説明

保護アミノ基を含有するニトリル化合物で官能化したポリマー

官能化ポリマーの調製方法であって、(i)モノマーをアニオン性開始剤を用いて重合させ、反応性ポリマーを形成するステップ;ならびに(ii)該反応性ポリマーを、保護アミノ基を含有するニトリル化合物と反応させるステップにおいて、該保護アミノ基は非環状部分、複素環部分、および非芳香環部分からなる群から選択される部分に直接結合するステップを含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書に参照により組み入れる、2010年1月22日出願の米国仮特許出願第61/297,637号の利益を主張する。
【0002】
本発明の1つまたは複数の実施形態は官能化ポリマーおよびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
タイヤ製造技術では、低下したヒステリシス、すなわち、加熱するための機械的エネルギーのより少ない損失を示すゴム加硫物を用いることが望ましい。例えば、低下したヒステリシスを示すゴム加硫物は、望ましく低い転がり抵抗を有するタイヤを製造するため、サイドウォールおよびトレッドのようなタイヤ部品に有利に用いられる。ゴム加硫物のヒステリシスは多くの場合、架橋ゴム網内の遊離ポリマー鎖末端、および充填剤凝集物の解離によって生じる。
【0004】
ゴム加硫物のヒステリシスを低下するのに官能化ポリマーが用いられてきた。官能化ポリマーの官能基は、充填剤粒子との相互作用によって遊離ポリマー鎖末端の数を減少させることができる。また、官能基は充填剤凝集物を減少させることができる。それにもかかわらず、ポリマーに与えられた特定の官能基がヒステリシスを低下することができるかは多くの場合予測不可能である。
【0005】
官能化ポリマーは反応性ポリマーの特定の官能化剤での後重合処理により調製することができる。しかしながら、反応性ポリマーが特定の官能化剤での処理により官能化することができるかは、予測不可能であり得る。例えば、1つのタイプのポリマーに作用する官能化剤は、別のタイプのポリマーには必ずしも作用せず、その逆も同様である。
【0006】
アニオン性開始剤は、1,2−、シス−1,4−およびトランス−1,4−結合の組み合わせを有するポリジエンを形成する共役ジエンモノマーの重合に有用であることが知られている。アニオン性開始剤は、共役ジエンモノマーのビニル置換芳香族化合物との共重合にも有用である。アニオン性開始剤で調製されたポリマーは、重合の完了後、ポリマー鎖が、さらなる鎖成長のために追加モノマーと反応することができる、または官能化ポリマーをもたらすために特定の官能化剤と反応することができるリビング末端を有する、リビング特性を示すことができる。
【0007】
官能化ポリマーはとくにタイヤ製造において有利であるので、低下したヒステリシスをもたらす新規官能化ポリマーを開発する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態は、官能化ポリマーの調製方法であって、(i)モノマーをアニオン性開始剤を用いて重合させ、反応性ポリマーを形成するステップ;および(ii)反応性ポリマーを、保護アミノ基を含有するニトリル化合物と反応させるステップにおいて、保護アミノ基は非環状部分、複素環部分、および非芳香環部分からなる群から選択される部分に直接結合したステップを含む方法を提供する。
【0009】
本発明の実施形態は、官能化ポリマーの調製方法であって、(i)モノマーをアニオン性開始剤と重合させ、反応性ポリマーを形成するステップ;および(ii)反応性ポリマーを、式I:
【化1】


により定義される保護アミノ基を含有するニトリル化合物と反応させるステップにおいて、式中、Rは二価有機基であり、RおよびRはそれぞれ独立して一価有機基もしくは加水分解性基であり、またはRおよびRは結合して二価有機基を形成するが、ただし、Rがヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基であり、保護アミノ基が芳香環に直接結合しない限り、Rは非環状二価有機基、複素環二価有機基、ヘテロ原子を含まない非芳香環状二価有機基、またはヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基であるステップを含む方法をさらに提供する。
【0010】
本発明の実施形態は、保護アミノ基を含有する官能化ポリマーであって、式VII:
【化2】


により定義される官能化ポリマーにおいて、式中、πはポリジエンまたは共役ジエンと中もしくは低シス−1,4−結合含有量を有するコモノマーとのコポリマーのポリマー鎖であり、Rは二価有機基であり、RおよびRはそれぞれ独立して一価有機基もしくは加水分解性基であり、またはRおよびRは結合して二価有機基を形成するが、ただし、Rは非環状二価有機基、複素環二価有機基、ヘテロ原子を含まない非芳香環状二価有機基、またはRがヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である場合に、保護アミノ基が芳香環に直接結合しない限り、ヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基であるポリマーをさらに提供する。
【0011】
本発明の実施形態は、アミノ基を含有する官能化ポリマーであって、式VIII:
【化3】


