説明

便器用便座

【課題】 簡易な構成で使い勝手の良い便器用便座を提供しようとする。
【解決手段】
従来の便器用便座にかわって、上部に旋回用水平面を設けられ上から見て略真ん中に排泄物を通過させるに必要な形状の固定部貫通穴を設けられた盤状の部材である固定盤と該固定盤を腰掛式大便器のリムの上面に旋回不能に取り付ける固定盤取付機器とを有する便座固定部と、上部に人間を座らせる座面を設けられ上から見て略真ん中に排泄物を通過させるに必要な形状の旋回部切欠きを設けられた盤状の部材である旋回盤と該旋回盤の下面に該旋回部切欠きを囲う様に各々に配置され前記旋回用水平面の上を転動可能な複数のローラとを有する便座旋回部と、前記旋回盤を仮想の旋回垂直軸の周りに旋回可能に案内する旋回案内部と、を備えたものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰掛式大便器に取付可能な便器用便座に係る。特に、人が座るのを容易にする構造に特徴のあある便器用便座に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に腰掛式大便器には便座が設けられる。
人は、腰掛式大便器に背に向けて便座に座り用を足す。
腰掛式大便器が狭い場所にある場合、または人がハンデキャップを持っている場合、人が腰掛式大便器を背に向けて座りにくい場合がある。
【0003】
【特許文献1】特開平7−204125号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、簡易な構成で使い勝手の良い便器用便座を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る腰掛式大便器に取付可能な便器用便座を、上部に旋回用水平面を設けられ上から見て略真ん中に排泄物を通過させるに必要な形状の固定部貫通穴を設けられた盤状の部材である固定盤と該固定盤を腰掛式大便器のリムの上面に旋回不能に取り付ける固定盤取付機器とを有する便座固定部と、上部に人間を座らせる座面を設けられ上から見て略真ん中に排泄物を通過させるに必要な形状の旋回部切欠きを設けられた盤状の部材である旋回盤と該旋回盤の下面に該旋回部切欠きを囲う様に各々に配置され前記旋回用水平面の上を転動可能な複数のローラとを有する便座旋回部と、前記旋回盤を仮想の旋回垂直軸の周りに旋回可能に案内する旋回案内部と、を備えたものとした。
【0006】
上記本発明の構成により、固定盤が、上部に旋回用水平面を設けられ上から見て略真ん中に排泄物を通過させるに必要な形状の固定部貫通穴を設けられた盤状の部材である。固定盤取付機器が、該固定盤を腰掛式大便器のリムの上面に旋回不能に取り付ける。旋回盤が、上部に人間を座らせる座面を設けられ上から見て略真ん中に排泄物を通過させるに必要な形状の旋回部切欠きを設けられた盤状の部材である。複数のローラが、該旋回盤の下面に該旋回部切欠きを囲う様に配置され前記旋回用水平面の上を転動可能である。旋回案内部が、前記旋回盤を仮想の旋回垂直軸の周りに旋回可能に案内する。
その結果、前記旋回盤が腰掛式大便器のリムの上面に旋回不能に取り付けられた固定盤の上面を案内面として旋回でき、人は好みの向きでで旋回盤の座面に座ったり降りたりして、腰掛式大便器を利用できる。
【0007】
以下に、本発明のいくつかの実施形態を説明する。本発明は、以下に記載の実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組合わされた態様を含む。
【0008】
本発明の実施形態に係る便器用便座は、前記旋回盤の旋回を抑制するロック状態と前記旋回盤の旋回を許すアンロック状態の間で姿勢を変化させる前記旋回ロック・アンロック部を、備える。
上記実施形態の構成により、前記旋回盤の旋回を抑制するロック状態と前記旋回盤の旋回を許すアンロック状態の間で姿勢を変化できる。
その結果、旋回盤の旋回を抑制した状態で便座に座りまた降りることをでき、旋回盤を希望の向きに旋回させることをできる。
【0009】
本発明の実施形態に係る便器用便座は、前記旋回ロック・アンロック部が前記旋回盤に押付けられる制動面を設けられたブレーキバッドと該ブレーキパッドをロック状態とアンロック状態の間で移動させるブレーキパッド移動機器とを有し、前記ロック状態が前記制動面を前記旋回盤に押付けた状態であって、前記アンロック状態が前記制動面を前記旋回盤から離間させた状態である、
上記実施形態の構成により、ブレーキバッドが、前記旋回盤に押付けられる制動面を設けられる。ブレーキパッド移動機器が、該ブレーキパッドをロック状態とアンロック状態の間で移動させる。前記ロック状態で前記制動面を前記旋回盤に押付ける。前記アンロック状態で前記制動面を前記旋回盤から離間させる。
その結果、前記制動面を前記旋回盤に押付けて旋回盤の旋回を抑制し、前記制動面を前記旋回盤から離間させて旋回盤の旋回を許すことをできる。
【0010】
本発明の実施形態に係る便器用便座は、前記ブレーキパッドが前記制動面に前記旋回垂直軸を仮想中心として半径方向に所定のピッチ角度θ毎に隣り合った複数の仮想半径線を交互に山線または谷線とし水平から見てジグザグ状の歯面を設けられ、前記旋回盤が前記制動面を押付けられる面に前記制動面に設けられた前記歯面に嵌まり合うことをできる水平から見てジグザグ状の歯面を設けられる。
上記実施形態の構成により、前記ブレーキパッドの前記制動面に前記旋回垂直軸を仮想中心として半径方向に所定のピッチ角度θ毎に隣り合った複数の仮想半径線を交互に山線または谷線とし水平から見てジグザグ状の歯面を設けられる。前記旋回盤の前記制動面を押付けられる面に前記制動面に設けられた前記歯面に嵌まり合うことをできる水平から見てジグザグ状の歯面を設けられる。
その結果、ロック状態で旋回盤に設けられたジグザグ状の歯面とブレーキパッドに設けられたジグザグ状の歯面が嵌まり合い、旋回盤の旋回が抑制される。
【0011】
さらに、本発明の実施形態に係る便器用便座は、前記制動面が前記旋回盤の下面に押付けられ、前記前回ロック・アンロック部が、前記ブレーキバッドを上方に所定の付勢力で付勢させる弾性ばね構造を有する。
上記実施形態の構成により、前記制動面が前記旋回盤の下面に押付けられる。弾性ばね構造が前記ブレーキバッドを上方に所定の付勢力で付勢させる。
その結果、人が旋回盤に座ると、人の重みが旋回盤に作用し、制動面の歯面と前記旋回盤の歯面とがしっかり嵌まり合う。
