説明

便器装置

【課題】水洗トイレにおける洗浄水の無駄を低減可能な便器装置を提供する。
【解決手段】便器装置10は、大便器11に起伏可能に設置された便座12および便蓋13と、大便器11へ洗浄水を供給する便器洗浄装置と、便座12に着座した使用者の有無を検知する着座検知センサと、大便器11に洗浄水を供給する制御信号を便器洗浄装置へ送信する制御部と、便器装置10を操作するリモコン方式の操作部と、を備えている。制御部は、洗浄水量が異なる複数の洗浄モードのうちのいずれか一つを選択する機能を有し、着座検知センサの検知信号から便座12への使用者の着座時間を検出し、その着座時間に基づいて選択した洗浄モードに応じた制御信号を便器洗浄装置へ送信して便器洗浄を実行させる。そして、制御部が洗浄水量の多い洗浄モードを選択したことを報知する報知手段と、使用者が洗浄モードを手動で選択可能な手動切替手段と、を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用便後の便器洗浄を行う便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水洗トイレにおける洗浄水の要請が高まり、洗浄水の無駄を低減する工夫が施された便器装置が開発されている。このような便器装置として、便器使用者の有無(便器前の人体の有無)、便座への着座時間、便座の開閉姿勢を検知し、これらの情報に基づいて便器の使用目的が大用か小用であるかを判別して、便器洗浄水量を変更するオート洗浄機能付き便器装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この便器装置は、便器の使用目的(大用、小用)を検知して、目的に合った洗浄水量を選択して自動的に便器洗浄を行うので便利である。
【0003】
一方、大便器がオート洗浄を実行するモードになっているかどうかを報知する表示手段を備えた便器装置も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−342662号公報
【特許文献2】特開2004−285767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水洗トイレにおいて便器洗浄に使用される水量は、ここ数年、大用で8リットル、小用で6リットルになっており、大小の違いで2リットルの差がある。ところが、特許文献1記載の便器装置は、使用者が便座に座った場合に、着座時間の長短を検知して大用と小用を判別しているので、実際には小用であっても、便座に長く座っていると大用であると判別して大用洗浄水を供給してしまうため、必要以上の洗浄水が流されてしまい、洗浄水の無駄が生じている。
【0006】
一方、特許文献2記載の便器装置は、オート洗浄(自動洗浄)モードになっているか否かを報知するのみであり、複数の洗浄モードにうちのいずれの洗浄モードが選択されているかを報知するものではない。
【0007】
そこで、本発明は、水洗トイレにおける洗浄水の無駄を低減可能な便器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の便器装置は、
大便器および前記大便器に設置された便座と、
前記大便器に洗浄水を供給する便器洗浄装置と、
前記便座に着座した使用者の有無を検知する着座検知センサと、
前記大便器に洗浄水を供給する制御信号を前記便器洗浄装置へ送信する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記大便器へ供給する洗浄水量が異なる複数の洗浄モードのうちのいずれか一つを選択する機能を有し、前記着座検知センサの検知信号から前記便座への使用者の着座時間を検出し、前記着座時間の長短に基づいて選択した前記洗浄モードに応じた制御信号を前記便器洗浄装置へ送信して便器洗浄を実行させる便器装置において、
前記制御部が選択した前記洗浄モードを使用者に報知する報知手段と、複数の前記洗浄モードのうちのいずれかを使用者が手動で選択可能な手動切替手段と、を設けたことを特徴とする。
【0009】
