説明

便器汚染防止システム,および,便器の汚染防止方法

【課題】 人体および設備に影響を与えることなく便器の汚染を防止できる技術を提供する。
【解決手段】 本発明の便器汚染防止システム1は、活性酸素水を生成する活性酸素生成装置10と、小便器20の洗浄を制御する制御装置30と、活性酸素生成装置10および小便器20に水を所定の圧力で供給する水配管40と、小便器20に流れ込んだ水配管40からの水などを排出する排水配管50と、からなり、小便器20に活性酸素生成装置10にて生成された活性酸素水を供給することで、小便器20の汚染を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性酸素を含有する水を便器に供給することで便器の汚染を防止する便器汚染防止システムおよび便器の汚染防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オゾンを含有するオゾン水,または,殺菌効果のあるイオン含有水などを便器に流して、便器の汚染を防止する技術が提案されている。
オゾン水を用いて便器の汚染を防止する技術として、例えば、オゾン水を生成する装置を貯水タンク内に備え、その装置により生成されたオゾン水を便器に流す便器洗浄装置が提案されている(特許文献1参照)。この便器洗浄装置は、汚物が搬出された後の便器をオゾン水によって洗浄することで、オゾン水に含まれるオゾンによって脱臭,殺菌,防汚等を行い、便器を衛生的に保つことを実現する。
【0003】
また、イオン含有水を用いた技術として、例えば、銀や銅などの金属でできた電極を電気分解槽に入れて電圧を印加し、金属イオンが水中に溶出したイオン含有水を生成し、そのイオン含有水を便器に流す便器洗浄装置が提案されている(特許文献2参照)。この金属イオンを含有する水によって、殺菌・防臭等を実現する。
【特許文献1】特願平9−232215号公報
【特許文献2】特願平9−287752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術では、便器の汚染防止以外の影響を人体および設備に与える危険性がある。例えば、オゾンは人体に悪影響があることが知られており、オゾン水に含まれるオゾンが低濃度であっても、トイレは狭い室内に設置されることが多いため、蒸発した余剰オゾンが充満すると、人体への安全性が損なわれる虞がある。また、金属イオンは配管等の腐食を促進する虞がある。
【0005】
このように、従来の便器洗浄装置は、便器の汚染防止を実現すると同時に、人体および設備に対して悪影響を及ぼすという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、人体および設備に影響を与えることなく便器の汚染を防止できる便器汚染防止システム,および,便器の汚染防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、活性酸素水生成手段と活性酸素水供給手段とを備える便器汚染防止システムである。活性酸素水生成手段は水中に溶存する酸素に電子を供与し、活性酸素であるスーパーオキシドアニオンラジカル(・O2-)を発生させる。また、このスーパーオキシドアニオンラジカル(以降、単に活性酸素という)の一部は、次に示す式のように反応して過酸化水素水を発生させる。
2・O2-+2H+→H22+O2
そして、これら活性酸素および過酸化水素水を含有する活性酸素水を、活性酸素水供給手段が便器に供給する。
【0007】
このように供給した活性酸素および過酸化水素水は、有機化合物を酸化分解する機能を
有している。そのため、上述した便器汚染防止システムは、便器内面および排水配管に付着して臭気の発生や細菌の繁殖の要因となる有機化合物を除去できる。さらに、活性酸素それ自体は寿命が短いので、オゾンのように蒸発して便器が設置されたトイレ室内に充満し、人体への安全性が損なわれる虞はない。また、金属イオンのような腐食促進物質が使用されないため、排水配管などの腐食を引き起こす虞もない。
【0008】
このように、上述した便器汚染防止システムであれば、人体および設備に影響を与えることなく便器の汚染を防止することができる。
活性酸素水生成手段は、溶存酸素に電子を供与することができれば、その具体的な構成は特に限定されないが、例えば、請求項2に記載された便器汚染防止システムのように構成することが考えられる。それは、外部から供給される水を貯水可能な水槽と、その水槽に水が貯水された状態でその水に接触する位置に配置される陰極電極および陽極電極と、それら各電極の間に電圧を印加する電源とを備えており、陰極電極がポリアニリン膜で被覆されてなる構成である。この構成において、陰極電極に還元電圧が印加されると、水中に溶存する酸素に電子が供与され、活性酸素が生成される。