により定義される官能化ポリマーにおいて、式中、πはポリジエンまたは共役ジエンと中もしくは低シス−1,4−結合含有量を有するコモノマーとのコポリマーのポリマー鎖であり、Rは二価有機基であり、R12およびR13はそれぞれ独立して一価有機基もしくは水素原子であり、またはR12およびR13は結合して二価有機基を形成するが、ただし、Rは非環状二価有機基、複素環二価有機基、ヘテロ原子を含まない非芳香環状二価有機基、またはRがヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である場合に、該保護アミノ基が該芳香環に直接結合しない限り、ヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基であるポリマーをさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の1つまたは複数の実施形態に従って調製された官能化ポリ(スチレン−co−ブタジエン)から調製された加硫物について、未官能化ポリ(スチレン−co−ブタジエン)から調製された加硫物と比較した、ヒステリシス損失(tanδ)対ムーニー粘度(130℃でのML1+4)の図形プロットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の1つ以上の実施形態によると、反応性ポリマーは、共役ジエンモノマーおよび任意でそれと共重合可能なモノマーをアニオン重合することにより調製され、この反応性ポリマーは次に保護アミノ基を含有するニトリル化合物との反応により官能化される。得られる官能化ポリマーはタイヤ部品の製造において用いることができる。1つまたは複数の実施形態では、得られる官能化ポリマーは有利に低ヒステリシスを示すタイヤ部品をもたらす。
【0014】
共役ジエンモノマーの例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、および2,4−ヘキサジエンが挙げられる。2つ以上の共役ジエンの混合物を共重合に用いることもできる。
【0015】
共役ジエンモノマーと共重合可能なモノマーの例としては、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、およびビニルナフタレンのようなビニル置換芳香族化合物が挙げられる。
【0016】
本発明によると、反応性ポリマーは、モノマーがアニオン性開始剤を用いることにより重合されるアニオン重合により調製される。アニオン重合の重要な機構的特徴については書籍(例えば、Hsieh,H.L.;Quirk,R.P.Anionic Polymerization:Principles and Practical Applications;Marcel Dekker:New York,1996)および総説(例えば、Hadjichristidis,N.;Pitsikalis,M.;Pispas,S.;Iatrou,H.;Chem.Rev.2001,101(12),3747−3792)に記載されている。アニオン性開始剤は、クエンチする前、さらなる鎖成長のために追加のモノマーと反応する、または官能化ポリマーをもたらすために特定の官能化剤と反応することができるリビングポリマーを有利に生成することができる。
【0017】
本発明の実施は、いずれかの特定のアニオン性開始剤の選択により制限されない。1つまたは複数の実施形態では、用いられるアニオン性開始剤はポリマー鎖の頭(すなわち、ポリマー鎖が開始される位置)に官能基を与える官能性開始剤である。特定の実施形態では、官能基は1つまたは複数のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、ホウ素、ケイ素、硫黄、スズ、およびリン原子)または複素環基を含む。特定の実施形態では、官能基は、官能基を含有するポリマーから調製されるカーボンブラック充填加硫物の50℃ヒステリシス損失を、官能基を含まないポリマーから調製される同様のカーボンブラック充填加硫物と比べて低減する。
【0018】
例となるアニオン性開始剤としては有機リチウム化合物が挙げられる。1つまたは複数の実施形態では、有機リチウム化合物はヘテロ原子を含むことができる。これらまたは他の実施形態では、有機リチウム化合物は1つまたは複数の複素環基を含むことができる。有機リチウム化合物のタイプとしては、アルキルリチウム、アリールリチウム化合物、およびシクロアルキルリチウム化合物が挙げられる。有機リチウム化合物の具体例としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、n−アミルリチウム、イソアミルリチウム、およびフェニルリチウムが挙げられる。
【0019】
特定の実施形態では、有機リチウム化合物としては、リチオヘキサメチレンイミンのような環状アミン含有化合物が挙げられる。これらおよび関連する有用な開始剤は、本明細書に参照により組み入れる、米国特許第5,332,810号明細書、第5,329,005号明細書、第5,578,542号明細書、第5,393,721号明細書、第5,698,646号明細書、第5,491,230号明細書、第5,521,309号明細書、第5,496,940号明細書、第5,574,109号明細書、および第5,786,441号明細書に開示されている。他の実施形態では、有機リチウム化合物としては2−リチオ−2−メチル−1,3−ジチアンのようなリチオ化アルキルチオアセタールが挙げられる。これらおよび関連する有用な開始剤は、本明細書に参照により組み入れる、米国特許出願公開第2006/0030657号明細書、第2006/0264590号明細書、および第2006/0264589号明細書に開示されている。さらに他の実施形態では、有機リチウム化合物としてはリチオ化t−ブチルジメチルプロポキシシランのようなアルコキシシリル含有開始剤が挙げられる。これらおよび関連する有用な開始剤は、本明細書に参照により組み入れる、米国特許出願公開第2006/0241241号明細書に開示されている。
【0020】
他のアニオン性開始剤としては、フェニルナトリウムおよび2,4,6−トリメチルフェニルナトリウムのような有機ナトリウム化合物が挙げられる。他に検討されるものは、ポリマー鎖の両端がリビングであるジリビングポリマーをもたらすアニオン性開始剤である。こうした開始剤の例としては、1,3−ジイソプロペニルベンゼンをsec−ブチルリチウムと反応させることにより調製されるもののようなジリチオ開始剤が挙げられる。これらおよび関連する二官能性開始剤は、本明細書に参照により組み入れる、米国特許第3,652,516号明細書に開示されている。本明細書に参照により組み入れる、米国特許第5,552,483号明細書に記載されるものを含む、ラジカルアニオン性開始剤を用いることもできる。
【0021】
1つまたは複数の実施形態では、用いられるアニオン性開始剤はトリ−n−ブチルスズリチウムのようなトリアルキルスズリチウム化合物である。これらおよび関連する有用な開始剤は、本明細書に参照により組み入れる、米国特許第3,426,006号明細書および第5,268,439号明細書に開示されている。
【0022】
共役ジエンモノマーおよびビニル置換芳香族モノマーを含有するエラストマーコポリマーがアニオン重合により調製される場合、共役ジエンモノマーおよびビニル置換芳香族モノマーは95:5〜50:50、または他の実施形態では90:10〜65:35の重量比で用いることができる。共重合におけるコモノマーのランダム化を促進するため、およびポリマーの微細構造(例えば、共役ジエンモノマーの1,2−結合)を制御するため、一般的には極性配位剤であるランダム化剤をアニオン性開始剤とともに用いることができる。
【0023】
ランダム化剤として有用な化合物としては、酸素または窒素ヘテロ原子および非結合電子対を有するものが挙げられる。例となるランダム化剤のタイプとしては、直鎖状および環状オリゴマーオキソラニルアルカン;モノおよびオリゴアルキレングリコールのジアルキルエーテル(別名グリムエーテル);クラウンエーテル;第3級アミン;直鎖状THFオリゴマー;アルカリ金属アルコキシド;ならびにアルカリ金属スルホネートが挙げられる。直鎖状および環状オリゴマーオキソラニルアルカンについては、本明細書に参照により組み入れる、米国特許第4,429,091号明細書に記載されている。ランダム化剤の具体例としては、2,2−ビス(2’−テトラヒドロフリル)プロパン、1,2−ジメトキシエタン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジピペリジルエタン、ジピペリジルメタン、ヘキサメチルホスホラミド、N,N’−ジメチルピペラジン、ジアザビシクロオクタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、トリ−n−ブチルアミン、カリウムt−アミレート、カリウム4−ドデシルスルホネート、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
用いるランダム化剤の量は、ポリマーの所望の微細構造、モノマーのコモノマーに対する比、重合温度、ならびに用いられる特定のランダム化剤および開始剤の性質のような各種要因によって決まり得る。1つまたは複数の実施形態では、用いられるランダム化剤の量は、アニオン性開始剤1モル当たり0.05〜100モルの範囲内とすることができる。
【0025】
アニオン性開始剤およびランダム化剤は各種方法により重合系に導入することができる。1つまたは複数の実施形態では、アニオン性開始剤およびランダム化剤は、段階的または同時に、重合させるモノマーに別々に添加することができる。他の実施形態では、アニオン性開始剤およびランダム化剤は重合系外で、モノマーの非存在下、または少量のモノマーの存在下で前混合することができ、得られる混合物は所望に応じて熟成させた後、重合させるモノマーに添加することができる。
【0026】
1つまたは複数の実施形態では、どのタイプのアニオン性開始剤を用いて反応性ポリマーを調製するかにかかわらず、開始剤の重合系への送達を促進するため、キャリアとして溶媒を用い、開始剤を溶解または懸濁させることができる。他の実施形態では、キャリアとしてモノマーを用いることができる。さらに他の実施形態では、開始剤は溶媒なしにニート状態で用いることができる。
【0027】
1つまたは複数の実施形態では、適切な溶媒としては、重合または開始剤の存在下でのモノマーの重合中の成長ポリマー鎖への組み込みを行わない有機化合物が挙げられる。1つまたは複数の実施形態では、これらの有機種は常温および常圧で液体である。1つまたは複数の実施形態では、これらの有機溶媒は開始剤に対して不活性である。例となる有機溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、および脂環式炭化水素のような、低いまたは比較的に低い沸点を有する炭化水素が挙げられる。芳香族炭化水素の非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、およびメシチレンが挙げられる。脂肪族炭化水素の非限定的な例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、イソペンタン、イソヘキサン、イソオクタン、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル、灯油、および石油スピリットが挙げられる。また、脂環式炭化水素の非限定的な例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、およびメチルシクロヘキサンが挙げられる。上記炭化水素の混合物を用いることもできる。当技術分野において知られるように、環境的な理由のため脂肪族および脂環式炭化水素が望ましく用いられ得る。低沸点炭化水素溶媒は、一般的には重合の完了後ポリマーから分離される。
【0028】
有機溶媒の他の例としては、ポリマーを油展するのに一般的に用いられる炭化水素油を含む、高分子量の高沸点炭化水素が挙げられる。これらの油の例としては、パラフィン油、芳香族油、ナフタレン油、ヒマシ油以外の植物油、MES、TDAE、SRAEを含む低PCA油、および重ナフタレン油が挙げられる。これらの炭化水素は不揮発性であるので、一般的には分離を必要とせず、ポリマー中に組み込まれたままである。
【0029】
本発明による反応性ポリマーの製造は、共役ジエンモノマーを、触媒作用に有効な量のアニオン性開始剤の存在下、任意で共役ジエンモノマーと共重合可能なモノマーと共に、重合させることにより達成することができる。開始剤、共役ジエンモノマー、任意でコモノマー、および用いる場合いずれかの溶媒の導入は、反応性ポリマーが形成される重合混合物を形成する。用いる開始剤の量は、用いられる開始剤のタイプ、材料の純度、重合温度、所望の重合速度および転化率、所望の分子量、ならびに多くの他の要因のような各種要因の兼ね合いによって決まり得る。従って、特定の開始剤の量は、触媒作用に有効な量の開始剤を用いることができるという以外は、断定的に示すことはできない。
【0030】
1つまたは複数の実施形態では、開始剤充填(例えば、アルキルリチウム化合物)は、モノマー100グラム当たり約0.05〜約100mmol、他の実施形態では約0.1〜約50mmol、さらに他の実施形態では約0.2〜約5mmolと変化し得る。
【0031】
1つまたは複数の実施形態では、重合は相当量の溶媒を含む重合系において行うことができる。1つまたは複数の実施形態では、重合するモノマーおよび形成されるポリマーの両方が溶媒中に可溶性である溶液重合系を用いることができる。別の実施形態では、形成されるポリマーが不溶性である溶媒を選択することにより、沈殿重合系を用いることができる。両方の場合、開始剤を調製するのに用いることができる溶媒の量に加えて、ある量の溶媒が通常重合系に添加される。追加溶媒は、開始剤を調製するのに用いられる溶媒と同じであってもまたは異なっていてもよい。例となる溶媒は上で示した。1つまたは複数の実施形態では、重合混合物の溶媒含有量は、重合混合物の総重量の20重量%超、他の実施形態では50重量%超、さらに他の実施形態では80重量%超であってもよい。
【0032】
他の実施形態では、用いられる重合系は一般的には、実質的には溶媒を含まない、または少量の溶媒を含むバルク重合系とみなすことができる。当業者であればバルク重合プロセス(すなわち、モノマーが溶媒として作用するプロセス)の利点を理解し、従って、重合系はバルク重合を行うことにより得られる利点に悪影響を及ぼすよりも少ない溶媒を含む。1つまたは複数の実施形態では、重合混合物の溶媒含有量は、重合混合物の総重量の約20重量%未満、他の実施形態では約10重量%未満、さらに他の実施形態では約5重量%未満であってもよい。別の実施形態では、重合混合物は、用いられる原料に内在するもの以外の溶媒を含有しない。さらに別の実施形態では、重合混合物は実質的には溶媒を含まず、これはそうでなければ重合プロセスに相当の影響を及ぼすであろう量の溶媒が存在しないことを指す。実質的には溶媒を含まない重合系とは、実質的には溶媒を含まないことを指すことができる。特定の実施形態では、重合混合物は溶媒を含まない。
【0033】
重合は当技術分野において知られるいずれかの従来の重合槽中で行うことができる。1つまたは複数の実施形態では、溶液重合は従来の撹拌タンク反応器中で行うことができる。他の実施形態では、バルク重合は、とくにモノマー転化率が約60%未満である場合、従来の撹拌タンク反応器中で行うことができる。さらに他の実施形態では、とくにバルク重合プロセスにおけるモノマー転化率が約60%より高く、一般的には高粘性セメントをもたらす場合、バルク重合は、重合下の粘性セメントがピストンにより、または実質的にピストンにより動かされる細長い反応器中で行うことができる。例えば、セメントが自動洗浄型の単軸または二軸撹拌機により押し出される押出機はこの目的に適している。有用なバルク重合プロセスの例は、本明細書に参照により組み入れる、米国特許第7,351,776号明細書に開示されている。
【0034】
1つまたは複数の実施形態では、重合に用いられる材料すべてを1つの槽(例えば、従来の撹拌タンク反応器)内で組み合わせることができ、重合プロセスのすべてのステップはこの槽内で行うことができる。他の実施形態では、2つ以上の材料は1つの槽中で予め組み合わせた後、モノマー(または少なくともその大部分)の重合を行うことができる別の槽に移すことができる。
【0035】
重合はバッチプロセス、連続プロセス、または半連続プロセスとして行うことができる。半連続プロセスでは、モノマーは必要に応じて断続的に加えられ、そのすでに重合されたモノマーを置き換える。1つまたは複数の実施形態では、重合を進行させる条件を制御し、重合混合の温度を約−10℃〜約200℃、他の実施形態では約0℃〜約150℃、他の実施形態では約20℃〜約100℃の範囲内に維持することができる。1つまたは複数の実施形態では、重合の熱は、熱的に制御された反応器ジャケットによる外部冷却、反応器に接続した還流冷却器の使用によるモノマーの気化および凝縮による内部冷却、または2つの方法の組み合わせにより除去することができる。また、重合条件を制御し、約0.1気圧〜約50気圧、他の実施形態では約0.5気圧〜約20気圧、他の実施形態では約1気圧〜約10気圧の圧力下で重合を行うことができる。1つまたは複数の実施形態では、重合を行うことができる圧力としては、モノマーの大部分が確実に液相にあるものが挙げられる。これらまたは他の実施形態では、重合混合物は嫌気条件下で維持することができる。
【0036】
得られる反応性ポリマー中のポリマー鎖のいくらかまたはすべては、重合混合物がクエンチされる前、反応性鎖末端を有することができる。上記のように、アニオン性開始剤(例えば、アルキルリチウム開始剤)を用いて調製される反応性ポリマーは、リビングポリマーと称することができる。1つまたは複数の実施形態では、反応性ポリマーを含む重合混合物は活性重合混合物と称することができる。反応性末端を有するポリマー鎖の割合は、開始剤のタイプ、モノマーのタイプ、材料の純度、重合温度、モノマー転化率、および多くの他の要因のような各種要因によって決まる。1つまたは複数の実施形態ではポリマー鎖の少なくとも約20%は反応性末端を有し、他の実施形態ではポリマー鎖の少なくとも約50%は反応性末端を有し、さらに他の実施形態ではポリマー鎖の少なくとも約80%は反応性末端を有する。いずれの場合も、反応性ポリマー、またはより具体的にはポリマーの反応性鎖末端は、保護アミノ基を含有するニトリル化合物と反応し、本発明の官能化ポリマーを形成することができる。
【0037】
1つまたは複数の実施形態では、保護アミノ基を含有するニトリル化合物としては、1つまたは複数の保護アミノ基および1つまたは複数のシアノ基を含有する化合物が挙げられる。本明細書の目的のため、および説明しやすさのため、保護アミノ基を含有するニトリル化合物は単にニトリル化合物と称することができる。
【0038】
1つまたは複数の実施形態では、ニトリル基と称することもできるシアノ基は、式−C≡Nにより定義することができる。
【0039】
1つまたは複数の実施形態では、保護アミノ基としては、親アミノ基(すなわち−NH)の2つの水素原子をヒドロカルビルまたはシリル基のような他の置換基で置き換えることにより形成または誘導されるアミノ基が挙げられる。1つまたは複数の実施形態では、保護アミノ基は式−NRにより定義することができ、式中、R基は独立してヒドロカルビル基またはシリル基である。保護アミノ基は、シリル基およびヒドロカルビル基を含む場合、モノシリル化アミノ基と称することができる。保護アミノ基は2つのシリル基を含む場合、ジシリル化アミノ基と称することができる。保護アミノ基は2つのヒドロカルビル基を含む場合、ジヒドロカルビルアミノ基と称することができる。
【0040】
例となる保護アミノ基のタイプとしては、これらに限定されないが、ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ、ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ、1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル、(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ、(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ、1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル、ジヒドロカルビルアミノ、および1−アザ−1−シクロヒドロカルビル基が挙げられる。
【0041】
ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ基の具体例としては、これらに限定されないが、ビス(トリメチルシリル)アミノ、ビス(トリエチルシリル)アミノ、ビス(トリイソプロピルシリル)アミノ、ビス(トリ−n−プロピルシリル)アミノ、ビス(トリイソブチルシリル)アミノ、ビス(トリ−t−ブチルシリル)アミノ、およびビス(トリフェニルシリル)アミノ基が挙げられる。
【0042】
ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ基の具体例としては、これらに限定されないが、ビス(ジメチルヒドロシリル)アミノ、ビス(ジエチルヒドロシリル)アミノ、ビス(ジイソプロピルヒドロシリル)アミノ、ビス(ジ−n−プロピルヒドロシリル)アミノ、ビス(ジイソブチルヒドロシリル)アミノ、ビス(ジ−t−ブチルヒドロシリル)アミノ、およびビス(ジフェニルヒドロシリル)アミノ基が挙げられる。
【0043】
1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル基の具体例としては、これらに限定されないが、2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル、2,2,5,5−テトラエチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル、2,2,5,5−テトラフェニル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル、2,2,6,6−テトラメチル−1−アザ−2,6−ジシラ−1−シクロヘキシル、2,2,6,6−テトラエチル−1−アザ−2,6−ジシラ−1−シクロヘキシル、および2,2,6,6−テトラフェニル−1−アザ−2,6−ジシラ−1−シクロヘキシル基が挙げられる。
【0044】
(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ基の具体例としては、これらに限定されないが、(トリメチルシリル)(メチル)アミノ、(トリエチルシリル)(メチル)アミノ、(トリフェニルシリル)(メチル)アミノ、(トリメチルシリル)(エチル)アミノ、(トリエチルシリル)(フェニル)アミノ、および(トリイソプロピルシリル)(メチル)アミノ基が挙げられる。
【0045】
(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ基の具体例としては、これらに限定されないが、(ジメチルヒドロシリル)(メチル)アミノ、(ジエチルヒドロシリル)(メチル)アミノ、(ジイソプロピルヒドロシリル)(メチル)アミノ、(ジ−n−プロピルヒドロシリル)(エチル)アミノ、(ジイソブチルヒドロシリル)(フェニル)アミノ、(ジ−t−ブチルヒドロシリル)(フェニル)アミノ、および(ジフェニルヒドロシリル)(フェニル)アミノ基が挙げられる。
【0046】
1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル基の具体例としては、これらに限定されないが、2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル、2,2−ジエチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル、2,2−ジフェニル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル、2,2−ジイソプロピル−1−アザ−2−シラ−1−シクロヘキシル、2,2−ジブチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロヘキシル、および2,2−ジフェニル−1−アザ−2−シラ−1−シクロヘキシル基が挙げられる。
【0047】
ジヒドロカルビルアミノ基の具体例としては、これらに限定されないが、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−n−プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジ−n−ブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ、(メチル)(シクロヘキシル)アミノ、(エチル)(シクロヘキシル)アミノ、(メチル)(フェニル)アミノ、(エチル)(フェニル)アミノ、(メチル)(ベンジル)アミノ、および(エチル)(ベンジル)アミノ基が挙げられる。
【0048】
1−アザ−1−シクロヒドロカルビル基の具体例としては、これらに限定されないが、アジリジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ホモピペリジノ、モルホリノ、N−メチルピペラジノ、およびN−メチルホモピペラジノ基が挙げられる。
【0049】
特定の実施形態では、保護アミノ基を含有するニトリル化合物としては、シアノ基が非環状部分に直接結合した化合物が挙げられる。他の特定の実施形態では、保護アミノ基を含有するニトリル化合物としては、保護アミノ基が非環状部分に直接結合した化合物が挙げられる。さらに他の特定の実施形態では、ニトリル化合物としては、シアノ基および保護アミノ基の両方が非環状部分に直接結合した化合物が挙げられる。
【0050】
特定の実施形態では、保護アミノ基を含有するニトリル化合物としては、シアノ基が複素環部分に直接結合した化合物が挙げられる。他の特定の実施形態では、保護アミノ基を含有するニトリル化合物としては、保護アミノ基が複素環部分に直接結合した化合物が挙げられる。さらに他の特定の実施形態では、ニトリル化合物としては、シアノ基および保護アミノ基の両方が複素環部分に直接結合した化合物が挙げられる。
【0051】
特定の実施形態では、保護アミノ基を含有するニトリル化合物としては、シアノ基が非芳香環部分に直接結合した化合物が挙げられる。他の特定の実施形態では、保護アミノ基を含有するニトリル化合物としては、保護アミノ基が非芳香環部分に直接結合した化合物が挙げられる。さらに他の特定の実施形態では、保護アミノ基を含有するニトリル化合物としては、シアノ基および保護アミノ基の両方が非芳香環部分に直接結合した化合物が挙げられる。
【0052】
特定の実施形態では、保護アミノ基を含有するニトリル化合物としては、シアノ基がヘテロ原子を含まない芳香族部分(例えば、フェニル環)に直接結合し、保護アミノ基が非環状部分、複素環部分、または非芳香環部分に直接結合した化合物が挙げられる。
【0053】
1つまたは複数の実施形態では、本発明はとくに、シアノ基、他の実施形態では保護アミノ基、または他の実施形態ではシアノ基および保護アミノ基の両方がヘテロ原子を含まない芳香族部分(例えば、フェニル環)に直接結合した化合物を除外する。
【0054】
1つまたは複数の実施形態では、保護アミノ基を含有するニトリル化合物は式I:
【化4】


により定義することができ、式中、Rは二価有機基であり、RおよびRはそれぞれ独立して一価有機基または加水分解性基であり、またはRおよびRは結合して二価有機基を形成する。1つまたは複数の実施形態では、RおよびRを結合することにより形成される二価有機基としては1つまたは複数の加水分解性基を挙げることができる。1つまたは複数の実施形態では、二価有機基Rは1つまたは複数の追加保護アミノ基および/または1つまたは複数の追加シアノ基を含有することができる。1つまたは複数の実施形態では、RおよびRが結合して二価有機基を形成する場合、保護アミノ基を含有するニトリル化合物は式II:
【化5】


により表すことができ、式中、RおよびRはそれぞれ独立して二価有機基であり、RおよびRはそれぞれ独立して結合または加水分解性基である。
【0055】
1つまたは複数の実施形態では、一価有機基としては、これに限定されないが、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アリール、アリル、アラルキル、アルカリル、またはアルキニル基のような、ヒドロカルビル基または置換ヒドロカルビル基を挙げることができる。置換ヒドロカルビル基としては、1つまたは複数の水素原子がアルキル基のような置換基により置き換えられたヒドロカルビル基が挙げられる。1つまたは複数の実施形態では、これらの基は、1個、または基を形成するのに適切な最小限の個数の炭素原子〜約20個の炭素原子を含むことができる。これらの基は、これらに限定されないが、窒素、ホウ素、酸素、ケイ素、硫黄、スズ、およびリン原子のような、ヘテロ原子を含有することもできる。
【0056】
1つまたは複数の実施形態では、加水分解性基としては、非水性環境または水を含まないもしくは実質的には含まない環境において、比較的に安定であり、従って、窒素原子に化学的に結合したままである基または置換基が挙げられる。しかしながら、水、水分、または水もしくは水分を含有する物質に曝露されると、加水分解性基または置換基は加水分解し、これにより窒素原子から切断される。結果として、加水分解性基は水素原子に置き換えられる。
【0057】
例となる加水分解性基としては、トリヒドロカルビルシリルおよびジヒドロカルビルヒドロシリル基が挙げられる。トリヒドロカルビルシリル基の具体例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリ−n−プロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリ−n−ブチルシリル、トリイソブチルシリル、トリ−t−ブチルシリル、トリフェニルシリル、およびt−ブチルジメチルシリル基が挙げられる。ジヒドロカルビルヒドロシリル基の具体例としては、ジメチルヒドロシリル、ジエチルヒドロシリル、ジ−n−プロピルヒドロシリル、ジイソプロピルヒドロシリル、ジ−n−ブチルヒドロシリル、ジイソブチルヒドロシリル、ジ−t−ブチルヒドロシリル、およびジフェニルヒドロシリル基が挙げられる。触媒を用い、保護アミノ基からシリル基を除去することもできる。適切な触媒としては、フッ化テトラブチルアンモニウム、塩酸のような強酸、および四塩化チタンのようなルイス酸が挙げられる。
【0058】
1つまたは複数の実施形態では、二価有機基としては、これらに限定されないが、アルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、シクロアルケニレン、アルキニレン、シクロアルキニレン、または複素環アリーレン基(すなわち、環にヘテロ原子を有するアリーレン基)のような、ヒドロカルビレン基または置換ヒドロカルビレン基を挙げることができる。特定の実施形態では、非複素環アリーレン基;すなわち、環にヘテロ原子を含まないアリーレン基(例えばフェニル基)はとくに除外される。置換ヒドロカルビレン基としては、1つまたは複数の水素原子がアルキル基のような置換基により置き換えられたヒドロカルビレン基が挙げられる。1つまたは複数の実施形態では、これらの基は、1個、または基を形成するのに適した最小限の個数の炭素原子〜約20個の炭素原子を含むことができる。これらの基は、これらに限定されないが、窒素、酸素、ホウ素、ケイ素、硫黄、スズ、およびリン原子のような、1つまたは複数のヘテロ原子を含有することもできる。
【0059】
1つまたは複数の実施形態では、二価有機基Rは1つまたは複数のヘテロ原子を含んでも含まなくてもよい非環状二価有機基(直鎖状または分岐鎖状)である。他の実施形態では、二価有機基Rは複素環二価有機基である。さらに他の実施形態では、二価有機基Rはヘテロ原子を含まない非芳香環状二価有機基である。
【0060】
1つまたは複数の実施形態では、二価有機基Rは、保護アミノ基が芳香環に直接結合しない(例えば保護アミノ基は芳香環から伸びるアルキレン基によってRに直接結合し得る)限り、ヘテロ原子を含まない芳香環(例えばフェニル環)を含有することができる。
【0061】
特定の実施形態では、式IのRはシリル基であり、保護アミノ基を含有するニトリル化合物は式III:
【化6】


