保温カーテンおよび農園芸用ハウス
【課題】設置が簡便な保温カーテンおよび該保温カーテンを備えた農園芸用ハウスを提供する。
【解決手段】農園芸用ハウス100内の特定の空間を被覆するための被覆資材と、農園芸用ハウス100から着脱可能に吊り下げられるための被吊り下げ部とを備えた保温カーテン103を提供する。保温カーテン103は、農園芸用ハウス100からワイヤーフック104によって吊り下げられている。
【解決手段】農園芸用ハウス100内の特定の空間を被覆するための被覆資材と、農園芸用ハウス100から着脱可能に吊り下げられるための被吊り下げ部とを備えた保温カーテン103を提供する。保温カーテン103は、農園芸用ハウス100からワイヤーフック104によって吊り下げられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保温カーテンおよびそれを利用した農園芸用ハウスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
農園芸用ハウスは、通常、骨材にハウス外張り用資材を被覆して形成されている。このような農園芸用ハウスを用いた施設園芸において、ハウス内の温度を保つための代表的な技術としては、ハウス内を加熱するための暖房設備、およびハウスからの放熱を抑制するための保温技術がある。ただし、暖房設備は重油、ガス等の燃焼を利用するため、CO2の発生による地球環境およびハウス内作業への悪影響、ならびにH2Oの発生によるハウス内の湿度上昇による栽培作物への悪影響を及ぼしかねないという問題を有している。一方、保温技術にはそのような問題はない。そのため、保温技術のさらなる発展が強く望まれている。
【0003】
上記ハウスからの放熱としては、ハウス外張り用資材および骨材を通過する伝熱(貫流伝熱)、ハウス外張り用資材の重ね目などの隙間を通しての伝熱(隙間換気伝熱)、および地中への伝熱(地表伝熱)が存在する。このうち、隙間換気伝熱は貫流伝熱に比べ非常に小さく、地表伝熱は昼間はハウスから地中への蓄熱が起こるが、夜間は逆にハウス内への放熱が起こるため差し引きの放熱量は少ない。したがって、貫流伝熱による放熱を抑制することが特に重要である。
【0004】
貫流伝熱は、例えば、農園芸用ハウスのハウス外張り用資材を改良することによって抑制することができる。上記改良の方法としては、具体的には、例えば、ハウス外張り用資材の材料、厚さ、または被覆枚数を調整する方法のほか、断熱材により被覆面を覆う方法が挙げられる。また、被覆資材を2重膜とし、内部にブロワを用いて空気を送り込み空気層を作る方法も行われている。ただし、この方法は、ブロワ等の設備が必要であり、用いるハウス外張り用資材の材料がポリエチレン等の軟質フィルムに限られてしまう。
【0005】
また、保温カーテンを用いることによっても貫流伝熱を抑制することができる。開閉が可能である保温カーテンは、上述したような農園芸用ハウスのハウス外張り用資材を改良する方法とは異なり、季節や時間帯によって保温効果を調節することができる。すなわち、たとえば、冬季のみ保温カーテンを使用して(保温カーテンを閉じて)一年を通じたハウス内の温度の適切な調節を行うことや、昼間は保温カーテンを開けて、十分な日射を得る一方、夜間は保温カーテンを閉じて十分な保温を行うといった細やかな調整を行うことができる。
【0006】
以下、図面を用いて従来技術に係る保温カーテンを説明する。図8は、従来技術に係る保温カーテンを有する農園芸用ハウス900の概略構造を示す正面図であり、図9は、農園芸用ハウス900の概略構造を示す斜視図である。
【0007】
図8および図9に示すように、農園芸用ハウス900は、ハウス外面901の内部に、骨材902、保温カーテン903、および巻き取り機904を備えている。保温カーテン903は、骨材902によって支持され、巻き取り機904によって開閉される。
【非特許文献1】「第3章 温度制御」施設園芸ハンドブック(5訂版)、社団法人日本施設園芸協会、p117〜141、2003年3月1日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、設置が簡便な保温カーテンはこれまで得られていなかった。上述したように、従来技術に係る保温カーテンは骨材、巻き取り機等を必要とするため、設置の手間およびそのためのコストが必要であった。そのため、設置が簡便な保温カーテンが求められていた。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、設置が簡便な保温カーテンおよび該保温カーテンを備えた農園芸用ハウスを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る保温カーテンは、農園芸用ハウスの内部に設置して該農園芸用ハウス内を保温するための保温カーテンであって、該農園芸用ハウス内の特定の空間を被覆するための被覆資材と、該農園芸用ハウスから着脱可能に吊り下げられるための被吊り下げ部とを備えていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、本発明に係る保温カーテンは被覆資材を備えているので、上記農園芸用ハウス内の特定の空間を覆って、該空間を保温することができる。本発明に係る保温カーテンはまた、被吊り下げ部を備えているので、容易に上記農芸ハウス内に設置することができる。
【0012】
本発明に係る保温カーテンでは、上記被吊り下げ部が、貫通孔を有する構造体であることが好ましい。
【0013】
上記の構造は、着脱可能に吊り下げるために好適に用いることができるので、上記被吊り下げ部として好適である。
【0014】
本発明に係る保温カーテンは、複数の上記被吊り下げ部を備えており、該複数の被吊り下げ部が、直線状に配置されていることが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、本発明に係る保温カーテンは、一直線上に設けられた被吊り下げ部において、上記農園芸用ハウスから吊り下げることができるので、吊り下げたときの上記被覆資材のたるみを抑制することができる。
【0016】
本発明に係る保温カーテンでは、上記吊り下げ部同士の間隔が、50〜100cmの範囲であることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、吊り下げ部同士の間隔が広すぎないため、上記保温カーテンを上記農園芸用ハウスに吊り下げたときの上記被覆資材のたるみを抑制することができ、該間隔が狭すぎないため、吊り下げるための作業量を抑制することができる。
【0018】
本発明に係る保温カーテンでは、上記被覆資材が、複数の被吊り下げ部が配置してなる直線に対して対称となっていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、上記保温カーテンを農園芸用ハウスにバランスよく吊り下げることができる。
【0020】
本発明に係る保温カーテンでは、被吊り下げ部に補強材が備えられていることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、被吊り下げ部が補強されているので、上記農園芸用ハウスから吊り下げたときの耐久性が向上している。
【0022】
本発明に係る保温カーテンでは、上記補強材が、帯状であり、上記保温カーテンが上記農園芸用ハウスから吊り下げられたとき、該補強材の長さ方向が、上記直線に平行であり、該補強材の幅方向が重力方向であることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、上記補強材は、重力方向へ曲がりに対する剛性を有するため、上記保温カーテンを上記農園芸用ハウスから吊り下げたときの、上記被覆資材のたるみを好適に抑制することができる。
【0024】
本発明に係る保温カーテンは、上記補強材と上記被覆資材とがヒートシールされていることが好ましい。
【0025】
上記補強材と上記被覆資材とがヒートシールされていることによって、容易かつ強固に上記補強材と上記被覆資材とを接着することができる。
【0026】
本発明に係る保温カーテンでは、上記被覆資材の融点と、上記補強材の融点との差異が、30℃以下であることが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、上記被覆資材の融点と上記補強材の融点とが近いため、保温カーテンの剥離等を抑制することができる。
