説明

係止具及び係止具用長尺素材

【課題】簡易な構成でありながら、高速生産が可能で、汎用性を有し且つ生産コストが安く、利用者の要望に容易に対応する事が可能な然も高級感を有する係止具を提供する。
【解決手段】糸条体31及び当該糸条体31の両端部に設けられている挿入頭部32、32’とから構成されている係止具30。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は衣類品、手袋、靴下等を一つに束ねたり、商品にブランドラベル、値札、素材説明書、使用説明書等を所定の商品に取り付けるための係止具に関するものであり、特に詳しくは、係止具そのものにソフト感或いはフレキシブル性を付与し且つ高級感を演出する事が可能な係止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、一般に、ネクタイ、ワイシャツ等を含むあらゆる衣類品、日常小物、傘、サンダル、靴等を結束したり、当該商品にブランドラベル、値札、素材説明書、使用説明書等を所定の商品に効率的に取り付けるために、種々のループピンタグピン、係止片、係止具、或いはファスナーと称されているものが用いられてきた。
【0003】
例えば、特開2005−206717号公報(引用文献1)に示されるような、ループピンと称される従来から一般的に知られている係止具10の一具体例の構成を図12乃至図13を参照して説明する。
【0004】
即ち、図12に於ける当該ループピン10は、可撓性を有するフィラメント部12と、当該フィラメント部12の一方の端部に設けられた適宜の係合部16を有する挿通部13と、前記フィラメント部12の他方の端部に設けられている前記挿通部13を不可逆的に通す為の挿通穴14を有すると共、当該挿通穴14内に当該挿通部13の当該係合部16、16’と係合し合う一対のブレード部17、17’とが設けられているハウジング部15が設けられているものであり、然も、上記した従来のループピン10は、当該挿通部13、当該ハウジング部15及び当該フィラメント部12とが、通常ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン等の合成樹脂からなる素材で一体成形されているのである。
【0005】
そして、上記したループピン10は、例えば、図13に示す様に、任意の商品例えば鞄200に於いて、当該フィラメント部12を当該ラベル類400に予め設けられた孔部410に通した後、例えば、把手300と鞄本体200との間に当該フィラメント部12を挿通し、次いで当該ソケット部15の孔部14に当該挿通部13を貫通させる事によって、所定のラベル類400を、当該商品200に係止させる様にしたものである。
【0006】
処で、上記したループピン10は、例えば、図12に示す様に、当該ループピン10単独で使用する場合もあるが、多くの場合は、作業効率を向上する為に、図14に示す様なループピン10を複数個並列状に配置したループピンシート600を使用する。
【0007】
そして、当該ループピンシート600は、例えば、図15に示す様なループピン結合装置20に搭載されて、操作レバー22を操作する毎に当該ループピン10が一本ずつ打ち出されて所定の商品に所定のラベル類を取り付ける事が出来る様に構成されているものである。
【0008】
然しながら、図12に示される様な構成を有する係止具10に於いては、所定の合成樹脂を使用して一体的に成型加工して製造されるものであるが、特に当該フィラメント部12は、細くして出来るだけ強度を向上させる必要性から延伸処理を行う事から、強靭性を持つと同時に硬さや反発性が増加する為、当該フィラメントをループ状に閉鎖して環状体を形成した際に、当該フィラメント部の当該環状体部分は腰のあるリング状を形成するので当該係止具としての幅が大きくなり、商品の表面から突出して見栄えが悪くなる他、当該フィラメント部に所定のトレードマークを付したタグ、値札、商品説明書、素材表示等(以下単にラベルと称する)を取り付けた場合には、当該ラベルが当該フィラメント部に沿って変位しやすくなり、当該ラベル等が所定の商品上でふら付き安定性が保てないので、当該ラベルを付した商品の外観も悪くなると言う問題があった。
【0009】
係る問題点を改良する方法として、例えば、実用新案登録第2538976号(特許文献2)には、図16に示す様な連結用ピン4が提案されており、当該連結ピン4は、フィラメント部の代わりに撚糸、混紡糸、金銀糸等の糸状物2を使用し、その一方の端部には合成樹脂からなる頭部1を設けると共に、その他方の端部には合成樹脂からなる横棒部3を設けた構造が示されている。
【0010】
一方、特開平10−333578号公報(特許文献3)には、図17に示す様に、撚糸や金銀糸等の糸状体7の一方の端部に係合孔を前部に開口した雌部からなる第1の接合部5、つまりハウジング部が設けられると共に、当該糸状体7の他方の端部には、当該係合孔内に挿入係止可能な挿入部を持つ雄部からなる第2の接合部6、つまり挿入頭部が設けられている封緘具8が示されている。
【0011】
然しながら、これらの連結用ピン或いは封緘具は、手作りに近い製法が使用されているので、生産効率が低く従ってコストが高くなり、使用用途が極端に制限されているのが実情である。
【0012】
更に、当該係止具を使用する利用者は、当該係止具のハウジング部を商品の宣伝の一環として当該商品の商標を付したり、人気のあるキャラクター化したいと言う希望が強いが、その為には、利用者の希望毎に金型を作り個別に製造する必要があるので汎用性がなく、コスト高とならざるを得ないと言う問題もある。
【0013】
【特許文献1】特開2005−206717号公報
【特許文献2】実用新案登録第2538976号公報
【特許文献3】特開平10−333578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、上記したこれら従来の問題点を除くためになされたものであって、簡易な構成でありながら、高速生産が可能で、汎用性を有し且つ生産コストが安く、利用者の要望に容易に対応する事が可能な然も高級感を有するハウジング部と一体的に使用される係止具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る当該係止具は、上記目的を達成するために、以下に示す様な基本的な技術構成を採用するものである。
即ち、本発明に係る当該係止具の第1の態様としては、糸条体及び当該糸条体の両端部に設けられている挿入頭部とから構成されている事を特徴とする係止具であり、又本発明に係る当該係止具の第2の態様としては、糸条体の中心軸線に沿って、所定の間隔で、2つの挿入頭部がその挿入方向先端部同士が互いに隣接して対向配置されている事を特徴とする係止具用長尺素材である。
【0016】