このような構成とすれば、使用者は、制御部が選択した洗浄モードを報知手段で知ることができるため、実際の用便形態と異なる洗浄モードが選択されていることが報知された場合、使用者は手動切替手段を操作して適切な洗浄モードに切り替えることにより、用便形態に応じた最適な洗浄水量で便器洗浄を実行させることができる。このため、必要以上の分量の洗浄水が供給されるのを回避することが可能となり、洗浄水の無駄を低減することができる。
【0010】
ここで、前記報知手段として、前記制御部が選択した前記洗浄モードを使用者に目視で識別させるための表示部を設けることが望ましい。このような構成とすれば、使用者は、制御部が選択した洗浄モードを目視によって容易に把握し、洗浄モードの切替が必要であるか否かを即時に判断することができるため、洗浄水の無駄をさらに低減することができる。
【0011】
また、本発明の便器装置は、
大便器および前記大便器に設置された便座と、
前記大便器に洗浄水を供給する便器洗浄装置と、
前記便座に着座した使用者の有無を検知する着座検知センサと、
前記大便器に洗浄水を供給する制御信号を前記便器洗浄装置へ送信する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記大便器へ供給する洗浄水量が異なる複数の洗浄モードのうちのいずれか一つを選択する機能を有し、前記着座検知センサの検知信号から前記便座への使用者の着座時間を検出し、前記着座時間の長短に基づいて選択した前記洗浄モードに応じた制御信号を前記便器洗浄装置へ送信して便器洗浄を実行させる便器装置において、
前記制御部が洗浄水量の多い前記洗浄モードを選択した場合、当該洗浄モードが選択されたことを報知する報知手段と、複数の前記洗浄モードのうちのいずれかを使用者が手動で選択可能な手動切替手段と、を設けたことを特徴とする。
【0012】
このような構成とすれば、制御部が大洗浄モードを選択したときは、そのことを報知手段で知ることができるため、小用のときに大洗浄モードが選択されていることを報知された場合、使用者は手動切替手段を操作して小洗浄モードに切り替え、小洗浄の水量で便器洗浄を実行させることができる。このため、実際は小用であるにもかかわらず、大洗浄水量が供給されるのを回避することが可能となり、洗浄水の無駄を低減することができる。
【0013】
一方、前記手動切替手段が選択した前記洗浄モードに基づき前記制御部が当該洗浄モードに応じた制御信号を前記便器洗浄装置へ送信して便器洗浄を実行させることもできる。
【0014】
このような構成とすれば、制御部の機能を利用して手動切替手段による洗浄モードの選択を行うことが可能となるため、機構の複雑化を回避しながら、洗浄水の無駄を低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、水洗トイレにおける洗浄水の無駄を低減可能な便器装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態である便器装置を示す斜視図、図2は図1の一部拡大図、図3は図1に示す便器装置の操作部を示す斜視図、図4は図1に示す便器装置の本体部の内部構造を示す斜視図、図5は図1に示す便器装置の構成を示すブロック図、図6は図1に示す便器装置の垂直断面図、図7は図1に示す便器装置の動作状態を示すフローチャートである。
【0017】
図1〜図4に示すように、便器装置10は、大便器11に起伏可能に設置された便座12および便蓋13と、大便器11のボウル部11a内へ洗浄水を供給する便器洗浄装置14と、便座12に着座した使用者の有無を検知する着座検知センサ15と、大便器11のボウル11a内へ洗浄水を供給する制御信号を便器洗浄装置14へ送信する制御部16と、便器装置10を操作するリモコン方式の操作部17と、を備えている。着座検知センサ15および制御部16は、大便器11の後部上面に設置された本体部10a内に設けられている。本体部10aの後縁部分には光表示部19が配置され、本体部10a内には、大便器11のボウル部11a内に向かって進退可能な局部洗浄機構18が配置されている。
【0018】