により表すことができ、式中、Rは二価有機基であり、Rは一価有機基または加水分解性基であり、各Rは独立して水素原子もしくは一価有機基であり、またはRおよび1つのRは結合して二価有機基を形成する。1つまたは複数の実施形態では、RおよびRを結合することにより形成される二価有機基は1つまたは複数の加水分解性基を含むことができる。1つまたは複数の実施形態では、Rおよび1つのRが結合して二価有機基を形成する場合、保護アミノ基を含有するニトリル化合物は式IV:
【化7】


により表すことができ、式中、RおよびRはそれぞれ独立して二価有機基であり、各Rは独立して水素原子または一価有機基である。
【0062】
特定の実施形態では、式IのRおよびRはそれぞれ独立してシリル基であり、保護アミノ基を含有するニトリル化合物は式V:
【化8】


により表すことができ、式中、Rは二価有機基であり、RおよびR10はそれぞれ独立して水素原子もしくは一価有機基であり、または少なくとも1つのRおよび少なくとも1つのR10は結合して二価有機基を形成する。1つまたは複数の実施形態では、1つのRおよび1つのR10が結合して二価有機基を形成する場合、保護アミノ基を含有するニトリル化合物は式VI:
【化9】


により表すことができ、式中、RおよびR11はそれぞれ独立して二価有機基であり、RおよびR10はそれぞれ独立して水素原子または一価有機基である。
【0063】
例となる保護アミノ基を含有するニトリル化合物のタイプとしては、アレーンカルボニトリル化合物、アルカンカルボニトリル化合物、アルケンカルボニトリル化合物、アルキンカルボニトリル化合物、シクロアルカンカルボニトリル化合物、シクロアルケンカルボニトリル化合物、シクロアルキンカルボニトリル化合物、および複素環ニトリル化合物のようなニトリル化合物から誘導することができるものが挙げられる。当業者であればアレーンカルボニトリル化合物がアレーン化合物上の1つまたは複数の水素原子がシアノ基により置き換えられたアレーン化合物を含むことを理解し、当業者であれば他のクラスのニトリル化合物についても同様に見なすことができることを理解する。
【0064】
例となる保護アミノ基を含有するアレーンカルボニトリル化合物としては、2−メチルベンゾニトリル、3−メチルベンゾニトリル、4−メチルベンゾニトリル、2−エチルベンゾニトリル、3−エチルベンゾニトリル、4−エチルベンゾニトリル、2−シクロヘキシルベンゾニトリル、3−シクロヘキシルベンゾニトリル、および4−シクロヘキシルベンゾニトリルのようなアレーンカルボニトリル化合物から誘導されるものが挙げられる。
【0065】
例となる保護アミノ基を含有するアルカンカルボニトリル化合物としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、ピバロニトリル、1−ヘキサンニトリル、および1−ヘプタンニトリルのようなアルカンカルボニトリル化合物から誘導されるものが挙げられる。
【0066】
例となる保護アミノ基を含有するアルケンカルボニトリル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトノニトリル、3−ブテンニトリル、2−メチル−2−ブテンニトリル、2−ペンテンニトリル、3−ペンテンニトリル、4−ペンテンニトリル、5−ヘキセンニトリル、2−メチレングルタロニトリル、6−ヘプテンニトリル、フマロニトリル、メチレンマロノニトリル、およびベンジリデンマロノニトリルのようなアルケンカルボニトリル化合物から誘導されるものが挙げられる。
【0067】
例となる保護アミノ基を含有するアルキンカルボニトリル化合物としては、3−ブチンニトリル、2−ペンチンニトリル、3−ペンチンニトリル、4−ペンチンニトリル、および5−ヘキシンニトリルのようなアルキンカルボニトリル化合物から誘導されるものが挙げられる。
【0068】
例となる保護アミノ基を含有するシクロアルカンカルボニトリル化合物としては、シクロプロパンカルボニトリル、シクロブタンカルボニトリル、シクロペンタンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、およびシクロヘプタンカルボニトリルのようなシクロアルカンカルボニトリル化合物から誘導されるものが挙げられる。
【0069】
例となる保護アミノ基を含有するシクロアルケンカルボニトリル化合物としては、1−シクロプロペンカルボニトリル、1−シクロブテンカルボニトリル、1−シクロペンテンカルボニトリル、1−シクロヘキセンカルボニトリル、および1−シクロヘプテンカルボニトリルのようなシクロアルケンカルボニトリル化合物から誘導されるものが挙げられる。
【0070】
例となる保護アミノ基を含有する複素環ニトリル化合物としては、2−ピリジンカルボニトリル、3−ピリジンカルボニトリル、4−ピリジンカルボニトリル、2−ピリミジンカルボニトリル、4−ピリミジンカルボニトリル、5−ピリミジンカルボニトリル、ピラジンカルボニトリル、3−ピリダジンカルボニトリル、および4−ピリダジンカルボニトリルのような複素環ニトリル化合物から誘導されるものが挙げられる。
【0071】
例となる保護アミノ基を含有するアレーンカルボニトリル化合物のタイプとしては、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]アレーンカルボニトリル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]アレーンカルボニトリル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)アレーンカルボニトリル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アレーンカルボニトリル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アレーンカルボニトリル、(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)アレーンカルボニトリル、(ジヒドロカルビルアミノ)アレーンカルボニトリル、および(1−アザ−1−シクロヒドロカルビル)アレーンカルボニトリルが挙げられる。
【0072】
例となる保護アミノ基を含有するアルカンカルボニトリル化合物のタイプとしては、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]アルカンカルボニトリル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]アルカンカルボニトリル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)アルカンカルボニトリル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルカンカルボニトリル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルカンカルボニトリル、(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)アルカンカルボニトリル、(ジヒドロカルビルアミノ)アルカンカルボニトリル、および(1−アザ−1−シクロヒドロカルビル)アルカンカルボニトリルが挙げられる。
【0073】
例となる保護アミノ基を含有するアルケンカルボニトリル化合物のタイプとしては、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]アルケンカルボニトリル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]アルケンカルボニトリル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)アルケンカルボニトリル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルケンカルボニトリル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルケンカルボニトリル、(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)アルケンカルボニトリル、(ジヒドロカルビルアミノ)アルケンカルボニトリル、および(1−アザ−1−シクロヒドロカルビル)アルケンカルボニトリルが挙げられる。
【0074】
例となる保護アミノ基を含有するアルキンカルボニトリル化合物のタイプとしては、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]アルキンカルボニトリル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]アルキンカルボニトリル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)アルキンカルボニトリル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルキンカルボニトリル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルキンカルボニトリル、(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)アルキンカルボニトリル、(ジヒドロカルビルアミノ)アルキンカルボニトリル、および(1−アザ−1−シクロヒドロカルビル)アルキンカルボニトリルが挙げられる。
【0075】
例となる保護アミノ基を含有するシクロアルカンカルボニトリル化合物のタイプとしては、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]シクロアルカンカルボニトリル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]シクロアルカンカルボニトリル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルカンカルボニトリル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルカンカルボニトリル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルカンカルボニトリル、(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルカンカルボニトリル、(ジヒドロカルビルアミノ)シクロアルカンカルボニトリル、および(1−アザ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルカンカルボニトリルが挙げられる。
【0076】
例となる保護アミノ基を含有するシクロアルケンカルボニトリル化合物のタイプとしては、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]シクロアルケンカルボニトリル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]シクロアルケンカルボニトリル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルケンカルボニトリル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルケンカルボニトリル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルケンカルボニトリル、(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルケンカルボニトリル、(ジヒドロカルビルアミノ)シクロアルケンカルボニトリル、および(1−アザ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルケンカルボニトリルが挙げられる。
【0077】
例となる保護アミノ基を含有するシクロアルキンカルボニトリル化合物のタイプとしては、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]シクロアルキンカルボニトリル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]シクロアルキンカルボニトリル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルキンカルボニトリル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルキンカルボニトリル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルキンカルボニトリル、(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルキンカルボニトリル、(ジヒドロカルビルアミノ)シクロアルキンカルボニトリル、および(1−アザ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルキンカルボニトリルが挙げられる。
【0078】
例となる保護アミノ基を含有する複素環ニトリル化合物のタイプとしては、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]複素環ニトリル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]複素環ニトリル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)複素環ニトリル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]複素環ニトリル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]複素環ニトリル、(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)複素環ニトリル、(ジヒドロカルビルアミノ)複素環ニトリル、および(1−アザ−1−シクロヒドロカルビル)複素環ニトリルが挙げられる。
【0079】
保護アミノ基を含有するアレーンカルボニトリル化合物の具体例としては、2−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]ベンゾニトリル、3−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]ベンゾニトリル、4−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]ベンゾニトリル、2−[(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)メチル]ベンゾニトリル、3−[(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)メチル]ベンゾニトリル、4−[(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)メチル]ベンゾニトリル、2−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノメチル]ベンゾニトリル、3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノメチル]ベンゾニトリル、4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノメチル]ベンゾニトリル、2−[(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)メチル]ベンゾニトリル、3−[(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)メチル]ベンゾニトリル、4−[(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)メチル]ベンゾニトリル、2−(ジメチルアミノメチル)ベンゾニトリル、3−(ジメチルアミノメチル)ベンゾニトリル、4−(ジメチルアミノメチル)ベンゾニトリル、2−(アジリジノメチル)ベンゾニトリル、3−(アジリジノメチル)ベンゾニトリル、4−(アジリジノメチル)ベンゾニトリル、2−(アゼチジノメチル)ベンゾニトリル、3−(アゼチジノメチル)ベンゾニトリル、4−(アゼチジノメチル)ベンゾニトリル、2−(ピロリジノメチル)ベンゾニトリル、3−(ピロリジノメチル)ベンゾニトリル、4−(ピロリジノメチル)ベンゾニトリル、2−(ピペリジノメチル)ベンゾニトリル、3−(ピペリジノメチル)ベンゾニトリル、4−(ピペリジノメチル)ベンゾニトリル、2−(ホモピペリジノメチル)ベンゾニトリル、3−(ホモピペリジノメチル)ベンゾニトリル、4−(ホモピペリジノメチル)ベンゾニトリル、2−(モルホリノメチル)ベンゾニトリル、3−(モルホリノメチル)ベンゾニトリル、4−(モルホリノメチル)ベンゾニトリル、2−[(N−メチルピペラジノ)メチル]ベンゾニトリル、3−[(N−メチルピペラジノ)メチル]ベンゾニトリル、4−[(N−メチルピペラジノ)メチル]ベンゾニトリル、2−[(N−メチルホモピペラジノ)メチル]ベンゾニトリル、3−[(N−メチルホモピペラジノ)メチル]ベンゾニトリル、および4−[(N−メチルホモピペラジノ)メチル]ベンゾニトリルが挙げられる。
【0080】
保護アミノ基を含有するアルカンカルボニトリル化合物の具体例としては、[ビス(トリメチルシリル)アミノ]アセトニトリル、3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピオニトリル、4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ブチロニトリル、5−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]バレロニトリル、(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)アセトニトリル、3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)プロピオニトリル、4−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)ブチロニトリル、5−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)バレロニトリル、[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]アセトニトリル、[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]アセトニトリル、3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]プロピオニトリル、3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]プロピオニトリル、4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]ブチロニトリル、4−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]ブチロニトリル、5−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]バレロニトリル、5−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]バレロニトリル、N−トリメチルシリル−3,3’−イミノジプロピオニトリル、N−トリメチルシリルイミノジアセトニトリル、(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)アセトニトリル、3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)プロピオニトリル、4−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)ブチロニトリル、5−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)バレロニトリル、(ジメチルアミノ)アセトニトリル、(ジエチルアミノ)アセトニトリル、(ジフェニルアミノ)アセトニトリル、3−(ジメチルアミノ)プロピオニトリル、3−(ジエチルアミノ)プロピオニトリル、3−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピオニトリル、3−(ジイソプロピルアミノ)プロピオニトリル、3−(ジ−n−ブチルアミノ)プロピオニトリル、3−(ジイソブチルアミノ)プロピオニトリル、3−(ジシクロヘキシルアミノ)プロピオニトリル、3−(ジフェニルアミノ)プロピオニトリル、3−[ビス(シアノエチル)アミノ]プロピオニトリル、3−(ジベンジルアミノ)プロピオニトリル、3−[(メチル)(シクロヘキシル)アミノ]プロピオニトリル、3−[(エチル)(シクロヘキシル)アミノ]プロピオニトリル、3−[(メチル)(フェニル)アミノ]プロピオニトリル、3−[(エチル)(フェニル)アミノ]プロピオニトリル、3−[(メチル)(ベンジル)アミノ]プロピオニトリル、3−[(エチル)(ベンジル)アミノ]プロピオニトリル、4−(ジメチルアミノ)ブチロニトリル、4−(ジエチルアミノ)ブチロニトリル、4−(ジ−n−プロピルアミノ)ブチロニトリル、4−(ジイソプロピルアミノ)ブチロニトリル、4−(ジ−n−ブチルアミノ)ブチロニトリル、4−(ジイソブチルアミノ)ブチロニトリル、4−(ジシクロヘキシルアミノ)ブチロニトリル、4−(ジフェニルアミノ)ブチロニトリル、4−(ジベンジルアミノ)ブチロニトリル、4−[(メチル)(シクロヘキシル)アミノ]ブチロニトリル、4−[(エチル)(シクロヘキシル)アミノ]ブチロニトリル、4−[(メチル)(フェニル)アミノ]ブチロニトリル、4−[(エチル)(フェニル)アミノ]ブチロニトリル、4−[(メチル)(ベンジル)アミノ]ブチロニトリル、4−[(エチル)(ベンジル)アミノ]ブチロニトリル、5−(ジメチルアミノ)バレロニトリル、5−(ジエチルアミノ)バレロニトリル、5−(ジフェニルアミノ)バレロニトリル、アジリジノアセトニトリル、アゼチジノアセトニトリル、ピロリジノアセトニトリル、ピペリジノアセトニトリル、ホモピペリジノアセトニトリル、モルホリノアセトニトリル、(N−メチルピペラジノ)アセトニトリル、(N−メチルホモピペラジノ)アセトニトリル、3−アジリジノプロピオニトリル、3−アゼチジノプロピオニトリル、3−ピロリジノプロピオニトリル、3−ピペリジノプロピオニトリル、3−ホモピペリジノプロピオニトリル、3−モルホリノプロピオニトリル、3−(N−メチルピペラジノ)プロピオニトリル、3−(N−メチルホモピペラジノ)プロピオニトリル、4−アジリジノブチロニトリル、4−アゼチジノブチロニトリル、4−ピロリジノブチロニトリル、4−ピペリジノブチロニトリル、4−ホモピペリジノブチロニトリル、4−モルホリノブチロニトリル、4−(N−メチルピペラジノ)ブチロニトリル、4−(N−メチルホモピペラジノ)ブチロニトリル、5−アジリジノバレロニトリル、5−アゼチジノバレロニトリル、5−ピロリジノバレロニトリル、5−ピペリジノバレロニトリル、5−ホモピペリジノバレロニトリル、5−モルホリノバレロニトリル、5−(N−メチルピペラジノ)バレロニトリル、および5−(N−メチルホモピペラジノ)バレロニトリルが挙げられる。
