説明

便器装置

【課題】 排泄された大便の重量が小さくても大便の重量を簡便かつ正確に計量することが可能な便器装置を提供する。
【解決手段】 便器装置10には、便器11内に排出される大便の重量を測定する計重器12が配置され、計重器12の受け皿26は、大便の重量測定時にその表面を水平に保ち、不使用時には一側を基準にして回動して下向きとなって、受け皿26は、その全部又は主要部が便器11下部の溜水35内に浸漬しており、計重器12には使用時に零点調整を行う信号入力手段、計量した大便の量を出力する信号出力手段、及び信号出力手段の出力を受けてその測定量を表示する表示器34を便器11外に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄した大便の重量を計測する便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洋式便器のトラップ部に重量検出装置を設けて、トラップ部に大便が受容された際の重量変化から排泄された大便の重量を計量する排泄量測定装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、洋式便器の基部前方に近接させて重量測定装置を配置し、排泄の前後に測定した体重の変化から排泄された大便の重量を求めるトイレ減量体重計が提案されている(例えば、特許文献2参照)。更に、洋式便器の便座内に圧力センサを設け、排泄の前後の圧力センサからの信号値の変化から排泄された大便の重量を求める便座装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−299348号公報
【特許文献2】特開平11−271136号公報
【特許文献3】特開2000−254042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、水を貯留した状態のトラップ部の重量が計量可能な重量検出装置を使用しているため、排泄された大便の重量が水を貯留した状態のトラップ部の重量に比較して軽過ぎると、トラップ部の重量変化が小さく、計量誤差が大きくなるという問題がある。
また、特許文献2及び3に記載された発明では、大便の排泄前後の体重の変化量から大便の重量を求めるため、排泄された大便の重量が体重に比較して軽過ぎる場合は体重の重量変化が小さく、特許文献1に記載された発明の場合よりも計量誤差が大きくなるという問題がある。更に、特許文献2に記載された発明では、体重を測定する際、必ず便座から腰を浮かす必要があるため、測定が煩わしくなるという問題も生じる。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、排泄された大便の重量が小さくても大便の重量を簡便かつ正確に計量することが可能な便器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る便器装置は、便器内に、この便器の使用時に排出される大便の重量を測定する計重器を配置している。
【0007】
第2の発明に係る便器装置は、洋式便器の便座下部に設けられた第1の計重器と、
前記洋式便器の前側床面に設けられた第2の計重器と、
スタート信号と完了信号によって前記第1及び第2の計重器で測定された合計重さの差分を表示する制御手段とを有している。
【0008】
第3の発明に係る便器装置は、和式便器の両側に設けられた第1及び第2の計重器と、
スタート信号及び完了信号によって前記第1及び第2の計重器で測定された合計重さの差分を表示する制御手段とを有している。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明に係る便器装置においては、便器内に大便の重量を測定する計重器を配置するので、排泄された大便の重量を直接測定することができ、排泄された大便の重量が小さくても大便の重量を簡便かつ正確に計量することが可能になる。
特に、大便を載せて測定する計重器の受け皿を大便測定時にその表面を水平に保つ場合は、受け皿に載置された大便が滑落するのを防止でき、排泄された大便の重量を確実に測定することが可能になる。また、受け皿を計重器の不使用時に一側を基準にして回動して下向きとする場合は、受け皿に載置された大便を受け皿から溜水中に滑落させることができ、大便を容易に便器内から排出することが可能になる。
【0010】
便器が洋式便器であって、計重器の不使用時には受け皿の全部又は主要部が便器下部の溜水内に浸漬される場合は、大便の重量測定が終了すると大便を便器下部の溜水内に浸漬することができ、便器から大便を容易に排出することができる。また、使用後の受け皿に付着した大便を便器内の溜水中に分散させることができ、受け皿の表面を清浄な状態に保持することが容易になると共に、小便の排泄時に支障がないようにできる。
便器が洋式便器であって、大便を載せて測定する計重器の受け皿が便器内を昇降し、計重器の使用時には受け皿が便器内の溜水の上に位置する場合は、大便が便器内の溜水中に分散するのを防止でき、大便の重量を正確に測定することができる。また、常時(測定を行わないときに)受け皿を便器内の溜水内に水没させる場合は、計重器の使用後の受け皿に付着した大便を便器内の溜水中に分散させることができ、受け皿の表面を清浄な状態に保持することが容易になると共に、小便の排泄時に支障がないようにできる。
【0011】
便器が和式便器であって、便受け部の底面に、受け皿を有する計重器が設けられている場合は、排泄された大便を受け皿上に載置することができ、排泄された大便の重量を正確に計量することが可能になる。
また、受け皿が便器内を昇降し、常時は便受け部の底部と実質同一平面となって、使用時に便受け部の底部から上昇する場合は、大便の重量を測定する際は排泄された大便を確実に受け皿で保持することができ、大便の重量を正確に測定することが可能になると共に、重量測定後は大便を便器から容易に排出することが可能になる。
【0012】
更に、計重器に、使用時に零点調整を行う信号入力手段が設けられている場合は、受け皿に大便が付着していても排泄された大便の重量を正確に測定することが可能になる。
計重器に、計量した大便の量を出力する信号出力手段が設けられている場合は、例えば、記録計を設けることにより大便の排泄量の経時変化を記録することができ、記録を確認することで健康状態の変化を容易に把握することが可能になる。
信号出力手段の出力を受けてその測定量を表示する表示器が便器外に備えられている場合は、排泄された大便の重量を直ちに知ることができ、その場で健康状態を確認することが可能になる。
【0013】
第2及び第3の発明に係る便器装置においては、体重を2つの計重器で支えながら測定することができ、各計重器の測定感度を向上させることが可能になる。その結果、排泄された大便の重量が体重に比較して軽くても、大便の排泄前後の体重の変化量を正確に求めることができ、大便の重量を正確に求めることが可能になる。
更に、計量開始を示すスタート信号及び計量終了を示す完了信号の出力時にそれぞれ測定を行って重量差を算出するので、洋式便器では便座に着座した状態で、和式便器ではしゃがんだままの状態で体重の変化を測定することができ、簡便に大便の重量を測定することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の第1の実施の形態に係る便器装置の側断面図、図2は同便器装置の平面図、図3は本発明の第2の実施の形態に係る便器装置の側断面図、図4は同便器装置の平面図、図5は本発明の第3の実施の形態に係る便器装置の側断面図、図6は同便器装置の平面図、図7は本発明の第4の実施の形態に係る便器装置の側面図、図8は本発明の第5の実施の形態に係る便器装置の側断面図、図9は同便器装置の平面図である。
【0015】
図1、図2に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る便器装置10は、便器の一例である洋式便器11と、洋式便器11内に設けられ使用時に排出される大便の重量を測定する計重器12を有している。以下これらについて、詳細に説明する。
洋式便器11は、リム通水路13が設けられた便鉢14と、便鉢14の下部の便鉢排出口15に連通して一体的に設けられた実質的にS字形状のトラップ部16と、トラップ部16の下流端部に連通して一体的に設けられたトラップ接続管17を有している。そして、トラップ接続管17の下流端部18は排出配管19に接続されている。また、便鉢14の背面側には、リム通水路13及び便鉢14内に洗浄水を供給する導水部20が、リム通水路口21及び便鉢口22に連通して形成され、導水部20の上流側には図示しない水タンクに直結する洗浄水流入口23が形成されている。
【0016】
計重器12は、排出される大便を受けてその重量を測定する計重部24と、計重部24を操作して大便の重量測定、測定値の表示、及び記録を行う操作部25を有している。
計重部24は、排出される大便を受ける受け皿26と、受け皿26の下部に当接して受け皿26を支持して大便の重量を測定する重量測定手段27と、重量測定手段27で支持される受け皿26の表面を使用時(大便の重量測定時)に水平に保ち、計重器12の不使用時には、受け皿26の一側(図1ではトラップ部16側)を基準にして回動させて下向きにする受け皿回動手段28を有している。
