とにより板状体に自己モーメントを発生させることを特徴とする価値媒体処理装置である。
【実施例】
【0014】
図1に示すように、実施例においてコインCは円盤状かつ金属製であって下向き傾斜通路を自重で転動できる。
ICコインECは円盤状であって下向き傾斜通路を自重で転動でき、かつ、非接触で読込若しくは書込可能なアンテナを備えたICチップTPを内蔵するコアECCとその外周に位置し、磁性体、好ましくは強磁性体からなるリムECRにより構成され、例えば500円コインよりも僅かに小さい厚み、及び、直径に形成される。
コイン形価値情報記憶媒体とは、 ICコインECをいう。
ICコインECは適宜のサイズに構成できるが、最高額コインよりも価値が高いことを顧客にイメージさせるため、500円コインと同程度のサイズに構成することが好ましい。
磁性体の材質は適宜選択できるが、鉄の場合、錆びるため外見上好ましくなく、さらに、偽造されやすいため、本出願人の出願にかかる特許第3039838号に記載のステンレス鋼等を採用することが好ましい。
【0015】
価値媒体処理装置100は、投入口102、ICコイン通路104、コイン通路106、ICコインの保留装置108、読込書込装置110、ICコイン振分装置112、判別装置114、コイン振分装置116、返却通路118、返却口122、キャンセル装置124、ICコインの検知装置126、投入阻止装置128、及びシャッタ装置132を含んでいる。
このシャッタ装置132に係る構造が本願の発明に関する。
【0016】
まず、投入口102が図1、5及び6を参照して説明される。
投入口102は、コインC及び価値情報記憶媒体としてのICコインECを投入される機能を有する。
投入口102は、コインC及びICコインECの共通投入口である。
本実施例において、投入口102は縦長矩形であって、その幅は最大厚みである500円コインの厚みよりも僅かに大きく、かつその高さは500円コインの直径よりも僅かに大きく形成されている。
以上より、投入口102にはICコインEC、5円〜500円コイン及びゲームトークンを投入することができる。
コインC及びICコインECの投入口を共通にすることにより、投入口設置範囲を小さくできるので、装置を小型化できる利点を有する。
本実施例において、投入口102は垂立する縦長矩形のフロントカバ134に形成されている。
フロントカバ134は、金属製の板状のフロントパネル136の前面を覆うように固定されている。
【0017】
次にICコイン通路104が図5を参照して説明される。
ICコイン通路104は、投入口102に投入されたICコインECが自重により転動する機能を有する。
ICコイン通路104は、後述するようにCコイン通路部材354によって下面、一側面及び上面を画定される。
ICコイン通路104は、投入口102に続いて形成され、投入口102から離れるにしたがって下方に位置する下向きの傾斜通路であり、ICコインガイドレール162、ベース144及びキャンセルカバ146によって下及び左右を囲われた縦長スリット状の通路である(図6)参照。
換言すれば、ICコイン通路104は、ベース144の側面152、キャンセルカバ146の側面160及びICコインガイドレール162によって画定された図5において左下がりに直線的に伸びる通路である。
ICコインガイドレール162は、投入口102の下縁に続いて所定の角度で前下がり(図5において左下がり)に形成された直線状の細長い突起であり、ベース144に一体的に直線状に形成された固定ICコインガイドレール162F及びキャンセルカバ146に回動可能に支持された固定ICコインガイドレール162Fと投入口102の間に位置できる可動ICコインガイドレール162Mとよりなり、固定ICコインガイドレール162F及び可動ICコインガイドレール162Mとは前下がりの一直線状のICコインガイドレール162を構成する。
【0018】
ベース144は、フロントパネル136に対し直角に固定された垂立する非磁性体よりなるほぼ矩形の板状体である。
ベース144の側面152は、投入されたコインC及びICコインECのガイドのため、投入口102の側面140と同一平面内に位置される。
ベース144は、樹脂によって一体成形することが好ましい。
【0019】
図3において、キャンセルカバ146は、非磁性体よりなるほぼ矩形の板状体であり、上端部がベース144の軸受154A、154Bに取り付けられた軸156に揺動自在に支持され、付勢用のスプリング158によってベース144に近づくよう回動力を受け、下端の突起159(図13)をベース144に突き当てることにより側面152及び160が平行に所定の間隔で位置するよう設定してある。
キャンセルカバ146は、樹脂により一体成形することが好ましい。
キャンセルカバ146の投入口102側の中間に上端部に可動ICコインガイドレール162Mが形成された揺動体163から前後に突出する支軸165A、165B(図15)が軸受167A、167Bに回動自在に軸支されている。
揺動体163は、上下方向に伸びるレバであって、中間から横向きに突出する支軸165A、165Bを軸受167A、167Bに回動自在に支持されている。
揺動体163の下端部からフロントパネル136に向かって被動片169(図2)が突設されている。
支軸165A、165Bの軸線は、コインガイドレール150と平行に配置されている。
可動ICコインガイドレール162Mは、コインガイドレール150と平行に配置され、ガイド位置GPに位置する場合、ICコインECが転動する面は側面152に向かって傾斜している。
また、揺動体163は通常、共通通路170から退出方向にモーメントが作用し、ICコインECが乗った場合、ガイド位置GPに保持されるようモーメントが設定されている。
【0020】
次にコイン通路106を図5を参照して説明する。
コイン通路106は、投入口102に投入されたコインCが転動する機能を有する。
コイン通路106は、投入口102近傍のICコイン通路104に連続し、その下方において、ICコイン通路104と平行に直線的に伸びている。
コイン通路106の幅はICコイン通路104厚みと同一である。
詳細には、5円〜500円コインの中で最も厚い500円硬貨の厚みよりも僅かに広い幅を有している。
換言すれば、コインC及びICコインECはコイン通路106、及びICコイン通路104において転動可能である。
コイン通路106は、前下がりに傾斜するコインガイドレール150、ベース144及びキャンセルカバ146によって囲われた断面矩形の縦長直線状通路である。
換言すれば、コイン通路106は、投入口102から遠ざかるにしたがって下向きに傾斜し、その上端はICコイン通路104に連通している。
【0021】
コインCは投入口102から投入された直後、ICコイン通路104をほぼ直径分移動した後、何ら支えられないのでコイン通路106に落下する。
よって、投入口102に連なるICコイン通路104は、ICコイン通路104との共通通路170である。
キャンセルカバ146の側面160の下端からコインガイドレール166が突出し、コインガイドレール166上面はベース144側に向かって下降するよう傾斜している。
この傾斜により、コインCはベース144にもたれつつ転動するので転動位置が安定する効果がある。
ベース144の側面152とキャンセルガイド側面164との間隔は、選別するコインCの最大厚みよりも僅かに大きく設定されている。
