便器洗浄装置
【課題】排便、排尿除去用の流水装置の故障が極めて少なく、人体検知センサに投入する電力が少なく、停電時には、手動で流水動作が可能であり、節水効果の大なる便器洗浄装置及びトイレ管理システムの提供。
【解決手段】便器1の使用を検出する検出装置10と、該検出装置の検出結果に応答して便器1に洗浄用水を供給する洗浄水用開閉弁を開放する洗浄水用開閉弁開放装置20とを有し、検出装置10は、赤外線を照射する赤外線照射装置11と、照射された赤外線の反射光を受光する赤外線受光装置12と、便器設置箇所における光により赤外線照射装置11の作動に必要な電力を発電する光発電装置17とを備えている。
【解決手段】便器1の使用を検出する検出装置10と、該検出装置の検出結果に応答して便器1に洗浄用水を供給する洗浄水用開閉弁を開放する洗浄水用開閉弁開放装置20とを有し、検出装置10は、赤外線を照射する赤外線照射装置11と、照射された赤外線の反射光を受光する赤外線受光装置12と、便器設置箇所における光により赤外線照射装置11の作動に必要な電力を発電する光発電装置17とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排便、排尿後に自動的に便器を洗浄する便器洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排便、排尿後に自動的に水を便器内に流し、便器を自動洗浄する便器洗浄装置については、各種製品が市販されている。
その様な従来の便器洗浄装置の中に、排便、排尿を便器から除去する洗浄用水の流量調節を、電磁弁の開放時間の長短によって制御するものが存在する。
【0003】
電磁弁の開放時間により洗浄用水の流量調節を行う場合には、電磁弁に異物が混入しないように、或いは、電磁弁に異物が混入した際に直ちに排出されるように、水圧が高く設定してある。
しかし、洗浄用水の水圧を高く設定するということは、排便時における洗浄水の水量が必然的に増加してしまうので、節水という趣旨に反することとなる。
【0004】
また、弁閉鎖時に電磁弁が故障すれば「水が流れない」状態となり、汚物が弁器内に放置された状態になってしまう。一方、弁開放時に電磁弁が故障した際には、「水が流れっぱなしで止まらない」状態となり、節水という趣旨とは真逆な結果となってしまう。
更に、停電時には、故障の場合と同様に、水が流せない状態或いは水が止まらない状態となってしまい、トイレが使用できなくなる。
【0005】
そのため、電磁弁の開放時間で洗浄用水の流量調節を行うタイプの便器を自動洗浄する便器洗浄装置では、電磁弁の故障時や停電時には、メンテナンス会社のサービスマンを呼び、修理を行い、修理が完了するまでに、長時間に亘ってトイレの使用が出来なくなるという問題を有している。
【0006】
また、従来の便器洗浄装置では、排便、排尿後に水を便器内に流す際に、使用者がノータッチ方式の自動流水の後で、例えば「エチケット洗浄」モードを選んで更に多くの水を使って排便、排尿を流すタイプのものが存在する。
その様なタイプの自動便器洗浄装置を用いた場合には、自動流水機構により節水しても、さらに水を使用されてしまうので、所望の節水効果が得られない場合がある。
【0007】
さらに、従来の自動便器洗浄装置では、使用者の有無を、例えば赤外線センサで認識している。
しかし、人体検知をセンサによって行う場合、センサの駆動電力を供給する必要がある。大規模な事業所のトイレや駅等の公衆トイレでは、係る駆動電力によるコストが無視できない。
この様な問題は、フラッシュバルブ式のトイレにおいても、タンク式のトイレにおいても、同様に存在する。
【0008】
その他の従来技術としては、例えば、リモートコントローラを用いたトイレ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)は、リモートコントローラの小型化が目的であり、上述したような問題を解決するものではない。
【特許文献1】特開2000−45355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、排便、排尿除去用の洗浄用水を確実に供給することが出来て、人体検知センサに投入する電力が少なく、停電時には、手動で流水動作が可能であり、節水効果の大なる便器洗浄装置及びトイレ管理システムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の便器洗浄装置は、便器(1)の使用後に水を流して洗浄する便器洗浄装置(100、101)において、便器(1)の使用を検出する検出装置(センサ部10)と、該検出装置(センサ部10)の検出結果に応答して便器(1)に洗浄用水を供給する洗浄水用開閉弁(2、210)と、該洗浄水用開閉弁(2、210)を開放する洗浄水用開閉弁開放装置(ロボット本体20)とを有しており、前記検出装置(センサ部10)は、赤外線を照射する赤外線照射装置(11)と、照射された赤外線の反射光を受光する赤外線受光装置(12)と、便器設置箇所における光(太陽光及び/又は照明)により前記赤外線照射装置(11)の作動に必要な電力を発電する光発電装置(17)、とを備えていることを特徴としている(請求項1)。
ここで、洗浄水用開閉弁は、フラッシュバルブ式トイレ(100)の場合はフラッシュバルブを意味し、タンク式トイレ(101)の場合は、タンク内のフロートバルブを意味する。
【0011】
前記検出装置(センサ部10)における赤外線照射装置(11)は、(例えば、トイレの壁面等に)連続して赤外線を照射するのではなく、間欠的に赤外線を照射する(例えば、所定時間経過する毎に100μsだけ赤外線を照射)様に構成されており、以って、消費電力を節約出来る様に構成されているのが好ましい。そして、待機電流が必要な回路と、待機電流が不要な回路とが分離されて構成されているのが好ましい。
【0012】
また、赤外線照射装置(11)は可視光線照射装置(11X)を設けており、前記検出装置(センサ部10)の設置時に、可視光線を照射して、赤外線の照射位置を適正且つ好適に調節出来るように構成しているのが好ましい。
さらに、前記検出装置(センサ部10)は、赤外線照射装置(11)を複数設けているのが好ましい。
【0013】
そして、前記検出装置(センサ部10)における赤外線受光装置(12)は複数個設けられており、複数個の赤外線受光装置(12)が全て反射赤外線を検出した場合(複数の赤外線受光素子が全て「ON」或いは「反射光検出」の場合)のみ、反射赤外線を検出した旨の信号を出力する様に構成されている(AND回路を構成している)のが好ましい。
【0014】
但し、「複数個の赤外線受光装置(12)が全て反射赤外線を検出した場合のみ、反射赤外線を検出した旨の信号を出力する」ロジックは、赤外線照射側(11)の正確な照射波形を復元するためのロジックの一例であり、赤外線照射側(11)の正確な照射波形を復元することが出来るロジックであれば、特に限定されるものではない。
【0015】
これに加えて、前記検出装置(センサ10)に、光発電装置(17)で発電された電力を蓄電する第1の蓄電装置(コンデンサ18)を設ければ、放電量が増大する事態にも対処出来るので好都合である。
【0016】
本発明において、洗浄水用開閉弁がフラッシュバルブ(2)の場合、前記洗浄水用開閉弁開放装置(20)は、洗浄水用開閉弁(フラッシュバルブ2)の開閉操作部材(操作桿2a)に取り付けられ且つ該開閉操作部材(操作桿2a)に引張力を付加して洗浄水用開閉弁(フラッシュバルブ2)が開放する側に移動せしめる(可撓性が有る)紐状部材(3)と、該紐状部材(3)を巻き取るための巻取装置(4)と、該巻取装置(4)を作動させる電動装置(DCモータ5)と、前記紐状部材(3)が巻取装置(4)により所定量だけ巻き取られると電動装置(モータ5)を停止させる巻取量調整装置(6)と、制御装置(コントロールユニット21)とを有しており、制御装置(コントロールユニット21)は、電動装置(DCモータ5)を制御して(便器洗浄用の)水の流量を調節し且つ洗浄水用開閉弁(フラッシュバルブ2)を閉鎖する様に構成されているのが好ましい(請求項2:図1、図8、図9)。
【0017】
また、洗浄水用開閉弁がタンク式のトイレのタンク(201)内のフロートバルブ(210)である場合、前記洗浄水用開閉弁開放装置(20)は、洗浄水用開閉弁(フロートバルブ210)のバルブ本体(210a)に取り付けられ且つ該バルブ本体(210a)に引張力を付加して洗浄水用開閉弁(フロートバルブ210)が開放する側に移動せしめる(可撓性が有る)索状部材(ケーブル260)と、該索状部材(ケーブル260)を巻き取るための巻取装置(4)と、該巻取装置(4)を作動させる電動装置(DCモータ5)と、前記索状部材(ケーブル260)が巻取装置(4)により所定量だけ巻き取られると電動装置(モータ5)を停止させる巻取量調整装置(6)と、制御装置(コントロールユニット20)とを有しており、制御装置(コントロールユニット20)は、電動装置(DCモータ5)を制御して(フロートバルブ210の開放時間を制御し、以って、)(便器洗浄用の)水の流量を調節し且つ洗浄水用開閉弁(フロートバルブ210)を閉鎖する様に構成されているのが好ましい(図13〜図15)。
【0018】
ここで、前記巻取量調整装置(6)は、切り欠きを設けたホイール(61)と、フォトインタラプタ(62)とを有しており、前記ホイール(61)に設けられた切り欠き(61a)がフォトインタラプタ(62)と整合した際に、巻取量調整装置(6)或いは電動装置(5)が停止する様に構成されているのが好ましい。
【0019】
ここで、制御装置(コントロールユニット21)は、電動装置(DCモータ5)を制御して、電動装置(5)が停止しており且つ洗浄水用開閉弁(2)が開放した状態となっている時間を制御することにより、(便器洗浄用の)水の流量を調節する様に構成されている。すなわち、大便後の洗浄時には、洗浄水用開閉弁(2)が開放されている状態を長くして大量の洗浄用の水を流し、小便後の洗浄時には、洗浄水用開閉弁(2)開放時間を短くして、洗浄用水流量を減少する制御を、制御装置(コントロールユニット21)が行う様に構成することが好ましい。
【0020】
便器洗浄が完了した後、制御装置(コントロールユニット21)は、前記巻取装置(4)を逆方向に回転させて、巻き取られた紐状部材(3)を巻き取られる以前の状態に戻し、移動された開閉操作桿(2a)を元の位置(紐状部材3が巻き取られる以前の位置)に復帰させる制御を行う様に構成されるのが好ましい。
【0021】
本発明の便器洗浄装置(100、101)において、便器(1)が設けられた箇所における停電を検知する検知装置(停電検知部26)を備え、前記洗浄水用開閉弁開放装置(20)は蓄電装置(第2のコンデンサ25)を有しており、前記制御装置(21)は、前記検知装置(26)が停電を検知し、人体を検知してからの経過時間を計測する計時装置(タイマー28)を有し、停電中であり且つ人体を検知してから所定時間が経過した場合には洗浄水用開閉弁(2)を開放して所定量の水(排便、排尿を流すのに必要且つ十分な量の水)を流す制御を行う様に構成されているのが好ましい(請求項3)。
【0022】
ここで、停電時に上述した制御(停電中であり且つ人体を検知してから所定時間が経過した場合には洗浄水用開閉弁2を開放して所定量の水を流す制御)を確実に実行せしめるため、本発明の便器洗浄装置(100、101)は、前記巻取装置(4)を作動する電動装置(モータ5)を駆動するのに必要な電力を蓄電することが出来る第2の蓄電装置(第2のコンデンサ25)を備えているのが好ましい。
【0023】
本発明のトイレ管理システムは、上述した便器洗浄装置(請求項3の便器洗浄装置100、101)と、情報処理装置(例えばリモートコントローラ等の携帯用制御装置30や、LAN等の情報ネットワーク、PC40等の情報処理能力を有する機器、その他)とを有し、便器洗浄装置(100、101)における前記制御装置(21)は、便器(1)の使用状況を把握するのに必要な情報(使用回数、小便用使用回数、大便用使用回数)を記憶すると共に、当該情報を前記情報処理装置(PC40)へ送信可能に構成されており、前記情報処理装置(30、40)は、便器洗浄装置(100、101)の制御装置(21)から送信された情報を処理し且つ記憶して、便器洗浄装置(100、101)の調節或いは設定に必要な情報を出力する様に構成されていることを特徴としている(請求項4)。
【0024】
ここで、前記「便器洗浄装置の調節或いは設定に必要な情報」としては、排便後の洗浄用の水量の調節や、案内用音声の音量設定、上述した便器洗浄装置(請求項3の便器洗浄装置100、101)を用いることにより節水された水量等に加えて、節水の結果として減少した二酸化炭素排出量等が含まれる。
係る二酸化炭素排出量は、二酸化炭素排出権の売買が行われる場合には特に重要な情報である。
【発明の効果】
【0025】
上述した構成を具備する本発明の便器洗浄装置によれば、便器(1)が使用中の場合には、検出装置(センサ部10)の赤外線照射装置(11)から照射された赤外線は、トイレを使用する者により遮られてしまい、トイレの壁等で反射して赤外線受光装置(12)に到達することは出来ない。従って、赤外線照射装置(11)から照射された赤外線が赤外線受光装置(12)により受光されれば、当該便器洗浄装置(100、101)を設けた便器(1)は使用されていないと判断することが出来る。一方、照射された赤外線が赤外線受光装置(12)により受光されない場合には、便器(1)が使用中であると判断される。
【0026】
そして、照射された赤外線が赤外線受光装置(12)により受光されなかった時間が比較的短時間であれば排尿であり、比較的長時間であれば排便に使用されていると判断される。
当該受光されなかった時間の長短により排尿であるか排便であるかを判定して、それに必要な量な水を便器(1)に供給してやれば、必要以上の水を便器(1)に流してしまうことが無く、節水及び二酸化炭素発生量の削減に寄与することが出来る。
【0027】
また、本発明の便器洗浄装置(100、101)によれば、便器(1)設置箇所における光(太陽光及び/又は照明)により光発電装置(17)で赤外線照射装置(11)の作動に必要な電力を全て賄うことが出来るので、24時間連続して検出装置(センサ部10)を作動させることが可能であり、しかも、大きな電池を設ける必要も無い。
【0028】
すなわち、トイレの照明や自然光により検出装置(センサ部10)を作動させるのに必要な電力を発電することが出来るので、検出装置(センサ部10)作動用の外部電源、例えば商用電源や電池を別途設ける必要が無い。
そして、例えば商用電源や電池を別途設ける必要が無いことから、本発明の便器洗浄装置(100、101)は、トイレの様なスペースに余裕が無い領域に設置するに際しても、レイアウトの自由度が非常に高くなる。
【0029】
本発明の便器洗浄装置(100、101)においては、便器(1)から排便、排尿等の汚物を流すための水の供給量は、洗浄水用開閉弁(2)が開放している時間により調節され、洗浄水用開閉弁(2)が開放している時間は、前記制御装置(21)により制御される(請求項2)。
ここで、洗浄水用開閉弁(2)は、開閉操作桿(2a)が移動する(図8では上方へ移動)ことにより開放される。そして、開閉操作桿(2a)に取り付けられた(可撓性が有る)紐状部材(3)を巻き取ることにより、開閉操作桿(2a)が移動して、洗浄水用開閉弁(2)が開放される。
【0030】
ここで、従来技術においては、開閉操作桿(2a)の移動は、例えば、図16に示すようなラック・アンド・ピニオン機構を用いたり、図17に示すようなカム・アンド・カムフォロワ機構を用いている。しかし、ラック(7R)・アンド・ピニオン(7P)機構であればラック部分(7R)の寸法が長すぎてしまい、カム(8C)・アンド・カムフォロワ(8F)機構ではカム(8C)がスペースを取りすぎてしまうという問題がある。