即ち、本発明に係る当該係止具は、挿入頭部とハウジング部と糸条体を使用するものであるが、従来の当該係止具では、挿入頭部とハウジング部と当該両者をその両端に取り付けた糸条体とから構成されるものであり、換言すれば、当該挿入頭部と当該ハウジング部とを一体化して構成された係止具を使用するものであるのに対し、本発明では、当該挿入頭部と当該ハウジング部とを分離して製造し、当該挿入頭部のみを有する糸条体と当該ハウジング部とをそれぞれ別工程で製造し、後工程に於いて両者を係合する様に構成したものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上記した様な基本的な技術構成を採用しているので、当該挿入頭部のみを有する糸条体を連続的に且つ高速で製造可能となり、然も当該糸条体は、任意の形状を有するハウジング部に共通的に対応出来る汎用性を有しているので製造工程が簡素化されると同時に生産量の増加が可能となるので生産コストが従来の係止具に比べて大幅に低下させる事が可能である。
【0018】
一方、当該ハウジング部は、個別の金型を必要とするが、当該金型そのものの構成は従来の係止具を成型している金型に比べれば格段に簡易な構成となるので、金型を準備するコストや時間が割愛できると共に、当該ハウジング部の形状に対する利用者の要望に迅速に対応する事が可能となるという効果を発揮する事が出来る。
【0019】
更に、本発明の係止具では、当該糸条体をソフトで柔らかいフィラメント単独で構成してもよいが、好ましくは、紡績糸、撚糸、フィラメントを含む複数種の糸条を混繊、混紡、混撚したもの、金銀糸、金属繊維或いは弾性繊維糸など、高級感を演出出来る色の選択も含めた糸条素材を自由に使用する事が可能であるので、当該係止具を取り付けた商品の品質に合致した高級感、装飾感を発揮させる事が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明に係る係止具及び係止具用長尺素材の一具体例の構成を図面を参照しながら詳細に説明する。
即ち、図1は、本発明に係る係止具30の一具体例の構成を示す平面図であり、図中、糸条体31及び当該糸条体31の両端部に設けられている挿入頭部32、32’とから構成されている係止具30が示されている。
【0021】
本発明に於いて使用される当該糸条体31は、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、紡績糸、金属繊維糸、金銀糸及びそれらの単独或いは組み合わせからなる混紡糸、混繊糸若しくは複合糸或いはそれらの撚り糸から選択された一つである事が好ましい。
【0022】
更に当該糸条体の素材は、天然繊維、合成繊維、再生繊維、金属繊維、弾性繊維等特に限定されるものではなく、又当該素材の形態としても、絹糸の様なフィラメント状の長繊維、短繊維を単独で使用した糸条体であっても良く、それらを混合、混繊、混紡、或いは複合した糸条体で有っても良い。
【0023】
更には、適宜の装飾糸、嵩高糸、加工糸等も適宜使用する事が可能である。
又、当該糸条体31は、適宜の色を有しているものであっても良く、単色であっても、複数種類の色の糸条体を組み合わせたもので有っても良い。
好ましくは、糸条体31は、当該係止具30が使用される商品の色に合わせた色とするのでも良く、又当該商品に使用されている素材と同じ素材で構成されたもので有っても良い。
【0024】
例えば、当該商品が金属製品である場合には、当該糸条体31として金属繊維からなる糸を使用するか金銀糸或いは金属メッキを施した合成繊維フィラメント糸を使用する事も出来る。
本発明に於ける当該係止具30の当該糸条体31の繊度やその長さは、特に限定されるものではないが、使用される商品の特性に合わせて適宜の繊度及び適宜の長さに任意に設定する事が可能である。
【0025】
又、当該糸条体の撚数も任意に決定する事が出来る。
一方、本発明に於ける当該係止具30に使用される当該挿入頭部32は、合成樹脂で構成されている事が好ましく、その原料、素材は特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン系合成樹脂、ナイロン系合成樹脂或いはウレタン系合成樹脂等が好ましくは使用可能である。
【0026】
当該合成樹脂は、成型が容易でコストが安く又当該糸条体31との接着性或いは親和性を有するものである事が望ましい。
本発明に於いて使用される当該挿入頭部32は、後述する様に、例えば、図6に示す様な、当該挿入頭部32を含む当該糸条体31とは別体に構成されたハウジング部40に設けられている適宜の嵌合孔部41内に挿入され当該嵌合孔部41内で不可逆的に固定保持される機能を有するものである。
【0027】
つまり、当該挿入頭部32は当該ハウジング部41の嵌合孔部内に容易に挿入可能であるが、引き抜きが不可能である状態を意味している。
従って、本発明に於ける当該挿入頭部32は、当該ハウジング部40の当該嵌合孔部41内に設けられている適宜の突起状部材42からなる係合部43と不可逆的に係合して固定される機能を有している事が望ましい。
【0028】
当該挿入頭部32に於ける当該係止固定機能を実現する具体的な構成は、特に限定されるものではなく、上記した機能を出来るだけ簡便な構成で実現できるものである事が望ましい。
係る機能を実現する為の構成としては、当該ハウジング部40内の当該嵌合孔部41内に設けられている当該係合部43の形状及び構成によって決定される事が望ましい。
【0029】
当該ハウジング部40内に設けられる当該係合部43の形状が図6(B)で示す様な突起状部材42で構成されている場合には、当該挿入頭部32の当該係止片固定機能を発揮する構成の例を図2及び図3に示す。
即ち、本具体例では、当該挿入頭部32の挿入方向先端部33を形成する頭部とそれに続く小径部35と当該小径部35に接続している当該挿入頭部32の本体部34とから構成されており、当該挿入方向先端部33と当該本体部34との間に当該小径部35による溝部が形成されている。
【0030】
当該挿入方向先端部33は、当該溝部35に面した部分が複数個の羽状のブレード38で形成されているものであっても良く、又末広がり状の薄い合成樹脂からなるスカート状中空円錘体38で構成されているものであっても良い。
係る構成の挿入頭部32では、当該挿入頭部32が当該ハウジング部40の嵌合孔部41内に挿入された場合に、当該挿入方向先端部33の当該ブレード部或いはスカート部38が当該係合部43間を通過する際に変形するので、当該挿入方向先端部33は容易に当該係合部43を通過するが、一旦当該挿入方向先端部33が当該係合部43を通過すると、当該ブレード部或いはスカート部38が当該係合部43の奥に形成されている嵌合孔部40の空間部で元の状態に復帰する事から、当該ブレード部或いはスカート部38の端縁部が係合係止部36を構成して当該係合係止部36が当該係合部43と係合するので、当該挿入頭部32は当該ハウジング部40の当該嵌合孔部41から脱出する事が不可能となる。
【0031】