【0017】
ここで、重量測定手段27は、例えば、受け皿26を便鉢14の中央背面側の位置に保持して排泄される大便が容易に受け皿26内に受容されるように便鉢14内で受け皿26を支持する支持部材29と、支持部材29の表層部に設けられ受け皿26により支持部材29の表面に加えられる圧力を検知する圧力センサを備えた圧力検出器30を有している。また、受け皿回動手段28は、便鉢14の内側でその幅方向の中央部に設けられて支持部材29の一端側を片持ち状態で支えるアーム部材31と、一方側がアーム部材31の基側に固定され他方側が便鉢14の側壁を貫通して外部に突出する回動軸32と、回動軸32の他方側に接続され回動軸32を回動するモータ(図示せず)と、モータを収納する収納箱33を有している。
【0018】
操作部25は、重量測定手段27の圧力検出器30からの出力信号を受信して重量値に換算して重量信号を出力する機能を備えた信号出力手段(図示せず)と、計重器12の使用開始直後に圧力検出器30から信号出力手段に入力された出力信号を電気的にキャンセルして測定時の基準値を決定する零点調整を行う機能を備えた信号入力手段(図示せず)と、測定時に信号出力手段から出力される重量信号を受けてその重量値を表示する表示器34を備えている。なお、信号出力手段にはカレンダーと時計機能が設けられ、指定された重量値に対する重量信号を測定年月日及びユーザー識別記号と共に記録する記録部を備えている。
【0019】
更に、操作部25は、使用時に、アーム部材31を介して受け皿26の表面を便鉢14内の溜水35の水面よりも上方の位置に露出させて水平に保たれるように、不使用時(大便の重量測定を行わない時)には、アーム部材31を回動軸32を基準にして回動させて下向きにして受け皿26の全部が便鉢14内の溜水35内に浸漬されるように、回動軸32の回動操作信号をモータに向けて出力する機能を備えた回動操作手段(図示せず)を備えている。なお、圧力検出器30は、支持部材29、アーム部材31、及び回動軸32の各内部を通過して収納箱33から取り出された信号ケーブル36を介して操作部25の信号出力手段と接続しており、また、受け皿回動手段28に設けられたモータは操作部25の回動操作手段と操作信号ケーブル36aで接続されている。
【0020】
操作部25には、操作部25、圧力検出器30、及びモータへ電力を供給して測定待機状態にする電源入りスイッチ37と、操作部25、圧力検出器30、及びモータへの電力供給を停止する電源切りスイッチ38と、使用時に受け皿26の表面が便鉢14内の溜水35の水面よりも上方の位置で水平に保たれるように受け皿回動手段28を駆動すると共に、圧力検出器30の零点調整を行って測定を開始する測定開始スイッチ39が設けられている。また、操作部25には、表示器34に表示されている重量値をロックし、受け皿26の全部が便鉢14内の溜水35内に浸漬されるように受け皿回動手段28を駆動させる測定完了スイッチ40が設けられている。
【0021】
更に、操作部25には、ユーザー識別記号を指定して表示器34にロックされた重量値に相当する重量信号を測定年月日と共に信号出力手段の記録部に入力するデータ保存スイッチ41と、信号出力手段の記録部に保存されているデータを順次呼び出す再表示スイッチ42が設けられている。ここで、表示器34にロックされた重量値はタイマーにより、例えば、測定完了スイッチ40がオンされてから一定時間経過するとリセットされるように、あるいは、測定開始スイッチ39がオンされると強制的にリセットされるようにする。また、データ保存スイッチ41で指定するユーザー識別記号は予め信号出力手段に入力しておく。
【0022】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る便器装置10の使用方法について説明する。
先ず、洋式便器11に着座し、操作部25の電源入りスイッチ37をオンする。これによって、操作部25(信号入力手段、信号出力手段、及び表示器34)、圧力検出器30、及びモータへの電力の供給が開始され便器装置10は測定待機状態になる。なお、電源入りスイッチ37を常時オンの状態にしておいてもよい。この場合は、便座に着座した際の電源入りスイッチ37をオンする動作は不要になる。
次いで、測定開始スイッチ39をオンする。これによって、受け皿回動手段28が駆動して、便鉢14内の溜水35内に浸漬されている受け皿26が回動して溜水35の水面よりも上方の位置まで移動し、受け皿26の表面を溜水35から露出させて水平に保持する。そして、信号入力手段は圧力検出器30から信号出力手段に入力された出力信号値を検知し、この出力信号値を電気的にキャンセルするキャンセル信号を信号出力手段に入力して、信号出力手段から出力される出力信号の値を0とする零点調整を行う。その結果、表示器34に表示される数値は0となる。
【0023】
排泄された大便は、受け皿26に受容される。大便が受け皿26に受容されると、受け皿26全体としての重量は大便の重量分だけ増加するため、受け皿26の下面を支持する支持部材29の表面に加わる圧力が増加する。この圧力の上昇値は圧力検出器30で検知され、圧力検出器30からは圧力の上昇値を含んだ出力信号が信号出力手段に入力される。信号出力手段では入力された出力信号から大便の重量に相当する圧力変化を求め、この圧力変化量を重量値に換算して重量信号を表示器34に出力し、表示器34には重量値が表示される。ここで、大便の重量を正確に測定するには、受け皿26には大便のみが受容されるようにする必要がある。このため、誤って受け皿26内に小便が排泄された場合にも大便の重量測定が正しく行われるように、誤って受容された小便を排出させる孔を受け皿26の底部に複数個設けたり、受け皿26の底部を金網(例えば、網目間隔が1〜5mm)で構成するようにするのがよい。
【0024】
大便の排泄が終了すると、測定完了スイッチ40をオンする。測定完了スイッチ40がオンされると、その時点で表示器34に表示されていた重量値がロックされる。このため、表示器34の表示値から排泄された大便の重量を知ることができる。更に、受け皿回動手段28が駆動してアーム部材31が回動軸32を基準にして下向きになるように回動し、大便を受容している受け皿26が支持部材29と共に便鉢14内の溜水35内に浸漬される。これによって、受け皿26内に受容された大便を溜水35中に滑落させることができる。そして、洗浄水流入口23から導水部20に洗浄水を導きリム通水路口21及び便鉢口22を介してリム通水路13及び便鉢14に供給することにより、大便を小便と共に便鉢14の便鉢排出口15からトラップ部16及びトラップ接続管17を介して排出配管19に排出することができる。また、表示器34にロックされた重量値を保存する必要がある場合は、データ保存スイッチ41を操作して、ユーザー識別記号を指定し、表示器34にロックされた重量値に相当する重量信号を測定年月日及びユーザー識別記号と共に信号出力手段の記録部に入力する。
【0025】
測定完了後では、受け皿26を便鉢14内の溜水35中に浸漬状態としているので、使用後の受け皿26に付着した大便を便鉢14内の溜水35中に分散させることができ、受け皿26の表面を清浄な状態に保持することが容易になる。また、再表示スイッチ42をオンすると、信号出力手段の記録部に保存されているデータが順次呼び出され、測定年月日及びユーザー識別記号と共に表示器34に再表示される。これにより、以前の大便の排泄量を知ることができ、健康状態の確認を行うことができる。
なお、大便の排泄時に大便の重量測定を行わない場合や小便の排泄を行う場合では、測定開始スイッチ39の操作を行わない。このときは、受け皿26は便鉢14内の溜水35内に完全に浸漬している状態になっているので、通常の洋式便器と同一の方法で使用することができる。
【0026】
図3、図4に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る便器装置43は、第1の実施の形態に係る便器装置10と比較して、計重器44の計重部45の構成が異なっていることが特徴となっている。このため、第1の実施の形態に係る便器装置10と同一の構成部材については同一の符号を付し、計重部45についてのみ詳細に説明する。
計重部45は、排出される大便を受ける受け皿46と、受け皿46の下部に当接して設けられた重量測定手段47と、重量測定手段47を介して受け皿46の表面を大便の重量測定時に水平にして溜水35の水面より上に保持し、常時は受け皿46を溜水35内に水没させた状態で保持する受け皿昇降手段48を有している。
【0027】
重量測定手段47は、例えば、受け皿46を便鉢14の中央背面側の位置に保持して排泄される大便が容易に受け皿46内に受容されるように便鉢14内で受け皿46の下面を支持する支持部材49と、支持部材49の表層部に設けられ支持部材49の表面に加えられる圧力を検知する圧力センサを備えた圧力検出器50を有している。また、受け皿昇降手段48は、支持部材49の背面側中央に一端側が固定され他端側が便鉢14の底部をシール部材51を介して貫通して外部に突出する支持軸52と、支持軸52の他端部に接続され支持軸52を軸方向に進退させる、例えば、モータとギアで構成された進退機構(図示せず)と、進退機構を収納する収納箱53を有している。そして、収納箱53の側部にはつば部54が形成され、便鉢14の底部外側にシール部材51を囲うように設けられた取付け部材55の端部につば部54を当接させ、締結部材の一例であるねじ56を用いて固定している。