【0081】
保護アミノ基を含有するアルケンカルボニトリル化合物の具体例としては、3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]クロトノニトリル、3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−ペンテンニトリル、3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−5−ヘキセンニトリル、3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)クロトノニトリル、3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−4−ペンテンニトリル、3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−5−ヘキセンニトリル、3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]クロトノニトリル、3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]クロトノニトリル、3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−4−ペンテンニトリル、3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−4−ペンテンニトリル、3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−5−ヘキセンニトリル、3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−5−ヘキセンニトリル、3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)クロトノニトリル、3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−4−ペンテンニトリル、3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−5−ヘキセンニトリル、3−(ジメチルアミノ)アクリロニトリル、3−(ジメチルアミノ)クロトノニトリル、3−(ジエチルアミノ)クロトノニトリル、3−(ジ−n−プロピルアミノ)クロトノニトリル、3−(ジイソプロピルアミノ)クロトノニトリル、3−(ジ−n−ブチルアミノ)クロトノニトリル、3−(ジイソブチルアミノ)クロトノニトリル、3−(ジシクロヘキシルアミノ)クロトノニトリル、3−(ジフェニルアミノ)クロトノニトリル、3−(ジベンジルアミノ)クロトノニトリル、3−[(メチル)(シクロヘキシル)アミノ]クロトノニトリル、3−[(エチル)(シクロヘキシル)アミノ]クロトノニトリル、3−[(メチル)(フェニル)アミノ]クロトノニトリル、3−[(エチル)(フェニル)アミノ]クロトノニトリル、3−[(メチル)(ベンジル)アミノ]クロトノニトリル、3−[(エチル)(ベンジル)アミノ]クロトノニトリル、3−(ジメチルアミノ)−4−ペンテンニトリル、3−(ジエチルアミノ)−4−ペンテンニトリル、3−(ジ−n−プロピルアミノ)−4−ペンテンニトリル、3−(ジイソプロピルアミノ)−4−ペンテンニトリル、3−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−ペンテンニトリル、3−(ジイソブチルアミノ)−4−ペンテンニトリル、3−(ジシクロヘキシルアミノ)−4−ペンテンニトリル、3−(ジフェニルアミノ)−4−ペンテンニトリル、3−(ジベンジルアミノ)−4−ペンテンニトリル、3−[(メチル)(シクロヘキシル)アミノ]−4−ペンテンニトリル、3−[(エチル)(シクロヘキシル)アミノ]−4−ペンテンニトリル、3−[(メチル)(フェニル)アミノ]−4−ペンテンニトリル、3−[(エチル)(フェニル)アミノ]−4−ペンテンニトリル、3−[(メチル)(ベンジル)アミノ]−4−ペンテンニトリル、3−[(エチル)(ベンジル)アミノ]−4−ペンテンニトリル、3−(ジメチルアミノ)−5−ヘキセンニトリル、3−(ジエチルアミノ)−5−ヘキセンニトリル、3−(ジ−n−プロピルアミノ)−5−ヘキセンニトリル、3−(ジイソプロピルアミノ)−5−ヘキセンニトリル、3−(ジ−n−ブチルアミノ)−5−ヘキセンニトリル、3−(ジイソブチルアミノ)−5−ヘキセンニトリル、3−(ジシクロヘキシルアミノ)−5−ヘキセンニトリル、3−(ジフェニルアミノ)−5−ヘキセンニトリル、3−(ジベンジルアミノ)−5−ヘキセンニトリル、3−[(メチル)(シクロヘキシル)アミノ]−5−ヘキセンニトリル、3−[(エチル)(シクロヘキシル)アミノ]−5−ヘキセンニトリル、3−[(メチル)(フェニル)アミノ]−5−ヘキセンニトリル、3−[(エチル)(フェニル)アミノ]−5−ヘキセンニトリル、3−[(メチル)(ベンジル)アミノ]−5−ヘキセンニトリル、3−[(エチル)(ベンジル)アミノ]−5−ヘキセンニトリル、3−アジリジノクロトノニトリル、3−アゼチジノクロトノニトリル、3−ピロリジノクロトノニトリル、3−ピペリジノクロトノニトリル、3−ホモピペリジノクロトノニトリル、3−モルホリノクロトノニトリル、3−(N−メチルピペラジノ)クロトノニトリル、3−(N−メチルホモピペラジノ)クロトノニトリル、3−アジリジノ−4−ペンテンニトリル、3−アゼチジノ−4−ペンテンニトリル、3−ピロリジノ−4−ペンテンニトリル、3−ピペリジノ−4−ペンテンニトリル、3−ホモピペリジノ−4−ペンテンニトリル、3−モルホリノ−4−ペンテンニトリル、3−(N−メチルピペラジノ)−4−ペンテンニトリル、3−(N−メチルホモピペラジノ)−4−ペンテンニトリル、3−アジリジノ−5−ヘキセンニトリル、3−アゼチジノ−5−ヘキセンニトリル、3−ピロリジノ−5−ヘキセンニトリル、3−ピペリジノ−5−ヘキセンニトリル、3−ホモピペリジノ−5−ヘキセンニトリル、3−モルホリノ−5−ヘキセンニトリル、3−(N−メチルピペラジノ)−5−ヘキセンニトリル、および3−(N−メチルホモピペラジノ)−5−ヘキセンニトリルが挙げられる。
【0082】
保護アミノ基を含有するアルキンカルボニトリル化合物の具体例としては、3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−ペンチンニトリル、3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−5−ヘキシンニトリル、3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−4−ペンチンニトリル、3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−5−ヘキシンニトリル、3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−4−ペンチンニトリル、3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−4−ペンチンニトリル、3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−5−ヘキシンニトリル、3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−5−ヘキシンニトリル、3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−4−ペンチンニトリル、3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−5−ヘキシンニトリル、3−(ジメチルアミノ)−4−ペンチンニトリル、3−(ジエチルアミノ)−4−ペンチンニトリル、3−(ジ−n−プロピルアミノ)−4−ペンチンニトリル、3−(ジイソプロピルアミノ)−4−ペンチンニトリル、3−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−ペンチンニトリル、3−(ジイソブチルアミノ)−4−ペンチンニトリル、3−(ジシクロヘキシルアミノ)−4−ペンチンニトリル、3−(ジフェニルアミノ)−4−ペンチンニトリル、3−(ジベンジルアミノ)−4−ペンチンニトリル、3−[(メチル)(シクロヘキシル)アミノ]−4−ペンチンニトリル、3−[(エチル)(シクロヘキシル)アミノ]−4−ペンチンニトリル、3−[(メチル)(フェニル)アミノ]−4−ペンチンニトリル、3−[(エチル)(フェニル)アミノ]−4−ペンチンニトリル、3−[(メチル)(ベンジル)アミノ]−4−ペンチンニトリル、3−[(エチル)(ベンジル)アミノ]−4−ペンチンニトリル、3−(ジメチルアミノ)−5−へキシンニトリル、3−(ジエチルアミノ)−5−へキシンニトリル、3−(ジ−n−プロピルアミノ)−5−へキシンニトリル、3−(ジイソプロピルアミノ)−5−へキシンニトリル、3−(ジ−n−ブチルアミノ)−5−へキシンニトリル、3−(ジイソブチルアミノ)−5−へキシンニトリル、3−(ジシクロヘキシルアミノ)−5−へキシンニトリル、3−(ジフェニルアミノ)−5−ヘキシンニトリル、3−(ジベンジルアミノ)−5−へキシンニトリル、3−[(メチル)(シクロヘキシル)アミノ]−5−ヘキシンニトリル、3−[(エチル)(シクロヘキシル)アミノ]−5−ヘキシンニトリル、3−[(メチル)(フェニル)アミノ]−5−へキシンニトリル、3−[(エチル)(フェニル)アミノ]−5−ヘキシンニトリル、3−[(メチル)(ベンジル)アミノ]−5−ヘキシンニトリル、3−[(エチル)(ベンジル)アミノ]−5−ヘキシンニトリル、3−アジリジノ−4−ペンチンニトリル、3−アゼチジノ−4−ペンチンニトリル、3−ピロリジノ−4−ペンチンニトリル、3−ピペリジノ−4−ペンチンニトリル、3−ホモピペリジノ−4−ペンチンニトリル、3−モルホリノ−4−ペンチンニトリル、3−(N−メチルピペラジノ)−4−ペンチンニトリル、3−(N−メチルホモピペラジノ)−4−ペンチンニトリル、3−アジリジノ−5−ヘキシンニトリル、3−アゼチジノ−5−ヘキシンニトリル、3−ピロリジノ−5−ヘキシンニトリル、3−ピペリジノ−5−ヘキシンニトリル、3−ホモピペリジノ−5−ヘキシンニトリル、3−モルホリノ−5−ヘキシンニトリル、3−(N−メチルピペラジノ)−5−ヘキシンニトリル、および3−(N−メチルホモピペラジノ)−5−ヘキシンニトリルが挙げられる。
【0083】
保護アミノ基を含有するシクロアルカンカルボニトリル化合物の具体例としては、3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロペンタンカルボニトリル、4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロヘキサンカルボニトリル、3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)シクロペンタンカルボニトリル、4−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)シクロヘキサンカルボニトリル、3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]シクロペンタンカルボニトリル、3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]シクロペンタンカルボニトリル、4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]シクロヘキサンカルボニトリル、4−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]シクロヘキサンカルボニトリル、3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)シクロペンタンカルボニトリル、4−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)シクロヘキサンカルボニトリル、3−(3−ジメチルアミノフェニル)シクロプロパン−1,1,2,2−テトラカルボニトリル、3−(ジメチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル、3−(ジエチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル、3−(ジ−n−プロピルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル、3−(ジイソプロピルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル、3−(ジ−n−ブチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル、3−(ジイソブチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル、3−(ジシクロヘキシルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル、3−(ジフェニルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル、3−(ジベンジルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル、3−[(メチル)(シクロヘキシル)アミノ]シクロペンタンカルボニトリル、3−[(エチル)(シクロヘキシル)アミノ]シクロペンタンカルボニトリル、3−[(メチル)(フェニル)アミノ]シクロペンタンカルボニトリル、3−[(エチル)(フェニル)アミノ]シクロペンタンカルボニトリル、3−[(メチル)(ベンジル)アミノ]シクロペンタンカルボニトリル、3−[(エチル)(ベンジル)アミノ]シクロペンタンカルボニトリル、4−(ジメチルアミノ)シクロヘキサンカルボニトリル、4−(ジエチルアミノ)シクロヘキサンカルボニトリル、4−(ジ−n−プロピルアミノ)シクロヘキサンカルボニトリル、4−(ジイソプロピルアミノ)シクロヘキサンカルボニトリル、4−(ジ−n−ブチルアミノ)シクロヘキサンカルボニトリル、4−(ジイソブチルアミノ)シクロヘキサンカルボニトリル、3−(ジシクロヘキシルアミノ)シクロヘキサンカルボニトリル、4−(ジフェニルアミノ)シクロヘキサンカルボニトリル、4−(ジベンジルアミノ)シクロヘキサンカルボニトリル、4−[(メチル)(シクロヘキシル)アミノ]シクロヘキサンカルボニトリル、4−[(エチル)(シクロヘキシル)アミノ]シクロヘキサンカルボニトリル、4−[(メチル)(フェニル)アミノ]シクロヘキサンカルボニトリル、4−[(エチル)(フェニル)アミノ]シクロヘキサンカルボニトリル、4−[(メチル)(ベンジル)アミノ]シクロヘキサンカルボニトリル、4−[(エチル)(ベンジル)アミノ]シクロヘキサンカルボニトリル、4−アジリジノシクロペンタンカルボニトリル、3−アゼチジノシクロペンタンカルボニトリル、3−ピロリジノシクロペンタンカルボニトリル、3−ピペリジノシクロペンタンカルボニトリル、3−ホモピペリジノシクロペンタンカルボニトリル、3−モルホリノシクロペンタンカルボニトリル、3−(N−メチルピペラジノ)シクロペンタンカルボニトリル、3−(N−メチルホモピペラジノ)シクロペンタンカルボニトリル、4−アジリジノシクロヘキサンカルボニトリル、4−アゼチジノシクロヘキサンカルボニトリル、4−ピロリジノシクロヘキサンカルボニトリル、4−ピペリジノシクロヘキサンカルボニトリル、4−ホモピペリジノシクロヘキサンカルボニトリル、4−モルホリノシクロヘキサンカルボニトリル、4−(N−メチルピペラジノ)シクロヘキサンカルボニトリル、および4−(N−メチルホモピペラジノ)シクロヘキサンカルボニトリルが挙げられる。
【0084】
保護アミノ基を含有するシクロアルケンカルボニトリル化合物の具体例としては、4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−(ジメチルアミノ)シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−(ジエチルアミノ)シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−(ジ−n−プロピルアミノ)シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−(ジイソプロピルアミノ)シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−(ジ−n−ブチルアミノ)シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−(ジイソブチルアミノ)シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−(ジシクロヘキシルアミノ)シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−(ジフェニルアミノ)シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−(ジベンジルアミノ)シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−[(メチル)(シクロヘキシル)アミノ]シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−[(エチル)(シクロヘキシル)アミノ]シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−[(メチル)(フェニル)アミノ]シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−[(エチル)(フェニル)アミノ]シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−[(メチル)(ベンジル)アミノ]シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−[(エチル)(ベンジル)アミノ]シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−(ジメチルアミノ)シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−(ジエチルアミノ)シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−(ジ−n−プロピルアミノ)シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−(ジイソプロピルアミノ)シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−(ジ−n−ブチルアミノ)シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−(ジイソブチルアミノ)シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−(ジシクロヘキシルアミノ)シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−(ジフェニルアミノ)シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−(ジベンジルアミノ)シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−[(メチル)(シクロヘキシル)アミノ]シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−[(エチル)(シクロヘキシル)アミノ]シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−[(メチル)(フェニル)アミノ]シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−[(エチル)(フェニル)アミノ]シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−[(メチル)(ベンジル)アミノ]シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−[(エチル)(ベンジル)アミノ]シクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−アジリジノシクロペンテン−1−カルボニトリル、4−アゼチジノシクロペンテン−1−カルボニトリル、4−ピロリジノシクロペンテン−1−カルボニトリル、4−ピペリジノシクロペンテン−1−カルボニトリル、4−ホモピペリジノシクロペンテン−1−カルボニトリル、4−モルホリノシクロペンテン−1−カルボニトリル、4−(N−メチルピペラジノ)シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−(N−メチルホモピペラジノ)シクロペンテン−1−カルボニトリル、4−アジリジノシクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−アゼチジノシクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−ピロリジノシクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−ピペリジノシクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−ホモピペリジノシクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−モルホリノシクロヘキセン−1−カルボニトリル、4−(N−メチルピペラジノ)シクロヘキセン−1−カルボニトリル、および4−(N−メチルホモピペラジノ)シクロヘキセン−1−カルボニトリルが挙げられる。