コイン通路106は、ベース144とキャンセルカバ146及びコインガイドレール166によって構成される。
【0022】
コインガイドレール166は、転動開始ガイドレール148及びコインガイドレール150によって構成される。
固定コインガイドレール150は、固定ICコインガイドレール162Fと平行に形成されている。
転動開始ガイドレール148は、フロントパネル136に隣接したキャンセルカバ146に固定された台形の金属板であり、コインガイドレール150に連なる落下転動面168が湾曲して形成されている。
コインCの落下によって落下転動面168が摩耗しないため、及び、コインCの転動速度向上のためである。
コインCは側面152及びキャンセルカバ146の側面160によって側面を案内されつつ立った状態でコインガイドレール166上を転動可能である。
【0023】
次にキャンセル装置124を主に図3を参照して説明する。
キャンセル装置124は、ICコイン通路104若しくはコイン通路106においてジャムしたコインC、又は、投入したコインCをキャンセルし、返却口122に戻す機能を有する。
本実施例において、キャンセル装置124は、キャンセルカバ146、キャンセルレバ174、及び、第1リンク機構176を含んでいる。
【0024】
まず、キャンセルレバ174を説明する。
キャンセルレバ174は、顧客がコインCをキャンセルするために操作するレバであり、ベース144から横方向に突出する固定軸178にその中間を回転自在に取り付けられている。
その操作レバ180はフロントカバ134の投入口102に対し右側下方に形成された開口182からフロントカバ134の前方に突出され、顧客によって押し下げ可能に配置されている。
操作レバ180の中間側面に斜面よりなる押下カム184が形成され第1揺動レバ190を押し下げることができる。
操作レバ180は弾性的に図3において時計方向に付勢され、通常、図3に示す待機位置においてストッパ(図示せず)により停止され、保持される。
【0025】
次に第1リンク機構176が図6を参照して説明される。
第1リンク機構176は、押下カム184が図3において反時計方向に回動された場合、キャンセルカバ146の下端をベース144から遠ざける方向に移動させる機能を有する。
第1リンク機構176は、フロントパネル136から横向き後方向に延びる固定軸185に回動自在に取り付けられた第1揺動レバ190の横向き先端190T(図8)がキャンセルカバ146の傾斜下端148Uを押動することにより、キャンセルカバ146は軸156を支点に回動し、ベース144に対し傾斜される。
これにより、コインガイドレール166の側端面と側面152との隙間はコインCの厚み以上に離され、かつ、コインガイドレール150の上面は横方向に対して下向き傾斜になるので、その上に載っているコインCは、自重により落下する。
落下したコインCは、コイン通路106の下方においてベース144に形成され、フロントパネル136側へ下向きに傾斜し、返却通路118を構成するコイン返却ガイドレール192(図13)上に落下した後、自重によりその上を図5において右方向へ転動し、返却口122へ転げ落ちる。
返却口122は、コインCの両サイド及び前方を囲う溝状に形成されているので、コインCは返却口122において立った状態で保持される。
【0026】
次にICコインEC及びコインCの検知装置126が図5を参照して説明される。
検知装置126は、共通通路170に配置され、投入口102に投入された価値媒体がコインCであるかICコインECであるかを判別する機能を有する。
よって、検知装置126は同様の機能を有する他の装置に変更することができる。
本実施例において、検知装置126はベース144の側面152に配置された第1センサ196と第2センサ198を含んでいる。
本実施例において、第1センサ196及び第2センサ198は、共通通路170を横断する透過型の光電センサであるが、反射型光電センサや接触式センサ等に変更することができる。
第1センサ196は、逸らせ装置122及びICコインガイドレール162の近傍に配置され、コインC及びICコインECによって投射光を遮断され、遮断された時に検知信号を出力する。
第2センサ198は、共通通路170を通過するコインCによっては遮断されないが、大径のICコインECによって遮断される位置に配置されている。
よって、第1センサ196及び第2センサ198の投射光が同時に遮断された場合、ICコインECが投入されたと判別し、逸らせ装置122をICコイン通路104から退出させる。
【0027】
次に判別装置114が図2を参照して説明される。
判別装置114は、コイン通路106を転動するコインCの正偽及び金種を判別する機能を有する。
判別装置114は、コイン通路106に沿ってベース144及びキャンセルカバ146に相対して固定されたコアにコイルを巻きつけたコイル体232、234、236を含んでいる。
コイル体232は、コインCの直径を検知するために用いられる。
コイル体234は、コインCの厚みを検知するために用いられる。
コイル体236は、コインCの材質を検知するために用いられる。
これらコイル体232、234、236からの出力を判別回路(図示せず)に入力し、所定の基準値と比較してコインCの正貨及び偽貨並びに金種を判別する。
判別装置114は偽貨の場合、コイン振分装置116にキャンセル信号CSを出力する。
【0028】
次にコイン振分装置116が図5及び図8を参照して説明される。
コイン振分装置116は、コイン通路106を転動するコインCをコイン返却通路191若しくは保留金庫194へのコイン収納通路244Cに振り分ける機能を有する。
コイン振分装置116は、コイン振分体246と電磁アクチュエータ248と第2リンク機構252を有する。
コイン振分体246は、コイン通路106の延長上のキャンセル位置CP若しくは収納通路244Cへ案内する収納位置SPに位置可能である。
コイン振分体246は、ベース144から横方向へ突出する固定軸258に回転自在に取り付けられた第2揺動レバ254の先端から横方向に向かってコイン通路106に延びる棒体である。
第2揺動レバ254の他端は、第1電磁アクチュエータ248の鉄心260にリンク機構252によってリンク結合されている。
鉄心260は、スプリング(図示せず)により、図8において左方向へ付勢され、通常、キャンセル位置CPに保持される。
【0029】
判別装置114が真正コインと判別した場合、第1電磁アクチュエータ248が励磁され、鉄心260が図8において右方へ移動されるので、第2揺動レバ254は反時計方向へ回動され、コイン振分体246は収納位置SPに移動され、保持される。
コイン振分体246が収納位置SPに保持される場合、コイン通路106を転動するコインCは、コインガイドレール150からコイン振分体246上に落下してコイン収納通路244Cに案内される。
コイン振分体246がキャンセル位置CPに位置する場合、コイン通路106から落下したコインCはコイン振分体246に当接して図5において右方へ案内されるので、コイン返却通路191のコインキャンセルガイドレール192上を転動して返却口122へ戻される。
【0030】
図7及び図13に示すように、コイン返却通路191は垂立する隔壁335と当該隔壁335に対し所定の間隔で平行に垂立するガイド板250及びそれらの間に位置するコイン返却ガイドレール192により構成される。
【0031】
次に逸らせ装置122が図5、6、7を参照して説明される。