【0028】
本発明に係る保温カーテンでは、上記被覆資材の主成分と、上記補強材の主成分が同一であることが好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、上記被覆資材の主成分と、上記補強材の主成分が同一であるため、好適に接着することができる。また、容易にリサイクルすることができる。
【0030】
本発明に係る保温カーテンでは、上記被覆資材が、オレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニルを含んでいることが好ましい。
【0031】
オレフィン系樹脂およびポリ塩化ビニルは、透明性および断熱性に優れているため、上記被覆資材の組成として好適に用いることができる。
【0032】
本発明に係る農園芸用ハウスは、本発明に係る保温カーテンを備えていることを特徴としている。
【0033】
上記の構成によれば、上記農園芸用ハウスは、容易に着脱可能である保温カーテンを備えているので、自ハウス内の温度を容易に調節することができる。
【0034】
本発明に係る農園芸用ハウスでは、上記保温カーテンが、上記農園芸用ハウスの最上部から吊り下げられていることが好ましい。
【0035】
上記の構成によれば、上記保温カーテンが、上記農園芸用ハウスの最上部から吊り下げられているので、該農園芸用ハウス内の広い範囲を保温することができる。
【0036】
本発明に係る農園芸用ハウスでは、上記最上部から上記保温カーテンまでの距離が、該最上部から地面までの距離の1/10以上4/10以下の範囲であることが好ましい。
【0037】
上記の構成によれば、上記農園芸用ハウスの外面と、上記保温カーテンとの間に適切な空気層が形成されるため、保温効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る保温カーテンは、被吊り下げ部を有しているので、農園芸用ハウス内に容易に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0040】
なお、本明細書では、「重量」は「質量」と同義語として扱い、「重量%」は「質量%」と同義語として扱う。また、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを示す。また、本明細書では、「主成分」とは、50質量%以上含有していることを意味する。
【0041】
(保温カーテン)
本発明は、保温カーテンを提供する。本明細書において、保温カーテンとは、農園芸用ハウスの内部に設置して、該農園芸用ハウス内の特定の空間を被覆して、該空間を保温するための物品を意味している。以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0042】
図1は、本実施形態に係る保温カーテン10の概略構成を示す正面図である。図2は、保温カーテン10の一部分を示す側面図である。図3は、保温カーテン10の使用態様を説明する斜視図である。
【0043】
図1〜3に示すように、保温カーテン10は、シート状の被覆資材11および板状の補強材12を備えており、被覆資材11および補強材12にはハトメ(被吊り下げ部)13が設けられている。
【0044】
被覆資材11は、線対称な形状を有しており、該形状の対称軸において二つに折られている。そして、上記折られた箇所の谷部側において補強材12を挟んでいる。補強材12は被覆資材11と接着されている一方、被覆資材11の補強材12を挟んでいない部分同士は接着されておらず、分離している。また、上記対称軸に沿った方向において、被覆資材11の長さと、補強材12の長さとはほぼ同じである。
【0045】
なお、必ずしも保温カーテン10は、被覆資材11が折られて構成されている必要はない。例えば2枚の被覆資材11を補強材12の両面にそれぞれ貼り付けることによって、保温カーテン10が構成されていてもよい。
【0046】
ハトメ13は、被覆資材11の補強材12を挟んでいる部分に設けられており、上記対称軸に沿って、lの間隔をおいて複数個設けられている。それぞれのハトメ13は、ワイヤーフック20が掛けられ、保温カーテン10を吊り下げるための被吊り下げ部として用いられる。ハトメ13同士の間隔lは、等間隔でなくてもよいが、保温カーテン10をたるみなく吊り下げるためには、等間隔であることが好ましい。なお、ハトメは保温カーテン10を吊り下げ可能に構成されていれば必ずしも複数個設けられる必要なない。
【0047】
被覆資材11の素材としては、農園芸用ハウスまたはトンネル等に用いられる公知の農業用フィルムを用いればよく、オレフィン系樹脂を主成分とするフィルムまたはポリ塩化ビニルを主成分とするフィルムを好適に用いることができる。これらの物質は透明性および断熱性に優れているため好ましい。
【0048】
オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのα−オレフィンの単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂などのエチレン−極性ビニルモノマー共重合体を用いることができる。
【0049】
塩化ビニル樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルを主体とする他のコモノマーとの共重合体が挙げられ、コモノマーとしては酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエ−テル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル等を使用することができる。また、上記塩化ビニル単独重合体または共重合体と、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリイソプレン等の塩素を含有するポリオレフフィンとのブレンド物を使用することができる。
【0050】
被覆資材11の寸法は、保温カーテン10を設置すべき農園芸用ハウスの大きさに応じて適宜設定すればよい。詳しくは後述する。
【0051】
補強材12は、被覆資材11の変形を抑制するための補強材である。保温カーテン10を農園芸用ハウスから吊り下げた際に最も力の掛かる点は、ハトメ13であり、これらの位置がずれると引っ張られて被覆資材11も変形してしまう。これを防ぐために、補強材12が、ハトメ13同士を繋ぐ位置に配置されている。
【0052】
補強材12の素材としては、特に限られないが、被覆資材11との接着性およびリサイクルの観点から、被覆資材と同種の素材を用いることが好ましく、補強材12の主成分と、被覆資材11の主成分とが同一であることがより好ましい。すなわち、上記両主成分が同一であれば、リサイクルの前に分離する必要がない。また、同種の素材であれば、物理的性質(弾性率、曲げ剛性等)が類似しており、変形した際に剥離することを抑制することができる。さらに、後述するようにヒートシールによって補強材12を被覆資材11に接着する場合、同種の素材、特に融点の近い素材を用いることが好ましい。
【0053】
すなわち、被覆資材11と補強材12との融点の差異は、30℃以下であることがより好ましい。被覆資材11と補強材12との融点の差異が30℃以下であれば、容易にヒートシールすることができるほか、周囲の温度が変化した場合でも、剥離等の問題が起こり難い。ここで、被覆資材11および補強剤12の融点とは、JISK7121に従って測定される温度である。なお、融点ピークが複数観察される場合は、最も高い温度を融点とする。
【0054】
補強材12の寸法は、被覆資材11のたるみを抑制することができるように適宜設定することができる。詳しくは後述する。
【0055】
補強材12を被覆資材11に接着する方法としては、特に限られないが、処理の容易さ、コスト、および密封性の面からヒートシールによって行うことが好ましい。
【0056】
ハトメ13は、補強材12を挟んでいる被覆資材11に対して円形の貫通孔を開けることによって設けることができる。また、上記貫通孔と同じサイズのリング状の樹脂を該貫通孔に合わせて接着してもよい。上記貫通孔のサイズは特に限定されないが、直径4〜12mmの範囲とすればよい。
【0057】
