保存された大腸菌免疫原
大腸菌のいくつかの病原性菌株由来の1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、溶血素A(recp−3768)、およびSel 1反復含有タンパク質(upec−521 1)は、すべての大腸菌にわたって保存されているタンパク質内の領域を有すると同定された。保存された領域に対応する断片、特に免疫原性断片、例えば、線状Bエピトープが提供される。加えて、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、yapHホモログ(upec2820)の改変体、および溶血素A(recp3768)の2つの異なる断片が、本明細書で提供され、これらは、天然タンパク質と比較して溶解性が上昇しており、対応する天然タンパク質と実質的に類似の免疫応答を被験体になお惹起する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、病原性大腸菌株に対する免疫化に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景分野)
大腸菌株は、伝統的に、片利共生または病原性のいずれかとして分類され、病原性菌株は、腸内菌株または腸外菌株にさらに分類される。病原性大腸菌は、非特許文献1(参考文献1)でより詳細に検討され、多数の異なる病原型(すなわち共通の一組の毒性因子を用いて共通の疾患を引き起こす大腸菌株の群)に分けられる。菌株の病原型の分類(pathotyping)は、遺伝子型または表現型にて行うことができる通常の技術である。ある最近の遺伝子型に基づいた病原型の分類法(非特許文献2[2])はDNAマイクロアレイを使用する。
【0003】
腸内菌株の中で、少なくとも6つの十分に説明されている病原型:腸管病原性(EPEC)、腸管出血性(EHEC)、腸管凝集性(EAEC)、腸管侵入性(EIEC)、腸管毒素原性(ETEC)、および拡散付着性(DAEC)は公知である。
【0004】
大腸菌の腸外病原性菌株(または「ExPEC」菌株(非特許文献3、4[3、4]))には、尿路病原性(UPEC)菌株、新生児髄膜炎(NMEC)菌株、および敗血症関連菌株(SEPEC)が含まれる。ExPECは、尿路感染の最も一般的な原因であり、ヒトの新生児髄膜炎および新生児敗血症の主な原因の1つであり、重篤な合併症および死をもたらす可能性がある。他の種類の腸外感染には、骨髄炎、肺、腹内、軟組織、および血管内デバイスに関連した感染が含まれる。ヒト以外の別のExPEC病原型は、鳥病原性(APEC)であり、家禽に腸外感染を引き起こす。
【0005】
ほとんどの以前からあるExPECワクチンは、細胞溶解物または細胞構造物をベースとしている。SOLCOUROVACTMには、6つのExPEC菌株を含む10の異なる加熱死細菌が含まれる。URO−VAXOMTMは、18の選択された大腸菌株の凍結乾燥細菌溶解物を含む、経口用の錠剤型ワクチンである。Baxter Vaccinesによって、6〜10の異なる菌株に由来する線毛をベースとしたUTIワクチンが開発された。MedImmuneによって、FimH付着複合体をベースとするMEDI516と呼ばれる製品が開発された。対照的に、特許文献1および2(参考文献5および6)には、NMEC菌株およびUPEC菌株の両方に対する規定ワクチンの基礎として使用することができるExPEC菌株由来の特異的免疫原が開示されている。
【0006】
しかしながら、なお、幅広いスペクトルの腸内大腸菌株および腸外大腸菌株から防御するワクチンを提供することへの必要性がある。大腸菌は、新たな生態的地位に適合して幅広いスペクトルの疾患を引き起こす改善された能力を有する変わりやすい微生物である。微生物は、様々な組織および宿主に適合できるように、適合係数、毒性因子、および集落形成因子を変更することができる。したがって、潜在的抗原が、高い選択圧を受け、結果として、異なる菌株間での配列変動性を有し得る。
【0007】
ncbi.nlm.nih.govで利用可能なゲノムのデータベースには、ゲノムとして21の病原性および非病原性大腸菌ゲノムが列記され、タンパク質は、少なくとも4,126、多くとも5,339であった。しかしながら、このような列記は、病原性大腸菌の重要な部分にわたってどれが保存されているか、そのように保存されているタンパク質における保存された領域が何であるか、または、病原性大腸菌から防御する十分な免疫応答を引き起こすために、数千もの有望なタンパク質のうちのどのタンパク質をワクチンに使用できるか(最適な候補を同定するためには、多数のタンパク質のスクリーニングが必要である)を同定していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2006/089264号
【特許文献2】国際公開第2006/091517号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kaper et al.Nat Rev Microbiol.(2004)2(2):123−40
【非特許文献2】Anjum et al.Appl Environ Microbiol(2007)73:5692−7
【非特許文献3】Russo&Johnson J Infect Dis(2000)181:1753−1754
【非特許文献4】Smith et al.Foodborne Pathogens And Disease(2007)4:134−63
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、病原性大腸菌株、より具体的には、腸内病原型(例えば、EAEC、EIEC、EPEC、およびETEC菌株)、ならびにExPEC病原型に対する免疫化に使用されるさらなるよりよい抗原を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の開示)
参考文献5に開示されている多数の抗原の内の1つは、「orf353」(参考文献5の中の配列番号705および706)と注釈が付けられており、これは、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf236」、大腸菌株CFT073由来「c0368」、および大腸菌株536由来ecp_0248としても知られている。参考文献5に開示されている別のこのような抗原は、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質として(または「orf405」として、配列番号809および810)注釈が付けられており、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf284」、大腸菌株CFT073由来「c0415」、および大腸菌株536由来ecp_0367としても知られている。参考文献5に開示されているなお別のこのような抗原は、インフルエンザ抗原43タンパク質として(または「orf1364」として、配列番号2727および2728)注釈が付けられており、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf1109」、大腸菌株CFT073由来「c1273」、および大腸菌株536由来ecp_3009としても知られている。参考文献5に開示されているなお別のこのような抗原は、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出(efflux)トランスポータータンパク質として(または「orf1767」として、配列番号3533および3534)注釈が付けられており、これは、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf1488」、大腸菌株CFT073由来「c1765」、および大腸菌株536由来ecp_1346としても知られている。参考文献5に開示されているなお別のこのような抗原は、gspK一般分泌経路タンパク質として(または「orf3515」として、配列番号7029および7030)注釈が付けられており、これは、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf3332」、大腸菌株CFT073由来「c3702」、および大腸菌株536由来ecp_3039としても知られている。参考文献5に開示されているなお別のこのような抗原は、gspJ一般分泌経路タンパク質として(または「orf3516」として、配列番号7029および7030)注釈が付けられており、これは、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf3333」および大腸菌株536由来ecp_3040としても知られている。参考文献5に開示されているなお別のこのような抗原は、tonB依存性シデロホア受容体(tonB−dependent siderophore receptor)として(または「orf3597」として、配列番号7193および7194)注釈が付けられており、これは、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf3415」、大腸菌株CFT073由来「c3775」、および大腸菌株536由来ecp_3121としても知られている。参考文献5に開示されているなお別のこのような抗原は、線毛タンパク質として(または「orf3613」として、配列番号7225および7226)注釈が付けられており、これは、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf3431」および大腸菌株CFT073由来「c3791」としても知られている。国際公開第2008/020330号に開示されているなお別のこのような抗原は、溶血素Aタンパク質として(または「recp3768」として、配列番号3)注釈が付けられており、これは、大腸菌株CFT073由来「c3570」および大腸菌株536由来ecp_3827としても知られている。大腸菌UPEC由来「upec948」タンパク質は、大腸菌株CFT073由来「c0975」としても知られている。大腸菌UPEC由来「upec1232」タンパク質は、参考文献6(配列番号138)に開示され、大腸菌株CFT073由来「c1275」としても知られている。参考文献6に開示されているなお別のこのような抗原は、1型線毛タンパク質、A鎖前駆体として(または「upec1875」として、配列番号221)注釈が付けられており、これは、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf1642」および大腸菌株CFT073由来「c1936」としても知られている。参考文献6に開示されているなお別のこのような抗原は、YapHホモログタンパク質として(または「upec2820」として、配列番号307)注釈が付けられており、これは、大腸菌株CFT073由来「c2895」としても知られている。参考文献5、参考文献6、国際公開第2008/020330号、および他の参考文献は、NMEC菌株IHE3034またはUPEC菌株の配列を開示し、本発明の特定の態様は、APEC、UPEC、EAEC、EIEC、EPEC、およびETEC菌株を含む、さらなる病原型で同定されたExPEC「orf353」、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質、インフルエンザ抗原43タンパク質、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポータータンパク質、gspK一般分泌経路タンパク質、gspJ一般分泌経路タンパク質、tonB依存性シデロホア受容体、線毛タンパク質、「upec948」タンパク質、「upec1232」、1型線毛タンパク質、A鎖前駆体、およびYapHホモログタンパク質の改変体に基づいている。参考文献5の開示とは異なり、これらの改変体は、腸内病原型の処置に特に有用であり得る。したがって、本発明は、このような改変体と共に、大腸菌感染に対する患者の免疫化におけるこれらの使用を提供する。加えて、本開示は、すべての大腸菌病原型のタンパク質:細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、インフルエンザ抗原43(orf1364)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)、gspK(orf3515)、gspJ(orf3516)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)、線毛タンパク質(orf3613)、upec−948、upec−1232、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、溶血素A(recp−3768)、およびSel 1反復含有タンパク質(upec−5211)のそれぞれの断片を包含し、これらの断片は、複数の菌株にわたって保存されているため、いくつかの菌株に対する防御を提供する免疫応答を被験体にもたらすことができる。
【0012】
(本発明に使用されるポリペプチド)
本発明は、それぞれが本明細書により詳細に記載されるorf353、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、インフルエンザ抗原43(orf1364)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)、gspK(orf3515)、gspJ(orf3516)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)、線毛タンパク質(orf3613)、upec−948、upec−1232、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、溶血素A(recp−3768)、およびSel 1反復含有タンパク質(upec−5211)に由来するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
【0013】
(orf353タンパク質)
大腸菌NMEC由来「orf353」タンパク質は、参考文献5(配列番号705および706)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf236」、CFT073由来「c0368」、および536由来ecp_0248としても知られている。
【0014】
本発明にしたがって使用される場合、orf353タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいorf353配列は、配列番号1〜2に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0015】
他の好ましいorf353配列は、配列番号1〜2の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、orf353のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号1〜2のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0016】
【化1】
(orf405タンパク質)
細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質は、本明細書では「orf405」と呼ばれる。大腸菌NMEC由来「orf405」タンパク質は、参考文献5(配列番号809および810)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf284」、CFT073由来「c0415」、および536由来ecp_0367としても知られている。
【0017】
本発明にしたがって使用される場合、orf405タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいorf405配列は、配列番号3〜18に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0018】
他の好ましいorf405配列は、配列番号3〜18の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、orf405のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号3〜18のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。加えて、溶解性および免疫原性について試験した3つの断片、405A、405B、および405Cは、それぞれ、「A」、「B」、および「C」を付して明示した。
【0019】
【化2】
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】
【化10】
【0028】
【化11】
【0029】
【化12】
【0030】
【化13】
(orf1364タンパク質)
インフルエンザ抗原43タンパク質は、本明細書では「orf1364」と呼ばれる。大腸菌NMEC由来「orf1364」タンパク質は、参考文献5(配列番号2727および2728)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf1109」、CFT073由来「c1273」、および536由来ecp_3009としても知られている。
【0031】
本発明にしたがって使用される場合、orf1364タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいorf1364配列は、配列番号19〜40に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0032】
他の好ましいorf1364配列は、配列番号19〜40の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、orf1364のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号19〜40のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0033】
【化14】
【0034】
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】
【化17】
【0037】
【化18】
【0038】
【化19】
【0039】
【化20】
【0040】
【化21】
【0041】
【化22】
【0042】
【化23】
(orf1767タンパク質)
NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポータータンパク質は、本明細書では「orf1767」と呼ばれる。大腸菌NMEC由来「orf1767」タンパク質は、参考文献5(配列番号3533および3534)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf1488」、CFT073由来「c1765」、および536由来ecp_1346としても知られている。
【0043】
本発明にしたがって使用される場合、orf1767タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいorf1767配列は、配列番号41〜47に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0044】
他の好ましいorf1767配列は、配列番号41〜47の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、orf1767のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号41〜47のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0045】
【化24】
【0046】
【化25】
【0047】
【化26】
(orf3515タンパク質)
gspK一般分泌経路タンパク質は、本明細書では「orf3515」と呼ばれる。大腸菌NMEC由来「orf3515」タンパク質は、参考文献5(配列番号7029および7030)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf3332」、CFT073由来「c3702」、および536由来ecp_3039としても知られている。
【0048】
本発明にしたがって使用される場合、orf3515タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいorf3515配列は、配列番号48〜60に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0049】
他の好ましいorf3515配列は、配列番号48〜60の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、orf3515のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号48〜60のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である
【0050】
【化27】
【0051】
【化28】
【0052】
【化29】
(orf3516タンパク質)
gspJ一般分泌経路タンパク質は、本明細書では「orf3516」と呼ばれる。大腸菌NMEC由来「orf3516」タンパク質は、参考文献5(配列番号7031および7032)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf3333」および536由来ecp_3040としても知られている。
【0053】
本発明にしたがって使用される場合、orf3516タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいorf3516配列は、配列番号61〜71に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0054】
他の好ましいorf3516配列は、配列番号61〜71の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、orf3516のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号61〜71のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0055】
【化30】
【0056】
【化31】
(orf3597タンパク質)
tonB依存性シデロホア受容体タンパク質は、本明細書では「orf3597」と呼ばれる。大腸菌NMEC由来「orf3597」タンパク質は、参考文献5(配列番号7193および7194)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf3415」、CFT073由来「c3775」、および536由来ecp_3121としても知られている。
【0057】
本発明にしたがって使用される場合、orf3597タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいorf3597配列は、配列番号72〜79に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0058】
他の好ましいorf3597配列は、配列番号72〜79の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、orf3597のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号72〜79のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0059】
【化32】
【0060】
【化33】
【0061】
【化34】
【0062】
【化35】
(orf3613タンパク質)
線毛タンパク質は、本明細書では「orf3613」と呼ばれる。大腸菌NMEC由来「orf3613」タンパク質は、参考文献5(配列番号7225および7226)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf3431」およびCFT073由来「c3791」としても知られている。
【0063】
本発明にしたがって使用される場合、orf3613タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいorf3613配列は、配列番号80〜81に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0064】
他の好ましいorf3613配列は、配列番号80〜81の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、orf3613のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号80〜81のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0065】
【化36】
(recp3768タンパク質)
溶血素Aタンパク質は、本明細書では「recp3768」と呼ばれる。大腸菌UPEC由来「recp3768」タンパク質は、参考文献国際公開第2008/020330号(配列番号3)に開示され、CFT073由来「c3570」および536由来ecp_3827としても知られている。
【0066】
本発明にしたがって使用される場合、recp3768タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいrecp3768配列は、配列番号101〜105に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0067】
他の好ましいrecp3768配列は、配列番号101〜105の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、recp3768のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号101〜105のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0068】
【化37】
【0069】
【化38】
【0070】
【化39】
【0071】
【化40】
(upec948タンパク質)
大腸菌UPEC由来「upec948」タンパク質は、CFT073由来「c0975」としても知られている。
【0072】
本発明にしたがって使用される場合、upec948タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいupec948配列は、配列番号82〜84に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0073】
他の好ましいupec948配列は、配列番号82〜84の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、upec948のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号82〜84のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0074】
【化41】
(upec1232タンパク質)
大腸菌UPEC由来「upec1232」タンパク質は、参考文献6(配列番号138)に開示され、CFT073由来「c1275」としても知られている。
【0075】
本発明にしたがって使用される場合、upec1232タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいupec1232配列は、配列番号85〜91に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0076】
他の好ましいupec1232配列は、配列番号85〜91の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、upec1232のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号85〜91のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0077】
【化42】
【0078】
【化43】
(upec1875タンパク質)
1型線毛タンパク質、A鎖前駆体は、本明細書では「upec1875」と呼ばれる。大腸菌UPEC由来「upec1875」タンパク質は、参考文献6(配列番号221)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf1642」およびCFT073由来「c1936」としても知られている。
【0079】
本発明にしたがって使用される場合、upec1875タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいupec1875配列は、配列番号92〜98に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0080】
他の好ましいupec1875配列は、配列番号92〜98の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、upec1875のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号92〜98のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0081】
【化44】
【0082】
【化45】
(upec2820タンパク質)
yapHホモログタンパク質は、本明細書では「upec2820」と呼ばれる。大腸菌NMEC由来「upec2820」タンパク質は、参考文献6(配列番号307)に開示され、CFT073由来「c2895」としても知られている。
【0083】
本発明にしたがって使用される場合、upec2820タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいupec2820配列は、配列番号99〜100に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0084】
他の好ましいupec2820配列は、配列番号99〜100の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、upec2820のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号99〜100のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0085】
【化46】
【0086】
【化47】
【0087】
【化48】
【0088】
【化49】
【0089】
【化50】
【0090】
【化51】
【0091】
【化52】
【0092】
【化53】
(upec−5211ポリペプチド)
Sel 1反復含有タンパク質は、本明細書では「upec−5211」と呼ばれる。大腸菌由来「upec−5211」ポリペプチドは、CFT073由来「c5321」、ED1a由来「ECED1_5081」、およびE.fergusonii ATCC35469由来「EFER_4303」としても知られている。
【0093】
本発明にしたがって使用される場合、upec−5211ポリペプチドは、様々な形態をとり得る。好ましいupec−5211配列は、配列番号653〜655に対して50%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、87.5%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0094】
他の好ましいupec−5211配列は、配列番号653〜655の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、upec−5211のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号653〜655のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0095】
【化54】
【0096】
【化55】
(本発明に使用される特定のポリペプチド)
本発明の態様は、orf353、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、インフルエンザ抗原43(orf1364)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)、gspK(orf3515)、gspJ(orf3516)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)、線毛タンパク質(orf3613)、upec−948、upec−1232、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、および溶血素A(recp−3768)からなる群より選択される大腸菌タンパク質を含む単離または組換えポリペプチドを包含する。
【0097】
特定の実施形態では、この単離または組換えポリペプチドは、配列番号1〜105に対して少なくともa%の同一性を有するアミノ酸配列を有し得る。
【0098】
特定の実施形態では、このポリペプチドは、ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号1〜105のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウ(moving window)が、少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有する、アミノ酸を含み、このxは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、x・yが整数でない場合は、最も近い整数に切り上げられる。
【0099】
特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号1〜105のいずれかの少なくともb個の連続したアミノ酸を含み、この少なくともb個の連続したアミノ酸は免疫原性である。
【0100】
単離または組換えポリペプチドがorf353である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号1〜2の160未満、150未満、140未満、または130未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号211〜218を含む。
【0101】
単離または組換えポリペプチドが細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号3〜18の1410未満、1400未満、1390未満、または1380未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号219〜307および683を含む。
【0102】
単離または組換えポリペプチドがインフルエンザ抗原43(orf1364)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号19〜40の1040未満、1030未満、1020未満、または1010未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号308〜350を含む。
【0103】
単離または組換えポリペプチドがNodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号41〜47の450未満、440未満、430未満、または420未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号351〜368を含む。
【0104】
単離または組換えポリペプチドがgspK(orf3515)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号48〜60の320未満、310未満、300未満、または290未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号369〜384を含む。
【0105】
単離または組換えポリペプチドがgspJ(orf3516)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号61〜71の180未満、170未満、160未満、または150未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号385〜398を含む。
【0106】
単離または組換えポリペプチドがtonB依存性シデロホア受容体(orf3597)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号72〜79の710未満、700未満、690未満、または680未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号399〜425を含む。
【0107】
単離または組換えポリペプチドが線毛タンパク質(orf3613)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号80〜81の180未満、170未満、160未満、または150未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号426〜432を含む。
【0108】
単離または組換えポリペプチドがupec−948である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号82〜84の150未満、140未満、130未満、または120未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号493〜499を含む。
【0109】
単離または組換えポリペプチドがupec−1232である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号85〜91の150未満、140未満、130未満、または120未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号500〜506を含む。
【0110】
単離または組換えポリペプチドが1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号92〜98の180未満、170未満、160未満、または150未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号507〜515を含む。
【0111】
単離または組換えポリペプチドがyapHホモログ(upec−2820)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号99〜100の2640未満、2620未満、2600未満、または2580未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号516〜638を含む。
【0112】
単離または組換えポリペプチドが溶血素A(recp−3768)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号101〜105の1020未満、1010未満、1000未満、または990未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号433〜492を含む。特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、大腸菌溶血素A(recp−3768)の断片を含み、この断片は、完全長タンパク質と比較して断片の溶解性を増加させる、大腸菌AcfDタンパク質に対する欠失を有し、この断片は、大腸菌AcfDタンパク質と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する。
【0113】
前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、ポリペプチドは、対応する完全長タンパク質(例えば、orf353、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、インフルエンザ抗原43(orf1364)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)、gspK(orf3515)、gspJ(orf3516)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)、線毛タンパク質(orf3613)、upec−948、upec−1232、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、および溶血素A(recp−3768))を含まない。このような対応する完全長タンパク質の例には、配列番号1〜105が含まれる。
【0114】
本発明の態様は、エシェリキア属Sel 1反復含有タンパク質(upec−5211)を含む単離または組換えポリペプチドを包含する。
【0115】
特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号653〜655に対して少なくともa%の同一性を有するアミノ酸配列を有し得る。
【0116】
特定の実施形態では、このポリペプチドは、ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号653〜655のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが、少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有する、アミノ酸を含み、このxは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、x・yが整数でない場合は、最も近い整数に切り上げられる。
【0117】
特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号653〜655のいずれかの少なくともb個の連続したアミノ酸を含み、この少なくともb個の連続したアミノ酸は免疫原性である。
【0118】
特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号653〜655の480未満、470未満、460未満、450未満、425未満、400未満、350未満、200未満、または250未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号656〜676を含む。
【0119】
本明細書に開示されるいずれのポリペプチドも、ワクチンの成分としての有用性を有する。したがって、別の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、アジュバントと共に用いられる。
【0120】
本発明の別の態様は、前述のポリペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号106〜210からなる群より選択される核酸配列に対してa%の配列同一性を有する。
【0121】
本発明の別の態様は、orf405タンパク質の断片を含む免疫原性ポリペプチドを包含し、この断片は、完全長タンパク質と比較して断片の溶解性を増加させる、大腸菌orf405に対する欠失を有し、この断片は、大腸菌orf405と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する。このような一例は、配列番号642である。特定の実施形態では、orf405タンパク質の断片は、orf405タンパク質の1200未満のアミノ酸、1100未満のアミノ酸、1000未満のアミノ酸、950未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、590未満のアミノ酸、または580未満のアミノ酸を有する。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、溶解性が増加したorf405の断片は、(a)配列番号3〜18からなる群より選択されるアミノ酸配列;(b)配列番号3〜18と比較して1〜10個の単一のアミノ酸変更;配列番号3〜18のいずれか1つに対する少なくともa%の配列同一性;かつ/または(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号3〜18のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが、少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有すること(このxは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、x・yが整数でない場合は、最も近い整数に切り上げられる)を有する。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、溶解性が増加したorf405の断片は、単離されているか、精製されているか、または組換え型である。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、この免疫原性ポリペプチドは、アジュバントと組み合わせることができる。
【0122】
本発明の別の態様は、インフルエンザ抗原43(orf1364)タンパク質の断片を含む免疫原性ポリペプチドを包含し、この断片は、完全長タンパク質と比較して断片の溶解性を増加させる、大腸菌インフルエンザ抗原43(orf1364)に対する欠失を有し、この断片は、大腸菌インフルエンザ抗原43(orf1364)と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する。このような一例は、配列番号652である。特定の実施形態では、大腸菌インフルエンザ抗原43は、インフルエンザ抗原43(orf1364)タンパク質の950未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、550未満のアミノ酸、500未満のアミノ酸、450未満のアミノ酸、440未満のアミノ酸、または430未満のアミノ酸を有する。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、溶解性が増加したインフルエンザ抗原43(orf1364)の断片は、(a)配列番号19〜40からなる群より選択されるアミノ酸配列;(b)配列番号19〜40と比較して1〜10個の単一のアミノ酸変更;(c)配列番号19〜40のいずれか1つに対する少なくともa%の配列同一性;かつ/または(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号19〜40のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが、少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有すること(このxは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、x・yが整数でない場合は、最も近い整数に切り上げられる)を有する。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、溶解性が増加したインフルエンザ抗原43(orf1364)の断片は、単離されているか、精製されているか、または組換え型である。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、この免疫原性ポリペプチドは、アジュバントと組み合わせることができる。
【0123】
本発明の別の態様は、yapHホモログ(upec−2820)タンパク質の断片を含む免疫原性ポリペプチドを包含し、この断片は、完全長タンパク質と比較して断片の溶解性を増加させる、大腸菌yapHホモログ(upec−2820)に対する欠失を有し、この断片は、大腸菌yapHホモログ(upec−2820)と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する。このような例は、配列番号644、配列番号646、配列番号648、または配列番号650である。特定の実施形態では、大腸菌yapHホモログの断片は、yapHホモログ(upec−2820)タンパク質の2500未満のアミノ酸、2000未満のアミノ酸、1750未満のアミノ酸、1500未満のアミノ酸、1400未満のアミノ酸、1300未満のアミノ酸、1200未満のアミノ酸、1100未満のアミノ酸、1000未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、550未満のアミノ酸、500未満のアミノ酸、450未満のアミノ酸、400未満のアミノ酸、または390未満のアミノ酸を有する。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、溶解性が増加したyapHホモログ(upec−2820)の断片は、(a)配列番号99〜100からなる群より選択されるアミノ酸配列;(b)配列番号99〜100と比較して1〜10個の単一のアミノ酸変更;(c)配列番号99〜100のいずれか1つに対する少なくともa%の配列同一性;かつ/または(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号99〜100のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが、少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有すること(このxは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、x・yが整数でない場合は、最も近い整数に切り上げられる)を有する。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、溶解性が増加したyapHホモログ(upec−2820)の断片は、単離されているか、精製されているか、または組換え型である。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、この免疫原性ポリペプチドは、アジュバントと組み合わせることができる。
【0124】
