説明

便器洗浄装置

【課題】少ない水量の洗浄水で便器洗浄を良好に行うことができる便器洗浄装置を提供する。
【解決手段】便器洗浄装置は、便鉢部11、リム通水路12、リム吐水口15A、便器排水路13及びジェット吐水口16Aを有する便器本体10に洗浄水を供給する。リム吐水口15A及びジェット吐水口16Aへ洗浄水を供給する給水路と、給水路に設け、リム吐水口15A及びジェット吐水口16Aから洗浄水を吐水して便器洗浄を行う際、先ずリム吐水口15Aから洗浄水を吐水する第1リム洗浄を実行し、その後に連続してジェット吐水口16Aから洗浄水を吐水するジェット洗浄を実行するように給水先を切り替える第1三方弁30と、第1三方弁30の上流側の給水路に連通し、給水源から供給される洗浄水を貯留するタンク50と、タンク50内に貯留した洗浄水を第1三方弁30へ送水し、送水する洗浄水の流量を変更することができるポンプ40とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は便器洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図2には従来の便器洗浄装置が開示されている。この便器洗浄装置は便器本体に洗浄水を供給するものである。便器本体は、便鉢部、この便鉢部の上端開口部の内周縁に設けられたリム通水路、このリム通水路に洗浄水を吐水するリム吐水口、便鉢部の下流側に連続して設けられた便器排水路、及びこの便器排水路の下流側に向けて洗浄水を吐水するジェット吐水口を有している。この便器洗浄装置は、リム吐水口へ洗浄水を供給するリム給水路と、ジェット吐水口へ洗浄水を供給するジェット給水路とを備えている。ジェット給水路には加圧タンクが連結されている。加圧タンクは加圧タンク内に洗浄水を貯留する水道水の静水圧によって洗浄水を加圧状態に貯留することができる。
【0003】
この加圧タンクは加圧した洗浄水をジェット吐水口へ送水することができる。また、加圧タンクは加圧した洗浄水をリム吐水口へも送水することができる。このように、この便器洗浄装置は、加圧タンク内に加圧状態で貯留した洗浄水をリム吐水口及びジェット吐水口へ送水することができるため、水道水の流動圧が低い場所でもリム通水路や便器排水路へ洗浄水を勢いよく吐水することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−148162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の便器洗浄装置は加圧タンクから略一定の圧力でリム吐水口及びジェット吐水口に洗浄水を送水することになる。このため、便器洗浄の過程において、リム吐水口及びジェット吐水口から吐水される洗浄水の水勢が略一定となり、適宜水勢を調整することができない。
【0006】
少ない水量の洗浄水で便器洗浄を行うに当たり、洗浄水の流量を多くすることによって、便器洗浄を良好に行うことができる。つまり、加圧タンク内の加圧した洗浄水をジェット吐水口に送水することによって、少ない水量でも流量を多くして、その水勢で便器排水路内の汚物等を良好に搬送することができる。一方、加圧タンク内の洗浄水の圧力が高すぎるとリム吐水口から吐水される洗浄水が便鉢部から飛散してしまったり、リム洗浄時の音が高くなってしまったりするおそれが生じる。このように、この便器洗浄装置では便器洗浄水の水量を少なくすると、便器洗浄を良好に行うことができなくなるおそれがある。また、この便器洗浄装置では、水道水の静水圧以上に洗浄水を加圧することができないため、水道水の静水圧が低い場所では便器洗浄を良好に行うことができないおそれがある。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、少ない水量の洗浄水で便器洗浄を良好に行うことができる便器洗浄装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の便器洗浄装置は、便鉢部、この便鉢部の上端開口部の内周縁に設けたリム通水路、このリム通水路に洗浄水を吐水するリム吐水口、前記便鉢部の下流側に連続して設けた便器排水路、及びこの便器排水路の下流側に向けて洗浄水を吐水するジェット吐水口を有する便器本体に洗浄水を供給する便器洗浄装置であって、
前記リム吐水口及び前記ジェット吐水口へ洗浄水を供給する給水路と、
この給水路に設け、前記リム吐水口及び前記ジェット吐水口から洗浄水を吐水して便器洗浄を行う際、先ず前記リム吐水口から洗浄水を吐水する第1リム洗浄を実行し、その後に連続して前記ジェット吐水口から洗浄水を吐水するジェット洗浄を実行するように給水先を切り替える給水切替機構と、
この給水切替機構の上流側の前記給水路に連通し、給水源から供給される洗浄水を貯留するタンクと、