なお、本実施形態では、農園芸用ハウスからの保温カーテン10の吊り下げのためにハトメ13を用いているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、着脱可能に吊り下げることができる構造であればハトメ13の代わりに被吊り下げ部として用いることができる。そのような構造としては、例えば、円形以外の形状をした貫通孔、フック、掛け紐等を用いることができる。図4は、上記の構造を説明する側面図である。図4(a)に示すように、ハトメ13の形状が円形以外であっても、同様にワイヤーフック20を着脱可能に引っ掛けることができる。また、図4(b)に示すように、ハトメ13の代わりに、環状の構造体(例えば、紐)を接着して被吊り下げ部とした場合も、該環の中にフックを挿入することにより、ワイヤーフック20を被吊り下げ部に着脱可能に引っ掛けることができる。また逆に、図4(c)に示すように、被吊り下げ部として、フック状の構造体を保温カーテン10に設けてもよい。この場合、ワイヤーフック20の代わりに先端に環状の構造体を有するワイヤーを用いることにより、該ワイヤーを被吊り下げ部に着脱可能に引っ掛けることができる。なおフック状の構造体とは、先端に貫通孔または環を支持するための突起を有している構造体を指す。
【0058】
また、ハトメ13は、必ずしも上記対称軸に沿って設ける必要はない。例えば、被覆資材11の四隅にハトメをそれぞれ設けてもよい。このような保温カーテンであっても、それぞれのハトメをワイヤーフックで農園芸用ハウスから吊り下げれば、容易に農園芸用ハウス内に設置することができる。
【0059】
さらに、被覆資材11は、線対称な形状を有していなくともよい。ただし、被覆資材11が線対称な形状を有している場合、バランスよく農園芸用ハウスから保温カーテン10を吊り下げることができる。
【0060】
ところで、被覆資材11を農園芸用ハウスに吊り下げたとき、被覆資材11がたるむ場合がある(図7参照)。すなわち、ハトメ13と他のハトメ13との間で均等に力が加わらず、被覆資材11が変形してしまうことによってたるみが生じる。このように生じたたるみには、水滴が集まりやすく、集まった水滴が、そのたるみから下に存在する農作物や園芸品に滴下することにより、農作物等に悪影響を与える場合がある。これを解決するために、本発明者らが鋭意検討したところ、補強材12の寸法、ハトメ13の間隔等を調整することにより、上記たるみを抑制することができることを見出した。
【0061】
まず、補強材12は、帯状であることが好ましい。なお、帯状とは、直方体であって、最も長い辺によって長さ方向が規定され、2番目に長い辺によって幅方向が規定され、最も短い辺によって厚さ方向が規定される形状を意味する。そして、保温カーテン10が農園芸用ハウスから吊り下げられたとき、補強材12の長さ方向が、上記対称軸に平行であり、補強材12の幅方向が重力方向であることが好ましい。以上のような補強材12であれば、重力方向へ曲がりに対する剛性を有するため、保温カーテン10を農園芸用ハウスから吊り下げたときの、被覆資材11のたるみを好適に抑制することができる。
【0062】
また、ハトメ13同士の間隔lは、50cm〜100cmであることがより好ましい。ハトメ13同士の間隔lが100cm以下であれば、たるみを抑制することができる。なお、ハトメ13同士の間隔lが50cm以上であることによって、ハトメ13が多くなりすぎて、設置の手間が膨大になることを防ぐことができる。
【0063】
なお、ハトメ13同士の間隔とは、図2に示すように、一つのハトメ13の中心から隣接するハトメ13の中心までの距離を指す。また、上述したように、ハトメ13に替えて円形以外の形状をした貫通孔、フック、掛け紐等を被吊り下げ部として用いた場合、上記間隔lとしては、一の被吊り下げ部を、隣接する被吊り下げ部と重なる位置まで移動させたときの移動距離を用いればよい。
【0064】
さらに、各部材の寸法等が下記の条件を満たしていることがより好ましい。すなわち、補強材12の曲げ剛性(A)、補強材12の幅(B)、補強材12の厚さ(C)、ハトメ13同士の上記間隔(D)、被覆資材11の厚さ(E)、および被覆資材11の上記対称軸と直交する方向における幅(F)が、下記式(1)を満たすことがより好ましい。
【0065】
A(kg/cm2)×B(mm)×C(mm)÷D(cm)
>E(mm)×F(cm)・・・(1)
上記式(1)は、保温カーテン10の比重を1として計算したとき、左辺が補強材11で補強された部分(補強部)の曲げ強さを表し、右辺が補強部にかかる荷重を表すとみなすことができる。保温カーテン10の各部材の寸法等が、上記式(1)を満たす場合、上記補強部が、該補強部にかかる荷重に十分に耐え得る曲げ強さを有しているため、たるみが生じ難い。
【0066】
なお、本明細書において曲げ剛性は、ASTM747−70に従って測定したものである。
【0067】
上記の条件を満たすように適宜、ハトメ13の間隔や、被覆資材11および補強材12の寸法を調節することにより、農園芸用ハウスから吊り下げたときの、被覆資材11のたるみを抑制することができる。
【0068】
(農園芸用ハウス)
次に、保温カーテン10の、農園芸用ハウスへの設置について説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る農園芸用ハウス100の概略構成を示す正面図であり、図6は、農園芸用ハウス100の斜視図である。
【0069】
図5および5に示すように、農園芸用ハウス100は、骨材101と、ハウス外張り用資材102と、保温カーテン103と、ワイヤーフック104と、パッカー105とを備えている。また、以下の説明では、保温カーテン103は、上述した保温カーテン10と同一のものとする。すなわち、保温カーテン103は、線対称な形状を有する被覆資材を備えており、該形状の対称軸に沿ってハトメ等の被吊り下げ部が該被覆資材上に設けられている。
【0070】
また、図7は、農園芸用ハウス100の内部を示す写真であり、(a)は保温カーテン103を下方から撮影した写真、(b)は保温カーテン103を上方から撮影した写真である。
【0071】
農園芸用ハウス100では、骨材101と、ハウス外張り用資材102によってハウス外面が形成されており、その内部に保温カーテン103が設置されている。保温カーテン103は、骨材101の最上部から吊り下げられたワイヤーフック104によって、上記被吊り下げ部において、農園芸用ハウス100から吊り下げられている。なお、ワイヤーフック104は、必ずしも骨材101の最上部から吊り下げられていなくともよいが、該最上部から吊り下げることにより、保温カーテン103をより高い位置に設置することが可能となり、保温カーテン103がより広い空間を被覆することが可能となる。
【0072】
また、保温カーテン103は、農園芸用ハウス100の側部にパッカー105によって結合されている。パッカー105としては、市販の農園芸用ハウス用パッカーを用いればよい。また、パッカーに替えて、保温カーテン103を農園芸用ハウス100に係留することができる留め具、例えば紐等を用いることもできる。
【0073】
ワイヤーフック104の長さは、上記最上部から地面までの距離の1/10以上4/10以下の範囲であることがより好ましい。ワイヤーフック104の長さが上記範囲内であれば、農園芸用ハウス100の最上部から保温カーテン103の最上部(被吊り下げ部)までの距離(該最上部から保温カーテン103までの最短距離)を、該最上部から地面までの距離の1/10以上4/10以下の範囲とすることができる。これにより、ハウス外張り用資材102と、保温カーテン103との間に適切な空気層を設けることができ、農園芸用ハウス100の保温効果をより高めることができる。
【0074】
上述したように、保温カーテン103の寸法(実際には、保温カーテンの被覆資材の寸法)は、農園芸用ハウス100の寸法に合わせて適宜設定すればよい。例えば、保温カーテン103の上記対称軸に沿った幅(「保温カーテン103の長さ」という)は、農園芸用ハウス100の長さにそろえるか、該長さよりも長くすることが好ましい。被覆資材11の長さを、上記農園芸用ハウスの長さにそろえることによって、農園芸用ハウス100の内部のほぼ全体を覆うことができる。また、被覆資材11の長さを、農園芸用ハウス100の長さよりも長くすれば、被覆資材11のあまった部分をたれ下げることによって、上記長さ方向の端部を被覆することが可能である。また、被覆資材11の長さ方向に直交する方向の幅(「保温カーテン103の幅」という)は、農園芸用ハウス100の幅および保温カーテン103の吊り下げられた状態での中央部と端部との高低差によって適宜設定すればよい。