図3,図5に示すように、操作部17は、局部洗浄スイッチ17a、便座便蓋開閉スイッチ17b、大洗浄キャンセルスイッチ17c、大洗浄スイッチ17d、小洗浄スイッチ17e、止スイッチ17m、光表示部17g、リモコン信号送信部17f、信号受信部17hおよびリモコン制御部17jを備えている。また、図5に示すように、制御部16は、人体検知センサ20、着座検知センサ15、便蓋開閉センサ21、便座開閉センサ22および信号受信部23から送られる信号に応じて、報知手段(光表示部)19、便蓋開閉装置25、便座開閉装置26、局部洗浄機構18および便器洗浄装置14を制御し、さらに信号送信部24から信号受信部17hへ信号を送信可能としている。
【0019】
制御部16は、大便器11へ供給する洗浄水量が異なる二つの洗浄モードである「大洗浄モード」、「小洗浄モード」のいずれか一つを選択する機能を有している。即ち、着座検知センサ15が検知した信号から便座12への使用者の着座時間を検出し、この着座時間の長短に基づいて制御部16が「大洗浄モード」または「小洗浄モード」のいずれか一つを選択し、選択された洗浄モードに応じた制御信号を便器洗浄装置14へ送信して大便器11の洗浄が実行される。また、選択された洗浄モードに応じた信号を、信号送信部24から信号受信部17hに送信する。
【0020】
制御部16が選択した洗浄モードを使用者に報知するための報知手段として、本体部10a後縁部分に配置された光表示部19および操作部17の前面に配置された光表示部17gが設けられ、使用者が洗浄モードの種類を目視で識別可能となっている。また、「大洗浄モード」または「小洗浄モード」のいずれか一つを使用者が手動で選択可能な手動切替手段として、大洗浄スイッチ17d、小洗浄スイッチ17eが操作部16に設けられている。さらに、「大洗浄モード」が選択された場合に、それを解除するための大洗浄キャンセルスイッチ17cが設けられている。制御部16が「小洗浄モード」を選択しているときは、本体部10aの光表示部19および操作部17の光表示部17gは消灯状態にあるが、「大洗浄モード」が選択されると、図3,図6に示すように、光表示部19および光表示部17gが点灯する。なお、洗浄モードの報知手段はこれらに限定しないので、例えば、選択された洗浄モードを文字で表示する液晶表示部あるいは音声で知らせる音声表示部などを操作部17に設けることもできる。また、洗浄モードの報知手段として、操作部17の光表示部17gもしくは本体部10aの光表示部19のいずれか一方のみを設けることもできる。
【0021】
ここで、図7に基づいて、便器装置10の動作について説明する。電源スイッチ(図示なし)を押圧すると電源オンの状態となる(ステップ100)。図5に示す着座検知センサ15によって便器使用開始か否かの判断が行われ(ステップ101)、着座検知センサ15が使用者を検知するとタイマーT1がセットされ(ステップ102)、着座時間の計測が開始される。タイマーT1がタイムアップ(ステップ104)する前に便器使用が終了すると(ステップ103)、制御部16が「小洗浄モード」を選択するとともに洗浄時間T2が「小洗浄モード」に設定され(ステップ105)、自動洗浄開始ディレイT3がセットされる(ステップ106)。自動洗浄開始ディレイT3がタイムアップすると(ステップ107)、便器洗浄開始タイマーT2がセットされ(ステップ108)、便器洗浄が実行される。そして、便器洗浄開始タイマーT2がタイムアップすると(ステップ109)、便器洗浄が終了する(ステップ120)。
【0022】
一方、使用者が着座した後、タイマーT1がタイムアップ(ステップ104)した時点で便器使用が終了していない場合、制御部16は「大洗浄モード」を選択し(ステップ110)、光表示部19および光表示部17gのLEDが点灯する(ステップ111)。この後、便器使用が終了すると(ステップ112)、自動洗浄開始ディレイT3がセットされる(ステップ113)。この時点で、制御部16によって選択された「大洗浄モード」が使用者にとって不適切である場合、使用者は図3に示す操作部17の大洗浄キャンセルスイッチ17cを操作して、洗浄モードを「小洗浄モード」に切り替えることができる(ステップ114)。
【0023】
大洗浄キャンセルスイッチ17cが操作されると、光表示部19および光表示部17gのLEDが消灯し(ステップ115)、洗浄時間T2が「小洗浄モード」に設定される(ステップ116)。この後、自動洗浄開始ディレイT3がタイムアップすると、前述したステップ107以降の工程が実行される。
