係止支持スペーサグリッドを有する原子燃料集合体
【課題】主要支持構造として卵箱構造のベースグリッドを有し、燃料棒を支持するベースグリッドのそれぞれの支持セルにこの支持セル内で第1位置と第2位置の間で回転可能な係止支持スリーブが設けられた原子燃料集合体の改良型グリッドを提供する。
【解決手段】係止支持スリーブは、第1位置においてベースグリッドの支持セル内にゆるく嵌着し、装荷された燃料棒をゆるく受容する。次いで第2位置へ回転させると、支持セル内に燃料棒を軸方向に係止する。
【解決手段】係止支持スリーブは、第1位置においてベースグリッドの支持セル内にゆるく嵌着し、装荷された燃料棒をゆるく受容する。次いで第2位置へ回転させると、支持セル内に燃料棒を軸方向に係止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広義には原子燃料集合体に係わり、より具体的には、燃料集合体に燃料棒を装荷した後、燃料棒の被覆に圧力を加えるスペーサグリッドを採用する原子燃料集合体に係わる。
【公知技術の説明】
【0002】
加圧水で冷却される原子力発電システムの一次側は隔離された閉回路を構成するが、この閉回路は有用なエネルギーを発生させるために二次側と熱交換関係にある。一次側は核分裂物質を含む複数の燃料集合体を支持する炉心内部構造を取り囲む原子炉容器と、熱交換蒸気発生器内の一次回路と、加圧器の内部容積と、加圧水を循環させるためのポンプおよび配管とより成り、配管は蒸気発生器およびポンプをそれぞれ独立に原子炉容器に接続する。蒸気発生器、ポンプおよび圧力容器に接続する配管系からなる一次側の各部分が一次側ループを形成する。
【0003】
説明のため、図1は原子炉一次系の簡略図であり、この一次系は炉心14を密閉する閉鎖ヘッド12を備えたほぼ円筒状の圧力容器10を含む。例えば、水のような液状原子炉冷却材がポンプ16によって容器10に注入されて炉心14を通過するが、この炉心14において熱エネルギーが吸収され、蒸気発生器と呼称される熱交換器18へ放出され、熱交換器において熱が(図示しない)利用回路、例えば、蒸気で駆動されるタービン発電機へ移送される。次いで、冷却材はポンプ16へ戻されて、一次ループを完成する。多くの場合、複数の上記ループが冷却材配管系20を介して単一の原子炉容器10に接続される。
【0004】
図2に原子炉構造の1例を詳細に示す。平行に且つ垂直に同一空間内を延びる燃料集合体22から成る炉心14に加えて、説明の便宜上、その他の原子炉容器内部構造を下方内部構造24と上方内部構造26とに区分することができる。従来設計における下方内部構造の機能は、炉心コンポーネント、計測管を支持し、整列させ、案内し、圧力容器内の流れを方向付づけることである。上方内部構造は、(図面には簡略化のため2つだけ示す)燃料集合体22の移動を抑制するかまたは二次的な移動抑制手段として機能するとともに、計測管および制御棒28のようなコンポーネントを支持し、案内する。図2に例示する原子炉の場合、冷却材は1つまたは2つ以上の入口ノズル30から原子炉容器10に流入し、原子炉容器と炉心胴部32の間の環状空間を流下し、180°向きを変えて下部プレナム34に流入し、燃料集合体22が載置されている下部支持板37および下部炉心板36を上昇し、集合体の間および周囲を流動する。設計によっては、下部支持板37および下部炉心板36の代わりに、下部支持板37と同じ高さに、単一構造として下部コア支持板を使用する。コアおよび周辺領域38を通過する冷却材流れは毎秒約20フィートの速度で通常は毎分約400、000ガロンである。その結果発生する圧力降下および摩擦力は燃料集合体を上昇させる傾向があるが、この上昇移動は円形上部炉心板40を含む上方内部構造によって抑制される。炉心14を出た冷却材は上部炉心板40の下側に沿って流れ、複数の開口42から上向きに流動する。次いで、冷却材は1つまたは2つ以上の出口ノズル44に向かって上方且つ半径方向に流動する。
【0005】
上方内部構造26は原子炉容器または容器ヘッドから支持することができ、上方支持集合体46を含む。荷重は主として複数の支持カラム48を介して上方支持集合体46と上部炉心板40の間で伝達される。支持カラムは選択された燃料集合体22および上部炉心板40の開口42と整列してそれらの上方に位置する。
【0006】
直線的に移動可能な制御棒28は、駆動シャフト50と、制御棒案内管54によって上方内部構造26を介して整列した燃料集合体22内へ案内される中性子毒物棒のスパイダ集合体52とを含むのが典型的な構成である。案内管は上方支持集合体46に固定的に装着され、上部炉心板40の上部にプレス嵌めされる割りピン56により接続される。割りピンの構成は案内管の組込みおよび必要に応じた交換を容易にするものであり、特に地震や他の高荷重事故の状況で炉心の荷重が案内管54でなく主として支持カラム48により支えられるようにする。この支持カラムの構成は制御棒挿入に有害な影響を及ぼす恐れがある事故時における案内管の変形を遅らせるのに寄与する。
【0007】
図3は参照符号22で総括的に指示する燃料集合体22を上下方向に短縮された形で示す立面図である。燃料集合体22は加圧水型原子炉において使用されるタイプのものであり、下端に下部ノズル58を含む骨格構造を有する。下部ノズル58は原子炉の炉心領域において下部炉心支持板60上に燃料集合体22を支持する(図2では下部炉心支持板60に参照符号36を付してある)。燃料集合体22の骨格構造は下部ノズル58のほかに、上端にある上部ノズル62と、下部ノズル58と上部ノズル62の間を長手方向に延びて両端部をこれら両ノズルに固定された多数の案内管またはシンブル54とを含む。
【0008】
燃料集合体22は、案内シンブル54(案内管とも呼称される)に沿って軸方向に間隔を保って取り付けられ、横方向へ延びる複数のグリッド64と、横方向に間隔を保ち、グリッド64によって支持され、整然と配列された細長い燃料棒66とを含む。図3では見えないが、グリッドは従来型で、直交関係にかみ合う4本のストラップの隣接する内面がほぼ正方形の支持セルを画定し、セルを貫通する燃料棒66を互いに横方向に間隔を保って支持する卵箱パターン構造を有する。従来設計では多くの場合、支持セルを形成するストラップの対向壁にばねとディンプルとが打抜きにより形成される。ばねとディンプルとは支持セル内に半径方向に延び、それらの間に燃料棒を捕捉し、燃料棒の被覆に圧力を作用させることによって燃料棒を定位置に固定する。また、集合体22の中心には、下部ノズル58と上部ノズル62の間を延びて、これら両ノズル58,62に取り付けられる計測管68がある。各部品をこのように配置することで、燃料集合体22は部品の集合体を損傷させることなく取扱うことができる一体的構造を形成する。
【0009】
上述したように、集合体22中の燃料棒66の配列は燃料集合体の全長に沿ってグリッド64によって間隔を保つように保持される。各燃料棒66は複数の原子燃料ペレット70を含み、両端が上下の端栓72、74によって密閉される。ペレット70は上部端栓72と積重ねたペレットの頂部との間に設けたプレナムばね76によって積重ねた状態に維持される。核分裂物質から成る燃料ペレット70は原子炉の反応エネルギーを発生させる。ペレットを取り囲む被覆は核分裂副生成物が冷却材中に浸入して原子炉システムを汚染するのを防止する隔壁として機能する。
【0010】
核分裂プロセスを制御するため、燃料集合体22中の所定位置に配置された案内シンブル54内を多数の制御棒78が往復移動可能である。具体的には、上部ノズル62の上方に位置する棒クラスタ制御機構80が制御棒78を支持する。制御機構は、半径方向に延びる複数のフルークまたはアーム52を有し、内側に螺条が形成された円筒状のハブ部材82を備えている。それぞれのアーム52は、すべて公知の態様で、制御棒機構80が、制御棒ハブ80に連結されている制御棒駆動シャフト50の駆動力により、制御棒を案内シンブル54内で上下動させることにより、燃料集合体22中での核分裂プロセスを制御するように、制御棒78と互いに連結されている。
【0011】
既述のように、燃料集合体には、燃料棒の重量を超え、燃料棒および燃料集合体に大きい力を印加する液圧力がかかり易い。これに加えて、多くのグリッドのストラップの上面に位置する混合翼によって炉心中の冷却材に有意な乱流が発生し、これが燃料棒被覆から
冷却材への熱移動を促進する。燃料棒の運動を抑制しなければ、実質的な流れ力と乱流とにより燃料棒の被覆に深刻なフレッティイング腐食が生じる恐れがある。燃料棒の被覆にフレッティイング腐食が発生すると、被覆が破れ、冷却材が燃料棒内の放射性副生成物に露出する恐れがある。さらにまた、燃料棒が燃料集合体内に最初に装荷され、支持セルに挿入され、ばねとディンプルとによって挟持される時、被覆の表面が損傷して、腐食を促進し、燃料棒の被覆が破損する可能性がある。
【0012】
従って、燃料集合体の製造時に被覆を傷つけずに燃料棒を燃料集合体内に制約し支持する改良された支持手段が望ましい。
【発明の概要】
【0013】