【0075】
以上のような構成を有する農園芸用ハウス100は、保温カーテン103を備えているので保温効果を高くすることができ、また、保温カーテン103が着脱可能に吊り下げられているため、容易に保温カーテンの設置、不設置を切替えることができる。
【実施例】
【0076】
〔保温性テスト〕
本発明に係る保温カーテンを備えた農園芸用ハウス、従来技術に係る保温カーテンを備えた農園芸用ハウス、加温機を備えた農園芸用ハウス、および通常の農園芸用ハウスについて、保温効果を検証した。
【0077】
検証は北海道北見市において行った。農園芸用ハウスの外面の構造、およびハウス外張り用資材は同じものを用いた。農園芸用ハウスの間口は7.2m、長さは50m、高さは3.2m、ハウス外張り用資材としては、厚さ100μmの農業用ポリオレフィンフィルム(市販品)を用いた。4/1〜4/15の期間において、ハウス内部の4:00および6:00における平均温度を測定した。
【0078】
(実施例1)
農園芸用ハウスの内部に、本発明に係る保温カーテンを設置した。該保温カーテンの被覆資材としては、厚さ75μmの農業用ポリオレフィンフィルム(市販品)を用いた。
【0079】
(比較例1)
農園芸用ハウスの内部に、従来技術に係る保温カーテン(市販品)を設置した。該保温カーテンの被覆資材としては、厚さ75μmの農業用ポリオレフィンフィルム(市販品)を用いた。
【0080】
(比較例2)
農園芸用ハウスの内部に、重油式加温機(市販品)を設置した。5℃を下回った場合に稼動するように設定した。
【0081】
(比較例3)
なにも設置しなかった。
【0082】
(結果)
結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
表1に示すように、本発明に係る保温カーテンは、事前の骨材の準備または重油の消費なしでも、従来技術に係る保温カーテンおよび加温機に遜色ない保温性を有していた。
【0085】
〔たるみテスト〕
農園芸用ハウスの内部に、本発明に係る保温カーテンを設置した。上記保温カーテンとしては、図1〜3に示すような、被覆資材、補強材および複数の被吊り下げ部を備えた保温カーテンを用いた。そして、実施例2〜4および比較例4〜6において、上記補強材の曲げ剛性(A)、上記補強材の幅(B)、上記補強材の厚さ(C)、被吊り下げ部同士の間隔(D)、被覆資材の厚さ(E)、および被覆資材の複数の被吊り下げ部が配置してなる直線と直交する方向における幅(F)を表2に示すように調整した。そして、たるみができているかどうかを目視で判定した。結果を同じく表2に示す。なお、「たるみ」の項において、「○」はたるみがなく良好であったことを示し、「×」はたるみができていたことを示す。
【0086】
【表2】
【0087】
表2に示すように、下記式(1)を満たしていた場合(実施例2〜4)に、たるみが抑制されていた。一方、下記式(1)を満たしていない場合(比較例4〜6)には、たるみが形成されていた。
【0088】
A(kg/cm2)×B(mm)×C(mm)÷D(cm)
>E(mm)×F(cm)・・・(1)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0089】
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、施設園芸の分野において利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態に係る保温カーテンの概略構成を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る保温カーテンの一部分の概略構成を示す側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る保温カーテンの概略構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の様々な実施形態に係る被吊り下げ部の構造を示す側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る農園芸用ハウスの概略構成を示す正面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る農園芸用ハウスの概略構成を示す斜視図である。
【図7】(a)は、本発明の一実施形態に係る保温カーテンを下から撮影した写真であり、(b)は、本発明の一実施形態に係る保温カーテンを上から撮影した写真である。
【図8】従来技術に係る農園芸用ハウスの概略構成を示す正面図である。
【図9】従来技術に係る農園芸用ハウスの概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0092】
10 保温カーテン
11 被覆資材
12 補強材
13 ハトメ(被吊り下げ部)
20 ワイヤーフック
100、900 農園芸用ハウス
101 骨材
102 ハウス外張り用資材
103、903 保温カーテン
104 ワイヤーフック
105 パッカー
901 ハウス外面
902 骨材
【技術分野】
【0001】
本発明は、保温カーテンおよびそれを利用した農園芸用ハウスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
農園芸用ハウスは、通常、骨材にハウス外張り用資材を被覆して形成されている。このような農園芸用ハウスを用いた施設園芸において、ハウス内の温度を保つための代表的な技術としては、ハウス内を加熱するための暖房設備、およびハウスからの放熱を抑制するための保温技術がある。ただし、暖房設備は重油、ガス等の燃焼を利用するため、CO2の発生による地球環境およびハウス内作業への悪影響、ならびにH2Oの発生によるハウス内の湿度上昇による栽培作物への悪影響を及ぼしかねないという問題を有している。一方、保温技術にはそのような問題はない。そのため、保温技術のさらなる発展が強く望まれている。
【0003】
上記ハウスからの放熱としては、ハウス外張り用資材および骨材を通過する伝熱(貫流伝熱)、ハウス外張り用資材の重ね目などの隙間を通しての伝熱(隙間換気伝熱)、および地中への伝熱(地表伝熱)が存在する。このうち、隙間換気伝熱は貫流伝熱に比べ非常に小さく、地表伝熱は昼間はハウスから地中への蓄熱が起こるが、夜間は逆にハウス内への放熱が起こるため差し引きの放熱量は少ない。したがって、貫流伝熱による放熱を抑制することが特に重要である。
【0004】
貫流伝熱は、例えば、農園芸用ハウスのハウス外張り用資材を改良することによって抑制することができる。上記改良の方法としては、具体的には、例えば、ハウス外張り用資材の材料、厚さ、または被覆枚数を調整する方法のほか、断熱材により被覆面を覆う方法が挙げられる。また、被覆資材を2重膜とし、内部にブロワを用いて空気を送り込み空気層を作る方法も行われている。ただし、この方法は、ブロワ等の設備が必要であり、用いるハウス外張り用資材の材料がポリエチレン等の軟質フィルムに限られてしまう。
【0005】
また、保温カーテンを用いることによっても貫流伝熱を抑制することができる。開閉が可能である保温カーテンは、上述したような農園芸用ハウスのハウス外張り用資材を改良する方法とは異なり、季節や時間帯によって保温効果を調節することができる。すなわち、たとえば、冬季のみ保温カーテンを使用して(保温カーテンを閉じて)一年を通じたハウス内の温度の適切な調節を行うことや、昼間は保温カーテンを開けて、十分な日射を得る一方、夜間は保温カーテンを閉じて十分な保温を行うといった細やかな調整を行うことができる。
【0006】
以下、図面を用いて従来技術に係る保温カーテンを説明する。図8は、従来技術に係る保温カーテンを有する農園芸用ハウス900の概略構造を示す正面図であり、図9は、農園芸用ハウス900の概略構造を示す斜視図である。
【0007】
図8および図9に示すように、農園芸用ハウス900は、ハウス外面901の内部に、骨材902、保温カーテン903、および巻き取り機904を備えている。保温カーテン903は、骨材902によって支持され、巻き取り機904によって開閉される。