【0028】
なお、圧力検出器50は、支持部材49及び支持軸52の各内部を通過して収納箱53から取り出された信号ケーブル36を介して操作部25の信号出力手段と接続しており、受け皿昇降手段48に設けられたモータは操作部25の回動操作手段と操作信号ケーブル36aで接続されている。
また、本発明の第2の実施の形態に係る便器装置43の使用においては、第1の実施の形態に係る便器装置10と比較して、測定開始スイッチ39をオンした際に、受け皿昇降手段48が駆動して、便鉢14内の溜水35内に浸漬されている受け皿46が支持軸52により持ち上げられて溜水35の水面よりも上方の位置まで移動すること、及び、測定完了スイッチ40をオンした際に、受け皿昇降手段48が駆動して支持軸52が下降し大便を受容している受け皿46が支持部材49と共に便鉢14内の溜水35内に浸漬されることが異なるだけで、それ以外の動作は実質的に第1の実施の形態に係る便器装置10の場合と同一である。このため、第2の実施の形態に係る便器装置43の使用方法に関する説明は省略する。
【0029】
図5、図6に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る便器装置57は、上方側が開口した便受け部58と、便受け部58の一方側と連通し下部に排出口59が形成され上部にカバー部材60が設けられた排出部60aを備えた便器の一例である和式便器61を有している。更に、便器装置57は、和式便器61の便受け部58の底面に設けられ、大便の重量を測定する際に便受け部58の底部から上昇して排泄される大便を受容しその重量を検出し、常時は便受け部58の底部と実質同一平面となる受け皿62を備えた計重器63を有している。そして、便受け部58の他端側の中央部には便受け部58内に洗浄水を供給する導水口64が設けられ、導水口64には図示しない水タンクに直結する導水配管65が接続され、排出口59は排出配管66に接続されている。
【0030】
計重器63は、受け皿62を和式便器61の便受け部58内で昇降させると共に受容した大便の重量を検出する計重部67と、計重部67を操作して大便の重量測定、測定値の表示、及び記録を行う操作部68を有している。ここで、計重部67の構成は第2の実施の形態に係る便器装置43の計重部45と同一の構成とすることができ、操作部68は第1の実施の形態に係る便器装置10の計重部25と同一の構成とすることができる。このため、同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。なお、和式便器61を設置する際には、便受け部58の中間部の外側にピット69を形成し、このピット69内にシール部材51を囲うように設けられた取付け部材55を突出させ、この取付け部材55の端部にねじ56を介して収納箱53を固定する。
【0031】
また、本発明の第3の実施の形態に係る便器装置57の使用においては、第1の実施の形態に係る便器装置10と比較して、測定開始スイッチ39をオンした際に、受け皿昇降手段48が駆動して、便受け部58の底部と実質同一平面となっている受け皿62が支持軸52により持ち上げられて、便受け部58に貯留されている溜水の水面から受け皿62が露出する位置まで移動すること、及び、測定完了スイッチ40をオンした際に、受け皿昇降手段48が駆動して支持軸52が下降し大便を受容している受け皿62の上面が便受け部58の底部と実質同一平面となる位置まで下降することが異なるだけで、それ以外の動作は実質的に第1の実施の形態に係る便器装置10の場合と同一である。このため、第3の実施の形態に係る便器装置57の使用方法に関する説明は省略する。
なお、大便を便受け部58から排出部60aを介して排出するには、大便を受容している受け皿62の上面を便受け部58の底部と実質同一平面となる位置まで下降させてから行う。このとき、受け皿62を下降する際に受容している大便が受け皿62から滑落すると、大便が便受け部58の底面と受け皿62を支持する支持部材49の背面との間に巻き込まれることがある。このため、定期的に測定開始スイッチ39をオンして受け皿62を上昇させて便受け部58の底面と支持部材49の背面との間に隙間を設け、この状態で便受け部58に洗浄水を供給し、便受け部58の底面と支持部材49の背面を洗浄することが好ましい。
【0032】
図7に示すように、本発明の第4の実施の形態に係る便器装置70は、便器の一例である洋式便器71の便座72の下部に設けられた第1の計重器73と、洋式便器71の前側床面に設けられた第2の計重器74と、スタート信号によって第1及び第2の計重器73、74によって測定される測定開始時の各重量の合計重量を算出し、完了信号によって第1及び第2の計重器73、74によって測定される測定終了時の各重量の合計重量を算出して、測定開始時の合計重量と測定終了時の合計重量の差分を表示する制御手段75とを有している。以下これらについて詳細に説明する。
第1の計重器73は、洋式便器71の便座72の下部に取付けられた複数の圧力センサを備えた圧力検知部76と、人が便座72に着座した際に圧力検知部76により検知された圧力の変化から便座72にかかる重量を算出する機能を備えた第1の重量換算手段を有している。ここで、第1の重量換算手段は、例えば、便蓋77の取付け部78内に収納されている。また、第2の計重器74は、便座72に着座した人の足を載置する計測台79と、計測台79にかかる圧力を検出して重量を算出する機能を備えた第2の重量換算手段80を有している。
【0033】
制御手段75は、測定開始スイッチ81がオンされた際に出力される測定開始のスタート信号を受信した際に、第1及び第2の計重器73、74から信号ケーブル82、83を介して伝送されている各重量値をロックしその総和を求めて初期重量を記録する機能を備えた初期重量算出部と、測定完了スイッチ84がオンされた際に出力される測定完了の完了信号を受信した際に、第1及び第2の計重器73、74から信号ケーブル82、83を介して伝送されている各重量値をロックしその総和を求めて終期重量を求めて記録する機能を備えた終期重量算出部を有している。また、制御手段75は、終期重量の記録後に、初期重量と終期重量の差分を算出して表示器85に表示する機能を備えた差分表示部を有している。
【0034】
制御手段75には、第1、第2の計重器73、74、及び制御手段75へ電力を供給して測定待機状態にする電源入りスイッチ86と、第1、第2の計重器73、74、及び制御手段75への電力供給を停止する電源切りスイッチ87が設けられている。また、制御手段75には、カレンダーと時計機能が設けられ、更に、ユーザー識別記号を指定して表示器85に表示された重量を測定年月日と共に記録部に記録するデータ保存スイッチ88と、記録部に保存されているデータを順次呼び出す再表示スイッチ89が設けられている。ここで、表示器85に表示される重量値はタイマーにより、例えば、測定完了スイッチ84がオンされてから一定時間経過するとリセットされるように、あるいは、測定開始スイッチ81がオンされると強制的にリセットされるようにする。なお、データ保存スイッチ88で指定するユーザー識別記号は予め記録部に入力しておく。
【0035】
次に、本発明の第4の実施の形態に係る便器装置70の使用方法について説明する。
先ず、洋式便器71に着座し、制御手段75の電源入りスイッチ86をオンする。これによって、第1、第2の計重器73、74、及び制御手段75への電力の供給が開始され便器装置70は測定待機状態になる。なお、電源入りスイッチ86を常時オンの状態にしておいてもよい。この場合は、便座72に着座した際の電源入りスイッチ86をオンする動作は不要になる。
次いで、測定開始スイッチ81をオンする。これによって、初期重量算出部に対して測定開始のスタート信号が出力され、初期重量算出部ではスタート信号を受信した際に、第1及び第2の計重器73、74から信号ケーブル82、83を介して伝送されている各重量値をロックしその総和を求めて初期重量を記録する。そして、大便の排泄が終わって、測定完了スイッチ84がオンされると、終期重量算出部に対して完了信号が出力され、終期重量算出部では完了信号を受信した際に、第1及び第2の計重器73、74から信号ケーブル82、83を介して伝送されている各重量値をロックしその総和を求めて終期重量を求めて記録する。そして、初期重量及び終期重量は差分表示部に入力され、初期重量と終期重量の差分が算出されて表示器85に表示される。大便が排泄されると体重は排泄された大便の重量だけ軽くなるので、表示器85に表示される差分値が排泄された大便の重量となる。
【0036】
