説明

侵入防止の植物性の防御垣根の装置、およびその実施方法

とげまたは類似物を有する植物を含むタイプの、所有地を保護するための侵入防止の植物性の防御垣根の装置であって、該装置において前記植物は、保護すべき範囲を明確にするラインに沿って、一つまたは複数の列に植えられていること、前記植物の枝は、隣接した植物の枝に、互いに前記枝を編むことによって、および/またはそれらの端で前記枝を結束することによって結び付けられていること、および、該装置は、鋭い部分および/または刃部を有する骨組み要素を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所有地を保護するための侵入防止の植物性の防御垣根の装置、およびその実施のための方法を対象としている。
【背景技術】
【0002】
ずっと以前から既に、所有地の区画を取り囲むためおよび境界を定めるために、とげのある、またはとげのない植物の垣根が用いられてきた。この技術は、以前は、とりわけ飼育の分野において、土地を囲むため、および動物の群れを収容するために用いられた。
【0003】
既に、専用の土地を保護するために、とげのある植物の植え付けを用いた者もいるが、しかしながら、効果、美しさを通過、侵入、および破壊のさまざまな試みへの耐性と取り合わせることはできなかった。
【0004】
しかも、とげのある植物の単純な植え付けから生じる垣根は、効果的であるための十分抑止的な特徴をもたない。
【0005】
ドイツ特許公開第19502051号公報によって分かるのは、住宅地区、スポーツ施設、および遊戯場の境界を定めるために用いられることを目的とした植物の壁であるが、かかる植物の壁の目的が騒音防止の障壁を実現することであり、該植物壁が通過の障害に適合することは少しもないようになっている。
【0006】
ドイツ特許公開第2139813号公報によってもまた分かるのは、植物を含む仕切りであって、該仕切りは、いくつかの区域の境界を定めること、およびより詳細には狩猟鳥獣の多い区域の車線沿いに設置されることを目的としており、狩猟鳥獣が前記車線を横断することにより起こる事故を避けるようにする。本発明の目的は、景色の中に完璧に組み込まれる美的な壁を実現することであって、該壁は、植物が定着した金属の網目でできた囲いからなるものである。かかる壁の通過に対する抵抗は、用いられる金属の網目のものにしか結び付けられず、該金属の網目は補強されていない。
【0007】
ドイツ特許公開第386940号公報によっても分かるのは、雪に対する保護の垣根であって、該垣根の目的は、植物を編むことによって、防水で、および引き抜きに対し抵抗力がある壁を得ることである。かかる垣根は、侵入防止の障害物をいかなる場合でも構成することはできない。
【特許文献1】ドイツ特許公開第19502051号公報
【特許文献2】ドイツ特許公開第2139813号公報
【特許文献3】ドイツ特許公開第386940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が目的とするのは、前述した目標に達することを可能にする、とりわけとげのある植物を含む侵入防止の植物性の防御垣根の装置を提案すること、および以上に述べた不都合を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による侵入防止の植物性の防御垣根の装置は、とげまたは類似物を有する植物を含むタイプのものであって、該装置は、前記植物が、該装置において保護すべき範囲を明確にするラインに沿って、一つまたは複数の列上に植えられていること、そして、前記植物の枝が、隣接した植物の枝に、互いに前記枝を編むことによって、および/またはそれら枝の端で前記枝を結束することによって結び付けられること、および、該装置が、鋭い部分および/または刃部を有する骨組み要素を含むことを、主として特徴としている。
【0010】
本発明による装置の付加すべき特徴によると、該装置は、他方の列に比べて一つの列が五点形の配植にずれていることを遵守して植えられた、複数の植物の列を具備している。
【0011】
本発明による装置の付加すべき特徴によると、用いられるとげのある植物は、叢生栽培された植物からなるものである。
【0012】
本発明による装置のもう一つの付加すべき特徴によると、植物の枝は、骨組み要素と結び付けられている、および/または編まれている。
【0013】
本発明による装置のもう一つの付加すべき特徴によると、骨組み要素は、乾燥した植物性材料からなるものである。
【0014】
本発明による装置のもう一つの付加すべき特徴によると、乾燥した植物性材料は、切断され、乾燥させられ、そして、とりわけ殺虫、殺菌、および防腐の製品を用いて処理されたとげのある種類である。
【0015】
本発明による装置のもう一つの付加すべき特徴によると、骨組み要素は、金属の要素からなるものである。
【0016】
本発明による装置のもう一つの付加すべき特徴によると、金属の要素は、植物間または植物内に差し込まれたらせんの形で配置された有刺線、コンサーティーナのような帯または類似物の形である。
【0017】
本発明による装置のもう一つの付加すべき特徴によると、装置は、部分的に地面に打ち込まれる鉱物の要素を具備する。
【0018】
本発明による装置のもう一つの付加すべき特徴によると、装置は、地面に定着させられる金属製の骨組み要素を具備し、該要素に、とげのある植物が有線の手段を介してしっかりと結び付けられることができる。
【0019】
