説明

便座昇降装置

【課題】便座の昇降態様の変更が可能であり、かつ、設置スペースも取らずに設置が容易である便座昇降装置を提供する。
【解決手段】便器本体12の上に固定する固定部20と、便座11を載置して固定する便座載置部30と、一端部が便座載置部30の後端部30aに回動可能に軸連結された第1リンク部材41を有し、便座載置部30を昇降可能なリンク機構と、便座載置部30の後端部30aから前端部30b寄りに固定されるとともに、第1リンク部材41の中間部が軸連結され、便座載置部30に対する第1リンク部材41の相対回動量を調節可能な調節手段50と、リンク機構に連結され、便座載置部30を昇降させる駆動手段60とを備え、リンク機構、調節手段50、駆動手段60は便座載置部30を挟んで一対配設され、便座載置部30は、調節手段50によって調節される第1リンク部材41の回動量により、後端部30aと前端部30bとの高さが同一の第1昇降態様及び後端部30aが前端部30bより昇降量の大きい第2昇降態様の何れかで昇降する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋便器の便座を昇降させる便座昇降装置に関し、特に、便座の前端部の高さと後端部の高さとを同じレベルで維持しながらの昇降と、便座の前端部の位置が後端部の位置よりも低い状態での昇降とが電動で可能な便座昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の便座昇降装置は、便座の昇降方法(昇降態様)として、便座の前端部の高さと後端部の高さとを同じレベルで維持しながら便座を昇降させる態様と、前端部の位置が後端部の位置よりも低い状態で便座を昇降させる態様とのいずれかを採用していた。しかしながら、中には何れの昇降方法でも選択可能なものも有る。
【0003】
また、便座の昇降をするための動力源に目を向けると人力を利用するものと、電力等の人力以外のものを利用するものが有った。人力を利用するものは、構造が比較的簡素である点が利点となっている。また、一方、便座の昇降を例えば電動にしたものは、幅広い利用者に使用上の利便性を提供している(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−128892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記いずれの昇降態様でも選択可能である便座昇降装置は、購入時に何れかの昇降態様を選択しなければならず、購入後は、購入時に選択した昇降態様でしか使用できないものが殆どであった。購入後に昇降方法を変更可能なものも有るが、それらは専門のメンテナンス担当者でなければ変更できないので不便であるという問題点があった。
【0006】
また、特許文献1に記載された便座昇降装置のように便座の昇降を電動で行なう便座昇降装置は、大型になり易く、装置をトイレ内の床に置かなければならず、清掃等の邪魔になる場合があるという問題点があった。
【0007】
さらに、駆動装置を床に固定するために、床への設置工事を伴うものもあり、大掛かりになってしまうという問題点があった。
【0008】
さらにまた、近年では便座に温水洗浄装置などが実装されている洋便器も多い。このような便器には便座の左右いずれかに温水洗浄装置の駆動装置が設置されているために、さらに便座昇降装置を設置するとなると設置場所の確保や設置方法が難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、便座の昇降態様の変更が可能であり、かつ、設置スペースも取らずに設置が容易である便座昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]洋便器(10)の便座(11)を昇降させる便座昇降装置(1)において、
便器本体(12)の上に固定する固定部(20)と、
前記便座(11)を載置して固定する便座載置部(30)と、
一端部が前記便座載置部(30)の後端部に回動可能に軸連結された第1リンク部材(41)を有し、前記便座載置部(30)を昇降することが可能なリンク機構と、
前記便座載置部(30)の後端部から前端部寄りに固定されるとともに、前記第1リンク部材(41)の中間部が軸連結され、前記便座載置部(30)に対する前記第1リンク部材(41)の相対回動量を調節可能な調節手段(50)と、
前記リンク機構に連結され、前記便座載置部(30)を昇降させる駆動手段(60)と、を備え、
前記リンク機構と、前記調節手段(50)と、前記駆動手段(60)とは前記便座載置部(30)を挟んで一対が配設され、
前記便座載置部(30)は、前記調節手段(50)によって調節される前記第1リンク部材(41)の回動量によって、昇降中の前記後端部の高さと前端部の高さとが同一レベルに維持される第1昇降態様および前記後端部の昇降量が前記前端部の昇降量よりも大きい第2昇降態様の何れかで昇降可能なことを特徴とする便座昇降装置(1)。
【0011】
[2]洋便器(10)の便座(11)を昇降させる便座昇降装置(1)において、
便器本体(12)の上に固定し、上下方向に延びる案内溝(22)が形成されたベース部(21)を有する固定部(20)と、
前記便座(11)を載置して固定する便座載置部(30)と、
