説明

便座又は便蓋の電動開閉装置

【課題】便座または便蓋の電動開閉を長年にわたって安定的に行うことができる電動開閉装置を提供する。
【解決手段】モータ721の回転量または減速された回転量を検知する回転量検知部724と、モータ721からみて回転量検知部724よりも下段側に設けられ、回転量検知部724が設けられた部分よりも減速された部分の回転角度を検知する角度検知部725と、角度検知部725により検知された回転角度に基づいて、予め定められた通電量をモータ721に供給し便座または便蓋の開動作及び閉動作の少なくともいずれかを実行させる制御部とを備え、制御部は、角度検知部725により検知された回転角度と、回転量検知部724により検知された回転量との関係に変化が生ずると、変化の量に基づいて検知された回転角度を補正し、補正後の回転角度に基づいて、予め定められた通電量をモータ721に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、便座又は便蓋の電動開閉装置に関し、具体的にはモータなどの駆動装置により便座および便蓋をそれぞれ電動開閉可能な便座又は便蓋の電動開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばモータなどの駆動装置により、便座および便蓋をそれぞれ電動開閉することができる電動開閉装置がある。これによれば、使用者は、例えば操作ボタンを操作することにより便座や便蓋を開閉させることができる。あるいは、入室センサがトイレ室内における使用者の有無を検知することにより、電動開閉装置は便座や便蓋を開閉させることができる。そのため、手で便座や便蓋を開閉させなくとも、電動により便座や便蓋を開閉させることができるため便利である。
【0003】
このような便座または便蓋の電動開閉装置において、便座および便蓋の開閉位置を検知し、便座および便蓋の開閉位置に対応した所定の速度で便座および便蓋を開閉させるためのフィードバック制御を行う便座・便蓋開閉装置がある(特許文献1)。また、便座または便蓋の負荷トルクにより駆動モータの駆動量を変化させる便座又は便蓋の電動開閉装置がある(特許文献2)。特許文献1および2に記載された開閉装置によれば、便座および便蓋の開閉速度の変化を防止したり吸収したりすることができ、便座や便蓋をスムーズにあるいは安定的に開閉させることができる。
【0004】
しかしながら、例えば、便座や便蓋の内部に断熱材を内蔵させたりすることにより便座や便蓋の荷重が大きくなると、モータなどの回転を便座や便蓋に伝える回転軸からみて便座や便蓋が変形する場合がある。あるいは、開閉装置による開閉を長年にわたって繰り返すことにより、回転軸からみて便座や便蓋が変形したり、回転軸からみた便座や便蓋の位置が変化する場合がある。そうすると、便座や便蓋の開閉位置の検知にずれが生じるため、便座や便蓋を安定的に開閉することができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−31561号公報
【特許文献2】特開2004−180698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、便座または便蓋の電動開閉を長年にわたって安定的に行うことができる電動開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、モータと、前記モータの回転を便座または便蓋に伝達し、前記便座または前記便蓋を開閉する回転軸と、前記モータの回転量または減速された回転量を検知する回転量検知部と、前記モータからみて前記回転量検知部よりも下段側に設けられ、前記回転量検知部が設けられた部分よりも減速された部分の回転角度を検知する角度検知部と、前記角度検知部により検知された回転角度に基づいて、予め定められた通電量を前記モータに供給し前記便座または便蓋の開動作及び閉動作の少なくともいずれかを実行させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記角度検知部により検知された回転角度と、前記回転量検知部により検知された回転量と、の関係に変化が生ずると、前記変化の量に基づいて前記検知された回転角度を補正し、前記補正後の前記回転角度に基づいて、予め定められた通電量を前記モータに供給することを特徴とする便座又は便蓋の電動開閉装置である。 この便座又は便蓋の電動開閉装置によれば、回転軸からみて便座または便蓋が変形し、回転軸と便座または便蓋との位置関係が初期状態から変化した場合であっても、制御部は、その変化に基づいて角度検知部によって検知された前記回転角度を補正し、回転軸と便座または便蓋との位置関係を補正することができる。そのため、便座または便蓋の電動開閉を長年にわたって安定的に行うことができる。
【0008】
また、第2の発明は、第1の発明において、初期状態における前記回転角度と前記回転量とを関連付けて記憶する記憶部をさらに備え、前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記回転角度および前記回転量と、前記モータが回転した際に前記角度検知部により検知された回転角度および前記回転量検知部により検知された回転量と、を比較することにより前記変化量を算出することを特徴とする便座又は便蓋の電動開閉装置である。