これに対して、本発明(請求項2の発明)であれば、(可撓性が有る)紐状部材(3:フラッシュバルブ式のトイレに適用する場合)(タンク式であれば、索状部材或いはケーブル3A)はその占有スペースが極めて小さく、且つ、開閉操作部材(操作桿2a、フロート弁本体210a)を確実に移動して、洗浄水用開閉弁(フラッシュ弁2、フロート弁210)を所定の開度にする事が出来るので、省スペースに貢献できる。
例えば、タンク式トイレに適用される場合、紐状部材或いはケーブル(3A)は、タンク201内及び配索箇所に配置され、特別な占有スペースを要さない。
【0031】
また、本発明において、停電中であり、且つ便器(1)を使用する場合、人体を検知してから所定時間が経過した場合には洗浄水用開閉弁(2)を開放して所定量の水(排便、排尿を流すのに必要且つ十分な量の水)を流す制御を行う様に構成すれば(請求項3)、用便中に停電が生じた場合の不都合を解消することが出来る。
すなわち、従来技術においては、停電時には洗浄水用開閉弁(2)の開閉制御が困難である。従って、用便後、水を流す以前の段階で停電すると、便器(1)中に何時までも汚物が残存することとなり、使用者に非常に不快な思いを与えてしまう。一方、水を流している最中に停電してしまうと、洗浄水用開閉弁(2)が開放した状態で固定されてしまい、水が何時までも止まらなくなり、水の浪費となってしまう。
【0032】
これに対して、便器(1)が使用中であり且つ停電から所定時間が経過した場合には洗浄水用開閉弁(2)を開放して所定量の水(大便を流すのに必要且つ十分な量の水)を流す様にすれば(請求項3)、用便後、水を流す以前の段階で停電した場合には当該所定量の水で便器内の汚物は除去される。そして、水を流している最中に停電した場合では当該所定量の水が流れた後に洗浄水用開閉弁(2)を閉鎖するので、洗浄水が流れたままになって浪費されることが防止される。何れの場合においても、上述した不都合は解消されるのである。
【0033】
上述した便器洗浄装置(請求項3の便器洗浄装置100、101)を有する本発明のトイレ管理システムにおいて、前記情報処理装置(30、40)を装備し、その情報処理装置(30、40)によって便器洗浄装置(100、101)の制御装置(21)から送信された情報を処理し且つ記憶して、便器洗浄装置(100、101)の調節或いは設定に必要な情報を出力する様に構成すれば(請求項4)、情報を受信した便器洗浄装置(100、101)を設置した便器(1)の延べ使用回数や、その内の排尿回数或いは排便回数等、トイレのメンテナンスに必要な情報を得ることが出来る。
それにより、消耗部品の点検時期や、交換時期、その他を正確に把握することが出来る。
【0034】
また、その様な情報に基づいて、用便(排便、排尿)後の洗浄用の水量の調節や、案内用音声の音量設定等を好適に実行することが出来る。さらに、トイレのメンテナンスに必要な情報に基づいて、本発明の便器洗浄装置(請求項3の便器洗浄装置100、101)を用いることによる節水量や、節水により減少した二酸化炭素排出量等を求めることが出来る。
そして、一定のエリア毎に管理ステーションを設け、上述した便器洗浄装置(請求項3の便器洗浄装置100、101)を有するトイレを当該管理ステーションにより一括管理することが可能となる。
【0035】
更に、本発明の便器洗浄装置は、基本的な構成を何ら変更することなく、フラッシュバルブ式のトイレにも、タンク式のトイレにも適用することが出来るというメリットがある。
タンク式のトイレに適用する場合は、タンクの種類、材質、レイアウトとは無関係に本発明の便器洗浄装置を装備することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、添付図面(図1〜図12)を参照して、本発明の第1実施形態(フラッシュバルブ式トイレに適用した実施形態)について説明する。
【0037】
先ず、図1を参照して、全体を符号100で示すフラッシュバルブ式の便器洗浄装置の概略々構成を説明する。
【0038】
図1において、便器洗浄装置100は、便器1と、フラッシュバルブ2(洗浄水用開閉弁)と、便器使用者Mを検出する検出装置であるセンサ部10と、フラッシュバルブ開放装置であるロボット本体20と、操作部であるリモートコントローラ30を備えている。
【0039】
フラッシュバルブ2は、便器1に水(上水)を供給する水供給管Lwに介装され、後述する手段によってフラッシュバルブ2を操作すると、排便後及び排尿後の供給するべき水量を計量しつつバルブを開放して便器に水を供給する。
ここで、図1においては、便器1とフラッシュバルブ2との水供給管Lwとの距離を長くして表現しているが、これは図示を容易にするためにデフォルメしたものであり、実際の便器洗浄装置100において、便器1とフラッシュバルブ2との水供給管Lwとの距離を長くしなければならないことを意味する訳ではない。
【0040】
センサ部10は、図2に詳細構成を示すように、赤外線を照射する赤外線照射装置11と照射された赤外線の反射光を受光する赤外線受光装置12とから成るセンサヘッドHと、その赤外線照射装置11及び赤外線受光装置12を制御する後述するセンサ部制御装置(センサ用マイクロコンピュータ)13を収容したケーシングCと、を備えている。
図2において、符号Wは例えば、トイレの壁面を示す。
【0041】
ケーシングCには、センサ用マイクロコンピュータ13の他に、3つのアンプ14A(第1アンプ)、14B(第2アンプ)、14C(第3アンプ)と、比較手段であるコンパレータ15と、タイマー16とを備えている。
【0042】
又、ケーシングCは、当該便器1の設置場所であるトイレ内における光(太陽光及び/又は照明)により前記赤外線照射装置11の作動に必要な電力を発電する光発電装置17と、その光発電装置17で発電された電力を蓄電する第1の蓄電装置(第1のコンデンサ)18を備えている。
更に、ケーシングCは、自動機能が機能しなくなった場合に使用する手動スイッチ19A及び警報スイッチ19Bも装備している。
【0043】
センサ部10で検出した情報は、センサ部10に装備した赤外線発信素子11Zによって無線でロボット本体20の後述する赤外線送受信装置22に向かって発信される。
【0044】
赤外線照射装置11は、第1アンプ14Aを介装したラインLoによってセンサ用マイクロコンピュータ13に接続されている。
赤外線受光装置12は、第2アンプ14B及びコンパレータ15を介装したラインLiによってセンサ用マイクロコンピュータ13に接続されている。
【0045】
光発電装置17及び第1の蓄電装置(第1のコンデンサ)18はラインL1によってセンサ用マイクロコンピュータ13に接続され、センサ用マイクロコンピュータ13は、光発電装置17で発電された電力を一旦第1の第1のコンデンサ18に蓄電し、蓄電した電力で赤外線照射装置11に赤外線を照射させるように構成されている。
そのように、光発電装置13で発電された電力を蓄電する第1のコンデンサ18をセンサ部10に設けたので、放電量が増大する事態にも対処出来る。
【0046】
又、タイマー16はラインL2によって、手動スイッチ19AはラインL3によって、警報スイッチ19BはラインL4によってそれぞれ線作用マイクロコンピュータ13に接続されている。
【0047】
ここで、赤外線照射装置11は、(例えば、トイレの壁面W等に)連続して赤外線を照射するのではなく、前記タイマー16で設定されたインターバルによって間欠的に赤外線を照射する(例えば、所定時間経過する毎に100μsだけ赤外線を照射)様に構成されている。その赤外線照射には、前述した光発電装置17で発電され、一旦第1のコンデンサ18に蓄電された電力が使用される。
換言すれば、センサ部10は、トイレの窓から差し込む日光や、トイレの照明を、光発電装置17で電力に変換して駆動電力として用いているのである。
【0048】
即ち、センサ部10で使用する電力は光発電装置17の発電で賄われており、商用電力を用いていないので、便器洗浄装置100全体としては、消費電力が大幅に節約出来る。
そして、商用電力を用いる必要が無いため、センサ部10の取付位置は商用電源コンセントの位置とは無関係に設定することが出来るので、レイアウト上の自由度が大幅に向上する。そのため、人体検知に最適な位置を、センサ部10の取付位置にすることが出来るのである。
【0049】
なお、明確には図示はされていないが、センサ部10は、待機電流が必要な回路と待機電流が不要な回路(図2のラインL1、L3、L4等)とが分離されて構成されており、待機電流も節約できる様に構成されている。
【0050】
受光装置12からの信号は、アンプ14Bで増幅されてコンパレータ15に送られる。コンパレータ15は、受光装置12からの信号を、第1の所定値及び第2の所定値と比較する。図11を参照して後述する様に、第1の所定値及び第2の所定値は、排尿、用便、便器の不使用を判定するための閾値であり、人体を検知していた時間が第1の所定値未満であれば便器は使用されていないと判定され、第1の所定値と第2の所定値の間であれば排尿と判定され、第2の所定値以上であれば排便と判定される。
【0051】
受光装置12からの信号、コンパレータ15における比較結果(情報)は、マイクロコンピュータ13に送信される。
なお、アンプ14A、アンプ14Cは夫々のアンプが介装されたラインの信号を増幅させて、赤外線発信素子11、11Zに送っている。
【0052】
ここで、赤外線は目視できないので、センサ部10の設置時に、赤外線照射位置を適正に設定することが困難であることが予想される。これに対して図示の実施形態では、図3に示すように、センサヘッドHに可視光線照射装置11Xを設けている。センサ部10の設置時に、可視光線照射装置11Xから可視光線を照射すれば、可視光線照射装置11Xは赤外線発信素子11近傍に設けられているので、センサ部10の設置時に、可視光線照射装置11Xから可視光線を照射すれば、可視光線の照射位置(目視可能)は赤外線の照射位置近傍となる。従って、可視光線の照射位置から、赤外線の照射位置を適正且つ好適に調節出来るのである。
【0053】
図3において、符号11Hは赤外線を赤外線照射装置(発光素子)11から照射する際の照射口を、符号12Hは赤外線を赤外線受光装置(受光素子)12に受ける際の受光口を、符号11XHは可視光線を照射する際の照射口をそれぞれ示す。
【0054】
図4は発光波形(パルス波形;パルス幅はW1)F1と受光波形(パルス波形;パルス幅はW2)F2との関連を示した図(制御波形図)である。
発光素子11は広範囲に赤外線が到達するように構成されている。しかし、受光素子12側で、発光素子11から照射された赤外線を正確に受信(受光)できない場合が存在し得る。
【0055】
受光が正確に行われない場合、すなわち図4において符号F2Xで示す様な受光波形となる場合には、当該受光波形F2xのパルス幅W2xが、発光波形F1のパルス幅W1に比べて狭くなる。そして、減少率Δw(受光波形F2xのパルス幅W2xがパルス幅W1に対して減少した割合)が閾値以上になると、制御エラーが発生する可能性がある。
当該閾値については、ケース・バイ・ケースで決定される。
【0056】
かかる制御エラーを回避するため、センサ部10は、図5に示すように、赤外線受光装置(受光素子)12を複数個(図4では2個)設け、互いに逆向きに配置して設けている。受光素子12を複数設けることにより、受光素子12の位置に起因して発光素子11から照射された赤外線が受光出来なくなる事態を防止できるのである。尚、図5では、赤外線照射装置(発光素子)11を省略々して示している。
【0057】
図6は、発光素子が一つ、受光素子が二つの場合の制御波形図を示したものである。最上段は発光素子11の発光時間を示すパルス波形F1で、その下の2段は二つの受光素子が捕らえた赤外線の受光波形パルスF21、F22である。
【0058】
図5に関して上述した様に、赤外線受光装置12を複数個設けた場合には、図示の実施形態では、複数個の赤外線受光装置12が全て反射赤外線を検出した場合(複数の赤外線受光素子12が全て「ON(パルス線図において上方に凸となった部分がある)」或いは「反射光検出」の場合)のみ、反射赤外線を検出した旨の信号F20を出力する様に構成されている。換言すれば、図7に示すようなAND回路を構成している)。
図6における信号F20(AND回路の出力)を発光素子11のパルス波形F1と比較すれば明らかな様に、AND回路の出力である信号F20は、赤外線照射側11のパルス波形F1を正確に復元している。
【0059】
ここで、「複数個の赤外線受光装置12が全て反射赤外線を検出した場合のみ、反射赤外線を検出した旨の信号を出力する」ロジックは、赤外線照射側11の正確な照射波形を復元するためのロジックの一例である。赤外線照射側11の正確な照射波形を復元することが出来るロジックであれば、上述したロジックに限定されるものではない。
【0060】
上述した実施形態によれば、便器1設置箇所における光(太陽光及び/又は照明)により光発電装置17で赤外線照射装置11の作動に必要な電力を全て賄うことが出来る。
従って、24時間連続してセンサ部10を作動させることが可能であり、しかも、大きな電池を設ける必要も無い。
【0061】
すなわち、トイレの照明や自然光によりセンサ部10を作動させるのに必要な電力を発電することが出来るので、センサ部10作動用の外部電源、例えば商用電源や電池を別途設ける必要が無い。
商用電源や電池を不要とするので、スペースに余裕が無い領域に当該便器洗浄装置100を設置するに際しても、レイアウトの自由度が高まる。
【0062】
図8及び図9は、前記ロボット本体20、即ちフラッシュバルブ開閉装置(機構)によって開閉駆動されるフラッシュバルブ2及びフラッシュバルブ2の駆動部の側面図及び正面図を示している。
図10は、後述する巻き取り量調整装置6のインタラプタ62の詳細構成を示した回路図である。
【0063】
図8及び図9において、フラッシュバルブ2の駆動部は、フラッシュバルブ2の開閉操作桿(レバー)2aと、可撓性の有る紐状部材3と、該紐状部材3を巻き取るための巻取装置(プーリ)4と、該プーリ4を駆動する電動モータ(DCモータ)5と、紐状部材3がプーリ4により所定量だけ巻き取られるとDCモータ5を停止させる巻取量調整装置6、とを備えて構成されている。
【0064】
ここで、紐状部材3は、開閉操作桿2aに取り付けられ、開閉操作桿2aに引張力を付加してフラッシュバルブ2が開放する側に移動せしめるための部材である。
プーリ4はDCモータ5の回転軸5aに固着されている。
DCモータ5は、図1を参照すれば明らかな様に、ロボット本体20に属する部材である。
【0065】
図8〜図10を参照して、巻取量調整装置6の構成の詳細と、巻き取り量調整のメカニズムについて説明する。ここで、図8〜図10を参照して説明する実施形態では、巻取量調整装置6は、DCモータ5の前面に配置されている。
図8〜図10において、巻取量調整装置6は、1箇所に切欠き61aが形成されたホイール61と、切欠き検知装置である2個のフォトインタラプタ62とを有している。
【0066】
図9において、ホイール61の外縁部には、矩形の切欠き61aが形成されている。ホイール61は、DCモータ5の回転軸5aに固着されており、回転軸5aにおけるホイール61の固着位置は、プーリ4よりもモータ5本体側である。
図9で示す様に、フォトインタラプタ62は、DCモータ5前面の上下位置に各1箇所ずつ取り付けられている。
図8において点線で囲った領域(図8において符号6で示す領域)で示す様に、フォトインタラプタ62は(図8で示す状態では)概略々U字状に構成されており、U字状の空洞部分に円盤61の外縁近傍を、隙間を隔てて挟むように設置されている。