また、表示器85に表示された重量値を保存する必要がある場合は、データ保存スイッチ88を操作して、ユーザー識別記号を指定し、表示器85に表示された重量値を測定年月日及びユーザー識別記号と共に記録部に入力する。また、再表示スイッチ89をオンすると、記録部に保存されているデータが順次呼び出され、測定年月日及びユーザー識別記号と共に表示器85に再表示される。これにより、以前の大便の排泄量を知ることができ、健康状態の確認を行うことができる。なお、大便の排泄時に大便の重量測定を行わない場合や小便の排泄を行う場合では、測定開始スイッチ81の操作を行わない。
【0037】
図8、図9に示すように、本発明の第5の実施の形態に係る便器装置90は、便器の一例である和式便器91の両側に設けられた第1及び第2の計重器92、93と、
スタート信号によって第1及び第2の計重器92、93によって測定される測定開始時の各重量の合計重量を算出し、完了信号によって第1及び第2の計重器92、93によって測定される測定終了時の各重量の合計重量を算出して、測定開始時の合計重量と測定終了時の合計重量の差分を表示する制御手段94とを有している。以下これらについて詳細に説明する。
第1及び第2の計重器92、93は、和式便器91の便受け部95の両側に配置され、人が便受け部95を跨いでしゃがんだ際に足が載置される計測台96、97と、計測台96、97にかかる圧力をそれぞれ検出して重量を算出する機能を備えた重量換算手段98、99を有している。また、和式便器91の便受け部95の一方側の中央部には便受け部95内に洗浄水を供給する導水口100が設けられ、導水口100には図示しない水タンクに直結する導水配管101が接続されている。また、便受け部95の他方側は下部に排出口102が形成され上部にカバー部材103を備えた排出部103aと連通し、排出口102は排出配管104に接続されている。
【0038】
また、制御手段94の構成は、第4の実施の形態に係る便器装置70の制御手段75と同一の構成とすることができる。このため、同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。更に、制御手段94の構成は第4の実施の形態に係る便器装置70の制御手段75の構成と同一であるため、第5の実施の形態に係る便器装置90の使用方法は、第4の実施の形態に係る便器装置70の場合と同一である。このため、第5の実施の形態に係る便器装置90の使用方法に関する説明は省略する。
【0039】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の便器装置を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、第1の実施の形態では、不使用時に受け皿が全部溜水内に浸漬されるようにしたが、不使用時に受け皿の一側(アーム部材との連結側)が溜水の水面より上方に保持されるようにしてもよい。また、第2及び第3の実施の形態では、受け皿を昇降する支持軸の進退機構をモータとギアで構成したが、エア等の流体圧力で駆動するシリンダを使用することができる。
第3の実施の形態では、常時は、受け皿の上面が便受け部の底部と実質同一平面となるように設置したが、受け皿が支持部材と共に便受け部の底部と隙間を有して設置されるようにしてもよい。この場合は、支持部材の背面と便受け部の底面との間に洗浄水を流すことができ、支持部材の背面側に大便が付着するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る便器装置の側断面図である。
【図2】同便器装置の平面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る便器装置の側断面図である。
【図4】同便器装置の平面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る便器装置の側断面図である。
【図6】同便器装置の平面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る便器装置の側面図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る便器装置の側断面図である。
【図9】同便器装置の平面図である。
【符号の説明】
【0041】
10:便器装置、11:洋式便器、12:計重器、13:リム通水路、14:便鉢、15:便鉢排出口、16:トラップ部、17:トラップ接続管、18:下流端部、19:排出配管、20:導水部、21:リム通水路口、22:便鉢口、23:洗浄水流入口、24:計重部、25:操作部、26:受け皿、27:重量測定手段、28:受け皿回動手段、29:支持部材、30:圧力検出器、31:アーム部材、32:回動軸、33:収納箱、34:表示器、35:溜水、36:信号ケーブル、36a:操作信号ケーブル、37:電源入りスイッチ、38:電源切りスイッチ、39:測定開始スイッチ、40:測定完了スイッチ、41:データ保存スイッチ、42:再表示スイッチ、43:便器装置、44:計重器、45:計重部、46:受け皿、47:重量測定手段、48:受け皿昇降手段、49:支持部材、50:圧力検出器、51:シール部材、52:支持軸、53:収納箱、54:つば部、55:取付け部材、56:ねじ、57:便器装置、58:便受け部、59:排出口、60:カバー部材、60a:排出部、61:和式便器、62:受け皿、63:計重器、64:導水口、65:導水配管、66:排出配管、67:計重部、68:操作部、69:ピット、70:便器装置、71:洋式便器、72:便座、73:第1の計重器、74:第2の計重器、75:制御手段、76:圧力検知部、77:便蓋、78:取付け部、79:計測台、80:第2の重量換算手段、81:測定開始スイッチ、82、83:信号ケーブル、84:測定完了スイッチ、85:表示器、86:電源入りスイッチ、87:電源切りスイッチ、88:データ保存スイッチ、89:再表示スイッチ、90:便器装置、91:和式便器、92:第1の計重器、93:第2の計重器、94:制御手段、95:便受け部、96、97:計測台、98、99:重量換算手段、100:導水口、101:導水配管、102:排出口、103:カバー部材、103a:排出部、104:排出配管
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄した大便の重量を計測する便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洋式便器のトラップ部に重量検出装置を設けて、トラップ部に大便が受容された際の重量変化から排泄された大便の重量を計量する排泄量測定装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、洋式便器の基部前方に近接させて重量測定装置を配置し、排泄の前後に測定した体重の変化から排泄された大便の重量を求めるトイレ減量体重計が提案されている(例えば、特許文献2参照)。更に、洋式便器の便座内に圧力センサを設け、排泄の前後の圧力センサからの信号値の変化から排泄された大便の重量を求める便座装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−299348号公報
【特許文献2】特開平11−271136号公報
【特許文献3】特開2000−254042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、水を貯留した状態のトラップ部の重量が計量可能な重量検出装置を使用しているため、排泄された大便の重量が水を貯留した状態のトラップ部の重量に比較して軽過ぎると、トラップ部の重量変化が小さく、計量誤差が大きくなるという問題がある。
また、特許文献2及び3に記載された発明では、大便の排泄前後の体重の変化量から大便の重量を求めるため、排泄された大便の重量が体重に比較して軽過ぎる場合は体重の重量変化が小さく、特許文献1に記載された発明の場合よりも計量誤差が大きくなるという問題がある。更に、特許文献2に記載された発明では、体重を測定する際、必ず便座から腰を浮かす必要があるため、測定が煩わしくなるという問題も生じる。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、排泄された大便の重量が小さくても大便の重量を簡便かつ正確に計量することが可能な便器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る便器装置は、便器内に、この便器の使用時に排出される大便の重量を測定する計重器を配置した便器装置において、大便を載せて測定する前記計重器の受け皿は、大便測定時にその表面を水平に保ち、前記計重器の不使用時には一側を基準にして回動して下向きとなっている
また、別の第1の発明に係る便器装置は、便器内に、この便器の使用時に排出される大便の重量を測定する計重器を配置した便器装置において、前記便器は洋式便器であって、大便を載せて測定する前記計重器の受け皿は、前記便器内を昇降し、前記計重器の使用時には前記受け皿が前記便器内の溜水の上に位置し、常時は前記受け皿が前記便器内の溜水内に水没している