この便座又は便蓋の電動開閉装置によれば、回転軸からみて便座または便蓋が変形し、回転軸と便座または便蓋との位置関係が初期状態から変化した場合であっても、制御部は、記憶手段に関連付けて記憶された回転角度および回転量のデータに基づいて変化量を算出し、その変化量に基づいて前記回転量または前記回転角度を補正し、回転軸と便座または便蓋との位置関係を補正することができる。そのため、便座または便蓋の電動開閉を長年にわたって安定的に行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、回転軸に対する便座または便蓋の位置にずれが生じても便座または便蓋の電動開閉を長年にわたって安定的に行うことができる電動開閉装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態にかかる電動開閉装置を備えたトイレ装置の模式斜視図である。
【図2】本実施形態のトイレ装置において便蓋が閉じた状態を表す。
【図3】本実施形態のトイレ装置の要部構成を例示するブロック図である。
【図4】本実施形態にかかる便蓋開閉ユニットの内部構造を例示する平面模式図である。
【図5】本実施形態にかかる便蓋開閉ユニットの要部構成を例示するブロック図である。
【図6】角度検知部により検知される駆動軸の角度範囲(エリア)を例示する模式図である。
【図7】便蓋の取り付け部の構造を表す模式図である。
【図8】便蓋の取り付け部の構造を表す模式図である。
【図9】便蓋と駆動軸との関係を説明するための平面模式図である。
【図10】便蓋が全閉状態と全開状態との間を回動するときの角度検知部および回転量検知部の出力信号を例示するタイミングチャートである。
【図11】本実施形態にかかる便蓋開閉ユニットの補正動作の具体例の表すフローチャートである。
【図12】本実施形態の便蓋が閉じた状態及び開く状態を表す模式図である。
【図13】便蓋の開き角度と、便蓋の重量により駆動軸に負荷されるトルクと、の関係を例示するグラフ図である。
【図14】便蓋の開き角度と、モータの駆動力と、の関係を例示するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる電動開閉装置を備えたトイレ装置の模式斜視図である。
また、図2は、本実施形態のトイレ装置において便蓋が閉じた状態を表す。
また、図3は、本実施形態のトイレ装置の要部構成を例示するブロック図である。
【0012】
図1および図2に表したトイレ装置は、便座装置100と、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、を備える。便座装置100は、便器800の後方に設けられた本体部400を有する。本実施形態のトイレ装置は、「水道直圧式」であり、便器800に流す洗浄水を制御するためのバルブ機構が本体部400に内装されている。ただし、本発明はこの具体例には限定されず、いわゆる「ロータンク式」のトイレ装置にも同様に適用できる。
【0013】
本体部400には、便座200及び便蓋300がそれぞれ開閉自在に軸支されている。便座200は本体部400の相対的に前方に設けられた駆動軸により軸支され、一方、便蓋300は本体部400の相対的に後方に設けられた駆動軸により軸支されている。これらの駆動軸および軸支部については、後に詳述する。
【0014】
そして、本実施形態の便座装置100は、図3に表したように、便蓋開閉ユニット(電動開閉装置)720及び便座開閉ユニット(電動開閉装置)780の少なくともいずれかを備える。便蓋開閉ユニット720は、内蔵するモータにより便蓋300を開閉するユニットである。便座開閉ユニット780は、内蔵するモータにより便座200を開閉するユニットである。これらユニットの動作は、制御部640により制御される。便蓋開閉ユニット720および便座開閉ユニット780については、後に詳述する。
【0015】
また、本実施形態の便座装置100は、便蓋開閉ユニット720及び便座開閉ユニット780が検知する回転角度と回転量とを関連付けて記憶する記憶部490を備える。この記憶部490には、便座装置100の製造時あるいは出荷時あるいはトイレ室への設置時の状態、すなわち初期状態における回転角度と回転量とが関連付けて記憶されている。なお、記憶部490に記憶されたデータは、便座装置100の電源が切断されたとしても消失しない。
【0016】
また、本実施形態の便座装置100は、衛生洗浄装置としての機能部も併せ持つ。すなわち、便座装置100は、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて水を噴出する吐水ノズル615を有する洗浄機能部610を備える。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。便座装置100は、さらに、便座暖房ユニット210、室内暖房ユニット740、便器洗浄ユニット730、照明ユニット790などの付加機能部を備える。なお、これらの他にも、例えば、便座に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる温風乾燥ユニットや、便器のボウル内の空気を吸い込み、フィルタや触媒などを介して臭気成分を低減させる脱臭ユニットなどを設けてもよい。
【0017】
なお、室内暖房ユニット740および脱臭ユニットを設ける場合には、本体部400の側面には、脱臭ユニットからの排気口440及び室内暖房ユニット740からの排出口450が適宜設けられる。
【0018】
便座暖房ユニット210は、便座を暖める付加機能部である。室内暖房ユニット740は、便座装置100が設置されているトイレ空間を暖房する付加機能部である。便器洗浄ユニット730は、便座装置100が設けられたトイレ装置の便器800のボウルに洗浄水を自動的に流す付加機能部である。照明ユニット790は、便座装置100またはトイレ装置の一部あるいは全体を照明する付加機能部である。