本発明は上記目的を、下部ノズルと上部ノズルの間に支持され、細長い原子燃料棒の長手方向寸法に沿った軸方向長さを有し、平行配列された複数の原子燃料棒を支持するための改良型原子燃料集合体を提供することによって達成する。上部ノズルと下部ノズルの間に、燃料棒の軸方向長さに沿って相前後するように複数の互いに間隔を保つ改良された支持グリッドを配置し、支持グリッドの支持セル内のそれぞれの燃料棒の周面の軸方向部分を少なくとも部分的に取り囲むことによって燃料棒間の横方向間隔を維持する。本発明の改良型支持グリッドは、原子燃料棒を取り囲む4本の隣接ストラップの交差部において支持セルを画定する複数の直交ストラップを有する卵箱構造のベースグリッドから形成される。4本の隣接するストラップの交差部間における各ストラップの長さが対応する支持セルの壁を形成する。係止支持スリーブは、燃料棒を支持する支持セルの少なくとも1つ、好ましくはすべてに嵌入し、挿入された原子燃料棒をゆるく受容する第1位置と、燃料棒に側方から圧力を作用させて燃料棒を軸方向および半径方向に制約する第2位置とを有し、第1位置と第2位置の間で回転可能である。
【0014】
1つの実施形態では、ベースグリッドの少なくとも1面の壁が係止支持スリーブの壁と協働して、係止支持スリーブの回転を制約する。係止支持スリーブの回転を制約する手段を支持セルの少なくとも1面の壁に設けた雄または雌係止部材のいずれか一方と係止支持スリーブの少なくとも1面の壁に設けた雄または雌係止部材の他方とで形成することができる。雄および雌係止部材をそれぞれ突起と孔とで構成し、整列状態において突起が孔に嵌入するように寸法設定することができる。係止支持スリーブを第2位置まで回転させる時に係止支持スリーブの回転を制約する手段は、係止支持スリーブが第2位置にある時に支持セルに対する係止支持スリーブの軸方向相対移動をも制約するのが好ましい。支持セルに対する係止支持スリーブの軸方向移動を制約する手段は軸方向の熱膨張または照射に起因する膨張を制約しないことが望ましい。
【0015】
1つの実施形態において、係止支持スリーブは半径方向外方へほぼ丸く膨らんだ隅部と、これら隅部間に広がる壁を有するほぼ四辺形の断面形状を有するスリーブである。隅部がストラップ間の交差部とほぼ整列する第1位置から、隅部が隣接するストラップの交差部間の支持セル壁の中央部とほぼ整列する第2位置へ係止支持スリーブを回転させると、係止支持スリーブの少なくとも2面の壁が半径方向内方へ移動して対応の燃料棒に側方から力を加えて燃料棒の軸方向移動を制約するように係止支持スリーブの円周方向の輪郭を形成する。好ましくは、係止支持スリーブを第2位置に向かって回転させると、係止支持スリーブの4面の壁すべてが半径方向内方へ湾曲して対応の燃料棒に側方から力を加え、燃料棒の軸方向移動を制約する。係止支持スリーブの少なくとも1つの壁が半径方向内方へ湾曲すると、係止支持スリーブはその全高に亘って燃料棒と接触することが望ましい。
【0016】
さらに他の実施形態では、支持セルの壁の軸方向の高さがこれと対応する係止支持スリーブの壁の高さよりも大きい。好ましくは、支持セルの余剰の高さを利用し、係止支持スリーブを貫通する燃料棒の通路からは外れた係止支持スリーブの少なくとも1面の壁の下
方部分に取り外し可能なストッパを設ける。係止支持スリーブが第1位置にある時、このストッパによって係止支持スリーブを軸方向に支持させる。好ましくは、取り外し可能なストッパは、係止支持スリーブの2面の、望ましくは対向する2面の壁の下方部分に形成された孔を貫通し、これらの孔によって支持される位置決めバーである。好ましい実施形態として、取外し可能なストッパを燃料棒通路の両側に1本ずつ設けた少なくとも2本の位置決めバーである。
【0017】
本発明は燃料集合体の長手方向寸法に沿って軸方向を有する細長い原子燃料集合体骨格構造に燃料棒を装荷する方法をも含む。燃料棒集合体骨格構造は下部ノズルと、一端が下部ノズルに取り付けられ、軸方向上方へ延び、横方向に互いに間隔を保つ複数のシンブル管と、燃料棒配列体が燃料集合体骨格構造に挿入された後、シンブル管の他端に取り付けられた上部ノズルを含む。複数の互いに間隔を保つ支持グリッドがシンブル管の軸方向長さに沿って相前後するように配置され、シンブル管の少なくとも幾つかに取付けられている。支持グリッドはその支持セル内においてそれぞれの燃料棒の周面の軸方向部分を少なくとも部分的に囲むことによって燃料棒間の横方向間隔を維持する。支持グリッドはその少なくとも1つが、互いに直交して原子燃料棒を囲むそれぞれ4本ずつの隣接ストラップの交差部に支持セルを画定する複数の直交ストラップを有する卵箱構造のベースグリッドから成る。4本の隣接ストラップの交差部間のストラップ長さがそれぞれの支持セルの壁を形成する。係止支持スリーブは支持セルの少なくとも一部に嵌入させることができ、第1位置において、対応する原子燃料棒をゆるく受容し、第2位置において燃料棒に側方の圧力を作用させて該燃料棒に荷重をかけ軸方向移動を制約し、第1位置と第2位置との間で回転可能であるように構成されている。本発明の方法は、一般的に、軸方向に整列するすべての係止支持スリーブを第1位置に維持し、燃料集合体骨格構造内における軸方向離隔位置にあるそれぞれの係止支持スリーブを介して燃料集合体に燃料棒を完全に挿入し;燃料集合体骨格構造に燃料棒を完全に挿入した後、燃料棒を取り囲む係止支持スリーブを第2位置へ移動させることによって燃料を装荷して燃料棒に側方から圧力を加えるステップを含む。
【0018】
好ましくは、装荷ステップが係止支持スリーブを、支持セルを中心に45°回転するステップを含む。1つの実施形態において、係止支持スリーブは半径方向外方へ膨らむ丸みを帯びたほぼ四辺形の断面形状を有するスリーブであり、回転ステップが対応する膨らみ内に延出するフィンガと梃子アームとを有する工具で係止支持スリーブの2つの隣接隅部を捕捉し、梃子アームを回転させて係止支持スリーブを支持セル内で回転させるステップを含む。望ましくは、回転ステップが工具を利用して支持グリッドの下側から係止支持スリーブにアクセスするステップを含む。
【0019】
他の実施形態では、本発明の方法が係止支持スリーブを第2位置に係止るステップを含む。望ましくは、燃料棒を完全に挿入するステップの前に、挿入時に燃料棒が占める通路から外れた支持セルの下方部分に取外し可能な位置決めバーを挿入し、支持セル内の第1位置へ係止支持スリーブを挿入するステップを含む。この実施形態において、本発明の方法は係止支持スリーブを第2位置へ移動させた後、支持セルから位置決めバーを取り外すステップをも含む。
【0020】
好ましい実施形態を例にとって、本発明の詳細を添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明を利用できる原子炉システムの簡略図である。
【図2】図2は本発明を利用できる原子炉容器および内部コンポーネントを一部断面図で示す立面図である。
【図3】図3は燃料集合体を一部断面図で、且つ理解を容易にするため一部破断し、上下方向に短縮して示す立面図である。
【図4】図4は本発明の卵箱構造のベースグリッドの斜視図である。
【図5】図5は本発明の係止支持スリーブの斜視図である。
【図6a】図6aは第1位置を占めるように支持セル内に挿入された本発明の係止支持スリーブを、係止支持スリーブを第2位置まで回転させるため係止支持スリーブに挿着された本発明の工具と共に示す斜視図である。
【図6b】図6bは図6aに対応する平面図である。
【図7a】図7aは本発明の支持セルを、第2位置において燃料棒を取り囲む係止支持スリーブと共に示す断面図である。
【図7b】図7bは本発明の工具を配置した状態で示す図7aと同様の断面図である。
【図8】図8は本発明の支持セルを、第1位置を占めるように挿入され、本発明の工具および支持バーによって位置固定された係止支持スリーブと共に斜め上から見た斜視図である。
【図9】図9は係止支持スリーブを第1の位置に支持する位置決めバーを加えた図8と同様の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は原子炉用の新規の燃料集合体、特に原子燃料集合体のための改良型スペーサグリッドの設計を提供する。改良型グリッドは、図4に示すように、大ざっぱには卵箱構造のベース支持グリッドから形成され、このベース支持グリッド90は2組の互いに平行に間隔を保つストラップ84,86を互いに公知の態様で直交するようにかみ合わせ、外側ストラップ88で取り囲んだものである。直交するストラップ84、86、および外側列の場合には外側ストラップ88がそれぞれ4本の隣接するストラップの交差部において、原子燃料棒を囲む支持セル94を画定する。ストラップの長手方向寸法に沿って4本の隣接するストラップの交差部間に画定されるそれぞれのストラップの長さが支持セル94の壁96を形成する。燃料棒を支持するそれぞれのベースグリッドの支持セル94は燃料棒係止支持スリーブを有することが好ましく、この係止支持スリーブの好ましい実施形態を図5に示し、参照符号92を付した。基本的には、係止支持スリーブ92は燃料棒を支持する支持セル94の少なくとも幾つかに嵌入し、支持セル94内でスリーブ92が第1位置を占めている時には、スリーブ92がこれに挿入される原子燃料棒をゆるく受容する。この第1位置を占める時、係止支持スリーブと燃料棒の間には僅かな間隙があるから、燃料棒を公知のスプリンググリッドに装荷する際に従来のように引っ掻き傷、磨耗、その他の損傷が生じることがない。グリッドのそれぞれに燃料棒を完全に挿入し、最終的に燃料集合体の骨格構造内に配置した後、係止支持スリーブ92を支持セル94内で第2位置に回転させ、少なくとも1面の側壁98を半径方向内方へ押圧することによって燃料棒に側方から力を加え、燃料棒が軸方向および半径方向に移動するのを防止する。スリーブ92はベースグリッド90に熔接しないから、スリーブ92を軸方向の異なる熱膨張および照射に起因する膨張を示す多様な材料または合金から製造することができる。