【0067】
図10は、巻取量調整装置6のフォトインタラプタ62を電気回路として示した図である。フォトインタラプタ62は、発光ダイオード部62aと受光ダイオード部62bとを有し、発光ダイオード部62aからの発光は切欠き61a以外の場所では遮られており、切欠き61aがフォトインタラプタ62に一致した際に、発光ダイオード部62aからの発光を受光ダイオード62b側が受信(受光)して、受光信号を発生する。
【0068】
図8を参照して説明すると、DCモータ5は、後述する様にセンサ部10が使用者を検知すると回転を開始し、回転軸5aに固着されたプーリ4により紐状部材3を巻き取る。紐状部材3が巻き取られると、レバー2aが図8の状態から上方に引っ張られて、フラッシュバルブを開放する。
DCモータ5の回転は、切欠き61aがフォトインタラプタ62に一致するまで、すなわち、受光ダイオード部62bが発光ダイオード部62aからの光を受光するまで継続される。
【0069】
切欠き61aがフォトインタラプタ62に一致して、受光ダイオード62b側が受光信号を発生すると、DCモータ5の回転は停止する。この状態において、フラッシュバルブは開放されており、便器内には洗浄用の水が流れている。係る状態は、コントロールユニット21(図1参照)がDCモータ5を逆方向に回転する旨の制御信号を出力するまで継続する。
【0070】
コントロールユニット21は、後述する様に排便であるか排尿であるかを判断し、その判断結果に基いて、(DCモータ5が停止してから)DCモータ5を逆方向に回転する旨の制御信号を出力するまでの時間(待機時間:例えば、排尿後の洗浄であれば2秒間)を決定する。そして、コントロールユニット21内のタイマー28により、DCモータ5の停止後から待機時間が経過したか否かを判定し、待機時間が経過するまで、DCモータ5が停止して、フラッシュバルブを開放した状態を維持する。
【0071】
待機時間が経過したならば、コントロールユニット21(図1)から制御信号を発生してDCモータ5を逆方向に回転し、プーリ4に巻き取られた紐状部材3が巻き取られた状態を解除して、レバー2aを図8の状態に復帰し、フラッシュバルブを閉鎖する。以って、便器の洗浄用水の供給は停止される。
【0072】
図8〜図10で示す構成によれば、ホイール61の外縁部に形成された切欠き61aの位置により、ホイール61の回転量(回転角度)或いはDCモータ5が停止するタイミングを、適宜、設定することが出来る。
そして、排便後の洗浄水供給量と排尿後の洗浄水供給量とは、経験則或いはユーザーサイドの希望により、コントロールユニット21のタイマー28で待機時間を設定して、適正に調節することが出来る。
【0073】
ここで、フラッシュバルブ2が開放されている時には、フラッシュバルブ2のレバー2aの先端は、図8、図9よりも上方を向くことになる。その際の切欠き61aは、例えば、図9において破線で示す位置(位置P)となる。また、フラッシュバルブ2を開放する際におけるDCモータ5の回転方向は、図9において反時計回りである。
【0074】
次に、再び図1を参照して、ロボット本体20のDCモータ5以外の構成について説明する。
ロボット本体20は、ロボット本体20を制御する制御手段(コントロールユニット或いはマイクロコンピュータ)21と、赤外線送受信機22と、音声ガイダンス用のスピーカ23と、スピーカ23に特定の音声を発生させる音源ICチップ24とを備えている。
【0075】
加えて、ロボット本体20は、停電の際にDCモータ5に電力を供給するための第2の蓄電池(第2のコンデンサ)25と、例えばLEDにより16文字2段表示をする表示部27と、停電の有無を検知する停電検知部26と、ロボット本体に組み込まれたタイマー28、とを有している。
【0076】
ロボット本体のコントロールユニット21には、商用電源50と接続された電源ラインLeを経由して商用電力が供給され、ラインLeには停電検知部26が介装されている。
第2のコンデンサ25は、商用電源50からの電力を蓄電して、停電に備えている。
停電検知部26は常時停電の有無を検知しており、停電でなければ商用電源50の電力が、コントロールユニット21を介してDCモータ5その他に供給される。
【0077】
上述した図示の実施形態に係る便器洗浄装置100では、便器1から排便、排尿等の汚物を流すためのフラッシュバルブ2は、フラッシュバルブの開閉操作桿2aを、図8における上方へ移動することにより行われ、開閉操作桿2aの移動は紐状部材3を巻き取ることにより制御されている。
【0078】
開閉操作桿2aを移動するために、従来技術では、例えば、図16に示すようなラック・アンド・ピニオン機構を用い、或いは、図17に示すようなカム・アンド・カムフォロワ機構を用いているが、係る機構を採用した場合には、比較的大きなスペースが必要となっていた。
これに対して、上述した第1実施形態では、紐状部材3はその占有スペースが極めて小さく、且つ、開閉操作桿2aを確実に移動して、フラッシュバルブ2を所定の開度にする事が出来る。
【0079】
次に、図11を参照して、第1実施形態において、便器1へ洗浄用水を供給する制御について説明する。後述する様に、係る制御においては、トイレの使用状況のデータ(各排便、排尿の使用時間、累積使用時間、累積使用回数、さらには二酸化炭素排出削減相当量)等についても、記憶して蓄積する様になっている。
【0080】
ステップS1では、センサ部10のセンサ11、12からの情報により、人体を検知したか否かを判断する。
便器1が使用中の場合には、センサ部10の赤外線照射装置11から照射された赤外線は、トイレを使用する者によって遮られてしまうので、トイレの壁W等で反射してから赤外線受光装置12に到達することは出来ない。
従って、赤外線照射装置11から照射された赤外線が赤外線受光装置12により受光されれば、便器1は使用されていないと判断出来る。一方、照射された赤外線が赤外線受光装置12により受光されない場合には、便器1が使用中であると判断される。
【0081】
ステップS1において、人体を検知するまでは待機し(ステップS1がNOのループ)、人体を検知したならば(ステップS1がYES)、人体検知からの経過時間の計測を開始して(ステップS2)、ステップS3に進む。
【0082】
ステップS3では人体検知が終了したか否かを判定し、トイレ使用者がトイレから退室するまで待機し(ステップS3がNOのループ)、トイレ使用者がトイレから退室して人体検知が終了したならば(ステップS3がYES)、ステップS4に進み、人体検知開始から人体検知終了までの時間を決定し、データベースに記憶する。
【0083】
次のステップS5では、コントロールユニット21は、ステップS4で決定された「人体検知開始から人体検知終了までの時間」(便器使用時間)が第1の所定値(例えば、10秒)以上であるか否かを判断する。
この第1の所定値は、トイレにおいて排尿、排便をするのに必要最低限な時間として決定されており、ステップS4で決定された便器使用時間が第1の所定値未満の場合(ステップS5がNO)には、「用便は為されない」或いは「便器を使用しなかった」と判断されて、その際の便器使用は各種データにはカウントされず(ステップS9)に、ステップS12へ進む。
【0084】
便器使用時間が第1の所定値以上の場合(ステップS5がYES)は、ステップS6に進む。ステップS6において、コントロールユニット21は、ステップS4で決定された便器使用時間が第2の所定値(例えば、90秒)以上であるか否かを判断する。
第2の所定値は、排便か排尿かを判別する閾値として設定されている。
【0085】
ステップS4で決定された便器使用時間が第2の所定値以上の場合(ステップS6がYES)は、使用者は「排便」を行ったと判断し(ステップS7)、フラッシュバルブ2の開放時間を長くして、大便の洗浄に必要且つ十分な量の水を流して(ステップS8)、ステップS12に進む。
【0086】
より詳細には、図8〜図10を参照して上述した様に、「排便」を行ったと判断した(ステップS7)際に、コントロールユニット21及びタイマー28は、フラッシュバルブが開放してからDCモータ5が逆転してフラッシュバルブが閉鎖するまでの時間に対応する待機時間を、大便を洗浄するのに必要な水量として設定する。そして、DCモータ5を回転してフラッシュバルブを開放して洗浄水を流した後、「排便」に対応する待機時間が経過するまで、フラッシュバルブを開放し続けるのである。
【0087】
「排便」に対応する待機時間が経過すれば、DCモータ5を逆回転して、レバー2aを元の位置(図8の位置:紐状部材3が巻き取られる以前の位置)に復帰させ、フラッシュバルブを閉鎖し、以って、便器洗浄用水の供給を遮断する。
【0088】
ステップS4で決定された便器使用時間が第2の所定値未満の場合、即ち10秒〜90秒の間であれば(ステップS6がNO)、ステップS10で「排尿」と判断し、DCモータ5によってフラッシュバルブ2を所定時間だけ開き、排尿に必要且つ十分な量の水を流して(ステップS17)、ステップS11までに進む。
【0089】
必要且つ十分な量の水を流す制御に関しては、ステップS8で説明したのと同様である。すなわち、「排尿」を行ったと判断した(ステップS10)際に、コントロールユニット21及びタイマー28は、小便洗浄に必要な水量に対応して、フラッシュバルブが開放してから閉鎖するまでの時間に対応する待機時間を設定し、待機時間はフラッシュバルブを開放し続ける。
待機時間が経過すれば、DCモータ5を逆方向に回転して、レバー2aを図8で示す位置に復帰させ、フラッシュバルブを閉鎖するのである。
【0090】
ステップS6〜S11で示す制御においては、照射された赤外線が赤外線受光装置12により受光されなかった時間(ステップS4で決定された便器使用時間)が比較的短時間(例えば10〜90秒)であれば排尿であり(ステップS10)、比較的長時間(例えば90秒以上)であれば排便である(ステップS7)、と判断される。
そして、赤外線が受光側12で受光されなかった時間の長短により、排尿であるか排便であるかを判定して、それらの判断に基いて必要な量の水を便器1に供給しているので、必要以上の水を便器1に流してしまうことが無く、節水及び二酸化炭素発生量の削減に寄与することが出来る。
【0091】
ステップS12では、コントロールユニット21のタイマー28は、24時間経過するまで待機しており(ステップS12がNOのループ)、24時間が経過したなら(ステップS12がYES)、ステップS13で、24時間における各排便、排尿の1回当りの使用時間、累積時間、及び累積使用回数等を記憶し、その情報を赤外線通信で操作部30のデータベース或いは管理用のパソコン40に、当該情報データを送信して、記憶させる。
そして、ステップS1以降を再び繰り返して、制御を継続する。
【0092】
次に、第1実施形態における停電時の制御を説明する。
従来技術において、停電時にはフラッシュバルブの開閉制御が困難であるため、用便後、水を流す以前の段階で停電すると、便器中に何時までも大小便が残存してしまう。また、洗浄用の水が流れている最中に停電してしまうと、フラッシュバルブが開放した状態で固定され、水が止まらなくなる。
【0093】
これに対して、第1実施形態では、便器1が使用中で且つ停電から所定時間が経過した場合に、フラッシュバルブを開放して、大便を流すのに必要且つ十分な量の水を流し、以って、便器内の大小便を除去する。或いは、洗浄水が流れたままになって浪費されることを防止している。
以下において、図12を参照して、係る停電時における制御について説明する。
【0094】
図12において、先ず、センサ部10のセンサ11、12からの情報により、人体を検知したか否かを判断する(ステップS21)。
ステップS21において、人体を検知するまでは待機し(ステップS21がNOのループ)、人体を検知したならば(ステップS21がYES)、ステップS22に進む。
【0095】
ステップS22では、停電が発生しているか否かを判断する。停電でなければ(ステップS22がNO)、ステップS21に戻る。
停電の場合には(ステップS22がYES)、停電開始からの経過時間を決定するべく、タイマー22により計時を開始し(ステップS23)、停電開始から所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS24)。
停電開始から所定時間が経過する間では待機状態となるが(ステップS24がNOで、且つ、ステップS25がNOのループ)、その間に停電が解消した場合には(ステップS25がYES)、ステップS21に戻る。
【0096】
停電開始から所定時間が経過した段階で(ステップS24がYES)、「便器1が使用中で且つ停電から所定時間が経過した」という条件が充足されたこととなる。係る段階において、タイマー28による計時を終了して、大便を洗浄するのに必要且つ十分な洗浄水が便器1に供給される(ステップS26)。
その結果、少なくとも、便器中に何時までも大小便が残存してしまう、という事態は回避される。
【0097】
ここで、洗浄用水が流れている最中に停電して、フラッシュバルブが開放した状態で固定され、水が止まらなくなった場合でも、ステップS26で洗浄用の水を便器1内に供給した後に、コントロールユニット21(図1)はDCモータ5を逆回転して、フラッシュバルブを閉鎖する操作を行う(図8〜図11参照)ので、便器1への洗浄用水の供給は確実に停止される。
【0098】
なお、図1で説明した通り、第2のコンデンサ25は、商用電源50からの電力を蓄電して、停電に備えているので、停電時においては、第2のコンデンサ25で蓄電された電力を用いて、上述した各種制御やDCモータ5の回転・逆転を行うことが出来るのである。
【0099】
再び図1において、第1実施形態のトイレ管理システムは、便器洗浄装置100にリモートコントローラ(操作部)30を装備し、そのリモートコントローラ30を制御する制御手段であるリモートコントローラ用マイクロコンピュータ31と、入力用のキー32(本実施形態では5つ)と、赤外線送受信機33と、情報記憶用のデータベース(ROM)34と、16文字2段表示の出来る表示部35とを備えている。
ここで、便器洗浄装置において設定されるべき情報(例えば、洗浄用の水量、音声ガイダンスの音量等)については、リモートコントローラ30を用いて設定或いは調節する。
【0100】
リモートコントローラ用マイクロコンピュータ31は、便器1の使用状況を把握するのに必要な情報(使用回数、小便用使用回数、大便用使用回数)を記憶すると共に、当該情報を情報処理装置である管理用マイクロコンピュータ(PC)40へ送信可能に構成されている。
リモートコントローラ30及び管理用マイクロコンピュータ40は、ロボット本体20のコントロールユニット21から赤外線送受信機22、33を経由して送信された情報を処理し、且つデータベース34に記憶して、便器洗浄装置100の調節或いは設定に必要な情報を出力する様に構成されている。
【0101】
ここで、前記「便器洗浄装置の調節或いは設定に必要な情報」としては、排便後の洗浄用の水量の調節や、音声ガイダンスの音量設定、上述した便器洗浄装置100を用いることにより節水された水量等が該当する。
それに加えて、前記「便器洗浄装置の調節或いは設定に必要な情報」には、節水の結果として減少した二酸化炭素排出量等が含まれる。この二酸化炭素排出量は、二酸化炭素排出権の売買が行われる場合には特に重要な情報となる。
【0102】
便器1の延べ使用回数や、排尿回数及び排便回数等から、トイレのメンテナンスに必要な情報を得ることが出来て、消耗部品の点検時期や、交換時期、その他を正確に把握することが出来る。
また、その様な情報に基づいて、用便(排便、排尿)後の洗浄用の水量の調節や、音声ガイダンスの音量設定等をリモートコントローラ30に入力して、水量調節や音声ガイダンスを好適に実行することが出来ると共に、当該便器洗浄装置100を用いることによる節水量や、節水により減少した二酸化炭素排出量等を求めることが出来る。