逸らせ装置122は、投入口102に投入されたコインCをコイン通路106に案内する機能を有する。
逸らせ装置122は、逸らせ体262、第3リンク機構264、及び第2電磁アクチュエータ266を含んでいる。
逸らせ体262は、板状であり、図12に示すようにL形に形成され、ベース144に対し平行に固定された固定軸268に回動自在に取り付けた第3揺動レバ270の一端に対し直角に位置している。
逸らせ体262は垂立部272及び下向き傾斜部274を有し、投入されたコインCは垂立部272に衝突して転がり慣性力を消去され、自重で下方へ落下した後、転動ガイドレール148の転動面168上に落下する。
第3揺動レバ270の固定軸268よりもベース144に遠い位置から上方に突出する軸276にリンク278の端部が回動自在に取り付けられている。
リンク278の他端は、第2電磁アクチュエータ266の鉄心280に回動自在に取り付けられている。
鉄心280は、スプリング(図示せず)によって突出方向に付勢されている。
【0032】
よって、第2電磁アクチュエータ266が励磁され、鉄心280が吸引され、図6において上方へ移動された場合、第3揺動レバ270は反時計方向へ回動され、逸らせ体262はICコイン通路104の共通通路170に進行し、共通通路170をほぼ横断するよう位置する。
第2電磁アクチュエータ266が消磁された場合、鉄心280は図示しないスプリングにより図6、12における下方へ移動される。
第3揺動レバ270は時計方向へ回動され、逸らせ体262が共通通路170(ICコイン通路104)から退出する(図6、12の位置)。
このとき、後述のように、投入阻止部材306が投入口102に隣接したICコイン通路104に進出しているので、コインCを投入することはできない。
【0033】
次にICコイン保留装置108が図5を参照して説明される。
ICコイン保留装置108は、ICコインECが投入された場合、ICコインECをICコイン通路104に保留する機能を有する。
ICコイン保留装置108は、停止片282及び第2電磁アクチュエータ266との第4リンク機構283を含んでいる。
【0034】
停止片282は、ICコイン通路104の上方において、ベース144から側方に突出する固定軸284に回動自在に取り付けられ、ベース144に隣接し、ベース144に対し平行な平面内において回動できる。
第4リンク機構283は、鉄心280に固定され、ベース144にガイドされつつ横方向に往復動可能に設けたスライド片287、スライド片287から横方向へ突出するピン288及び、停止片282に形成した長孔290を含み、ピン288が長孔290にスライド可能に挿入されている。
固定ICコインガイドレール162Fを挟んだ側壁152の反対側に固定の棒状の落下防止体291が配置されている。
ICコインECが保留位置SPに保持されている状態において、キャンセルレバ174が操作され、キャンセルカバ146が移動されることによりICコインECが保留位置HPから落下することを防止するためである。
【0035】
第2電磁アクチュエータ266が消磁されている場合、スライド片287は図8において最左方に位置しているので、停止片282は図5において時計方向に回動された保持位置SPに保持される。
停止片282が保持位置SPに位置する場合、ICコインガイドレール162上を転動してきたICコインECは、停止片282の先端に当接して転動を阻止され、保留位置HPに保持される。
【0036】
第2電磁アクチュエータ266が励磁された場合、鉄心280が図8において右方へ移動されるため、停止片282は図5において反時計方向へ回動される。
これにより、停止片282の先端はICコインECに当接しない位置に移動され、ICコインECはICコイン通路104を図5においてさらに左方へ転動可能になる。
ICコイン通路104を転動するICコインECは、ICコイン振分装置112によって収納通路244IC又はICコイン返却通路313へ案内される。
【0037】
次に投入阻止装置128が図12を参照して説明される。
投入阻止装置128は、ICコインECが保留位置HPに保留されている場合、コインC及びICコインECを投入口102に投入できないようにする機能を有する。
投入I阻止手段132は、第3揺動レバ270と一体に形成したL形レバ302である。
L形レバ302の先端が投入阻止部材306である。
【0038】
投入阻止部材306は、投入口102の後方のフロントパネル136に近接した位置において、共通通路170に進退可能である。
よって、逸らせ体262と投入阻止部材306とは第3揺動レバ270の揺動によって反対位相で共通通路170に進退する。
詳述すれば、逸らせ体262が共通通路170に位置している場合、投入阻止部材306は共通通路170から退出する。
逸らせ体262が共通通路170から退出している場合、投入阻止部材306は投入口102に相対する共通通路170に位置する。
よって、投入阻止部材306が共通通路170に位置する場合、コインC及びICコインECを投入口102に投入することが出来ない。
これにより、重複してコインC及びICコインECを処理することを防止する。
【0039】
次に読込書込装置110が図8を参照して説明される。
読込書込装置110は、保留位置HPに保留されたICコインECのICチップTPと価値情報を無線通信によって読込書込する機能を有する。
本実施例においては、読込書込装置110は、ベース144に固定され、通信機能を有するIC及びアンテナを搭載した通信基板311である。
【0040】
次にICコイン振分装置112が図8を参照して説明される。
ICコイン振分装置112は、停止片282による保持を解除されたICコインECをICコイン収納通路244IC若しくはICコイン返却通路313に振分ける機能を有する。
ICコイン振分装置112は、ICコイン振分体314及び第3第3電磁アクチュエータ316を含んでいる。
ICコイン振分体314は縦軸318がベース144に形成された軸受318A、318Bに回転自在に支持されている。
縦軸318の上端部に側方に突出する被動レバ325が固定され、被動レバ325の自由端は第3電磁アクチュエータ316の鉄心326の先端に固定された駆動体328の孔332に挿入されている。
【0041】
第3電磁アクチュエータ316が消磁されている場合、鉄心326はスプリング(図示せず)によって突出され図7に示す返却位置CPに保持される。
返却位置CPにおいて、ICコイン振分体314は図9の位置に保持され、一側面である返却案内面334はICコイン通路104を形成する側面152に連なって後、下方に向かうにしたがって横方向へ突出するよう緩やかに湾曲している。
この湾曲によって、ICコインECは、ICコイン返却通路313に案内される。
【0042】
ICコイン返却通路313は、コインガイドレール150の下方に形成され、隔壁335によって区切られてコイン返却通路191に対し並列配置されている。
隔壁335はキャンセルカバ146の延長上に位置している。
【0043】
第3電磁アクチュエータ316が励磁された場合、ICコイン振分体314は図9において時計方向に回動され、返却案内面334の裏面側の収納案内面336がキャンセルカバ146の側壁160の延長上の収納位置RPに位置する。
収納案内面336は、ICコインECを収納通路244ICに案内するよう湾曲形成されている。
これにより、ICコインECはICコイン収納通路244ICへ案内される。