一端部が前記便座載置部(30)の後端部に回動可能に軸連結され、もう一方の端部が前記案内溝(22)に上下に変位可能に軸連結された第1リンク部材(41)と、一端部が前記第1リンク部材(41)とともに前記便座載置部(30)の後端部に回動可能に軸連結され、もう一方の端部が前記案内溝(22)寄りに前記ベース部(21)に軸連結された第2リンク部材(42)と、一端部が前記第1リンク部材(41)のもう一方の端部とともに前記ベース部(21)の案内溝(22)に軸連結された第3リンク部材(43)とからなるリンク機構と、
前記便座載置部(30)の後端部から前端部寄りに設けられており、前記第1リンク部材(41)の中間部が変位可能に軸連結された上下に延びる長溝(51)を有し、当該長溝(51)に前記第1リンク部材(41)の中間部を連結している軸(101)の前記長溝(51)内での可動範囲を、予め定めた複数の可動範囲から選択して前記便座載置部(30)に対する前記第1リンク部材(41)の相対回動量を調節可能な調節手段(50)と、
前記第3リンク部材(43)のもう一方の端部に軸連結された昇降部材(64)を有し、当該昇降部材(64)の昇降によって前記リンク機構に前記便座載置部(30)を昇降させる駆動手段(60)と、を備え、
前記リンク機構と、前記調節手段(50)と、前記駆動手段(60)とは前記便座載置部(30)を挟んで一対が配設され、
前記便座載置部(30)は、前記調節手段(50)によって調節される前記第1リンク部材(41)の回動量によって、昇降中の前記後端部の高さと前端部の高さとが同一レベルに維持される第1昇降態様および前記後端部の昇降量が前記前端部の昇降量よりも大きい第2昇降態様の何れかで昇降可能なことを特徴とする便座昇降装置(1)。
【0012】
[3]前記駆動手段(60)は、
前記昇降部材(64)が螺合する螺子部を有し、上下方向に延設された螺子軸(62)と、
前記螺子軸(62)に連結され、当該螺子軸(62)を回動するためのモータ(61)と、を備えることを特徴とする[2]に記載の便座昇降装置(1)。
【0013】
[4]前記調節手段(50)は、
前記長溝(51)に前記第1リンク部材(41)の中間部を連結している前記軸(101)の上方に配置され、前記軸(101)の上方への変位を制限する軸押さえ(52)と、
前記長溝(51)の両側に沿って所定の間隔を開けて配設され、前記軸押さえ(52)を保持する少なくとも一対の保持突起(53)と、を備えたことを特徴とする[2]または[3]に記載の便座昇降装置(1)。
【0014】
[5]前記固定部(20)のベース部(21)は、前記便座載置部(30)に載置して固定された便座(11)と前記駆動手段(60)との間に位置し、肘掛を兼ねることを特徴とする[1],[2],[3]または[4]に記載の便座昇降装置(1)。
【0015】
前記本発明は次のように作用する。
前記[1]記載の便座昇降装置(1)によれば、洋便器(10)の便器本体(12)の上に固定部(20)をボルト(200)で固定し、便座載置部(30)には便座(11)を載置してボルトで固定してある。便座載置部(30)はリンク機構によって固定部(20)と昇降可能に連結されており、昇降中の便座載置部(30)の後端部(30a)の高さと前端部(30b)の高さとを同一レベルに維持する第1昇降態様および前記後端部(30a)の昇降量が前記前端部(30b)の昇降量よりも大きい第2昇降態様の何れかによって便座載置部(30)を昇降させることができる。
【0016】
リンク機構の第1リンク部材(41)は、その一端部(41a)が前記便座載置部(30)の後端部(30a)に軸(102)によって軸連結されており、軸(102)を中心にして回動できる。また、調節手段(50)が前記便座載置部(30)の後端部(30a)から前端部(30b)寄りに固定されている。この調節手段(50)には、前記第1リンク部材(41)の中間部が軸(101)によって軸連結されている。これにより、前記便座載置部(30)に対する前記第1リンク部材(41)の相対回動量を調節することができる。
【0017】
前記リンク機構には、駆動手段(60)が連結されており、これによって、リンク機構が作動して前記便座載置部(30)を昇降させることができる。
【0018】
前記便座載置部(30)に対する前記第1リンク部材(41)の相対回動量は、前記便座載置部(30)と前記第1リンク部材(41)とのなす最大角度を決定し、最少に調節されたときに、昇降中の前記後端部(30a)の高さと前端部(30b)の高さとを同一レベルに維持しながら全体が昇降する(第1昇降態様)ように設定されている。また、相対回動量が大きくなるに従って、前記後端部(30a)の昇降量が前記前端部(30b)の昇降量よりも大きくなる(第2昇降態様)。したがって、便座(11)を前端部が後端部よりも低い状態で便座(11)全体の位置を昇降することができる。
【0019】
上述した前記リンク機構と、前記調節手段(50)と、前記駆動手段(60)とは前記便座載置部(30)を挟んで一対が便器本体(12)よりも上に配設されている。このため、リンク機構や駆動手段(60)を小型化できるとともに一対の駆動手段(60)で駆動するので、昇降便座装置(1)全体が小型化できるとともに、便座載置部(30)を左右バランスよく昇降することができる。
【0020】
また、前記リンク機構と、前記調節手段(50)と、前記駆動手段(60)とは固定部(20)よりも高い位置に配設されているので、トイレの床面に設置のためのスペースを確保する必要が皆無である。
【0021】
また、便座昇降装置(1)を洋便器(10)に設置するためには、固定部(20)を便器本体(12)の上にボルト(200)によって固定し、便座(11)を便座載置部(30)に載置してボルトによって固定するだけでよいので、設置が容易である。
【0022】