【0103】
係るデータを、情報ネットワーク等を用いて伝達すれば、一定のエリア毎(例えば、ビルの各階毎)に管理ステーションを設け、上述した当該便器洗浄装置100を有するトイレを当該管理ステーションにより一括管理することが可能となる。
【0104】
次に、図13〜図15、図18を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態はタンク式トイレに適用した実施形態である。
第2実施形態を説明するのに先立って、図18を参照して、従来技術におけるタンク式トイレの排水機構について解説する。
【0105】
図18において、タンク本体201内の底部中央に排水金具202が配置されている。排水金具202はタンク本体201内外を貫通しており、全体が筒状体で外径部に雄ねじが形成されている。排水金具202の上方には排水弁203が固設されている。
便器を使用していない時には、その排水弁203の図示しない排水口は、フロートバルブ210のフロートバルブ本体210aで覆われている。フロートバルブ本体210aは、内外共に半球状で、特に内側の球の(空洞の)半径が前記排水弁の球の径と同一に形成された殻状態に構成されている。
【0106】
前記排水弁203の開口端部203aにはオーバフロー管204が接続されており、オーバフロー管204の上端204aは、タンク本体201内に貯留された水の水面Wfよりも上方に突出するように配置されている。
【0107】
前記フロートバルブ210には2本のアーム部210bが形成され、アーム部210bの端部に回転軸部210cが形成されている。
前記回転軸部210cは、排水弁203側に形成された図示しない軸受けによって、回転自在に軸支されている。
フロートバルブ本体210aには突起210eが形成されており、突起210eには、後述する引張部材の端部を係合する係合孔210dが形成されている。
【0108】
係合孔210dに係合する引張部材は、図18の例では、玉鎖220である。玉鎖220の一端部は排水用フック230の端部に係合されている。
排水用フック230は、タンク本体201の外部に設けられたレバーハンドル(図18では図示せず)と一体化されている。
例えば、排便の後には図18の反時計回りにレバーハンドルを操作し、排尿の後には、図18の時計回りにレバーハンドルを操作する。
【0109】
図示しないレバーハンドルを操作する前の状態では、水圧によってフロートバルブ210は下方(排水弁203側)に押圧され、排水弁203の図示しない排水口を閉鎖している。
【0110】
例えば排便の後、図示しないレバーハンドルを操作すれば、排水用フック230及び玉鎖220を介してフロートバルブ210は上方に持ち上がり、排水弁203を大きく開口せしめる。
排水弁203が大きく開口すれば、フロートバルブ210は、それ自体の浮力によって、フロートバルブ本体210aの球状部がオーバフロー管204に当接した状態(いわゆる「立った」状態)を維持する。
【0111】
フロートバルブ210が「立った」状態は、タンク201内の水が殆ど排出されるまで続く。タンク201内の水が殆ど排出されれば、フロートバルブ210は、その自重によって、排出弁203を閉塞した位置に戻る。
図18で示す様な従来の方式では、排便の場合は、タンク201内の水を殆ど排出してしまうので、「節水」に反してしまう。
【0112】
第2実施形態では、係るタンク式トイレにおいて、「節水」を可能ならしめる様に構成されている。
以下、図13〜図15を参照して、第2実施形態について説明する。
第1実施形態のフラッシュバルブ方式のトイレに適用しているのに対して、第2実施形態の便器洗浄装置は、(洗浄水用タンク200を便器1に設けた)タンク方式のトイレに適用されていることと、それに伴い、洗浄水用タンク200内の後述するフロートバルブ210を開閉する機構が異なっている。
なお、図13〜図15において、図18で説明したタンク式のトイレと同様な部材には同様な符号を付している。
【0113】
図13において、全体を符号101で便器洗浄装置はタンク本体201を有し、タンク本体201内のフロートバルブ210の上方にはフロートバルブ停止部材240が配置されている。
フロートバルブ停止部材240は、フロートバルブ210の上方に位置する停止板241と、停止板241の両側端から延在してタンク底部に当接している2本の脚部242と、バンド部材243とによって構成されている。
図14(図13のY矢視図)にフロートバルブ停止部材240の正面を示し、図15(図13のZ矢視図)にフロートバルブ停止部材240の上面を示す。
【0114】
バンド部材243は、並行する両端243a、243aが平面で、残る部分243bが環状に形成され、当該部分243bが前記オーバフロー管204に巻きつくように構成されている。そして、バンド部材243の平面243aを固定ボルト・ナットNで締め付けることによって、オーバフロー管204にフロートバルブ停止部材240全体を固定している。
【0115】
前記停止板241の図13における左端近傍には、所定の直径の貫通孔241aが形成されている。貫通孔241aには、例えば、樹脂製のガイドチューブ250の先端250aが嵌合されて固定されている。
ガイドチューブ250の他端250bは、タンク本体201に形成された図示しない貫通孔からタンク外まで引き出されている。図示の簡略化のため、図13ではタンク本体201の近傍までしか示されていないが、実機では、ガイドチューブ250はロボット本体20の近傍まで延びている。
【0116】
ガイドチューブ250の内部にはワイヤケーブル260が挿通され、ワイヤケーブル260の一方の端部は、フロートバルブ210に形成された前記係合孔210dに係合されている。
ワイヤケーブル260の他端は、ロボット本体20の電動モータ5に固着されたプーリ4によって巻き取られるように係合している。なお、プーリ4をワイヤケーブル260を巻き取る方向とは逆方向に回転すれば、ワイヤケーブル260をタンク201側へ繰り出すことが出来る。
【0117】
ワイヤケーブル260が挿通されたガイドチューブ250は可撓性を有しているため、自在に湾曲させることが可能である。従って、電動モータ5に固着されたプーリ4を回転することにより、ワイヤケーブル260に張力を作用させる経路を、レイアウト自在に設定することが出来る。
【0118】
ここで、フロートバルブ210からプーリ4までのワイヤケーブル260の配索において、極めて小さい曲率半径でワイヤケーブル260に作用する張力の方向を変えることが必要な場合には、所望の張力作用方向変換地点において、例えば、アイドラプーリ270等を用いて、常時ワイヤケーブル260に常時引張力が作用するようにすることが好ましい。
勿論、係るアイドラプーリ270を設けること無く、ワイヤケーブル260が挿通されたガイドチューブ250を、プーリ4近傍まで配策しても良い。
【0119】
なお、図13において、符号205は止水栓、符号206はボールタップ、符号207は補助水管、符号208は浮玉を示している。
【0120】
図13〜図15で示す第2実施形態においては、センサ部10によりトイレの使用が終了した後に、モータ5及びプーリ4によりケーブルワイヤ260を巻き取り、以って、フロートバルブ210のフロートバルブ本体210aにおける係合孔210d側を、フロートバルブ210の上方に位置する停止板241に当接するまで持ち上げる。
その結果、フロートバルブ210は開放されて、便器1内に水が流れる。
【0121】
図13〜図15で示す第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、検出装置であるセンサ部10により計測される「人体検知開始から人体検知終了までの時間」(便器使用時間)により、大便であるか小便であるかが判定される。
そして大便であると判定されるか小便であると判定されるかにより、モータ5及びプーリ4によりケーブルワイヤ260を巻き取り、以って、フロートバルブ210が開放した状態となる時間(フロートバルブ210の開放時間)も決定される。
【0122】
所定のフロートバルブ210開放時間が経過したならば、コントロールユニット21(図1参照:図13〜図15では図示せず)からの制御信号により、モータ5及びプーリ4は、ワイヤ260を送り出す方向に回転する(逆転する)。
その結果、フロートバルブ210はタンク201内の水圧により、下方に押圧されて閉鎖位置に戻る。
【0123】
ここで、大便の場合には、図18で説明したような従来のタンク式トイレの場合は、フロートバルブ210が何等拘束を受けること無く上方に持ち上がり、いわゆる「立った」状態となるため、タンク201内が略々排水されるまで、フロートバルブ210は閉鎖位置に戻ることが出来なかった。そのため、1回の大便後の洗浄によって、タンク201内の水が略々排水されてしまっていた。
これに対して、図13〜図15の第2実施形態では、フロートバルブ210のフロートバルブ本体210aは停止板241に当接するまでしか持ち上げられないので、モータ5が逆転してワイヤ260を送り出すことにより、タンク201内の水圧により、直ちに下方へ押圧されて閉鎖状態となる。
【0124】
従って、図13〜図15の第2実施形態では、タンク201内の水が全部排水されることが無く、便器1内の汚物を洗浄するのに必要且つ十分な量だけを排水することが出来る。
そして、大便後の排水終了後にもタンク201内に適量の水が残るため、リカバリータイム(次回のための貯水に要する時間)が短縮でき、リカバリータイムの際に供給される水量も減少させることが出来る。
これ等により、節水が実現されるのである。
【0125】
図13〜図15の第2実施形態におけるフローとバルブ210の移動量或いは弁開度は、排水弁203の閉鎖時のフロートバルブ210の頂点からフロートバルブ停止部材240の停止板241の下面までの高さ寸法Hによって設定される。
図8〜図10で示す巻取量調整装置6で設定されるワイヤ260の巻取量は、係る高さ寸法Hと等しいか、或いは、それ以下である。
【0126】
図13〜図15の第2実施形態においては、大便後の洗浄用水の水量と、小便後の洗浄用水の水量とは、フロートバルブ210が開放状態にある時間により調節される。
従って、フロートバルブ210の停止位置は、大便後の洗浄と、小便後の洗浄とで変更する必要が無い。
【0127】
図13〜図15の第2実施形態では、従来のタンクに対しての構成の追加は小規模であり、追加工事も容易に行うことが出来る。
そして、上述した通り、ワイヤケーブル260が挿通されたガイドチューブ250は可撓性を有しているため、ロボット本体20のタンク201に対する位置(ロボット本体20のレイアウト)を、自在に設定することが出来る。そのため、タンクの種類、材質、便器とのレイアウトがどの様に設定されていても、ロボット本体20を自由に配置することが出来る。
【0128】
図13〜図15の第2実施形態におけるロボット本体20を含むその他の構成については、第1実施形態と実質的に同じである。そして、上述した以外の構成については、図18で説明した従来のタンク式トイレと同じである。
図13〜図15の第2実施形態における上述した以外の作用効果も、第1実施形態と同様である。
【0129】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定するものではないことを付記する。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の実施形態の全体構成の概略々を示すブロック図。
【図2】実施形態に関するセンサ部の構成を示すブロック図。
【図3】実施携帯に関するセンサヘッドの斜視図。
【図4】実施形態に関する発光波形と受光波形との関連を示したパルス波形図。
【図5】実施形態の1例であって受光素子を2個設けたセンサヘッドの斜視図。
【図6】実施形態に関する1例であって、受光素子を2個設けた場合の発光波形と受光波形との関連を示したパルス波形図。
【図7】図6に関連する受光素子を2個設けた場合のアンド回路図。
【図8】実施形態に関するフラッシュバルブの駆動部の側面図。
【図9】実施形態に関するフラッシュバルブの駆動部の正面図。
【図10】実施形態に関する巻き取り量調整装置のフォトインタラプタの詳細構成を示した回路図。
【図11】実施形態に関する流水(節水)制御方法について説明するフローチャート。
【図12】実施形態のセンサ部の蓄電量の監視、及び、センサ部で使用する電力の供給に関する故障診断の制御について説明するフローチャート。
【図13】第2実施形態の便器洗浄装置の構成を示すブロック図。
【図14】図13のY矢視図。
【図15】図13のZ矢視図。
【図16】従来技術において、フラッシュバルブの開閉を、ラック・アンド・ピニオンを用いて行うフラッシュバルブ駆動部の正面図。
【図17】従来技術において、フラッシュバルブの開閉を、カム・アンド・カムフォロアを用いて行うフラッシュバルブ駆動部の正面図。
【図18】タンク式トイレの従来技術におけるタンク断面図。
【符号の説明】
【0131】
1・・・便器
2・・・フラッシュバルブ
3・・・紐状部材
4・・・巻取り装置/プーリ
5・・・伝動装置/DCモータ
6・・・巻取り量調整装置
11・・・赤外線照射装置
12・・・赤外線受光装置
13・・・センサ部用マイクロコンピュータ
15・・・コンパレータ
16・・・タイマー
17・・・光発電装置
18・・・第1の蓄電池/第1のコンデンサ
20・・・フラッシュバルブ開放装置/ロボット本体
21・・・ロボット本体用マイクロコンピュータ
25・・・第2の蓄電池/第2のコンデンサ
26・・・停電検知部
30・・・操作部/リモートコントローラ
40・・・管理用パソコン
【技術分野】
【0001】
本発明は、排便、排尿後に自動的に便器を洗浄する便器洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排便、排尿後に自動的に水を便器内に流し、便器を自動洗浄する便器洗浄装置については、各種製品が市販されている。
その様な従来の便器洗浄装置の中に、排便、排尿を便器から除去する洗浄用水の流量調節を、電磁弁の開放時間の長短によって制御するものが存在する。
【0003】
電磁弁の開放時間により洗浄用水の流量調節を行う場合には、電磁弁に異物が混入しないように、或いは、電磁弁に異物が混入した際に直ちに排出されるように、水圧が高く設定してある。
しかし、洗浄用水の水圧を高く設定するということは、排便時における洗浄水の水量が必然的に増加してしまうので、節水という趣旨に反することとなる。
【0004】
また、弁閉鎖時に電磁弁が故障すれば「水が流れない」状態となり、汚物が弁器内に放置された状態になってしまう。一方、弁開放時に電磁弁が故障した際には、「水が流れっぱなしで止まらない」状態となり、節水という趣旨とは真逆な結果となってしまう。
更に、停電時には、故障の場合と同様に、水が流せない状態或いは水が止まらない状態となってしまい、トイレが使用できなくなる。
【0005】
そのため、電磁弁の開放時間で洗浄用水の流量調節を行うタイプの便器を自動洗浄する便器洗浄装置では、電磁弁の故障時や停電時には、メンテナンス会社のサービスマンを呼び、修理を行い、修理が完了するまでに、長時間に亘ってトイレの使用が出来なくなるという問題を有している。
【0006】
また、従来の便器洗浄装置では、排便、排尿後に水を便器内に流す際に、使用者がノータッチ方式の自動流水の後で、例えば「エチケット洗浄」モードを選んで更に多くの水を使って排便、排尿を流すタイプのものが存在する。
その様なタイプの自動便器洗浄装置を用いた場合には、自動流水機構により節水しても、さらに水を使用されてしまうので、所望の節水効果が得られない場合がある。