【0085】
保護アミノ基を含有する複素環ニトリル化合物の具体例としては、5−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−ピリジンカルボニトリル、5−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−ピリミジンカルボニトリル、5−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−2−ピリジンカルボニトリル、5−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−2−ピリミジンカルボニトリル、5−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−2−ピリジンカルボニトリル、5−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−2−ピリジンカルボニトリル、5−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−2−ピリミジンカルボニトリル、5−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−2−ピリミジンカルボニトリル、5−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−2−ピリジンカルボニトリル、5−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−2−ピリミジンカルボニトリル、5−(ジメチルアミノ)−2−ピリジンカルボニトリル、3−(ジエチルアミノ)−2−ピリジンカルボニトリル、5−(ジ−n−プロピルアミノ)−2−ピリジンカルボニトリル、5−(ジイソプロピルアミノ)−2−ピリジンカルボニトリル、5−(ジ−n−ブチルアミノ)−2−ピリジンカルボニトリル、5−(ジイソブチルアミノ)−2−ピリジンカルボニトリル、5−(ジシクロヘキシルアミノ)−2−ピリジンカルボニトリル、5−(ジフェニルアミノ)−2−ピリジンカルボニトリル、5−(ジベンジルアミノ)−2−ピリジンカルボニトリル、5−[(メチル)(シクロヘキシル)アミノ]−2−ピリジンカルボニトリル、5−[(エチル)(シクロヘキシル)アミノ]−2−ピリジンカルボニトリル、5−[(メチル)(フェニル)アミノ]−2−ピリジンカルボニトリル、5−[(エチル)(フェニル)アミノ]−2−ピリジンカルボニトリル、5−[(メチル)(ベンジル)アミノ]−2−ピリジンカルボニトリル、5−[(エチル)(ベンジル)アミノ]−2−ピリジンカルボニトリル、5−(ジメチルアミノ)−2−ピリミジンカルボニトリル、5−(ジエチルアミノ)−2−ピリミジンカルボニトリル、5−(ジ−n−プロピルアミノ)−2−ピリミジンカルボニトリル、5−(ジイソプロピルアミノ)−2−ピリミジンカルボニトリル、5−(ジ−n−ブチルアミノ)−2−ピリミジンカルボニトリル、5−(ジイソブチルアミノ)−2−ピリミジンカルボニトリル、5−(ジシクロヘキシルアミノ)−2−ピリミジンカルボニトリル、5−(ジフェニルアミノ)−2−ピリミジンカルボニトリル、5−(ジベンジルアミノ)−2−ピリミジンカルボニトリル、5−[(メチル)(シクロヘキシル)アミノ]−2−ピリミジンカルボニトリル、5−[(エチル)(シクロヘキシル)アミノ]−2−ピリミジンカルボニトリル、5−[(メチル)(フェニル)アミノ]−2−ピリミジンカルボニトリル、5−[(エチル)(フェニル)アミノ]−2−ピリミジンカルボニトリル、5−[(メチル)(ベンジル)アミノ]−2−ピリミジンカルボニトリル、5−[(エチル)(ベンジル)アミノ]−2−ピリミジンカルボニトリル、5−アジリジノ−2−ピリジンカルボニトリル、5−アゼチジノ−2−ピリジンカルボニトリル、5−ピロリジノ−2−ピリジンカルボニトリル、5−ピペリジノ−2−ピリジンカルボニトリル、5−ホモピペリジノ−2−ピリジンカルボニトリル、5−モルホリノ−2−ピリジンカルボニトリル、5−(N−メチルピペラジノ)−2−ピリジンカルボニトリル、5−(N−メチルホモピペラジノ)−2−ピリジンカルボニトリル、5−アジリジノ−2−ピリミジンカルボニトリル、5−アゼチジノ−2−ピリミジンカルボニトリル、5−ピロリジノ−2−ピリミジンカルボニトリル、5−ピペリジノ−2−ピリミジンカルボニトリル、5−ホモピペリジノ−2−ピリミジンカルボニトリル、5−モルホリノ−2−ピリミジンカルボニトリル、5−(N−メチルピペラジノ)−2−ピリミジンカルボニトリル、および5−(N−メチルホモピペラジノ)−2−ピリミジンカルボニトリルが挙げられる。
【0086】
1つまたは複数の実施形態では、保護アミノ基を含有するニトリル化合物は、第1級アミノ基(すなわち−NH)またはRがヒドロカルビルまたはシリル基のような一価有機基である式−NH(R)により表される第2級アミノ基を含有するニトリル化合物をアルキル化またはシリル化することにより合成することができる。例となるアルキル化試薬としてはハロゲン化アルキルが挙げられる。例となるシリル化試薬としては、ハロゲン化トリアルキルシリル、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)エタン、およびトリアルキルシリルトリフルオロメタンスルホネートが挙げられる。トリエチルアミンのような塩基を用い、アルキル化またはシリル化反応中に形成される酸を中和することができる。
【0087】
重合混合物に添加して本発明の官能化ポリマーを得ることができる保護アミノ基を含有するニトリル化合物の量は、反応性ポリマーを合成するのに用いられる開始剤のタイプおよび量ならびに所望の官能化の程度を含む各種要因によって決まり得る。1つまたは複数の実施形態では、用いられる保護アミノ基を含有するニトリル化合物の量は、開始剤と結合している金属カチオンの量によって決まり得る。例えば、有機リチウム開始剤を用いる場合、保護アミノ基を含有するニトリル化合物のリチウムカチオンに対するモル比は約0.3:1〜約2:1、他の実施形態では約0.6:1〜約1.5:1、および他の実施形態では約0.8:1〜約1.2:1であってもよい。
【0088】
1つまたは複数の実施形態では、保護アミノ基を含有するニトリル化合物に加えて、共官能化剤を重合混合物に添加し、調整された特性を有する官能化ポリマーを得ることもできる。2つ以上の共官能化剤の混合物を用いることもできる。共官能化剤は、ニトリル化合物の導入前、それと同時、またはその後重合混合物に添加してもよい。1つまたは複数の実施形態では、共官能化剤は、ニトリル化合物の導入の少なくとも5分後、他の実施形態では少なくとも10分後、他の実施形態では少なくとも30分後に重合混合物に添加される。
【0089】
1つまたは複数の実施形態では、共官能化剤は、本発明により製造される反応性ポリマーと反応し、これにより共官能化剤とは反応していない成長鎖とは異なる官能基を有するポリマーをもたらすことができる化合物または試薬が挙げられる。官能基は他のポリマー鎖(成長および/または非成長)とまたはポリマーと組み合わせることができる補強充填剤(例えばカーボンブラック)のような他の成分と反応性または相互作用性であってもよい。1つまたは複数の実施形態では、共官能化剤と反応性ポリマーとの間の反応は付加または置換反応によって進行する。
【0090】
有用な共官能化剤としては、2つ以上のポリマー鎖を結合させることなくポリマー鎖の末端に単に官能基をもたらす化合物、および官能の結合によって2つ以上のポリマー鎖を結合させて単一の高分子を形成することができる化合物を挙げることができる。後者のタイプの共官能化剤はカップリング剤と称することもできる。
【0091】
1つまたは複数の実施形態では、共官能化剤としては、ポリマー鎖にヘテロ原子を加えるまたは与える化合物が挙げられる。特定の実施形態では、共官能化剤としては、ポリマー鎖に官能基を与え、官能化ポリマーから調製されるカーボンブラックを充填した加硫物の50℃ヒステリシス損失を、非官能化ポリマーから調製される同様のカーボンブラックを充填した加硫物と比べて低減する官能化ポリマーを形成する化合物が挙げられる。1つまたは複数の実施形態では、このヒステリシス損失の低減は少なくとも5%、他の実施形態では少なくとも10%、および他の実施形態では少なくとも15%である。
【0092】
1つまたは複数の実施形態では、適切な共官能化剤としては、本発明により製造される反応性ポリマーと反応することができる基を含有する化合物が挙げられる。例となる共官能化剤としては、ケトン、キノン、アルデヒド、アミド、エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、エポキシド、イミン、アミノケトン、アミノチオケトン、および酸無水物が挙げられる。これらの化合物の例は、本明細書に参照により組み入れる、米国特許第4,906,706号明細書、第4,990,573号明細書、第5,064,910号明細書、第5,567,784号明細書、第5,844,050号明細書、第6,838,526号明細書、第6,977,281号明細書、および第6,992,147号明細書;米国特許出願公開第2006/0004131(A1)号明細書、第2006/0025539(A1)号明細書、第2006/0030677(A1)号明細書、および第2004/0147694(A1)号明細書;特開平05−051406(A)号公報、平05−059103(A)号公報、平10−306113(A)号公報、および平11−035633(A)号公報に開示されている。共官能化剤の他の例としては、すべて本明細書に参照により組み入れる、米国特許出願第11/640,711号に記載されるようなアジン化合物、米国特許出願第11/710,713号に開示されるようなヒドロベンズアミド化合物、米国特許出願第11/710,845号に開示されるようなニトロ化合物、および米国特許出願第60/875,484号に開示されるような保護オキシム化合物が挙げられる。
【0093】
特定の実施形態では、用いられる共官能化剤は、ハロゲン化金属、ハロゲン化半金属、アルコキシシラン、金属カルボキシレート、ヒドロカルビル金属カルボキシレート、ヒドロカルビル金属エステルカルボキシレート、および金属アルコキシドであってもよい。
【0094】
例となるハロゲン化金属化合物としては、四塩化スズ、四臭化スズ、四ヨウ化スズ、三塩化n−ブチルスズ、三塩化フェニルスズ、二塩化ジ−n−ブチルスズ、二塩化ジフェニルスズ、塩化トリ−n−ブチルスズ、塩化トリフェニルスズ、四塩化ゲルマニウム、四臭化ゲルマニウム、四ヨウ化ゲルマニウム、三塩化n−ブチルゲルマニウム、二塩化ジ−n−ブチルゲルマニウム、および塩化トリ−n−ブチルゲルマニウムが挙げられる。
【0095】
例となるハロゲン化半金属化合物としては、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四ヨウ化ケイ素、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三ヨウ化ホウ素、三塩化リン、三臭化リン、および三ヨウ化リンが挙げられる。
【0096】
1つまたは複数の実施形態では、アルコキシシランは、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1つの基を含むことができる。
【0097】
例となるエポキシ基を含有するアルコキシシラン化合物としては、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリフェノキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジフェノキシシラン、[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]トリメトキシシラン、および[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]トリエトキシシランが挙げられる。
【0098】
例となるイソシアネート基を含有するアルコキシシラン化合物としては、(3−イソシアナトプロピル)トリメトキシシラン、(3−イソシアナトプロピル)トリエトキシシラン、(3−イソシアナトプロピル)トリフェノキシシラン、(3−イソシアナトプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−イソシアナトプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−イソシアナトプロピル)メチルジフェノキシシラン、および(イソシアナトメチル)メチルジメトキシシランが挙げられる。
【0099】
例となる金属カルボキシレート化合物としては、スズテトラアセテート、スズビス(2−エチルヘキサノエート)、およびスズビス(ネオデカノエート)が挙げられる。
【0100】
例となるヒドロカルビル金属カルボキシレート化合物としては、トリフェニルスズ2−エチルヘキサノエート、トリ−n−ブチルスズ2−エチルヘキサノエート、トリ−n−ブチルスズネオデカノエート、トリイソブチルスズ2−エチルヘキサノエート、ジフェニルスズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジ−n−ブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジ−n−ブチルスズビス(ネオデカノエート)、フェニルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)、およびn−ブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)が挙げられる。
【0101】
例となるヒドロカルビル金属エステルカルボキシレート化合物としては、ジ−n−ブチルスズビス(n−オクチルマレエート)、ジ−n−オクチルスズビス(n−オクチルマレエート)、ジフェニルスズビス(n−オクチルマレエート)、ジ−n−ブチルスズビス(2−エチルヘキシルマレエート)、ジ−n−オクチルスズビス(2−エチルヘキシルマレエート)、およびジフェニルスズビス(2−エチルヘキシルマレエート)が挙げられる。
【0102】
例となる金属アルコキシド化合物としては、ジメトキシスズ、ジエトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラ−n−プロポキシスズ、テトライソプロポキシスズ、テトラ−n−ブトキシスズ、テトライソブトキシスズ、テトラ−t−ブトキシスズ、およびテトラフェノキシスズが挙げられる。
【0103】
重合混合物に添加することができる共官能化剤の量は、反応性ポリマーを合成するのに用いられる開始剤のタイプおよび量ならびに所望の官能化の程度を含む各種要因によって決まり得る。1つまたは複数の実施形態では、用いられる保護アミノ基を含有するニトリル化合物の量は、開始剤に結合する金属カチオンの量によって決まり得る。例えば、有機リチウム開始剤を用いる場合、保護アミノ基を含有するニトリルのリチウムカチオンに対するモル比は約0.3:1〜約2:1、他の実施形態では約0.6:1〜約1.5:1、および他の実施形態では約0.8:1〜約1.2:1であってもよい。
【0104】
用いられる共官能化剤の量は、保護アミノ基を含有するニトリル化合物によって決まり得る。1つまたは複数の実施形態では、共官能化剤のニトリル化合物に対するモル比は約0.05:1〜約1:1、他の実施形態では約0.1:1〜約0.8:1、および他の実施形態では約0.2:1〜約0.6:1であってもよい。
【0105】
1つまたは複数の実施形態では、保護アミノ基(および任意で共官能化剤)を含有するニトリル化合物は、重合が行われた場所(例えば、槽内)で重合混合物に導入することができる。他の実施形態では、ニトリル化合物は重合が行われた場所とは異なる場所で重合混合物に導入することができる。例えば、ニトリル化合物は、下流の反応器もしくはタンク、インライン反応器もしくはミキサー、押出機、または液化機を含む下流槽中で重合混合物に導入することができる。
【0106】
1つまたは複数の実施形態では、保護アミノ基(および任意で共官能化剤)を含有するニトリル化合物は、所望のモノマーの添加が達成された後かつ重合混合物がクエンチ剤によりクエンチされる前、反応性ポリマーと反応することができる。1つまたは複数の実施形態では、ニトリル化合物と反応性ポリマーとの間の反応は、重合温度がピークに達した後30分以内、他の実施形態では5分以内、他の実施形態では1分以内で行うことができる。1つまたは複数の実施形態では、ニトリル化合物と反応性ポリマーとの間の反応は、重合温度がピークに達した後に行うことができる。他の実施形態では、ニトリル化合物と反応性ポリマーとの間の反応は、反応性ポリマーが保存された後に行うことができる。1つまたは複数の実施形態では、反応性ポリマーの保存は、不活性雰囲気下で室温または室温より低い温度で行われる。1つまたは複数の実施形態では、ニトリル化合物と反応性ポリマーとの間の反応は、約10℃〜約150℃、他の実施形態では約20℃〜約100℃の温度で行うことができる。ニトリル化合物と反応性ポリマーとの間の反応を完了するのに必要な時間は、反応性ポリマーを調製するのに用いられる開始剤のタイプおよび量、ニトリル化合物のタイプおよび量、ならびに官能化反応が行われる温度のような各種要因によって決まる。1つまたは複数の実施形態では、ニトリル化合物と反応性ポリマーとの間の反応は約10〜60分間行うことができる。
【0107】
1つまたは複数の実施形態では、反応性ポリマーと保護アミノ基(および任意で共官能化剤)を含有するニトリル化合物との間の反応を達成または完了した後、反応性ポリマーとニトリル化合物との間の反応生成物をプロトン化し、いずれかの残りの反応性ポリマー鎖を不活性化し、および/または開始剤を不活性化するため、クエンチ剤を重合混合物に添加することができる。クエンチ剤はプロトン化合物を含むことができ、これらに限定されないが、アルコール、カルボン酸、無機酸、水、またはこれらの混合物が挙げられる。2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールのような抗酸化剤は、クエンチ剤の添加と同時、その前、または後に添加してもよい。用いられる抗酸化剤の量は、ポリマー生成物の0.2重量%〜1重量%の範囲内であってもよい。さらに、ポリマー生成物は、ポリマーに油を添加することにより油展することができ、ポリマーセメントまたはモノマーに溶解もしくは懸濁されたポリマーの形態であってもよい。本発明の実施は、添加することができる油の量を限定せず、従って従来の量(例えば、5〜50phr)を添加することができる。用いることができる有用な油または増量剤としては、これらに限定されないが、芳香族油、パラフィン油、ナフテン油、ヒマシ油以外の植物油、MES、TDAE、およびSRAEを含む低PCA油、ならびに重ナフテン油が挙げられる。
【0108】
重合混合物をクエンチした後、重合混合物の各種成分を回収することができる。1つまたは複数の実施形態では、未反応モノマーを重合混合物から回収することができる。例えば、モノマーは、当技術分野において知られる技術を用いることにより、重合混合物から蒸留することができる。1つまたは複数の実施形態では、液化剤を用い、モノマーを重合混合物から除去することができる。モノマーを重合混合物から除去した後、モノマーを精製、保存および/または重合プロセスに再利用することができる。
【0109】
ポリマー生成物は、当技術分野において知られる技術を用いることにより、重合混合物から回収することができる。1つまたは複数の実施形態では、脱溶媒(Desolventization)および乾燥技術を用いることができる。例えば、ポリマーは、重合混合物を揮発性物質が適当な温度(例えば、約100℃〜約170℃)および大気圧または減圧下で除去される脱溶媒押出機のような加熱されたスクリュー装置に通すことにより、回収することができる。この処理は、未反応モノマーおよびいずれかの低沸点溶媒を除去する働きをする。あるいは、ポリマーは重合混合物に蒸気脱溶媒を行った後、得られるポリマークラムを熱風トンネル中で乾燥することにより回収することもできる。ポリマーは、重合混合物をドラム乾燥機上で直接乾燥することにより回収することもできる。
【0110】
反応性ポリマーおよび保護アミノ基(および任意で共官能化剤)を含有するニトリル化合物が反応し、プロトン化またはさらに変性することができる、新規官能化ポリマーを製造すると考えられるが、各実施形態において製造される官能化ポリマーの正確な化学構造は、とくに構造はニトリル化合物および任意で共官能化剤によりポリマー鎖末端に与えられる残基に関わるので、大きな確信度をもっては知られていない。実際に、官能化ポリマーの構造は、反応性ポリマーを調製するのに用いられる条件(例えば、開始剤のタイプおよび量)およびニトリル化合物(および任意で共官能化剤)を反応性ポリマーと反応させるのに用いられる条件(例えば、ニトリル化合物および共官能化剤のタイプおよび量)のような、各種要因によって決まり得ると考えられる。
【0111】
1つまたは複数の実施形態では、とくにクエンチ剤との反応後の、反応性ポリマーと保護アミノ基を含有するニトリル化合物との間の反応から得られる生成物の1つは、保護アミノ基を含有する官能化ポリマーであってもよく、式VII:
【化10】