【0024】
一方、選択された「大洗浄モード」が使用者にとって適切であれば、大洗浄キャンセルスイッチ17cは操作されないので(ステップ114)、自動洗浄開始ディレイT3がタイムアップすると(ステップ117)、便器洗浄が開始され、光表示部19および光表示部17gのLEDが消灯するとともにタイマーT2がセットされる(ステップ118)。そして、タイマーT2がタイムアップすると(ステップ119)、便器洗浄が終了する(ステップ120)。
【0025】
便器装置10において、使用者は、制御部16が「大洗浄モード」を選択したことを報知手段である光表示部19および光表示部17gの点灯で知ることができる。このため、小用のときに「大洗浄モード」が選択されていることを報知された場合、使用者は手動切替手段である大洗浄キャンセルスイッチ17cを操作して「小洗浄モード」に切り替えることにより、小洗浄の水量で便器洗浄を実行させることができる。このため、実際は小用であるにもかかわらず、大洗浄水量が供給されるのを回避することが可能となり、洗浄水の無駄を低減することができる。
【0026】
本実施形態においては、「大洗浄モード」が選択されたときの洗浄水量を8リットル、「小洗浄モード」が選択されたときの洗浄水量を6リットルに設定し、洗浄水量の設定は便器洗浄装置14に設けられた開閉弁(図示せず)の開放時間の長短を調節することによって行っているが、これらに限定するものではない。また、洗浄モードの手動切替手段とし大洗浄キャンセルスイッチ17cを設けているが、これと同じ機能を小洗浄スイッチ17eに持たせることもできる。
【0027】
次に、図8〜図13に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。図8は本発明の第2実施形態である便器装置を示す斜視図、図9,図10は図8に示す便器装置を構成する光表示部付近を示す垂直断面図、図11は図8に示す便器装置を構成する光表示部を示す斜視図、図12は図11に示す光表示部の分解斜視図、図13は図8に示す便器装置の動作状態を示すフローチャートである。なお、図8〜図13において、図1〜図7に示す符号と同符号を付している部分は前述した便器装置10の構成部分と同じ構造、機能を有する部分であり、説明を省略する。
【0028】
図8に示すように、本実施形態の便器装置30は、大便器11に設置された便座12および便蓋13と、大便器11のボウル部11a内に洗浄水を供給する便器洗浄装置と、便座12に着座した使用者の有無を検知する着座検知センサ15と、大便器11に洗浄水を供給する制御信号を便器洗浄装置へ送信する制御部と、を備えている。便器洗浄装置、着座検知センサおよび制御部は本体部30a内に配置されている。制御部は、大便器11のボウル部11a内へ供給する洗浄水量が異なる複数の洗浄モード(大洗浄モード、小洗浄モード)のうちのいずれか一つを選択する機能を有している。そして、着座検知センサ15の検知信号から便座12への使用者の着座時間を検出し、着座時間の長短に基づいて選択した洗浄モードに応じた制御信号を便器洗浄装置へ送信して便器洗浄を実行させる。
【0029】
また、使用者の着座時間の長短に基づいて制御部が選択した洗浄モードを使用者に報知する報知手段として、大洗浄モードが選択されると青色に発光し、小洗浄モードが選択されると緑色に発光する光表示部39が本体部30aの後縁部分に配置されている。さらに、複数の洗浄モード(大洗浄モード、小洗浄モード)のうちのいずれかを使用者が手動で選択可能な手動切替手段として、図3で示した、リモコン方式の操作部17が設けられている。
【0030】
図9に示すように便蓋13が閉止状態にあるとき、光表示部39は、便蓋13の後縁部分の後方に現れ、図10に示すように便蓋13が開放状態にあるとき、光表示部39は便蓋13の後縁部分の内側に現れる。このため、便蓋13が閉止、開放のいずれの状態にあっても使用者は光表示部39の発光色を目視確認することができる。
【0031】
