説明

保護カバー及び画像表示装置

【課題】寸法公差を吸収し、組み立て精度を向上させることが可能な保護カバー及びこの保護カバーを用いた画像表示装置を提供する。
【解決手段】固定側型板31と、可動側型板32と、保護カバー20との間に形成されるキャビティに、常温域において高い粘着力を有し、且つ透光性を有する樹脂組成物21を射出する。保護カバー20の背面に樹脂成形物層を形成し、周囲を樹脂成形物で覆う。これにより得られた成形品を筐体のガイド溝に嵌め込むことで、表示面と水平方向の遊びを無くし、縦、横の寸法公差を吸収する。樹脂成形物層背面に画像表示パネルを接着させることで、板厚の公差を吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、モバイルコンピュータ、携帯用ゲーム機等の電子機器に使用される画像表示パネルの保護カバーに関する。また、この保護カバーを使用した画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な携帯電話におけるディスプレイ部分は図1に示す構成となっている。筐体10の表示面側にはガイド溝が設けられており、このガイド溝にはアクリル樹脂板等の保護カバー20が嵌め込まれる。この筐体10の背面側には、液晶表示パネル等の画像表示パネル22が設置される。このような構成とした場合、ガイド溝の段差がスペーサとしての役割を果たし、画像表示パネル22と保護カバー20との間に空気層2を介在させることになり、これにより画像表示パネル22の保護を図っている。一方で、空気層2の存在によって光の散乱が起き、これに起因してコントラストや輝度が低下し、画像表示パネル22に表示された映像や画像の視認性が低下する問題が生じる。
【0003】
このような問題を解決するため、例えば図2に示すように、保護カバー20と画像表示パネル22との間に可視光透過率の高い樹脂からなる樹脂層3を設ける提案がされている。例えば特許文献1の図2にも同様の例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−37033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した画像表示パネルを保護する平板状の保護カバー20として、アクリル樹脂板又はガラス板が使用される。これらは板厚の寸法公差が大きく、特にガラス板は、縦、横、厚さの寸法を基準値に合致させることが困難であり、携帯電話機等の一般用途向けの製品に関しては±0.1mm程度の寸法公差が生じてしまうのが通常である。
【0006】
一方で、近年の携帯電話機やモバイルコンピュータに関しては、小型化、薄型化が要求されている。そのためディスプレイ部分に関しても、筐体内の狭い空間に隙間無く画像表示パネルやその他の部品を収容するように工夫がなされている。このような事情があるにもかかわらず、前述したガラス板の寸法公差によって筐体内部の所定箇所に正確に部品を配置することが困難となり、ディスプレイ部分の歩留まり低下等の弊害を招くおそれがある。
【0007】
例えば、筐体10の背面側にガイド溝が設けられている場合には、図3に示すように、筐体10の背面側から、ガイド溝11に保護カバー20を嵌め込むことになる。このとき、図4に示すように、保護カバー20の幅Sをガイド溝11の背面側の間隔Dに合致させることが理想である。しかしながら、仮にS=Dとなるように設計した場合、保護カバー20が寸法公差(S±sとする)を有していることにより、以下の問題が生じる。
【0008】
プラスの寸法公差が存在する場合には保護カバー20をガイド溝11に嵌め込むことができず、ディスプレイ部分の歩留まりが低下する。通常、このような問題を回避し、保護カバー20をガイド溝11に確実に嵌め込むことができるよう、プラスの公差が最大となるケースを想定して[D−(S+s)≧0]となるように設計される。ここでDの寸法公差(D±dとする)まで考慮すると、[(D−d)−(S+s)]≧0となるように設計される。
【0009】
一方、このようにすることで、図4に示すようにガイド溝11の壁面11aと保護カバー20の側面に隙間が生じてしまう。この隙間は、最大で(D+d)−(S−s)、最小で(D−d)−(S+s)となる。これにより、保護カバー20のガイド溝11内での位置合わせが困難となり、この保護カバー20の背面側に設けられる画像表示パネル22等の部品の位置も、本来規定されている位置からずれてしまい、画像表示装置全体の組み立て精度に影響を与える。また、保護カバー20の板厚の公差によって、筐体10内に画像表示パネル22等の部品を収容できないケース、又はこれらの部品を所定位置に固定することが困難となるケースも考えられる。