【0009】
このように構成された便器汚染防止システムであれば、ポリアニリン膜を介してその水に溶け込んだ溶存酸素に電子を与えることができる。
また、具体的なポリアニリンの種類は、請求項3の化学式1または化学式2に示される非ドープ型のポリアニリンまたはポリアニリンの誘導体,および、請求項3の化学式3または化学式4に示されるドープ型のポリアニリンまたはポリアニリンの誘導体からなるものを用いることができる。
【0010】
なお、上記化学式において、Aは陰イオンを表す。nは2以上5000以下の範囲の整数であり、xとyは、x+y=1および0≦y≦0.5を同時に満たす数である。
また、ドーパントとしては、スルホン酸基,ホスホン酸基,硝酸基,カルボキシル基,スルフィン酸基,および水酸基のうち少なくとも一つを含む化合物などが考えられる。
【0011】
ところで、活性酸素水を便器に供給するタイミングは特に限定されない。たとえば、便器が使用された直後のタイミングで、排泄物を流して便器を洗浄するための水として、活性酸素水を供給することが考えられる。
【0012】
また、それ以外のタイミングで活性酸素水を供給する便器汚染防止システムとして、請求項4に記載のように、活性酸素を含まない所定量の水を便器に供給することで便器を洗浄する洗浄水供給手段を備えており、その活性酸素を含まない水により便器を洗浄したタイミングで、活性酸素水を便器に供給する構成が考えられる。
【0013】
このように構成された便器汚染防止システムであれば、活性酸素水を最後に便器に供給することから、活性酸素水が活性酸素を含まない水に流されることなく、便器内およびトラップに長い時間滞留させることができるため、発生させた活性酸素を効率よく汚染防止に利用することができる。また、最初に活性酸素を含まない水で便器を洗浄することから、活性酸素水で便器を洗浄する場合と比較して活性酸素水の必要量が少なくなる結果、活性酸素を容易に高濃度にすることができ、洗浄効果を向上できる。
【0014】
なお、活性酸素水の生成量は、トラップに溜まる水の量の2倍程度あればよい。その量であれば、トラップに溜まる水の大部分を、活性酸素を含む水に置き換えることができる。
【0015】
また、上述した構成とは別のタイミングで活性酸素を含む水を便器に供給する構成として、請求項5に記載のように、活性酸素水が最後に便器に供給されてから一定時間を経過したタイミングで再度供給する構成が考えられる。
【0016】
このように構成された便器汚染防止システムであれば、便器の汚染を防止する効果のある活性酸素水を定期的に便器に流すことができるので、便器を使用する頻度が低い時間帯であっても安定した汚染防止の効果を得ることができる。
【0017】
また、請求項6に記載の便器の汚染防止方法は、水中に溶存する酸素に電子を供与することで活性酸素水を生成し、その生成された活性酸素水を便器に供給することを特徴とする。
【0018】
このような方法により便器の汚染を防止する場合、請求項1から請求項5のいずれかに記載の便器汚染防止システムと同様の作用,効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[実施例1]
(1−1)全体構成
本実施例の便器汚染防止システム1は、図1に示すように、活性酸素を含有する水(以降、活性酸素水という)を生成する活性酸素生成装置10と、小便器20の洗浄を制御する制御装置30と、活性酸素生成装置10および小便器20に水を所定の圧力で供給する水配管40と、小便器20に流れ込んだ水配管40からの水などを排出する排水配管50と、からなる。
【0020】
これらのうち、活性酸素生成装置10は、図2に示すように、水配管40から供給された水を入口11から導入し、所定量(本実施例では後述するトラップ52に滞留する水の量の2倍)貯水する水槽12と、水槽12に貯水された水に接触する位置に配置された陰極13および陽極14と、貯水された水を小便器20に供給する出口15と、からなる。
【0021】
これらのうち、陰極13は、その表面がポリアニリン膜16にて被覆されている。
また、陰極13および陽極14は、制御装置30に接続されており、制御装置30に内蔵される電源から電圧を印加される。この陰極13に電源より還元電圧を印加することで活性酸素を発生するが、詳しくは後述する。
【0022】
本実施例において、陰極13および陽極14は活性炭素繊維で形成されている。ポリアニリン膜16は、Nメチルピロリドンのような溶媒にポリアニリンを溶解して塗布した後、ベークして形成される。
【0023】
また、具体的なポリアニリンの種類は、下記の化学式1または化学式2に示される非ドープ型のポリアニリンまたはポリアニリンの誘導体,および、下記の化学式3または化学式4に示されるドープ型のポリアニリンまたはポリアニリンの誘導体からなるものを用いることができる。