【非特許文献1】「第3章 温度制御」施設園芸ハンドブック(5訂版)、社団法人日本施設園芸協会、p117〜141、2003年3月1日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、設置が簡便な保温カーテンはこれまで得られていなかった。上述したように、従来技術に係る保温カーテンは骨材、巻き取り機等を必要とするため、設置の手間およびそのためのコストが必要であった。そのため、設置が簡便な保温カーテンが求められていた。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、設置が簡便な保温カーテンおよび該保温カーテンを備えた農園芸用ハウスを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る保温カーテンは、農園芸用ハウスの内部に設置して該農園芸用ハウス内を保温するための保温カーテンであって、該農園芸用ハウス内の特定の空間を被覆するための被覆資材と、該農園芸用ハウスから着脱可能に吊り下げられるための被吊り下げ部とを備えていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、本発明に係る保温カーテンは被覆資材を備えているので、上記農園芸用ハウス内の特定の空間を覆って、該空間を保温することができる。本発明に係る保温カーテンはまた、被吊り下げ部を備えているので、容易に上記農芸ハウス内に設置することができる。
【0012】
本発明に係る保温カーテンでは、上記被吊り下げ部が、貫通孔を有する構造体であることが好ましい。
【0013】
上記の構造は、着脱可能に吊り下げるために好適に用いることができるので、上記被吊り下げ部として好適である。
【0014】
本発明に係る保温カーテンは、複数の上記被吊り下げ部を備えており、該複数の被吊り下げ部が、直線状に配置されていることが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、本発明に係る保温カーテンは、一直線上に設けられた被吊り下げ部において、上記農園芸用ハウスから吊り下げることができるので、吊り下げたときの上記被覆資材のたるみを抑制することができる。
【0016】
本発明に係る保温カーテンでは、上記吊り下げ部同士の間隔が、50〜100cmの範囲であることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、吊り下げ部同士の間隔が広すぎないため、上記保温カーテンを上記農園芸用ハウスに吊り下げたときの上記被覆資材のたるみを抑制することができ、該間隔が狭すぎないため、吊り下げるための作業量を抑制することができる。
【0018】
本発明に係る保温カーテンでは、上記被覆資材が、複数の被吊り下げ部が配置してなる直線に対して対称となっていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、上記保温カーテンを農園芸用ハウスにバランスよく吊り下げることができる。
【0020】
本発明に係る保温カーテンでは、被吊り下げ部に補強材が備えられていることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、被吊り下げ部が補強されているので、上記農園芸用ハウスから吊り下げたときの耐久性が向上している。
【0022】
本発明に係る保温カーテンでは、上記補強材が、帯状であり、上記保温カーテンが上記農園芸用ハウスから吊り下げられたとき、該補強材の長さ方向が、上記直線に平行であり、該補強材の幅方向が重力方向であることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、上記補強材は、重力方向へ曲がりに対する剛性を有するため、上記保温カーテンを上記農園芸用ハウスから吊り下げたときの、上記被覆資材のたるみを好適に抑制することができる。
【0024】
本発明に係る保温カーテンは、上記補強材と上記被覆資材とがヒートシールされていることが好ましい。
【0025】
上記補強材と上記被覆資材とがヒートシールされていることによって、容易かつ強固に上記補強材と上記被覆資材とを接着することができる。
【0026】
本発明に係る保温カーテンでは、上記被覆資材の融点と、上記補強材の融点との差異が、30℃以下であることが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、上記被覆資材の融点と上記補強材の融点とが近いため、保温カーテンの剥離等を抑制することができる。
【0028】
本発明に係る保温カーテンでは、上記被覆資材の主成分と、上記補強材の主成分が同一であることが好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、上記被覆資材の主成分と、上記補強材の主成分が同一であるため、好適に接着することができる。また、容易にリサイクルすることができる。
【0030】
本発明に係る保温カーテンでは、上記被覆資材が、オレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニルを含んでいることが好ましい。
【0031】
オレフィン系樹脂およびポリ塩化ビニルは、透明性および断熱性に優れているため、上記被覆資材の組成として好適に用いることができる。
【0032】
本発明に係る農園芸用ハウスは、本発明に係る保温カーテンを備えていることを特徴としている。
【0033】
上記の構成によれば、上記農園芸用ハウスは、容易に着脱可能である保温カーテンを備えているので、自ハウス内の温度を容易に調節することができる。
【0034】
本発明に係る農園芸用ハウスでは、上記保温カーテンが、上記農園芸用ハウスの最上部から吊り下げられていることが好ましい。
【0035】
上記の構成によれば、上記保温カーテンが、上記農園芸用ハウスの最上部から吊り下げられているので、該農園芸用ハウス内の広い範囲を保温することができる。
【0036】
本発明に係る農園芸用ハウスでは、上記最上部から上記保温カーテンまでの距離が、該最上部から地面までの距離の1/10以上4/10以下の範囲であることが好ましい。
【0037】
上記の構成によれば、上記農園芸用ハウスの外面と、上記保温カーテンとの間に適切な空気層が形成されるため、保温効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る保温カーテンは、被吊り下げ部を有しているので、農園芸用ハウス内に容易に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0040】
なお、本明細書では、「重量」は「質量」と同義語として扱い、「重量%」は「質量%」と同義語として扱う。また、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを示す。また、本明細書では、「主成分」とは、50質量%以上含有していることを意味する。
【0041】
(保温カーテン)
本発明は、保温カーテンを提供する。本明細書において、保温カーテンとは、農園芸用ハウスの内部に設置して、該農園芸用ハウス内の特定の空間を被覆して、該空間を保温するための物品を意味している。以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0042】
図1は、本実施形態に係る保温カーテン10の概略構成を示す正面図である。図2は、保温カーテン10の一部分を示す側面図である。図3は、保温カーテン10の使用態様を説明する斜視図である。
【0043】
図1〜3に示すように、保温カーテン10は、シート状の被覆資材11および板状の補強材12を備えており、被覆資材11および補強材12にはハトメ(被吊り下げ部)13が設けられている。
【0044】
被覆資材11は、線対称な形状を有しており、該形状の対称軸において二つに折られている。そして、上記折られた箇所の谷部側において補強材12を挟んでいる。補強材12は被覆資材11と接着されている一方、被覆資材11の補強材12を挟んでいない部分同士は接着されておらず、分離している。また、上記対称軸に沿った方向において、被覆資材11の長さと、補強材12の長さとはほぼ同じである。