【0010】
さらにガイド溝11の側面11aと保護カバー20の側面との隙間を放置しておくことで、他の問題が生じる可能性がある。保護カバー20と筐体10は、図4に示すガイド溝11の枠面11bの一部と接触又は接着しているにすぎない。この保護カバー20の背面は、図2に示したように樹脂層3を介して相対的に高重量である画像表示パネル22と接合されている。従って、携帯電話を落下する等の強い衝撃が加わった場合、保護カバー20及び画像表示パネル22全体が、枠面11bから背面側に剥離してしまう可能性がある。また、枠面11bと保護カバー20の密着度が低い場合には防水性や防塵性も低下し、故障を誘発する要因となる。
【0011】
本発明は、前述した技術背景のもとになされたものであり、その目的は、寸法公差を吸収し、組み立て精度を向上させることが可能な保護カバー及びこの保護カバーを用いた画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するため次の手段を採る。
本発明1の保護カバーは、画像を表示する画像表示パネル(22)を保護する透光性の保護カバー(20)であって、前記保護カバーはアクリル樹脂板又はガラス板であり、
前記保護カバーの側面及び背面は、JIS−A硬度が60以下、可視光領域の透過率が85%以上の粘着性の樹脂(21)で覆われていることを特徴とする。
【0013】
本発明2の保護カバーは、本発明1の保護カバー(20)であって、前記保護カバーの隣接する2側面が前記樹脂(21)で覆われていることを特徴とする。
【0014】
本発明3の保護カバーは、本発明1の保護カバー(20)であって、前記保護カバーの側面全てが前記樹脂(21)で覆われていることを特徴とする。
【0015】
本発明4の保護カバーは、本発明1ないし3から選択される1の保護カバー(20)であって、前記保護カバーの側面及び背面は、前記樹脂を使用した射出成形によって形成された樹脂成形物(21)で覆われていることを特徴とする保護カバー。
【0016】
本発明5の保護カバーは、本発明4の保護カバー(20)の製造方法であって、前記射出成形は、固定側型板(31)に非粘着性のシート(21a)を吸着させた状態で行い、前記射出成形後に形成された前記保護カバー背面の樹脂成形物(21)の背面に、前記シートを付着させることを特徴とする保護カバーの製造方法。
【0017】
本発明6の画像表示装置は、本発明1の保護カバー(20)を有する画像表示装置(1)であって、前記画像表示パネル(22)及び前記保護カバーが収容される筐体(10)を有し、前記保護カバー背面には前記樹脂(21)を介して前記画像表示パネルが接合されており、前記保護カバーは、前記筐体に設けられたガイド溝(11)に嵌め込まれており、前記ガイド溝壁面(11a)と前記保護カバー側面の隙間は前記樹脂によって埋められていることを特徴とする。
【0018】
本発明7の画像表示装置の製造方法は、本発明4の保護カバー(20)を有する画像表示装置(1)の製造方法であって、前記保護カバーを製造する際、前記射出成形は、固定側型板(31)に非粘着性のシート(21a)を吸着させた状態で行い、前記射出成形後に形成された前記保護カバー背面の樹脂成形物(21)の背面に、前記シートを付着させ、前記画像表示装置は、前記画像表示パネル(22)及び前記保護カバーが収容される筐体(10)を有し、前記保護カバーを、前記筐体に設けられたガイド溝(11)に嵌め込むことにより、当該ガイド溝壁面(11a)と前記保護カバー側面の隙間を、当該保護カバー側面の樹脂成形物(21)によって埋め、前記保護カバーを前記ガイド溝に嵌め込む前又は嵌め込んだ後に、当該保護カバー背面の樹脂成形物の背面から前記シート(21a)を剥がし、当該樹脂成形物(21)の背面に前記画像表示パネルを貼り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、保護カバーの側面及び背面を覆った樹脂により縦、横、厚さの寸法公差を吸収し、画像表示装置の組み立て精度を向上させることができる。保護カバー背面に設けられた樹脂層によって、画像表示パネル22等の部品を貼り付けたときの厚さを最適化することが可能である。また、保護カバー側面を覆った樹脂によりガイド溝と保護カバーの隙間を埋め、表示面と水平方向の位置合わせを容易化し、保護カバー背面に接着される画像表示パネル等の部品の設置精度も向上する。
【0020】