【0023】
好ましい実施形態では、係止支持スリーブは半径方向外方に膨らんだ丸みのある隅部100と、膨らみ隅部100間に延びる側壁98とを有する。図示のように、係止支持スリーブ92は、隅部100がストラップ84、86の交差部とほぼ整列する第1位置から隅部100が直交ストラップ84、86の交差部間に広がる支持セル94の壁96の中央部とほぼ整列する第2位置へ回転させると、係止支持スリーブ92の壁98の少なくとも2面が半径方向内方へ湾曲して対応の燃料棒に側方から力を加えることにより、燃料棒を装荷された軸方向位置に保持するように構成されている。
【0024】
図5から明らかなように、係止支持スリーブ92は隅部100から半径方向外方へ突出する突起102を有する。突起は図5、図6aおよび図6bに示してある。図6aはベー
スグリッド90の支持セル94をセルの上方から見た斜視図であり、係止支持スリーブ92が支持セル94の中心に収まり、支持セル94内で係止支持スリーブ92を回転させるため本発明が利用する工具106と係合状態にある。係止支持スリーブ92は、膨らみ隅部100がストラップ84、86の交差部とほぼ整列して係止支持スリーブ92の側壁98と図示しない燃料棒との間に遊嵌を可能にする間隙を残す第1位置で示されている。図6aおよび図6bは、支持セル94内で係止支持スリーブ92を回転させるのに使用される本発明の工具106を係合させた係止支持スリーブ92を示す。工具106は梃子アーム108を備えているが、この梃子アーム108は膨らみの内側から隅部100の膨らみ部分に嵌入する形状の遠隔端部を有する2本のフィンガ112を備えた横方向へ広がるウィング110に取付けられている。操作が困難な場所、例えば、シンブル管54の周りなどでの45°の回転を容易にするため、工具に可撓性の取手を設けてもよい。工具106を隅部100に係合させると、係止支持スリーブ92を支持セル94内で回転させることができる。係止支持スリーブ92を隅部100が隣接ストラップ84、86の交差部の間に広がる支持セル94の壁96の中央部とほぼ整列する第2位置にまで45°回転させると、突起102が支持セル壁96に形成されている孔104と係合して、正常操作条件下で係止支持スリーブがそれ以上回転するのを防止する。但し、何らかの理由で燃料棒の係止状態を解く必要が生じた場合には、工具106によって係止支持スリーブ92を回転させて突起102と孔104との係合を解くことができる。従って、孔104に嵌入した突起102は支持スリーブを第2位置に係止して軸方向移動とそれ以上の回転を制約する一方、係止支持スリーブ92と支持セル94との間に軸方向の膨張差があってもこれを許容する。また、係止支持スリーブ92を支持セル94に固定するために上記以外の手段を採用して同じ目的を達成することができる。例えば、好ましい実施態様ではないが、突起を支持セル94の壁から半径方向内方へ突出させ、係止支持スリーブ92の隅部100に対応の孔を設けることもできる。
【0025】
図7aは支持セル94内を第2位置まで回転して燃料要素114を側壁98に接触した状態で捕捉している係止支持スリーブ94の平面図である。膨らみ隅部100は中央のフラット部分116と、その両側に位置してやや傾斜した周辺部118と、半径方向内方へ湾曲して側壁98につながる接続ストラップ120とを有する丸みのある外周を有する。膨らみ隅部を(図6aおよび図6bに示すように)支持セル94の隅部内にゆるく嵌着する第1位置から支持セル94の側壁96の中央部分へ回転させると、支持セル94の側壁96が先ず膨らみ隅部100のやや傾斜した部分118と係合し、この部分118が係止支持スリーブ98の側部を半径方向内方へ移動させて、燃料棒114の被覆に圧力を加える。係止支持スリーブをさらに支持セル94の側壁96の中央部分に向かって回転させると、膨らみ隅部116のフラット部分が側壁96とスナップ係合することにより突起102が孔104と係合して係止支持スリーブ92が第2位置に係止される。こうして側壁98はその全長に亘って燃料棒114の被覆に密着するため、燃料棒が燃料集合体内に軸方向および半径方向に固定される。好ましい実施形態では、4面の側壁98がすべて燃料棒114の被覆と係合するが、本発明の思想は係止支持スリーブ92の互いに対向する2面の側壁98を燃料棒114と係合させる形態にも採用することができる。
【0026】
係止支持スリーブ92が支持セル94内の第1位置を占める時、係止支持スリーブ92は支持セルの中心にゆるく収まるため、係止支持スリーブが支持セル94から脱落するのを防止する支持手段を設ける必要がある。図8および図9は、そのために利用できる手段の1例を示す。図8は、工具106が係止支持スリーブ92を支持セル94の内部の定位置で支持する、支持セル94を横倒しにした状態で示す斜視図である。図9は図8の構成を支持セル94の底部から見た斜視図である。図9から明らかなように、図8および図9に示す構成では、軸方向における係止支持スリーブ92の高さは支持セル94の壁の高さよりもやや低い。従って、燃料棒の通路からはずれた支持セル94の下方部分の横方向位置において支持セル94の対向側壁96に設けた孔124に位置決めバー122を挿入す
ることができる。従って、係止支持スリーブ92が第1位置を占める時、位置決めバー122により係止支持スリーブ92が軸方向に支持される。但し、係止支持スリーブ92を支持セル94内に支持するために他の手段を採用することができる。例えば、支持セル94の下端にある側壁96の部分を内方へ曲げることによって支持手段として作用させることができる。但し、係止支持スリーブを第2位置へ回転させ、突起102をこれに対応する孔104と整列させることによって固定した後に、位置決めバー122を取り外すことで、中性子経済に影響を及ぼす金属量を減少させ、冷却材流れに対する障害を軽減できるから、位置決めバー122が好ましい。
【0027】
本発明は、軸方向が燃料集合体の長手方向寸法に沿う細長い燃料集合体の骨格構造であって、下部ノズルと、一端が下部ノズルに取り付けられ、燃料棒配列体が骨格構造に挿入された後に他端に取り付けられる上部ノズルに向かって軸方向上方へ延びる、横方向に互いに間隔を保つ複数のシンブル管と、シンブル管の軸方向長さに沿って相前後するように配置され、シンブル管の少なくとも幾つかに取付けられた複数の支持グリッドとを有する燃料集合体の骨格構造に燃料棒を装荷する方法をも含む。支持グリッドは支持セル内においてそれぞれの燃料棒の周面の軸方向部分を少なくとも部分的に取り囲むことによって燃料棒間の横方向間隔を維持する。支持グリッドはその少なくとも1つは、互いに直交して原子燃料棒を取り囲むそれぞれ4本ずつの隣接ストラップの交差部に支持セルを画定する複数の直交ストラップを有する卵箱構造のベースグリッドから成り、4本の隣接ストラップの交差部間のストラップ長さがそれぞれの支持セルの壁を形成する。係止支持スリーブは、燃料要素または燃料棒を支持する支持セルの好ましくはそれぞれに嵌入させて、第1位置において、これに挿通される燃料棒をゆるく受容する。ベースグリッドに対する第2位置において、係止支持スリーブは側方から燃料棒に圧力を加えて燃料棒の移動を軸方向に制約するが、係止支持スリーブは第1位置と第2位置との間で回転可能である。この方法は、軸方向に整列するすべての係止支持スリーブを第1位置に維持し、燃料棒が挿入される燃料集合体の骨格構造内の軸方向離隔位置にあるそれぞれの係止支持スリーブを介して燃料集合体に燃料棒を完全に挿入し、燃料集合体骨格構造に燃料棒を完全に挿入した後、燃料棒を取り囲む係止支持スリーブを第2位置へ移動させることによって燃料を装荷して燃料棒に側方から圧力を加えるステップを含む。
【0028】
装荷ステップは係止支持スリーブ92を、支持セル94を中心に45°回転するステップを含むことが好ましい。好ましい実施形態においては、係止支持スリーブ92は半径方向外方へ膨らんだ丸みを帯びたほぼ四辺形の断面形状を有するスリーブであり、回転ステップは対応する膨らみの内部に延出するフィンガ112と梃子アーム108とを有する工具106により係止支持スリーブ92の少なくとも2つの隣接隅部を捕捉するステップを含む。回転ステップにおいて、梃子アームを回転させて係止支持スリーブ92を支持セル94内で回転させるステップを含む。好ましくは、工具106を利用して支持セル94の下側から係止支持スリーブ92にアクセスすることによって、支持セル94の上側に延びる冷却材攪拌翼の損傷を回避する。
【0029】
本発明の方法は係止支持スリーブを第2位置に係止するステップをも含むことが好ましい。1つの実施形態として、本発明の方法は燃料棒を完全に挿入するステップの前に、燃料棒114が占める通路から外れた支持セル94の下方部分に取外し可能な位置決めバーを挿入し、支持セル94内の第1位置へ係止支持スリーブ92を挿入するステップを含む。この後者の実施形態は係止支持スリーブ92を第2位置へ移動させた後、支持セル94から位置決めバー122を取り外すステップをも含む。
【0030】
それぞれの係止支持スリーブ92には4個または8個のディンプルまたは突起102が、またベースグリッド90のそれぞれの支持セル94には4個または8個の切り欠き104が存在するから、係止支持スリーブは回転させた後は軸方向にも半径方向にも係止され