更に別の、第1の発明に係る便器装置は、便器内に、この便器の使用時に排出される大便の重量を測定する計重器を配置した便器装置において、前記便器は和式便器であって、便受け部の底面に、受け皿を有する前記計重器が設けられている
【0007】
第2の発明に係る便器装置は、洋式便器の便座下部に設けられた第1の計重器と、
前記洋式便器の前側床面に設けられた第2の計重器と、
スタート信号と完了信号によって前記第1及び第2の計重器で測定された合計重さの差分を表示する制御手段とを有している。
【0008】
第3の発明に係る便器装置は、和式便器の両側に設けられた第1及び第2の計重器と、
スタート信号及び完了信号によって前記第1及び第2の計重器で測定された合計重さの差分を表示する制御手段とを有している。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明に係る便器装置においては、便器内に大便の重量を測定する計重器を配置するので、排泄された大便の重量を直接測定することができ、排泄された大便の重量が小さくても大便の重量を簡便かつ正確に計量することが可能になる。
特に、大便を載せて測定する計重器の受け皿を大便測定時にその表面を水平に保つ場合は、受け皿に載置された大便が滑落するのを防止でき、排泄された大便の重量を確実に測定することが可能になる。また、受け皿を計重器の不使用時に一側を基準にして回動して下向きとする場合は、受け皿に載置された大便を受け皿から溜水中に滑落させることができ、大便を容易に便器内から排出することが可能になる。
【0010】
便器が洋式便器であって、計重器の不使用時には受け皿の全部又は主要部が便器下部の溜水内に浸漬される場合は、大便の重量測定が終了すると大便を便器下部の溜水内に浸漬することができ、便器から大便を容易に排出することができる。また、使用後の受け皿に付着した大便を便器内の溜水中に分散させることができ、受け皿の表面を清浄な状態に保持することが容易になると共に、小便の排泄時に支障がないようにできる。
便器が洋式便器であって、大便を載せて測定する計重器の受け皿が便器内を昇降し、計重器の使用時には受け皿が便器内の溜水の上に位置する場合は、大便が便器内の溜水中に分散するのを防止でき、大便の重量を正確に測定することができる。また、常時(測定を行わないときに)受け皿を便器内の溜水内に水没させる場合は、計重器の使用後の受け皿に付着した大便を便器内の溜水中に分散させることができ、受け皿の表面を清浄な状態に保持することが容易になると共に、小便の排泄時に支障がないようにできる。
【0011】
便器が和式便器であって、便受け部の底面に、受け皿を有する計重器が設けられている場合は、排泄された大便を受け皿上に載置することができ、排泄された大便の重量を正確に計量することが可能になる。
また、受け皿が便器内を昇降し、常時は便受け部の底部と実質同一平面となって、使用時に便受け部の底部から上昇する場合は、大便の重量を測定する際は排泄された大便を確実に受け皿で保持することができ、大便の重量を正確に測定することが可能になると共に、重量測定後は大便を便器から容易に排出することが可能になる。
【0012】
更に、計重器に、使用時に零点調整を行う信号入力手段が設けられている場合は、受け皿に大便が付着していても排泄された大便の重量を正確に測定することが可能になる。
計重器に、計量した大便の量を出力する信号出力手段が設けられている場合は、例えば、記録計を設けることにより大便の排泄量の経時変化を記録することができ、記録を確認することで健康状態の変化を容易に把握することが可能になる。
信号出力手段の出力を受けてその測定量を表示する表示器が便器外に備えられている場合は、排泄された大便の重量を直ちに知ることができ、その場で健康状態を確認することが可能になる。
【0013】
第2及び第3の発明に係る便器装置においては、体重を2つの計重器で支えながら測定することができ、各計重器の測定感度を向上させることが可能になる。その結果、排泄された大便の重量が体重に比較して軽くても、大便の排泄前後の体重の変化量を正確に求めることができ、大便の重量を正確に求めることが可能になる。
更に、計量開始を示すスタート信号及び計量終了を示す完了信号の出力時にそれぞれ測定を行って重量差を算出するので、洋式便器では便座に着座した状態で、和式便器ではしゃがんだままの状態で体重の変化を測定することができ、簡便に大便の重量を測定することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の第1の実施の形態に係る便器装置の側断面図、図2は同便器装置の平面図、図3は本発明の第2の実施の形態に係る便器装置の側断面図、図4は同便器装置の平面図、図5は本発明の第3の実施の形態に係る便器装置の側断面図、図6は同便器装置の平面図、図7は本発明の第4の実施の形態に係る便器装置の側面図、図8は本発明の第5の実施の形態に係る便器装置の側断面図、図9は同便器装置の平面図である。
【0015】
図1、図2に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る便器装置10は、便器の一例である洋式便器11と、洋式便器11内に設けられ使用時に排出される大便の重量を測定する計重器12を有している。以下これらについて、詳細に説明する。
洋式便器11は、リム通水路13が設けられた便鉢14と、便鉢14の下部の便鉢排出口15に連通して一体的に設けられた実質的にS字形状のトラップ部16と、トラップ部16の下流端部に連通して一体的に設けられたトラップ接続管17を有している。そして、トラップ接続管17の下流端部18は排出配管19に接続されている。また、便鉢14の背面側には、リム通水路13及び便鉢14内に洗浄水を供給する導水部20が、リム通水路口21及び便鉢口22に連通して形成され、導水部20の上流側には図示しない水タンクに直結する洗浄水流入口23が形成されている。
【0016】
計重器12は、排出される大便を受けてその重量を測定する計重部24と、計重部24を操作して大便の重量測定、測定値の表示、及び記録を行う操作部25を有している。
計重部24は、排出される大便を受ける受け皿26と、受け皿26の下部に当接して受け皿26を支持して大便の重量を測定する重量測定手段27と、重量測定手段27で支持される受け皿26の表面を使用時(大便の重量測定時)に水平に保ち、計重器12の不使用時には、受け皿26の一側(図1ではトラップ部16側)を基準にして回動させて下向きにする受け皿回動手段28を有している。
【0017】
ここで、重量測定手段27は、例えば、受け皿26を便鉢14の中央背面側の位置に保持して排泄される大便が容易に受け皿26内に受容されるように便鉢14内で受け皿26を支持する支持部材29と、支持部材29の表層部に設けられ受け皿26により支持部材29の表面に加えられる圧力を検知する圧力センサを備えた圧力検出器30を有している。また、受け皿回動手段28は、便鉢14の内側でその幅方向の中央部に設けられて支持部材29の一端側を片持ち状態で支えるアーム部材31と、一方側がアーム部材31の基側に固定され他方側が便鉢14の側壁を貫通して外部に突出する回動軸32と、回動軸32の他方側に接続され回動軸32を回動するモータ(図示せず)と、モータを収納する収納箱33を有している。
【0018】
操作部25は、重量測定手段27の圧力検出器30からの出力信号を受信して重量値に換算して重量信号を出力する機能を備えた信号出力手段(図示せず)と、計重器12の使用開始直後に圧力検出器30から信号出力手段に入力された出力信号を電気的にキャンセルして測定時の基準値を決定する零点調整を行う機能を備えた信号入力手段(図示せず)と、測定時に信号出力手段から出力される重量信号を受けてその重量値を表示する表示器34を備えている。なお、信号出力手段にはカレンダーと時計機能が設けられ、指定された重量値に対する重量信号を測定年月日及びユーザー識別記号と共に記録する記録部を備えている。
【0019】
更に、操作部25は、使用時に、アーム部材31を介して受け皿26の表面を便鉢14内の溜水35の水面よりも上方の位置に露出させて水平に保たれるように、不使用時(大便の重量測定を行わない時)には、アーム部材31を回動軸32を基準にして回動させて下向きにして受け皿26の全部が便鉢14内の溜水35内に浸漬されるように、回動軸32の回動操作信号をモータに向けて出力する機能を備えた回動操作手段(図示せず)を備えている。なお、圧力検出器30は、支持部材29、アーム部材31、及び回動軸32の各内部を通過して収納箱33から取り出された信号ケーブル36を介して操作部25の信号出力手段と接続しており、また、受け皿回動手段28に設けられたモータは操作部25の回動操作手段と操作信号ケーブル36aで接続されている。
【0020】
操作部25には、操作部25、圧力検出器30、及びモータへ電力を供給して測定待機状態にする電源入りスイッチ37と、操作部25、圧力検出器30、及びモータへの電力供給を停止する電源切りスイッチ38と、使用時に受け皿26の表面が便鉢14内の溜水35の水面よりも上方の位置で水平に保たれるように受け皿回動手段28を駆動すると共に、圧力検出器30の零点調整を行って測定を開始する測定開始スイッチ39が設けられている。また、操作部25には、表示器34に表示されている重量値をロックし、受け皿26の全部が便鉢14内の溜水35内に浸漬されるように受け皿回動手段28を駆動させる測定完了スイッチ40が設けられている。