【0044】
ICコイン収納通路244ICは、ベース144によってコイン収納通路244Cに対し区画され、並列配置されている。
【0045】
なお、図5に示すようにコイン収納通路244Cに糸吊り防止手段320を配置することが好ましい。
本実施例の糸吊り防止手段320は、軸322に対し揺動可能に取り付けた扇形の阻止体324である。
通常、重力により阻止体324の一部が収納通路244に突出した状態に垂下される。
正貨コインCが通過する場合、阻止体324は当該コインCにより移動され、当該コインCは通過することが出来る。
コインCが通過した後、阻止体324は自己モーメントにより元に戻る(図5の位置)。
これにより、糸吊りしたコインCを引き上げた場合、当該コインCによって阻止体324は収納通路244C内に引き入れられるように力を受けるので、阻止体324に移動を阻止され、引き上げることはできない。
【0046】
フロントカバ134にICコインECのICチップTPに記憶された価値情報を表示するための表示器330を装着することが好ましい。
表示器330は、上向きに形成し、顧客から見えやすいように配置することが好ましい。
また、フロントカバ134を透光性樹脂にて製造し、フロントカバ134裏面側のフロントパネル136に多数のLEDを配置して発光させることにより、装飾性を高めることができる。
さらに、フロントカバ134の背面にスピーカーを組み込むことにより、音楽やアナウンスを流すことができる。
【0047】
次に可動ICコインガイドレール162Mの移動装置308が図9、11及び16を参照して説明される。
移動装置308は、ICコインECが投入口102に投入された場合、可動ICコインガイドレール162Mをガイド位置GPに移動させる機能を有する。
移動装置308は、永久磁石334と連動装置310を含んでいる。
まず、永久磁石334を説明する。
永久磁石334は。コイン投入口102のすく下流の共通通路170に接離可能に隣接して配置され、ICコインECのリムECRの側方に配置される。
換言すれば、永久磁石334はベース144に形成された開口335においてリムECRの磁性に引かれてICコインECに近づくように移動可能である。
【0048】
次に連動装置310を説明する。
連動装置310は、永久磁石334が自己の着磁力によってICコインECのリムECRに吸着されて移動した場合、永久磁石334の移動を可動ICコインガイドレール162Mの移動に連動させる機能を有する。
連動装置310は、第4揺動レバ338を含んでいる。
第4揺動レバ338は、フロントカバ134の裏面から横向き後方に突出する固定軸344に中間を回動自在に支持された上下方向に直線状に延びる棒状体である。
第4揺動レバ338の上端に形成された円筒ホルダ340に円柱形の永久磁石334が挿入固定され、固定軸344に対し下側には係止凹部346及び下端部に押動部342が形成されている。
押動部342は、揺動体163の被動片169を押動する。
第4揺動レバ338は自己モーメントにより図11において反時計方向に回動するが、ICコインECのリムCERが所定値以上の磁性体である場合、永久磁石334の吸着力により図11において時計方向に回動される。
これにより押動部342が被動片169を押動して揺動体163を回動させ、可動ICコインガイドレール162Mをガイド位置GPに移動させる(図15)。
リムECRが鉄等の強磁性体である場合、ICコインECは永久磁石334に吸着され、可動ICコインガイドレール162M上を転動できない。
この場合、キャンセルレバ174のキャンセル操作を利用して吸着解除装置350により解除する。
したがって、リムCERの磁性は、永久磁石334の磁力との関係で所定値以上所定値以下でなければならない。
換言すれば、鉄を強磁性体とすれば、磁性ステンレスのような弱磁性体でなければならない。
【0049】
次に吸着解除装置350が図10を参照して説明される。
吸着解除装置350は、永久磁石334に吸着された偽ICコインを解除する機能を有する。
第1揺動レバ190から側方に突出する弧状の解除片352が係止凹部346に挿入されている。
前述のように、リムECRが強磁性体で製造された偽ICコインが投入された場合、キャンセルレバ174を押し下げると押下カム184によって第1揺動レバ190が押されて図11において反時計方向に回動される。
これにより、先端190Tはキャンセルカバ146の下端を押すのでキャンセルレバ146は軸156を支点に回動され、ベース144との間隔が拡大される。
また、第1揺動レバ190の回動によって解除片352が係止凹部346の上部346Uを押すので、第4揺動レバ338は図17において反時計方向に回動される。
これにより、永久磁石334は強制的に偽ICコインから引き離され、偽ICコインは真下に落下して返却通路118に達した後、返却口122に返却される。
【0050】
本実施例において、ICコイン通路104はベース144に固定されたICコイン通路部材354によって下面、一側面及び上面を画定されている。
換言すれば、ICコイン通路部材354はネジ孔356を貫通するビス(図示せず)などによりベース144に一体化されている。
【0051】
ICコイン通路部材354は、側壁362、入口下端画定体364、固定ICコインガイドレール162F、上側ガイドレール部材366、強制受入装置368、及び案内体372が一体に形成されている。
ICコイン通路部材354をベース144と別体に構成することにより、ベース144よりも耐摩耗性に勝る材料を選択でき、また、摩耗した場合ICコイン通路部材354のみを交換することにより修復できる利点がある。
【0052】
まず側壁362を説明する。
側壁362は、側面152を構成する機能を有し、垂立する板状を呈し、そのICコイン通路104側の側面が側面152である。
側面152には、ICコインECが面接触せず円滑に転動可能とするため、ICコイン通路104の伸長方向に平行に延在するリブ374を形成することが好ましい。
【0053】
次に投入口下端画定体364が説明される。
投入口下端画定体364は、縦長スリット状の投入口102の下面を画定する機能を有する。
投入口下端画定体364は、側壁362の投入口102側下端部に横向きに台形状にICコインECの厚みよりも僅かに大きい量で突出形成されている。
投入口下端画定体364の画定体上面376によって、投入口102の下面が画定され、その上面376は、投入口側から上向案内斜面378、頂部382及び下向案内斜面384を有する。
【0054】
次に固定ICコインガイドレール162Fを説明する。
固定ICコインガイドレール162Fは、ICコインECが転動する機能を有する。
固定ICコインガイドレール162Fは、入口下端画定体364から反投入口102側に可動ガイドレール162Mの全長よりも僅かに離れた位置からICコイン通路104の下流に向かって所定の長さで側壁362の下端部から横向きに入口下端画定体364と同じ量、突出形成されている。
固定ICコインガイドレール162Fは、可動ガイドレール162Mを通過したICコインECが転動する。
固定ICコインガイドレール162Fは可動ガイドレール162M側の前下がりの傾斜角度が小さい緩斜面386とそれよりも傾斜角が大きい急斜面388とにより構成されている。
換言すれば、固定ICコインガイドレール162FはICコイン通路104の下面を画定形成し、全体としてICコイン通路104の奥(投入口102から遠ざかる方向)に向かって前下がりに構成される。