前記[2]記載の便座昇降装置(1)によれば、固定部(20)にはベース部(21)が立設されており、ベース部(21)に形成された上下方向に延びる案内溝(22)には、第1リンク部材(41)の一方の端部(41b)と第3リンク部材(43)が軸連結されており、案内溝(22)内を変位することができる。第1リンク部材(41)の他の端部(41a)は前記便座載置部(30)の後端部(30a)に軸連結されており、便座載置部(30)と相対回動することができる。
【0023】
第1リンク部材(41)はさらに、前記便座載置部(30)の後端部(30a)から前端部(30b)寄りに設けられた調節手段(50)の長溝(51)に中間部が軸(101)によって軸連結されている。この軸(101)は、長溝(51)内を相対的に変位できる。この長溝(51)に沿った中間部の可動範囲は予め定められた複数の可動範囲から選択できる。したがって、第1リンク部材(41)の中間部の変位は前記可動範囲に制限でき、これは、便座載置部(30)に対する前記第1リンク部材(41)の相対回動量を制限できることになる。
【0024】
第2リンク部材(42)は、一端部が第1リンク部材(41)とともに便座載置部(30)の後端部(30a)に軸(102)によって軸連結されているので、軸(102)を中心にして回動可能であるとともに、もう一方の端部(42b)が前記案内溝(22)寄りに前記ベース部(21)に軸(103)によって軸連結されているので、この軸(103)を中心に回動することもできる。
【0025】
第3リンク部材(43)は、一端部(43a)が前記第1リンク部材(41)の一方の端部(41b)とともに軸(104)によって前記ベース部(21)の案内溝(22)に軸連結されており、他の端部(43b)が昇降部材(64)に軸(105)によって軸連結されているので、昇降部材(64)の昇降に従って一端部(43a)が案内溝(22)内を昇降する。同時に、第1リンク部材(41)の中間部は長溝(51)内を上下方向に変位する。この変位は、予め定められた複数の可動範囲から選択されている範囲内に制限されており、この中間部の変位の制限が便座載置部(30)に対する前記第1リンク部材(41)の相対回動量を制限するので、これにより、上記第1昇降態様で便座載置部(30)を昇降させたり、上記第2昇降態様では、前記後端部(30a)の昇降量の大きさを選択調整して便座載置部(30)を昇降させたりすることができる。
【0026】
また、前記リンク機構と、前記調節手段(50)と、前記駆動手段(60)とは[1]と同様の位置に配置されているので、昇降便座装置(1)全体が小型化できるとともに、便座載置部(30)を左右バランスよく昇降することができる。
【0027】
また、トイレの床面に設置のためのスペースを確保する必要が皆無である。
【0028】
さらに、前記リンク機構の一部と前記駆動手段(60)とはベース部(21)に設けられており、スペースを有効に使用することができる。
【0029】
[3]に記載したように、前記駆動手段(60)は、上下方向に延設された螺子軸(62)とこの螺子軸(62)を回すためのモータ(61)を有している。螺子軸(62)は、螺子が切られた螺子部を有し、この螺子部に前記昇降部材(64)が螺合している。前記螺子軸(62)とモータ(61)とは駆動ベルト(63)によって連結されている。従って、モータ(61)の回転の向きによって螺子軸(62)の回転方向が異なり、この螺子軸(62)の回転方向の違いによって昇降部材(64)が螺子軸(62)に沿って上昇したり、下降したりすることができる。
【0030】
このように、昇降部材(64)は螺子軸(62)の螺子部に螺合して螺子軸(62)に沿って昇降するので、昇降をスムーズかつ確実に行なうことができる。
【0031】
[4]に記載したように、前記調節手段(50)は、前記軸(101)の上方への変位を制限する軸押さえ(52)と、前記軸押さえ(52)を保持する保持突起(53)と、を備えている。軸押さえ(52)は、前記長溝(51)に前記第1リンク部材(41)の中間部を連結している前記軸(101)の上方に配置される。軸押さえ(52)の配置は、前記長溝(51)の両側に沿って所定の間隔を開けて配設された保持突起(53)によって定まり、保持突起(53)によって保持され、固定されるので、軸(101)の上方への変位を制限することができる。保持突起(53)は、少なくとも一対あるので、軸(101)の可動範囲を少なくとも2つの可動範囲から選択することができる。この保持突起(53)を複数対設けることによって、便座載置部(30)に対する前記第1リンク部材(41)の相対回動量を複数の相対回動量の中から選択できる。したがって、便座の昇降態様を複数の昇降態様の中から選択することができる。
【0032】
可動範囲の選択は、保持突起(53)に保持された軸押さえ(52)を外して、別の所望の保持突起(53)に保持させるだけでよいので、極めて容易に便座の昇降態様を変更することができる。
【0033】
[5]に記載したように、前記固定部(20)のベース部(21)は、前記便座載置部(30)に載置して固定された便座(11)と前記駆動手段(60)との間に位置し、肘掛を兼ねるので、スペースが有効利用できるとともに、便器(10)の使い勝手が向上する。
【発明の効果】
【0034】
本発明にかかる便座昇降装置によれば、便座が固定された便座載置部に対する第1リンク部材の相対回動量を変更することによって便座載置部と第1リンク部材とのなす最大角度が決定されるので、相対回動量の選択によって昇降中の便座載置部の後端部の高さと前端部の高さとを同一レベルに維持しながら全体が昇降する第1昇降態様と便座載置部の後端部の昇降量が前端部の昇降量よりも大きくなる第2昇降態様の間で昇降態様を変更することができる。