このタンク内に貯留した洗浄水を前記給水切替機構へ送水し、その際に送水する洗浄水の流量を変更することができる送水機構とを備えていることを特徴とする。
【0009】
この便器洗浄装置は、送水機構が給水切替機構へ送水する洗浄水の流量を変更することができるため、リム吐水口及びジェット吐水口から吐水する洗浄水の流量を調整して、少ない水量の洗浄水で最も効率的に便器洗浄を行うことができる。つまり、タンクに水道管から洗浄水を供給する場合、その水道水の流動圧が低い場合でも、この便器洗浄装置は最も効率的に便器洗浄を行うことができる。
【0010】
したがって、本発明の便器洗浄装置は、少ない水量の洗浄水で便器洗浄を良好に行うことができる。
【0011】
前記送水機構は前記第1リム洗浄時と前記ジェット洗浄時とで前記給水切替機構に送水する洗浄水の流量を変更し得る。この場合、第1リム洗浄時とジェット洗浄時に最適な流量の洗浄水を給水切替機構の送水することができる。このため、この便器洗浄装置は少ない水量の洗浄水で便器洗浄を良好に行うことができる。
【0012】
前記送水機構は前記第1リム洗浄時より前記ジェット洗浄時の方が前記給水切替機構に送水する洗浄水の流量を多くし得る。この場合、ジェット洗浄時の給水切替機構に送水する洗浄水の流量を多くすることによって、ジェット吐水口から吐水される洗浄水の流量が多くなり、その水勢で便器排水路内の汚物等を良好に搬送することができる。一方、第1リム洗浄時の給水切替機構に送水する洗浄水の流量は、便鉢部の表面に付着した汚物等を洗い落とすために、リム通水路の終端部まで洗浄水を送り、便鉢部の表面全体に洗浄水が確実に供給される程度に調整する。このように、この便器洗浄装置は少ない水量の洗浄水で便器洗浄を良好に行うことができる。
【0013】
前記送水機構は前記第1リム洗浄時の前記給水切替機構に送水する洗浄水の流量を前記給水源から前記タンクに供給される洗浄水の流量よりも多くし得る。この場合、タンクに供給される洗浄水の給水源の給水圧が低くても、送水機構によって給水切替機構に送水する洗浄水の流量を多くして、リム吐水口から洗浄水を勢いよく吐水することができる。これによって、この便器洗浄装置は、リム通水路の終端部まで洗浄水を送り、便鉢部の表面全体に洗浄水を供給することができ、便器洗浄を良好に行うことができる。
【0014】
前記タンク、前記送水機構、及び前記給水切替機構を介さずに前記給水源から前記リム吐水口に洗浄水を供給する第2給水路を備え、
前記ジェット洗浄を実行した後に、前記第2給水路を介して前記給水源から洗浄水を前記リム吐水口に供給し、このリム吐水口から洗浄水を吐水する第2リム洗浄を実行し得る。この場合、第2リム洗浄は給水源の給水圧によってリム吐水口から洗浄水を吐水し、便鉢部に洗浄水を貯留して覆水することができる。覆水は便器排水路から排水されてしまわないように便鉢部に所定水量の洗浄水を貯留すればよい。このため、給水源の給水圧が低くても第2給水路を介して便鉢部に洗浄水を供給して覆水することができる。
【0015】
前記送水機構は前記ジェット洗浄の終了時に前記給水切替機構に送水する洗浄水の流量を減少し得る。この場合、ジェット吐水口から吐水する洗浄水の流量が少なくなるため、ジェット吐水口から吐水された洗浄水の水勢が弱まり、便器排水路から洗浄水が排水されずに便鉢部に残留して覆水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1の便器洗浄装置を備えた便器本体を示す概略図である。
【図2】実施例1の便器洗浄装置を示す概略図である。
【図3】実施例1の便器洗浄装置において、A1はポンプから第1三方弁に送水する洗浄水の流量変化を示し、Bは主給水路からタンクに供給される洗浄水の流量変化を示すグラフである。
【図4】実施例2の便器洗浄装置において、A2はポンプから第1三方弁に送水する洗浄水の流量変化を示し、Bは主給水路からタンクに供給される洗浄水の流量変化を示すグラフである。
【図5】実施例3の便器洗浄装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の便器洗浄装置を具体化した実施例1〜3を図面を参照しつつ説明する。
【0018】
<実施例1>
実施例1の便器洗浄装置は、図1及び図2に示すように、便器本体10に洗浄水を供給するものである。便器本体10は、便鉢部11、この便鉢部11の上端開口部の内周縁に設けたリム通水路12、及び便鉢部11の下端部から下流側に連続して設けた便器排水路13を有している。便器排水路13は、便鉢部11の後部の裏面に沿って上昇する上昇流路13Aと、上昇流路13Aの頂部から屈曲し、垂直下方に向けて延びる下降流路13Bとから構成されている。便器排水路13は下降流路13Bの下端開口部を連結具14の上端開口部内に水密状に挿通している。連結具14は下端開口部を便器本体10を設置した床面Fに引き出した図示しない排水管の流入口に水密状に連結している。