【0024】
【化1】

【0025】
【化2】

【0026】
【化3】

【0027】
【化4】

【0028】
なお、上記化学式において、Aは陰イオンを表す。nは2以上5000以下の範囲の整数であり、xとyは、x+y=1および0≦y≦0.5を同時に満たす数である。
また、ドーパントとしては、スルホン酸基,ホスホン酸基,硝酸基,カルボキシル基,スルフィン酸基,および水酸基のうち少なくとも一つを含む化合物などが考えられる。
【0029】
また、制御装置30は、入口11の上流に配置される上流電磁弁32と、出口15の下流に配置される下流電磁弁34と、水配管40における活性酸素生成装置10を経由しないで小便器20に到達する経路上に配置される水電磁弁36と、使用者が小便器20の前に立ったこと(以降、「使用状態」という)を検出するセンサ38と、に接続されている。上流電磁弁32,下流電磁弁34,および,水電磁弁36は、センサ38が使用状態を検出しないときは閉じており、使用状態を検出した際に、制御装置30によりその開閉動作が制御される。上流電磁弁32は、水槽12に貯水する際に開放される。下流電磁弁34は、水槽12に貯水された水を小便器20に供給する際に開放される。また、水電磁弁36は、小便器20を洗浄するための水を小便器20に供給する際に開放される。
【0030】
また、排水配管50は、小便器20から排出される排水を一定量溜めるトラップ52が形成されており、悪臭などが小便器20側に逆流することを防止する。
(1−2)小便器の洗浄動作
制御装置30は、センサ38が使用状態を検出した際に、水電磁弁36を開放し、小便器20の表面を水で覆うことで汚れを付きにくい状態にする。所定時間経過後、水電磁弁36を閉じる。
【0031】
次に、センサ38が使用状態を検出しなくなった際に、水電磁弁36を開放し、小便器20の表面を洗浄する。所定時間経過後、水電磁弁36を閉じ、下流電磁弁34を開放する。このとき、活性酸素生成装置10に生成された活性酸素水が小便器20の表面に供給されてその表面および排水配管50のトラップ52を活性酸素により洗浄する。所定時間経過後、下流電磁弁34を閉じる。
【0032】
次に、上流電磁弁32を開放し、活性酸素生成装置10に水を溜める。所定時間経過後、上流電磁弁32を閉じる。
(1−3)活性酸素水の生成動作および効果
活性酸素生成装置10に水が入った状態で制御装置30が陰極13に還元電圧を印加すると、ポリアニリンに電子が供給され、ポリアニリンは水中の溶存酸素に電子を与え、活性酸素であるスーパーオキシドアニオンラジカル(・O2-)(以降、単に活性酸素という)を連続的に生成する。また、この活性酸素の一部は、次に示す式のように反応して過酸化水素水を発生させる。
【0033】
2・O2-+2H+→H22+O2
このようにして発生した活性酸素および過酸化水素水は、有機化合物を酸化分解する機能を有しているため、小便器20の内面および排水配管50に付着して臭気の発生や細菌の繁殖の要因となる有機化合物を除去できる。さらに、活性酸素それ自体は寿命が短いので、オゾンのように蒸発して小便器20が設置されたトイレ室内に充満し、人体への安全性が損なわれる虞はない。また、金属イオンのような腐食促進物質が使用されないため、排水配管50などの腐食を引き起こす虞もない。
【0034】
そのため、上述した便器汚染防止システム1であれば、人体および設備に影響を与えることなく小便器20の汚染を防止することができる。
また、本実施例の便器汚染防止システム1であれば、ポリアニリン膜16を介してその水に溶け込んだ溶存酸素に電子を与えることができる。
【0035】
また、本実施例の便器汚染防止システム1であれば、活性酸素水を最後に小便器20に供給することから、活性酸素水が活性酸素を含まない水に流されることなく、小便器20内およびトラップ52に活性酸素水を長時間滞留させることができるため、発生させた活性酸素を効率よく汚染防止に利用することができる。また、小便器20の使用後に、まず活性酸素を含まない水で小便器20を洗浄することから、活性酸素水で便器を洗浄する場合と比較して活性酸素水の必要量が少なくなる結果、活性酸素を容易に高濃度にすることができ、洗浄効果を向上できる。なお、活性酸素水の生成量は、トラップ52に溜まる水の量の2倍であるため、その量の活性酸素水を小便器20に供給することで、トラップ52に溜まる水の大部分を、活性酸素水に置き換えることができる。
[実施例2]
(2−1)全体構成
本実施例の便器汚染防止システム2は、図3に示すように、活性酸素水を生成する活性酸素生成装置10と、洋式の便器100を洗浄する活性酸素を含まない洗浄水を貯める貯水タンク110と、便器100の洗浄を制御する制御装置120と、便器100に供給された貯水タンク110からの洗浄水などを排出する排水配管130と、活性酸素生成装置10および貯水タンク110に水を所定の圧力で供給する水配管140と、からなる。