【0035】
また、上述したリンク機構と、調節手段と、駆動手段とは便座載置部を挟んで一対が便器本体よりも上に配設されている。このため、リンク機構や駆動手段を小型化できるとともに一対の駆動手段で駆動するので、昇降便座装置全体が小型化できるとともに、便座載置部を左右バランスよく昇降することができる。さらに、トイレの床面に設置のためのスペースを確保する必要が皆無である。
【0036】
また、便座昇降装置を洋便器に設置するためには、固定部を便器本体の上にボルトによって固定し、便座を便座載置部に載置してボルトによって固定するだけでよいので、設置が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施の形態を説明する。
各図は本発明の一実施の形態を示している。
図1および図2は、本発明の一実施の形態にかかる便座昇降装置が洋便器に装着された状態を示し、便座を上昇させた状態の側面図および正面図である。図3ないし図5は、本発明の一実施の形態にかかる便座昇降装置が洋便器に装着された状態を示し、便座を最も下げた状態を示す側面図、正面図および背面図である。図6は、本発明の一実施の形態にかかる便座昇降装置に便座が載置された状態を示す側面図である。なお、以下の記載で各部材について「前端部」や「後端部」と記すときは、便器の使用者が便座に着座したときに膝に近い部分を「前端部」とし、前端部よりも背中寄りにある部分を後端部とする。また、位置や方向について「前方」と記すときは、記載中の基点となる位置から膝側に近い位置や方向を前方と記し、膝とは反対側の位置や方向を後方と記す。
【0038】
図1から図6までに示すように、本実施の形態にかかる便座昇降装置1は洋便器10の便座11を昇降させる装置である。便座昇降装置1は、洋便器10の便器本体12の上に固定する固定部20と便座11を載置して固定する便座載置部30とを備えている。
【0039】
固定部20は、便器本体12に固定される平板状の平板部23と、この平板部23の両側から略垂直上方に起立した一対のベース部21とを有している。平板部23は幅が便器本体12の上部の幅と同じである。奥行きも便器本体12の上部の奥行きと略同じである。平板部23は、後部をボルト200によって便器本体12に固定されている。
【0040】
ベース部21は、平板部23の後端から前端までの中央よりも後端寄りから前端までにかけて起立した平板状を有しており、略中央付近からは後縁部21aが前縁部21bと平行に斜め前方の上方に向かっている。このベース部21には、上下方向に円弧状に延びる案内溝22が形成されている。この円弧は、ベース部21の前方下方に中心が有る円の円弧であり、下端部は平板部23近くまで延びており、上端部はベース部21の高さの中央近くに達している。
【0041】
ベース部21の最上部24は、外側に向かって略90°屈曲した平板状に形成されている。また、ベース部21の内側下部の平板部23の近くには、便座載置部30を支持するための支持板25,26が配設されている。支持板25はベース部21の前端部に配設されており、支持板26はベース部21の後端部21cに配設されており、それぞれ平板部23に平行に設けられている。
【0042】
これら支持板25,26の上には、便座載置部30が支持されている。便座載置部30は後部の断面がコ字上の板状部材であり、平板状の上面部31の両側には、下方に略90°に屈曲した脚部32が形成されている(図5参照)。便座載置部30は、脚部32が支持板25,26に支持されるように配置されている。上面部31の上には、便座11が載置され、不図示のボルトによって固定されている。
【0043】
また、ベース部21の外側には、後述するリンク機構に連結され、リンク機構を介して便座載置部30を昇降させるための駆動手段60が取り付けられている。駆動手段60は、具体的には、電動のモータ61と、この電動モータ61の駆動軸61aに駆動ベルト63によって連結された螺子軸62とを有している。
【0044】
モータ61は、ベース部21の前方よりの下部に固定されたケーシング65内に取り付けられており、駆動軸61aが下方に延びるように配置されている。駆動軸61aの延びる方向は、ベース部21の前縁部21bの延びる方向と略同一である。駆動軸61aはケーシング65の底面を貫通している。
【0045】
螺子軸62は、ケーシング65と上記案内溝22との間で、駆動軸61aの延びる方向と平行に延設されている。この螺子軸62は上部と下部を支持具66によって回転可能に支持されている。螺子軸62は、上部および下部双方の支持具66を貫通しており、下部支持具66を貫通している部分と、上記ケーシング65の底面を貫通している駆動軸61aの部分とには駆動ベルト63が掛け渡されている。これにより、モータ61の回転を螺子軸62に伝達することができ、モータ61の回転の向きによって螺子軸62の回転方向が異なる。
【0046】
螺子軸62には、上部および下部双方の支持具66の間に螺子(図示せず)が形成された螺子部(図示せず)を有している。この螺子部には螺子軸62の回転方向によって、上昇したり、下降したりする昇降部材64が螺合している。昇降部材64は、螺子部との螺合によって確実にかつスムーズに螺子軸62上を昇降することができる。この昇降部材64には、次に説明するリンク機構を構成する第3リンク部材43が軸105によって回動可能に軸連結されている。