により定義され、式中、πはポリジエンのポリマー鎖または共役ジエンおよび中もしくは低シス−1,4−結合含有量を有するコモノマーのコポリマーであり、Rは二価有機基であり、RおよびRはそれぞれ独立して一価有機基もしくは加水分解性基であり、またはRおよびRは結合して二価有機基を形成するが、ただし、Rは非環状二価有機基、複素環二価有機基、ヘテロ原子を含まない非芳香環状二価有機基、もしくはRがヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である場合に、保護アミノ基(すなわち、式VII中の−N(R)(R)基)が芳香環に直接結合しない限り、ヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である。
【0112】
水、水分、または水もしくは水分を含有する物質に曝露すると、式VIIにより表される官能化ポリマーは、任意で酸の使用により触媒することができる加水分解反応を行い、アミノ基を含有する官能化ポリマーを形成することができると考えられ、これは式VIII:
【化11】


により定義され、式中、πはポリジエンまたは共役ジエンと中もしくは低シス−1,4−結合含有量を有するコモノマーとのコポリマーのポリマー鎖であり、Rは二価有機基であり、R12およびR13はそれぞれ独立して一価有機基もしくは水素原子であり、またはR12およびR13は結合して二価有機基を形成するが、ただし、Rがヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基であり、アミノ基(すなわち式VIII中の−N(R12)(R13)基)が芳香環に直接結合しない限り、Rは非環状二価有機基、複素環二価有機基、ヘテロ原子を含まない非芳香環状二価有機基、またはヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である。
【0113】
1つまたは複数の実施形態では、本発明により調製される官能化ポリマーは不飽和を含有することができる。これらのまたは他の実施形態では、官能化ポリマーは加硫可能である。1つまたは複数の実施形態では、官能化ポリマーは、0℃未満、他の実施形態では−20℃未満、他の実施形態では−30℃未満であるガラス転移温度(T)を有することができる。1つの実施形態では、これらのポリマーは単一のガラス転移温度を示すことができる。特定の実施形態では、ポリマーは水素化または部分的に水素化することができる。
【0114】
本発明によって調製される官能化ポリマーの数平均分子量(M)は、ポリスチレン標準および問題のポリマーのMark−Houwink定数を用いて校正されるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いることにより決定されるように、約1,000〜約1,000,000、他の実施形態では約5,000〜約1,000,000、他の実施形態では約50,000〜約500,000、他の実施形態では約100,000〜約300,000であってもよい。これらのポリマーの分子量分布または多分散性(M/M)は約1.0〜約3.0、他の実施形態では約1.1〜約2.0であってもよい。
【0115】
1つまたは複数の実施形態では、本発明の官能化ポリマーはポリジエンまたは共役ジエンと中もしくは低シス−1,4−結合含有量を有するコモノマーとのコポリマーであってもよい。これらのポリマーは約10%〜60%、他の実施形態では約15%〜55%、他の実施形態では約20%〜約50%のシス−1,4−結合含有量を有することができる。これらのポリマーは約10%〜約90%、他の実施形態では約10%〜約60%、他の実施形態では約15%〜約50%、他の実施形態では約20%〜約45%の1,2−結合含有量を有することもできる。特定の実施形態では、ポリマーが官能化アニオン性開始剤を用いることにより調製される場合、ポリマー鎖の頭は官能性開始剤の残基である官能基を含む。
【0116】
1つまたは複数の実施形態では、本発明の官能化ポリマーは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)、ポリ(スチレン−co−ブタジエン−co−イソプレン)、ポリ(イソプレン−co−スチレン)、およびポリ(ブタジエン−co−イソプレン)からなる群から選択されるポリマーである。
【0117】
特定の実施形態では、本発明の官能化ポリマーは、1,3−ブタジエン、スチレン、および任意でイソプレンのコポリマーである。これらのコポリマーはランダムコポリマーおよびブロックコポリマーを含むことができる。
【0118】
有利なことには、本発明の官能化ポリマーは、低下したヒステリシスを示すゴム組成物をもたらすことができる。官能化ポリマーは、タイヤ部品を製造するのに用いることができるゴム組成物を調製するのにとくに有用である。ゴム配合技術およびこれに用いられる添加剤は、一般的にはRubber Technology(2nd Ed.1973)中のThe Compounding and Vulcanization of Rubberに開示されている。
【0119】
ゴム組成物は、官能化ポリマーを単独でまたは他のエラストマー(すなわち、加硫してゴムまたはエラストマー特性を有する組成物を形成することができるポリマー)とともに用いることにより調製することができる。用いることができる他のエラストマーとしては天然および合成ゴムが挙げられる。合成ゴムは一般的には共役ジエンモノマーの重合、共役ジエンモノマーのビニル置換芳香族モノマーのような他のモノマーとの共重合、またはエチレンの1つまたは複数のαオレフィンおよび任意で1つまたは複数のジエンモノマーとの共重合から誘導される。
【0120】
例となるエラストマーとしては、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン−co−イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン−co−プロピレン)、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)、ポリ(スチレン−co−イソプレン)、ポリ(スチレン−co−イソプレン−co−ブタジエン)、ポリ(イソプレン−co−ブタジエン)、ポリ(エチレン−co−プロピレン−co−ジエン)、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、およびこれらの混合物が挙げられる。これらのエラストマーは、直鎖、分岐鎖、および星形構造を含む無数の高分子構造を有することができる。
【0121】
ゴム組成物は無機および有機充填剤のような充填剤を含むことができる。有機充填剤の例としては、カーボンブラックおよびスターチが挙げられる。無機充填剤の例としては、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、雲母、タルク(水和ケイ酸マグネシウム)、および粘土(水和ケイ酸アルミニウム)が挙げられる。カーボンブラックおよびシリカはタイヤを製造するのに用いられるもっとも一般的な充填剤である。特定の実施形態では、異なる充填剤の混合物を有利に用いることができる。
【0122】
1つまたは複数の実施形態では、カーボンブラックとしてはファーネスブラック、チャンネルブラック、およびランプブラックが挙げられる。カーボンブラックのより具体的な例としては、超耐摩耗性ファーネスブラック、中度超耐摩耗性ファーネスブラック、高度耐摩耗性ファーネスブラック、高速押出ファーネスブラック、微細ファーネスブラック、半補強性ファーネスブラック、中処理チャンネルブラック、高処理チャンネルブラック、導電性チャンネルブラック、およびアセチレンブラックが挙げられる。
【0123】
特定の実施形態では、カーボンブラックは少なくとも20m/gおよび他の実施形態では少なくとも35m/gの表面積(EMSA)を有することができ;表面積値は臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)法を用いてASTM D−1765により決定することができる。カーボンブラックはペレットの形態または非ペレットの綿状形態であってもよい。カーボンブラックの好適な形態は、ゴム化合物を混合するのに用いられる混合装置のタイプによって決まり得る。
【0124】
ゴム組成物に用いられるカーボンブラックの量は、ゴム100重量部(phr)当たり最大約50重量部とすることができ、一般的には約5〜約40phrである。
【0125】
用いることができるいくつかの市販のシリカとしては、Hi−Sil(登録商標)215、Hi−Sil(登録商標)233、およびHi−Sil(登録商標)190(PPG Industries,Inc.;ペンシルバニア州ピッツバーグ)が挙げられる。市販のシリカの他の供給業者としては、Grace Davison(メリーランド州ボルチモア)、Degussa Corp.(ニュージャージー州パーシッパニー)、Rhodia Silica Systems(ニュージャージー州クランブリー)、およびJ.M.Huber Corp.(ニュージャージー州エジソン)が挙げられる。
【0126】
1つまたは複数の実施形態では、シリカはそれらの表面積により特徴づけることができ、それらの補強特性の尺度をもたらす。The Brunauer,Emmet and Teller(「BET」)法(J.Am.Chem.Soc.,vol.60,p.309 et seq.に記載)は認められた表面積の測定方法である。シリカのBET表面積は一般的には450m/g未満である。表面積の有用な範囲としては、約32〜約400m/g、約100〜約250m/g、および約150〜約220m/gが挙げられる。
【0127】
シリカのpHは一般的には約5〜約7もしくはわずかに7より高い値、または他の実施形態では約5.5〜約6.8である。
【0128】
1つまたは複数の実施形態では、シリカを充填剤として(単独でまたは他の充填剤と組み合わせて)用いる場合、カップリング剤および/または遮蔽剤は、シリカのエラストマーとの相互作用を向上するため、混合中にゴム組成物に添加することができる。有用なカップリング剤および遮蔽剤は、本明細書に参照により組み入れる、米国特許第3,842,111号明細書、第3,873,489号明細書、第3,978,103号明細書、第3,997,581号明細書、第4,002,594号明細書、第5,580,919号明細書、第5,583,245号明細書、第5,663,396号明細書、第5,674,932号明細書、第5,684,171号明細書、第5,684,172号明細書、第5,696,197号明細書、第6,608,145号明細書、第6,667,362号明細書、第6,579,949号明細書、第6,590,017号明細書、第6,525,118号明細書、第6,342,552号明細書、および第6,683,135号明細書に開示されている。
【0129】
ゴム組成物に用いられるシリカの量は約1〜約100phr、または他の実施形態では約5〜約80phrとすることができる。有用な上限範囲はシリカにより与えられる高粘度により限定されている。シリカをカーボンブラックとともに用いる場合、シリカの量は約1phrの低さまで減少させることができ;シリカの量が減少するにつれ、より少ない量のカップリング剤および遮蔽剤を用いることができる。一般的には、カップリング剤および遮蔽剤の量は用いられるシリカの重量に対して約4%〜約20%の範囲内である。
【0130】
硫黄または過酸化物ベースの硬化システムを含む、多数のゴムの硬化剤(加硫剤とも呼ばれる)を用いることができる。硬化剤は、本明細書に参照により組み入れる、Kirk−Othmer,ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY,Vol.20,pgs.365−468,(3rd Ed.1982)、とくにVulcanization Agents and Auxiliary Materials,pgs.390−402、およびA.Y.Coran,Vulcanization,ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND ENGINEERING,(2nd Ed.1989)に記載されている。加硫剤は単独でまたは組み合わせて用いることができる。
【0131】
一般的にゴム配合に用いられる他の材料をゴム組成物に添加することもできる。これらとしては、促進剤、促進剤活性化剤、油、可塑剤、ワックス、スコーチ防止剤、加工助剤、酸化亜鉛、粘着付与樹脂、補強樹脂、ステアリン酸のような脂肪酸、素練り促進剤、ならびに抗酸化剤およびオゾン劣化防止剤のような分解防止剤が挙げられる。特定の実施形態では、用いられる油としては、上述した伸展油として従来より用いられるものが挙げられる。
【0132】
ゴム組成物のすべての材料を、バンバリーまたはブラベンダーミキサー、押出機、混練機、および2本ロール機のような、標準混合装置で混合することができる。1つまたは複数の実施形態では、材料は2つ以上の段階で混合される。第1段階(多くの場合マスターバッチ混合段階と称される)では、一般的にはゴム成分および充填剤を含む、いわゆるマスターバッチが調製される。早期加硫(別名スコーチ)を防止するため、マスターバッチは加硫剤を除外することができる。マスターバッチは約25℃〜約125℃の開始温度、約135℃〜約180℃の吐出温度で混合することができる。マスターバッチが調製された後、早期加硫の可能性を低減するため、一般的には比較的低い温度で行われる最終混合段階において、加硫剤をマスターバッチ中に導入および混合することができる。任意で、リミルと称されることもある追加の混合段階をマスターバッチ混合段階と最終混合段階との間に用いることができる。ゴム組成物が充填剤のようなシリカを含む場合、1つまたは複数のリミル段階が用いられることが多い。本発明の官能化ポリマーを含む各種材料はこれらのリミル中に添加することができる。
【0133】
とくにシリカ充填タイヤ製剤に適用可能な混合手順および条件は、すべて本明細書に参照により組み入れる、米国特許第5,227,425号明細書、第5,719,207号明細書、および第5,717,022号明細書、ならびに欧州特許第890,606号明細書に記載されている。1つの実施形態では、初期マスターバッチは、本発明の官能化ポリマーおよびシリカをカップリング剤および遮蔽剤の実質的な非存在下で含むことにより調製される。
【0134】
本発明の官能化ポリマーから調製されるゴム組成物は、トレッド、サブトレッド、サイドウォール、ボディプライスキム、ビードフィラー、等のようなタイヤ部品を形成するのにとくに有用である。好適には、本発明の官能性ポリマーは、トレッドおよびサイドウォール製剤に用いられる。1つまたは複数の実施形態では、これらのトレッドまたはサイドウォール製剤は製剤内のゴムの総重量に対して約10重量%〜約100重量%、他の実施形態では約35重量%〜約90重量%、および他の実施形態では約50重量%〜約80重量%の官能化ポリマーを含むことができる。
【0135】
ゴム組成物をタイヤの製造に用いる場合、これらの組成物は、標準的なゴム成形、成型および硬化技術を含む通常のタイヤ製造技術によってタイヤ部品に加工することができる。一般的には、加硫は加硫可能な組成物を鋳型内で加熱することによりもたらされる;例えば、約140℃〜約180℃まで加熱することができる。硬化または架橋させたゴム組成物は加硫物と称することができ、これは一般的には熱硬化性の3次元的なポリマー網を含有する。充填剤および加工助剤のような他の材料は、架橋網全体に均一に分散させることができる。空気入りタイヤは、本明細書に参照により組み入れる、米国特許第5,866,171号明細書、第5,876,527号明細書、第5,931,211号明細書、および第5,971,046号明細書に記載されるように、製造することができる。
【実施例】
【0136】
本発明の実施を示すため、以下の実施例を準備および試験した。実施例は、しかしながら、本発明の範囲を限定するものと見なすべきではない。本発明を定義するのは特許請求の範囲である。
【0137】
例1. 4−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]ベンゾニトリル(4−BTMSAMBZN)の合成
約5.20gの塩酸4−(アミノメチル)ベンゾニトリル、10.30gのトリエチルアミン、および10mLのトルエンを氷浴で冷却した丸底反応フラスコ中で混合した。この混合物に、50mLのトルエン中の15.1gのトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートの溶液を滴下により添加した。得られた混合物を室温で3日間撹拌し、二相の混合物を得た。上層を別のフラスコに移し、下層を40mLのトルエンで抽出した。組み合わせたトルエン溶液を真空下で蒸発させた。残留物を100mLのヘキサンで抽出し、ヘキサン層を真空下で蒸発させ、白色固体として4−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]ベンゾニトリル(4−BTMSAMBZN)を得た(8.12g、95%収率)。生成物のH NMRデータ(C、25℃、テトラメチルシラン参照)は以下に挙げるとおりである:δ7.00(ダブレット、2H、芳香族プロトン)、6.83(ダブレット、2H、芳香族プロトン)、3.72(シングレット、2H、CHプロトン)、−0.06(シングレット、18H、Si−CHプロトン)。H NMRデータから、生成物の構造は以下のように決定した:
【化12】