【0012】
さらに、本発明の実施形態に係る便器用便座は、前記ブレーキバッド移動機構が前記付勢力に逆らって前記ブレーキパッドを下方に引っ張ることをできるワイヤ機構を持つ。
上記実施形態の構成により、ワイヤ機構が、前記付勢力に逆らって前記ブレーキパッドを下方に引っ張ることをできる。
その結果、前記ワイヤ機構を用いて前記ブレーキパッドを下方に引っ張ると、制動面を前記制動面を前記旋回盤から離間させてアンロック状態にできる。
【0013】
さらに、本発明の実施形態に係る便器用便座は、前記旋回案内部が、前記便座固定部の腰掛式大便器を使用する人の背面の側に前記旋回垂直軸から所定距離Xだけ離れた位置に左右方向に離間して垂直に立った1対のガイド用シャフトと該ガイド用シャフトに回転自在に各々に支持された1対の軸受けローラとを有し、前記旋回盤が、前記旋回垂直軸を中心とした半径Xの円弧に沿って設けられた長尺のガイド部を設けられ、1対の前記軸受けローラが前記ガイド部に嵌まり合う。
上記実施形態の構成により、1対のガイド用シャフトが、前記便座固定部の腰掛式大便器を使用する人の背面の側に前記旋回垂直軸から所定距離Xだけ離れた位置に左右方向に離間して垂直に立つ。1対の軸受けローラが、該ガイド用シャフトに回転自在に各々に支持される。1対の前記軸受けローラが前記ガイド部に嵌まり合う
その結果、旋回盤は、前記ガイド部を前記便座固定部に起立した1対のガイド用シャフトに支持された記軸受けローラにガイドされて。前記旋回垂直軸を中心として旋回できる。
【0014】
さらに、本発明の実施形態に係る便器用便座は、前記ブレーキバッドが前記ガイド用シャフトに上下方向に移動自在に案内される。
上記実施形態の構成により、前記ガイド用シャフトが前記ブレーキバッドを上下方向に移動自在に案内される。
その結果、前記ガイド用シャフトが前記軸受けローラと前記ブレーキパッドの支持機構を兼用するので、便座を小型化でき、人が腰掛式大便器を利用するのを邪魔しない。
【0015】
さらに、本発明の実施形態に係る便器用便座は、前記旋回案内部が、前記便座旋回部の腰掛式大便器を使用する人の背面の側に前記旋回垂直軸から所定距離Xだけ離れた位置に左右方向に離間して垂直に立った1対のガイド用シャフトと該ガイド用シャフトに回転自在に各々に支持された1対の軸受けローラとを有し、前記固定盤が、前記旋回垂直軸を中心とした半径Xの円弧に沿って設けられた長尺のガイド部を設けられ、1対の前記軸受けローラが前記ガイド部に嵌まり合う。
本実施形態の構成により、1対のガイド用シャフトが、前記便座旋回部の腰掛式大便器を使用する人の背面の側に前記旋回垂直軸から所定距離Xだけ離れた位置に左右方向に離間して垂直に立つ。1対の軸受けローラが、該ガイド用シャフトに回転自在に各々に支持される。1対の前記軸受けローラが前記ガイド部に嵌まり合う
その結果、旋回盤は、前記便座旋回部に起立した1対のガイド用シャフトに支持された記軸受けローラを前記ガイド部にガイドされて。前記旋回垂直軸を中心として旋回できる。
【0016】
さらに、本発明の実施形態に係る便器用便座は、前記固定盤取付機器が、前記固定盤を前後方向に水平移動自在に案内する直動ガイドを含む前後案内機構または前記固定盤を左右方向に水平移動自在に案内する直動ガイドを含む左右案内機構のうちの一方または両方を持つ。
上記実施形態の構成により、前記固定盤取付機器が、前後案内機構または左右案内機構のうちの一方または両方を持つ。前記前後案内機構が前記固定盤を前後方向に水平移動自在に案内する直動ガイドを含む。前記左右案内機構が前記固定盤を左右方向に水平移動自在に案内する直動ガイドを含む。
その結果、旋回盤が前後方向または左右方向に水平移動可能になり、人は好みの向きと位置とで旋回盤の座面に座ったり降りたりして、腰掛式大便器を利用できる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明に係る便器用前座は、その構成により、以下の効果を有する。
腰掛式大便器のリムに固定盤を取付け、旋回盤の下面に固定したローラを固定盤の旋回用水平面に転動させ、旋回盤を旋回垂直軸の周りに旋回する様にしたので、前記旋回盤が腰掛式大便器のリムの上面に旋回不能に取り付けられた固定盤の上面を案内面として旋回でき、人は好みの向きで旋回盤の座面に座ったり降りたりして、腰掛式大便器を利用できる。
また、前記旋回盤の旋回を抑制するロック状態と前記旋回盤の旋回を許すアンロック状態の間で姿勢を変化できる様にしたので、旋回盤の旋回を抑制した状態で便座に座りまた降りることをでき、旋回盤を希望の向きに旋回させることをできる。
また、ブレーキバッドに前記旋回盤に押付ける制動面を設け、ブレーキパッド移動機器が、前記制動面を前記旋回盤に押付け、または前記制動面を前記旋回盤から離間させることをできる様にしたので、前記制動面を前記旋回盤に押付けて旋回盤の旋回を抑制し、前記制動面を前記旋回盤から離間させて旋回盤の旋回を許すことをできる。
また、前記制動面に前記旋回垂直軸を仮想中心として半径方向に所定のピッチ角度θ毎に隣り合った複数の仮想半径線を交互に山線または谷線とし水平から見てジグザグ状の歯面を設け、前記旋回盤の前記制動面を押付けられる面に前記制動面に設けられた前記歯面に嵌まり合うことをできる水平から見てジグザグ状の歯面を設ける様にしたので、ロック状態で旋回盤に設けられたジグザグ状の歯面とブレーキパッドに設けられたジグザグ状の歯面が嵌まり合い、旋回盤の旋回が抑制される。
また、前記制動面を前記旋回盤の下面に押付け、前記ブレーキバッドを上方に所定の付勢力で付勢させる様にしたので、人が旋回盤に座ると、人の重みが旋回盤に作用し、制動面の歯面と前記旋回盤の歯面とがしっかり嵌まり合う。
また、ワイヤ機構で、前記付勢力に逆らって前記ブレーキパッドを下方に引っ張れる様にしたので、前記ワイヤ機構を用いて前記ブレーキパッドを下方に引っ張ると、制動面を前記制動面を前記旋回盤から離間させてアンロック状態にできる。
また、旋回盤を旋回させるために、1対の軸受ローラを1対のガイド用シャフトに回転自在に支持させ、その1対のガイド用シャフトを前記便座固定部の腰掛式大便器を使用する人の背面の側の前記旋回垂直軸から所定距離Xだけ離れた位置に水平方向に離間して垂直に立て、1対の前記軸受けローラを前記ガイド部に嵌まり合わせる様にしたので、旋回盤は、前記ガイド部を前記便座固定部に起立した1対のガイド用シャフトに支持された記軸受けローラにガイドされて。前記旋回垂直軸を中心として旋回できる。