【0045】
なお、必ずしも保温カーテン10は、被覆資材11が折られて構成されている必要はない。例えば2枚の被覆資材11を補強材12の両面にそれぞれ貼り付けることによって、保温カーテン10が構成されていてもよい。
【0046】
ハトメ13は、被覆資材11の補強材12を挟んでいる部分に設けられており、上記対称軸に沿って、lの間隔をおいて複数個設けられている。それぞれのハトメ13は、ワイヤーフック20が掛けられ、保温カーテン10を吊り下げるための被吊り下げ部として用いられる。ハトメ13同士の間隔lは、等間隔でなくてもよいが、保温カーテン10をたるみなく吊り下げるためには、等間隔であることが好ましい。なお、ハトメは保温カーテン10を吊り下げ可能に構成されていれば必ずしも複数個設けられる必要なない。
【0047】
被覆資材11の素材としては、農園芸用ハウスまたはトンネル等に用いられる公知の農業用フィルムを用いればよく、オレフィン系樹脂を主成分とするフィルムまたはポリ塩化ビニルを主成分とするフィルムを好適に用いることができる。これらの物質は透明性および断熱性に優れているため好ましい。
【0048】
オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのα−オレフィンの単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂などのエチレン−極性ビニルモノマー共重合体を用いることができる。
【0049】
塩化ビニル樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルを主体とする他のコモノマーとの共重合体が挙げられ、コモノマーとしては酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエ−テル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル等を使用することができる。また、上記塩化ビニル単独重合体または共重合体と、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリイソプレン等の塩素を含有するポリオレフフィンとのブレンド物を使用することができる。
【0050】
被覆資材11の寸法は、保温カーテン10を設置すべき農園芸用ハウスの大きさに応じて適宜設定すればよい。詳しくは後述する。
【0051】
補強材12は、被覆資材11の変形を抑制するための補強材である。保温カーテン10を農園芸用ハウスから吊り下げた際に最も力の掛かる点は、ハトメ13であり、これらの位置がずれると引っ張られて被覆資材11も変形してしまう。これを防ぐために、補強材12が、ハトメ13同士を繋ぐ位置に配置されている。
【0052】
補強材12の素材としては、特に限られないが、被覆資材11との接着性およびリサイクルの観点から、被覆資材と同種の素材を用いることが好ましく、補強材12の主成分と、被覆資材11の主成分とが同一であることがより好ましい。すなわち、上記両主成分が同一であれば、リサイクルの前に分離する必要がない。また、同種の素材であれば、物理的性質(弾性率、曲げ剛性等)が類似しており、変形した際に剥離することを抑制することができる。さらに、後述するようにヒートシールによって補強材12を被覆資材11に接着する場合、同種の素材、特に融点の近い素材を用いることが好ましい。
【0053】
すなわち、被覆資材11と補強材12との融点の差異は、30℃以下であることがより好ましい。被覆資材11と補強材12との融点の差異が30℃以下であれば、容易にヒートシールすることができるほか、周囲の温度が変化した場合でも、剥離等の問題が起こり難い。ここで、被覆資材11および補強剤12の融点とは、JISK7121に従って測定される温度である。なお、融点ピークが複数観察される場合は、最も高い温度を融点とする。
【0054】
補強材12の寸法は、被覆資材11のたるみを抑制することができるように適宜設定することができる。詳しくは後述する。
【0055】
補強材12を被覆資材11に接着する方法としては、特に限られないが、処理の容易さ、コスト、および密封性の面からヒートシールによって行うことが好ましい。
【0056】
ハトメ13は、補強材12を挟んでいる被覆資材11に対して円形の貫通孔を開けることによって設けることができる。また、上記貫通孔と同じサイズのリング状の樹脂を該貫通孔に合わせて接着してもよい。上記貫通孔のサイズは特に限定されないが、直径4〜12mmの範囲とすればよい。
【0057】
なお、本実施形態では、農園芸用ハウスからの保温カーテン10の吊り下げのためにハトメ13を用いているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、着脱可能に吊り下げることができる構造であればハトメ13の代わりに被吊り下げ部として用いることができる。そのような構造としては、例えば、円形以外の形状をした貫通孔、フック、掛け紐等を用いることができる。図4は、上記の構造を説明する側面図である。図4(a)に示すように、ハトメ13の形状が円形以外であっても、同様にワイヤーフック20を着脱可能に引っ掛けることができる。また、図4(b)に示すように、ハトメ13の代わりに、環状の構造体(例えば、紐)を接着して被吊り下げ部とした場合も、該環の中にフックを挿入することにより、ワイヤーフック20を被吊り下げ部に着脱可能に引っ掛けることができる。また逆に、図4(c)に示すように、被吊り下げ部として、フック状の構造体を保温カーテン10に設けてもよい。この場合、ワイヤーフック20の代わりに先端に環状の構造体を有するワイヤーを用いることにより、該ワイヤーを被吊り下げ部に着脱可能に引っ掛けることができる。なおフック状の構造体とは、先端に貫通孔または環を支持するための突起を有している構造体を指す。
【0058】
また、ハトメ13は、必ずしも上記対称軸に沿って設ける必要はない。例えば、被覆資材11の四隅にハトメをそれぞれ設けてもよい。このような保温カーテンであっても、それぞれのハトメをワイヤーフックで農園芸用ハウスから吊り下げれば、容易に農園芸用ハウス内に設置することができる。
【0059】
さらに、被覆資材11は、線対称な形状を有していなくともよい。ただし、被覆資材11が線対称な形状を有している場合、バランスよく農園芸用ハウスから保温カーテン10を吊り下げることができる。
【0060】
ところで、被覆資材11を農園芸用ハウスに吊り下げたとき、被覆資材11がたるむ場合がある(図7参照)。すなわち、ハトメ13と他のハトメ13との間で均等に力が加わらず、被覆資材11が変形してしまうことによってたるみが生じる。このように生じたたるみには、水滴が集まりやすく、集まった水滴が、そのたるみから下に存在する農作物や園芸品に滴下することにより、農作物等に悪影響を与える場合がある。これを解決するために、本発明者らが鋭意検討したところ、補強材12の寸法、ハトメ13の間隔等を調整することにより、上記たるみを抑制することができることを見出した。
【0061】
まず、補強材12は、帯状であることが好ましい。なお、帯状とは、直方体であって、最も長い辺によって長さ方向が規定され、2番目に長い辺によって幅方向が規定され、最も短い辺によって厚さ方向が規定される形状を意味する。そして、保温カーテン10が農園芸用ハウスから吊り下げられたとき、補強材12の長さ方向が、上記対称軸に平行であり、補強材12の幅方向が重力方向であることが好ましい。以上のような補強材12であれば、重力方向へ曲がりに対する剛性を有するため、保温カーテン10を農園芸用ハウスから吊り下げたときの、被覆資材11のたるみを好適に抑制することができる。
【0062】
また、ハトメ13同士の間隔lは、50cm〜100cmであることがより好ましい。ハトメ13同士の間隔lが100cm以下であれば、たるみを抑制することができる。なお、ハトメ13同士の間隔lが50cm以上であることによって、ハトメ13が多くなりすぎて、設置の手間が膨大になることを防ぐことができる。
【0063】
なお、ハトメ13同士の間隔とは、図2に示すように、一つのハトメ13の中心から隣接するハトメ13の中心までの距離を指す。また、上述したように、ハトメ13に替えて円形以外の形状をした貫通孔、フック、掛け紐等を被吊り下げ部として用いた場合、上記間隔lとしては、一の被吊り下げ部を、隣接する被吊り下げ部と重なる位置まで移動させたときの移動距離を用いればよい。