【0055】
可動ガイドレール162MがICコイン通路104を画定する位置に移動した場合、図18において鎖線で示すように下向き斜面384の端部と緩斜面386の端部とを直線的に結ぶ位置に進行する。
緩斜面386を構成することにより、可及的に大径のICコインECを使用することができる利点がある。
換言すれば、上側ガイドレール368と固定ICコインガイドレール162Fとの間隔を可及的に大きくすることができる。
【0056】
次に上側ガイドレール部材366を説明する。
上側ガイドレール366はICコイン通路104の上側を画定する機能を有する。
上側ガイドレール366は、固定ガイドレール162Fの急斜面388に対し平行にICコインECの直径よりも大きな間隔で配置された上側ガイドレール368が下面に形成され、側壁362から横向きに突出する台形状を呈している。
【0057】
次に強制受入装置368が説明される。
強制受入装置368は、投入口102に挿入されたICコインECをICコイン通路104の奥側に向かって強制的に送り込む機能を有する。
したがって、同様の機能を有する装置に変更することができる。
本実施例の強制受入装置368は、上側ガイドレール部材368の投入口102側の端面から投入口102側に向かって片持ち状に板状で所定の長さで突出する弾性を有するバネ体392である。
バネ体392は上側ガイドレール部材366と一体に樹脂により成形され、かつ薄板状、及び弧状に突出していることから、所定の弾発力を有している。
バネ体392の自由端394は、入口102の上側端の近傍に位置し、横向き円柱状に形成されている。
バネ体392が何ら外力を受けない場合、その自由端394の下縁と入口下端画定体364の上面376との間隔は、ICコインECの直径よりも小さい距離離れている。
【0058】
ICコインECが投入口102に挿入された場合、ICコインECの下周面は入口下端画定体364の頂部382から下向き斜面384の順に滑って或いは転がって案内されるので、その上端周縁は自由端394の下縁を押し上げてバネ体392を変形させつつICコイン通路104の奥部へ向かって移動する。
これにより、バネ体392の弾発力は徐々に高められる。
換言すれば、顧客はICコインECを投入口102に挿入する際、バネ体392によって小さな抵抗を受けつつ押し込むことになる。
これにより、ICコインECを勢いよくICコイン通路104に投入できないので、投入速度差によって生じる問題をも解消できる。
【0059】
ICコインECの中心が下向き斜面384と自由端394とを結ぶ直線を通過した直後、自由端394はバネ体392の弾発力によってICコインECの後端側下向き弧状周面に作用させ、ICコイン通路104の奥部へ押し出す力を付与する。
これにより、ICコインECは自由端394によってICコイン通路104の奥部へ向かって弾き入れられる。
バネ体392の弾発力は大凡同一であるので、ICコイン通路104におけるICコインECの移動速度は所定速度以上であり、かつ毎回ほぼ同一速度になる。
さらに、投入口102の側方には永久磁石334が配置され、リムECRの磁性によりこICコインECは永久磁石334に吸着され、保持されそうになる。
しかし、ICコインECはバネ体392によって弾かれることによって強制的に移動されるので、ICコインECが永久磁石334に吸着されて保持され続けることはない。
【0060】
なお、ICコインEC以外のコインCが投入口102に投入される場合、自由端394は当該コインCに接しないことが好ましい。
バネ体392がコインCを弾かない場合であっても、コインCは非磁性体若しくは磁性があっても極めて小さいので、コインCが永久磁石334の磁力によって投入口102に保持されることはない。
換言すれば、ICコインECの直径が、使用可能コインにおいて、最大であることが好ましい。高額価値感覚を醸しだすからである。
【0061】
次に案内体372が説明される。
案内体372は、バネ体392によってICコイン通路104の奥側に向かって弾き入れられたICコインECを可動ガイドレール162M側に案内する機能を有する。
案内体372は、バネ体392の根本部の上側ガイドレール部材366のバネ体392よりもICコイン通路104側の端面から投入口102に向かってバネ体392の約三分の一の長さで突出している。
案内体372の先端398は、可動ガイドレール162Mに対し、投入口102側の間隔が大きく、ICコイン通路104の下流側に向かって間隔が狭くなるよう前下り斜面400に形成されている。
この構成により、ICコインECがバネ体392によって弾かれた反動で可動ガイドレール162Mから浮いた場合、直ぐさまICコインECが案内体372の前下がり斜面400に衝突して可動ガイドレール162M側に跳ね返され、可動ガイドレール162Mとの接触を回復するので可動ガイドレール162Mがガイド位置GPから外れてしまうことを防止できる。
【0062】
側壁362には、投入阻止装置128がICコイン通路104に突出可能にするための第1貫通孔402、逸らせ装置122がICコイン通路104に突出可能にするための第2貫通孔404及び第1センサ196、第2センサ198の透光のための第3貫通孔406及び第4貫通孔408が形成されている。
【0063】
側壁362は図19に示すように、その先端が投入口102の一側面、具体的には右側面を画定するようフロントカバ134の縦長開口410に挿入される。
これにより、投入口102の右側面は側壁362、左側面はフロントカバ134の開口410の側壁、下面は入口下端画定体364及び上面はフロントカバ134の開口410の上面によって画定される。
ICコイン通路104は、右側面が側面152、左側面がキャンセルカバ146の側面160、下面が可動ガイドレール162M及び固定ガイドレール162F並びに上面が上側ガイドレール368によって画定される。
コイン通路106は実施例と同一である。
【0064】
次にシャッタ装置132が図19〜図24を参照して説明される。
シャッタ装置132は、ICコインの処理部である読込書込装置110が配置されている位置まで返却口122から器具を装入し、通信基板311を介して行う不正を防止する機能を有する。
詳細には、ICコイン返却通路313の途中を機械的に閉鎖することにより、返却口122から挿入した器具を読込書込装置110まで挿入出来ないようにしたものである。
さらに詳細には、自己モーメントによりICコイン返却通路313の途中を機械的に閉鎖し、かつICコインECが返却口122へ通過できるようにしたものである。
シャッタ装置132は、板状体412、上縦軸414A、下縦軸414B、上軸孔416A、下軸孔416B及び自己モーメント発生装置418によって構成される。
【0065】
まず板状体412が説明される。
板状体412は図21に示すように、大凡縦長矩形平板状であり、縦縁の一端の上下に円柱状の上縦軸414A及び下縦軸414Bが突出形成されている。
板状体412は、ICコイン返却通路313の軸線362に対し斜めになった状態でICコイン返却通路313を塞ぐことができる大きさに設定されている。
ICコイン返却通路313の上下端も同様に実質的にICコイン返却通路313を塞ぐ大きさに形成されている。
換言すれば、板状体412の上下方向は、ICコイン返却通路313の上下方向の寸法よりも僅かに小さく形成されている。