図11に示すように、光表示部39は一体化されたユニット構造をなしており、図12に示すように、青色LED40b、緑色LED40gおよび赤色LED40rと、コネクタ40cと、が実装されたプリント基板39eと、プリント基板39eを覆うように装着されるホルダ39dと、ホルダ39d表面から突出する3個のLED(青色LED40b、緑色LED40g、赤色LED40r)の光を拡散させるレンズ39cと、透光部材39aと、を備えている。ホルダ39dには、3個のLED(青色LED40b、緑色LED40g、赤色LED40r)を挿通させる3個の貫通孔39hが設けられ、両端の貫通孔39hにはそれぞれ、レンズ39cを固定するための一対のレンズ保持部39gが対向配置されている。また、ホルダ39dを本体部30a内にネジ(図示せず)で固定するため、その外周には複数の固定部39fが設けられている。
【0032】
図9,図10に示すように、光表示部39は本体部30a内にパッキン39bを介して取り付けられ、光表示部39の透光部材39aの上面に突設された突出部39iの表面が本体部30aの取付孔30bから露出するように固定されている。
【0033】
ここで、図13に基づいて、便器装置30の動作について説明する。電源スイッチ(図示なし)を押圧すると電源オンの状態となる(ステップ200)。図5に示す着座検知センサ15によって便器使用開始か否かの判断が行われ(ステップ201)、着座検知センサ15が使用者を検知するとタイマーT1がセットされ(ステップ202)、着座時間の計測が開始されるとともに、光表示部39の青色LED40bが点灯する(ステップ203)。タイマーT1がタイムアップ(ステップ205)する前に便器使用が終了すると(ステップ204)、制御部1が「小洗浄モード」を選択するとともに洗浄時間T2が「小洗浄モード」に設定され(ステップ206)、自動洗浄開始ディレイT3がセットされる(ステップ208)。
【0034】
自動洗浄開始ディレイT3がタイムアップすると(ステップ209)、便器洗浄開始タイマーT2がセットされ便器洗浄が実行されるとともに、光表示部39の青色LED40bが消灯する(ステップ210)。そして、便器洗浄開始タイマーT2がタイムアップすると(ステップ211)、便器洗浄が終了する(ステップ220)。
【0035】
一方、使用者が着座した後、タイマーT1がタイムアップ(ステップ205)した時点で便器使用が終了していない場合、制御部16は「大洗浄モード」を選択し(ステップ212)、光表示部39の青色LED40bが消灯して、緑色LED40gが点灯する(ステップ213)。この後、便器使用が終了すると(ステップ214)、自動洗浄開始ディレイT3がセットされる(ステップ215)。この時点で、制御部16によって選択された「大洗浄モード」が使用者にとって不適切である場合、使用者は図3に示す操作部17の大洗浄キャンセルスイッチ17cを操作して洗浄モードを「小洗浄モード」に切り替えることができる(ステップ216)。
【0036】
大洗浄キャンセルスイッチ17cが操作されると、洗浄時間T2が「小洗浄モード」に設定され光表示部39の緑色LED40gが消灯して青色LED40bが点灯する(ステップ218)。この後、自動洗浄開始ディレイT3がタイムアップすると、前述したステップ210以降の工程が実行される。
【0037】
一方、選択された「大洗浄モード」が使用者にとって適切であれば、大洗浄キャンセルスイッチ17cは操作されないので(ステップ216)、自動洗浄開始ディレイT3がタイムアップすると(ステップ217)、便器洗浄が開始され、光表示部39の緑色LED40gが消灯するとともにタイマーT2がセットされる(ステップ218)。そして、タイマーT2がタイムアップすると(ステップ219)、便器洗浄が終了する(ステップ220)。
【0038】
便器装置30の場合、使用者は、制御部16が「大洗浄モード」を選択したことを報知手段である光表示部39の緑色LED40gが点灯することによって知ることができる。このため、小用のときに「大洗浄モード」が選択されていることを報知された場合、使用者は手動切替手段である大洗浄キャンセルスイッチ17cを操作して「小洗浄モード」に切り替えることにより、小洗浄の水量で便器洗浄を実行させることができる。このため、実際は小用であるにもかかわらず、大洗浄水量が供給されるのを回避することが可能となり、洗浄水の無駄を低減することができる。
【0039】
