説明

便器装置

【課題】 便器に溜水を給水するための給水管を水道に接続し、給水管に電磁弁を設けると共に前記電磁弁を動作させるための制御部を設け、断水時にこれを検知して前記電磁弁を閉じるように制御する便器装置において、断水時に通常時と同様の便器洗浄を行うことができる便器装置を提供する。
【解決手段】 便器1に溜水Wを給水するための給水管3を水道Sに接続し、給水管3に電磁弁31を設けると共に前記電磁弁31を動作させるための制御部4を設け、断水時にこれを検知して前記電磁弁31を閉じるように制御する便器装置において、給水管3の電磁弁31よりも下流側の部分に該給水管3内に給水するための給水口32および開閉弁33を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道に直結され、電磁弁を制御して給水する便器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水道に直結され、電磁弁を制御して給水する便器装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような便器装置は、便器に溜水を給水するための給水管を水道に接続し、汚物を溜水と一緒に排出するためのターントラップを便器に備えている。給水管には電磁弁が設けてあり、この電磁弁を開閉させると共に前記ターントラップを動作させるための制御部が設けてある。このものにあっては、給水管の電磁弁を開いて水道水を便器に給水して溜水を形成し、用便後に便器洗浄するには、ターントラップを動作させて汚物を溜水と一緒に排出し、ターントラップを元に戻して再び水道水を便器に給水して溜水を形成するようにしている。このようにすることで、ロータンクを備えた旧来の便器装置と比べて節水が可能となるものである。
【0004】
ところで、このような便器装置にあっては、水道が断水となった際にこれを検知する断水検知センサが設けてあり、断水時には給水管の電磁弁を閉じるように制御するようにしていた。
【0005】
このため断水時には、ロータンクを備えた便器装置であればロータンクに水を補給することで通常時と同様の便器洗浄が行えるのに対し、上記従来の便器装置にあっては通常時と同様の便器洗浄を行うことができず洗浄性が低いものであった。
【特許文献1】特開2003−41645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、給水管を水道に接続し、汚物を溜水と一緒に排出するためのターントラップを備え、給水管に電磁弁を設けると共に前記電磁弁とターントラップとを動作させるための制御部を設け、断水時にこれを検知して前記電磁弁を閉じるように制御する便器装置において、断水時に通常時と同様の便器洗浄を行うことができる便器装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に係る便器装置は、便器1に溜水Wを給水するための給水管3を水道Sに接続し、給水管3に電磁弁31を設けると共に前記電磁弁31を動作させるための制御部4を設け、断水時にこれを検知して前記電磁弁31を閉じるように制御する便器装置において、給水管3の電磁弁31よりも下流側の部分に該給水管3内に給水するための給水口32および開閉弁33を設けて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、断水時に給水管3の給水口32から給水することで通常時と同様の便器洗浄を行うことができ、また、開閉弁33を開閉するだけで必要な量の水を容易に給水して便器洗浄が行えるようになる。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、汚物を溜水Wと一緒に排出するためのターントラップ21を備え、制御部4にてターントラップ31を制御することを特徴とするものである。これにより、ターントラップ21を備えた便器装置にあっても、断水時に給水管3の給水口32から給水することで通常時と同様の便器洗浄を行うことができる。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明に加えて、断水時にターントラップ21をロックするように制御する便器装置において、給水口32に水タンク5の吐出口52を接続した際にこれを検知してターントラップ21のロックを解除するように制御して成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、断水時にターントラップ21のロックを解除して便器1の汚物および溜水Wが排出可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明にあっては、断水時に給水管の給水口から給水することで通常時と同様の便器洗浄を行うことができて断水時の洗浄性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。まず、便器装置の基本的な構成について説明する。
【0012】
便器1はボウル部11を水で洗浄するための便器洗浄手段2を備えた水洗便器である。便器1には、その後部の内部にターントラップブロック20を内装し、便器1の後部のターントラップブロック20を配設した部分の上方位置には便器制御部ケース12が設けてあり、更に、便器1には給水管3が設けてあって、該給水管3の上流端が水道Sに接続してある。
【0013】
ターントラップブロック20のケース内には、変形性を有する材料で形成した可動自在なターントラップ21が設けてあり、ターントラップ21の一端部がボウル部11の出口に接続してある。ターントラップ21はターントラップブロック20のケース外面側に設けた駆動モータ(図4参照)によりターントラップ21の下流端の開口が上を向く姿勢と下を向く姿勢との間で可動自在となっている。
【0014】
また、便器1の後部の上面側に設けた便器制御部ケース12内には、給水管3の途中に電磁弁31を設けると共に該電磁弁31及び上記駆動モータを制御するための制御部4が設けてあり、また、ターントラップ21の下流端の開口が上を向いているのか下を向いているのかを検知するトラップ位置センサ43(図4参照)が設けてあり、本発明では上記電磁弁31、ターントラップ21を駆動する駆動モータ、トラップ位置センサ43によりボウル部11を水で洗浄するための便器洗浄手段2が構成してある。