【0047】
次に、上記駆動手段60と便座載置部30とを連結するリンク機構について説明する。
リンク機構は、第1リンク部材41、第2リンク部材42および第3リンク部材43の3本のリンク部材から構成されている。
第1リンク部材41は、一端部41aが軸102によって便座載置部30の脚部32の後端部32aに回動可能に軸連結されている。第1リンク部材41のもう一方の端部41bは、上記ベース部21に形成された案内溝22に上下に変位可能に軸104によって軸連結されている。
【0048】
第2リンク部材42は、一端部が第1リンク部材41とともに軸102によって上記脚部32の後端部32aに回動可能に軸連結されている。第2リンク部材42のもう一方の端部42bが案内溝22寄りにベース部21の後端部21cに軸103によって軸連結されている(図1参照)。この軸103を中心にして、第2リンク部材42は回動することができる。
【0049】
第3リンク部材43は、上記昇降部材64に軸連結された一端部43bとは異なるもう一方の端部43aが第1リンク部材41の一方の端部41bとともに軸104によってベース部21の案内溝22に軸連結されている。これにより、昇降部材64の昇降によって端部43aも第1リンク部材41の一方の端部41bとともに案内溝22にしたがって昇降することができる。
【0050】
上記第1リンク部材41はさらに、第1リンク部材41の便座載置部30に対する相対回動量を調節するための調節部材50(調節手段)に軸101によって軸連結されている。
【0051】
調節部材50は、便座載置部30の脚部32の後端部32aから前端部32b寄りに設けられており、図4に示すように、脚部32の外側の面に設けられている。第1リンク部材41の中間部がこの調節部材50に連結されている。
【0052】
調節部材50は、縦長のプレート50aが脚部32に固定されており、このプレート50aには上下方向に延びる長溝51が形成されている。この長溝51の両側に沿って所定の間隔を開けて複数対の保持突起53が配設されている。この保持突起53は、軸101が長溝51内を変位する可動範囲を軸101の上方で制限するための軸押さえ52を保持するものである。図6に示した例では、3対の保持突起53が設けられている。
【0053】
軸押さえ52は、保持突起53に嵌め込んで装着するための装着孔が側面に形成されており、下部には軸101を受けるための曲線部が形成されている。この軸押さえ52を上記複数対の保持突起53のうち何れかの対を選択して装着することによって、長溝51内における軸101の可動範囲を選択し、調節することができる。軸101の可動範囲は、軸押さえ52の装着位置よりも下方に有るように、軸押さえ52は、軸101よりも上方で保持突起53に装着する。
【0054】
長溝51内における軸101の可動範囲によって、すなわち、第1リンク部材41の中間部の変位の制限によって、第1リンク部材41の便座載置部30に対する相対回動量が所定の量に制限され、これによって昇降中の便座載置部30の傾斜が決定される。したがって、便座載置部30は、調節部材50によって第1リンク部材41の回動量を調節して、後端部30aから前端部30bまでを同一レベルに維持しながら全体が昇降する第1昇降態様および後端部30aの昇降量が前端部30bの昇降量よりも大きい第2昇降態様の何れかを選択することができる。さらに、第2昇降態様では前端部30bの昇降量を選択することができる。すなわち、便座載置部30の昇降中の傾斜角度を選択することができる。
【0055】
なお、保持突起53は一対だけでもよく、この場合は、便座載置部30が傾斜せず昇降するような位置に保持突起53の対を設けておく。これにより、保持突起53に軸押さえ52を装着したときの便座載置部30の水平昇降と、保持突起53に軸押さえ52を装着しないときの便座載置部30の傾斜昇降の2つの昇降態様を選択することができる。
【0056】
以上のように便座の昇降態様は、保持突起53に装着された軸押さえ52を外して、別の所望の位置にある保持突起53に装着するだけで極めて容易に変更することができる。
【0057】
なお、固定部20のベース部21は、便座載置部30に載置して固定された便座11と駆動手段60との間に位置しているので、ベース部21を覆うケーシング(図示せず)を設けることにより、肘掛として使用することができる。これにより、スペースが有効利用できるとともに便器10を使用する際の使い勝手が向上する。ケーシングの後端は、第2リンク部材42が軸103によって固定されているベース部21の後端部21cよりも前方に位置する。これにより、調節部材50はケーシングによって操作の支障を受けることがなく、容易に調整することができる。
【0058】
上記のようにベース部21は、一対が設けられており、それぞれに駆動手段60が設けられ、リンク部材が連結されており、昇降便座装置1全体が便器本体12の上に配設されている。これにより、昇降便座装置1全体が小型化できるとともに、便座載置部30を左右バランスよく昇降することができる。
【0059】
また、リンク機構と、調節手段50と、駆動手段60とは固定部20よりも高い位置に配設されているので、トイレの床面に設置のためのスペースを確保する必要が皆無である。
【0060】
また、便座昇降装置1を洋便器10に設置するためには、固定部20を便器本体12の上にボルト200によって固定し、便座11を便座載置部30に載置してボルトによって固定するだけでよいので、設置が容易である。
【0061】