本発明の別の態様は、溶血素A(recp−3768)タンパク質の断片を含む免疫原性ポリペプチドを包含し、この断片は、完全長タンパク質と比較して断片の溶解性を増加させる、大腸菌溶血素A(recp−3768)に対する欠失を有し、この断片は、大腸菌溶血素A(recp−3768)と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する。このような一例は、配列番号640である。特定の実施形態では、大腸菌溶血素Aの断片は、溶血素A(recp3768)タンパク質の1000未満のアミノ酸、950未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、550未満のアミノ酸、500未満のアミノ酸、450未満のアミノ酸、400未満のアミノ酸、390未満のアミノ酸、380未満のアミノ酸、350未満のアミノ酸、300未満のアミノ酸、250未満のアミノ酸、240未満のアミノ酸、230未満のアミノ酸、または220未満のアミノ酸を有する。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、溶解性が増加した溶血素A(recp3768)の断片は、(a)配列番号101〜105からなる群より選択されるアミノ酸配列;(b)配列番号101〜105と比較して1〜10個の単一のアミノ酸変更;(c)配列番号101〜105のいずれか1つに対する少なくともa%の配列同一性;かつ/または(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号101〜105のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが、少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有すること(このxは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、x・yが整数でない場合は、最も近い整数に切り上げられる)を有する。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、溶解性が増加した溶血素A(recp3768)の断片は、単離されているか、精製されているか、または組換え型である。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、この免疫原性ポリペプチドは、アジュバントと組み合わせることができる。
【0125】
同一性パーセントの決定に好ましいペアワイズアラインメントアルゴリズムは、デフォルトパラメーター(例えば、ギャップ・オープニング・ペナルティー=10.0、ギャップ伸長ペナルティー=0.5、EBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用)を使用するNeedleman−Wunschグローバル・アラインメント・アルゴリズム[7]である。このアルゴリズムは、EMBOSSパッケージ[8]のneedleツールで適宜実行された。
【0126】
これらのポリペプチドは、対立遺伝子改変体、多型、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体などを含む配列番号1〜105の改変体、ならびに配列番号653〜655の改変体を含む。
【0127】
aの値は、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、87.5%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上から選択することができる。
【0128】
bの値は、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上から選択することができる。好ましい断片には、配列番号1〜105のエピトープまたは免疫原性断片、ならびに配列番号653〜655のエピトープまたは免疫原性断片が含まれる。他の好ましい断片は、好ましくは、配列番号1〜105の少なくとも1つのエピトープまたは免疫原性断片を維持したまま、配列番号1〜105のC末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25,またはそれ以上)および/またはN末端の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25,またはそれ以上)のアミノ酸が欠失しているか、または、好ましくは、配列番号653〜655の少なくとも1つのエピトープまたは免疫原性断片を維持したまま、配列番号653〜655のN末端の1つ以上のアミノ酸が欠失している。他の断片は、例えば、シグナルペプチド、細胞質ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞外ドメインなどの除外など、1つ以上のタンパク質ドメインが除外されている。溶血素A(recp3768)断片(B4)を、膜内挿入および孔形成に必要なアミノ末端疎水性ドメイン(疎水性αへリックス領域)、カルボキシル末端シグナル配列、および転写後のアシル化後の孔形成活性に必要なドメインを除去することによって得た。得られた可溶性断片は、カルボキシル末端βシートおよびカルシウムへの結合に必要なグリシンリッチ領域である。インフルエンザ抗原43(orf1364)断片を、パッセンジャードメイン(アミノ酸53〜620)を維持したまま、カルボキシル末端βバレルドメインを除外することによって得た。orf405断片を、4つの予想される免疫グロブリン結合様ドメイン(アミノ酸595〜1008)を維持したまま、推定上のアミノ末端トランスロケーター(translocator)ドメインの除去によって得た。
【0129】
断片内のエピトープは、B細胞エピトープおよび/またはT細胞エピトープであり得る。このようなエピトープは、実験的に同定することができ(例えば、PEPSCAN[9、10]または同様の方法を用いて)、推定することもできる(例えば、Jameson−Wolf抗原指標[11]、マトリックスをベースとした手法[12]、MAPITOPE[13]、TEPITOPE[14、15]、神経回路網[16]、OptiMer&EpiMer[17、18]、ADEPT[19]、Tsites[20]、親水性[21]、抗原指標[22]、または参考文献23〜24に開示されている方法などを用いて)。エピトープは、抗体またはT細胞受容体の抗原結合部位によって認識されて結合される抗原の一部であり、「抗原決定基」とも呼ばれることがある。
【0130】
上述の配列番号1〜105または配列番号653〜655の免疫原性断片には、限定されるものではないが、アジュバント(限定されるものではないが、以下の「免疫原性組成物および薬物」のセクションに列記または記載される任意のアジュバントを含む)を含み得る適切な組成物において、またはポリペプチドに結合された適切なキャリアにおいて被験体に投与されると、それぞれ、配列番号1〜105または配列番号653〜655(免疫原性断片はこれらに由来する)の単離された完全長ポリペプチドを認識する抗体またはT細胞媒介免疫応答を惹起する免疫原性断片が含まれる。
【0131】
本発明のポリペプチドは、配列番号1〜105または配列番号653〜655のいずれか1つと比較して、保存的な置換(すなわち、あるアミノ酸の、関連した側鎖を有する別のアミノ酸での置換)などの1つ以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9など)のアミノ酸の置換を含み得る。遺伝的にコードされるアミノ酸は、一般に、4つのファミリー:(1)酸性、すなわちアスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわちリシン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性、すなわちアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン:および(4)非電荷極性、すなわちグリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシンに分けられる。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、時には、芳香族アミノ酸として一緒に分類される。一般に、これらのファミリー内での単一アミノ酸の置換は、生物学的活性に大きな影響を与えない。
【0132】
ポリペプチドは、配列番号1〜105または配列番号653〜655のいずれか1つに対する1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9など)の単一アミノ酸の欠失を有し得る。同様に、ポリペプチドは、配列番号1〜105または配列番号653〜655のいずれか1つに対する1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9など)の挿入(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのアミノ酸のそれぞれ)を含み得る。
【0133】
群(c)内において、欠失または置換は、N末端および/またはC末端であっても、または2つの末端の間であっても良い。したがって、切断は、欠失の一例である。切断は、N末端および/またはC末端における最大40(またはそれ以上)のアミノ酸の欠失を有し得る。上述のように、例えば、N末端からGGGSG配列までを除去する切断を使用することができる。
【0134】
一般に、本発明のポリペプチドが、配列番号1〜105または配列番号653〜655の完全な1つに同一ではない配列を含む場合(例えば、このポリペプチドが、1つの完全な配列に対して100%未満の配列同一性で列記された配列を含む場合、またはこのポリペプチドが、1つの完全な配列の断片を含む場合)は、好ましくは、このポリペプチドは、完全な配列番号の配列からなるポリペプチドを認識する抗体、すなわち前記配列番号1〜105または配列番号653〜655の1つ以上に結合する抗体を誘導し得る。このような抗体は、配列番号1〜105または配列番号653〜655のそれぞれに特異的に結合し得るが、非特異的結合参照基準としてのヒト血清アルブミンに対する上記抗体の非特異的親和性よりも有意に高い親和性で、ホモログではない他のタンパク質に結合することはない。
【0135】
本発明のポリペプチドは、金属イオン、例えば、ポリペプチド鎖において1つ以上のアミノ酸が配位された金属イオンを含み得る。例えば、このポリペプチドは、1価、2価、または3価の金属カチオンを含み得る。2価のカチオンは、典型的には、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+などである。2価のカチオンは、好ましくはZn2+である。このようなイオンは、HEAGHまたはHEVGHアミノ酸配列によって配位され得る。
【0136】
本発明に使用されるポリペプチドは、様々な形態(例えば、天然、融合、グリコシル化、非グリコシル化、脂質化、非脂質化、リン酸化、非リン酸化、ミリストイル化、非ミリストイル化、単量体、多量体、粒子、変性など)をとり得る。例えば、本発明のポリペプチドは、脂質化N末端システインを有し得る。
【0137】
本発明に使用されるポリペプチドは、様々な手段(例えば、組換え発現、細胞培養物からの精製、化学合成など)によって調製することができる。組換えにより発現されるタンパク質が好ましい。
【0138】
本発明に使用されるポリペプチドは、好ましくは、精製された形態または実質的に精製された形態、すなわち、他のポリペプチド(例えば、天然に存在するポリペプチド)、特に他の大腸菌または宿主細胞のポリペプチドを実質的に含まない形態で提供され、一般に、少なくとも約50%(重量)純粋、通常は少なくとも約90%純粋、すなわち、組成物の約50%未満、より好ましくは約10%未満(例えば、5%)が、他の発現されたポリペプチドからなる。したがって、組成物中の抗原は、分子が発現される生物全体から分離されている。
【0139】
本発明に使用されるポリペプチドは、好ましくは大腸菌ポリペプチドである。このようなポリペプチドは、NMEC、APEC、UPEC、EAEC、EIEC、EPEC、およびETEC大腸菌ポリペプチドからさらに選択することができる。
【0140】
用語「ポリペプチド」は、任意の長さのアミノ酸ポリマーを指す。このポリマーは、線状でも分岐でも良く、修飾されたアミノ酸を含み得、非アミノ酸によって中断され得る。この用語はまた、天然に修飾されたか、または介入;例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは修飾、例えば、標識成分との結合などによって修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。また、例えば、1つ以上のアミノ酸の類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)を含むポリペプチド、ならびに当技術分野で公知の他の修飾も包含される。ポリペプチドは、1本鎖または結合鎖として存在し得る。
【0141】
本発明は、配列−P−Q−または−Q−P−を含むポリペプチドを提供し、この−P−は、上で定義したアミノ酸配列であり、−Q−は、上で定義した配列ではなく、すなわち本発明は、融合タンパク質を提供する。−P−のN末端コドンがATGではなく、このコドンがポリペプチドのN末端に存在しない場合は、Metではなくそのコドンに標準のアミノ酸として翻訳される。しかしながら、このコドンがポリペプチドのN末端にある場合は、Metとして翻訳される。−Q−部分の例には、限定されるものではないが、ヒスチジンタグ(すなわち、Hisn、n=3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)、マルトース結合タンパク質、またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)が含まれる。
【0142】
本発明はまた、本発明のポリペプチドを含むオリゴマータンパク質も提供する。オリゴマーは、2量体、3量体、4量体などであり得る。オリゴマーは、ホモオリゴマーまたはヘテロオリゴマーであり得る。オリゴマー中のポリペプチドは、共有結合または非共有結合され得る。
【0143】
本発明はまた、完全長タンパク質によって惹起される免疫応答と実質的に同様の免疫応答を被験体に惹起する、完全長タンパク質よりも溶解性の高い、完全長orf405、インフルエンザ抗原43(orf1364)、yapHホモログ(upec−2820)、および溶血素A(recp3768)(配列番号3〜18、配列番号19〜40、配列番号99〜100、および配列番号101〜105のそれぞれが、これらの代表的な例である)の断片である大腸菌ポリペプチドも提供する。このような免疫原性ポリペプチド断片の例には、配列番号640、642、644、646、648、650、および652のいずれも含まれる。溶解性の増加は、当業者に利用可能な任意の手段によって測定することができる。1つの単純な方法では、断片を細菌で過剰に発現させて、全細菌溶解物のサンプルと遠心分離後の細菌溶解物の上清サンプルとの比較、または遠心分離後の細菌溶解物のペレットのサンプルと遠心分離後の細菌溶解物の上清のサンプルとの比較を行う。当業者であれば、標準的な技術(例えば、断片を発現するpET21発現ベクターでBL21(DE3)細菌を形質転換し、LB中で細菌を0.6 OD600まで増殖させ、1mM IPTGで誘導し、誘導後に3時間培養する)を用いてこのような免疫原性ポリペプチド断片を増加および発現させることができる。このようなサンプルを、SDS PAGE(例えば、4〜12%MOPS)にかけて、得られた染色ゲルをスキャニングして、バンドの相対サイズを測定することによって大まかに定量化することができる。本明細書で使用される溶解性の増加は、25℃で決定される。このような溶解性の増加は、可溶性ポリペプチドの10%の増加、可溶性ポリペプチドの20%の増加、可溶性ポリペプチドの30%の増加、可溶性ポリペプチドの50%の増加、可溶性ポリペプチドの75%の増加、可溶性ポリペプチドの100%(すなわち2倍)の増加、可溶性ポリペプチドの3倍の増加、可溶性ポリペプチドの4倍の増加、可溶性ポリペプチドの5倍の増加、可溶性ポリペプチドの7倍の増加、可溶性ポリペプチドの10倍の増加であり得る。
【0144】
このポリペプチドによって被験体に惹起される免疫応答と、完全長タンパク質によって惹起される免疫応答との比較を、当業者に利用可能な任意の手段を使用して行うことができる。以下の実施例で使用される1つの単純な方法では、マウスなどのモデル被験体を免疫化し、次いで致死量の大腸菌でチャレンジすることを含む。正確な比較のために、当業者は、当然、完全フロイントアジュバントなどの同じアジュバントを選択する。このような試験では、本発明の免疫原性ポリペプチド断片は、例えば、このポリペプチドが、完全長タンパク質によって提供される防御の少なくとも70%、完全長タンパク質によって提供される防御の少なくとも80%、完全長タンパク質によって提供される防御の少なくとも85%、完全長タンパク質によって提供される防御の少なくとも90%、完全長タンパク質によって提供される防御の少なくとも95%、完全長タンパク質によって提供される防御の少なくとも97%、完全長タンパク質によって提供される防御の少なくとも98%、または完全長タンパク質によって提供される防御の少なくとも99%を提供する場合に、実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する(すなわち、致死量のチャレンジに対して実質的に同じ防御を提供する)。
【0145】
免疫原性ポリペプチド断片が比較される(溶解性および惹起される免疫応答の両方について)対応するタンパク質は、限定されるものではないが、配列番号1〜105および配列番号653〜655を含む任意の代表的な対応する大腸菌タンパク質であり得る。好ましい実施形態では、このようなタンパク質は、免疫原性ポリペプチド断片が得られる対応する完全長タンパク質である。
【0146】
一部の実施形態では、このような免疫原性ポリペプチドは、溶解性を増加させる、対応する大腸菌タンパク質に対する欠失を有する。この欠失は、完全長配列の高疎水性または膜貫通領域、例えば、溶血素A(recp3768)タンパク質のアミノ末端孔形成ドメイン、インフルエンザ抗原43(orf1364)タンパク質のβバレルドメイン、およびorf405タンパク質の推定上のトランスロケータードメインなどの実質的にすべての除去を含み得る。
【0147】
本発明はまた、ポリペプチドの発現を誘導する条件下で本発明の核酸で形質転換された宿主細胞を培養するステップを含む、本発明のポリペプチドを生産するプロセスも提供する。次いで、このポリペプチドを、例えば、培養上清から精製することができる。
【0148】
本発明は、本発明のポリペプチドをコードするプラスミドを含む大腸菌を提供する。大腸菌細胞の染色体は、適切なタンパク質(例えば、orf353、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、インフルエンザ抗原43(orf1364)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)、gspK(orf3515)、gspJ(orf3516)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)、線毛タンパク質(orf3613)、upec−948、upec−1232、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、および溶血素A(recp−3768))のホモログを含んでも良いし、またはこのようなホモログが存在しなくても良いが、いずれの場合も本発明のポリペプチドを、このプラスミドから発現させることができる。プラスミドは、マーカーなどをコードする遺伝子を含み得る。適切なプラスミドのこれらおよび他の詳細は以下に説明する。
【0149】
本発明のポリペプチドの発現は、大腸菌株で起こり得るが、本発明は、通常は、発現用の異種宿主を使用する。異種宿主は、原核生物(例えば、細菌)または真核生物とすることができる。適切な宿主には、限定されるものではないが、Bacillus subtilis、Vibrio cholerae、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Neisseria lactamica、Neisseria cinerea、Mycobacteria(例えば、M.tuberculosis)、酵母などが含まれる。
【0150】
本発明は、ポリペプチドの少なくとも一部を化学手段によって合成するステップを含む、本発明のポリペプチドを生産するプロセスを提供する。
【0151】
任意および全ての前述のタンパク質、ポリペプチド、ハイブリッドポリペプチド、エピトープ、および免疫原性断片は、限定されるものではないが、組換え型、単離された形態、または(天然の状態でこのようなタンパク質、ポリペプチド、ハイブリッドポリペプチド、エピトープ、および免疫原性断片と共存する物質から)実質的に精製された形態を含む、様々な形態のいずれか1つとすることができる。
【0152】
(核酸)
本発明はまた、本発明のポリペプチドおよびハイブリッドポリペプチドをコードする核酸も提供する。本発明はまた、本発明の1つ以上のポリペプチドまたはハイブリッドポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸も提供する。
【0153】
本発明はまた、このようなヌクレオチド配列に対して配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸も提供する。配列間の同一性は、好ましくは、上記のSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定される。このような核酸には、同じアミノ酸をコードする代替のコドンを用いる核酸も含まれる。
【0154】
本発明はまた、これらの核酸にハイブリダイズできる核酸も提供する。ハイブリダイゼーション反応は、異なる「ストリンジェンシー」の条件下で行うことができる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを高める条件は、当分野で周知であり、公表されている(例えば、Sambrookら(2001)、Molecular Cloning:A laboratory Manual、第3版(Cold Spring Harbor Laboratory Press)の頁7.52)。関連する条件の例は、(ストリンジェンシーが高くなる順に):25℃、37℃、50℃、55℃、および68℃のインキュベーション温度;10×SSC、6×SSC、1×SSC、0.1×SSC(SSCは、0.15M NaClおよび15mM クエン酸緩衝液)の緩衝液濃度および他の緩衝系を用いたそれらの同等物;0%、25%、50%、および75%のホルムアミド濃度;5分〜24時間のインキュベーション時間;1回、2回、またはそれ以上の洗浄ステップ;1分、2分、または15分の洗浄インキュベーション時間;および6×SSC、1×SSC、0.1×SSC、または脱イオン水の洗浄液を含む。ハイブリダイゼーション技術およびそれらの最適化は、当技術分野で周知である(例えば、参考文献25、26、Sambrookら(2001)などを参照されたい)。
【0155】
一部の実施形態では、本発明の核酸を、低いストリンジェンシー条件下で標的にハイブリダイズさせ;他の実施形態では、本発明の核酸を、中程度のストリンジェンシー条件下で標的にハイブリダイズさせ;好ましい実施形態では、本発明の核酸を、高いストリンジェンシー条件下で標的にハイブリダイズさせる。低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の例示的なセットは、50℃および10×SSCである。中程度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の例示的なセットは、55℃および1×SSCである。高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の例示的なセットは、68℃および0.1×SSCである。
【0156】
本発明は、これらの配列に相補的な配列を含む核酸(例えば、アンチセンスまたはプローブ用、またはプライマーとして使用のため)を包含する。
【0157】
本発明の核酸は、ハイブリダイゼーション反応(例えば、ノーザンまたはサザーンブロット、または核酸マイクロアレイすなわち「遺伝子チップ」)、増幅反応(例えば、PCR、SDA、SSSR、LCR、TMA、NASBAなど)、および他の核酸技術に使用することができる。
【0158】
本発明による核酸は、様々な形態(例えば、1本鎖、2本鎖、ベクター、プライマー、プローブ、標識化など)をとり得る。本発明の核酸は、環状または分岐でも良いが、一般的には線状である。特段の記載または必要がなければ、核酸を利用する本発明のどの実施形態も、2本鎖の形態、および2本鎖の形態を構成するそれぞれが相補的な2つの1本鎖の形態の両方を利用することができる。プライマーおよびプローブは、アンチセンス核酸であるため、一般に1本鎖である。
【0159】
本発明の核酸は、好ましくは、精製された形態または実質的に精製された形態、すなわち、他の核酸(例えば、自然発生の核酸)、特に他の大腸菌または宿主細胞の核酸を実質的に含まない形態で提供され、一般に、少なくとも約50%(重量)純粋、通常は少なくとも約90%純粋である。本発明の核酸は、好ましくは、大腸菌核酸である。
【0160】
本発明の核酸は、様々な方法、例えば、全部または一部の化学合成(例えば、DNAのホスホラミダイト合成)によって、ヌクレアーゼ(例えば、制限酵素)を用いた長い核酸の消化によって、短い核酸またはヌクレオチドの連結(例えば、リガーゼまたはポリメラーゼを用いる)によって、ゲノムまたはcDNAライブラリーなどから、調製することができる。
【0161】
本発明の核酸は、固体支持体(例えば、ビーズ、プレート、フィルター、フィルム、スライド、マイクロアレイ支持体、樹脂など)に付着させることができる。本発明の核酸は、例えば、放射性標識もしくは蛍光標識、またはビオチン標識で標識することができる。これは、核酸が検出技術に使用される場合、例えば、核酸がプライマーまたはプローブである場合に特に有用である。
【0162】
用語「核酸」は、一般に、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指し、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはそれらの類似体が含まれる。核酸には、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッドが含まれる。また、核酸には、DNAまたはRNA類似体、例えば、修飾された骨格(例えば、ペプチド核酸(PNA)もしくはホスホロチオエート)または修飾された塩基を含むものも含まれる。したがって、本発明は、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、DNA、cDNA、組換え核酸、分岐核酸、プラスミド、ベクター、プローブ、プライマーなどを包含する。本発明の核酸がRNAの形態をとる場合は、本発明の核酸は、5’キャップを備えても備えていなくても良い。
【0163】
本発明の核酸は、ベクターの一部、すなわち1つ以上の細胞型の形質導入/トランスフェクション用にデザインされた核酸構築物の一部とすることができる。ベクターは、例えば、挿入されたヌクレオチドの単離、増幅、および複製用にデザインされた「クローニングベクター」、宿主細胞でのヌクレオチド配列の発現用にデザインされた「発現ベクター」、組換えウイルスもしくはウイルス様粒子の生産をもたらすようにデザインされた「ウイルスベクター」、または2種類以上のベクターの性質を有する「シャトルベクター」とすることができる。好ましいベクターは、上述の通りプラスミドである。「宿主細胞」には、外来核酸のレシピエントであり得るか、または外来核酸のレシピエントである個々の細胞または細胞培養物が含まれる。宿主細胞には、単一宿主細胞の子孫が含まれ、この子孫は、天然、偶発的、または計画的な変異および/または変化により、元の親細胞と必ずしも完全に同一(形態において、またはすべてのDNA相補体において)でなくても良い。宿主細胞には、インビボまたはインビトロで、本発明の核酸でトランスフェクトまたは感染された細胞が含まれる。
【0164】
核酸がDNAである場合は、RNA配列中の「U」は、DNA中では「T」に置き換えられることを理解されたい。同様に、核酸がRNAである場合は、DNA配列中の「T」は、RNA中では「U」に置き換えられることを理解されたい。
【0165】
用語「相補体」または「相補的な」は、核酸に関連して使用される場合、ワトソン−クリック塩基対合を指す。したがって、Cの相補体はGであり、Gの相補体はCであり、Aの相補体はT(またはU)であり、T(またはU)の相補体はAである。また、相補体ピリミジン(CまたはT)に対して、例えば、I(プリンイノシン)などの塩基を使用することも可能である。
【0166】
本発明の核酸は、例えば:ポリペプチドを生産するために;生物学的サンプル中の核酸の検出用のハイブリダイゼーションプローブとして;核酸のさらなるコピーを作製するために;リボザイムもしくはアンチセンスオリゴヌクレオチドを作製するために;1本鎖DNAプライマーもしくはプローブとして;または3本鎖形成オリゴヌクレオチドとして、使用することができる。
【0167】
本発明は、本発明の核酸を作製するためのプロセスを提供し、この核酸は、一部またはすべてが化学手段を用いて合成される。
【0168】
本発明は、本発明の核酸配列を含むベクター(例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター)およびこのようなベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。
【0169】
本発明による核酸の増幅は、定量的および/またはリアルタイムとすることができる。
【0170】
本発明の特定の実施形態では、核酸は、好ましくは、少なくとも7個のヌクレオチド長である(例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300のヌクレオチド、またはそれよりも長い)。
【0171】
本発明の特定の実施形態では、核酸は、好ましくは、多くとも500個のヌクレオチド長である(例えば、450、400、350、300、250、200、150、140、130、120、110、100、90、80、75、70、65、60、55、50、45、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15ヌクレオチド、またはそれよりも短い)。
【0172】
本発明のプライマーおよびプローブ、ならびにハイブリダイゼーションに使用される他の核酸は、好ましくは、10〜30ヌクレオチド長である(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド)。
【0173】
(免疫原性組成物および薬物)
本発明のポリペプチドは、免疫原性組成物中の活性成分(免疫原)として有用であり、このような組成物は、ワクチンとして有用であり得る。本発明によるワクチンは、予防用(すなわち、感染を防止する)または治療用(すなわち、感染を処置する)のいずれかとすることができるが、典型的には予防用である。
【0174】
免疫原性組成物は、薬学的に許容され得る。免疫原性組成物は、通常は、抗原に加えて成分を含み、例えば、これらの成分は、典型的には、医薬キャリア(複数可)、賦形剤(複数可)、および/またはアジュバント(複数可)の1つ以上を含む。キャリアおよび賦形剤の詳細な議論は、参考文献155に記載されている。ワクチンアジュバントの詳細な議論は、参考文献27および28に記載されている。
【0175】
組成物は、一般に、水性形態で哺乳動物に投与される。しかしながら、投与前は、組成物は、非水性形態であっても良い。例えば、ある種のワクチンは、水性形態で製造され、次いで、同様に水性形態で充填され、供給され、投与されるが、他のワクチンは、製造中に凍結乾燥され、使用時に水性形態に再構成される。したがって、本発明の組成物は、凍結乾燥処方物のように乾燥させても良い。
【0176】
組成物は、チオメルサールまたは2−フェノキシエタノールなどの保存剤を含み得る。しかしながら、好ましくは、ワクチンは、水銀物質を実質的に含まない(すなわち、5μg/ml未満)、例えば、チオメルサールを含まないようにすべきである。水銀を含まないワクチンがより好ましい。保存剤を含まないワクチンが特に好ましい。
【0177】
熱安定を改善するために、組成物は、熱防御剤を含み得る。
【0178】
張度を調節するために、生理学的塩、例えば、ナトリウム塩を含めることが好ましい。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、これは、1〜20mg/ml、例えば、約10±2mg/ml NaClで存在しても良い。存在しても良い他の塩には、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、無水リン酸二ナトリウム(disodium phosphate dehydrate)、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが含まれる。
【0179】
組成物は、一般的には、200mOsm/kg〜400mOsm/kg、好ましくは240〜360mOsm/kgの重量オスモル濃度を有し、より好ましくは、290〜310mOsm/kgの範囲である。
【0180】
組成物は、1つ以上の緩衝液を含み得る。典型的な緩衝液には:リン酸緩衝液;トリス緩衝液;ホウ酸緩衝液;コハク酸緩衝液;ヒスチジン緩衝液(特に水酸化アルミニウムアジュバントと共に使用);またはクエン酸緩衝液が含まれる。緩衝液は、典型的には、5〜20mMの範囲で含められる。
【0181】
組成物のpHは、一般的には、5.0〜8.1、より典型的には、6.0〜8.0、例えば、6.5〜7.5、または7.0〜7.8である。
【0182】
組成物は、好ましくは、滅菌組成物である。組成物は、好ましくは、非発熱性であり、例えば、1用量当たり<1EU(エンドトキシン単位、標準的尺度)、好ましくは、1用量当たり<0.1EUを含む。組成物は、好ましくはグルテンを含まない。
【0183】
組成物は、単回免疫化用の物質を含んでも良いし、または複数回免疫化用の物質を含んでも良い(すなわち、「複数用量」キット)。複数用量準備では、保存剤を含めることが好ましい。複数用量組成物に保存剤を含める代わりとして(またはこれに加えて)、組成物は、物質を取り出すための無菌アダプターを備えた容器に含めることができる。
【0184】
ヒトワクチンは、典型的には、約0.5mlの投与量で投与されるが、子供には半分の用量(すなわち、約0.25ml)で投与することができる。
【0185】
本発明の免疫原性組成物は、1つ以上の免疫調節剤も含み得る。好ましくは、免疫調節剤の1つ以上は、1つ以上のアジュバントを含む。アジュバントは、以下に詳述するTH1アジュバントおよび/またはTH2アジュバントを含み得る。
【0186】
本発明の組成物に使用できるアジュバントには、限定されるものではないが、以下のものが含まれる。
【0187】
(A.ミネラル含有組成物)
本発明においてアジュバントとして使用するのに適したミネラル含有組成物は、ミネラル塩、例えば、アルミニウム塩およびカルシウム塩(またはそれらの混合物)を含む。カルシウム塩には、リン酸カルシウム(例えば、参考文献29に開示されている「CAP」粒子)が含まれる。アルミニウム塩には、水酸化物、リン酸塩、硫酸塩などが含まれ、塩は、任意の適当な形態(例えば、ゲル、結晶、非晶質など)をとる。これらの塩に対する吸着が好ましい。ミネラル含有組成物は、金属塩の粒子としても処方することができる[30]。
【0188】
水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムとして知られているアジュバントを使用することができる。これらの名称は、いずれも存在する実際の化合物の正確な記載ではないため、慣習的であり、便宜上のためだけに使用されるものである(例えば、参考文献27の第9章を参照されたい)。本発明は、一般にアジュバントとして使用される「水酸化物」アジュバントまたは「リン酸塩」アジュバントのいずれも使用することができる。「水酸化アルミニウム」として知られるアジュバントは、典型的には、オキシ水酸化アルミニウム塩であり、オキシ水酸化アルミニウム塩は、通常は少なくとも部分的に結晶である。「リン酸アルミニウム」として知られるアジュバントは、典型的には、少量の硫酸塩も含む場合が多いヒドロキシリン酸アルミニウム(すなわち、硫酸ヒドロキシリン酸アルミニウム)である。これらのアジュバントは、沈殿によって得ることができ、沈殿中の反応条件および濃度が、塩におけるホスフェートでのヒドロキシルの置換度に影響を与える。
【0189】
繊維形態(例えば、透過電子顕微鏡写真で見られるような)は、水酸化アルミニウムアジュバントの典型である。水酸化アルミニウムアジュバントのpIは、典型的には約11であり、すなわちアジュバント自体が、生理的pHで正の表面電荷を有する。pH7.4で、Al+++ 1mg当たり1.8〜2.6mgのタンパク質の吸着能が、水酸化アルミニウムアジュバントで報告されている。
【0190】
リン酸アルミニウムアジュバントは、一般に、0.3〜1.2、好ましくは0.8〜1.2、より好ましくは0.95±0.1のPO4/Alモル比を有する。リン酸アルミニウムは、一般に、非晶質であり、特にヒドロキシリン酸塩については非晶質である。典型的なアジュバントは、0.6mg Al3+/mlで含まれる、PO4/Alモル比が0.84〜0.92の非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムである。このリン酸アルミニウムは、一般に、粒子状である(例えば、透過電子顕微鏡写真で見られるようなプレート状の形態)。粒子の典型的な直径は、任意の抗原を吸着した後で0.5〜20μmの範囲(例えば、約5〜10μm)である。pH7.4で、Al+++ 1mg当たり0.7〜1.5mgのタンパク質の吸着能が、リン酸アルミニウムアジュバントで報告されている。
【0191】
リン酸アルミニウムのゼロ電荷点(PZC)は、ヒドロキシルのホスフェートでの置換度に反比例し、この置換度は、沈殿による塩の調製に使用される反応条件および反応物の濃度によって異なり得る。PZCはまた、溶液中の遊離リン酸イオンの濃度を変化させることによって(ホスフェートが多い=より酸性のPZC)、またはヒスチジン緩衝液などの緩衝液を添加することによって(PZCがより塩基性になる)変更される。本発明にしたがって使用されるリン酸アルミニウムは、一般に、4.0〜7.0、より好ましくは5.0〜6.5、例えば、約5.7のPZCを有する。
【0192】
本発明の組成物を調製するために使用されるアルミニウム塩の懸濁物は、緩衝液(例えば、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、またはトリス緩衝液)を含み得るが、これは、必ずしも含む必要はない。懸濁物は、好ましくは、無菌であり、発熱物質を含まない。懸濁物は、遊離型の水性リン酸イオンを含み得、例えば、1.0〜20mM、好ましくは5〜15mM、より好ましくは約10mMの濃度で存在する。懸濁物は、塩化ナトリウムも含み得る。
【0193】
本発明は、水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムの両方の混合物を使用することができる。この場合、水酸化アルミニウムよりもリン酸アルミニウムの方が多く存在し得、例えば、少なくとも2:1、例えば、≧5:1、≧6:1、≧7:1、≧8:1、≧9:1などの重量比とすることができる。
【0194】
患者に投与される組成物中のAl+++の濃度は、好ましくは、10mg/ml未満、例えば、≦5mg/ml、≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/mlなどである。好ましい範囲は、0.3〜1mg/mlである。最大0.85mg/用量が好ましい。
【0195】
(B.油エマルジョン)
本発明においてアジュバントとして使用するのに適した油エマルジョン組成物には、スクアレン−水エマルジョン、例えば、MF59[参考文献27の第10章;参考文献31も参照されたい](マイクロフルイダイザーを用いてサブミクロン粒子に処方された5%スクアレン、0.5%Tween80、および0.5%Span85)が含まれる。完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)も使用することができる。
【0196】
様々な水中油型エマルジョンアジュバントが知られており、このようなアジュバントは、典型的には、少なくとも1つの油および少なくとも1つの界面活性剤を含み、油(複数可)および界面活性剤(複数可)は、生体分解性(代謝可能)かつ生体適合性である。エマルジョン中の油滴は、一般に直径が5μmであり、理想的には直径がサブミクロンであり、これらの微小サイズは、安定したエマルジョンを提供するためにマイクロフルイダイザーで達成される。ろ過滅菌に供することができるように、サイズが220nm未満の液滴が好ましい。
【0197】
エマルジョンは、動物(例えば、魚)または植物供給源由来のような油を含み得る。植物油の供給源には、堅果、種子、および穀物が含まれる。ピーナッツ油、大豆油、ココナツ油、およびオリーブ油は、最も入手しやすく、堅果油の例である。例えば、ホホバ豆から得られるホホバ油も使用することができる。種子油には、ベニバナ油、綿実油、ヒマワリ種子油、およびゴマ種子油などが含まれる。穀物群では、コーン油が、最も入手しやすいが、他の穀類、例えば、コムギ、オートムギ、ライムギ、コメ、テフ、およびライコムギなどの油も使用することができる。グリセロールおよび1,2−プロパンジオールの6〜10炭素脂肪酸エステルは、種子油では自然に発生しないが、堅果油および種子油に由来する適切な材料の加水分解、分離、およびエステル化によって調製することができる。哺乳動物乳由来の脂肪および油は、代謝可能であるため、本発明の実施に使用することができる。動物供給源由来の純粋な油を得るために必要な分離、精製、鹸化、および他の手段の手順は、当技術分野で周知である。殆どの魚は、容易に収集できる代謝可能な油を含んでいる。例えば、タラ肝油、サメ肝油、および鯨ろうなどの鯨油は、本発明に使用できるいくつかの魚油の例である。多数の分岐鎖油が、5炭素イソプレン単位で生化学的に合成され、一般にテルペノイドと呼ばれる。サメ肝油には、スクアレン、2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサエンとして知られている分岐不飽和テルペノイドが含まれ、これは、本発明に特に好ましい。スクアレンの飽和類似体であるスクアランも好ましい油である。スクアレンおよびスクアランを含む魚油は、販売元から容易に入手可能であり、当技術分野で公知の方法によって得ることもできる。他の好ましい油は、トコフェロール(以下を参照されたい)である。油の混合物も使用することができる。
【0198】
界面活性剤は、その「HLB」(親水性/親油性バランス)によって分類することができる。本発明の好ましい界面活性剤は、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも16のHLBを有する。本発明は、限定されるものではないが、以下を含む界面活性剤と共に使用することができる:ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般的にはTweenと呼ばれる)、特にポリソルベート20およびポリソルベート80;DOWFAXTMの商品名で販売されているエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、および/またはブチレンオキシド(BO)のコポリマー、例えば、線状EO/POブロックコポリマー;オクトキシノール、これは反復エトキシ(オキシ−1、2−エタンジイル)基の数が異なることがあり、オクトキシノール9(TritonX−100またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)が特に重要である;(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA−630/NP−40);リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン(レシチン);ノニルフェノールエトキシレート、例えば、TergitolTMNPシリーズ;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステリルアルコール、およびオレイルアルコールに由来するポリオキシエチレン脂肪エーテル(Brij界面活性剤として知られている)、例えば、トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij30);およびソルビタンエステル(一般にSPANとして知られている)、例えば、ソルビタントリオレアート(Span85)およびソルビタンモノラウレート。非イオン性界面活性剤が好ましい。エマルジョンに含めるのに好ましい界面活性剤は、Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)、Span85(ソルビタントリオレアート)、レシチン、およびTritonX−100である。
【0199】
界面活性剤の混合物、例えば、Tween80/Span85混合物を使用することができる。ポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(Tween80)とオクトキシノール、例えば、t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(TritonX−100)の組み合わせも適切である。別の有用な組み合わせには、ラウレス9とポリオキシエチレンソルビタンエステルおよび/またはオクトキシノールが含まれる。
【0200】
界面活性剤の好ましい量(重量%)は:ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、Tween80)が0.01〜1%、特に約0.1%;オクチルフェノキシポリオキシエタノールまたはノニルフェノキシポリオキシエタノール(例えば、TritonX−100またはTritonシリーズの他の洗浄剤)が0.001〜0.1%、特に0.005%〜0.02%;ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ラウレス9)が0.1〜20%、好ましくは0.1〜10%、特に0.1〜1%または約0.5%である。
【0201】
好ましいエマルジョンアジュバントは、<1μm、例えば、≦750nm、≦500nm、≦400nm、≦300nm、≦250nm、≦220nm、≦200nm、またはそれ未満の平均液滴サイズを有する。これらの液滴サイズは、マイクロフルイダイゼーションなどの技術によって適宜達成することができる。
【0202】
本発明に有用な特定の水中油型エマルジョンアジュバントには、限定されるものではないが、以下のものが含まれる。
【0203】
・スクアレン、Tween80、およびSpan85のサブミクロンエマルジョン。エマルジョンの組成(容積)は、約5%スクアレン、約0.5%ポリソルベート80、約0.5%Span85とすることができる。重量では、これらの割合は、4.3%スクアレン、0.5%ポリソルベート80、0.48%Span85となる。このアジュバントは、「MF59」[32〜33]として知られており、さらなる詳細は、参考文献34の第10章および参考文献35の第12章に記載されている。MF59エマルジョンは、例えば、10mMクエン酸ナトリウム緩衝液などのクエン酸イオンを含むと有利である。
【0204】
・スクアレン、トコフェロール、およびTween80のエマルジョン。このエマルジョンは、リン酸緩衝生理食塩水を含み得る。このエマルジョンは、Span85(例えば、1%で)および/またはレシチンも含み得る。これらのエマルジョンは、2〜10%スクアレン、2〜10%トコフェロール、0.3〜3%Tween80を含み得、スクアレン:トコフェロールの重量比は、≦1がより安定なエマルジョンを提供するため、≦1が好ましい。スクアレンおよびTween80は、約5:2の容積比で存在し得る。1つのこのようなエマルジョンは、Tween80をPBSに溶解して2%溶液にし、次いでこの溶液90mlを混合物(DL−α−トコフェロール5gおよびスクアレン5ml)と混合して、この混合物をマイクロフルイダイズして作製することができる。得られるエマルジョンは、例えば、100〜250nm、好ましくは約180nmの平均直径であるサブミクロンの油滴を有し得る。
【0205】
・スクアレン、トコフェロール、およびTriton洗浄剤(例えば、TritonX−100)のエマルジョン。このエマルジョンはまた、3d−MPL(以下を参照されたい)を含み得る。このエマルジョンは、リン酸緩衝液を含み得る。
【0206】
・ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、Triton洗浄剤(例えば、TritonX−100)、およびトコフェロール(例えば、コハク酸α−トコフェロール)を含むエマルジョン。このエマルジョンは、約75:11:10(例えば、750μg/mlのポリソルベート80、110μg/mlのTritonX−100、および100μg/mlのコハク酸α−トコフェロール)の質量比でこれら3つの成分を含み得、そしてこれらの濃度は、これらの成分の抗原からのあらゆる寄与を含むはずである。このエマルジョンはまた、スクアレンを含み得る。このエマルジョンはまた、3d−MPL(以下を参照)を含み得る。この水相は、リン酸緩衝液を含み得る。
【0207】
・スクアレン、ポリソルベート80、およびポロキサマー401(「PluronicTML121」)のエマルジョン。このエマルジョンは、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水で処方することができる。このエマルジョンは、ムラミルジペプチドに有用な送達ビヒクルであり、「SAF−1」アジュバント[36](0.05〜1%のThr−MDP、5%スクアレン、2.5%Pluronic L121、および0.2%ポリソルベート80)においてトレオニル−MDPと共に使用された。このエマルジョンは、「AF」アジュバント[37](5%スクアレン、1.25%Pluronic L121、および0.2%ポリソルベート80)のように、Thr−MDPを用いずに使用することもできる。マイクロフルイダイゼーションが好ましい。
【0208】
・スクアレン、水性溶媒、ポリオキシエチレンアルキルエーテル親水性非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン(12)セトステアリルエーテル)、および疎水性非イオン性界面活性剤(例えば、ソルビタンエステルまたはマンニドエステル、例えば、ソルビタンモノオレアートまたは「Span80」)を含むエマルジョン。このエマルジョンは、好ましくは、熱可逆性であり、かつ/または少なくとも90容積%の、サイズが200nm未満の油滴を有する[38]。このエマルジョンはまた、アルジトール;凍結防止剤(例えば、糖、例えば、ドデシルマルトシドおよび/またはスクロース);および/またはアルキルポリグリコシドの1つ以上も含み得る。このようなエマルジョンは、凍結乾燥させることができる。
【0209】
・スクアレン、ポリキサマー105、およびAbil−Care[39]のエマルジョン。アジュバントワクチン中のこれらの成分の最終濃度(重量)は、5%スクアレン、4%ポリキサマー105(プルロニックポリオール)、および2%Abil−Care85(Bis−PEG/PPG−16/16 PEG/PPG−16/16ジメチコーン;トリカプリルグリセリド/トリカプリン酸グリセリド)である。
【0210】
・0.5〜50%の油、0.1〜10%のリン脂質、および0.05〜5%の非イオン性界面活性剤を有するエマルジョン。参考文献40に記載されているように、好ましいリン脂質成分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリン、およびカルジオリピンである。サブミクロンの液滴サイズが有利である。
【0211】