【0019】
これらの付加機能部の動作は、制御部640により制御される。制御部640には、操作部(リモコン)900からの指令が入力され、使用者の操作によりそれぞれの付加機能部の動作を制御することができる。
【0020】
ただし、本発明においては、吐水ノズル615やその他の付加機能部は必ずしも設けなくてもよく、便蓋開閉ユニット720及び便座開閉ユニット780の少なくともいずれかが設けられていればよい。
【0021】
また、便器洗浄ユニット730は、便座装置100と一体的に設けてもよいが、便座装置100とは別体とし、例えば水洗トイレのロータンクに取り付けてもよい。この場合にも、便座装置100と便器洗浄ユニット730とを接続することにより、制御部640から出力される制御信号によってロータンクに取り付けられた便器洗浄ユニット730の動作を制御することができる。
【0022】
制御部640には、さらに焦電センサ500、人体検知センサ420、着座センサ422からの信号が適宜入力される。そして、制御部640は、焦電センサ500の出力に基づいて、便蓋開閉ユニット720や便座暖房ユニット210などの付加機能部を制御する。なお、本実施形態のトイレ装置では、本体部400の上面に凹設部410が形成され、この凹設部410に一部が埋め込まれるように焦電センサ500が設けられている。焦電センサ500は、便蓋300が閉じた状態では、その基部付近に設けられた透過窓310を介して使用者の入室を検知する。ただし、本発明においては、これらセンサ500、420、422を必ずしも備えている必要はない。
【0023】
次に、便蓋開閉ユニット720および便座開閉ユニット780について、図面を参照しつつ説明する。
ここで、便蓋開閉ユニット720と便座開閉ユニット780とは、同様の構造を有し、同様の動作を行うため、以下では、便蓋開閉ユニット720を例に挙げて説明する。
【0024】
図4は、本実施形態にかかる便蓋開閉ユニットの内部構造を例示する平面模式図である。
また、図5は、本実施形態にかかる便蓋開閉ユニットの要部構成を例示するブロック図である。
なお、図4(a)は、便蓋開閉ユニットを正面から眺めた平面模式図であり、図4(b)は、図4(a)に表したA−A断面図である。
【0025】
本実施形態にかかる便蓋開閉ユニット720は、本体部400に内蔵可能であり、その駆動軸(回転軸)728をモータ721により回動可能とされている。その駆動機構は、モータ721の回転出力を減速させる減速機構722、負荷される最大トルクを規制するトルクリミッタ723、角度検知部725、そして、駆動軸728に付勢力を作用させるアシストバネ726を有する。減速機構722は、回転量検知部724を有し、斜歯車、ウォーム歯車、平歯車、遊星歯車などを適宜有する。
【0026】
回転量検知部724は、モータ721からみて角度検知部725よりも上段側に設けられており、回転量センサマグネット724aと、回転量センサ基板724bと、を有する。一方、角度検知部725は、モータ721からみて回転量検知部724よりも下段側に設けられており、角度センサマグネット725aと、角度センサ基板725bと、を有する。
【0027】
つまり、回転量検知部724の回転量センサマグネット724aは、モータ721近傍の相対的に上段の歯車などに適宜固定され、角度検知部725の角度センサマグネット725aよりも速い回転速度で回転する。そのため、回転量センサマグネット724aは、モータ721から1段目あるいは2段目の歯車などに適宜固定されることが好ましい。
【0028】
そして、回転量検知部724の回転量センサ基板724bは、ホール効果などと呼ばれる効果により、起電力(ホール電圧)を検知できる。すなわち、回転量センサマグネット724aがモータ721の回転に連動して回転すると、回転量センサ基板724bは、その電圧(ホール電圧)の変化を検知できる。その電圧の変化は、例えばパルス状の波形として現れる。その結果として、回転量センサ基板724bは、モータ721近傍すなわち角度検知部725よりも上段側の歯車などの回転量を検知できる。なお、本実施形態にかかる便蓋開閉ユニット720では、回転量検知部724は、駆動軸728が例えば約1°〜2°程度回転するごとに1つのパルス状の波形を出力できる(図10参照)。
【0029】
一方、角度検知部725の角度センサマグネット725aは、駆動軸(回転軸)728近傍の相対的に下段の軸や歯車などに適宜固定され、回転量検知部724の回転量センサマグネット724aよりも遅い回転速度で回転する。そのため、角度センサマグネット725aは、モータ721の回転速度が減速機構722により十分に減速された駆動軸728近傍の軸や歯車などに適宜固定されることが好ましい。そして、図4に表したように、角度センサマグネット725aが、駆動軸728を保持する出力軸727あるいは駆動軸728に取り付けられた場合には、角度検知部725は、駆動軸728の回転角度を検知できる。
【0030】
そして、角度検知部725の角度センサ基板725bは、回転量センサ基板724bと同様に、ホール効果などと呼ばれる効果により、起電力(ホール電圧)を検知できる。すなわち、角度センサマグネット725aがモータ721の回転に連動して回転すると、回転量センサ基板724bは、ホール電圧の変化を検知できる。その電圧の変化は、例えばパルス状の波形として現れる。その結果として、角度センサ基板725bは、駆動軸728近傍すなわち角度検知部725よりも下段側の軸や歯車などの回転角度を検知できる。なお、本実施形態にかかる便蓋開閉ユニット720では、角度検知部725は、駆動軸728近傍の軸や歯車など角度範囲(エリア)を検知できる。この角度範囲(エリア)については、後に詳述する。