また、前記ガイド用シャフトで前記ブレーキバッドを上下方向に移動自在に案内する様にしたので、前記ガイド用シャフトが前記軸受けローラと前記ブレーキパッドの支持機構を兼用するので、便座を小型化でき、人が腰掛式大便器を利用するのを邪魔しない。
また、旋回盤を旋回させるために、1対の軸受ローラを1対のガイド用シャフトに回転自在に支持させ、その1対のガイド用シャフトを前記便座旋回部の腰掛式大便器を使用する人の背面の側の前記旋回垂直軸から所定距離Xだけ離れた位置に水平方向に離間して垂直に立て、1対の前記軸受けローラを前記ガイド部に嵌まり合わせる様にしたので、旋回盤は、前記便座旋回部に起立した1対のガイド用シャフトに支持された記軸受けローラを前記ガイド部にガイドされて、前記旋回垂直軸を中心として旋回できる。
また、固定盤を前後方向に水平移動可能に案内し、また固定盤を左右方向に水平移動可能に案内したので、旋回盤が前後方向または左右方向に水平移動可能になり、人は好みの向きと位置とで旋回盤の座面に座ったり降りたりして、腰掛式大便器を利用できる。
従って、簡易な構成で使い勝手の良い便器用便座を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
最初に、第一の実施形態に係る便器用便座を説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る便器用便座の正面図である。図2は、本発明の第一の実施形態に係る便器用便座の側面図である。図3は、本発明の第一の実施形態に係る便器用便座の平面図である。図4は、本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のA−A矢視図である。図5は、本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のB−B矢視図である。図6は、本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のC−C断面図である。図7は、本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のD−D断面図その1である。図8は、本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のE−E断面図その1である。図9は、本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のF−F断面図その1である。図10は、本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のD−D断面図その2である。図11は、本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のE−E断面図その2である。図12は、本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のF−F断面図その2である。
以下、説明の便宜のために、人が座った場合に背中の向いた側を背面の側、人の前側を前側と呼称する。
【0019】
便器用便座は、腰掛式大便器10に取付可能な便座である。
腰掛式大便器10は、人が腰掛けて用を足すためのものである。
便座は、腰掛式大便器10のリム11に設けられ、人が腰掛けるためのものである。
【0020】
便器用便座は、便座固定部100と便座旋回部200と旋回案内部300と旋回ロック・アンロック部400とで構成される。
【0021】
便座固定部100は、腰掛式大便器10に支持され、便座旋回部200を支持するものである。
便座固定部100は、固定盤110と固定盤取付機器120とで構成される。
固定盤110は、上部に旋回用水平面Lを設けられ上から見て略真ん中に排泄物を通過させるに必要な形状の固定部貫通穴Jを設けられた盤状の部材である。
例えば、固定盤110は、上部に旋回用水平面Lを設けられ上から見て腰掛式大便器10のリム11の内のり形状に略一致する形状をもった固定部貫通穴Jを設けられた盤状の部材である。
固定盤110は、背面の側を固定盤取付機器120に固定される。
固定盤110の背部には、後述する旋回案内部300と旋回ロック・アンロック部と設置するための空隙が設けられる。
【0022】
固定盤取付機器120は、固定盤110を腰掛式大便器10のリム11の上面に旋回不能に取り付ける機器である。
固定盤取付機器120は、取付機器ベース121と取付機器カバー122と取付機器軸123とで構成される、
図4は、便座旋回部200と取付機器カバー122とを取り外した状態の平面図を示している。
取付機器ベース121は、固定盤取付機器120の基礎部材であり、便器用便座10のリムの背部に設けられた1対の穴を利用して、便器用便座10に取り付けられる。
取付機器カバー122は、取付機器ベース121の上部を覆う部材である。
取付機器カバー122は、後述する旋回案内部300と旋回ロック・アンロック部を視界から遮っている。
取付機器軸123は、 固定盤110を取付機器ベース121にとりつける部材である。
例えば、取付機器軸123は、固定盤110の背部と取付機器ベース121とを貫通する。
【0023】
便座旋回部200は、便座固定部100の旋回用水平面Lの上を仮想の旋回垂直軸Cを回転中心として旋回するものである。
旋回垂直軸Cは、上から見てリム11の内のり形状の略真ん中を通る仮想の垂直軸である。
便座旋回部200は、旋回盤210と複数のローラ220と1対の取っ手230とで構成される。
旋回盤210は、上部に人間を座らせる座面を設けられ、上から見て略真ん中に排泄物を通過させるに必要な形状の旋回部切欠きHを設けられた盤状の部材である。
例えば、旋回部切欠きHは、従来の便座に設けられる長穴または長穴の前部が切り欠かれた形状の一方の形状をしている。
旋回盤210は、後述する制動面S1を押付けられる面に制動面S1に設けられた歯面に嵌まり合うことをできる水平から見てジグザグ状の歯面を設けられる。
以下、説明の便宜のために、旋回盤210の制動面S1を押付けられる面を被制動面S2と呼称する。
旋回盤210は、旋回垂直軸Cを中心とした半径Xの円弧に沿って設けられた長尺のガイド部Gを設けられる。
例えば、旋回盤210は、旋回垂直軸Cを中心とした半径Xの円弧に沿って設けられた長穴のガイド部Gを設けられる。