次に作用を説明する。
図7は、本発明の一実施の形態に係る便座昇降装置によって、便座を水平に昇降する場合のリンク機構の動きを説明する説明図であり、(a)および(b)は上昇途中の状態を示し、(c)は、完全に上昇した状態を示す。図8は、本発明の一実施の形態に係る便座昇降装置によって、便座を傾斜させて昇降する場合のリンク機構の動きを説明する説明図であり、(a)および(b)は上昇途中の状態を示し、(c)は、完全に上昇した状態を示す。図9は、図8とは異なる傾斜状態で便座を昇降する場合のリンク機構の動きを説明する説明図であり、(a)および(b)は上昇途中の状態を示し、(c)は、完全に上昇した状態を示す。図10は、図8および図9とは異なる傾斜状態で便座を昇降する場合のリンク機構の動きを説明する説明図であり、(a)および(b)は上昇途中の状態を示し、(c)は、完全に上昇した状態を示す。
【0062】
なお、図7から図10までの各図の(a)における昇降部材64の位置はそれぞれ同一であり、(b)および(c)における昇降部材64の位置もそれぞれ同一である。また、図6は、図7に示した場合において、待機位置にある便座昇降装置1を示している。
【0063】
図6および図7は、便座載置部30を上述した第1昇降態様で昇降する場合の様子を示している。図6に示すように、調節部材50は、3対の保持突起53のうち最下段の保持突起53に装着されている。軸押さえ52が最下段の保持突起53に装着された場合には、軸101は長溝51内を変位できない。したがって、便座載置部30に対する第1リンク部材41の相対回動量はゼロであり、第1リンク部材41は便座載置部30の脚部32と平行である。この状態で便座載置部30の後端部30aと前端部30bとの高さは同一レベルにある。このとき、便座載置部30に載置された便座11の座面は水平面上にある。
【0064】
使用者が洋便器10を使用する際は、不図示のスイッチを入れて便座の位置を最も高い位置まで上昇させてから便座11に座せばよい。スイッチが入ってモータ61が回転すると、駆動軸61aが回転し、駆動軸61aの回転が駆動ベルト63によって螺子軸62に伝達される。螺子軸62が回転すると、この螺子軸62に螺合している昇降部材64が上昇する。
【0065】
昇降部材64が上昇すると、当該昇降部材64に軸連結された第3リンク部材43が引き上げられる。このとき、ベース部21の案内溝22に軸連結された第3リンク部材43の一端部43aは、円弧状の案内溝22に沿って便座載置部30の前方に移動しつつ上昇する。一端部43aとともに案内溝22に軸連結された第1リンク部材41の端部41bも案内溝22に沿って便座載置部30の前方に移動しつつ上昇する。これにより、第1リンク部材41および便座載置部30双方に軸連結された第2リンク部材42が前方に向かって回動する。
【0066】
図7の(a)は、待機位置から完全に上昇した状態までの中間位置近くまで便座載置部30が上昇した状態を示している。第2リンク部材42が前方に向かって回動しているので、便座載置部30は待機位置よりも前方に移動している。一方、第1リンク部材41は、調節部材50によって便座載置部30の脚部32との相対回転ができないので、便座載置部30の脚部32に対して平行に固定されており、便座載置部30の後端部30aの高さと前端部30bの高さとが同一レベルに維持されたままに上昇している。
【0067】
図7の(b)は、(a)の状態からさらに上昇した状態を示している。昇降部材64が螺子軸62に沿ってさらに上昇しており、第2リンク部材42はさらに前方に向かって回動しているので、便座載置部30はより高く、より前方に移動している。しかし、上記のように便座載置部30の後端部30aの高さと前端部30bの高さとは同一レベルに維持されたままである。
【0068】
図7の(c)では、第1リンク部材41と第3リンク部材43とを案内溝22に軸連結している軸104が案内溝22の最上部に達しており、昇降部材64は最も高い位置まで上昇している。このとき、第2リンク部材42は最も前方の位置まで回動しているので、便座載置部30は最も高く、最も前方に位置している。この位置における便座載置部30も、後端部30aの高さと前端部30bの高さとは同一レベルに維持されたままである。この位置で使用者は着座面が水平な便座11に楽に着座することができる。使用者は、着座後に便座載置部30を図6の待機位置まで下げる操作、例えば、ボタン(図示せず)による操作をすれば、上記の過程とは逆の過程を辿って便座載置部30は待機位置まで戻る。待機位置に戻る動作は、人体検知センサーを設けて、当該センサーが人体を感知したときにモータ61を逆回転させて待機位置に戻るようにしてもよい。所定時間が経過するまでに人体を検知できなかったときに、所定時間の経過後に待機位置に戻るようにしてもよい。
【0069】
着座する際に、便座11の着座面が水平であるよりも、便座11の前端部が後端部よりも下がっていた方が着座し易い場合には、次に説明するように第2昇降態様で便座載置部30を昇降させることができる。
【0070】
図8は、上述した第2昇降態様で昇降する場合の様子を示している。(a)に示すように、調節部材50を見ると、3対の保持突起53のうち中段の保持突起53に軸押さえ52が装着されている。この場合の待機位置は、上記の第1昇降態様の場合と同じである。この待機位置では、軸101はプレート50aの長溝51の最下部に位置しており、上方の軸押さえ52との間に余裕がある。この余裕の範囲内で軸101は変位でき、便座載置部30に対して第1リンク部材41は相対回動できる。