る。また、回転ステップの後、係止支持スリーブ92の、特に膨らみ隅部100の形状により、係止支持スリーブ92と燃料棒114の間に予荷重がかかる。一列ずつ燃料棒を装荷し、スリーブを係止することができる。一列ずつ装荷する際に集合体を湾曲させるような横方向の荷重は存在しないから、組立て時に燃料棒を特定のパターンで装荷する必要はない。最初に、任意の場所に単一の燃料棒を装荷すればよい。ベースグリッド90の材料および材質(例えば、横方向の材質)は係止支持スリーブ92よりも半径方向の膨張が小さく、従って、燃料集合体が照射された後でも燃料棒114と係止支持スリーブ92の間に現実に接触状態が維持されるように選択する。係止支持スリーブ92の材料および形状は、燃料棒114に向かっての照射による膨張が比較的大きく、燃料棒と係止支持スリーブ92の間の荷重を増大するように選択する。適当な照射膨張特性を付与するには、スリーブ92の材料としてインコネルを使用することができる。この材料の中性子に対する弱点を軽減するには、スリーブがインコネル製であるなら、このスリーブに孔または切り欠きを形成すればよい。
【0031】
従って、本発明の支持グリッドは燃料棒装荷の過程で起こり易い引っ掻き傷、磨耗などの表面損傷を避けながら燃料棒を装荷することを可能にする。燃料サイクルが終わった後でも、現実に予荷重が維持される。係止支持スリーブは全長に亘って燃料棒と線接触することにより、接触面積を最大に保ってフレッティングによる磨耗を軽減する。原子炉の運転中に燃料棒から浮き上がる支持部材は皆無であり、輸送中、横方向の激しい荷重に曝されても、燃料棒は中心に復帰する。さらにまた、本発明のグリッドは、その部品における打抜き加工部分の数が少なく、複雑度も軽微であるため、製造コストが軽減される。従来のグリッドと同様にベースグリッドのストラップの頂部に混合翼を設けることによって冷却材の混合を促進することができる。
【0032】
本発明の具体的な実施形態を以上に説明したが、当業者には明らかなように、開示内容に照らして開示されている細部に種々の変更を加えることができる。従って、開示された特定の実施形態は飽くまでも説明のためのものであり、後記の請求項およびその等価物によって定義される本発明の範囲を制限するものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は広義には原子燃料集合体に係わり、より具体的には、燃料集合体に燃料棒を装荷した後、燃料棒の被覆に圧力を加えるスペーサグリッドを採用する原子燃料集合体に係わる。
【公知技術の説明】
【0002】
加圧水で冷却される原子力発電システムの一次側は隔離された閉回路を構成するが、この閉回路は有用なエネルギーを発生させるために二次側と熱交換関係にある。一次側は核分裂物質を含む複数の燃料集合体を支持する炉心内部構造を取り囲む原子炉容器と、熱交換蒸気発生器内の一次回路と、加圧器の内部容積と、加圧水を循環させるためのポンプおよび配管とより成り、配管は蒸気発生器およびポンプをそれぞれ独立に原子炉容器に接続する。蒸気発生器、ポンプおよび圧力容器に接続する配管系からなる一次側の各部分が一次側ループを形成する。
【0003】
説明のため、図1は原子炉一次系の簡略図であり、この一次系は炉心14を密閉する閉鎖ヘッド12を備えたほぼ円筒状の圧力容器10を含む。例えば、水のような液状原子炉冷却材がポンプ16によって容器10に注入されて炉心14を通過するが、この炉心14において熱エネルギーが吸収され、蒸気発生器と呼称される熱交換器18へ放出され、熱交換器において熱が(図示しない)利用回路、例えば、蒸気で駆動されるタービン発電機へ移送される。次いで、冷却材はポンプ16へ戻されて、一次ループを完成する。多くの場合、複数の上記ループが冷却材配管系20を介して単一の原子炉容器10に接続される。
【0004】
図2に原子炉構造の1例を詳細に示す。平行に且つ垂直に同一空間内を延びる燃料集合体22から成る炉心14に加えて、説明の便宜上、その他の原子炉容器内部構造を下方内部構造24と上方内部構造26とに区分することができる。従来設計における下方内部構造の機能は、炉心コンポーネント、計測管を支持し、整列させ、案内し、圧力容器内の流れを方向付づけることである。上方内部構造は、(図面には簡略化のため2つだけ示す)燃料集合体22の移動を抑制するかまたは二次的な移動抑制手段として機能するとともに、計測管および制御棒28のようなコンポーネントを支持し、案内する。図2に例示する原子炉の場合、冷却材は1つまたは2つ以上の入口ノズル30から原子炉容器10に流入し、原子炉容器と炉心胴部32の間の環状空間を流下し、180°向きを変えて下部プレナム34に流入し、燃料集合体22が載置されている下部支持板37および下部炉心板36を上昇し、集合体の間および周囲を流動する。設計によっては、下部支持板37および下部炉心板36の代わりに、下部支持板37と同じ高さに、単一構造として下部コア支持板を使用する。コアおよび周辺領域38を通過する冷却材流れは毎秒約20フィートの速度で通常は毎分約400、000ガロンである。その結果発生する圧力降下および摩擦力は燃料集合体を上昇させる傾向があるが、この上昇移動は円形上部炉心板40を含む上方内部構造によって抑制される。炉心14を出た冷却材は上部炉心板40の下側に沿って流れ、複数の開口42から上向きに流動する。次いで、冷却材は1つまたは2つ以上の出口ノズル44に向かって上方且つ半径方向に流動する。
【0005】
上方内部構造26は原子炉容器または容器ヘッドから支持することができ、上方支持集合体46を含む。荷重は主として複数の支持カラム48を介して上方支持集合体46と上部炉心板40の間で伝達される。支持カラムは選択された燃料集合体22および上部炉心板40の開口42と整列してそれらの上方に位置する。
【0006】
直線的に移動可能な制御棒28は、駆動シャフト50と、制御棒案内管54によって上方内部構造26を介して整列した燃料集合体22内へ案内される中性子毒物棒のスパイダ集合体52とを含むのが典型的な構成である。案内管は上方支持集合体46に固定的に装着され、上部炉心板40の上部にプレス嵌めされる割りピン56により接続される。割りピンの構成は案内管の組込みおよび必要に応じた交換を容易にするものであり、特に地震や他の高荷重事故の状況で炉心の荷重が案内管54でなく主として支持カラム48により支えられるようにする。この支持カラムの構成は制御棒挿入に有害な影響を及ぼす恐れがある事故時における案内管の変形を遅らせるのに寄与する。
【0007】
図3は参照符号22で総括的に指示する燃料集合体22を上下方向に短縮された形で示す立面図である。燃料集合体22は加圧水型原子炉において使用されるタイプのものであり、下端に下部ノズル58を含む骨格構造を有する。下部ノズル58は原子炉の炉心領域において下部炉心支持板60上に燃料集合体22を支持する(図2では下部炉心支持板60に参照符号36を付してある)。燃料集合体22の骨格構造は下部ノズル58のほかに、上端にある上部ノズル62と、下部ノズル58と上部ノズル62の間を長手方向に延びて両端部をこれら両ノズルに固定された多数の案内管またはシンブル54とを含む。
【0008】
燃料集合体22は、案内シンブル54(案内管とも呼称される)に沿って軸方向に間隔を保って取り付けられ、横方向へ延びる複数のグリッド64と、横方向に間隔を保ち、グリッド64によって支持され、整然と配列された細長い燃料棒66とを含む。図3では見えないが、グリッドは従来型で、直交関係にかみ合う4本のストラップの隣接する内面がほぼ正方形の支持セルを画定し、セルを貫通する燃料棒66を互いに横方向に間隔を保って支持する卵箱パターン構造を有する。従来設計では多くの場合、支持セルを形成するストラップの対向壁にばねとディンプルとが打抜きにより形成される。ばねとディンプルとは支持セル内に半径方向に延び、それらの間に燃料棒を捕捉し、燃料棒の被覆に圧力を作用させることによって燃料棒を定位置に固定する。また、集合体22の中心には、下部ノズル58と上部ノズル62の間を延びて、これら両ノズル58,62に取り付けられる計測管68がある。各部品をこのように配置することで、燃料集合体22は部品の集合体を損傷させることなく取扱うことができる一体的構造を形成する。
【0009】
上述したように、集合体22中の燃料棒66の配列は燃料集合体の全長に沿ってグリッド64によって間隔を保つように保持される。各燃料棒66は複数の原子燃料ペレット70を含み、両端が上下の端栓72、74によって密閉される。ペレット70は上部端栓72と積重ねたペレットの頂部との間に設けたプレナムばね76によって積重ねた状態に維持される。核分裂物質から成る燃料ペレット70は原子炉の反応エネルギーを発生させる。ペレットを取り囲む被覆は核分裂副生成物が冷却材中に浸入して原子炉システムを汚染するのを防止する隔壁として機能する。
【0010】
核分裂プロセスを制御するため、燃料集合体22中の所定位置に配置された案内シンブル54内を多数の制御棒78が往復移動可能である。具体的には、上部ノズル62の上方に位置する棒クラスタ制御機構80が制御棒78を支持する。制御機構は、半径方向に延びる複数のフルークまたはアーム52を有し、内側に螺条が形成された円筒状のハブ部材82を備えている。それぞれのアーム52は、すべて公知の態様で、制御棒機構80が、制御棒ハブ80に連結されている制御棒駆動シャフト50の駆動力により、制御棒を案内シンブル54内で上下動させることにより、燃料集合体22中での核分裂プロセスを制御するように、制御棒78と互いに連結されている。