【0007】
さらに、従来の自動便器洗浄装置では、使用者の有無を、例えば赤外線センサで認識している。
しかし、人体検知をセンサによって行う場合、センサの駆動電力を供給する必要がある。大規模な事業所のトイレや駅等の公衆トイレでは、係る駆動電力によるコストが無視できない。
この様な問題は、フラッシュバルブ式のトイレにおいても、タンク式のトイレにおいても、同様に存在する。
【0008】
その他の従来技術としては、例えば、リモートコントローラを用いたトイレ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)は、リモートコントローラの小型化が目的であり、上述したような問題を解決するものではない。
【特許文献1】特開2000−45355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、排便、排尿除去用の洗浄用水を確実に供給することが出来て、人体検知センサに投入する電力が少なく、停電時には、手動で流水動作が可能であり、節水効果の大なる便器洗浄装置及びトイレ管理システムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の便器洗浄装置は、便器(1)の使用後に水を流して洗浄する便器洗浄装置(100、101)において、便器(1)の使用を検出する検出装置(センサ部10)と、該検出装置(センサ部10)の検出結果に応答して便器(1)に洗浄用水を供給する洗浄水用開閉弁(2、210)と、該洗浄水用開閉弁(2、210)を開放する洗浄水用開閉弁開放装置(ロボット本体20)とを有しており、前記検出装置(センサ部10)は、赤外線を照射する赤外線照射装置(11)と、照射された赤外線の反射光を受光する赤外線受光装置(12)と、便器設置箇所における光(太陽光及び/又は照明)により前記赤外線照射装置(11)の作動に必要な電力を発電する光発電装置(17)、とを備えていることを特徴としている(請求項1)。
ここで、洗浄水用開閉弁は、フラッシュバルブ式トイレ(100)の場合はフラッシュバルブを意味し、タンク式トイレ(101)の場合は、タンク内のフロートバルブを意味する。
【0011】
前記検出装置(センサ部10)における赤外線照射装置(11)は、(例えば、トイレの壁面等に)連続して赤外線を照射するのではなく、間欠的に赤外線を照射する(例えば、所定時間経過する毎に100μsだけ赤外線を照射)様に構成されており、以って、消費電力を節約出来る様に構成されているのが好ましい。そして、待機電流が必要な回路と、待機電流が不要な回路とが分離されて構成されているのが好ましい。
【0012】
また、赤外線照射装置(11)は可視光線照射装置(11X)を設けており、前記検出装置(センサ部10)の設置時に、可視光線を照射して、赤外線の照射位置を適正且つ好適に調節出来るように構成しているのが好ましい。
さらに、前記検出装置(センサ部10)は、赤外線照射装置(11)を複数設けているのが好ましい。
【0013】
そして、前記検出装置(センサ部10)における赤外線受光装置(12)は複数個設けられており、複数個の赤外線受光装置(12)が全て反射赤外線を検出した場合(複数の赤外線受光素子が全て「ON」或いは「反射光検出」の場合)のみ、反射赤外線を検出した旨の信号を出力する様に構成されている(AND回路を構成している)のが好ましい。
【0014】
但し、「複数個の赤外線受光装置(12)が全て反射赤外線を検出した場合のみ、反射赤外線を検出した旨の信号を出力する」ロジックは、赤外線照射側(11)の正確な照射波形を復元するためのロジックの一例であり、赤外線照射側(11)の正確な照射波形を復元することが出来るロジックであれば、特に限定されるものではない。
【0015】
これに加えて、前記検出装置(センサ10)に、光発電装置(17)で発電された電力を蓄電する第1の蓄電装置(コンデンサ18)を設ければ、放電量が増大する事態にも対処出来るので好都合である。
【0016】
本発明において、洗浄水用開閉弁がフラッシュバルブ(2)の場合、前記洗浄水用開閉弁開放装置(20)は、洗浄水用開閉弁(フラッシュバルブ2)の開閉操作部材(操作桿2a)に取り付けられ且つ該開閉操作部材(操作桿2a)に引張力を付加して洗浄水用開閉弁(フラッシュバルブ2)が開放する側に移動せしめる(可撓性が有る)紐状部材(3)と、該紐状部材(3)を巻き取るための巻取装置(4)と、該巻取装置(4)を作動させる電動装置(DCモータ5)と、前記紐状部材(3)が巻取装置(4)により所定量だけ巻き取られると電動装置(モータ5)を停止させる巻取量調整装置(6)と、制御装置(コントロールユニット21)とを有しており、制御装置(コントロールユニット21)は、電動装置(DCモータ5)を制御して(便器洗浄用の)水の流量を調節し且つ洗浄水用開閉弁(フラッシュバルブ2)を閉鎖する様に構成されているのが好ましい(請求項2:図1、図8、図9)。
【0017】
また、洗浄水用開閉弁がタンク式のトイレのタンク(201)内のフロートバルブ(210)である場合、前記洗浄水用開閉弁開放装置(20)は、洗浄水用開閉弁(フロートバルブ210)のバルブ本体(210a)に取り付けられ且つ該バルブ本体(210a)に引張力を付加して洗浄水用開閉弁(フロートバルブ210)が開放する側に移動せしめる(可撓性が有る)索状部材(ケーブル260)と、該索状部材(ケーブル260)を巻き取るための巻取装置(4)と、該巻取装置(4)を作動させる電動装置(DCモータ5)と、前記索状部材(ケーブル260)が巻取装置(4)により所定量だけ巻き取られると電動装置(モータ5)を停止させる巻取量調整装置(6)と、制御装置(コントロールユニット20)とを有しており、制御装置(コントロールユニット20)は、電動装置(DCモータ5)を制御して(フロートバルブ210の開放時間を制御し、以って、)(便器洗浄用の)水の流量を調節し且つ洗浄水用開閉弁(フロートバルブ210)を閉鎖する様に構成されているのが好ましい(図13〜図15)。
【0018】
ここで、前記巻取量調整装置(6)は、切り欠きを設けたホイール(61)と、フォトインタラプタ(62)とを有しており、前記ホイール(61)に設けられた切り欠き(61a)がフォトインタラプタ(62)と整合した際に、巻取量調整装置(6)或いは電動装置(5)が停止する様に構成されているのが好ましい。
【0019】
ここで、制御装置(コントロールユニット21)は、電動装置(DCモータ5)を制御して、電動装置(5)が停止しており且つ洗浄水用開閉弁(2)が開放した状態となっている時間を制御することにより、(便器洗浄用の)水の流量を調節する様に構成されている。すなわち、大便後の洗浄時には、洗浄水用開閉弁(2)が開放されている状態を長くして大量の洗浄用の水を流し、小便後の洗浄時には、洗浄水用開閉弁(2)開放時間を短くして、洗浄用水流量を減少する制御を、制御装置(コントロールユニット21)が行う様に構成することが好ましい。
【0020】
便器洗浄が完了した後、制御装置(コントロールユニット21)は、前記巻取装置(4)を逆方向に回転させて、巻き取られた紐状部材(3)を巻き取られる以前の状態に戻し、移動された開閉操作桿(2a)を元の位置(紐状部材3が巻き取られる以前の位置)に復帰させる制御を行う様に構成されるのが好ましい。
【0021】
本発明の便器洗浄装置(100、101)において、便器(1)が設けられた箇所における停電を検知する検知装置(停電検知部26)を備え、前記洗浄水用開閉弁開放装置(20)は蓄電装置(第2のコンデンサ25)を有しており、前記制御装置(21)は、前記検知装置(26)が停電を検知し、人体を検知してからの経過時間を計測する計時装置(タイマー28)を有し、停電中であり且つ人体を検知してから所定時間が経過した場合には洗浄水用開閉弁(2)を開放して所定量の水(排便、排尿を流すのに必要且つ十分な量の水)を流す制御を行う様に構成されているのが好ましい(請求項3)。
【0022】
ここで、停電時に上述した制御(停電中であり且つ人体を検知してから所定時間が経過した場合には洗浄水用開閉弁2を開放して所定量の水を流す制御)を確実に実行せしめるため、本発明の便器洗浄装置(100、101)は、前記巻取装置(4)を作動する電動装置(モータ5)を駆動するのに必要な電力を蓄電することが出来る第2の蓄電装置(第2のコンデンサ25)を備えているのが好ましい。
【0023】
本発明のトイレ管理システムは、上述した便器洗浄装置(請求項3の便器洗浄装置100、101)と、情報処理装置(例えばリモートコントローラ等の携帯用制御装置30や、LAN等の情報ネットワーク、PC40等の情報処理能力を有する機器、その他)とを有し、便器洗浄装置(100、101)における前記制御装置(21)は、便器(1)の使用状況を把握するのに必要な情報(使用回数、小便用使用回数、大便用使用回数)を記憶すると共に、当該情報を前記情報処理装置(PC40)へ送信可能に構成されており、前記情報処理装置(30、40)は、便器洗浄装置(100、101)の制御装置(21)から送信された情報を処理し且つ記憶して、便器洗浄装置(100、101)の調節或いは設定に必要な情報を出力する様に構成されていることを特徴としている(請求項4)。
【0024】
ここで、前記「便器洗浄装置の調節或いは設定に必要な情報」としては、排便後の洗浄用の水量の調節や、案内用音声の音量設定、上述した便器洗浄装置(請求項3の便器洗浄装置100、101)を用いることにより節水された水量等に加えて、節水の結果として減少した二酸化炭素排出量等が含まれる。
係る二酸化炭素排出量は、二酸化炭素排出権の売買が行われる場合には特に重要な情報である。
【発明の効果】
【0025】
上述した構成を具備する本発明の便器洗浄装置によれば、便器(1)が使用中の場合には、検出装置(センサ部10)の赤外線照射装置(11)から照射された赤外線は、トイレを使用する者により遮られてしまい、トイレの壁等で反射して赤外線受光装置(12)に到達することは出来ない。従って、赤外線照射装置(11)から照射された赤外線が赤外線受光装置(12)により受光されれば、当該便器洗浄装置(100、101)を設けた便器(1)は使用されていないと判断することが出来る。一方、照射された赤外線が赤外線受光装置(12)により受光されない場合には、便器(1)が使用中であると判断される。
【0026】
そして、照射された赤外線が赤外線受光装置(12)により受光されなかった時間が比較的短時間であれば排尿であり、比較的長時間であれば排便に使用されていると判断される。
当該受光されなかった時間の長短により排尿であるか排便であるかを判定して、それに必要な量な水を便器(1)に供給してやれば、必要以上の水を便器(1)に流してしまうことが無く、節水及び二酸化炭素発生量の削減に寄与することが出来る。
【0027】
また、本発明の便器洗浄装置(100、101)によれば、便器(1)設置箇所における光(太陽光及び/又は照明)により光発電装置(17)で赤外線照射装置(11)の作動に必要な電力を全て賄うことが出来るので、24時間連続して検出装置(センサ部10)を作動させることが可能であり、しかも、大きな電池を設ける必要も無い。
【0028】
すなわち、トイレの照明や自然光により検出装置(センサ部10)を作動させるのに必要な電力を発電することが出来るので、検出装置(センサ部10)作動用の外部電源、例えば商用電源や電池を別途設ける必要が無い。
そして、例えば商用電源や電池を別途設ける必要が無いことから、本発明の便器洗浄装置(100、101)は、トイレの様なスペースに余裕が無い領域に設置するに際しても、レイアウトの自由度が非常に高くなる。
【0029】
本発明の便器洗浄装置(100、101)においては、便器(1)から排便、排尿等の汚物を流すための水の供給量は、洗浄水用開閉弁(2)が開放している時間により調節され、洗浄水用開閉弁(2)が開放している時間は、前記制御装置(21)により制御される(請求項2)。
ここで、洗浄水用開閉弁(2)は、開閉操作桿(2a)が移動する(図8では上方へ移動)ことにより開放される。そして、開閉操作桿(2a)に取り付けられた(可撓性が有る)紐状部材(3)を巻き取ることにより、開閉操作桿(2a)が移動して、洗浄水用開閉弁(2)が開放される。
【0030】
ここで、従来技術においては、開閉操作桿(2a)の移動は、例えば、図16に示すようなラック・アンド・ピニオン機構を用いたり、図17に示すようなカム・アンド・カムフォロワ機構を用いている。しかし、ラック(7R)・アンド・ピニオン(7P)機構であればラック部分(7R)の寸法が長すぎてしまい、カム(8C)・アンド・カムフォロワ(8F)機構ではカム(8C)がスペースを取りすぎてしまうという問題がある。
これに対して、本発明(請求項2の発明)であれば、(可撓性が有る)紐状部材(3:フラッシュバルブ式のトイレに適用する場合)(タンク式であれば、索状部材或いはケーブル3A)はその占有スペースが極めて小さく、且つ、開閉操作部材(操作桿2a、フロート弁本体210a)を確実に移動して、洗浄水用開閉弁(フラッシュ弁2、フロート弁210)を所定の開度にする事が出来るので、省スペースに貢献できる。
例えば、タンク式トイレに適用される場合、紐状部材或いはケーブル(3A)は、タンク201内及び配索箇所に配置され、特別な占有スペースを要さない。
【0031】
また、本発明において、停電中であり、且つ便器(1)を使用する場合、人体を検知してから所定時間が経過した場合には洗浄水用開閉弁(2)を開放して所定量の水(排便、排尿を流すのに必要且つ十分な量の水)を流す制御を行う様に構成すれば(請求項3)、用便中に停電が生じた場合の不都合を解消することが出来る。
すなわち、従来技術においては、停電時には洗浄水用開閉弁(2)の開閉制御が困難である。従って、用便後、水を流す以前の段階で停電すると、便器(1)中に何時までも汚物が残存することとなり、使用者に非常に不快な思いを与えてしまう。一方、水を流している最中に停電してしまうと、洗浄水用開閉弁(2)が開放した状態で固定されてしまい、水が何時までも止まらなくなり、水の浪費となってしまう。
【0032】
これに対して、便器(1)が使用中であり且つ停電から所定時間が経過した場合には洗浄水用開閉弁(2)を開放して所定量の水(大便を流すのに必要且つ十分な量の水)を流す様にすれば(請求項3)、用便後、水を流す以前の段階で停電した場合には当該所定量の水で便器内の汚物は除去される。そして、水を流している最中に停電した場合では当該所定量の水が流れた後に洗浄水用開閉弁(2)を閉鎖するので、洗浄水が流れたままになって浪費されることが防止される。何れの場合においても、上述した不都合は解消されるのである。
【0033】
上述した便器洗浄装置(請求項3の便器洗浄装置100、101)を有する本発明のトイレ管理システムにおいて、前記情報処理装置(30、40)を装備し、その情報処理装置(30、40)によって便器洗浄装置(100、101)の制御装置(21)から送信された情報を処理し且つ記憶して、便器洗浄装置(100、101)の調節或いは設定に必要な情報を出力する様に構成すれば(請求項4)、情報を受信した便器洗浄装置(100、101)を設置した便器(1)の延べ使用回数や、その内の排尿回数或いは排便回数等、トイレのメンテナンスに必要な情報を得ることが出来る。
それにより、消耗部品の点検時期や、交換時期、その他を正確に把握することが出来る。
【0034】
また、その様な情報に基づいて、用便(排便、排尿)後の洗浄用の水量の調節や、案内用音声の音量設定等を好適に実行することが出来る。さらに、トイレのメンテナンスに必要な情報に基づいて、本発明の便器洗浄装置(請求項3の便器洗浄装置100、101)を用いることによる節水量や、節水により減少した二酸化炭素排出量等を求めることが出来る。