本発明によると、侵入防止の植物性の防御垣根の装置の実現方法は、保護すべき範囲を明確にするラインに沿って、一つまたは複数の列上に、そこに場合によっては骨組み要素を含んで、とげまたは類似物を有する植物を植えつけること、そして、前記植物の枝を、編むことおよび/または結束する作業によって、隣接した植物の枝および/または場合によっては前記骨組み要素に結び付けることにある。
【0020】
本発明による方法の付加すべき特徴によると、互いに枝を編むことおよび/または結束する作業に先立って、該枝の少なくとも一部分は、折られることによってほぼ水平に方向付けられるようにする。
【0021】
本発明による方法のもう一つの付加すべき特徴によると、枝の切込みを実現することによって、該枝を折り曲げることを容易にするようにする。
【0022】
所望する保護の段階に応じて、本発明による垣根の装置は、前述した特徴の一つまたは複数を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明による装置の有利な点および特徴は、以下に続く説明からより明確に分かる。
【実施例】
【0024】
本発明による防御垣根の装置の実現は、もちろん地面の適切な準備のあとで、とげまたは類似物を有する植物を植えることを必要とし、該植物はたとえば、非制限的に、以下の種類の中から選ぶことができる。すなわち、サンショウ、アメリカサイカチ、サイカチ(gleditsia horrida)、カラタチ、オーセージオレンジ、ヒトツブサンザシ(crataegus monogyna)、クラタエグスクルスグリ(crataegus crus−galli)、セイヨウサンザシ、メギ属、トゲハマナツメ(paliurus spina christi)、スピノサスモモ、ならびに前記種類のさまざまな品種。
【0025】
本発明による垣根が視覚的な遮蔽板の製作もまた必要とするならば、該垣根は、たとえば、および非制限的に、以下の種類の中から選ばれる植物で構成されることもできるであろう。すなわち、ベルベリス・ユリアナエ、ポルトガルゲッケイジュ、モクセイ属、モチノキ属(ilex)、プリノス(quercus coccifera)、マホベルベリス属、バラ科、キイチゴ属、ツゲ科、ガマズミ属(viburnum)。
【0026】
注意すべきことは、通常、樹木で、若木で、あるいは枝分かれした枝で栽培される前述した植物のいくつかは、有利には、本発明の必要性のために、複数の枝で叢生栽培されることによって、とりわけ基部からの枝の発育を助長するようにしているということである。
【0027】
これらの植物は、まっすぐな、折れた、曲がった、あるいは蛇行したラインに沿って、一つまたは好適には複数の列で、ある程度の隔たりをとって植えられ、該隔たりは、植物の完全な発育に必要なものと、飛び越えられない垣根の建設に必要なものとの妥協からなる。しかも、複数の列の植物が植えられる際に、一つの列の植物は、一つまたは複数の隣接する列の植物に比べて五点形の配植にずれている。
【0028】
しかも、所望する結果に応じて、さまざまな種類を混ぜ合わせることができるということが予想されるが、この混ぜ合わせたものは、しかしながら、好適には、複数の列で延びる垣根専用のものである。
【0029】
このように構成される本発明による防御垣根は、骨組み要素の取り付けによって仕上げられることができ、該骨組み要素は、金属の要素、乾燥した植物、あるいはまた鉱物の要素からなることができる。
【0030】
金属の要素は、好適には、植物間および/または同じ房、束の内部に差し込まれたらせんの形で配置された有刺線、コンサーティーナのような帯または類似物の形であることができる。該金属要素は、たとえば係留ロープのような有線の要素で、植物の底部で植物が留められることができるところに、互いに溶接されたまたは溶接されない、くぎまたは杭を含むこともできる。
【0031】
乾燥した植物は、針またはとげを備え、乾燥させられ、かつ処理された植物の枝からなることができ、該植物は、好適には、生きている植物の枝の異なる方向において配置されている。
【0032】
鉱物の要素は、それらに関しては、多少とも地面に差し込まれた岩、コンクリート、あるいは他のものの塊からなることができ、乗り物の進行を妨げるのに適した障害物を構成することが可能である。
【0033】
本発明による垣根の装置の実現の次に続く過程は、植物の枝を隣接した植物の枝に編むことであり、またはそれらを編むことができなければ、縛る手段を用いてそれらを結ぶことである。
【0034】
この過程は、骨組み要素の組入れの場合、植物の枝を前記骨組み要素と編むまたは結び付ける作業も含むことができる。
【0035】
枝を、互いにまたは骨組み要素と編むまたは結び付ける作業は、前記枝の少なくとも一部分について、それらを折ることによって、該枝のほぼ水平な方向を重視して実施され、このことは、枝が容易に折られるのにあまりに大きな断面であるとき、必要なものであるならば、切り込みを入れた後に実施される。
【0036】
注意すべきことは、本発明による垣根の装置の実現の際に、編むことが結びつけることよりも好まれるということであり、後者の結び付けることは、枝を締め付けるという欠点を有しうる、縛るものを用いて実現されることを留意しなければならない。したがって、結び付けることはむしろ、枝の端を、他の枝の端あるいは、金属または非金属の骨組み要素に留めるための枝の端専用のものである。
【0037】
編む作業は、好適には、植物の低い部分の枝からはじまり、ついで本発明による垣根が良好な基礎を有するように、徐々に上がって実現されるものであり、高い部分が、新たに伸びる枝で後に構成されることができるようになるということを留意しなければならない。これに関して、注意すべきことは、該垣根の規則的なメンテナンスの際には、新しい枝が、好適には編まれるおよび/または結び付けられるということである。
