説明

便座便蓋の緩閉止装置

【目的】 室温にかかわらず、便座・便蓋の理想的な閉止フィーリングを確保する。
【構成】 ケーシング2とローター3の間に粘性体を充填したダンパー1を備え、該ダンパー1を介して便座6・便蓋7を便器本体4に連結してなる便座便蓋の緩閉止装置において、ダンパー1を加熱する手段9と、ダンパー1内の粘性体の温度を検出する手段8と、該検出手段8からの信号に基づいて、加熱手段9を作動させて粘性体の温度を一定に保持する制御手段12とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は便座便蓋の緩閉止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】便座・便蓋を閉止する際、便器本体との間で大きな衝撃音を発生したり、破損したりする場合がある。そこで、便座・便蓋をダンパーを介して便器本体に連結して便座・便蓋の閉止を緩やかにしている。このダンパーはケーシングとローターの間にグリスを充填してなるもので、ケーシングを便器本体に設置し、ローターを便座・便蓋に連結してある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この装置は、グリスの粘性が温度によって変化すること、および、樹脂製であるケーシング及びロータの膨張収縮による寸法変化のため、室温が高くなるほどダンパーの抵抗力が小さくなり、便座・便蓋の閉止速度が速くなりがちであった。
【0004】本発明は、このような事情に鑑み、室温にかかわらず、理想的な閉止フィーリングが得られる便座便蓋の緩閉止装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明は、ケーシングとローターの間に粘性体を充填したダンパーを備え、該ダンパーを介して便座・便蓋を便器本体に連結してなる便座便蓋の緩閉止装置において、上記ダンパーを加熱する手段と、上記ダンパー内の粘性体の温度を検出する手段と、該検出手段からの信号に基づいて、上記加熱手段を作動させて上記粘性体の温度を一定に保持する制御手段とを設けたことを特徴とする。
【0006】
【作用】本発明によれば、ダンパー内の粘性体の温度が目標値より低下すると、その変化が検出手段によって検出される。そして、該検出手段からの信号に基づいて、制御手段が加熱手段を作動させてダンパーを加熱し、粘性体の温度を目標値に復帰させる。
【0007】
【実施例】図1に本発明の便座便蓋の緩閉止装置(タンパー)を示す。図2は、このダンパーと便座、便蓋との連結状態を示す。
【0008】図1において、1はケーシング2内にローター3を収納してなるダンパーで、ケーシング2とローター3の間にはグリスを充填してある。該ダンパー1はケーシング2を便器本体4に設置するとともに、シャフト5を便座6のブラケット6aと便蓋7のブラケット7aに係合挿通し(図2参照)、その先端をケーシング2の孔2aから差し込んでローター3に連結させてある。
【0009】ケーシング2の外面には、ダンパー1の温度を検出するためのサーミスタ8と、ダンパー1を加熱するためのヒータ9が設置されている。該ヒータ9には、アルミ箔10とチュービングヒータ11を一体化させたものを用いてある。そして、サーミスタ8の出力信号は図3に示すように制御部12に送られ、該制御部12からヒータ9への通電が行われる。制御部12は、便器の適当な箇所に配置される。例えば、図4に示すように便座6及び便蓋7が局部洗浄装置20に取付けられている場合、この局部洗浄装置20内のコントロール基板上に制御部12が配置される。
【0010】本実施例はこのように構成してあるので、便座6・便蓋7を閉止する際、ダンパー1のローター3にグリスのせん断抵抗が生じ、便座6・便蓋7の閉止が緩やかに行われる。ここで、せん断抵抗は、ロータ3とケーシング2の寸法及びグリスの粘性係数の関数となるが、寸法は室温によって変化し、かつ、粘性係数も温度によって変化する。そこで、このダンパー1は、室温の上限(目標値)で理想的な閉止フィーリングが得られるように設計されている。例えば、室温の上限としては約30℃を目標値とするが、局部洗浄装置のように、内部に温水タンクなどの熱源を備えたものにおいては、その熱源温度を目標値とすることが望ましい。いま、室温が低下し目標値から外れると、サーミスタ8がダンパー1内のグリスの温度変化を検出し、その信号が制御部12へ送られる。
【0011】制御部12では、演算処理部がサーミスタ8からの信号を受けて、予めメモリに記憶させておいたグリス温度とヒータ通電量のテーブルを読み出し、ヒータ9への通電量を決定する。そして、制御部12からヒータ9への通電が行われ、ダンパー1が加熱される。この結果、グリスの温度が常に目標値に保持され、便座6・便蓋7の理想的な閉止フィーリングが確保されることになる。
【0012】なお、上記ヒータ9の構成としては、フィルムヒータやリボンヒータ、パネルヒータなどを用いてもよい。また、PTCサーミスタヒータを用いれば、サースタ8を省略することができる。さらに、ダンパー1に温風を吹き付けて間接的に加熱するようにしてもよい。
【0013】更にグリス温度の目標値を使用者が設定できるように目標値設定手段13を備えておけば、使用者の好みの閉止フィーリングを実現することができ、また便座6、便蓋7にカバーを取付ける場合にも、使用者が閉止フィーリングを調整することができるため、各使用者毎に理想とする閉止フィーリングが実現可能である。
【0014】
【発明の効果】本発明の便座便蓋の緩閉止装置では、室温にかかわらず、ダンパー内の粘性体の温度が一定に保たれ、理想的な閉止フィーリングを常に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る便座便蓋の緩閉止装置を示す斜視図である。
【図2】同装置における便座・便蓋とダンパーの連結状態を示す図である。
【図3】同装置のブロック図である。
【図4】同装置を採用した便器の斜視図である。
【符号の説明】
1 ダンパー
2 ケーシング
3 ローター
4 便器本体
5 シャフト
6 便座
7 便蓋
8 サーミスタ
9 ヒータ
10 アルミ箔
11 チュービングヒータ
12 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケーシングとローターの間に粘性体を充填したダンパーを備え、該ダンパーを介して便座・便蓋を便器本体に連結してなる便座便蓋の緩閉止装置において、上記ダンパーを加熱する手段と、上記ダンパー内の粘性体の温度を検出する手段と、該検出手段からの信号に基づいて、上記加熱手段を作動させて上記粘性体の温度を一定に保持する制御手段とを備えたことを特徴とする便座便蓋の緩閉止装置。
【請求項2】 前記一定に保持される温度が、前記ダンパーが備えられる周囲温度の上限であることを特徴とする請求項1記載の便座便蓋の緩閉止装置。
【請求項3】 前記一定に保持される温度を設定するための目標値設定手段を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の便座便蓋の緩閉止装置。
【請求項4】 上記加熱手段と検出手段にPTCサーミスタヒータを用いたことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の便座便蓋の緩閉止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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