そして、一定のエリア毎に管理ステーションを設け、上述した便器洗浄装置(請求項3の便器洗浄装置100、101)を有するトイレを当該管理ステーションにより一括管理することが可能となる。
【0035】
更に、本発明の便器洗浄装置は、基本的な構成を何ら変更することなく、フラッシュバルブ式のトイレにも、タンク式のトイレにも適用することが出来るというメリットがある。
タンク式のトイレに適用する場合は、タンクの種類、材質、レイアウトとは無関係に本発明の便器洗浄装置を装備することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、添付図面(図1〜図12)を参照して、本発明の第1実施形態(フラッシュバルブ式トイレに適用した実施形態)について説明する。
【0037】
先ず、図1を参照して、全体を符号100で示すフラッシュバルブ式の便器洗浄装置の概略々構成を説明する。
【0038】
図1において、便器洗浄装置100は、便器1と、フラッシュバルブ2(洗浄水用開閉弁)と、便器使用者Mを検出する検出装置であるセンサ部10と、フラッシュバルブ開放装置であるロボット本体20と、操作部であるリモートコントローラ30を備えている。
【0039】
フラッシュバルブ2は、便器1に水(上水)を供給する水供給管Lwに介装され、後述する手段によってフラッシュバルブ2を操作すると、排便後及び排尿後の供給するべき水量を計量しつつバルブを開放して便器に水を供給する。
ここで、図1においては、便器1とフラッシュバルブ2との水供給管Lwとの距離を長くして表現しているが、これは図示を容易にするためにデフォルメしたものであり、実際の便器洗浄装置100において、便器1とフラッシュバルブ2との水供給管Lwとの距離を長くしなければならないことを意味する訳ではない。
【0040】
センサ部10は、図2に詳細構成を示すように、赤外線を照射する赤外線照射装置11と照射された赤外線の反射光を受光する赤外線受光装置12とから成るセンサヘッドHと、その赤外線照射装置11及び赤外線受光装置12を制御する後述するセンサ部制御装置(センサ用マイクロコンピュータ)13を収容したケーシングCと、を備えている。
図2において、符号Wは例えば、トイレの壁面を示す。
【0041】
ケーシングCには、センサ用マイクロコンピュータ13の他に、3つのアンプ14A(第1アンプ)、14B(第2アンプ)、14C(第3アンプ)と、比較手段であるコンパレータ15と、タイマー16とを備えている。
【0042】
又、ケーシングCは、当該便器1の設置場所であるトイレ内における光(太陽光及び/又は照明)により前記赤外線照射装置11の作動に必要な電力を発電する光発電装置17と、その光発電装置17で発電された電力を蓄電する第1の蓄電装置(第1のコンデンサ)18を備えている。
更に、ケーシングCは、自動機能が機能しなくなった場合に使用する手動スイッチ19A及び警報スイッチ19Bも装備している。
【0043】
センサ部10で検出した情報は、センサ部10に装備した赤外線発信素子11Zによって無線でロボット本体20の後述する赤外線送受信装置22に向かって発信される。
【0044】
赤外線照射装置11は、第1アンプ14Aを介装したラインLoによってセンサ用マイクロコンピュータ13に接続されている。
赤外線受光装置12は、第2アンプ14B及びコンパレータ15を介装したラインLiによってセンサ用マイクロコンピュータ13に接続されている。
【0045】
光発電装置17及び第1の蓄電装置(第1のコンデンサ)18はラインL1によってセンサ用マイクロコンピュータ13に接続され、センサ用マイクロコンピュータ13は、光発電装置17で発電された電力を一旦第1の第1のコンデンサ18に蓄電し、蓄電した電力で赤外線照射装置11に赤外線を照射させるように構成されている。
そのように、光発電装置13で発電された電力を蓄電する第1のコンデンサ18をセンサ部10に設けたので、放電量が増大する事態にも対処出来る。
【0046】
又、タイマー16はラインL2によって、手動スイッチ19AはラインL3によって、警報スイッチ19BはラインL4によってそれぞれ線作用マイクロコンピュータ13に接続されている。
【0047】
ここで、赤外線照射装置11は、(例えば、トイレの壁面W等に)連続して赤外線を照射するのではなく、前記タイマー16で設定されたインターバルによって間欠的に赤外線を照射する(例えば、所定時間経過する毎に100μsだけ赤外線を照射)様に構成されている。その赤外線照射には、前述した光発電装置17で発電され、一旦第1のコンデンサ18に蓄電された電力が使用される。
換言すれば、センサ部10は、トイレの窓から差し込む日光や、トイレの照明を、光発電装置17で電力に変換して駆動電力として用いているのである。
【0048】
即ち、センサ部10で使用する電力は光発電装置17の発電で賄われており、商用電力を用いていないので、便器洗浄装置100全体としては、消費電力が大幅に節約出来る。
そして、商用電力を用いる必要が無いため、センサ部10の取付位置は商用電源コンセントの位置とは無関係に設定することが出来るので、レイアウト上の自由度が大幅に向上する。そのため、人体検知に最適な位置を、センサ部10の取付位置にすることが出来るのである。
【0049】
なお、明確には図示はされていないが、センサ部10は、待機電流が必要な回路と待機電流が不要な回路(図2のラインL1、L3、L4等)とが分離されて構成されており、待機電流も節約できる様に構成されている。
【0050】
受光装置12からの信号は、アンプ14Bで増幅されてコンパレータ15に送られる。コンパレータ15は、受光装置12からの信号を、第1の所定値及び第2の所定値と比較する。図11を参照して後述する様に、第1の所定値及び第2の所定値は、排尿、用便、便器の不使用を判定するための閾値であり、人体を検知していた時間が第1の所定値未満であれば便器は使用されていないと判定され、第1の所定値と第2の所定値の間であれば排尿と判定され、第2の所定値以上であれば排便と判定される。
【0051】
受光装置12からの信号、コンパレータ15における比較結果(情報)は、マイクロコンピュータ13に送信される。
なお、アンプ14A、アンプ14Cは夫々のアンプが介装されたラインの信号を増幅させて、赤外線発信素子11、11Zに送っている。
【0052】
ここで、赤外線は目視できないので、センサ部10の設置時に、赤外線照射位置を適正に設定することが困難であることが予想される。これに対して図示の実施形態では、図3に示すように、センサヘッドHに可視光線照射装置11Xを設けている。センサ部10の設置時に、可視光線照射装置11Xから可視光線を照射すれば、可視光線照射装置11Xは赤外線発信素子11近傍に設けられているので、センサ部10の設置時に、可視光線照射装置11Xから可視光線を照射すれば、可視光線の照射位置(目視可能)は赤外線の照射位置近傍となる。従って、可視光線の照射位置から、赤外線の照射位置を適正且つ好適に調節出来るのである。
【0053】
図3において、符号11Hは赤外線を赤外線照射装置(発光素子)11から照射する際の照射口を、符号12Hは赤外線を赤外線受光装置(受光素子)12に受ける際の受光口を、符号11XHは可視光線を照射する際の照射口をそれぞれ示す。
【0054】
図4は発光波形(パルス波形;パルス幅はW1)F1と受光波形(パルス波形;パルス幅はW2)F2との関連を示した図(制御波形図)である。
発光素子11は広範囲に赤外線が到達するように構成されている。しかし、受光素子12側で、発光素子11から照射された赤外線を正確に受信(受光)できない場合が存在し得る。
【0055】
受光が正確に行われない場合、すなわち図4において符号F2Xで示す様な受光波形となる場合には、当該受光波形F2xのパルス幅W2xが、発光波形F1のパルス幅W1に比べて狭くなる。そして、減少率Δw(受光波形F2xのパルス幅W2xがパルス幅W1に対して減少した割合)が閾値以上になると、制御エラーが発生する可能性がある。
当該閾値については、ケース・バイ・ケースで決定される。
【0056】
かかる制御エラーを回避するため、センサ部10は、図5に示すように、赤外線受光装置(受光素子)12を複数個(図4では2個)設け、互いに逆向きに配置して設けている。受光素子12を複数設けることにより、受光素子12の位置に起因して発光素子11から照射された赤外線が受光出来なくなる事態を防止できるのである。尚、図5では、赤外線照射装置(発光素子)11を省略々して示している。
【0057】
図6は、発光素子が一つ、受光素子が二つの場合の制御波形図を示したものである。最上段は発光素子11の発光時間を示すパルス波形F1で、その下の2段は二つの受光素子が捕らえた赤外線の受光波形パルスF21、F22である。
【0058】
図5に関して上述した様に、赤外線受光装置12を複数個設けた場合には、図示の実施形態では、複数個の赤外線受光装置12が全て反射赤外線を検出した場合(複数の赤外線受光素子12が全て「ON(パルス線図において上方に凸となった部分がある)」或いは「反射光検出」の場合)のみ、反射赤外線を検出した旨の信号F20を出力する様に構成されている。換言すれば、図7に示すようなAND回路を構成している)。
図6における信号F20(AND回路の出力)を発光素子11のパルス波形F1と比較すれば明らかな様に、AND回路の出力である信号F20は、赤外線照射側11のパルス波形F1を正確に復元している。
【0059】
ここで、「複数個の赤外線受光装置12が全て反射赤外線を検出した場合のみ、反射赤外線を検出した旨の信号を出力する」ロジックは、赤外線照射側11の正確な照射波形を復元するためのロジックの一例である。赤外線照射側11の正確な照射波形を復元することが出来るロジックであれば、上述したロジックに限定されるものではない。
【0060】
上述した実施形態によれば、便器1設置箇所における光(太陽光及び/又は照明)により光発電装置17で赤外線照射装置11の作動に必要な電力を全て賄うことが出来る。
従って、24時間連続してセンサ部10を作動させることが可能であり、しかも、大きな電池を設ける必要も無い。
【0061】
すなわち、トイレの照明や自然光によりセンサ部10を作動させるのに必要な電力を発電することが出来るので、センサ部10作動用の外部電源、例えば商用電源や電池を別途設ける必要が無い。
商用電源や電池を不要とするので、スペースに余裕が無い領域に当該便器洗浄装置100を設置するに際しても、レイアウトの自由度が高まる。
【0062】
図8及び図9は、前記ロボット本体20、即ちフラッシュバルブ開閉装置(機構)によって開閉駆動されるフラッシュバルブ2及びフラッシュバルブ2の駆動部の側面図及び正面図を示している。
図10は、後述する巻き取り量調整装置6のインタラプタ62の詳細構成を示した回路図である。
【0063】
図8及び図9において、フラッシュバルブ2の駆動部は、フラッシュバルブ2の開閉操作桿(レバー)2aと、可撓性の有る紐状部材3と、該紐状部材3を巻き取るための巻取装置(プーリ)4と、該プーリ4を駆動する電動モータ(DCモータ)5と、紐状部材3がプーリ4により所定量だけ巻き取られるとDCモータ5を停止させる巻取量調整装置6、とを備えて構成されている。
【0064】
ここで、紐状部材3は、開閉操作桿2aに取り付けられ、開閉操作桿2aに引張力を付加してフラッシュバルブ2が開放する側に移動せしめるための部材である。
プーリ4はDCモータ5の回転軸5aに固着されている。
DCモータ5は、図1を参照すれば明らかな様に、ロボット本体20に属する部材である。
【0065】
図8〜図10を参照して、巻取量調整装置6の構成の詳細と、巻き取り量調整のメカニズムについて説明する。ここで、図8〜図10を参照して説明する実施形態では、巻取量調整装置6は、DCモータ5の前面に配置されている。
図8〜図10において、巻取量調整装置6は、1箇所に切欠き61aが形成されたホイール61と、切欠き検知装置である2個のフォトインタラプタ62とを有している。
【0066】
図9において、ホイール61の外縁部には、矩形の切欠き61aが形成されている。ホイール61は、DCモータ5の回転軸5aに固着されており、回転軸5aにおけるホイール61の固着位置は、プーリ4よりもモータ5本体側である。
図9で示す様に、フォトインタラプタ62は、DCモータ5前面の上下位置に各1箇所ずつ取り付けられている。
図8において点線で囲った領域(図8において符号6で示す領域)で示す様に、フォトインタラプタ62は(図8で示す状態では)概略々U字状に構成されており、U字状の空洞部分に円盤61の外縁近傍を、隙間を隔てて挟むように設置されている。
【0067】
図10は、巻取量調整装置6のフォトインタラプタ62を電気回路として示した図である。フォトインタラプタ62は、発光ダイオード部62aと受光ダイオード部62bとを有し、発光ダイオード部62aからの発光は切欠き61a以外の場所では遮られており、切欠き61aがフォトインタラプタ62に一致した際に、発光ダイオード部62aからの発光を受光ダイオード62b側が受信(受光)して、受光信号を発生する。
【0068】
図8を参照して説明すると、DCモータ5は、後述する様にセンサ部10が使用者を検知すると回転を開始し、回転軸5aに固着されたプーリ4により紐状部材3を巻き取る。紐状部材3が巻き取られると、レバー2aが図8の状態から上方に引っ張られて、フラッシュバルブを開放する。
DCモータ5の回転は、切欠き61aがフォトインタラプタ62に一致するまで、すなわち、受光ダイオード部62bが発光ダイオード部62aからの光を受光するまで継続される。
【0069】
切欠き61aがフォトインタラプタ62に一致して、受光ダイオード62b側が受光信号を発生すると、DCモータ5の回転は停止する。この状態において、フラッシュバルブは開放されており、便器内には洗浄用の水が流れている。係る状態は、コントロールユニット21(図1参照)がDCモータ5を逆方向に回転する旨の制御信号を出力するまで継続する。
【0070】
コントロールユニット21は、後述する様に排便であるか排尿であるかを判断し、その判断結果に基いて、(DCモータ5が停止してから)DCモータ5を逆方向に回転する旨の制御信号を出力するまでの時間(待機時間:例えば、排尿後の洗浄であれば2秒間)を決定する。そして、コントロールユニット21内のタイマー28により、DCモータ5の停止後から待機時間が経過したか否かを判定し、待機時間が経過するまで、DCモータ5が停止して、フラッシュバルブを開放した状態を維持する。
【0071】
待機時間が経過したならば、コントロールユニット21(図1)から制御信号を発生してDCモータ5を逆方向に回転し、プーリ4に巻き取られた紐状部材3が巻き取られた状態を解除して、レバー2aを図8の状態に復帰し、フラッシュバルブを閉鎖する。以って、便器の洗浄用水の供給は停止される。
【0072】
図8〜図10で示す構成によれば、ホイール61の外縁部に形成された切欠き61aの位置により、ホイール61の回転量(回転角度)或いはDCモータ5が停止するタイミングを、適宜、設定することが出来る。
そして、排便後の洗浄水供給量と排尿後の洗浄水供給量とは、経験則或いはユーザーサイドの希望により、コントロールユニット21のタイマー28で待機時間を設定して、適正に調節することが出来る。
【0073】
ここで、フラッシュバルブ2が開放されている時には、フラッシュバルブ2のレバー2aの先端は、図8、図9よりも上方を向くことになる。その際の切欠き61aは、例えば、図9において破線で示す位置(位置P)となる。また、フラッシュバルブ2を開放する際におけるDCモータ5の回転方向は、図9において反時計回りである。
【0074】
次に、再び図1を参照して、ロボット本体20のDCモータ5以外の構成について説明する。