・代謝不可能な油(例えば、軽油)および少なくとも1つの界面活性剤(例えば、レシチン、Tween80、またはSpan80)のサブミクロン水中油型エマルジョン。添加物には、例えば、QuilAサポニン、コレステロール、サポニン−親油性結合体(例えば、参考文献41に記載され、グルクロン酸のカルボキシル基を介してデスアシルサポニン(desacylsaponin)に脂肪族アミンを付加することにより産生されるGPI−0100)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(dimethyidioctadecylammonium bromide)、および/またはN,N−ジオクタデシル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミンが含まれ得る。
【0212】
・サポニン(例えば、QuilAまたはQS21)およびステロール(例えば、コレステロール)がらせん状のミセルとして会合したエマルジョン[42]。
【0213】
・鉱油、非イオン性の親油性エトキシル化脂肪アルコール、および非イオン性の親水性界面活性剤(例えば、エトキシル化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)を含むエマルジョン[43]。
【0214】
・鉱油、非イオン性の親水性エトキシル化脂肪アルコール、および非イオン性の親油性界面活性剤(例えば、エトキシル化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)を含むエマルジョン[43]。
【0215】
一部の実施形態では、エマルジョンは、送達時に即席に抗原と混合され得るため、アジュバントおよび抗原は、使用時の最終処方に備えて、パッケージングされたワクチンまたは配布ワクチンにおいて別個に保つことができる。他の実施形態では、エマルジョンは、製造中に抗原と混合されるため、組成物は、液体アジュバントの形態でパッケージングされる。ワクチンが、2つの液体を混合することによって最終的に調製されるように、抗原は、一般に水性形態である。混合される2つの液体の容積比は、様々にすることができるが(例えば、5:1〜1:5)、一般に約1:1である。成分の濃度が、上記記載の特定のエマルジョンにおいて示されている場合、これらの濃度は、典型的には希釈されていない組成物に対するものであるため、抗原溶液との混合後の濃度は低下する。
【0216】
組成物がトコフェロールを含む場合、α、β、γ、δ、ε、またはζトコフェロールのいずれも使用できるが、α−トコフェロールが好ましい。このトコフェロールは、いくつかの形態、例えば、異なる塩および/または異性体をとり得る。塩には、有機塩、例えば、コハク酸塩、酢酸塩、ニコチン酸塩などが含まれる。D−α−トコフェロールおよびDL−α−トコフェロールの両方を使用することができる。トコフェロールは、高齢患者(例えば、60歳以上)用のワクチンに含めると有利である。なぜならば、ビタミンEは、この患者群の免疫応答に対してプラスの効果を有することが報告されているからである[44]。トコフェロールはまた、エマルジョンの安定化に役立ち得る抗酸化特性も有する[45]。好ましいα−トコフェロールは、DL−α−トコフェロールであり、このトコフェロールの好ましい塩は、コハク酸塩である。このコハク酸塩は、インビボでTNF関連リガンドと協働することが分かっている。
【0217】
(C.サポニン処方物[参考文献27の第22章])
サポニン処方物も、本発明のアジュバントとして使用することができる。サポニンは、多種多様な植物種の樹皮、葉、茎、根、および花にさえも見られるステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異質性の群である。Quillaia saponaria Molina樹の樹皮に由来するサポニンは、アジュバントとして広く研究されている。サポニンはまた、Smilax ornata(サルサパリラ(sarsaprilla))、Gypsophilla paniculata(ブライズベール(brides veil))、およびSaponaria officianalis(ソープルート(soap root))から購入することができる。サポニンアジュバント処方物には、精製処方物、例えば、QS21、ならびに脂質処方物、例えば、ISCOMが含まれる。QS21は、StimulonTMとして市販されている。
【0218】
サポニン組成物は、HPLCおよびRP−HPLCを用いて精製されている。これらの技術を用いて精製された特定の画分が同定されており、これらの画分には、QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−B、およびQH−Cが含まれる。好ましくは、このサポニンは、QS21である。QS21の製造方法は、参考文献46に開示されている。サポニン処方物はまた、ステロール、例えば、コレステロールも含み得る[47]。
【0219】
サポニンとコレステロールとの組み合わせを使用して、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる独特の粒子を形成することができる[参考文献27の第23章]。また、ISCOMには、典型的には、リン脂質、例えば、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンが含まれる。あらゆる周知のサポニンも、ISCOMに使用することができる。好ましくは、ISCOMは、QuilA、QHA、およびQHCの1つ以上を含む。ISCOMは、参考文献47〜48にさらに記載されている。任意選択で、ISCOMは、追加の洗浄剤を含まなくても良い[49]。
【0220】
サポニンをベースとしたアジュバントの開発の概要は、参考文献50および51で見ることができる。
【0221】
(D.ビロソームおよびウイルス様粒子)
ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)も、本発明においてアジュバントとして使用することができる。これらの構造物は、一般に、任意選択でリン脂質と組み合わせられるか、またはリン脂質と処方されるウイルス由来の1つ以上のタンパク質を含む。これらは、一般に、非病原性、非複製性であり、一般に、天然のウイルスゲノムを一切含まない。これらのウイルスタンパク質は、組換えにより作製しても良いし、またはウイルス全体から単離しても良い。ビロソームまたはVLPに使用するのに適したこれらのウイルスタンパク質には、インフルエンザウイルスに由来するタンパク質(例えば、HAまたはNA)、B型肝炎ウイルスに由来するタンパク質(例えば、コアタンパク質またはカプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルスに由来するタンパク質、麻疹ウイルスに由来するタンパク質、シンドビスウイルスに由来するタンパク質、ロタウイルスに由来するタンパク質、口蹄疫ウイルスに由来するタンパク質、レトロウイルスに由来するタンパク質、ノーウォークウイルスに由来するタンパク質、ヒトパピローマウイルスに由来するタンパク質、HIVに由来するタンパク質、RNAファージに由来するタンパク質、Qβファージに由来するタンパク質(例えば、コートタンパク質)、GAファージに由来するタンパク質、frファージに由来するタンパク質、AP205ファージに由来するタンパク質、およびTyに由来するタンパク質(例えば、レトロトランスポゾンTyタンパク質p1)が含まれる。VLPは、参考文献52〜53でさらに議論されている。ビロソームは、例えば、参考文献54でさらに議論されている。
【0222】
(E.細菌誘導体または微生物誘導体)
本発明に使用するのに適したアジュバントには、細菌誘導体または微生物誘導体、例えば、腸内細菌リポ多糖(LPS)の非毒性誘導体、リピドA誘導体、免疫刺激オリゴヌクレオチド、ならびにADPリボシル化トキシンおよびその無毒化誘導体が含まれる。
【0223】
LPSの無毒化誘導体には、モノホスホリルリピドA(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が含まれる。3dMPLは、4、5または6アシル化鎖を伴なう3脱O−アシル化モノホスホリルリピドAの混合物である。3脱O−アシル化モノホスホリルリピドAの好ましい「小粒子」形態は、参考文献55に開示されている。このような3dMPLの「小粒子」は、0.22μm膜に通されて滅菌濾過されるように十分に小さい[55]。他の非毒性LPS誘導体には、モノホスホリルリピドA模倣物、例えば、アミノアルキルグルコサミニドリン酸誘導体、例えば、RC−529が含まれる[56、57]。
【0224】
リピドA誘導体には、大腸菌由来のリピドA誘導体、例えば、OM−174が含まれる。OM−174は、例えば、参考文献58および59に記載されている。
【0225】
本発明においてアジュバントとして使用するのに適した免疫刺激オリゴヌクレオチドには、CpGモチーフ(グアノシンにリン酸結合により連結された非メチル化シトシンを含むジヌクレオチド配列)を含むヌクレオチド配列が含まれる。2本鎖RNAおよびパリンドローム配列またはポリ(dG)配列を含むオリゴヌクレオチドも、免疫刺激性であることが示されている。
【0226】
CpGは、ヌクレオチド修飾/類似体、例えば、ホスホロチオエート修飾を含み得、2本鎖または1本鎖であり得る。参考文献60、61、および62は、可能な類似体の置換、例えば、グアノシンの2’−デオキシ−7−デアザグアノシンでの置換を開示している。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、参考文献63〜64でさらに議論されている。
【0227】
CpG配列は、TLR9、例えば、GTCGTTモチーフまたはTTCGTTモチーフに向けられ得る[65]。CpG配列、例えば、CpG−A ODNは、Th1免疫応答の誘導に特異的であり得、または、例えば、CpG−B ODNは、B細胞応答の誘導により特異的であり得る。CpG−A ODNおよびCpG−B ODNは、参考文献66〜67で議論されている。好ましくは、上記CpGは、CpG−A ODNである。
【0228】
好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、5’末端が受容体認識のためにアクセス可能であるように構築される。任意選択で、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列を、それらの3’末端で付着して「イムノマー(immunomer)」を形成することができる。例えば、参考文献65および68〜69を参照されたい。
【0229】
有用なCpGアジュバントは、ProMuneTM(Coley Pharmaceutical Group、Inc.)としても知られているCpG7909である。もう1つは、CpG1826である。CpG配列の使用の代替として、またはこれに加えて、TpG配列を使用することができ[70]、これらのオリゴヌクレオチドは、非メチル化CpGモチーフを含まなくても良い。免疫刺激オリゴヌクレオチドは、ピリミジンリッチであり得る。例えば、免疫刺激オリゴヌクレオチドは、2つ以上の連続したチミジンヌクレオチド(例えば、参考文献70に開示されているTTTT)を含み得、かつ/またはチミジンが>25%(例えば、>35%、>40%、>50%、>60%、>80%など)のヌクレオチド組成を有し得る。例えば、免疫刺激オリゴヌクレオチドは、2つ以上の連続したシトシンヌクレオチド(例えば、参考文献70に開示されているCCCC)を含み得、かつ/またはシトシンが>25%(例えば、>35%、>40%、>50%、>60%、>80%など)のヌクレオチド組成を有し得る。これらのオリゴヌクレオチドは、非メチル化CpGモチーフを含まなくても良い。免疫刺激オリゴヌクレオチドは、典型的には、少なくとも20のヌクレオチドを含む。免疫刺激オリゴヌクレオチドは、100未満のヌクレオチドを含み得る。
【0230】
免疫刺激オリゴヌクレオチドをベースとした特に有用なアジュバントは、IC−31TMとして知られている[71]。したがって、本発明に使用されるアジュバントは、(i)少なくとも1つ(および好ましくは複数)のCpIモチーフ(すなわち、シトシンがイノシンに連結されてジヌクレオチドを形成している)を含むオリゴヌクレオチド(例えば、15〜40ヌクレオチド)と(ii)ポリカチオンポリマー、例えば、少なくとも1つ(および好ましくは複数)のLys−Arg−Lysトリペプチド配列(複数可)を含むオリゴペプチド(例えば、5〜20のアミノ酸)との混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、26マー配列5’−(IC)13−3’(配列番号684)を含むデオキシヌクレオチドであり得る。ポリカチオンポリマーは、11マーアミノ酸配列KLKLLLLLKLK(配列番号685)を含むペプチドであり得る。
【0231】
細菌ADPリボシル化トキシンおよびその無毒化誘導体は、本発明においてアジュバントとして使用することができる。好ましくは、このタンパク質は、大腸菌(大腸菌熱不安定性エンテロトキシン「LT」)、コレラ菌(「CT」)、または百日咳菌(「PT」)に由来する。無毒化ADPリボシル化トキシンの粘膜アジュバントとしての使用が、参考文献72に記載されており、非経口的アジュバントとしての使用が、参考文献73に記載されている。このトキシンまたはトキソイドは、好ましくは、AサブユニットおよびBサブユニットの両方を含むホロトキシンの形態である。好ましくは、このAサブユニットは、無毒化変異を含み;好ましくは、このBサブユニットは、変異していない。好ましくは、このアジュバントは、無毒化LT改変体、例えば、LT−K63、LT−R72およびLT−G192である。ADPリボシル化トキシンおよびその無毒化誘導体、特に、LT−K63およびLT−R72のアジュバントとしての使用は、参考文献74〜75で確認することができる。有用なCT改変体は、CT−E29Hである[76]。アミノ酸置換についての数値の言及は、好ましくは、参考文献77に記載されているADPリボシル化トキシンのAサブユニットとBサブユニットとのアラインメントに基づいている。参考文献77は、アラインメントおよびその中でのアミノ酸の番号付与のためだけに参照によりその全容が本明細書に明確に組み入れられる。
【0232】
(F.ヒト免疫調節因子)
本発明においてアジュバントとして使用するのに適したヒト免疫調節因子には、サイトカイン、例えば、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12[78]など)[79]、インターフェロン(例えば、インターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子が含まれる。好ましい免疫調節因子は、IL−12である。
【0233】
(G.生体付着物および粘膜付着物)
生体付着物および粘膜付着物も、本発明においてアジュバントとして使用することができる。適した生体付着物には、エステル化ヒアルロン酸マイクロスフェア[80]または粘膜付着物、例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖、およびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体が含まれる。キトサンおよびその誘導体もまた、本発明においてアジュバントとして使用することができる[81]。
【0234】
(H.微粒子)
微粒子も、本発明においてアジュバントとして使用することができる。微粒子(すなわち、直径が約100nm〜約150μm、より好ましくは、直径が約200nm〜約30μm、最も好ましくは、直径が約500nm〜約10μmの粒子)は、生分解性かつ無毒性である材料(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)から形成され、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)が好ましく、任意選択で、負に荷電した表面を有するように(例えば、SDSを使用)、または正に荷電した表面を有するように(例えば、カチオン性洗浄剤、例えば、CTABを使用)処理される。
【0235】
(I.リポソーム(参考文献27の第13章および第14章))
アジュバントとしての使用に適したリポソーム処方物の例が、参考文献82〜83に記載されている。
【0236】
(J.ポリオキシエチレンエーテル処方物およびポリオキシエチレンエステル処方物)
本発明での使用に適しているアジュバントには、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルが含まれる[84]。このような処方物には、オクトキシノールと組み合わせられたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤[85]、ならびに少なくとも1つの追加の非イオン性界面活性剤、例えば、オクトキシノールと組み合わせられたポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステル界面活性剤[86]がさらに含まれる。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、次の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(ラウレス9)、ポリオキシエチレン−9−ステアリルエーテル(steorylether)、ポリオキシエチレン−8−ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
【0237】
(K.ホスファゼン)
ホスファゼン、例えば、参考文献87および88に記載されているポリ[ジ(カルボキシラトフェノキシ)ホスファゼン](「PCPP」)などを使用することができる。
【0238】
(L.ムラミルペプチド)
本発明においてアジュバントとしての使用に適したムラミルペプチドの例には、N−アセチルムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(ノル−MDP)、およびN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)が含まれる。
【0239】
(M.イミダゾキノロン化合物)
本発明においてアジュバントとしての使用に適したイミダゾキノロン化合物の例には、イミキモドおよび(「R−837」)[89、90]、レシキモド(「R−848」)[91]、およびそれらの類似体;およびそれらの塩(例えば、塩酸塩)が含まれる。免疫刺激イミダゾキノリンについてのさらなる詳細は、参考文献92〜93で見ることができる。
【0240】
(N.置換尿素)
アジュバントとして有用な置換尿素には、式I、II、IIIの化合物:
【0241】
【化56】
またはそれらの塩が含まれる。参考文献94に、例えば、「ER803058」、「ER803732」、「ER804053」、ER804058」、「ER804059」、「ER804442」、「ER804680」、「ER804764」、「ER803022」、または「ER804057」として定義されている。例えば:
【0242】
【化57】
である。
【0243】
(O.さらなるアジュバント)
本発明に使用できるさらなるアジュバントには以下のものが含まれる。
【0244】
・アミノアルキルグルコサミニドリン酸誘導体、例えば、RC−529[95、96]。
【0245】
・チオセミカルバゾン化合物、例えば、参考文献97に開示されている化合物。活性化合物の処方、製造、およびスクリーニングの方法も参考文献97に記載されている。チオセミカルバゾンは、サイトカイン、例えば、TNF−αの産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激に特に有効である。
【0246】
・トリプタントリン化合物、例えば、参考文献98に開示される化合物。活性化合物について処方、製造およびスクリーニングする方法も参考文献98に記載されている。チオセミカルバゾンは、サイトカイン、例えば、TNF−αの産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激に特に有効である。
【0247】
・ヌクレオシド類似体、例えば:(a)イサトラビン(Isatorabine)(ANA−245;7−チア−8−オキソグアノシン):
【0248】
【化58】
およびそのプロドラッグ;(b)ANA975;(c)ANA−025−1;(d)ANA380;(e)参考文献99〜100に開示されている化合物、ロキソリビン(7−アリル−8−オキソグアノシン)[101]。
【0249】
・次のもの含む参考文献102に開示されている化合物:アシルピペラジン化合物、インドールジオン化合物、テトラヒドライソキノリン(THIQ)化合物、ベンゾシクロジオン化合物、アミノアザビニル化合物、アミノベンズイミダゾールキノリノン(ABIQ)化合物[103、104]、ヒドラフタラミド(Hydrapthalamide)化合物、ベンゾフェノン化合物、イソキサゾール化合物、ステロール化合物、キナジリノン(Quinazilinone)化合物、ピロール化合物[105]、アントラキノン化合物、キノキサリン化合物、トリアジン化合物、ピラゾロピリミジン(Pyrazalopyrimidine)化合物、およびベンザゾール化合物[106]。
【0250】
・リン酸を含む非環式骨格に連結された脂質を含む化合物、例えば、TLR4アンタゴニストE5564[107、108]。
【0251】
・ポリオキシドニウムポリマー[109、110]または他のN−酸化ポリエチレン−ピペラジン誘導体。
【0252】
・メチルイノシン5’−1リン酸(「MIMP」)[111]。
【0253】
・ポリヒドロキシル化ピロリジジン化合物[112]、例えば、以下の式を有する化合物:
【0254】
【化59】
式中、Rは水素、線状または分岐、非置換または置換、飽和または不飽和アシル基、アルキル基(例えば、シクロアルキル基)、アルケニル基、アルキニル基、およびアリール基、またはそれらの薬学的に許容され得る塩もしくは誘導体を含む群より選択される。例として、限定されるものではないが:カスアリン、カスアリン−6−α−D−グルコピラノース、3−エピ−カスアリン、7−エピ−カスアリン、3,7−ジエピ−カスアリンなどが挙げられる。
【0255】
・CD1dリガンド、例えば、α−グリコシルセラミド[113〜114](例えば、α−ガラクトシルセラミド)、フィトスフィンゴシン含有α−グリコシルセラミド、OCH、KRN7000[(2S,3S,4R)−1−O−(α−D−ガラクトピラノシル)−2−(N−ヘキサコサノイルアミノ)−1,3,4−オクタデカントリオール]、CRONY−101、3’’−O−スルホ−ガラクトシルセラミドなど。
【0256】
・ガンマイヌリン[115]またはその誘導体、例えば、アルガムリン(algammulin):
【0257】
【化60】
など。
【0258】
(アジュバントの組み合わせ)
本発明はまた、上で同定された1つ以上のアジュバントの態様の組み合わせも含み得る。例えば、次のアジュバント組成物を本発明で使用することができる:(1)サポニンおよび水中油型エマルジョン[116];(2)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)[117];(3)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール;(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(任意選択で、+ステロール)[118];(5)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油型エマルジョンとの組み合わせ[119];(6)サブミクロンエマルジョンにマイクロフルイダイズされたか、またはボルテックスされて大きな粒径のエマルジョンにされた、10%スクアラン、0.4%Tween80TM、5%プルロニック−ブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含むSAF;(7)2%スクアレンと、0.2%Tween80と、モノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコラート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)からなる群からの1つ以上の細菌細胞壁成分、好ましくは、MPL+CWS(DetoxTM)とを含むRibiTMアジュバント系(RAS)(Ribi Immunochem);および(8)1つ以上のミネラル塩(例えば、アルミニウム塩)+LPSの非毒性誘導体(例えば、3dMPL)。
【0259】
免疫刺激剤として作用する他の物質は、参考文献27の第7章に開示されている。
【0260】
水酸化アルミニウムアジュバントおよび/またはリン酸アルミニウムアジュバントの使用が特に好ましく、抗原は、一般にこれらの塩に吸着される。リン酸カルシウムは、別の好ましいアジュバントである。他の好ましいアジュバントの組み合わせには、Th1アジュバントとTh2アジュバントとの組み合わせ、例えば、CpGとアラム(alum)またはレシキモドとアラムの組み合わせが含まれる。リン酸アルミニウムと3dMPLとの組み合わせも使用することができる。
【0261】
本発明の組成物は、細胞媒介免疫応答および体液性免疫応答の両方を誘発することができる。この免疫応答は、好ましくは、持続性(例えば、中和)抗体、および肺炎球菌への曝露の際に迅速に応答し得る細胞媒介免疫を誘導する。
【0262】
CD4細胞およびCD8細胞の2種類のT細胞は、一般に、細胞媒介免疫および体液性免疫を開始させ、かつ/または増強するために必要であると考えられている。CD8T細胞は、CD8共受容体を発現することができ、これは、一般に細胞傷害性Tリンパ球(CTL)と呼ばれる。CD8T細胞は、MHCクラスI分子上に提示された抗原を認識することができ、またはこの抗原と相互作用することができる。
【0263】
CD4T細胞は、CD4共受容体を発現することができ、これは、一般にTヘルパー細胞と呼ばれている。CD4T細胞は、MHCクラスII分子に結合した抗原ペプチドを認識することができる。MHCクラスII分子との相互作用の際に、CD4細胞は、サイトカインなどの因子を分泌することができる。これらの分泌されたサイトカインは、B細胞、細胞傷害性T細胞、マクロファージ、および免疫応答に関与する他の細胞を活性化させることができる。ヘルパーT細胞またはCD4+細胞は、次の2つの機能的に異なるサブセット:サイトカインおよびエフェクター機能が異なるTH1表現型と、TH2表現型とにさらに分けることができる。
【0264】
活性化されたTH1細胞は、細胞性免疫(抗原特異的CTL産生の増加を含む)を増強し、したがって、細胞内感染に対する応答で特に有益である。活性化されたTH1細胞は、IL−2、IFN−γ、およびTNF−βの1つ以上を分泌し得る。TH1免疫応答は、マクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞、およびCD8細胞傷害性T細胞(CTL)を活性化させることによって局所炎症反応を引き起こし得る。TH1免疫応答はまた、IL−12でB細胞およびT細胞の増殖を刺激することによって免疫応答を拡大するように作用し得る。TH1で刺激されたB細胞は、IgG2aを分泌し得る。
【0265】
活性化されたTH2細胞は、抗体の産生を促進し、したがって細胞外感染に対する応答で有益である。活性化されたTH2細胞は、IL−4、IL−5、IL−6、およびIL−10の1つ以上を分泌し得る。TH2免疫応答は、IgG1、IgE、IgA、および記憶B細胞(将来の防御のため)の産生を引き起こし得る。
【0266】
免疫応答の増強には、TH1免疫応答の増強およびTH2免疫応答の増強の1つ以上が含まれ得る。
【0267】
TH1免疫応答には、CTLの増加、TH1免疫応答に関連する1つ以上のサイトカイン(例えば、IL−2、IFN−γ、およびTNF−β)の増加、活性化されたマクロファージの増加、NK活性の増加、またはIgG2a産生の増加の1つ以上が含まれ得る。好ましくは、TH1免疫応答の増強には、IgG2aの産生の増加が含まれる。
【0268】
TH1免疫応答は、TH1アジュバントを使用して誘発することができる。TH1アジュバントは、一般に、アジュバントを使用しない抗原の免疫化と比較して、IgG2aの産生レベルの増加を誘発する。本発明での使用に適したTH1アジュバントには、例えば、サポニン処方物、ビロソームおよびウイルス様粒子、腸内細菌リポ多糖(LPS)の非毒性誘導体、免疫刺激オリゴヌクレオチドが含まれ得る。免疫刺激オリゴヌクレオチド、例えば、CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドなどは、本発明での使用に好ましいTH1アジュバントである。
【0269】
TH2免疫応答には、TH2免疫応答に関連するサイトカイン(例えば、IL−4、IL−5、IL−6、およびIL−10)の1つ以上の増加、またはIgG1、IgE、IgA、および記憶B細胞の産生の増加の1つ以上が含まれ得る。好ましくは、TH2免疫応答の増強には、IgG1産生の増加が含まれる。
【0270】
TH2免疫応答は、TH2アジュバントを用いて誘発することができる。TH2アジュバントは、一般に、アジュバントを使用しない抗原の免疫化と比較して、IgG1の産生レベルの増加を誘発する。本発明での使用に適切なTH2アジュバントには、例えば、ミネラル含有組成物、油エマルジョン、ならびにADPリボシル化毒素およびその解毒化誘導体が含まれる。ミネラル含有組成物、例えば、アルミニウム塩は、本発明での使用に好ましいTH2アジュバントである。
【0271】
好ましくは、本発明は、TH1アジュバントとTH2アジュバントとの組み合わせを含む組成物を包含する。好ましくは、このような組成物は、TH1応答の増強およびTH2応答の増強、すなわちアジュバントを使用しない免疫化と比較して、IgG1およびIgG2aの両方の産生の増加を誘発する。なおより好ましくは、TH1アジュバントとTH2アジュバントとの組み合わせを含む組成物は、単一アジュバントを使用した免疫化と比較して(すなわち、TH1アジュバントのみを使用した免疫化またはTH2アジュバントのみを使用した免疫化と比較して)、TH1免疫応答の増強および/またはTH2免疫応答の増強を誘発する。
【0272】
免疫応答は、TH1免疫応答およびTH2応答の一方または両方であり得る。好ましくは、免疫応答は、TH1応答の増強およびTH2応答の増強の一方または両方をもたらす。
【0273】
免疫応答の増強は、全身免疫応答および粘膜免疫応答の一方または両方であり得る。好ましくは、免疫応答は、全身免疫応答の増強および粘膜免疫応答の増強の一方または両方をもたらす。好ましくは、粘膜免疫応答は、TH2免疫応答である。好ましくは、粘膜免疫応答には、IgAの産生の増加が含まれる。
【0274】
大腸菌は、様々な解剖学的部位に疾患を引き起こし得るため[4]、本発明の組成物は、様々な形態で調製することができる。例えば、本組成物は、液体溶液または懸濁物のいずれかの注射可能物として調製することができる。注射前の液体ビヒクルにおける溶液または懸濁物に適した固体形態も調製することができる(例えば、凍結乾燥組成物またはスプレー凍結乾燥組成物)。組成物は、例えば、軟膏、クリーム、または粉末として局所投与用に調製することができる。組成物は、例えば、錠剤もしくはカプセル、スプレー、またはシロップ(任意選択で、矯味矯臭される)として経口投与用に調製することができる。組成物は、微粉末またはスプレーを用いて、例えば、吸入剤として肺投与用に調製することができる。組成物は、座剤またはペッサリーとして調製することができる。組成物は、例えば、滴剤として、点鼻投与、点耳投与、または点眼投与用に調製することができる。組成物は、患者への投与直前に組み合わせた組成物が再構成されるようにデザインされたキット形態にすることができる。このようなキットは、1つ以上の液体形態の抗原および1つ以上の凍結乾燥抗原を含み得る。
【0275】
組成物が、使用前に即席で調製されるものであり(例えば、成分が凍結乾燥形態で存在する場合)、かつキットとして存在する場合、キットは、2つのバイアルを含むか、または1つの予め充填されたシリンジと1つのバイアルとを含むことができ、シリンジの内容物は、注射前にバイアルの内容物を再活性化するために使用される。
【0276】
ワクチンとして使用される免疫原性組成物は、免疫学的有効量の抗原(複数可)、ならびに必要に応じて任意の他の成分も含む。「免疫学的有効量」は、単回投与または連続投与の一部のいずれかでの個体への投与量が、処置または予防に有効であることを意味する。この量は、処置される個体の健康および身体の状態、年齢、処置される個体の分類群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、個体の免疫系が抗体を合成する能力、望ましい防御の程度、ワクチンの処方、処置する医師の医学的状態の評価、および他の関連する因子によって異なる。この量は、ルーチンの試験によって決定することができる比較的広い範囲であると予想される。
【0277】
(処置方法およびワクチンの投与)
本発明はまた、有効量の本発明の組成物を投与するステップを含む、哺乳動物に免疫応答を惹起する方法も提供する。免疫応答は、好ましくは防御免疫応答であり、好ましくは抗体媒介免疫および/または細胞媒介免疫を伴う。この方法は、追加免疫応答を惹起し得る。
【0278】
本発明はまた、薬物として使用される、例えば、哺乳動物における免疫応答の惹起に使用される本発明のポリペプチドも提供する。
【0279】
本発明はまた、哺乳動物で免疫応答を惹起するための薬物の製造における本発明のポリペプチドの使用も提供する。
【0280】
本発明はまた、本発明の免疫原性組成物が予め充填された送達デバイスも提供する。
【0281】
これらの使用および方法による哺乳動物における免疫応答の惹起により、哺乳動物を、ExPEC菌株および非ExPEC菌株を含む大腸菌感染から防御することができる。本発明は、腸内病原型、例えば、EPEC、EAEC、EIEC、ETEC、およびDAEC病原型を含む病原性大腸菌に対する広範囲の防御を提供するのに特に有用である。したがって、哺乳動物は、限定されるものではないが、腹膜炎、腎盂腎炎、膀胱炎、心内膜炎、前立腺炎、尿路感染(UTI)、髄膜炎(特に、新生児髄膜炎)、敗血症(またはSIRS)、脱水症、肺炎、下痢(乳児下痢、旅行者の下痢、急性の下痢、持続性の下痢など)、細菌性赤痢、溶血尿毒症症候群(HUS)、心膜炎、細菌尿症などを含む疾患から防御され得る。
【0282】
哺乳動物は、好ましくはヒトであるが、大腸菌疾患は、例えば、ウシ、ブタ、ニワトリ、ネコ、またはイヌなどの種でも問題であるため、これらの種でも良い[4]。ワクチンが予防用である場合は、ヒトは、好ましくは子供(例えば、幼児または乳児)または十代であり;ワクチンが治療用である場合は、ヒトは、好ましくは十代または成人である。子供用のワクチンは、例えば、安全性、投与量、免疫原性などを評価するために成人にも投与して良い。
【0283】
治療処置の効力をチェックする1つの方法では、本発明の組成物の投与後の大腸菌感染のモニタリングが行われる。予防処置の効力をチェックする1つの方法では、本発明の組成物の投与後の、この組成物中の抗原に対する全身免疫応答のモニタリング(例えば、IgG1およびIgG2aの産生レベルのモニタリング)および/または粘膜免疫応答のモニタリング(例えば、IgAの産生レベルのモニタリング)が含まれる。典型的には、抗原特異的血清抗体応答は、チャレンジ前ではなく免疫化後に決定されるが、抗原特異的粘膜抗体応答は、免疫化後およびチャレンジ後に決定される。
【0284】
本発明の組成物の免疫原性を評価する別の方法では、免疫ブロットおよび/またはマイクロアレイによる患者の血清または粘膜分泌物のスクリーニングのために組換えによりタンパク質を発現させる。タンパク質と患者のサンプルとの間の陽性反応は、患者が問題のタンパク質に対して免疫応答を開始したことを示す。この方法はまた、免疫優性抗原および/または抗原中のエピトープを同定するためにも使用することができる。
【0285】
ワクチン組成物の効力はまた、大腸菌感染の動物モデル、例えば、モルモットまたはマウスをワクチン組成物でチャレンジすることによってインビボで決定することができる。ExPECおよび致死性敗血症のマウスモデルが参考文献120に記載されている。コットンラットモデルが、参考文献121に開示されている。
【0286】
本発明の組成物は、一般に、患者に直接投与される。直接送達は、非経口注射(例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、または組織の間質腔へ)、または経粘膜投与、例えば、直腸投与、経口投与(例えば、タブレット、スプレー)、膣投与、局所投与、経皮投与(transdermal)もしくは経皮投与(transcutaneous)、鼻腔投与、眼投与、耳投与、肺投与、または他の粘膜投与によって行うことができる。新規の直接送達形態はまた、食物における本明細書に開示されるポリペプチドのトランスジェニック発現を含み得る(例えば、ポテトにおけるトランスジェニック発現)。
【0287】
本発明は、全身免疫および/または粘膜免疫を誘発するため、好ましくは全身免疫および/または粘膜免疫の増強を誘発するために使用することができる。
【0288】
好ましくは、全身免疫および/または粘膜免疫の増強は、TH1免疫応答および/またはTH2免疫応答の増強に反映される。好ましくは、免疫応答の増強には、IgG1および/またはIgG2aおよび/またはIgAの産生の上昇が含まれる。
【0289】
投与は、単回投与スケジュールまたは複数回投与スケジュールによるものとすることができる。複数回投与は、一次免疫化スケジュールおよび/または追加免疫化スケジュールに使用することができる。複数回投与スケジュールでは、様々な用量を、同じかまたは異なる経路、例えば、非経口の一次と粘膜の追加、粘膜の一次と非経口の追加などによって投与することができる。複数回投与は、典型的には、少なくとも1週間(例えば、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約16週間など)の間隔で投与する。
【0290】
本発明のワクチンは、子供および成人の両方の処置に使用することができる。したがって、ヒト患者は、1歳未満、1〜5歳、5〜15歳、15〜55歳、または少なくとも55歳であり得る。ワクチン投与に好ましい患者は、高齢者(例えば、≧50歳、≧60歳、および好ましくは≧65歳)、幼若者(例えば、≦5歳)、入院患者、医療従事者、軍人および兵士、妊婦、慢性疾患患者、または免疫不全患者である。しかしながら、ワクチンは、これらの群のみに適しているのではなく、ある集団でより広く使用することができる。
【0291】
本発明のワクチンは、外科手術を予定している患者、または他の入院患者に特に有用である。本発明のワクチンはまた、カテーテルが挿入されている患者にも有用である。本発明のワクチンはまた、青年期の女性(例えば、11〜18歳)および慢性尿路感染の患者にも有用である。
【0292】
本発明のワクチンは、他のワクチンと実質的に同時に(例えば、同じ診察中、または医療従事者もしくはワクチンセンターを訪問中)、例えば、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、風疹ワクチン、MMRワクチン、水痘ワクチン、MMRVワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、百日咳ワクチン、DTPワクチン、結合H.influenzae b型ワクチン、不活化ポリオウイルスワクチン、B型肝炎ウイルスワクチン、髄膜炎菌結合ワクチン(例えば、4価A−C−W135−Yワクチン)、RSウイルスワクチンなどと実質的に同時に患者に投与することができる。
【0293】
(核酸免疫法)
上記の免疫原性組成物には、ポリペプチド抗原が含まれる。しかしながら、いずれの場合も、ポリペプチド抗原は、核酸免疫法に基づいて組成物、方法、および使用を提供するために、これらのポリペプチドをコードする核酸(典型的にはDNA)によって置き換えることができる。核酸免疫法は、現在は発展した分野である(例えば、参考文献122〜123などを参照)。
【0294】
免疫原をコードする核酸は、患者への送達後にインビボで発現され、次いで発現された免疫原が免疫系を刺激する。活性成分は、典型的には、(i)プロモーター;(ii)プロモーターに作動可能に連結された免疫原をコードする配列;および任意選択で(iii)選択マーカーを含む、核酸ベクターの形態をとる。好ましいベクターは、(iv)複製起点;および(v)(ii)に作動可能に連結された下流の転写ターミネーターをさらに含み得る。一般に、(i)および(v)は、真核生物性であり、(iii)および(iv)は、原核生物性である。
【0295】
好ましいプロモーターは、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)由来のウイルスプロモーターである。ベクターは、プロモーターに加えて転写調節配列(例えば、エンハンサー)も含み得、この転写調節配列は、プロモーターと機能的に相互作用する。好ましいベクターには、前初期CMVエンハンサー/プロモーターが含まれ、より好ましいベクターには、CMVイントロンAも含まれる。プロモーターは、免疫原をコードする配列の発現がプロモーターの制御下となるように、免疫原をコードする下流の配列に作動可能に連結されている。
【0296】
マーカーが使用される場合、マーカーは、好ましくは微生物宿主内(例えば、原核生物内、細菌内、酵母内)で機能する。マーカーは、好ましくは原核生物選択マーカー(例えば、原核生物のプロモーターの制御下で転写される)である。便宜上、典型的なマーカーは、抗生物質耐性遺伝子である。
【0297】
本発明のベクターは、好ましくは、自律複製エピソームベクターまたは染色体外ベクター、例えば、プラスミドである。
【0298】
本発明のベクターは、好ましくは複製起点を含む。この複製起点は、真核生物ではなく原核生物で活性であることが好ましい。
【0299】
したがって、好ましいベクターは、ベクター選択用の原核生物マーカー、原核生物の複製起点、免疫原をコードする配列の転写を駆動する真核生物のプロモーターを含む。したがって、ベクターは、(a)原核生物宿主では、ポリペプチドが発現されずに増幅され選択されるが、(b)真核生物宿主では、増幅されずに発現される。この取り合わせが、核酸免疫法ベクターにとって理想的である。
【0300】
本発明のベクターは、コード配列の下流の真核生物転写ターミネーター配列を含み得る。これは、転写レベルを増進させることができる。コード配列が独自のものを有さない場合は、本発明のベクターは、好ましくはポリアデニル化配列を含む。好ましいポリアデニル化配列は、ウシ成長ホルモン由来である。
【0301】
本発明のベクターは、複数のクローニング部位を含み得る。
【0302】
免疫原およびマーカーをコードする配列に加えて、ベクターは、第2の真核生物コード配列を含み得る。ベクターは、免疫原と同じ転写物からの第2の真核生物ポリペプチドの翻訳を可能にするために、前記第2の配列の上流のIRESも含み得る。別法では、免疫原コード配列は、IRESの下流でも良い。
【0303】
本発明のベクターは、非メチル化CpGモチーフ、例えば、2つの5’プリンおよび2つの3’ピリミジンが隣接した、グアノシンの前のシトシンを共通して有する非メチル化DNA配列を含み得る。これらの非メチル化形態において、これらのDNAモチーフは、いくつかの種類の免疫細胞の強力な刺激因子であることが実証された。
【0304】
ベクターは、標的化方法で送達することができる。受容体媒介DNA送達技術が、例えば、参考文献124〜125に記載されている。核酸を含む治療組成物は、遺伝子治療プロトコルで、局所投与としてDNA約100ng〜約200mgの範囲で投与される。また、約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μg、および約20μg〜約100μgの濃度範囲のDNAも、遺伝子治療プロトコル中に使用することができる。因子、例えば、作用方法(例えば、コードされた遺伝子産物のレベルの増進または阻害のための)ならびに形質転換および発現の効力は、最終的な効力に必要な投与量に影響を与える検討事項である。組織の広い領域にわたる高い発現が望ましい場合は、様々な隣接または近接した組織部分へのより多量のベクターまたは、連続的な投与プロトコルもしくは何回かの投与で再投与される同量のベクターが、良好な治療結果を得るために必要なこともある。いずれの場合も、臨床試験でのルーチンの実験で、最適な治療効果についての特定の範囲を決定する。
【0305】
ベクターは、遺伝子送達ビヒクルを用いて送達することができる。遺伝子送達ビヒクルは、ウイルスまたは非ウイルス起源とすることができる(参考文献126〜127を全体的に参照されたい)。
【0306】
望ましい核酸の送達用および望ましい細胞での発現用のウイルスベースのベクターは、当技術分野で周知である。例示的なウイルスベースのビヒクルには、限定されるものではないが、組換えレトロウイルス(例えば、参考文献128〜129)、アルファウイルスベースのベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR−67;ATCC VR−1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR−373;ATCC VR−1246)、およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR−923;ATCC VR−1250;ATCC VR1249;ATCC VR−532);これらのウイルスのハイブリッドまたはキメラも使用することができる)、ポックスウイルスベクター(例えば、ワクシニア、鶏痘、カナリア痘、改変ワクシニアアンカラなど)、アデノウイルスベクター、およびアデノ関連ウイルス(AAV)ベクター(例えば、参考文献130〜131を参照されたい)が含まれる。死滅アデノウイルスに連結されたDNAの投与[132]も利用することができる。
【0307】
限定されるものではないが、死滅アデノウイルス単独に連結された、または連結されていないポリカチオン凝縮DNA[例えば、132]、リガンド連結DNA[133]、真核細胞送達ビヒクル細胞[例えば、参考文献134〜135]、および核電荷中和または細胞膜融合を含め、非ウイルス送達ビヒクルおよび方法も利用することができる。裸DNAも利用することができる。例示的な裸DNAの導入方法が、参考文献136および137に記載されている。遺伝子送達ビヒクルとして機能し得るリポソーム(例えば、免疫リポソーム)が、参考文献138〜139に記載されている。さらなるアプローチが、参考文献140および141に記載されている。
【0308】
使用に適したさらなる非ウイルス送達には、機械送達系、例えば、参考文献141に記載されているアプローチが含まれる。さらに、コード配列およびこの発現産物は、光重合ヒドロゲル材料の堆積または電離放射線の使用によって送達され得る[例えば、参考文献142および143]。コード配列の送達に使用できる遺伝子送達の他の従来の方法には、例えば、ハンドヘルド型遺伝子導入パーティクルガンの使用[144]または導入された遺伝子を活性化させるための電離放射線の使用[142および143]が含まれる。
【0309】
PLG{ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)}微粒子を使用するDNA送達は、特に好ましい方法であり、例えば、微粒子に吸着させることによって行われ、微粒子は、任意選択で、負に帯電した表面(例えば、SDSで処理)または正に帯電した表面(例えば、カチオン性洗浄剤、例えば、CTABで処理)を有するように処理される。
【0310】
(抗体)
大腸菌抗原に対する抗体を、受動免疫化に使用することができる[145]。したがって、本発明は、配列番号1〜2からなる両方のorf353タンパク質に結合する抗体を提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号211〜218からなる群より選択されるorf353の断片に結合する。
【0311】
本発明はまたは、配列番号3〜18からなる16の細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、または16すべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号219〜307および683からなる群より選択される細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)の断片に結合する。
【0312】
本発明はまた、配列番号19〜40からなる22のインフルエンザ抗原43(orf1364)タンパク質の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、または16すべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号308〜350からなる群より選択されるインフルエンザ抗原43(orf1364)の断片に結合する。
【0313】
本発明はまた、配列番号41〜47からなる7つのNodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つすべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号351〜368からなる群より選択されるNodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)の断片に結合する。
【0314】
本発明はまた、配列番号48〜60からなる13のgspKタンパク質(orf3515)の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、または13すべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号369〜384からなる群より選択されるgspK(orf3515)の断片に結合する。
【0315】
本発明はまた、配列番号61〜71からなる11のgspJタンパク質(orf3516)の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、または11すべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号385〜398からなる群より選択されるgspJ(orf3516)の断片に結合する。
【0316】
本発明はまた、配列番号72〜79からなる8つのtonB依存性シデロホア受容体(orf3597)の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つすべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号399〜425からなる群より選択されるtonB依存性シデロホア受容体(orf3597)の断片に結合する。
【0317】
本発明はまた、配列番号80〜81からなる両方の線毛タンパク質(orf3613)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号426〜432からなる群より選択される線毛タンパク質(orf3613)の断片に結合する。
【0318】
本発明はまた、配列番号82〜84からなる3つのupec−948タンパク質の少なくとも2つ(または3つすべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号493〜499からなる群より選択されるupec−948の断片に結合する。
【0319】
本発明はまた、配列番号85〜91からなる7つのupec−1232タンパク質の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つすべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号500〜506からなる群より選択されるupec−1232の断片に結合する。
【0320】