【0036】
また、便器100には、便器100の奥側の端部(図3におけるA)を回転軸として上下に変位可能な便座102が設けられている。
上述した活性酸素生成装置10は、実施例1の活性酸素生成装置10と同様の構成であって、水配管140から供給された水を入口11から導入して貯水し、貯水された水を出口15から便器100に供給する。また、陰極13および陽極14は、制御装置120に接続されている。
【0037】
制御装置120は、内装される記憶装置に記憶されたプログラムに基づいて便器汚染防止システム2の洗浄動作を行う。この制御装置120は、入口11の上流に配置される上流電磁弁32と、出口15の下流に配置される下流電磁弁34と、水配管140における活性酸素生成装置10を経由しない経路上に配置される給水電磁弁122と、貯水タンク110から便器100へ向かう配管に配置される排水電磁弁124と、使用者が便器100に接近したこと(以降、「接近状態」という)を検出するセンサ126と、排水配管130に備えられた後述するバイパス電磁弁136と、使用者が便器100を洗浄する際に押す図示しない洗浄スイッチと、に接続されている。さらに、便座102の位置を検知しており、便座102が上下のいずれに位置しているかを検知する。
【0038】
上流電磁弁32,下流電磁弁34,給水電磁弁122および,排水電磁弁124は、センサ126が接近状態を検出しないときは閉じており、接近状態を検出した際に、制御装置120によりその開閉動作が制御される。上流電磁弁32は、水槽12に貯水する際に開放され、下流電磁弁34は、水槽12に貯水された水を便器100に供給する際に開放される。また、給水電磁弁122は、貯水タンク110に貯水する際に開放され、排水電磁弁124は、便器100を洗浄する活性酸素を含まない洗浄水を便器100に供給する際に開放される。
【0039】
また、排水配管130は、便器100から排出される排水を一定量溜めるトラップ132が形成されており、悪臭などが便器100側に逆流することを防止する。トラップ132にはバイパス134およびバイパス電磁弁136が設けられており、バイパス電磁弁136が開くと、バイパス134を介してトラップ132に溜められた水が排出される。
(2−2)便器洗浄のための制御装置120の処理
以下に、制御装置120による便器洗浄の処理手順を、図4に基づいて説明する。
【0040】
この処理は、センサ126が接近状態を検出した際に開始される。この処理が開始されると、まず、所定時間(例えば5s)待機する(S1)。所定時間待機後、便座が上がっているか否かを判断する(S2)。便座が上がっていれば(S2:YES)、男性の小便跳ね返りによる便器100の汚染を防止するため、バイパス電磁弁136を開放し、トラップ132に溜められた水を排出する(S3)。一方、便座が上がっていなければ(S2:NO)、貯水タンク110に貯められた洗浄水を、便器100の表面が水で覆われる程度に供給する(S4)。
【0041】
続いて、洗浄スイッチが押されたか否かが判断される(S5)。洗浄スイッチが押されていれば(S5:YES)、貯水タンク110に貯められた洗浄水を供給して、便器100の洗浄を行う(S7)。一方、洗浄スイッチが押されていなければ(S5:NO)、接近状態を検出しているか否かを判断する(S6)。接近状態を検出していれば(S6:YES)、処理がS5に戻る。一方、接近状態を検出していなければ(S5:NO)、貯水タンク110に貯められた洗浄水を供給して、便器100の洗浄を行う(S7)。
【0042】
次に、下流電磁弁34を開放し、活性酸素水を所定量供給してトラップ132に溜める(S8)。
次に、活性酸素生成装置10にて活性酸素水を生成する(S9)。具体的には、上流電磁弁32を所定時間開放して水槽12に水を貯め、陰極13に還元電圧を印加する。
【0043】
その後、本処理が終了する。
(2−3)効果
このように構成された便器汚染防止システム2は、実施例1の便器汚染防止システム1と同様に、人体および設備に影響を与えることなく、効率よく便器100の汚染を防止することができる。
【0044】
また、この便器汚染防止システム2は、便座102が上げられると、トラップ132に溜められた水を排出するため、男性が小便を行ったときにトラップ132に溜められた水にはねて飛び散ることを抑制できる。
[変形例]
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記各実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0045】