【0011】
既述のように、燃料集合体には、燃料棒の重量を超え、燃料棒および燃料集合体に大きい力を印加する液圧力がかかり易い。これに加えて、多くのグリッドのストラップの上面に位置する混合翼によって炉心中の冷却材に有意な乱流が発生し、これが燃料棒被覆から
冷却材への熱移動を促進する。燃料棒の運動を抑制しなければ、実質的な流れ力と乱流とにより燃料棒の被覆に深刻なフレッティイング腐食が生じる恐れがある。燃料棒の被覆にフレッティイング腐食が発生すると、被覆が破れ、冷却材が燃料棒内の放射性副生成物に露出する恐れがある。さらにまた、燃料棒が燃料集合体内に最初に装荷され、支持セルに挿入され、ばねとディンプルとによって挟持される時、被覆の表面が損傷して、腐食を促進し、燃料棒の被覆が破損する可能性がある。
【0012】
従って、燃料集合体の製造時に被覆を傷つけずに燃料棒を燃料集合体内に制約し支持する改良された支持手段が望ましい。
【発明の概要】
【0013】
本発明は上記目的を、下部ノズルと上部ノズルの間に支持され、細長い原子燃料棒の長手方向寸法に沿った軸方向長さを有し、平行配列された複数の原子燃料棒を支持するための改良型原子燃料集合体を提供することによって達成する。上部ノズルと下部ノズルの間に、燃料棒の軸方向長さに沿って相前後するように複数の互いに間隔を保つ改良された支持グリッドを配置し、支持グリッドの支持セル内のそれぞれの燃料棒の周面の軸方向部分を少なくとも部分的に取り囲むことによって燃料棒間の横方向間隔を維持する。本発明の改良型支持グリッドは、原子燃料棒を取り囲む4本の隣接ストラップの交差部において支持セルを画定する複数の直交ストラップを有する卵箱構造のベースグリッドから形成される。4本の隣接するストラップの交差部間における各ストラップの長さが対応する支持セルの壁を形成する。係止支持スリーブは、燃料棒を支持する支持セルの少なくとも1つ、好ましくはすべてに嵌入し、挿入された原子燃料棒をゆるく受容する第1位置と、燃料棒に側方から圧力を作用させて燃料棒を軸方向および半径方向に制約する第2位置とを有し、第1位置と第2位置の間で回転可能である。
【0014】
1つの実施形態では、ベースグリッドの少なくとも1面の壁が係止支持スリーブの壁と協働して、係止支持スリーブの回転を制約する。係止支持スリーブの回転を制約する手段を支持セルの少なくとも1面の壁に設けた雄または雌係止部材のいずれか一方と係止支持スリーブの少なくとも1面の壁に設けた雄または雌係止部材の他方とで形成することができる。雄および雌係止部材をそれぞれ突起と孔とで構成し、整列状態において突起が孔に嵌入するように寸法設定することができる。係止支持スリーブを第2位置まで回転させる時に係止支持スリーブの回転を制約する手段は、係止支持スリーブが第2位置にある時に支持セルに対する係止支持スリーブの軸方向相対移動をも制約するのが好ましい。支持セルに対する係止支持スリーブの軸方向移動を制約する手段は軸方向の熱膨張または照射に起因する膨張を制約しないことが望ましい。
【0015】
1つの実施形態において、係止支持スリーブは半径方向外方へほぼ丸く膨らんだ隅部と、これら隅部間に広がる壁を有するほぼ四辺形の断面形状を有するスリーブである。隅部がストラップ間の交差部とほぼ整列する第1位置から、隅部が隣接するストラップの交差部間の支持セル壁の中央部とほぼ整列する第2位置へ係止支持スリーブを回転させると、係止支持スリーブの少なくとも2面の壁が半径方向内方へ移動して対応の燃料棒に側方から力を加えて燃料棒の軸方向移動を制約するように係止支持スリーブの円周方向の輪郭を形成する。好ましくは、係止支持スリーブを第2位置に向かって回転させると、係止支持スリーブの4面の壁すべてが半径方向内方へ湾曲して対応の燃料棒に側方から力を加え、燃料棒の軸方向移動を制約する。係止支持スリーブの少なくとも1つの壁が半径方向内方へ湾曲すると、係止支持スリーブはその全高に亘って燃料棒と接触することが望ましい。
【0016】
さらに他の実施形態では、支持セルの壁の軸方向の高さがこれと対応する係止支持スリーブの壁の高さよりも大きい。好ましくは、支持セルの余剰の高さを利用し、係止支持スリーブを貫通する燃料棒の通路からは外れた係止支持スリーブの少なくとも1面の壁の下
方部分に取り外し可能なストッパを設ける。係止支持スリーブが第1位置にある時、このストッパによって係止支持スリーブを軸方向に支持させる。好ましくは、取り外し可能なストッパは、係止支持スリーブの2面の、望ましくは対向する2面の壁の下方部分に形成された孔を貫通し、これらの孔によって支持される位置決めバーである。好ましい実施形態として、取外し可能なストッパを燃料棒通路の両側に1本ずつ設けた少なくとも2本の位置決めバーである。
【0017】
本発明は燃料集合体の長手方向寸法に沿って軸方向を有する細長い原子燃料集合体骨格構造に燃料棒を装荷する方法をも含む。燃料棒集合体骨格構造は下部ノズルと、一端が下部ノズルに取り付けられ、軸方向上方へ延び、横方向に互いに間隔を保つ複数のシンブル管と、燃料棒配列体が燃料集合体骨格構造に挿入された後、シンブル管の他端に取り付けられた上部ノズルを含む。複数の互いに間隔を保つ支持グリッドがシンブル管の軸方向長さに沿って相前後するように配置され、シンブル管の少なくとも幾つかに取付けられている。支持グリッドはその支持セル内においてそれぞれの燃料棒の周面の軸方向部分を少なくとも部分的に囲むことによって燃料棒間の横方向間隔を維持する。支持グリッドはその少なくとも1つが、互いに直交して原子燃料棒を囲むそれぞれ4本ずつの隣接ストラップの交差部に支持セルを画定する複数の直交ストラップを有する卵箱構造のベースグリッドから成る。4本の隣接ストラップの交差部間のストラップ長さがそれぞれの支持セルの壁を形成する。係止支持スリーブは支持セルの少なくとも一部に嵌入させることができ、第1位置において、対応する原子燃料棒をゆるく受容し、第2位置において燃料棒に側方の圧力を作用させて該燃料棒に荷重をかけ軸方向移動を制約し、第1位置と第2位置との間で回転可能であるように構成されている。本発明の方法は、一般的に、軸方向に整列するすべての係止支持スリーブを第1位置に維持し、燃料集合体骨格構造内における軸方向離隔位置にあるそれぞれの係止支持スリーブを介して燃料集合体に燃料棒を完全に挿入し;燃料集合体骨格構造に燃料棒を完全に挿入した後、燃料棒を取り囲む係止支持スリーブを第2位置へ移動させることによって燃料を装荷して燃料棒に側方から圧力を加えるステップを含む。
【0018】
好ましくは、装荷ステップが係止支持スリーブを、支持セルを中心に45°回転するステップを含む。1つの実施形態において、係止支持スリーブは半径方向外方へ膨らむ丸みを帯びたほぼ四辺形の断面形状を有するスリーブであり、回転ステップが対応する膨らみ内に延出するフィンガと梃子アームとを有する工具で係止支持スリーブの2つの隣接隅部を捕捉し、梃子アームを回転させて係止支持スリーブを支持セル内で回転させるステップを含む。望ましくは、回転ステップが工具を利用して支持グリッドの下側から係止支持スリーブにアクセスするステップを含む。
【0019】
他の実施形態では、本発明の方法が係止支持スリーブを第2位置に係止るステップを含む。望ましくは、燃料棒を完全に挿入するステップの前に、挿入時に燃料棒が占める通路から外れた支持セルの下方部分に取外し可能な位置決めバーを挿入し、支持セル内の第1位置へ係止支持スリーブを挿入するステップを含む。この実施形態において、本発明の方法は係止支持スリーブを第2位置へ移動させた後、支持セルから位置決めバーを取り外すステップをも含む。
【0020】
好ましい実施形態を例にとって、本発明の詳細を添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明を利用できる原子炉システムの簡略図である。
【図2】図2は本発明を利用できる原子炉容器および内部コンポーネントを一部断面図で示す立面図である。
【図3】図3は燃料集合体を一部断面図で、且つ理解を容易にするため一部破断し、上下方向に短縮して示す立面図である。
【図4】図4は本発明の卵箱構造のベースグリッドの斜視図である。
【図5】図5は本発明の係止支持スリーブの斜視図である。
【図6a】図6aは第1位置を占めるように支持セル内に挿入された本発明の係止支持スリーブを、係止支持スリーブを第2位置まで回転させるため係止支持スリーブに挿着された本発明の工具と共に示す斜視図である。
【図6b】図6bは図6aに対応する平面図である。
【図7a】図7aは本発明の支持セルを、第2位置において燃料棒を取り囲む係止支持スリーブと共に示す断面図である。
【図7b】図7bは本発明の工具を配置した状態で示す図7aと同様の断面図である。
【図8】図8は本発明の支持セルを、第1位置を占めるように挿入され、本発明の工具および支持バーによって位置固定された係止支持スリーブと共に斜め上から見た斜視図である。