ロボット本体20は、ロボット本体20を制御する制御手段(コントロールユニット或いはマイクロコンピュータ)21と、赤外線送受信機22と、音声ガイダンス用のスピーカ23と、スピーカ23に特定の音声を発生させる音源ICチップ24とを備えている。
【0075】
加えて、ロボット本体20は、停電の際にDCモータ5に電力を供給するための第2の蓄電池(第2のコンデンサ)25と、例えばLEDにより16文字2段表示をする表示部27と、停電の有無を検知する停電検知部26と、ロボット本体に組み込まれたタイマー28、とを有している。
【0076】
ロボット本体のコントロールユニット21には、商用電源50と接続された電源ラインLeを経由して商用電力が供給され、ラインLeには停電検知部26が介装されている。
第2のコンデンサ25は、商用電源50からの電力を蓄電して、停電に備えている。
停電検知部26は常時停電の有無を検知しており、停電でなければ商用電源50の電力が、コントロールユニット21を介してDCモータ5その他に供給される。
【0077】
上述した図示の実施形態に係る便器洗浄装置100では、便器1から排便、排尿等の汚物を流すためのフラッシュバルブ2は、フラッシュバルブの開閉操作桿2aを、図8における上方へ移動することにより行われ、開閉操作桿2aの移動は紐状部材3を巻き取ることにより制御されている。
【0078】
開閉操作桿2aを移動するために、従来技術では、例えば、図16に示すようなラック・アンド・ピニオン機構を用い、或いは、図17に示すようなカム・アンド・カムフォロワ機構を用いているが、係る機構を採用した場合には、比較的大きなスペースが必要となっていた。
これに対して、上述した第1実施形態では、紐状部材3はその占有スペースが極めて小さく、且つ、開閉操作桿2aを確実に移動して、フラッシュバルブ2を所定の開度にする事が出来る。
【0079】
次に、図11を参照して、第1実施形態において、便器1へ洗浄用水を供給する制御について説明する。後述する様に、係る制御においては、トイレの使用状況のデータ(各排便、排尿の使用時間、累積使用時間、累積使用回数、さらには二酸化炭素排出削減相当量)等についても、記憶して蓄積する様になっている。
【0080】
ステップS1では、センサ部10のセンサ11、12からの情報により、人体を検知したか否かを判断する。
便器1が使用中の場合には、センサ部10の赤外線照射装置11から照射された赤外線は、トイレを使用する者によって遮られてしまうので、トイレの壁W等で反射してから赤外線受光装置12に到達することは出来ない。
従って、赤外線照射装置11から照射された赤外線が赤外線受光装置12により受光されれば、便器1は使用されていないと判断出来る。一方、照射された赤外線が赤外線受光装置12により受光されない場合には、便器1が使用中であると判断される。
【0081】
ステップS1において、人体を検知するまでは待機し(ステップS1がNOのループ)、人体を検知したならば(ステップS1がYES)、人体検知からの経過時間の計測を開始して(ステップS2)、ステップS3に進む。
【0082】
ステップS3では人体検知が終了したか否かを判定し、トイレ使用者がトイレから退室するまで待機し(ステップS3がNOのループ)、トイレ使用者がトイレから退室して人体検知が終了したならば(ステップS3がYES)、ステップS4に進み、人体検知開始から人体検知終了までの時間を決定し、データベースに記憶する。
【0083】
次のステップS5では、コントロールユニット21は、ステップS4で決定された「人体検知開始から人体検知終了までの時間」(便器使用時間)が第1の所定値(例えば、10秒)以上であるか否かを判断する。
この第1の所定値は、トイレにおいて排尿、排便をするのに必要最低限な時間として決定されており、ステップS4で決定された便器使用時間が第1の所定値未満の場合(ステップS5がNO)には、「用便は為されない」或いは「便器を使用しなかった」と判断されて、その際の便器使用は各種データにはカウントされず(ステップS9)に、ステップS12へ進む。
【0084】
便器使用時間が第1の所定値以上の場合(ステップS5がYES)は、ステップS6に進む。ステップS6において、コントロールユニット21は、ステップS4で決定された便器使用時間が第2の所定値(例えば、90秒)以上であるか否かを判断する。
第2の所定値は、排便か排尿かを判別する閾値として設定されている。
【0085】
ステップS4で決定された便器使用時間が第2の所定値以上の場合(ステップS6がYES)は、使用者は「排便」を行ったと判断し(ステップS7)、フラッシュバルブ2の開放時間を長くして、大便の洗浄に必要且つ十分な量の水を流して(ステップS8)、ステップS12に進む。
【0086】
より詳細には、図8〜図10を参照して上述した様に、「排便」を行ったと判断した(ステップS7)際に、コントロールユニット21及びタイマー28は、フラッシュバルブが開放してからDCモータ5が逆転してフラッシュバルブが閉鎖するまでの時間に対応する待機時間を、大便を洗浄するのに必要な水量として設定する。そして、DCモータ5を回転してフラッシュバルブを開放して洗浄水を流した後、「排便」に対応する待機時間が経過するまで、フラッシュバルブを開放し続けるのである。
【0087】
「排便」に対応する待機時間が経過すれば、DCモータ5を逆回転して、レバー2aを元の位置(図8の位置:紐状部材3が巻き取られる以前の位置)に復帰させ、フラッシュバルブを閉鎖し、以って、便器洗浄用水の供給を遮断する。
【0088】
ステップS4で決定された便器使用時間が第2の所定値未満の場合、即ち10秒〜90秒の間であれば(ステップS6がNO)、ステップS10で「排尿」と判断し、DCモータ5によってフラッシュバルブ2を所定時間だけ開き、排尿に必要且つ十分な量の水を流して(ステップS17)、ステップS11までに進む。
【0089】
必要且つ十分な量の水を流す制御に関しては、ステップS8で説明したのと同様である。すなわち、「排尿」を行ったと判断した(ステップS10)際に、コントロールユニット21及びタイマー28は、小便洗浄に必要な水量に対応して、フラッシュバルブが開放してから閉鎖するまでの時間に対応する待機時間を設定し、待機時間はフラッシュバルブを開放し続ける。
待機時間が経過すれば、DCモータ5を逆方向に回転して、レバー2aを図8で示す位置に復帰させ、フラッシュバルブを閉鎖するのである。
【0090】
ステップS6〜S11で示す制御においては、照射された赤外線が赤外線受光装置12により受光されなかった時間(ステップS4で決定された便器使用時間)が比較的短時間(例えば10〜90秒)であれば排尿であり(ステップS10)、比較的長時間(例えば90秒以上)であれば排便である(ステップS7)、と判断される。
そして、赤外線が受光側12で受光されなかった時間の長短により、排尿であるか排便であるかを判定して、それらの判断に基いて必要な量の水を便器1に供給しているので、必要以上の水を便器1に流してしまうことが無く、節水及び二酸化炭素発生量の削減に寄与することが出来る。
【0091】
ステップS12では、コントロールユニット21のタイマー28は、24時間経過するまで待機しており(ステップS12がNOのループ)、24時間が経過したなら(ステップS12がYES)、ステップS13で、24時間における各排便、排尿の1回当りの使用時間、累積時間、及び累積使用回数等を記憶し、その情報を赤外線通信で操作部30のデータベース或いは管理用のパソコン40に、当該情報データを送信して、記憶させる。
そして、ステップS1以降を再び繰り返して、制御を継続する。
【0092】
次に、第1実施形態における停電時の制御を説明する。
従来技術において、停電時にはフラッシュバルブの開閉制御が困難であるため、用便後、水を流す以前の段階で停電すると、便器中に何時までも大小便が残存してしまう。また、洗浄用の水が流れている最中に停電してしまうと、フラッシュバルブが開放した状態で固定され、水が止まらなくなる。
【0093】
これに対して、第1実施形態では、便器1が使用中で且つ停電から所定時間が経過した場合に、フラッシュバルブを開放して、大便を流すのに必要且つ十分な量の水を流し、以って、便器内の大小便を除去する。或いは、洗浄水が流れたままになって浪費されることを防止している。
以下において、図12を参照して、係る停電時における制御について説明する。
【0094】
図12において、先ず、センサ部10のセンサ11、12からの情報により、人体を検知したか否かを判断する(ステップS21)。
ステップS21において、人体を検知するまでは待機し(ステップS21がNOのループ)、人体を検知したならば(ステップS21がYES)、ステップS22に進む。
【0095】
ステップS22では、停電が発生しているか否かを判断する。停電でなければ(ステップS22がNO)、ステップS21に戻る。
停電の場合には(ステップS22がYES)、停電開始からの経過時間を決定するべく、タイマー22により計時を開始し(ステップS23)、停電開始から所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS24)。
停電開始から所定時間が経過する間では待機状態となるが(ステップS24がNOで、且つ、ステップS25がNOのループ)、その間に停電が解消した場合には(ステップS25がYES)、ステップS21に戻る。
【0096】
停電開始から所定時間が経過した段階で(ステップS24がYES)、「便器1が使用中で且つ停電から所定時間が経過した」という条件が充足されたこととなる。係る段階において、タイマー28による計時を終了して、大便を洗浄するのに必要且つ十分な洗浄水が便器1に供給される(ステップS26)。
その結果、少なくとも、便器中に何時までも大小便が残存してしまう、という事態は回避される。
【0097】
ここで、洗浄用水が流れている最中に停電して、フラッシュバルブが開放した状態で固定され、水が止まらなくなった場合でも、ステップS26で洗浄用の水を便器1内に供給した後に、コントロールユニット21(図1)はDCモータ5を逆回転して、フラッシュバルブを閉鎖する操作を行う(図8〜図11参照)ので、便器1への洗浄用水の供給は確実に停止される。
【0098】
なお、図1で説明した通り、第2のコンデンサ25は、商用電源50からの電力を蓄電して、停電に備えているので、停電時においては、第2のコンデンサ25で蓄電された電力を用いて、上述した各種制御やDCモータ5の回転・逆転を行うことが出来るのである。
【0099】
再び図1において、第1実施形態のトイレ管理システムは、便器洗浄装置100にリモートコントローラ(操作部)30を装備し、そのリモートコントローラ30を制御する制御手段であるリモートコントローラ用マイクロコンピュータ31と、入力用のキー32(本実施形態では5つ)と、赤外線送受信機33と、情報記憶用のデータベース(ROM)34と、16文字2段表示の出来る表示部35とを備えている。
ここで、便器洗浄装置において設定されるべき情報(例えば、洗浄用の水量、音声ガイダンスの音量等)については、リモートコントローラ30を用いて設定或いは調節する。
【0100】
リモートコントローラ用マイクロコンピュータ31は、便器1の使用状況を把握するのに必要な情報(使用回数、小便用使用回数、大便用使用回数)を記憶すると共に、当該情報を情報処理装置である管理用マイクロコンピュータ(PC)40へ送信可能に構成されている。
リモートコントローラ30及び管理用マイクロコンピュータ40は、ロボット本体20のコントロールユニット21から赤外線送受信機22、33を経由して送信された情報を処理し、且つデータベース34に記憶して、便器洗浄装置100の調節或いは設定に必要な情報を出力する様に構成されている。
【0101】
ここで、前記「便器洗浄装置の調節或いは設定に必要な情報」としては、排便後の洗浄用の水量の調節や、音声ガイダンスの音量設定、上述した便器洗浄装置100を用いることにより節水された水量等が該当する。
それに加えて、前記「便器洗浄装置の調節或いは設定に必要な情報」には、節水の結果として減少した二酸化炭素排出量等が含まれる。この二酸化炭素排出量は、二酸化炭素排出権の売買が行われる場合には特に重要な情報となる。
【0102】
便器1の延べ使用回数や、排尿回数及び排便回数等から、トイレのメンテナンスに必要な情報を得ることが出来て、消耗部品の点検時期や、交換時期、その他を正確に把握することが出来る。
また、その様な情報に基づいて、用便(排便、排尿)後の洗浄用の水量の調節や、音声ガイダンスの音量設定等をリモートコントローラ30に入力して、水量調節や音声ガイダンスを好適に実行することが出来ると共に、当該便器洗浄装置100を用いることによる節水量や、節水により減少した二酸化炭素排出量等を求めることが出来る。
【0103】
係るデータを、情報ネットワーク等を用いて伝達すれば、一定のエリア毎(例えば、ビルの各階毎)に管理ステーションを設け、上述した当該便器洗浄装置100を有するトイレを当該管理ステーションにより一括管理することが可能となる。
【0104】
次に、図13〜図15、図18を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態はタンク式トイレに適用した実施形態である。
第2実施形態を説明するのに先立って、図18を参照して、従来技術におけるタンク式トイレの排水機構について解説する。
【0105】
図18において、タンク本体201内の底部中央に排水金具202が配置されている。排水金具202はタンク本体201内外を貫通しており、全体が筒状体で外径部に雄ねじが形成されている。排水金具202の上方には排水弁203が固設されている。
便器を使用していない時には、その排水弁203の図示しない排水口は、フロートバルブ210のフロートバルブ本体210aで覆われている。フロートバルブ本体210aは、内外共に半球状で、特に内側の球の(空洞の)半径が前記排水弁の球の径と同一に形成された殻状態に構成されている。
【0106】
前記排水弁203の開口端部203aにはオーバフロー管204が接続されており、オーバフロー管204の上端204aは、タンク本体201内に貯留された水の水面Wfよりも上方に突出するように配置されている。
【0107】
前記フロートバルブ210には2本のアーム部210bが形成され、アーム部210bの端部に回転軸部210cが形成されている。
前記回転軸部210cは、排水弁203側に形成された図示しない軸受けによって、回転自在に軸支されている。
フロートバルブ本体210aには突起210eが形成されており、突起210eには、後述する引張部材の端部を係合する係合孔210dが形成されている。
【0108】
係合孔210dに係合する引張部材は、図18の例では、玉鎖220である。玉鎖220の一端部は排水用フック230の端部に係合されている。
排水用フック230は、タンク本体201の外部に設けられたレバーハンドル(図18では図示せず)と一体化されている。
例えば、排便の後には図18の反時計回りにレバーハンドルを操作し、排尿の後には、図18の時計回りにレバーハンドルを操作する。
【0109】
図示しないレバーハンドルを操作する前の状態では、水圧によってフロートバルブ210は下方(排水弁203側)に押圧され、排水弁203の図示しない排水口を閉鎖している。
【0110】
例えば排便の後、図示しないレバーハンドルを操作すれば、排水用フック230及び玉鎖220を介してフロートバルブ210は上方に持ち上がり、排水弁203を大きく開口せしめる。
排水弁203が大きく開口すれば、フロートバルブ210は、それ自体の浮力によって、フロートバルブ本体210aの球状部がオーバフロー管204に当接した状態(いわゆる「立った」状態)を維持する。