又、当該ハウジング部40の当該嵌合孔部41内に設けられる当該係合部43が、図7に示す様に、当該嵌合孔部41の奥の方向に向かって傾斜部を有する複数個のブレード43で構成される場合には、図1に示す様な構成を有する挿入頭部32を使用する事が可能である。
係る具体例では、当該挿入頭部32の挿入方向先端部33を形成する頭部とそれに続く小径部35と当該小径部35に接続している当該挿入頭部32の本体部34とから構成されており、当該挿入方向先端部33と当該本体部34との間に溝部35が形成されている。
【0032】
一方、当該ハウジング部40の当該嵌合孔部41内には、当該嵌合孔部41の入り口とは反対の方向に傾斜した複数個の羽状のブレード43が設けられており、当該挿入頭部32が当該ハウジング部40の嵌合孔部41内に挿入された場合に、当該挿入方向先端部33が当該ブレード44を押圧することによって当該ブレード部44が変形するので、当該挿入方向先端部33は容易に当該係合部42を通過するが、一旦当該挿入方向先端部33が当該係合部42を通過すると、当該ブレード部43は元の状態に戻るので、当該小径部35に面した当該挿入方向先端部33の側面部36が係合係止部を形成するので、当該係合係止部36が当該ハウジング部40の当該係合部43とが相互に係合するので、当該挿入頭部32は当該ハウジング部40の当該嵌合孔部41から脱出する事が不可能となる。
【0033】
又、当該ハウジング部40の当該嵌合孔部41内に設けられる当該係合部43が、図6(B)に示す様な構成を有する場合に採用可能な当該挿入頭部32の更に別の構成を図8に示す。
即ち、図8に示す具体例は、特許第2613062号公報に記載された結束具を応用したものであって、図8(A)に示す様に、当該挿入頭部32は、末広がりの半球状の先端部33と糸条体31側に開拡したスカート部83bと、このスカート部83bを外周に巡らせた薄肉の壁部83qと、この壁部83qに囲まれた堀部83cと、膨出部(ストッパー部)83dと、本体部34とで構成されている。
【0034】
そして、本具体例では、当該挿入頭部32が当該ハウジング部40の嵌合孔部41内に挿入された場合に、当該挿入方向先端部33の当該スカート部83bを含む薄肉の壁部83qが当該係合部43の突起状物42の間を通過する際に変形するので、当該挿入方向先端部33の当該スカート部83bは容易に当該係合部43を通過するが、一旦当該挿入方向先端部33が当該係合部43を通過すると、当該スカート部83bが当該係合部43の奥に形成されている嵌合孔部40の空間部で元の状態に復帰する事から、当該スカート部83bが当該係合部43と係合するので、当該挿入頭部32は当該ハウジング部40の当該嵌合孔部41から脱出する事が不可能となる。
【0035】
本発明に於ける当該係止具30で使用される当該糸条体31の両端部に設けられる当該双方の挿入頭部32、32’は、互いに同じ形状を有している事が望ましい。
これは、後述する本発明に係る係止具30の使用方法に於いて、汎用性を向上させると共に当該ハウジング部40との接合作業に於いても、両者をいちいち識別して選択操作を行う必要がなくなるので作業効率が大幅に向上する。
【0036】
勿論、本発明に於いては、当該係止具30で使用される当該糸条体31の両端部に設けられる当該双方の挿入頭部32、32’は、相互に異なる形状を有している事もので有っても良い。
更に、本発明に於いては、図1に示す様に、当該糸条体31の両端部に配置されている当該挿入頭部32、32’は、その挿入方向先端部33が互いに当該糸条体31の中心軸方向に対して反対方向になるように配置されている事が望ましい。
【0037】
つまり、本発明に係る当該係止具30の当該糸条体31の両端部には、当該挿入頭部32の挿入方向先端部33が配置されているのであり、従来の係止具或いはループピンと称される部材に於いては、必ずフィラメント部の両端部の一方には挿入頭部32が設けられ、他方の端部にはハウジング部40が設けられている構成であるのに対し、本発明では、上記構成によって、当該挿入頭部32と当該ハウジング部40とを別体に構成して後の工程で両者を接合するシステムの実現が可能となった。
【0038】
次に、本発明に於ける当該係止具30の別の態様としては、図4に示す通り、当該双方の挿入頭部32、32’は、当該挿入頭部32内部を、その中心軸線100方向に、当該挿入頭部32の当該糸条体31と接合する後端部から当該挿入頭部32の挿入方向先端部33に至る間で当該糸条体31が貫通している事を特徴とする係止具30である。
【0039】
つまり、本態様にあっては、当該挿入頭部32のそれぞれは、当該挿入頭部32の長手方向の全長に於いて、その内部で略当該挿入頭部32の長手方向の中心軸線100に沿って当該糸条体31が貫通配置されているものであり、従って、当該挿入頭部32の当該挿入方向先端部33の最先端部に当該糸条体31の端部が存在しているものである。
【0040】
本発明に於いては、生産速度を向上させ、連続生産を可能とし、且つ当該係止具30の原材料となる係止具用長尺素材を巻き取り或いは巻き戻しを容易にする為に当該挿入頭部32の構造、特に太さは、出来るだけ細い事が望ましく、又その長手方向の長さも制約を受ける事から、当該挿入頭部32と当該糸条体31との接合強度を向上させるために当該挿入頭部32と当該糸条体31との接触面積を増大する事が可能となる他、当該係止具30の連続生産も可能となる。
【0041】
次に、本発明の更に別の態様としては、図5に示す様に、糸条体31の中心軸線100に沿って、所定の間隔Lで、2つの挿入頭部32、32’がその挿入方向先端部33同士が互いに隣接して対向配置されている事を特徴とする係止具用長尺素材51である。
【0042】
本態様に於いては、当該2つの挿入頭部32、32’は、その互いに対向する当該挿入方向先端部33が互いに接合されて隣接挿入頭部53を構成しているものであっても良く、或いは、直接双方が接合せず、僅かな間隔54を介して当該挿入方向先端部33同士が対向して配置されている隣接挿入頭部53であっても良い。
【0043】
そして、本発明に於ける当該係止具用長尺素材50は、後工程で、当該隣接挿入頭部53の中央部或いは当該対向して配置されている当該挿入方向先端部33間の間隙部54を適宜の切断手段を使用して切断する事によって、図1に示す様な本発明に係る係止具30を得る事が出来る。
本態様における当該間隔Lの長さは、当該係止具30が必要とする長さLと一致させる事が出来る。
【0044】
一方、本発明に係る当該係止具30が使用する別体の当該ハウジング部40に付いてその具体例を説明する。
即ち、本発明に於ける当該係止具30と協同して使用される当該ハウジング部40は、上記した様に、従来の技術思想及びその構成を実質的に変更するものであって、利用者の希望に合わせる様に個別的に迅速に且つ低コストで生産出来る様に構成したものである。
【0045】