【図9】図9は係止支持スリーブを第1の位置に支持する位置決めバーを加えた図8と同様の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は原子炉用の新規の燃料集合体、特に原子燃料集合体のための改良型スペーサグリッドの設計を提供する。改良型グリッドは、図4に示すように、大ざっぱには卵箱構造のベース支持グリッドから形成され、このベース支持グリッド90は2組の互いに平行に間隔を保つストラップ84,86を互いに公知の態様で直交するようにかみ合わせ、外側ストラップ88で取り囲んだものである。直交するストラップ84、86、および外側列の場合には外側ストラップ88がそれぞれ4本の隣接するストラップの交差部において、原子燃料棒を囲む支持セル94を画定する。ストラップの長手方向寸法に沿って4本の隣接するストラップの交差部間に画定されるそれぞれのストラップの長さが支持セル94の壁96を形成する。燃料棒を支持するそれぞれのベースグリッドの支持セル94は燃料棒係止支持スリーブを有することが好ましく、この係止支持スリーブの好ましい実施形態を図5に示し、参照符号92を付した。基本的には、係止支持スリーブ92は燃料棒を支持する支持セル94の少なくとも幾つかに嵌入し、支持セル94内でスリーブ92が第1位置を占めている時には、スリーブ92がこれに挿入される原子燃料棒をゆるく受容する。この第1位置を占める時、係止支持スリーブと燃料棒の間には僅かな間隙があるから、燃料棒を公知のスプリンググリッドに装荷する際に従来のように引っ掻き傷、磨耗、その他の損傷が生じることがない。グリッドのそれぞれに燃料棒を完全に挿入し、最終的に燃料集合体の骨格構造内に配置した後、係止支持スリーブ92を支持セル94内で第2位置に回転させ、少なくとも1面の側壁98を半径方向内方へ押圧することによって燃料棒に側方から力を加え、燃料棒が軸方向および半径方向に移動するのを防止する。スリーブ92はベースグリッド90に熔接しないから、スリーブ92を軸方向の異なる熱膨張および照射に起因する膨張を示す多様な材料または合金から製造することができる。
【0023】
好ましい実施形態では、係止支持スリーブは半径方向外方に膨らんだ丸みのある隅部100と、膨らみ隅部100間に延びる側壁98とを有する。図示のように、係止支持スリーブ92は、隅部100がストラップ84、86の交差部とほぼ整列する第1位置から隅部100が直交ストラップ84、86の交差部間に広がる支持セル94の壁96の中央部とほぼ整列する第2位置へ回転させると、係止支持スリーブ92の壁98の少なくとも2面が半径方向内方へ湾曲して対応の燃料棒に側方から力を加えることにより、燃料棒を装荷された軸方向位置に保持するように構成されている。
【0024】
図5から明らかなように、係止支持スリーブ92は隅部100から半径方向外方へ突出する突起102を有する。突起は図5、図6aおよび図6bに示してある。図6aはベー
スグリッド90の支持セル94をセルの上方から見た斜視図であり、係止支持スリーブ92が支持セル94の中心に収まり、支持セル94内で係止支持スリーブ92を回転させるため本発明が利用する工具106と係合状態にある。係止支持スリーブ92は、膨らみ隅部100がストラップ84、86の交差部とほぼ整列して係止支持スリーブ92の側壁98と図示しない燃料棒との間に遊嵌を可能にする間隙を残す第1位置で示されている。図6aおよび図6bは、支持セル94内で係止支持スリーブ92を回転させるのに使用される本発明の工具106を係合させた係止支持スリーブ92を示す。工具106は梃子アーム108を備えているが、この梃子アーム108は膨らみの内側から隅部100の膨らみ部分に嵌入する形状の遠隔端部を有する2本のフィンガ112を備えた横方向へ広がるウィング110に取付けられている。操作が困難な場所、例えば、シンブル管54の周りなどでの45°の回転を容易にするため、工具に可撓性の取手を設けてもよい。工具106を隅部100に係合させると、係止支持スリーブ92を支持セル94内で回転させることができる。係止支持スリーブ92を隅部100が隣接ストラップ84、86の交差部の間に広がる支持セル94の壁96の中央部とほぼ整列する第2位置にまで45°回転させると、突起102が支持セル壁96に形成されている孔104と係合して、正常操作条件下で係止支持スリーブがそれ以上回転するのを防止する。但し、何らかの理由で燃料棒の係止状態を解く必要が生じた場合には、工具106によって係止支持スリーブ92を回転させて突起102と孔104との係合を解くことができる。従って、孔104に嵌入した突起102は支持スリーブを第2位置に係止して軸方向移動とそれ以上の回転を制約する一方、係止支持スリーブ92と支持セル94との間に軸方向の膨張差があってもこれを許容する。また、係止支持スリーブ92を支持セル94に固定するために上記以外の手段を採用して同じ目的を達成することができる。例えば、好ましい実施態様ではないが、突起を支持セル94の壁から半径方向内方へ突出させ、係止支持スリーブ92の隅部100に対応の孔を設けることもできる。
【0025】
図7aは支持セル94内を第2位置まで回転して燃料要素114を側壁98に接触した状態で捕捉している係止支持スリーブ94の平面図である。膨らみ隅部100は中央のフラット部分116と、その両側に位置してやや傾斜した周辺部118と、半径方向内方へ湾曲して側壁98につながる接続ストラップ120とを有する丸みのある外周を有する。膨らみ隅部を(図6aおよび図6bに示すように)支持セル94の隅部内にゆるく嵌着する第1位置から支持セル94の側壁96の中央部分へ回転させると、支持セル94の側壁96が先ず膨らみ隅部100のやや傾斜した部分118と係合し、この部分118が係止支持スリーブ98の側部を半径方向内方へ移動させて、燃料棒114の被覆に圧力を加える。係止支持スリーブをさらに支持セル94の側壁96の中央部分に向かって回転させると、膨らみ隅部116のフラット部分が側壁96とスナップ係合することにより突起102が孔104と係合して係止支持スリーブ92が第2位置に係止される。こうして側壁98はその全長に亘って燃料棒114の被覆に密着するため、燃料棒が燃料集合体内に軸方向および半径方向に固定される。好ましい実施形態では、4面の側壁98がすべて燃料棒114の被覆と係合するが、本発明の思想は係止支持スリーブ92の互いに対向する2面の側壁98を燃料棒114と係合させる形態にも採用することができる。
【0026】
係止支持スリーブ92が支持セル94内の第1位置を占める時、係止支持スリーブ92は支持セルの中心にゆるく収まるため、係止支持スリーブが支持セル94から脱落するのを防止する支持手段を設ける必要がある。図8および図9は、そのために利用できる手段の1例を示す。図8は、工具106が係止支持スリーブ92を支持セル94の内部の定位置で支持する、支持セル94を横倒しにした状態で示す斜視図である。図9は図8の構成を支持セル94の底部から見た斜視図である。図9から明らかなように、図8および図9に示す構成では、軸方向における係止支持スリーブ92の高さは支持セル94の壁の高さよりもやや低い。従って、燃料棒の通路からはずれた支持セル94の下方部分の横方向位置において支持セル94の対向側壁96に設けた孔124に位置決めバー122を挿入す
ることができる。従って、係止支持スリーブ92が第1位置を占める時、位置決めバー122により係止支持スリーブ92が軸方向に支持される。但し、係止支持スリーブ92を支持セル94内に支持するために他の手段を採用することができる。例えば、支持セル94の下端にある側壁96の部分を内方へ曲げることによって支持手段として作用させることができる。但し、係止支持スリーブを第2位置へ回転させ、突起102をこれに対応する孔104と整列させることによって固定した後に、位置決めバー122を取り外すことで、中性子経済に影響を及ぼす金属量を減少させ、冷却材流れに対する障害を軽減できるから、位置決めバー122が好ましい。
【0027】
本発明は、軸方向が燃料集合体の長手方向寸法に沿う細長い燃料集合体の骨格構造であって、下部ノズルと、一端が下部ノズルに取り付けられ、燃料棒配列体が骨格構造に挿入された後に他端に取り付けられる上部ノズルに向かって軸方向上方へ延びる、横方向に互いに間隔を保つ複数のシンブル管と、シンブル管の軸方向長さに沿って相前後するように配置され、シンブル管の少なくとも幾つかに取付けられた複数の支持グリッドとを有する燃料集合体の骨格構造に燃料棒を装荷する方法をも含む。支持グリッドは支持セル内においてそれぞれの燃料棒の周面の軸方向部分を少なくとも部分的に取り囲むことによって燃料棒間の横方向間隔を維持する。支持グリッドはその少なくとも1つは、互いに直交して原子燃料棒を取り囲むそれぞれ4本ずつの隣接ストラップの交差部に支持セルを画定する複数の直交ストラップを有する卵箱構造のベースグリッドから成り、4本の隣接ストラップの交差部間のストラップ長さがそれぞれの支持セルの壁を形成する。係止支持スリーブは、燃料要素または燃料棒を支持する支持セルの好ましくはそれぞれに嵌入させて、第1位置において、これに挿通される燃料棒をゆるく受容する。ベースグリッドに対する第2位置において、係止支持スリーブは側方から燃料棒に圧力を加えて燃料棒の移動を軸方向に制約するが、係止支持スリーブは第1位置と第2位置との間で回転可能である。この方法は、軸方向に整列するすべての係止支持スリーブを第1位置に維持し、燃料棒が挿入される燃料集合体の骨格構造内の軸方向離隔位置にあるそれぞれの係止支持スリーブを介して燃料集合体に燃料棒を完全に挿入し、燃料集合体骨格構造に燃料棒を完全に挿入した後、燃料棒を取り囲む係止支持スリーブを第2位置へ移動させることによって燃料を装荷して燃料棒に側方から圧力を加えるステップを含む。
【0028】