【0138】
例2. 5−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−ピリジンカルボニトリル(BTMSAPyCN)の合成
約6.17gの5−アミノ−2−ピリジンカルボニトリル、11.54gのトリエチルアミン、および10mLのトルエンを氷浴で冷却した丸底反応フラスコ中で混合した。この混合物に、70mLのトルエン中の25.34gのトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートの溶液を滴下により添加した。得られた混合物を2.5時間加熱して還流した後、真空下で蒸発させた。残留物を100mLのヘキサンで抽出した。ヘキサン層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(各回80mL)で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させ、緑色油として5−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−ピリジンカルボニトリル(BTMSAPyCN)を得た(8.67g、64%収率)。生成物のH NMRデータ(C、25℃、テトラメチルシラン参照)は以下に挙げるとおりである:δ8.07(ダブレット、1H、芳香族プロトン)、6.70(ダブレット、1H、芳香族プロトン)、6.45(ダブレットオブダブレット、1H、芳香族プロトン)、−0.16(シングレット、18H、Si−CHプロトン)。H NMRデータから、生成物の構造は以下のように決定した:
【化13】

【0139】
例3. 3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピオニトリル(3−BTMSAPN)の合成
約5.04gの3−アミノプロピオニトリル、16.01gのトリエチルアミン、および10mLのトルエンを氷浴で冷却した丸底反応フラスコ中で混合した。この混合物に、50mLのトルエン中の35.16gのトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートの溶液を滴下により添加した。得られた混合物を室温で2日間撹拌し、二相の混合物を得た。上層を別のフラスコに移し、下層を50mLのトルエンで抽出した。組み合わせたトルエン溶液を真空下で蒸発させた。残留物を100mLのヘキサンで抽出し、ヘキサン層を真空下で蒸発させ、白色固体として3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピオニトリル(3−BTMSAPN)を得た(13.86g、90%収率)。生成物のH NMRデータ(C、25℃、テトラメチルシラン参照)は以下に挙げるとおりである:δ2.65(トリプレット、2H、CHプロトン)、1.59(トリプレット、2H、CHプロトン)、−0.05(シングレット、18H、Si−CHプロトン)。H NMRデータから、生成物の構造は以下のように割り出された:
【化14】

【0140】
例4. 3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]プロピオニトリル(3−TMSMAPN)の合成
ジクロロメタン(350mL)中の3−(メチルアミノ)プロピオニトリル(23.4mL)の冷たい溶液に、トリエチルアミン(38.3mL)および塩化トリメチルシリル(33.2mL)を添加した。混合物を室温で18時間撹拌した。形成されたトリエチルアミン塩酸塩をろ過し、40mLのヘキサンで洗浄した。組み合わせたろ液は回転式エバポレーターを用いることにより蒸発させた。残留シロップを真空下で蒸留し、黄色液体として3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]プロピオニトリル(3−TMSMAPN)を得た。生成物のH NMRデータ(CDCl、25℃、テトラメチルシラン参照)は以下に挙げるとおりである:δ3.07(トリプレット、2H、N−CHプロトン)、2.48(シングレット、3H、N−CHプロトン)、2.42(トリプレット、2H、CHCNプロトン)、0.09(シングレット、9H、Si−CHプロトン)。H NMRデータから、生成物の構造は以下のように決定した:
【化15】

【0141】
例5. N−トリメチルシリル−3,3’−イミノジプロピオニトリル(TMSIDPN)の合成
ジクロロメタン(350mL)中の3,3’−イミノジプロピオニトリル(24.2mL)の冷たい溶液に、トリエチルアミン(30.7mL)および塩化トリメチルシリル(26.6mL)を添加した。混合物を室温で18時間撹拌した。形成されたトリエチルアミン塩酸塩をろ過し、40mLのヘキサンで洗浄した。組み合わせたろ液は回転蒸発器を用いることにより蒸発させた。残留シロップを真空下で蒸留し、淡黄色液体としてN−トリメチルシリル−3,3’−イミノジプロピオニトリル(TMSIDPN)を得た。生成物のH NMRデータ(CDCl、25℃、テトラメチルシラン参照)は以下に挙げるとおりである:δ3.15(トリプレット、4H、N−CHプロトン)、2.42(トリプレット、4H、N−CHプロトン)、0.15(シングレット、9H、Si−CHプロトン)。H NMRデータから、生成物の構造は以下のように決定した:
【化16】

【0142】
例6. 3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾニトリル(3−BTMSABZN)の合成
約5.87gの3−アミノベンゾニトリル、11.57gのトリエチルアミン、および10mLのトルエンを氷浴で冷却した丸底反応フラスコ中で混合した。この混合物に、50mLのトルエン中の25.41gのトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートの溶液を滴下により添加した。得られた混合物を12時間加熱して還流し、二相の混合物を得た。上層を別のフラスコに移し、下層を40mLのトルエンで抽出した。組み合わせたトルエン溶液を真空下で蒸発させた。残留物を100mLのヘキサンで抽出し、ヘキサン層を真空下で蒸発させ、褐色油として3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾニトリル(3−BTMSABZN)を得た(12.62g、97%収率)。生成物のH NMRデータ(C、25℃、テトラメチルシラン参照)は以下に挙げるとおりである:δ7.00(マルチプレット、1H、芳香族プロトン)、6.81(マルチプレット、1H、芳香族プロトン)、6.67(マルチプレット、1H、芳香族プロトン)、6.59(マルチプレット、1H、芳香族プロトン)、−0.10(シングレット、18H、Si−CHプロトン)。H NMRデータから、生成物の構造は以下のように決定した:
【化17】

【0143】
例7. 4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾニトリル(4−BTMSABZN)の合成
約5.09gの4−アミノベンゾニトリル、10.03gのトリエチルアミン、および10mLのトルエンを氷浴で冷却した丸底反応フラスコ中で混合した。この混合物に、50mLのトルエン中の22.02gのトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートの溶液を滴下により添加した。得られた混合物を40時間加熱して還流し、二相の混合物を得た。上層を別のフラスコに移し、下層を40mLのトルエンで抽出した。組み合わせたトルエン溶液を真空下で蒸発させた。残留物を100mLのヘキサンで抽出し、ヘキサン層を真空下で蒸発させ、褐色油として4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾニトリル(4−BTMSABZN)を得た(10.77g、95%収率)。生成物のH NMRデータ(C、25℃、テトラメチルシラン参照)は以下に挙げるとおりである:δ6.93(ダブレット、2H、芳香族プロトン)、6.43(ダブレット、2H、芳香族プロトン)、−0.07(シングレット、18H、Si−CHプロトン)。H NMRデータから、生成物の構造は以下のように決定した:
【化18】

【0144】
例8. 未変性ポリ(スチレン−co−ブタジエン)の合成
タービン撹拌翼を備えた5ガロンの窒素パージした反応器に、5100gのヘキサン、1278gの33.0重量%スチレンのヘキサン溶液、および7670gの22.0重量%1,3−ブタジエンのヘキサン溶液を添加した。反応器に、11.98mLの1.6M n−ブチルリチウムのヘキサン溶液および3.95mLの1.6M 2,2−ビス(2’−テトラヒドロフリル)プロパンのヘキサン溶液を入れた。バッチを反応器ジャケットに熱水をかけることにより加熱した。バッチ温度が50℃に達した後、反応器ジャケットを冷水で冷却した。
【0145】
触媒の添加の90分後、約420gの得られたリビングポリマーセメントを反応器から窒素パージした瓶中に移し、3mLの12重量%2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールのイソプロパノール溶液の添加によりクエンチした。得られた混合物を、0.5gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有する2リットルのイソプロパノールで凝析させた後、ドラム乾燥した。
【0146】
得られたポリマーのムーニー粘度(ML1+4)は、大型ロータ、1分の予熱時間、および4分の実行時間でAlpha Technologies Mooney粘度計を用いることにより、100℃で13.6であると決定した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により決定されるように、ポリマーは116,600の数平均分子量(M)、120,200の重量平均分子量(M)、および1.03の分子量分布(M/M)を有した。ポリマーのH NMR分析は、ポリマーが21.0重量%のスチレン含有量および55.5%の1,2−結合(ブタジエンマー単位)を有することを示した。得られた未変性ポリ(スチレン−co−ブタジエン)の特性を表1にまとめる。
【0147】
ポリ(スチレン−co−ブタジエン)の物理的特性
【表1】

【0148】
例9. 未変性ポリ(スチレン−co−ブタジエン)の合成
タービン撹拌翼を備えた2ガロンの窒素パージした反応器に、1595gのヘキサン、400gの34.0重量%スチレンのヘキサン溶液、および2440gの22.3重量%1,3−ブタジエンのヘキサン溶液を添加した。反応器に、1.70mLの1.6M n−ブチルリチウムのヘキサン溶液および0.56mLの1.6M 2,2−ビス(2’−テトラヒドロフリル)プロパンのヘキサン溶液を入れた。バッチを反応器ジャケットに熱水をかけることにより加熱した。バッチ温度が50℃に達した後、反応器ジャケットを冷水で冷却した。触媒添加の約2.5時間後、重合混合物を、30mLの12重量%2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールのイソプロパノール溶液でクエンチし、5gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有する12Lのイソプロパノールで凝析させた後、ドラム乾燥した。得られた未変性SBRの特性を表1にまとめる。
【0149】
実施例10. 4−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]ベンゾニトリル(4−BTMSAMBZN)で変性したポリ(スチレン−co−ブタジエン)の合成
約335gの実施例8において合成したリビングポリマーセメントを反応器から窒素パージした瓶に移した後、1.80mLの0.237M 4−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]ベンゾニトリル(4−BTMSAMBZN)のヘキサン溶液を添加した。瓶を65℃で維持した水浴で30分間回した。得られたポリマーセメントを、3mLの12重量%2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールのイソプロパノール溶液でクエンチし、0.5gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有する2Lのイソプロパノールで凝析させた後、ドラム乾燥した。得られた4−BTMSAMBZN変性ポリマーの特性を表1にまとめる。
【0150】
実施例11. 5−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−ピリジンカルボニトリル(BTMSAPyCN)で変性したポリ(スチレン−co−ブタジエン)の合成
約409gの実施例8において合成したリビングポリマーセメントを反応器から窒素パージした瓶に移した後、2.22mLの0.230M 5−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−ピリジンカルボニトリル(BTMSAPyCN)のヘキサン溶液を添加した。瓶を65℃で維持した水浴で30分間回した。得られたポリマーセメントを、3mLの12重量%2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールのイソプロパノール溶液でクエンチし、0.5gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有する2Lのイソプロパノールで凝析させた後、ドラム乾燥した。得られたBTMSAPyCN変性ポリマーの特性を表1にまとめる。
【0151】
実施例12. 3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピオニトリル(3−BTMSAPN)で変性したポリ(スチレン−co−ブタジエン)の合成
約429gの実施例8において合成したリビングポリマーセメントを反応器から窒素パージした瓶に移した後、2.68mLの0.200M 3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピオニトリル(3−BTMSAPN)のトルエン溶液を添加した。瓶を65℃で維持した水浴で30分間回した。得られたポリマーセメントを、3mLの12重量%2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールのイソプロパノール溶液でクエンチし、0.5gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有する2Lのイソプロパノールで凝析させた後、ドラム乾燥した。得られた3−TMSMAPN変性ポリマーの特性を表1にまとめる。
【0152】
実施例13. 3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]プロピオニトリル(3−TMSMAPN)で変性したポリ(スチレン−co−ブタジエン)の合成
約331gの実施例8において合成したリビングポリマーセメントを反応器から窒素パージした瓶に移した後、1.24mLの0.335M 3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]プロピオニトリル(3−TMSMAPN)のトルエン溶液を添加した。瓶を65℃で維持した水浴で30分間回した。得られるポリマーセメントを、3mLの12重量%2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールのイソプロパノール溶液でクエンチし、0.5gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有する2Lのイソプロパノールで凝析させた後、ドラム乾燥した。得られた3−TMSMAPN変性ポリマーの特性を表1にまとめる。
【0153】
実施例14. N−トリメチルシリル−3,3’−イミノジプロピオニトリル(TMSIDPN)で変性したポリ(スチレン−co−ブタジエン)の合成
約337gの実施例8において合成したリビングポリマーセメントを反応器から窒素パージした瓶に移した後、1.17mLの0.361M N−トリメチルシリル−3,3’−イミノジプロピオニトリル(TMSIDPN)のトルエン溶液を添加した。瓶を65℃で維持した水浴で30分間回した。得られるポリマーセメントを、3mLの12重量%2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールのイソプロパノール溶液でクエンチし、0.5gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有する2Lのイソプロパノールで凝析させた後、ドラム乾燥した。得られたTMSIDPN変性ポリマーの特性を表1にまとめる。
【0154】
例15(比較例). 3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾニトリル(3−BTMSABZN)で変性したポリ(スチレン−co−ブタジエン)の合成
約344gの実施例8において合成したリビングポリマーセメントを反応器から窒素パージした瓶に移した後、1.32mLのヘキサン中0.326M 3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾニトリル(3−BTMSABZN)を添加した。瓶を65℃で維持した水浴で30分間回した。得られるポリマーセメントを、3mLの12重量%2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールのイソプロパノール溶液でクエンチし、0.5gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有する2Lのイソプロパノールで凝析させた後、ドラム乾燥した。得られた3−BTMSABZN変性ポリマーの特性を表1にまとめる。
【0155】
例16(比較例). 4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾニトリル(4−BTMSABZN)で変性したポリ(スチレン−co−ブタジエン)の合成
約334gの実施例8において合成したリビングポリマーセメントを反応器から窒素パージした瓶に移した後、1.27mLの0.328M 4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾニトリル(4−BTMSABZN)のヘキサン溶液を添加した。瓶を65℃で維持した水浴で30分間回した。得られるポリマーセメントを、3mLの12重量%2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールのイソプロパノール溶液でクエンチし、0.5gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有する2Lのイソプロパノールで凝析させた後、ドラム乾燥した。得られた4−BTMSABZN変性ポリマーの特性を表1にまとめる。
【0156】
例17〜25. 配合評価
例8〜16において製造したポリ(スチレン−co−ブタジエン)試料を、カーボンブラックで充填されたゴム混合物中で評価した。加硫物の組成を表2に示すが、これは全ゴムの100重量部(phr)当たりの重量部で表される。
【0157】
ポリ(スチレン−co−ブタジエン)から調製したゴム加硫物の組成
【表2】