【0031】
この便蓋開閉ユニット720を用いることにより、便蓋300を電動により開閉させることができる。また、この便蓋開閉ユニット720を取り付けた状態でも、便蓋300を手動により開閉できる。そして、電動による場合も手動による場合も、アシストバネ726を設けることにより、便蓋300を軽く開くことができる。
【0032】
なお、図4および図5においては、回転量検知部724および角度検知部725がホールICである場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されるわけではない。回転量検知部724および角度検知部725は、例えば、ロータリーエンコーダやポテンショメータなどであってもよい。また、図4および図5には、電動式の便蓋開閉ユニット720にアシストバネ726を内蔵させた例を表したが、本発明はこれには限定されない。すなわち、アシストバネ726は、便蓋開閉ユニット720の外側に設けてもよい。
【0033】
次に、角度検知部725により検知される角度範囲(エリア)について、図面を参照しつつ説明する。
図6は、角度検知部により検知される駆動軸の角度範囲(エリア)を例示する模式図である。
以下の説明では、図4に表したように、角度センサマグネット725aが、駆動軸728を保持する出力軸727に取り付けられ、角度検知部725は、駆動軸728の回転角度を検知できる場合を例に挙げて説明する。
【0034】
本実施形態においては、駆動軸728の回転角度範囲を閉止状態(0°)から順にAエリア、Bエリア、Cエリア、Dエリアの4つのエリアに区分している。これら4つのエリアの境界となる角度は、本実施形態では、それぞれ20°、80°、105°である。便蓋開閉ユニット720の駆動軸728がどのエリアにいるかは、図4および図5に関して前述した角度検知部725により検知可能とされている。
【0035】
より具体的には、本実施形態にかかる便蓋開閉ユニット720は、2つの角度検知部725を有する。第1の角度検知部725は、20°〜105°の間において「高」信号を出力し、他の角度では「低」信号を出力するように設定されている(図10参照)。一方、第2の角度検知部725は、80°以上において「高」信号を出力し、他の角度では「低」信号を出力するように設定されている(図10参照)。
【0036】
このように設定された状態において、例えば、第1および第2の角度検知部725が「低」信号を出力している場合には、制御部640は、駆動軸728がAエリアにいると判断する。また、第1の角度検知部725が「高」信号を出力し、第2の角度検知部725が「低」信号を出力している場合には、制御部640は、駆動軸728がBエリアにいると判断する。また、第1および第2の角度検知部725が「高」信号を出力している場合には、制御部640は、駆動軸728がCエリアにいると判断する。また、第1の角度検知部725が「低」信号を出力し、第2の角度検知部725が「高」信号を出力している場合には、制御部640は、駆動軸728がDエリアにいると判断する。これらにより、制御部640は、便蓋開閉ユニット720の駆動軸728がどのエリアにいるかを検知することができる。
【0037】
ここで、後に詳述するように、便蓋300は、軸支部において駆動軸728に軸支されているため、駆動軸728の回転角度と、便蓋300の回転角度と、は略一致している。そのため、制御部640は、駆動軸728がどのエリアにいるかを検知することにより、便蓋300がどのエリアにいるかを判断することができる。
【0038】
なお、便蓋300の開端角度は、Dエリア内のいずれかに設定されている。つまり、便蓋300は、本体部400に設けられた図示しないストッパによりDエリア内のいずれかで停止される。一方、便蓋開閉ユニット720の駆動軸728は、便蓋300の開端角度よりも大きい角度まで回転可能とされている。
【0039】
次に、便蓋300の取り付け部の構造について、図面を参照しつつ説明する。
図7及び図8は、便蓋の取り付け部の構造を表す模式図である。すなわち、図7(a)は本体部のケースカバー430を表し、図7(b)は(a)におけるA部の拡大図である。また、図8(a)は便蓋を表し、図8(b)は(a)におけるA部の拡大図である。
【0040】
図7に表したように、本体部400からは、便蓋300の駆動軸728が横方向に突出している。駆動軸728の先端には、回転軸に対して垂直な方向に延在した結合部が形成されている。また、駆動軸728の下方には突出壁482が設けられ、さらにその下方にはストッパ480が設けられている。
【0041】
一方、便蓋300には、図8に表したように、スリット状に開口した軸支部370が設けられている。本体部400から突出した駆動軸728の先端の結合部は、この軸支部370に挿入され、駆動軸728から回転駆動力が便蓋300に伝達される。つまり、軸支部370に駆動軸728を挿入することにより、便蓋300は本体部400に回動自在に軸支される。
【0042】