本発明はまた、配列番号92〜98からなる7つの1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つすべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号507〜515からなる群より選択される1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)の断片に結合する。
【0321】
本発明はまた、配列番号99〜100からなるyapHホモログタンパク質の両方に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号516〜638からなる群より選択されるyapHホモログの断片に結合する。
【0322】
本発明はまた、配列番号101〜105からなる5つの溶血素A(recp−3768)の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、または5つすべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号433〜492からなる群より選択される溶血素A(recp−3768)の断片に結合する。
【0323】
本発明はまた、治療におけるこのような抗体の使用も提供する。本発明はまた、薬物の製造におけるこのような抗体の使用も提供する。本発明はまた、本発明の有効量の抗体を投与するステップを含む哺乳動物を処置する方法も提供する。免疫原性組成物について上記したように、これらの方法および使用により、大腸菌の感染に対して哺乳動物を防御することができる。
【0324】
用語「抗体」には、インタクトな免疫グロブリン分子、ならびに抗原に結合できるその断片が含まれる。これらには、ハイブリッド(キメラ)抗体分子[146、147];F(ab’)2およびF(ab)断片ならびにFv分子;非共有結合へテロ二量体[148、149];1本鎖Fv分子(sFv)[150];二量体および三量体抗体断片構築物;ミニボディー(minibody)[151、52];ヒト化抗体分子[153〜154];およびこのような分子から得たあらゆる機能的な断片、ならびにファージディスプレイなどの慣習的ではないプロセスによって得られる抗体が含まれる。好ましくは、抗体は、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体を得る方法は、当技術分野で周知である。ヒト化または完全ヒト抗体が好ましい。
【0325】
(一般)
本発明の実施には、特段の記載がない限り、当業者の技術範囲内の化学、生化学、分子生物学、免疫学、および薬理学の従来の方法を利用する。このような技術は、参考文献に詳細に説明されている。例えば、参考文献155〜156などを参照されたい。
【0326】
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」および「〜からなる(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む」組成物は、Xのみからなっても良いし、または、例えば、X+Yのように追加を含んでも良い。
【0327】
数値xについての用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
【0328】
本明細書では「GI」番号付けが使用される。GI番号または「GenInfo Identifier」は、配列がNCBIのデータベースに加えられたときにNCBIによって処理された各配列記録に対して連続的に割り当てられる連続した数字である。GI番号は、配列記録のアクセッション番号との類似性はない。配列が更新されると(例えば、修正のため、またはさらなる注釈や情報を付け加えるため)、その配列には、新しいGI番号が付される。したがって、所定のGI番号が付された配列は、不変である。
【0329】
2つのアミノ酸配列間のパーセント配列同一性について述べる場合は、整列されたときに、2つの配列の比較においてアミノ酸が同じであるパーセントを意味する。このアラインメントおよびパーセント相同性または配列同一性は、当技術分野で周知のソフトウエアプログラム、例えば、参考文献157のセクション7.7.18に記載されているものを用いて決定することができる。好ましいアラインメントは、ギャップ・オープン・ペナルティーが12およびギャップ伸長ペナルティーが2で、BLOSUMマトリックスが62のアフィンギャップ検索を用いて、Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定される。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、参考文献158に開示されている。
【0330】
当業者であれば、「単離された」は、天然の状態からの「人間の手による」変更を意味することを理解できよう。すなわちこのような変更が天然で起きた場合、元の環境から変化させられたかまたは除去されたか、あるいはその両方が行われている。例えば、生きている生物において自然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、そのような生きている生物に存在するときは「単離されて」いないが、天然の状態で共存する材料から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、本開示で使用される用語では「単離された」である。さらに、形質転換、遺伝子操作、または任意の他の組換え法によって生物に導入されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、前記生物が生きていてもいなくても、前記生物になお存在していても、「単離された」と理解される。ただし、このような形質転換、遺伝子操作、または他の組換え法が、他の点では天然に生じている生物と区別できない生物を作り出す場合は除かれる。
【0331】
図1〜図13は、開示される大腸菌タンパク質についてのアミノ酸同一性を示している。すべての図面において、♯♯は100%の同一性である。
【図面の簡単な説明】
【0332】
【図1】図1は、orf353の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。図1は、orf353アミノ酸配列間の%同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);101−1(EAEC菌株);O42(EAEC菌株);53638(EIEC菌株);B171(EPEC菌株);E22(EPEC菌株);E2348/69(EPEC菌株);E110019(EPEC菌株);B7A(ETEC菌株);E24377A(ETEC菌株);H10407(ETEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図2】図2は、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:HS(片利共生菌株);B(非病原性菌株);8739(非病原性菌株);C(非病原性菌株);IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);EDL333(EHEC菌株);Sakai(EHEC菌株);EC508(EHEC菌株);EC863(EHEC菌株);EC4024(EHEC菌株);EC4042(EHEC菌株);EC4054(EHEC菌株);EC4076(EHEC菌株);EC4113(EHEC菌株);EC4115(EHEC菌株);EC4196(EHEC菌株);EC4206(EHEC菌株);EC4401(EHEC菌株);EC4486(EHEC菌株);EC4501(EHEC菌株);TW14588(EHEC菌株);101−1(EAEC菌株);O42(EAEC菌株);B171(EPEC菌株);E22(EPEC菌株);E2348/69(EPEC菌株);E110019(EPEC菌株);B7A(ETEC菌株);E24377A(ETEC菌株);H10407(ETEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図3】図3は、インフルエンザ抗原43(orf1364)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:MG1655(非病原性菌株);DH10B(非病原性菌株);HS(片利共生菌株);B(非病原性菌株);8739(非病原性菌株);C(非病原性菌株);IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);EDL333(EHEC菌株);Sakai(EHEC菌株);EC508(EHEC菌株);EC863(EHEC菌株);EC4024(EHEC菌株);EC4042(EHEC菌株);EC4054(EHEC菌株);EC4076(EHEC菌株);EC4113(EHEC菌株);EC4115(EHEC菌株);EC4196(EHEC菌株);EC4206(EHEC菌株);EC4401(EHEC菌株);EC4486(EHEC菌株);EC4501(EHEC菌株);TW14588(EHEC菌株);101−1(EAEC菌株);O42(EAEC菌株);53638(EIEC菌株);B171(EPEC菌株);E22(EPEC菌株);E2348/69(EPEC菌株);E110019(EPEC菌株);B7A(ETEC菌株);E24377A(ETEC菌株);H10407(ETEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図4】図4は、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);EDL333(EHEC菌株);Sakai(EHEC菌株);EC508(EHEC菌株);EC863(EHEC菌株);EC4024(EHEC菌株);EC4042(EHEC菌株);EC4054(EHEC菌株);EC4076(EHEC菌株);EC4113(EHEC菌株);EC4115(EHEC菌株);EC4196(EHEC菌株);EC4206(EHEC菌株);EC4401(EHEC菌株);EC4486(EHEC菌株);EC4501(EHEC菌株);TW14588(EHEC菌株);E2348/69(EPEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図5】図5は、gspK(orf3515)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:HS(片利共生菌株);B(非病原性菌株);8739(非病原性菌株);C(非病原性菌株);IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);101−1(EAEC菌株);O42(EAEC菌株);53638(EIEC菌株);B171(EPEC菌株);E22(EPEC菌株);E2348/69(EPEC菌株);E110019(EPEC菌株);B7A(ETEC菌株);E24377A(ETEC菌株);H10407(ETEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図6】図6は、gspJ(orf3516)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:HS(片利共生菌株);IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);101−1(EAEC菌株);O42(EAEC菌株);53638(EIEC菌株);B171(EPEC菌株);E22(EPEC菌株);E2348/69(EPEC菌株);E110019(EPEC菌株);B7A(ETEC菌株);E24377A(ETEC菌株);H10407(ETEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図7】図7は、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);EDL333(EHEC菌株);Sakai(EHEC菌株);EC508(EHEC菌株);EC869(EHEC菌株);EC4024(EHEC菌株);EC4042(EHEC菌株);EC4045(EHEC菌株);EC4076(EHEC菌株);EC4113(EHEC菌株);EC4115(EHEC菌株);EC4196(EHEC菌株);EC4206(EHEC菌株);EC4401(EHEC菌株);EC4486(EHEC菌株);EC4501(EHEC菌株);TW14588(EHEC菌株);O42(EAEC菌株);E2348/69(EPEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図8】図8は、線毛タンパク質(orf3613)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);およびO42(EAEC菌株)である。
【図9】図9は、upec−948の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:HS(片利共生菌株);B(非病原性菌株);C(非病原性菌株);RS218(NMEC菌株);CFT073(UPEC菌株);およびE2348/69(EPEC菌株)である。
【図10】図10は、upec−1232の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:CFT073(UPEC菌株);O42(EAEC菌株);B7A(ETEC菌株);およびH10407(ETEC菌株)である。
【図11】図11は、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);EDL333(EHEC菌株);Sakai(EHEC菌株);EC508(EHEC菌株);EC869(EHEC菌株);EC4024(EHEC菌株);EC4042(EHEC菌株);EC4045(EHEC菌株);EC4076(EHEC菌株);EC4113(EHEC菌株);EC4115(EHEC菌株);EC4196(EHEC菌株);EC4206(EHEC菌株);EC4401(EHEC菌株);EC4486(EHEC菌株);EC4501(EHEC菌株);TW14588(EHEC菌株);O42(EAEC菌株);B171(EPEC菌株);E22(EPEC菌株);E2348/69(EPEC菌株);E110019(EPEC菌株);B7A(ETEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図12】図12は、yapHホモログ(upec−2820)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:CFT073(UPEC菌株)およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図13】図13は、溶血素A(recp−3768)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);E110019(EPEC菌株);B7A(ETEC菌株);E24377A(ETEC菌株);H10407(ETEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図14】記載なし
【発明を実施するための形態】
【0333】
(配列表の簡単な説明)
【0334】
【表1−1】
【0335】
【表1−2】
【0336】
【表1−3】
(本発明を実施するための様式)
それぞれが本明細書により詳細に記載されたorf353、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、インフルエンザ抗原43(orf1364)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)、gspK(orf3515)、gspJ(orf3516)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)、線毛タンパク質(orf3613)、upec−948、upec−1232、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、溶血素A(recp−3768)、およびSel 1反復含有タンパク質(upec−5211)を発現、精製し、これらは、敗血症動物モデルにおけるExPEC菌株に対する防御を提供する。
【0337】
様々な他の大腸菌株のオルソログの配列を得た。
【0338】
タンパク質:orf353(配列番号1のアミノ酸21〜162)、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)(配列番号9のアミノ酸595〜1008)、インフルエンザ抗原43(orf1364)(配列番号27のアミノ酸53〜629)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)(配列番号41のアミノ酸15〜457)、gspK(orf3515)(配列番号56のアミノ酸32〜325)、gspJ(orf3516)(配列番号65のアミノ酸16〜189)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)(配列番号74のアミノ酸29〜713)、線毛タンパク質(orf3613)(配列番号80のアミノ酸28〜187)、upec−948(配列番号82のアミノ酸24〜151)、upec−1232(配列番号89のアミノ酸26〜151)、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)(配列番号97のアミノ酸25〜187)、yapHホモログ(upec−2820)(配列番号99)、溶血素A(recp−3768)(配列番号103のアミノ酸24〜1024)、およびSel 1反復含有タンパク質(upec−5211)(配列番号653)のそれぞれの例示的な抗原を、pET−21bベクター(Novagen)にクローニングし、増幅用のDH5α−T1化学的コンピテント細胞(Invitrogen)に形質転換した。BL21(DE3)化学的コンピテント細胞を発現用に使用した。すべての候補をクローニングし、シグナル配列を用いずにhisタグ融合タンパク質として発現させた。候補を、親和性クロマトグラフィーによって精製した。
【0339】
防御を、敗血症動物モデルで評価した。Charles River ItaliaのCD1非近交系雌性マウス(5週齢)を、フロイントアジュバント中の組換えタンパク質20μgで第1日目、第21日目、および第35日目に皮下注射によって免疫化した。陽性コントロールを、フロイントアジュバント(Sigma)の生理溶液0.15ml中の108の熱不活化細菌(65℃30分)で免疫化する一方、陰性コントロールを、フロイントアジュバントの生理溶液で免疫化した。第49日目に、腹腔内注射(菌株IHE3034およびCFT073について)または静脈内注射(菌株536について)によって、107の新鮮な細菌培養物/マウス(LD80)の用量でチャレンジを行った。ヘパリン化された血液サンプルを、チャレンジの24時間後に生き残ったマウスから採取して菌血症レベルを決定し、チャレンジ後4日間にわたって死亡率を観察した。
【0340】
【表2】
上記の特定の候補は、完全長タンパク質(溶血素A(recp−3768)、インフルエンザ抗原43断片(orf1364)、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、およびyapHホモログ(upec−2820))としては制限された溶解性または非溶解性を示した。したがって、断片を構築し、溶解性について試験した。上昇した溶解性を示した断片は、上記したような敗血症動物モデルで防御を提供する能力についてさらに試験した。
【0341】
【表3】
溶血素Aタンパク質断片B4(3768−B4)の、他の菌株に対して交差防御を提供する能力を実証するために、上記の溶血素Aタンパク質断片B4(3768−B4)で免疫化したマウスを、以下の表に示されるように異なる大腸菌株でチャレンジした。
【0342】
【表4】
細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質断片(orf405)の3つの断片の様々な組み合わせを、上記された敗血症のマウスモデルで試験した。この結果が以下の表に示されている。
【0343】
【表5】
本発明は、ほんの一例として記載されており、本発明の範囲および精神を維持したまま改変が可能であることを理解されたい。
【0344】
【数1】
【0345】
【数2】
【0346】
【数3】
【0347】
【数4】
【0348】
【数5】
【0349】
【数6】
【0350】
【数7】
【0351】
【数8】
【0352】
【数9】
【0353】
【数10】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、病原性大腸菌株に対する免疫化に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景分野)
大腸菌株は、伝統的に、片利共生または病原性のいずれかとして分類され、病原性菌株は、腸内菌株または腸外菌株にさらに分類される。病原性大腸菌は、非特許文献1(参考文献1)でより詳細に検討され、多数の異なる病原型(すなわち共通の一組の毒性因子を用いて共通の疾患を引き起こす大腸菌株の群)に分けられる。菌株の病原型の分類(pathotyping)は、遺伝子型または表現型にて行うことができる通常の技術である。ある最近の遺伝子型に基づいた病原型の分類法(非特許文献2[2])はDNAマイクロアレイを使用する。
【0003】
腸内菌株の中で、少なくとも6つの十分に説明されている病原型:腸管病原性(EPEC)、腸管出血性(EHEC)、腸管凝集性(EAEC)、腸管侵入性(EIEC)、腸管毒素原性(ETEC)、および拡散付着性(DAEC)は公知である。
【0004】
大腸菌の腸外病原性菌株(または「ExPEC」菌株(非特許文献3、4[3、4]))には、尿路病原性(UPEC)菌株、新生児髄膜炎(NMEC)菌株、および敗血症関連菌株(SEPEC)が含まれる。ExPECは、尿路感染の最も一般的な原因であり、ヒトの新生児髄膜炎および新生児敗血症の主な原因の1つであり、重篤な合併症および死をもたらす可能性がある。他の種類の腸外感染には、骨髄炎、肺、腹内、軟組織、および血管内デバイスに関連した感染が含まれる。ヒト以外の別のExPEC病原型は、鳥病原性(APEC)であり、家禽に腸外感染を引き起こす。
【0005】
ほとんどの以前からあるExPECワクチンは、細胞溶解物または細胞構造物をベースとしている。SOLCOUROVACTMには、6つのExPEC菌株を含む10の異なる加熱死細菌が含まれる。URO−VAXOMTMは、18の選択された大腸菌株の凍結乾燥細菌溶解物を含む、経口用の錠剤型ワクチンである。Baxter Vaccinesによって、6〜10の異なる菌株に由来する線毛をベースとしたUTIワクチンが開発された。MedImmuneによって、FimH付着複合体をベースとするMEDI516と呼ばれる製品が開発された。対照的に、特許文献1および2(参考文献5および6)には、NMEC菌株およびUPEC菌株の両方に対する規定ワクチンの基礎として使用することができるExPEC菌株由来の特異的免疫原が開示されている。
【0006】
しかしながら、なお、幅広いスペクトルの腸内大腸菌株および腸外大腸菌株から防御するワクチンを提供することへの必要性がある。大腸菌は、新たな生態的地位に適合して幅広いスペクトルの疾患を引き起こす改善された能力を有する変わりやすい微生物である。微生物は、様々な組織および宿主に適合できるように、適合係数、毒性因子、および集落形成因子を変更することができる。したがって、潜在的抗原が、高い選択圧を受け、結果として、異なる菌株間での配列変動性を有し得る。
【0007】
ncbi.nlm.nih.govで利用可能なゲノムのデータベースには、ゲノムとして21の病原性および非病原性大腸菌ゲノムが列記され、タンパク質は、少なくとも4,126、多くとも5,339であった。しかしながら、このような列記は、病原性大腸菌の重要な部分にわたってどれが保存されているか、そのように保存されているタンパク質における保存された領域が何であるか、または、病原性大腸菌から防御する十分な免疫応答を引き起こすために、数千もの有望なタンパク質のうちのどのタンパク質をワクチンに使用できるか(最適な候補を同定するためには、多数のタンパク質のスクリーニングが必要である)を同定していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2006/089264号
【特許文献2】国際公開第2006/091517号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kaper et al.Nat Rev Microbiol.(2004)2(2):123−40
【非特許文献2】Anjum et al.Appl Environ Microbiol(2007)73:5692−7
【非特許文献3】Russo&Johnson J Infect Dis(2000)181:1753−1754
【非特許文献4】Smith et al.Foodborne Pathogens And Disease(2007)4:134−63
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、病原性大腸菌株、より具体的には、腸内病原型(例えば、EAEC、EIEC、EPEC、およびETEC菌株)、ならびにExPEC病原型に対する免疫化に使用されるさらなるよりよい抗原を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の開示)
参考文献5に開示されている多数の抗原の内の1つは、「orf353」(参考文献5の中の配列番号705および706)と注釈が付けられており、これは、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf236」、大腸菌株CFT073由来「c0368」、および大腸菌株536由来ecp_0248としても知られている。参考文献5に開示されている別のこのような抗原は、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質として(または「orf405」として、配列番号809および810)注釈が付けられており、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf284」、大腸菌株CFT073由来「c0415」、および大腸菌株536由来ecp_0367としても知られている。参考文献5に開示されているなお別のこのような抗原は、インフルエンザ抗原43タンパク質として(または「orf1364」として、配列番号2727および2728)注釈が付けられており、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf1109」、大腸菌株CFT073由来「c1273」、および大腸菌株536由来ecp_3009としても知られている。参考文献5に開示されているなお別のこのような抗原は、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出(efflux)トランスポータータンパク質として(または「orf1767」として、配列番号3533および3534)注釈が付けられており、これは、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf1488」、大腸菌株CFT073由来「c1765」、および大腸菌株536由来ecp_1346としても知られている。参考文献5に開示されているなお別のこのような抗原は、gspK一般分泌経路タンパク質として(または「orf3515」として、配列番号7029および7030)注釈が付けられており、これは、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf3332」、大腸菌株CFT073由来「c3702」、および大腸菌株536由来ecp_3039としても知られている。参考文献5に開示されているなお別のこのような抗原は、gspJ一般分泌経路タンパク質として(または「orf3516」として、配列番号7029および7030)注釈が付けられており、これは、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf3333」および大腸菌株536由来ecp_3040としても知られている。参考文献5に開示されているなお別のこのような抗原は、tonB依存性シデロホア受容体(tonB−dependent siderophore receptor)として(または「orf3597」として、配列番号7193および7194)注釈が付けられており、これは、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf3415」、大腸菌株CFT073由来「c3775」、および大腸菌株536由来ecp_3121としても知られている。参考文献5に開示されているなお別のこのような抗原は、線毛タンパク質として(または「orf3613」として、配列番号7225および7226)注釈が付けられており、これは、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf3431」および大腸菌株CFT073由来「c3791」としても知られている。国際公開第2008/020330号に開示されているなお別のこのような抗原は、溶血素Aタンパク質として(または「recp3768」として、配列番号3)注釈が付けられており、これは、大腸菌株CFT073由来「c3570」および大腸菌株536由来ecp_3827としても知られている。大腸菌UPEC由来「upec948」タンパク質は、大腸菌株CFT073由来「c0975」としても知られている。大腸菌UPEC由来「upec1232」タンパク質は、参考文献6(配列番号138)に開示され、大腸菌株CFT073由来「c1275」としても知られている。参考文献6に開示されているなお別のこのような抗原は、1型線毛タンパク質、A鎖前駆体として(または「upec1875」として、配列番号221)注釈が付けられており、これは、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf1642」および大腸菌株CFT073由来「c1936」としても知られている。参考文献6に開示されているなお別のこのような抗原は、YapHホモログタンパク質として(または「upec2820」として、配列番号307)注釈が付けられており、これは、大腸菌株CFT073由来「c2895」としても知られている。参考文献5、参考文献6、国際公開第2008/020330号、および他の参考文献は、NMEC菌株IHE3034またはUPEC菌株の配列を開示し、本発明の特定の態様は、APEC、UPEC、EAEC、EIEC、EPEC、およびETEC菌株を含む、さらなる病原型で同定されたExPEC「orf353」、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質、インフルエンザ抗原43タンパク質、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポータータンパク質、gspK一般分泌経路タンパク質、gspJ一般分泌経路タンパク質、tonB依存性シデロホア受容体、線毛タンパク質、「upec948」タンパク質、「upec1232」、1型線毛タンパク質、A鎖前駆体、およびYapHホモログタンパク質の改変体に基づいている。参考文献5の開示とは異なり、これらの改変体は、腸内病原型の処置に特に有用であり得る。したがって、本発明は、このような改変体と共に、大腸菌感染に対する患者の免疫化におけるこれらの使用を提供する。加えて、本開示は、すべての大腸菌病原型のタンパク質:細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、インフルエンザ抗原43(orf1364)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)、gspK(orf3515)、gspJ(orf3516)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)、線毛タンパク質(orf3613)、upec−948、upec−1232、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、溶血素A(recp−3768)、およびSel 1反復含有タンパク質(upec−5211)のそれぞれの断片を包含し、これらの断片は、複数の菌株にわたって保存されているため、いくつかの菌株に対する防御を提供する免疫応答を被験体にもたらすことができる。
【0012】
(本発明に使用されるポリペプチド)
本発明は、それぞれが本明細書により詳細に記載されるorf353、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、インフルエンザ抗原43(orf1364)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)、gspK(orf3515)、gspJ(orf3516)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)、線毛タンパク質(orf3613)、upec−948、upec−1232、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、溶血素A(recp−3768)、およびSel 1反復含有タンパク質(upec−5211)に由来するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
【0013】
(orf353タンパク質)
大腸菌NMEC由来「orf353」タンパク質は、参考文献5(配列番号705および706)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf236」、CFT073由来「c0368」、および536由来ecp_0248としても知られている。
【0014】
本発明にしたがって使用される場合、orf353タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいorf353配列は、配列番号1〜2に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0015】
他の好ましいorf353配列は、配列番号1〜2の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、orf353のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号1〜2のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0016】
【化1】
(orf405タンパク質)
細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質は、本明細書では「orf405」と呼ばれる。大腸菌NMEC由来「orf405」タンパク質は、参考文献5(配列番号809および810)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf284」、CFT073由来「c0415」、および536由来ecp_0367としても知られている。
【0017】
本発明にしたがって使用される場合、orf405タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいorf405配列は、配列番号3〜18に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0018】
他の好ましいorf405配列は、配列番号3〜18の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、orf405のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号3〜18のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。加えて、溶解性および免疫原性について試験した3つの断片、405A、405B、および405Cは、それぞれ、「A」、「B」、および「C」を付して明示した。
【0019】
【化2】
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】
【化10】
【0028】
【化11】
【0029】
【化12】
【0030】
【化13】
(orf1364タンパク質)
インフルエンザ抗原43タンパク質は、本明細書では「orf1364」と呼ばれる。大腸菌NMEC由来「orf1364」タンパク質は、参考文献5(配列番号2727および2728)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf1109」、CFT073由来「c1273」、および536由来ecp_3009としても知られている。
【0031】
本発明にしたがって使用される場合、orf1364タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいorf1364配列は、配列番号19〜40に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0032】
他の好ましいorf1364配列は、配列番号19〜40の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、orf1364のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号19〜40のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0033】
【化14】
【0034】
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】
【化17】
【0037】
【化18】
【0038】
【化19】
【0039】
【化20】
【0040】
【化21】
【0041】
【化22】
【0042】
【化23】
(orf1767タンパク質)
NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポータータンパク質は、本明細書では「orf1767」と呼ばれる。大腸菌NMEC由来「orf1767」タンパク質は、参考文献5(配列番号3533および3534)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf1488」、CFT073由来「c1765」、および536由来ecp_1346としても知られている。
【0043】
本発明にしたがって使用される場合、orf1767タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいorf1767配列は、配列番号41〜47に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0044】
他の好ましいorf1767配列は、配列番号41〜47の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、orf1767のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号41〜47のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0045】
【化24】
【0046】
【化25】
【0047】
【化26】
(orf3515タンパク質)
gspK一般分泌経路タンパク質は、本明細書では「orf3515」と呼ばれる。大腸菌NMEC由来「orf3515」タンパク質は、参考文献5(配列番号7029および7030)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf3332」、CFT073由来「c3702」、および536由来ecp_3039としても知られている。
【0048】
本発明にしたがって使用される場合、orf3515タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいorf3515配列は、配列番号48〜60に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0049】
他の好ましいorf3515配列は、配列番号48〜60の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、orf3515のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号48〜60のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である
【0050】
【化27】
【0051】
【化28】
【0052】
【化29】
(orf3516タンパク質)
gspJ一般分泌経路タンパク質は、本明細書では「orf3516」と呼ばれる。大腸菌NMEC由来「orf3516」タンパク質は、参考文献5(配列番号7031および7032)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf3333」および536由来ecp_3040としても知られている。
【0053】
本発明にしたがって使用される場合、orf3516タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいorf3516配列は、配列番号61〜71に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0054】
他の好ましいorf3516配列は、配列番号61〜71の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、orf3516のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号61〜71のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0055】
【化30】
【0056】
【化31】
(orf3597タンパク質)
tonB依存性シデロホア受容体タンパク質は、本明細書では「orf3597」と呼ばれる。大腸菌NMEC由来「orf3597」タンパク質は、参考文献5(配列番号7193および7194)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf3415」、CFT073由来「c3775」、および536由来ecp_3121としても知られている。
【0057】
本発明にしたがって使用される場合、orf3597タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいorf3597配列は、配列番号72〜79に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0058】
他の好ましいorf3597配列は、配列番号72〜79の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、orf3597のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号72〜79のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0059】
【化32】
【0060】
【化33】
【0061】
【化34】
【0062】
【化35】
(orf3613タンパク質)
線毛タンパク質は、本明細書では「orf3613」と呼ばれる。大腸菌NMEC由来「orf3613」タンパク質は、参考文献5(配列番号7225および7226)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf3431」およびCFT073由来「c3791」としても知られている。
【0063】
本発明にしたがって使用される場合、orf3613タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいorf3613配列は、配列番号80〜81に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0064】
他の好ましいorf3613配列は、配列番号80〜81の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、orf3613のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号80〜81のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0065】
【化36】
(recp3768タンパク質)
溶血素Aタンパク質は、本明細書では「recp3768」と呼ばれる。大腸菌UPEC由来「recp3768」タンパク質は、参考文献国際公開第2008/020330号(配列番号3)に開示され、CFT073由来「c3570」および536由来ecp_3827としても知られている。
【0066】
本発明にしたがって使用される場合、recp3768タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいrecp3768配列は、配列番号101〜105に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0067】
他の好ましいrecp3768配列は、配列番号101〜105の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、recp3768のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号101〜105のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0068】
【化37】
【0069】
【化38】
【0070】
【化39】
【0071】
【化40】
(upec948タンパク質)
大腸菌UPEC由来「upec948」タンパク質は、CFT073由来「c0975」としても知られている。
【0072】
本発明にしたがって使用される場合、upec948タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいupec948配列は、配列番号82〜84に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0073】
他の好ましいupec948配列は、配列番号82〜84の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、upec948のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号82〜84のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0074】
【化41】
(upec1232タンパク質)
大腸菌UPEC由来「upec1232」タンパク質は、参考文献6(配列番号138)に開示され、CFT073由来「c1275」としても知られている。
【0075】
本発明にしたがって使用される場合、upec1232タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいupec1232配列は、配列番号85〜91に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0076】
他の好ましいupec1232配列は、配列番号85〜91の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、upec1232のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号85〜91のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0077】
【化42】
【0078】
【化43】
(upec1875タンパク質)
1型線毛タンパク質、A鎖前駆体は、本明細書では「upec1875」と呼ばれる。大腸菌UPEC由来「upec1875」タンパク質は、参考文献6(配列番号221)に開示され、大腸菌NMEC菌株IHE3034由来「orf1642」およびCFT073由来「c1936」としても知られている。
【0079】
本発明にしたがって使用される場合、upec1875タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいupec1875配列は、配列番号92〜98に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0080】
他の好ましいupec1875配列は、配列番号92〜98の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、upec1875のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号92〜98のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0081】
【化44】
【0082】
【化45】
(upec2820タンパク質)
yapHホモログタンパク質は、本明細書では「upec2820」と呼ばれる。大腸菌NMEC由来「upec2820」タンパク質は、参考文献6(配列番号307)に開示され、CFT073由来「c2895」としても知られている。
【0083】
本発明にしたがって使用される場合、upec2820タンパク質は、様々な形態をとり得る。好ましいupec2820配列は、配列番号99〜100に対して50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0084】
他の好ましいupec2820配列は、配列番号99〜100の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、upec2820のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号99〜100のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0085】
【化46】
【0086】
【化47】
【0087】
【化48】
【0088】
【化49】
【0089】
【化50】
【0090】
【化51】
【0091】
【化52】
【0092】
【化53】
(upec−5211ポリペプチド)
Sel 1反復含有タンパク質は、本明細書では「upec−5211」と呼ばれる。大腸菌由来「upec−5211」ポリペプチドは、CFT073由来「c5321」、ED1a由来「ECED1_5081」、およびE.fergusonii ATCC35469由来「EFER_4303」としても知られている。
【0093】
本発明にしたがって使用される場合、upec−5211ポリペプチドは、様々な形態をとり得る。好ましいupec−5211配列は、配列番号653〜655に対して50%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、87.5%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有する。これには、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)も含まれる。