【0024】
旋回盤210は、旋回盤本体211とブレーキシュー212とで構成される。
ブレーキシュー212は、扇状の形状をした板部材であって、上記の被制動面S2を形成するために別部品として製造され、旋回盤本体211にはめ込まれる。
例えば、ブレーキシュー212は、旋回盤本体211の下面に嵌め込まれる。
扇状の形状の外周の曲率半径と内周の曲率半径の平均寸法が、半径Xに略等しい。
ブレーキシュー212は、旋回垂直軸Cを仮想中心として半径方向に所定のピッチ角度θ毎に離れて隣り合った複数の仮想半径線を山線または谷線とし水平から見てジグザグ状の歯面を設けられる。
ブレーキシュー212の円周方向に沿った長さは、ガイド部Gの円周方向に沿った長さよりも長い。ガイド部Gは、ブレーキシュー212の輪郭をはみ出さない様に、旋回盤210に設けられる。
【0025】
ローラ220は、旋回盤210の下面に旋回部切欠きHを囲う様に各々に固定され、旋回用水平面Lの上を転動可能な機械要素である。
例えば、ローラ220は、球体と球体を回転中心点で回転可能に保持する保持具でできている。
複数のローラ220は、球体の下側の一部が露出する様に、旋回盤210の下面に埋め込まれる。
図5は、8個のローラ220が旋回盤210の下面に埋め込まれるのを示している。
図5では、4個のローラ220が旋回垂直軸Cから半径R2の円弧状に配置され、4個のローラ220が旋回垂直軸Cから半径R1の円弧状に配置され、全てのローラ220が円周方向に所定の間隔で配されている。
旋回盤210が固定盤110の上を旋回するときに、全てのローラのうちの旋回盤210に作用する人の重心を囲うように少なくとも3個以上のローラ220が、旋回用水平面Lの上を転動する。
【0026】
取っ手230は、旋回盤210の上面の左右に固定される。
旋回盤210が後部に左右に扇状に張りだした張りだし部をもち、1対の取っ手230が、張りだし部に固定される。
人が便座旋回部200に座った際に、取っ手230を握ると体を安定させることができる。
【0027】
旋回案内部300は、旋回盤210を仮想の旋回垂直軸Cの周りに旋回可能に案内するものである。
旋回案内部300は、1対のガイド用シャフト310と1対の軸受けローラ320とセンターロック部材330で構成される。
ガイド用シャフト310は、便座固定部100の腰掛式大便器10を使用する人の背面の側に旋回垂直軸Cから所定距離Xだけ離れた位置に左右方向に離間して垂直に立った軸状部材である。
1対のガイド用シャフト310は、左右方向に離間して位置し、下端を取付機器べース121の下部に固定される。
軸受けローラ320は、ガイド用シャフト310に回転自在に各々に支持されローラである。
例えば、軸受けローラ320は回転軸を垂直にした円筒ローラである。
1対の軸受けローラ320がガイド部Gに嵌まり合う。
ガイド部Gの円弧中心が旋回垂直軸Cに一致しているので、1対の軸受けローラ320がガイド部Gを案内し、便座旋回部200が旋回垂直軸Cを旋回中心として旋回できる。
【0028】
センターロック部材330は、便座旋回部200の旋回を所定の旋回位置でロックする部材である。
例えば、所定の旋回位置は、人が腰掛式大便器で用を足す際に最も適当な位置である。通常は、所定の旋回位置は、固定部貫通穴Jの左右対称線と旋回部切欠きHの左右対称線とが一致する位置である。
例えば、センターロック部材330は、旋回盤210の面に所定の付勢力で押付けられる先端が球状の部材である。
便座旋回部200が所定の旋回位置に位置するときにセンターロック部材330の先端が嵌り込む浅い窪みDが旋回盤210に設けられる。
図9は、センターロック部材330が、旋回盤210の背面に設けられた浅い窪みDに嵌り込んでいるのを示している。
窪みDが浅いので、旋回盤210を所定の力で旋回させようとすると、センターロック部材330は窪みDから外れる。
【0029】
旋回ロック・アンロック部400は、ロック状態とアンロック状態の間で姿勢を変化させるものである。
ロック状態は旋回盤210の旋回を抑制する状態であり、アンロック状態は旋回盤210の旋回を許す状態である。
図7〜9は、ロック状態を示す。
図10〜12は、アンロック状態を示す。
【0030】
旋回ロック・アンロック部400は、ブレーキパッド410とブレーキパッド移動機器420と弾性ばね構造430とを備える。
ブレーキパッド410は、旋回盤210に押付けられる制動面S1を設けられるものである。
ブレーキパッド移動機器420は、ブレーキパッド410をロック状態とアンロック状態の間で移動させる機器である。
ロック状態が制動面S1を旋回盤210の被制動面S2に押付けた状態であって、アンロック状態が制動面S1を旋回盤210の被制動面S2から離間させた状態である。
弾性ばね構造340は、ブレーキバッド410を上方に所定の付勢力で付勢させる機械要素である。
【0031】
ブレーキパッド410は、制動面S1に旋回垂直軸Cを仮想中心として半径方向に所定のピッチ角度θ毎に離れて隣り合った複数の仮想半径線を交互に山線または谷線とし水平から見てジグザグ状の歯面を設けられる。
ロック状態で、ブレーキパッド410の制動面S1に設けられた歯面と旋回盤210の被制動面S2に設けられた歯面とがかみあう。
アンロック状態で、ブレーキパッド410の制動面S1に設けられた歯面と旋回盤210の被制動面S2に設けられた歯面とが離間する。
【0032】
ブレーキバッド410がガイド用シャフト310に上下方向に移動自在に案内されてもよい。
例えば、ブレーキパッド410はブレーキパッド本体411と1対のリニアブッシュ412とで構成される。
リニアブッシュ412はシャフトに直線方向に移動自在に案内される機械要素である。
1対のリニアブッシュ412がブレーキパッド本体411に設けられた垂直穴に固定される。
1対のリニアブッシュ412が1対のガイド用シャフト310に上下方向に移動自在に案内される
【0033】
ブレーキパッド移動機器420は、付勢力に逆らってブレーキパッドを下方に引っ張ることをできるワイヤ機構を持ってもよい。
例えば、ブレーキパッド移動機器420は、後述する弾性ばね構造430の付勢力に逆らってブレーキパッド410を下方に引っ張ることをできるワイヤ機構を持ってもよい。
ワイヤ機構がブレーキパッド410を下方に引っ張らないと、ブレーキパッド410の制動面S1に設けられた歯面と旋回盤210の被制動面S2に設けられた歯面とがかみあい、ロック状態を維持し、旋回盤210の旋回を抑制する。