板状体412の自由端は、図22に示すように先尖り状に形成することが好ましい。
先端をICコイン返却通路313の側壁396に密着させ、側壁396から可及的に離されないようにするためのである。
【0066】
次に、上縦軸414A、下縦軸414Bが説明される。
縦軸414A、下縦軸414Bは、板状体412のICコイン返却通路313における位置を固定的に規制し、かつ板状体412の回動支点となる機能を有する。
上縦軸414A、下縦軸414Bは、板状体412の長辺の一端の同一軸線438上に位置し、短辺の上端又は下端よりも所定長それぞれ上下に突出している。
上縦軸414Aの周囲の一部には、カム突起420が突出形成されている。
カム突起420の下面は所定の角度で螺旋形に形成された、螺旋状カム面420Cである。
【0067】
次に、上軸孔416Aが図23を参照して説明される。
上軸孔416Aは、上縦軸414Aを回転自在及びスラスト方向に移動自在に保持する機能を有する。
上軸孔416Aは、ICコイン通路部材354に形成された上縦溝422Aによって構成される。
上縦溝422Aは下面424と一側面426が開口した下向き溝状をし下端部の一側面426に相対して規制面428が形成されている。
詳細には、一側面426側に係止壁442が形成され、係止壁442の背後に係止壁442の下端よりも上方に伸びる軸受凹部440が形成される。
すなわち、上縦軸414Aの上端部を軸受凹部440に挿入した場合、係止壁442及びその左右を上軸孔416Aの側壁によって囲われ、さらに一側面426の反対側を規制面428によって規制される。
換言すれば、上縦溝422Aは軸受凹部440において、その軸線回りに回動可能、かつ、そのスラスト方向に移動可能である。
これにより、板状体412の位置はICコイン返却通路313に対し位置すれしない。
上軸溝422Aの、側面426に隣接した位置に固定体430が形成されている。
固定体430は、上縦軸414Aに隣接する一部に形成した第1カム434である。
第1カム434は、規制面428側から側面426に向かって前下がりに所定の角度で傾斜する第1斜面434である。
【0068】
次に下軸孔416Bが説明される。
下軸孔416Bは、下縦軸、414Bが回転自在及びスラスト方向に移動自在に保持される機能を有する。
下軸孔416BはICコイン通路部材354に形成された下縦溝422Bの底面に形成された凹形の縦穴である。
下縦溝422Bは、その上面434と一側面436が開口した上向き溝状である。
下縦軸414Bの下端部は下軸孔416Bに回転自在、かつ、スラスト方向に移動自在に挿入される。
以上の構成において、板状体412は可撓性樹脂により構成され、上縦軸414A及び下縦軸414Bをそれぞれ上軸孔416A下軸孔416Bに挿入する際、中間を撓ませた後、各穴に挿入する。
装着後、板状体412は自己の弾発力により元に戻る。
【0069】
次に、自己モーメント発生装置418が説明される。
自己モーメント発生装置418は、板状体412を所定の方向に回動させるモーメントを上縦軸414A及び下縦軸414Bの回りに作用させる機能を有する。
自己モーメント発生装置418は、本実施例では板状体412、固定体430たる第1カム434及び螺旋状カム面420Cによって構成される。
カム面420Cには板状体412、上縦軸414A及び下縦軸414Bの重量が作用する。
カム面420Cと第1カム434とは同方向に傾斜する斜面であるので、カム面420Cには前記重量による分力によって上縦軸414A回りのトルクが発生する。
このトルクは図22において、反時計回りのトルクである。
換言すれば、板状体412には図22において反時計回りのモーメントが作用するので板状体412の長辺の先端398はICコイン返却通路313の側壁396に密接する。
板状体412の先端398は先尖り状であるので、器具により側壁396から離すことは困難である。
本実施例の自己モーメント発生装置418は板状体412、第1カム434及び螺旋状カム面420Cによって構成されるので、小型かつ安価に構成することができる。
【0070】
次に実施例の作用を説明する。
まず正貨コインCを投入したケースを説明する。
本価値媒体処理装置100がスタンバイ状態にない場合、逸らせ装置122の第2電磁アクチュエータ266は、消磁され、鉄心280がスプリング(図示せず)によって図6における下方に移動され、リンク278を介して第3揺動レバ270は時計方向へ回動され、最時計回り位置に位置する(図6の状態)。
これにより、逸らせ体262は共通通路170から退出した位置に保持される。
一方、逆位相に移動される投入阻止部材306は、共通通路170に進出している。
よって、コインC及びICコインECは投入阻止部材306によって阻止され、投入口102に投入することができない。
【0071】
本価値媒体処理装置100がスタンバイ状態にされた場合、第2電磁アクチュエータ266は励磁され、鉄心280が図6において引き上げられ、リンク278を介して第3揺動レバ270は反時計方向へ回動される。
これにより、逸らせ体262は共通通路170に進出し、投入阻止部材306は共通通路170から退出する。
よって、コインC及びICコインECは投入口102にをそれぞれ投入可能になる。
【0072】
コイン振分装置116の第1電磁アクチュエータ248は消磁され、鉄心260はスプリング(図示せず)によって図5において右方へ移動されるので、第2リンク252を介して第2揺動レバ254が最時計方向に回動される(図5の状態)。
これにより、コイン振分体246はキャンセル位置CPに保持される。
ICコイン振分装置112の第3第3電磁アクチュエータ316も消磁され、キャンセル位置CPに保持される。
換言すれば、ICコイン振分体314の返却案内面334がベース144の側壁152に連続的に連なっている位置に保持される(図7の状態)。
【0073】
コインCが投入口102に投入された場合、永久磁石334はコインCによって吸着されないので押動部342が被動片169を押動しない。
これにより、可動ICコインガイドレール162Mは共通通路170に突出しないので、投入コインCはコイン通路106の転動開始ガイドレール148上に落下した後、転動を開始し、コインガイドレール150上を転動する。
コインCが勢いよく投入された場合、コインCは直径が小さいため、第1センサ196及び第2センサ198の光軸を同時に遮断することはないので、第2電磁アクチュエータ266は励磁されたままであり、逸らせ体262はICコイン通路104に突出している。
これにより、投入コインCは共通通路170を進行して逸らせ体262の垂立部272又は傾斜部274に衝突する。
【0074】
垂立部272又は傾斜部274に衝突したコインCは投入口102側へ跳ね返って横方向への移動慣性力を消滅させられ、重力により落下して転動開始ガイドレール148上に落下する。
転動開始ガイドレール148の転動面168に落下したコインCは、その円弧面により加速されつつ転動し、次いでコインガイドレール150上を転動する。
コインCはコインガイドレール150上を転動する過程でセンサ236、234、232に順次相対し、コインCの材質、厚み及び直径に関する識別情報を取得される。
判別装置114は、これらの識別情報からコインCの真偽及び金種を判別する。
【0075】
本ケースは正貨であるため、正貨として判別され、第1電磁アクチュエータ248が所定時間励磁される。