【0094】
他の好ましいupec−5211配列は、配列番号653〜655の少なくともn個の連続したアミノ酸を含み、このnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である。好ましい断片は、upec−5211のエピトープまたは免疫原性断片を含む。他の好ましい断片は、配列番号653〜655のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上)が欠失している。例示的な断片は、以下の配列アラインメントで同定された、保存された断片(配列番号)である。
【0095】
【化54】
【0096】
【化55】
(本発明に使用される特定のポリペプチド)
本発明の態様は、orf353、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、インフルエンザ抗原43(orf1364)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)、gspK(orf3515)、gspJ(orf3516)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)、線毛タンパク質(orf3613)、upec−948、upec−1232、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、および溶血素A(recp−3768)からなる群より選択される大腸菌タンパク質を含む単離または組換えポリペプチドを包含する。
【0097】
特定の実施形態では、この単離または組換えポリペプチドは、配列番号1〜105に対して少なくともa%の同一性を有するアミノ酸配列を有し得る。
【0098】
特定の実施形態では、このポリペプチドは、ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号1〜105のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウ(moving window)が、少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有する、アミノ酸を含み、このxは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、x・yが整数でない場合は、最も近い整数に切り上げられる。
【0099】
特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号1〜105のいずれかの少なくともb個の連続したアミノ酸を含み、この少なくともb個の連続したアミノ酸は免疫原性である。
【0100】
単離または組換えポリペプチドがorf353である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号1〜2の160未満、150未満、140未満、または130未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号211〜218を含む。
【0101】
単離または組換えポリペプチドが細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号3〜18の1410未満、1400未満、1390未満、または1380未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号219〜307および683を含む。
【0102】
単離または組換えポリペプチドがインフルエンザ抗原43(orf1364)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号19〜40の1040未満、1030未満、1020未満、または1010未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号308〜350を含む。
【0103】
単離または組換えポリペプチドがNodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号41〜47の450未満、440未満、430未満、または420未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号351〜368を含む。
【0104】
単離または組換えポリペプチドがgspK(orf3515)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号48〜60の320未満、310未満、300未満、または290未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号369〜384を含む。
【0105】
単離または組換えポリペプチドがgspJ(orf3516)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号61〜71の180未満、170未満、160未満、または150未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号385〜398を含む。
【0106】
単離または組換えポリペプチドがtonB依存性シデロホア受容体(orf3597)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号72〜79の710未満、700未満、690未満、または680未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号399〜425を含む。
【0107】
単離または組換えポリペプチドが線毛タンパク質(orf3613)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号80〜81の180未満、170未満、160未満、または150未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号426〜432を含む。
【0108】
単離または組換えポリペプチドがupec−948である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号82〜84の150未満、140未満、130未満、または120未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号493〜499を含む。
【0109】
単離または組換えポリペプチドがupec−1232である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号85〜91の150未満、140未満、130未満、または120未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号500〜506を含む。
【0110】
単離または組換えポリペプチドが1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号92〜98の180未満、170未満、160未満、または150未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号507〜515を含む。
【0111】
単離または組換えポリペプチドがyapHホモログ(upec−2820)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号99〜100の2640未満、2620未満、2600未満、または2580未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号516〜638を含む。
【0112】
単離または組換えポリペプチドが溶血素A(recp−3768)である特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号101〜105の1020未満、1010未満、1000未満、または990未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号433〜492を含む。特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、大腸菌溶血素A(recp−3768)の断片を含み、この断片は、完全長タンパク質と比較して断片の溶解性を増加させる、大腸菌AcfDタンパク質に対する欠失を有し、この断片は、大腸菌AcfDタンパク質と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する。
【0113】
前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、ポリペプチドは、対応する完全長タンパク質(例えば、orf353、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、インフルエンザ抗原43(orf1364)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)、gspK(orf3515)、gspJ(orf3516)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)、線毛タンパク質(orf3613)、upec−948、upec−1232、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、および溶血素A(recp−3768))を含まない。このような対応する完全長タンパク質の例には、配列番号1〜105が含まれる。
【0114】
本発明の態様は、エシェリキア属Sel 1反復含有タンパク質(upec−5211)を含む単離または組換えポリペプチドを包含する。
【0115】
特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号653〜655に対して少なくともa%の同一性を有するアミノ酸配列を有し得る。
【0116】
特定の実施形態では、このポリペプチドは、ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号653〜655のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが、少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有する、アミノ酸を含み、このxは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、x・yが整数でない場合は、最も近い整数に切り上げられる。
【0117】
特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号653〜655のいずれかの少なくともb個の連続したアミノ酸を含み、この少なくともb個の連続したアミノ酸は免疫原性である。
【0118】
特定の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、配列番号653〜655の480未満、470未満、460未満、450未満、425未満、400未満、350未満、200未満、または250未満のアミノ酸を含む。好ましい例は、配列番号656〜676を含む。
【0119】
本明細書に開示されるいずれのポリペプチドも、ワクチンの成分としての有用性を有する。したがって、別の実施形態では、単離または組換えポリペプチドは、アジュバントと共に用いられる。
【0120】
本発明の別の態様は、前述のポリペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号106〜210からなる群より選択される核酸配列に対してa%の配列同一性を有する。
【0121】
本発明の別の態様は、orf405タンパク質の断片を含む免疫原性ポリペプチドを包含し、この断片は、完全長タンパク質と比較して断片の溶解性を増加させる、大腸菌orf405に対する欠失を有し、この断片は、大腸菌orf405と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する。このような一例は、配列番号642である。特定の実施形態では、orf405タンパク質の断片は、orf405タンパク質の1200未満のアミノ酸、1100未満のアミノ酸、1000未満のアミノ酸、950未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、590未満のアミノ酸、または580未満のアミノ酸を有する。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、溶解性が増加したorf405の断片は、(a)配列番号3〜18からなる群より選択されるアミノ酸配列;(b)配列番号3〜18と比較して1〜10個の単一のアミノ酸変更;配列番号3〜18のいずれか1つに対する少なくともa%の配列同一性;かつ/または(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号3〜18のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが、少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有すること(このxは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、x・yが整数でない場合は、最も近い整数に切り上げられる)を有する。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、溶解性が増加したorf405の断片は、単離されているか、精製されているか、または組換え型である。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、この免疫原性ポリペプチドは、アジュバントと組み合わせることができる。
【0122】
本発明の別の態様は、インフルエンザ抗原43(orf1364)タンパク質の断片を含む免疫原性ポリペプチドを包含し、この断片は、完全長タンパク質と比較して断片の溶解性を増加させる、大腸菌インフルエンザ抗原43(orf1364)に対する欠失を有し、この断片は、大腸菌インフルエンザ抗原43(orf1364)と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する。このような一例は、配列番号652である。特定の実施形態では、大腸菌インフルエンザ抗原43は、インフルエンザ抗原43(orf1364)タンパク質の950未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、550未満のアミノ酸、500未満のアミノ酸、450未満のアミノ酸、440未満のアミノ酸、または430未満のアミノ酸を有する。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、溶解性が増加したインフルエンザ抗原43(orf1364)の断片は、(a)配列番号19〜40からなる群より選択されるアミノ酸配列;(b)配列番号19〜40と比較して1〜10個の単一のアミノ酸変更;(c)配列番号19〜40のいずれか1つに対する少なくともa%の配列同一性;かつ/または(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号19〜40のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが、少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有すること(このxは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、x・yが整数でない場合は、最も近い整数に切り上げられる)を有する。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、溶解性が増加したインフルエンザ抗原43(orf1364)の断片は、単離されているか、精製されているか、または組換え型である。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、この免疫原性ポリペプチドは、アジュバントと組み合わせることができる。
【0123】
本発明の別の態様は、yapHホモログ(upec−2820)タンパク質の断片を含む免疫原性ポリペプチドを包含し、この断片は、完全長タンパク質と比較して断片の溶解性を増加させる、大腸菌yapHホモログ(upec−2820)に対する欠失を有し、この断片は、大腸菌yapHホモログ(upec−2820)と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する。このような例は、配列番号644、配列番号646、配列番号648、または配列番号650である。特定の実施形態では、大腸菌yapHホモログの断片は、yapHホモログ(upec−2820)タンパク質の2500未満のアミノ酸、2000未満のアミノ酸、1750未満のアミノ酸、1500未満のアミノ酸、1400未満のアミノ酸、1300未満のアミノ酸、1200未満のアミノ酸、1100未満のアミノ酸、1000未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、550未満のアミノ酸、500未満のアミノ酸、450未満のアミノ酸、400未満のアミノ酸、または390未満のアミノ酸を有する。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、溶解性が増加したyapHホモログ(upec−2820)の断片は、(a)配列番号99〜100からなる群より選択されるアミノ酸配列;(b)配列番号99〜100と比較して1〜10個の単一のアミノ酸変更;(c)配列番号99〜100のいずれか1つに対する少なくともa%の配列同一性;かつ/または(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号99〜100のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが、少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有すること(このxは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、x・yが整数でない場合は、最も近い整数に切り上げられる)を有する。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、溶解性が増加したyapHホモログ(upec−2820)の断片は、単離されているか、精製されているか、または組換え型である。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、この免疫原性ポリペプチドは、アジュバントと組み合わせることができる。
【0124】
本発明の別の態様は、溶血素A(recp−3768)タンパク質の断片を含む免疫原性ポリペプチドを包含し、この断片は、完全長タンパク質と比較して断片の溶解性を増加させる、大腸菌溶血素A(recp−3768)に対する欠失を有し、この断片は、大腸菌溶血素A(recp−3768)と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する。このような一例は、配列番号640である。特定の実施形態では、大腸菌溶血素Aの断片は、溶血素A(recp3768)タンパク質の1000未満のアミノ酸、950未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、550未満のアミノ酸、500未満のアミノ酸、450未満のアミノ酸、400未満のアミノ酸、390未満のアミノ酸、380未満のアミノ酸、350未満のアミノ酸、300未満のアミノ酸、250未満のアミノ酸、240未満のアミノ酸、230未満のアミノ酸、または220未満のアミノ酸を有する。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、溶解性が増加した溶血素A(recp3768)の断片は、(a)配列番号101〜105からなる群より選択されるアミノ酸配列;(b)配列番号101〜105と比較して1〜10個の単一のアミノ酸変更;(c)配列番号101〜105のいずれか1つに対する少なくともa%の配列同一性;かつ/または(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号101〜105のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが、少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有すること(このxは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、x・yが整数でない場合は、最も近い整数に切り上げられる)を有する。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、溶解性が増加した溶血素A(recp3768)の断片は、単離されているか、精製されているか、または組換え型である。前述のいずれかの実施形態と組み合わせることができる特定の実施形態では、この免疫原性ポリペプチドは、アジュバントと組み合わせることができる。
【0125】
同一性パーセントの決定に好ましいペアワイズアラインメントアルゴリズムは、デフォルトパラメーター(例えば、ギャップ・オープニング・ペナルティー=10.0、ギャップ伸長ペナルティー=0.5、EBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用)を使用するNeedleman−Wunschグローバル・アラインメント・アルゴリズム[7]である。このアルゴリズムは、EMBOSSパッケージ[8]のneedleツールで適宜実行された。
【0126】
これらのポリペプチドは、対立遺伝子改変体、多型、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体などを含む配列番号1〜105の改変体、ならびに配列番号653〜655の改変体を含む。
【0127】
aの値は、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、87.5%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上から選択することができる。
【0128】
bの値は、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上から選択することができる。好ましい断片には、配列番号1〜105のエピトープまたは免疫原性断片、ならびに配列番号653〜655のエピトープまたは免疫原性断片が含まれる。他の好ましい断片は、好ましくは、配列番号1〜105の少なくとも1つのエピトープまたは免疫原性断片を維持したまま、配列番号1〜105のC末端の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25,またはそれ以上)および/またはN末端の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25,またはそれ以上)のアミノ酸が欠失しているか、または、好ましくは、配列番号653〜655の少なくとも1つのエピトープまたは免疫原性断片を維持したまま、配列番号653〜655のN末端の1つ以上のアミノ酸が欠失している。他の断片は、例えば、シグナルペプチド、細胞質ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞外ドメインなどの除外など、1つ以上のタンパク質ドメインが除外されている。溶血素A(recp3768)断片(B4)を、膜内挿入および孔形成に必要なアミノ末端疎水性ドメイン(疎水性αへリックス領域)、カルボキシル末端シグナル配列、および転写後のアシル化後の孔形成活性に必要なドメインを除去することによって得た。得られた可溶性断片は、カルボキシル末端βシートおよびカルシウムへの結合に必要なグリシンリッチ領域である。インフルエンザ抗原43(orf1364)断片を、パッセンジャードメイン(アミノ酸53〜620)を維持したまま、カルボキシル末端βバレルドメインを除外することによって得た。orf405断片を、4つの予想される免疫グロブリン結合様ドメイン(アミノ酸595〜1008)を維持したまま、推定上のアミノ末端トランスロケーター(translocator)ドメインの除去によって得た。
【0129】
断片内のエピトープは、B細胞エピトープおよび/またはT細胞エピトープであり得る。このようなエピトープは、実験的に同定することができ(例えば、PEPSCAN[9、10]または同様の方法を用いて)、推定することもできる(例えば、Jameson−Wolf抗原指標[11]、マトリックスをベースとした手法[12]、MAPITOPE[13]、TEPITOPE[14、15]、神経回路網[16]、OptiMer&EpiMer[17、18]、ADEPT[19]、Tsites[20]、親水性[21]、抗原指標[22]、または参考文献23〜24に開示されている方法などを用いて)。エピトープは、抗体またはT細胞受容体の抗原結合部位によって認識されて結合される抗原の一部であり、「抗原決定基」とも呼ばれることがある。
【0130】
上述の配列番号1〜105または配列番号653〜655の免疫原性断片には、限定されるものではないが、アジュバント(限定されるものではないが、以下の「免疫原性組成物および薬物」のセクションに列記または記載される任意のアジュバントを含む)を含み得る適切な組成物において、またはポリペプチドに結合された適切なキャリアにおいて被験体に投与されると、それぞれ、配列番号1〜105または配列番号653〜655(免疫原性断片はこれらに由来する)の単離された完全長ポリペプチドを認識する抗体またはT細胞媒介免疫応答を惹起する免疫原性断片が含まれる。
【0131】
本発明のポリペプチドは、配列番号1〜105または配列番号653〜655のいずれか1つと比較して、保存的な置換(すなわち、あるアミノ酸の、関連した側鎖を有する別のアミノ酸での置換)などの1つ以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9など)のアミノ酸の置換を含み得る。遺伝的にコードされるアミノ酸は、一般に、4つのファミリー:(1)酸性、すなわちアスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわちリシン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性、すなわちアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン:および(4)非電荷極性、すなわちグリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシンに分けられる。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、時には、芳香族アミノ酸として一緒に分類される。一般に、これらのファミリー内での単一アミノ酸の置換は、生物学的活性に大きな影響を与えない。
【0132】
ポリペプチドは、配列番号1〜105または配列番号653〜655のいずれか1つに対する1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9など)の単一アミノ酸の欠失を有し得る。同様に、ポリペプチドは、配列番号1〜105または配列番号653〜655のいずれか1つに対する1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9など)の挿入(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのアミノ酸のそれぞれ)を含み得る。
【0133】
群(c)内において、欠失または置換は、N末端および/またはC末端であっても、または2つの末端の間であっても良い。したがって、切断は、欠失の一例である。切断は、N末端および/またはC末端における最大40(またはそれ以上)のアミノ酸の欠失を有し得る。上述のように、例えば、N末端からGGGSG配列までを除去する切断を使用することができる。
【0134】
一般に、本発明のポリペプチドが、配列番号1〜105または配列番号653〜655の完全な1つに同一ではない配列を含む場合(例えば、このポリペプチドが、1つの完全な配列に対して100%未満の配列同一性で列記された配列を含む場合、またはこのポリペプチドが、1つの完全な配列の断片を含む場合)は、好ましくは、このポリペプチドは、完全な配列番号の配列からなるポリペプチドを認識する抗体、すなわち前記配列番号1〜105または配列番号653〜655の1つ以上に結合する抗体を誘導し得る。このような抗体は、配列番号1〜105または配列番号653〜655のそれぞれに特異的に結合し得るが、非特異的結合参照基準としてのヒト血清アルブミンに対する上記抗体の非特異的親和性よりも有意に高い親和性で、ホモログではない他のタンパク質に結合することはない。
【0135】
本発明のポリペプチドは、金属イオン、例えば、ポリペプチド鎖において1つ以上のアミノ酸が配位された金属イオンを含み得る。例えば、このポリペプチドは、1価、2価、または3価の金属カチオンを含み得る。2価のカチオンは、典型的には、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+などである。2価のカチオンは、好ましくはZn2+である。このようなイオンは、HEAGHまたはHEVGHアミノ酸配列によって配位され得る。
【0136】
本発明に使用されるポリペプチドは、様々な形態(例えば、天然、融合、グリコシル化、非グリコシル化、脂質化、非脂質化、リン酸化、非リン酸化、ミリストイル化、非ミリストイル化、単量体、多量体、粒子、変性など)をとり得る。例えば、本発明のポリペプチドは、脂質化N末端システインを有し得る。
【0137】
本発明に使用されるポリペプチドは、様々な手段(例えば、組換え発現、細胞培養物からの精製、化学合成など)によって調製することができる。組換えにより発現されるタンパク質が好ましい。
【0138】
本発明に使用されるポリペプチドは、好ましくは、精製された形態または実質的に精製された形態、すなわち、他のポリペプチド(例えば、天然に存在するポリペプチド)、特に他の大腸菌または宿主細胞のポリペプチドを実質的に含まない形態で提供され、一般に、少なくとも約50%(重量)純粋、通常は少なくとも約90%純粋、すなわち、組成物の約50%未満、より好ましくは約10%未満(例えば、5%)が、他の発現されたポリペプチドからなる。したがって、組成物中の抗原は、分子が発現される生物全体から分離されている。
【0139】
本発明に使用されるポリペプチドは、好ましくは大腸菌ポリペプチドである。このようなポリペプチドは、NMEC、APEC、UPEC、EAEC、EIEC、EPEC、およびETEC大腸菌ポリペプチドからさらに選択することができる。
【0140】
用語「ポリペプチド」は、任意の長さのアミノ酸ポリマーを指す。このポリマーは、線状でも分岐でも良く、修飾されたアミノ酸を含み得、非アミノ酸によって中断され得る。この用語はまた、天然に修飾されたか、または介入;例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは修飾、例えば、標識成分との結合などによって修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。また、例えば、1つ以上のアミノ酸の類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)を含むポリペプチド、ならびに当技術分野で公知の他の修飾も包含される。ポリペプチドは、1本鎖または結合鎖として存在し得る。
【0141】
本発明は、配列−P−Q−または−Q−P−を含むポリペプチドを提供し、この−P−は、上で定義したアミノ酸配列であり、−Q−は、上で定義した配列ではなく、すなわち本発明は、融合タンパク質を提供する。−P−のN末端コドンがATGではなく、このコドンがポリペプチドのN末端に存在しない場合は、Metではなくそのコドンに標準のアミノ酸として翻訳される。しかしながら、このコドンがポリペプチドのN末端にある場合は、Metとして翻訳される。−Q−部分の例には、限定されるものではないが、ヒスチジンタグ(すなわち、Hisn、n=3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)、マルトース結合タンパク質、またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)が含まれる。
【0142】
本発明はまた、本発明のポリペプチドを含むオリゴマータンパク質も提供する。オリゴマーは、2量体、3量体、4量体などであり得る。オリゴマーは、ホモオリゴマーまたはヘテロオリゴマーであり得る。オリゴマー中のポリペプチドは、共有結合または非共有結合され得る。
【0143】
本発明はまた、完全長タンパク質によって惹起される免疫応答と実質的に同様の免疫応答を被験体に惹起する、完全長タンパク質よりも溶解性の高い、完全長orf405、インフルエンザ抗原43(orf1364)、yapHホモログ(upec−2820)、および溶血素A(recp3768)(配列番号3〜18、配列番号19〜40、配列番号99〜100、および配列番号101〜105のそれぞれが、これらの代表的な例である)の断片である大腸菌ポリペプチドも提供する。このような免疫原性ポリペプチド断片の例には、配列番号640、642、644、646、648、650、および652のいずれも含まれる。溶解性の増加は、当業者に利用可能な任意の手段によって測定することができる。1つの単純な方法では、断片を細菌で過剰に発現させて、全細菌溶解物のサンプルと遠心分離後の細菌溶解物の上清サンプルとの比較、または遠心分離後の細菌溶解物のペレットのサンプルと遠心分離後の細菌溶解物の上清のサンプルとの比較を行う。当業者であれば、標準的な技術(例えば、断片を発現するpET21発現ベクターでBL21(DE3)細菌を形質転換し、LB中で細菌を0.6 OD600まで増殖させ、1mM IPTGで誘導し、誘導後に3時間培養する)を用いてこのような免疫原性ポリペプチド断片を増加および発現させることができる。このようなサンプルを、SDS PAGE(例えば、4〜12%MOPS)にかけて、得られた染色ゲルをスキャニングして、バンドの相対サイズを測定することによって大まかに定量化することができる。本明細書で使用される溶解性の増加は、25℃で決定される。このような溶解性の増加は、可溶性ポリペプチドの10%の増加、可溶性ポリペプチドの20%の増加、可溶性ポリペプチドの30%の増加、可溶性ポリペプチドの50%の増加、可溶性ポリペプチドの75%の増加、可溶性ポリペプチドの100%(すなわち2倍)の増加、可溶性ポリペプチドの3倍の増加、可溶性ポリペプチドの4倍の増加、可溶性ポリペプチドの5倍の増加、可溶性ポリペプチドの7倍の増加、可溶性ポリペプチドの10倍の増加であり得る。
【0144】
このポリペプチドによって被験体に惹起される免疫応答と、完全長タンパク質によって惹起される免疫応答との比較を、当業者に利用可能な任意の手段を使用して行うことができる。以下の実施例で使用される1つの単純な方法では、マウスなどのモデル被験体を免疫化し、次いで致死量の大腸菌でチャレンジすることを含む。正確な比較のために、当業者は、当然、完全フロイントアジュバントなどの同じアジュバントを選択する。このような試験では、本発明の免疫原性ポリペプチド断片は、例えば、このポリペプチドが、完全長タンパク質によって提供される防御の少なくとも70%、完全長タンパク質によって提供される防御の少なくとも80%、完全長タンパク質によって提供される防御の少なくとも85%、完全長タンパク質によって提供される防御の少なくとも90%、完全長タンパク質によって提供される防御の少なくとも95%、完全長タンパク質によって提供される防御の少なくとも97%、完全長タンパク質によって提供される防御の少なくとも98%、または完全長タンパク質によって提供される防御の少なくとも99%を提供する場合に、実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する(すなわち、致死量のチャレンジに対して実質的に同じ防御を提供する)。
【0145】
免疫原性ポリペプチド断片が比較される(溶解性および惹起される免疫応答の両方について)対応するタンパク質は、限定されるものではないが、配列番号1〜105および配列番号653〜655を含む任意の代表的な対応する大腸菌タンパク質であり得る。好ましい実施形態では、このようなタンパク質は、免疫原性ポリペプチド断片が得られる対応する完全長タンパク質である。
【0146】
一部の実施形態では、このような免疫原性ポリペプチドは、溶解性を増加させる、対応する大腸菌タンパク質に対する欠失を有する。この欠失は、完全長配列の高疎水性または膜貫通領域、例えば、溶血素A(recp3768)タンパク質のアミノ末端孔形成ドメイン、インフルエンザ抗原43(orf1364)タンパク質のβバレルドメイン、およびorf405タンパク質の推定上のトランスロケータードメインなどの実質的にすべての除去を含み得る。
【0147】
本発明はまた、ポリペプチドの発現を誘導する条件下で本発明の核酸で形質転換された宿主細胞を培養するステップを含む、本発明のポリペプチドを生産するプロセスも提供する。次いで、このポリペプチドを、例えば、培養上清から精製することができる。
【0148】
本発明は、本発明のポリペプチドをコードするプラスミドを含む大腸菌を提供する。大腸菌細胞の染色体は、適切なタンパク質(例えば、orf353、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、インフルエンザ抗原43(orf1364)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)、gspK(orf3515)、gspJ(orf3516)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)、線毛タンパク質(orf3613)、upec−948、upec−1232、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、および溶血素A(recp−3768))のホモログを含んでも良いし、またはこのようなホモログが存在しなくても良いが、いずれの場合も本発明のポリペプチドを、このプラスミドから発現させることができる。プラスミドは、マーカーなどをコードする遺伝子を含み得る。適切なプラスミドのこれらおよび他の詳細は以下に説明する。
【0149】
本発明のポリペプチドの発現は、大腸菌株で起こり得るが、本発明は、通常は、発現用の異種宿主を使用する。異種宿主は、原核生物(例えば、細菌)または真核生物とすることができる。適切な宿主には、限定されるものではないが、Bacillus subtilis、Vibrio cholerae、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Neisseria lactamica、Neisseria cinerea、Mycobacteria(例えば、M.tuberculosis)、酵母などが含まれる。
【0150】
本発明は、ポリペプチドの少なくとも一部を化学手段によって合成するステップを含む、本発明のポリペプチドを生産するプロセスを提供する。
【0151】
任意および全ての前述のタンパク質、ポリペプチド、ハイブリッドポリペプチド、エピトープ、および免疫原性断片は、限定されるものではないが、組換え型、単離された形態、または(天然の状態でこのようなタンパク質、ポリペプチド、ハイブリッドポリペプチド、エピトープ、および免疫原性断片と共存する物質から)実質的に精製された形態を含む、様々な形態のいずれか1つとすることができる。
【0152】
(核酸)
本発明はまた、本発明のポリペプチドおよびハイブリッドポリペプチドをコードする核酸も提供する。本発明はまた、本発明の1つ以上のポリペプチドまたはハイブリッドポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸も提供する。
【0153】
本発明はまた、このようなヌクレオチド配列に対して配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸も提供する。配列間の同一性は、好ましくは、上記のSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定される。このような核酸には、同じアミノ酸をコードする代替のコドンを用いる核酸も含まれる。
【0154】
本発明はまた、これらの核酸にハイブリダイズできる核酸も提供する。ハイブリダイゼーション反応は、異なる「ストリンジェンシー」の条件下で行うことができる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを高める条件は、当分野で周知であり、公表されている(例えば、Sambrookら(2001)、Molecular Cloning:A laboratory Manual、第3版(Cold Spring Harbor Laboratory Press)の頁7.52)。関連する条件の例は、(ストリンジェンシーが高くなる順に):25℃、37℃、50℃、55℃、および68℃のインキュベーション温度;10×SSC、6×SSC、1×SSC、0.1×SSC(SSCは、0.15M NaClおよび15mM クエン酸緩衝液)の緩衝液濃度および他の緩衝系を用いたそれらの同等物;0%、25%、50%、および75%のホルムアミド濃度;5分〜24時間のインキュベーション時間;1回、2回、またはそれ以上の洗浄ステップ;1分、2分、または15分の洗浄インキュベーション時間;および6×SSC、1×SSC、0.1×SSC、または脱イオン水の洗浄液を含む。ハイブリダイゼーション技術およびそれらの最適化は、当技術分野で周知である(例えば、参考文献25、26、Sambrookら(2001)などを参照されたい)。
【0155】
一部の実施形態では、本発明の核酸を、低いストリンジェンシー条件下で標的にハイブリダイズさせ;他の実施形態では、本発明の核酸を、中程度のストリンジェンシー条件下で標的にハイブリダイズさせ;好ましい実施形態では、本発明の核酸を、高いストリンジェンシー条件下で標的にハイブリダイズさせる。低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の例示的なセットは、50℃および10×SSCである。中程度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の例示的なセットは、55℃および1×SSCである。高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の例示的なセットは、68℃および0.1×SSCである。
【0156】
本発明は、これらの配列に相補的な配列を含む核酸(例えば、アンチセンスまたはプローブ用、またはプライマーとして使用のため)を包含する。
【0157】
本発明の核酸は、ハイブリダイゼーション反応(例えば、ノーザンまたはサザーンブロット、または核酸マイクロアレイすなわち「遺伝子チップ」)、増幅反応(例えば、PCR、SDA、SSSR、LCR、TMA、NASBAなど)、および他の核酸技術に使用することができる。
【0158】
本発明による核酸は、様々な形態(例えば、1本鎖、2本鎖、ベクター、プライマー、プローブ、標識化など)をとり得る。本発明の核酸は、環状または分岐でも良いが、一般的には線状である。特段の記載または必要がなければ、核酸を利用する本発明のどの実施形態も、2本鎖の形態、および2本鎖の形態を構成するそれぞれが相補的な2つの1本鎖の形態の両方を利用することができる。プライマーおよびプローブは、アンチセンス核酸であるため、一般に1本鎖である。
【0159】
本発明の核酸は、好ましくは、精製された形態または実質的に精製された形態、すなわち、他の核酸(例えば、自然発生の核酸)、特に他の大腸菌または宿主細胞の核酸を実質的に含まない形態で提供され、一般に、少なくとも約50%(重量)純粋、通常は少なくとも約90%純粋である。本発明の核酸は、好ましくは、大腸菌核酸である。
【0160】
本発明の核酸は、様々な方法、例えば、全部または一部の化学合成(例えば、DNAのホスホラミダイト合成)によって、ヌクレアーゼ(例えば、制限酵素)を用いた長い核酸の消化によって、短い核酸またはヌクレオチドの連結(例えば、リガーゼまたはポリメラーゼを用いる)によって、ゲノムまたはcDNAライブラリーなどから、調製することができる。
【0161】
本発明の核酸は、固体支持体(例えば、ビーズ、プレート、フィルター、フィルム、スライド、マイクロアレイ支持体、樹脂など)に付着させることができる。本発明の核酸は、例えば、放射性標識もしくは蛍光標識、またはビオチン標識で標識することができる。これは、核酸が検出技術に使用される場合、例えば、核酸がプライマーまたはプローブである場合に特に有用である。
【0162】
用語「核酸」は、一般に、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指し、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはそれらの類似体が含まれる。核酸には、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッドが含まれる。また、核酸には、DNAまたはRNA類似体、例えば、修飾された骨格(例えば、ペプチド核酸(PNA)もしくはホスホロチオエート)または修飾された塩基を含むものも含まれる。したがって、本発明は、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、DNA、cDNA、組換え核酸、分岐核酸、プラスミド、ベクター、プローブ、プライマーなどを包含する。本発明の核酸がRNAの形態をとる場合は、本発明の核酸は、5’キャップを備えても備えていなくても良い。
【0163】
本発明の核酸は、ベクターの一部、すなわち1つ以上の細胞型の形質導入/トランスフェクション用にデザインされた核酸構築物の一部とすることができる。ベクターは、例えば、挿入されたヌクレオチドの単離、増幅、および複製用にデザインされた「クローニングベクター」、宿主細胞でのヌクレオチド配列の発現用にデザインされた「発現ベクター」、組換えウイルスもしくはウイルス様粒子の生産をもたらすようにデザインされた「ウイルスベクター」、または2種類以上のベクターの性質を有する「シャトルベクター」とすることができる。好ましいベクターは、上述の通りプラスミドである。「宿主細胞」には、外来核酸のレシピエントであり得るか、または外来核酸のレシピエントである個々の細胞または細胞培養物が含まれる。宿主細胞には、単一宿主細胞の子孫が含まれ、この子孫は、天然、偶発的、または計画的な変異および/または変化により、元の親細胞と必ずしも完全に同一(形態において、またはすべてのDNA相補体において)でなくても良い。宿主細胞には、インビボまたはインビトロで、本発明の核酸でトランスフェクトまたは感染された細胞が含まれる。
【0164】
核酸がDNAである場合は、RNA配列中の「U」は、DNA中では「T」に置き換えられることを理解されたい。同様に、核酸がRNAである場合は、DNA配列中の「T」は、RNA中では「U」に置き換えられることを理解されたい。
【0165】
用語「相補体」または「相補的な」は、核酸に関連して使用される場合、ワトソン−クリック塩基対合を指す。したがって、Cの相補体はGであり、Gの相補体はCであり、Aの相補体はT(またはU)であり、T(またはU)の相補体はAである。また、相補体ピリミジン(CまたはT)に対して、例えば、I(プリンイノシン)などの塩基を使用することも可能である。
【0166】
本発明の核酸は、例えば:ポリペプチドを生産するために;生物学的サンプル中の核酸の検出用のハイブリダイゼーションプローブとして;核酸のさらなるコピーを作製するために;リボザイムもしくはアンチセンスオリゴヌクレオチドを作製するために;1本鎖DNAプライマーもしくはプローブとして;または3本鎖形成オリゴヌクレオチドとして、使用することができる。
【0167】
本発明は、本発明の核酸を作製するためのプロセスを提供し、この核酸は、一部またはすべてが化学手段を用いて合成される。
【0168】
本発明は、本発明の核酸配列を含むベクター(例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター)およびこのようなベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。
【0169】
本発明による核酸の増幅は、定量的および/またはリアルタイムとすることができる。
【0170】
本発明の特定の実施形態では、核酸は、好ましくは、少なくとも7個のヌクレオチド長である(例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300のヌクレオチド、またはそれよりも長い)。
【0171】
本発明の特定の実施形態では、核酸は、好ましくは、多くとも500個のヌクレオチド長である(例えば、450、400、350、300、250、200、150、140、130、120、110、100、90、80、75、70、65、60、55、50、45、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15ヌクレオチド、またはそれよりも短い)。
【0172】
本発明のプライマーおよびプローブ、ならびにハイブリダイゼーションに使用される他の核酸は、好ましくは、10〜30ヌクレオチド長である(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド)。
【0173】
(免疫原性組成物および薬物)
本発明のポリペプチドは、免疫原性組成物中の活性成分(免疫原)として有用であり、このような組成物は、ワクチンとして有用であり得る。本発明によるワクチンは、予防用(すなわち、感染を防止する)または治療用(すなわち、感染を処置する)のいずれかとすることができるが、典型的には予防用である。
【0174】
免疫原性組成物は、薬学的に許容され得る。免疫原性組成物は、通常は、抗原に加えて成分を含み、例えば、これらの成分は、典型的には、医薬キャリア(複数可)、賦形剤(複数可)、および/またはアジュバント(複数可)の1つ以上を含む。キャリアおよび賦形剤の詳細な議論は、参考文献155に記載されている。ワクチンアジュバントの詳細な議論は、参考文献27および28に記載されている。
【0175】
組成物は、一般に、水性形態で哺乳動物に投与される。しかしながら、投与前は、組成物は、非水性形態であっても良い。例えば、ある種のワクチンは、水性形態で製造され、次いで、同様に水性形態で充填され、供給され、投与されるが、他のワクチンは、製造中に凍結乾燥され、使用時に水性形態に再構成される。したがって、本発明の組成物は、凍結乾燥処方物のように乾燥させても良い。
【0176】
組成物は、チオメルサールまたは2−フェノキシエタノールなどの保存剤を含み得る。しかしながら、好ましくは、ワクチンは、水銀物質を実質的に含まない(すなわち、5μg/ml未満)、例えば、チオメルサールを含まないようにすべきである。水銀を含まないワクチンがより好ましい。保存剤を含まないワクチンが特に好ましい。
【0177】
熱安定を改善するために、組成物は、熱防御剤を含み得る。
【0178】