【0071】
待機位置の状態でスイッチが入り、モータ61が回転を始めると、軸101が軸押さえ52に当る位置まで長溝51内を上昇する。軸101が軸押さえ52に当るまでは、便座載置部30に対して第1リンク部材41は回動できるので、便座載置部30の後端部30aは上昇するが前端部30bの上昇は始まらない。
【0072】
軸101が軸押さえ52に当ると、前端部30bも上昇を始める。このときの前端部30bから後端部30aまでの傾斜が維持されて、以後、全体が上昇する。(a)は、図7の(a)に示した状態と同じ位置まで昇降部材64が上昇したときの便座載置部30の状態を示している。図7の場合と比較して、第2リンク部材42は前方に向かって回動しているので便座載置部30の後端部30aは同じ高さまで上昇しているが、第1リンク部材41がやや回動しており、その分、便座載置部30の前端部30bが後端部30aよりもやや低い位置にある。以下、前端部30bから後端部30aまでの傾斜が保たれて(b)および(c)に示したように便座載置部30全体が上昇する。
【0073】
図9は、調節部材50の軸押さえ52を、3対の保持突起53のうち最上段の保持突起53に装着した場合を示している。この場合の待機位置も上記の第1昇降態様の場合と同じである。この待機位置では、軸101はプレート50aの長溝51の最下部に位置しており、上方の軸押さえ52との間には、図8の場合よりもさらに余裕がある。この余裕の範囲内で軸101は変位でき、便座載置部30に対する第1リンク部材41は相対回動できる。
【0074】
(a)に示すように、便座載置部30と第1リンク部材41との相対回動量は図8の場合よりも大きく、軸101はまだ軸押さえ52に当接していない。このため、便座載置部30の前端部30bは上昇を始めておらず、前端部30bはまだ支持板25に載ったままである。
【0075】
(b)に示した位置まで昇降部材64が上昇すると、軸101は既に軸押さえ52に当接しており、便座載置部30の全体が上昇して前端部30bは支持板25から上方に離れている。前端部30bが上昇を始めるまでの後端部30aの上昇量は、便座載置部30と第1リンク部材41との相対回動量が大きくなった分だけ大きくなっている。したがって、前端部30bから後端部30aまでの傾斜は、図8に示した場合よりも大きくなっている。以下、前端部30bから後端部30aまでの傾斜が保たれて(b)および(c)に示したように便座載置部30全体が上昇する。
【0076】
図10は、調節部材50の軸押さえ52を、いずれの保持突起53にも装着しない場合を示している。この場合の待機位置も上記の第1昇降態様の場合と同じである。この待機位置では、軸101はプレート50aの長溝51の最下部に位置しており、この位置から長溝51の最上部まで変位できる。これにより、便座載置部30に対する第1リンク部材41の相対回動量は最も大きくなる。
【0077】
(a)に示す状態は、図9の(a)に示す状態と全く同じ状態である。
(b)に示した状態では、まだ軸101が長溝51の最上部まで達していないので、第1リンク部材41が回動して便座載置部30全体の上昇は始まっておらず、便座載置部30の前端部30bはまだ支持板25に載ったままである。しかしながら、第2リンク部材42は前方に向かって回動しているので便座載置部30の後端部30aは図7から図9までの各(b)に示した位置と同じ位置まで上昇している。
【0078】
(c)に示した位置の状態、すなわち、便座載置部30が完全に上昇した状態では、軸101は既に長溝51の最上部に当接しており、便座載置部30の全体が上昇して前端部30bは支持板25から上方に離れている。便座載置部30と第1リンク部材41との相対回動量が最も大きいので、前端部30bが上昇を始めるまでの後端部30aの上昇量は最も大きい。したがって、前端部30bから後端部30aまでの傾斜は、例示した中で最も大きい。
【0079】
以上、説明したように、調節部材50の軸押さえ52の装着位置を複数対の保持突起53から選んで、あるいは、軸押さえ52を保持突起53に装着しないことを選択して便座載置部30に対する第1リンク部材41の相対回動量を複数の相対回動量の中から容易に選択できるので、便座の昇降態様の変更が極めて容易にできる。これにより洋便器10の使い勝手が極めて良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる便座昇降装置を装着した洋便器を示し、便座が上がった状態を示す側面図である。
【図2】図1の洋便器と同一の状態を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施の形態にかかる便座昇降装置を装着した洋便器を示し、便座が下がった状態を示す側面図である。
【図4】図3と同一の状態を示す正面図である。
【図5】図3と同一の状態を示す背面図である。
【図6】本発明の一実施の形態にかかる便座昇降装置に便座が載置された状態を示す側面図である。
【図7】本発明の一実施の形態にかかる便座昇降装置によって、便座を水平に昇降する場合のリンク機構の動きを説明する説明図であり、(a)および(b)は上昇途中の状態を示し、(c)は、完全に上昇した状態を示す。
【図8】本発明の一実施の形態にかかる便座昇降装置によって、便座を傾斜させて昇降する場合のリンク機構の動きを説明する説明図であり、(a)および(b)は上昇途中の状態を示し、(c)は、完全に上昇した状態を示す。
【図9】図8とは異なる傾斜状態で便座を昇降する場合のリンク機構の動きを説明する説明図であり、(a)および(b)は上昇途中の状態を示し、(c)は、完全に上昇した状態を示す。