また本発明の画像表示装置は、ガイド溝の壁面と保護カバーの側面の隙間が粘着性樹脂よって埋められているので、画像表示パネルを保護する保護カバーが筐体から剥離し難く、耐衝撃性に優れた画像表示装置とすることができる。さらに、粘着性樹脂によって筐体内部が密封されるので防水性及び防塵性に優れた画像表示装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一般的な携帯電話におけるディスプレイ部分の模式断面図である。
【図2】本発明に関係する携帯電話におけるディスプレイ部分の模式断面図である。
【図3】携帯電話の筐体に背面側から保護カバーを嵌め込む方法を説明するための斜視図である。
【図4】筐体に保護カバーを嵌め込んだときに生じる隙間を示す模式断面図である。
【図5】保護カバーの側面及び背面に透光性の粘着性樹脂を射出成形する例を説明するための模式断面図である。
【図6】図5に示した例の第1の変形例を説明するための模式断面図である。
【図7】図5に示した例の第2の変形例を説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の保護カバー及び画像表示装置を図面を用いて説明する。画像表示装置1は、画像を表示する画像表示パネル22と、画像表示パネルを保護する透光性の保護カバー20と、画像表示パネル22及び保護カバー20が収容される筐体10を有する。本例においては、図3に示すように、携帯電話の筐体10の背面側に階段状のガイド溝11が設けられており、このガイド溝11に周囲及び背面を樹脂組成物21で覆った保護カバー20を嵌め込む。
【0023】
画像表示パネル22は、液晶表示パネル、プラズマパネル、有機ELシート等の部品である。保護カバー20は透光性を有する平板状物であり、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル樹脂板又はガラス板である。例えば薄板化学強化ガラスであるアルミノシリケートガラス(Aluminosilicate glass)が使用できる(例えばHOYA株式会社製のDCG−1)。本例において筐体10の背面側、即ち表示面と反対側の面には、図4に示すように階段状のガイド溝11が設けられている。
【0024】
このガイド溝11は、背面側から順に連続した壁面11a、枠面11b、及び壁面11cによって構成され、相対する壁面11a同士の間隔は、同じく相対する壁面11c同士の間隔よりも広い。そして前述したように、保護カバー20の幅Sは、壁面11a同士の間隔Dよりも狭く設計されるため、通常はガイド溝11に保護カバー20を嵌め込んだとき、壁面11aと保護カバー20の側面には隙間が生じる。
【0025】
(樹脂付き保護カバーの作成)
本発明では、保護カバー20の周囲及び背面を、透光性の粘着性樹脂で覆うことによって寸法公差を吸収し、当該保護カバー20と筐体10及び画像表示パネル22の組み立て精度を高めるようにしている。この樹脂付き保護カバー20の製造方法を図5を用いて説明する。本例では、射出成形機30を使用する。
【0026】
図5に示す例では、固定側型板31と、可動側型板32と、保護カバー20との間に形成されるキャビティに、樹脂組成物21を射出している。この樹脂組成物21は常温域において高い粘着力を有し、且つ透光性を有するものであり、例えばアクリル系樹脂や脂肪族系ポリウレタンである。樹脂組成物21はJIS−A硬度が60以下、可視光領域の透過率が85%以上の粘着性の樹脂であると良く、特に、粘着力(180°ピール)が0.1(N/10mm)以上のものが好ましい。例えば、脂肪族系ポリウレタンであって、高い透明性を有し、光により変色しにくい低硬度無黄変ポリウレタンエラストマーシステム(日本ポリウレタン工業株式会社)が好適に使用できる。
【0027】
上記キャビティに射出された樹脂組成物21は、保護カバー20の側面及び背面を覆う。樹脂が固化した後に、保護カバー20を含む成形品を金型から取り出す。この成形品(樹脂付き保護カバー)を、図3に示したように筐体10のガイド溝11に嵌め込む。このとき、保護カバー20の側面を覆った粘着力を有する樹脂成形物(樹脂組成物21の成形物)によって、保護カバー20が筐体10と接合され、当該樹脂成形物によって、壁面11aと保護カバー20の側面との隙間が埋められることになる。このように保護カバー20がガイド溝11に隙間無く嵌め込まれることで、縦、横の寸法公差が吸収され、表示面と水平方向の遊びが無くなり、その後の組み立て工程を精度良く行うことができる。また、保護カバー20をガイド溝11に嵌め込むときの位置合わせも容易である。ここで、筐体10への保護カバー10の嵌め込みは、例えば手動又は自動組立装置等によって行われると良い。
【0028】