また、便蓋300の軸支部370を取り囲むように、環状壁371が設けられている。環状壁371には、開口端372、373に挟まれた切り欠き374が設けられている。例えば、便蓋300を本体部400から着脱する際には、本体部400の突出壁482が切り欠き374を通過するように便蓋300の向きを調節する必要がある。この際の角度範囲は、例えば約80°〜90°程度である。そして、便蓋300を開くと、便蓋300の開口端372がストッパ480に当接し、開端角度が規制される。このようにして、便蓋300の開端角度を確実に規制することができる。
【0043】
次に、便蓋300および便蓋開閉ユニット720の動作について、図面を参照しつつ説明する。
図9は、便蓋と駆動軸との関係を説明するための平面模式図である。
また、図10は、便蓋が全閉状態と全開状態との間を回動するときの角度検知部および回転量検知部の出力信号を例示するタイミングチャートである。
なお、図9(a)は、便蓋と駆動軸とがずれていない状態(初期状態)を表す模式図であり、図9(b)は、便蓋からみて駆動軸が開方向にずれた状態を表す模式図である。
また、図10(a)は、図9(a)に表した状態における角度検知部および回転量検知部の出力信号を例示するタイミングチャートであり、図10(b)は、図9(b)に表した状態における角度検知部および回転量検知部の出力信号を例示するタイミングチャートである。
【0044】
本実施形態の便座装置100では、便座装置100の製造時あるいは出荷時あるいはトイレ室への設置時の状態、すなわち初期状態においては、図9(a)に表したように、駆動軸728の結合部の長軸と、便蓋300の底面と、は略並行している。
【0045】
これに対して、例えば、便蓋300の内部に断熱材を内蔵させたりすることにより便蓋300の荷重が大きくなると、駆動軸728からみて便蓋300の軸支部370が変形する場合がある。あるいは、便蓋開閉ユニット720により便蓋300の開閉を長年にわたって繰り返すと、駆動軸728からみて便蓋300の軸支部370が変形する場合がある。
【0046】
またあるいは、図4および図5に関して前述したように、便蓋開閉ユニット720は、駆動軸728に付勢力を作用させることにより、便蓋300を軽く開くことができたり、モータ721の負担を軽減することができるアシストバネ726を有する。このアシストバネ726は、便蓋300の開方向に駆動軸728を付勢している。そして、アシストバネ726の付勢力は、便蓋300が全閉(閉止)状態のときに最大となり、便蓋300が開動作を行うにつれて低下し、便蓋300が全開状態のときの最小となる。そのため、便蓋300が全閉状態のときには、アシストバネ726は、駆動軸728に最大の付勢力を与え続けている。これに伴い、便蓋300が全閉状態のときには、便蓋300の軸支部370は、駆動軸728から開方向に最大の力を受け続けている。これによれば、駆動軸728からみて便蓋300の軸支部370が変形する場合がある。
【0047】
駆動軸728からみて便蓋300の軸支部370が変形すると、図9(b)に表したように、駆動軸728の結合部の長軸と、便蓋300の底面と、は略並行しなくなる。つまり、駆動軸728と便蓋300との位置関係が、初期状態から変化する。より具体的には、便蓋300からみた駆動軸728の位置が初期状態から開方向にずれる。そのため、便蓋300が全閉状態であるにもかかわらず、駆動軸728は、すでに開方向に回転した状態となる。これによれば、便蓋300の開閉位置の検知にずれが生じる。
【0048】
これについて、図10を参照しつつさらに説明する。便蓋300からみた駆動軸728の位置が初期状態から開方向にずれた場合(図9(b)参照)には、図10(b)に表した矢印のように、第1および第2の角度検知部725の出力信号は、回転量検知部724の出力信号からみて全閉状態の側へ相対的に移動する。あるいは、回転量検知部724の出力信号は、第1および第2の角度検知部725の出力信号からみて全開状態の側へ相対的に移動する。これは、図6に関して前述したように、角度検知部725は、駆動軸728の回転角度を検知しているためである。
【0049】
より具体的には、Aエリア(図6参照)における回転量検知部724からのパルス数は減少し、一方で、Dエリア(図6参照)における回転量検知部724からのパルス数は増加する。また、第1および第2の角度検知部725の出力信号が回転量検知部724の出力信号からみて相対的に移動するため、Bエリア(図6参照)およびCエリア(図6参照)における回転量検知部724からのパルス数は変化しない。
【0050】
そうすると、例えば便蓋300が全閉状態から開動作する際に、便蓋300はBエリアに到達していないにもかかわらず、駆動軸728はBエリアに到達している場合がある。この場合には、制御部640は、便蓋300がBエリアに到達していると判断し誤検知する。つまり、便蓋300の開閉位置の検知にずれが生じる。これは、他のエリアについても同様である。
【0051】
一方、例えば、便蓋300が全開状態から閉動作する際に、便蓋300はBエリアに到達しているにもかかわらず、駆動軸728はBエリアに到達していない場合がある。この場合には、制御部640は、便蓋300がBエリアに到達していないと判断し誤検知する。つまり、便蓋300の開閉位置の検知にずれが生じる。これは、他のエリアについても同様である。
【0052】
このように、便蓋300の開閉位置の検知にずれが生じると、便蓋300を安定的に開閉することができないおそれがある。これは、後に詳述するように、制御部640は、便蓋300を安定的に開閉させるために、便蓋300の開閉位置に応じてモータの駆動力を変化させるが、便蓋300の開閉位置の検知にずれが生じるとモータの駆動力を変化させるタイミングにずれが生ずるためである。
【0053】