【0021】
更に、操作部25には、ユーザー識別記号を指定して表示器34にロックされた重量値に相当する重量信号を測定年月日と共に信号出力手段の記録部に入力するデータ保存スイッチ41と、信号出力手段の記録部に保存されているデータを順次呼び出す再表示スイッチ42が設けられている。ここで、表示器34にロックされた重量値はタイマーにより、例えば、測定完了スイッチ40がオンされてから一定時間経過するとリセットされるように、あるいは、測定開始スイッチ39がオンされると強制的にリセットされるようにする。また、データ保存スイッチ41で指定するユーザー識別記号は予め信号出力手段に入力しておく。
【0022】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る便器装置10の使用方法について説明する。
先ず、洋式便器11に着座し、操作部25の電源入りスイッチ37をオンする。これによって、操作部25(信号入力手段、信号出力手段、及び表示器34)、圧力検出器30、及びモータへの電力の供給が開始され便器装置10は測定待機状態になる。なお、電源入りスイッチ37を常時オンの状態にしておいてもよい。この場合は、便座に着座した際の電源入りスイッチ37をオンする動作は不要になる。
次いで、測定開始スイッチ39をオンする。これによって、受け皿回動手段28が駆動して、便鉢14内の溜水35内に浸漬されている受け皿26が回動して溜水35の水面よりも上方の位置まで移動し、受け皿26の表面を溜水35から露出させて水平に保持する。そして、信号入力手段は圧力検出器30から信号出力手段に入力された出力信号値を検知し、この出力信号値を電気的にキャンセルするキャンセル信号を信号出力手段に入力して、信号出力手段から出力される出力信号の値を0とする零点調整を行う。その結果、表示器34に表示される数値は0となる。
【0023】
排泄された大便は、受け皿26に受容される。大便が受け皿26に受容されると、受け皿26全体としての重量は大便の重量分だけ増加するため、受け皿26の下面を支持する支持部材29の表面に加わる圧力が増加する。この圧力の上昇値は圧力検出器30で検知され、圧力検出器30からは圧力の上昇値を含んだ出力信号が信号出力手段に入力される。信号出力手段では入力された出力信号から大便の重量に相当する圧力変化を求め、この圧力変化量を重量値に換算して重量信号を表示器34に出力し、表示器34には重量値が表示される。ここで、大便の重量を正確に測定するには、受け皿26には大便のみが受容されるようにする必要がある。このため、誤って受け皿26内に小便が排泄された場合にも大便の重量測定が正しく行われるように、誤って受容された小便を排出させる孔を受け皿26の底部に複数個設けたり、受け皿26の底部を金網(例えば、網目間隔が1〜5mm)で構成するようにするのがよい。
【0024】
大便の排泄が終了すると、測定完了スイッチ40をオンする。測定完了スイッチ40がオンされると、その時点で表示器34に表示されていた重量値がロックされる。このため、表示器34の表示値から排泄された大便の重量を知ることができる。更に、受け皿回動手段28が駆動してアーム部材31が回動軸32を基準にして下向きになるように回動し、大便を受容している受け皿26が支持部材29と共に便鉢14内の溜水35内に浸漬される。これによって、受け皿26内に受容された大便を溜水35中に滑落させることができる。そして、洗浄水流入口23から導水部20に洗浄水を導きリム通水路口21及び便鉢口22を介してリム通水路13及び便鉢14に供給することにより、大便を小便と共に便鉢14の便鉢排出口15からトラップ部16及びトラップ接続管17を介して排出配管19に排出することができる。また、表示器34にロックされた重量値を保存する必要がある場合は、データ保存スイッチ41を操作して、ユーザー識別記号を指定し、表示器34にロックされた重量値に相当する重量信号を測定年月日及びユーザー識別記号と共に信号出力手段の記録部に入力する。
【0025】
測定完了後では、受け皿26を便鉢14内の溜水35中に浸漬状態としているので、使用後の受け皿26に付着した大便を便鉢14内の溜水35中に分散させることができ、受け皿26の表面を清浄な状態に保持することが容易になる。また、再表示スイッチ42をオンすると、信号出力手段の記録部に保存されているデータが順次呼び出され、測定年月日及びユーザー識別記号と共に表示器34に再表示される。これにより、以前の大便の排泄量を知ることができ、健康状態の確認を行うことができる。
なお、大便の排泄時に大便の重量測定を行わない場合や小便の排泄を行う場合では、測定開始スイッチ39の操作を行わない。このときは、受け皿26は便鉢14内の溜水35内に完全に浸漬している状態になっているので、通常の洋式便器と同一の方法で使用することができる。
【0026】
図3、図4に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る便器装置43は、第1の実施の形態に係る便器装置10と比較して、計重器44の計重部45の構成が異なっていることが特徴となっている。このため、第1の実施の形態に係る便器装置10と同一の構成部材については同一の符号を付し、計重部45についてのみ詳細に説明する。
計重部45は、排出される大便を受ける受け皿46と、受け皿46の下部に当接して設けられた重量測定手段47と、重量測定手段47を介して受け皿46の表面を大便の重量測定時に水平にして溜水35の水面より上に保持し、常時は受け皿46を溜水35内に水没させた状態で保持する受け皿昇降手段48を有している。
【0027】
重量測定手段47は、例えば、受け皿46を便鉢14の中央背面側の位置に保持して排泄される大便が容易に受け皿46内に受容されるように便鉢14内で受け皿46の下面を支持する支持部材49と、支持部材49の表層部に設けられ支持部材49の表面に加えられる圧力を検知する圧力センサを備えた圧力検出器50を有している。また、受け皿昇降手段48は、支持部材49の背面側中央に一端側が固定され他端側が便鉢14の底部をシール部材51を介して貫通して外部に突出する支持軸52と、支持軸52の他端部に接続され支持軸52を軸方向に進退させる、例えば、モータとギアで構成された進退機構(図示せず)と、進退機構を収納する収納箱53を有している。そして、収納箱53の側部にはつば部54が形成され、便鉢14の底部外側にシール部材51を囲うように設けられた取付け部材55の端部につば部54を当接させ、締結部材の一例であるねじ56を用いて固定している。
【0028】
なお、圧力検出器50は、支持部材49及び支持軸52の各内部を通過して収納箱53から取り出された信号ケーブル36を介して操作部25の信号出力手段と接続しており、受け皿昇降手段48に設けられたモータは操作部25の回動操作手段と操作信号ケーブル36aで接続されている。
また、本発明の第2の実施の形態に係る便器装置43の使用においては、第1の実施の形態に係る便器装置10と比較して、測定開始スイッチ39をオンした際に、受け皿昇降手段48が駆動して、便鉢14内の溜水35内に浸漬されている受け皿46が支持軸52により持ち上げられて溜水35の水面よりも上方の位置まで移動すること、及び、測定完了スイッチ40をオンした際に、受け皿昇降手段48が駆動して支持軸52が下降し大便を受容している受け皿46が支持部材49と共に便鉢14内の溜水35内に浸漬されることが異なるだけで、それ以外の動作は実質的に第1の実施の形態に係る便器装置10の場合と同一である。このため、第2の実施の形態に係る便器装置43の使用方法に関する説明は省略する。
【0029】
図5、図6に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る便器装置57は、上方側が開口した便受け部58と、便受け部58の一方側と連通し下部に排出口59が形成され上部にカバー部材60が設けられた排出部60aを備えた便器の一例である和式便器61を有している。更に、便器装置57は、和式便器61の便受け部58の底面に設けられ、大便の重量を測定する際に便受け部58の底部から上昇して排泄される大便を受容しその重量を検出し、常時は便受け部58の底部と実質同一平面となる受け皿62を備えた計重器63を有している。そして、便受け部58の他端側の中央部には便受け部58内に洗浄水を供給する導水口64が設けられ、導水口64には図示しない水タンクに直結する導水配管65が接続され、排出口59は排出配管66に接続されている。
【0030】
計重器63は、受け皿62を和式便器61の便受け部58内で昇降させると共に受容した大便の重量を検出する計重部67と、計重部67を操作して大便の重量測定、測定値の表示、及び記録を行う操作部68を有している。ここで、計重部67の構成は第2の実施の形態に係る便器装置43の計重部45と同一の構成とすることができ、操作部68は第1の実施の形態に係る便器装置10の計重部25と同一の構成とすることができる。このため、同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。なお、和式便器61を設置する際には、便受け部58の中間部の外側にピット69を形成し、このピット69内にシール部材51を囲うように設けられた取付け部材55を突出させ、この取付け部材55の端部にねじ56を介して収納箱53を固定する。