【0019】
便器本体10は、リム通水路12に洗浄水を吐水するリム吐水口15Aを有している。リム吐水口15Aはリムノズル15の先端部に形成されている。リムノズル15は、便器本体10内の左右一方側の後部からリム通水路12に向けてリム吐水口15Aから洗浄水を吐水するように配置されている。このため、リム吐水口15Aから吐水された洗浄水は、リム通水路12を一方向に流れつつ、便鉢部11の下方に流れ落ち、便鉢部11内に旋回流を形成する。
【0020】
便器本体10は、便器排水路13の下流側に向けて洗浄水を吐水するジェット吐水口16Aを有している。ジェット吐水口16Aはジェットノズル16の先端部に形成されている。ジェットノズル16は、便器排水路13の上昇流路13Aの下端部に上昇流路13Aに沿って洗浄水を吐水するように取り付けられている。このため、ジェット吐水口16Aから吐水された洗浄水は、上昇流路13Aに沿って、便器排水路13内を流れ、汚物等を搬送しつつ、便器排水路13内にサイホン作用を発生させる。
【0021】
また、便器本体10は、便鉢部11の上端面に図示しない便座及び便蓋を取り付けている。
【0022】
便器洗浄装置は、リム吐水口15A及びジェット吐水口16Aに洗浄水を供給する第1給水路であるリム給水路20R、ジェット給水路20J、及び上流側給水路21を備えている。リム給水路20Rの下流端はリムノズル15に連通している。ジェット給水路20Jの下流端はジェットノズル16に連通している。
【0023】
便器洗浄装置は第1給水路に設けられた給水切替機構である第1三方弁30を備えている。この第1三方弁30は、1つの流入口30Aと2つの流出口30R、30Jを有しており、洗浄水の供給先を2方向に切り替えるものである。第1三方弁30の一方の流出口30Rはリム給水路20Rの上流端に連通しており、他方の流出口30Jはジェット給水路20Jの上流端に連通している。第1三方弁30の流入口30Aは上流側給水路21の下流端が連通している。第1三方弁30は、便器洗浄を行う際、先ず、一方の流出口30Rからリム給水路20Rに洗浄水を流出する。そして、設定時間経過後に、第1三方弁30は他方の流出口30Jからジェット給水路20Jに洗浄水が流出するように切り替える。
【0024】
便器洗浄装置は、上流側給水路21の上流端に連通し、洗浄水を貯留するタンク50を備えている。タンク50は給水源である水道管に連通した主給水路51から洗浄水が供給される。タンク50は便器本体10の側面に囲まれた空洞部内に配置される。主給水路51には開閉弁52が設けられている。開閉弁52は、便器洗浄を開始すると開弁し、タンク50内に設定水量を供給すると閉弁する。
【0025】
便器洗浄装置は上流側給水路21に連結した送水機構であるポンプ40を備えている。このポンプ40は回転数を制御することができる。このため、ポンプ40から送水される洗浄水は流量を適宜変更することができる。
【0026】
次に、このように構成された便器洗浄装置を利用した便器洗浄工程を説明する。
【0027】
[第1リム洗浄]
便器本体10の使用者が用便をした後等に図示しない便器洗浄装置のリモコンを操作して便器洗浄を開始する。すると、開閉弁52が開弁し、ポンプ40が設定した回転数R1で駆動する。この際、第1三方弁30は一方の流出口30Rからリム給水路20Rに洗浄水を流出するように切り替えられている。このため、ポンプ40から第1三方弁30に流量S1で洗浄水が送水される。この洗浄水は第1三方弁30を経由してリム吐水口15Aから流量S1で吐水される。このようにして、第1リム洗浄が実行される。図3の波線A1で示したグラフはポンプ40から第1三方弁30に送水する洗浄水の流量変化であり、図3の実線Bで示したグラフは給水源の水道管に連通した主給水路51からタンク50に供給される洗浄水の流量変化である。
【0028】
第1リム洗浄の実行に際し、図3に示すように、水道水の流動圧が低く、主給水路51からタンク50に供給される洗浄水の流量S4が少なくても、ポンプ40の回転数を制御して、ポンプ40から第1三方弁30に送水する洗浄水の流量S1を主給水路51からタンク50に供給される洗浄水の流量S4よりも多くすることができる。このため、第1リム洗浄時にリム吐水口15Aから吐水した洗浄水は、リム通水路12の終端部まで送られ、便鉢部11の表面全体に供給することができる。これにより、便鉢部11の表面に付着した汚物等を確実に洗い落とすことができ、便器洗浄を良好に行うことができる。
【0029】
[ジェット洗浄]