即ち、図6に示す様に、当該ハウジング部40は、基本的には、適宜の外観構成と適宜の大きさ或いは適宜の厚みを有する立体型の構造体45であって、図示の通り、少なくとも2個の当該挿入頭部32を受け入れ可能に構成された嵌合孔部41、41’を有するものである。
【0046】
当該嵌合孔部41、41’は、当該ハウジング部40の構造体の一つの側面部46に相互に隣接した状態で配置されているものであり、或いは当該構造体45の一つの側面に一つの当該嵌合孔部41を形成し、別の側面に他の嵌合孔部41’を形成するもので有っても良い。
【0047】
本発明に於ける当該ハウジング部40に於ける当該嵌合孔部41内部に設けられる当該係合部43は、例えば上記した様な構成を有するものであるが、これに限定されるものではなく、別の構成からなる係合部43を使用することも可能である。
本発明に使用される当該ハウジング部40の他の具体例を説明するならば、例えば、図9(A)に示す様に、当該ハウジング部40の構造体45が適度の厚みを有する矩形状に形成されている場合であっても良く、図9(B)に示す様に、当該ハウジング部40の構造体45が適度の厚みを有する円盤状に形成されている場合であっても良く、更には、図9(C)に示す様に、当該ハウジング部40の構造体45が適度の厚みを有するダイアモンド状に形成されている場合であっても良く、又図9(D)に示す様に、当該ハウジング部40の構造体45が適度の厚みを有する8の字状に形成されている場合であっても良く、利用者からの要望に応じて所定の金型を用意して生産を容易に行う事が出来る。
【0048】
当該ハウジング部40の形状及びその大きさは特に限定されるものではなく、又当該ハウジング部40は、適度の厚みが設けられているが、当該厚みも特に限定されるものではなく、利用者の要望に応じて適宜設計する事が可能である。
又、必要に応じて、当該ハウジング部40の表面に登録商標或いはキャンペーン名若しくはキャラクタマーク、ロゴマーク等を印字或いは刻印若しくは成型処理によって表示する事も可能である。
【0049】
又、当該ハウジング部40の厚みは少なくともその側面部46に当該嵌合孔部41が形成されるに充分な厚みを有している事が望ましい。
当該ハウジング部40に設けられる当該嵌合孔部41の数は少なくとも2個であり、当該2個の嵌合孔部41、41’は、上記した本発明に於ける当該係止具30の両端部に設けられている当該挿入頭部32、32’をそれぞれ個別に受け入れる為の孔部である。
【0050】
本発明に於ける当該ハウジング部40に設けられる当該嵌合孔部41の位置も特に限定されるものではないが、好ましくは、図9に示す様に、両者は互いに近接して設けられている事が好ましい。
本発明の他の態様としては、当該ハウジング部40に当該嵌合孔部41、41’に加えて更に別の補助嵌合孔部41”を少なくとも一つ、望ましくは2個以上41”、41”’を当該嵌合孔部41、41’に対して位置をずらせて設ける事が望ましい。
【0051】
本発明に於ける当該補助嵌合孔部41”、41”’は、図9に例示する様に、当該ハウジング部40に於いて、当該嵌合孔部41、41’が設けられている部位に対して反対側に設けられているのが好ましいが係る具体例に限定されるものではなく、当該糸条体31が如何に見栄え良く所定の商品に取り付けられるかを重点に設計する事が望ましい。
【0052】
即ち、本具体例における当該補助嵌合孔部41”、41”’は、当該嵌合孔部41、41’の構成と略同一である事が望ましく、それによって、図10(A)に示す様に、当該嵌合孔部41、41’に挿入される当該係止具30と同一の係止具31を、タグ等を係止せずに当該糸条体31のみをそのままループ状に形成して当該ハウジング部40に取り付け、あたかも当該ハウジング部40が当該係止具31をシールしている様な印象を所定の商品の購買希望者に与えて高級感を更に出す効果を狙ったものである。
【0053】
具体的には、当該係止具30の両端部に設けられている当該挿入頭部32と32’を当該補助嵌合孔部41”、41”’に挿入するに際し、先ず当該係止具30の一方の当該挿入頭部32を当該補助嵌合孔部41”に挿入固定させた後、当該係止具30の他方の当該挿入頭部32’を、例えば衣料品のボタンに引っ掛けるか、ボタンホール、ベルト通し等に挿通させた後、当該補助嵌合孔部41”’に挿入して固定する様にしても良い。
【0054】
又、場合によっては、当該補助嵌合孔部41”、41”’に挿入された当該係止具30の当該糸条体31の一部を切断することも可能である。
本発明に於ける当該ハウジング部40の他の具体例としては、図10(B)に示す様に、当該嵌合孔部41、41’に隣接して一対の嵌合孔部41a、41bとを設け、当該嵌合孔部41、41’には、値札の様にラベルの大きさが比較的小さいラベル60を当該係止具の糸条体31の長さが比較的短い係止具30を使用して係止すると共に、当該嵌合孔部41a、41bには、対応する商品の商標、素材説明或いは取り扱い説明等を含む比較的大きなラベル60’を当該係止具の糸条体31’の長さが比較的長い係止具30’を使用して係止する様に構成されているもので有っても良い。
【0055】
尚、当該ハウジング部40に形成される当該嵌合孔部41、41’、及び補助嵌合孔部41”、41”’の内径は当該挿入頭部32の直径より若干大きくなる様に設計される事が望ましく、又、当該嵌合孔部41、41’或いは当該補助嵌合孔部41”、41”’内にそれぞれ設けられる当該係合部43の構造は、前記した通り図6或いは図7に示された様な構成を有しているものである。
【0056】
又、本発明に係る当該係止具の更に別の具体例としては、当該係止具30を当該ハウジング部40の当該嵌合孔部41内に挿入した際に当該係止具30の挿入頭部32の後端部が外見上見えない様にするために、図21に示す様な、当該ハウジング部40の側面部にはめ込み自在に構成された蓋部材101を用意して、当該係止具30を当該ハウジング部40に取り付ける際に同時に使用して当該ハウジング部40に取り付ける様にしても良く或いは、図21(B)に示す様に、予め当該挿入頭部32の後端部に適宜の大きさの蓋部材101を一体的に成型しておくもので有っても良い。
【0057】
上記した本発明に於ける当該係止具30の各具体例では、その挿入頭部32の構造に於ける断面形状が丸型或いは楕円形のものに付いて説明したが、本発明に於ける当該係止具30に於ける当該挿入頭部32の断面は扁平形状であっても良い事は言うまでも無い。
【0058】
即ち、図23に示す様に、当該挿入頭部32全体の断面形状を扁平化したものも使用できる。
つまり、図23(A)に示す通り、係止具30に於ける当該糸条体31の両端部に配置される当該挿入頭部32の本体部60及びそれと一体的に形成される一つの突起部36とを適宜の厚みを有する扁平形状に構成し、当該突起部36は、容易に変形し且つ原型に容易に復帰出来る様に合成樹脂素材を適宜選定すると共に、当該突起形状のスペックを適宜設定する事が可能である。
【0059】