また、保護カバー20の背面に形成された樹脂成形物層(樹脂組成物21の成形物層)は粘着力を有しているため、図2に示したように、当該樹脂成形物層のさらに背面側に画像表示パネル22を接着させることが可能である。このとき樹脂成形物層が介在することによって、板厚の寸法公差を吸収することができる。即ち、(ガラス板の厚さ+液晶表示パネルの厚さ)を一定値とすることは板厚の寸法公差により困難であるが、(ガラス板の厚さ+樹脂成形物層の厚さ+液晶表示パネルの厚さ)は、樹脂成形物層が弾力を有しているため板面にかける圧力を調整することで一定値に近づけることができる。
【0029】
また、このようにして得られた画像表示装置1は、画像表示パネル22と保護カバー20との間に弾性を有する樹脂成形物層が介在していることにより、これがクッションの役割を果たし、落下時等における衝撃を和らげ、画像表示パネル22の破損を防止する。また、保護カバー20が破損した場合でも、ガラスの飛散を防ぐ役割がある。本例では、ガイド溝11の壁面11aと保護カバー20の側面との隙間を同じ樹脂成形物で埋めている。従って、表示面と水平方向の遊びが無くなり、保護カバー20がガイド溝11から剥離し難く、画像表示装置1の耐衝撃性を向上させることができる。また、保護カバー20と枠面11bの僅かな隙間から侵入した水や埃も、樹脂成形物によって遮断されるため、防水性、防塵性も向上させることができる。
【0030】
特に図2に示すような構成の携帯電話を落下したときに、そのときの衝撃で保護カバー20が枠面11bから剥離し、その保護カバー20及びこれと一体となった画像表示パネル22が、本来の表示面より奥に入り込んだ状態になるおそれがある。本発明によれば、このような危険性を低減させることができる。
【0031】
本例では、保護カバー20の全周囲を樹脂組成物21で囲んで隙間を埋めている。耐衝撃性を重視するのであれば、このような構成とすることが好ましい。しかしながら、長方形状又は正方形状の保護カバー20の隣接する2辺のみを樹脂組成物21によって覆うようにしても良い。このような構成とする場合、図5に示す凹部金型内での保護カバー20の位置合わせが容易であり、2辺を金型凹部の隅に合わせて射出成形を行うと良い。このようにして得られた成形品をガイド溝11に嵌め込んだとき、樹脂組成物21で覆われていない2辺は壁面11aと密着し、樹脂組成物21で覆われた2辺と壁面11aとの間の隙間は樹脂組成物21で埋められる。
【0032】
本例では保護カバー20の側面及び背面にJIS−A硬度が60以下、可視光領域の透過率が85%以上の粘着性樹脂を射出成形することで、保護カバーの側面及び背面に樹脂成形物を形成している。金型の形状も複雑ではなく、極めて簡単な構造とすることができ、1回の射出成形で樹脂成形物を形成することができる。このような射出成形法を使用せず、注入法によって保護カバー20の側面及び背面を樹脂組成物21で覆うようにしても良い。保護カバー20と画像表示パネル22の間にスペーサを挟んで対向させ、そのスペーサにより規定された空間に樹脂組成物21を注入するようにしても良い。側面を樹脂で覆われていない保護カバー20をガイド溝11に嵌め込んだ状態で、隙間に樹脂組成物21を注入するようにしても良い。
【0033】
(第1の変形例)
図6は第1の変形例を説明するための模式断面図である。この例では保護カバー20と枠面11bの間に樹脂組成物21を入り込ませる構成としている。図5と異なる点は、可動側型板32の凹部内に凸部を設けている点である。当該凸部の上面に保護カバー20を乗せ、この状態で射出成形を行う。
【0034】
図6の例では、図5の例で示したキャビティが拡張し、可動側型板32の凸部側壁と、保護カバー20の表示面側の面の一部(端部)と、これと向かい合う可動側型板32の凹部底面で囲まれた部分にも樹脂が入り込む。このキャビティに樹脂組成物21を射出して得られた成形品を、筐体10に嵌め込むことで、枠面11bと保護カバー20の表示面の一部も樹脂組成物21により接着されることになる。このとき、保護カバー20は筐体10と直接に接触しておらず、その全周が樹脂組成物21の成形物で支持された状態となる。従って、携帯電話を落下したときの衝撃は、全て樹脂組成物21を介してしか保護カバー20に伝わらず、極めて高い耐衝撃性を有した画像表示装置1とすることができる。また、枠面11bと保護カバー20との間にも樹脂成形物が介在しているので、防水性、防塵性の向上にも寄与する。
【0035】
(第2の変形例)