ワイヤ機構がブレーキパッド410を下方に引っ張ると、ブレーキパッド410の制動面S1に設けられた歯面と旋回盤210の被制動面S2に設けられた歯面とが離間し、ロック状態を維持し、旋回盤210の旋回を許す。
【0034】
例えば、ブレーキパッド移動機器420は、ロック部材421とベース部材422とリンク部材423とクランク部材424とワイヤケーブル425と遠隔ハンドル426で構成される。
ロック部材421は、ブレーキパッド410に固定され、リンク部材423の上端を回転自在に連結される部材である。
ベース部材422は、ブレーキパッド410の下方に固定され、クランク部材424の回転中心を回転自在に支持する部材である。
リンク部材423は、ロック部材421とクランク部材424の略水平になったレバーの先端部とを各々に回転自在に連結する部材である。
クランク部材424は、2つのレバーを逆L字状の形状をした部材であって、レバーの交差部を回転中心とし、略水平に延ばしたレバーの先端をリンク部材423の下端に回転自在に連結し、略下方の延ばした延ばしたレバーの先端をワイヤーケーブル425に連結する。ワイヤーケーブル425を引っ張ると、クランク部材424が回転軸まわりに揺動する。
遠隔ハンドル426は、ハンドルを握るとワイヤーケーブル425を引っ張る機器である。
遠隔ハンドル426のハンドルを自由にすると、ブレーキパッド410の制動面S1に設けられた歯面と旋回盤210の被制動面S2に設けられた歯面とがかみあい、ロック状態を維持し、旋回盤210の旋回を抑制する。
遠隔ハンドル426のハンドルを握ると、ワイヤーケーブル425が引っ張られ、クランク部材424が揺動してリンク部材423を下方に引っ張り、リンク部材423がブレーキパッド410を下方に引っ張る。ブレーキパッド410の制動面S1に設けられた歯面と旋回盤210の被制動面S2に設けられた歯面とが離間し、ロック状態を維持し、旋回盤210の旋回を許す。
【0035】
弾性ばね構造430は、ブレーキバッド410を上方に所定の付勢力で付勢させる構造である。
例えば、弾性ばね構造426はガイド用シャフト310をガイドとしてリニアブッシュ412の下に設けられる圧縮スプリングである。
【0036】
以下に、本発明の第一の実施形態にかかる便器用便座の作用を、図を基に、説明する。
図13は、本発明の第一の実施形態に係る便器用便座の作用説明図その1である。図14は、本発明の第一の実施形態に係る便器用便座の作用説明図その2である。
図13は、固定部貫通穴Jの線対称中心線と旋回部切欠きの線対称中心線が一致した状状態である。
この状態で、人は便器用便座に座って、用を足すことをできる。
遠隔ハンドル426を握らないと、便座旋回部200の旋回が抑制される。
遠隔ハンドル426を握ると、便座旋回部200の旋回が許され、図14の示す状態に旋回することができる。
図14は、固定部貫通穴Jの線対称中心線と旋回部切欠きの線対称中心線が一致しない状態である。
便座旋回部200が旋回中心軸Cの周りの所定の旋回位置で停止している。
人は容易に便器用便座に座ったり、立ち上がったりできる向きに便座旋回部200を向けることができる。
また、ハンデキャップを持った人が便器用便座に座る際に、介護者が作業しやすい向きに便座旋回部200を向けることができる。
遠隔ハンドル426を握ると、人が便器用便座に座った便座旋回部200の旋回が許される。
便器用便座が図13の状態になると、センターロック部材330が旋回盤210に設けられた窪みDに嵌まるので、人は便器用便座が用を足すのに適正な向きに向いたことを知ることができる。
【0037】
次に、本発明の第二の実施形態に係る便器用便座を、図を基に、説明する。
図15は、本発明の第二の実施形態に係る便器用便座の斜視図である。図16は、本発明の第二の実施形態に係る便器用便座の解体説明図その1である。図17は、本発明の第二の実施形態に係る便器用便座の解体説明図その2である。
【0038】
本発明の第二の実施形態に係る便器用便座は、便座固定部100と便座旋回部200と旋回案内部300と旋回ロック・アンロック部400とで構成される。
以下、第一の実施形態に係る便器用便座と同じ箇所は説明を省略し、異なる点を説明する。
【0039】
便座固定部100は、固定盤110と固定盤取付機器120とで構成される。
固定盤110の主要構造は、第一の実施形態に係る便器用便座と同じなので、異なる点のみを説明する。
固定盤110は、旋回垂直軸Cを中心とした半径Xの円弧に沿って設けられた長尺のガイド部Gを設けられる。
例えば、固定盤110は、旋回垂直軸Cを中心とした半径Xの円弧に沿って設けられた長穴のガイド部Gを設けられる。
センターロック部材330が、固定盤110の上面に設けられる。
【0040】
固定盤取付機器120は、固定盤110を腰掛式大便器10のリム11の上面に旋回不能に取り付ける機器である。
例えば、固定盤取付機器120は、左右案内機器130と前後案内機器140とで構成される。
図16は、便器用便座を分解し、上下方向に配置した様子を示している。
【0041】
左右案内機器130は、左右案内盤131と1対の左右直動ガイド132と左右移動ロック・アンロック機構133とで構成される。
左右案内盤131は、上から見て略真ん中に排泄物を通過させるに必要な形状の固定部貫通穴Jを設けられた盤状の部材である。
左右直動ガイド132は、左右案内盤131の上面に固定され、固定盤110を左右方向に水平移動自在に案内する直動ガイドである。
左右移動ロック・アンロック機構133は、固定盤110の左右方向の水平移動を抑制するロック状態と固定盤110の左右方向の水平移動を許すアンロック状態との間で姿勢を変化させる機構である。
左右移動ロック・アンロック機構133は、左右移動ブレーキパッドと左右移動ブレーキパッド移動機構とで構成される。
左右移動ブレーキパッドは固定盤110に押付けられる制動面を持つ。
左右移動ブレーキパッドの制動面は、前後方向に延び左右方向に所定のピッチで平行に並んだ複数の線を交互に山線と谷線とする水平方向から見てギザギザの歯面を設けられる。
固定盤110は、左右移動ブレーキパッドの制動面を押付けられる面に制動面の歯面に嵌まりあう歯面を設けられる。
左右移動ブレーキパッド移動機構は左右移動ブレーキパッドをロック状態とアンロック状態の間で姿勢を移動させる機器である。