張度を調節するために、生理学的塩、例えば、ナトリウム塩を含めることが好ましい。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、これは、1〜20mg/ml、例えば、約10±2mg/ml NaClで存在しても良い。存在しても良い他の塩には、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、無水リン酸二ナトリウム(disodium phosphate dehydrate)、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが含まれる。
【0179】
組成物は、一般的には、200mOsm/kg〜400mOsm/kg、好ましくは240〜360mOsm/kgの重量オスモル濃度を有し、より好ましくは、290〜310mOsm/kgの範囲である。
【0180】
組成物は、1つ以上の緩衝液を含み得る。典型的な緩衝液には:リン酸緩衝液;トリス緩衝液;ホウ酸緩衝液;コハク酸緩衝液;ヒスチジン緩衝液(特に水酸化アルミニウムアジュバントと共に使用);またはクエン酸緩衝液が含まれる。緩衝液は、典型的には、5〜20mMの範囲で含められる。
【0181】
組成物のpHは、一般的には、5.0〜8.1、より典型的には、6.0〜8.0、例えば、6.5〜7.5、または7.0〜7.8である。
【0182】
組成物は、好ましくは、滅菌組成物である。組成物は、好ましくは、非発熱性であり、例えば、1用量当たり<1EU(エンドトキシン単位、標準的尺度)、好ましくは、1用量当たり<0.1EUを含む。組成物は、好ましくはグルテンを含まない。
【0183】
組成物は、単回免疫化用の物質を含んでも良いし、または複数回免疫化用の物質を含んでも良い(すなわち、「複数用量」キット)。複数用量準備では、保存剤を含めることが好ましい。複数用量組成物に保存剤を含める代わりとして(またはこれに加えて)、組成物は、物質を取り出すための無菌アダプターを備えた容器に含めることができる。
【0184】
ヒトワクチンは、典型的には、約0.5mlの投与量で投与されるが、子供には半分の用量(すなわち、約0.25ml)で投与することができる。
【0185】
本発明の免疫原性組成物は、1つ以上の免疫調節剤も含み得る。好ましくは、免疫調節剤の1つ以上は、1つ以上のアジュバントを含む。アジュバントは、以下に詳述するTH1アジュバントおよび/またはTH2アジュバントを含み得る。
【0186】
本発明の組成物に使用できるアジュバントには、限定されるものではないが、以下のものが含まれる。
【0187】
(A.ミネラル含有組成物)
本発明においてアジュバントとして使用するのに適したミネラル含有組成物は、ミネラル塩、例えば、アルミニウム塩およびカルシウム塩(またはそれらの混合物)を含む。カルシウム塩には、リン酸カルシウム(例えば、参考文献29に開示されている「CAP」粒子)が含まれる。アルミニウム塩には、水酸化物、リン酸塩、硫酸塩などが含まれ、塩は、任意の適当な形態(例えば、ゲル、結晶、非晶質など)をとる。これらの塩に対する吸着が好ましい。ミネラル含有組成物は、金属塩の粒子としても処方することができる[30]。
【0188】
水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムとして知られているアジュバントを使用することができる。これらの名称は、いずれも存在する実際の化合物の正確な記載ではないため、慣習的であり、便宜上のためだけに使用されるものである(例えば、参考文献27の第9章を参照されたい)。本発明は、一般にアジュバントとして使用される「水酸化物」アジュバントまたは「リン酸塩」アジュバントのいずれも使用することができる。「水酸化アルミニウム」として知られるアジュバントは、典型的には、オキシ水酸化アルミニウム塩であり、オキシ水酸化アルミニウム塩は、通常は少なくとも部分的に結晶である。「リン酸アルミニウム」として知られるアジュバントは、典型的には、少量の硫酸塩も含む場合が多いヒドロキシリン酸アルミニウム(すなわち、硫酸ヒドロキシリン酸アルミニウム)である。これらのアジュバントは、沈殿によって得ることができ、沈殿中の反応条件および濃度が、塩におけるホスフェートでのヒドロキシルの置換度に影響を与える。
【0189】
繊維形態(例えば、透過電子顕微鏡写真で見られるような)は、水酸化アルミニウムアジュバントの典型である。水酸化アルミニウムアジュバントのpIは、典型的には約11であり、すなわちアジュバント自体が、生理的pHで正の表面電荷を有する。pH7.4で、Al+++ 1mg当たり1.8〜2.6mgのタンパク質の吸着能が、水酸化アルミニウムアジュバントで報告されている。
【0190】
リン酸アルミニウムアジュバントは、一般に、0.3〜1.2、好ましくは0.8〜1.2、より好ましくは0.95±0.1のPO4/Alモル比を有する。リン酸アルミニウムは、一般に、非晶質であり、特にヒドロキシリン酸塩については非晶質である。典型的なアジュバントは、0.6mg Al3+/mlで含まれる、PO4/Alモル比が0.84〜0.92の非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムである。このリン酸アルミニウムは、一般に、粒子状である(例えば、透過電子顕微鏡写真で見られるようなプレート状の形態)。粒子の典型的な直径は、任意の抗原を吸着した後で0.5〜20μmの範囲(例えば、約5〜10μm)である。pH7.4で、Al+++ 1mg当たり0.7〜1.5mgのタンパク質の吸着能が、リン酸アルミニウムアジュバントで報告されている。
【0191】
リン酸アルミニウムのゼロ電荷点(PZC)は、ヒドロキシルのホスフェートでの置換度に反比例し、この置換度は、沈殿による塩の調製に使用される反応条件および反応物の濃度によって異なり得る。PZCはまた、溶液中の遊離リン酸イオンの濃度を変化させることによって(ホスフェートが多い=より酸性のPZC)、またはヒスチジン緩衝液などの緩衝液を添加することによって(PZCがより塩基性になる)変更される。本発明にしたがって使用されるリン酸アルミニウムは、一般に、4.0〜7.0、より好ましくは5.0〜6.5、例えば、約5.7のPZCを有する。
【0192】
本発明の組成物を調製するために使用されるアルミニウム塩の懸濁物は、緩衝液(例えば、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、またはトリス緩衝液)を含み得るが、これは、必ずしも含む必要はない。懸濁物は、好ましくは、無菌であり、発熱物質を含まない。懸濁物は、遊離型の水性リン酸イオンを含み得、例えば、1.0〜20mM、好ましくは5〜15mM、より好ましくは約10mMの濃度で存在する。懸濁物は、塩化ナトリウムも含み得る。
【0193】
本発明は、水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムの両方の混合物を使用することができる。この場合、水酸化アルミニウムよりもリン酸アルミニウムの方が多く存在し得、例えば、少なくとも2:1、例えば、≧5:1、≧6:1、≧7:1、≧8:1、≧9:1などの重量比とすることができる。
【0194】
患者に投与される組成物中のAl+++の濃度は、好ましくは、10mg/ml未満、例えば、≦5mg/ml、≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/mlなどである。好ましい範囲は、0.3〜1mg/mlである。最大0.85mg/用量が好ましい。
【0195】
(B.油エマルジョン)
本発明においてアジュバントとして使用するのに適した油エマルジョン組成物には、スクアレン−水エマルジョン、例えば、MF59[参考文献27の第10章;参考文献31も参照されたい](マイクロフルイダイザーを用いてサブミクロン粒子に処方された5%スクアレン、0.5%Tween80、および0.5%Span85)が含まれる。完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)も使用することができる。
【0196】
様々な水中油型エマルジョンアジュバントが知られており、このようなアジュバントは、典型的には、少なくとも1つの油および少なくとも1つの界面活性剤を含み、油(複数可)および界面活性剤(複数可)は、生体分解性(代謝可能)かつ生体適合性である。エマルジョン中の油滴は、一般に直径が5μmであり、理想的には直径がサブミクロンであり、これらの微小サイズは、安定したエマルジョンを提供するためにマイクロフルイダイザーで達成される。ろ過滅菌に供することができるように、サイズが220nm未満の液滴が好ましい。
【0197】
エマルジョンは、動物(例えば、魚)または植物供給源由来のような油を含み得る。植物油の供給源には、堅果、種子、および穀物が含まれる。ピーナッツ油、大豆油、ココナツ油、およびオリーブ油は、最も入手しやすく、堅果油の例である。例えば、ホホバ豆から得られるホホバ油も使用することができる。種子油には、ベニバナ油、綿実油、ヒマワリ種子油、およびゴマ種子油などが含まれる。穀物群では、コーン油が、最も入手しやすいが、他の穀類、例えば、コムギ、オートムギ、ライムギ、コメ、テフ、およびライコムギなどの油も使用することができる。グリセロールおよび1,2−プロパンジオールの6〜10炭素脂肪酸エステルは、種子油では自然に発生しないが、堅果油および種子油に由来する適切な材料の加水分解、分離、およびエステル化によって調製することができる。哺乳動物乳由来の脂肪および油は、代謝可能であるため、本発明の実施に使用することができる。動物供給源由来の純粋な油を得るために必要な分離、精製、鹸化、および他の手段の手順は、当技術分野で周知である。殆どの魚は、容易に収集できる代謝可能な油を含んでいる。例えば、タラ肝油、サメ肝油、および鯨ろうなどの鯨油は、本発明に使用できるいくつかの魚油の例である。多数の分岐鎖油が、5炭素イソプレン単位で生化学的に合成され、一般にテルペノイドと呼ばれる。サメ肝油には、スクアレン、2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサエンとして知られている分岐不飽和テルペノイドが含まれ、これは、本発明に特に好ましい。スクアレンの飽和類似体であるスクアランも好ましい油である。スクアレンおよびスクアランを含む魚油は、販売元から容易に入手可能であり、当技術分野で公知の方法によって得ることもできる。他の好ましい油は、トコフェロール(以下を参照されたい)である。油の混合物も使用することができる。
【0198】
界面活性剤は、その「HLB」(親水性/親油性バランス)によって分類することができる。本発明の好ましい界面活性剤は、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも16のHLBを有する。本発明は、限定されるものではないが、以下を含む界面活性剤と共に使用することができる:ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般的にはTweenと呼ばれる)、特にポリソルベート20およびポリソルベート80;DOWFAXTMの商品名で販売されているエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、および/またはブチレンオキシド(BO)のコポリマー、例えば、線状EO/POブロックコポリマー;オクトキシノール、これは反復エトキシ(オキシ−1、2−エタンジイル)基の数が異なることがあり、オクトキシノール9(TritonX−100またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)が特に重要である;(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA−630/NP−40);リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン(レシチン);ノニルフェノールエトキシレート、例えば、TergitolTMNPシリーズ;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステリルアルコール、およびオレイルアルコールに由来するポリオキシエチレン脂肪エーテル(Brij界面活性剤として知られている)、例えば、トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij30);およびソルビタンエステル(一般にSPANとして知られている)、例えば、ソルビタントリオレアート(Span85)およびソルビタンモノラウレート。非イオン性界面活性剤が好ましい。エマルジョンに含めるのに好ましい界面活性剤は、Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)、Span85(ソルビタントリオレアート)、レシチン、およびTritonX−100である。
【0199】
界面活性剤の混合物、例えば、Tween80/Span85混合物を使用することができる。ポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(Tween80)とオクトキシノール、例えば、t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(TritonX−100)の組み合わせも適切である。別の有用な組み合わせには、ラウレス9とポリオキシエチレンソルビタンエステルおよび/またはオクトキシノールが含まれる。
【0200】
界面活性剤の好ましい量(重量%)は:ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、Tween80)が0.01〜1%、特に約0.1%;オクチルフェノキシポリオキシエタノールまたはノニルフェノキシポリオキシエタノール(例えば、TritonX−100またはTritonシリーズの他の洗浄剤)が0.001〜0.1%、特に0.005%〜0.02%;ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ラウレス9)が0.1〜20%、好ましくは0.1〜10%、特に0.1〜1%または約0.5%である。
【0201】
好ましいエマルジョンアジュバントは、<1μm、例えば、≦750nm、≦500nm、≦400nm、≦300nm、≦250nm、≦220nm、≦200nm、またはそれ未満の平均液滴サイズを有する。これらの液滴サイズは、マイクロフルイダイゼーションなどの技術によって適宜達成することができる。
【0202】
本発明に有用な特定の水中油型エマルジョンアジュバントには、限定されるものではないが、以下のものが含まれる。
【0203】
・スクアレン、Tween80、およびSpan85のサブミクロンエマルジョン。エマルジョンの組成(容積)は、約5%スクアレン、約0.5%ポリソルベート80、約0.5%Span85とすることができる。重量では、これらの割合は、4.3%スクアレン、0.5%ポリソルベート80、0.48%Span85となる。このアジュバントは、「MF59」[32〜33]として知られており、さらなる詳細は、参考文献34の第10章および参考文献35の第12章に記載されている。MF59エマルジョンは、例えば、10mMクエン酸ナトリウム緩衝液などのクエン酸イオンを含むと有利である。
【0204】
・スクアレン、トコフェロール、およびTween80のエマルジョン。このエマルジョンは、リン酸緩衝生理食塩水を含み得る。このエマルジョンは、Span85(例えば、1%で)および/またはレシチンも含み得る。これらのエマルジョンは、2〜10%スクアレン、2〜10%トコフェロール、0.3〜3%Tween80を含み得、スクアレン:トコフェロールの重量比は、≦1がより安定なエマルジョンを提供するため、≦1が好ましい。スクアレンおよびTween80は、約5:2の容積比で存在し得る。1つのこのようなエマルジョンは、Tween80をPBSに溶解して2%溶液にし、次いでこの溶液90mlを混合物(DL−α−トコフェロール5gおよびスクアレン5ml)と混合して、この混合物をマイクロフルイダイズして作製することができる。得られるエマルジョンは、例えば、100〜250nm、好ましくは約180nmの平均直径であるサブミクロンの油滴を有し得る。
【0205】
・スクアレン、トコフェロール、およびTriton洗浄剤(例えば、TritonX−100)のエマルジョン。このエマルジョンはまた、3d−MPL(以下を参照されたい)を含み得る。このエマルジョンは、リン酸緩衝液を含み得る。
【0206】
・ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、Triton洗浄剤(例えば、TritonX−100)、およびトコフェロール(例えば、コハク酸α−トコフェロール)を含むエマルジョン。このエマルジョンは、約75:11:10(例えば、750μg/mlのポリソルベート80、110μg/mlのTritonX−100、および100μg/mlのコハク酸α−トコフェロール)の質量比でこれら3つの成分を含み得、そしてこれらの濃度は、これらの成分の抗原からのあらゆる寄与を含むはずである。このエマルジョンはまた、スクアレンを含み得る。このエマルジョンはまた、3d−MPL(以下を参照)を含み得る。この水相は、リン酸緩衝液を含み得る。
【0207】
・スクアレン、ポリソルベート80、およびポロキサマー401(「PluronicTML121」)のエマルジョン。このエマルジョンは、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水で処方することができる。このエマルジョンは、ムラミルジペプチドに有用な送達ビヒクルであり、「SAF−1」アジュバント[36](0.05〜1%のThr−MDP、5%スクアレン、2.5%Pluronic L121、および0.2%ポリソルベート80)においてトレオニル−MDPと共に使用された。このエマルジョンは、「AF」アジュバント[37](5%スクアレン、1.25%Pluronic L121、および0.2%ポリソルベート80)のように、Thr−MDPを用いずに使用することもできる。マイクロフルイダイゼーションが好ましい。
【0208】
・スクアレン、水性溶媒、ポリオキシエチレンアルキルエーテル親水性非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン(12)セトステアリルエーテル)、および疎水性非イオン性界面活性剤(例えば、ソルビタンエステルまたはマンニドエステル、例えば、ソルビタンモノオレアートまたは「Span80」)を含むエマルジョン。このエマルジョンは、好ましくは、熱可逆性であり、かつ/または少なくとも90容積%の、サイズが200nm未満の油滴を有する[38]。このエマルジョンはまた、アルジトール;凍結防止剤(例えば、糖、例えば、ドデシルマルトシドおよび/またはスクロース);および/またはアルキルポリグリコシドの1つ以上も含み得る。このようなエマルジョンは、凍結乾燥させることができる。
【0209】
・スクアレン、ポリキサマー105、およびAbil−Care[39]のエマルジョン。アジュバントワクチン中のこれらの成分の最終濃度(重量)は、5%スクアレン、4%ポリキサマー105(プルロニックポリオール)、および2%Abil−Care85(Bis−PEG/PPG−16/16 PEG/PPG−16/16ジメチコーン;トリカプリルグリセリド/トリカプリン酸グリセリド)である。
【0210】
・0.5〜50%の油、0.1〜10%のリン脂質、および0.05〜5%の非イオン性界面活性剤を有するエマルジョン。参考文献40に記載されているように、好ましいリン脂質成分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリン、およびカルジオリピンである。サブミクロンの液滴サイズが有利である。
【0211】
・代謝不可能な油(例えば、軽油)および少なくとも1つの界面活性剤(例えば、レシチン、Tween80、またはSpan80)のサブミクロン水中油型エマルジョン。添加物には、例えば、QuilAサポニン、コレステロール、サポニン−親油性結合体(例えば、参考文献41に記載され、グルクロン酸のカルボキシル基を介してデスアシルサポニン(desacylsaponin)に脂肪族アミンを付加することにより産生されるGPI−0100)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(dimethyidioctadecylammonium bromide)、および/またはN,N−ジオクタデシル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミンが含まれ得る。
【0212】
・サポニン(例えば、QuilAまたはQS21)およびステロール(例えば、コレステロール)がらせん状のミセルとして会合したエマルジョン[42]。
【0213】
・鉱油、非イオン性の親油性エトキシル化脂肪アルコール、および非イオン性の親水性界面活性剤(例えば、エトキシル化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)を含むエマルジョン[43]。
【0214】
・鉱油、非イオン性の親水性エトキシル化脂肪アルコール、および非イオン性の親油性界面活性剤(例えば、エトキシル化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)を含むエマルジョン[43]。
【0215】
一部の実施形態では、エマルジョンは、送達時に即席に抗原と混合され得るため、アジュバントおよび抗原は、使用時の最終処方に備えて、パッケージングされたワクチンまたは配布ワクチンにおいて別個に保つことができる。他の実施形態では、エマルジョンは、製造中に抗原と混合されるため、組成物は、液体アジュバントの形態でパッケージングされる。ワクチンが、2つの液体を混合することによって最終的に調製されるように、抗原は、一般に水性形態である。混合される2つの液体の容積比は、様々にすることができるが(例えば、5:1〜1:5)、一般に約1:1である。成分の濃度が、上記記載の特定のエマルジョンにおいて示されている場合、これらの濃度は、典型的には希釈されていない組成物に対するものであるため、抗原溶液との混合後の濃度は低下する。
【0216】
組成物がトコフェロールを含む場合、α、β、γ、δ、ε、またはζトコフェロールのいずれも使用できるが、α−トコフェロールが好ましい。このトコフェロールは、いくつかの形態、例えば、異なる塩および/または異性体をとり得る。塩には、有機塩、例えば、コハク酸塩、酢酸塩、ニコチン酸塩などが含まれる。D−α−トコフェロールおよびDL−α−トコフェロールの両方を使用することができる。トコフェロールは、高齢患者(例えば、60歳以上)用のワクチンに含めると有利である。なぜならば、ビタミンEは、この患者群の免疫応答に対してプラスの効果を有することが報告されているからである[44]。トコフェロールはまた、エマルジョンの安定化に役立ち得る抗酸化特性も有する[45]。好ましいα−トコフェロールは、DL−α−トコフェロールであり、このトコフェロールの好ましい塩は、コハク酸塩である。このコハク酸塩は、インビボでTNF関連リガンドと協働することが分かっている。
【0217】
(C.サポニン処方物[参考文献27の第22章])
サポニン処方物も、本発明のアジュバントとして使用することができる。サポニンは、多種多様な植物種の樹皮、葉、茎、根、および花にさえも見られるステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異質性の群である。Quillaia saponaria Molina樹の樹皮に由来するサポニンは、アジュバントとして広く研究されている。サポニンはまた、Smilax ornata(サルサパリラ(sarsaprilla))、Gypsophilla paniculata(ブライズベール(brides veil))、およびSaponaria officianalis(ソープルート(soap root))から購入することができる。サポニンアジュバント処方物には、精製処方物、例えば、QS21、ならびに脂質処方物、例えば、ISCOMが含まれる。QS21は、StimulonTMとして市販されている。
【0218】
サポニン組成物は、HPLCおよびRP−HPLCを用いて精製されている。これらの技術を用いて精製された特定の画分が同定されており、これらの画分には、QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−B、およびQH−Cが含まれる。好ましくは、このサポニンは、QS21である。QS21の製造方法は、参考文献46に開示されている。サポニン処方物はまた、ステロール、例えば、コレステロールも含み得る[47]。
【0219】
サポニンとコレステロールとの組み合わせを使用して、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる独特の粒子を形成することができる[参考文献27の第23章]。また、ISCOMには、典型的には、リン脂質、例えば、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンが含まれる。あらゆる周知のサポニンも、ISCOMに使用することができる。好ましくは、ISCOMは、QuilA、QHA、およびQHCの1つ以上を含む。ISCOMは、参考文献47〜48にさらに記載されている。任意選択で、ISCOMは、追加の洗浄剤を含まなくても良い[49]。
【0220】
サポニンをベースとしたアジュバントの開発の概要は、参考文献50および51で見ることができる。
【0221】
(D.ビロソームおよびウイルス様粒子)
ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)も、本発明においてアジュバントとして使用することができる。これらの構造物は、一般に、任意選択でリン脂質と組み合わせられるか、またはリン脂質と処方されるウイルス由来の1つ以上のタンパク質を含む。これらは、一般に、非病原性、非複製性であり、一般に、天然のウイルスゲノムを一切含まない。これらのウイルスタンパク質は、組換えにより作製しても良いし、またはウイルス全体から単離しても良い。ビロソームまたはVLPに使用するのに適したこれらのウイルスタンパク質には、インフルエンザウイルスに由来するタンパク質(例えば、HAまたはNA)、B型肝炎ウイルスに由来するタンパク質(例えば、コアタンパク質またはカプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルスに由来するタンパク質、麻疹ウイルスに由来するタンパク質、シンドビスウイルスに由来するタンパク質、ロタウイルスに由来するタンパク質、口蹄疫ウイルスに由来するタンパク質、レトロウイルスに由来するタンパク質、ノーウォークウイルスに由来するタンパク質、ヒトパピローマウイルスに由来するタンパク質、HIVに由来するタンパク質、RNAファージに由来するタンパク質、Qβファージに由来するタンパク質(例えば、コートタンパク質)、GAファージに由来するタンパク質、frファージに由来するタンパク質、AP205ファージに由来するタンパク質、およびTyに由来するタンパク質(例えば、レトロトランスポゾンTyタンパク質p1)が含まれる。VLPは、参考文献52〜53でさらに議論されている。ビロソームは、例えば、参考文献54でさらに議論されている。
【0222】
(E.細菌誘導体または微生物誘導体)
本発明に使用するのに適したアジュバントには、細菌誘導体または微生物誘導体、例えば、腸内細菌リポ多糖(LPS)の非毒性誘導体、リピドA誘導体、免疫刺激オリゴヌクレオチド、ならびにADPリボシル化トキシンおよびその無毒化誘導体が含まれる。
【0223】
LPSの無毒化誘導体には、モノホスホリルリピドA(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が含まれる。3dMPLは、4、5または6アシル化鎖を伴なう3脱O−アシル化モノホスホリルリピドAの混合物である。3脱O−アシル化モノホスホリルリピドAの好ましい「小粒子」形態は、参考文献55に開示されている。このような3dMPLの「小粒子」は、0.22μm膜に通されて滅菌濾過されるように十分に小さい[55]。他の非毒性LPS誘導体には、モノホスホリルリピドA模倣物、例えば、アミノアルキルグルコサミニドリン酸誘導体、例えば、RC−529が含まれる[56、57]。
【0224】
リピドA誘導体には、大腸菌由来のリピドA誘導体、例えば、OM−174が含まれる。OM−174は、例えば、参考文献58および59に記載されている。
【0225】
本発明においてアジュバントとして使用するのに適した免疫刺激オリゴヌクレオチドには、CpGモチーフ(グアノシンにリン酸結合により連結された非メチル化シトシンを含むジヌクレオチド配列)を含むヌクレオチド配列が含まれる。2本鎖RNAおよびパリンドローム配列またはポリ(dG)配列を含むオリゴヌクレオチドも、免疫刺激性であることが示されている。
【0226】
CpGは、ヌクレオチド修飾/類似体、例えば、ホスホロチオエート修飾を含み得、2本鎖または1本鎖であり得る。参考文献60、61、および62は、可能な類似体の置換、例えば、グアノシンの2’−デオキシ−7−デアザグアノシンでの置換を開示している。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、参考文献63〜64でさらに議論されている。
【0227】
CpG配列は、TLR9、例えば、GTCGTTモチーフまたはTTCGTTモチーフに向けられ得る[65]。CpG配列、例えば、CpG−A ODNは、Th1免疫応答の誘導に特異的であり得、または、例えば、CpG−B ODNは、B細胞応答の誘導により特異的であり得る。CpG−A ODNおよびCpG−B ODNは、参考文献66〜67で議論されている。好ましくは、上記CpGは、CpG−A ODNである。
【0228】
好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、5’末端が受容体認識のためにアクセス可能であるように構築される。任意選択で、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列を、それらの3’末端で付着して「イムノマー(immunomer)」を形成することができる。例えば、参考文献65および68〜69を参照されたい。
【0229】
有用なCpGアジュバントは、ProMuneTM(Coley Pharmaceutical Group、Inc.)としても知られているCpG7909である。もう1つは、CpG1826である。CpG配列の使用の代替として、またはこれに加えて、TpG配列を使用することができ[70]、これらのオリゴヌクレオチドは、非メチル化CpGモチーフを含まなくても良い。免疫刺激オリゴヌクレオチドは、ピリミジンリッチであり得る。例えば、免疫刺激オリゴヌクレオチドは、2つ以上の連続したチミジンヌクレオチド(例えば、参考文献70に開示されているTTTT)を含み得、かつ/またはチミジンが>25%(例えば、>35%、>40%、>50%、>60%、>80%など)のヌクレオチド組成を有し得る。例えば、免疫刺激オリゴヌクレオチドは、2つ以上の連続したシトシンヌクレオチド(例えば、参考文献70に開示されているCCCC)を含み得、かつ/またはシトシンが>25%(例えば、>35%、>40%、>50%、>60%、>80%など)のヌクレオチド組成を有し得る。これらのオリゴヌクレオチドは、非メチル化CpGモチーフを含まなくても良い。免疫刺激オリゴヌクレオチドは、典型的には、少なくとも20のヌクレオチドを含む。免疫刺激オリゴヌクレオチドは、100未満のヌクレオチドを含み得る。
【0230】
免疫刺激オリゴヌクレオチドをベースとした特に有用なアジュバントは、IC−31TMとして知られている[71]。したがって、本発明に使用されるアジュバントは、(i)少なくとも1つ(および好ましくは複数)のCpIモチーフ(すなわち、シトシンがイノシンに連結されてジヌクレオチドを形成している)を含むオリゴヌクレオチド(例えば、15〜40ヌクレオチド)と(ii)ポリカチオンポリマー、例えば、少なくとも1つ(および好ましくは複数)のLys−Arg−Lysトリペプチド配列(複数可)を含むオリゴペプチド(例えば、5〜20のアミノ酸)との混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、26マー配列5’−(IC)13−3’(配列番号684)を含むデオキシヌクレオチドであり得る。ポリカチオンポリマーは、11マーアミノ酸配列KLKLLLLLKLK(配列番号685)を含むペプチドであり得る。
【0231】
細菌ADPリボシル化トキシンおよびその無毒化誘導体は、本発明においてアジュバントとして使用することができる。好ましくは、このタンパク質は、大腸菌(大腸菌熱不安定性エンテロトキシン「LT」)、コレラ菌(「CT」)、または百日咳菌(「PT」)に由来する。無毒化ADPリボシル化トキシンの粘膜アジュバントとしての使用が、参考文献72に記載されており、非経口的アジュバントとしての使用が、参考文献73に記載されている。このトキシンまたはトキソイドは、好ましくは、AサブユニットおよびBサブユニットの両方を含むホロトキシンの形態である。好ましくは、このAサブユニットは、無毒化変異を含み;好ましくは、このBサブユニットは、変異していない。好ましくは、このアジュバントは、無毒化LT改変体、例えば、LT−K63、LT−R72およびLT−G192である。ADPリボシル化トキシンおよびその無毒化誘導体、特に、LT−K63およびLT−R72のアジュバントとしての使用は、参考文献74〜75で確認することができる。有用なCT改変体は、CT−E29Hである[76]。アミノ酸置換についての数値の言及は、好ましくは、参考文献77に記載されているADPリボシル化トキシンのAサブユニットとBサブユニットとのアラインメントに基づいている。参考文献77は、アラインメントおよびその中でのアミノ酸の番号付与のためだけに参照によりその全容が本明細書に明確に組み入れられる。
【0232】
(F.ヒト免疫調節因子)
本発明においてアジュバントとして使用するのに適したヒト免疫調節因子には、サイトカイン、例えば、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12[78]など)[79]、インターフェロン(例えば、インターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子が含まれる。好ましい免疫調節因子は、IL−12である。
【0233】
(G.生体付着物および粘膜付着物)
生体付着物および粘膜付着物も、本発明においてアジュバントとして使用することができる。適した生体付着物には、エステル化ヒアルロン酸マイクロスフェア[80]または粘膜付着物、例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖、およびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体が含まれる。キトサンおよびその誘導体もまた、本発明においてアジュバントとして使用することができる[81]。
【0234】
(H.微粒子)
微粒子も、本発明においてアジュバントとして使用することができる。微粒子(すなわち、直径が約100nm〜約150μm、より好ましくは、直径が約200nm〜約30μm、最も好ましくは、直径が約500nm〜約10μmの粒子)は、生分解性かつ無毒性である材料(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)から形成され、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)が好ましく、任意選択で、負に荷電した表面を有するように(例えば、SDSを使用)、または正に荷電した表面を有するように(例えば、カチオン性洗浄剤、例えば、CTABを使用)処理される。
【0235】
(I.リポソーム(参考文献27の第13章および第14章))
アジュバントとしての使用に適したリポソーム処方物の例が、参考文献82〜83に記載されている。
【0236】
(J.ポリオキシエチレンエーテル処方物およびポリオキシエチレンエステル処方物)
本発明での使用に適しているアジュバントには、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルが含まれる[84]。このような処方物には、オクトキシノールと組み合わせられたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤[85]、ならびに少なくとも1つの追加の非イオン性界面活性剤、例えば、オクトキシノールと組み合わせられたポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステル界面活性剤[86]がさらに含まれる。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、次の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(ラウレス9)、ポリオキシエチレン−9−ステアリルエーテル(steorylether)、ポリオキシエチレン−8−ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
【0237】
(K.ホスファゼン)
ホスファゼン、例えば、参考文献87および88に記載されているポリ[ジ(カルボキシラトフェノキシ)ホスファゼン](「PCPP」)などを使用することができる。
【0238】
(L.ムラミルペプチド)
本発明においてアジュバントとしての使用に適したムラミルペプチドの例には、N−アセチルムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(ノル−MDP)、およびN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)が含まれる。
【0239】
(M.イミダゾキノロン化合物)
本発明においてアジュバントとしての使用に適したイミダゾキノロン化合物の例には、イミキモドおよび(「R−837」)[89、90]、レシキモド(「R−848」)[91]、およびそれらの類似体;およびそれらの塩(例えば、塩酸塩)が含まれる。免疫刺激イミダゾキノリンについてのさらなる詳細は、参考文献92〜93で見ることができる。
【0240】
(N.置換尿素)
アジュバントとして有用な置換尿素には、式I、II、IIIの化合物:
【0241】
【化56】
またはそれらの塩が含まれる。参考文献94に、例えば、「ER803058」、「ER803732」、「ER804053」、ER804058」、「ER804059」、「ER804442」、「ER804680」、「ER804764」、「ER803022」、または「ER804057」として定義されている。例えば:
【0242】
【化57】
である。
【0243】
(O.さらなるアジュバント)
本発明に使用できるさらなるアジュバントには以下のものが含まれる。
【0244】
・アミノアルキルグルコサミニドリン酸誘導体、例えば、RC−529[95、96]。
【0245】
・チオセミカルバゾン化合物、例えば、参考文献97に開示されている化合物。活性化合物の処方、製造、およびスクリーニングの方法も参考文献97に記載されている。チオセミカルバゾンは、サイトカイン、例えば、TNF−αの産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激に特に有効である。
【0246】
・トリプタントリン化合物、例えば、参考文献98に開示される化合物。活性化合物について処方、製造およびスクリーニングする方法も参考文献98に記載されている。チオセミカルバゾンは、サイトカイン、例えば、TNF−αの産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激に特に有効である。
【0247】
・ヌクレオシド類似体、例えば:(a)イサトラビン(Isatorabine)(ANA−245;7−チア−8−オキソグアノシン):
【0248】
【化58】
およびそのプロドラッグ;(b)ANA975;(c)ANA−025−1;(d)ANA380;(e)参考文献99〜100に開示されている化合物、ロキソリビン(7−アリル−8−オキソグアノシン)[101]。
【0249】
・次のもの含む参考文献102に開示されている化合物:アシルピペラジン化合物、インドールジオン化合物、テトラヒドライソキノリン(THIQ)化合物、ベンゾシクロジオン化合物、アミノアザビニル化合物、アミノベンズイミダゾールキノリノン(ABIQ)化合物[103、104]、ヒドラフタラミド(Hydrapthalamide)化合物、ベンゾフェノン化合物、イソキサゾール化合物、ステロール化合物、キナジリノン(Quinazilinone)化合物、ピロール化合物[105]、アントラキノン化合物、キノキサリン化合物、トリアジン化合物、ピラゾロピリミジン(Pyrazalopyrimidine)化合物、およびベンザゾール化合物[106]。
【0250】
・リン酸を含む非環式骨格に連結された脂質を含む化合物、例えば、TLR4アンタゴニストE5564[107、108]。
【0251】
・ポリオキシドニウムポリマー[109、110]または他のN−酸化ポリエチレン−ピペラジン誘導体。
【0252】
・メチルイノシン5’−1リン酸(「MIMP」)[111]。
【0253】
・ポリヒドロキシル化ピロリジジン化合物[112]、例えば、以下の式を有する化合物:
【0254】
【化59】
式中、Rは水素、線状または分岐、非置換または置換、飽和または不飽和アシル基、アルキル基(例えば、シクロアルキル基)、アルケニル基、アルキニル基、およびアリール基、またはそれらの薬学的に許容され得る塩もしくは誘導体を含む群より選択される。例として、限定されるものではないが:カスアリン、カスアリン−6−α−D−グルコピラノース、3−エピ−カスアリン、7−エピ−カスアリン、3,7−ジエピ−カスアリンなどが挙げられる。
【0255】
・CD1dリガンド、例えば、α−グリコシルセラミド[113〜114](例えば、α−ガラクトシルセラミド)、フィトスフィンゴシン含有α−グリコシルセラミド、OCH、KRN7000[(2S,3S,4R)−1−O−(α−D−ガラクトピラノシル)−2−(N−ヘキサコサノイルアミノ)−1,3,4−オクタデカントリオール]、CRONY−101、3’’−O−スルホ−ガラクトシルセラミドなど。
【0256】
・ガンマイヌリン[115]またはその誘導体、例えば、アルガムリン(algammulin):
【0257】
【化60】
など。
【0258】
(アジュバントの組み合わせ)
本発明はまた、上で同定された1つ以上のアジュバントの態様の組み合わせも含み得る。例えば、次のアジュバント組成物を本発明で使用することができる:(1)サポニンおよび水中油型エマルジョン[116];(2)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)[117];(3)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール;(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(任意選択で、+ステロール)[118];(5)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油型エマルジョンとの組み合わせ[119];(6)サブミクロンエマルジョンにマイクロフルイダイズされたか、またはボルテックスされて大きな粒径のエマルジョンにされた、10%スクアラン、0.4%Tween80TM、5%プルロニック−ブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含むSAF;(7)2%スクアレンと、0.2%Tween80と、モノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコラート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)からなる群からの1つ以上の細菌細胞壁成分、好ましくは、MPL+CWS(DetoxTM)とを含むRibiTMアジュバント系(RAS)(Ribi Immunochem);および(8)1つ以上のミネラル塩(例えば、アルミニウム塩)+LPSの非毒性誘導体(例えば、3dMPL)。
【0259】
免疫刺激剤として作用する他の物質は、参考文献27の第7章に開示されている。
【0260】
水酸化アルミニウムアジュバントおよび/またはリン酸アルミニウムアジュバントの使用が特に好ましく、抗原は、一般にこれらの塩に吸着される。リン酸カルシウムは、別の好ましいアジュバントである。他の好ましいアジュバントの組み合わせには、Th1アジュバントとTh2アジュバントとの組み合わせ、例えば、CpGとアラム(alum)またはレシキモドとアラムの組み合わせが含まれる。リン酸アルミニウムと3dMPLとの組み合わせも使用することができる。
【0261】
本発明の組成物は、細胞媒介免疫応答および体液性免疫応答の両方を誘発することができる。この免疫応答は、好ましくは、持続性(例えば、中和)抗体、および肺炎球菌への曝露の際に迅速に応答し得る細胞媒介免疫を誘導する。
【0262】
CD4細胞およびCD8細胞の2種類のT細胞は、一般に、細胞媒介免疫および体液性免疫を開始させ、かつ/または増強するために必要であると考えられている。CD8T細胞は、CD8共受容体を発現することができ、これは、一般に細胞傷害性Tリンパ球(CTL)と呼ばれる。CD8T細胞は、MHCクラスI分子上に提示された抗原を認識することができ、またはこの抗原と相互作用することができる。
【0263】
CD4T細胞は、CD4共受容体を発現することができ、これは、一般にTヘルパー細胞と呼ばれている。CD4T細胞は、MHCクラスII分子に結合した抗原ペプチドを認識することができる。MHCクラスII分子との相互作用の際に、CD4細胞は、サイトカインなどの因子を分泌することができる。これらの分泌されたサイトカインは、B細胞、細胞傷害性T細胞、マクロファージ、および免疫応答に関与する他の細胞を活性化させることができる。ヘルパーT細胞またはCD4+細胞は、次の2つの機能的に異なるサブセット:サイトカインおよびエフェクター機能が異なるTH1表現型と、TH2表現型とにさらに分けることができる。
【0264】
活性化されたTH1細胞は、細胞性免疫(抗原特異的CTL産生の増加を含む)を増強し、したがって、細胞内感染に対する応答で特に有益である。活性化されたTH1細胞は、IL−2、IFN−γ、およびTNF−βの1つ以上を分泌し得る。TH1免疫応答は、マクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞、およびCD8細胞傷害性T細胞(CTL)を活性化させることによって局所炎症反応を引き起こし得る。TH1免疫応答はまた、IL−12でB細胞およびT細胞の増殖を刺激することによって免疫応答を拡大するように作用し得る。TH1で刺激されたB細胞は、IgG2aを分泌し得る。
【0265】
活性化されたTH2細胞は、抗体の産生を促進し、したがって細胞外感染に対する応答で有益である。活性化されたTH2細胞は、IL−4、IL−5、IL−6、およびIL−10の1つ以上を分泌し得る。TH2免疫応答は、IgG1、IgE、IgA、および記憶B細胞(将来の防御のため)の産生を引き起こし得る。
【0266】
免疫応答の増強には、TH1免疫応答の増強およびTH2免疫応答の増強の1つ以上が含まれ得る。
【0267】
TH1免疫応答には、CTLの増加、TH1免疫応答に関連する1つ以上のサイトカイン(例えば、IL−2、IFN−γ、およびTNF−β)の増加、活性化されたマクロファージの増加、NK活性の増加、またはIgG2a産生の増加の1つ以上が含まれ得る。好ましくは、TH1免疫応答の増強には、IgG2aの産生の増加が含まれる。
【0268】
TH1免疫応答は、TH1アジュバントを使用して誘発することができる。TH1アジュバントは、一般に、アジュバントを使用しない抗原の免疫化と比較して、IgG2aの産生レベルの増加を誘発する。本発明での使用に適したTH1アジュバントには、例えば、サポニン処方物、ビロソームおよびウイルス様粒子、腸内細菌リポ多糖(LPS)の非毒性誘導体、免疫刺激オリゴヌクレオチドが含まれ得る。免疫刺激オリゴヌクレオチド、例えば、CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドなどは、本発明での使用に好ましいTH1アジュバントである。
【0269】
TH2免疫応答には、TH2免疫応答に関連するサイトカイン(例えば、IL−4、IL−5、IL−6、およびIL−10)の1つ以上の増加、またはIgG1、IgE、IgA、および記憶B細胞の産生の増加の1つ以上が含まれ得る。好ましくは、TH2免疫応答の増強には、IgG1産生の増加が含まれる。
【0270】
TH2免疫応答は、TH2アジュバントを用いて誘発することができる。TH2アジュバントは、一般に、アジュバントを使用しない抗原の免疫化と比較して、IgG1の産生レベルの増加を誘発する。本発明での使用に適切なTH2アジュバントには、例えば、ミネラル含有組成物、油エマルジョン、ならびにADPリボシル化毒素およびその解毒化誘導体が含まれる。ミネラル含有組成物、例えば、アルミニウム塩は、本発明での使用に好ましいTH2アジュバントである。
【0271】
好ましくは、本発明は、TH1アジュバントとTH2アジュバントとの組み合わせを含む組成物を包含する。好ましくは、このような組成物は、TH1応答の増強およびTH2応答の増強、すなわちアジュバントを使用しない免疫化と比較して、IgG1およびIgG2aの両方の産生の増加を誘発する。なおより好ましくは、TH1アジュバントとTH2アジュバントとの組み合わせを含む組成物は、単一アジュバントを使用した免疫化と比較して(すなわち、TH1アジュバントのみを使用した免疫化またはTH2アジュバントのみを使用した免疫化と比較して)、TH1免疫応答の増強および/またはTH2免疫応答の増強を誘発する。
【0272】
免疫応答は、TH1免疫応答およびTH2応答の一方または両方であり得る。好ましくは、免疫応答は、TH1応答の増強およびTH2応答の増強の一方または両方をもたらす。
【0273】
免疫応答の増強は、全身免疫応答および粘膜免疫応答の一方または両方であり得る。好ましくは、免疫応答は、全身免疫応答の増強および粘膜免疫応答の増強の一方または両方をもたらす。好ましくは、粘膜免疫応答は、TH2免疫応答である。好ましくは、粘膜免疫応答には、IgAの産生の増加が含まれる。
【0274】
大腸菌は、様々な解剖学的部位に疾患を引き起こし得るため[4]、本発明の組成物は、様々な形態で調製することができる。例えば、本組成物は、液体溶液または懸濁物のいずれかの注射可能物として調製することができる。注射前の液体ビヒクルにおける溶液または懸濁物に適した固体形態も調製することができる(例えば、凍結乾燥組成物またはスプレー凍結乾燥組成物)。組成物は、例えば、軟膏、クリーム、または粉末として局所投与用に調製することができる。組成物は、例えば、錠剤もしくはカプセル、スプレー、またはシロップ(任意選択で、矯味矯臭される)として経口投与用に調製することができる。組成物は、微粉末またはスプレーを用いて、例えば、吸入剤として肺投与用に調製することができる。組成物は、座剤またはペッサリーとして調製することができる。組成物は、例えば、滴剤として、点鼻投与、点耳投与、または点眼投与用に調製することができる。組成物は、患者への投与直前に組み合わせた組成物が再構成されるようにデザインされたキット形態にすることができる。このようなキットは、1つ以上の液体形態の抗原および1つ以上の凍結乾燥抗原を含み得る。
【0275】
組成物が、使用前に即席で調製されるものであり(例えば、成分が凍結乾燥形態で存在する場合)、かつキットとして存在する場合、キットは、2つのバイアルを含むか、または1つの予め充填されたシリンジと1つのバイアルとを含むことができ、シリンジの内容物は、注射前にバイアルの内容物を再活性化するために使用される。