この励磁によって、鉄心260は図8において右方へ引かれるので、第2揺動レバ254は反時計方向へ回動される。
これにより、振分体246は図5に示す保留位置SPへ移動される。
コインガイドレール150から落下したコインCはコイン振分体246上に落下して図5における左方へ跳ね返り、コイン収納通路244Cへ案内される。
収納通路244Cを落下するコインCは、阻止体324を図5において時計方向へ回動させて通過し、保留金庫(図示せず)に保留される。
保留されたコインCを糸吊りにより引き上げようとしても前述のように阻止片324に阻止されて引き上げることができない。
【0076】
次に偽コインが投入されたケースを説明する。
投入口102に投入された偽コインは、前述同様にコイン通路106のコインガイドレール150上を転動する。
判別装置114はセンサ体236、234、232からの識別情報に基づき偽信号を出力するので、第1電磁アクチュエータ248は励磁されない。
これにより、コイン振分体246は図5におけるキャンセル位置CPを維持するので、偽コインは振分体242に衝突してコイン返却通路191へ案内され、返却口122に保持されてキャンセルされる。
【0077】
次に CコインECを投入口102に投入したケースを説明する。
図19に示すように、ICコインECを投入口102に挿入した場合、その周面下端は入口下端画定体364の頂部382に支えられた状態において、ICコインECの前側の上向き周縁がバネ体392の自由端394の下面と接触する。
顧客はバネ体392の弾発力による抵抗に抗してさらに挿入した場合、自由端394はICコインECの上向き外周面によって押し上げられ、バネ体392が変形する。
バネ体392は、変形量の増加と共に弾発力が大きくなる。
【0078】
このとき、リムECRは永久磁石334の磁力の影響下にあるので、永久磁石334がリムECR側に吸着移動し、第4揺動レバ338は図11において時計方向に回動される。
これにより、押動部342は被動片169を押すので、揺動体163は支軸165A、165Bを支点に回動され、可動ICコインガイドレール162Mがガイド位置GPに移動する(図15、16)。
ICコインECの直径部が下向き斜面384と自由端394の下面との間を超えて挿入された所定位置において、ICコインECはバネ体392の弾発力によりICコイン通路104の奥側へ向かって弾き入れられる。
この弾き入れにより、ICコインECは強制的に永久磁石334の側方を移動されるので、永久磁石334に吸着保持されない。
換言すれば、バネ体392の弾発力はICコインECが永久磁石334に吸着保持されない速度で移動されるよう設定される。
【0079】
ICコインECは弾かれた後、可動ICコインガイドレール162M上を転動してICコイン通路104を奥側へ(図5、19において右方から左方)転動する。
この転動時において、ICコインECは永久磁石334の側方を通り過ぎているので可動ICコインガイドレール162Mは永久磁石334による案内位置GPへの保持力を受けないが、その上を転動するICコインECの重量によってガイド位置GPに保持されるモーメントを生じさせるので、可動ICコインガイドレール162Mはガイド位置GPを保持する。
万が一、ICコインECがバネ体392によって弾かれて可動ICコインガイドレール162M上から離れた場合であっても、直ぐにその上端周面が案内体372の前下がり斜面400に衝突し、直ぐさま可動ICコインガイドレール162M側に跳ね返される。
これにより、可動ICコインガイドレール162Mは実質的にガイド位置GPを保持し続け、前述のようにICコインECは可動ICコインガイドレール162M上を転動してICコイン通路104を図5、19において右方から左方へ転動する。
【0080】
ICコインECは、転動途上で第1センサ196及び第2センサ198の投射光を遮断するので、検知装置126はICコインECとして検知する。
これにより、第2電磁アクチュエータ266が消磁され、鉄心280が図6において下方へ移動されるので、第3揺動レバ270は時計方向へ回動され、逸らせ体262は共通通路170から退出すると共にICコイン投入阻止部材306は共通通路170に進出し、コインCは投入不可能になる(図6に示す状態)。
また、スライド片287、ピン288を介して係止片282が図5の位置に回動され、ICコインECは保持位置HPに保持される。
爾後前述の実施例と同様に処理される。
【0081】
コインCが投入口102に挿入され、バネ体392によってICコインECと同様に弾き入れられたた場合、永久磁石334はコインCによって吸着されないので可動ICコインガイドレール162Mはガイド位置GPに移動されない。
また、逸らせ体262が共通通路170に位置しているので、逸らせ体262に衝突して下方に落下してコイン通路106を転動して実施例と同様に真偽判別される。
【0082】
次にICコインECがICコイン返却通路313を経由して返却口122に戻されるケースを説明する。
ICコインECが投入口102に挿入されると永久磁石334がリムECRに吸着され、第4揺動レバ338は図11において時計方向に回動される。
これにより、押動部342は被動片169を押すので、揺動体163は支軸165A、165Bを支点に回動され、可動ICコインガイドレール162Mがガイド位置GPに移動する(図16、17)。
ICコインECは、可動ICコインガイドレール162M上を転動してICコイン通路104を図5において右方から左方へ転動する。
この転動によってICコインECは永久磁石334の側方を通過するので可動ICコインガイドレール162Mは永久磁石334による案内位置GPへの保持力を受けないが、その上を転動するICコインECはその重量によってガイド位置GPに保持されるモーメントを生じさせるので、可動ICコインガイドレール162Mはガイド位置GPを保持する。
【0083】
ICコインECは、転動途上で第1センサ196及び第2センサ198の投射光を遮断するので、検知装置126はICコインECとして検知する。
これにより、第2電磁アクチュエータ266が消磁され、鉄心280が図6において下方へ移動されるので、第3揺動レバ270は時計方向へ回動され、逸らせ体262は共通通路170から退出すると共にICコイン投入阻止部材306は共通通路170に進出し、コインCは投入不可能になる(図9に示す状態)。
また、スライド片287、ピン288を介して係止片282が図5の位置に回動され、ICコインECは保持位置HPに保持される。
【0084】
逸らせ体262の共通通路170からの退出により、ICコインECは可動ICコインガイドレール162M上から固定ICコインガイドレール162F上を転動して上端部が係止片282によって停止され、保留位置HPにおいて保留される(図5)。
ICコインECは保留位置HPに保留された後、読込書込装置110によってICコインECに内蔵されたICチップTPと通信し、価値情報を読込若しくは書き込む。
ICコインECがICコインEC保留位置HPに保留された場合、キャンセルレバ174を回動させ、キャンセルカバ146を開いたとしても、ICコインECはベース144と落下防止体291との間に保持されて位置が安定するので読込書込エラを生じることはない。
【0085】
ICコインECの価値情報がゼロになった場合、ICコイン振分装置132の第3電磁アクチュエータ316が励磁され、駆動体328が移動されるので、被動レバ325の先端が移動され(図15の状態)、縦軸318は反時計方向へ回動される。