左右移動ブレーキパッド移動機構の構造は、第一の実施形態にかかる便器用便座のブレーキパッド移動機構と同じなので、説明を省略する。
ロック状態は制動面を固定盤110に押付けた状態である。
アンロック状態は制動面を固定盤110から離間させた状態である。
図16は、左右移動ブレーキパッド移動機器133の姿勢がアンロック状態であるのを示している。
【0042】
前後案内機器140は、前後案内盤141と1対の前後直動ガイド142と前後移動ロック・アンロック機構143とで構成される。
前後案内盤141は、上から見て略真ん中に排泄物を通過させるに必要な形状の固定部貫通穴Jを設けられた盤状の部材である。
前後案内盤141は、下部を便器10のリム11に固定される。
前後直動ガイド142は、前後案内盤131の上面に固定され、左右案内機器130を前後方向に水平移動自在に案内する直動ガイドである。
前後移動ロック・アンロック機構143は、左右案内盤130の前後方向の水平移動を抑制するロック状態と左右案内盤130の前後方向の水平移動を許すアンロック状態との間で姿勢を変化させる機構である。
前後移動ロック・アンロック機構143は、前後移動ブレーキパッドと前後移動ブレーキパッド移動機構とで構成される。
前後移動ブレーキパッドは左右案内盤131に押付けられる制動面を持つ。
前後移動ブレーキパッドの制動面は、左右方向に延び前後方向に所定のピッチで平行に並んだ複数の線を交互に山線と谷線とする水平方向から見てギザギザの歯面を設けられる。
水平案内盤131は、前後移動ブレーキパッドの制動面を押付けられる面に制動面の歯面に嵌まりあう歯面を設けられる。
前後移動ブレーキパッド移動機構は前後移動ブレーキパッドをロック状態とアンロック状態の間で姿勢を移動させる機構である。
前後移動ブレーキパッド移動機構の構造は、第一の実施形態にかかる便器用便座のブレーキパッド移動機構と同じなので、説明を省略する。
ロック状態は制動面を左右案内盤131に押付けた状態である。
アンロック状態は制動面を左右案内盤131から離間させた状態である。
図16は、前後移動ブレーキパッド移動機器143の姿勢がアンロック状態であるのを示している。
【0043】
便座旋回部200は、便座固定部100の旋回用水平面Lの上を仮想の旋回垂直軸Cを回転中心として旋回するものである。
便座旋回部200の主要な構造は、第一の実施形態に係る便器用便座のものと同じなので、説明を省略する。
図17は、便座旋回部220の下面を示した図である。
【0044】
旋回案内部300は、旋回盤210を仮想の旋回垂直軸Cの周りに旋回可能に案内するものである。
旋回案内部300は、1対のガイド用シャフト310と1対の軸受けローラ320とセンターロック部材330で構成される。
ガイド用シャフト310は、旋回盤210の下面の腰掛式大便器10を使用する人の背面の側に旋回垂直軸Cから所定距離Xだけ離れた位置に左右方向に離間して垂直に立った軸状部材である。
1対のガイド用シャフト310は、左右方向に離間して位置し、下端を旋回盤210の下面に固定される。
軸受けローラ320は、ガイド用シャフト310に回転自在に各々に支持されローラである。
例えば、軸受けローラ320は回転軸を垂直にした円筒ローラである。
1対の軸受けローラ320が固定盤110に設けられたガイド部Gに嵌まり合う。
ガイド部Gの円弧中心が旋回垂直軸Cに一致しているので、1対の軸受けローラ320がガイド部Gを案内され、便座旋回部200が旋回垂直軸Cを旋回中心として旋回できる。
センターロック部材330が、固定盤110の上面に設けられる。
旋回盤210の線対象軸が固定盤110の線対象軸に一致したときに、センターロック部材330は旋回盤210に設けられた窪みDに嵌まりあう。
旋回盤210を旋回させると、センターロック部材330は窪みDから外れる。
【0045】
旋回ロック・アンロック部400は、ロック状態とアンロック状態の間で姿勢を変化させるものである。
旋回ロック・アンロック部400は、固定盤110のガイド部Gと異なる位置に設けられる。
例えば、旋回ロック・アンロック部400は、固定盤110のガイド部Gの位置より後方の位置に設けられる。
【0046】
旋回ロック・アンロック部400は、ブレーキパッド410とブレーキパッド移動機器420と弾性ばね構造430とを備える。
旋回ロック・アンロック部400は、ブレーキパッド410の配置される位置とブレーキパッド410を上下方向に移動自在に案内するガイド軸が別途に設けられる他は、第一の実施形態にかかる便器用便座のものと同じなので、説明を省略する。
【0047】
第二の実施形態にかかる便器用便座の作用は、旋回盤210が旋回の他に左右方向と左右方向とに水平移動できる他は、第一の実施形態に係る便器用便座と同じなので、説明を省略する。
【0048】
上述の実施形態の便器用便座を用いれば、以下の効果を発揮する。
腰掛式大便器10のリム11に固定盤110を取付け、旋回盤210の下面に固定したローラ220を固定盤110の旋回用水平面Lに転動させ、旋回盤210を旋回垂直軸Cの周りに旋回する様にしたので、旋回盤210が腰掛式大便器10のリム11の上面に旋回不能に取り付けられた固定盤110の上面を案内面として旋回でき、人は好みの向きで旋回盤210の座面に座ったり降りたりして、腰掛式大便器10を利用できる。
また、旋回盤210の旋回を抑制するロック状態と旋回盤21の旋回を許すアンロック状態の間で姿勢を変化できる様にしたので、旋回盤210の旋回を抑制した状態で便座に座りまた降りることをでき、旋回盤を210希望の向きに旋回させることをできる。
また、ブレーキバッド410に旋回盤210に押付ける制動面を設け、
ブレーキパッド移動機器420が、制動面S1を旋回盤210の被制動面S2に押付け、または制動面S1を旋回盤210の被制動面S2から離間させることを選択的にできる様にしたので、制動面S1を旋回盤210の被制動面S2に押付けて旋回盤210の旋回を抑制し、制動面S1を旋回盤210の被制動面S2から離間させて旋回盤210の旋回を許すことをできる。
また、制動面S1に旋回垂直軸Cを仮想中心として半径方向に所定のピッチ角度θ毎に隣り合った複数の仮想半径線を山線または谷線とし水平から見てジグザグ状の歯面を設け、旋回盤210の制動面S1を押付けられる面である被制動面S2に旋回垂直軸Cを仮想中心として半径方向に所定のピッチ角度θ毎に隣り合った複数の仮想半径線を山線または谷線とし水平から見てジグザグ状の歯面を設けて、被制動面S2に制動面S1に設けられた歯面に嵌まり合うことをできる歯面を設ける様にしたので、ロック状態で旋回盤210の被制動面S2に設けられたジグザグ状の歯面とブレーキパッド410の制動面1に設けられたジグザグ状の歯面が嵌まり合い、旋回盤210の旋回が抑制される。