【0111】
フロートバルブ210が「立った」状態は、タンク201内の水が殆ど排出されるまで続く。タンク201内の水が殆ど排出されれば、フロートバルブ210は、その自重によって、排出弁203を閉塞した位置に戻る。
図18で示す様な従来の方式では、排便の場合は、タンク201内の水を殆ど排出してしまうので、「節水」に反してしまう。
【0112】
第2実施形態では、係るタンク式トイレにおいて、「節水」を可能ならしめる様に構成されている。
以下、図13〜図15を参照して、第2実施形態について説明する。
第1実施形態のフラッシュバルブ方式のトイレに適用しているのに対して、第2実施形態の便器洗浄装置は、(洗浄水用タンク200を便器1に設けた)タンク方式のトイレに適用されていることと、それに伴い、洗浄水用タンク200内の後述するフロートバルブ210を開閉する機構が異なっている。
なお、図13〜図15において、図18で説明したタンク式のトイレと同様な部材には同様な符号を付している。
【0113】
図13において、全体を符号101で便器洗浄装置はタンク本体201を有し、タンク本体201内のフロートバルブ210の上方にはフロートバルブ停止部材240が配置されている。
フロートバルブ停止部材240は、フロートバルブ210の上方に位置する停止板241と、停止板241の両側端から延在してタンク底部に当接している2本の脚部242と、バンド部材243とによって構成されている。
図14(図13のY矢視図)にフロートバルブ停止部材240の正面を示し、図15(図13のZ矢視図)にフロートバルブ停止部材240の上面を示す。
【0114】
バンド部材243は、並行する両端243a、243aが平面で、残る部分243bが環状に形成され、当該部分243bが前記オーバフロー管204に巻きつくように構成されている。そして、バンド部材243の平面243aを固定ボルト・ナットNで締め付けることによって、オーバフロー管204にフロートバルブ停止部材240全体を固定している。
【0115】
前記停止板241の図13における左端近傍には、所定の直径の貫通孔241aが形成されている。貫通孔241aには、例えば、樹脂製のガイドチューブ250の先端250aが嵌合されて固定されている。
ガイドチューブ250の他端250bは、タンク本体201に形成された図示しない貫通孔からタンク外まで引き出されている。図示の簡略化のため、図13ではタンク本体201の近傍までしか示されていないが、実機では、ガイドチューブ250はロボット本体20の近傍まで延びている。
【0116】
ガイドチューブ250の内部にはワイヤケーブル260が挿通され、ワイヤケーブル260の一方の端部は、フロートバルブ210に形成された前記係合孔210dに係合されている。
ワイヤケーブル260の他端は、ロボット本体20の電動モータ5に固着されたプーリ4によって巻き取られるように係合している。なお、プーリ4をワイヤケーブル260を巻き取る方向とは逆方向に回転すれば、ワイヤケーブル260をタンク201側へ繰り出すことが出来る。
【0117】
ワイヤケーブル260が挿通されたガイドチューブ250は可撓性を有しているため、自在に湾曲させることが可能である。従って、電動モータ5に固着されたプーリ4を回転することにより、ワイヤケーブル260に張力を作用させる経路を、レイアウト自在に設定することが出来る。
【0118】
ここで、フロートバルブ210からプーリ4までのワイヤケーブル260の配索において、極めて小さい曲率半径でワイヤケーブル260に作用する張力の方向を変えることが必要な場合には、所望の張力作用方向変換地点において、例えば、アイドラプーリ270等を用いて、常時ワイヤケーブル260に常時引張力が作用するようにすることが好ましい。
勿論、係るアイドラプーリ270を設けること無く、ワイヤケーブル260が挿通されたガイドチューブ250を、プーリ4近傍まで配策しても良い。
【0119】
なお、図13において、符号205は止水栓、符号206はボールタップ、符号207は補助水管、符号208は浮玉を示している。
【0120】
図13〜図15で示す第2実施形態においては、センサ部10によりトイレの使用が終了した後に、モータ5及びプーリ4によりケーブルワイヤ260を巻き取り、以って、フロートバルブ210のフロートバルブ本体210aにおける係合孔210d側を、フロートバルブ210の上方に位置する停止板241に当接するまで持ち上げる。
その結果、フロートバルブ210は開放されて、便器1内に水が流れる。
【0121】
図13〜図15で示す第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、検出装置であるセンサ部10により計測される「人体検知開始から人体検知終了までの時間」(便器使用時間)により、大便であるか小便であるかが判定される。
そして大便であると判定されるか小便であると判定されるかにより、モータ5及びプーリ4によりケーブルワイヤ260を巻き取り、以って、フロートバルブ210が開放した状態となる時間(フロートバルブ210の開放時間)も決定される。
【0122】
所定のフロートバルブ210開放時間が経過したならば、コントロールユニット21(図1参照:図13〜図15では図示せず)からの制御信号により、モータ5及びプーリ4は、ワイヤ260を送り出す方向に回転する(逆転する)。
その結果、フロートバルブ210はタンク201内の水圧により、下方に押圧されて閉鎖位置に戻る。
【0123】
ここで、大便の場合には、図18で説明したような従来のタンク式トイレの場合は、フロートバルブ210が何等拘束を受けること無く上方に持ち上がり、いわゆる「立った」状態となるため、タンク201内が略々排水されるまで、フロートバルブ210は閉鎖位置に戻ることが出来なかった。そのため、1回の大便後の洗浄によって、タンク201内の水が略々排水されてしまっていた。
これに対して、図13〜図15の第2実施形態では、フロートバルブ210のフロートバルブ本体210aは停止板241に当接するまでしか持ち上げられないので、モータ5が逆転してワイヤ260を送り出すことにより、タンク201内の水圧により、直ちに下方へ押圧されて閉鎖状態となる。
【0124】
従って、図13〜図15の第2実施形態では、タンク201内の水が全部排水されることが無く、便器1内の汚物を洗浄するのに必要且つ十分な量だけを排水することが出来る。
そして、大便後の排水終了後にもタンク201内に適量の水が残るため、リカバリータイム(次回のための貯水に要する時間)が短縮でき、リカバリータイムの際に供給される水量も減少させることが出来る。
これ等により、節水が実現されるのである。
【0125】
図13〜図15の第2実施形態におけるフローとバルブ210の移動量或いは弁開度は、排水弁203の閉鎖時のフロートバルブ210の頂点からフロートバルブ停止部材240の停止板241の下面までの高さ寸法Hによって設定される。
図8〜図10で示す巻取量調整装置6で設定されるワイヤ260の巻取量は、係る高さ寸法Hと等しいか、或いは、それ以下である。
【0126】
図13〜図15の第2実施形態においては、大便後の洗浄用水の水量と、小便後の洗浄用水の水量とは、フロートバルブ210が開放状態にある時間により調節される。
従って、フロートバルブ210の停止位置は、大便後の洗浄と、小便後の洗浄とで変更する必要が無い。
【0127】
図13〜図15の第2実施形態では、従来のタンクに対しての構成の追加は小規模であり、追加工事も容易に行うことが出来る。
そして、上述した通り、ワイヤケーブル260が挿通されたガイドチューブ250は可撓性を有しているため、ロボット本体20のタンク201に対する位置(ロボット本体20のレイアウト)を、自在に設定することが出来る。そのため、タンクの種類、材質、便器とのレイアウトがどの様に設定されていても、ロボット本体20を自由に配置することが出来る。
【0128】
図13〜図15の第2実施形態におけるロボット本体20を含むその他の構成については、第1実施形態と実質的に同じである。そして、上述した以外の構成については、図18で説明した従来のタンク式トイレと同じである。
図13〜図15の第2実施形態における上述した以外の作用効果も、第1実施形態と同様である。
【0129】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定するものではないことを付記する。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の実施形態の全体構成の概略々を示すブロック図。
【図2】実施形態に関するセンサ部の構成を示すブロック図。
【図3】実施携帯に関するセンサヘッドの斜視図。
【図4】実施形態に関する発光波形と受光波形との関連を示したパルス波形図。
【図5】実施形態の1例であって受光素子を2個設けたセンサヘッドの斜視図。
【図6】実施形態に関する1例であって、受光素子を2個設けた場合の発光波形と受光波形との関連を示したパルス波形図。
【図7】図6に関連する受光素子を2個設けた場合のアンド回路図。
【図8】実施形態に関するフラッシュバルブの駆動部の側面図。
【図9】実施形態に関するフラッシュバルブの駆動部の正面図。
【図10】実施形態に関する巻き取り量調整装置のフォトインタラプタの詳細構成を示した回路図。
【図11】実施形態に関する流水(節水)制御方法について説明するフローチャート。
【図12】実施形態のセンサ部の蓄電量の監視、及び、センサ部で使用する電力の供給に関する故障診断の制御について説明するフローチャート。
【図13】第2実施形態の便器洗浄装置の構成を示すブロック図。
【図14】図13のY矢視図。
【図15】図13のZ矢視図。
【図16】従来技術において、フラッシュバルブの開閉を、ラック・アンド・ピニオンを用いて行うフラッシュバルブ駆動部の正面図。
【図17】従来技術において、フラッシュバルブの開閉を、カム・アンド・カムフォロアを用いて行うフラッシュバルブ駆動部の正面図。
【図18】タンク式トイレの従来技術におけるタンク断面図。
【符号の説明】
【0131】
1・・・便器
2・・・フラッシュバルブ
3・・・紐状部材
4・・・巻取り装置/プーリ
5・・・伝動装置/DCモータ
6・・・巻取り量調整装置
11・・・赤外線照射装置
12・・・赤外線受光装置
13・・・センサ部用マイクロコンピュータ
15・・・コンパレータ
16・・・タイマー
17・・・光発電装置
18・・・第1の蓄電池/第1のコンデンサ
20・・・フラッシュバルブ開放装置/ロボット本体
21・・・ロボット本体用マイクロコンピュータ
25・・・第2の蓄電池/第2のコンデンサ
26・・・停電検知部
30・・・操作部/リモートコントローラ
40・・・管理用パソコン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の使用後に水を流して洗浄する便器洗浄装置において、便器の使用を検出する検出装置と、該検出装置の検出結果に応答して便器に洗浄用水を供給する洗浄水用開閉弁と、該洗浄水用開閉弁を開放する洗浄水用開閉弁開放装置とを有しており、前記検出装置は、赤外線を照射する赤外線照射装置と、照射された赤外線の反射光を受光する赤外線受光装置と、便器設置箇所における光により前記赤外線照射装置の作動に必要な電力を発電する光発電装置と、を備えていることを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄水用開閉弁開放装置は、洗浄水用開閉弁の開閉操作部材に取り付けられ且つ該開閉操作部材に引張力を付加して洗浄水用開閉弁が開放する側に移動せしめる紐状部材と、該紐状部材を巻き取るための巻取装置と、該巻取装置を作動させる電動装置と、前記紐状部材が巻取装置により所定量だけ巻き取られると電動装置を停止させる巻取量調整装置と、制御装置とを有しており、制御装置は、電動装置を制御して水の流量を調節し且つ洗浄水用開閉弁を閉鎖する様に構成されている請求項1の便器洗浄装置。
【請求項3】
便器が設けられた箇所における停電を検知する検知装置を備え、前記洗浄水用開閉弁開放装置は蓄電装置を有しており、前記制御装置は、前記検知装置が停電を検知し、人体を検知してからの経過時間を計測する計時装置を有し、停電中であり且つ人体を検知してから所定時間が経過した場合には洗浄水用開閉弁を開放して所定量の水を流す制御を行う様に構成されている請求項2の便器洗浄装置。
【請求項4】
請求項3の便器洗浄装置と、情報処理装置とを有し、便器洗浄装置における前記制御装置は、便器の使用状況を把握するのに必要な情報を記憶すると共に、当該情報を前記情報処理装置へ送信可能に構成されており、前記情報処理装置は、便器洗浄装置の制御装置から送信された情報を処理し且つ記憶して、便器洗浄装置の調節或いは設定に必要な情報を出力する様に構成されていることを特徴とするトイレ管理システム。
【請求項1】
便器の使用後に水を流して洗浄する便器洗浄装置において、便器の使用を検出する検出装置と、該検出装置の検出結果に応答して便器に洗浄用水を供給する洗浄水用開閉弁と、該洗浄水用開閉弁を開放する洗浄水用開閉弁開放装置とを有しており、前記検出装置は、赤外線を照射する赤外線照射装置と、照射された赤外線の反射光を受光する赤外線受光装置と、便器設置箇所における光により前記赤外線照射装置の作動に必要な電力を発電する光発電装置と、を備えていることを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄水用開閉弁開放装置は、洗浄水用開閉弁の開閉操作部材に取り付けられ且つ該開閉操作部材に引張力を付加して洗浄水用開閉弁が開放する側に移動せしめる紐状部材と、該紐状部材を巻き取るための巻取装置と、該巻取装置を作動させる電動装置と、前記紐状部材が巻取装置により所定量だけ巻き取られると電動装置を停止させる巻取量調整装置と、制御装置とを有しており、制御装置は、電動装置を制御して水の流量を調節し且つ洗浄水用開閉弁を閉鎖する様に構成されている請求項1の便器洗浄装置。
【請求項3】
便器が設けられた箇所における停電を検知する検知装置を備え、前記洗浄水用開閉弁開放装置は蓄電装置を有しており、前記制御装置は、前記検知装置が停電を検知し、人体を検知してからの経過時間を計測する計時装置を有し、停電中であり且つ人体を検知してから所定時間が経過した場合には洗浄水用開閉弁を開放して所定量の水を流す制御を行う様に構成されている請求項2の便器洗浄装置。
【請求項4】
請求項3の便器洗浄装置と、情報処理装置とを有し、便器洗浄装置における前記制御装置は、便器の使用状況を把握するのに必要な情報を記憶すると共に、当該情報を前記情報処理装置へ送信可能に構成されており、前記情報処理装置は、便器洗浄装置の制御装置から送信された情報を処理し且つ記憶して、便器洗浄装置の調節或いは設定に必要な情報を出力する様に構成されていることを特徴とするトイレ管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−218040(P2007−218040A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42698(P2006−42698)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(506059193)ヒューネット・エコ デベロプメント株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(506059193)ヒューネット・エコ デベロプメント株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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