【0064】
さらに、各部材の寸法等が下記の条件を満たしていることがより好ましい。すなわち、補強材12の曲げ剛性(A)、補強材12の幅(B)、補強材12の厚さ(C)、ハトメ13同士の上記間隔(D)、被覆資材11の厚さ(E)、および被覆資材11の上記対称軸と直交する方向における幅(F)が、下記式(1)を満たすことがより好ましい。
【0065】
A(kg/cm2)×B(mm)×C(mm)÷D(cm)
>E(mm)×F(cm)・・・(1)
上記式(1)は、保温カーテン10の比重を1として計算したとき、左辺が補強材11で補強された部分(補強部)の曲げ強さを表し、右辺が補強部にかかる荷重を表すとみなすことができる。保温カーテン10の各部材の寸法等が、上記式(1)を満たす場合、上記補強部が、該補強部にかかる荷重に十分に耐え得る曲げ強さを有しているため、たるみが生じ難い。
【0066】
なお、本明細書において曲げ剛性は、ASTM747−70に従って測定したものである。
【0067】
上記の条件を満たすように適宜、ハトメ13の間隔や、被覆資材11および補強材12の寸法を調節することにより、農園芸用ハウスから吊り下げたときの、被覆資材11のたるみを抑制することができる。
【0068】
(農園芸用ハウス)
次に、保温カーテン10の、農園芸用ハウスへの設置について説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る農園芸用ハウス100の概略構成を示す正面図であり、図6は、農園芸用ハウス100の斜視図である。
【0069】
図5および5に示すように、農園芸用ハウス100は、骨材101と、ハウス外張り用資材102と、保温カーテン103と、ワイヤーフック104と、パッカー105とを備えている。また、以下の説明では、保温カーテン103は、上述した保温カーテン10と同一のものとする。すなわち、保温カーテン103は、線対称な形状を有する被覆資材を備えており、該形状の対称軸に沿ってハトメ等の被吊り下げ部が該被覆資材上に設けられている。
【0070】
また、図7は、農園芸用ハウス100の内部を示す写真であり、(a)は保温カーテン103を下方から撮影した写真、(b)は保温カーテン103を上方から撮影した写真である。
【0071】
農園芸用ハウス100では、骨材101と、ハウス外張り用資材102によってハウス外面が形成されており、その内部に保温カーテン103が設置されている。保温カーテン103は、骨材101の最上部から吊り下げられたワイヤーフック104によって、上記被吊り下げ部において、農園芸用ハウス100から吊り下げられている。なお、ワイヤーフック104は、必ずしも骨材101の最上部から吊り下げられていなくともよいが、該最上部から吊り下げることにより、保温カーテン103をより高い位置に設置することが可能となり、保温カーテン103がより広い空間を被覆することが可能となる。
【0072】
また、保温カーテン103は、農園芸用ハウス100の側部にパッカー105によって結合されている。パッカー105としては、市販の農園芸用ハウス用パッカーを用いればよい。また、パッカーに替えて、保温カーテン103を農園芸用ハウス100に係留することができる留め具、例えば紐等を用いることもできる。
【0073】
ワイヤーフック104の長さは、上記最上部から地面までの距離の1/10以上4/10以下の範囲であることがより好ましい。ワイヤーフック104の長さが上記範囲内であれば、農園芸用ハウス100の最上部から保温カーテン103の最上部(被吊り下げ部)までの距離(該最上部から保温カーテン103までの最短距離)を、該最上部から地面までの距離の1/10以上4/10以下の範囲とすることができる。これにより、ハウス外張り用資材102と、保温カーテン103との間に適切な空気層を設けることができ、農園芸用ハウス100の保温効果をより高めることができる。
【0074】
上述したように、保温カーテン103の寸法(実際には、保温カーテンの被覆資材の寸法)は、農園芸用ハウス100の寸法に合わせて適宜設定すればよい。例えば、保温カーテン103の上記対称軸に沿った幅(「保温カーテン103の長さ」という)は、農園芸用ハウス100の長さにそろえるか、該長さよりも長くすることが好ましい。被覆資材11の長さを、上記農園芸用ハウスの長さにそろえることによって、農園芸用ハウス100の内部のほぼ全体を覆うことができる。また、被覆資材11の長さを、農園芸用ハウス100の長さよりも長くすれば、被覆資材11のあまった部分をたれ下げることによって、上記長さ方向の端部を被覆することが可能である。また、被覆資材11の長さ方向に直交する方向の幅(「保温カーテン103の幅」という)は、農園芸用ハウス100の幅および保温カーテン103の吊り下げられた状態での中央部と端部との高低差によって適宜設定すればよい。
【0075】
以上のような構成を有する農園芸用ハウス100は、保温カーテン103を備えているので保温効果を高くすることができ、また、保温カーテン103が着脱可能に吊り下げられているため、容易に保温カーテンの設置、不設置を切替えることができる。
【実施例】
【0076】
〔保温性テスト〕
本発明に係る保温カーテンを備えた農園芸用ハウス、従来技術に係る保温カーテンを備えた農園芸用ハウス、加温機を備えた農園芸用ハウス、および通常の農園芸用ハウスについて、保温効果を検証した。
【0077】
検証は北海道北見市において行った。農園芸用ハウスの外面の構造、およびハウス外張り用資材は同じものを用いた。農園芸用ハウスの間口は7.2m、長さは50m、高さは3.2m、ハウス外張り用資材としては、厚さ100μmの農業用ポリオレフィンフィルム(市販品)を用いた。4/1〜4/15の期間において、ハウス内部の4:00および6:00における平均温度を測定した。
【0078】
(実施例1)
農園芸用ハウスの内部に、本発明に係る保温カーテンを設置した。該保温カーテンの被覆資材としては、厚さ75μmの農業用ポリオレフィンフィルム(市販品)を用いた。
【0079】
(比較例1)
農園芸用ハウスの内部に、従来技術に係る保温カーテン(市販品)を設置した。該保温カーテンの被覆資材としては、厚さ75μmの農業用ポリオレフィンフィルム(市販品)を用いた。
【0080】
(比較例2)
農園芸用ハウスの内部に、重油式加温機(市販品)を設置した。5℃を下回った場合に稼動するように設定した。
【0081】
(比較例3)
なにも設置しなかった。
【0082】
(結果)
結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
表1に示すように、本発明に係る保温カーテンは、事前の骨材の準備または重油の消費なしでも、従来技術に係る保温カーテンおよび加温機に遜色ない保温性を有していた。
【0085】
〔たるみテスト〕
農園芸用ハウスの内部に、本発明に係る保温カーテンを設置した。上記保温カーテンとしては、図1〜3に示すような、被覆資材、補強材および複数の被吊り下げ部を備えた保温カーテンを用いた。そして、実施例2〜4および比較例4〜6において、上記補強材の曲げ剛性(A)、上記補強材の幅(B)、上記補強材の厚さ(C)、被吊り下げ部同士の間隔(D)、被覆資材の厚さ(E)、および被覆資材の複数の被吊り下げ部が配置してなる直線と直交する方向における幅(F)を表2に示すように調整した。そして、たるみができているかどうかを目視で判定した。結果を同じく表2に示す。なお、「たるみ」の項において、「○」はたるみがなく良好であったことを示し、「×」はたるみができていたことを示す。
【0086】
【表2】
【0087】
表2に示すように、下記式(1)を満たしていた場合(実施例2〜4)に、たるみが抑制されていた。一方、下記式(1)を満たしていない場合(比較例4〜6)には、たるみが形成されていた。
【0088】
A(kg/cm2)×B(mm)×C(mm)÷D(cm)
>E(mm)×F(cm)・・・(1)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0089】