【0031】
また、本発明の第3の実施の形態に係る便器装置57の使用においては、第1の実施の形態に係る便器装置10と比較して、測定開始スイッチ39をオンした際に、受け皿昇降手段48が駆動して、便受け部58の底部と実質同一平面となっている受け皿62が支持軸52により持ち上げられて、便受け部58に貯留されている溜水の水面から受け皿62が露出する位置まで移動すること、及び、測定完了スイッチ40をオンした際に、受け皿昇降手段48が駆動して支持軸52が下降し大便を受容している受け皿62の上面が便受け部58の底部と実質同一平面となる位置まで下降することが異なるだけで、それ以外の動作は実質的に第1の実施の形態に係る便器装置10の場合と同一である。このため、第3の実施の形態に係る便器装置57の使用方法に関する説明は省略する。
なお、大便を便受け部58から排出部60aを介して排出するには、大便を受容している受け皿62の上面を便受け部58の底部と実質同一平面となる位置まで下降させてから行う。このとき、受け皿62を下降する際に受容している大便が受け皿62から滑落すると、大便が便受け部58の底面と受け皿62を支持する支持部材49の背面との間に巻き込まれることがある。このため、定期的に測定開始スイッチ39をオンして受け皿62を上昇させて便受け部58の底面と支持部材49の背面との間に隙間を設け、この状態で便受け部58に洗浄水を供給し、便受け部58の底面と支持部材49の背面を洗浄することが好ましい。
【0032】
図7に示すように、本発明の第4の実施の形態に係る便器装置70は、便器の一例である洋式便器71の便座72の下部に設けられた第1の計重器73と、洋式便器71の前側床面に設けられた第2の計重器74と、スタート信号によって第1及び第2の計重器73、74によって測定される測定開始時の各重量の合計重量を算出し、完了信号によって第1及び第2の計重器73、74によって測定される測定終了時の各重量の合計重量を算出して、測定開始時の合計重量と測定終了時の合計重量の差分を表示する制御手段75とを有している。以下これらについて詳細に説明する。
第1の計重器73は、洋式便器71の便座72の下部に取付けられた複数の圧力センサを備えた圧力検知部76と、人が便座72に着座した際に圧力検知部76により検知された圧力の変化から便座72にかかる重量を算出する機能を備えた第1の重量換算手段を有している。ここで、第1の重量換算手段は、例えば、便蓋77の取付け部78内に収納されている。また、第2の計重器74は、便座72に着座した人の足を載置する計測台79と、計測台79にかかる圧力を検出して重量を算出する機能を備えた第2の重量換算手段80を有している。
【0033】
制御手段75は、測定開始スイッチ81がオンされた際に出力される測定開始のスタート信号を受信した際に、第1及び第2の計重器73、74から信号ケーブル82、83を介して伝送されている各重量値をロックしその総和を求めて初期重量を記録する機能を備えた初期重量算出部と、測定完了スイッチ84がオンされた際に出力される測定完了の完了信号を受信した際に、第1及び第2の計重器73、74から信号ケーブル82、83を介して伝送されている各重量値をロックしその総和を求めて終期重量を求めて記録する機能を備えた終期重量算出部を有している。また、制御手段75は、終期重量の記録後に、初期重量と終期重量の差分を算出して表示器85に表示する機能を備えた差分表示部を有している。
【0034】
制御手段75には、第1、第2の計重器73、74、及び制御手段75へ電力を供給して測定待機状態にする電源入りスイッチ86と、第1、第2の計重器73、74、及び制御手段75への電力供給を停止する電源切りスイッチ87が設けられている。また、制御手段75には、カレンダーと時計機能が設けられ、更に、ユーザー識別記号を指定して表示器85に表示された重量を測定年月日と共に記録部に記録するデータ保存スイッチ88と、記録部に保存されているデータを順次呼び出す再表示スイッチ89が設けられている。ここで、表示器85に表示される重量値はタイマーにより、例えば、測定完了スイッチ84がオンされてから一定時間経過するとリセットされるように、あるいは、測定開始スイッチ81がオンされると強制的にリセットされるようにする。なお、データ保存スイッチ88で指定するユーザー識別記号は予め記録部に入力しておく。
【0035】
次に、本発明の第4の実施の形態に係る便器装置70の使用方法について説明する。
先ず、洋式便器71に着座し、制御手段75の電源入りスイッチ86をオンする。これによって、第1、第2の計重器73、74、及び制御手段75への電力の供給が開始され便器装置70は測定待機状態になる。なお、電源入りスイッチ86を常時オンの状態にしておいてもよい。この場合は、便座72に着座した際の電源入りスイッチ86をオンする動作は不要になる。
次いで、測定開始スイッチ81をオンする。これによって、初期重量算出部に対して測定開始のスタート信号が出力され、初期重量算出部ではスタート信号を受信した際に、第1及び第2の計重器73、74から信号ケーブル82、83を介して伝送されている各重量値をロックしその総和を求めて初期重量を記録する。そして、大便の排泄が終わって、測定完了スイッチ84がオンされると、終期重量算出部に対して完了信号が出力され、終期重量算出部では完了信号を受信した際に、第1及び第2の計重器73、74から信号ケーブル82、83を介して伝送されている各重量値をロックしその総和を求めて終期重量を求めて記録する。そして、初期重量及び終期重量は差分表示部に入力され、初期重量と終期重量の差分が算出されて表示器85に表示される。大便が排泄されると体重は排泄された大便の重量だけ軽くなるので、表示器85に表示される差分値が排泄された大便の重量となる。
【0036】
また、表示器85に表示された重量値を保存する必要がある場合は、データ保存スイッチ88を操作して、ユーザー識別記号を指定し、表示器85に表示された重量値を測定年月日及びユーザー識別記号と共に記録部に入力する。また、再表示スイッチ89をオンすると、記録部に保存されているデータが順次呼び出され、測定年月日及びユーザー識別記号と共に表示器85に再表示される。これにより、以前の大便の排泄量を知ることができ、健康状態の確認を行うことができる。なお、大便の排泄時に大便の重量測定を行わない場合や小便の排泄を行う場合では、測定開始スイッチ81の操作を行わない。
【0037】
図8、図9に示すように、本発明の第5の実施の形態に係る便器装置90は、便器の一例である和式便器91の両側に設けられた第1及び第2の計重器92、93と、
スタート信号によって第1及び第2の計重器92、93によって測定される測定開始時の各重量の合計重量を算出し、完了信号によって第1及び第2の計重器92、93によって測定される測定終了時の各重量の合計重量を算出して、測定開始時の合計重量と測定終了時の合計重量の差分を表示する制御手段94とを有している。以下これらについて詳細に説明する。
第1及び第2の計重器92、93は、和式便器91の便受け部95の両側に配置され、人が便受け部95を跨いでしゃがんだ際に足が載置される計測台96、97と、計測台96、97にかかる圧力をそれぞれ検出して重量を算出する機能を備えた重量換算手段98、99を有している。また、和式便器91の便受け部95の一方側の中央部には便受け部95内に洗浄水を供給する導水口100が設けられ、導水口100には図示しない水タンクに直結する導水配管101が接続されている。また、便受け部95の他方側は下部に排出口102が形成され上部にカバー部材103を備えた排出部103aと連通し、排出口102は排出配管104に接続されている。
【0038】
また、制御手段94の構成は、第4の実施の形態に係る便器装置70の制御手段75と同一の構成とすることができる。このため、同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。更に、制御手段94の構成は第4の実施の形態に係る便器装置70の制御手段75の構成と同一であるため、第5の実施の形態に係る便器装置90の使用方法は、第4の実施の形態に係る便器装置70の場合と同一である。このため、第5の実施の形態に係る便器装置90の使用方法に関する説明は省略する。
【0039】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の便器装置を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、第1の実施の形態では、不使用時に受け皿が全部溜水内に浸漬されるようにしたが、不使用時に受け皿の一側(アーム部材との連結側)が溜水の水面より上方に保持されるようにしてもよい。また、第2及び第3の実施の形態では、受け皿を昇降する支持軸の進退機構をモータとギアで構成したが、エア等の流体圧力で駆動するシリンダを使用することができる。