図7は第2の変形例を説明するための模式断面図である。得られる成形品は、図5に示した射出成形により得られた成形品の樹脂成形物層の背面に非粘着性のシート21aが付着している状態となっている。画像表示装置1の製造工程において、このような成形品が得られた後に、樹脂成形物層の背面に手作業で画像表示パネル22を接着させる工程が存在するケースがある。このような場合に粘着力の高い樹脂組成物21が表出していると、成形品の搬送作業、画像表示パネル22との接着作業、筐体10との嵌め込み作業等に支障が生じるおそれがある。従って、ベタついた樹脂成形物層をシート21aによって覆うことで、その後の工程のトラブル防止を図っている。
【0036】
このような成形品を得るためには、固定側型板31に吸引ノズル31aを設けておき、これを介してシート21aを吸引して樹脂組成物21の上方に維持しておく。樹脂が硬化した後、吸引を停止してシート21aを樹脂成形物層の背面に付着させる。このようにして得られた成形品に画像表示パネル22を取り付けるときは、シート21aを剥がして表出した樹脂成形物層に画像表示パネル22を押し付けて接着させる。なお、組み立ての際には、保護カバー20を筐体10に嵌め込む作業、保護カバー20の背面に画像表示パネル22を取り付ける作業のいずれを先に行っても良い。
【0037】
本発明の実施の形態について以上のとおり説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、、携帯電話機、モバイルコンピュータ、携帯用ゲーム機等の電子機器に使用される画像表示装置の製造に利用できる。
【符号の説明】
【0039】
1…画像表示装置
2…空気層
3…樹脂層
10…筐体
11…ガイド溝
11a…壁面
11b…枠面
11c…壁面
20…保護カバー
21…粘着材(樹脂組成物)
21a…非粘着性シート
22…画像表示パネル(液晶表示パネル)
30…射出成形機
31…固定側型板
31a…吸引ノズル
32…可動側型板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する画像表示パネルを保護する透光性の保護カバーであって、
前記保護カバーはアクリル樹脂板又はガラス板であり、
前記保護カバーの側面及び背面は、JIS−A硬度が60以下、可視光領域の透過率が85%以上の粘着性の樹脂で覆われていることを特徴とする保護カバー。
【請求項2】
請求項1に記載した保護カバーであって、
前記保護カバーの隣接する2側面が前記樹脂で覆われていることを特徴とする保護カバー。
【請求項3】
請求項1に記載した保護カバーであって、
前記保護カバーの側面全てが前記樹脂で覆われていることを特徴とする保護カバー。
【請求項4】
請求項1ないし3から選択される1項に記載した保護カバーであって、
前記保護カバーの側面及び背面は、前記樹脂を使用した射出成形によって形成された樹脂成形物で覆われていることを特徴とする保護カバー。
【請求項5】
請求項4に記載した保護カバーの製造方法であって、
前記射出成形は、固定側型板に非粘着性のシートを吸着させた状態で行い、
前記射出成形後に形成された前記保護カバー背面の樹脂成形物の背面に、前記シートを付着させることを特徴とする保護カバーの製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載した保護カバーを有する画像表示装置であって、
前記画像表示パネル及び前記保護カバーが収容される筐体を有し、
前記保護カバー背面には前記樹脂を介して前記画像表示パネルが接合されており、
前記保護カバーは、前記筐体に設けられたガイド溝に嵌め込まれており、
前記ガイド溝壁面と前記保護カバー側面の隙間は前記樹脂によって埋められていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項4に記載した保護カバーを有する画像表示装置の製造方法であって、
前記保護カバーを製造する際、前記射出成形は、固定側型板に非粘着性のシートを吸着させた状態で行い、
前記射出成形後に形成された前記保護カバー背面の樹脂成形物の背面に、前記シートを付着させ、
前記画像表示装置は、前記画像表示パネル及び前記保護カバーが収容される筐体を有し、
前記保護カバーを、前記筐体に設けられたガイド溝に嵌め込むことにより、当該ガイド溝壁面と前記保護カバー側面の隙間を、当該保護カバー側面の樹脂成形物によって埋め、
前記保護カバーを前記ガイド溝に嵌め込む前又は嵌め込んだ後に、当該保護カバー背面の樹脂成形物の背面から前記シートを剥がし、当該樹脂成形物の背面に前記画像表示パネルを貼り付けることを特徴とする画像表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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