同様に図23(B)及び同(C)に示す様に、当該挿入頭部32の本体部61と当該本体部61に間隙部63を挟んで対向して一体的に形成された可変部材64の先端部にそれぞれ一体的に突起部36を設けたものであり、又当該間隙部63は、容易に変形し且つ原型に容易に復帰出来る様に合成樹脂素材を適宜選定する事が可能である。
【0060】
尚、上記具体例では、当該本体部61の下端部に小径部62を設けて当該糸条体31と係合させる様に構成されていても良い。
一方、上記具体例に使用される当該ハウジング部40の具体例の構成は、図24に示す通りであり、当該ハウジング部40の側面には、断面扁平な嵌合孔部41、41’、41”、41”’が設けられている。
【0061】
本具体例に有っては、当該ハウジング部40の内部では、それぞれの当該嵌合孔部41、41’、41”、41”’の奥に、当該挿入頭部32の突起部36が挿入される適宜の空間部65が設けられている。
従って、当該ハウジング部40の当該嵌合孔部41、41’、41”、41”’に当該係止具30に設けられた当該挿入頭部32が挿入された場合、当該挿入頭部32の先端突起部36が当該嵌合孔部の側壁により変形しながら或いは当該間隙部63の間隔が短縮されながら当該嵌合孔部内を通過して、当該先端突起部36が当該嵌合孔部先の空間部65に到達した場合に、当該先端突起部36が当該空間部65に於ける当該嵌合孔部41、41’、41”、41”’との交差部に係合して挿入固定されるものである。
【0062】
又、本具体例の当該ハウジング部40は、図20に示す様な成型方法を応用する事によって容易に成型加工する事が出来る。
上記した具体例では、当該係止具30の挿入頭部32の断面形状が扁平化されているので、オペレータが当該係止具30を当該ハウジング部40に挿通させる操作を安定化させる事が出来、操作が確実で作業効率も大幅に向上させる事が可能となる。
【0063】
然も構造が簡易化されるので、金型の製造コストも低減化出来、作業効率の向上と合わせてトータルコストを大幅に低減させる事が可能となる。
次に、本発明に於ける当該係止具30の使用方法の具体例を図18を参照しながら説明する。
【0064】
即ち、本発明に於いては、図5に示す様な係止具用長尺素材50を連続的に製造した後、当該係止具用長尺素材50に設けられた例えば当該隣接挿入頭部52の当該挿入方向先端部33が互いに当接している切断部分を適宜の切断手段を利用して切断し、図1に示される様な複数本の当該係止具30を製造し、その一方では、図6若しくは図9の何れかに示されている様な適宜のハウジング部40を別途で製造し、当該両者を集合した場所及び時点で図11(A)に示す様に、当該係止具30の一方の端部にある当該挿入頭部32’を利用者の指定するデザインを有するハウジング部40の側面部に設けられた当該嵌合孔部41に挿入して固定し、その形で当該利用者に対して出荷する。
【0065】
その際には、当該ハウジング部40に接続した当該係止具30と同じ構成或いは異なる構成を有する他方の挿入頭部32を当該ハウジング部40に取り付けない形で同時に利用者宛てに出荷する。
一方、当該係止具30の利用者側では、図11(A)に示す様な形で入庫された当該係止具30に図11(B)で示す様に所定の値札、ブランド名タグ、商品説明書或いは素材説明書等を当該係止具30の当該糸条体31に係止させた後、特定の商品の所定の部位に当該係止具30の当該糸条体31を挿通させた後、フリー状態の当該挿入頭部32を当該ハウジング部40の他の嵌合孔部41に挿通させて当該タグ等を当該商品に取り付ける。
【0066】
その後、利用者は、当該係止具30の製造者から同時に送付されて来ている当該係止具30と同一の係止具30の両端部に設けられている当該挿入頭部32、32’を当該ハウジング部40に設けられている当該補助嵌合孔部41“、41”’内に挿入固定させて当該係止具30の当該糸条体31をループ状に形成してタグ等の取り付け操作を終了する。
【0067】
本発明に於いては、当該挿入頭部を有する当該係止具30と当該ハウジング部40とを、当該挿入頭部の一方を当該ハウジング部40の嵌合孔部41に挿入固定することなく、そのまま両者を分離した状態のまま出荷する事も可能である。
次に、本発明に係る当該係止具30及び当該係止具用長尺素材50の製造装置及びその製造方法の一例を図18及び図22を参照しながら説明する。
【0068】
本発明に関連する当該係止具30及び当該係止具用長尺素材50の製造装置としては、例えば、2つの挿入頭部32がその挿入方向先端部33同士を互いに対向させて配置されているか或いは2つの挿入頭部がその挿入方向先端部同士を互いに接触した状態で対向させて配置されている隣接挿入頭部51を形成する為のモールド部74と当該モールド部74の中心軸を通り、その前後に延展され且つ当該金型の外部に連通している糸条体通路部73とを有する金型70、当該モールド部74と当該糸条体通路部73とに当該糸条体31を所定の張力状態下に張設挿入する手段118、当該モールド部74内に所定の成型用樹脂を導入する手段75、当該隣接挿入頭部51を当該糸条体31上に成型した後、当該隣接挿入頭部51が形成された当該糸条体31を当該金型70から引き出す手段で且つ当該糸条体を引き取る引取り手段57とから構成されている事が望ましい。
【0069】
更に、上記具体例に於いて、当該隣接挿入頭部51に於ける相互に隣接している挿入頭部32の先端部間を切断する切断手段225が当該金型70に近接して設けられている事も望ましい具体例である。
当該引取り手段57は、当該成型された隣接挿入頭部を含む連続状態の当該糸条体を引き取る様に構成されている事が好ましく、当該引取り手段57と当該隣接挿入頭部51が形成された当該糸条体31を当該金型70から引き出す手段とは、同一機構で構成されている場合もあり、或はそれぞれ別々に構成配置されているものであっても良い。
【0070】
当該引取り手段57は、当該成型された隣接挿入頭部32を含む連続状態の当該糸条体31を切断処理した後の個々の係止具30を引き取る様に構成されているもので有っても良く或は、当該引取り手段57に引き取られた当該成型された隣接挿入頭部32を含む連続状態の当該糸条体31の当該相互に隣接している挿入頭部の先端部間を後工程で別途に設けた切断手段によって切断する様に構成されているものであっても良い。
【0071】
本具体例に於いて、当該係止具用長尺素材50は、当該糸条体31を所定の糸条供給手段56から連続的に供給し、適宜の金型部70を通過させながら当該糸条体31の所定の部位に所定の間隔で当該糸条体31を内蔵する様に所定の合成樹脂を射出成型して一対の挿入頭部32、32’を、当該挿入方向先端部33が相互に対向する様に配置するか、当該挿入方向先端部33同士が直接に相互に接続した状態となる様に成型し、当該合成樹脂が固化した時点で当該糸条体31を適宜の移動手段を利用して所定の長さだけ移動させ、当該隣接挿入頭部を含む当該糸条体7を当該金型70から取り出し、再び同様の射出成型を実行して再度当該糸条体31を同じ方向に移動させると言う操作を繰り返し実行するもので、形成された当該係止具用長尺素材50は、適宜の巻き取り手段、貯留手段等からなる適宜の引き取り手段或は収納具57に連続的に収納される様に構成されていることが望ましい。