装荷ステップは係止支持スリーブ92を、支持セル94を中心に45°回転するステップを含むことが好ましい。好ましい実施形態においては、係止支持スリーブ92は半径方向外方へ膨らんだ丸みを帯びたほぼ四辺形の断面形状を有するスリーブであり、回転ステップは対応する膨らみの内部に延出するフィンガ112と梃子アーム108とを有する工具106により係止支持スリーブ92の少なくとも2つの隣接隅部を捕捉するステップを含む。回転ステップにおいて、梃子アームを回転させて係止支持スリーブ92を支持セル94内で回転させるステップを含む。好ましくは、工具106を利用して支持セル94の下側から係止支持スリーブ92にアクセスすることによって、支持セル94の上側に延びる冷却材攪拌翼の損傷を回避する。
【0029】
本発明の方法は係止支持スリーブを第2位置に係止するステップをも含むことが好ましい。1つの実施形態として、本発明の方法は燃料棒を完全に挿入するステップの前に、燃料棒114が占める通路から外れた支持セル94の下方部分に取外し可能な位置決めバーを挿入し、支持セル94内の第1位置へ係止支持スリーブ92を挿入するステップを含む。この後者の実施形態は係止支持スリーブ92を第2位置へ移動させた後、支持セル94から位置決めバー122を取り外すステップをも含む。
【0030】
それぞれの係止支持スリーブ92には4個または8個のディンプルまたは突起102が、またベースグリッド90のそれぞれの支持セル94には4個または8個の切り欠き104が存在するから、係止支持スリーブは回転させた後は軸方向にも半径方向にも係止され
る。また、回転ステップの後、係止支持スリーブ92の、特に膨らみ隅部100の形状により、係止支持スリーブ92と燃料棒114の間に予荷重がかかる。一列ずつ燃料棒を装荷し、スリーブを係止することができる。一列ずつ装荷する際に集合体を湾曲させるような横方向の荷重は存在しないから、組立て時に燃料棒を特定のパターンで装荷する必要はない。最初に、任意の場所に単一の燃料棒を装荷すればよい。ベースグリッド90の材料および材質(例えば、横方向の材質)は係止支持スリーブ92よりも半径方向の膨張が小さく、従って、燃料集合体が照射された後でも燃料棒114と係止支持スリーブ92の間に現実に接触状態が維持されるように選択する。係止支持スリーブ92の材料および形状は、燃料棒114に向かっての照射による膨張が比較的大きく、燃料棒と係止支持スリーブ92の間の荷重を増大するように選択する。適当な照射膨張特性を付与するには、スリーブ92の材料としてインコネルを使用することができる。この材料の中性子に対する弱点を軽減するには、スリーブがインコネル製であるなら、このスリーブに孔または切り欠きを形成すればよい。
【0031】
従って、本発明の支持グリッドは燃料棒装荷の過程で起こり易い引っ掻き傷、磨耗などの表面損傷を避けながら燃料棒を装荷することを可能にする。燃料サイクルが終わった後でも、現実に予荷重が維持される。係止支持スリーブは全長に亘って燃料棒と線接触することにより、接触面積を最大に保ってフレッティングによる磨耗を軽減する。原子炉の運転中に燃料棒から浮き上がる支持部材は皆無であり、輸送中、横方向の激しい荷重に曝されても、燃料棒は中心に復帰する。さらにまた、本発明のグリッドは、その部品における打抜き加工部分の数が少なく、複雑度も軽微であるため、製造コストが軽減される。従来のグリッドと同様にベースグリッドのストラップの頂部に混合翼を設けることによって冷却材の混合を促進することができる。
【0032】
本発明の具体的な実施形態を以上に説明したが、当業者には明らかなように、開示内容に照らして開示されている細部に種々の変更を加えることができる。従って、開示された特定の実施形態は飽くまでも説明のためのものであり、後記の請求項およびその等価物によって定義される本発明の範囲を制限するものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉用原子燃料集合体であって、
下部ノズルと上部ノズルの間に支持され、細長い原子燃料棒の長手方向寸法に沿った軸方向長さを有し、平行配列された複数の原子燃料棒と;
上部ノズルと下部ノズルの間に燃料棒の軸方向長さに沿い相前後するように互いに間隔を保って配置され、それぞれの支持セル内でそれぞれの燃料棒の周面の少なくとも一部を取り囲むことによって燃料棒間の横方向間隔を維持する複数の支持グリッドとより成り、
支持グリッドの少なくとも1つは、
互いに直交する複数のストラップを有し、それぞれ4本の隣接するストラップが交差して原子燃料棒を取り囲む支持セルを画定し、4本の隣接するストラップの交差部間における各ストラップの長さが対応する支持セルの壁を形成する卵箱構造のベースグリッドと;
少なくとも1つの支持セル内に嵌合し、第1位置にある時には貫通する原子燃料棒をゆるく受容し、第2位置にある時には燃料棒に側方から圧力を加えて燃料棒の軸方向移動を制約することができ、第1位置と第2位置との間で回転自在な係止支持スリーブとを含む原子燃料集合体。
【請求項2】
係止支持スリーブが回転して第2位置に来ると、係止支持スリーブの回転を制約する手段を含む請求項1に記載の原子燃料集合体。
【請求項3】
係止支持スリーブの回転を制約する手段は、支持セルの少なくとも1面の壁に設けた雄または雌係止部材と係止支持スリーブの少なくとも1面の壁に設けた別の雌または雄係止部材とから成る請求項2に記載の原子燃料集合体。
【請求項4】
雄および雌係止部材がそれぞれ突起と孔であり、整列状態において突起が孔に嵌入する請求項3に記載の原子燃料集合体。
【請求項5】
係止支持スリーブを第2位置まで回転させると係止支持スリーブの回転を制約する手段は、係止支持スリーブが第2位置まで回転した状態で、支持セルに対する係止支持スリーブの軸方向移動をも制約する請求項2に記載の原子燃料集合体。
【請求項6】
係止支持スリーブが半径方向外方へほぼ丸く膨らんだ隅部とこれら隅部間に広がる壁とを有し、隅部がストラップ間の交差部とほぼ整列する第1位置から、隅部が隣接するストラップの交差部間の支持セル壁の中央部とほぼ整列する第2位置へ係止支持スリーブを回転させると、係止支持スリーブの少なくとも2面の壁が半径方向内方へ湾曲して対応の燃料棒に側方から力を加えて燃料棒の軸方向移動を制約する請求項1に記載の原子燃料集合体。
【請求項7】
係止支持スリーブを第2位置へ回転させると、係止支持スリーブの4面の壁すべてが半径方向内方へ湾曲して対応の燃料棒に側方から力を加え、燃料棒の軸方向移動を制約する請求項6に記載の原子燃料集合体。
【請求項8】
係止支持スリーブの半径方向内方へ湾曲する少なくとも1つの壁が係止支持スリーブの全高に亘って燃料棒と接触する請求項6に記載の原子燃料集合体。
【請求項9】
支持セルの壁の軸方向の高さがこれと対応する係止支持スリーブの壁の高さよりも大きい請求項1に記載の原子燃料集合体。
【請求項10】
係止支持スリーブを嵌入させた支持セルに、係止支持スリーブを貫通する燃料棒の通路から外れた係止支持スリーブの少なくとも1つの壁の下方部分に取外し可能なストッパを
設け、係止支持スリーブが第1位置にある時、このストッパによって係止支持スリーブを軸方向に支持する請求項1に記載の原子燃料集合体。
【請求項11】
取外し可能なストッパは、係止支持スリーブの2つの壁に形成した孔に挿通され、これらの孔によって支持される位置決めバーである請求項10に記載の原子燃料集合体。
【請求項12】
位置決めバーは、係止支持スリーブの2つの対向する壁の下方部分に形成された孔に挿通され、これらの孔によって支持される請求項11に記載の原子燃料集合体。
【請求項13】
取外し可能なストッパは、燃料棒通路の両側に1本ずつ設けられた少なくとも2本の位置決めバーである請求項10に記載の原子燃料集合体。
【請求項14】
下部ノズルと、一端が下部ノズルに取り付けられ、燃料棒の配列体が燃料集合体の骨格構造に挿入された後に他端に取り付けられる上部ノズルに向かって軸方向上方へ延びる、横方向に互いに間隔を保つ複数のシンブル管と、シンブル管の軸方向長さに沿って相前後するように配置され、シンブル管の少なくとも幾つかに取付けられ、支持セル内においてそれぞれの燃料棒の周面の軸方向部分を少なくとも部分的に取り囲むことによって燃料棒間の横方向間隔を維持する複数の支持グリッドとを有し、支持グリッドの少なくとも1つは、互いに直交する複数のストラップのうち隣接するそれぞれ4本ずつのストラップが原子燃料棒を取り囲む前記支持セルを画定し、4本の隣接ストラップの交差部間のストラップの長さ部分がそれぞれの支持セルの壁を形成する卵箱構造のベースグリッドと、支持セルの少なくとも1つに嵌入させることができ、第1位置においてはこれに挿通された燃料棒をゆるく受容し、第2位置においては側方から燃料棒に圧力を加えて燃料棒を軸方向に制約し、第1位置と第2位置との間で回転可能である係止支持スリーブとを含む、軸方向が燃料集合体の長手方向寸法に沿う細長い燃料集合体の前記骨格構造に燃料棒を装荷する方法であって、
軸方向に整列するすべての係止支持スリーブを第1位置に維持し;
燃料棒が挿入される燃料集合体骨格構造の軸方向離隔位置にある係止支持スリーブを介して燃料集合体に燃料棒を完全に挿入し;
燃料集合体骨格構造に燃料棒を完全に挿入した後、燃料棒を取り囲む係止支持スリーブを第2位置へ移動させることによって燃料を装荷して燃料棒に側方から圧力を加えるステップを含む燃料集合体の骨格構造に燃料棒を装荷する方法。