そこで、本実施形態にかかる便蓋開閉ユニット720では、駆動軸728と便蓋300との位置関係が初期状態から変化すると、制御部640は補正を行う。すなわち、制御部640は、第1および第2の角度検知部725により検知された回転角度と、回転量検知部724により検知された回転量と、の関係に変化が生ずると、その変化に基づいて、第1および第2の角度検知部725により検知された回転角度を補正する。より具体的には、例えば、AエリアあるいはDエリアにおける回転量検知部724からのパルス数が変化すると、制御部640は、その変化したパルス数を補正する。
【0054】
例えば、便蓋300が全閉状態から開動作する場合に、Aエリアにおける回転量検知部724からのパルス数が5パルス(初期状態)から3パルスに減少した場合には、制御部640は、その減少した2パルス分を補正値としてA、B、Cエリアのパルス数に加える。ここで、駆動軸728と便蓋300との位置関係が初期状態から変化しても、便蓋300の全閉状態と全開状態との間において回転量検知部724から出力される総パルス数は変化しない。これは、第1および第2の角度検知部725の出力信号が回転量検知部724の出力信号からみて相対的に移動したにすぎないためである。そのため、制御部640は、減少した2パルス分を補正値としてA、B、Cエリアのパルス数に加え、総パルス数の内の残りのパルス数をDエリアのパルス数として補正を行う。
【0055】
また、例えば、便蓋300が全開状態から閉動作する場合に、Dエリアにおける回転量検知部724からのパルス数が6パルス(初期状態)から8パルスに増加した場合には、制御部640は、その増加した2パルス分を補正値として、B、C、Dエリアのパルス数から減ずる。そして、制御部640は、増加した2パルス分を補正値としてA、B、Cエリアのパルス数から減じ、総パルス数の内の残りのパルス数をAエリアのパルス数として補正を行う。
【0056】
このような補正を行うことにより、回転量検知部724の出力信号(回転量)からみて全閉状態の側へ相対的に移動した第1および第2の角度検知部725の出力信号(回転角度)を、初期状態に補正することができる。つまり、図10(a)に表した出力信号の状態に補正することができる。そのため、駆動軸728と便蓋300との位置関係を見かけ上初期状態に戻すことができ、便蓋300の開閉位置の検知のずれを抑制することができる。これによれば、駆動軸728の回転角度と、便蓋300の回転角度と、は見かけ上略一致する。そして、制御部640は、便蓋300を安定的に開閉させることができる。
【0057】
なお、図10に関して前述したパルス数は一例にすぎず、各エリアのパルス数や補正値としてのパルス数は、これだけに限定されるわけではない。また、初期状態におけるパルス数は、記憶部490(図3参照)に記憶されている。
【0058】
次に、本実施形態にかかる便蓋開閉ユニット720の補正動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図11は、本実施形態にかかる便蓋開閉ユニットの補正動作の具体例の表すフローチャートである。
【0059】
まず、例えば、使用者が操作部900(図3参照)を操作すると、便蓋300は、便蓋開閉ユニット720により全閉状態から開動作を開始する(ステップS101)。この便蓋300の開動作は、使用者の手動により行われてもよい。続いて、制御部640は、AエリアあるいはDエリアにおける回転量検知部724からのパルス数が変化したか否かを判断する(ステップS103)。
【0060】
ここで、記憶部490には、各エリアにおける回転量検知部724からのパルス数が予め記憶されている。制御部640は、その記憶されたパルス数と、便蓋300の動作時のパルス数と、を比較することにより、AエリアあるいはDエリアにおける回転量検知部724からのパルス数が変化したか否かを判断できる。
つまり、記憶部490には、角度検知部725が設けられた部分(例えば出力軸727)の回転角度と、回転量検知部724が設けられた部分(例えばモータ721近傍の歯車)の回転量と、が関連付けて記憶されている。制御部640は、記憶部490に関連付けて記憶された回転角度および回転量と、便蓋300の動作時の回転角度および回転量と、を比較することにより、駆動軸728と便蓋300との位置関係が初期状態から変化したか否かを判断できる。
【0061】
制御部640は、AエリアあるいはDエリアにおける回転量検知部724からのパルス数が変化していないと判断した場合には(ステップS103:NO)、補正を行わない。一方、制御部640は、AエリアあるいはDエリアにおける回転量検知部724からのパルス数が変化したと判断した場合には(ステップS103:YES)、その変化が3回連続で生じたか否かを判断する(ステップS105)。
【0062】
つまり、ここでは、AエリアあるいはDエリアにおける回転量検知部724からのパルス数がノイズなどにより1回あるいは2回だけ変化したか否かを判断している。そして、AエリアあるいはDエリアにおける回転量検知部724からのパルス数がノイズなどにより変化した場合には(ステップS105:NO)、制御部640は、補正を行わない。
【0063】
一方、AエリアあるいはDエリアにおける回転量検知部724からのパルス数が3回連続で変化した場合には(ステップS105:YES)、制御部640は、その変化量に基づいて補正を行う(ステップS107)。より具体的には、図10に関して前述したように、制御部640は、各エリアにおける回転量検知部724からのパルス数が記憶部490に記憶された初期状態のパルス数となるように補正する。