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、施設園芸の分野において利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態に係る保温カーテンの概略構成を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る保温カーテンの一部分の概略構成を示す側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る保温カーテンの概略構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の様々な実施形態に係る被吊り下げ部の構造を示す側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る農園芸用ハウスの概略構成を示す正面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る農園芸用ハウスの概略構成を示す斜視図である。
【図7】(a)は、本発明の一実施形態に係る保温カーテンを下から撮影した写真であり、(b)は、本発明の一実施形態に係る保温カーテンを上から撮影した写真である。
【図8】従来技術に係る農園芸用ハウスの概略構成を示す正面図である。
【図9】従来技術に係る農園芸用ハウスの概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0092】
10 保温カーテン
11 被覆資材
12 補強材
13 ハトメ(被吊り下げ部)
20 ワイヤーフック
100、900 農園芸用ハウス
101 骨材
102 ハウス外張り用資材
103、903 保温カーテン
104 ワイヤーフック
105 パッカー
901 ハウス外面
902 骨材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農園芸用ハウスの内部に設置して該農園芸用ハウス内を保温するための保温カーテンであって、
該農園芸用ハウス内の特定の空間を被覆するための被覆資材と、
該農園芸用ハウスから着脱可能に吊り下げられるための被吊り下げ部とを備えていることを特徴とする保温カーテン。
【請求項2】
上記被吊り下げ部が、貫通孔を有する構造体であることを特徴とする請求項1に記載の保温カーテン。
【請求項3】
複数の上記被吊り下げ部を備えており、
該複数の被吊り下げ部が、直線状に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の保温カーテン。
【請求項4】
上記吊り下げ部同士の間隔が、50〜100cmの範囲であることを特徴とする請求項3に記載の保温カーテン。
【請求項5】
上記被覆資材が、複数の被吊り下げ部が配置してなる直線に対して対称となっていることを特徴とする請求項3または4に記載の保温カーテン。
【請求項6】
被吊り下げ部に補強材が備えられていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の保温カーテン。
【請求項7】
上記補強材が、帯状であり、
上記保温カーテンが上記農園芸用ハウスから吊り下げられたとき、該補強材の長さ方向が、上記直線に平行であり、該補強材の幅方向が重力方向であることを特徴とする請求項6に記載の保温カーテン。
【請求項8】
上記補強材と上記被覆資材とがヒートシールされていることを特徴とする請求項6または7に記載の保温カーテン。
【請求項9】
上記被覆資材の融点と、上記補強材の融点との差異が、30℃以下であることを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載の保温カーテン。
【請求項10】
上記被覆資材の主成分と、上記補強材の主成分が同一であることを特徴とする請求項6〜9の何れか一項に記載の保温カーテン。
【請求項11】
上記被覆資材が、オレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニルを含んでいることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の保温カーテン。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一項に記載の保温カーテンを備えていることを特徴とする農園芸用ハウス。
【請求項13】
上記保温カーテンが、上記農園芸用ハウスの最上部から吊り下げられていることを特徴とする請求項12に記載の農園芸用ハウス。
【請求項14】
上記最上部から上記保温カーテンまでの距離が、該最上部から地面までの距離の1/10以上4/10以下の範囲であることを特徴とする請求項13に記載の農園芸用ハウス。
【請求項1】
農園芸用ハウスの内部に設置して該農園芸用ハウス内を保温するための保温カーテンであって、
該農園芸用ハウス内の特定の空間を被覆するための被覆資材と、
該農園芸用ハウスから着脱可能に吊り下げられるための被吊り下げ部とを備えていることを特徴とする保温カーテン。
【請求項2】
上記被吊り下げ部が、貫通孔を有する構造体であることを特徴とする請求項1に記載の保温カーテン。
【請求項3】
複数の上記被吊り下げ部を備えており、
該複数の被吊り下げ部が、直線状に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の保温カーテン。
【請求項4】
上記吊り下げ部同士の間隔が、50〜100cmの範囲であることを特徴とする請求項3に記載の保温カーテン。
【請求項5】
上記被覆資材が、複数の被吊り下げ部が配置してなる直線に対して対称となっていることを特徴とする請求項3または4に記載の保温カーテン。
【請求項6】
被吊り下げ部に補強材が備えられていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の保温カーテン。
【請求項7】
上記補強材が、帯状であり、
上記保温カーテンが上記農園芸用ハウスから吊り下げられたとき、該補強材の長さ方向が、上記直線に平行であり、該補強材の幅方向が重力方向であることを特徴とする請求項6に記載の保温カーテン。
【請求項8】
上記補強材と上記被覆資材とがヒートシールされていることを特徴とする請求項6または7に記載の保温カーテン。
【請求項9】
上記被覆資材の融点と、上記補強材の融点との差異が、30℃以下であることを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載の保温カーテン。
【請求項10】
上記被覆資材の主成分と、上記補強材の主成分が同一であることを特徴とする請求項6〜9の何れか一項に記載の保温カーテン。
【請求項11】
上記被覆資材が、オレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニルを含んでいることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の保温カーテン。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一項に記載の保温カーテンを備えていることを特徴とする農園芸用ハウス。
【請求項13】
上記保温カーテンが、上記農園芸用ハウスの最上部から吊り下げられていることを特徴とする請求項12に記載の農園芸用ハウス。
【請求項14】
上記最上部から上記保温カーテンまでの距離が、該最上部から地面までの距離の1/10以上4/10以下の範囲であることを特徴とする請求項13に記載の農園芸用ハウス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図7】
【公開番号】特開2009−100697(P2009−100697A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276992(P2007−276992)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(503076168)サンテーラ株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(503076168)サンテーラ株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
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