第3の実施の形態では、常時は、受け皿の上面が便受け部の底部と実質同一平面となるように設置したが、受け皿が支持部材と共に便受け部の底部と隙間を有して設置されるようにしてもよい。この場合は、支持部材の背面と便受け部の底面との間に洗浄水を流すことができ、支持部材の背面側に大便が付着するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る便器装置の側断面図である。
【図2】同便器装置の平面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る便器装置の側断面図である。
【図4】同便器装置の平面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る便器装置の側断面図である。
【図6】同便器装置の平面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る便器装置の側面図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る便器装置の側断面図である。
【図9】同便器装置の平面図である。
【符号の説明】
【0041】
10:便器装置、11:洋式便器、12:計重器、13:リム通水路、14:便鉢、15:便鉢排出口、16:トラップ部、17:トラップ接続管、18:下流端部、19:排出配管、20:導水部、21:リム通水路口、22:便鉢口、23:洗浄水流入口、24:計重部、25:操作部、26:受け皿、27:重量測定手段、28:受け皿回動手段、29:支持部材、30:圧力検出器、31:アーム部材、32:回動軸、33:収納箱、34:表示器、35:溜水、36:信号ケーブル、36a:操作信号ケーブル、37:電源入りスイッチ、38:電源切りスイッチ、39:測定開始スイッチ、40:測定完了スイッチ、41:データ保存スイッチ、42:再表示スイッチ、43:便器装置、44:計重器、45:計重部、46:受け皿、47:重量測定手段、48:受け皿昇降手段、49:支持部材、50:圧力検出器、51:シール部材、52:支持軸、53:収納箱、54:つば部、55:取付け部材、56:ねじ、57:便器装置、58:便受け部、59:排出口、60:カバー部材、60a:排出部、61:和式便器、62:受け皿、63:計重器、64:導水口、65:導水配管、66:排出配管、67:計重部、68:操作部、69:ピット、70:便器装置、71:洋式便器、72:便座、73:第1の計重器、74:第2の計重器、75:制御手段、76:圧力検知部、77:便蓋、78:取付け部、79:計測台、80:第2の重量換算手段、81:測定開始スイッチ、82、83:信号ケーブル、84:測定完了スイッチ、85:表示器、86:電源入りスイッチ、87:電源切りスイッチ、88:データ保存スイッチ、89:再表示スイッチ、90:便器装置、91:和式便器、92:第1の計重器、93:第2の計重器、94:制御手段、95:便受け部、96、97:計測台、98、99:重量換算手段、100:導水口、101:導水配管、102:排出口、103:カバー部材、103a:排出部、104:排出配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器内に、この便器の使用時に排出される大便の重量を測定する計重器を配置したことを特徴とする便器装置。
【請求項2】
請求項1記載の便器装置において、大便を載せて測定する前記計重器の受け皿は、大便測定時にその表面を水平に保ち、前記計重器の不使用時には一側を基準にして回動して下向きとなっていることを特徴とする便器装置。
【請求項3】
請求項2記載の便器装置において、前記便器は洋式便器であって、前記計重器の不使用時には前記受け皿は、その全部又は主要部が前記便器下部の溜水内に浸漬していることを特徴とする便器装置。
【請求項4】
請求項1記載の便器装置において、前記便器は洋式便器であって、大便を載せて測定する前記計重器の受け皿は、前記便器内を昇降し、前記計重器の使用時には前記受け皿が前記便器内の溜水の上に位置し、常時は前記受け皿が前記便器内の溜水内に水没していることを特徴とする便器装置。
【請求項5】
請求項1記載の便器装置において、前記便器は和式便器であって、便受け部の底面に、受け皿を有する前記計重器が設けられていることを特徴とする便器装置。
【請求項6】
請求項5記載の便器装置において、前記受け皿は、前記便器内を昇降し、常時は前記便受け部の底部と実質同一平面となって、前記計重器の使用時に前記便受け部の底部から上昇することを特徴とする便器装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の便器装置において、前記計重器には使用時に零点調整を行う信号入力手段が設けられていることを特徴とする便器装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の便器装置において、前記計重器には計量した大便の量を出力する信号出力手段が設けられていることを特徴とする便器装置。
【請求項9】
請求項8記載の便器装置において、前記信号出力手段の出力を受けてその測定量を表示する表示器を前記便器外に備えることを特徴とする便器装置。
【請求項10】
洋式便器の便座下部に設けられた第1の計重器と、
前記洋式便器の前側床面に設けられた第2の計重器と、
スタート信号と完了信号によって前記第1及び第2の計重器で測定された合計重さの差分を表示する制御手段とを有することを特徴とする便器装置。
【請求項11】
和式便器の両側に設けられた第1及び第2の計重器と、
スタート信号及び完了信号によって前記第1及び第2の計重器で測定された合計重さの差分を表示する制御手段とを有することを特徴とする便器装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器内に、この便器の使用時に排出される大便の重量を測定する計重器を配置した便器装置において、大便を載せて測定する前記計重器の受け皿は、大便測定時にその表面を水平に保ち、前記計重器の不使用時には一側を基準にして回動して下向きとなっていることを特徴とする便器装置。
【請求項2】
請求項記載の便器装置において、前記便器は洋式便器であって、前記計重器の不使用時には前記受け皿は、その全部又は主要部が前記便器下部の溜水内に浸漬していることを特徴とする便器装置。
【請求項3】
便器内に、この便器の使用時に排出される大便の重量を測定する計重器を配置した便器装置において、前記便器は洋式便器であって、大便を載せて測定する前記計重器の受け皿は、前記便器内を昇降し、前記計重器の使用時には前記受け皿が前記便器内の溜水の上に位置し、常時は前記受け皿が前記便器内の溜水内に水没していることを特徴とする便器装置。
【請求項4】
便器内に、この便器の使用時に排出される大便の重量を測定する計重器を配置した便器装置において、前記便器は和式便器であって、便受け部の底面に、受け皿を有する前記計重器が設けられていることを特徴とする便器装置。
【請求項5】
請求項記載の便器装置において、前記受け皿は、前記便器内を昇降し、常時は前記便受け部の底部と実質同一平面となって、前記計重器の使用時に前記便受け部の底部から上昇することを特徴とする便器装置。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の便器装置において、前記計重器には使用時に零点調整を行う信号入力手段が設けられていることを特徴とする便器装置。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の便器装置において、前記計重器には計量した大便の量を出力する信号出力手段が設けられていることを特徴とする便器装置。
【請求項8】
請求項記載の便器装置において、前記信号出力手段の出力を受けてその測定量を表示する表示器を前記便器外に備えることを特徴とする便器装置。
【請求項9】
洋式便器の便座下部に設けられた第1の計重器と、
前記洋式便器の前側床面に設けられた第2の計重器と、
スタート信号と完了信号によって前記第1及び第2の計重器で測定された合計重さの差分を表示する制御手段とを有することを特徴とする便器装置。
【請求項10】
和式便器の両側に設けられた第1及び第2の計重器と、
スタート信号及び完了信号によって前記第1及び第2の計重器で測定された合計重さの差分を表示する制御手段とを有することを特徴とする便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−125090(P2006−125090A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−316163(P2004−316163)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【特許番号】特許第3742421号(P3742421)
【特許公報発行日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(504405028)
【Fターム(参考)】