【0064】
本具体例によれば、各エリアにおける回転量検知部724からのパルス数が変化しても、制御部640は、記憶部490に予め記憶された各エリアにおける回転量検知部724からのパルス数に基づいて、そのパルス数を補正することができる。その結果、回転量検知部724の出力信号(回転量)からみて全閉状態の側へ相対的に移動した第1および第2の角度検知部725の出力信号(回転角度)を、初期状態に補正することができる。すなわち、駆動軸728と便蓋300との位置関係が初期状態から変化しても、制御部640は、記憶部490に関連付けて記憶された回転角度および回転量のデータに基づいて、駆動軸728と便蓋300との位置関係を補正することができる。
【0065】
なお、本具体例では、便蓋300の開動作に基づいて補正を行う場合を例に挙げて説明したが、制御部640は、便蓋300の閉動作に基づいて補正を行ってもよい。また、ステップS105の動作では、ノイズを排除するために、パルス数の変化が3回連続で生じたか否かを判断したが、この回数はこれだけに限定されるわけではなく2回あるいは4回以上であってもよい。
【0066】
次に、便蓋300の開閉状態と、駆動軸728に負荷されるトルクと、モータ721の駆動力と、の関係について、図面を参照しつつ説明する。
図12は、本実施形態の便蓋が閉じた状態及び開く状態を表す模式図である。
また、図13は、便蓋の開き角度と、便蓋の重量により駆動軸に負荷されるトルクと、の関係を例示するグラフ図である。
また、図14は、便蓋の開き角度と、モータの駆動力と、の関係を例示するタイミングチャートである。
【0067】
図12(b)に表したように、本実施形態の便座装置100の場合、便蓋300を閉じた状態において、その重心Gは、駆動軸728における水平線Hよりも鉛直下方にある。従って、この状態から便蓋300を開いていくと、重心Gが水平線Hの上にきた時に、図13に表したように、便蓋300の重量のモーメントによる駆動軸728でのトルクは最大値Tmaxをとる。便蓋300をさらに開くと、その重量モーメントによるトルクは徐々に減少し、アシストバネ726が設けられていない場合には、重心Gが駆動軸728の鉛直上方すなわち鉛直線V(図12(a))の上にきた時(θ0)に、トルクはゼロとなる。つまり、この角度θ0で便蓋300は中立を維持できる。
【0068】
これに対して、アシストバネ726が設けられている場合には、そのアシストバネ726が、便蓋300が開く方向に駆動軸728を付勢している。アシストバネ726は、便蓋300の開き角度に対して図13に表した破線のように徐々に低下するトルクを発生させる。このようなアシストバネ726を設けることにより、便蓋300の重量モーメントによるトルクは軽減される。つまり、便蓋300の重量モーメントによるトルクからアシストバネ726のトルクを差し引いた残りが、便蓋300の開閉に必要とされるトルクとなる。従って、両者がバランスする角度においては、便蓋300は中立を維持できる。そして、便蓋300をその中立角度よりも開くと、駆動軸728には開く方向のトルクが負荷される。つまり、便蓋300をその中立角度よりも開くと、その後は便蓋300は自動的に開端角度まで開く。
【0069】
このように、アシストバネ726が設けられていない場合であっても、アシストバネ726が設けられている場合であっても、便蓋300の重量のモーメントによる駆動軸728でのトルクは、最大値Tmaxをとったあとは徐々に減少する。そのため、制御部640は、図14に表したように、モータ721の駆動力(通電量)を徐々に減少させる。より具体的には、制御部640は、モータ721に通電するパルス波のデューティ比を徐々に減少させる。そうすると、便蓋300は、スムーズにあるいは安定的に開閉できる。また、便蓋300は、開動作時において、開端角度に近づくにつれてより低速度となり、ゆっくりと開端角度に達することができる。
【0070】
しかしながら、駆動軸728と便蓋300との位置関係が初期状態から変化すると、図14の下段に表したタイミングチャートのように、モータ721に供給する通電量を切り替えるタイミングがずれる。そうすると、駆動軸728でのトルクが最大値Tmaxをとる前に、制御部640は、モータ721に供給する通電量を低下させるおそれがある。あるいは、駆動軸728でのトルクが比較的大きいにもかかわらず、モータ721に供給する通電量を低下させるおそれがある。これによれば、便蓋300は、スムーズにあるいは安定的に開閉できないおそれがある。
【0071】
これに対して、本実施形態では、図9〜図11に関して前述したように、各エリアにおける回転量検知部724からのパルス数が変化しても、制御部640は、記憶部490に予め記憶された各エリアにおける回転量検知部724からのパルス数に基づいて、そのパルス数を補正することができる。その結果、回転量検知部724の出力信号(回転量)からみて全閉状態の側へ相対的に移動した第1および第2の角度検知部725の出力信号(回転角度)を、初期状態に補正することができる。
【0072】
すなわち、駆動軸728と便蓋300との位置関係が初期状態から変化しても、制御部640は、記憶部490に関連付けて記憶された回転角度および回転量のデータに基づいて、駆動軸728と便蓋300との位置関係を補正することができる。その結果、制御部640は、モータ721に供給する通電量を切り替えるタイミングを初期状態に戻すことができる。そのため、本実施形態では、便蓋300の電動開閉を長年にわたって安定的に行うことができる。
【0073】