また、制動面S1を旋回盤210の被制動面S2の下面に押付け、ブレーキバッド410を上方に所定の付勢力で付勢させる様にしたので、人が旋回盤に座ると、人の重みが旋回盤210に作用し、制動面S1の歯面と被制動面S2の歯面とがしっかり嵌まり合う。
また、ワイヤケーブル425で、リンク機構を動かして、付勢力に逆らってブレーキパッド410を下方に引っ張れる様にし、弾性ばね構造430で、ブレーキバッド410を上方に付勢したので、ワイヤケーブル425を引っ張ると、制動面S1を旋回盤210の被制動面S2から離間させてアンロック状態にできる。
また、旋回盤210を旋回させるために、1対の軸受ローラ320を1対のガイド用シャフト310に回転自在に支持させ、その1対のガイド用シャフト310を便座固定部100の背面の側に旋回垂直軸Cから所定距離Xだけ離れた位置に水平方向に離間して垂直に立て、1対の軸受けローラ320をガイド部Gに嵌まり合わせる様にしたので、旋回盤210は、ガイド部Gを便座固定部100に起立した1対のガイド用シャフト310に支持された軸受けローラ320にガイドされて、旋回垂直軸Cを中心として旋回でき、軸受けローラ320が人の背面の側にあるので、人が腰掛式大便器を利用するのを邪魔しない。
また、ガイド用シャフト310でブレーキバッド410を上下方向に移動自在に案内する様にしたので、ガイド用シャフト310が軸受けローラ320とブレーキパッド410の支持機構を兼用するので、便座を小型化でき、人が腰掛式大便器を利用するのを邪魔しない。
また、遠隔ハンドル426でワイヤケーブル425を引っ張り、ロック状態からアンロック状態に変化させる様にしたので、旋回盤210の旋回位置を遠隔で選定できる。
また、旋回盤210を旋回させるために、1対の軸受ローラ320を1対のガイド用シャフト310に回転自在に支持させ、その1対のガイド用シャフト310を便座旋回部200の腰掛式大便器を使用する人の背面の側の旋回垂直軸Cから所定距離Xだけ離れた位置に水平方向に離間して垂直に立て、1対の軸受けローラ320をガイド部Gに嵌まり合わせる様にしたので、旋回盤210は、便座旋回部200に起立した1対のガイド用シャフト310に支持された受けローラ320をガイド部Gにガイドされて、旋回垂直軸Cを中心として旋回できる。
また、固定盤110を前後方向に水平移動可能に案内し、さらに固定盤110を左右方向に水平移動可能に案内したので、旋回盤210が前後方向または左右方向に水平移動可能になり、人は好みの向きと位置とで旋回盤の座面に座ったり降りたりして、腰掛式大便器を利用できる。
【0049】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
ガイド部Gが長穴であるとして説明したがこれに限定されず、例えば、ガイド部を旋回盤210の下面に溝状のものであってもよい。
ローラ220を球の形式であるとして説明したがこれに限定されず、例えば、ローラ220を円筒の形式であってもよい。
また、遠隔ハンドル426を手で握る形式で説明したがこれに限定されず、例えば、遠隔ハンドル426を足で踏む形式であってもよい。
また、旋回盤210の後部が左右に張りだした形状であることを説明したが、これに限定されず、旋回盤210の左右の外周形状と固定盤110の左右の外周形状とが略一致していてもよい。
また、取っ手230が旋回盤210の上面に設けられるとして説明したがこれに限定されず、例えば、取っ手230が旋回盤210の側面に設けられていてもよい。
また、遠隔ハンドル426の作用を説明するのに、レバーを握るとアンロック状態になり、レバーを離すとロック状態になるとして説明したがこれに限定されず、例えば、レバーにラッチ機構を設けてもよい。この様にすれば、レバーを握った後離しても、ロック状態またはアンロック状態を保持でき、再度レバーを握ると、状態が変化する。
また、旋回、または左右移動、前後移動するのを電動にしてもよい。例えば、旋回を電動にするのに、軸受けろーラ320を電動により回転駆動してもよい。
また、ロック・アンロック機構を電動にしてもよい。
また、便座固定部100を腰掛式大便器のリムに固定する例で説明したがこれに限定されず、例えば、取付機器軸123を回転軸として便座固定部100と便座旋回部200とが上下方向に揺動してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る便器用便座の正面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る便器用便座の側面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る便器用便座の平面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のA−A矢視図である。
【図5】本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のB−B矢視図である。
【図6】本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のC−C断面図である。
【図7】本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のD−D断面図その1である。
【図8】本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のE−E断面図その1である。
【図9】本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のF−F断面図その1である。
【図10】本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のD−D断面図その2である。
【図11】本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のE−E断面図その2である。
【図12】本発明の第一の実施形態に係る便器用便座のF−F断面図その2である。
