説明

係合機構

【課題】平行螺子で2つの係合部品を係合した部品において、長期使用によって緩みができても螺子が脱落しない係合構造を提供する。
【解決の手段】第1係合部品である台座4に第2係合部品である鼻当てパット3を平行螺子6で係止する際、平行螺子6は台座4の第1貫通孔41側から挿入し、鼻当てパット3の揺動軸受部31の第3貫通孔33を経て、台座4の第2貫通孔42に設けられた雌ねじ溝44と先端部64の雄ねじ溝65が螺合しながら前進し、先端部64が完全に第2貫通孔42より外部に突出する迄ねじ込む。この状態では、雄ねじ溝65と雌ねじ溝44の係合がはずれているので、螺子6が緩む方向に回転して台座4から抜け落ちることはなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの係合部品を平行螺子によって係止する係合機構に関し、特に、平行螺子を使用して眼鏡の鼻当てパットやつるをフレームに取り付ける係合機構に関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡の鼻当てパットやつるをフレームに取り付ける係合機構には、通常、平行螺子が使用されている。ところが、眼鏡を長期間使用していると平行螺子が次第に緩み、ついにはそれが脱落して眼鏡が使用できなくなるという欠点がある。
【0003】
そこで、多くの緩み止めの螺子が開発されている。その一例を挙げれば、1本の雄ねじに2つの部分的にピッチの異なる螺子溝を形成し、雌ねじに螺合した雄ねじの戻りを阻止する力が働くようにしている。
【特許文献1】特開平06−241219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特開平06−241219号公報に開示されている眼鏡枠のヒンジとテンプルとを連結する緩み止め小螺子は非常に小さいので、1本の螺子に2カ所のピッチの異なる螺子溝をタッピングによって製作するのは非常に精度を要求される技術であり、万一2カ所のピッチの異なる螺子溝の位相がずれた場合、この雄螺子を雌螺子に螺合するのが困難となるという問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、2つの係合部品を係止している平行螺子が緩みがあっても脱落しない係合機構を安価に提供することを目的とする。
【0006】
本発明の係合機構は、平行螺子、該平行螺子を受け入れる第1貫通孔を削孔した第一係合部ならびに該平行螺子を受け入れる第2貫通孔を削孔した第2係合部を備えた第1係合部品および上記第1係合部品の第1係合部および第2係合部の間に挿入され上記平行螺子を受け入れる第3の貫通孔を有する第2係合部品よりなる係合機構において、上記平行螺子は頭部、螺子溝の無い大径部、螺子溝が無く径の小さい縮径部および雄ねじ溝を有する先端部を順次備え、第1の貫通孔は上記平行螺子の大径部が緩挿できる大きさを有し、上記第2貫通孔は上記平行螺子の先端部の螺子溝と螺合する雌ねじ溝を備え、上記第1係合部品に上記第2係合部品を挿入し、上記平行螺子を上記第1貫通孔側から螺入した場合、上記第3の貫通孔を経て該平行螺子の先端部が上記第2貫通孔より外部に突出し、上記縮径部が上記第2貫通孔に位置して係止するように構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
上記平行螺子の縮径部の外径は上記第2貫通孔の内径即ち雌ねじ溝の山径よりやや小さく構成されているので、この縮径部は第1係合部品の雌ねじ溝とは固く嵌合せず、フリーの状態にある。
【0008】
上記平行螺子の頭部の内側から上記先端部の内側までの距離が第1係合部の外側から第2係合部の外側までの距離よりも若干大きくされているので、雄ねじ溝を有する先端部が第2貫通孔の外側に突出して係止された状態では、先端部を雌ねじ溝方向に押し込まない限り、突出部の雄ねじ溝と第2貫通孔の雌ねじ溝とは螺合しない。従って、第1係合部品と第2係合部品の係止状態は、たとえ外部からの振動等により平行螺子が緩む方向に回転して脱落することにより分解することはなくなる。
【0009】
上記第1係合部品の具体例としては眼鏡枠に鼻当てパットを取り付ける台座やつるを取り付けるためのヒンジ部が該当し、第2係合部品の具体例としては鼻当てパットやつるが該当する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の係合機構は第1係合部品と第2係合部品を平行螺子で係止した場合、平行螺子の雄ねじ溝を切った先端部が雌ねじ溝を切った第2貫通項孔の外部に突出してしまうので、たとえ振動を与えても再び雌ねじ溝と雄ねじ溝が再結合することは無くなり、従って、係止した螺子が緩む方向に回転して脱落する虞は無くなる。
【0011】
上記平行螺子の頭部の内側から上記先端部の内側までの距離が第1係合部の外側の面から第2係合部の外側の面までの距離よりも若干大きくされているので、平行螺子の頭部の内側の面と第1係合部の外側の面との間または先端部の内側の面と第2係合部の外側の面との間に隙間が生じ、雄ねじ溝と雌ねじ溝との再結合をさらに防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態を実施例によって説明する。