なお、本実施形態にかかる便蓋開閉ユニット720は、回転量検知部724と、角度検知部725と、を利用することにより、便蓋300の開端角度を学習可能とすることができる。例えば、便蓋300を開いたときに開端角度に達すると、モータ721の回転が停止するので回転量検知部724がこれを検知する。また、角度検知部725により、便蓋300の開き角度を学習できる。従って、その次に便蓋300を開く時に、その開き角度に近づくにつれて便蓋300の速度が低下し、ゆっくりと開端角度に達するように制御できる。
【0074】
このようにすると、例えば、トイレ室の後壁に突出量の大きい突出体がある場合でも、本実施形態のトイレ装置をトイレ室に設置し、最初に動作させる際に、便蓋300の開き角度を学習させることかできる。そして、その次の動作からは、その突出体に勢いよく衝突することを防止できる。また同様に、本実施形態のトイレ装置を設置して使用を開始した後、トイレ室の後壁に突出量の大きい飾り額縁などを増設したような場合も、便蓋開閉ユニット720は、便蓋300の開き角度を新たに学習し、次回の動作からはこれに勢いよく衝突しないように便蓋300の開き動作を制御できる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態によれば、駆動軸728からみて便蓋300の軸支部370が変形し、駆動軸728と便蓋300との位置関係が初期状態から変化した場合であっても、制御部640は、記憶部490に関連付けて記憶された回転角度および回転量のデータに基づいて、駆動軸728と便蓋300との位置関係を補正することができる。そのため、便蓋300の電動開閉を長年にわたって安定的に行うことができる。
なお、以上の説明では、便蓋開閉ユニット720および便蓋300の構造や動作などに関して主に説明したが、便座開閉ユニット780および便座200の構造や動作などに関しても同様である。そのため、便座開閉ユニット780についても、便蓋開閉ユニット720と同様の効果を得ることができる。
【0076】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便蓋開閉ユニット720や便座開閉ユニット780などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや回転量検知部724および角度検知部725の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0077】
100 便座装置、 200 便座、 210 便座暖房ユニット、 300 便蓋、 310 透過窓、 370 軸支部、 371 環状壁、 372、373 開口端、 374 切り欠き、 400 本体部、 410 凹設部、 420 人体検知センサ、 422 着座センサ、 430 ケースカバー、 440 排気口、 450 排出口、 480 ストッパ、 482 突出壁、 490 記憶部、 500 焦電センサ、 610 洗浄機能部、 615 吐水ノズル、 640 制御部、 720 便蓋開閉ユニット、 721 モータ、 722 減速機構、 723 トルクリミッタ、 724 回転量検知部、 724a 回転量センサマグネット、 724b 回転量センサ基板、 725 角度検知部、 725a 角度センサマグネット、 725b 角度センサ基板、 726 アシストバネ、 727 出力軸、 728 駆動軸、 730 便器洗浄ユニット、 740 室内暖房ユニット、 780 便座開閉ユニット、 790 照明ユニット、 800 便器、 900 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの回転を便座または便蓋に伝達し、前記便座または前記便蓋を開閉する回転軸と、
前記モータの回転量または減速された回転量を検知する回転量検知部と、
前記モータからみて前記回転量検知部よりも下段側に設けられ、前記回転量検知部が設けられた部分よりも減速された部分の回転角度を検知する角度検知部と、
前記角度検知部により検知された回転角度に基づいて、予め定められた通電量を前記モータに供給し前記便座または便蓋の開動作及び閉動作の少なくともいずれかを実行させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記角度検知部により検知された回転角度と、前記回転量検知部により検知された回転量と、の関係に変化が生ずると、前記変化の量に基づいて前記検知された回転角度を補正し、前記補正後の前記回転角度に基づいて、予め定められた通電量を前記モータに供給することを特徴とする便座又は便蓋の電動開閉装置。
【請求項2】
初期状態における前記回転角度と前記回転量とを関連付けて記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記回転角度および前記回転量と、前記モータが回転した際に前記角度検知部により検知された回転角度および前記回転量検知部により検知された回転量と、を比較することにより前記変化量を算出することを特徴とする請求項1記載の便座又は便蓋の電動開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−55951(P2011−55951A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207227(P2009−207227)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】