例えば、上記実施例1および実施例2においては、活性酸素を含まない水で小便器20または便器100を洗浄した後に活性酸素水を供給する構成を例示したが、活性酸素水を供給するタイミングは上述したものに限定されない。
【0046】
例えば、活性酸素水が最後に小便器20または便器100に供給されてから、一定時間を経過したタイミングで再度供給してもよい。このように構成された便器汚染防止システム1,2であれば、汚染を防止する効果のある活性酸素水を定期的に各便器に供給することができるので、各便器を使用する頻度が低い時間帯であっても安定した汚染防止の効果を得ることができる。
【0047】
また、上記実施例2では、貯水タンク110に対して、給水電磁弁122を開放することで貯水を行い、排水電磁弁124を開放することで便器100に排水する構成を例示した。しかし、貯水タンク110に対して貯水および排水が可能であれば、その具体的な構成は特に限定されない。
【0048】
例えば、貯水タンク110の排水口に被さって排水弁の作用をする浮きゴムと、貯水タンク110に流入する水の量を調整する開水栓の作用を有する浮き玉と、を備え、浮きゴムを排水口から浮かすことで排水を開始し、貯水タンク110内の水位の変動に応じて浮きゴムおよび浮き玉が変位し、排水の停止および貯水を行う構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施例1の便器汚染防止システムを示す側面図
【図2】活性酸素生成装置を示す側面図
【図3】実施例2の便器汚染防止システムを示す側面図
【図4】便器洗浄のための制御装置の処理の手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0050】
1,2…便器汚染防止システム、10…活性酸素生成装置、11…入口、12…水槽、13…陰極、14…陽極、15…出口、16…ポリアニリン膜、20…小便器、30…制御装置、32…上流電磁弁、34…下流電磁弁、36…水電磁弁、38…センサ、40…水配管、50…排水配管、52…トラップ、100…便器、102…便座、110…貯水タンク、120…制御装置、122…給水電磁弁、124…排水電磁弁、126…センサ、130…排水配管、132…トラップ、134…バイパス、136…バイパス電磁弁、140…水配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に溶存する酸素に電子を供与することで活性酸素を含有する活性酸素水を生成する活性酸素水生成手段と、
前記活性酸素水生成手段にて生成された活性酸素水を便器に供給する活性酸素水供給手段と、を備える
ことを特徴とする便器汚染防止システム。
【請求項2】
前記活性酸素水生成手段は、
外部から供給される水を貯水可能な水槽と、
前記水槽に水が貯水された状態で該水に接触する位置に配置される陰極電極および陽極電極と、
前記陰極電極と前記陽極電極との間に電圧を印加する電源と、からなり、
前記陰極電極は、ポリアニリン膜で被覆されている
ことを特徴とする請求項1に記載の便器汚染防止システム。
【請求項3】
前記ポリアニリンは、下記の化学式1〜4に示すポリアニリンからなる群から選択される少なくとも一つのポリアニリンである
ことを特徴とする請求項2に記載の便器汚染防止システム。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【請求項4】
活性酸素を含まない所定量の水を便器に供給することで便器を洗浄する洗浄水供給手段を備え、
前記活性酸素水供給手段は、前記洗浄水供給手段による便器の洗浄が終了するタイミングで、前記活性酸素水を便器に供給する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の便器汚染防止システム。
【請求項5】
前記活性酸素水供給手段は、前記活性酸素水が最後に便器に供給されてから一定時間を経過したタイミングで、前記活性酸素水を便器に供給する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の便器汚染防止システム。
【請求項6】
水中に溶存する酸素に電子を供与することで活性酸素を含有する活性酸素水を生成し、該生成された活性酸素水を便器に供給する
ことを特徴とする便器の汚染防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−240442(P2008−240442A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85049(P2007−85049)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】