この回動によって、ICコイン振分体314が図8において時計方向に回動され、収納案内面336がキャンセルカバ146の壁面と面一になる収納位置RPに保持される。
【0086】
次いで第2電磁アクチュエータ266が励磁され、図7において上方へ移動される。
これにより、スライド片287が同方向へ移動され、ピン288を介して係止片282が図6において反時計方向に回動され、非保持位置に移動される。
係止片282の係止を解除されたICコインECは、固定ICコインガイドレール162Fの傾斜によって転動を開始し、ICコイン振分体314に達する。
【0087】
ICコイン振分体314が収納位置RPにあるため、ICコインECは収納案内面336に案内されてICコイン収納通路244ICへ案内される。
ICコインECに価値情報が残存している場合、第3電磁アクチュエータ316は励磁されず、キャンセル位置CPに保持される。
換言すれば、ICコイン振分体314の返却案内面334がベース144の側面152と面一の位置に保持される。
この場合、ICコインECは、ICコイン振分体314によってICコイン返却通路313に案内され、返却口122へ戻される。
【0088】
ICコイン返却通路313を転動するICコインECは板状体412を押す。
板状体412のモーメントは、ICコインECの押力よりも小さいので、板状体412は上縦軸414A及び下縦軸414B回りに図22において時計方向に回動される。
これによって、ICコインECは板状体装置を通過して返却口122に達することができる。
ICコインECが通過した後、板状体412は自己モーメントによって先端が側壁396に係止されるまで回動し、ICコイン返却通路313を閉止する。
【0089】
上記実施例においては、ICコイン返却通路313にシャッタ装置132を配置した例であるが、本発明はこれに限らず、コイン返却通路191に配置することもできる。
したがって、ICコイン返却通路313及びコイン返却通路191を総称して返却通路という。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は実施例の価値媒体処理装置の斜視図である。
【図2】図2は実施例の価値媒体処理装置の左側面図である。
【図3】図3は実施例の価値媒体処理装置の右側面図である。
【図4】図4は実施例の価値媒体処理装置の平面図である。
【図5】図5は図4におけるA―A線断面図である。
【図6】図6は図3におけるB―B線断面図である。
【図7】図7は図3におけるC―C線断面図である。
【図8】図8は図4におけるD―D線断面図である。
【図9】図9は実施例の価値媒体処理装置の連動装置の分解斜視図である。
【図10】図10は図3におけるE―E線断面図である。
【図11】図11は図3におけるF―F線断面図である(通常状態)。
【図12】図12は実施例の価値媒体処理装置の投入阻止装置部の拡大断面図である。
【図13】図2におけるG―G線断面図である。
【図14】図14は図3におけるH―H線断面図である。
【図15】図15は図2におけるI―II線断面図である。
【図16】図16は図3におけるF―F線断面図である(ICコイン投入状態)。
【図17】図17は本発明の実施例におけるICコイン通路部材の斜視図である。
【図18】図18は本発明の実施例におけるICコイン通路部材の正面図である。
【図19】図19は本発明の実施例におけるICコイン通路部材を組み込んだ図4におけるA―A線断面に相当する断面図である。
【図20】図20は本発明の実施例におけるICコイン通路部材及び板状対の分解斜視図である。
【図21】図21は本発明の実施例におけシャッタ装置を構成する板状体の下方からの斜視図である。
【図22】図22は図5におけるJ−J線断面図である。
【図23】図23は本発明の実施例におけシャッタ装置を構成する板状体の軸受け部の拡大図であり、(A)は正面図、(B)はK―K線断面図である。
【符号の説明】
【0091】
C コイン
EC ICコイン
100 価値媒体処理装置
102 投入口
118,,313 返却通路
414A,414B 縦軸
412 板状体
414A、414B 縦軸
418A、418B 軸孔
418 自己モーメント発生装置
420C 螺旋状カム面
430 固定体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口(102)に投入された価値媒体(C,EC)を処理通路において所定の処理をした後、返却通路(118,,313)を経由して返却口(122)に戻すようにした価値媒体処理装置(100)において、
前記返却通路に縦軸(414A,414B)を支点に回動可能な板状体(412)を設け、前記板状体は自己モーメントにより閉位置に向かうことを特徴とする価値媒体処理装置における通路シャッタ。
【請求項2】
前記板状体はその一端縁に上下に突出する縦軸(414A、414B)を有し、
前記縦軸は価値媒体処理装置に前記板状体に対し上下に形成した縦向きの軸孔(418A、418B)に回動及びスラスト方向に移動自在に支持され、
前記軸孔及び縦軸には自己モーメント発生装置(418)が設けられていることを特徴とする価値媒体処理装置における通路シャッタ。
【請求項3】
前記自己モーメント発生装置は、上側の縦軸(414A)の周囲に形成した螺旋状カム面(420C)が形成され、前記軸孔には前記螺旋状カム面に対しスライド可能な固定体(430)が設けられ、前記螺旋状カム面と前記固定体とにより前記板状体に所定方向の自己モーメントを発生させることを特徴とする価値媒体処理装置の通路シャッタ。
【請求項1】
投入口(102)に投入された価値媒体(C,EC)を処理通路において所定の処理をした後、返却通路(118,,313)を経由して返却口(122)に戻すようにした価値媒体処理装置(100)において、
前記返却通路に縦軸(414A,414B)を支点に回動可能な板状体(412)を設け、前記板状体は自己モーメントにより閉位置に向かうことを特徴とする価値媒体処理装置における通路シャッタ。
【請求項2】
前記板状体はその一端縁に上下に突出する縦軸(414A、414B)を有し、
前記縦軸は価値媒体処理装置に前記板状体に対し上下に形成した縦向きの軸孔(418A、418B)に回動及びスラスト方向に移動自在に支持され、
前記軸孔及び縦軸には自己モーメント発生装置(418)が設けられていることを特徴とする価値媒体処理装置における通路シャッタ。
【請求項3】
前記自己モーメント発生装置は、上側の縦軸(414A)の周囲に形成した螺旋状カム面(420C)が形成され、前記軸孔には前記螺旋状カム面に対しスライド可能な固定体(430)が設けられ、前記螺旋状カム面と前記固定体とにより前記板状体に所定方向の自己モーメントを発生させることを特徴とする価値媒体処理装置の通路シャッタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−34245(P2011−34245A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178445(P2009−178445)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】
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