【請求項15】
装荷ステップは係止支持スリーブを支持セルを中心に45°回転するステップを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
係止支持スリーブが半径方向外方へ膨らむ丸みを帯びたほぼ四辺形の断面形状を有するスリーブであり、回転ステップは対応する膨らみ内に延びるフィンガと梃子アームとを有する工具で係止支持スリーブの2つの隣接隅部を捕捉し、梃子アームを回転させて係止支持スリーブを支持セル内で回転させるステップを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工具を利用して支持グリッドの下側から係止支持スリーブにアクセスするステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
係止支持スリーブを第2位置に係止するステップを含む請求項14に記載の方法。
【請求項19】
燃料棒を完全に挿入するステップの前に、燃料棒が占める通路から外れた支持セルの下方部分に取外し可能な位置決めバーを挿入し;支持セル内の第1位置へ係止支持スリーブを挿入するステップを含む請求項14に記載の方法。
【請求項20】
係止支持スリーブを第2位置へ移動させた後、支持セルから位置決めバーを取り外すステップを含む請求項19に記載の方法。
【請求項1】
原子炉用原子燃料集合体であって、
下部ノズルと上部ノズルの間に支持され、細長い原子燃料棒の長手方向寸法に沿った軸方向長さを有し、平行配列された複数の原子燃料棒と;
上部ノズルと下部ノズルの間に燃料棒の軸方向長さに沿い相前後するように互いに間隔を保って配置され、それぞれの支持セル内でそれぞれの燃料棒の周面の少なくとも一部を取り囲むことによって燃料棒間の横方向間隔を維持する複数の支持グリッドとより成り、
支持グリッドの少なくとも1つは、
互いに直交する複数のストラップを有し、それぞれ4本の隣接するストラップが交差して原子燃料棒を取り囲む支持セルを画定し、4本の隣接するストラップの交差部間における各ストラップの長さが対応する支持セルの壁を形成する卵箱構造のベースグリッドと;
少なくとも1つの支持セル内に嵌合し、第1位置にある時には貫通する原子燃料棒をゆるく受容し、第2位置にある時には燃料棒に側方から圧力を加えて燃料棒の軸方向移動を制約することができ、第1位置と第2位置との間で回転自在な係止支持スリーブとを含む原子燃料集合体。
【請求項2】
係止支持スリーブが回転して第2位置に来ると、係止支持スリーブの回転を制約する手段を含む請求項1に記載の原子燃料集合体。
【請求項3】
係止支持スリーブの回転を制約する手段は、支持セルの少なくとも1面の壁に設けた雄または雌係止部材と係止支持スリーブの少なくとも1面の壁に設けた別の雌または雄係止部材とから成る請求項2に記載の原子燃料集合体。
【請求項4】
雄および雌係止部材がそれぞれ突起と孔であり、整列状態において突起が孔に嵌入する請求項3に記載の原子燃料集合体。
【請求項5】
係止支持スリーブを第2位置まで回転させると係止支持スリーブの回転を制約する手段は、係止支持スリーブが第2位置まで回転した状態で、支持セルに対する係止支持スリーブの軸方向移動をも制約する請求項2に記載の原子燃料集合体。
【請求項6】
係止支持スリーブが半径方向外方へほぼ丸く膨らんだ隅部とこれら隅部間に広がる壁とを有し、隅部がストラップ間の交差部とほぼ整列する第1位置から、隅部が隣接するストラップの交差部間の支持セル壁の中央部とほぼ整列する第2位置へ係止支持スリーブを回転させると、係止支持スリーブの少なくとも2面の壁が半径方向内方へ湾曲して対応の燃料棒に側方から力を加えて燃料棒の軸方向移動を制約する請求項1に記載の原子燃料集合体。
【請求項7】
係止支持スリーブを第2位置へ回転させると、係止支持スリーブの4面の壁すべてが半径方向内方へ湾曲して対応の燃料棒に側方から力を加え、燃料棒の軸方向移動を制約する請求項6に記載の原子燃料集合体。
【請求項8】
係止支持スリーブの半径方向内方へ湾曲する少なくとも1つの壁が係止支持スリーブの全高に亘って燃料棒と接触する請求項6に記載の原子燃料集合体。
【請求項9】
支持セルの壁の軸方向の高さがこれと対応する係止支持スリーブの壁の高さよりも大きい請求項1に記載の原子燃料集合体。
【請求項10】
係止支持スリーブを嵌入させた支持セルに、係止支持スリーブを貫通する燃料棒の通路から外れた係止支持スリーブの少なくとも1つの壁の下方部分に取外し可能なストッパを
設け、係止支持スリーブが第1位置にある時、このストッパによって係止支持スリーブを軸方向に支持する請求項1に記載の原子燃料集合体。
【請求項11】
取外し可能なストッパは、係止支持スリーブの2つの壁に形成した孔に挿通され、これらの孔によって支持される位置決めバーである請求項10に記載の原子燃料集合体。
【請求項12】
位置決めバーは、係止支持スリーブの2つの対向する壁の下方部分に形成された孔に挿通され、これらの孔によって支持される請求項11に記載の原子燃料集合体。
【請求項13】
取外し可能なストッパは、燃料棒通路の両側に1本ずつ設けられた少なくとも2本の位置決めバーである請求項10に記載の原子燃料集合体。
【請求項14】
下部ノズルと、一端が下部ノズルに取り付けられ、燃料棒の配列体が燃料集合体の骨格構造に挿入された後に他端に取り付けられる上部ノズルに向かって軸方向上方へ延びる、横方向に互いに間隔を保つ複数のシンブル管と、シンブル管の軸方向長さに沿って相前後するように配置され、シンブル管の少なくとも幾つかに取付けられ、支持セル内においてそれぞれの燃料棒の周面の軸方向部分を少なくとも部分的に取り囲むことによって燃料棒間の横方向間隔を維持する複数の支持グリッドとを有し、支持グリッドの少なくとも1つは、互いに直交する複数のストラップのうち隣接するそれぞれ4本ずつのストラップが原子燃料棒を取り囲む前記支持セルを画定し、4本の隣接ストラップの交差部間のストラップの長さ部分がそれぞれの支持セルの壁を形成する卵箱構造のベースグリッドと、支持セルの少なくとも1つに嵌入させることができ、第1位置においてはこれに挿通された燃料棒をゆるく受容し、第2位置においては側方から燃料棒に圧力を加えて燃料棒を軸方向に制約し、第1位置と第2位置との間で回転可能である係止支持スリーブとを含む、軸方向が燃料集合体の長手方向寸法に沿う細長い燃料集合体の前記骨格構造に燃料棒を装荷する方法であって、
軸方向に整列するすべての係止支持スリーブを第1位置に維持し;
燃料棒が挿入される燃料集合体骨格構造の軸方向離隔位置にある係止支持スリーブを介して燃料集合体に燃料棒を完全に挿入し;
燃料集合体骨格構造に燃料棒を完全に挿入した後、燃料棒を取り囲む係止支持スリーブを第2位置へ移動させることによって燃料を装荷して燃料棒に側方から圧力を加えるステップを含む燃料集合体の骨格構造に燃料棒を装荷する方法。
【請求項15】
装荷ステップは係止支持スリーブを支持セルを中心に45°回転するステップを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
係止支持スリーブが半径方向外方へ膨らむ丸みを帯びたほぼ四辺形の断面形状を有するスリーブであり、回転ステップは対応する膨らみ内に延びるフィンガと梃子アームとを有する工具で係止支持スリーブの2つの隣接隅部を捕捉し、梃子アームを回転させて係止支持スリーブを支持セル内で回転させるステップを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工具を利用して支持グリッドの下側から係止支持スリーブにアクセスするステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
係止支持スリーブを第2位置に係止するステップを含む請求項14に記載の方法。
【請求項19】
燃料棒を完全に挿入するステップの前に、燃料棒が占める通路から外れた支持セルの下方部分に取外し可能な位置決めバーを挿入し;支持セル内の第1位置へ係止支持スリーブを挿入するステップを含む請求項14に記載の方法。
【請求項20】
係止支持スリーブを第2位置へ移動させた後、支持セルから位置決めバーを取り外すステップを含む請求項19に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2009−258106(P2009−258106A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−97092(P2009−97092)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(501010395)ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー (78)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97092(P2009−97092)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(501010395)ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー (78)
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