【0015】
便器洗浄手段2による便器洗浄の動作について説明する。図3には本実施形態における便器洗浄手段2による便器洗浄の動作の例を示している。図3(f)は便器洗浄手段2がオフの状態、つまり、溜水Wが便器1に形成されている状態(待機状態)であり、この状態ではターントラップ21の下流端の開口部が上を向いてターントラップ21及びボウル部11内に水が溜まっている。この状態で便器洗浄手段2がオンとなって便器洗浄が開示されると、まず、電磁弁31が開となって図3(a)の矢印に示すように水がボウル部11に流れ出す、次に、図3(b)、図3(c)のように駆動モータを正転させてターントラップ21の下流端の開口が下を向くようにターントラップ21を回動してボウル部11及びターントラップ21内の溜水Wをターントラップ21の下流端の開口から排出することで溜水Wと共に汚物を排出する。次に、駆動モータを逆転させて図3(d)のようにターントラップ21を回動させてターントラップ21の下流端の開口が上を向くようにする。この間、電磁弁31が開となっていて図3(e)のようにターントラップ21の下流端の開口部が上を向いた状態でもボウル部11内に水が供給され、図3(f)のように他端の開口部が上を向いたターントラップ21及びボウル部11内に水が溜まると電磁弁31が閉となり、図3(f)の溜水Wが形成された状態(待機状態)になる。
【0016】
また、便器装置には、水道Sが断水状態となっている時にこれを検知する断水検知センサ41が設けてあり(図4参照)、断水状態か否かの情報は制御部4へと送信される。断水時には、制御部4によって電磁弁31が閉じられるように制御される。このため断水時には、水道Sが断水していない通常時と同様の便器洗浄を行うことができずに洗浄性が低いため、本発明においては、電磁弁31が閉となっていても便器1に給水可能なように、給水管3の電磁弁31よりも下流側の部分に給水口32および開閉弁33を設けてある。
【0017】
給水口32には水道Sに接続された管以外の管や容器が接続されるもので、本実施形態では、給水口32に開閉弁33を設けた柔軟なホース51の一端部が接続してあり、このホース51の他端部にPETボトル等からなる水タンク5の吐出口52を接続するものである。
【0018】
このような構成により、断水時に電磁弁31が閉となっていても給水管3の給水口32から給水することで通常時と同様に便器1に給水することができて便器洗浄を行うことが可能となる。また、水タンク5の吐出口52を給水口32に接続しておけば、開閉弁33を開閉するだけで、必要な量の水を容易に給水して便器洗浄が行えるようになる。
【0019】
また断水時には、便器1に溜水Wを確保するためにターントラップ21はその下流端の開口が上方を向いた状態でロックされるように制御部4によって制御されているため、断水時には便器1の汚物および溜水Wは排出することができない。そこで、給水口32に水道Sに接続された管以外の管や容器が接続されている場合にこれを検知する給水口接続検知センサ42(図4参照)を設け、給水口接続検知センサ42によって前記管や容器の接続状態が検知された場合、ターントラップ21のロックを解除するように制御し、便器1の汚物および溜水Wが排出可能となるようにしてある。本実施形態では給水口接続検知センサ42として、ホース51に設けた開閉弁33の開閉を検知するセンサを設け、開閉弁33が開となった時に接続状態と認識するようにしてある。
【0020】
この場合、水タンク5を上述したようにホース51を介して給水口32に接続し、開閉弁33を開とすると、上述したように接続状態と認識されてターントラップ21のロックが解除される。そして、便器装置の操作入力部(図示せず)より「洗浄」指令を入力すると、即座にターントラップ21の下流端の開口が下を向くように回動して汚物および溜水Wを排出し、排出後即座にターントラップ21の下流端の開口が上を向くように回動する「補給水モード」が実行される。そして、水タンク5からの水が便器1に溜まって溜水Wが形成されて汚物の排出が完了するものであり、この時、水タンク5から給水される水はほとんど直接排出されることなく便器1に溜水Wとして溜まることとなり、断水時の貴重な水を無駄に消費してしまうことが防止される。
【0021】
また、開閉弁33の開とするのと連動して「洗浄」指令が入力されるようにしてもよく、これによってより便利に便器洗浄が行えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態の概略構成図である。
【図2】同上の便器装置の分解斜視図である。
【図3】(a)乃至(f)は便器洗浄際の動作順序を示す説明図である。
【図4】同上の制御部の制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0023】
1 便器
21 ターントラップ
3 給水管
31 電磁弁
32 給水口
33 開閉弁
4 制御部
S 水道

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に溜水を給水するための給水管を水道に接続し、給水管に電磁弁を設けると共に前記電磁弁を動作させるための制御部を設け、断水時にこれを検知して前記電磁弁を閉じるように制御する便器装置において、給水管の電磁弁よりも下流側の部分に該給水管内に給水するための給水口および開閉弁を設けて成ることを特徴とする便器装置。
【請求項2】
請求項1記載の便器装置において、汚物を溜水と一緒に排出するためのターントラップを備え、制御部にてターントラップを制御することを特徴とする便器装置。
【請求項3】
断水時にターントラップをロックするように制御する便器装置において、給水口に水タンクの吐出口を接続した際にこれを検知してターントラップのロックを解除するように制御して成ることを特徴とする請求項2記載の便器装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−200266(P2006−200266A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14589(P2005−14589)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】