【0072】
又、本発明に於ける当該引き取り手段或は収納具57は、巻き取りローラー、ドラム、リール、クリール、ケンス、収納ボックス等から選択された一つである事が望ましい。
本発明に於ける当該糸条体31の供給方法は、当該糸条体31を巻き上げている所望のボビン56等を間歇的に積極的に回転させるか、或いは消極的に引き出す様に構成されているものであり、更に本発明に於いては、当該金型70の当該糸条体31の走行方向に沿った前後位置に適宜の張力付与手段118が設けられており、それによって、当該糸条体が当該金型70内で静止している間で且つ成型加工を受ける間、所定の緊張状態を維持しておく事が求められる。
【0073】
当該張力付与手段118は、従来周知の適宜の構成を有するもので有っても良い。
より具体的には、当該張力付与手段118は、例えば、一対の相互に接触したローラーで構成されており、少なくとも当該金型の下流に配置される当該張力付与手段118は、その一方のローラーが例えばピンチローラーの様に、他方のローラーとの接触が任意に解消できる様な構造である事が望ましく、当該成型処理が終了した後の当該糸条体31に形成された当該隣接挿入頭部51が通過する際に当該ピンチローラーが移動して当該隣接挿入頭部51が通過する間隙を当該ローラー間に形成する様に構成されているものである。
【0074】
本発明に於ける当該係止具用長尺素材50の製造装置及びその製造方法のより詳細な具体例を示すならば、図18に示す通り、適宜の供給手段56から供給された当該糸条体31は、上下に半割りに形成された金型部70に挿通される。
当該金型部70は、図18に示す通り、上側金型部71と下側金型部72とで構成されており、当該下側金型部72には、当該糸条体31を通過させる為の半割り状の通路部73が直線状に形成されており、その途中に当該糸条体31の通路部73の仮想延長線を中心として、当該一対の挿入頭部32と32’が隣接して形成される様に、当該一対の挿入頭部32と32’を近接して或いは直接接合した形で形成する為の半割り状のモールド部である金型部74が形成されており、更に当該半割り状のモールド部である金型部74の一部に当該金型部74内に成型用樹脂を供給する為の通路部75が形成されている。
【0075】
又、当該金型70の上側金型部71には、当該下側金型部72に対応する形状を有する突起部或は凹陥部等が形成されている。
当該金型70の当該通路部73に所望の糸条体31を通過させ、静止状態に維持しながら所定の張力を印加して張設した後、上下の金型部71、72を閉鎖して合成樹脂を当該金型部74に供給して当該糸条体31上に当該一対の挿入頭部若しくは当該隣接挿入頭部51を形成し、当該合成樹脂が固化した後、当該上下金型部71、72を開放して、当該糸条体31を所定の距離Lだけ適宜の引取り手段或いは移動手段を利用して当該収納手段57の方向に移動させ、再び当該糸条体31を静止させた後、当該上下の金型部71、72を閉鎖して合成樹脂を当該金型部74に供給して当該糸条体31上に次の当該一対の挿入頭部若しくは当該隣接挿入頭部74を形成し、以後上記操作を繰り返すことによって図5に示す様な係止具用長尺素材50が得られる。
【0076】
本発明に於ける当該距離Lは、当該係止具30の用途に応じて自由に設定できるものであり、上記具体例に於いては、当該糸条体31の移動距離を調整することによって実施出来る。
又、上記具体例では、当該引取り手段57に一旦収納された当該隣接挿入頭部51を有する当該糸条体31を適宜の手段を使用して巻き戻しながら、適宜のカッター等の切断手段を利用して、当該隣接挿入頭部51の中央部52を切断して本発明の係止具30を得る事になる。
【0077】
本発明に於ける当該係止具用長尺素材50は、当該挿入頭部32の太さが従来の挿入頭部よりも細く構成され且つ突起部も大きく突出していないので、巻き取り操作や収納操作が簡単でスムースに行われると共に、当該係止具用長尺素材50を所定の部分で切断して本発明に係る当該係止具30を形成するため、当該係止具用長尺素材50を当該収納具57から引き出す場合でも当該係止具用長尺素材50同士が絡まり合う事によって操作が中断したり、当該挿入頭部32が損傷を受けると言う問題は生じない。
【0078】
更に、本具体例では、当該金型部70で一本の係止具用長尺素材50を製造する例を示したが、当該モールド部である金型部74及び糸条体通路部73を相互に平行状態で複数個形成する事により、1つの金型70で複数本の当該係止具用長尺素材50を同時に製造する事も可能である。
更に、本具体例に於いて、図18に示された金型70を当該糸条体31の移動方向に沿って複数個縦型に配列する事によって、一回の射出成型操作で複数個の挿入頭部対或いは複数個の隣接挿入頭部を当該糸条体上に同時に形成させる事も可能である。
【0079】
尚、係る具体例に於いては、図19に於ける当該第1の金型70と第2の金型70’との間隔は、調整可能に構成されていることが望ましく、その間隔は、図1に示す当該係止具30の当該挿入頭部32、32’間の距離Lと等しくなるように設定される事が望ましい。
次に、本発明に係る当該係止具30及び当該係止具用長尺素材50の製造装置及びその製造方法の他の例を図22を参照しながら説明する。
【0080】
本具体例に於いて、当該係止具用長尺素材50は、当該糸条体31を所定の糸条供給手段221から連続的に供給し、図18に示すと略同様に当該隣接挿入頭部を形成するためのモールド部74及び当該糸条体31が通過する糸条体通路部73が形成された構成を持つ金型部222を通過させる様に構成されており、且つ当該金型部222の当該糸条体31の移動方向に沿って、上流部側には一対の回転ローラー220が設けられると共に、その下流部側には、一方のローラーが例えばピンチローラーの様に、他方のローラーとの接触が任意に解消できる様な構造を有する一対のローラー223が配置され、それによって当該糸条体31に対して張力付与手段を形成している。
【0081】
係る具体例に於いて、当該ローラー223は、ピンチローラー機構でなく、一つのローラーに当該糸条体31を複数回巻きつける様に構成された機構を使用する事も可能である。
更に、本具体例に於いては、当該ローラー223の下流部側に当該隣接挿入頭部51の中央部分を切断する為の切断機構、好ましくは切断用ロボット機構が設けられており、その具体例としては、図示の様に、当該ローラー223の下流部側に当該隣接挿入頭部51の中央部分52を切断する為のカッター部225が設けられている。
【0082】