【0038】
注意すべきことは、鉱物、化学合成品、あるいは有機物のマルチングのような地面の予防処理、または類似物を準備することによって、地面の乾燥状態、ならびに雑草の発生を避けるようにすることが好ましい。
【0039】
本発明による垣根の装置は、特徴および確保された選択にしたがって、非常に大きな耐性を有すること、および動いている乗り物にとってでさえ飛び越えることができないものであることができる。
【0040】
さまざまな整備は、たとえば垣根の片側または両側の、とげのない植物の列の、植え付けとして確保されることもでき、該植え付けは、垣根に偶発的に衝突する人が負傷することを避けることが可能である。
【0041】
有利には、本発明による垣根の装置は、あらゆる形状の存在を検出する方法、とりわけ電子工学の方法を含むことができる。
【0042】
他方では、先行する記述は、垣根の構築に関わるものであるが、現行の垣根あるいは補足的な壁または他の囲いの要素で作業をすることを考え得るものでもある。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
とげまたは類似物を有する植物を含むタイプの侵入防止の植物性の防御垣根の装置であって、前記植物が、該装置において保護すべき範囲を明確にするラインに沿って、一つまたは複数の列に植えられていることを特徴としていること、;前記植物の枝が、隣接した植物の枝に、互いに前記枝を編むことによって、および/またはそれらの端で前記枝を結束することによって結び付けられることを特徴としていること、;および、該装置が、鋭い部分および/または刃部を有する骨組み要素を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
他の列に比べて一つの列が五点形の配植にずれていることを遵守して植えられた、複数の植物の列を具備することを特徴とする、請求項1に記載の植物性の防御垣根の装置。
【請求項3】
用いられるとげのある植物が、叢生栽培された植物からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の植物性の防御垣根の装置。
【請求項4】
植物の枝が、骨組み要素と結び付けられている、および/または編まれていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つに記載の植物性の防御垣根の装置。
【請求項5】
骨組み要素が、乾燥した植物性材料からなることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載の植物性の防御垣根の装置。
【請求項6】
乾燥した植物性材料が、切断され、乾燥され、そしてとりわけ殺虫、殺菌、および防腐の製品を用いて処理されることを特徴とする、請求項5に記載の植物性の防御垣根の装置。
【請求項7】
骨組み要素が、金属の要素からなることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載の植物性の防御垣根の装置。
【請求項8】
金属の要素が、植物間または植物内に差し込まれたらせんの形で配置された有刺線、コンサーティーナのような帯または類似物の形であることを特徴とする、請求項7に記載の植物性の防御垣根の装置。
【請求項9】
部分的に地面に打ち込まれる鉱物の要素を具備することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一つに記載の植物性の防御垣根の装置。
【請求項10】
地面に定着させられる金属製の骨組み要素を具備し、該要素に、とげのある植物が有線の手段を介してしっかりと結び付けられることができることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一つに記載の植物性の防御垣根の装置。
【請求項11】
存在を検出する手段を含むことを特徴とする、請求項1から10に記載の植物性の防御垣根の装置。
【請求項12】
保護すべき範囲を限定する線に沿って、場合によっては骨組み要素を含む一つまたは複数の列に、とげまたは類似物を有する植物を植えつけること、そして、前記植物の枝を、編むことおよび/または結束する作業によって、隣接した植物の枝および/または場合によっては前記骨組み要素に結び付けることにあることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一つに記載の侵入防止の植物性の防御垣根の装置の実施方法。
【請求項13】
互いに枝を編むことおよび/または結束する作業に先立って、場合によっては該枝に切り込みを入れた後で、該枝の少なくとも一部分が、折られることによってほぼ水平に方向付けられるようにすることを特徴とする、請求項12に記載の方法。




【公表番号】特表2007−516710(P2007−516710A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544517(P2006−544517)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050683
【国際公開番号】WO2005/058012
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(506206029)
【氏名又は名称原語表記】SINNOVEG
【Fターム(参考)】