【0276】
ワクチンとして使用される免疫原性組成物は、免疫学的有効量の抗原(複数可)、ならびに必要に応じて任意の他の成分も含む。「免疫学的有効量」は、単回投与または連続投与の一部のいずれかでの個体への投与量が、処置または予防に有効であることを意味する。この量は、処置される個体の健康および身体の状態、年齢、処置される個体の分類群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、個体の免疫系が抗体を合成する能力、望ましい防御の程度、ワクチンの処方、処置する医師の医学的状態の評価、および他の関連する因子によって異なる。この量は、ルーチンの試験によって決定することができる比較的広い範囲であると予想される。
【0277】
(処置方法およびワクチンの投与)
本発明はまた、有効量の本発明の組成物を投与するステップを含む、哺乳動物に免疫応答を惹起する方法も提供する。免疫応答は、好ましくは防御免疫応答であり、好ましくは抗体媒介免疫および/または細胞媒介免疫を伴う。この方法は、追加免疫応答を惹起し得る。
【0278】
本発明はまた、薬物として使用される、例えば、哺乳動物における免疫応答の惹起に使用される本発明のポリペプチドも提供する。
【0279】
本発明はまた、哺乳動物で免疫応答を惹起するための薬物の製造における本発明のポリペプチドの使用も提供する。
【0280】
本発明はまた、本発明の免疫原性組成物が予め充填された送達デバイスも提供する。
【0281】
これらの使用および方法による哺乳動物における免疫応答の惹起により、哺乳動物を、ExPEC菌株および非ExPEC菌株を含む大腸菌感染から防御することができる。本発明は、腸内病原型、例えば、EPEC、EAEC、EIEC、ETEC、およびDAEC病原型を含む病原性大腸菌に対する広範囲の防御を提供するのに特に有用である。したがって、哺乳動物は、限定されるものではないが、腹膜炎、腎盂腎炎、膀胱炎、心内膜炎、前立腺炎、尿路感染(UTI)、髄膜炎(特に、新生児髄膜炎)、敗血症(またはSIRS)、脱水症、肺炎、下痢(乳児下痢、旅行者の下痢、急性の下痢、持続性の下痢など)、細菌性赤痢、溶血尿毒症症候群(HUS)、心膜炎、細菌尿症などを含む疾患から防御され得る。
【0282】
哺乳動物は、好ましくはヒトであるが、大腸菌疾患は、例えば、ウシ、ブタ、ニワトリ、ネコ、またはイヌなどの種でも問題であるため、これらの種でも良い[4]。ワクチンが予防用である場合は、ヒトは、好ましくは子供(例えば、幼児または乳児)または十代であり;ワクチンが治療用である場合は、ヒトは、好ましくは十代または成人である。子供用のワクチンは、例えば、安全性、投与量、免疫原性などを評価するために成人にも投与して良い。
【0283】
治療処置の効力をチェックする1つの方法では、本発明の組成物の投与後の大腸菌感染のモニタリングが行われる。予防処置の効力をチェックする1つの方法では、本発明の組成物の投与後の、この組成物中の抗原に対する全身免疫応答のモニタリング(例えば、IgG1およびIgG2aの産生レベルのモニタリング)および/または粘膜免疫応答のモニタリング(例えば、IgAの産生レベルのモニタリング)が含まれる。典型的には、抗原特異的血清抗体応答は、チャレンジ前ではなく免疫化後に決定されるが、抗原特異的粘膜抗体応答は、免疫化後およびチャレンジ後に決定される。
【0284】
本発明の組成物の免疫原性を評価する別の方法では、免疫ブロットおよび/またはマイクロアレイによる患者の血清または粘膜分泌物のスクリーニングのために組換えによりタンパク質を発現させる。タンパク質と患者のサンプルとの間の陽性反応は、患者が問題のタンパク質に対して免疫応答を開始したことを示す。この方法はまた、免疫優性抗原および/または抗原中のエピトープを同定するためにも使用することができる。
【0285】
ワクチン組成物の効力はまた、大腸菌感染の動物モデル、例えば、モルモットまたはマウスをワクチン組成物でチャレンジすることによってインビボで決定することができる。ExPECおよび致死性敗血症のマウスモデルが参考文献120に記載されている。コットンラットモデルが、参考文献121に開示されている。
【0286】
本発明の組成物は、一般に、患者に直接投与される。直接送達は、非経口注射(例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、または組織の間質腔へ)、または経粘膜投与、例えば、直腸投与、経口投与(例えば、タブレット、スプレー)、膣投与、局所投与、経皮投与(transdermal)もしくは経皮投与(transcutaneous)、鼻腔投与、眼投与、耳投与、肺投与、または他の粘膜投与によって行うことができる。新規の直接送達形態はまた、食物における本明細書に開示されるポリペプチドのトランスジェニック発現を含み得る(例えば、ポテトにおけるトランスジェニック発現)。
【0287】
本発明は、全身免疫および/または粘膜免疫を誘発するため、好ましくは全身免疫および/または粘膜免疫の増強を誘発するために使用することができる。
【0288】
好ましくは、全身免疫および/または粘膜免疫の増強は、TH1免疫応答および/またはTH2免疫応答の増強に反映される。好ましくは、免疫応答の増強には、IgG1および/またはIgG2aおよび/またはIgAの産生の上昇が含まれる。
【0289】
投与は、単回投与スケジュールまたは複数回投与スケジュールによるものとすることができる。複数回投与は、一次免疫化スケジュールおよび/または追加免疫化スケジュールに使用することができる。複数回投与スケジュールでは、様々な用量を、同じかまたは異なる経路、例えば、非経口の一次と粘膜の追加、粘膜の一次と非経口の追加などによって投与することができる。複数回投与は、典型的には、少なくとも1週間(例えば、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約16週間など)の間隔で投与する。
【0290】
本発明のワクチンは、子供および成人の両方の処置に使用することができる。したがって、ヒト患者は、1歳未満、1〜5歳、5〜15歳、15〜55歳、または少なくとも55歳であり得る。ワクチン投与に好ましい患者は、高齢者(例えば、≧50歳、≧60歳、および好ましくは≧65歳)、幼若者(例えば、≦5歳)、入院患者、医療従事者、軍人および兵士、妊婦、慢性疾患患者、または免疫不全患者である。しかしながら、ワクチンは、これらの群のみに適しているのではなく、ある集団でより広く使用することができる。
【0291】
本発明のワクチンは、外科手術を予定している患者、または他の入院患者に特に有用である。本発明のワクチンはまた、カテーテルが挿入されている患者にも有用である。本発明のワクチンはまた、青年期の女性(例えば、11〜18歳)および慢性尿路感染の患者にも有用である。
【0292】
本発明のワクチンは、他のワクチンと実質的に同時に(例えば、同じ診察中、または医療従事者もしくはワクチンセンターを訪問中)、例えば、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、風疹ワクチン、MMRワクチン、水痘ワクチン、MMRVワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、百日咳ワクチン、DTPワクチン、結合H.influenzae b型ワクチン、不活化ポリオウイルスワクチン、B型肝炎ウイルスワクチン、髄膜炎菌結合ワクチン(例えば、4価A−C−W135−Yワクチン)、RSウイルスワクチンなどと実質的に同時に患者に投与することができる。
【0293】
(核酸免疫法)
上記の免疫原性組成物には、ポリペプチド抗原が含まれる。しかしながら、いずれの場合も、ポリペプチド抗原は、核酸免疫法に基づいて組成物、方法、および使用を提供するために、これらのポリペプチドをコードする核酸(典型的にはDNA)によって置き換えることができる。核酸免疫法は、現在は発展した分野である(例えば、参考文献122〜123などを参照)。
【0294】
免疫原をコードする核酸は、患者への送達後にインビボで発現され、次いで発現された免疫原が免疫系を刺激する。活性成分は、典型的には、(i)プロモーター;(ii)プロモーターに作動可能に連結された免疫原をコードする配列;および任意選択で(iii)選択マーカーを含む、核酸ベクターの形態をとる。好ましいベクターは、(iv)複製起点;および(v)(ii)に作動可能に連結された下流の転写ターミネーターをさらに含み得る。一般に、(i)および(v)は、真核生物性であり、(iii)および(iv)は、原核生物性である。
【0295】
好ましいプロモーターは、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)由来のウイルスプロモーターである。ベクターは、プロモーターに加えて転写調節配列(例えば、エンハンサー)も含み得、この転写調節配列は、プロモーターと機能的に相互作用する。好ましいベクターには、前初期CMVエンハンサー/プロモーターが含まれ、より好ましいベクターには、CMVイントロンAも含まれる。プロモーターは、免疫原をコードする配列の発現がプロモーターの制御下となるように、免疫原をコードする下流の配列に作動可能に連結されている。
【0296】
マーカーが使用される場合、マーカーは、好ましくは微生物宿主内(例えば、原核生物内、細菌内、酵母内)で機能する。マーカーは、好ましくは原核生物選択マーカー(例えば、原核生物のプロモーターの制御下で転写される)である。便宜上、典型的なマーカーは、抗生物質耐性遺伝子である。
【0297】
本発明のベクターは、好ましくは、自律複製エピソームベクターまたは染色体外ベクター、例えば、プラスミドである。
【0298】
本発明のベクターは、好ましくは複製起点を含む。この複製起点は、真核生物ではなく原核生物で活性であることが好ましい。
【0299】
したがって、好ましいベクターは、ベクター選択用の原核生物マーカー、原核生物の複製起点、免疫原をコードする配列の転写を駆動する真核生物のプロモーターを含む。したがって、ベクターは、(a)原核生物宿主では、ポリペプチドが発現されずに増幅され選択されるが、(b)真核生物宿主では、増幅されずに発現される。この取り合わせが、核酸免疫法ベクターにとって理想的である。
【0300】
本発明のベクターは、コード配列の下流の真核生物転写ターミネーター配列を含み得る。これは、転写レベルを増進させることができる。コード配列が独自のものを有さない場合は、本発明のベクターは、好ましくはポリアデニル化配列を含む。好ましいポリアデニル化配列は、ウシ成長ホルモン由来である。
【0301】
本発明のベクターは、複数のクローニング部位を含み得る。
【0302】
免疫原およびマーカーをコードする配列に加えて、ベクターは、第2の真核生物コード配列を含み得る。ベクターは、免疫原と同じ転写物からの第2の真核生物ポリペプチドの翻訳を可能にするために、前記第2の配列の上流のIRESも含み得る。別法では、免疫原コード配列は、IRESの下流でも良い。
【0303】
本発明のベクターは、非メチル化CpGモチーフ、例えば、2つの5’プリンおよび2つの3’ピリミジンが隣接した、グアノシンの前のシトシンを共通して有する非メチル化DNA配列を含み得る。これらの非メチル化形態において、これらのDNAモチーフは、いくつかの種類の免疫細胞の強力な刺激因子であることが実証された。
【0304】
ベクターは、標的化方法で送達することができる。受容体媒介DNA送達技術が、例えば、参考文献124〜125に記載されている。核酸を含む治療組成物は、遺伝子治療プロトコルで、局所投与としてDNA約100ng〜約200mgの範囲で投与される。また、約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μg、および約20μg〜約100μgの濃度範囲のDNAも、遺伝子治療プロトコル中に使用することができる。因子、例えば、作用方法(例えば、コードされた遺伝子産物のレベルの増進または阻害のための)ならびに形質転換および発現の効力は、最終的な効力に必要な投与量に影響を与える検討事項である。組織の広い領域にわたる高い発現が望ましい場合は、様々な隣接または近接した組織部分へのより多量のベクターまたは、連続的な投与プロトコルもしくは何回かの投与で再投与される同量のベクターが、良好な治療結果を得るために必要なこともある。いずれの場合も、臨床試験でのルーチンの実験で、最適な治療効果についての特定の範囲を決定する。
【0305】
ベクターは、遺伝子送達ビヒクルを用いて送達することができる。遺伝子送達ビヒクルは、ウイルスまたは非ウイルス起源とすることができる(参考文献126〜127を全体的に参照されたい)。
【0306】
望ましい核酸の送達用および望ましい細胞での発現用のウイルスベースのベクターは、当技術分野で周知である。例示的なウイルスベースのビヒクルには、限定されるものではないが、組換えレトロウイルス(例えば、参考文献128〜129)、アルファウイルスベースのベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR−67;ATCC VR−1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR−373;ATCC VR−1246)、およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR−923;ATCC VR−1250;ATCC VR1249;ATCC VR−532);これらのウイルスのハイブリッドまたはキメラも使用することができる)、ポックスウイルスベクター(例えば、ワクシニア、鶏痘、カナリア痘、改変ワクシニアアンカラなど)、アデノウイルスベクター、およびアデノ関連ウイルス(AAV)ベクター(例えば、参考文献130〜131を参照されたい)が含まれる。死滅アデノウイルスに連結されたDNAの投与[132]も利用することができる。
【0307】
限定されるものではないが、死滅アデノウイルス単独に連結された、または連結されていないポリカチオン凝縮DNA[例えば、132]、リガンド連結DNA[133]、真核細胞送達ビヒクル細胞[例えば、参考文献134〜135]、および核電荷中和または細胞膜融合を含め、非ウイルス送達ビヒクルおよび方法も利用することができる。裸DNAも利用することができる。例示的な裸DNAの導入方法が、参考文献136および137に記載されている。遺伝子送達ビヒクルとして機能し得るリポソーム(例えば、免疫リポソーム)が、参考文献138〜139に記載されている。さらなるアプローチが、参考文献140および141に記載されている。
【0308】
使用に適したさらなる非ウイルス送達には、機械送達系、例えば、参考文献141に記載されているアプローチが含まれる。さらに、コード配列およびこの発現産物は、光重合ヒドロゲル材料の堆積または電離放射線の使用によって送達され得る[例えば、参考文献142および143]。コード配列の送達に使用できる遺伝子送達の他の従来の方法には、例えば、ハンドヘルド型遺伝子導入パーティクルガンの使用[144]または導入された遺伝子を活性化させるための電離放射線の使用[142および143]が含まれる。
【0309】
PLG{ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)}微粒子を使用するDNA送達は、特に好ましい方法であり、例えば、微粒子に吸着させることによって行われ、微粒子は、任意選択で、負に帯電した表面(例えば、SDSで処理)または正に帯電した表面(例えば、カチオン性洗浄剤、例えば、CTABで処理)を有するように処理される。
【0310】
(抗体)
大腸菌抗原に対する抗体を、受動免疫化に使用することができる[145]。したがって、本発明は、配列番号1〜2からなる両方のorf353タンパク質に結合する抗体を提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号211〜218からなる群より選択されるorf353の断片に結合する。
【0311】
本発明はまたは、配列番号3〜18からなる16の細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、または16すべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号219〜307および683からなる群より選択される細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)の断片に結合する。
【0312】
本発明はまた、配列番号19〜40からなる22のインフルエンザ抗原43(orf1364)タンパク質の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、または16すべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号308〜350からなる群より選択されるインフルエンザ抗原43(orf1364)の断片に結合する。
【0313】
本発明はまた、配列番号41〜47からなる7つのNodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つすべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号351〜368からなる群より選択されるNodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)の断片に結合する。
【0314】
本発明はまた、配列番号48〜60からなる13のgspKタンパク質(orf3515)の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、または13すべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号369〜384からなる群より選択されるgspK(orf3515)の断片に結合する。
【0315】
本発明はまた、配列番号61〜71からなる11のgspJタンパク質(orf3516)の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、または11すべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号385〜398からなる群より選択されるgspJ(orf3516)の断片に結合する。
【0316】
本発明はまた、配列番号72〜79からなる8つのtonB依存性シデロホア受容体(orf3597)の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つすべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号399〜425からなる群より選択されるtonB依存性シデロホア受容体(orf3597)の断片に結合する。
【0317】
本発明はまた、配列番号80〜81からなる両方の線毛タンパク質(orf3613)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号426〜432からなる群より選択される線毛タンパク質(orf3613)の断片に結合する。
【0318】
本発明はまた、配列番号82〜84からなる3つのupec−948タンパク質の少なくとも2つ(または3つすべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号493〜499からなる群より選択されるupec−948の断片に結合する。
【0319】
本発明はまた、配列番号85〜91からなる7つのupec−1232タンパク質の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つすべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号500〜506からなる群より選択されるupec−1232の断片に結合する。
【0320】
本発明はまた、配列番号92〜98からなる7つの1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つすべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号507〜515からなる群より選択される1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)の断片に結合する。
【0321】
本発明はまた、配列番号99〜100からなるyapHホモログタンパク質の両方に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号516〜638からなる群より選択されるyapHホモログの断片に結合する。
【0322】
本発明はまた、配列番号101〜105からなる5つの溶血素A(recp−3768)の少なくとも2つ(例えば、3つ、4つ、または5つすべて)に結合する抗体も提供する。特定の実施形態では、この抗体は、配列番号433〜492からなる群より選択される溶血素A(recp−3768)の断片に結合する。
【0323】
本発明はまた、治療におけるこのような抗体の使用も提供する。本発明はまた、薬物の製造におけるこのような抗体の使用も提供する。本発明はまた、本発明の有効量の抗体を投与するステップを含む哺乳動物を処置する方法も提供する。免疫原性組成物について上記したように、これらの方法および使用により、大腸菌の感染に対して哺乳動物を防御することができる。
【0324】
用語「抗体」には、インタクトな免疫グロブリン分子、ならびに抗原に結合できるその断片が含まれる。これらには、ハイブリッド(キメラ)抗体分子[146、147];F(ab’)2およびF(ab)断片ならびにFv分子;非共有結合へテロ二量体[148、149];1本鎖Fv分子(sFv)[150];二量体および三量体抗体断片構築物;ミニボディー(minibody)[151、52];ヒト化抗体分子[153〜154];およびこのような分子から得たあらゆる機能的な断片、ならびにファージディスプレイなどの慣習的ではないプロセスによって得られる抗体が含まれる。好ましくは、抗体は、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体を得る方法は、当技術分野で周知である。ヒト化または完全ヒト抗体が好ましい。
【0325】
(一般)
本発明の実施には、特段の記載がない限り、当業者の技術範囲内の化学、生化学、分子生物学、免疫学、および薬理学の従来の方法を利用する。このような技術は、参考文献に詳細に説明されている。例えば、参考文献155〜156などを参照されたい。
【0326】
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」および「〜からなる(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む」組成物は、Xのみからなっても良いし、または、例えば、X+Yのように追加を含んでも良い。
【0327】
数値xについての用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
【0328】
本明細書では「GI」番号付けが使用される。GI番号または「GenInfo Identifier」は、配列がNCBIのデータベースに加えられたときにNCBIによって処理された各配列記録に対して連続的に割り当てられる連続した数字である。GI番号は、配列記録のアクセッション番号との類似性はない。配列が更新されると(例えば、修正のため、またはさらなる注釈や情報を付け加えるため)、その配列には、新しいGI番号が付される。したがって、所定のGI番号が付された配列は、不変である。
【0329】
2つのアミノ酸配列間のパーセント配列同一性について述べる場合は、整列されたときに、2つの配列の比較においてアミノ酸が同じであるパーセントを意味する。このアラインメントおよびパーセント相同性または配列同一性は、当技術分野で周知のソフトウエアプログラム、例えば、参考文献157のセクション7.7.18に記載されているものを用いて決定することができる。好ましいアラインメントは、ギャップ・オープン・ペナルティーが12およびギャップ伸長ペナルティーが2で、BLOSUMマトリックスが62のアフィンギャップ検索を用いて、Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定される。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、参考文献158に開示されている。
【0330】
当業者であれば、「単離された」は、天然の状態からの「人間の手による」変更を意味することを理解できよう。すなわちこのような変更が天然で起きた場合、元の環境から変化させられたかまたは除去されたか、あるいはその両方が行われている。例えば、生きている生物において自然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、そのような生きている生物に存在するときは「単離されて」いないが、天然の状態で共存する材料から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、本開示で使用される用語では「単離された」である。さらに、形質転換、遺伝子操作、または任意の他の組換え法によって生物に導入されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、前記生物が生きていてもいなくても、前記生物になお存在していても、「単離された」と理解される。ただし、このような形質転換、遺伝子操作、または他の組換え法が、他の点では天然に生じている生物と区別できない生物を作り出す場合は除かれる。
【0331】
図1〜図13は、開示される大腸菌タンパク質についてのアミノ酸同一性を示している。すべての図面において、♯♯は100%の同一性である。
【図面の簡単な説明】
【0332】
【図1】図1は、orf353の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。図1は、orf353アミノ酸配列間の%同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);101−1(EAEC菌株);O42(EAEC菌株);53638(EIEC菌株);B171(EPEC菌株);E22(EPEC菌株);E2348/69(EPEC菌株);E110019(EPEC菌株);B7A(ETEC菌株);E24377A(ETEC菌株);H10407(ETEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図2】図2は、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:HS(片利共生菌株);B(非病原性菌株);8739(非病原性菌株);C(非病原性菌株);IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);EDL333(EHEC菌株);Sakai(EHEC菌株);EC508(EHEC菌株);EC863(EHEC菌株);EC4024(EHEC菌株);EC4042(EHEC菌株);EC4054(EHEC菌株);EC4076(EHEC菌株);EC4113(EHEC菌株);EC4115(EHEC菌株);EC4196(EHEC菌株);EC4206(EHEC菌株);EC4401(EHEC菌株);EC4486(EHEC菌株);EC4501(EHEC菌株);TW14588(EHEC菌株);101−1(EAEC菌株);O42(EAEC菌株);B171(EPEC菌株);E22(EPEC菌株);E2348/69(EPEC菌株);E110019(EPEC菌株);B7A(ETEC菌株);E24377A(ETEC菌株);H10407(ETEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図3】図3は、インフルエンザ抗原43(orf1364)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:MG1655(非病原性菌株);DH10B(非病原性菌株);HS(片利共生菌株);B(非病原性菌株);8739(非病原性菌株);C(非病原性菌株);IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);EDL333(EHEC菌株);Sakai(EHEC菌株);EC508(EHEC菌株);EC863(EHEC菌株);EC4024(EHEC菌株);EC4042(EHEC菌株);EC4054(EHEC菌株);EC4076(EHEC菌株);EC4113(EHEC菌株);EC4115(EHEC菌株);EC4196(EHEC菌株);EC4206(EHEC菌株);EC4401(EHEC菌株);EC4486(EHEC菌株);EC4501(EHEC菌株);TW14588(EHEC菌株);101−1(EAEC菌株);O42(EAEC菌株);53638(EIEC菌株);B171(EPEC菌株);E22(EPEC菌株);E2348/69(EPEC菌株);E110019(EPEC菌株);B7A(ETEC菌株);E24377A(ETEC菌株);H10407(ETEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図4】図4は、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);EDL333(EHEC菌株);Sakai(EHEC菌株);EC508(EHEC菌株);EC863(EHEC菌株);EC4024(EHEC菌株);EC4042(EHEC菌株);EC4054(EHEC菌株);EC4076(EHEC菌株);EC4113(EHEC菌株);EC4115(EHEC菌株);EC4196(EHEC菌株);EC4206(EHEC菌株);EC4401(EHEC菌株);EC4486(EHEC菌株);EC4501(EHEC菌株);TW14588(EHEC菌株);E2348/69(EPEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図5】図5は、gspK(orf3515)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:HS(片利共生菌株);B(非病原性菌株);8739(非病原性菌株);C(非病原性菌株);IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);101−1(EAEC菌株);O42(EAEC菌株);53638(EIEC菌株);B171(EPEC菌株);E22(EPEC菌株);E2348/69(EPEC菌株);E110019(EPEC菌株);B7A(ETEC菌株);E24377A(ETEC菌株);H10407(ETEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図6】図6は、gspJ(orf3516)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:HS(片利共生菌株);IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);101−1(EAEC菌株);O42(EAEC菌株);53638(EIEC菌株);B171(EPEC菌株);E22(EPEC菌株);E2348/69(EPEC菌株);E110019(EPEC菌株);B7A(ETEC菌株);E24377A(ETEC菌株);H10407(ETEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図7】図7は、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);EDL333(EHEC菌株);Sakai(EHEC菌株);EC508(EHEC菌株);EC869(EHEC菌株);EC4024(EHEC菌株);EC4042(EHEC菌株);EC4045(EHEC菌株);EC4076(EHEC菌株);EC4113(EHEC菌株);EC4115(EHEC菌株);EC4196(EHEC菌株);EC4206(EHEC菌株);EC4401(EHEC菌株);EC4486(EHEC菌株);EC4501(EHEC菌株);TW14588(EHEC菌株);O42(EAEC菌株);E2348/69(EPEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図8】図8は、線毛タンパク質(orf3613)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);およびO42(EAEC菌株)である。
【図9】図9は、upec−948の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:HS(片利共生菌株);B(非病原性菌株);C(非病原性菌株);RS218(NMEC菌株);CFT073(UPEC菌株);およびE2348/69(EPEC菌株)である。
【図10】図10は、upec−1232の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:CFT073(UPEC菌株);O42(EAEC菌株);B7A(ETEC菌株);およびH10407(ETEC菌株)である。
【図11】図11は、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:IHE3034(NMEC菌株);RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);EDL333(EHEC菌株);Sakai(EHEC菌株);EC508(EHEC菌株);EC869(EHEC菌株);EC4024(EHEC菌株);EC4042(EHEC菌株);EC4045(EHEC菌株);EC4076(EHEC菌株);EC4113(EHEC菌株);EC4115(EHEC菌株);EC4196(EHEC菌株);EC4206(EHEC菌株);EC4401(EHEC菌株);EC4486(EHEC菌株);EC4501(EHEC菌株);TW14588(EHEC菌株);O42(EAEC菌株);B171(EPEC菌株);E22(EPEC菌株);E2348/69(EPEC菌株);E110019(EPEC菌株);B7A(ETEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図12】図12は、yapHホモログ(upec−2820)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:CFT073(UPEC菌株)およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図13】図13は、溶血素A(recp−3768)の配列対の間のアミノ酸同一性を示している。表示は、左から右および上から下に:RS218(NMEC菌株);APEC01(APEC菌株);CFT073(UPEC菌株);536(UPEC菌株);UTI89(UPEC菌株);F11(UPEC菌株);E110019(EPEC菌株);B7A(ETEC菌株);E24377A(ETEC菌株);H10407(ETEC菌株);およびSECEC(抗生物質耐性菌株)である。
【図14】記載なし
【発明を実施するための形態】
【0333】
(配列表の簡単な説明)
【0334】
【表1−1】
【0335】
【表1−2】
【0336】
【表1−3】
(本発明を実施するための様式)
それぞれが本明細書により詳細に記載されたorf353、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、インフルエンザ抗原43(orf1364)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)、gspK(orf3515)、gspJ(orf3516)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)、線毛タンパク質(orf3613)、upec−948、upec−1232、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、溶血素A(recp−3768)、およびSel 1反復含有タンパク質(upec−5211)を発現、精製し、これらは、敗血症動物モデルにおけるExPEC菌株に対する防御を提供する。
【0337】
様々な他の大腸菌株のオルソログの配列を得た。
【0338】
タンパク質:orf353(配列番号1のアミノ酸21〜162)、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)(配列番号9のアミノ酸595〜1008)、インフルエンザ抗原43(orf1364)(配列番号27のアミノ酸53〜629)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)(配列番号41のアミノ酸15〜457)、gspK(orf3515)(配列番号56のアミノ酸32〜325)、gspJ(orf3516)(配列番号65のアミノ酸16〜189)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)(配列番号74のアミノ酸29〜713)、線毛タンパク質(orf3613)(配列番号80のアミノ酸28〜187)、upec−948(配列番号82のアミノ酸24〜151)、upec−1232(配列番号89のアミノ酸26〜151)、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)(配列番号97のアミノ酸25〜187)、yapHホモログ(upec−2820)(配列番号99)、溶血素A(recp−3768)(配列番号103のアミノ酸24〜1024)、およびSel 1反復含有タンパク質(upec−5211)(配列番号653)のそれぞれの例示的な抗原を、pET−21bベクター(Novagen)にクローニングし、増幅用のDH5α−T1化学的コンピテント細胞(Invitrogen)に形質転換した。BL21(DE3)化学的コンピテント細胞を発現用に使用した。すべての候補をクローニングし、シグナル配列を用いずにhisタグ融合タンパク質として発現させた。候補を、親和性クロマトグラフィーによって精製した。
【0339】
防御を、敗血症動物モデルで評価した。Charles River ItaliaのCD1非近交系雌性マウス(5週齢)を、フロイントアジュバント中の組換えタンパク質20μgで第1日目、第21日目、および第35日目に皮下注射によって免疫化した。陽性コントロールを、フロイントアジュバント(Sigma)の生理溶液0.15ml中の108の熱不活化細菌(65℃30分)で免疫化する一方、陰性コントロールを、フロイントアジュバントの生理溶液で免疫化した。第49日目に、腹腔内注射(菌株IHE3034およびCFT073について)または静脈内注射(菌株536について)によって、107の新鮮な細菌培養物/マウス(LD80)の用量でチャレンジを行った。ヘパリン化された血液サンプルを、チャレンジの24時間後に生き残ったマウスから採取して菌血症レベルを決定し、チャレンジ後4日間にわたって死亡率を観察した。
【0340】
【表2】
上記の特定の候補は、完全長タンパク質(溶血素A(recp−3768)、インフルエンザ抗原43断片(orf1364)、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、およびyapHホモログ(upec−2820))としては制限された溶解性または非溶解性を示した。したがって、断片を構築し、溶解性について試験した。上昇した溶解性を示した断片は、上記したような敗血症動物モデルで防御を提供する能力についてさらに試験した。
【0341】
【表3】
溶血素Aタンパク質断片B4(3768−B4)の、他の菌株に対して交差防御を提供する能力を実証するために、上記の溶血素Aタンパク質断片B4(3768−B4)で免疫化したマウスを、以下の表に示されるように異なる大腸菌株でチャレンジした。
【0342】
【表4】
細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質断片(orf405)の3つの断片の様々な組み合わせを、上記された敗血症のマウスモデルで試験した。この結果が以下の表に示されている。
【0343】
【表5】
本発明は、ほんの一例として記載されており、本発明の範囲および精神を維持したまま改変が可能であることを理解されたい。
【0344】
【数1】
【0345】
【数2】
【0346】
【数3】
【0347】
【数4】
【0348】
【数5】
【0349】
【数6】
【0350】
【数7】
【0351】
【数8】
【0352】
【数9】
【0353】
【数10】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
orf353、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、インフルエンザ抗原43(orf1364)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)、gspK(orf3515)、gspJ(orf3516)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)、線毛タンパク質(orf3613)、upec−948、upec−1232、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、および溶血素A(recp−3768)からなる群より選択される大腸菌タンパク質を含む単離または組換えポリペプチド。
【請求項2】
配列番号1〜105に対して少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むものである、請求項1に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項3】
請求項1に記載の単離または組換えポリペプチドであって、ここで、該ポリペプチドは、ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号1〜105のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有する、アミノ酸を含み、ここで、xは30であり、yは0.75である、単離または組換えポリペプチド。
【請求項4】
配列番号1〜105のいずれかの少なくとも10の連続したアミノ酸を含む単離または組換えポリペプチドであって、該少なくとも10の連続したアミノ酸が免疫原性である、単離または組換えポリペプチド。
【請求項5】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、orf353であり、配列番号1〜2の160未満、150未満、140未満、または130未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項6】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号211〜218からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項7】
配列番号1〜2の少なくともアミノ酸21〜162を含むものである、請求項5に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項8】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)であり、配列番号3〜18の1410未満、1400未満、1390未満、または1380未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項9】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号219〜307および683からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項10】
配列番号3〜18の少なくともアミノ酸595〜1008を含むものである、請求項8に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項11】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、インフルエンザ抗原43(orf1364)であり、配列番号19〜40の1040未満、1030未満、1020未満、または1010未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項12】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号308〜350からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項13】
配列番号19〜40の少なくともアミノ酸53〜620を含むものである、請求項11に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項14】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)であり、配列番号41〜47の450未満、440未満、430未満、または420未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項15】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号351〜368からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項16】
配列番号41〜47の少なくともアミノ酸15〜457を含むものである、請求項14に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項17】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、gspK(orf3515)であり、配列番号48〜60の320未満、310未満、300未満、または290未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項18】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号369〜384からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項17に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項19】
配列番号48〜60の少なくともアミノ酸32〜325を含むものである、請求項17に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項20】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、gspJ(orf3516)であり、配列番号61〜71の180未満、170未満、160未満、または150未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項21】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号385〜398からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項20に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項22】
配列番号61〜71の少なくともアミノ酸16〜189を含むものである、請求項20に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項23】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)であり、配列番号72〜79の710未満、700未満、690未満、または680未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項24】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号399〜425からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項23に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項25】
配列番号72〜79の少なくともアミノ酸29〜713を含むものである、請求項23に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項26】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、線毛タンパク質(orf3613)であり、配列番号80〜81の180未満、170未満、160未満、または150未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項27】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号426〜432であるアミノ酸配列を含む、請求項26に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項28】
配列番号80〜81の少なくともアミノ酸25〜187を含むものである、請求項26に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項29】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、upec−948であり、配列番号82〜84の150未満、140未満、130未満、または120未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項30】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号493〜499からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項29に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項31】
配列番号82〜84の少なくともアミノ酸24〜151を含むものである、請求項29に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項32】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、upec−1232であり、配列番号85〜91の150未満、140未満、130未満、または120未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項33】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号500〜506からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項32に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項34】