また、使用者は、制御部16が選択した洗浄モードを光表示部39を目視することによって容易に把握し、洗浄モードの切替が必要であるか否かを即時に判断することができるため、洗浄水の無駄を大幅に低減することができる。
【0040】
本実施形態においては、洗浄水量の設定は便器洗浄装置14に設けられた開閉弁(図示せず)の開放時間の長短を調節することによって行っているが、これらに限定するものではない。また、洗浄モードの手動切替手段とし大洗浄キャンセルスイッチ17cを設けているが、これと同じ機能を小洗浄スイッチ17eに持たせることもできる。
【0041】
本実施形態においては、以下のような変形例として実施することもできる。この変形例においては、制御部は、大便器11のボウル部11a内へ供給する洗浄水量が異なる複数の洗浄モード(大洗浄モード、中洗浄モード、小洗浄モード)のうちのいずれか一つを選択する機能を有している。「大洗浄モード」は便座12に比較的長時間座ったときに選択されて洗浄水量を8リットルとする洗浄モードであり、「中洗浄モード」は便座12に比較的短時間座ったときに選択されて洗浄水量を6リットルとする洗浄モードであり、「小洗浄モード」は便座12に座らなかったときに選択されて洗浄水量を4.5リットルとする洗浄モードである。そして、便座12に座ったときに選択可能な洗浄モード(大洗浄モード、中洗浄モード)をそれぞれ緑色LED40g、青色LED40bの点灯によって報知する。大洗浄キャンセルスイッチ17cを操作したときは「中洗浄モード」に切り替わり、光表示部39の青色LED40bが点灯し、ステップ217以降の工程が実行されるような構成とすることもできる。
【0042】
次に、図14に基づいて、本発明の第3実施形態について説明する。図14は本発明の第3実施形態である便器装置を示す斜視図である。なお、図14において、図1〜図7に示す符号と同符号を付している部分は前述した便器装置10の構成部分と同じ構造、機能を有する部分であり、説明を省略する。
【0043】
図14に示すように、本実施形態の便器装置50は、大便器11の後部上面に、便器洗浄装置を内蔵した洗浄水タンク51を備えている。前述した便器装置10,30と同様、便器装置50は、本体部50a内に設けられた着座検知センサの検知信号から便座12への使用者の着座時間を検出し、制御部は前記着座時間の長短に基づいて選択した洗浄モードに応じた制御信号を便器洗浄装置へ送信して便器洗浄を実行する。また、制御部が選択した洗浄モードを使用者に報知する報知手段として光表示部59が設けられ、複数の洗浄モード(大洗浄モード、小洗浄モード)のうちのいずれかを使用者が手動で選択可能な手動切替手段として、洗浄水タンク51の側面に切替ハンドル52が設けられている。
【0044】
便器装置50の場合、使用者は、制御部16が「大洗浄モード」を選択したことを報知手段である光表示部59が点灯することによって知ることができる。このため、小用のときに「大洗浄モード」が選択されていることを報知された場合、使用者は手動切替手段である切替ハンドル52を操作して「小洗浄モード」に切り替えて洗浄することができる。従って、実際は小用であるにもかかわらず、大洗浄水量が供給されるのを回避することが可能となり、洗浄水の無駄を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の便器装置は、一般住宅や公共施設の水洗トイレにおいて広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施形態である便器装置を示す斜視図である。
【図2】図1の一部拡大図である。
【図3】図1に示す便器装置の操作部を示す斜視図である。
【図4】図1に示す便器装置の本体部の内部構造を示す斜視図である。
【図5】図1に示す便器装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図1に示す便器装置の垂直断面図である。
【図7】図1に示す便器装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態である便器装置を示す斜視図である。
【図9】図8に示す便器装置を構成する光表示部付近を示す垂直断面図である。
【図10】図8に示す便器装置を構成する光表示部付近を示す垂直断面図である。