便器洗浄を開始してt1時間を経過すると、第1三方弁30は他方の流出口30Jからジェット給水路20Jに洗浄水を流出するように切り替わる。さらに、ポンプ40が設定した回転数R2で駆動する。これによって、ポンプ40から第1三方弁30に流量S2で洗浄水が送水される。この洗浄水は第1三方弁30を経由してジェット吐水口16Aから流量S2で吐水される。このようにして、ジェット洗浄が実行される。
【0030】
ジェット吐水口16Aから吐水される洗浄水の流量S2は、第1リム洗浄の際にリム吐水口15Aから吐水される洗浄水の流量S1よりも多い。このように、ジェット吐水口16Aから吐水される洗浄水の流量S2を多くすることによって、その水勢で便器排水路13内の汚物等を良好に搬送することができる。また、便器排水路13内にサイホン作用を発生させることができる。このように、この便器洗浄装置は、リム吐水口15A及びジェット吐水口16Aから吐水する洗浄水の流量を調整して、少ない水量の洗浄水で最も効率的に便器洗浄を行うことができる。
【0031】
したがって、実施例1の便器洗浄装置は少ない水量の洗浄水で便器洗浄を良好に行うことができる。
【0032】
[第2リム洗浄]
便器洗浄を開始してt2時間を経過すると、第1三方弁30が一方の流出口30Rからリム給水路20Rに洗浄水を流出するように切り替わる。さらに、ポンプ40が設定した回転数R3で駆動する。このため、ポンプ40から第1三方弁30に流量R3で洗浄水が送水される。この洗浄水は第1三方弁30を経由してリム吐水口15Aから流量S3で吐水される。このようにして、第2リム洗浄が実行される。
【0033】
便器洗浄を開始してt3時間を経過すると、ポンプ40が停止し、ポンプ40から第1三方弁30への洗浄水の送水が停止して第2リム洗浄が終了し、便器洗浄が終了する。第2リム洗浄の際に便鉢部11に供給された洗浄水によって、便鉢部11に所定水量の洗浄水が貯留され、覆水することができる。
【0034】
便器洗浄を開始してt4時間を経過すると、開閉弁52が閉弁する。これによって、タンク50内に設定した水量の洗浄水を貯留することができ、便器洗浄装置は次の便器洗浄を行うことができる待機状態になる。
【0035】
<実施例2>
実施例2の便器洗浄装置は、第1リム洗浄及びジェット洗浄を実行した後に第2リム洗浄を実行しないで便器洗浄を終了する点で実施例1と異なる。他の構成は実施例1と同じであり、実施例1と同一の構成については同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0036】
実施例2の便器洗浄装置は、図4に示すように、ジェット洗浄の終了時(便器洗浄を開始してt5時間を経過後)、ポンプ40の回転数を設定した回転数R5に減少して駆動する。これによって、ポンプ40から第1三方弁30に流量S5で洗浄水が送水される。この洗浄水は第1三方弁30を経由してジェット吐水口16Aから洗浄水が流量S5で吐水される。このように、ジェット吐水口16Aから吐水される洗浄水の水勢が弱まるため、便器排水路13から洗浄水が排水されずに便鉢部11に残留して覆水することができる。
【0037】
<実施例3>
実施例3の便器洗浄装置は、第1リム洗浄及びジェット洗浄を実行した後に実行する第2リム洗浄が、タンク50、送水機構(ポンプ40)、及び給水切替機構(第1三方弁30)を介さずに第2給水路を介して給水源からリム吐水口15Aに洗浄水を供給する点で実施例1と異なる。他の構成は実施例1と同じであり、実施例1と同一の構成については同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0038】
実施例3の便器洗浄装置は、図5に示すように、給水源である水道管に連通した主給水路51であって、開閉弁52の下流側、かつタンク50の上流側に第2三方弁60を備えている。この第2三方弁60は、1つの流入口60Aと2つの流出口60R、50Tを有しており、洗浄水の供給先を2方向に切り替えるものである。第2三方弁60の一方の流出口50Rはリム給水路20Rの中間部に連通する第2給水路53の上流端に連通しており、他方の流出口60Tはタンク50に連通する主給水路51に連通している。第2給水路53は洗浄水が下流側から上流側に逆流しないように逆止弁54を設けている。
【0039】
このように構成された便器洗浄装置では、第1リム洗浄、及びジェット洗浄を実行する際には、第2三方弁60は他方の流出口60Tから主給水路51を介してタンク50に洗浄水が流出するように切り替えられている。このため、この便器洗浄装置は、実施例1と同様に、第1リム洗浄、及びジェット洗浄が実行される。
【0040】