【図13】本発明の第一の実施形態に係る便器用便座の作用説明図その1である。
【図14】本発明の第一の実施形態に係る便器用便座の作用説明図その2である。
【図15】本発明の第二の実施形態に係る便器用便座の斜視図である。
【図16】本発明の第二の実施形態に係る便器用便座の解体説明図その1である。
【図17】本発明の第二の実施形態に係る便器用便座の解体説明図その2である。
【符号の説明】
【0051】
C 旋回垂直軸
D 窪み
J 固定部貫通穴
H 旋回部切欠き
L 旋回水平面
S1 制動面
S2 被制動面
G ガイド部
θ ピッチ角度
100 便座固定部
110 固定盤
120 固定盤取付機器
121 取付機器べース
122 取付機器カバー
123 取付機器軸
130 左右案内機構
131 左右案内盤
132 左右直動ガイド
133 左右移動ロック・アンロック機構
140 前後案内機構
141 前後案内盤
142 前後直動ガイド
143 前後移動ロック・アンロック機構
200 便座旋回部
210 旋回盤
211 旋回盤本体
212 ブレーキシュー
220 ローラ
230 取っ手
300 旋回案内部
310 ガイド用シャフト
320 軸受けローラ
330 センターロック部材
400 旋回ロック・アンロック部
410 ブレーキパッド
411 ブレーキパッド本体
412 リニアブッシュ
420 ブレーキパッド移動機器
421 ロック部材
422 ベース部材
423 リンク部材
424 クランク部材
425 ワイヤケーブル
426 遠隔ハンドル
430 弾性ばね構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰掛式大便器に取付可能な便器用便座であって、
上部に旋回用水平面を設けられ上から見て略真ん中に排泄物を通過させるに必要な形状の固定部貫通穴を設けられた盤状の部材である固定盤と該固定盤を腰掛式大便器のリムの上面に旋回不能に取り付ける固定盤取付機器とを有する便座固定部と、
上部に人間を座らせる座面を設けられ上から見て略真ん中に排泄物を通過させるに必要な形状の旋回部切欠きを設けられた盤状の部材である旋回盤と該旋回盤の下面に該旋回部切欠きを囲う様に配置され前記旋回用水平面の上を転動可能な複数のローラとを有する便座旋回部と、
前記旋回盤を仮想の旋回垂直軸の周りに旋回可能に案内する旋回案内部と、
を備えたことを特徴とする便器用前座
【請求項2】
前記旋回盤の旋回を抑制するロック状態と前記旋回盤の旋回を許すアンロック状態の間で姿勢を変化させる前記旋回ロック・アンロック部を、
備えることを特徴とする請求項1に記載の便器用便座
【請求項3】
前記旋回ロック・アンロック部が前記旋回盤に押付けられる制動面を設けられたブレーキバッドと該ブレーキパッドをロック状態とアンロック状態の間で移動させるブレーキパッド移動機器とを有し、
前記ロック状態が前記制動面を前記旋回盤に押付けた状態であって、
前記アンロック状態が前記制動面を前記旋回盤から離間させた状態である、
ことを特徴とする請求項2に記載の便器用便座。
【請求項4】
前記ブレーキパッドが前記制動面に前記旋回垂直軸を仮想中心として半径方向に所定のピッチ角度θ毎に離れて隣り合った複数の仮想半径線を交互に山線または谷線とし水平から見てジグザグ状の歯面を設けられ、
前記旋回盤が前記制動面を押付けられる面に前記制動面に設けられた前記歯面に嵌まり合うことをできる水平から見てジグザグ状の歯面を設けられる、
ことを特徴とする請求項3に記載の便器用便座。
【請求項5】
前記制動面が前記旋回盤の下面に押付けられ、
前記ロック・アンロック部が、前記ブレーキバッドを上方に所定の付勢力で付勢させる弾性ばね構造を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の便器用便座。
【請求項6】
前記ブレーキバッド移動機構が前記付勢力に逆らって前記ブレーキパッドを下方に引っ張ることをできるワイヤ機構を持つ、
ことを特徴とする請求項5に記載の便器用便座。
【請求項7】
前記旋回案内部が、前記便座固定部の腰掛式大便器を使用する人の背面の側に前記旋回垂直軸から所定距離Xだけ離れた位置に左右方向に離間して垂直に立った1対のガイド用シャフトと該ガイド用シャフトに回転自在に各々に支持された1対の軸受けローラとを有し、
前記旋回盤が、前記旋回垂直軸を中心とした半径Xの円弧に沿って設けられた長尺のガイド部を設けられ、
1対の前記軸受けローラが前記ガイド部に嵌まり合う、
ことを特徴とする請求項6に記載の便器用便座
【請求項8】
前記ブレーキバッドが前記ガイド用シャフトに上下方向に移動自在に案内される、
ことを特徴とする請求項7に記載の便器用便座。
【請求項9】
前記旋回案内部が、前記便座旋回部の腰掛式大便器を使用する人の背面の側に前記旋回垂直軸から所定距離Xだけ離れた位置に左右方向に離間して垂直に立った1対のガイド用シャフトと該ガイド用シャフトに回転自在に各々に支持された1対の軸受けローラとを有し、
前記固定盤が、前記旋回垂直軸を中心とした半径Xの円弧に沿って設けられた長尺のガイド部を設けられ、
1対の前記軸受けローラが前記ガイド部に嵌まり合う、
ことを特徴とする請求項6に記載の便器用便座
【請求項10】
前記固定盤取付機器が、前記固定盤を前後方向に水平移動自在に案内する直動ガイドを含む前後案内機構または前記固定盤を左右方向に水平移動自在に案内する直動ガイドを含む左右案内機構のうちの一方または両方を持つ、
ことを特徴とする請求項1に記載の便器用便座。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2009−118923(P2009−118923A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293786(P2007−293786)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年10月25日〜26日 産業交流展2007実行委員会主催の「産業交流展2007」に出品
【出願人】(593227109)株式会社ミクロン・エンジニアリング (3)
【出願人】(504082036)ヒューテック株式会社 (3)
【出願人】(307042167)株式会社渡辺製作所 (3)
【出願人】(307042156)東京メディカル・ケア株式会社 (3)
【Fターム(参考)】