【図11】図8に示す便器装置を構成する光表示部を示す斜視図である。
【図12】図11に示す光表示部の分解斜視図である。
【図13】図8に示す便器装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第3実施形態である便器装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
10,30,50 便器装置
10a,30a,50a 本体部
11 大便器
11a ボウル部
12 便座
13 便蓋
14 便器洗浄装置
15 着座検知センサ
16 制御部
17 操作部
17a 局部洗浄スイッチ
17b 便座便蓋開閉スイッチ
17c 大洗浄キャンセルスイッチ
17d 大洗浄スイッチ
17e 小洗浄スイッチ
17f リモコン信号送信部
17g,19,39,59 光表示部
17h 信号受信部
17j リモコン制御部
17m 止スイッチ
18 局部洗浄機構
20 人体検知センサ
21 便蓋開閉センサ
22 便座開閉センサ
23 リモコン信号受信部
24 信号送信部
25 便蓋開閉装置
26 便座開閉装置
30b 取付孔
39a 透光部材
39b パッキン
39c レンズ
39d ホルダ
39e プリント基板
39f 固定部
39g レンズ保持部
39h 貫通孔
39i 突出部
40c コネクタ
40b 青色LED
40g 緑色LED
40r 赤色LED
51 洗浄水タンク
52 切替ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大便器および前記大便器に設置された便座と、
前記大便器に洗浄水を供給する便器洗浄装置と、
前記便座に着座した使用者の有無を検知する着座検知センサと、
前記大便器に洗浄水を供給する制御信号を前記便器洗浄装置へ送信する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記大便器へ供給する洗浄水量が異なる複数の洗浄モードのうちのいずれか一つを選択する機能を有し、前記着座検知センサの検知信号から前記便座への使用者の着座時間を検出し、前記着座時間の長短に基づいて選択した前記洗浄モードに応じた制御信号を前記便器洗浄装置へ送信して便器洗浄を実行させる便器装置において、
前記制御部が選択した前記洗浄モードを使用者に報知する報知手段と、複数の前記洗浄モードのうちのいずれかを使用者が手動で選択可能な手動切替手段と、を設けたことを特徴とする便器装置。
【請求項2】
前記報知手段として、前記制御部が選択した前記洗浄モードを使用者に目視で識別させるための表示部を設けたことを特徴とする請求項1記載の便器装置。
【請求項3】
大便器および前記大便器に設置された便座と、
前記大便器に洗浄水を供給する便器洗浄装置と、
前記便座に着座した使用者の有無を検知する着座検知センサと、
前記大便器に洗浄水を供給する制御信号を前記便器洗浄装置へ送信する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記大便器へ供給する洗浄水量が異なる複数の洗浄モードのうちのいずれか一つを選択する機能を有し、前記着座検知センサの検知信号から前記便座への使用者の着座時間を検出し、前記着座時間の長短に基づいて選択した前記洗浄モードに応じた制御信号を前記便器洗浄装置へ送信して便器洗浄を実行させる便器装置において、
前記制御部が洗浄水量の多い前記洗浄モードを選択した場合、当該洗浄モードが選択されたことを報知する報知手段と、複数の前記洗浄モードのうちのいずれかを使用者が手動で選択可能な手動切替手段と、を設けたことを特徴とする便器装置。
【請求項4】
前記手動切替手段が選択した前記洗浄モードに基づき前記制御部が当該洗浄モードに応じた制御信号を前記便器洗浄装置へ送信して便器洗浄を実行させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−63797(P2008−63797A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242045(P2006−242045)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】