配列番号85〜91の少なくともアミノ酸26〜151を含むものである、請求項32に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項35】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)であり、配列番号92〜98の180未満、170未満、160未満、または150未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項36】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号507〜515からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項35に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項37】
配列番号92〜98の少なくともアミノ酸24〜187を含むものである、請求項35に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項38】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、yapHホモログ(upec−2820)であり、配列番号99〜100の2640未満、2620未満、2600未満、または2580未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項39】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号516〜638からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項38に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項40】
配列番号99〜100の少なくともアミノ酸984〜1495を含むものである、請求項38に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項41】
請求項38に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、配列番号99〜100の少なくともアミノ酸1496〜1876を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項42】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、溶血素A(recp−3768)であり、配列番号101〜105の1020未満、1010未満、1000未満、または990未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項43】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号433〜492からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項42に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項44】
配列番号101〜105の少なくともアミノ酸21〜1024を含むものである、請求項42に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項45】
orf353、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、インフルエンザ抗原43(orf1364)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)、gspK(orf3515)、gspJ(orf3516)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)、線毛タンパク質(orf3613)、upec−948、upec−1232、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、および溶血素A(recp−3768)からなる群より選択される完全長タンパク質を含まないものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項46】
配列番号1〜105からなる群より選択されるアミノ酸配列を含まないものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単離または組換え免疫原性ポリペプチド。
【請求項47】
アジュバントをさらに含む、請求項1〜46のいずれか1項に記載の単離または組換え免疫原性ポリペプチド。
【請求項48】
請求項1〜46のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項49】
配列番号106〜210からなる群より選択される核酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するものである、請求項48に記載のポリヌクレオチド。
【請求項50】
請求項1〜45いずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドを含む大腸菌細胞。
【請求項51】
orf405タンパク質の断片を含む免疫原性ポリペプチドであって、該断片は、該大腸菌orf405に対する欠失を有し、該欠失は、完全長タンパク質と比較して該断片の溶解性を増加させ、該断片は、該大腸菌orf405と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する、免疫原性ポリペプチド。
【請求項52】
前記欠失が、推定上のアミノ末端トランスロケータードメインを含む、請求項51に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項53】
前記orf405タンパク質が、配列番号642のアミノ酸配列に対応する、請求項51に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項54】
前記断片が、前記orf405タンパク質の1200未満のアミノ酸、1100未満のアミノ酸、1000未満のアミノ酸、950未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、590未満のアミノ酸、または580未満のアミノ酸を含む、請求項51〜53のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項55】
前記orf405のアミノ酸配列が、
(a)配列番号3〜18からなる群より選択されるアミノ酸配列、
(b)配列番号3〜18と比較して1〜10の単一のアミノ酸変更、
(c)配列番号3〜18のいずれか1つに対して少なくとも85%の配列同一性、および/または
(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号3〜18のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有し、xが30であり、yが0.75であること、
を含む、請求項51〜54のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項56】
単離されているか、精製されているか、または組換え型である、請求項51〜55のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項57】
アジュバントをさらに含む、請求項51〜56のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項58】
請求項51〜55のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項59】
請求項51〜55のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドを含む宿主細胞。
【請求項60】
インフルエンザ抗原43(orf1364)タンパク質の断片を含む免疫原性ポリペプチドであって、該断片は、該大腸菌インフルエンザ抗原43(orf1364)に対する欠失を有し、該欠失は、完全長タンパク質と比較して該断片の溶解性を増加させ、該断片は、該大腸菌インフルエンザ抗原43(orf1364)と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する、免疫原性ポリペプチド。
【請求項61】
前記欠失が、カルボキシル末端βバレルドメインを含む、請求項60に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項62】
前記インフルエンザ抗原43(orf1364)タンパク質が、配列番号652のアミノ酸配列に対応する、請求項60に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項63】
前記断片が、前記インフルエンザ抗原43(orf1364)タンパク質の950未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、550未満のアミノ酸、500未満のアミノ酸、450未満のアミノ酸、440未満のアミノ酸、または430未満のアミノ酸を含む、請求項60〜62のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項64】
前記インフルエンザ抗原43(orf1364)のアミノ酸配列が、
(a)配列番号19〜40からなる群より選択されるアミノ酸配列、
(b)配列番号19〜40と比較して1〜10の単一のアミノ酸変更、
(c)配列番号19〜40のいずれか1つに対して少なくとも85%の配列同一性、および/または
(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号19〜40のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有し、xが30であり、yが0.75であること、
を含む、請求項60〜63のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項65】
単離されているか、精製されているか、または組換え型である、請求項60〜64のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項66】
アジュバントをさらに含む、請求項60〜65のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項67】
請求項60〜64のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項68】
請求項46〜64のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドを含む宿主細胞。
【請求項69】
yapHホモログ(upec−2820)タンパク質の断片を含む免疫原性ポリペプチドであって、該断片は、該大腸菌yapHホモログ(upec−2820)に対する欠失を有し、該欠失は、完全長タンパク質と比較して該断片の溶解性を増加させ、該断片は、該大腸菌yapHホモログ(upec−2820)と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する、免疫原性ポリペプチド。
【請求項70】
前記yapHホモログ(upec−2820)タンパク質が、配列番号644、配列番号646、配列番号648、または配列番号650のアミノ酸配列に対応する、請求項69に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項71】
前記断片が、前記yapHホモログ(upec−2820)タンパク質の2500未満のアミノ酸、2000未満のアミノ酸、1750未満のアミノ酸、1500未満のアミノ酸、1400未満のアミノ酸、1300未満のアミノ酸、1200未満のアミノ酸、1100未満のアミノ酸、1000未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、550未満のアミノ酸、500未満のアミノ酸、450未満のアミノ酸、400未満のアミノ酸、または390未満のアミノ酸を含む、請求項69または請求項70に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項72】
前記yapHホモログ(upec−2820)のアミノ酸配列が、
(a)配列番号99〜100からなる群より選択されるアミノ酸配列、
(b)配列番号99〜100と比較して1〜10の単一のアミノ酸変更、
(c)配列番号99〜100のいずれか1つに対して少なくとも85%の配列同一性、および/または
(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号99〜100のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有し、xが30であり、yが0.75であること、
を含む、請求項69〜71のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項73】
単離されているか、精製されているか、または組換え型である、請求項69〜72のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項74】
アジュバントをさらに含む、請求項69〜73のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項75】
請求項69〜72のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項76】
請求項69〜72のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドを含む宿主細胞。
【請求項77】
溶血素A(recp3768)タンパク質の断片を含む免疫原性ポリペプチドであって、該断片は、該大腸菌溶血素A(recp3768)に対する欠失を有し、該欠失は、完全長タンパク質と比較して該断片の溶解性を増加させ、該断片は、該大腸菌溶血素A(recp3768)と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する、免疫原性ポリペプチド。
【請求項78】
前記欠失が、膜挿入および孔形成に必要なアミノ末端疎水性ドメイン(疎水性αへリックス領域)、カルボキシル末端シグナル配列、および翻訳後のアシル化の後の孔形成活性に必要なドメインを含む、請求項77に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項79】
前記溶血素A(recp3768)タンパク質が、配列番号640のアミノ酸配列に対応する、請求項77に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項80】
前記断片が、前記溶血素A(recp3768)タンパク質の1000未満のアミノ酸、950未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、550未満のアミノ酸、500未満のアミノ酸、450未満のアミノ酸、400未満のアミノ酸、390未満のアミノ酸、380未満のアミノ酸、350未満のアミノ酸、300未満のアミノ酸、250未満のアミノ酸、240未満のアミノ酸、230未満のアミノ酸、または220未満のアミノ酸を含む、請求項77〜79のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項81】
前記溶血素A(recp3768)のアミノ酸配列が、
(a)配列番号101〜105からなる群より選択されるアミノ酸配列、
(b)配列番号101〜105と比較して1〜10の単一のアミノ酸変更、
(c)配列番号101〜105のいずれか1つに対して少なくとも85%の配列同一性、および/または
(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号101〜105のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有し、xが30であり、yが0.75であること、
を含む、請求項77〜80のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項82】
単離されているか、精製されているか、または組換え型である、請求項77〜81のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項83】
アジュバントをさらに含む、請求項77〜82のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項84】
請求項77〜81のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項85】
請求項77〜81のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドを含む宿主細胞。
【請求項86】
エシェリキア属Sel 1反復含有タンパク質(upec−5211)を含む単離または組換えポリペプチド。
【請求項87】
配列番号653〜655に対して少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むものである、請求項86に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項88】
請求項86に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドは、ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号653〜655のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有する、アミノ酸を含み、ここで、xは30であり、yは0.75である、単離または組換えポリペプチド。
【請求項89】
配列番号653〜655のいずれかの少なくとも10の連続したアミノ酸を含む単離または組換えポリペプチドであって、該少なくとも10の連続したアミノ酸が免疫原性である、単離または組換えポリペプチド。
【請求項90】
配列番号653〜655の480未満、470未満、460未満、450未満、425未満、400未満、350未満、200未満、または250未満のアミノ酸を含むものである、請求項89に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項91】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号656〜675からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項90に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項92】
完全長の前記エシェリキア属Sel 1反復含有タンパク質(upec−5211)を含まないものである、請求項86〜89のいずれか1項に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項93】
配列番号653〜655からなる群より選択されるアミノ酸配列を含まないものである、請求項86〜89のいずれか1項に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項94】
アジュバントをさらに含む請求項86〜93のいずれか1項に記載の単離または組換え免疫原性ポリペプチド。
【請求項95】
請求項86〜93のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項96】
配列番号653〜655の1つをコードする核酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するものである、請求項95に記載のポリヌクレオチド。
【請求項97】
請求項86〜93のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドを含む大腸菌細胞。
【請求項1】
orf353、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、インフルエンザ抗原43(orf1364)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)、gspK(orf3515)、gspJ(orf3516)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)、線毛タンパク質(orf3613)、upec−948、upec−1232、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、および溶血素A(recp−3768)からなる群より選択される大腸菌タンパク質を含む単離または組換えポリペプチド。
【請求項2】
配列番号1〜105に対して少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むものである、請求項1に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項3】
請求項1に記載の単離または組換えポリペプチドであって、ここで、該ポリペプチドは、ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号1〜105のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有する、アミノ酸を含み、ここで、xは30であり、yは0.75である、単離または組換えポリペプチド。
【請求項4】
配列番号1〜105のいずれかの少なくとも10の連続したアミノ酸を含む単離または組換えポリペプチドであって、該少なくとも10の連続したアミノ酸が免疫原性である、単離または組換えポリペプチド。
【請求項5】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、orf353であり、配列番号1〜2の160未満、150未満、140未満、または130未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項6】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号211〜218からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項7】
配列番号1〜2の少なくともアミノ酸21〜162を含むものである、請求項5に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項8】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)であり、配列番号3〜18の1410未満、1400未満、1390未満、または1380未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項9】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号219〜307および683からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項10】
配列番号3〜18の少なくともアミノ酸595〜1008を含むものである、請求項8に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項11】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、インフルエンザ抗原43(orf1364)であり、配列番号19〜40の1040未満、1030未満、1020未満、または1010未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項12】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号308〜350からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項13】
配列番号19〜40の少なくともアミノ酸53〜620を含むものである、請求項11に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項14】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)であり、配列番号41〜47の450未満、440未満、430未満、または420未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項15】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号351〜368からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項16】
配列番号41〜47の少なくともアミノ酸15〜457を含むものである、請求項14に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項17】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、gspK(orf3515)であり、配列番号48〜60の320未満、310未満、300未満、または290未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項18】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号369〜384からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項17に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項19】
配列番号48〜60の少なくともアミノ酸32〜325を含むものである、請求項17に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項20】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、gspJ(orf3516)であり、配列番号61〜71の180未満、170未満、160未満、または150未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項21】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号385〜398からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項20に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項22】
配列番号61〜71の少なくともアミノ酸16〜189を含むものである、請求項20に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項23】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)であり、配列番号72〜79の710未満、700未満、690未満、または680未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項24】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号399〜425からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項23に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項25】
配列番号72〜79の少なくともアミノ酸29〜713を含むものである、請求項23に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項26】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、線毛タンパク質(orf3613)であり、配列番号80〜81の180未満、170未満、160未満、または150未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項27】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号426〜432であるアミノ酸配列を含む、請求項26に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項28】
配列番号80〜81の少なくともアミノ酸25〜187を含むものである、請求項26に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項29】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、upec−948であり、配列番号82〜84の150未満、140未満、130未満、または120未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項30】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号493〜499からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項29に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項31】
配列番号82〜84の少なくともアミノ酸24〜151を含むものである、請求項29に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項32】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、upec−1232であり、配列番号85〜91の150未満、140未満、130未満、または120未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項33】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号500〜506からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項32に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項34】
配列番号85〜91の少なくともアミノ酸26〜151を含むものである、請求項32に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項35】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)であり、配列番号92〜98の180未満、170未満、160未満、または150未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項36】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号507〜515からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項35に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項37】
配列番号92〜98の少なくともアミノ酸24〜187を含むものである、請求項35に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項38】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、yapHホモログ(upec−2820)であり、配列番号99〜100の2640未満、2620未満、2600未満、または2580未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項39】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号516〜638からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項38に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項40】
配列番号99〜100の少なくともアミノ酸984〜1495を含むものである、請求項38に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項41】
請求項38に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、配列番号99〜100の少なくともアミノ酸1496〜1876を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項42】
請求項4に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドが、溶血素A(recp−3768)であり、配列番号101〜105の1020未満、1010未満、1000未満、または990未満のアミノ酸を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項43】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号433〜492からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項42に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項44】
配列番号101〜105の少なくともアミノ酸21〜1024を含むものである、請求項42に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項45】
orf353、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(orf405)、インフルエンザ抗原43(orf1364)、NodTファミリー外膜因子リポタンパク質排出トランスポーター(orf1767)、gspK(orf3515)、gspJ(orf3516)、tonB依存性シデロホア受容体(orf3597)、線毛タンパク質(orf3613)、upec−948、upec−1232、1型線毛タンパク質のA鎖前駆体(upec−1875)、yapHホモログ(upec−2820)、および溶血素A(recp−3768)からなる群より選択される完全長タンパク質を含まないものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項46】
配列番号1〜105からなる群より選択されるアミノ酸配列を含まないものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単離または組換え免疫原性ポリペプチド。
【請求項47】
アジュバントをさらに含む、請求項1〜46のいずれか1項に記載の単離または組換え免疫原性ポリペプチド。
【請求項48】
請求項1〜46のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項49】
配列番号106〜210からなる群より選択される核酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するものである、請求項48に記載のポリヌクレオチド。
【請求項50】
請求項1〜45いずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドを含む大腸菌細胞。
【請求項51】
orf405タンパク質の断片を含む免疫原性ポリペプチドであって、該断片は、該大腸菌orf405に対する欠失を有し、該欠失は、完全長タンパク質と比較して該断片の溶解性を増加させ、該断片は、該大腸菌orf405と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する、免疫原性ポリペプチド。
【請求項52】
前記欠失が、推定上のアミノ末端トランスロケータードメインを含む、請求項51に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項53】
前記orf405タンパク質が、配列番号642のアミノ酸配列に対応する、請求項51に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項54】
前記断片が、前記orf405タンパク質の1200未満のアミノ酸、1100未満のアミノ酸、1000未満のアミノ酸、950未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、590未満のアミノ酸、または580未満のアミノ酸を含む、請求項51〜53のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項55】
前記orf405のアミノ酸配列が、
(a)配列番号3〜18からなる群より選択されるアミノ酸配列、
(b)配列番号3〜18と比較して1〜10の単一のアミノ酸変更、
(c)配列番号3〜18のいずれか1つに対して少なくとも85%の配列同一性、および/または
(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号3〜18のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有し、xが30であり、yが0.75であること、
を含む、請求項51〜54のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項56】
単離されているか、精製されているか、または組換え型である、請求項51〜55のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項57】
アジュバントをさらに含む、請求項51〜56のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項58】
請求項51〜55のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項59】
請求項51〜55のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドを含む宿主細胞。
【請求項60】
インフルエンザ抗原43(orf1364)タンパク質の断片を含む免疫原性ポリペプチドであって、該断片は、該大腸菌インフルエンザ抗原43(orf1364)に対する欠失を有し、該欠失は、完全長タンパク質と比較して該断片の溶解性を増加させ、該断片は、該大腸菌インフルエンザ抗原43(orf1364)と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する、免疫原性ポリペプチド。
【請求項61】
前記欠失が、カルボキシル末端βバレルドメインを含む、請求項60に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項62】
前記インフルエンザ抗原43(orf1364)タンパク質が、配列番号652のアミノ酸配列に対応する、請求項60に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項63】
前記断片が、前記インフルエンザ抗原43(orf1364)タンパク質の950未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、550未満のアミノ酸、500未満のアミノ酸、450未満のアミノ酸、440未満のアミノ酸、または430未満のアミノ酸を含む、請求項60〜62のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項64】
前記インフルエンザ抗原43(orf1364)のアミノ酸配列が、
(a)配列番号19〜40からなる群より選択されるアミノ酸配列、
(b)配列番号19〜40と比較して1〜10の単一のアミノ酸変更、
(c)配列番号19〜40のいずれか1つに対して少なくとも85%の配列同一性、および/または
(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号19〜40のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有し、xが30であり、yが0.75であること、
を含む、請求項60〜63のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項65】
単離されているか、精製されているか、または組換え型である、請求項60〜64のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項66】
アジュバントをさらに含む、請求項60〜65のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項67】
請求項60〜64のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項68】
請求項46〜64のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドを含む宿主細胞。
【請求項69】
yapHホモログ(upec−2820)タンパク質の断片を含む免疫原性ポリペプチドであって、該断片は、該大腸菌yapHホモログ(upec−2820)に対する欠失を有し、該欠失は、完全長タンパク質と比較して該断片の溶解性を増加させ、該断片は、該大腸菌yapHホモログ(upec−2820)と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する、免疫原性ポリペプチド。
【請求項70】
前記yapHホモログ(upec−2820)タンパク質が、配列番号644、配列番号646、配列番号648、または配列番号650のアミノ酸配列に対応する、請求項69に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項71】
前記断片が、前記yapHホモログ(upec−2820)タンパク質の2500未満のアミノ酸、2000未満のアミノ酸、1750未満のアミノ酸、1500未満のアミノ酸、1400未満のアミノ酸、1300未満のアミノ酸、1200未満のアミノ酸、1100未満のアミノ酸、1000未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、550未満のアミノ酸、500未満のアミノ酸、450未満のアミノ酸、400未満のアミノ酸、または390未満のアミノ酸を含む、請求項69または請求項70に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項72】
前記yapHホモログ(upec−2820)のアミノ酸配列が、
(a)配列番号99〜100からなる群より選択されるアミノ酸配列、
(b)配列番号99〜100と比較して1〜10の単一のアミノ酸変更、
(c)配列番号99〜100のいずれか1つに対して少なくとも85%の配列同一性、および/または
(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号99〜100のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有し、xが30であり、yが0.75であること、
を含む、請求項69〜71のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項73】
単離されているか、精製されているか、または組換え型である、請求項69〜72のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項74】
アジュバントをさらに含む、請求項69〜73のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項75】
請求項69〜72のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項76】
請求項69〜72のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドを含む宿主細胞。
【請求項77】
溶血素A(recp3768)タンパク質の断片を含む免疫原性ポリペプチドであって、該断片は、該大腸菌溶血素A(recp3768)に対する欠失を有し、該欠失は、完全長タンパク質と比較して該断片の溶解性を増加させ、該断片は、該大腸菌溶血素A(recp3768)と実質的に類似の免疫応答を被験体に惹起する、免疫原性ポリペプチド。
【請求項78】
前記欠失が、膜挿入および孔形成に必要なアミノ末端疎水性ドメイン(疎水性αへリックス領域)、カルボキシル末端シグナル配列、および翻訳後のアシル化の後の孔形成活性に必要なドメインを含む、請求項77に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項79】
前記溶血素A(recp3768)タンパク質が、配列番号640のアミノ酸配列に対応する、請求項77に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項80】
前記断片が、前記溶血素A(recp3768)タンパク質の1000未満のアミノ酸、950未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、550未満のアミノ酸、500未満のアミノ酸、450未満のアミノ酸、400未満のアミノ酸、390未満のアミノ酸、380未満のアミノ酸、350未満のアミノ酸、300未満のアミノ酸、250未満のアミノ酸、240未満のアミノ酸、230未満のアミノ酸、または220未満のアミノ酸を含む、請求項77〜79のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項81】
前記溶血素A(recp3768)のアミノ酸配列が、
(a)配列番号101〜105からなる群より選択されるアミノ酸配列、
(b)配列番号101〜105と比較して1〜10の単一のアミノ酸変更、
(c)配列番号101〜105のいずれか1つに対して少なくとも85%の配列同一性、および/または
(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号101〜105のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有し、xが30であり、yが0.75であること、
を含む、請求項77〜80のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項82】
単離されているか、精製されているか、または組換え型である、請求項77〜81のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項83】
アジュバントをさらに含む、請求項77〜82のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項84】
請求項77〜81のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項85】
請求項77〜81のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドを含む宿主細胞。
【請求項86】
エシェリキア属Sel 1反復含有タンパク質(upec−5211)を含む単離または組換えポリペプチド。
【請求項87】
配列番号653〜655に対して少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むものである、請求項86に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項88】
請求項86に記載の単離または組換えポリペプチドであって、該ポリペプチドは、ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号653〜655のいずれかと整列させられたときに、N末端からC末端までのx個のアミノ酸の各移動ウインドウが少なくともx・y個の同一の整列したアミノ酸を有する、アミノ酸を含み、ここで、xは30であり、yは0.75である、単離または組換えポリペプチド。
【請求項89】
配列番号653〜655のいずれかの少なくとも10の連続したアミノ酸を含む単離または組換えポリペプチドであって、該少なくとも10の連続したアミノ酸が免疫原性である、単離または組換えポリペプチド。
【請求項90】
配列番号653〜655の480未満、470未満、460未満、450未満、425未満、400未満、350未満、200未満、または250未満のアミノ酸を含むものである、請求項89に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項91】
前記少なくとも10の連続したアミノ酸が、配列番号656〜675からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項90に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項92】
完全長の前記エシェリキア属Sel 1反復含有タンパク質(upec−5211)を含まないものである、請求項86〜89のいずれか1項に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項93】
配列番号653〜655からなる群より選択されるアミノ酸配列を含まないものである、請求項86〜89のいずれか1項に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項94】
アジュバントをさらに含む請求項86〜93のいずれか1項に記載の単離または組換え免疫原性ポリペプチド。
【請求項95】
請求項86〜93のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項96】
配列番号653〜655の1つをコードする核酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するものである、請求項95に記載のポリヌクレオチド。
【請求項97】
請求項86〜93のいずれか1項に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドを含む大腸菌細胞。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2012−532600(P2012−532600A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519079(P2012−519079)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001962
【国際公開番号】WO2011/004263
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001962
【国際公開番号】WO2011/004263
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]