【図10】図8および図9とは異なる傾斜状態で便座を昇降する場合のリンク機構の動きを説明する説明図であり、(a)および(b)は上昇途中の状態を示し、(c)は、完全に上昇した状態を示す。
【符号の説明】
【0081】
1…便座昇降装置
10…洋便器
11…便座
12…便器本体
20…固定部
21…ベース部
21a…ベース部の後縁部
21b…ベース部の前縁部
21c…ベース部の後端部
22…案内溝
23…平板部
24…ベース部の最上部
25,26…支持板
30…便座載置部
31…便座載置部の上面部
32…脚部
32a…脚部の後端部
32b…脚部の前端部
41…第1リンク部材
41a…第1リンク部材の一端部
41b…第1リンク部材のもう一方の端部
42…第2リンク部材
42b…第2リンク部材のもう一方の端部
43…第3リンク部材
43a,43b…第3リンク部材の端部
50…調節部材
50a…プレート
51…長溝
52…軸押さえ
53…保持突起
60…駆動手段
61…モータ
61a…駆動軸
62…螺子軸
63…駆動ベルト
64…昇降部材
65…ケーシング
66…支持具
101,102,103,104,105…軸
200…ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋便器の便座を昇降させる便座昇降装置において、
便器本体の上に固定する固定部と、
前記便座を載置して固定する便座載置部と、
一端部が前記便座載置部の後端部に回動可能に軸連結された第1リンク部材を有し、前記便座載置部を昇降することが可能なリンク機構と、
前記便座載置部の後端部から前端部寄りに固定されるとともに、前記第1リンク部材の中間部が軸連結され、前記便座載置部に対する前記第1リンク部材の相対回動量を調節可能な調節手段と、
前記リンク機構に連結され、前記便座載置部を昇降させる駆動手段と、を備え、
前記リンク機構と、前記調節手段と、前記駆動手段とは前記便座載置部を挟んで一対が配設され、
前記便座載置部は、前記調節手段によって調節される前記第1リンク部材の回動量によって、昇降中の前記後端部の高さと前端部の高さとが同一レベルに維持される第1昇降態様および前記後端部の昇降量が前記前端部の昇降量よりも大きい第2昇降態様の何れかで昇降可能なことを特徴とする便座昇降装置。
【請求項2】
洋便器の便座を昇降させる便座昇降装置において、
便器本体の上に固定し、上下方向に延びる案内溝が形成されたベース部を有する固定部と、
前記便座を載置して固定する便座載置部と、
一端部が前記便座載置部の後端部に回動可能に軸連結され、もう一方の端部が前記案内溝に上下に変位可能に軸連結された第1リンク部材と、一端部が前記第1リンク部材とともに前記便座載置部の後端部に回動可能に軸連結され、もう一方の端部が前記案内溝寄りに前記ベース部に軸連結された第2リンク部材と、一端部が前記第1リンク部材のもう一方の端部とともに前記ベース部の案内溝に軸連結された第3リンク部材とからなるリンク機構と、
前記便座載置部の後端部から前端部寄りに設けられており、前記第1リンク部材の中間部が変位可能に軸連結された上下に延びる長溝を有し、当該長溝に前記第1リンク部材の中間部を連結している軸の前記長溝内での可動範囲を、予め定めた複数の可動範囲から選択して前記便座載置部に対する前記第1リンク部材の相対回動量を調節可能な調節手段と、
前記第3リンク部材のもう一方の端部に軸連結された昇降部材を有し、当該昇降部材の昇降によって前記リンク機構に前記便座載置部を昇降させる駆動手段と、を備え、
前記リンク機構と、前記調節手段と、前記駆動手段とは前記便座載置部を挟んで一対が配設され、
前記便座載置部は、前記調節手段によって調節される前記第1リンク部材の回動量によって、昇降中の前記後端部の高さと前端部の高さとが同一レベルに維持される第1昇降態様および前記便座載置部の前記後端部の昇降量が前記前端部の昇降量よりも大きい第2昇降態様の何れかで昇降可能なことを特徴とする便座昇降装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、
前記昇降部材が螺合する螺子部を有し、上下方向に延設された螺子軸と、
前記螺子軸に連結され、当該螺子軸を回動するためのモータと、を備えることを特徴とする請求項2に記載の便座昇降装置。
【請求項4】
前記調節手段は、
前記長溝に前記第1リンク部材の中間部を連結している前記軸の上方に配置され、前記軸の上方への変位を制限する軸押さえと、
前記長溝の両側に沿って所定の間隔を開けて配設され、前記軸押さえを保持する少なくとも一対の保持突起と、を備えたことを特徴とする請求項2または3に記載の便座昇降装置。
【請求項5】
前記固定部のベース部は、前記便座載置部に載置して固定された便座と前記駆動手段との間に位置し、肘掛を兼ねることを特徴とする請求項1,2,3または4に記載の便座昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−196(P2006−196A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177030(P2004−177030)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(390010054)小糸工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】