【0158】
未硬化ゴム化合物のムーニー粘度(ML1+4)は、大型ロータ、1分の予熱時間、および4分の実行時間でAlpha Technologies Mooney粘度計を用いることにより、130℃で決定した。加硫物のペイン効果データ(△G’)およびヒステリシスデータ(tanδ)は、60℃および10Hzで0.25%〜15%の歪みスイープにより動的歪みスイープ実験から得た。△G’は歪み0.25%でのG’と歪み15%でのG’との間の差である。加硫物の物理的特性を表3にまとめる。図1では、tanδデータを化合物のムーニー粘度に対してプロットする。
【0159】
ポリ(スチレン−co−ブタジエン)から調製したゴム加硫物の物理的特性
【表3】

【0160】
表3および図1からわかるように、4−BTMSAMBZN−、BTMSAPyCN−、3−BTMSAPN−、3−TMSMAPN−、TMSIDPN−、3−BTMSABZN−、および4−BTMSABZN変性ポリ(スチレン−co−ブタジエン)試料は未変性ポリマーより低いtanδをもたらし、4−BTMSAMBZN、BTMSAPyCN、3−BTMSAPN、3−TMSMAPN、TMSIDPN、3−BTMSABZN、および4−BTMSABZNでのポリ(スチレン−co−ブタジエン)の変性がヒステリシスを低下することを示す。変性ポリ(スチレン−co−ブタジエン)試料は未変性ポリマーより著しく低い△G’ももたらし、ペイン効果が変性ポリマーとカーボンブラックとの間の相互作用によって低下したことを示す。さらに、4−BTMSAMBZN、BTMSAPyCN、3−BTMSABZN、および4−BTMSABZNは同じビス(トリメチルシリル)アミノ基を含有するが、ビス(トリメチルシリル)アミノ基が非環状部分または複素環部分に直接結合した、4−BTMSAMBZNまたはBTMSAPyCNで変性したポリ(スチレン−co−ブタジエン)試料(実施例10、11、19、および20)は、ビス(トリメチルシリル)アミノ基がヘテロ原子を含まない芳香族部分に直接結合した、3−BTMSABZNまたは4−BTMSABZNで変性したポリ(スチレン−co−ブタジエン)試料(実施例15、16、24、および25(比較))と比べて低いtanδおよび低い△G’をもたらす。
【0161】
本発明の範囲および精神から逸脱しない各種変更および変形は、当業者には明らかとなるだろう。本発明は、本明細書に記載する例示的な実施形態にはっきりと限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能化ポリマーの調製方法であって、(i)モノマーをアニオン性開始剤を用いて重合させ、反応性ポリマーを形成するステップ;ならびに(ii)該反応性ポリマーを、保護アミノ基を含有するニトリル化合物と反応させるステップにおいて、該保護アミノ基は非環状部分、複素環部分、および非芳香環部分からなる群から選択される部分に直接結合するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記保護アミノ基がビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ、ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ、1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル、(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ、(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ、1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル、ジヒドロカルビルアミノ、および1−アザ−1−シクロヒドロカルビル基からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
保護アミノ基を含有する前記ニトリル化合物がアレーンカルボニトリル化合物、アルカンカルボニトリル化合物、アルケンカルボニトリル化合物、アルキンカルボニトリル化合物、シクロアルカンカルボニトリル化合物、シクロアルケンカルボニトリル化合物、シクロアルキンカルボニトリル化合物、および複素環ニトリル化合物からなる群から選択されるニトリル化合物から誘導される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アニオン性開始剤が有機リチウム化合物であり、前記モノマーが共役ジエンモノマーおよび任意でこれと共重合可能なモノマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
保護アミノ基を含有する前記ニトリル化合物の前記シアノ基および前記保護アミノ基の両方が非環状部分、複素環部分、および非芳香環部分からなる群から選択される部分に直接結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
保護アミノ基を含有する前記ニトリル化合物が、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]アレーンカルボニトリル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]アレーンカルボニトリル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)アレーンカルボニトリル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アレーンカルボニトリル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アレーンカルボニトリル、(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)アレーンカルボニトリル、(ジヒドロカルビルアミノ)アレーンカルボニトリル、および(1−アザ−1−シクロヒドロカルビル)アレーンカルボニトリルからなる群から選択される、保護アミノ基を含有するアレーンカルボニトリル化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
保護アミノ基を含有する前記ニトリル化合物が、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]アルカンカルボニトリル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]アルカンカルボニトリル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)アルカンカルボニトリル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルカンカルボニトリル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルカンカルボニトリル、(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)アルカンカルボニトリル、(ジヒドロカルビルアミノ)アルカンカルボニトリル、および(1−アザ−1−シクロヒドロカルビル)アルカンカルボニトリルからなる群から選択される、保護アミノ基を含有するアルカンカルボニトリル化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
保護アミノ基を含有する前記ニトリル化合物が、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]アルケンカルボニトリル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]アルケンカルボニトリル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)アルケンカルボニトリル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルケンカルボニトリル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルケンカルボニトリル、(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)アルケンカルボニトリル、(ジヒドロカルビルアミノ)アルケンカルボニトリル、および(1−アザ−1−シクロヒドロカルビル)アルケンカルボニトリルからなる群から選択される、保護アミノ基を含有するアルケンカルボニトリル化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
保護アミノ基を含有する前記ニトリル化合物が、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]アルキンカルボニトリル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]アルキンカルボニトリル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)アルキンカルボニトリル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルキンカルボニトリル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルキンカルボニトリル、(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)アルキンカルボニトリル、(ジヒドロカルビルアミノ)アルキンカルボニトリル、および(1−アザ−1−シクロヒドロカルビル)アルキンカルボニトリルからなる群から選択される、保護アミノ基を含有するアルキンカルボニトリル化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
保護アミノ基を含有する前記ニトリル化合物が、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]シクロアルカンカルボニトリル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]シクロアルカンカルボニトリル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルカンカルボニトリル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルカンカルボニトリル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルカンカルボニトリル、(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルカンカルボニトリル、(ジヒドロカルビルアミノ)シクロアルカンカルボニトリル、および(1−アザ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルカンカルボニトリルからなる群から選択される、保護アミノ基を含有するシクロアルカンカルボニトリル化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
保護アミノ基を含有する前記ニトリル化合物が、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]シクロアルケンカルボニトリル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]シクロアルケンカルボニトリル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルケンカルボニトリル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルケンカルボニトリル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルケンカルボニトリル、(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルケンカルボニトリル、(ジヒドロカルビルアミノ)シクロアルケンカルボニトリル、および(1−アザ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルケンカルボニトリルからなる群から選択される、保護アミノ基を含有するシクロアルケンカルボニトリル化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
保護アミノ基を含有する前記ニトリル化合物が、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]シクロアルキンカルボニトリル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]シクロアルキンカルボニトリル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルキンカルボニトリル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルキンカルボニトリル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルキンカルボニトリル、(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルキンカルボニトリル、(ジヒドロカルビルアミノ)シクロアルキンカルボニトリル、および(1−アザ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルキンカルボニトリルからなる群から選択される、保護アミノ基を含有するシクロアルキンカルボニトリル化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
保護アミノ基を含有する前記ニトリル化合物が、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]複素環ニトリル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]複素環ニトリル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)複素環ニトリル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]複素環ニトリル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]複素環ニトリル、(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)複素環ニトリル、(ジヒドロカルビルアミノ)複素環ニトリル、および(1−アザ−1−シクロヒドロカルビル)複素環ニトリルからなる群から選択される、保護アミノ基を含有する複素環ニトリル化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
官能化ポリマーの調製方法であって、(i)モノマーをアニオン性開始剤を用いて重合させ、反応性ポリマーを形成するステップ;ならびに(ii)該反応性ポリマーを、式I:
【化1】


により定義される保護アミノ基を含有するニトリル化合物と反応させるステップにおいて、式中、Rは二価有機基であり、RおよびRはそれぞれ独立して一価有機基もしくは加水分解性基であり、またはRおよびRは結合して二価有機基を形成するが、ただし、Rは非環状二価有機基、複素環二価有機基、ヘテロ原子を含まない非芳香環状二価有機基、またはRがヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である場合に、該保護アミノ基が該芳香環に直接結合しない限り、ヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基であるステップを含む、方法。
【請求項15】
保護アミノ基を含有する前記ニトリル化合物が式II:
【化2】


により定義され、式中、RおよびRはそれぞれ独立して二価有機基であり、RおよびRはそれぞれ独立して結合または加水分解性基であるが、ただし、Rは非環状二価有機基、複素環二価有機基、ヘテロ原子を含まない非芳香環状二価有機基、またはRがヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である場合に、該保護アミノ基が該芳香環に直接結合しない限り、ヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
保護アミノ基を含有する前記ニトリル化合物が式III:
【化3】


により定義され、式中、Rは二価有機基であり、Rは一価有機基もしくは加水分解性基であり、各Rは独立して水素原子もしくは一価有機基であり、またはRおよび1つのRは結合して二価有機基を形成するが、ただし、Rは非環状二価有機基、複素環二価有機基、ヘテロ原子を含まない非芳香環状二価有機基、またはRがヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である場合に、該保護アミノ基が該芳香環に直接結合しない限り、ヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
保護アミノ基を含有する前記ニトリル化合物が式IV:
【化4】


により定義され、式中、RおよびRはそれぞれ独立して二価有機基であり、各Rは独立して水素原子または一価有機基であるが、ただし、Rは非環状二価有機基、複素環二価有機基、ヘテロ原子を含まない非芳香環状二価有機基、またはRがヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である場合に、該保護アミノ基が該芳香環に直接結合しない限り、ヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
保護アミノ基を含有する前記ニトリル化合物が式V:
【化5】


により定義され、式中、Rは二価有機基であり、RおよびR10はそれぞれ独立して水素原子もしくは一価有機基であり、または少なくとも1つのRおよび少なくとも1つのR10は結合して二価有機基を形成するが、ただし、Rは非環状二価有機基、複素環二価有機基、ヘテロ原子を含まない非芳香環状二価有機基、またはRがヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である場合に、該保護アミノ基が該芳香環に直接結合しない限り、ヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
保護アミノ基を含有する前記ニトリル化合物が式VI:
【化6】


により定義され、式中、RおよびR11はそれぞれ独立して二価有機基であり、RおよびR10はそれぞれ独立して水素原子または一価有機基であるが、ただし、Rは非環状二価有機基、複素環二価有機基、ヘテロ原子を含まない非芳香環状二価有機基、またはRがヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である場合に、該保護アミノ基が該芳香環に直接結合しない限り、ヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記アニオン性開始剤が有機リチウム化合物であり、前記モノマーが共役ジエンモノマーおよび任意でこれと共重合可能なモノマーを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記反応させるステップがその後プロトン化される反応生成物を生成する、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
保護アミノ基を含有する官能化ポリマーであって、該官能化ポリマーは式VII:
【化7】


により定義され、πはポリジエンまたは共役ジエンと中もしくは低シス−1,4−結合含有量を有するコモノマーとのコポリマーのポリマー鎖であり、Rは二価有機基であり、RおよびRはそれぞれ独立して一価有機基もしくは加水分解性基であり、またはRおよびRは結合して二価有機基を形成するが、ただし、Rは非環状二価有機基、複素環二価有機基、ヘテロ原子を含まない非芳香環状二価有機基、またはRがヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である場合に、該保護アミノ基が該芳香環に直接結合しない限り、ヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である、ポリマー。
【請求項23】
アミノ基を含有する官能化ポリマーであって、該官能化ポリマーは式VIII:
【化8】


により定義され、式中、πはポリジエンまたは共役ジエンと中もしくは低シス−1,4−結合含有量を有するコモノマーとのコポリマーのポリマー鎖であり、Rは二価有機基であり、R12およびR13はそれぞれ独立して一価有機基もしくは水素原子であり、またはR12およびR13は結合して二価有機基を形成するが、ただし、Rは非環状二価有機基、複素環二価有機基、ヘテロ原子を含まない非芳香環状二価有機基、またはRがヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である場合に、該保護アミノ基が該芳香環に直接結合しない限り、ヘテロ原子を含まない芳香環を含有する二価有機基である、ポリマー。
【請求項24】
請求項22に記載の前記官能化ポリマーの加硫物を含む、タイヤ部品。
【請求項25】
請求項23に記載の前記官能化ポリマーの加硫物を含む、タイヤ部品。

【図1】
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【公表番号】特表2013−518928(P2013−518928A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550186(P2012−550186)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2011/022210
【国際公開番号】WO2011/091346
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】