【実施例1】
【0013】
図1、図2は眼鏡枠の鼻当てパット部の拡大図であって、1は眼鏡フレーム、2はブリッジ、3は鼻当てパット、4は台座、5は台座をフレーム1に取り付けるための取り付け支柱、6は平行螺子である。
【0014】
図3は台座の部分の拡大側面図、図4は台座の裏面図であ。台座4の左右側面即ち第1係合部4aには第1貫通孔41が削孔され、第2係合部4bには第2貫通孔42が削孔さられている。裏面には空洞43が掘削されている。
【0015】
図5は平行螺子6の側面図で、61はドライバー用の溝を持つ頭部、62は第1貫通孔41に緩挿できる外径を持つ大径部、63は第2貫通孔42の内径よりもやや小さな外径を持つ縮径部、64は第2貫通孔42の雌ねじ溝44に螺合できる雄ねじ溝65を持つ先端部である。
【0016】
図6は第1係合部品である台座4に第2係合部品である鼻当てパット3を平行螺子6で係止した状態を示す断面図である。鼻当てパット3には揺動軸受部31が接着パット32を介して接着剤で接合されている。揺動軸受部31には第3貫通孔33が明けられている。第3貫通孔33の内径は平行螺子6の大径部62の外径よりかやや大きめに作られているので、鼻当てパット3は台座4に対して自由に揺動することができる。
【0017】
図6のように平行螺子6を係止した状態では、先端部64は台座4の第2貫通孔42の外側に突出している。従って第2貫通孔の雌ねじ溝44のある位置には平行螺子6の縮径部63が存在するので平行螺子6と台座4とは自由に回動しうる状態にある。また、平行螺子6の頭部61の内側の面から先端部64の内側の面までの距離L1は第1係合部4aの外側の面から第2係合部4bの外側の面までの距離L2よりも大きいので、頭部61の内側の面と第1係合部4aの外側の面との間または先端部64の内側の面と第2係合部4bの外側の面との間には若干の隙間が生じ、雄ねじ溝65と雌ねじ溝44との再結合を妨げる役目をしている。
【0018】
平行螺子6を台座4から抜き取るには、先端部64を第2貫通孔42の方向に押し込みながら平行螺子6を緩める方向に回転させれば、雄ねじ溝65と雌ねじ溝44とは再結合して螺子6を抜き取ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の係止機構は眼鏡の部品だけでなく2つの係合部品を平行螺子で係止する構造のものには全て応用することができる。例えば、ドアの回転ノブの頭部をシャフトに取り付ける際に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】眼鏡の鼻当てパット部の拡大正面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】鼻当てパットの取付台座の側面図
【図4】同背面図。
【図5】平行螺子の側面図。
【図6】鼻当てパットの取付構造を示す一部断面図。
【符号の説明】
【0021】
1 眼鏡フレーム
2 ブリッジ部
3 鼻当てパット
4 台座
5 取付支柱
6 平行螺子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行螺子、該平行螺子を受け入れる第1貫通孔を削孔した第一係合部ならびに該平行螺子を受け入れる第2貫通孔を削孔した第2係合部を備えた第1係合部品および上記第1係合部品の第1係合部および第2係合部の間に挿入され上記平行螺子を受け入れる第3の貫通孔を有する第2係合部品よりなる係合機構において、上記平行螺子は頭部、螺子溝の無い大径部、螺子溝が無く径の小さい縮径部および雄ねじ溝を有する先端部を順次備え、第1の貫通孔は上記平行螺子の大径部が緩挿できる大きさを有し、上記第2貫通孔は上記平行螺子の先端部の螺子溝と螺合する雌ねじ溝を備え、上記第1係合部品に上記第2係合部品を挿入し、上記平行螺子を上記第1貫通孔側から螺入した場合、上記第3の貫通孔を経て該平行螺子の先端部が上記第2貫通孔より外部に突出し、上記縮径部が上記第2貫通孔に位置して係止するように構成されていることを特徴とする係合機構。
【請求項2】
上記平行螺子の縮径部の外径は上記第2貫通孔の内径よりやや小さく構成されていることを特徴とする請求項1に記載の係合機構。
【請求項3】
上記平行螺子の頭部の内側の面から上記先端部の内側の面までの距離が第1係合部の外側の面から第2係合部の外側の面までの距離よりも若干大きくされていることを特徴とする請求項1記載の係合機構。
【請求項4】
上記第2係合部品が眼鏡枠の鼻当てパットであることを特徴とする請求項1記載の係合機構。
【請求項5】
上記第2係合部品が眼鏡枠のつるであることを特徴とする請求項1記載の係合機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−233994(P2006−233994A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−45311(P2005−45311)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(301014292)有限会社亀山製作所 (1)
【Fターム(参考)】