この便器洗浄装置は、ジェット洗浄を実行した後、第2三方弁60が一方の流出口60Rから第2給水路53に洗浄水が流出するように切り替わる。このため、この便器洗浄装置では、第2リム洗浄は水道水の給水圧によってリム吐水口15Aから洗浄水が吐水される。覆水は便器排水路13から排水されてしまわないように便鉢部11に所定水量の洗浄水を貯留すればよい。このため、水道水の給水圧が低くても第2給水路53を介して便鉢部11に洗浄水を供給して覆水することができる。
【0041】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1〜3では、第1三方弁によってポンプから送水される洗浄水の給水先を切り替えていたが、他の給水切替機構であってもよい。例えば、上流側給水路をリム側給水路とジェット側給水路に分岐し、リム側給水路及びジェット側給水路の夫々に開閉弁を設け、これら開閉弁の開閉を制御することにより洗浄水の給水先を切り替えてもよい。
(2)実施例1〜3では、第1リム洗浄の際、ポンプの回転数を一定にして、リム吐水口から吐水される洗浄水の流量を一定にするようにしたが、第1リム洗浄の間でポンプの回転数を変更してもよい。
(3)実施例1〜3では、タンクを便器本体の側面に囲まれた空洞部内に配置したが、便器本体の外側に配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は水洗式便器に利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
10…便器本体
11…便鉢部
12…リム通水路
13…便器排水路
15A…リム吐水口
16A…ジェット吐水口
20R、20J、21…第1給水路(20R…リム給水路、20J…ジェット給水路、21…上流側給水路)
30…第1三方弁(給水切替機構)
40…ポンプ(送水機構)
50…タンク
53…第2給水路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便鉢部、この便鉢部の上端開口部の内周縁に設けたリム通水路、このリム通水路に洗浄水を吐水するリム吐水口、前記便鉢部の下流側に連続して設けた便器排水路、及びこの便器排水路の下流側に向けて洗浄水を吐水するジェット吐水口を有する便器本体に洗浄水を供給する便器洗浄装置であって、
前記リム吐水口及び前記ジェット吐水口へ洗浄水を供給する第1給水路と、
この第1給水路に設け、前記リム吐水口及び前記ジェット吐水口から洗浄水を吐水して便器洗浄を行う際、先ず前記リム吐水口から洗浄水を吐水する第1リム洗浄を実行し、その後に連続して前記ジェット吐水口から洗浄水を吐水するジェット洗浄を実行するように給水先を切り替える給水切替機構と、
この給水切替機構の上流側の前記第1給水路に連通し、給水源から供給される洗浄水を貯留するタンクと、
このタンク内に貯留した洗浄水を前記給水切替機構へ送水し、その際に送水する洗浄水の流量を変更することができる送水機構とを備えていることを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項2】
前記送水機構は前記第1リム洗浄時と前記ジェット洗浄時とで前記給水切替機構に送水する洗浄水の流量を変更することを特徴とする請求項1記載の便器洗浄装置。
【請求項3】
前記送水機構は前記第1リム洗浄時より前記ジェット洗浄時の方が前記給水切替機構に送水する洗浄水の流量を多くすることを特徴とする請求項1又は2記載の便器洗浄装置。
【請求項4】
前記送水機構は前記第1リム洗浄時の前記給水切替機構に送水する洗浄水の流量を前記給水源から前記タンクに供給される洗浄水の流量よりも多くすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の便器洗浄装置。
【請求項5】
前記給水切替機構、前記タンク及び前記送水機構を介さずに前記給水源から前記リム吐水口に洗浄水を供給する第2給水路を備え、
前記ジェット洗浄を実行した後に、前記第2給水路を介して前記給水源から洗浄水を前記リム吐水口に供給し、このリム吐水口から洗浄水を吐水する第2リム洗浄を実行することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の便器洗浄装置。
【請求項6】
前記送水機構は前記ジェット洗浄の終了時に前記給水切替機構に送水する洗浄水の流量を減少することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の便器洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−140822(P2012−140822A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−696(P2011−696)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】