当該カッター部225は、当該隣接挿入頭部51の中央部分52が所定の部位に来て静止している間に当該糸条体31に向けて前進し、当該隣接挿入頭部51の中央部分を切断してその後当該糸条体31の通路から後退するように構成されている事が望ましい。
係る操作は、当該金型222でモールディング操作が実行されている間で、当該糸条体31が静止している状態で実行される事が望ましい。
【0083】
当該カッター部225の下流部分には別の一対のローラーからなる当該糸条体31の把持及び引き取り手段226が設けられており、係る把持及び引き取り手段226は、上記したローラー223と同じ構成を有している事が望ましい。
係る構成によって当該ローラー223と当該把持及び引き取り手段226との間で当該糸条体31を所定の緊張状態に維持しながら当該隣接挿入頭部51を切断する事が可能となる。
【0084】
この際、切断された当該係止具30は、そのまま適宜の収納部227に収納されるが、次の操作の為に当該切断された他方の隣接挿入頭部51を当該把持及び引き取り手段226の下流迄移動させる必要があり、そのために切断操作が実行された後の当該隣接挿入頭部51に近接する糸条体31の部分を把持して当該把持及び引き取り手段226の下流部分にまで運搬する為の糸把持ガイド部224が設けられる事が望ましい。
【0085】
当該糸把持ガイド部224は、適宜の指令に基づいて当該糸条体31の一部を把持固定したり当該糸条体31の一部を解放したりする事が可能な様に構成されると同時に、適宜の糸把持ガイド部駆動手段228により、所定のプログラムに従って、当該ローラー223の下流部で当該糸条体31の自由端を形成している挿入頭部32の近傍部を把持し、当該把持及び引き取り手段226の下流部分にまで運搬した後、当該把持及び引き取り手段226のピンチローラーが当該糸条体31を確実に把持した後、再び次の操作を実行する為に最初の位置に戻って待機する様に構成されている。
【0086】
本具体例に於いては、当該金型222に於ける当該隣接挿入頭部74の中央部位置と当該カッター部225との間の距離がLに設定されるものである。
上記具体例によって、本発明に係る当該係止具30が当該金型の直後の部位で間歇的に且つ継続的に所定の収納部に堆積させる事が出来る。
【0087】
一方、図20には、本発明で使用されるハウジング部40の製造方法の例を示すものであり、当該ハウジング部40の製造は、半割り型の金型80を使用するものであり、当該金型80は上金型81と下金型82とから構成され、当該下金型82には、例えば、当該ハウジング部40を2つに割って平面的に広げた状態の一対の金型部83及び83’がヒンジ部形成金型部84を介して隣接して配置されており、更に、当該金型部83及び83’がヒンジ部形成金型部84に対して所定の合成樹脂を供給する為の合成樹脂供給通路85が設けられている。
【0088】
当該金型部83には、例えば円形をしたハウジング部40の下半分の構成部を成型する円盤状のキャビティー部86と当該ハウジング部40の上半分の構成部を成型する円盤状のキャビティー部87とが対として、当該ヒンジ部84を介して隣接接合した状態で配置されており、一方、上金型81には、当該下金型82の円形をしたハウジング部40上半分と下半分とを構成する一対の円盤状のキャビティー部87と対応して、設けられている金型部90、90’には、当該それぞれのキャビティー部86、87内に当該嵌合孔部を構成するための半割り状の円筒部89でその一部に当該係合部43を形成するための溝部88を有する半円筒状突起部を少なくとも2個好ましくは4個を形成している。
【0089】
更に、当該金型部90、90’には、当該上部ハウジング部と当該下部ハウジング部とを接合固定する為に、相互に嵌合するフック部とフック受け部を形成するためのフック部金型部91とフック受け部金型部92とを適宜分散させて配置されている。
【0090】
成型する場合には、当該両金型81、82を閉鎖して当該合成樹脂供給通路から所定の合成樹脂を射出して成型処理を行う。
成型された当該ハウジング部40は、ヒンジ部分84から2つに折り曲げて、当該フック部とフック受け部とを嵌め込み一体化させることにより、強固に固定されたハウジング部40が構成され、且つ当該ハウジング部40の側面には、2個若しくは4個の当該嵌合孔部41が形成されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、本発明に係る係止具の一具体例に於ける構造の概要を示す側面図である。
【図2】図2は、本発明に係る係止具の挿入頭部の一具体例に於ける構造の概要を示す側面図である。
【図3】図3は、本発明に係る係止具の挿入頭部の他の具体例に於ける構造の概要を示す側面図である。
【図4】図4は、本発明に係る係止具の具体例に於ける構造の概要を説明する断面図である。
【図5】図5は、本発明に係る係止具用長尺素材の具体例に於ける構造の概要を示す側面図である。
【図6】図6(A)は、本発明に於いて関連的に使用されるハウジング部の一具体例の構成の概要を示す図であり、図6(B)は当該ハウジング部に設けられた嵌合孔部の構成の一具体例を示す断面図である。
【図7】図7は、本発明に於いて使用されるハウジング部に設けられた嵌合孔部の構成の他の具体例を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明に係る係止具の挿入頭部の更に別の具体例に於ける構造の概要を示す側面図及び断面図である。
【図9】図9は、本発明に於いて関連的に使用されるハウジング部の他の具体例を示す斜視図である。
【図10】図10は本発明に於ける係止具をハウジング部と共に使用した場合の具体例を示す図である。
【図11】図11は、本発明に於ける係止具の使用態様を説明する図である。
【図12】図12は、従来のループピンの構造の一例を示す一部断面図である。
【図13】図13は、従来のループピンの使用例を説明する図である。
【図14】図14は、従来のループピンの構造の一例を示す平面図である。
【図15】図15は、従来のループピンの使用例を説明する図である。
【図16】図16は、従来のループピンの構造の他の例を示す図である。
【図17】図17は、従来のループピンの構造の更に他の例を示す図である。
【図18】図18は、本発明に於ける係止具用長尺素材の製造方法の一具体例を説明する斜視図である。
【図19】図19は、本発明に於ける係止具用長尺素材の製造方法の他の具体例を説明する斜視図である。
【図20】図20は、本発明に於いて関連的に使用されるハウジング部を製造する方法の一例を説明する図である。
【図21】図21は、本発明に於ける係止具をハウジング部に嵌合させる場合の他の例を示す図である。
【図22】図22は、本発明に於ける係止具を製造する装置の他の例を示す図である。
【図23】図23は、本発明で使用される係止具に於ける挿入頭部の他の具体例を示す図である。
【図24】図24は、本発明に於けるハウジング部の他の具体例の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0092】
30 係止具
31 糸条体
32 挿入頭部
33 挿入方向先端部
35 小径部
34 挿入頭部の本体部
36 係合係止部、係合突起部
40 ハウジング部
41 嵌合孔部
42 突起状部材
43 係合部
50 係止具用長尺素材
51 隣接挿入頭部
52 中央部
56 糸条供給手段
60 本体部
61 本体部
63 間隙部
65 空間部
70 金型部
71 上側金型部
72 下側金型部
73 糸条体通路部
74 モールド部
75 樹脂供給通路部
118 張力付与手段
220 回転ローラー
222 金型部
223 ローラー
224 糸把持ガイド部
225 カッター部
226 把持及び引き取り手段
227 収納部
228 糸把持ガイド部駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸条体及び当該糸条体の両端部に設けられている挿入頭部とから構成されている事を特徴とする係止具。
【請求項2】
当該挿入頭部は、当該係止具とは別体に構成されたハウジング部に設けられている嵌合孔部内に挿入され当該嵌合孔部内で不可逆的に固定保持される機能を有するものである事を特徴とする請求項1に記載の係止具。
【請求項3】
当該挿入頭部は、当該嵌合孔部内に設けられている係合部と不可逆的に係合して固定される係合係止部を有している事を特徴とする請求項2に記載の係止具。
【請求項4】
当該双方の挿入頭部は、互いに同じ形状を有している事を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の係止具。
【請求項5】
当該双方の挿入頭部は、互いに異なる形状を有している事を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の係止具。
【請求項6】
当該双方の挿入頭部は、当該挿入頭部内部を、その中心軸線方向に当該挿入頭部の当該糸条体の一部と接合する後端部から当該挿入頭部の挿入方向先端部に至る間で当該糸条体が貫通している事を特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の係止具。
【請求項7】
当該糸条体の両端部に配置されている当該挿入頭部は、その挿入方向先端部が互いに当該糸条体の中心軸方向に対して反対方向になるように配置されている事を特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の係止具。
【請求項8】
当該糸条体は、天然繊維若しくは再生繊維或は合成繊維の単独或は混合によるモノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、紡績糸、金属繊維糸、金銀糸、弾性繊維糸、及びそれらの単独或いは組み合わせからなる混紡糸、混繊糸若しくは複合糸或いはそれらの撚り糸から選択された一つである事を特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の係止具。
【請求項9】
当該挿入頭部は合成樹脂により形成されている事を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の係止具。
【請求項10】
糸条体の中心軸線に沿って、所定の間隔で、2つの挿入頭部がその挿入方向先端部同士が互いに隣接して対向配置されている隣接挿入頭部を形成している事を特徴とする係止具用長尺素材。
【請求項11】
当該2つの挿入頭部の当該挿入方向先端部同士が互いに接合されて隣接挿入頭部を構成している事を特徴とする請求項10に記載の係止具用長尺素材。
【請求項12】
当該係止具用長尺素材は、適宜の収納具に収納されている事を特徴とする請求項10又は11に記載の係止具用長尺素材。
【請求項13】
当該収納具は、巻き取りローラー、ドラム、リール、クリール、ケンス、収納ボックス等から選択された一つである事を特徴とする請求項12に記載の係止具用長尺素材。
【請求項14】
2つの挿入頭部がその挿入方向先端部同士を互いに対向させて配置されているか或いは2つの挿入頭部がその挿入方向先端部同士を互いに接触した状態で対向させて配置されている隣接挿入頭部を形成する為のモールド部と当該モールド部の中心軸を通り、その前後に延展され且つ当該金型の外部に連通している糸条体通路部とを有する金型、当該モールド部と当該糸条体通路部とに当該糸条体を所定の張力状態下に張設挿入する手段、当該モールド部内に所定の成型用樹脂を導入する手段、当該隣接挿入頭部を当該糸条体上に成型した後、当該隣接挿入頭部が形成された当該糸条体を当該金型から引き出す手段及び当該糸条体を引き取る引取り手段とから構成されている事を特徴とする係止具の製造装置。
【請求項15】
当該隣接挿入頭部に於ける相互に隣接している挿入頭部の先端部間を切断する切断手段が当該金型に近接して設けられている事を特徴とする請求項14に記載の係止具の製造装置。
【請求項16】
当該引取り手段は、当該成型された隣接挿入頭部を含む連続状態の当該糸条体を引き取る様に構成されている事を特徴とする請求項14に記載の係止具の製造装置。
【請求項17】
当該引取り手段は、当該成型された隣接挿入頭部を含む連続状態の当該糸条体を切断処理した後の個々の係止具を引き取る様に構成されている事を特徴とする請求項15に記載の係止具の製造装置。
【請求項18】
当該引取り手段に引き取られた当該成型された隣接挿入頭部を含む連続状態の当該糸条体の当該相互に隣接している挿入頭部の先端部間を切断する切断手段が設けられている事を特徴とする請求項16に記載の係止具の製造装置。
【請求項19】
請求項1乃至10の何れかに記載された当該係止具の挿入頭部を受け入れてその内部に係合固定するハウジングであって、当該ハウジングの側面部に当該係止具の挿入頭部を受け入れる少なくとも2個の嵌合孔部が設けられている事を特徴とする係止具用ハウジング。
【請求項20】
当該嵌合孔部の内部には、当該係止具の挿入頭部に設けられている係合係止部と係合し、当該挿入頭部を当該嵌合孔部内部に不可逆的に固定保持する機能を有する係合部が設けられている事を特徴とする請求項19に記載の係止具用ハウジング。
【請求項21】
当該嵌合孔部は当該ハウジング部の側面部に少なくとも4個設けられている事を特徴とする請求項19又は0に記載の係止具用ハウジング。
【請求項22】
当該複数個の嵌合孔部の内、相互に隣接している当該2個の嵌合孔部は、当該一本の係止具の両端部に設けられている双方の挿入頭部を同時に受け入れて嵌合固定するものである事を特徴とする請求項19乃至21の何れかに記載の係止具用ハウジング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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